(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コーティング組成物(A)中に存在するビスマスの全量が、コーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも100ppm〜20000ppmの範囲である、請求項1から4のいずれか一項に記載のコーティング組成物(A)。
少なくとも1つの錯化剤(A5)が、コーティング組成物(A)中に存在するビスマスの全量に対して少なくとも5モル%の割合で水性コーティング組成物(A)中に存在する、請求項8に記載のコーティング組成物(A)。
50〜400Vの範囲で段階(1b)で印加される電圧が、段階(1a)を実行した後に0〜300秒の時間間隔で実施され、前記50〜400Vの電圧範囲内の値で10〜300秒の範囲の間維持される、請求項17から19のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
一つの好ましい実施形態では、例えば本発明の水性コーティング組成物(A)に関連する場合のような本発明の意味での「含む」という用語は、「からなる」という意味を有する。この好ましい実施形態での本発明のコーティング組成物(A)に関しては、(A1)、水、特に(A3)および/または(A4)の形態である全量で少なくとも30ppmのビスマス、および(B)、ならびにまた任意により(A2)の他に、例えば、さらに任意の成分(A5)および/または(A6)および/または(A7)および/または(A8)、ならびにまた任意により存在する有機溶媒などの、以下で識別され、本発明にしたがって使用されるコーティング組成物(A)中に任意に存在する1つまたは複数のさらなる成分もコーティング組成物(A)中に存在することができる。本発明にしたがって使用されるコーティング組成物(A)中の上記および以下で識別されるこうした成分すべては、それぞれその好ましい実施形態で存在することができる。
【0016】
基材
本発明にしたがって使用される適切な導電性基材は、日常的に用いられる当業者に公知の導電性基材のすべてである。本発明にしたがって使用される導電性基材は、好ましくは、鋼、好ましくは、冷延鋼板、ディップ亜鉛メッキ鋼、合金メッキ鋼(例えばGalvalume、Galvannealed、またはGalfanなど)およびアルミナイズド鋼などのメッキ鋼からなる群から選択される鋼、アルミニウム、およびマグネシウムからなる群から選択される;例えばディップ亜鉛メッキ鋼などのメッキ鋼が特に適している。特に好ましくは、使用される基材の表面は少なくとも部分的にガルバニール処理されている。熱間圧延鋼、高強度鋼、Zn/Mg合金、およびZn/Ni合金が、また基材として適している。特に適した基材は、自動車生産用のボディーまたは完全ボディーの部材である。本発明の方法はまた、コイルコーティング用に使用することができる。当該の導電性基材が使用される前に、基材は、好ましくは、清浄化および/または脱グリースされる。
【0017】
本発明にしたがって使用される導電性基材は、少なくとも1つの金属リン酸塩で前処理された基材であってよい。さらに、本発明にしたがって使用される導電性基材は、クロメート基材であってよい。基材が清浄化された後、およびディップコートされる前に通常実施されるリン酸塩処理またはクロメート処理によるかかる前処理は、詳細には、自動車業界内で日常的な前処理工程である。本文脈では、任意に実施される前処理が環境および/または経済面から見て有利であるように設計されることが特に望ましい。したがって、例えば、通常のトリカチオンリン酸塩処理の代わりにニッケル成分が除外され、代わりにジカチオンリン酸塩処理(亜鉛およびマンガンカチオンを含み、ニッケルカチオンを含まない)が、水性コーティング組成物(A)によるコーティングの前に本発明にしたがって使用される導電性基材上に実施される任意の前処理工程が可能である。
【0018】
しかし、本発明の具体的な目的は、例えばリン酸亜鉛などの金属リン酸塩によるリン酸塩処理によるか、またはクロメート処理による少なくとも部分的なコーティングのための導電性基材のかかる前処理を省略することが可能になることである。したがって、一つの好ましい実施形態では、本発明にしたがって使用される導電性基材は、かかるリン酸塩またはクロメート基材ではない。
【0019】
本発明の水性コーティング組成物(A)でコートされる前に、本発明にしたがって使用される導電性基材は、少なくとも1つのTi原子および/または少なくとも1つのZr原子を含む少なくとも1つの水溶性化合物を含み、少なくとも1つのフッ素イオンを含むフッ化物イオン源としての少なくとも1つの水溶性化合物を含む水性前処理組成物、あるいは少なくとも1つのTi原子および/または少なくとも1つのZr原子を含む少なくとも1つの水溶性化合物と、少なくとも1つのフッ素イオンを含むフッ化物イオン源としての少なくとも1つの水溶性化合物との反応によって取得可能な水溶性化合物を含む水性前処理組成物を用いて前処理することができる。
【0020】
この場合の少なくとも1つのTi原子および/または少なくとも1つのZr原子は、好ましくは、酸化状態+4を有する。水性前処理組成物が含む成分のために、およびさらに、好ましくは、こうした成分の適切に選択された割合のために、水性前処理組成物は、好ましくは、ヘキサフルオロ金属塩などのフッ素錯体、すなわち、詳細には、ヘキサフルオロチタン酸塩および/または少なくとも1つのヘキサフルオロジルコン酸塩を含む。前処理組成物は、好ましくは、2.5・10
−4モル/L以上であるが2.0・10
−2モル/Lを超えない元素Tiおよび/またはZrの全濃度を有する。かかる前処理組成物の製造および導電性基材の前処理におけるその使用は、例えば、WO2009/115504A1で公知である。
【0021】
前処理組成物は、好ましくは、銅イオン、好ましくは、銅(II)イオン、また任意にCa、Mg、Al、B、Zn、MnおよびWならびにまたその混合物からなる群から選択される少なくとも1つの金属イオンを含む、1つまたは複数の水溶性および/または水分散性化合物、好ましくは、少なくとも1つのアルミノシリケート、より具体的には、少なくとも1:3のAlとSiの原子比を有するものとをさらに含む。かかる前処理組成物の製造および導電性基材の前処理におけるその使用は、例えば、WO2009/115504A1で公知である。アルミノシリケートは、好ましくは、動的光散乱によって決定可能な1〜100nmの範囲の粒径を有するナノ粒子の形態で存在する。動的光散乱によって決定可能な1〜100nmの範囲の、かかるナノ粒子の平均粒径は、DIN ISO 13321(日付:2004年10月1日)にしたがって決定される。
【0022】
しかし、一つの好ましい実施形態では、本発明にしたがって使用される導電性基材は、かかる前処理組成物のいかなるものによっても前処理されていない基材である。
【0023】
成分(A1)および任意の成分(A2)
本発明にしたがって使用される水性コーティング組成物(A)は、成分(A1)としての少なくとも1つのカソード析出性の結合剤および任意に成分(A2)としての少なくとも1つの架橋剤とを含む。
【0024】
コーティング組成物(A)の一部としての「結合剤」という用語は、本発明では、好ましくは、本発明にしたがって使用される水性コーティング組成物(A)のうちのカソード析出性のポリマー性樹脂、すなわち、膜形成の役割をする樹脂を包含するが、存在する架橋剤のいずれもが結合剤の概念中には含まれない。したがって、本発明の意味での「結合剤」は、ポリマー性樹脂であるが、存在する架橋剤のいずれもが結合剤の概念中には含まれない。さらに、詳細には、存在するいずれの顔料およびフィラーが、結合剤の概念中には含まれない。好ましくは、さらに、任意の成分(A5)がポリマー性錯化剤を含んでいても、その成分は、結合剤の概念中には含まれない。
【0025】
本発明にしたがって使用されるコーティング組成物(A)は、好ましくは、少なくとも1つのカソード析出性の結合剤(A1)および任意に存在する少なくとも1つの架橋剤(A2)を含む水性分散液または水溶液、より好ましくは、少なくとも1つの水性分散液を使用して製造される。(A1)および任意に(A2)を含むこの水性分散液または水溶液は、好ましくは、この水性分散液または水溶液のそれぞれの場合の全質量に対して25〜60質量%の範囲、より好ましくは、27.5〜55質量%の範囲、非常に好ましくは、30〜50質量%の範囲、さらにより好ましくは、32.5〜45質量%の範囲、具体的には、35〜42.5質量%の範囲の非揮発性画分、すなわち、固体含量を有する。
【0026】
固体含量を決定するための方法は、当業者に公知である。固体含量は、好ましくは、DIN EN ISO 3251(日付:2008年6月1日)によって、詳細には、この標準によって180°C30分間にわたって決定される。
【0027】
当業者は、カソード析出性の結合剤(A1)について公知である。結合剤は、より好ましくはカソード析出性の結合剤である。本発明で用いられる結合剤は、好ましくは、水中に分散性または溶解性の結合剤である。
【0028】
当業者に公知の通常のカソード析出性の結合剤はすべて、本発明にしたがって使用される水性コーティング組成物(A)の結合剤成分(A1)として本明細書において適している。
【0029】
結合剤(A1)は、好ましくは、架橋反応を可能にする反応性官能基を有する。本明細書における結合剤(A1)は、自己架橋結合剤または外部架橋結合剤、好ましくは、外部架橋結合剤である。したがって、架橋反応を可能にするために、コーティング組成物(A)は、好ましくは、少なくとも1つの結合剤(A1)に加えて少なくとも1つの架橋剤(A2)をさらに含む。
【0030】
コーティング組成物(A)中に存在する結合剤(A1)または任意に存在する架橋剤(A2)は、好ましくは、熱架橋性である。結合剤(A1)および任意に存在する架橋剤(A2)は、好ましくは、室温超、すなわち18〜23℃超の温度までの加熱で架橋性である。結合剤(A1)および任意に存在する架橋剤(A2)は、好ましくは、≧80°C、より好ましくは、≧110°C、非常に好ましくは、≧130°C、特に好ましくは、≧140°Cのオーブン温度でのみ架橋性である。特に有利には、結合剤(A1)および任意に存在する架橋剤(A2)は、100〜250°C、より好ましくは、125〜250°C、非常に好ましくは、150〜250°Cにおいて架橋性である。
【0031】
コーティング組成物(A)は、好ましくは、架橋反応を好ましくは少なくとも1つの架橋剤(A2)と組み合わせて可能にする反応性官能基を有する少なくとも1つの架橋剤(A1)を含む。
【0032】
当業者に公知である通常の架橋性で反応性の官能基のいずれもが本明細書で企図されている。結合剤(A1)は、好ましくは、任意に置換される第1級アミノ基、任意に置換される第2級アミノ基、置換される第3級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、例えば、ビニル基や(メタ)アクリラート基などの少なくとも1つのC=C二重結合を有する基、およびエポキシド基からなる群から選択される反応性官能基を有し、第1級および第2級アミノ基が、例えば、メチル、エチル、n−プロピルまたはイソプロピルなどのC
1〜6脂肪族基からなる群から選択される1個または2個または3個の置換基によってそれぞれの場合、互いに独立に置換されることが可能であり、こうしたC
1〜6脂肪族基が、OH、NH
2、NH(C
1〜6アルキル)、およびN(C
1〜6アルキル)
2からなる群から選択される1個、2個または3個の置換基によってそれぞれの場合、互いに独立に任意に置換されることが可能である。任意に置換される第1級アミノ基、任意に置換される第2級アミノ基、およびヒドロキシル基からなる群から選択される反応性官能基を有する少なくとも1つの結合剤(A1)が特に好ましく、第1級および第2級アミノ基が、例えば、メチル、エチル、n−プロピルまたはイソプロピルなどのC
1〜6脂肪族基からなる群から選択される1個または2個または3個の置換基によってそれぞれの場合、互いに独立に任意に置換されることが可能であり、こうしたC
1〜6脂肪族基が、OH、NH
2、NH(C
1〜6アルキル)、およびN(C
1〜6アルキル)
2からなる群から選択される1個、2個または3個の置換基によってそれぞれの場合、互いに独立に任意に置換されることが可能である。本明細書の反応性官能基、特に、任意に置換される第1級および第2級アミノ基は、少なくとも部分的にプロトン化形態で任意に存在することができる。
【0033】
特に好ましくは、結合剤(A1)は、少なくとも部分的にプロトン化形態で任意に存在する第3級アミノ基、非常に好ましくは、少なくとも1個のみヒドロキシル基によってそれぞれ置換される少なくとも2つのC
1〜3アルキル基をそれぞれの場合、互いに独立に有する、より具体的には、2つのヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、または1つのヒドロキシプロピル基と1つのヒドロキシエチル基をそれぞれの場合、互いに独立に有する第3級アミノ基を有し、結合剤(A1)が、好ましくは、少なくとも1つのポリマー性樹脂である。かかる結合剤は、例えば、JP2011−057944Aに記載されている方法によって取得できる。
【0034】
コーティング組成物(A1)中に存在する結合剤(A1)は、好ましくは、少なくとも1つのアクリラート系ポリマー性樹脂および/または少なくとも1つのエポキシド系ポリマー性樹脂、より具体的には、少なくとも1つのカチオン性エポキシド系およびアミン修飾樹脂である。この種のカチオン性アミン修飾エポキシド系樹脂の製造は、公知であり、例えば、DE3518732、DE3518770、EP0004090、EP0012463、EP0961797B1、およびEP0505445B1に記載されている。カチオン性エポキシド系アミン修飾樹脂とは、好ましくは、少なくとも1つの任意に修飾されたポリエポキシド、すなわち、2つ以上のエポキシド基を有する少なくとも1つの任意に修飾されたポリエポキシドと少なくとも1つの好ましくは水溶性アミン、好ましくは、少なくとも1つのかかる第1級および/または第2級アミンとの反応生成物であると理解されよう。特に好ましくは、ポリエポキシドは、ポリフェノールのポリグリシジルエーテルであり、ポリフェノールおよびエピハロヒドリンから製造される。使用できるポリフェノールとして、詳細には、ビスフェノールAおよび/またはビスフェノールFが挙げられる。他の適切なポリエポキシドは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、および2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンなどの多価アルコールのポリグリシジルエーテルである。修飾ポリエポキシドは、いくつかの反応性官能基が少なくとも1つの修飾化合物と反応したようなポリエポキシドである。かかる修飾化合物の例は、以下の通りである:
a)飽和もしくは不飽和モノカルボン酸(例えば、安息香酸、アマニ油脂肪酸、2−エチルヘキサン酸、バーサチック酸)、多様な鎖長を有する脂肪族、脂環式および/または芳香族ジカルボン酸(例えば、アジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸、または二量体脂肪酸)、ヒドロキシアルキルカルボン酸(例えば、乳酸、ジメチロールプロピオン酸)、およびカルボキシル含有ポリエステルスなどのカルボキシル基を含む化合物、あるいは
