(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェハ等の基板の表面に設けられた微細な配線用溝、ホール、又はレジスト開口部に配線を形成したり、基板の表面にパッケージの電極等と電気的に接続するバンプ(突起状電極)を形成したりすることが行われている。この配線及びバンプを形成する方法として、例えば、電解めっき法、蒸着法、印刷法、ボールバンプ法等が知られている。半導体チップのI/O数の増加、細ピッチ化に伴い、微細化が可能で性能が比較的安定している電解めっき法が多く用いられるようになってきている。
【0003】
電解めっき法で配線又はバンプを形成する場合、基板上の配線用溝、ホール、又はレジスト開口部に設けられるバリアメタルの表面に電気抵抗の低いシード層(給電層)が形成される。このシード層の表面において、めっき膜が成長する。近年、配線及びバンプの微細化に伴って、より薄い膜厚のシード層が用いられている。シード層の膜厚が薄くなると、シード層の電気抵抗(シート抵抗)が増加する。
【0004】
一般的に、めっきされる基板は、その周縁部に電気接点を有する。このため、基板の中央部には、めっき液の電気抵抗値と基板の中央部から電気接点までのシード層の電気抵抗値との合成抵抗に対応する電流が流れる。一方で、基板の周縁部(電気接点近傍)には、ほぼ、めっき液の電気抵抗値に対応する電流が流れる。即ち、基板の中央部には、基板の中央部から電気接点までのシード層の電気抵抗値の分だけ、電流が流れにくい。この、基板の周縁部に電流が集中する現象はターミナルエフェクトと呼ばれる。
【0005】
比較的薄い膜厚のシード層を有する基板は、基板の中央部から電気接点までのシード層の電気抵抗値が比較的大きい。このため、比較的薄い膜厚のシード層を有する基板にめっきを行う場合、ターミナルエフェクトが顕著になる。その結果、基板の中央部におけるめっき速度が低下し、基板の中央部におけるめっき膜の膜厚が基板の周縁部におけるめっき膜よりも薄くなり、膜厚の面内均一性が低下する。
【0006】
ターミナルエフェクトによる膜厚の面内均一性の低下を抑制するためには、基板に加わる電界を調節することが必要になる。たとえば、アノード表面における電位分布を調整するためのアノード調整板をアノードの前面に設置しためっき装置が知られている(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ターミナルエフェクトの影響は、基板のシード層の膜厚の大小によって異なる。具体的には、上述したように、シード層の膜厚が比較的薄い場合はシート抵抗が比較的大きいので、ターミナルエフェクトの影響が顕著に現れる。一方、シード層の膜厚が比較的厚い場合は、シート抵抗が比較的小さいので、ターミナルエフェクトの影響が比較的小さくなる。
【0009】
また、ターミナルエフェクトの影響はシード層の膜厚の大小だけでなく、その他の要素によっても異なり得る。例えば、基板のレジスト開口率(レジスト外縁に縁取られる領域の面積のうち、レジストに覆われていない部分(レジストの開口部分)の面積の割合)が比較的高い場合は、基板上に形成されるめっき膜の面積が比較的大きい。このため、基板上にめっき膜が形成されるにつれて、形成されためっき膜によって基板中央部にも電流が流れやすくなる。言い換えれば、基板上にめっき膜が形成されることにより、基板の中央部から電気接点までの電気抵抗値が小さくなるので、ターミナルエフェクトの影響が徐々に小さくなる。一方で、基板のレジスト開口率が比較的低い場合は、基板上に形成されるめっき膜の面積が相対的に小さい。このため、基板のレジスト開口率が比較的低い場合は、基板上にめっき膜が形成されても、基板のレジスト開口率が比較的高い場合に比べて基板の中央部から電気接点までの電気抵抗値の変化が小さく、ターミナルエフェクトの影響が大きいままとなる。
【0010】
また、基板を処理するめっき液の電気抵抗値が比較的大きい場合は、基板を処理するめっき液の電気抵抗値が比較的小さい場合に比べて、ターミナルエフェクトの影響が小さい。具体的には、めっき液の電気抵抗値をR1とし、基板の中央部から電気接点までのシード層の電気抵抗値をR2とした場合、基板中央部には、合成抵抗値(R1+R2)に対応する電流が流れる。一方で、基板周縁部(電気接点近傍)には、ほぼ、めっき液の電気抵抗値R1に対応する電流が流れる。したがって、電気抵抗値R1が大きくなれば、基板中央部に流れる電流に対する電気抵抗値R2の影響は小さくなり、ターミナルエフェクトの影響が小さくなる。
【0011】
以上のように、ターミナルエフェクトの影響は、基板の特徴及び基板を処理する条件等によって異なる。このため、単一のめっき装置においてターミナルエフェクトの影響が異なる複数の基板にめっきをする場合、ターミナルエフェクトによる膜厚の面内均一性の低下を抑制するためには、それぞれの基板の特徴及び基板を処理する条件等に合わせて基板に加わる電界を調節する必要がある。しかしながら、特許文献1に記載されるようなアノード調整板で基板の特徴及び基板を処理する条件等に合わせて電界を調節するためには、基板の特徴及び基板を処理する条件等に合ったアノード調整板を複数用意しなくてはならない。
