特許第6336467号(P6336467)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6336467不等長の前腕部を備えた多軸ロボット装置、電子デバイス製造システム、及び、電子デバイス製造において基板を搬送するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6336467
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】不等長の前腕部を備えた多軸ロボット装置、電子デバイス製造システム、及び、電子デバイス製造において基板を搬送するための方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20180528BHJP
   B25J 9/06 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   B25J9/06 D
【請求項の数】16
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-545190(P2015-545190)
(86)(22)【出願日】2013年11月26日
(65)【公表番号】特表2016-500473(P2016-500473A)
(43)【公表日】2016年1月12日
(86)【国際出願番号】US2013072048
(87)【国際公開番号】WO2014085479
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2016年11月24日
(31)【優先権主張番号】61/732,196
(32)【優先日】2012年11月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ハジェンズ, ジェフリー シー.
(72)【発明者】
【氏名】クレマーマン, イズヤ
(72)【発明者】
【氏名】ブロダイン, ジェフリー エー.
(72)【発明者】
【氏名】コックス, デイモン キース
【審査官】 中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−109866(JP,A)
【文献】 特開2002−222845(JP,A)
【文献】 特開2011−199121(JP,A)
【文献】 特表2012−514569(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/034795(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0121798(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0266194(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B25J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多軸ロボットであって、
第1回転軸の周囲で回転するよう適合したブームと、
前記ブームの外側末端部で前記ブームに回転式に結合された第1前腕部とを備え、前記第1前腕部は、第2回転軸の周囲で個別に回転するよう構成され、
前記ブームの前記外側末端部で前記ブームに回転式に結合され、かつ、前記第2回転軸の周囲で個別に回転するよう構成された、第2前腕部を備え、前記第2前腕部は前記第1前腕部よりも短く、
前記第1前腕部の第1外側位置で前記第1前腕部に回転式に結合され、かつ、第3の軸の周囲で、前記第1前腕部に対して個別に回転するよう構成された、第1リスト部材と、
第2外側位置で前記第2前腕部に回転式に結合され、かつ、第4の軸の周囲で、前記第2前腕部に対して個別に回転するよう構成された、第2リスト部材とを備える、多軸ロボット。
【請求項2】
前記ブームに結合された第1駆動モータと、
前記第1前腕部に結合された第2駆動モータと、
前記第1リスト部材に結合された第3駆動モータと、
前記第2前腕部に結合された第4駆動モータと、
前記第2リスト部材に結合された第5駆動モータとを更に含む、請求項1に記載の多軸ロボット。
【請求項3】
前記第1駆動モータの第1ステータと、
前記第2駆動モータの第2ステータと、
前記第3駆動モータの第3ステータと、
前記第4駆動モータの第4ステータと、
前記第5駆動モータの第5ステータと、
前記第ステータと前記第5ステータとを支持する上部隔壁と、
前記第2ステータと前記第3ステータとを支持する下部隔壁とを更に含み、かつ、
前記第ステータは、上部隔壁と下部隔壁との間に受容されている、請求項に記載の多軸ロボット。
【請求項4】
前記第2前腕部は、前記第1前腕部よりも短い長さを有し、かつ、前記第2前腕部が前記第1前腕部のリスト継手に干渉しないように構成されている、請求項1に記載の多軸ロボット。
【請求項5】
前記第1前腕部は第1中心間長さを有し、かつ、前記第2前腕部は第2中心間長さを有し、前記第2中心間長さは、前記第1中心間長さの約50%から90%である、請求項1に記載の多軸ロボット。
【請求項6】
前記ブームの中心間長さは、前記第1前腕部の中心間長さよりも短い、請求項1に記載の多軸ロボット。
【請求項7】
前記ブームの中心間長さは、前記第2前腕部の中心間長さよりも短い、請求項1に記載の多軸ロボット。
【請求項8】
短い方である前記第2前腕部は、前記第1前腕部よりも上位に位置付けられる、請求項1に記載の多軸ロボット。
【請求項9】
ブーム駆動装置を更に含み、
前記ブームは、ウェブ部分と、
前記ウェブ部分の上方で、前記ブームに回転式に装着された第1前腕部駆動部材と、
前記ウェブ部分の上方で、前記ブームに回転式に装着された第1リスト駆動部材と、
前記ウェブ部分の上方で、前記ブームに外側末端部で回転式に装着された第1前腕部従動部材と、
前記ウェブ部分の上方で、前記ブームに外側末端部で回転式に装着された第1リスト従動部材と、
前記ウェブ部分の上方で、前記第1前腕部駆動部材を前記第1前腕部従動部材に結合する第1前腕部伝達部材と、
前記ウェブ部分の上方で、前記第1リスト駆動部材を前記第1リスト従動部材に結合する第1リスト伝達部材とを含む、請求項1に記載の多軸ロボット。
【請求項10】
前記第1リスト駆動部材と前記第1リスト部材との間に結合された第1中間伝達部材を更に含む、請求項9に記載の多軸ロボット。
