特許第6335689号(P6335689)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6335689成膜装置及び成膜装置のメンテナンス方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335689
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】成膜装置及び成膜装置のメンテナンス方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/00 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   C23C14/00 B
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-136815(P2014-136815)
(22)【出願日】2014年7月2日
(65)【公開番号】特開2016-14174(P2016-14174A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2017年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】林 聖
(72)【発明者】
【氏名】松元 孝文
(72)【発明者】
【氏名】小室 健司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 実
(72)【発明者】
【氏名】細田 郁雄
【審査官】 神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−313654(JP,A)
【文献】 特開平06−256947(JP,A)
【文献】 特開2010−111916(JP,A)
【文献】 特開2011−168825(JP,A)
【文献】 特開2009−068071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバーと、
前記真空チャンバー内に配置される成膜源と、
前記真空チャンバー内に設けられる防着板と、
前記防着板を加熱する加熱部と、
前記防着板の鉛直方向の下方に配置された回収部と
前記回収部及び前記成膜源を一体に、前記真空チャンバーに設けられた開口から前記真空チャンバーの外部に搬送する搬送機構と、
を備える成膜装置。
【請求項2】
前記回収部及び前記成膜源は、前記搬送機構により、前記真空チャンバーに連結されたグローブボックスに搬送される
請求項に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記グローブボックスに接続され、前記成膜源に供給する成膜材料を載せて前記グローブボックスに挿入されるトレイを有するパスボックスを備える
請求項2に記載の成膜装置。
【請求項4】
前記成膜源は、蒸発容器を有する載置部を備え、当該載置部には、前記回収部へ向かって傾斜する傾斜面を備える
請求項1〜3のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項5】
前記防着板は、前記回収部側へ傾斜する天井部と、当該天井部に連続して設けられてその端部が前記回収部の開口の鉛直方向上方に配置される側壁部と、前記側壁部の上部に設けられ、基板を搬送するための基板搬送口とを有し、
前記加熱部は、前記天井部及び前記側壁部を加熱する
請求項1〜4のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項6】
成膜装置のメンテナンス方法において、
真空チャンバー内に設けられた成膜源から成膜材料を前記真空チャンバー内に拡散する成膜工程、又はその成膜工程後に、前記真空チャンバー内に設けられた防着板を加熱し、加熱することによって前記防着板から落ちた成膜材料を前記防着板の鉛直方向の下方に配置された回収部によって回収し、
前記回収部及び前記成膜源を一体に、前記真空チャンバーに設けられた開口から前記真空チャンバーの外部に搬送し、前記回収された成膜材料を回収し、前記成膜源に成膜材料を供給する成膜装置のメンテナンス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜装置及び成膜装置のメンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸着装置やスパッタ装置等の成膜装置では、真空チャンバー等の基板以外の部材への成膜材料の付着を抑制するために、防着板が設けられている。
成膜工程後には防着板には成膜材料が堆積するが、堆積量が多くなるとパーティクルとなって基板の成膜領域に付着するおそれもあるため、防着板のメンテナンスが定期的に行われている。
【0003】
一般的に、防着板のメンテナンスを行う際は、低圧状態の真空チャンバーを大気圧に近い圧力まで復帰させる。そして、真空チャンバー内が大気圧に近い圧力に到達すると、真空チャンバーを開放して、防着板を取り出す等の作業を行う。また、メンテナンスを完了した後に成膜工程を再開する際は、真空チャンバー内を目標圧力まで減圧するのに時間を要する。このように防着板のメンテナンスは時間や手間を要するため、管理・保守のしやすさであるメンテナンス性を高めることができる成膜装置が要請されていた。