b)ジエチルアミンまたはエチルヘキシルアミンまたは第2級アミノ基を有するジアミン、例えば、ジメチルエチレンジアミンなどのN,N’−ジアルキルアルキレンジアミン、N,N’−ジメチルポリオキシプロピレンジアミンなどのN,N’−ジアルキルポリオキシアルキレンアミン、ビス−N,N’−シアンエチル−エチレンジアミンなどのシアンアルキル化アルキレンジアミン、ビス−N,N’−シアンエチルポリオキシプロピレンジアミンなどのシアンアルキル化ポリオキシアルキレンアミン、バーサミドなどのポリアミノアミド、例えば、特にジアミン(例えば、ヘキサメチレンジアミン)、ポリカルボン酸、特に二量体脂肪酸、およびモノカルボン酸、特に脂肪酸のアミノ末端反応生成物、または1モルのジアミノヘキサンと2モルのモノグリシジルエーテル、またはモノグリシジルエステル、特にバーサチック酸などのα−分枝脂肪酸のグリシジルエステルとの反応生成物などのアミノ基を含む化合物、あるいは
c)ネオペンチルグリコール、ビスエトキシル化ネオペンチルグリコール、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバラート、ジメチルヒダントイン−N−N’−ジエタノール、ヘキサン−1,6−ジオール、ヘキサン−2,5−ジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,1−イソプロピリデンビス(p−フェノキシ)−2−プロパノール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、またはトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンなどのアミノアルコール、またはアミノメチルプロパン−1,3−ジオールメチルイソブチルケチミンもしくはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンシクロヘキサノンケチミンなどのヒドロキシル含有アルキルケチミン、およびまた多様な官能基および分子量を有するポリグリコールエーテル、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカプロラクタムポリオールなどのヒドロキシル基を含む化合物、あるいは
d)ナトリウムメトキシドの存在下でエポキシ樹脂のヒドロキシル基によってエステル交換される飽和もしくは不飽和脂肪酸メチルエステル。
【0035】
使用できるアミンの例は、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メチルブチルアミンなどのモノーおよびジアルキルアミン、例えば、メチルエタノールアミンもしくはジエタノールアミンなどのアルカノールアミン、および例えばジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、もしくはジメチルアミノプロピルアミンなどのジアルキルアミノアルキルアミンである。使用できるアミンはまた、他の官能基も含むことができるが、ただしこうした基がアミンと任意に修飾されたポリエポキシドのエポキシド基との反応を妨害せず、また反応混合物のゲル化をもたらさないという条件下においてである。第2級アミンが、好ましくは、使用される。水との稀釈性および電気的析出のために必要である電荷は、水溶性酸(例えば、ホウ酸、ギ酸、酢酸、乳酸、好ましくは酢酸)によるプロトン化によって生成することができる。カチオン基を任意に修飾されるポリエポキシド内に導入するためのさらなる可能性は、ポリエポキシド中のエポキシド基とアミン塩との反応に存在する。
【0036】
少なくとも1つのカソード析出性の結合剤(A1)の他に、コーティング組成物(A)は、好ましくは、結合剤(A1)の反応性官能基との架橋反応を可能にする少なくとも1つの架橋剤(A2)を含む。
【0037】
フェノール性樹脂、多官能性マンニッヒ塩基、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、エポキシド、遊離ポリイソシアナートおよび/またはブロック化ポリイソシアナート、特にブロック化ポリイソシアナートなどの当業者に公知の通常の架橋剤(A2)はすべて使用することができる。
【0038】
特に好ましい架橋剤(A2)は、ブロック化ポリイソシアナートである。利用できるブロック化ポリイソシアナートは、例えば、ジイソシアナートなど任意のポリイソシアナートであり、その場合、イソシアナート基は、化合物と反応しており、そのために、形成されたブロック化ポリイソシアナートは、室温、すなわち、18〜23°Cの温度で詳細には、第1級および/または第2級アミノ基などのヒドロキシルおよびアミノ基に関して安定であるが、例えば、≧80°C、より好ましくは、≧110°C、非常に好ましくは、≧130°C、特に好ましくは、≧140°Cで、または90°C〜300°Cで、または100〜250°Cで、より好ましくは、125〜250°Cで、非常に好ましくは、150〜250°Cのような高目の温度で反応する。
【0039】
ブロック化ポリイソシアナートの製造では、架橋に適している任意の所望の有機ポリイソシアナートを使用することが可能である。使用されるイソシアナートは、好ましくは、(ヘテロ)脂肪族、(ヘテロ)脂環式、(ヘテロ)芳香族、または(ヘテロ)脂肪族−(ヘテロ)芳香族イソシアナートである。2〜36個、より具体的には、6〜15個の炭素原子を含むジイソシアナートが好ましい。好ましい例は、1,2−エチレンジイソシアナート、1,4−テトラメチレンジイソシアナート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、2,2,4(2,4,4)−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート(TMDI)、ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、1,9−ジイソシアナト−5−メチルノナン、1,8−ジイソシアナト−2,4−ジメチルオクタン、1,12−ドデカンジイソシアナート、ω,ω’−ジイソシアナトジプロピルエーテル、シクロブテン1,3−ジイソシアナート、シクロヘキサン1,3−および1,4−ジイソシアナート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアナート(イソホロンジイソシアナート、IPDI)、1,4−ジイソシアナトメチル−2,3,5,6−テトラメチルシクロヘキサン、デカヒドロ−8−メチル−1,4−メタノナフタレン−2(または3),5−イレンジメチレンジイソシアナート、ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−インダン−1(または2),5(または6)−イレンジメチレンジイソシアナート、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン−1(または2),5(または6)−イレンジイソシアナート、2,4−および/または2,6−ヘキサヒドロトリレンジイソシアナート(H6−TDI)、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアナート(TDI)、ペルヒドロ−2,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、ペルヒドロ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(H
12MDI)、4,4’−ジイソシアナト−3,3’,5,5’−テトラメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジイソシアナト−2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタメチルジシクロヘキシルメタン、ω,ω’−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−ジイソシアナトメチル−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2−メチル−1,5−ジイソシアナトペンタン(MPDI)、2−エチル−1,4−ジイソシアナトブタン、1,10−ジイソシアナトデカン、1,5−ジイソシアナトヘキサン、1,3−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン、2,5(2,6)−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(NBDI)、およびまたこうした化合物の任意の混合物である。高級イソシアナート官能性を有するポリイソシアナートもまた使用することができる。その例は、三量体化ヘキサメチレンジイソシアナートおよび三量体化イソホロンジイソシアナートである。さらに、ポリイソシアナートの混合物もまた、利用することができる。本発明のために架橋剤(A2)として企図された有機ポリイソシアナートはまた、例えば、ポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールを含めたポリオールから誘導されるプレポリマーであってよい。2,4−トルエンジイソシアナートおよび/または2,6−トルエンジイソシアナート(TDI)、および/または2,4−トルエンジイソシアナートおよび2,6−トルエンジイソシアナート、および/またはジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)の異性体混合物が特に好ましい。
【0040】
好ましくは、ポリイソシアナートのブロック化のために、任意の所望の適切な脂肪族、脂環式または芳香族アルキルモノアルコールを使用することができる。その例は、メチル、エチル、クロロエチル、プロピル、ブチル、アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、3,3,5−トリメチルヘキシル、デシル、およびラウリルアルコールなどの脂肪族アルコール;シクロペンタノールおよびシクロヘキサノールなどの脂環式アルコール;フェニルカルビノールおよびメチルフェニルカルビノールなどの芳香族アルコールである。他の適切なブロック化剤は、エタノールアミンなどのヒドロキシルアミン、メチルエチルケトンオキシム、アセトンオキシム、およびシクロヘキサノンオキシムなどのオキシム、ならびにジブチルアミンおよびジイソプロピルアミンなどのアミンである。
【0041】
本発明にしたがって使用されるコーティング組成物(A)における少なくとも1つの結合剤(A1)と任意に存在する少なくとも1つの架橋剤(A2)の相対的な質量比は、それぞれの場合においてコーティング組成物(A)中の少なくとも1つの結合剤(A1)および少なくとも1つの架橋剤(A2)の固体含量に対して、好ましくは、4:1〜1.1:1の範囲、より好ましくは、3:1〜1.1:1の範囲、非常に好ましくは、2.5:1〜1.1:1の範囲、より具体的には、2.1:1〜1.1:1の範囲である。
【0042】
別の好ましい実施形態では、本発明にしたがって使用されるコーティング組成物(A)における少なくとも1つの結合剤(A1)と任意に存在する少なくとも1つの架橋剤(A2)の相対的な質量比は、それぞれの場合においてコーティング組成物(A)中の少なくとも1つの結合剤(A1)および少なくとも1つの架橋剤(A2)の固体含量に対して、4:1〜1.5:1の範囲、より好ましくは、3:1〜1.5:1の範囲、非常に好ましくは、2.5:1〜1.5:1の範囲、より具体的には、2.1:1〜1.5:1の範囲である。
【0043】
コーティング組成物(A)
本発明の水性コーティング組成物(A)は、導電性基材を電着材料で少なくとも部分的にコートするのに適しており、このことは、この組成物(A)が、導電性基材の基材面に電着の形態で少なくとも部分的に施用されるのに適していることを意味する。好ましくは、本発明の水性コーティング組成物(A)全体が、カソード析出性である。
【0044】
本発明の水性コーティング組成物(A)は、液体稀釈剤として水を含む。
【0045】
コーティング組成物(A)に関連して「水性」という用語は、好ましくは、液体稀釈剤の主成分として、すなわち、液体溶媒および/または分散媒体として水を含む液体コーティング組成物(A)を指す。しかし、任意に、コーティング組成物(A)は、少ない割合で少なくとも1つの有機溶媒を含むことができる。かかる有機溶媒の例として、ヘテロ環式、脂肪族または芳香族炭化水素、モノーもしくは多価アルコール、特にメタノールおよび/またはエタノール、エーテル、エステル、ケトン、および例えば、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、ジメチルホルムアミドなどのアミド、トルエン、キシレン、ブタノール、エチルグリコールおよびブチルグリコールならびにまたそのアセタート、ブチルジグリコール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、イソホロン、またはその混合物が挙げられる。こうした有機溶媒の割合は、好ましくは、それぞれの場合コーティング組成物(A)中に存在する液体稀釈剤、すなわち、液体溶媒および/または分散媒体の全割合に対して20.0質量%以下、より好ましくは、15.0質量%以下、非常に好ましくは、10.0質量%以下、より具体的に、5.0質量%以下または4.0質量%以下または3.0質量%以下、さらにより好ましくは、2.5質量%以下または2.0質量%以下または1.5質量%以下、最も好ましくは、1.0質量%以下または0.5質量%以下である。
【0046】
本発明のコーティング組成物(A)中に含まれる全成分の質量%割合、換言すれば、コーティング組成物(A)の全質量に対する(A1)、水、特に(A3)および/または(A4)の形態である全量で少なくとも30ppmのビスマス、および(B)、ならびにまた任意に(A2)および/または(A5)および/または(A6)および/または(A7)および/または(A8)、およびまたは任意に存在する有機溶媒の割合は、好ましくは、合計で100質量%になる。
【0047】
水性コーティング組成物(A)は、好ましくは、それぞれの場合水性コーティング組成物(A)の全質量に対して5〜45質量%の範囲、より好ましくは、7.5〜35質量%の範囲、非常に好ましくは、10〜30質量%の範囲、さらにより好ましくは、12.5〜25質量%の範囲または15〜30質量%の範囲または15〜25質量%の範囲、より具体的には、17〜22質量%の範囲の固体含量を有する。固体含量を決定するための方法は、当業者に公知である。固体含量は、好ましくは、DIN EN IS O3251(日付:2008年6月1日)にしたがって決定される。
【0048】
本発明にしたがって使用される水性コーティング組成物(A)は、好ましくは、水性分散液または水溶液、好ましくは、水性分散液である。
【0049】