【請求項11】
前記ブーム駆動装置は、
前記ウェブ部分の下方で、前記ブームに回転式に装着された第2前腕部駆動部材と、
前記ウェブ部分の下方で、前記ブームに回転式に装着された第2リスト駆動部材と、
前記ウェブ部分の下方で、前記ブームに外側末端部で回転式に装着された第2前腕部従動部材と、
前記ウェブ部分の下方で、前記ブームに外側末端部で回転式に装着された第2リスト従動部材と、
前記ウェブ部分の下方で、前記第2前腕部駆動部材を前記第2前腕部従動部材に結合する第2前腕部伝達部材と、
前記ウェブ部分の下方で、前記第2リスト駆動部材を前記第2リスト従動部材に結合する第2リスト伝達部材とを更に含み、
前記多軸ロボットは、前記第2リスト駆動部材と前記第2リスト部材との間に結合された第2中間伝達部材を更に含む、請求項9に記載の多軸ロボット。
【請求項12】
電子デバイス処理システムであって、
移送チャンバと、
前記移送チャンバ内に少なくとも部分的に受容されたマルチリンクロボット装置とを備え、前記マルチリンクロボット装置は、
第1回転軸の周囲で回転するよう適合したブームと、
前記ブームの外側末端部で前記ブームに回転式に結合され、かつ、個別に回転するよう構成された、第1前腕部と、
前記ブームの前記外側末端部で前記ブームに回転式に結合され、かつ、個別に回転するよう構成された、第2前腕部とを有し、前記第2前腕部は前記第1前腕部よりも短く、
前記第1前腕部に回転式に結合され、かつ、前記第1前腕部に対して個別に回転するよう構成された、第1リスト部材と、
前記第2前腕部に回転式に結合され、かつ、前記第2前腕部に対して個別に回転するよう構成された、第2リスト部材とを有する、電子デバイス処理システム。
【請求項13】
前記第1前腕部の第1中心間長さと、前記第2前腕部の第2中心間長さとを備え、かつ、前記第2中心間長さは、前記第1中心間長さの約50%から90%である、請求項12に記載の電子デバイス処理システム。
【請求項14】
電子デバイス処理システムの内部で基板を搬送する方法であって、
第1回転軸の周囲で回転するよう適合したブームを提供することと、
前記ブームの外側末端部で前記ブームに回転式に結合された第1前腕部を提供することと、
前記ブームの前記外側末端部で前記ブームに回転式に結合された第2前腕部を提供することとを含み、前記第2前腕部は前記第1前腕部よりも短く、
前記第1前腕部の外側位置で前記第1前腕部に回転式に結合された第1リスト部材を提供することと、
前記第2前腕部の外側位置で前記第2前腕部に回転式に結合された第2リスト部材を提供することと、
基板をチャンバからチャンバへと搬送するために、前記第1前腕部、前記第2前腕部、前記第1リスト部材及び前記第2リスト部材を個別に回転させ、かつ、前記搬送における少なくともいずれかの時点に、前記第2前腕部を前記第1前腕部の上で移動させることを含む、方法。
【請求項15】
前記第1前腕部、前記第2前腕部、前記第1リスト部材、前記第2リスト部材、前記第1リスト部材に結合された第1エンドエフェクタ、及び、前記第2リスト部材に結合された第2エンドエフェクタを全て、前記第1エンドエフェクタ及び前記第2エンドエフェクタ上で搬送されている第1基板と第2基板が同時に、互いに擦れ違うことがない、折畳まれた状態に位置付けることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ブームから延在する第1の駆動シャフトに結合された第1駆動モータの第1ステータと、
前記第1前腕部に結合された第2駆動シャフトに結合された第2駆動モータの第2ステータと、
前記第1リスト部材に結合された第3駆動シャフトに結合された第3駆動モータの第3ステータと、
前記第2前腕部に結合された第4駆動シャフトに結合された第4駆動モータの第4ステータと、
前記第2リスト部材に結合された第5駆動シャフトに結合された第5駆動モータの第5ステータと、
前記第4ステータと前記第5ステータとを支持する上部隔壁と、
前記第2ステータと前記第3ステータとを支持する下部隔壁とを更に含み、かつ、
前記第1ステータは、上部隔壁と下部隔壁との間に受容されている、請求項1に記載の多軸ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2012年11月30日に出願され、あらゆる目的のために本書に組み込まれている、「不等長の前腕部を備えた多軸ロボット装置、電子デバイス製造システム、及び、電子デバイス製造において基板を搬送するための方法(MULTI−AXIS ROBOT APPARATUS WITH UNEQUAL LENGTH FOREARMS, ELECTRONIC DEVICE MANUFACTURING SYSTEMS, AND METHODS FOR TRANSPORTING SUBSTRATES IN ELECTRONIC DEVICE MANUFACTURING)」と題された米国仮特許出願61/732,196号への優先権を主張する。
【0002】
本出願はまた、2013年11月26日に出願され、あらゆる目的のために本書に組み込まれている、「モータモジュール、多軸モータ駆動アセンブリ、多軸ロボット装置、並びに、電子デバイス製造のシステム及び方法(MOTOR MODULES, MULTI−AXIS MOTOR DRIVE ASSEMBLIES, MULTI−AXIS ROBOT APPARATUS, AND ELECTRONIC DEVICE MANUFACTURING SYSTEMS AND METHODS)」と題された、米国特許出願番号14/090,929(代理人整理番号21509/FEG/SYNX/PJT)に関する。
【0003】
本発明は、電子デバイス製造に関し、より具体的には、基板を搬送するための装置、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
従来型の電子デバイス製造システムは、複数の処理チャンバ、及び、一又は複数のロードロックチャンバを含みうる。かかるチャンバは、例えば、複数のチャンバが一移送チャンバの周囲に分布しうる、クラスタツールに含まれうる。これらのシステム及びツールは、例えば移送チャンバ内に収納されることが可能であり、かつ、様々なチャンバと一又は複数のロードロックチャンバとの間で基板を搬送するよう適合している、移送ロボットを用いうる。例えば、移送ロボットは、処理チャンバから処理チャンバへ、ロードロックチャンバから処理チャンバへ及びその逆に、基板を搬送しうる。様々なチャンバ間での迅速かつ正確な基板の搬送は、効率的なシステムスループットを提供し、それによって、全体的な作業コストを引き下げうる。