【0004】
メンテナンスの頻度の低減を図る装置として、防着板へ付着する成膜材料の付着量を予測する付着量予測部を備える装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−168825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、防着板の大きさや形状は成膜装置によって変化し、しかも成膜材料の防着板への付着量は均一とはならないため、上述した装置であってもパーティクルの発生を抑制しつつメンテナンスの頻度の低減を図ることには限界があった。尚、こうした課題は、上述した構成の装置に限らず、成膜装置においては概ね共通したものである。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、メンテナンス性を向上することができる成膜装置及び成膜装置のメンテナンス方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する成膜装置は、真空チャンバーと、前記真空チャンバー内に配置される成膜源と、前記真空チャンバー内に設けられる防着板と、前記防着板を加熱する加熱部と、前記防着板の鉛直方向の下方に配置された回収部とを備える。
【0009】
上記課題を解決する成膜装置のメンテナンス方法は、真空チャンバー内に設けられた成膜源から成膜材料を前記真空チャンバー内に拡散する成膜工程、又はその成膜工程後に、前記真空チャンバー内に設けられた防着板を加熱し、加熱することによって前記防着板から落ちた成膜材料を前記防着板の鉛直方向の下方に配置された回収部によって回収する。
【0010】
上記構成によれば、防着板が加熱されることによって防着板への成膜材料の堆積が抑制される。このため、防着板のメンテナンスの頻度を低下させることができる。さらに、回収部によって、流動化した成膜材料等、防着板から落ちた成膜材料を回収することができる。このため、防着板の加熱によって真空チャンバーの底部や他の部材に防着板から落ちた成膜材料が付着することを防ぐことができる。従って、成膜装置のメンテナンス性を高めることができる。
【0011】
この成膜装置について、前記回収部を、前記真空チャンバーに設けられた開口から前記真空チャンバーの外部へ搬送する搬送機構を備えることが好ましい。
上記構成によれば、回収部は真空チャンバーの外部へ搬送することができるので、回収部の重量が大きく作業者が運び出すことが困難な場合でも、メンテナンス作業が容易になる。
【0012】
この成膜装置について、前記回収部は、前記搬送機構により、前記真空チャンバーに連結されたグローブボックスに搬送されることが好ましい。
上記構成によれば、回収部はグローブボックスに搬送されるので、成膜材料が、例えば大気との接触が好ましくない材料であったとしても、グローブボックス内の雰囲気下で成膜材料の回収作業を行うことができる。
【0013】
この成膜装置について、前記成膜源は、蒸発容器を有する載置部を備え、当該載置部には、前記回収部へ向かって傾斜する傾斜面を備えることが好ましい。
上記構成によれば、傾斜面に付着した成膜材料等が回収部に導かれるので、載置部にも成膜材料が堆積しにくい。
【0014】
この成膜装置について、前記防着板は、前記回収部側へ傾斜する天井部と、当該天井部に連続して設けられてその端部が前記回収部の開口の鉛直方向上方に配置される側壁部とを有し、前記加熱部は、前記天井部及び前記側壁部を加熱することが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、天井部は回収部側へ傾斜し、側壁部の端部は回収部の開口の鉛直方向上方に設けられるので、流動化した成膜材料を回収部に向かって流れ落ちやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態の基板処理システムの概略図。
図2】同実施形態における成膜装置を正面側からみた斜視図。
図3】同実施形態における成膜装置の側面図。
図4】同実施形態における成膜装置を背面側からみた斜視図。
図5】同実施形態における成膜装置の内部構造を示す斜視図。
図6】同実施形態における成膜源の一部を示す分解斜視図。
図7】同実施形態における成膜装置の内部構造を示す斜視図。
図8】同実施形態における成膜源及び防着板の一部を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した成膜装置の一実施形態を図1図7にしたがって説明する。本実施形態では、成膜装置を、成膜材料を加熱して蒸発又は昇華させることにより基板に薄膜を形成する蒸着装置に具体化して説明する。成膜の対象は、幅及び高さが1mを超える大型の基板等とする。また、成膜材料は、Li(リチウム)等のアルカリ金属及びその化合物を主成分とする。
【0018】
