(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記マスク層を形成するステップは、マスクフィルムに穿孔部を形成するステップと、前記偏光部材の一面にマスクフィルムを付着させるステップとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の局地的脱色領域を含む偏光部材の製造方法。
前記マスクフィルムは、ポリエチレン(PolyEthylene、PE)フィルム、ポリプロピレン(PolyPropylene、PP)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PolyEthyleneTerephtalate、PET)フィルム、エチレンビニルアセテート(Ethylene Vinyl Acetate、EVA)フィルム、またはポリビニルアセテート(PolyVinyl Acetate)フィルムであることを特徴とする、請求項2に記載の局地的脱色領域を含む偏光部材の製造方法。
前記マスク層を形成するステップは、前記偏光部材の一面にコーティング層を形成するステップと、前記コーティング層の一部領域を選択的に除去して穿孔部を形成するステップとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の局地的脱色領域を含む偏光部材の製造方法。
前記臨時保護フィルムは、ポリエチレン(PolyEthylene、PE)フィルム、ポリプロピレン(PolyPropylene、PP)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PolyEthyleneTerephtalate、PET)フィルム、エチレンビニルアセテート(Ethylene Vinyl Acetate、EVA)フィルム、またはポリビニルアセテート(PolyVinyl Acetate)フィルムであることを特徴とする、請求項7に記載の局地的脱色領域を含む偏光部材の製造方法。
前記部分脱色させるステップは、10℃〜70℃の脱色溶液内で1秒〜60秒間行われることを特徴とする、請求項1に記載の局地的脱色領域を含む偏光部材の製造方法。
前記洗浄および乾燥するステップにおいて、前記乾燥は、直径が100Φ〜500Φの加熱ロール(heating roll)を用いて行われることを特徴とする、請求項1に記載の局地的脱色領域を含む偏光部材の製造方法。
前記洗浄および乾燥するステップにおいて、前記乾燥は、前記偏光部材を乾燥オーブンに通過させる方法を利用することを特徴とする、請求項1に記載の局地的脱色領域を含む偏光部材の製造方法。
前記外観矯正ステップの後に、前記偏光部材の少なくとも一面に光学層を形成するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の局地的脱色領域を含む偏光部材の製造方法。
前記光学層は、保護フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルム、ハードコーティング層、反射防止層、粘着層、接着層、またはこれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項16に記載の局地的脱色領域を含む偏光部材の製造方法。
請求項1〜17のいずれか1項に記載の製造方法により形成された局地的脱色領域を含む偏光部材を巻取るステップを含むことを特徴とする、局地的脱色領域を含む偏光部材ロールの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、種々の異なる形態に変形可能であり、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0032】
図1には、本発明の局地的脱色領域を含む偏光部材の製造方法の概略的なフローチャートが示されている。
【0033】
図1に示されているように、本発明の偏光部材の製造方法は、ヨウ素および二色性染料のうちの少なくとも1つ以上が一定の方向に配向されたポリビニルアルコール系偏光子を含む偏光部材を提供するステップS10と、前記偏光部材の一面に、少なくとも1つ以上の穿孔部を含むマスク層を形成するステップS20と、前記マスク層が形成された偏光部材を脱色溶液に浸漬させて部分脱色させるステップS30と、前記部分脱色した偏光部材の外観矯正ステップS40とを含む。
【0034】
本明細書の「部分脱色」とは、マスク層の穿孔部によって露出する偏光部材領域が脱色することを意味することができる。また、前記部分脱色によって脱色する偏光部材の領域は、偏光部材の局地的脱色領域に対応することができる。
【0035】
一方、本発明の偏光部材の製造方法は、必要に応じて、外観矯正ステップを経た偏光部材を洗浄および乾燥するステップS50を追加的に含むことができ、前記のような方法により製造された局地的脱色領域を含む偏光部材を巻取って、長尺の偏光部材ロールに製造するステップS60を追加的に含むことができる。また、必要に応じて、前記長尺の偏光部材ロールから枚葉型偏光部材を製造するステップS70を追加的に含むことができる。また、本発明の偏光部材の製造方法は、必要に応じて、部分脱色ステップの後、外観矯正ステップの後、または洗浄および乾燥ステップの後に、マスク層および臨時保護フィルムを剥離するステップを追加的に含むことができる。
【0036】
まず、偏光部材を提供するステップS10において、前記偏光部材は、ヨウ素および二色性染料のうちの少なくとも1つ以上が一定の方向に配向されたポリビニルアルコール系偏光子を含むもので、例えば、ヨウ素および/または二色性染料が一定の方向に配向されているポリビニルアルコール系偏光子であるか、または前記のようなポリビニルアルコール系偏光子および前記偏光子の一面に透明高分子フィルムが付着しているフィルム積層体であってよい。すなわち、本発明において、偏光部材は、ポリビニルアルコール系偏光子のみからなってもよく、ポリビニルアルコール系偏光子の一面に透明高分子フィルムを追加的にさらに含んでもよい。この時、前記ポリビニルアルコール系偏光子は、その厚さが1μm〜50μm程度、例えば、10μm〜30μm程度、または1μm〜10μm程度であってよく、前記透明高分子フィルムの厚さは1μm〜100μm程度、例えば、10μm〜70μm程度であってよい。
【0037】
一方、本発明において、前記偏光部材としては、長尺の偏光子フィルム、または偏光子フィルムと透明高分子フィルムとの積層体がロール形状に巻かれているフィルムロール状態の偏光部材が使用可能であり、この場合、前記のようなフィルムロールから偏光部材を巻出すことにより、工程内に提供可能である。
【0038】
一方、前記ヨウ素および二色性染料のうちの少なくとも1つ以上が一定の方向に配向されたポリビニルアルコール系偏光子は、当該技術分野でよく知られているPVA偏光子の製造方法により製造するか、または市販のポリビニルアルコール系偏光子を購入して使用することができる。
【0039】
例えば、前記ポリビニルアルコール系偏光子は、未延伸ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素および/または二色性染料を染着させるステップと、前記ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素および/または二色性染料を架橋させるステップと、前記ヨウ素および/または二色性染料が染着したポリビニルアルコール系フィルムを延伸するステップとにより製造できる。この時、前記染着ステップ、架橋ステップ、および延伸ステップは、当該技術分野で知られている方法により行われてもよく、その方法が特に限定されるものではない。
【0040】
