特許第6336574号(P6336574)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6336574制御された広帯域マイクロ波加熱の方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6336574
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】制御された広帯域マイクロ波加熱の方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/66 20060101AFI20180528BHJP
   H05B 6/68 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   H05B6/66 C
   H05B6/68 330B
   H05B6/66 B
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-508950(P2016-508950)
(86)(22)【出願日】2014年4月3日
(65)【公表番号】特表2016-524269(P2016-524269A)
(43)【公表日】2016年8月12日
(86)【国際出願番号】US2014032741
(87)【国際公開番号】WO2014172104
(87)【国際公開日】20141023
【審査請求日】2017年4月3日
(31)【優先権主張番号】13/986,250
(32)【優先日】2013年4月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】デカミリス クレイトン アール
(72)【発明者】
【氏名】ワンダー ジョセフ エム
(72)【発明者】
【氏名】ヘイゼルハースト リチャード シー
(72)【発明者】
【氏名】ハンプトン マイケル エル
【審査官】 宮崎 光治
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭56−062406(JP,A)
【文献】 特開2012−238617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B6/46−6/80
H05B11/00
H05K9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作物をマイクロ波エネルギーにさらすアプリケータキャビティと、
前記アプリケータキャビティに接続されたマイクロ波電源と
を備え、前記マイクロ波電源が、
電圧制御型マイクロ波発振器および電圧制御型減衰器を少なくとも備える小信号RF源であり、前記電圧制御型マイクロ波発振器および前記電圧制御型減衰器がともに、周囲よりも高い選択された温度において熱により安定化される小信号RF源と、
前記小信号RF源からの小信号を、加熱に使用できる電力レベルに増幅する大電力マイクロ波増幅器と、
マイクロ波アイソレータによって互いに分離された順方向電力検出器および反射電力検出器と、
電力調整器を使用して、出力電力を、要求順方向電力と比較された検出順方向電力を使用することにより調節する制御システムと
を備える広帯域マイクロ波加熱装置。
【請求項2】
前記小信号RF源がさらに固定減衰器および帯域フィルタを含む、請求項1に記載の広帯域マイクロ波加熱装置。
【請求項3】
前記小信号RF源の全ての構成要素が周囲よりも高い共通の温度に維持されるように、前記小信号RF源の全ての構成要素が共通の熱プラットホーム上に装着された、請求項1に記載の広帯域マイクロ波加熱装置。
【請求項4】
前記順方向電力検出器および前記反射電力検出器が、周囲よりも高い選択された温度において熱により安定化される、請求項1に記載の広帯域マイクロ波加熱装置。
【請求項5】
電圧制御型マイクロ波発振器および電圧制御型減衰器を少なくとも備える小信号RF源であり、前記電圧制御型マイクロ波発振器および前記電圧制御型減衰器がともに、周囲よりも高い選択された温度において熱により安定化される小信号RF源と、
前記小信号RF源からの小信号を、加熱に使用できる電力レベルに増幅する大電力マイクロ波増幅器と、
マイクロ波アイソレータによって互いに分離された順方向電力検出器および反射電力検出器と、
要求順方向電力と比較された検出順方向電力を使用して出力電力を調節する電力調整器を含む制御システムと
を備える広帯域マイクロ波電源。
【請求項6】
前記小信号RF源がさらに固定減衰器および帯域フィルタを含む、請求項5に記載の広帯域マイクロ波電源。
【請求項7】
前記小信号RF源の全ての構成要素が周囲よりも高い共通の温度に維持されるように、前記小信号RF源の全ての構成要素が共通の熱プラットホーム上に装着された、請求項5に記載の広帯域マイクロ波電源。
【請求項8】
前記順方向電力検出器および前記反射電力検出器が、周囲よりも高い選択された温度において熱により安定化される、請求項5に記載の広帯域マイクロ波電源。
【請求項9】
広帯域マイクロ波電力を使用して材料を加熱する方法であって、
選択された工作物を、マルチモードマイクロ波アプリケータキャビティ内に置くステップと、
