特許第6336719号(P6336719)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6336719
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】プラズマエッチング装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20180528BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   H01L21/302 105A
   H01L21/302 101G
   H01L21/78 S
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-147544(P2013-147544)
(22)【出願日】2013年7月16日
(65)【公開番号】特開2015-23049(P2015-23049A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100186897
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 さやか
(72)【発明者】
【氏名】荒見 淳一
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 健志
【審査官】 鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−507880(JP,A)
【文献】 特開2010−245226(JP,A)
【文献】 特開2009−032885(JP,A)
【文献】 特開2000−306884(JP,A)
【文献】 特開2007−184329(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0073672(US,A1)
【文献】 特開2013−120800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301−21/302
H01L 21/3065
H01L 21/461
H01L 21/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理室を備えたハウジングと、該ハウジングのプラズマ処理室内に配設され上面に被加工物を保持する被加工物保持手段と、該被加工物保持手段に保持された被加工物にプラズマ発生用の処理ガスを噴射する処理ガス噴射部を備えた処理ガス噴射手段と、該処理ガス噴射手段に処理ガスを供給する処理ガス供給手段と、該プラズマ処理室内を減圧する減圧手段と、を具備するプラズマエッチング装置であって、
該処理ガス噴射手段の該処理ガス噴射部は、中央噴射部と該中央噴射部を囲繞する外周噴射部とを備え、
該処理ガス供給手段は、処理ガス供給源と、該処理ガス供給源に連通し一時的に処理ガスを収容するバッファ―タンクと、該バッファ―タンクと該中央噴射部とを連通する中央噴射部供給経路と、該バッファ―タンクと該外周噴射部とを連通する外周噴射部供給経路と、該中央噴射部供給経路に配設された第1の高周波開閉弁と、該外周噴射部供給経路に配設された第2の高周波開閉弁と、該第1の高周波開閉弁の開閉周波数該第2の高周波開閉弁の開閉周波数とを異なった値に制御する制御手段と、を具備している、
ことを特徴とするプラズマエッチング装置。
【請求項2】
該処理ガス供給手段は、第1の処理ガスを供給する第1の処理ガス供給源と、第2の処理ガスを供給する第2の処理ガス供給源と、該第1の処理ガスと該第2の処理ガスとを混合するガス混合手段と、該ガス混合手段とバッファ―タンクとを連通する処理ガス連通経路と、該処理ガス連通経路に配設され該バッファ―タンクに供給する処理ガスの圧力を調整する圧力調整手段とを具備している、請求項1記載のプラズマエッチング装置。
【請求項3】
該処理ガス供給手段を複数備え、
該制御手段は、各処理ガス供給手段の該中央噴射部供給経路と該外周噴射部供給経路にそれぞれ配設された該第1の高周波開閉弁の開閉周波数と該第2の高周波開閉弁の開閉周波数を制御する、請求項1又は2記載のプラズマエッチング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスの周囲に形成される欠け等をプラズマエッチングにより除去するためのプラズマエッチング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に形成された分割予定ラインによって区画された複数の領域にIC、LSI等のデバイスを形成し、該デバイスが形成された各領域を分割予定ラインに沿って分割することにより個々の半導体デバイスを製造している。半導体ウエーハを分割する分割装置としては一般に切削装置が用いられており、この切削装置は厚さが20μm程度の切削ブレードによって半導体ウエーハを分割予定ラインに沿って切削する。このようにして分割された半導体デバイスは、パッケージングされて携帯電話やパソコン等の電気機器に広く利用されている。
【0003】
しかるに、切削装置による切削加工は、回転する切削ブレードによって実施されるため、半導体デバイスの外周には細かな欠けやストレスが発生し、デバイスの抗折強度を低下させるという問題がある。
【0004】
このような問題を解消するために、半導体ウエーハを分割予定ラインに沿ってプラズマエッチングして分割することにより、外周に欠けやストレスが生じない半導体デバイスを得る方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4447325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