例えば、前記染着ステップは、未延伸ポリビニルアルコール系フィルムを、ヨウ素および/または二色性染料を含む染着溶液の入った染着槽に含浸させるか、ヨウ素および/または二色性染料を含む染着溶液をポリビニルアルコール系フィルム上に塗布する方法で行われてもよいし、この時、前記染着溶液の溶媒としては一般的に水が使用されるが、水と相溶性を有する有機溶媒が混合されていても構わない。一方、前記染着溶液内のヨウ素および/または二色性染料の含有量は、これに制限されるものではないが、例えば、溶媒100重量部に対して、0.06重量部〜0.25重量部程度であってよい。また、前記染着溶液には、ヨウ素および/または二色性染料のほか、染着効率を向上させるための補助剤が追加的に含有されてもよく、前記補助剤としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化スズ、ヨウ化チタン、またはこれらの混合物のようなヨウ化化合物が使用できる。この時、前記補助剤の含有量は、これに制限されるものではないが、例えば、溶媒100重量部に対して、0.3重量部〜2.5重量部程度であってよく、より好ましくは、ヨウ素対ヨウ化化合物の重量比が1:5〜1:10程度であってよい。一方、前記染着ステップは、25℃〜40℃程度の温度で行われることが好ましく、染着槽の浸漬時間は30秒〜120秒程度であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0041】
次に、前記架橋ステップは、ヨウ素および/または二色性染料が染着したポリビニルアルコール系フィルムに架橋溶液を接触させる方法で行われてもよく、前記接触は、浸漬、塗布、噴霧などの方法により行われてもよい。この時、前記架橋溶液は、ホウ酸、ホウ砂などのようなホウ素化合物;グリオキサル;グルタルアルデヒド;またはこれらの混合物のような架橋剤を含む溶液であり、前記架橋溶液の溶媒としては水が一般的に使用されるが、水とともに水と相溶性を有する有機溶媒を混合して使用しても構わない。前記架橋溶液内の架橋剤の含有量は、これに制限されるものではないが、例えば、溶媒100重量部に対して、0.5重量部〜5.0重量部程度であってよい。一方、前記架橋温度および架橋時間は特に限定されるものではなく、架橋剤の含有量などに応じて適切に調整可能である。例えば、前記架橋温度は45℃〜60℃程度であってよく、架橋時間は30秒〜120秒程度であってよい。
【0042】
次に、前記延伸ステップは、当該技術分野でよく知られている偏光子の延伸方法、例えば、湿式延伸や乾式延伸により行われてもよく、これに限定されるものではないが、延伸倍率は4倍〜10倍程度、延伸温度は45℃〜60℃程度であってよい。一方、前記延伸ステップは、前記染着ステップまたは架橋ステップと同時に行われてもよく、別途に行われてもよい。
【0043】
一方、前記延伸は、ポリビニルアルコール系フィルム単独で行われてもよく、ポリビニルアルコール系フィルムに基材フィルムを積層した後、ポリビニルアルコール系フィルムと基材フィルムをともに延伸する方法で行われてもよい。後者の方法は、厚さの薄いポリビニルアルコール系フィルム(例えば、60μm以下のPVAフィルム)を延伸する場合、延伸過程でポリビニルアルコール系フィルムが破断するのを防止するために使用されるもので、10μm以下の薄型PVA偏光子を製造するために使用できる。この時、前記基材フィルムとしては、20℃〜85℃の温度条件下、最大延伸倍率が5倍以上の高分子フィルムが使用可能であり、例えば、高密度ポリエチレンフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリオレフィンフィルム、エステル系フィルム、低密度ポリエチレンフィルム、高密度ポリエチレン、および低密度ポリエチレン共押出フィルム、高密度ポリエチレンにエチレンビニルアセテートが含有された共重合体樹脂フィルム、アクリルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコール系フィルム、セルロース系フィルムなどが使用できる。一方、前記最大延伸倍率は、破断が発生する直前の延伸倍率を意味する。この時、前記基材フィルムとポリビニルアルコール系フィルムとの積層方法は特に限定されない。例えば、基材フィルムとポリビニルアルコール系フィルムとを接着剤または粘着剤を介在させて積層してもよく、別途の介在物なしに基材フィルム上にポリビニルアルコール系フィルムを載せる方式で積層してもよい。あるいは、基材フィルムを形成する樹脂とポリビニルアルコール系フィルムを形成する樹脂とを共押出する方法で行われるか、または基材フィルム上にポリビニルアルコール系樹脂をコーティングする方法で行われてもよい。一方、前記基材フィルムは、延伸が完了した後に、偏光子から離脱させて除去してもよいが、除去せず、次のステップに進んでもよい。この場合、前記基材フィルムは、後述の臨時保護フィルム、マスクフィルム、または偏光子保護フィルムなどに使用できる。
【0044】
一方、ポリビニルアルコール系偏光子と透明高分子フィルムとが積層されたフィルム積層体を含む偏光部材の場合、前記のような方法により製造されたポリビニルアルコール系フィルムの一面に透明高分子フィルムを付着させる方法で製造できる。この時、前記透明高分子フィルムとしては、トリアセチルセルロース(TriAcethyl Cellulose;TAC)のようなアセテート系、アクリル系、ポリエステル系、ポリエーテルスルホン系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリオレフィン系樹脂フィルムなどが使用できるが、これらに限定されるものではない。一方、前記透明高分子フィルムの付着は、当該技術分野でよく知られているフィルムの貼り合わせ方法により行われてもよく、例えば、ポリビニルアルコール系接着剤のような水系接着剤、ウレタン系接着剤などのような熱硬化性接着剤、エポキシ系接着剤などのような光カチオン硬化型接着剤、アクリル系接着剤などのような光ラジカル硬化型接着剤のように、当該技術分野でよく知られている接着剤を介在させてポリビニルアルコール系偏光子と透明高分子フィルムとを接着した後、熱または活性エネルギー線などを照射して接着剤を硬化させる方法で行われてもよい。
【0045】
本ステップでは、ポリビニルアルコール系偏光子の一面に保護フィルムを貼り合わせて、偏光子の外観を保護する役割を果たすことができる。具体的には、ポリビニルアルコール系偏光子の一面に透明高分子フィルムが積層されている場合には、透明高分子フィルムが積層されていない面に保護フィルムを貼り合わせる。前記保護フィルムとしては、ポリエチレン(PolyEthylene、PE)、ポリプロピレン(PolyPropylene、PP)、ポリエチレンテレフタレート(PolyEthyleneTerephtalate、PET)などのようなオレフィン系フィルム;またはエチレンビニルアセテート(Ethylene Vinyl Acetate、EVA)、ポリビニルアセテート(PolyVinyl Acetate)などのようなビニルアセテート系フィルムが使用できるが、これらに限定されるものではない。前記保護フィルムを、偏光子の外観保護の役割を果たした後は剥離可能である。具体的には、マスク層を形成するステップにおいて、偏光部材が、偏光子の一面にマスクフィルムが積層されており、他面に保護フィルムが積層されている場合、保護フィルムを剥離した後、マスク層を形成するステップを行わなければならない。
【0046】
次に、前記のような偏光部材が提供されると、前記偏光部材の一面に、少なくとも1つ以上の穿孔部を含むマスク層を形成するステップS20を行う。この時、前記マスク層は、マスクフィルムまたはコーティング層からなってもよく、偏光部材の一面に基材フィルムや透明高分子フィルムが付着している場合には、前記マスク層は、前記フィルムが付着しない面に形成される。上述のように、偏光子の一面に保護フィルムが付着している場合、保護フィルムを剥離した後にマスク層を形成する。
【0047】
マスク層としてマスクフィルムを使用する場合、前記マスク層形成ステップS20は、マスクフィルムに穿孔部を形成するステップと、前記偏光部材の一面にマスクフィルムを付着させるステップとを含んでなる。