【0012】
また、アノード調整板を複数用意したとしても、特徴及び処理条件の異なる基板を処理するたびに、アノード調整板をめっき槽から取り出し、別のアノード調整板を設置する等の手間がかかる。
【0013】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、特徴及び処理条件の異なる複数の基板に対して、ターミナルエフェクトの影響による面内均一性の低下を抑制し得るめっき装置及びめっき方法を提供することである。
【0014】
また、本発明の目的の他の一つは、レジスト開口率の異なる複数の基板に対して、ターミナルエフェクトの影響による面内均一性の低下を抑制し得るめっき装置及びめっき方法を提供することである。
【0015】
また、本発明の目的の他の一つは、シード層の厚みの異なる複数の基板に対して、ターミナルエフェクトの影響による面内均一性の低下を抑制し得るめっき装置及びめっき方法を提供することである。
【0016】
また、本発明の目的の他の一つは、それぞれ異なるめっき液を用いて処理される複数の基板に対して、ターミナルエフェクトの影響による面内均一性の低下を抑制し得るめっき装置及びめっき方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は上記目的の少なくとも一つを達成するためになされたものであり、例えば以下の形態として実現することができる。
【0018】
本発明の第1の形態は、アノードを保持するように構成されたアノードホルダと、前記アノードホルダと対向して配置され、基板を保持するように構成された基板ホルダと、前記アノードホルダに一体に取り付けられ、前記アノードと前記基板との間に流れる電流が通過する第1の開口を有するアノードマスクと、前記アノードマスクと前記基板ホルダの間に設けられ、前記アノードと前記基板との間に流れる電流が通過する第2の開口を有するレギュレーションプレートと、を有し、前記アノードマスクは、前記第1の開口の径を調節する第1調節機構を有する、めっき装置である。
【0019】
第1の形態に係るめっき装置によれば、第1の基板と第2の基板のそれぞれに対して、アノードマスクの第1の開口の径を調節することができる。これにより、第1の基板と第2の基板の特徴又は処理条件が互いに異なる場合に、ターミナルエフェクトの影響による面内均一性の低下を抑制し得る。具体的には、ターミナルエフェクトの影響が顕著に現れる条件下で第2の基板にめっきをする際には、第1の開口の径を小さくすることにより、基板中央部に電界を集中して、基板中央部の膜厚を厚くすることができる。
【0020】
本発明の第2の形態によれば、第1の形態において、前記レギュレーションプレートは、前記第2の開口の径を調節する第2調節機構を有する。レギュレーションプレートは、アノードマスクよりも基板ホルダに近い位置に配置される。レギュレーションプレートの第2の開口の径を小さくすると、基板周縁部における成膜速度を抑制することができる。したがって、レギュレーションプレートの第2の開口の径を調節することで、基板Wの面内均一性を向上させることができる。
【0021】
本発明の第3の形態によれば、第2の形態において、前記第2調節機構は、前記第2の開口に沿って設けられる弾性体であり、前記第2の開口の径は、前記弾性体の内部に流体を注入し又は前記弾性体の内部から前記流体を排出することにより調節される。第3の形態によれば、機械的な構造を用いることなく、簡易な構成で第2の開口の径を調節することができる。
【0022】
本発明の第4の形態は、アノードと基板との間に流れる電流が通過する第1の開口を有するアノードマスクを一体に備えるアノードホルダをめっき槽内に配置する工程と、第1の基板を保持する基板ホルダをめっき槽内に配置する工程と、前記アノードと前記基板との間に流れる電流が通過する第2の開口を有するレギュレーションプレートを前記アノードマスクと前記基板との間に配置する工程と、前記第1の開口の径を第1の径に調節して、第1の基板にめっきする工程と、第2の基板を保持する基板ホルダをめっき槽内に配置する工程と、前記第1の開口の径を前記第1の径よりも小さい第2の径に調節して、第2の基板にめっきする工程と、を有する、めっき方法である。
【0023】
第4の形態によれば、第1の基板と第2の基板のそれぞれに対して、アノードマスクの第1の開口の径を調節することができる。これにより、第1の基板と第2の基板の特徴又は処理条件が互いに異なる場合に、ターミナルエフェクトの影響による面内均一性の低下を抑制し得る。具体的には、ターミナルエフェクトの影響が顕著に現れる条件下で第2の基板にめっきをする際には、第1の開口の径を小さくすることにより、基板中央部に電界を集中して、基板中央部の膜厚を厚くすることができる。