前記アプリケータキャビティと通信するマイクロ波電源を提供するステップであり、前記マイクロ波電源が、小信号RF発生回路、大電力マイクロ波増幅器ならびに順方向電力検出器および反射電力検出器を含み、前記検出器が、アイソレータによって互いに分離されているステップと、
前記小信号RF発生回路の少なくともいくつかの構成要素を、周囲よりも高い選択された温度に加熱するステップと、
制御システムを提供するステップであり、前記制御システムが、
オートレベル表を自動的に作成し、前記オートレベル表を自動的に前記制御システムにダウンロードするオートレベリングルーチンを実行する機能と、
電力調節レートを制限する自動電力制御システムを提供する機能と
を実行するステップと、
前記制御システムの制御下で前記アプリケータキャビティ内にマイクロ波電力を印加して前記工作物を加熱するステップと
を含む方法。
【請求項10】
前記オートレベリングルーチンが、スプラインベースの表面あてはめルーチンを含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記順方向電力検出器および前記反射電力検出器を、周囲よりも高い選択された温度に加熱するステップをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記自動電力制御システムが、予めセットされた量を超える調節を防ぐリミッタをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記自動電力制御システムが正確な電力制御を維持できない場合に主制御に通知する警報機能を、前記自動電力制御システムが含む、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波エネルギーを使用して材料を処理する分野に関する。より詳細には、本発明は、幅広い周波数範囲にわたって精確なマイクロ波電力レベルを生み出す装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱を含む工業プロセスに対するマイクロ波電力の使用は、特にマイクロ波電力が作用する主な対象材料が水である乾燥などの用途に対して十分に確立されており、大規模に実施されている。より最近には、マイクロ波電力が、熱硬化性ポリマーおよび接着剤の硬化にも使用されている。マルチモードキャビティ(multimode cavity)内での単一周波数マイクロ波源の使用が、キャビティ内での定在波の確立に関係する不均一性につながり得ることはよく知られている。この課題を解決するため、可変周波数マイクロ波(Variable Frequency Microwave:VFM)システムが開発された。それらのシステムは例えば米国特許第5,521,360号、5,721,286号および5,961,871号に教示されている。
【0003】
VFMシステムは一般に、マルチモードアプリケータ(applicator)キャビティと、広帯域動作が可能なマイクロ波電源とを有する。ここで、広帯域は、適用された周波数を、選ばれた中心周波数を中心とするある有効範囲にわたって掃引する能力と定義される。米国特許第5,961,871号に教示されているモデル計算は、キャビティ18内のマイクロ波エネルギーの全体的な空間均一性に対する帯域幅、キャビティサイズおよび中心周波数の間の関係を示している。図1のブロック図は、マイクロ波電源を含む制御システムの先行技術を示している。このマイクロ波電源は通常、電圧同調型YIG発振器と電圧制御型減衰器とを備えるマイクロ波周波数源を有し、それによって、制御システムからの信号が加えられて、所与の周波数、帯域幅、波形または他の選択された特性の小信号(small−signal)マイクロ波出力が生成される。このマイクロ波信号は次いで、上記の選択された特性を有する大電力信号を生成する大電力マイクロ波増幅器、通常はTWTに通される。制御システムが、順方向マイクロ波出力電力および逆方向マイクロ波出力電力を監視する。第2の制御ループが、示されているように温度を使用して、または別の適当なプロセスパラメータを使用してこのプロセスを監視し、閉ループフィードバックを提供して、マイクロ波電力レベルを自動的に調節する。
【0004】
図1に示されているとおり、
小信号構成要素10は、小電力のマイクロ波周波数を発生させるYIG発振器11、および小信号RF電力レベルを調節する電圧制御型減衰器12を含む。固定減衰器(fixed attenuator)(図示せず)が、最大信号強度を安全なレベルに制限し、RF帯域フィルタ13が、RF信号が大電力増幅器用の帯域にあることを保証する。
大電力構成要素は、小信号入力から大電力出力を発生させる大電力増幅器14、および硬化キャビティから反射された電力(以後、反射電力)が大電力増幅器に到達することを防ぐアイソレータ(isolator)15を含む。
測定構成要素は、RF電力の測定に役立つ高度に減衰されたRF信号を提供する方向性結合器16を含む。鉱石検波器(crystal detector)19が、方向性結合器からの低レベルRF信号を、有用なDC制御電圧20a、20bに変換する。
【0005】