【0048】
この時、前記マスクフィルムとしては、ポリエチレン(PolyEthylene、PE)、ポリプロピレン(PolyPropylene、PP)、ポリエチレンテレフタレート(PolyEthyleneTerephtalate、PET)などのようなオレフィン系フィルム;またはエチレンビニルアセテート(Ethylene Vinyl Acetate、EVA)、ポリビニルアセテート(PolyVinyl Acetate)などのようなビニルアセテート系フィルムが使用できるが、これらに限定されるものではない。また、前記マスクフィルムの厚さは、これに限定されるものではないが、10μm〜100μm程度、好ましくは10μm〜70μm程度であってよい。
【0049】
一方、前記マスクフィルムに穿孔部を形成するステップは特に制限されず、当該技術分野でよく知られているフィルムの穿孔方法、例えば、金型加工、ナイフ加工、またはレーザ加工などにより行われてもよい。なかでも、穿孔部の形状を自由に加工できるという点で、レーザ加工が特に好ましい。
【0050】
この時、前記レーザ加工は、当該技術分野で一般的に知られているレーザ加工装置を用いて行われてもよく、特に制限されない。レーザ装置の種類、出力、レーザパルス繰り返し率などのようなレーザ加工条件は、フィルムの材質や厚さ、穿孔部の形状などに応じて変化可能であり、当該技術分野における当業者であれば、前記のような点を考慮してレーザ加工条件を適切に選択することができる。例えば、マスクフィルムとして厚さが30μm〜100μmのポリオレフィンフィルムを使用する場合には、中心波長が9μm〜11μm程度の二酸化炭素(CO
2)レーザ装置、または中心波長が300nm〜400nm程度の紫外線(UV)装置などを用いて穿孔部を形成することができ、この時、前記レーザ装置の最大平均出力は0.1W〜30W程度であってよく、パルス繰り返し率は0kHz〜50kHz程度であってよいが、これに限定されるものではない。
【0051】
一方、前記穿孔部形成ステップは、偏光部材にマスクフィルムを付着させるステップの前または後に行われてもよい。すなわち、マスクフィルムに穿孔部を予め形成した後に、穿孔部が形成されたマスクフィルムを偏光部材に付着させてもよく(
図2参照)、マスクフィルムを偏光部材に付着させた後に、穿孔部を形成してもよい(
図3参照)。
【0052】
一方、前記偏光部材の一面にマスクフィルムを付着させるステップは、当該技術分野でよく知られているフィルムの貼り合わせ方法、例えば、マスクフィルムと偏光部材とを粘着層を介して付着させる方法で行われてもよいし、この時、前記粘着層は、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ゴム系粘着剤などのような粘着剤をマスクフィルムまたは偏光部材上に塗布して形成されてもよいが、これに限定されるものではない。例えば、マスクフィルムとして自己粘着力のあるフィルム(例えば、EVAフィルム、PVACフィルム、PPフィルムなど)を使用する場合には、粘着層の形成なしにマスクフィルムを偏光部材の一面に直接付着させてもよい。
【0053】
一方、前記マスク層がコーティング層として形成される場合、前記マスク層形成ステップS20は、前記偏光部材の一面にコーティング層を形成するステップと、前記コーティング層の一部領域を選択的に除去して穿孔部を形成するステップとを含んでなってもよい。
【0054】
この時、前記コーティング層を形成するステップは、偏光部材の一面にコーティング層形成用組成物を塗布した後、乾燥させるか、熱または紫外線、電子線などのような活性エネルギー線を照射してコーティング層を硬化させる方法で行われてもよい。
【0055】
この時、前記コーティング層形成用組成物としては、レーザによってエッチング可能で、アルカリ溶液に溶解されないものであればよく、その種類は特に限定されない。例えば、前記コーティング層形成用組成物としては、水分散性ポリウレタン、水分散性ポリエステル、水分散性アクリル共重合体などのような水分散性高分子樹脂を含む組成物または感光性樹脂組成物が使用できる。一方、前記感光性樹脂組成物としては、市販の感光性樹脂組成物、例えば、ポジティブタイプのフォトレジストまたはネガティブタイプのフォトレジストなどが使用可能であり、特に制限されない。
【0056】
一方、前記コーティング層形成用組成物の塗布方法は特に限定されず、当該技術分野で一般的に用いられる塗布方法、例えば、バーコーティング、スピンコーティング、ロールコーティング、ナイフコーティング、スプレーコーティングなどにより行われてもよく、前記硬化は、塗布された樹脂組成物に熱を加えるか、紫外線、電子線などのような活性エネルギー線を照射する方法で行われてもよい。
【0057】
この時、前記コーティング層の厚さは100nm〜500nm程度であることが好ましい。コーティング層の厚さが前記数値範囲を満足する場合、穿孔部の加工時にPVA偏光子が損傷するのを防止することができ、脱色工程の後にコーティング層を除去する工程を追加的に行わなくてもよいという利点がある。
【0058】
一方、前記コーティング層の一部を選択的に除去して穿孔部を形成するステップは、コーティング層の一部領域にエネルギー線を照射して蒸発させる方法、またはフォトリソグラフィ法などにより行われてもよい。
【0059】
この時、前記コーティング層の一部を蒸発させる方法は、当該技術分野で一般的に知られているレーザ装置、例えば、中心波長が300nm〜400nm程度の紫外線レーザ装置、中心波長が1000nm〜1100nm程度の赤外線レーザ装置、または中心波長が500nm〜550nm程度のグリーンレーザ装置などを用いて行われてもよい。一方、使用されるレーザ装置の種類、レーザ出力、およびパルス繰り返し率などのようなレーザ加工条件は、コーティング層の種類、厚さ、形成しようとする穿孔部の形状などに応じて変化可能であり、当該技術分野における当業者であれば、前記のような点を考慮してレーザ加工条件を適切に選択することができる。
【0060】
一方、前記コーティング層が感光性樹脂組成物からなる場合には、フォトリソグラフィ工程により穿孔部を形成することができ、例えば、偏光部材の一面に感光性樹脂組成物を塗布した後、穿孔部に相当する領域のエネルギー線を選択的に露光した後、現像液を用いて現像する方法で穿孔部を形成することができる。
【0061】
この時、前記露光は、紫外線などのような光源を用いて行われてもよく、レーザなどのようなエネルギー線を用いて行われてもよい。レーザを用いて露光を実施する場合、露光のために別途のマスクを使わなくてもよく、穿孔部の形状を比較的自由に形成することができるという利点がある。
【0062】
より具体的には、本発明において、感光性樹脂組成物を用いて200nmの厚さにコーティング層を形成した場合、最大平均出力0.1W〜10W程度の中心波長300nm〜400nmの紫外線レーザを用いて露光を行うことができ、この時、レーザの動作パルス繰り返し率は30kHz〜100kHz程度であってよい。
【0063】
一方、前記現像は、使用された感光性樹脂の種類に応じて適切な現像液を選択して使用することができ、場合によって、後述の脱色溶液を現像液として使用してもよい。この場合、別途の現像ステップは行われなくても構わない。
【0064】
一方、前記穿孔部は、脱色させようとする領域の形状に対応するように形成されればよく、その形態や形成位置などは特に限定されない。例えば、前記穿孔部は、カメラのような部品が装着される位置に前記部品の形状に対応するように形成されてもよく、製品ロゴが印刷される領域に製品ロゴの形状に形成されてもよく、偏光部材の枠部分にカラーを付与しようとする場合には、偏光部材の枠部分に額縁形状に形成されてもよい。
【0065】