【0024】
本発明の第5の形態によれば、第4の形態において、前記第1の基板および第2の基板
は部分的にレジストに覆われており、前記第2の基板のレジスト開口率は、前記第1の基板のレジスト開口率よりも低い。即ち、第5の形態によれば、相対的に低いレジスト開口率を有する第2の基板は、アノードマスクの第1の開口の径が第2の径に調節された状態でめっきされ得る。これにより、めっきが進んでもターミナルエフェクトの影響が変化し難い(大きいままである)第2の基板の基板中央部の膜厚を厚くすることができる。したがって、ターミナルエフェクトの影響による面内均一性の低下を抑制することができる。
【0025】
本発明の第6の形態によれば、第4の形態において、前記第2の基板が有するシード層は、前記第1の基板が有するシード層よりも薄い。即ち、第4の形態によれば、相対的に薄いシード層を有する第2の基板は、アノードマスクの第1の開口の径が相対的に小さい第2の径に調節された状態でめっきされ得る。これにより、ターミナルエフェクトの影響が相対的に顕著に現れる第2の基板の基板中央部の膜厚を厚くすることができる。したがって、ターミナルエフェクトの影響による面内均一性の低下を抑制することができる。
【0026】
本発明の第7の形態によれば、第4の形態において、前記第2の基板にめっきする工程は、前記第1の基板にめっきする工程において使用されるめっき液よりも電気抵抗の低いめっき液を用いてめっきする工程である。即ち、第7の形態によれば、相対的に電気抵抗の低いめっき液を用いてめっきされる第2の基板は、アノードマスクの第1の開口の径が相対的に小さい第2の径に調節された状態でめっきされ得る。これにより、ターミナルエフェクトの影響が相対的に顕著に現れる第2の基板の基板中央部の膜厚を厚くすることができる。したがって、ターミナルエフェクトの影響による面内均一性の低下を抑制することができる。
【0027】
本発明の第8の形態によれば、第4ないし第7の形態のいずれかにおいて、前記めっき方法が、前記レギュレーションプレートの第2の開口の径を調節する工程を有する。第8の形態によれば、レギュレーションプレートは、アノードマスクよりも基板ホルダに近い位置に配置される。レギュレーションプレートの第2の開口の径を小さくすると、基板周縁部における成膜速度を抑制することができる。したがって、レギュレーションプレートの第2の開口の径を調節することで、基板Wの面内均一性を向上させることができる。
【0028】
本発明の第9の形態は、第8の形態において、前記レギュレーションプレートは、前記第2の開口に沿って設けられる弾性体を有し、前記レギュレーションプレートの第2の開口の径を調節する工程は、前記弾性体の内部に流体を注入し又は前記弾性体の内部から前記流体を排出する工程を含む。第9の形態によれば、機械的な構造を用いることなく、簡易な構成で第2の開口の径を調節することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一の又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0031】
図1は、本実施形態に係るめっき装置の概略側断面図である。図示のように、本実施形態に係るめっき装置10は、アノード21を保持するように構成されたアノードホルダ20と、基板Wを保持するように構成された基板ホルダ40と、アノードホルダ20と基板ホルダ40とを内部に収容するめっき槽50と、を有する。
【0032】
図1に示すように、めっき槽50は、添加剤を含むめっき液Qを収容するめっき処理槽52と、めっき処理槽52からオーバーフローしためっき液Qを受けて排出するめっき液排出槽54と、めっき処理槽52とめっき液排出槽54とを仕切る仕切り壁55と、を有する。
【0033】
アノード21を保持したアノードホルダ20と基板Wを保持した基板ホルダ40は、めっき処理槽52内のめっき液Qに浸漬され、アノード21と基板Wの被めっき面W1が略平行になるように対向して設けられる。アノード21と基板Wは、めっき処理槽52のめっき液Qに浸漬された状態で、めっき電源90により電圧が印加される。これにより、金属イオンが基板Wの被めっき面W1において還元され、被めっき面W1に膜が形成される。
【0034】
めっき処理槽52は、槽内部にめっき液Qを供給するためのめっき液供給口56を有する。めっき液排出槽54は、めっき処理槽52からオーバーフローしためっき液Qを排出するためのめっき液排出口57を有する。めっき液供給口56はめっき処理槽52の底部に配置され、めっき液排出口57はめっき液排出槽54の底部に配置される。
【0035】
めっき液Qがめっき液供給口56からめっき処理槽52に供給されると、めっき液Qはめっき処理槽52から溢れ、仕切り壁55を越えてめっき液排出槽54に流入する。めっき液排出槽54に流入しためっき液Qはめっき液排出口57から排出され、めっき液循環装置58が有するフィルタ等で不純物が除去される。不純物が除去されためっき液Qは、めっき液循環装置58によりめっき液供給口56を介してめっき処理槽52に供給される。