【0005】
そのため、基板の効率的かつ正確な移動のためのシステム、装置、及び方法が望まれる。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、多軸ロボットが提供される。多軸ロボットは、第1回転軸の周囲で回転するよう適合したブームと、ブームの外側末端部でブームに回転式に結合された第1前腕部とを含み、第1前腕部は、第2回転軸の周囲で個別に回転するよう構成され、ブームの外側末端部でブームに回転式に結合され、かつ、第2回転軸の周囲で個別に回転するよう構成された第2前腕部を含み、第2前腕部は第1前腕部よりも短く、第1前腕部の第1外側位置で第1前腕部に回転式に結合され、かつ、第3の軸の周囲で、第1前腕部に対して個別に回転するよう構成された第1リスト部材と、第2外側位置で第2前腕部に回転式に結合され、かつ、第4の軸の周囲で、第2前腕部に対して個別に回転するよう構成された第2リスト部材とを含む。
【0007】
別の態様では、電子デバイス処理システムが提供される。電子デバイス処理システムは、移送チャンバと、移送チャンバ内に少なくとも部分的に受容されたマルチリンクロボット装置とを含み、マルチリンクロボット装置は、第1回転軸の周囲で回転するよう適合したブームと、ブームの外側末端部でブームに回転式に結合され、かつ、個別に回転するよう構成された第1前腕部と、ブームの外側末端部でブームに回転式に結合され、かつ、個別に回転するよう構成された第2前腕部とを有し、第2前腕部は第1前腕部よりも短く、第1前腕部に回転式に結合され、かつ、第1前腕部に対して個別に回転するよう構成された第1リスト部材と、第2前腕部に回転式に結合され、かつ、第2前腕部に対して個別に回転するよう構成された第2リスト部材とを有する。
【0008】
別の態様では、電子デバイス処理システムの内部で基板を搬送する方法が提供される。方法は、第1回転軸の周囲で回転するよう適合したブームを提供することと、ブームの外側末端部でブームに回転式に結合された第1前腕部を提供することと、ブームの外側末端部でブームに回転式に結合された第2前腕部を提供することとを含み、第2前腕部は第1前腕部よりも短く、第1前腕部の外側位置で第1前腕部に回転式に結合された第1リスト部材を提供することと、第2前腕部の外側位置で第2前腕部に回転式に結合された第2リスト部材を提供することと、基板をチャンバからチャンバへと搬送するために、第1前腕部、第2前腕部、第1リスト部材及び第2リスト部材を個別に回転させ、かつ、搬送中に第2前腕部を第1前腕部の上で移動させることを含む。
【0009】
多数の他の態様が、本発明の上記の及びその他の実施形態により提供される。本発明の実施形態他の特徴及び態様は、以下の詳細な説明、付随する特許請求の範囲、及び添付の図面から、より完全に明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】いくつかの実施形態による、多軸ロボット装置を含む電子デバイス処理システムの概略上面図を示す。
図1B】いくつかの実施形態による、多軸ロボット装置の側面図を示す。
図1C】いくつかの実施形態による、多軸ロボット装置の上面図を示す。
図1D】いくつかの実施形態による、多軸ロボット装置の断面側面図を示す。
図1E】いくつかの実施形態による、多軸ロボット装置の駆動アセンブリの断面側面図を示す。
図2A】いくつかの実施形態による、6面メインフレームハウジングに取り付けられた多軸ロボット装置の部分的な断面上面図を示す。
図2B】いくつかの実施形態による、8面メインフレームハウジングに取り付けられた多軸ロボット装置の部分的な断面上面図を示す。
図3A】いくつかの実施形態による、異なる構成内に設けられた不等長の前腕部を含む多軸ロボット装置の等角図を示す。
図3B】いくつかの実施形態による、異なる構成内に設けられた不等長の前腕部を含む多軸ロボット装置の等角図を示す。
図3C】いくつかの実施形態による、不等長の前腕部を含む多軸ロボット装置の等角図を示す。
図4】いくつかの実施形態による、別の多軸ロボット装置の等角図を示す。
図5】いくつかの実施形態による、軸方向にオフセットされたチャンバを有するメインフレームハウジングに機能提供する、多軸ロボット装置の断面上面図を示す。
図6】いくつかの実施形態による、電子デバイス処理システムの内部で基板を搬送する方法を示すフローチャートである。
図7】いくつかの実施形態による、別の多軸ロボット装置の断面側面図を示す。
図8】いくつかの実施形態による、多軸ロボット装置の別の駆動アセンブリの断面側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
電子デバイス製造では、様々な場所間で、基板の非常に正確かつ迅速な搬送が必要とされうる。具体的には、いくつかの実施形態では、デュアルエンドエフェクタ(時に「ブレード」とも称される)は、ロボット装置に取り付けられ、かつ、エンドエフェクタ上に置かれている基板を、電子デバイス処理システムのチャンバへ、及びそこから、搬送するよう適合しうる。かかるシステムは、上方/下方構成を有するエンドエフェクタと共に移送チャンバ内に配設された多軸ロボットを含みうる。これは、第1基板が、チャンバから取り出され、次いで即座に、同一のチャンバにおいて第2のウエハに置換されることを可能にする。その目的は、可能な限り迅速にこの移送を実現することである。しかし、既存の多軸ロボットは、相当量の他のロボット動作がなくては、移送を行うことができない可能性がある。これらの追加的な動作は、発生しうる移送スピード全体を増大させうる。更に、既存のロボットは、かかるチャンバにアクセス可能な様態が限定的でありうる。例えば、既存のロボットの一部は、径方向が移送チャンバの中心(例えば、それに加えてスカラ型組立ロボットアーム(selective compliance assembly robot arm:SCARA)ロボットの肩軸)と位置合わせされた、径方向でしか面に進入しえない。しかし、使用可能な処理チャンバの数を増すために、8面システムが使用されうる。例えば、6個の処理チャンバと2個のロードロックが移送チャンバの周囲に配設されうる。しかし、様々な面への進入は、移送チャンバの中心から軸外に位置付けられることが可能である。換言すると、チャンバ内へのエンドエフェクタの移動の方向に沿ったベクトルは、移送チャンバの中心からオフセットされている。そのため、従来型のロボットは、使用に適さないことがある。