一方、本発明の製造方法は、前記偏光部材を提供するステップの後に、偏光部材の他面に臨時保護フィルムを付着させるステップを追加的に含むことができる。前記臨時保護フィルムを付着させるステップは、後述の部分脱色ステップS30において、偏光部材を保護するために、偏光部材のマスク層が形成された面の反対面に臨時保護フィルムを付着させるステップであり、臨時保護フィルムの役割を果たすために、脱色ステップの前に臨時保護フィルムを付着させるステップが行われることが好ましい。しかし、これに限定されるものではなく、臨時保護フィルムを付着させるステップは省略されてもよい。
【0066】
一方、前記臨時保護フィルムとしては、ポリエチレン(PolyEthylene、PE)、ポリプロピレン(PolyPropylene、PP)、ポリエチレンテレフタレート(PolyEthyleneTerephtalate、PET)などのようなオレフィン系フィルム;またはエチレンビニルアセテート(Ethylene Vinyl Acetate、EVA)、ポリビニルアセテート(PolyVinyl Acetate)などのようなビニルアセテート系フィルムが使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
一方、臨時保護フィルムと偏光部材との付着は、当該技術分野でよく知られているフィルムの貼り合わせ方法、例えば、臨時保護フィルムと偏光部材とを粘着層を介して付着させる方法で行われてもよい。この時、前記粘着層は、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ゴム系粘着剤などのような粘着剤を臨時保護フィルムまたは偏光部材上に塗布して形成されてもよいが、これに限定されるものではない。例えば、臨時保護フィルムとして自己粘着力のあるフィルム(例えば、EVAフィルム、PVACフィルム、PPフィルムなど)を使用する場合には、粘着層の形成なしに臨時保護フィルムを偏光部材に直接付着させてもよい。
【0068】
次に、このような過程により穿孔部を含むマスク層が形成された偏光部材を脱色溶液に浸漬させて部分脱色させるステップS30を行う。
【0069】
本ステップでは、上述のように、偏光部材を脱色溶液に浸漬させて脱色工程を行う。浸漬工程を利用する場合、処理される時間が短くて状況に合わせて適切に処理時間を調整しにくい塗布工程とは異なり、温度や濃度などが変更された時に適切に処理時間を調整することができるという利点がある。すなわち、浸漬工程を利用して脱色工程を行う場合、必要に応じて、処理時間を調整することができるという利点がある。
【0070】
この時、前記脱色溶液は、ヨウ素および/または二色性染料を脱色させられる脱色剤を含む溶液であり、この時、前記脱色剤は、ヨウ素および/または二色性染料を脱色させられる脱色剤であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、硫酸化ナトリウム(NaSH)、アジド化ナトリウム(NaN
3)、水酸化カリウム(KOH)、硫酸化カリウム(KSH)、およびチオ硫酸カリウム(KS
2O
3)からなる群より選択された1種以上であってよい。
【0071】
一方、前記脱色溶液内の脱色剤の濃度は1重量%〜30重量%程度、好ましくは5重量%〜20重量%程度、より好ましくは10重量%〜15重量%程度であってよい。脱色剤の含有量が1重量%未満の場合、脱色が行われないか、脱色にかかる時間が長くなって膨潤によって偏光部材の変形が発生することがあり、脱色剤の濃度が30重量%を超える場合、脱色効率の増加量がわずかで経済性に劣る。
【0072】
一方、前記脱色溶液の溶媒として、水、または水とアルコールとの混合溶媒が使用可能であり、この時、前記アルコールとしては、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコールなどが単独または混合して使用できる。
【0073】
一方、前記脱色溶液はpH11〜14、好ましくは13〜14の強塩基溶液であることがより好ましい。前記のような強塩基溶液を使用する場合、ポリビニルアルコールとヨウ素および/または二色性染料の間のホウ酸架橋結合が破壊されて脱色が円滑に行われるからである。
【0074】
一方、前記部分脱色ステップは、10℃〜70℃の脱色溶液内で1秒〜60秒間行われることが好ましい。脱色溶液の温度と浸漬時間が前記数値範囲を外れる場合、脱色溶液によって偏光子の膨潤および離水が発生して偏光子に屈曲が発生したり、所望しない領域まで脱色が発生するなどの問題が発生することがある。
【0075】
このように脱色溶液に穿孔部を含むマスク層が形成された偏光部材を浸漬させると、穿孔部を介してポリビニルアルコール系偏光子に脱色溶液が接触し、その結果、穿孔部領域に対応する部分にのみ部分的に脱色が行われるようになる。
【0076】
前記のような部分脱色工程が完了すると、必要に応じて、脱色溶液を洗浄するステップ(図示せず)を実施することができる。脱色溶液が偏光部材に残留すると、後工程で残留した脱色溶液でよって、所望しない領域に偏光子の脱色が発生し得るからである。この時、前記洗浄は、アルコールまたは酸性水溶液、または純水に偏光部材を浸漬させるか、アルコールまたは酸性水溶液、または純水を偏光部材上に塗布する方法で行われてもよいし、この時、前記アルコールとしては、例えば、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、またはこれらの混合物が使用可能であり、前記酸性溶液としては、例えば、酢酸水溶液、アジピン酸水溶液、ホウ酸水溶液、リン酸水溶液、乳酸水溶液、硫酸水溶液、硝酸水溶液、またはこれらの混合溶液が使用できるが、これらに限定されるものではない。前記洗浄ステップは、1秒〜180秒程度、好ましくは3秒〜60秒程度行われることが好ましい。
【0077】
一方、前記部分脱色させるステップの後に、必要に応じて、マスク層を除去するステップを追加的に実施することができる。前記マスク層の除去ステップは、偏光部材からマスク層を剥離させる方法により行われてもよい。マスク層としてマスクフィルムを使用した場合に本ステップを実施することが好ましいが、マスク層としてコーティング層を使用した場合には、本ステップを実施しなくても構わない。より具体的には、前記マスク層の除去ステップは、剥離ロールなどを用いて偏光部材からマスク層を剥離させる方法により行われてもよい。好ましくは、前記マスク層を除去するステップは、後述の外観矯正ステップS40や洗浄および乾燥ステップの後に実施されてもよい。
【0078】
次に、前記部分脱色した偏光部材の外観矯正ステップS40を行う。脱色溶液に浸漬させて部分脱色した偏光部材の場合、脱色溶液によって脱色部分に膨潤が発生して偏光部材の形態が変形する問題がある。本ステップは、前記のように変形した偏光部材の形態を回復させるためのステップである。すなわち、外観矯正ステップは、脱色溶液によって変形した偏光部材の外観を回復させるステップである。
【0079】
本発明の一実施形態によれば、前記外観矯正ステップは、偏光部材を架橋溶液に浸漬させる方法で行われてもよい。すなわち、前記外観矯正ステップは、架橋処理ステップを含むことができる。
【0080】
この時、前記架橋溶液は、ホウ酸、ホウ砂などのようなホウ素化合物;およびコハク酸、グルタル酸、クエン酸などのような酸からなる群より選択される1種以上の架橋剤を含み、この時、前記架橋剤の含有量は、架橋剤の種類に応じて変化可能であるが、例えば、0.001重量%〜20重量%程度、好ましくは0.003重量%〜15重量%程度、より好ましくは0.005重量%〜10重量%程度であってよい。より好ましくは、架橋剤としてホウ素化合物を使用する場合には、架橋剤の含有量が0.001重量%〜5重量%程度であってよく、架橋剤として酸を使用する場合には、架橋剤の含有量が0.001重量%〜1重量%程度であってよい。架橋剤の含有量が前記数値範囲を満足する場合、工程収率、偏光板の外観品質、光学特性および耐久性などが優れたものとなる。一方、前記架橋溶液の溶媒としては水(純水)が使用できる。
【0081】