【0036】
アノードホルダ20は、アノード21と基板Wとの間の電界を調節するためのアノードマスク25を有する。アノードマスク25は、例えば誘電体材料からなる略板状の部材であり、アノードホルダ20の前面に設けられる。ここで、アノードホルダ20の前面とは、基板ホルダ40に対向する側の面をいう。すなわち、アノードマスク25は、アノード21と基板ホルダ40の間に配置される。アノードマスク25は、アノード21と基板Wとの間に流れる電流が通過する第1の開口25aを略中央部に有する。第1の開口25aの径は、アノード21の径よりも小さいことが好ましい。後述するように、アノードマスク25は、第1の開口25aの径を調節可能に構成される。
【0037】
アノードマスク25は、アノードマスク25をアノードホルダ20に一体に取り付けるためのアノードマスク取付け部25bを、その外周に有する。なお、アノードマスク25の位置は、アノードホルダ20と基板ホルダ40との間であればよいが、アノードホルダ20と基板ホルダ40との中間位置よりもアノードホルダ20に近い位置であることが好ましい。また、例えばアノードマスク25は、アノードホルダ20に取り付けられずにアノードホルダ20の前面に配置してもよい。ただし、本実施形態のようにアノードマスク25がアノードホルダ20に取り付けられる場合は、アノードホルダ20に対するアノー
ドマスク25の相対位置が固定されるので、アノードホルダ20に保持されるアノード21の位置とアノードマスク25の第1の開口25aの位置とがずれることを防止することができる。
【0038】
アノードホルダ20に保持されるアノード21は、不溶性アノードであることが好ましい。アノード21が不溶性アノードである場合は、めっき処理が進んでもアノード21は溶解せず、アノード21の形状が変化することがない。このため、アノードマスク25とアノード21の表面との位置関係(距離)が変化しないので、アノードマスク25とアノード21の表面との位置関係が変化することによりアノード21と基板Wとの間の電界が変化することを防止することができる。
【0039】
めっき装置10は、さらに、アノード21と基板Wとの間の電界を調節するためのレギュレーションプレート30を有する。レギュレーションプレート30は、例えば誘電体材料からなる略板状の部材であり、アノードマスク25と基板ホルダ40(基板W)との間に配置される。レギュレーションプレート30は、アノード21と基板Wとの間に流れる電流が通過する第2の開口30aを有する。第2の開口30aの径は、基板Wの径より小さいことが好ましい。後述するように、レギュレーションプレート30は、第2の開口30aの径を調節可能に構成される。
【0040】
レギュレーションプレート30は、アノードホルダ20と基板ホルダ40との中間位置よりも基板ホルダ40に近い位置であることが好ましい。レギュレーションプレート30が基板ホルダ40に近い位置に配置されるほど、レギュレーションプレート30の第2の開口30aの径を調節することにより、基板Wの周縁部の膜厚をより正確に制御することができる。
【0041】
レギュレーションプレート30と基板ホルダ40との間には、基板Wの被めっき面W1近傍のめっき液Qを撹拌するためのパドル18が設けられる。パドル18は、略棒状の部材であり、鉛直方向を向くようにめっき処理槽52内に設けられる。パドル18の一端は、パドル駆動装置19に固定される。パドル18は、パドル駆動装置19により基板Wの被めっき面W1に沿って水平移動され、これによりめっき液Qが撹拌される。
【0042】
次に、
図1に示したアノードマスク25について詳細に説明する。
図2及び
図3はアノードマスク25の概略正面図である。
図2は、第1の開口25aの径が比較的大きいときのアノードマスク25を示す。
図3は、第1の開口25aの径が比較的小さいときのアノードマスク25を示す。ここで、アノードマスク25の第1の開口25aが小さいほど、アノード21から基板Wへ流れる電流が、基板Wの被めっき面W1の中央部に集中する。したがって、第1の開口25aを小さくすると、基板Wの被めっき面W1の中央部の膜厚が増大する傾向がある。
【0043】
図2に示すように、アノードマスク25は、略環状の縁部26を有する。
図2に示すアノードマスク25の第1の開口25aの径の大きさは最大となっている。この場合の第1の開口25aの径は、縁部26の内径と一致する。
【0044】
図3に示すように、アノードマスク25は、第1の開口25aを調節可能に構成される複数の絞り羽根27(第1調節機構)を有する。絞り羽根27は、協働して第1の開口25aを画定する。絞り羽根27の各々は、カメラの絞り機構と同様の構造により、第1の開口25aの径を拡大又は縮小させる(第1の開口25aの径を調節する)。