この先行技術の制御システムはさらに、多数の系統的非線形性、例えば使用帯域幅を横切るTWT利得の変動(図2)を考慮するためのソフトウェアベースの自己較正手順を含む。上記の較正ルーチンと閉ループプロセス制御とを組み合わせることによって得られるマイクロ波均一性は、さまざまな用途、特に電子部品製造用途における、接着剤を硬化させる、ポリマーを硬化させる、セラミックスを処理するなどの用途に対して適当であることが分かっているレベルのマイクロ波電力出力を生成する。
【0006】
しかしながら、ウエハ上のコーティングを含む半導体ウエハの熱処理などの高価値製品用のプロセスの開発の際に、先行技術の可変周波数または掃引周波数制御システムは、必要とされる精確な制御レベルを生み出すことができないこと、ならびにその較正手順および設定手順は厄介で時間がかかるものであることが分かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,521,360号明細書
【特許文献2】米国特許第5,721,286号明細書
【特許文献3】米国特許第5,961,871号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、加熱用および他の用途の改良された広帯域マイクロ波源を提供すること、制御されたマイクロ波加熱の方法を提供すること、開ループ動作が可能な広帯域マイクロ波処理法を提供すること、半導体ウエハを処理する改良された方法を提供すること、変化する環境条件下でよりロバストでより安定なVFM制御システムを提供すること、ならびに設定および較正がより容易なVFM制御システムを提供することなどを含む。
【0009】
本発明のこれらの目的および利点ならびにその他の目的および利点は、以下の明細書を、図面を参照して読み、検討することによって明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、広帯域マイクロ波加熱装置は、
工作物(workpiece)をマイクロ波エネルギーにさらすアプリケータキャビティと、
キャビティに接続されたマイクロ波電源と
を備え、電源は、
電圧制御型マイクロ波発振器および電圧制御型減衰器を少なくとも備える小信号RF源であり、電圧制御型マイクロ波発振器および電圧制御型減衰器がともに、周囲よりも高い選択された温度において熱により安定化される小信号RF源と、
小信号を、加熱に使用できる電力レベルに増幅する大電力マイクロ波増幅器と、
マイクロ波アイソレータによって互いに分離された、熱により安定化される順方向電力検出器および反射電力検出器と、
電力調整器を使用して、出力電力を、要求された順方向電力(以後、要求順方向電力)と比較された検出された順方向電力(以後、検出順方向電力)を使用することにより調節する制御システムと
を備える。
【0011】
本発明の別の態様によれば、広帯域マイクロ波電源は、
電圧制御型マイクロ波発振器および電圧制御型減衰器を少なくとも備える小信号RF源であり、電圧制御型マイクロ波発振器および電圧制御型減衰器がともに、周囲よりも高い選択された温度において熱により安定化される小信号RF源と、
小信号を、加熱に使用できる電力レベルに増幅する大電力マイクロ波増幅器と、
マイクロ波アイソレータによって互いに分離された、熱により安定化される順方向電力検出器および反射電力検出器と、
要求順方向電力と比較された検出順方向電力を使用して出力電力を調節する電力調整器を含む制御システムと
を備える。
本発明の別の態様によれば、統合された小電力マイクロ波源は、
電圧制御型発振器(voltage controlled oscillator:VCO)と、
電圧制御型減衰器(voltage controlled attenuator:VCA)と、
ヒータおよび温度制御回路と、
VCO、VCA、ヒータおよび温度制御回路を含み、DC電力、DC周波数制御電圧、DC振幅制御電圧およびRF信号出力用の外部接続を有するパッケージと
を備える。
【0012】
本発明の別の態様によれば、広帯域マイクロ波電力を使用して材料を加熱する方法は、
選択された工作物を、マルチモードマイクロ波アプリケータキャビティ内に置くステップと、
キャビティと通信するマイクロ波電源を提供するステップであり、この電源が、小信号RF発生回路、大電力マイクロ波増幅器ならびに順方向電力検出器および反射電力検出器を含み、これらの検出器が、熱により安定化され、アイソレータによって互いに分離されているステップと、
小信号RF回路の少なくともいくつかの構成要素を、周囲よりも高い選択された温度に加熱するステップと、
制御システムを提供するステップであり、この制御システムが、
オートレベル(autolevel)表(table)を自動的に作成し、そのオートレベル表を自動的に制御システムにダウンロードする自動電力レベリングルーチンを実行する機能と、
電力調節レート(rate of power adjustment)を制限する自動電力制御システムを提供する機能と
を実行するステップと
を含む。
【0013】