本発明のコーティング組成物(A)は、4.0〜6.5の範囲のpHを有する。本発明にしたがって使用される水性コーティング組成物(A)は、好ましくは、4.2〜6.5の範囲、より具体的には、4.4〜6.5の範囲または4.6〜6.5の範囲、特に好ましくは、4.8〜6.4の範囲、最も好ましくは、5.0〜6.2または5.2〜6.0または5.5〜6.0の範囲のpHを有する。水性組成物中のpH水準を調整するための方法は、当業者に公知である。所望のpHは、好ましくは、少なくとも1つの酸、より好ましくは、少なくとも1つの無機および/または少なくとも1つの有機酸の添加によって設定される。適切な無機酸の例は、塩酸、硫酸、リン酸および/または硝酸である。適切な有機酸の例は、プロピオン酸、乳酸、酢酸および/またはギ酸である。あるいはまたはさらにはおよびまた好ましくは、以下に述べる成分が目的のために適切である、すなわち、例えば、カルボキシル基および/またはフェノール性OH基などの少なくとも1つの脱プロトン性官能基を例えば有するのであれば、pH水準を調整するためにコーティング組成物(A)中に任意に存在する少なくとも1つの成分(A5)を使用することも可能である。
【0050】
ビスマスおよび成分(A3)および/または(A4)の全量
コーティング組成物(A)は、コーティング組成物(A)の全質量に対して全量で少なくとも30ppmのビスマスを含む。
【0051】
コーティング組成物(A)中に存在するビスマス全量は、好ましくは、それぞれの場合コーティング組成物(A)の全質量に対して、少なくとも50ppmまたは少なくとも100ppmまたは少なくとも150ppmまたは少なくとも175ppmまたは少なくとも200ppm、より好ましくは、少なくとも300ppm、非常に好ましくは、少なくとも500または少なくとも750ppm、より具体的には、少なくとも1000ppmまたは少なくとも1500ppmまたは少なくとも2000ppmである。コーティング組成物(A)中に存在するビスマス全量は、好ましくは、それぞれの場合コーティング組成物(A)の全質量に対して、それぞれの場合、20000ppm以下、より好ましくは、15000ppm以下、非常に好ましくは、10000ppm以下または7500ppm以下、より具体的には、5000ppm以下または4000ppm以下である。コーティング組成物(A)中に存在するビスマス全量は、水性コーティング組成物(A)の全質量に対して、好ましくは、30ppm〜20000ppmの範囲、より好ましくは、50ppm〜15000ppmの範囲、非常に好ましくは、100ppm〜10000ppmの範囲、特に好ましくは、500ppm〜10000ppmの範囲または500ppm〜20000ppmの範囲または1000ppm〜10000ppmの範囲または1000ppm〜5000ppmの範囲または500ppm〜3000ppmの範囲である。
【0052】
コーティング組成物(A)中および具体的に任意に成分(A3)およびまた任意に(A4)中のビスマス全量に関連しての「ビスマス」という用語は、本発明の意味において、多様な価数を有する例えば、正荷電カチオン性ビスマス原子などの任意に電荷を有するビスマスを好ましくは指すと理解されよう。この場合のビスマスは、3価の形態(Bi(III))であってよいが、あるいはまたはさらにはまた他の酸化状態で存在してもよい。ビスマス量は、本明細書のそれぞれの場合、ビスマス金属として計算される。金属として計算されるビスマスの量を、以下の方法(ICP−OES)によって決定してもよい。
【0053】
コーティング組成物(A)中に存在するビスマスの全量は、コーティング組成物(A)中に溶液の形態(A3)で存在するビスマスのみを含んでいてもよい。コーティング組成物(A)中に存在するビスマスの全量は、あるいは、コーティング組成物(A)中に溶液の形態(A3)だけでなく、コーティング組成物(A)中に非溶液の形態(A4)で存在するビスマスも含んでいてもよい。好ましくはコーティング組成物(A)中に存在するビスマスの全量の少なくとも一部が、コーティング組成物(A)中に溶液の形態(A3)で存在する。特に好ましくは、コーティング組成物(A)中に存在するビスマスは、コーティング組成物(A)中に溶解している形態(A3)、および/またはコーティング組成物(A)中に溶解していいない形態(A4)である。
【0054】
コーティング組成物(A)中に存在するビスマス全量は、好ましくは、それぞれの場合、(A3)と(A4)の総和である。別の好ましい実施形態において、コーティング組成物(A)中に存在するビスマスの全量は、成分(A3)の量に相当する。
【0055】
コーティング組成物(A)がさらに成分(A5)を含む場合、成分(A3)および(A5)は、好ましくは、コーティング組成物(A)中で成分(A3)および(A5)の錯体および/または塩の形態である。したがって、ビスマスの全量が成分(A3)の量に相当する場合、コーティング組成物(A)中に成分(A3)として溶液形態で存在する少なくとも30ppmのビスマスは、好ましくは、コーティング組成物(A)中の溶液のビスマス化合物の形態、より具体的には、成分(A3)および(A5)の少なくとも1つの溶解塩および/または錯体の形態で成分(A5)と一緒に存在する。あるいはおよび/またはさらには、例えば、成分(A3)はまた、水和3価ビスマスの形態であってもよい。
【0056】
成分(A3)として、好ましくは、少なくとも一部の3価ビスマスが存在する。それは、詳細には、(A5)と一緒に、水和形態および/または少なくとも1つの溶解塩および/もしくは錯体の形態であってよい。
【0057】
本発明のコーティング組成物(A)の成分(A3)と関連し「溶液で存在する形態において」という用語は、好ましくは、成分(A3)がコーティング組成物(A)中のこの成分(A3)の全量に対して少なくとも95モル%または少なくとも97.5モル%、より好ましくは少なくとも99モル%または少なくとも99.5モル%、非常に好ましくは少なくとも99.8モル%または少なくとも99.9モル%の程度で、より具体的には100モル%で、水性コーティング組成物(A)中に溶液形態で存在することを意味する。したがって成分(A3)は好ましくは水溶性である。成分(A3)は好ましくは、少なくとも18〜40℃の範囲のコーティング組成物(A)温度でコーティング組成物(A)中に溶液形態で存在する。
【0058】
成分(A3)は、好ましくは、ビスマスの酸化物、塩基性酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、塩基性硝酸塩、サリチル酸塩、および塩基性サリチル酸塩、ならびにまたその混合物からなる群から選択される少なくとも1つのビスマス化合物から取得可能である。少なくとも1つのかかるビスマス化合物は、好ましくは、少なくとも1つの錯化剤(A5)の存在下水中で部分的に反応して成分(A3)を得る。
【0059】
水性コーティング組成物(A)を製造するために、水溶液の形態の好ましくは少なくとも1つの成分(A5)を、ビスマスの酸化物、塩基性酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、塩基性硝酸塩、サリチル酸塩、および塩基性サリチル酸塩、ならびにまたその混合物からなる群から選択される、少なくとも1つのビスマス化合物と反応させて、任意にろ過した後、(A5)およびビスマス化合物の反応生成物の水溶液または分散液または懸濁液、好ましくは溶液を得て、この好ましくは水溶性の反応生成物を、本発明にしたがって使用されるコーティング組成物(A)を製造するのに使用する。
【0060】
特に好ましくは、水性コーティング組成物(A)を製造するために、乳酸およびジメチルプロピオン酸からなる群から選択される少なくとも1つの成分(A5)を、水溶液の形態で、上記のビスマス化合物のうち少なくとも1つと、好ましくは酸化ビスマス(III)と反応させて、任意にろ過した後、(A5)およびビスマス化合物の反応生成物の水溶液または分散液または懸濁液、好ましくは溶液を得て、この好ましくは水溶性の反応生成物を、本発明にしたがって使用されるコーティング組成物(A)を製造するのに使用する。
【0061】
(A3)の他に、本発明のコーティング組成物が成分(A4)をさらに含む場合、(A)は好ましくは
(A3)コーティング組成物(A)中に溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも30ppmのビスマス、および
(A4)コーティング組成物(A)中に非溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも100ppmのビスマス
を含む、コーティング組成物(A)の全質量に対して全量で少なくとも130ppmのビスマスを含む。
【0062】
コーティング組成物(A)中に成分(A4)として非溶液形態で存在する少なくとも100ppmのビスマスは、好ましくは、コーティング組成物(A)中に非溶液であるビスマス化合物の形態、より具体的には、少なくとも1つの非溶解ビスマス塩、水酸化物および/または酸化物の形態で存在する。
【0063】
コーティング組成物(A)中に存在するビスマス全量内の、すなわち、コーティング組成物(A)中に存在するビスマス全量内の成分(A4)のモル割合は、好ましくは、少なくとも10モル%、より好ましくは、少なくとも20モル%または少なくとも30モル%、非常に好ましくは、少なくとも40モル%または少なくとも50モル%または少なくとも60モル%または少なくとも70モル%である。コーティング組成物(A)中に存在するビスマス全量内の成分(A4)の割合は、好ましくは、それぞれの場合、98モル%以下、非常に好ましくは、97モル%以下または96モル%以下、特に好ましくは、95モル%以下である。
【0064】
コーティング組成物(A)中に存在するビスマス全量内の成分(A4)のモル%の割合は、好ましくは、成分(A3)のモル%の割合超である。
【0065】
本発明のコーティング組成物(A)の成分(A4)と関連して「非溶液の形態で存在する」という用語は、好ましくは、成分(A4)がコーティング組成物(A)中のこの成分(A4)の全量に対して少なくとも95モル%または少なくとも97.5モル%、より好ましくは少なくとも99モル%または少なくとも99.5モル%、非常に好ましくは少なくとも99.8モル%または少なくとも99.9モル%の程度で、より詳細には100モル%で、水性コーティング組成物(A)中に非溶液の形態で存在することを意味する。したがって成分(A4)は好ましくは水不溶性である。成分(A4)は好ましくは、少なくとも18〜40℃の範囲のコーティング組成物(A)温度でコーティング組成物(A)中に非溶液の形態で存在する。
【0066】
好ましくは、成分(A4)は、ビスマスの酸化物、塩基性酸化物、水酸化物、炭酸塩、塩基性硝酸塩(次硝酸塩)、サリチル酸塩、および塩基性サリチル酸塩(次サリチル酸塩)、ならびにその混合物からなる群から選択される、少なくとも1つのビスマス化合物から取得可能であり、より好ましくは、次硝酸ビスマスから取得可能である。
【0067】
コーティング組成物(A)は好ましくは、
(A3)コーティング組成物(A)中に溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも130ppmのビスマス、
または
(A3)コーティング組成物(A)中に溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも30ppmのビスマス、および
(A4)コーティング組成物(A)中に非溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも100ppmのビスマス
を含む、コーティング組成物(A)の全質量に対して全量で少なくとも130ppmのビスマスを含む。
【0068】
好ましくはコーティング組成物(A)は、
(A3)コーティング組成物(A)中に溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも300ppmのビスマス
または
(A3)コーティング組成物(A)中に溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも100ppmのビスマス、および
(A4)コーティング組成物(A)中に非溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも200ppmのビスマス
を含む、コーティング組成物(A)の全質量に対して全量で少なくとも300ppmのビスマスを含む。
【0069】
より好ましくはコーティング組成物(A)は、
(A3)コーティング組成物(A)中に溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも400ppmのビスマス、および
または
(A3)コーティング組成物(A)中に溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも150ppmのビスマス、および
(A4)コーティング組成物(A)中に非溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも250ppmのビスマス
を含む、コーティング組成物(A)の全質量に対して全量で少なくとも400ppmのビスマスを含む。
【0070】
非常に好ましくはコーティング組成物(A)は、
または
(A3)コーティング組成物(A)中に溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも500ppmのビスマス、および
または
(A3)コーティング組成物(A)中に溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも200ppmのビスマス、および
(A4)コーティング組成物(A)中に非溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも300ppmのビスマス
を含む、コーティング組成物(A)の全質量に対して全量で少なくとも500ppmのビスマスを含む。
【0071】
本発明のコーティング組成物(A)は、好ましくは、
任意に少なくとも1つの成分(A6)から(A8)、および/または(B)の存在下で、および任意に(A1)および/または(A2)の存在下で、好ましくはビスマスの酸化物、塩基性酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、塩基性硝酸塩、サリチル酸塩、および塩基性サリチル酸塩、ならびにまたその混合物からなる群から選択される少なくとも1つの水不溶性ビスマス化合物を、この化合物とビスマスを錯化するのに適した少なくとも1つの少なくとも二座の錯化剤(A5)との少なくとも部分的、好ましくは完全な反応によって、水中で少なくとも部分的に、好ましくは完全に転換して少なくとも1つの水不溶性ビスマス化合物(A3)にしてコーティング組成物(A)の少なくとも成分(A3)および(A5)ならびにまた任意に、成分(A4)および/または(A6)から(A8)および/または任意に(A1)および/または(A2)および/または(B)の少なくとも1つを含む混合物を得、および、
任意に成分(A6)から(A8)および/または(B)の少なくとも1つの存在下で、任意に生成混合物を少なくとも成分(A1)とおよび任意に成分(A2)と混合してコーティング組成物(A)を得ることによって取得可能である。