図3に示すアノードマスク25の第1の開口25aは、絞り羽根27によって非円形状(例えば多角形状)に形成される。この場合の第1の開口25aの径は、多角形の対向する辺の最短距離、又は内接する円の直径をいう。あるいは、第1の開口25aの径は、開口面積と等価
な面積を有する円の直径で定義することもできる。なお、アノード21と、絞り羽根27のアノード21と対向する面の距離は、例えば0mm以上8mm以下である。
【0045】
絞り羽根27の各々は、例えば手動により第1の開口25aの径を拡大又は縮小させる。また、絞り羽根27の各々は、エア圧力あるいは電気的な駆動力を利用して駆動するように構成されてもよい。絞り羽根27を用いた第1調節機構は、比較的広範囲に第1の開口25aを可変とすることができる特徴がある。また、基板が円形である場合には、アノードマスク25の第1の開口25aは円形であることが望ましい。しかし、開口25aの最小径から最大径に至る全ての範囲で完全な円形を維持することは機構的な困難を伴う。一般的に、アノード21と基板Wとの間を流れる電流が通過する開口が完全な円形でない場合、電場が方位角的に不均等になり、基板Wの周縁部に形成されるめっき膜厚分布に開口の形状が転写される可能性がある。しかしながら、アノードマスク25はアノードホルダ20に一体的に取り付けられているため、基板との距離を十分に取ることができ、開口が完全な円形でない場合でも、めっき膜厚分布に与える影響を最大限に抑えることができる。
【0046】
次に、
図1に示したレギュレーションプレート30について詳細に説明する。
図4は、第2の開口30aの径が比較的大きい状態のレギュレーションプレート30を示し、
図5は、第2の開口30aの径が比較的小さい状態のレギュレーションプレート30を示す。
図4Aは、レギュレーションプレート30の部分側断面図であり、
図4Bはレギュレーションプレート30の平面図である。
図5Aはレギュレーションプレート30の部分側断面図であり、
図5Bはレギュレーションプレート30の平面図である。
【0047】
図4A及び
図4Bに示すように、レギュレーションプレート30は、略環状の縁部33と、第2の開口30aに沿った溝31を有する。また、レギュレーションプレート30は、第2の開口30aの径を調節可能に構成される弾性チューブ32(第2調節機構;弾性体)を有する。具体的には、弾性チューブ32は、第2の開口30aに沿って設けられ、その外周部が溝31に固定されることにより、溝31内に配置される。弾性チューブ32は、例えば樹脂等の弾性部材から形成され、略環状の形状を有する。弾性チューブ32は、内部に空洞を有し、内部に流体(空気や窒素等の気体、又は水等の流体)を保持可能に構成される。弾性チューブ32は、流体を内部に注入するための図示しない注入口と、内部の流体を排出するための図示しない排出口を有する。
【0048】
図4A及び
図4Bに示すレギュレーションプレート30においては、弾性チューブ32の内部には比較的少量の流体が含まれ、弾性チューブ32は収縮した状態にある。このため、
図4Bに示すように、レギュレーションプレート30の第2の開口30aの径は、縁部33の内径と一致する。
【0049】
弾性チューブ32の外周が溝31に接触しているので、弾性チューブ32の内部に流体を注入すると、
図5A及び
図5Bに示すように弾性チューブ32は径方向内側に膨張する。弾性チューブ32が径方向内側に膨張することにより、
図5Bに示すように、弾性チューブ32の内径が第2の開口30aの径となる。
【0050】
一方で、
図5A及び
図5Bに示す弾性チューブ32が膨張した状態において、弾性チューブ32の内部の流体を排出することで、
図4A及び
図4Bに示すように弾性チューブ32が収縮する。したがって、弾性チューブ32は、弾性チューブ32の内部に流体を注入し、又は弾性チューブ32の内部から流体を排出することにより、第2の開口30aの径を調節する。この弾性チューブ32によれば、機械的な構造を用いることなく、簡易な構成で第2の開口の径を調節することができる。
【0051】
弾性体の内部の圧力を調節することによる第2調節機構は、絞り羽根27を用いた第1調節機構に比べると、開口の形状を円形に保ったまま開口の径を変化させることができる。これにより、アノードマスク25とレギュレーションプレート30の間で方位角的に不均等な電場が形成されても、アノードマスク25と基板の間にレギュレーションプレート30を設けることにより、基板の周縁部に均一なめっき膜を形成することができる。
【0052】
次に、
図1に示しためっき装置10で、基板Wにめっき処理するプロセスについて説明する。上述したように、ターミナルエフェクトの影響は、基板Wの特徴及び基板Wを処理する条件等によって異なる。このため、単一のめっき装置10においてターミナルエフェクトの影響が異なる複数の基板Wにめっきをする場合、ターミナルエフェクトによる膜厚の面内均一性の低下を抑制するためには、それぞれの基板Wの特徴及び基板Wを処理する条件等に合わせて基板Wに加わる電界を調節する必要がある。