図1に示すように、基板処理システム1は、搬送部2、ロードロック室3、前処理室4、成膜装置10、後処理室5を備える。搬送部2は、基板100をトレイ(図示略)に載置してロードロック室3に基板100を搬送する。ロードロック室3は、基板100の搬送方向(X方向、反X方向)に応じて大気圧/低圧状態を切り替える。基板100が成膜装置10に向かってX方向に搬送されるとき、ロードロック室3は低圧状態に調整されている。ロードロック室3を介して搬送された成膜前の基板100は、前処理室4に搬送される。前処理室4で加熱等の前処理が行われた後、基板100は成膜装置10に搬送される。成膜装置10では、基板100に対して成膜が行われる。成膜工程後、基板100は、後処理室5に搬送されて冷却される。冷却された基板100は、成膜装置10、前処理室4、ロードロック室3を介して、搬送部2まで搬送される。
【0019】
次に、成膜装置10の全体の構成について説明する。
図1に示すように、成膜装置10は、成膜機構11と、メンテナンスを行うためのグローブボックス20とを備えている。また成膜装置10は、メンテナンスのための制御等を実行する制御装置18を備えている。
【0020】
成膜機構11は、長尺状の成膜源15を備えている。成膜装置10は、成膜源15を真空チャンバー12及びグローブボックス20の間で、真空チャンバー12からグローブボックス20に向かう方向及びその反対方向に搬送する搬送機構を備えている。
【0021】
図2に示すように、真空チャンバー12の入口及び出口には、ゲートバルブ13,14がそれぞれ設けられている。真空チャンバー12は、基板100を収容可能な大きさを有しており、ターボ分子ポンプ等の真空ポンプ(図示略)を備えている。基板100は、一方のゲートバルブ13と他方のゲートバルブ14との間で搬送される。また、真空チャンバー12には、図示しないガス供給機構が設けられ、アルゴン等の不活性ガスを真空チャンバー12内に供給する。
【0022】
また、真空チャンバー12のうち、ゲートバルブ13,14が設けられていない側面の一つには、開口としての連通口17が設けられている。真空チャンバー12の連通口17側には、グローブボックス20が連結されている。
【0023】
グローブボックス20は、金属材等からなる筐体21を備えている。筐体21は、真空チャンバー12側に、連通口17に接続する連通部22を有する。
連通部22の内側には、封止部25が設けられている。封止部25は、封止位置と、退避位置との間で移動可能である。真空チャンバー12が所定の圧力に調整される成膜時には、封止部25は、封止位置に配置される。また蓋部26が退避位置に配置されると、真空チャンバー12の内部空間は開放され、グローブボックス20の内部空間と連通される。
【0024】
また、筐体21の正面には、透光性材料からなる窓部30が取り付けられている。窓部30の幅は、成膜源15の長手方向に沿った幅とほぼ同じか、その幅以上の長さを有している。窓部30には、作業者が手を入れる挿入口31が形成されている。窓部30には、複数の挿入口31が、窓部30の幅方向に沿って形成されている。また、窓部30には、複数の挿入口31からなる列が、窓部30の高さ方向に複数形成されている。本実施形態では、5つの挿入口31からなる列が、2列形成されているが、挿入口31の数及び位置は、筐体21の大きさ等に応じて調整される。
【0025】
図3に示すように、挿入口31には、グローブ32が装着されている。作業者101は、グローブ32に指先から上腕部までを入れ、メンテナンス位置に配置された成膜源15に対してメンテナンス作業を行う。
【0026】
また、筐体21の背面側には、パスボックス33が設けられている。パスボックス33は、トレイ38を収容する収容ケース34を備えている。収容ケース34には、トレイ入口35とトレイ出口36とが形成されている。またグローブボックス20の筐体21のうち、収容ケース34のトレイ出口36に対応する箇所には貫通孔(図示略)が形成され、貫通孔とトレイ出口36との間には、ゲートバルブ等、大気側と真空側とを連通するバルブ37が設けられている。
【0027】
また収容ケース34の側壁部には、ガイドレール(図示略)が設けられている。このガイドレールには、トレイ38を支持するトレイ支持部40が摺動可能に設けられている。トレイ38は板状であって、トレイ支持部40の上側に設けられている。
【0028】
トレイ支持部40及びトレイ38は、トレイ入口35から突出する位置と、トレイ出口36から突出した筐体21内の位置との間で移動可能である。メンテナンスの際は、トレイ支持部40及びトレイ38を収容ケース34から引き出して、成膜材料が密封された容器等をトレイ38に載置した後、そのトレイ38をバルブ37を介して筐体21内に挿入する。なお、トレイ支持部40及びトレイ38は、図示しないモータにより駆動される。
【0029】
図4に示すように、筐体21には、内部空間を所定の圧力に調整する減圧ポンプ23が設けられている。また、筐体21には、上記ガス供給機構によりアルゴン、窒素等の不活性ガスが供給される。メンテナンスの際には、グローブボックス20の内部空間は、成膜工程における真空チャンバー12の圧力とほぼ同じ、又は若干高い圧力(例えば0.5kPa〜3kPa)に調整されることによって、低圧及び低湿度に保たれる。
【0030】
(成膜源)
次に、成膜源15について説明する。
図5に示すように、成膜源15は、成膜材料を載置する載置部50を有している。容器支持部52の下方には、ヒータを備えた材料加熱部53が設けられている。
【0031】
図6に示すように、載置部50は、蒸発容器51と、容器支持部52と、フレーム部59を有している。蒸発容器51は、カップ状に形成され、その開口端に設けられたフランジ部51aを上側に向けて蒸発容器51に配置される。本実施形態では、載置部50は、7つの蒸発容器51を有している。