【0072】
使用される水不溶性ビスマス化合物は、好ましくは、特に(A)が成分(A4)を含む場合は、少なくとも1つの顔料(A6)を含む顔料ペーストの一部である。
【0073】
(A)中のビスマスの全量が成分(A3)の量に相当する場合、水性コーティング組成物(A)は好ましくは、水溶液の形態の少なくとも1つの成分(A5)を、好ましくはビスマスの酸化物、塩基性酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、塩基性硝酸塩、サリチル酸塩、および塩基性サリチル酸塩、ならびにまたその混合物からなる群から選択される少なくとも1つの水不溶性ビスマス化合物と反応させ、得られる(A5)およびこのビスマス化合物の反応生成物の水溶液を含む(A3)を少なくとも成分(A1)および任意に(A2)およびまた(B)と、および任意に成分(A6)から(A8)の少なくとも1つと混合して水性コーティング組成物(A)を得ることによって製造される。
【0074】
任意の成分(A5)
本発明の水性コーティング組成物(A)は、好ましくは成分(A5)としてビスマスを錯化するのに適した少なくとも1つの少なくとも二座の錯化剤を含み、少なくとも1つの錯化剤(A5)が、コーティング組成物(A)中に存在するビスマスの全量に対して少なくとも5モル%の割合で水性コーティング組成物(A)中に存在する。
【0075】
本明細書の成分(A5)は、(A3)と(A4)の両方を錯化するのに適している。好ましくは、少なくとも1つの錯化剤(A5)は、水性コーティング組成物(A)中に存在する成分(A3)と塩および/または錯体を形成するのに適している。
【0076】
好ましくは、10〜90°Cの範囲または20〜80°Cの範囲、より好ましくは、30〜75°Cの範囲の温度で水中のビスマスを水溶性形態(A3)に転換可能である錯化剤が、成分(A5)として特に適している。
【0077】
水性コーティング組成物(A)では、少なくとも1つの錯化剤(A5)は、好ましくは、それぞれの場合コーティング組成物(A)中に存在するビスマスの全量に対して、少なくとも7.5モル%または少なくとも10モル%の割合、より好ましくは、少なくとも15モル%または少なくとも20モル%の割合、非常に好ましくは、少なくとも30モル%または少なくとも40モル%の割合、より具体的には、少なくとも50モル%の割合で存在する。本発明にしたがって使用される錯化剤(A5)のそれぞれの量は、例えば、(A5)のハプト数および/または(A5)の錯化強度によって決まる。しかし、少なくとも1つの錯化剤(A5)は、コーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも30ppmおよび好ましくは少なくとも100ppmのビスマスがコーティング組成物(A)中に溶液の形態で存在しても本方法を確実にするような割合で存在する。
【0078】
錯化剤(A5)は、好ましくは、結合剤成分(A1)ではなく、詳細には、また結合剤(A1)を製造するために使用されない。
【0079】
錯化剤(A5)は、少なくとも二座である。当業者は、「ハプト数」という概念について公知である。この用語は、錯化剤(A5)1分子によって、錯化すべきビスマスイオンおよび/またはビスマス原子など、錯化すべき原子と形成できる可能な結合数を指す。好ましくは、(A5)は、二座、三座または四座、より具体的には二座である。
【0080】
錯化剤(A5)は、例えば、有機モノカルボン酸またはポリカルボン酸のアニオンなど、アニオンの形態を取ることができる。
【0081】
錯化剤(A5)は、好ましくは、少なくとも2つのドナー原子、すなわち、原子価殻中に少なくとも1つの遊離電子対を有する少なくとも2つの原子を有する。好ましいドナー原子は、N、S、およびO原子、ならびにまたその混合物からなる群から選択される。特に好ましい錯化剤(A5)は、少なくとも1つの酸素ドナー原子と少なくとも1つの窒素ドナー原子とを有する、または少なくとも2つの酸素ドナー原子を有するものである。特に好ましい錯化剤(A5)は、少なくとも2つの酸素ドナー原子を有するものである。
【0082】
Oおよび/またはSドナー原子が、錯化剤(A5)中に存在する場合、こうした少なくとも2つのドナー原子のそれぞれは、好ましくは、それ自体がドナー原子でない炭素原子などの別の担体原子に結合する。少なくとも2つのNドナー原子が、錯化剤(A5)中に存在する場合、こうした少なくとも2つのNドナー原子のそれぞれは、例えば、グアニジンまたは尿素の場合のように、それ自体がドナー原子でない同じ担体原子に結合することができる。
【0083】
例えば、少なくとも2つのOドナー原子などのOおよび/またはSドナー原子が、錯化剤(A5)中に存在する場合およびこうした少なくとも2つのドナー原子のそれぞれが、それ自体がドナー原子でない炭素原子などの別の担体原子に結合する場合、こうした少なくとも2つの担体原子は、互いに直接結合することができる、すなわち、例えば、シュウ酸、乳酸、ビシン(N,N‘−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン)、EDTA、またはα−アミノ酸の場合のように隣接することができる。次いで、2つのドナー原子、互いに結合した2つの担体原子、および錯化すべきイオンおよび/または原子は、5員環を形成することができる。あるいは、2つの担体原子は、アセチルアセトンの場合のように、または例えば1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸中の担体原子としてのリン原子に関して、さらなる単一原子を介して互いに橋かけすることもできる。その場合、2つのドナー原子、2つの担体原子、こうした担体原子を橋かけする原子、および錯化すべきイオンおよび/または原子は、6員環を形成することができる。さらに、少なくとも2つの担体原子は、例えば、マレイン酸の場合のようにさらなる2つの原子によって互いに結合することができる。担体原子を互いに結合する2つの原子の間に二重結合が存在する場合、次いで、2つの担体原子は、錯化すべきイオンおよび/または原子との7員環の形成を可能にするために互いにcis位置になければならない。2つの担体原子が芳香族系の一部である場合、またはこうした担体原子が最大2つまでのさらなる担体原子によって互いに結合する場合、例えば、没食子酸、Tiron、サリチル酸、またはフタール酸の場合など、芳香族系における1,2−および1,3−位の位置が好ましい。さらに、ドナー原子はまた、それ自体、例えば、8−ヒドロキシキノリンの場合のように脂肪族または芳香族環系の一部であってもよい。
【0084】
特に好ましい錯化剤(A5)は、少なくとも2つの酸素ドナー原子を有するものである。この場合、少なくとも1つの酸素ドナー原子は、例えば、アセチルアセトナートの場合のように負電荷を有してもよく、または例えば、カルボン酸基、ホスホン酸基、またはスルホン酸基などの酸基の一部であってもよい。任意に、酸基の酸素原子が、カルボキシラート基、ホスホナート基、またはスルホナート基の脱プロトン化および形成の場合など、負電荷を帯びることも同様にまたはあるいは可能である。
【0085】
少なくとも1つのドナー原子がN原子である場合、次いで、さらなるドナー原子は、好ましくは、負電荷を帯びるO原子であるか、または酸基(カルボン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基など)の一部である。
【0086】
(A5)がドナー原子としてのN原子のみを有する場合、この成分はまた、例えば、1,2−または1,3−ジオキシムアニオンの場合のように、アニオンとして存在することもできる。この場合の好ましい担体原子は、C原子である。ドナー原子としてのN原子は、好ましくは、第1級、第2級、または第3級アミノ基の形態であるか、またはオキシム基として存在する。
【0087】
(A5)がドナー原子としてS原子および/またはO原子のみを有する場合、次いで、この場合の好ましい担体原子は、C原子、S原子、およびP原子、より具体的には、C原子である。ドナー原子としてのO原子は、好ましくは、少なくとも比例的にアニオン形態で(例えば、アセチルアセトナート)、またはカルボキシラート基、ホスホナート基、またはスルホナート基の形態で存在する。ドナー原子としてのS原子は、好ましくは、例えば、システインでなどのチオールの形態で存在する。
【0088】
錯化剤(A5)は、好ましくは、無窒素で好ましくは少なくとも単独にヒドロキシル置換される有機モノカルボン酸、無窒素で任意に少なくとも単独にヒドロキシル置換される有機ポリカルボン酸、任意に少なくとも単独にヒドロキシル置換されるアミノポリカルボン酸、任意に少なくとも単独にヒドロキシル置換されるアミノモノカルボン酸およびスルホン酸、およびまたこれらそれぞれのアニオン、ならびにさらに、好ましくは任意に少なくとも単独にヒドロキシル置換されるモノアミンおよび任意に少なくとも単独にヒドロキシル置換されるポリアミン、および少なくとも2つのOドナー原子を含み、例えば、8−ヒドロキシキノリンおよびアセチルアセトンなどこの列挙内で記載された化合物内に含まれない化合物からなる群から選択される。
【0089】
適切な錯化剤(A5)の例は、窒素原子(複数可)および/またはそのアニオンを好ましくは含まない少なくとも1つの有機モノカルボン酸またはポリカルボン酸である。
【0090】
本発明の意味において「ポリカルボン酸」という用語は、好ましくは、例えば、2、3、4、5、または6つのカルボキシル基など2つ以上のカルボキシル基を有するカルボン酸を指す。より好ましくは、ポリカルボン酸は、2つまたは3つのカルボキシル基を有する。2つのカルボキシル基を有するポリカルボン酸は、ジカルボン酸であり、3つのカルボキシル基を有するポリカルボン酸は、トリカルボン酸である。本発明にしたがって使用されるポリカルボン酸は、芳香族、部分的に芳香族、脂環式、部分的に脂環式または脂肪族、好ましくは、脂肪族であってよい。本発明にしたがって使用されるポリカルボン酸は、好ましくは、2〜64個の炭素原子、より好ましくは、2〜36個、より具体的には、3〜18個または3つ〜8つの炭素原子を有する。ポリカルボン酸の例は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、酒石酸、クエン酸、粘液酸、およびリンゴ酸である。
【0091】
本発明の意味において「モノカルボン酸」という用語は、好ましくは、厳密に1つの−C(=O)−OH基を有する好ましくは脂肪族モノカルボン酸を指す。本発明にしたがって使用されるモノカルボン酸は、好ましくは、1〜64個の炭素原子、より好ましくは、1〜36個、具体的には、2〜18個または3つ〜8つの炭素原子を有する。本明細書でのモノカルボン酸は、好ましくは、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する。
【0092】
使用される錯化剤(A5)が、無窒素(複数可)および/またはそのアニオンを好ましくは有する少なくとも1つの有機モノカルボン酸またはポリカルボン酸を含む場合、少なくとも1つの有機モノカルボン酸またはポリカルボン酸および/またはそのアニオンは、好ましくは、1つ〜8つの炭素原子を有する有機基に結合している少なくとも1つのカルボキシル基および/またはカルボキシラート基を有し、有機基は、ヒドロキシル基、エステル基およびエーテル基からなる群から選択される少なくとも1つの、好ましくは少なくとも1つのまたは少なくとも2つの置換基によって任意に置換されることが可能である。
【0093】
有機モノカルボン酸またはポリカルボン酸は、好ましくは、少なくとも1つのカルボキシル基および/またはカルボキシラート基に対するα−、β−、またはγ−位に1つまたは2つのアルコール性ヒドロキシル基(複数可)またはエステル基(複数可)またはエーテル基(複数可)を有するモノカルボン酸およびポリカルボン酸および/またはそのアニオンからなる群から選択される。かかる酸の例は以下の通り:グリコール酸(ヒドロキシ酢酸)、乳酸、γ−ヒドロキシプロピオン酸、α−メチロールプロピオン酸、α,α’−ジメチロールプロピオン酸、酒石酸、ヒドロキシフェニル酢酸、リンゴ酸、クエン酸、ならびに例えば、グルコン酸および粘液酸などの糖酸である。環式または芳香族カルボン酸は、カルボキシル基に対するヒドロキシル、エステル、またはエーテル基の配置が錯体の形成を可能にする場合に、同様に適している。かかるものの例は、サリチル酸、没食子酸、ヒドロキシ安息香酸、および2,4−ジヒドロキシ安息香酸である。エーテル基またはエステル基を含む適切なカルボン酸の例は、メトキシ酢酸、メチルメトキシアセタート、イソプロピルメトキシアセタート、ジメトキシ酢酸、エトキシ酢酸、プロポキシ酢酸、ブトキシ酢酸、2−エトキシ−2−メチルプロパン酸、3−エトキシプロパン酸、ブトキシプロパン酸およびそのエステルス、ブトキシ酪酸、ならびにα−またはβ−メトキシプロピオン酸である。乳酸などの任意に活性なカルボン酸は、L−型で、D−型で、またはラセミ体として使用することができる。乳酸(光学活性形態で、好ましくは、L−型として、またはラセミ体として)および/またはジメチロールプロピオン酸を使用することが好ましい。
【0094】
しかし、窒素原子を有する錯化剤(A5)として有機モノカルボン酸またはポリカルボン酸および/またはそのアニオン、特にアミノモノカルボン酸および/またはアミノポリカルボン酸および/またはそのアニオンを使用することも可能である。
【0095】
本発明の意味において「アミノポリカルボン酸」という用語は、好ましくは、例えば、2、3、4、5、または6つのカルボキシル基など2つ以上のカルボキシル基を有し、およびまた例えば、少なくとも1つの第1級および/または第2級および/または第3級アミノ基のように少なくとも1つのアミノ基、より具体的には、少なくとも1つのもしくは少なくとも2つの第3級アミノ基を有するカルボン酸を指す。本発明にしたがって使用されるアミノポリカルボン酸は、好ましくは、2〜64個の炭素原子、より好ましくは、2〜36個、具体的には、3〜18個または3つ〜8つの炭素原子を有する。アミノポリカルボン酸の例は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、アスパラギン酸、メチルグリシジン二酢酸(MGDA)、β−アラニン二酢酸(β−ADA)、イミドスクシナート(IDS)、ヒドロキシエチレンイミノジアセタート(HEIDA)、およびN−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン−N,N,N’−三酢酸(HEDTA)である。
【0096】
本発明の意味において「アミノモノカルボン酸」という用語は、好ましくは、厳密に1つのカルボキシル基を有し、さらに、例えば、少なくとも1つの第1級および/または第2級および/または第3級アミノ基のように少なくとも1つのアミノ基、より具体的には、少なくとも1つのもしくは少なくとも2つの第3級アミノ基を有するカルボン酸を指す。本発明にしたがって使用されるアミノモノカルボン酸は、好ましくは、2〜64個の炭素原子、より好ましくは、2〜36個、より具体的には、3〜18個または3つ〜8つの炭素原子を有する。このアミノモノカルボン酸は、好ましくは、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する。アミノモノカルボン酸の一例は、ビシン(N,N‘−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン)である。他の例は、グリシン、アラニン、リシン、システイン、セリン、トレオニン、アスパラギン、β−アラニン、6−アミノカプロン酸、ロイシンおよびジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)およびまたパントテン酸である。