【0053】
本実施形態に係るめっき装置10では、基板Wの特徴又は基板Wを処理する条件に合わせて、少なくともアノードマスク25の第1の開口25aの径を調節することで、基板Wのめっき膜の面内均一性の低下を抑制することができる。
【0054】
具体的には、第2の基板のレジスト開口率が第1の基板のレジスト開口率よりも低い場合、上述したように、第2の基板は基板上にめっき膜が形成されても、レジスト開口率が比較的高い第1の基板に比べて基板の中央部から電気接点までの電気抵抗値の変化が小さい。このため、第2の基板上にめっき膜がある程度形成されても、第2の基板へのターミナルエフェクトの影響が大きいままとなる。したがって、基板のレジスト開口率以外の条件を同一として第1の基板と第2の基板をめっきした場合、第2の基板は第1の基板に比べて基板周辺部の膜厚が厚くなり、基板中央部の膜厚が相対的に薄くなる。そこで、めっき装置10で第2の基板をめっきするときは、アノードマスク25の第1の開口25aの径は、第1の基板をめっきするときの第1の開口25aの径に比べて小さくされる。これにより、第2の基板の基板中央部の膜厚を厚くすることができる。したがって、第1の基板と第2の基板の両方において、ターミナルエフェクトの影響による面内均一性の低下を抑制することができる。
【0055】
また、第2の基板が有するシード層が、第1の基板が有するシード層よりも薄い場合、上述したように、第2の基板に対するターミナルエフェクトが顕著になる。このため、シード層の厚さ以外の条件を同一として第1の基板と第2の基板をめっきした場合、第2の基板は第1の基板に比べて基板周辺部の膜厚が厚くなり、基板中央部の膜厚が相対的に薄くなる。そこで、めっき装置10で第2の基板をめっきするときは、アノードマスク25の第1の開口25aの径は、第1の基板をめっきするときの第1の開口25aの径に比べて小さくされる。これにより、第2の基板の基板中央部の膜厚を厚くすることができる。したがって、第1の基板と第2の基板の両方において、ターミナルエフェクトの影響による面内均一性の低下を抑制することができる。
【0056】
さらに、第2の基板が、第1の基板に使用するめっき液よりも電気抵抗値の低いめっき液を用いてめっきされる場合は、上述したように、第2の基板に対するターミナルエフェクトが顕著になる。このため、めっき液の電気抵抗値以外の条件を同一として第1の基板と第2の基板をめっきした場合、第2の基板は第1の基板に比べて基板周辺部の膜厚が厚くなり、基板中央部の膜厚が相対的に薄くなる。そこで、めっき装置10で第2の基板をめっきするときは、アノードマスク25の第1の開口25aの径は、第1の基板をめっきするときの第1の開口25aの径に比べて小さくされる。これにより、第2の基板の基板中央部の膜厚を厚くすることができる。したがって、第1の基板と第2の基板の両方において、ターミナルエフェクトの影響による面内均一性の低下を抑制することができる。
【0057】
さらに、本実施形態に係るめっき装置10では、アノードマスク25の第1の開口25aの径を調節することに加えて、レギュレーションプレート30の第2の開口30aの径を調節することで、基板Wのめっき膜の面内均一性を向上させることができる。
【0058】
レギュレーションプレート30は、アノードマスク25よりも基板Wに近い位置に設けられる。このため、レギュレーションプレート30の第2の開口30aを通過しためっき電流は、基板Wの周縁部へ拡散し難くなる。したがって、レギュレーションプレート30の第2の開口30aの径を小さくすると基板Wの周縁部の膜厚を薄くすることができ、第2の開口30aの径を大きくすると基板Wの周縁部の膜厚を厚くすることができる。
【0059】
レギュレーションプレート30の第2の開口30aの径は、アノードマスク25の第1の開口25aの径を調節することによって変化する基板Wの膜厚分布に応じて、適宜調節することが好ましい。
【0060】
次に、アノードマスク25の第1の開口25aの径と、レギュレーションプレート30の第2の開口30aの径を変化させることによる基板Wのめっき膜のプロファイルの変化を具体的に説明する。
【0061】
図6は、高レジスト開口率(80%)の基板Wと低レジスト開口率(10%)の基板Wのめっき膜のプロファイルを示す図である。図中、「AM」はアノードマスク25の第1の開口25aの径、「RP」はレギュレーションプレート30の第2の開口30aの径、「HDP」は高レジスト開口率の基板W、「LDP」は低レジスト開口率の基板Wを示す。なお、高レジスト開口率の基板Wと低レジスト開口率の基板Wは、共にシード層の厚さは50nmから100nmであり、
図6のプロファイルは、比較的低抵抗のめっき液を用いてめっきされた場合のプロファイルである。
【0062】