【0032】
容器支持部52は、互いに連結可能な7つのカバー52aを有している。これらのカバー52aは、上壁部52bと、上壁部52bの一対の端部にそれぞれ設けられた側壁部52cとをそれぞれ有する。
【0033】
上壁部52bの中央部には、円形状の貫通孔52dが形成されている。貫通孔52dは、上方に突出した環状突部52eによって囲まれている。蒸発容器51は、環状突部52eにフランジ部51aを当接させ、貫通孔52dの内側に底部を配置した状態で容器支持部52に支持される。容器支持部52に支持された状態の蒸発容器51は、その底部が、貫通孔52dを介して材料加熱部53によって加熱される。
【0034】
上壁部52bの表面は、貫通孔52dが形成された中央から各側壁部52cが形成された端部に向かって、斜め下方に傾斜した傾斜面となっている。即ち、上壁部52bのうち、貫通孔52dが形成された中央部が最も高く、側壁部52cが形成された端部が最も低い。
【0035】
カバー52aは、側壁部52cが形成されていない端部に連結構造を有している。各カバー52aは、連結構造を対向させることにより互いに固定される。7つのカバー52aは、連結されて一列にされている。
【0036】
フレーム部59は、一対の回収部90を有する。回収部90は、細長い形状の箱体状をなし、上部に開口を有している。回収部90の内側には、回収空間90aが設けられている。各回収部90の間には梁部90bが設けられ、各回収部90は、空間を隔てた状態で互いに連結されている。梁部90bは取り外し可能に設けられている。梁部90bを外すことによって、各回収部90を独立して取り出すことができる。
【0037】
カバー52aをフレーム部59に装着する際は、カバー52aの一対の側壁部52cの間に、一方の回収部90の内側の側壁部と、他方の回収部90の内側の側壁部とを挟んだ状態で配置する。即ち、カバー52aの側壁部52cを、回収部90の回収空間90aに配置する。これにより、各回収部90の間に設けられた空間が、カバー52aの上壁部52bによって覆われる。また、カバー52aの側壁部52cは、回収部90の内側の側壁部に接しているため、回収空間90aの上部開口は、カバー52aによって被覆されない。
【0038】
また図5に示すように、成膜源15の台座55は、長尺且つ板状のベース61に固定されている。ベース61の長手方向の一端には、封止部25を構成する蓋部26が、ベース61に対して垂直に立てられた状態で支持されている。蓋部26は、板状に形成され、その縁部を真空チャンバー12の側壁に当接させることにより真空チャンバー12の連通口17を封止可能な大きさを有している。
【0039】
また、蓋部26の側面26bのうち下側には、側面26bから突出する板部62が設けられている。この板部62の底面には、ガイド部64及び車輪65が設けられている。ガイド部64は、グローブボックス20内に敷設された1対のレール66の内側を摺動する。車輪65は、それらのレール66に沿って回転する。レール66は、成膜源15の長手方向の幅よりも大きい長さを有している。成膜源15及び蓋部26は、ガイド部64の案内及び車輪65の回転によりレール66に沿って移動することができる。
【0040】
蓋部26のうち成膜源15側の側面26aには、成膜源15から引き出された冷却チューブ54が差し込まれている。蓋部26の他方の側面26bには、冷却チューブ54に連結する冷却回路連結器56が設けられている。この冷却回路連結器56は、グローブボックス20内に設けられた図示しないチューブ等を介して、グローブボックス20外、又は真空チャンバー12外に設けられた外部冷却回路に接続される。
【0041】
さらに、蓋部26の側面26bには、上述したヒータに電力を供給する電力線に連結する電力線連結器57と、熱電対からの信号を出力する信号線に連結する信号線連結器58とが設けられている。なお、上記電力線及び上記信号線は、電力供給用の外部電気回路、信号出力用の外部電気回路を構成する。
【0042】
電力線連結器57は、グローブボックス20内に設けられた図示しない外部電力線を介して、電源に接続される。また、信号線連結器58は、グローブボックス20内に設けられた図示しない外部信号線を介して、成膜源15の温度の異常を検知する検知装置等に接続される。
【0043】
また、蓋部26の側面26bには、蓋部26の端部を押圧するエアシリンダ63が設けられている。エアシリンダ63は、作動状態において、蓋部26に対し連通口17側に押圧力を付与する。エアシリンダ63から付与される押圧力によって、蓋部26の側面26aに設けられたシール部材(図示略)が、蓋部26と真空チャンバー12の側壁との間で押し潰される。
【0044】
蓋部26には、3つのエアシリンダ63が設けられている。一つは、蓋部26の上部に配設され、残りの二つは、蓋部26の左端部及び右端部にそれぞれ配設されている。この3つのエアシリンダ63が作動することによって、蓋部26が、高さ方向に沿った中心軸Yを中心に回転方向Yθ(図7参照)に僅かに回転したり、歪んだりしている場合等でも、蓋部26を真空チャンバー12の側壁に密着させて連通口17を封止することができる。
【0045】