【0012】
従って、一又は複数の実施形態では、基板を電子デバイス製造内のチャンバへ、及びそこから、搬送するために使用されることが可能な、多軸ロボット装置が提供されうる。
【0013】
本発明の一又は複数の実施形態により、多軸ロボット装置は、外側末端部に取り付けられた第1と第2の前腕部を有するブームを含む。各前腕部は、その外側位置でそれに結合されたリスト部材を有する。リスト部材は、それらに結合された、又はそれと一体的に形成された、エンドエフェクタを有する。交換されるべき基板は、エンドエフェクタが使用される時に、一方又は両方のエンドエフェクタ上に置かれうる。いくつかの実施形態により、前腕部とリスト部材の各々は、個別に制御され、基板が交換されている際に、発生しうる動作経路に対する高レベルのフレキシビリティの実現を可能にしうる。更に、各エンドエフェクタに一前腕部と一リスト部材のみを使用することで、構成要素及び継手の数が低減され、それによって、剛性が付加されうる。
【0014】
別の広範な態様において、前腕部は不等長を有しうる。具体的には、長さは、短い方の前腕部が、長い方の前腕部をそのリスト部材に接続するリスト継手の付近を、通過しうるようなものでありうる。この差異長により、ロボットの動作経路性能の強化、従って、基板交換性能の改善が可能になる。(1)第1と第2の前腕部の個別的な動作性能と、(2)不等長の前腕部を備えた第1と第2のリスト部材、の組み合わせは、協働して、非常にフレキシブルな動作経路性能を提供する。具体的には、軸外チャンバに機能提供する能力が提供される。
【0015】
本発明の一又は複数の実施形態により、多軸ロボット装置を含む電子デバイス処理システムが提供される。本発明の一又は複数の追加的な実施形態により、電子デバイス処理システムで基板を移送する方法が提供される。本発明の例示的な実施形態の更なる詳細を、本書の図1Aから図8を参照して説明する。
【0016】
図1Aは、本発明の実施形態による、電子デバイス処理システム100の例示的な実施形態の概略図である。電子デバイス処理システム100は、移送チャンバ102を画定する壁面を有するハウジング101を含みうる。本発明の別の実施形態による多軸ロボット装置103は、移送チャンバ102の内部に少なくとも部分的に収納されうる。多軸ロボットの追加的な図が、図1Bから図1Dに示されている。多軸ロボット装置103は、多軸ロボット装置103の動作を介して、目標位置に基板(例えば基板105A、105B)を載置するか、又は、目標位置から基板を取り出すよう適合しうるが、それについては本書の下記で十分に説明する。
【0017】
目標位置は、移送チャンバ102に連結されている、様々な処理チャンバ(例えば、処理チャンバ106A、106B、106C、106D、106E、106F)でありうる。任意には、目標位置は、移送チャンバ102に連結されうる一又は複数のロードロックチャンバ108でありうる。処理チャンバ106Aから106Fは、堆積、酸化、窒化、エッチング、研磨、洗浄、リソグラフィなどの、任意の数の処理ステップを実行するよう適合しうる。他の処理がそれらの中で実行されることもある。ロードロックチャンバ108は、ファクトリインターフェース110の負荷ポートにドッキングされた基板キャリア112から一又は複数の基板を受容しうる、ファクトリインターフェース110と相接するよう適合しうる。基板は、ファクトリインターフェース110内のロボット113(点線で示す)によって移送され、かつ、移送は、矢印114によって示されるように任意の順序又は方向で行われうる。本書で使用する際、基板とは、シリカ含有ウエハ、ガラスプレート、ガラスパネル、マスクなどといった電子デバイス又は回路部品を作るために使用される、物品を意味するものとする。
【0018】
ツインチャンバ(例えば、平行面を有する並列チャンバ)の構成が、図1Aに示されており、ロボット装置103は、特に、かかるチャンバであって、移送チャンバ102の中心からオフセットされ、移送チャンバの中心から径方向に延在する線から斜めにオフセットされ、かつ/又は、ロボット103の肩軸からオフセットされている進入方向を有するチャンバに、機能提供することに適している。例えば、ベクトル107は、処理チャンバ106A内への通常の進入の(例えば面に対して垂直な)方向を示し、かつ、ベクトル107が、この実施形態では、移送チャンバ102の中心から、及びロボット装置の肩軸からも、距離dだけ横方向にオフセットされていることを示している。しかし、本書で説明する多軸ロボット103は、図2Aにある4個の処理チャンバと2個のロードロックチャンバとを有する電子デバイス処理システム200Aの、及び、図2Bに示すような、6個の処理チャンバと2個のロードロックチャンバとを有する図2Bの電子デバイス処理システム200Bのメインフレーム構成のような、種々のメインフレーム構成を有する他のツール内の基板の移送において使用するための、ユーティリティを有することを、認識されたい。これらの2つの実施形態の各々では、面は径方向に配向され、その配向において、どの面に対して垂直なベクトルも、ロボットの肩軸及び移送チャンバの中心を通るよう方向付けられる。これらの実施形態におけるロボット103の使用により、任意の数の事前位置付け動作を行うことが可能になる。これは、第1基板がなくなったチャンバ内に第2エンドエフェクタ上に位置付けられた第2基板が置かれる(例えば載置される)時に、あるチャンバから除去された第1エンドエフェクタ上の第1基板が、別のチャンバの隣に事前位置付けされることを可能にする。これらの事前位置付け動作は、スループットを増大させる。
【0019】
図1Aを再度参照するに、いくつかの実施形態では、移送チャンバ102は、例えば真空下で操作されうる。処理チャンバ106Aから106F、及び/又は、一又は複数のロードロックチャンバ108に基板105Aから105Bを載置する、及び、それらのチャンバから基板を取り出す時に、処理チャンバ106Aから106F、及び一又は複数のロードロックチャンバ108の各々は、それらの入口/出口に、開閉するよう適合しうるスリットバルブ109を含みうる。スリットバルブ109は、任意の適切な従来型の構造のものでありうる。