図示のように、高レジスト開口率の基板Wを、第1の開口25aの径を230mmとし、第2の開口30aの径を276mmとしてめっき処理した場合(以下条件Aという)、基板中央部の膜厚が厚く、基板周縁部の膜厚が薄くなる。これに対して、高レジスト開口率の基板Wを、第1の開口25aの径を270mmとし、第2の開口30aの径を276mmとしてめっき処理した場合(以下、条件Cという)、条件Cは第1の開口25aの径が条件Aに比べて大きいので、基板中央部の膜厚が薄くなる。また、高レジスト開口率の基板Wを、第1の開口25aの径を270mmとし、第2の開口30aの径を280mmとしてめっき処理した場合(以下、条件Bという)、条件Bは第2の開口30aの径が条件Cに比べて大きいので、基板周縁部の膜厚が厚くなる。
【0063】
低レジスト開口率の基板Wを、第1の開口25aの径を270mmとし、第2の開口30aの径を276mmとしてめっき処理した場合(以下条件Eという)、基板中央部の膜厚が薄く、基板周縁部の膜厚が厚くなる。これは、ターミナルエフェクトの影響により、基板周縁部の膜厚が厚くなっていることを意味する。これに対して、低レジスト開口率の基板Wを、第1の開口25aの径を220mmとし、第2の開口30aの径を276mmとしてめっき処理した場合(以下、条件Fという)、条件Fは第1の開口25aの径が条件Eに比べて小さいので、基板中央部の膜厚が厚くなる。また、低レジスト開口率の基板Wを、第1の開口25aの径を220mmとし、第2の開口30aの径を274mmとしてめっき処理した場合(以下、条件Dという)、条件Dは第2の開口30aの径が条件Fに比べて小さいので、基板周縁部の膜厚が薄くなる。
【0064】
図6に示すように、ターミナルエフェクトの影響が比較的顕著に現れる低レジスト開口率の基板Wであっても、第1の開口25aの径を、高レジスト開口率の基板Wのめっき処理に適切な第1の開口25aの径(270mm、条件B,C)よりも小さくすることによ
り、ターミナルエフェクトによる基板Wの膜厚の面内均一性の低下を抑制することができる(条件D,F参照)。さらに、レギュレーションプレート30の第2の開口30aの径を調節することにより、基板Wの周縁部の膜厚を調節することができ、ターミナルエフェクトによる基板Wの膜厚の面内均一性の低下をさらに抑制することができる(条件D参照)。
【0065】
図7は、厚いシード層(500nm以上)を有する基板Wと薄いシード層(50から100nm)を有する基板Wのめっき膜のプロファイルを示す図である。なお、厚いシード層を有する基板Wと薄いシード層を有する基板Wは、共にレジスト開口率は10%であり、
図7のプロファイルは、比較的低抵抗のめっき液を用いてめっきされた場合のプロファイルである。
【0066】
図示のように、厚いシード層を有する基板Wを、第1の開口25aの径を230mmとし、第2の開口30aの径を276mmとしてめっき処理した場合(以下条件Aという)、基板中央部の膜厚が厚く、基板周縁部の膜厚が薄くなる。これに対して、厚いシード層を有する基板Wを、第1の開口25aの径を270mmとし、第2の開口30aの径を276mmとしてめっき処理した場合(以下、条件Cという)、条件Cは第1の開口25aの径が条件Aに比べて大きいので、基板中央部の膜厚が薄くなる。また、厚いシード層を有する基板Wを、第1の開口25aの径を270mmとし、第2の開口30aの径を278mmとしてめっき処理した場合(以下、条件Bという)、条件Bは第2の開口30aの径が条件Cに比べて大きいので、基板周縁部の膜厚が厚くなる。
【0067】
薄いシード層を有する基板Wを、第1の開口25aの径を270mmとし、第2の開口30aの径を276mmとしてめっき処理した場合(以下条件Eという)、基板中央部の膜厚が薄く、基板周縁部の膜厚が厚くなる。これは、ターミナルエフェクトの影響により、基板周縁部の膜厚が厚くなっていることを意味する。これに対して、薄いシード層を有する基板Wを、第1の開口25aの径を220mmとし、第2の開口30aの径を276mmとしてめっき処理した場合(以下、条件Fという)、条件Fは第1の開口25aの径が条件Eに比べて小さいので、基板中央部の膜厚が厚くなる。また、薄いシード層を有する基板Wを、第1の開口25aの径を220mmとし、第2の開口30aの径を274mmとしてめっき処理した場合(以下、条件Dという)、条件Dは第2の開口30aの径が条件Fに比べて小さいので、基板周縁部の膜厚が薄くなる。
【0068】
図7に示すように、ターミナルエフェクトの影響が比較的顕著に現れる薄いシード層を有する基板Wであっても、第1の開口25aの径を、厚いシード層を有する基板Wのめっき処理に適切な第1の開口25aの径(270mm、条件B,C)よりも小さくすることにより、ターミナルエフェクトによる基板Wの膜厚の面内均一性の低下を抑制することができる(条件D,F参照)。さらに、レギュレーションプレート30の第2の開口30aの径を調節することにより、基板Wの周縁部の膜厚を調節することができ、ターミナルエフェクトによる基板Wの膜厚の面内均一性の低下をさらに抑制することができる(条件D参照)。
【0069】