【0097】
適切な錯化剤(A5)の別の例は、少なくとも1つのポリアミンまたはモノアミンである。
【0098】
本発明の意味において「ポリアミン」という用語は、好ましくは、第1級または第2級または第3級アミノ基などの少なくとも2つのアミノ基を有する化合物を指す。アミノ基はまた、オキシム基の形態をとることもできる。しかし、全体として、ポリアミンは、好ましくは、10までのおよび10を含めたアミノ基、すなわち、少なくとも2つのアミノ基に加えて、8つまでのおよび8つを含めたさらなるアミノ基、つまり、1、2、3、4、5、6、7、または8つ、好ましくは5つまでのおよび5つを含めたさらなるアミノ基を有することができ、これらは、好ましくは、第1級または第2級または第3級アミノ基である。ポリアミンは、好ましくは、ジアミンまたはトリアミン、より好ましくは、ジアミンである。本発明にしたがって使用されるポリアミンは、好ましくは、2〜64個の炭素原子、より好ましくは、2〜36個、より具体的には、3〜18個または3つ〜8つの炭素原子を有する。炭素原子のうちの少なくとも1つは、好ましくは、ヒドロキシル基によって置換される。したがって、特に好ましいのは、ヒドロキシアルキルポリアミンである。ポリアミンの例は、N,N,N’,N’−テトラキス−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン(THEED)、N,N,N’,N’−テトラキス−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン(Quadrol)、グアニジン、ジエチレントリアミンおよびジフェニルカルバジド、およびまたジアセチルジオキシムである。
【0099】
本発明の意味において「モノアミン」という用語は、好ましくは、例えば、厳密に1つの第1級または第2級または詳細には、第3級アミノ基など、厳密に1つのアミノ基を有する好ましくは脂肪族モノアミンを指す。本発明にしたがって使用されるモノアミンは、好ましくは、1〜64個の炭素原子、より好ましくは、1〜36個、より具体的には、2〜18個または3つ〜8つの炭素原子を有する。このモノアミンは、好ましくは、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する。モノアミンの一例は、トリイソプロパノールアミンである。
【0100】
例えば、少なくとも1つのスルホン酸が、錯化剤(A5)としてさらに適切である。適切なスルホン酸の例は、タウリン、1,1,1−トリフルオロメタンスルホン酸、Tiron、およびアミドスルホン酸である。
【0101】
水性コーティング組成物(A)中に存在する任意の少なくとも1つのアミノポリカルボン酸、より具体的には、成分(A5)として使用されるアミノポリカルボン酸のモル割合は、好ましくはそれぞれの場合水性コーティング組成物(A)の全量に対して、コーティング組成物(A)中に存在するビスマスの全モル量の、好ましくは、少なくとも1/15または1/20未満、より好ましくは、少なくとも1/30または1/40または1/50または1/60または1/70または1/80または1/90または1/100または1/1000未満である。かかる酸の存在は、ディッピング浴内のこうした化合物の蓄積の結果として、ディッピング浴の安定性および廃水処理に関する問題をもたらす恐れがある。
【0102】
コーティング組成物(A)のさらなる任意の成分
さらに、所望の用途に応じて、本発明にしたがって使用される水性コーティング組成物(A)は、少なくとも1つの顔料(A6)を含むことができる。
【0103】
水性コーティング組成物(A)中に存在するこの種の顔料(A6)は、好ましくは、有機および無機、着色および体質顔料からなる群から選択される。
【0104】
この少なくとも1つの顔料(A6)は、コーティング組成物(A)を製造するために使用され、成分(A1)および任意に(A2)を含む水溶液または水性分散液の一部として存在することができる。
【0105】
少なくとも1つの顔料(A6)は、あるいは、使用されたものと異なるさらなる水性分散液または水溶液の形態でコーティング組成物(A)内に組み込むこともできる。この実施形態では、対応する顔料含有水性分散液または水溶液は、少なくとも1つの結合剤をさらに含むこともできる。この種の分散液または溶液は、好ましくは、成分(A4)をさらに含む。
【0106】
適切な無機着色顔料(A6)の例は、酸化亜鉛、硫化亜鉛、二酸化チタン、酸化アンチモン、またはリトポンなどの白色顔料;カーボンブラック、鉄マンガンブラック、またはスピネルブラックなどの黒色顔料;コバルトグリーンもしくはウルトラマリングリーン、コバルトブルー、ウルトラマリンブルーもしくはマンガンブルー、ウルトラマリンバイオレットもしくはコバルトバイオレットおよびマンガンバイオレット、赤色酸化鉄、モリブダートレッド、またはウルトラマリンレッドなどのクロム顔料;ブラウン酸化鉄、混合ブラウン、スピネル相およびコランダム相;あるいは黄色酸化鉄、ニッケルチタンイエロー、またはビスマスバナダートである。適切な有機着色顔料の例は、モノアゾ顔料、ジサゾ顔料、アントラキノン顔料、ベンゾイミダゾール顔料、キナクリドン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ジオキサジン顔料、インダントロン顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、アゾメチン顔料、チオインジゴ顔料、金属錯体顔料、ペリノン顔料、ペリレン顔料、フタロシアニン顔料、またはアニリンブラックである。適切な体質顔料またはフィラーの例は、チョーク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、タルクやカオリンなどのシリケート、シリカ、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの水酸化物、またはテキスタイルファイバ、セルロースファイバ、ポリエチレンファイバまたはポリマー粉末などの有機フィラーである;さらなる詳細についてはRoempp Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、1998年、250ff頁.「Fillers」を参照されたい。
【0107】
水性コーティング組成物(A)の顔料含量は、所期の使用および含量(A6)の性質にしたがって変更することができる。その量は、それぞれの場合、水性コーティング組成物(A)の全質量に対して、好ましくは、0.1〜30質量%の範囲または、0.5〜20質量%の範囲、より好ましくは、1.0〜15質量%の範囲、非常に好ましくは、1.5〜10質量%の範囲、より具体的には、2.0〜5.0質量%の範囲、または2.0〜4.0質量%の範囲、または2.0〜3.5質量%の範囲である。
【0108】
所望の用途に応じて、コーティング組成物(A)は、1つまたは複数の通常用いられる添加剤(A7)を含むことができる。こうした添加剤(A7)は、好ましくは、湿潤剤、好ましくは成分(A8)を含まない乳化剤、分散剤、界面活性剤などの表面活性剤、流動制御補助剤、可溶化剤、消泡剤、レオロジー補助剤、酸化防止剤、安定剤、好ましくは熱安定剤、加工安定剤、およびUVおよび/もしくは光安定剤、触媒、フィラー、ワックス、可とう化剤、可塑剤、ならびに上記の添加剤の混合物からなる群から選択される。添加剤含量は、インテンシブな使用によって非常に広く変更することができる。量は、水性コーティング組成物(A)の全質量に対して、好ましくは、0.1〜20.0質量%、より好ましくは、0.1〜15.0質量%、非常に好ましくは、0.1〜10.0質量%、特に好ましくは、0.1〜5.0質量%、より具体的には、0.1〜2.5質量%である。
【0109】
本明細書の少なくとも1つの添加剤(A7)は、コーティング組成物(A)を製造する場合に使用され、成分(A1)および任意に(A2)を含む水溶液または水性分散液の一部として存在することができる。
【0110】
あるいは、少なくとも1つの添加剤(A7)はまた、例えば、少なくとも1つの顔料(A6)およびさらに任意に少なくとも1つの結合剤およびさらに任意に(A4)を含む水性分散液または水溶液内のように、使用されたものと異なるさらなる水性分散液または水溶液の形態でコーティング組成物(A)内に組み込むことができる。
【0111】
好ましい実施形態では、本発明にしたがって使用されるコーティング組成物(A)は、少なくとも1つのカチオン性乳化剤(A8)を含むカソード析出性のミニエマルションである。「ミニエマルション」という用語は、例えば、I.M.Grabsら、Macromol.Symp.2009年、275〜276、133〜141頁から当業者にはおなじみである。したがって、ミニエマルションは、粒子が5〜500nmの範囲平均径を有するエマルションである。かかる粒子の平均径を決定するための方法は、当業者にはおなじみである。平均径のかかる決定は、好ましくは、DIN ISO 13321(日付:2004年10月1日)による動的光散乱法によって実施される。こうした種類のミニエマルションは、例えば、WO82/00148A1から公知である。少なくとも1つのカチオン性乳化剤は、好ましくは、HLB≧8を有する乳化剤であり、これは、当業者に公知であるGriffin法によって好ましくは、決定される。この乳化剤は、反応性官能基を有することができる。企図されたかかる反応性官能基は、結合剤(A1)も有し得るのと同じ反応性官能基である。この乳化剤は、好ましくは、親水性頭部基を有しており、これは、好ましくは、例えば、1〜10個の炭素原子を有する有機基などの4つの有機、好ましくは、脂肪族基に結合した第4級窒素原子と親油性尾部基とを有する。こうした有機基のうちの少なくとも1つのは、好ましくは、ヒドロキシル基を有する。
【0112】
(A)中の任意のさらなる金属イオン
水性コーティング組成物(A)中に任意に存在するジルコニウムイオンのモル割合は、好ましくは、それぞれの場合水性組成物(A)の全質量に対して、水性コーティング組成物(A)中に存在するビスマスの全モル量の、好ましくは、少なくとも1/100未満、好ましくは、少なくとも1/200未満、より好ましくは、少なくとも1/300または1/400または1/500または1/600または1/700または1/800または1/900または1/1000未満である。さらに特に好ましくは、コーティング組成物(A)は、ジルコニウムイオンを含まない。
【0113】
腐食防止性を改善するためにコーティング組成物中で通常用いられるジルコニウム化合物は、しばしば、ジルコニウムイオン、より具体的には、[ZrF
6]
2−イオンを含む塩または酸の形態で使用される。しかしビスマスイオンが、同時に存在する場合、かかる[ZrF
6]
2−イオンの使用は、フッ化ビスマスの沈殿をもたらす。したがって、コーティング組成物(A)中のジルコニウム化合物の使用は、避けるべきである。
【0114】
さらに、好ましくは、水性コーティング組成物(A)中に任意に存在し、希土類金属のイオンからなる群から選択されるイオンのモル割合は、好ましくはそれぞれの場合水性組成物(A)の全質量に対して、水性コーティング組成物(A)中に存在するビスマスの全モル量の、少なくとも1/100未満、非常に好ましくは、少なくとも1/200または1/300または1/400または1/500または1/600または1/700または1/800または1/900または1/1000未満である。具体的には、コーティング組成物(A)は、希土類金属のイオンを含まない。かかるイオンの存在によって、本発明の方法がより高価になり、廃水処理がより困難になる。希土類金属のかかるイオンは、好ましくは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gb、Td、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuからなる群から選択される。
【0115】
酸化アルミニウム粒子(B)
本発明のコーティング組成物(A)は、コーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも0.01質量%の酸化アルミニウム粒子(B)を使用して製造される。したがって酸化アルミニウム粒子(B)は酸化アルミニウムを含む。
【0116】
好ましくは、コーティング組成物(A)は、それぞれの場合でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも0.05質量%、より好ましくは少なくとも0.1質量%または少なくとも0.2質量%の量の酸化アルミニウム粒子(B)を使用して製造される。好ましくは、使用される酸化アルミニウム粒子(B)の最大量は、それぞれの場合でコーティング組成物(A)の全質量に対して、それぞれの場合で8質量%、より好ましくは6質量%または5質量%、非常に好ましくは4質量%および、特に3質量%または2質量%である。
【0117】
特に、コーティング組成物(A)は、それぞれの場合でコーティング組成物(A)の全質量に対して0.01質量%〜3質量%または0.1質量%〜3質量%または0.2質量%〜3質量%または0.2質量%〜2質量%または0.4質量%〜2質量%の範囲の量の酸化アルミニウム粒子(B)を使用して製造される。
【0118】
本発明のコーティング組成物は好ましくは酸化アルミニウム粒子(B)を含む懸濁液または分散液を使用して製造される。適切なキャリア液は有機溶媒および/または水、より具体的には水である。そのような懸濁液または分散液中の酸化アルミニウム粒子(B)固体の割合は、好ましくはそれぞれの場合で使用される懸濁液または分散液の全質量に対して30〜60質量%、より好ましくは35〜50質量%の範囲である。
【0119】
好ましくは、酸化アルミニウム粒子(B)は少なくとも部分的にコーティング組成物(A)中に溶解した形態である。好ましい実施形態において、酸化アルミニウム粒子(B)はコーティング組成物(A)中に溶解した形態および/またはコーティング組成物(A)中に溶解していない形態である。
【0120】
使用される酸化アルミニウム粒子(B)は好ましくは酸化アルミニウムナノ粒子である。適切な酸化アルミニウムナノ粒子(B)は、例えばByk社よりNanobyk(登録商標)3600の名称で市販されている。
【0121】
当業者は「ナノ粒子」という用語をよく知っている。本発明の意味におけるナノ粒子とは、好ましくは<1μm、より好ましくは<500nmの平均直径(D
50)を有する粒子のことを指す。当業者は平均粒径を測定する方法を知っている。平均粒径は好ましくは動的光散乱法によってDIN ISO 13321(日付:2004年10月1日)にしたがって測定される。酸化アルミニウムナノ粒子(B)は好ましくは10〜100nmの範囲、より好ましくは20〜90nmの範囲、非常に好ましくは25〜80nmの範囲、より詳細には30〜60nmまたは30〜50nmの範囲の平均直径D