一方、真空チャンバー12内には、蒸着位置の成膜源15を支持する支持フレーム60が設けられている。支持フレーム60は、長尺状に形成され、成膜源15の長手方向に沿った幅以上の長さを有し、メンテナンス位置に配置された成膜源15を下方から支持する。
【0046】
(搬送機構)
次に、成膜源15を搬送する搬送機構16について説明する。
搬送機構16は、動力源である搬送モータ27と、搬送モータ27の軸部に設けられたピニオン(図示略)と、ピニオンと噛合するラック(図示略)とを備えている。ラックは、例えばベース61の底面の長手方向に沿って延びており、成膜源15の移動範囲(成膜位置とメンテナンス位置との間の範囲)と同等の長さを有している。
【0047】
ピニオン及びラックが噛合した状態で、搬送モータ27が駆動することによって、搬送モータ27の回転が、成膜源15及び封止部25を搬送路に沿って移動させる直線運動に変換される。搬送モータ27が正方向に回転すると、成膜源15及び封止部25は、成膜位置からメンテナンス位置に向かう方向に移動し、搬送モータ27が逆方向に回転すると、成膜源15及び封止部25は、メンテナンス位置から成膜位置へ向かう方向に移動する。
【0048】
また、グローブボックス20内には、ロック機構68が設けられている。ロック機構68は、回動軸70を中心に回動可能なアーム69を有している。アーム69は、所定の角度範囲だけ、真空チャンバー12側及びその反対側に回動可能である。
【0049】
図7に示すように、アーム69は、その先端に、成膜源15側に連結する連結部71(図7参照)を備える。連結部71は、成膜源15がグローブボックス20内であって、メンテナンス位置の手前の所定の位置に到達した際に、ベース61の底面等に形成された被連結部に連結される。
【0050】
メンテナンス位置の手前の所定の位置で連結部71と成膜源15とが連結した後も、アーム69は成膜源15との連結を維持したまま、真空チャンバー12側と反対側に回転する。そしてアーム69が、回転角度が最大となる回動終端位置に到達したとき、成膜源15及び封止部25はメンテナンス位置に配置される。
【0051】
また搬送モータ27が逆方向に回転し、成膜源15及び封止部25がメンテナンス位置から成膜位置へ向かって移動すると、アーム69は成膜源15との連結を維持したまま、真空チャンバー12側に回転する。そして、アーム69が回動始端位置に到達したとき、アーム69の連結部71と成膜源15との連結が解除される。
【0052】
(防着板)
次に、真空チャンバー12内に設けられた防着板91について説明する。
図7に示すように、防着板91は、成膜源15から成膜材料が拡散する方向に設けられており、本実施形態では、成膜位置に配置された成膜源15の鉛直方向上方に設けられている。
【0053】
防着板91は、鉛直方向下方であって、成膜位置の成膜源15側に開口部を有する筒状に形成されている。防着板91の長手方向の幅は、成膜源15の幅以上の長さであり、成膜源15の上方を覆うことができる。防着板91は、例えばアルミニウムやSUS等の金属材からなる。この防着板91は、真空チャンバー12内に固定され、成膜源15が搬送機構によって搬送れるときも真空チャンバー12内に配置される。
【0054】
図8に示すように、防着板91は、天井部91aと、側壁部91bとを有する。防着板91の鉛直方向下方であって、開口端91c側には、回収部90を含む載置部50が配置される。側壁部91bの開口端91cの相対距離Dは、フレーム部59の短手方向の長さとほぼ同じか、又はそれよりも短くなっている。側壁部91bの開口端91cは、回収空間90a内に収容するか、回収部90の上部開口に近接させることが好ましい。この防着板91及び載置部50によって蒸着空間94が区画される。
【0055】
側壁部91bは、段差部を有し、開口端91c側から天井部91a側に向かうにつれて、各側壁部91bの相対距離が増大している。また、側壁部91bの上部には、防着板91の内側に基板100を搬送するための基板搬送口91dが形成されている。
【0056】
また、天井部91aの外側、及び側壁部91bの外側には、加熱部としての防着板ヒータ92が設けられている。防着板ヒータ92は、例えばシーズヒータ等を屈曲させたもの等からなり、蓋部26にも受けられた電力線連結器57に接続された電力線等を通じて電力が供給されている。この防着板ヒータ92は、図示しない温度検出部と、温度調整部とを備えている。温度調整部は、防着板91の温度を、真空チャンバー12内の圧力下における成膜材料の融点以上の温度、又は成膜材料が流動化(液状化)する温度以上に調整することが好ましい。また温度調整部は、防着板91の温度を、成膜材料の沸点以下に調整することが好ましい。本実施形態では、温度調整部は、防着板91の温度を、成膜材料の融点以上、沸点以下の温度範囲に調整している。
【0057】
側壁部91bに隣設される防着板ヒータ92aは、側壁部91bの高さとほぼ同じ高さを有している。また、この防着板ヒータ92aの幅は、筒状の防着板91の長手方向の幅とほぼ同じ長さになっている。又は、防着板91の幅よりも短い幅を有する複数の防着板ヒータ92が、防着板91の長手方向に沿って並べられている。この構成により、防着板91の側壁部91bの全域を加熱することができる。
【0058】