一方、必須ではないが、偏光板の物性および色相などを調整するために、前記架橋溶液に、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化スズ、ヨウ化チタン、またはこれらの混合物のようなヨウ化化合物が追加的に含まれてもよい。この時、前記ヨウ化化合物の含有量は3重量%〜5重量%程度であることが好ましい。ヨウ化化合物の含有量が前記数値範囲を外れる場合、偏光子の耐熱性や色相特性に悪影響を及ぼすことがある。
【0082】
一方、前記架橋処理時の架橋溶液の温度は、これに限定されるものではないが、例えば、10℃〜70℃程度、好ましくは15℃〜65℃程度、より好ましくは20℃〜60℃程度であってよい。前記架橋溶液の温度が前記数値範囲を満足する場合、脱色処理による偏光部材の変形を効果的に矯正することができ、前記数値範囲を外れる場合、偏光部材の光学物性や外観品質などが低下することがあり、深刻な場合、偏光部材の変形をより悪化させることがある。
【0083】
また、前記架橋処理時間は、これに限定されるものではないが、例えば、1秒〜120秒、好ましくは1秒〜90秒、より好ましくは1秒〜60秒程度であってよい。架橋処理時間が前記数値範囲を満足する場合、脱色による偏光部材の変形を効果的に矯正することができ、前記数値範囲を外れる場合、偏光部材の光学特性や品質が低下するなどの問題が発生することがあり、深刻な場合、偏光部材の形態変形をより悪化させることがある。
【0084】
前記のように架橋剤が含まれた架橋溶液に偏光部材を浸漬させる場合、架橋溶液内に含まれたホウ素化合物または酸によってPVAフィルムのポリビニルアルコール鎖が互いに結合されながら偏光部材の変形が矯正される効果を得ることができる。本発明者らの研究によれば、脱色ステップの後に前記のような架橋処理を行う場合、架橋処理をしない場合と比較して、脱色部分の寸法変形率が10%〜70%、一般的には20%〜60%程度まで減少することが明らかになった。
【0085】
本発明の一実施形態によれば、前記外観矯正ステップは、偏光部材を中和溶液に浸漬させる方法で行われてもよい。すなわち、前記外観矯正ステップは、中和処理ステップを含むことができる。
【0086】
この時、前記中和溶液は、中和剤を含み、前記中和剤は、当技術分野で知られているものであれば制限なく採用可能である。例えば、前記中和溶液は、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、クエン酸、塩酸、グルタル酸、およびコハク酸からなる群より選択される1種以上の中和剤を含み、この時、前記中和剤の含有量は、中和剤の種類に応じて変化可能であるが、例えば、0.001重量%〜20重量%程度、好ましくは0.003重量%〜15重量%程度、より好ましくは0.005重量%〜10重量%程度であってよい。より好ましくは、酢酸またはクエン酸を使用する場合には、中和剤の含有量が0.01重量%〜10重量%程度であってよい。中和剤の含有量が前記数値範囲を満足する場合、工程収率、偏光板の外観品質、光学特性および耐久性などが優れたものとなる。一方、前記中和溶液の溶媒としては水(純水)が使用できる。
【0087】
前記中和溶液の温度および中和処理時間は、それぞれ上述の架橋溶液の温度および架橋処理時間に関する内容が同様に適用可能である。具体的には、中和処理時の中和溶液の温度は、これに限定されるものではないが、例えば、5℃〜70℃であってよい。また、前記中和処理時間は、これに限定されるものではないが、例えば、3秒〜30秒程度であってよい。
【0088】
前記のように中和溶液に偏光部材を浸漬させる場合、脱色ステップS30で使用された塩基溶液の陽イオンが中和処理によって除去されながら、脱色によって変形した偏光部材の外観変形が矯正される効果を得ることができる。
【0089】
また、本発明の一実施形態によれば、前記外観矯正ステップは、架橋処理ステップと、中和処理ステップとを含むことができる。具体的には、中和処理ステップを行った後に架橋処理ステップを行うことができ、この場合、中和処理によって外観変形を矯正し、架橋処理によりこれを固定させる効果を得ることができる。
【0090】
本発明者らの研究によれば、脱色ステップの後に前記のような外観矯正ステップを行う場合、外観矯正ステップを行わない場合と比較して、脱色部分の寸法変形率が10%〜70%、一般的には20%〜60%程度まで減少することが明らかになった。
【0091】
具体的には、脱色処理をすれば、偏光部材の厚さが脱色処理前に比べて5%〜30%程度厚くなり、周辺部との厚さの差のため、脱色部位が盛り上がった形態に偏光部材の外観が変形する。脱色ステップの後に外観矯正ステップを行えば、偏光部材の厚さが再び5%〜30%程度まで減少する効果があって、脱色ステップの前と類似する水準の厚さを示し、周辺部との厚さの差が減少しながら外観矯正の効果を示す。本発明者らの研究によれば、脱色ステップの後に中和処理ステップを行う場合、純水洗浄のみを行った場合と比較して、脱色部位が盛り上がった形態に変形する程度が約7%〜22%程度緩和されることが明らかになった。
【0092】
また、脱色処理後、偏光部材の収縮変形によって偏光部材の脱色部位中の盛り上がった形態に変形した面の反対面が周辺部に比べて沈む形態を示すが、脱色ステップの後に外観矯正ステップを行えば、このような現象が緩和されることで外観矯正の効果を示す。具体的には、本発明者らの研究によれば、脱色ステップの後に中和処理ステップを行う場合、純水洗浄のみを行った場合と比較して、周辺部に比べて下方へ垂れ下がる外観変形の程度が約60%〜80%程度緩和されることが明らかになった。
【0093】
前記のような外観矯正ステップが完了した後に、必要に応じて、前記偏光部材を洗浄および乾燥するステップS50を追加的に実施することができる。本ステップは、偏光部材に残留する架橋溶液および/または中和溶液を洗浄し、脱色溶液による偏光部材の外観変形を追加的に矯正するためのもので、当該技術分野で知られている偏光部材の洗浄および乾燥方法により行われてもよい。
【0094】
例えば、前記洗浄および乾燥ステップは、偏光部材が洗浄ロールおよび加熱ロールを通過するようにする方法で行われてもよいし、この時、前記加熱ロールは、直径が100Φ〜500Φ、好ましくは150Φ〜300Φ程度であってよい。前記加熱ロールの温度は30℃〜150℃程度、好ましくは60℃〜150℃程度であってよい。また、加熱ロールを用いた乾燥時間は1秒〜60秒程度、好ましくは1秒〜30秒程度であってよい。本発明者らの研究によれば、前記洗浄および乾燥ステップにおける加熱ロールの直径と温度に応じて偏光部材の外観変形の矯正効果が異なることが明らかになり、加熱ロールの直径および温度が前記数値範囲を満足する場合、偏光部材の外観変形が最も効果的に矯正されることが明らかになった。乾燥ステップでは、加熱ロールの通過なしに乾燥オーブンを通過させて乾燥する方法を用いてもよい。この場合、乾燥温度は25℃〜100℃程度、好ましくは30℃〜80℃程度であってよい。
【0095】
本発明の一実施形態によれば、前記洗浄および乾燥ステップにおいて、前記乾燥は、前記偏光部材を乾燥オーブンに通過させる方法を利用することができる。
【0096】
また、本発明の製造方法は、必須ではないが、偏光部材の表面平滑度を追加的に向上させるために、前記外観矯正ステップの後に、PVA偏光子の一面に平坦化層を形成するステップをさらに含むことができる。この時、前記平坦化層は、脱色溶液が接触した面(すなわち、マスク層が形成された面)に形成されることが好ましく、その厚さは1μm〜10μm程度、より好ましくは2μm〜5μm程度であってよい。
【0097】
また、本発明の製造方法は、必須ではないが、必要に応じて、前記外観矯正ステップの後に、前記偏光部材の少なくとも一面に光学層を形成するステップを追加的に含むことができる。この時、前記光学層は、保護フィルムまたは位相差フィルムのような高分子フィルム層であってもよく、輝度向上フィルムのような機能性フィルム層であってもよいし、ハードコーティング層、反射防止層、接着層、粘着層のような機能性層であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。