50を有する。
【0122】
コーティング組成物(A)を製造するための方法
本発明のさらなる主題は、本発明の水性コーティング組成物(A)のを製造するため方法であり、その方法は、少なくとも工程(0):
(0)任意に、成分(A6)から(A8)および任意に(A1)および/または(A2)および/または(B)の少なくとも1つの存在下で、少なくとも1つの水不溶性ビスマス化合物、より好ましくは、ビスマスの酸化物、塩基性酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、塩基性硝酸塩、サリチル酸塩、および塩基性サリチル酸塩、ならびにまたその混合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を、この化合物とビスマスが錯化されるのに適した少なくとも1つの少なくとも二座の錯化剤(A5)との少なくとも部分的、好ましくは完全な反応によって、水中で少なくとも部分的に、好ましくは完全に転換して少なくとも1つの水溶性ビスマス化合物(A3)にして、コーティング組成物(A)の少なくとも成分(A3)および(A5)、任意に成分(A4)ならびにまた任意に、(A1)および/または(A2)、および/または(B)、および/または成分(A6)から(A8)の少なくとも1つを含む混合物を得る工程を含む。
【0123】
水不溶性ビスマス化合物は、好ましくは、少なくとも1つの顔料(A6)を含む顔料ペーストの一部である。
【0124】
工程(0)が実施された後、本発明の方法は、任意に、以下:
工程(0)を実施した後に得られた混合物を、少なくとも成分(A1)および任意に成分(A2)およびまた(B)、任意に、成分(A6)から(A8)のうちの少なくとも1つと混合してコーティング組成物(A)を得る工程のような少なくとも1つのさらなる工程を含む。
【0125】
工程(0)の期間は、好ましくは、少なくとも2または少なくとも4または少なくとも6または少なくとも8または少なくとも10または少なくとも12または少なくとも14または少なくとも16または少なくとも18または少なくとも20または少なくとも22または少なくとも24時間である。工程(0)は、好ましくは、18〜23℃の範囲の温度で撹拌しながら実施される。
【0126】
本発明の水性コーティング組成物(A)に関連して上に記載された好ましい実施形態はすべてまた、その生成に関連して本発明にしたがって使用される水性コーティング組成物(A)の好ましい実施形態である。
【0127】
コーティング組成物(A)の使用
本発明のさらなる主題は、導電性基材を電着材料で少なくとも部分的にコートするための、本発明のコーティング組成物(A)、または導電性基材を電着材料で少なくとも部分的にコートするために本発明の方法で使用される水性コーティング組成物(A)の使用である。
【0128】
本発明の水性コーティング組成物(A)に関連して上に記載された好ましい実施形態はすべてまた、導電性基材を電着材料で少なくとも部分的にコートするためのその使用に関連して本発明にしたがって使用される水性コーティング組成物(A)の好ましい実施形態である。
【0129】
導電性基材をコーティング組成物(A)で少なくとも部分的にコートするための方法
本発明のさらなる主題は、少なくとも1つの工程(1):
特に使用される基材が少なくとも部分的に亜鉛メッキされた基材、例えば少なくとも部分的に亜鉛メッキされた鋼などである場合、
(1)カソードとして接続された導電性の基材を本発明の水性コーティング組成物(A)と接触させる工程
を含む、導電性基材を電着材料で少なくとも部分的にコートする方法である。
【0130】
好ましい実施形態において、本発明の方法は、少なくとも1つの工程(1):
(1)カソードとして接続された導電性基材を本発明の水性コーティング組成物(A)に、
水性コーティング組成物に、
接触させる工程であって、工程(1)が少なくとも2つの連続する段階(1a)および(1b):
(1a)好ましくは少なくとも5秒間にわたり印加される1〜50Vの範囲の印加電圧での段階、および
(1b)50〜400Vの範囲の印加電圧での段階であり、ただし、段階(1b)で印加される電圧が段階(1a)で印加される電圧より少なくとも10V大であることを条件とする段階
で実施される工程を含む、導電性基材を電着材料で少なくとも部分的にコートするための方法である。
【0131】
本発明の水性コーティング組成物(A)に関連して上に記載された好ましい実施形態はすべてまた、導電性基材を電着材料で少なくとも部分的にコートするための本発明の方法の工程(1)におけるその使用に関連して本発明にしたがって使用される水性コーティング組成物(A)の好ましい実施形態である。
【0132】
工程(1)
導電性基材を電着材料で少なくとも部分的にコートするための本発明の方法は、少なくとも1つの工程(1)を含み、これは、カソードとして接続された導電性基材を水性コーティング組成物(A)と接触させる工程である。
【0133】
本発明の意味において「接触させる工程」は、好ましくは、コーティング組成物(A)で少なくとも部分的にコーティングすることを意図して基材を使用される水性コーティング組成物(A)内に浸漬する工程、コーティング組成物(A)で少なくとも部分的にコーティングすることを意図して基材にスプレーする工程、またはコーティング組成物(A)で少なくとも部分的にコーティングすることを意図して基材へロールオン施用する工程を指す。より具体的には、本発明の意味において「接触させる工程」という用語は、コーティング組成物(A)で少なくとも部分的にコーティングすることを意図して基材を使用される水性コーティング組成物(A)内に浸漬する工程を指す。
【0134】
本発明の方法は、好ましくは、自動車製造においておよび/またはそのために導電性基材を少なくとも部分的にコートするための方法である。その方法は、例えば、コイルコーティング法においてなどストリップコーティング操作の形態で連続的に、または不連続的に実施することができる。
【0135】
本発明の方法の工程(1)の場合、基材は、このコーティング組成物の基材面上への電気泳動析出によって本発明の水性コーティング組成物(A)で少なくとも部分的にコートされる。
【0136】
工程(1)は、基材と少なくとも1つの対電極の間に電圧を印加することによって実施される。本発明の方法の工程(1)は、好ましくは、ディップコーティング浴で実施される。この場合、対電極は、ディップコーティング浴内に位置することができる。あるいはまたはさらに、対電極はまた、ディップコーティング浴と別個に、例えば、アニオンに対して透過性であるアニオン交換膜を介して存在することもできる。この場合、ディップコーティング中に形成されるアニオンは、コーティング材料から膜を通ってアノード液内に輸送され、それによって、ディップコーティング浴中のpHを調整または一定に維持することが可能になる。対電極は、好ましくは、ディップコーティング浴とは別個にある。
【0137】
本発明の方法の工程(1)では、好ましくは、基材全表面上へ完全に電気泳動析出させることによって基材が水性コーティング組成物(A)によって完全にコーティングされる。
【0138】
好ましくは、本発明の方法の工程(1)では、少なくとも部分的なコーティングが意図された基材は、ディップコーティング浴内に、少なくとも部分的に、好ましくは完全に導入され、工程(1)は、このディップコーティング浴内で実施される。
【0139】
本発明の方法の工程(1)の目的は、水性コーティング組成物(A)の少なくとも部分的な電気泳動析出による基材の少なくとも部分的なコーティングである。この場合の水性コーティング組成物(A)は、基材面上に電着材料として析出する。
【0140】
本発明の水性コーティング組成物(A)は、好ましくは、導電性アノードおよびカソードとして接続された導電性基材と接触する。あるいは、水性コーティング組成物(A)は、アノードが、例えば、ディップコーティング浴と別個に、例えば、アニオンに対して透過性であるアニオン交換膜を介して存在する場合、導電性アノードと直接接触する必要はない。
【0141】
アノードとカソードの間の電流の通過は、カソード上、すなわち、基材上への固く接着した塗膜の析出を伴う。
【0142】
本発明の方法の工程(1)は、好ましくは、20〜45℃の範囲、より好ましくは、22〜42℃の範囲、非常に好ましくは、24〜41℃の範囲、特に好ましくは、26〜40℃の範囲、より特に好ましくは、例えば、28〜38℃の範囲などの27〜39℃の範囲のディップ浴温度で実施される。本発明の方法の別の好ましい実施形態では、工程(1)は、40℃以下、より好ましくは、38℃以下、非常に好ましくは、35℃以下、特に好ましくは、34℃以下または33℃以下または32℃以下または31℃以下または30℃以下または29℃以下または28℃以下のディップ浴温度で実施される。本発明の方法のさらなる多様な好ましい実施形態では、工程(1)は、例えば、≦31°Cまたは≦30°Cまたは≦29°Cまたは≦28°Cまたは≦27°Cまたは≦26°Cまたは≦25°Cまたは≦24°Cまたは≦23°Cなどの≦32°Cのディップ浴温度で実施される。
【0143】
本発明の方法の工程(1)では、本発明の水性コーティング組成物(A)は、好ましくは、生成電着膜が、5〜40μm、より好ましくは、10〜30μm、特に好ましくは、20〜25μmの範囲の乾燥膜厚を有する。
【0144】
工程(1)内の段階(1a)および(1b)
本発明の方法の工程(1)は、以下のような少なくとも2つの連続する段階(1a)および(1b):
(1a)少なくとも5秒間にわたり印加される1〜50Vの範囲の印加電圧での段階、および
(1b)50〜400Vの範囲の印加電圧での段階であり、ただし、段階(1b)で印加される電圧が段階(1a)で印加される電圧より少なくとも10V大であることを条件とする段階で実施される。
【0145】
本発明の方法の工程(1)内の段階(1a)および(1b)は、好ましくは、コーティング組成物(A)を含む使用されるディップコーティング浴内で実施される。
【0146】
段階(1a)
段階(1a)の実行中では、対応するビスマス富化層が、導電性基材上の予備析出層として形成され、これは、例えば、蛍光X線分析によって検出可能であり、定量可能である。本明細書でのビスマスは、好ましくは、金属ビスマス(0)の形態であるが、あるいはまたはさらには、3価の形態および/または他の酸化状態で存在することもできる。この予備析出層は、詳細には、コーティング組成物中に存在する成分(A1)および任意に(A2)および/または(A5)および/または(A6)をほとんど含まない。適切に形成されたビスマス富化層は、好ましくは、腐食防止効果を発揮し、この効果の優秀性は、付加ビスマス相に比例している(表面積1m
2当たりのビスマスのmgでの)。好ましい付加層は、表面積1m
2当たり少なくとも10または少なくとも20または少なくとも30、より好ましくは、少なくとも40または少なくとも50、より具体的には、少なくとも100または少なくとも180mgのビスマス(金属として計算された)である。
【0147】
段階(1a)は、好ましくは、1〜45Vの範囲または1〜40Vの範囲または1〜35Vの範囲または1〜30Vの範囲または1〜25Vの範囲または1〜20Vの範囲または1〜15Vの範囲または1〜10Vの範囲または1〜5Vの範囲の印加電圧で実施される。別の好ましい実施形態では、段階(1a)は、2〜45Vの範囲または2〜40Vの範囲または2〜35Vの範囲または2〜30Vの範囲または3〜25Vの範囲または3〜20Vの範囲または3〜15Vの範囲または3〜10Vの範囲または3〜6Vの範囲の印加電圧で実施される。
【0148】
段階(1a)で印加される電圧は、少なくとも5秒、好ましくは、少なくとも10または少なくとも15または少なくとも20または少なくとも25または少なくとも30または少なくとも40または少なくとも50秒、より好ましくは、少なくとも60または少なくとも70または少なくとも80または少なくとも90または少なくとも100秒、非常に好ましくは、少なくとも110または少なくとも120秒の期間にわたって印加される。本明細書での期間は、好ましくは、300秒以下、より好ましくは、250秒以下、より具体的には、150秒以下である。この期間は、それぞれの場合、当該の電圧が段階(1a)の実行中に維持される時間間隔を指す。
【0149】
好ましい実施形態では、段階(1a)で印加される電圧は、少なくとも5〜500秒または5〜500秒または10〜500秒または10〜300秒または少なくとも20〜400秒または少なくとも30〜300秒または少なくとも40〜250秒または少なくとも50〜200秒の範囲、より好ましくは、少なくとも60〜150秒または少なくとも70〜140秒または少なくとも80〜130秒の範囲の期間にわたり印加される。
【0150】
少なくとも10秒間にわたり段階(1a)の実行中に印加される1〜50Vの範囲の電圧は、定電流的(一定に調整された電流)に設定することができる。あるいは、この設定はまた、定電位的(一定に調整された電圧)に実施することもできるが、段階(1a)は、析出電流で、または1〜50Vの範囲の対応する電圧に対応する析出電流範囲で実施することもできる。この種の析出電流は、好ましくは、20〜400mAの範囲、より好ましくは、30〜300mAの範囲または40〜250mAの範囲または50〜220mAの範囲、より具体的には、55〜200mAの範囲である。段階(1a)内のかかる析出電流は、好ましくは、300〜500cm
2、より具体的には、350〜450cm
2または395〜405cm
2の範囲の表面積を有する基材を用いる場合に使用される。
【0151】
段階(1a)の析出電流密度は、好ましくは、少なくとも1A/m
2、より好ましくは、少なくとも2A/m
2、より具体的には、少なくとも3A/m
2、しかし好ましくは、それぞれの場合、20A/m
2以下、より好ましくは、それぞれの場合、10A/m
2以下である。
【0152】
析出電流密度または本明細書での段階(1a)の析出電流は、好ましくは、少なくとも5または少なくとも10秒、好ましくは、少なくとも15または少なくとも20または少なくとも25または少なくとも30または少なくとも40または少なくとも50秒、より好ましくは、少なくとも60または少なくとも70または少なくとも80または少なくとも90または少なくとも100秒、非常に好ましくは、少なくとも110または少なくとも120秒間にわたり印加される。本明細書での期間は、好ましくは、300秒以下、より好ましくは、250秒以下、より具体的には、150秒以下である。別の好ましい実施形態では、析出電流密度または段階(1a)で印加される析出電流は、少なくとも10〜500秒または少なくとも20〜400秒または少なくとも30〜300秒または少なくとも40〜250秒または少なくとも50〜200秒の範囲、より好ましくは、少なくとも60〜150秒または少なくとも70〜140秒または少なくとも80〜130秒の範囲の期間にわたり印加される。
【0153】
電圧または析出電流または析出電流密度は、本明細書において記載の期間中一定に維持することができる。しかし、あるいは、電圧または析出電流または析出電流密度は、1〜50Vの範囲の記載の最小および最大値内で段階(1a)内の析出期間中に多様な値をとることもでき、例えば、最小から最大析出電圧まで往復しながら振れることができるまたは傾斜形態でもしくは段階形態で上昇することができる。