天井部91aに隣設される防着板ヒータ92bは、天井部91aの短手方向の長さである奥行方向の長さと、ほぼ同じ奥行き方向の長さを有している。また、この防着板ヒータ92の幅は、筒状の防着板91の長手方向の幅とほぼ同じ長さになっている。又は、防着板91の幅よりも短い幅を有する複数の防着板ヒータ92が、防着板91の長手方向に沿って並べられている。この構成により、防着板91の天井部91aの全域を加熱することができる。
【0059】
次に防着板91及び防着板ヒータ92の作用について説明する。成膜工程では、防着板ヒータ92が駆動して、防着板91を加熱する。成膜源15は、防着板91の内側の空間で成膜材料を蒸発又は昇華させる。また、基板100は、搬送ローラ93等により、基板搬送口91dから防着板91の内側の空間に搬送される。防着板91の内側の空間に拡散された成膜材料が、基板100の成膜領域に付着することによって、薄膜が形成される。この際、防着板91の内側の空間に拡散した成膜材料は、防着板91やカバー52aにも付着する。
【0060】
防着板91は、防着板ヒータ92によって、成膜源15から成膜材料が蒸発又は昇華する成膜時、若しくは、1枚又は所定枚数の基板100に対する成膜が完了する度に加熱される。防着板91は、真空チャンバー12内の圧力下の成膜材料の融点以上沸点以下に加熱されているため、成膜材料は、防着板91に付着しても、その大部分が、流動化して重力により防着板91の側壁部91bを伝って流れ落ちる。また成膜材料の一部は、防着板91からの熱によって蒸発又は昇華される。
【0061】
流れ落ちた成膜材料は、回収部90の回収空間90aに貯められる。また、カバー52aに付着した成膜材料も、斜め下方に傾斜した上壁部52bを伝って回収部90に流れる。このため、防着板91に成膜材料が堆積することを抑制するとともに、防着板91から流れ落ちた成膜材料が、真空チャンバー12の底部等に付着することを防ぐことができる。また、防着板91を加熱しても、成膜条件には大きく影響しないので、基板100に形成される薄膜への影響も抑制される。
【0062】
成膜工程が完了すると、成膜源15及び防着板ヒータ92は駆動を停止する。成膜源15及び防着板ヒータ92が駆動を停止した後は、回収空間90aに貯められた成膜材料は、融点未満の温度になるため固化している。成膜材料を固化させることにより、メンテナンス作業が行いやすくなる。
【0063】
次に、メンテナンスの際の成膜装置10の動作について説明する。
成膜装置10のメンテナンスの際には、例えば制御装置18の入力操作部が操作される。この操作又は操作が行われる前段階で、制御装置18は、グローブボックス20内の減圧ポンプ23を駆動し、上記ガス供給機構により不活性ガスをグローブボックス20内に供給して、所定の圧力に調整する。
【0064】
そして、グローブボックス20内が所定の圧力に調整されると、制御装置18は、パスボックス33のトレイ38がグローブボックス20内に挿入されているか否かを判断する。例えば、トレイ38に赤外線等の光線を射出するランプを設け、蓋部26にランプの光を受光可能なセンサを設けること等によって、トレイ38がグローブボックス20内に挿入されているか否かを検知することができる。
【0065】
制御装置18は、トレイ38がグローブボックス20内に挿入されていると判断すると、制御装置18の出力部によってエラーを通知する。また、制御装置18は、トレイ38がグローブボックス20内に挿入されていないと判断すると、エアシリンダ63を非作動状態とし、搬送モータ27を正方向に回転する。その結果、搬送モータ27の軸部に設けられたピニオンと、成膜源15の底部に設けられたラックとの噛合により、成膜源15及び封止部25が、グローブボックス20内に搬送される。
【0066】
封止部25が封止位置から離間することによって、上述したヒータを駆動する電力線に連結する電力線連結器57が、外部電力線から外れる。このため、材料加熱部53のヒータの駆動が停止する。また、防着板ヒータ92が、電力線連結器57に連結された電力線に接続している場合には、このタイミングで防着板ヒータ92も駆動停止する。さらに、熱電対からの信号を送受信する信号線に連結する信号線連結器58が、外部信号線から外れる。このため、熱電対からの信号の上記検知装置への出力が停止される。また、冷却チューブ54に連結する冷却回路連結器56が、外部冷却回路から外れるので、ヒータの駆動停止中に、冷媒が冷却回路を循環することが停止される。
【0067】
成膜源15がグローブボックス20内の所定の位置まで搬送されると、成膜源15とアーム69とが連結されることによりアーム69が回動し、成膜源15をメンテナンス位置でロックする。成膜源15がメンテナンス位置に配置されると、作業者はグローブ32に手を入れて、メンテナンスの作業を行う。
【0068】
例えば、成膜材料を補充する場合には、作業者は、パスボックス33のトレイ38に、容器や袋等に密封された成膜材料を載せる。トレイ38は、蒸発容器51や、カバー52aを載置可能な大きさを有しているため、交換用の空の蒸発容器51やカバー52aを載置してもよい。そしてパスボックス33のトレイ38をグローブボックス20内に挿入する。
【0069】
作業者101は、窓部30の上側の挿入口31からグローブ32に手を入れて、トレイ38に載せられた成膜材料を容器や袋等から取出し、蒸発容器51に載置する。又は蒸発容器51やカバー52aを交換し、交換した新たな蒸発容器51に成膜材料を載置する。成膜材料の補充が終わると、トレイ38をパスボックス33内に戻す。