【0098】
一方、前記光学層は、ポリビニルアルコール偏光子面に直接付着または形成されてもよく、ポリビニルアルコール偏光子の一面にフィルムやコーティング層などが形成されている場合であれば、前記フィルムやコーティング層上に付着してもよい。
【0099】
前記光学層の形成方法は、形成しようとする光学層の種類に応じてそれぞれ異なる方法で形成可能であり、例えば、当該技術分野でよく知られている光学層の形成方法を利用して形成されてもよく、その方法が特に制限されるものではない。
【0100】
さらに他の側面において、本発明は、このような過程を経て製造された局地的脱色領域を含む偏光部材を提供する。すなわち、本発明の一実施形態は、前記偏光部材の製造方法により製造された局地的脱色領域を含む偏光部材を提供する。前記局地的脱色領域は、偏光解消領域であってよい。前記偏光解消領域は、可視光線領域の400nm〜800nm、より好ましくは450nmから750nmの波長帯域における単体透過度が80%以上であり、85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、前記偏光解消領域は、偏光度が10%以下であり、5%以下であることがより好ましい。前記偏光解消領域の単体透過度が高くかつ偏光度が低いほど視認性が向上し、前記領域に位置することとなるカメラレンズなどの性能および画質をより向上させることができる。
【0101】
本明細書の「単体透過度」は、偏光板の吸収軸の透過度と透過軸の透過度との平均値で表される。また、本明細書の「単体透過度」および「偏光度」は、JASCO社のV−7100モデルを用いて測定された値である。
【0102】
一方、このような過程を経て製造された本発明の局地的脱色領域を含む偏光部材は、長尺のフィルム形態であってよく、これを巻取ることにより、局地的脱色領域を含む偏光部材のロールを製造することができる。
【0103】
図2〜
図4には、本発明の偏光部材の製造方法の具体的な実施形態が示されている。以下、
図2〜
図4を参照して、本発明をより詳細に説明する。ただし、下記
図2〜
図4に関する説明は、本発明の一実施形態に関するものに過ぎず、本発明がこれに限定されるものではない。
【0104】
図2には、本発明の偏光部材の製造方法の第1実施形態が示されている。本発明の第1実施形態によれば、本発明の局地的脱色領域を含む偏光部材の製造方法は、ヨウ素および二色性染料のうちの少なくとも1つ以上が一定の方向に配向されたポリビニルアルコール系偏光子、マスクフィルム、および臨時保護フィルムを提供するステップと、前記マスクフィルムに穿孔部を加工するステップと、前記マスクフィルム、偏光子、および臨時保護フィルムを貼り合わせてフィルム積層体を形成するステップと、前記フィルム積層体を脱色槽に浸漬させて部分脱色させるステップと、前記フィルム積層体からマスクフィルムおよび臨時保護フィルムを除去するステップと、前記部分脱色した偏光子の外観を矯正するステップ(架橋槽に浸漬させて架橋処理するステップおよび/または中和処理させるステップ)と、前記外観矯正ステップを経た偏光子を洗浄および乾燥させるステップとを含む。一方、必要に応じて、前記のように製造された局地的脱色領域を含む偏光子を巻取って、偏光部材ロールを製造することができる。この時、前記フィルム積層体からマスクフィルムおよび臨時保護フィルムを除去するステップは、必要に応じて、外観矯正ステップや洗浄および乾燥ステップの後に行われてもよい。
【0105】
まず、ヨウ素および二色性染料のうちの少なくとも1つ以上が一定の方向に配向されたポリビニルアルコール系偏光子が巻取られたロール110’、マスクフィルムが巻取られたロール120、および臨時保護フィルムが巻取られたロール120’のそれぞれから、偏光子、マスクフィルム、および臨時保護フィルムを巻出す。それぞれの工程は1つの工程で行われてもよく、また、別個の工程で進行してもよい。
【0106】
その後、マスクフィルムに穿孔部を加工するステップと、マスクフィルム、偏光子、および臨時保護フィルムを貼り合わせてフィルム積層体を形成するステップとを行う。
図2には、マスクフィルムの穿孔部加工が、偏光子、マスクフィルム、および臨時保護フィルムの貼り合わせ前に行われるものとして示されているが、これに限定されるものではなく、偏光子、マスクフィルム、および臨時保護フィルムを貼り合わせた後に、穿孔部加工を行っても構わない。
【0107】
一方、前記穿孔部加工は、
図2に示されているように、レーザホール加工装置200を用いて行われてもよいが、これに限定されるものではなく、金型やナイフを用いて行われても構わない。前記レーザホール加工装置200は、当技術分野で知られているものであればその構成要素が特に限定されず、例えば、レーザ210、反射鏡(reflection mirror)220、F−Theta Lens230、ビームエキスパンダ(beam expender)251、ビームシェーパ(beam shaper)252、および基材240などを含むことができる。前記基材は、レーザホール加工装置の適用対象であり、この場合、マスクフィルムであってよい。具体的には、ビームシェーパ252とビームエキスパンダ251は、反射鏡220とF−Theta Lens230との間に挿入されてもよいし、図面には、反射鏡220とF−Theta Lens230との間に1つのみが位置するように表されているが、ビームシェーパ252およびビームエキスパンダ251のうちのいずれか1つが単独で使用されてもよく、2つとも使用されてもよい。レーザホール加工装置200、2000の具体的な構造を
図6aに示した。
図6aは、後述の
図3および
図4のレーザホール加工装置の具体的な構造であってよい。一方、レーザホール加工装置200を用いて穿孔部を加工する場合、穿孔部に相当する領域は、レーザによって切取線が形成された状態であるが、マスクフィルムから離脱した状態ではない。したがって、穿孔部に相当する領域に存在するマスクフィルム片を除去する過程が要求される。前記フィルム片の除去は、剥離ロール140などを用いて行われてもよいし、穿孔部加工がフィルムの貼り合わせ前に行われる場合には、フィルムの貼り合わせ後に行われることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0108】
前記のような過程を経て穿孔部が形成されたマスクフィルム/偏光子/臨時保護フィルムのフィルム積層体130が形成されると、前記フィルム積層体を脱色溶液の入った脱色槽400に浸漬させて偏光子を部分脱色させる。脱色過程が完了すると、フィルム積層体からマスクフィルムおよび臨時保護フィルムを剥離させて除去する。この時、前記剥離は、剥離ロール150などにより行われてもよいが、これに限定されるものではなく、剥離されたマスクフィルムおよび臨時保護フィルムは、別途のロール160に巻取られてもよい。一方、
図2に示された手順とは異なり、マスクフィルムおよび臨時保護フィルムの剥離は、外観矯正ステップの後に進行するか、洗浄および乾燥ステップの後に進行してもよい。前記部分脱色した偏光子は、中和溶液の入った中和槽500に浸漬させて中和処理するか、架橋溶液の入った架橋槽510に浸漬させて架橋処理を実施する。あるいは、中和処理および架橋処理をすべて進行させてもよい。中和処理および/または架橋処理が完了すると、偏光子を洗浄ロール620と加熱ロール660を通過させて洗浄し、乾燥させる。その後、前記乾燥した偏光子をロールに巻取って、局地的脱色領域を含む偏光部材ロールを製造する。一方、図示しないが、前記ロールに巻取る前に、偏光子の片面または両面に光学フィルムを積層するステップ、および/またはハードコーティング層、反射防止層、接着層、または粘着層のような光学層を形成するステップを追加的に実施することができる。
【0109】