【0154】
段階(1a)の実行中における電圧または析出電流または析出電流密度の設定は、「突然に」、換言すれば、例えば、整流器に適切に切り替えることによって実施することができるが、これには、標的電圧に到達するためにある種の技術的に関連する最小期間が必要である。あるいは、設定は、傾斜形態で、換言すれば、少なくとも概略連続的におよび好ましくは直線的に、例えば、最大10、20、30、40、50、60、120、または300秒の期間などの選択可能な期間にわたって実施することもできる。最大120秒、より好ましくは、最大60秒の傾斜が好ましい。段階的な電圧増加も本明細書で可能であり、その場合、好ましくは、例えば、1、5、10、または20秒の電圧のある種の保持時間が、こうした電圧段階のそれぞれに対して観察される。傾斜と段階の組合せもまた可能である。
【0155】
段階(1a)における電圧または析出電流または析出電流密度の設定はまた、無電流の時間を備えたまたは2つのパルスの間の最小レベル未満の電圧を備えたパルス形態で調整することもできる。パルス期間は、例えば、0.1〜10秒の範囲に存在することができる。したがって、析出に対する「期間」は、好ましくは、段階(1a)を実行する場合、析出電圧が前述の最大と最小値内にある期間の総和であるとみなされる。傾斜とパルスはまた、互いに合わせることもできる。
【0156】
段階(1a)の実行中、錯化剤(A5)は、好ましくは、少なくとも部分的に、より具体的には、完全に、再度放出される。その理由は、(A5)によって錯化された成分(A3)が析出するからである。コーティング組成物(A)中の成分(A4)の存在の観点から、放出された錯化剤(A5)は、成分(A4)を少なくとも部分的に(A)中の溶液形態に転換するために利用することができる、つまり、(A5)は、(A3)の適切な貯留の存在を保証する目的で(A3)を連続的に生成するために使用することができる。
【0157】
段階(1b)
段階(1b)の実行中では、実際のディップワニスコーティングが、ディップワニス成分、より具体的には、(A1)および任意に(A2)および/または(A5)の析出によって、段階(1a)後に得られた予備析出層上に形成される。このコーティングも、ビスマスを含み、このビスマスは、3価の形態またはあるいはもしくはさらに他の酸化状態で存在してもよい。このビスマスは、本発明の方法の下流の任意の養生工程または架橋工程(6)における触媒として働くことができる。したがって、コーティング組成物(A)の生成において、好ましくは、かかる触媒の組み込みを省略することも可能である。
【0158】
段階(1b)は、好ましくは、55〜400Vの範囲または75〜400Vの範囲または95〜400Vの範囲または115〜390Vの範囲または135〜370Vの範囲または155〜350Vの範囲または175〜330Vの範囲または195〜310Vの範囲または215〜290Vの範囲の印加電圧で実施される。
【0159】
段階(1b)では、好ましくは、段階(1a)の実行の終了後0〜300秒の範囲の間の間隔で、好ましくは不活性対電極に対して、ただし、段階(1b)で印加されるこの電圧が段階(1a)でその前に印加された電圧より少なくとも10V大きいという条件で、50〜400Vの範囲の電圧が印加される。段階(1b)を実行する間、この電圧は、好ましくは、10〜300秒の範囲、好ましくは、30〜240秒の範囲の間、上に記載の条件で、50〜400Vの記載の電圧範囲内の値以上で維持される。
【0160】
段階(1b)で印加される電圧は、好ましくは、少なくとも10秒または少なくとも15または少なくとも20または少なくとも25または少なくとも30または少なくとも40または少なくとも50秒、より好ましくは、少なくとも60または少なくとも70または少なくとも80または少なくとも90または少なくとも100秒、非常に好ましくは、少なくとも110または少なくとも120秒の期間にわたって印加される。本明細書での期間は、好ましくは、300秒以下、より好ましくは、250秒以下、より具体的には、150秒以下である。この期間は、それぞれの場合、当該の電圧が段階(1b)の実行中に維持される時間間隔を指す。
【0161】
一つの好ましい実施形態では、段階(1b)で印加される電圧は、少なくとも10〜500秒または少なくとも20〜400秒または少なくとも30〜300秒または少なくとも40〜250秒または少なくとも50〜200秒の範囲、より好ましくは、少なくとも60〜150秒または少なくとも70〜140秒または少なくとも80〜130秒の範囲の期間にわたり印加される。
【0162】
段階(1a)から段階(1b)への電圧増加は、「突然に」、換言すれば、例えば、整流器に対応する切り替えによって実施することができるが、これには、標的電圧に到達するためにある種の技術的に関連する最小時間が必要である。あるいは、電圧増加は、傾斜形態で、換言すれば、少なくとも概略連続的に、例えば、最大10、20、30、40、50、60、120、または300秒などの選択可能な期間にわたって実施することもできる。好ましい傾斜は最大120秒、より好ましくは、最大60秒である。段階的な電圧増加も可能であり、その場合、好ましくは、例えば、1、5、10、または20秒の電圧のある種の保持時間が、こうした電圧段階のそれぞれに対して観察される。傾斜と段階の組合せもまた可能である。
【0163】
50〜400Vの範囲の段階(1b)における電圧の印加に対する、例えば、10〜300秒の範囲の期間などの期間の指示は、この電圧が記載の期間中一定に保持されることを意味し得る。しかし、あるいは、その電圧はまた、50〜400Vの範囲の記載の最小および最大値内で段階(1b)内の析出期間中に多様な値をとることもでき、例えば、最小から最大析出電圧まで往復で振れることができるまたは傾斜でもしくは段階で上昇することができる。
【0164】
段階(1b)における電圧、すなわち、析出電圧はまた、無電流の時間を備えたまたは2つのパルスの間の最小レベル未満の電圧を備えたパルス形態で調整することもできる。パルス期間は、例えば、0.1〜10秒の範囲に存在することができる。したがって、析出に対する「期間」は、好ましくは、段階(1b)を実行する場合、析出電圧が前述の最大と最小値内にある期間の総和であるとみなされる。傾斜とパルスはまた、互いに合わせることもできる。
【0165】
さらなる任意の方法内工程
本発明の方法は、任意に、上に記載されたように2つの段階、(1a)および(1b)を伴う、好ましくは、工程(1)に続く以下のような工程(2):
(2)析出したコーティング組成物(A)を養生する前に、コーティング組成物(A)で少なくとも部分的にコートされた基材を水性ゾルーゲル組成物に接触させる工程
をさらに含む。
【0166】
当業者は、「ゾルーゲル組成物」、「ゾルーゲル」という用語、ならびにゾルーゲル組成物およびゾルーゲルの製造について、例えば、D.Wangら、Progress in Organic Coatings 2009年、64、327〜338頁またはS.Zhengら、J.Sol−Gel.Sci.Technol.2010年、54、174〜187頁から公知である。
【0167】
本発明の意味において水性「ゾルーゲル組成物」は、好ましくは、加水分解および縮合によって少なくとも1つの出発化合物を水と反応させることによって製造される水性組成物であり、この出発化合物は、例えばM
1および/またはM
2などの少なくとも1つの金属原子および/または準金属原子を有し、例えば2つの加水分解性基X
1などの少なくとも2つの加水分解性基を有し、さらに、任意に、例えば、R
1などの少なくとも1つの非加水分解性有機基を有する。本明細書での少なくとも2つの加水分解性基は、好ましくは、それぞれの場合単結合によって、少なくとも1つの出発化合物に存在する少なくとも1つの金属原子および/または少なくとも1つの準金属原子にそれぞれ直接結合する。例えば、R
1などの非加水分解性有機基が存在するために、本発明にしたがって使用されるこの種のゾルーゲル組成物はまた、「ゾルーゲル混成組成物」とも呼ばれる。
【0168】
任意の工程(2)で本発明にしたがって使用される水性ゾルーゲル組成物は、好ましくは、
少なくとも1つの化合物Si(X
1)
3(R
1)
[式中、その中のR
1は、第1級アミノ基、第2級アミノ基、エポキシド基、およびエチレン性不飽和二重結合を有する基からなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を有する非加水分解性有機基である]、
より具体的には、少なくとも1つの化合物Si(X
1)
3(R
1)
[式中、その中のR
1は、反応性官能基として少なくとも1つのエポキシド基を有する非加水分解性有機基であり、X
1は、例えば、O−C
1〜6アルキル基などの加水分解性基である]、およびさらに、
任意に少なくとも1つのさらなる化合物Si(X
1)
3(R
1)
[式中、その中のR
1は、第1級アミノ基および第2級アミノ基からなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を有する非加水分解性有機基であり、X
1は、例えば、O−C
1〜6アルキル基などの加水分解性基である]、
および任意に少なくとも1つの化合物Si(X
1)
4
[式中、X
1は、例えば、O−C
1〜6アルキル基などの加水分解性基である]、
および任意に少なくとも1つの化合物Si(X
1)
3(R
1)
[式中、その中のR
1は、例えば、C
1〜10アルキル基などの反応性官能基を有さない非加水分解性有機基であり、X
1は、例えば、O−C
1〜6アルキル基などの加水分解性基である]、
および任意に少なくとも1つの化合物Zr(X
1)
4
[式中、X
1は、例えば、O−C
1〜6アルキル基などの加水分解性基である]と水との反応
によって取得可能である。
【0169】
本発明の方法は、好ましくは、工程(1)または工程(2)に好ましくは続く、以下のような:
(3)工程(1)または工程(2)の後に取得可能である、水性コーティング組成物(A)で少なくとも部分的にコートされた基材を水および/または限外ろ過液ですすぐ工程
のような工程(3)をさらに含む。
【0170】
具体的には電着コーティングに関連しての「限外ろ過液」または「限外ろ過」という用語は、当業者におなじみであり、例えば、Roempp Lexikon、Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag 1998年で定義されている。
【0171】
工程(3)の実行によって、工程(1)後に少なくとも部分的にコートされた基材上に存在する本発明で用いる水性コーティング組成物(A)の過剰な構成成分をディップコーティング浴内に循環することが可能になる。
【0172】
本発明の方法は、好ましくは、工程(1)または(2)または(3)に続く任意の工程(4)、
(4)工程(1)または工程(2)または工程(3)後に取得可能である水性コーティング組成物(A)で少なくとも部分的にコートされた基材を、好ましくは30秒から最長1時間にわたって、より好ましくは、30秒から最長30分間にわたって水および/または限外ろ過液と接触させる
という工程(4)をさらに含むことができる。
【0173】
本発明の方法は、好ましくは、工程(1)、より具体的には、段階(1b)、または(2)または(3)または(4)に続く任意の工程(4a)、
(4a)工程(1)または工程(2)または工程(3)または工程(4)後に取得可能である水性コーティング組成物(A)で少なくとも部分的にコートされた基材を、水溶液または水性分散液、好ましくは、少なくとも1つの架橋触媒(V)、好ましくは、結合剤(A1)の反応性官能基を架橋するのに適している少なくとも1つの架橋触媒(V)、より具体的には、結合剤(A1)として使用されるエポキシド系ポリマー樹脂および/またはアクリラート系ポリマー樹脂の水溶液と接触させる
という工程(4a)をさらに含むことができる。
【0174】
少なくとも1つの架橋触媒(V)の水溶液は、好ましくは、例えば、3価のビスマスを含む化合物を含む水溶液などのビスマス化合物の水溶液である。任意の工程(4a)の実行中、アノードに対するカソード電圧は、好ましくは、使用される導電性基材に対して、より好ましくは、4V〜100Vの範囲で印加される。工程(4a)を実施することによって、工程(1)の段階(1a)の実行後に成分(A3)の量がコーティング組成物中に少ししか残留していないので段階(1b)で析出できない場合に効果的な架橋が可能になる。
【0175】
好ましい実施形態では、本発明の方法は、以下のような:
(5)本発明で用いる水性コーティング組成物(A)で少なくとも部分的にコートされ、工程(1)および/または(2)および/または(3)および/または(4)および/または(4a)後に取得可能な基材に少なくとも1つのさらなるコーティング膜を施用する
工程のような、好ましくは、工程(1)および/または(2)および/または(3)および/または(4)および/または(4a)に続き、好ましくは、任意の工程(6)の前に実施される少なくとも1つの工程(5)をさらに含む。
【0176】
工程(5)によって、1つまたは複数のさらなるコーティング膜が、水性コーティング組成物(A)で少なくとも部分的にコートされ、工程(1)および/または(2)および/または(3)および/または(4)および/または(4a)後に取得可能な基材に施用することが可能である。2つ以上のコートを施用しなければならない場合、工程(5)は、しばしば適切に反復することができる。施用するためのさらなるコーティング膜の例は、例えば、ベースコート膜、表面膜および/または単コートもしくは複コート膜である。任意に、工程(2)における水性ゾルーゲル組成物による続いてのすすぎおよび/または水および/または限外ろ液による任意のすすぎ(工程(3)における)にかけた後に、および/または工程(4)および/または工程(4a)を実施した後に、工程(1)によって施用される水性コーティング組成物(A)は、養生することができ、この養生は、ベースコート膜、表面膜および/または単コートもしくは複コート膜などのさらなるコートが施用される前に、工程(6)で以下に記載されるように実施される。しかし、あるいは、任意に、工程(2)における水性ゾルーゲル組成物による続いてのすすぎおよび/または水および/または限外ろ液による任意のすすぎ(工程(3)における)にかけた後におよび/または工程(4)および/または工程(4a)を実施した後に、工程(1)によって施用される水性コーティング組成物(A)は、養生しなくてもよいが、代わりに、最初に、ベースコート膜、表面膜および/または単コートもしくは複コート膜などのさらなるコートを施用することもできる(「湿−オン−湿法」)。この場合、このもしくはこれらのさらなるコート(複数可)の施用に続いて、こうして得られた全体の系は、養生されるが、この養生は、好ましくは工程(6)にしたがって以下に記載のように実施することが可能である。
【0177】
好ましい実施形態では、本発明の方法は、以下のような:
(6)工程(1)および/または任意に(2)および/または(3)および/または(4)および/または(4a)の後に基材に少なくとも部分的に施用された水性コーティング組成物(A)、または工程(1)および/または任意に(2)および/または(3)および/または(4)および/または(4a)および/または(5)の後に基材に少なくとも部分的に施用されたコーティングを養生する
工程のような少なくとも1つの工程(6)をさらに含む。
【0178】
本発明の方法の工程(6)は、工程(1)または任意に(2)の後に、または任意に少なくとも1つのさらなる工程(5)のみの後に、好ましくはベーキングによって実施される。工程(6)は、好ましくは、オーブンで実施される。本明細書での養生は、好ましくは、140℃〜200℃の範囲、より好ましくは、150℃〜190℃の範囲、非常に好ましくは、160℃〜180℃の範囲の基材温度で実施される。工程(6)は、好ましくは、少なくとも2分〜2時間にわたって、より好ましくは、少なくとも5分〜1時間にわたって、非常に好ましくは、少なくとも10分〜30分の期間にわたって実施される。
【0179】
少なくとも部分的にコートされた基材
本発明のさらなる主題は、本発明の水性コーティング組成物(A)で少なくとも部分的にコートされた導電性基材、または導電性基材を電着材料で少なくとも部分的にコートするための本発明の方法によって取得可能である少なくとも部分的にコートされた導電性基材である。
【0180】
本発明のさらなる主題は、少なくとも1つのかかる基材から生成する好ましくは金属部品または好ましくは金属物品である。
【0181】
かかる物品は、例えば、金属片である。この種の部品は、例えば、自動車、トラック、オートバイ、バス、および長距離バスなどの車両のボディーおよびボディー部品、ならびに家庭用電気製品の部品、または装置の金属被覆材、ファサード金属被覆材、天井金属被覆材、もしくは窓枠の分野での他の部品であってよい。
【0182】
決定の方法
1.VDA 621−415によるVDA交互気候試験
この交互気候試験は、基材上のコーティングの耐食性を決定するのに使用される。VDA交互気候試験は、適切にコートされた冷間圧延鋼(CRS)基材に対して実施される。交互気候試験は、10サイクルで実施される。1サイクルは、全部で168時間(1週間)からなり、
a)DIN EN ISO 9227 NSS(日付:2012年12月1日)にしたがった24時間の塩散布ミスト試験、
b)続いての8時間の2005年9月、AHT法のDIN EN ISO 6270−2による加温を含めた貯蔵、
c)続いての16時間の2005年9月、AHT法のDIN EN ISO 6270−2による冷却を含めた貯蔵、
d)b)およびc)の3倍の反復(したがって全部で72時間)、および
e)48時間の2005年9月、AHT法のDIN EN ISO 6270−2による通気気候チャンバを用いる冷却を含めた貯蔵
を包含する。
【0183】
未だ交互気候試験を実施しない前に、調査中の試料のそれぞれのベークしたコーティングにナイフで基材まで切れ目をつける場合、交互気候試験の実施中に切れ目線に沿って基材が腐食するので、切れ目におけるそれらの腐食および層間剥離の度合いについてDIN EN ISO 4628−8(日付:2013年3月1日)にしたがって試料を調べることができる。腐食の進行過程は多かれ少なかれ試験中のコーティングの劣化を引き起こす。腐食および層間剥離(それぞれ[mm])はコーティングの耐性の尺度である。
【0184】
2. PV 210交互気候試験
PV 210交互気候試験は基材上のコーティングの耐食性を解明するのに使用される。交互気候試験は、本発明の方法によりまたは比較のための方法によりコートされた導電性の冷間圧延鋼(CRS)基材について行われる。この交互気候試験は30サイクルで行われる。1サイクル(24時間)は、DIN EN ISO 9227 NSS(日付:2012年9月1日)にしたがった4時間の塩散布ミスト試験、2005年9月のDIN EN ISO 6270−2(AHT法)にしたがった冷却を含む4時間の保存、および2005年9月のDIN EN ISO 6270−2、AHT法、にしたがった40±3℃および100%の湿度における加温を含む16時間の保存からなる。5サイクルが終わるごとに、2005年9月のDIN EN ISO 6270−2、AHT法、にしたがった冷却を含む48時間の休止がある。したがって30サイクルは全部で42日の期間に相当する。
【0185】
未だ交互気候試験を実施しない前に、調査中の試料のそれぞれのベークしたコーティングにナイフで基材まで切れ目をつける場合、交互気候試験の実施中に切れ目線に沿って基材が腐食するので、切れ目におけるそれらの腐食および層間剥離についてDIN EN ISO 4628−8(日付:2013年3月1日)にしたがって試料を調べることができる。腐食の進行過程は多かれ少なかれ試験中のコーティングの劣化を引き起こす。腐食および層間剥離(それぞれ[mm])はコーティングの耐性の尺度である。
【0186】
3.膜質量決定のための蛍光X線分析(XFA)
調査下のコーティングの膜質量(表面積1m
2当たりのmgで)は、DIN 51001(日付:2003年8月)による波長分散型蛍光X線分析(XFA)によって決定される。この方法では、例えば、コーティングのビスマス含量または、本発明の方法の工程(1)の段階(1a)後に得られるコーティングなどのビスマス含量またはビスマス付加層を決定することができる。同様に、例えば、ジルコニウムなどの他の元素のそれぞれの量を決定することも可能である。蛍光X線分析を実施した場合に得られる信号は、コートされない参照試料の別個に測定された基材に対する値によって補正される。全カウント数(1秒当たりのキロカウント)が、ビスマスなどの分析下のそれぞれの元素に対して決定される。参照試料(コートされない基材)のそれぞれの元素の全カウント数が、当該の試料に対してこの方法で決定されたそれぞれの全カウント数から差し引かれて分析下の元素に対する正味のカウント数が得られる。元素に特有の変換関数(較正測定から得られる)を使用してこれらが膜質量(mg/cm
2)に変換される。多数のコートが施用される場合は、それぞれの膜質量が、それぞれの施用後に決定される。次いで、続いてのコートに対して、それぞれの場合の先行膜の全カウント数が参照として用いられる。この決定方法は、本発明の方法の工程(1)の段階(1a)後に得られるコーティングのビスマス含量を決定するのに使用される。
【0187】
4.コーティング組成物(A)中に存在するビスマスの全量を決定するための原子発光分光法(ICP−OES)
例えば、ビスマス含量などの分析下の試料中のある種の元素量は、DIN EN ISO 11885(日付:2009年9月)による誘導結合プラズマ原子発光分光法(ICP−OES)を使用して決定される。この目的のために、コーティング組成物(A)または比較組成物の試料を採取し、この試料をマイクロ波により分解する:ここで、コーティング組成物(A)または比較組成物の試料が秤量され、この試料の揮発性構成成分が、1時間にわたり18℃〜130℃までの直線的な温度上昇による加熱によって除去される。この生成試料の最大0.5g量が、硝酸(強度65%)と硫酸(強度96%)(前記酸それぞれ5ml)の1:1混合物と混合される。次いで、Berghof(Speedwave IV instrument)からの装置を使用して、マイクロ波分解が実施される。分解中に、試料混合物は、20〜30分にわたり温度250°Cまで加熱され、この温度が10分間維持される。分解後は、残留試料混合物は、固体画分を含まない清澄な溶液でなければならない。DIN EN ISO 11885によるICP−OESを使用して、次いで試料中のビスマス全量が、確認される。この試料は、高周波場によって発生するアルゴンプラズマ中の熱励起にかけられ、電子遷移のための発光が、対応波長のスペクトル線として可視化され、光学系を使用して分析される。発光強度とビスマスなどの当該元素濃度の間には直線関係が存在する。実行する前に、公知の元素標準(参照標準)を使用して、較正測定が、分析下の特定試料の関数として実施される。こうした較正は、試料中のビスマス量の濃度などの未知溶液の濃度を決定するのに使用することができる。
【0188】
それぞれの組成物中に溶液で存在するビスマスの割合、すなわち、例えば(A3)の量の別の測定において、使用される試料は限外ろ過液の試料である。この場合の限外ろ過は1時間で行われ(回路における限外ろ過;限外ろ過メンブラン、Nadir、PVDF、RM−UV 150T)、試料は浸透液または限外ろ過液から採取される。次いでこの試料中の(A3)の量をICP−OESによりDIN EN ISO 11885にしたがって測定する。ここで、(A)に溶解した形態で存在する成分(A3)は、限外ろ過液中へ完全に移されると仮定する。上記の概略のように測定される(A3)の割合を事前に測定されるビスマスの全量から差し引く場合、結果は分析中の試料中に存在する成分(A4)の割合である。
【0189】
続く実施例は、本発明を明瞭にするのに役立つが、いかなる制限をも課すものではない。
【実施例】
【0190】
別段の指定がない限り、以下のパーセントでの量はそれぞれの場合において質量パーセントである。
【0191】
発明および比較例
1.発明の水性コーティング組成物および比較のコーティング組成物の生成
比較のコーティング組成物V1
結合剤および架橋剤の水性分散液(固体含量37.5質量%でBASF社から市販の製品CathoGuard(登録商標)520)を室温(18〜23℃)で少量の脱イオン水と混合して混合物M1を得る。この混合物M1に、顔料ペースト(固体含量65.0質量%でBASF社から市販の製品CathoGuard(登録商標)520)、およびビスマス(III)を含有する水溶性化合物を加え、生成混合物を室温(18〜23℃)で撹拌により混合して混合物M2を得る。室温(18〜23℃)で24時間にわたってさらに撹拌した後、結果として比較用コーティング組成物(V1)を得る。V1を製造するのに使用されるBASF社の顔料ペーストCathoGuard(登録商標)520は次硝酸ビスマスを含有する。そのような顔料ペーストの製造は例えば独国特許出願公開第102008016220(A1)(7頁、表1、変形B)で当業者に知られている。使用されるビスマス(III)を含有する水溶性化合物はL−(+)−乳酸ビスマス(Bi1)であり、11.9質量%のビスマス含量を有する。
【0192】
このBi1の製造は以下に記載されるように行われる:L−(+)−乳酸(強度88質量%)(613.64g)および脱イオン水(1314.00g)の混合物を導入し撹拌しながら70℃まで加熱する。155.30gの酸化ビスマス(III)をこの混合物に加え、その間に生成混合物の温度は80℃まで上昇してもよい。1時間後、さらなる155.30gの酸化ビスマス(III)をこの混合物に加え、生成混合物の温度は再び80℃まで上昇してもよい。さらに1時間後、さらなる155.30gの酸化ビスマス(III)物をこの混合物に加え、生成混合物をさらに3時間撹拌する。その後に続いて撹拌しながら1003gの脱イオン水を加える。この時間の後、任意に、30〜40℃の範囲の温度にまだ達していない場合は生成混合物を30〜40℃の範囲の温度まで冷却する。その後反応混合物をろ過し(T1000デプスフィルター)、ろ液をBi1として使用する。
【0193】
コーティング組成物Z1およびZ2
本発明のコーティング組成物Z1およびZ2を比較用コーティング組成物V1の製造と同様に製造するが、加えて、それぞれの場合において異なる量の酸化アルミニウムナノ粒子を混合物M2に加える点が異なる。Byk社の市販製品Nanobyk(登録商標)3600を酸化アルミニウムナノ粒子として使用する。
【0194】
表1は、生成した発明の水性コーティング組成物Z1およびZ2のならびに水性比較用コーティング組成物V1の概観を提供する:
【0195】
【表1】
【0196】
2.発明の水性コーティング組成物Z1または比較のコーティング組成物V1によりコートされた導電性基材の生成
水性コーティング組成物Z1およびZ2または比較用コーティング組成物V1をそれぞれの場合においてディップコーティングとして基材としての金属試験パネルに塗布する。組成物Z1およびZ2ならびにV1のそれぞれを上記のようなその製造後にそれぞれの基材に塗布する。
【0197】
使用される金属試験パネル(T1)は導電性基材の例としての冷間圧延鋼(CRS)である。使用したそれぞれのパネルのそれぞれの2面は、面積が10.5cm・19cmであり、全体の面積が約400cm
2である。
【0198】
最初に、それぞれの場合、これらのパネルを温度62℃で1.5〜3分間、ヘンケルからの市販の製品Ridoline 1565−1(3.0質量%)とRidosol 1400−1(0.3質量%)とまた水(96.7質量%)とを含む水溶液を含む浴内に浸漬することによって清浄化する。これに、機械による清浄化(微細ブラシを使用する)が続き、その後にパネルを1.5分間浴内に再度浸漬する。
【0199】
このようにして清浄化した基材を続いて水(1分間)および脱イオン水(1分間)ですすぐ。
【0200】
その直後に、発明で用いた水性コーティング組成物Z1またはZ2または比較用コーティング組成物V1のうちの一つを、それぞれ、それぞれのパネルT1に施用するが、それぞれのパネルを組成物Z1、Z2またはV1のうちの一つを含む対応するディップコーティング浴に浸漬する。本明細書のディップコーティング浴は、それぞれ温度32℃を有する。
【0201】
ディップコーティング浴中のコーティングを、2段階析出工程およびコーティング工程(1)によって実施するが、これは2段階(1a)および(1b)を提供し、第一に、等電位的に電圧4Vを120秒間(段階(1a)に対応して)印加してビスマスを予備析出させる。
【0202】
続いて、段階(1a)後に得られた基材に対して、本発明の方法の工程(1)の段階(1b)が、等電位的に電圧4Vの印加によって実施され、これが、傾斜電圧によってそれぞれの場合30秒間にわたり、220Vの電圧まで連続的および直線的に上昇する。次いで、このそれぞれの電圧を180秒の範囲の間(保持時間)保持する。
【0203】
詳細には、組成物V1またはZ1のうちの一つで基材T1をコートする場合、以下のパラメータを選択する:
V1:
段階(1a):120秒にわたり4V(等電位的に)
段階(1b):傾斜電圧:30秒間にわたり電圧220Vまでの直線的増加およびこの電圧における保持時間180秒
Z1:
段階(1a):120秒にわたり4V(等電位的に)
段階(1b):傾斜電圧:30秒間にわたり電圧220Vまでの直線的増加およびこの電圧における保持時間180秒
【0204】
その後に続くベーキング工程は、それぞれの場合25分間175℃(オーブン温度)で生成コーティングをベークすることによって実施される。それぞれの基材上にベークされる本発明の水性コーティング組成物の乾燥膜厚は、それぞれの場合20μmである。
【0205】
3.コートされた基材の耐食性効果の調査
コーティング組成物、Z1、Z2またはV1でコートされた基材T1(冷間圧延鋼(CRS))を調べる。
【0206】
以下の試験はすべて前述の決定法および/または対応する標準にしたがって実施した。表2中のそれぞれの値は、三重の決定の平均値である。
【0207】
【表2】
【0208】
表2から知見できるように、本発明の水性コーティング組成物を用いてコートされた基材は、一貫して、比較のコーティング組成物でコートされた基材に比較して改善された耐食効果を示す。