【0020】
多軸ロボット装置103の様々な構成要素の動作は、コントローラ115からの、多軸ロボット装置103の複数の駆動モータを包含する駆動アセンブリ111に対する、適切なコマンドによって制御されうる。コントローラ115からの信号は、後述から明らかになるように、多軸ロボット装置103の様々な構成要素の動作を引き起こしうる。適切なフィードバックが、位置エンコーダなどのような様々なセンサによって、各構成要素に提供されうる。
【0021】
ここで図1Aから図1Dを参照するに、多軸ロボット装置103は、一次軸116の周囲で回転可能なブーム104を含む。多軸ロボット装置103は、ハウジング101の壁面(例えばフロア部)に取り付けられるよう適合しているベース117を含みうる。しかし、多軸ロボット装置103は、いくつかの実施形態では、ハウジング101の天井部に取り付けられうる。そのため、多軸ロボット装置103は、ハウジング101によって少なくとも部分的に支持されうる。多軸ロボット装置103は、以下で説明するブーム104、及び様々なアームを駆動するよう構成され、適合している、駆動アセンブリ111も含む。ブーム104は、時計回り又は反時計回りのいずれかの回転方向で、第1回転軸116の周囲で回転するよう適合しうる。本書の下記で更に説明する、従来型の可変リラクタンス電動モータ又は永久磁石電動モータといった任意の適切な電動モータによって、回転が提供されうる。ブーム104の回転は、コントローラ115からの、駆動モータに対する適切なコマンドによって制御されうる。ブーム104は、第1回転軸116の周囲で、ベース117に対してX−Y平面において回転するよう適合している。
【0022】
図示されている実施形態では、ロボット装置103は、第1回転軸116から離間した、ブーム104の径方向の外側末端部でブーム104に結合されうる、第1前腕部118及び第2前腕部120を含む。図示されている実施形態では、第1と第2の前腕部118、120は、各々、同一の外側末端位置でブーム104の第1外側末端部に装着され、かつ、第2回転軸122の周囲で共通に回転可能である。図示するように、第2前腕部120は第1前腕部118よりも短い。第1と第2の前腕部118、120の各々は、ブーム104に対して個別に回転可能である。回転は、おおよそ+/−150度でありうる。図示されている実施形態では、第2回転軸122は、約348cmから約522cmまでの距離d1だけ、第1回転軸116から離間しうる(図1D参照)。d1はブーム104の中心間長さである。
【0023】
また更に、第1リスト部材124は、第1前腕部118上の第1外側位置に結合されることが可能であり、かつ、第1リスト軸126の周囲で、第1前腕部118に対して個別に回転可能である。第1リスト軸126は、約670cmから約1004cmまでの距離d2だけ、第2回転軸122から離間しうる(図1D参照)。d2は第1前腕部118の第1中心間長さである。第1リスト部材124は、それに結合された第1エンドエフェクタ128を有しうる。第1エンドエフェクタ128は、基板処理システム100の内部で処理されるべき基板105Aを担持するよう適合している。回転は、おおよそ+/−150度でありうる。
【0024】
第2リスト部材130は、第2前腕部120上の第2外側位置に結合され、かつ、第2リスト軸132の周囲で回転可能でありうる。第2リスト軸132は、約514cmから約772cmまでの距離d3だけ、第2回転軸122から離間しうる(図1D参照)。d3は第2前腕部120の第2中心間長さである。第2中心間長さd3は、いくつかの実施形態では、第1中心間長さd2の90%を下回り、第1中心間長さd2の約50%から約90%でありうる。いくつかの実施形態では、ブーム104の中心間長さd1は、第1前腕部118の第1中心間長さd2よりも短い。いくつかの実施形態では、ブーム104の中心間長さd1は、第2前腕部120の第2中心間長さd3よりも短い。
【0025】
第2リスト部材130は、それに結合された第2エンドエフェクタ134を有しうる。第2エンドエフェクタ134は、基板処理システム100の内部で処理されるべき基板105Bを担持するよう適合している。第2リスト部材130は、第2前腕部120に対して個別に回転可能である。回転は、おおよそ+/−150度でありうる。図1Bからわかるように、第2前腕部120と第2リスト部材130と第2エンドエフェクタ128は、それらが垂直方向に離間するように構成される。具体的には、リストスペーサ135は、第1リスト部材124から垂直方向に第1前腕部118を離間させ、かつ、それと協働して、第2前腕部120の長さが短いことにより、第2前腕部120、第2リスト部材130及び取り付けられた第2エンドエフェクタ134が、第1前腕部118と第1リスト部材124との間を通過すること、及び、リスト継手に干渉することなくリストスペーサ135を通り過ぎることを、可能にする。
【0026】
この特徴をブーム104の個別的な回転性能と結合することで、第1と第2の前腕部118、120の各々、及び、第1と第2のリスト部材124、130の各々は、基板105A、105Bの任意の所望の動作経路の実行において、多大なフレキシビリティを提供する。
【0027】
図1Aに示す実施形態では、ロボット装置103は、移送チャンバ102内に配置され、収納されて図示されている。しかし、ロボット装置103のこの実施形態、並びに、本書で説明する他のロボット装置は、ロボット装置が、例えば、負荷ポートと処理システム100の一又は複数のロードロックチャンバ108との間で、基板を、又は基板キャリア112までも搬送しうる、ファクトリインターフェース110内のような、電子デバイス製造の他の領域においても使用されうることを、認識されたい。
【0028】
ブーム104、第1と第2の前腕部118、120、及び第1と第2のリスト部材124、130の各々の個別的な回転を実現するための駆動アセンブリ111を、以下で詳細に説明する。駆動アセンブリ111は、図1Eに最もよく示されるように、様々な駆動モータ構成要素を包含するよう適合した、モータハウジング136を含む。まず、駆動アセンブリ111は、第1回転軸116の周囲でブーム104を個別に回転させるよう適合した、駆動構成要素を含みうる。回転は、おおよそ+/−360度かそれ以上でありうる。第1駆動シャフト138は、ブーム104から延在し、かつ、適切な軸受によって支持されうる。第1駆動シャフト138は、第1駆動モータ140によって回転されるよう適合している。第1駆動モータ140は、例えば第1ロータと第1ステータとを含む、電動モータでありうる。第1ロータは磁石であり、かつ、第1駆動シャフト138に結合されうる。第1ステータは、上部隔壁142及び下部隔壁143に固定されるか、又は、それらの間で支持されうる。適切な従来型の回転エンコーダ(図示せず)が、ブーム104を所望に応じて位置付けるために使用されうる。