図8は、比較的高い電気抵抗を有するめっき液(タイプ−A)でめっきされる基板Wと比較的低い電気抵抗を有するめっき液(タイプ−B)でめっきされる基板Wのめっき膜のプロファイルを示す図である。なお、比較的高い電気抵抗を有するめっき液でめっきされる基板Wと比較的低い電気抵抗を有するめっき液でめっきされる基板Wは、共にレジスト開口率は10%であり、シード層の厚さは50nmから100nmである。
【0070】
図示のように、比較的高い電気抵抗を有するめっき液でめっきされる基板Wを、第1の開口25aの径を230mmとし、第2の開口30aの径を276mmとしてめっき処理
した場合(以下条件Aという)、基板中央部の膜厚が厚く、基板周縁部の膜厚が薄くなる。これに対して、比較的高い電気抵抗を有するめっき液でめっきされる基板Wを、第1の開口25aの径を260mmとし、第2の開口30aの径を276mmとしてめっき処理した場合(以下、条件Cという)、条件Cは第1の開口25aの径が条件Aに比べて大きいので、基板中央部の膜厚が薄くなる。また、比較的高い電気抵抗を有するめっき液でめっきされる基板Wを、第1の開口25aの径を260mmとし、第2の開口30aの径を272mmとしてめっき処理した場合(以下、条件Bという)、条件Bは第2の開口30aの径が条件Cに比べて小さいので、基板周縁部の膜厚が薄くなる。
【0071】
比較的低い電気抵抗を有するめっき液でめっきされる基板Wを、第1の開口25aの径を270mmとし、第2の開口30aの径を276mmとしてめっき処理した場合(以下条件Eという)、基板中央部の膜厚が薄く、基板周縁部の膜厚が厚くなる。これは、ターミナルエフェクトの影響により、基板周縁部の膜厚が厚くなっていることを意味する。これに対して、比較的低い電気抵抗を有するめっき液でめっきされる基板Wを、第1の開口25aの径を220mmとし、第2の開口30aの径を276mmとしてめっき処理した場合(以下、条件Fという)、条件Fは第1の開口25aの径が条件Eに比べて小さいので、基板中央部の膜厚が薄くなる。また、比較的低い電気抵抗を有するめっき液でめっきされる基板Wを、第1の開口25aの径を220mmとし、第2の開口30aの径を274mmとしてめっき処理した場合(以下、条件Dという)、条件Dは第2の開口30aの径が条件Fに比べて小さいので、基板周縁部の膜厚が薄くなる。
【0072】
図8に示すように、比較的低い電気抵抗を有するめっき液で基板Wがめっきされても、第1の開口25aの径を、比較的高い電気抵抗を有するめっき液でめっきされる基板Wのめっき処理に適切な第1の開口25aの径(260mm、条件B,C)よりも小さくすることにより、ターミナルエフェクトによる基板Wの膜厚の面内均一性の低下を抑制することができる(条件D,F参照)。さらに、レギュレーションプレート30の第2の開口30aの径を調節することにより、基板Wの周縁部の膜厚を調節することができ、ターミナルエフェクトによる基板Wの膜厚の面内均一性の低下をさらに抑制することができる(条件D参照)。
【0073】
図6ないし
図8に示すように、ターミナルエフェクトの影響が異なる各々の条件において均一性の良いめっきを行うためには、アノードマスク25の第1の開口25aの径の変化幅は、レギュレーションプレート30の開口30aの径の変化幅に比べて大きくすることが望ましい。アノードマスク25の開口25aの径を大きな変化幅で調整可能とするために、前述したような絞り羽根27を用いた機構が好適である。アノードマスク25と基板Wは離れているので、アノードマスク25の開口25aを小さくしても、電束はアノードマスク25と基板Wの間で広がり、基板Wの大きな範囲に渡るめっき膜の膜厚分布を調整することができる。
【0074】
基板Wの周縁部は、ターミナルエフェクトの影響を除いても、アノードマスク25と基板Wの間で外側に広がった電束が基板Wの周縁部で集中するため、めっき膜が厚くなりやすい。このような基板Wの周縁部の比較的狭い範囲の領域のめっき膜厚調整は、レギュレーションプレート30の第2調節機構により達成される。レギュレーションプレート30は基板Wに近いので、基板Wの周縁部の電場を直接的に遮蔽することができ、開口径の比較的小さな変化でも基板Wの周縁部のめっき膜厚を調整することができる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または
、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲及び明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、又は省略が可能である。例えば、以上の実施形態では、第1の開口25aの径を調節する機構として複数の絞り羽根27が使用され、第2の開口30aの径を調節する機構として弾性チューブ32が使用されている。しかしながら、複数の絞り羽根27及び弾性チューブ32に限らず、他の形態の調節機構を採用することが可能である。