図3には、本発明の偏光部材の製造方法の第2実施形態が示されている。本発明の第2実施形態によれば、本発明の局地的脱色領域を含む偏光部材の製造方法は、ヨウ素および二色性染料のうちの少なくとも1つ以上が一定の方向に配向されたポリビニルアルコール系偏光子と、前記偏光子の一面に付着する透明高分子フィルムとを含む偏光部材、およびマスクフィルムを提供するステップと、前記マスクフィルムに穿孔部を加工するステップと、前記偏光部材およびマスクフィルムを貼り合わせてフィルム積層体を形成するステップと、前記フィルム積層体を脱色槽に浸漬させて部分脱色させるステップと、前記フィルム積層体からマスクフィルムを除去するステップ(外観矯正ステップの後、あるいは洗浄および乾燥ステップの後に行われても構わない)と、前記部分脱色した偏光部材を中和槽または架橋槽に浸漬、または中和槽浸漬した後に、架橋槽に浸漬させて外観矯正するステップと、前記架橋処理された偏光部材を洗浄および乾燥させるステップとを含む。一方、必要に応じて、前記のように製造された局地的脱色領域を含む偏光部材を巻取って、偏光部材ロールを製造することができる。
【0110】
まず、ヨウ素および二色性染料のうちの少なくとも1つ以上が一定の方向に配向されたポリビニルアルコール系偏光子と、前記偏光子の一面に付着する透明高分子フィルムとを含む偏光部材が巻取られたロール110、およびマスクフィルムが巻取られたロール120から、偏光部材およびマスクフィルムをそれぞれ巻出す。
【0111】
その後、マスクフィルムに穿孔部を加工するステップと、マスクフィルムと偏光部材とを貼り合わせてフィルム積層体を形成するステップとを行う。
図3には、マスクフィルムの穿孔部加工が偏光部材とマスクフィルムとの貼り合わせ後に行われるものとして示されているが、これに限定されるものではなく、偏光部材とマスクフィルムとの貼り合わせ前に穿孔部加工を行っても構わない。
【0112】
一方、前記穿孔部加工は、
図3に示されているように、レーザホール加工装置200を用いて行われてもよいが、これに限定されるものではなく、金型やナイフを用いて行われても構わない。一方、レーザホール加工装置200を用いて穿孔部を加工する場合、穿孔部に相当する領域は、レーザによって切取線が形成された状態であるが、マスクフィルムから離脱した状態ではない。したがって、穿孔部に相当する領域に存在するマスクフィルム片を除去する過程が要求される。前記フィルム片の除去は、剥離ロール140などを用いて行われてもよく、穿孔部加工がフィルムの貼り合わせ前に行われる場合には、フィルムの貼り合わせ後に行われることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0113】
前記のような過程を経て穿孔部が形成されたマスクフィルム/偏光部材のフィルム積層体130が形成されると、前記フィルム積層体を脱色溶液の入った脱色槽400に浸漬させて偏光部材を部分脱色させる。脱色過程が完了すると、フィルム積層体からマスクフィルムを剥離させて除去する。この時、前記剥離は、剥離ロール150などにより行われてもよいが、これに限定されるものではなく、剥離されたマスクフィルムは、別途のロール160に巻取られてもよい。(マスクフィルム剥離ステップは、上述のように、外観矯正ステップ、または洗浄および乾燥ステップの後に行われてもよい。)以後、偏光子は、中和溶液の入った中和槽(図示せず)に浸漬させて中和処理するか、架橋溶液の入った架橋槽510に浸漬させて架橋処理し、中和および/または架橋処理が完了すると、偏光部材を洗浄ロール620と加熱ロール660に通過させて洗浄し、乾燥させる。その後、前記乾燥した偏光部材をロールに巻取って、局地的脱色領域を含む偏光部材ロールを製造する。一方、図示しないが、前記偏光部材ロールに巻取る前に、偏光部材の片面または両面に光学フィルムを積層するステップ、および/またはハードコーティング層、反射防止層、接着層、または粘着層のような光学層を形成するステップを追加的に実施することができる。
図3には中和槽が示されていないが、上述のように、外観矯正ステップは、中和槽に浸漬するステップ、および/または架橋槽に浸漬するステップを含むことができる。
【0114】
図4には、本発明の偏光部材の製造方法の第3実施形態が示されている。本発明の第3実施形態によれば、本発明の局地的脱色領域を含む偏光部材の製造方法は、ヨウ素および二色性染料のうちの少なくとも1つ以上が一定の方向に配向されたポリビニルアルコール系偏光子と、前記偏光子の一面に付着する透明高分子フィルムとを含む偏光部材を提供するステップと、前記偏光部材の一面に樹脂コーティング層を形成するステップと、前記樹脂コーティング層に穿孔部を形成するステップと、前記穿孔部が形成された樹脂コーティング層を含む偏光部材を脱色槽に浸漬させて部分脱色させるステップと、前記部分脱色した偏光部材を架橋槽に浸漬させて架橋処理するステップと、前記架橋処理された偏光部材を洗浄および乾燥させるステップとを含む。一方、必要に応じて、前記のように製造された局地的脱色領域を含む偏光部材を巻取って、偏光部材ロールを製造することができる。前記架橋処理するステップは、中和処理するステップを追加的にさらに含んでもよく、中和処理するステップに代替されてもよい。
【0115】
まず、ヨウ素および二色性染料のうちの少なくとも1つ以上が一定の方向に配向されたポリビニルアルコール系偏光子と、前記偏光子の一面に付着する透明高分子フィルムとを含む偏光部材が巻取られたロール110から偏光部材を巻出す。
【0116】
その後、前記偏光子の透明高分子フィルムが付着しない面に樹脂組成物を塗布した後(1200)、光または熱などを利用して硬化(1400)させて、樹脂コーティング層を形成する。その後、前記樹脂コーティング層に穿孔部を加工する。この時、前記穿孔部加工は、
図4に示されているように、レーザホール加工装置2000を用いて行われてもよい。
【0117】
前記のような過程を経て前記穿孔部が形成された樹脂コーティング層を含む偏光部材が形成されると、前記偏光部材を脱色溶液の入った脱色槽400に浸漬させて部分脱色させる。脱色過程が完了すると、前記偏光部材を架橋溶液の入った架橋槽500に浸漬させて架橋処理し、架橋処理が完了すると、偏光部材を洗浄ロール620と加熱ロール660に通過させて洗浄し、乾燥させる。この時、架橋溶液の代わりに中和溶液を用いて中和処理してもよく、架橋処理と中和処理をすべて行っても構わない。その後、前記乾燥した偏光部材をロールに巻取って、局地的脱色領域を含む偏光部材ロールを製造する。一方、図示しないが、前記偏光部材ロールに巻取る前に、偏光部材の片面または両面に光学フィルムを積層するステップ、および/またはハードコーティング層、反射防止層、接着層、または粘着層のような光学層を形成するステップを追加的に実施することができる。
【0118】
一方、本発明は、このような方法で製造された本発明の偏光部材ロールから、局地的脱色領域を含む枚葉型偏光部材を製造する方法を提供する。
【0119】
本発明の局地的脱色領域を含む枚葉型偏光部材を製造する方法は、前記本発明の方法により製造された局地的脱色領域を含む偏光部材のロールから偏光部材を提供するステップと、前記偏光部材をチップ形状に切断するステップとを含む。
【0120】
この時、前記偏光部材を提供するステップは、局地的脱色領域を含む偏光部材のロールから偏光部材を巻出す方法で行われてもよく、前記切断ステップは、これに限定されるものではないが、レーザを用いて行われることが好ましい。金型やナイフを用いて偏光部材を切断する場合、切断された偏光部材において脱色領域が同一の位置を有するように調整することが容易でなく、不良発生率が高くなるからである。また、レーザを用いて切断する場合、金型やナイフを用いる場合に比べて、偏光部材の形状を比較的自由に調整することができるという利点がある。例えば、レーザを用いて偏光部材を切断する場合、偏光部材の4つの角の形状を互いに異ならせたり、直線でない曲線形状に切断するなどの変形が可能である。
【0121】