【0029】
更に、駆動アセンブリ111は、ブーム104の外側末端部に配置された第2回転軸122の周囲で第1前腕部118を個別に回転させるよう適合した、駆動構成要素を含みうる。回転は、いくつかの実施形態では、おおよそ+/−150度でありうる。駆動構成要素は、第2駆動シャフト144と第2駆動モータ146とを含みうる。第2駆動モータ146の回転は、第2駆動シャフト144の回転を引き起こし、かつ、結合された第1前腕部118を、第2回転軸122の周囲で駆動する。第2駆動モータ146は、第2ロータと第2ステータとを含む電動モータでありうる。第2駆動シャフト144は、本書で説明するブーム駆動システム148(図1D)から延在し、かつ、適切な軸受によって支持されうる。コントローラ115からの駆動信号を介して第2駆動モータ146を駆動することは、ブーム104に対して、第1前腕部118の個別的な回転を引き起こす。適切な従来型の回転エンコーダ(図示せず)が、第1前腕部118を、所望に応じてブーム104に対して位置付けるために使用されうる。第2ステータは、下部隔壁143に固定されるか、又は、それによって支持されうる。上部と下部の隔壁142、143は、モータハウジング136に固定されるか、又はその一部でありうる。
【0030】
駆動アセンブリ111は、第1前腕部118上の外側位置に配置された第1リスト軸126の周囲で第1リスト部材124を個別に回転させるよう適合した、駆動構成要素も含みうる。回転は、いくつかの実施形態では、おおよそ+/−150度でありうる。駆動構成要素は、第3駆動シャフト150と第3駆動モータ152とを含みうる。第3駆動モータ152の回転は、第3駆動シャフト150の回転を引き起こし、かつ、結合された第1リスト部材124を、第1リスト軸126の周囲で駆動する。第3駆動モータ152は、第3ロータと第3ステータとを含む電動モータでありうる。第3駆動シャフト150は、ブーム駆動システム148(図1D)から延在し、かつ、適切な軸受によって支持されうる。第3モータ152は、第1前腕部118に対して、第1リスト軸126の周囲で第1リスト部材124の個別的な回転を引き起こすために、コントローラ115からの駆動信号を介して駆動されうる。適切な従来型の回転エンコーダ(図示せず)が、第1リスト部材124を、所望に応じて第1前腕部118に対して位置付けるために使用されうる。第3ステータは、下部隔壁143に固定されるか、又は、それによって支持されうる。
【0031】
また更に、駆動アセンブリ111は、ブーム104の外側末端部に配置された第2回転軸122の周囲で第2前腕部120を個別に回転させるよう適合した、駆動構成要素を含みうる。回転は、いくつかの実施形態では、おおよそ+/−150度でありうる。駆動構成要素は、第4駆動シャフト158と第4駆動モータ160とを含みうる。第4駆動モータ160の回転は、第4駆動シャフト158の回転を引き起こし、かつ、結合された第2前腕部120を、第2回転軸122の周囲で駆動する。第4駆動モータ160は、第4ロータと第4ステータとを含む電動モータでありうる。第4駆動シャフト158は、ブーム駆動システム148(図1D)から延在し、かつ、適切な軸受によって支持されうる。コントローラ115からの駆動信号を介して第4駆動モータ160を駆動することは、ブーム104に対して、第2回転軸122の周囲で第2前腕部120の個別的な回転を引き起こす。適切な従来型の回転エンコーダ(図示せず)が、第2前腕部120を、所望に応じてブーム104に対して位置付けるために使用されうる。第4ステータは、上部隔壁142に固定されるか、又は、それによって支持されうる。
【0032】
駆動アセンブリ111は、第2前腕部120上の外側位置に配置された第2リスト軸132の周囲で第2リスト部材130を個別に回転させるよう適合した、駆動構成要素も含みうる。回転は、いくつかの実施形態では、おおよそ+/−150度でありうる。駆動構成要素は、第5駆動シャフト154と第5駆動モータ156とを含みうる。第5駆動モータ156の回転は、第5駆動シャフト154の回転を引き起こし、かつ、結合された第2リスト部材130を、第2リスト軸132の周囲で駆動する。第5駆動モータ156は、第5ロータと第5ステータとを含む電動モータでありうる。第5駆動シャフト154は、ブーム駆動システム148(図1D)から延在し、かつ、適切な軸受によって支持されうる。第5駆動モータ156は、第2前腕部120に対して、第2リスト部材130の個別的な回転を引き起こすために、コントローラ115からの駆動信号を介して駆動されうる。適切な従来型の回転エンコーダ(図示せず)が、第2リスト部材130を、所望に応じて第2前腕部120に対して位置付けるために使用されうる。第5ステータは、上部隔壁142に固定されるか、又は、それによって支持されうる。
【0033】
加えて、駆動アセンブリ111はZ軸動作性能を含みうる。具体的には、モータハウジング136は、動作制限装置162によって、外部筐体161に対して回転が制限されうる。動作制限装置162は、2つ以上のリニア軸受、又は、外部筐体161に対してモータハウジング136の回転を制約するよう機能するが、(第1回転軸116の方向に沿った)モータハウジング136のZ軸動作を可能にする、他の軸受又は摺動機構でありうる。垂直モータ163によって垂直動作が提供される。垂直モータ163の回転は、モータハウジング136に結合された、又はそれと一体化したネジ受け163R内で、親ネジ163Sを回転させるよう作動しうる。これは、モータハウジング136を、ゆえに、接続されたブーム104、前腕部118、120、リスト部材124、130、エンドエフェクタ128、134、及び、ひいては基板105A、105Bを、垂直方向に直動させる。適切な密封164が、モータハウジング136とベース117との間を密封し、それによって、垂直動作に適応し、かつ、チャンバ102の内部で真空を維持しうる。金属製ベローズ又は他の類似のフレキシブルな密封が、密封164のために使用されうる。駆動アセンブリ811の代替的な実施形態が、図8に示される。