本明細書に添付された、本明細書の部分を構成する図面は、本発明のある種の態様を示すために含まれている。本発明のより明確な着想、ならびに本発明とともに提供されるシステムの構成要素および動作のより明確な着想は、図面に示された例示的な実施形態したがって非限定的な実施形態を参照することによってより容易に明らかになる。(2つ以上の図に示されている場合、)同様の符号は同じ要素を指す。図面中の諸特徴は必ずしも一定の比率では描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】先行技術のマイクロ波加熱システムのシステムアーキテクチャを示す図である。
図2】いくつかの大電力増幅器の周波数に対する利得を、販売会社のデータに基づいて概略的に示す図である。
図3】デバイスの表面温度が変化したときのYIG発振器出力の変化を、時間に対して示す図である。
図4】いくつかのデバイスについて、鉱石検波器出力の変化を、温度に対して示す図である。
図5】本発明の一態様に基づくマイクロ波加熱システムのシステムアーキテクチャを示す図である。
図6】本発明のシステムの電力出力の安定性および再現性を示す図である。
図7】熱により安定化される本発明の一態様に基づく小信号RF回路を示す図である。
図8】熱により安定化される本発明の一態様に基づく統合された小信号RF回路を示す図である。
図9】先行技術の構成を使用した擬似負荷(dummy load)9A内への順方向電力の測定値9Bと短絡9C内への順方向電力の測定値9Dとを比較する図である。
図10】本発明の構成を使用した擬似負荷10A内への順方向電力の測定値10Bと短絡10C内への順方向電力の測定値10Dとを比較する図である。
図11】11Bに示された構成を使用した減衰および増幅がない場合とある場合の鉱石検波器出力11Aを示す図である。
図12】先行技術のオートレベルプロセスを示す図である。
図13】本発明の一態様に基づくオートレベルプロセスを示す図である。
図14】本発明を使用した周波数帯を横切る電力出力14Bと先行技術を使用した周波数帯を横切る電力出力14Aとを比較する図である。
図15】広帯域マイクロ波加熱システムで使用されるタイプの大電力増幅器の典型的な利得ドリフトを示す図である。
図16】本発明の一態様に基づく自動順方向電力調整のためのアーキテクチャを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、均一性および高度なプロセス安定性を必要とする半導体ウエハなどの高価値材料または重要な材料を処理する新規の改良されたマイクロ波処理技法を提供する。
【0016】
この高速処理法は、可変周波数マイクロ波(VFM)加熱の使用を含む。VFM加熱は、少なくとも以下の米国特許の中で教示されているよく知られたプロセスである:米国特許第5,321,222号、5,721,286号、5,961,871号、5,521,360号および5,738,915号。これらの特許はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。例えば、Fathi他による米国特許第5,738,915号は、VFMを使用して、半導体ウエハ上のポリマー膜を高速に硬化させることを教示している。半導体のマイクロ波加熱には単一の周波数または固定された周波数を使用することができるが、それらの周波数は一般に不均一な加熱を生み出し、また、金属膜が含まれるときには、それらの膜との間にアークが発生することが深刻な問題になることに留意すべきである。しかしながら、上記の参照文献の中で教示されているように、VFMで使用されている帯域幅を横切って周波数を連続的に掃引すると、アークが発生する可能性およびそれに続く損傷の可能性が低下する。集積回路を有する多くの種類のウエハをVFMにさらすことが実施されており、回路または回路機能は損傷しないことが実証されている。VFMの使用は、他のアニール炉に比べてより高速な処理を提供する。Fathi他による米国特許第5,648,038号には、追加のプロセス監視技法が教示されている。この特許の開示はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0017】
半導体処理用のVFMシステムを開発する際の包括的な調査は、既存の制御戦略が、いくつかの理由から、必要なレベルの精度を維持することができないことを示した。小信号構成要素、特にYIG発振器11および電圧制御型減衰器12の環境動作温度に対する利得感度(出力変動)がかなり大きいことを本出願の出願人は見出した。加えて、電源投入後の自己発熱によるYIG発振器出力の安定性は、無視できない影響を有していた。図3は、典型的なYIG発振器の電力出力の変化を時間の関数として示し、この図は、デバイスの自己発熱によって電力が低下すること、および、ベースプレートに2次熱源が取り付けられたときには変化がかなり大きくなることを示している。TWTAなどの大電力構成要素の利得がドリフトすること、すなわち、図15に示されているように、時間および温度とともに予測不可能に変化することも本出願の出願人は見出した。さらに、これらの構成要素の極端に高い利得、物理サイズおよび電力消費は、伝統的な技法を使用してそれらの構成要素を安定化することを妨げる。これらのより大きな構成要素のみならず、アイソレータを含む残りの大電力構成要素および数多くの小信号伝送線構成要素の利得ドリフトは、定量化することが難しい。