【0070】
また、成膜源15がグローブボックス20に搬送されているので、グローブボックス20の正面に設けられた窓部30から成膜源15全体を視認することができる。このため、成膜源15の異常の有無等を確認することができる。さらに、窓部30の下側の挿入口31からグローブ32に手を入れることによって、載置部50よりも下方の材料加熱部53等のメンテナンスを行うこともできる。
【0071】
また、回収部90に貯められた成膜材料を回収する作業を行うこともできる。防着板91は真空チャンバー12内に固定されているので、回収部90にグローブ32に挿入した手が届き、回収部90の上部開口も露出されている。このため、蒸発容器51及びカバー52aを取り外した上で、回収部90全体を取り出して、グローブボックス20内に予め準備した新たな回収部90と交換してもよいし、回収部90に貯められた成膜材料を、道具を用いて集めて、予め準備した回収容器に回収してもよい。この際、グローブボックス20内で回収作業の少なくとも一部を行うことができるため、アルカリ金属のような大気との接触が好ましくない材料を回収する場合であっても、作業者の装備、成膜装置10を設置する室内の換気設備等を特別なものとする必要がなく、作業自体も容易なものにすることができる。
【0072】
メンテナンスの終了後は、搬送モータ27が逆方向に回転する。成膜源15は、グローブボックス20から真空チャンバー12に向かって搬送される。成膜源15が成膜位置に配置されると、封止部25が封止位置に配置される。制御装置18は、エアシリンダ63を作動させて、蓋部26を連通口17側に押圧する。
【0073】
蓋部26が封止位置に配置されると、作業者101は、グローブ32に手を入れて、電力線連結器57に外部電力線を連結するとともに、信号線連結器58に外部信号線を連結する。さらに、冷却回路連結器56に、外部冷却回路に接続するチューブを連結する。外部電力線、外部信号線及びチューブを接続すると、成膜工程に移行する。
【0074】
このようにグローブボックス20内で成膜源15のメンテナンス作業が行えるため、所定の圧力に調整された真空チャンバー12の内部空間を、メンテナンスのたびに大気に開放する必要がない。また、アルカリ金属のような大気との接触が好ましくない材料を、低圧及び低湿度下で扱うことができる。このため、基板処理システム1が設置された室内の気流や湿度、作業者の装備等に関して、特殊な設備や装備を不要とすることができる。
【0075】
また、成膜源15がグローブボックス20内に搬送されるので、グローブボックス20の大きさやグローブ32の位置等さえ調整できれば、大型の基板100に成膜を行う成膜源15であっても、成膜源15の各所にグローブ32を介して簡単に手が届くため、作業が容易となる。さらに回収部90自体がグローブボックス20内の作業者の手が届く位置に搬送されるので、回収作業の容易性も高められる。また、加熱されて流動化した成膜材料は、回収部90に回収されるので、基板100以外の部材への成膜材料の付着を抑制することができる。
【0076】
従って、上記実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)防着板ヒータ92により、防着板91が加熱されることによって防着板91への成膜材料の堆積が抑制される。従って、防着板91に堆積した成膜材料がパーティクルとなって基板100の成膜領域に付着することを抑制することで、防着板91のメンテナンスの頻度を低下させることができる。さらに、回収部90によって、防着板91の加熱によって防着板91から落ちた成膜材料を回収することができる。このため、真空チャンバーの底部や他の部材に防着板91から落ちた成膜材料が付着することを防ぐことができる。従って、成膜装置10のメンテナンス性を高めることができる。
【0077】
(2)回収部90は、真空チャンバー12の外部であるグローブボックス20へ搬送することができるので、回収部90の重量が大きく作業者が運び出すことが困難な場合でも、メンテナンス作業が容易になる。
【0078】
(3)回収部90は、グローブボックス20に搬送されるので、成膜材料が、例えばアルカリ金属のような大気との接触が好ましくない材料であったとしても、グローブボックス20内の雰囲気下で成膜材料の回収作業を行うことができる。
【0079】
(4)容器支持部52のカバー52aは、回収部90側へ向かって斜め下方に傾斜する上壁部52bを有する。このため、上壁部52bに付着した成膜材料は、回収部90へ導かれる。このため、カバー52aにも成膜材料が堆積しにくい。
【0080】
(5)防着板91の天井部91aは回収部90側へ傾斜し、側壁部91bの開口端91cは、回収部90の上部開口の鉛直方向上方に設けられる。このため、防着板91に付着した成膜材料を流れ落ちやすくするとともに、流れ落ちた成膜材料が、真空チャンバーの底部や他の部材に付着することを防ぐことができる。
【0081】
尚、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・蒸発容器51近傍から、成膜材料との反応性を有しないガスを供給して、成膜材料を基板100に吹き付けてもよい。
【0082】
・防着板ヒータ92は、防着板91に内蔵されていてもよい。