【0034】
ここで図1Dを参照して、例示的なブーム駆動システム148を詳細に説明する。ブーム駆動システム148は、上述の様々な駆動シャフトを、第1前腕部118、第2前腕部120、第1リスト部材124、及び第2リスト部材130に結合するよう構成され、適合しているプーリ及びベルトのような、駆動構成要素を含みうる。駆動構成要素は、第2駆動シャフト144に結合されている第1前腕部駆動部材165、第1前腕部118に結合されている第1前腕部従動部材168、及び、第1前腕部駆動部材165と第1前腕部従動部材168との間に結合された第1前腕部伝達部材170を含みうる。第2駆動シャフト144の回転は、従って、第1前腕部118を回転させる。第1前腕部駆動部材165と第1前腕部従動部材168の各々は、軸受によって、ブーム104の硬性ウェブ部分171に装着されうる。
【0035】
ブーム駆動システム148は、第1リスト駆動部材172と第1リスト従動部材174とを含みうる。第1リスト駆動部材172は第3駆動シャフト150に結合され、かつ、第1リスト従動部材174は第1リスト部材124に結合される。第1リスト伝達部材173は、ウェブ部分171の上方で、第1リスト駆動部材172を第1リスト従動部材174に結合する。第1前腕部118を通じて第1リスト従動部材174を第1リスト部材124に結合する、第1中間伝達部材175によって、第1リスト部材124への結合が提供される。第1リスト伝達部材175は、リストスペーサ135の下方で第1リスト部材124に結合されうる。第1リスト部材124は、リストスペーサ135内に装着された軸受を介して、第1リスト軸126の周囲で回転可能でありうる。リストスペーサ135は、第1エンドエフェクタ128を、第2エンドエフェクタ134の上方に適切に離間させるよう機能する。
【0036】
再度図1Dを参照するに、ブーム駆動システム148は、第2前腕部120を駆動するよう適合しているプーリ及びベルトのような、駆動構成要素を含みうる。駆動構成要素は、第4駆動シャフト158に結合されている第2前腕部駆動部材176、第2前腕部120に結合されている第2前腕部従動部材178、及び、第2前腕部駆動部材176と第2前腕部従動部材178の間に結合された第2前腕部伝達部材180を含みうる。第4駆動シャフト158の回転は、従って、第2前腕部120を回転させる。第2前腕部駆動部材176と第2前腕部従動部材178の各々は、軸受によって、ブーム104の硬性ウェブ部分171に装着されうる。
【0037】
ブーム駆動システム148は、第2リスト駆動部材182と第2リスト従動部材184とを含みうる。第2リスト駆動部材182は第5駆動シャフト154に結合され、かつ、第2リスト従動部材184は第2リスト部材130に結合される。第2リスト伝達部材186は、ウェブ部分171の下方で、第2リスト駆動部材182を第2リスト従動部材184に結合する。第2前腕部120を通じて第2リスト従動部材184を第2リスト部材130に結合する、第2中間伝達部材188によって、第2リスト部材130への結合が提供される。第2リスト部材130は、第2前腕部120の外側端部位置に装着された軸受を介して、第2リスト軸132の周囲で回転可能でありうる。ブーム駆動システム703の代替的な一実施形態を図7に示す。
【0038】
図3Aから図3Bは、電子デバイス処理システム100の内部で使用するよう適合しうる実施形態による、別のロボット装置303を示す。ロボット装置303の一例を図3Aに示すが、ここでロボット装置303は、基板305Aを担持している第1エンドエフェクタ328を、チャンバ(図示せず)内に挿入すると共に、第2基板305Bを担持している第2エンドエフェクタ334が別のチャンバに隣接して事前位置付けされるよう適合した一構成において示されている、個別に回転可能なブーム304、個別に回転可能な第1と第2の前腕部318、320、及び、個別に回転可能な第1と第2のリスト部材324、330を含みうる。
【0039】
図3Bは、折畳まれた状態のロボット装置303を示す。折畳まれた状態では、システムは、同時に搬送されている基板305A、305Bが、互いの直上に位置する、又は、互いの直上を通過することがないように構成されうることに、留意されたい。換言すると、一方の基板(例えば基板305A)が他方の基板(例えば基板305B)の上方にない(又は上方を通過しない)ように、前腕部318、320、リスト部材324、330、及びエンドエフェクタ328、334が、垂直方向に位置合わせされている時に、両基板の中心は、水平方向に十分にオフセットされうる。これは、下方の基板305Aの粒子汚染を低減しうる。しかし、他の構成も可能である。
【0040】
図3Cは、折畳まれた状態のロボット装置303を示す。ロボット装置303は、駆動モータ140、146、152、156及び160(図1E)のような駆動モータを包含するモータハウジング336、及び、外部筐体361を有する、駆動アセンブリ311を含む。ブーム304及び接続した構成要素、ひいては、基板305A、305Bを上昇させる、垂直Z軸性能が提供される。動作中に、モータハウジング336は、一又は複数の動作制限装置362A、362Bによって、外部筐体361に対して回転が制限されうる。動作制限装置362A、362Bは、キャリッジ367に結合された、垂直に配向された2つ以上の線形摺動機構でありうる。キャリッジ367は、モータハウジングに固定されるか、それと一体化される。動作制限装置362A、362Bは、外部筐体361に対してモータハウジング336の回転を制約するよう機能するが、モータハウジング336のZ軸動作を可能にする。外部筐体361に結合された垂直モータ363によって、垂直動作が提供される。垂直モータ363の回転は、キャリッジ367又はモータハウジング336に結合された、又は、それと一体化したネジ受け363R内で、親ネジ363Sを回転させる。これは、モータハウジング336、ゆえに、接続されたブーム304、前腕部318、320、リスト部材324、330、エンドエフェクタ328、334、及び、ひいては基板305A、305Bを、垂直方向に直動させる。適切な密封364が、モータハウジング336とベース317との間を密封し、それによって、垂直動作に適応し、かつ、ロボット303が中で作動するチャンバ102の内部で真空を維持しうる。金属製ベローズ又は他の類似のフレキシブルな密封が、密封364のために使用されうる。