【0018】
測定構成要素の振幅出力が、局所的な動作環境温度に関連してかなり劣化することを本出願の出願人は見出した。図4は、局所的な動作環境温度が増大したときの、方向性結合器上のRF出力を測定するために使用される鉱石検波器19に対する影響を示す。本出願の出願人はさらに、図11に示されているように、測定された電力レベル(以後、測定電力レベル)が増大するにつれて鉱石検波器出力が飽和する(利得がロールオフ(roll off)する)ことを見出した。このことは、より劣った信号分解能および制御の正確さの損失を提供する。加えて、鉱石検波器は、局所接地(local ground)を基準として通常は1VDC未満の低レベルDC信号を提供する。鉱石検波器位置と制御システム位置の間の大地電位の変動は、測定、したがって電力制御の正確さにかなり大きな誤りを導入する。
【0019】
通常は導波管電力を測定するために使用される方向性結合器16などの大電力測定デバイスの順方向電力ポートは、反射電力に対して非常に敏感であることを本出願の出願人は見出した。閉じたチャンバ18内に発射するときには反射電力を排除することができない。さらに、反射電力は、発射周波数(launch frequency)およびプロセスチャンバローディング(loading)の関数である。このことは、順方向電力信号が、発射スペクトルを横切る忠実度(fidelity)を欠いていることを意味する。
均一なマイクロ波出力電力を周波数の関数として発生させるために使用される先行技術の較正技術は十分な精度を持たないか、またはラン(run)間で首尾一貫しないことを、本出願の出願人は確認した。先行技術を使用した較正の正確さのさらなる向上には、指数関数的に増大する長い時間が達成までにかかることが確認された。
【0020】
後述する例の中で示すが、ハードウェア特徴とソフトウェア特徴のある新規の組合せが、プロセス均一性を大幅に向上させ、それだけでなく、伝統的な閉ループプロセス制御モードに加えて望ましい開ループプロセス制御モードでもシステムを動作させることができるという予想外の相乗効果をも提供することを本出願の出願人は発見した。
【0021】
本出願の出願人は、主に3つのカテゴリーに分けられる技術革新を発見し実証した。
第1のカテゴリー:振幅安定性。これは、1.温度に対する小信号利得の安定化、および2.独特な自動電力調整アルゴリズムを用いたドリフトに対する大信号の全体的な安定性、を含む。
第2のカテゴリー:測定保全性(measurement integrity)。これは、3.反射電力からの方向性結合器の分離、4.温度に対する鉱石検波器の安定化、5.鉱石検波器の感度範囲を向上させるための鉱石検波器出力の固定された減衰オフセット、6.マイクロ波電力測定制御システム内のDCオフセットを除去するための接地分離(ground isolation)、および7.正確な測定のために鉱石検波器感度をさらに増大させるための増幅、を含む。
第3のカテゴリー:周波数均一性。これは、8.精度の高い電力分解能を提供し、大電力飽和ドライブ(drive)レベルを自己識別し、有用な診断履歴ファイルを提供する先進のオートレベルルーチンを含む。予想外の1つの利益は、より高速かつはるかに正確な自己較正(オートレベル)動作を提供するアルゴリズムの発見であった。
【0022】
3つの全てのカテゴリーの属性は相互に関連していること、および広帯域マイクロ波電源の高品質制御を得るためにはそれらの属性が存在しなければならないことを本出願の出願人は発見した。安定した源および高忠実度の測定なくしては電力の精密制御を実行することはできないことが明らかになった。さらに、これらの同じ制御なくしては、掃引周波数広帯域システムに関して、周波数に対する振幅の精密制御を実行することはできない。改良された装置が図5に示されており、この装置については後の例でさらに説明する。
この先進の制御の驚くべき予想外の結果には、1.向上した正確さ、および2.図6に示されているようなラン間の高い繰返し性(repeatability)が含まれる。これらの能力は、開ループプロセス制御に対して必要とされるものである。さらに、これらの能力は、広帯域マイクロ波の適合性(suitability)を、アクセス可能性、雑音またはプロセス計測上の他の限界のためにフィードバック信号の信頼性が低い用途に拡張する。
【0023】
(例)
小信号チェーン:小信号RF回路10のさまざまな構成要素が図1に示されている。電圧制御型YIG発振器(VCO)11(例えばTeledyne 1062 MNAS1062C−DA)が、選択されたマイクロ波周波数を発生させる。固体デバイス(例えばRFMDモデルRFVC1802)を含む適当な任意のVCOを使用することができることが理解される。
【0024】