・カバー52aを加熱するヒータを設けてもよい。このヒータは、カバー52aに内蔵するか、カバー52aの側壁部52cの間等に設けることが好ましい。
【0083】
・防着板91は、上述した形状以外のものであってもよい。例えば、防着板91は、天井部91aを備えない構成でもよい。この場合、防着板91の上方に基板100を通過させることによって、基板100の成膜領域に成膜材料を付着させる。また、側壁部91bは、斜めに傾斜していてもよい。
【0084】
・防着板91は、上述した位置以外に配置されていてもよい。例えば、真空チャンバー12の上壁部のみに配置されていてもよく、基板近傍に配置されるものでもよい。また、基板の成膜領域以外の領域を覆うものであってもよい。
【0085】
・真空チャンバー12は上述した構成以外のものであってもよい。例えば鉛直方向の上部又は下部に封止部25を備えてもよい。またグローブボックス20又は予備室を、この封止部25に連通させて設けてもよい。その際、グローブボックス20及び予備室の形状は、作業者の作業位置に合わせて適宜変更可能である。
【0086】
・回収部90は、防着板91の形状や大きさに合わせて、防着板91を伝って流れ落ちた成膜材料が回収できる位置に配置されていれば、防着板91の鉛直方向の真下に配置されてもよく、斜め下方に配置されていてもよい。
【0087】
・真空チャンバー12に収容される成膜源15を、複数に分割してもよい。分割された成膜源をそれぞれ搬送可能な複数のグローブボックスを真空チャンバー12に連通してもよい。上記構成によれば、回収部90も分割されるため、回収部90を軽量化することができるので、回収部90の取り外しが容易となる。
【0088】
・成膜源15は、蒸発容器51を一列に並べた構成としたが、グローブボックス20内に搬送可能であれば、複数列に並べた構成であってもよい。防着板91は、成膜源15の構成に合わせて、載置部50を覆うことができる形状であればよい。
【0089】
・成膜源15は、蒸発容器51を一列に並べた構成としたが、グローブボックス20内に搬送可能であれば、複数列に並べた構成であってもよい。
・上記実施形態では、蒸着源全体をグローブボックス20内に搬送したが、その一部をグローブボックス20内に搬送する構成であってもよい。例えば、載置部50のみをグローブボックス20内に搬送し、材料加熱部53を真空チャンバー12に固定してもよい。
【0090】
・ヒータに電力を供給する電力線は、真空チャンバー12の蓋部26以外の側壁等から外部に引き出されてもよい。また、この構成において、成膜源15の移動の際、制御装置18によって自動的に電力の供給が遮断されてもよい。
【0091】
・熱電対からの信号を出力する信号線は、真空チャンバー12の蓋部26以外の側壁等から外部に引き出されてもよい。また、この構成において、成膜源15の移動の際、制御装置18によって自動的に信号の出力が遮断されてもよい。
【0092】
・冷却回路に冷媒を循環させる冷却チューブは、真空チャンバー12の蓋部26以外の側壁等から外部に引き出されてもよい。また、この構成において、成膜源15の移動の際、制御装置18によって自動的に冷媒の循環が遮断されてもよい。
【0093】
・蓋部26は、エアシリンダ63以外のアクチュエータにより連通口17側に押し付けられてもよい。
・上記実施形態では、蓋部26を成膜源15とともにグローブボックス20内に搬送することによって退避位置に配置したが、蓋部26をこれ以外の方向に移動することによって退避位置に配置してもよい。例えば、蓋部26に回動軸を設け、回動軸を中心に回動させることにより退避位置及び封止位置との間を移動可能にしてもよい。さらに、蓋部26が連通口17に対して、上方向、下方向、右方向及び左方向のいずれかにスライドすることで、退避位置に配置してもよい。
【0094】
・上記実施形態では、成膜装置10を、アルカリ金属を主成分とする成膜材料を蒸着する装置としたが、アルカリ金属に限られず、他の成膜材料を用いる装置であってもよい。上述した構成の成膜装置10は、低融点で粘性率の低い成膜材料を用いる装置であることが好ましい。また、例えば、アルカリ金属の化合物含む成膜材料や、可燃性の成膜材料、空気に曝されることにより発火するおそれのある自然発火性の成膜材料、禁水性の成膜材料等を用いる場合には、特に効果を発揮できる。
【0095】
・成膜装置10を、蒸着を行う蒸着装置に具体化したが、スパッタ装置であってもよい。この場合には、成膜源15は、ターゲット、カソード等を備え、防着板は、ターゲットの周囲に設けられる。
【0096】
・上記実施形態では、成膜源15をグローブボックス20内に搬送したが、真空チャンバー12に隣設された予備室等に搬送してもよい。
・上記実施形態では、成膜源15をグローブボックス20内に搬送したが、大気との接触が好ましくない材料以外を成膜材料とする場合には、成膜源15を真空チャンバー12外へ搬送しなくてもよい。
【符号の説明】
【0097】
10…成膜装置、12…真空チャンバー、15…成膜源、16…搬送機構、17…開口としての連通口、20…グローブボックス、25…封止部、26…蓋部、50…載置部、52b…傾斜面を有する上壁部、90…回収部、91…防着板、91a…天井部、91b…側壁部、92…加熱部としての防着板ヒータ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8