より好ましくは、前記切断ステップは、
図5に示されているように、偏光部材の脱色領域の位置を認識するステップと、前記脱色領域の位置情報に基づいて切断位置を設定するステップと、レーザを用いて前記切断位置で切断を行うステップとを含むことができる。この時、前記脱色領域の位置を認識するステップは、CCDカメラのようなビジョン(VISION)装置3000を用いて行われてもよく、前記脱色領域の位置は、例えば、脱色領域の中央のような特定の位置であってよい。一方、必須ではないが、切断精度を向上させるために、前記ビジョン(VISION)装置3000は、脱色領域の位置のほか、偏光部材の末端の位置または進行方向などを認識するように設定されるか、または偏光部材の末端の位置や進行方向を認識するためのビジョン装置(図示せず)を別途に備えることができる。
【0122】
その後、前記脱色領域の位置を利用して、偏光部材の切断位置を設定するステップを行う。このステップは、ビジョン装置3000と電気的に連結された演算装置(図示せず)により行われてもよく、設定された切断位置情報はレーザ装置4000に伝送される。その後、レーザ装置4000で前記切断位置情報どおりに偏光部材を切断する。また、レーザ装置4000の具体的な構造を
図6bに示した。
図6bは、
図5のレーザ装置の具体的な構造であってよい。
【0123】
前記のような方法により偏光部材を切断する場合、脱色領域の位置から切断位置が設定されるため、最終的に生成される枚葉型偏光部材において脱色領域の位置が同一になり、その結果、不良率を減少させ、品質の均一性を向上させることができる。
【0124】
前記のような過程により、偏光部材が切断されると、剥離ロール500などを用いて、切断された枚葉型偏光部材7000と、残りの部分6000とを分離させることにより、枚葉型偏光部材7000を得ることができる。
【0125】
さらに他の側面において、本発明は、上述の枚葉型偏光部材の製造方法により製造された局地的脱色領域を含む枚葉型偏光部材を提供する。
【0126】
他の側面において、本発明は、前記枚葉型偏光部材を含む偏光板を提供する。前記局地的脱色領域は、上述のように、偏光解消領域であってよく、偏光解消領域の単体透過度および偏光度は上述の内容が適用可能である。一方、前記偏光板の偏光解消領域を除いた領域は、単体透過度が40%〜47%であることが好ましく、41%〜46%であることがより好ましい。さらに、前記偏光板の偏光解消領域を除いた領域は、偏光度が99%以上であることが好ましい。これは、偏光解消領域を除いた残りの領域は、本来の偏光板の機能を果たすことで、前記範囲のような優れた光学物性を示さなければならないからである。
【0127】
前記偏光板は、本発明の一実施形態に係る製造方法により製造された局地的脱色領域を含む偏光部材を含むことを除いては、当技術分野で知られている構成要素を含むことができる。例えば、位相差フィルム、ハードコーティング層などをさらに含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0128】
他の側面において、本発明は、表示パネルと、前記表示パネルの片面または両面に付着している上述の偏光板とを含む画像表示装置を提供する。
【0129】
前記表示パネルは、液晶パネル、プラズマパネルおよび有機発光パネルであってよく、これによって、前記画像表示装置は、液晶表示装置(LCD)、プラズマ表示装置(PDP)および有機電界発光表示装置(OLED)であってよい。
【0130】
より具体的には、前記画像表示装置は、液晶パネルと、該液晶パネルの両面にそれぞれ備えられた偏光板とを含む液晶表示装置であってよいし、この時、前記偏光板のうちの少なくとも1つが、上述の本発明の一実施形態に係る偏光板であってよい。
【0131】
この時、前記液晶表示装置に含まれる液晶パネルの種類は特に限定されない。例えば、その種類に制限されず、TN(twisted nematic)型、STN(super twisted nematic)型、F(ferroelectic)型、またはPD(polymer dispersed)型のようなパッシブマトリクス方式のパネル;2端子型(two terminal)または3端子型(three terminal)のようなアクティブマトリクス方式のパネル;横電界型(IPS;In Plane Switching)パネルおよび垂直配向型(VA;Vertical Alignment)パネルなどの公知のパネルがすべて適用可能である。また、液晶表示装置を構成するその他の構成、例えば、上部および下部基板(例えば、カラーフィルタ基板またはアレイ基板)などの種類も特に制限されず、この分野で公知の構成が制限なく採用可能である。
【0132】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記画像表示装置は、前記偏光板の偏光解消領域に備えられたカメラモジュールをさらに含むことを特徴とする画像表示装置であってよい。可視光線領域の透過度が向上し、偏光度が解消された偏光解消領域にカメラモジュールを位置させることにより、カメラレンズ部の視認性を増大させる効果をもたらすことができる。
【0133】
以下、実施例を通じて、本発明をより詳細に説明する。しかし、以下の実施例は本発明を例示するためのものであり、これによって本発明の範囲が限定されるものではない。
【0134】
<実施例1>
過程1.延伸された偏光素子の一面に、トリアセチルセルロース(TriAcethyl Cellulose;TAC)フィルムをUV接着剤を用いて付着させ、反対面には、偏光素子の損傷を防止するために、PETフィルムを接着しない状態で偏光素子と貼り合わせる。偏光素子に使用されるPVAフィルムは、Kuraray社の商用品を使用した。
【0135】
過程2.偏光フィルムの表面保護のために使用される保護用PETフィルムを用いてマスクフィルムを作製した。保護用PETフィルムは、PET/粘着剤/離型フィルムが貼り合わされている構造で、レーザ設備を用いて所望の部位に穿孔部を形成した。穿孔部が形成されたマスクフィルムの離型フィルムを剥がし、過程1で製造された偏光素子に接着しない状態で付着していたPETフィルムを除去して偏光素子を露出させた後、マスクフィルムを粘着剤を用いて偏光素子に付着させて、偏光部材を製造した。
【0136】
過程3.KOH(水酸化カリウム)10%溶液に、過程2により製造された偏光部材を浸漬させた後に、クエン酸(citric acid)3%溶液で中和処理するステップを経た、部分脱色した偏光部材を製造した。
【0137】
具体的には、KOH溶液の温度は50℃、処理時間は15秒の条件で浸漬し、浸漬後は、フィルムを20℃の純水で洗浄した後、25℃のクエン酸3%溶液に10秒間浸漬させて中和処理を実施した。中和処理後も残留した酸溶液を除去するために、20℃の純水で洗浄を実施した。中和処理後には、マスク層を除去し、残っている水分を除去するために、50℃の条件で30秒間乾燥オーブンを通過させて乾燥を進行させた。
【0138】
<比較例1>
中和処理するステップを行わないことを除いては、実施例1と同様に偏光部材を製造した。
【0139】
比較例1により製造された偏光部材と比較して、実施例1により製造された偏光部材の部分脱色部位の外観変形の程度が緩和されたことを確認し、その結果は
図7および
図8に示した。
【0140】
図7は、実施例1と比較例1の脱色部分の膨れ上がった程度を比較した結果であり、具体的には、レーザ顕微鏡で脱色部分が膨れて盛り上がった高さを測定した結果である。
【0141】
一方、
図8は、実施例1と比較例1の脱色部分の垂れ下がった程度を比較した結果であり、具体的には、レーザ顕微鏡で脱色部分が周辺部に比べて垂れ下がった深さを測定した結果である。
【0142】
図7および
図8を通じて、本発明の一実施形態のように、部分脱色ステップの後に外観矯正ステップを行うことにより、偏光部材の外観変形を緩和して、結果的に寸法安定性を高められることが分かる。