最初の電力レベル制御は、電圧制御型減衰器(VCA)12(例えばPulsar MicrowaveモデルAAT−24−479/5SLまたはAnaren PINダイオード減衰器モデル61527)によって実行される。任意選択の構成要素に、固定減衰器(例えばInmet Corporation部品番号12A−30)およびRF帯域フィルタ13(例えばLark Filter部品番号4B6250−H800−6AA)を含めることができる。上記の構成要素はそれぞれある特徴的な温度係数(temperature coefficient)を有する。図3にはYIG発振器の場合が示されている。この特徴的な温度係数には、以下の2つの方法のうちのどちらかの方法によって対処することができる:1.それぞれの構成要素の熱的挙動をマップし、それを変数として制御システムに組み込むことができ、または、2.特定の構成要素を、予想されるあらゆる周囲温度よりも高いが、その構成要素の動作温度の上限よりも低い温度(通常は30〜50℃)に意図的に加熱することができる。選択肢2は時に「オーブナイジング(ovenizing)」と呼ばれ、例えば水晶発振器内の周波数ドリフトを排除するために精密測定機器内でときおり使用されるが(例えば1998年6月23日にUurtamoに発行された米国特許第5,770,977号を参照されたい)、本出願の出願人が知る限り、振幅安定性を考慮するため、または温度に依存する他のタイプの物理もしくは電気現象を考慮するために、マイクロ波電力システムにおいてこの方法が試みられたことは一度もない。
【0025】
図7に示されているように、小信号RFチェーン全体を共通のプラットホーム70上に装着することによって、チェーン全体を、温度センサ72および安全サーモスタット73を使用して制御された背面ヒータ75により単一の温度に「オーブナイズする(ovenize)」ことができ、その結果、小信号RF回路の振幅出力が著しく安定することを本出願の出願人は発見した。その結果が、安定化された小信号RF回路10’である。
これらの構成要素を個別にオーブナイズすることが本発明の範囲に含まれることが理解される。この個別オーブナイジングは、制御構成要素のうちVCAなどの1つの構成要素がTWTA内に位置する場合に必要となる可能性がある。しかしながら、個々の構成要素の熱に関係した独立した変動を排除することの相乗効果は、全体的なシステム制御プロセスを驚くほど単純にする。これらの構成要素はほとんどの場合に密接に結合されているため、小信号チェーン全体をオーブナイズすることは特に都合がよく効率的である。
【0026】
(例)
小信号チェーン:改良された小信号RF回路10’のさまざまな構成要素をさらに統合して、ハイブリッドモジュール(hybrid module)(10”)とすることができる。一例が図8に示されている。この図では、VCO(11’)、任意選択の固定減衰器71’、VCA12’および任意選択のRF帯域フィルタ13’が、PCBまたはハイブリッドモジュール上に構成要素として統合されている。このモジュールはさらに、自給式(self contained)で自己制御型のヒータおよび制御回路モジュール80を含むことができる。このような安定化された統合RF回路は、試験機器、通信機器などを含む全ての種類のデバイスに、従来の任意の相互接続法を使用して組み込むのに適している。
電力測定:改良された電力制御の良否は、電力測定の正確さの良し悪しにかかっている。マイクロ波システム内で電力を測定する確立された技術は、結合器を使用して低レベルRF信号を生成し、鉱石検波器を使用してそのRF信号をDC制御電圧に変換するというものである。
【0027】
Apollo Microwaves部品番号16160−3、Lieder Development部品番号L137CG−50SF−CF−5.85−7.0などの結合器は、戦略的に配置されたサンプルポートを主導波管内に含む。このポートからクロスガイド(cross guide)への漏れが、減衰されたRF電力サンプルを提供する。典型的な方向性結合器が、プロセスチャンバから来る反射電力に対してかなり大きな感度を有することを、本出願の出願人は調査および実験によって見出した。順方向電力測定に対する反射電力の影響の比は指向性と呼ばれている。クロスガイド結合器の指向性は通常−15〜−25dBに制限されている。
【0028】
図9Aは先行技術の構成を示す。アダプタ81(例えばMaury Microwave Corp.のC211D)によって伝送線にRF電力が送達され、このRF電力が、方向性結合器16を通して擬似負荷82内へ導かれる。この擬似負荷は全ての電力を吸収し、反射電力は生じない。図9Cは、短絡83内へ電力が送達されている同じ構成を示す。この短絡は電力を全て反射する。図9BのS21周波数応答グラフと図9DのS21周波数応答グラフの違いから、測定された順方向電力信号(以後、測定順方向電力信号)20aは、反射電力信号によって損なわれていることが明らかである。
結合器の代替設計によって、改良された指向性を提供することもできるが、その場合にはサイズおよびコストが極端に大きくなる。このことは、それらの代替設計を、生産マイクロ波システムで使用するのに非実用的にする。
【0029】
(例)
本出願の出願人は、順方向電力測定結合器と反射電力測定結合器とを分け、順方向電力結合器を既存のアイソレータの源側に移すことを含む新規の解決策を発見した。図10Aおよび10Cは、アイソレータ53によって分離された順方向電力結合器51および反射電力結合器52を示す。図10Aおよび10Cに示されたアイソレータ53は、図1に示されたアイソレータ15と同じ設計とすることができる。この独特の解決策は、順方向電力信号に対する高い忠実度を提供し、電力測定設計の存在する全ての能力を維持する。サイズの変化は小さく、コストの増大はわずかである。