【0041】
図4は、電子デバイス処理システム100の内部で使用するよう適合しうる実施形態による、別のロボット装置403を示す。ロボット装置403は、エンドエフェクタ428、434及びリスト部材424、430という異なる構成を含むが、それ以外は図1Bから図1Eの実施形態において説明された通りである。
【0042】
ここで図5を参照するに、図1Bから図1Eのロボット装置を含む、別のシステム500が提供されている。動作中に、ブーム104は、まず第1回転軸の周囲で回転して、ブーム104の外側末端部を、第1目標位置、すなわち、ロボット装置103が目標位置に容易にアクセスしうる位置にある目標位置に、隣接して載置しうる。ロボット装置103は次いで、起動して、一方のエンドエフェクタで目標位置(例えば処理チャンバ506C)から基板105Aを取り上げ、続いて、ロボット装置103の他方のエンドエフェクタで、その目標位置(例えば処理チャンバ506C)に別の基板105Bを載置し、ゆえに、交換を実行しうる。第1基板が除去される際に、基板105Aが第2目標位置(例えば処理チャンバ506B)の隣に載置されるように、前腕部とリスト部材は、直ちに移動し、ゆえに、事前位置付け動作を実行しうる。この第2目標位置において、ロボット装置103は、処理チャンバ506Cについての説明と同一の様態で、エンドエフェクタで別の完成品基板の交換を実行しうる。他の実施形態では、前腕部とリスト部材は、直ちに移動し、ゆえに、基板105Aを、例えばロードロックチャンバ508A又は508Bへと直接的に移動させ、その中に基板105Aを直接的に載置しうる。そのため、面が平行した処理チャンバの対(例えば506Aと506B、506Cと506D、及び506Eと506F)、並びに、面が平行したロードロックチャンバの対(例えば508Aと506B)は、ロボット装置103によって機能提供されることが可能であり、一方の前腕部(例えば前腕部120)が他方の前腕部(例えば118)よりも短い状態で、個別に動作可能なブーム104、個別に動作可能な前腕部118、120、及び、個別に動作可能なリスト部材124、130を組み合わせることにより、交換がより効率的に実行されうる。
【0043】
本発明の実施形態による、電子デバイス処理システム(例えば100、200A、200B、500)の内部で基板(例えば105A、105B)を搬送する方法600が、図6で提供される。方法600は、第1回転軸(例えば第1回転軸116)の周囲で回転するよう適合したブーム(例えばブーム104)を提供すること(602)を含む。ブーム104は中心間長さd1を有しうる。方法600は、ブームの外側末端部でブームに回転式に結合された第1前腕部(例えば第1前腕部118)を提供すること(604)を含む。外側末端部は、第1回転軸116から離間している。方法600は、ブームの外側末端部でブームに回転式に結合された第2前腕部(例えば第2前腕部120)を提供すること(606)を含み、第2前腕部は第1前腕部よりも短い。その長さは、第2前腕部120が、第リスト1部材(例えば第1リスト部材124)を第1前腕部(例えば第1前腕部118)に接続するリスト継手の付近を通過しうるように、十分に短くあるべきである。方法600は、第1前腕部の外側位置で第1前腕部に回転式に結合された第1リスト部材を提供すること(608)と、第2前腕部の外側位置で第2前腕部に回転式に結合された第2リスト部材(例えば第2リスト部材130)を提供すること(610)とを含む。602から610までの各々は、様々な構成要素が組み立てられる組立作業によって完遂されうる。方法600は任意の順番で実行されうる。方法600は更に、基板(例えば基板105A、105B)をチャンバからチャンバへと搬送するために、第1前腕部、第2前腕部、第1リスト部材及び第2リスト部材を個別に回転させ、かつ、搬送における少なくともいずれかの時点に、第2前腕部を第1前腕部の上で移動させること(612)を含む。第2前腕部が短いこと、及び、リスト継手との間に間隙(例えばスペーサ135との間の間隙)があることによる、第2前腕部(例えば第2前腕部120)の第1前腕部(例えば第1前腕部118)の上での移動が、迅速かつ多様な動作経路性能を可能にする。
【0044】
別の態様では、除去された基板(例えば基板105A)の、別のチャンバ(例えば処理チャンバ又はロードロックチャンバ)に隣接した事前位置付けが、実現されうる。例えば、第2基板(例えば105B)が第1チャンバ(例えば506C)内に載置されると共に、第2チャンバ(例えばチャンバ506B)に隣接した位置に、第1チャンバから従前に除去された第1基板(例えば105A)を事前位置付けしうる。別の態様では、チャンバ(例えばチャンバ506C)は、たとえチャンバ506Cが、第1回転軸(例えば第1回転軸516−図5)からオフセット距離590だけ軸方向にオフセットされていても、機能提供されうる。この様態では、基板(例えば基板105B)は、たとえ進入線が第1回転軸と位置合わせされていなくても、面に垂直にチャンバ506C内に挿入されることが可能である。これは、機能提供されるべき複数の処理チャンバを各側部に有する、長方形又は正方形の移送チャンバ(例えば移送チャンバ502)を可能にする。別の態様では、チャンバ(例えば105B)における第1基板(例えば105A)と第2基板(例えば105B)の交換が、交換動作プロファイルにおいて、第2基板105Bが第1基板105Aの垂直方向に下方に位置付けられることは決してないように、第1前腕部118、第1リスト部材124、第2前腕部120、及び第2リスト部材130を個別に回転させることによる様態で、実行されることが可能である。これにより、第2基板105Bの汚染を回避しうる。
【0045】
前述の説明は、本発明の単なる例示的な実施形態を開示している。本発明の範囲内に該当する、上記で開示された装置、システム及び方法の変形例は、当業者には容易に明らかになるだろう。そのため、本発明は例示的な実施形態に関連して開示されているが、他の実施形態も、以下の特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の範囲内に該当しうると理解されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8