【0030】
図10Bおよび10DのS21測定プロットに示されているように、擬似負荷82と短絡83の間で反射電力の影響は軽減される。しかしながら、本出願の出願人はさらに、プロセスチャンバに関して順方向の電力測定の振幅と周波数の両方の正確さを保証するためには、方向性結合器に対する較正ルーチンにおいてアイソレータ53の挿入損失を考慮する必要があることを確認した。
低レベルRF電力をDC制御電圧に変換するのに使用される鉱石検波器(例えばAdvanced Control Components部品番号ACSP−2551)が高忠実度の制御システム内で使用されるときには、3つの重大な問題があることを本出願の出願人は発見した。第1の問題は、図4に示されているように、出力電圧が、温度の関数としてかなり大きく変動することである。第2の問題は、図11(標準検波器出力)に示されているような出力のロールオフであり、これは最終的に、検波器を、大電力レベルでの精密制御に対して役に立たないものにする。第3の問題は、鉱石検波器が、結合器における局所大地電位に対するそれらの出力電圧を発生させ、しばしば、測定制御回路における大地電位のかなり大きなDCオフセットが生じることである。
【0031】
(例)
鉱石検波器19’をオーブナイズし、精密温度制御器を使用して、検波器を、周囲よりも高い安定した温度に維持することによって、本出願の出願人は、温度感度に対する費用効果の高い安定した解決策を見出した。
本出願の出願人はさらに、固定減衰器110または等価物を追加することによって結合器51から鉱石検波器19’へのRF信号を減衰させると、動作領域が改善し、その結果、DC出力感度(VDC/ワットとして測定される)がより大きくなることを見出した。
【0032】
本出願の出願人はさらに、鉱石検波器と制御システムの間の接地ループまたはDCレベルバイアスが排除されることを保証するために、DC−DC絶縁増幅器(isolation amplifier)54の形態の接地分離を提供した。これは、高忠実度の電力信号を保証する。
DC信号を増幅して、DC信号が、RF制御システム21によって使用されるアナログ−ディジタル変換器の上/中間範囲(60%〜80%)内にあることを保証することによって、さらなる改良が得られる。5×の典型的なDC−DC増幅器利得を使用して、範囲の上端においてHPA電力の1パーセントごとに10ビット以上の分解能を得る。RF信号の減衰および続く増幅を使用しない場合には、HPA電力1パーセント当たりのディジタル分解能が1ビット未満になることがあり、この分解能は精密制御に対して不十分である。既存の較正ファイルを使用するためにフィールドアップグレードが必要となる可能性がある従来の用途に対しては、絶縁増幅器54が1×の増幅を備えることができる。
TWT利得:VFM制御の先行技術は、進行波増幅器の非線形周波数応答(図2参照)および伝送線の非線形周波数応答を除去するように設計されている。これは、オートレベルと呼ばれる自己較正ルーチンによって実施される。
【0033】
既存のオートレベルプロセスは図12に示されたステップを含む。それらのステップは、1201大電力増幅器の飽和レベルを手動で識別するステップ、1202電力探索ルーチンの開始値を手動で決定するステップ、1203電力レベルを選択するステップ、および1204自動化されたルーチンを開始して、選択された離散的な電力レベルに対するオートレベルを作成するステップを含む。このルーチンは、掃引される帯域内の周波数ごとに、順方向電力結合器における測定出力電力レベルが、選択された離散的電力レベルの+/−10%以内となるように、電圧制御型減衰器を調節する。次いで、その特定の周波数における電圧制御型減衰器の設定が、実行時演算で使用される表に記憶される。このオートレベルルーチンによって次の周波数が選択され、帯域全体が網羅されるまでこのプロセスが繰り返される。1205この自動化されたルーチンが完了したら、オペレータは、その結果を手動で検討し、そのプロセスを受け入れる(ファイルを保存する)かまたはそのプロセスを繰り返さなければならない。1206オペレータは次いで別の離散的電力レベルを選択し、このルーチンが繰り返される。全ての電力レベルがオートレベリングされるまでこのルーチンが実行される。1207全ての出力レベルが完了したら、オペレータは次いで、オートレベルファイルを制御システムにダウンロードしなければならない。
【0034】
このプロセスによって作成される、均された(leveled)電力は一般に、ターゲット温度を達成するためにプロセス制御入力(例えば温度測定値)を使用してより多くの電力またはより少ない電力を要求する閉ループプロセスに対して十分である。
【0035】
しかしながら、この電力の正確さのレベルは、繰返し可能な精密プロセスまたは開ループプロセス制御が必要なプロセスに対しては十分でない。開ループプロセスは通常、制御システムによって実行される自動調節がないプロセスと定義される。
下記の例で説明するが、周波数に対する電力応答の忠実度を向上させるオートレベルプロセスの新しい技法が発明された。
【0036】
(例)
この新しいオートレベルプロセスでは、1301オペレータが、完全に自動化されたオートレベルルーチンを開始し、1302このオートレベルルーチンが開始周波数を自動的に選択し(現在、オートレベルルーチンは低い周波数から高い周波数へと進むが、これは必須ではない)、1303電圧制御型減衰器をある設定点(set point)に調節する。1304その設定における電力出力をシステムが記録する。電圧制御型減衰器が次の設定点に設定され、その設定に対する電力レベルが記録される。1305ルーチンが飽和を検出するまでこのプロセスが繰り返される。飽和は、入力ドライブを増大させても、大電力増幅器からの出力電力が増大(または低下)しない点と定義される。1306ルーチンが、飽和出力レベルを診断ファイルに記憶する。オートレベルルーチンは、次のサンプル周波数を自動的に選択し、上記のプロセスを繰り返す。次の周波数は、最初の周波数から大幅に分離することができる。
【0037】
驚くべきことに、先行技術の較正において使用される名目上4096個の周波数ごとに電力測定および減衰器調節が必要な先行技術よりも改良するのに、離散的な65個の周波数間隔(64個の副帯域)での減衰器測定で十分であることがあることを、本出願の出願人は発見した。この新しい技法は、典型的な800MHz〜1GHzの掃引周波数帯に対して実証されている。マルチオクターブ(multi−octave)TWTおよび受動構成要素がより幅広い動作帯域幅にわたってより大きな変動性を有する場合には、より離散的な周波数レベルが望ましいことがあることが理解される。本発明の利点は、この戦略的なサンプリングが、より効率的な較正方法である点である。
【0038】
1307周波数スキャンの必要なサンプリングを完了した後、ルーチンは、オートレベル表を自動的に作成する。1308次いでこの表が制御システムに自動的にダウンロードされる。以上の操作は全て自動であり、オペレータの介入を必要としない。
この新しいオートレベルプロセスの独特な新規の能力は、1.図14Aおよび14Bに示されているような、周波数に対する電力の改良された忠実度、2.完全自動動作、3.保守履歴のために自動的に作成される診断ファイル、4.逐一完了(point by point completion)ではない、周波数/電力マップの戦略的サンプリングによるより高速な完了、ならびに5.以前のオートレベルファイル形式との互換性である。
【0039】
(例)
戦略的なサンプリングによってオートレベル表を作成するこの新規の方法は、スプライン(spline)ベースの表面あてはめルーチンの使用1307を含む。表面あてはめルーティングは、観察された順方向電力を、減衰設定(行)およびドライブ周波数(列)の関数として表すデータの2次元アレイを受け入れる。この曲線のあてはめ(以後、曲線あてはめ)ルーチンは、C−スプラインを入力データにあてはめ、一定の電力における周波数の関数としての減衰設定を有するオートレベルファイルを抽出する。
【0040】
この構成では、C−スプライン曲線あてはめを使用して、3Dオートレベルデータ表面を作成する。代替の曲線あてはめルーチンを使用することもできる。この構成では、このアルゴリズムを、サブルーチンとして組み込むことまたはサブルーチンとして別個に実行することができることが理解される。
システム制御:自動電力調整。そのサイズ要件および電力要件のために制御された環境内では事実上分離することができない温度感度を有する追加の構成要素が、マイクロ波制御システム内に残ることを、本出願の出願人は発見した。さらに、これらの構成要素のうち大電力増幅器などの一部の構成要素は、図15に示されているように、環境によるものではない時間ベースのドリフトを有する。
【0041】
(例)
安定した繰返し可能な電力を保証するため、本出願の出願人は、図16に示されているような新規の制御ルーチンを開発した。この制御ルーチンは、補正されたドライブレベルを提供する自動電力調整を提供する。何らかの理由で測定順方向電力信号20a’が高いかまたは低い場合には、その時点の電力コマンドに電力調整器161の出力が加えられて、改良された電力設定点が作成される。
【0042】
この電力制御アルゴリズムは、順方向電力測定の正確さに依存する。このことは、上述の分離された順方向電力測定51、オーブナイズされた鉱石検波器19’、PADオフセット、増幅/接地分離54が、アルゴリズムの成功した実施に関係することを意味する。
【0043】
この電力制御アルゴリズムは2つの重要な機能を含む。第1の機能は、あまりに高速な応答を避けるための電力調節レートの制限である。第2の機能は、予めセットされた量を超える調節を防ぐセンサの「鎖(leash)」である。システムが正確な電力制御を維持することができないことを主制御に通知するため、警報がセットされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
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