而して、半導体ウエーハを分割予定ラインに沿ってプラズマエッチングして分割する方法においては、エッチングレートにバラツキがあり、複数の分割予定ラインに沿って均一にエッチングできないという問題がある。
【0007】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術課題は、半導体ウエーハ等の被加工物を複数の分割ラインに沿って均一にエッチングすることができるプラズマエッチング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、プラズマ処理室を備えたハウジングと、該ハウジングのプラズマ処理室内に配設され上面に被加工物を保持する被加工物保持手段と、該被加工物保持手段に保持された被加工物にプラズマ発生用の処理ガスを噴射する処理ガス噴射部を備えた処理ガス噴射手段と、該処理ガス噴射手段に処理ガスを供給する処理ガス供給手段と、該プラズマ処理室内を減圧する減圧手段と、を具備するプラズマエッチング装置であって、
該処理ガス噴射手段の該処理ガス噴射部は、中央噴射部と該中央噴射部を囲繞する外周噴射部とを備え、
該処理ガス供給手段は、処理ガス供給源と、該処理ガス供給源に連通し一時的に処理ガスを収容するバッファ―タンクと、該バッファ―タンクと該中央噴射部とを連通する中央噴射部供給経路と、該バッファ―タンクと該外周噴射部とを連通する外周噴射部供給経路と、該中央噴射部供給経路に配設された第1の高周波開閉弁と、該外周噴射部供給経路に配設された第2の高周波開閉弁と、該第1の高周波開閉弁の開閉周波数該第2の高周波開閉弁の開閉周波数とを異なった値に制御する制御手段と、を具備している、
ことを特徴とするプラズマエッチング装置が提供される。
【0009】
上記処理ガス供給手段は、第1の処理ガスを供給する第1の処理ガス供給源と、第2の処理ガスを供給する第2の処理ガス供給源と、第1の処理ガスと第2の処理ガスとを混合するガス混合手段と、ガス混合手段とバッファ―タンクとを連通する処理ガス連通経路と、処理ガス連通経路に配設されバッファ―タンクに供給する処理ガスの圧力を調整する圧力調整手段とを具備している。
また、上記処理ガス供給手段を複数備え、上記制御手段は、各処理ガス供給手段の中央噴射部供給経路と外周噴射部供給経路にそれぞれ配設された第1の高周波開閉弁の開閉周波数と第2の高周波開閉弁の開閉周波数を制御する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるウエーハの加工方法は、処理ガス噴射手段の処理ガス噴出部は、中央噴射部と該中央噴射部を囲繞する外周噴射部と備え、処理ガス供給手段は、処理ガス供給源と、処理ガス供給源に連通し一時的に処理ガスを収容するバッファ―タンクと、バッファ―タンクと中央噴射部とを連通する中央噴射部供給経路と、バッファ―タンクと外周部噴射部とを連通する外周噴射部供給経路と、中央部噴射部供給経路に配設された第1の高周波開閉弁と、外周噴射部供給経路に配設された第2の高周波開閉弁と、第1の高周波開閉弁の開閉周波数と第2の高周波開閉弁の開閉周波数とを異なった値に制御設定する制御手段とを具備しているので、プラズマ処理室に噴射される処理ガスは、中央噴射部と外周噴射部から異なった開閉周波数で供給されるため、プラズマ処理室に噴射された処理ガスが十分に撹拌され、被加工物の各部においてエッチングレートを均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に従って構成されたプラズマエッチング装置の要部断面図。
図2】被加工物としての半導体ウエーハの斜視図。
図3図2に示す半導体ウエーハの表面に保護テープを貼着する保護部材貼着工程の説明図。
図4図2に示す半導体ウエーハの裏面における分割予定ラインと対応する領域を除く領域にレジスト膜を被覆するレジスト膜被覆工程の説明図。
図5図1に示すプラズマエッチング装置によってエッチングされた半導体ウエーハの要部を拡大して示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に従って構成されたプラズマエッチング装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1には、本発明に従って構成されたプラズマエッチング装置の要部断面図が示されている。図1に示すプラズマエッチング装置2は、プラズマ処理室30を形成するハウジング3を具備している。このハウジング3は、底壁31と上壁32と左右側壁33、34と後側側壁および前側側壁(図示せず)とからなっており、右側側壁34には被加工物搬出入用の開口341が設けられている。開口341の外側には、開口341を開閉するためのゲート35が上下方向に移動可能に配設されている。このゲート35は、ゲート作動手段36によって作動せしめられる。ゲート作動手段36は、エアシリンダ361と該エアシリンダ361内に配設された図示しないピストンに連結されたピストンロッド362とからなっており、ピストンロッド362の先端(図において上端)が上記ゲート35に連結されている。このゲート作動手段36によってゲート35が開けられることにより、被加工物を開口341を通して搬出入することができる。また、ハウジング3を構成する左側壁33には排気口331が設けられており、この排気口331が減圧手段4に接続されている。
【0013】
上記ハウジング3によって形成されるプラズマ処理室30には、底壁31上に配設された被加工物保持手段としての第1の電極ユニット5と、該第1の電極ユニット5と対向して配設された処理ガス噴射手段としての第2の電極ユニット6が配設されている。被加工物保持手段としての第1の電極ユニット5は、上面に被加工物を保持する円形状の被加工物保持テーブル51が設けられている。なお、被加工物保持テーブル51は、静電チャックを備えた構成になっている。このように構成された第1の電極ユニット5には、高周波電源50によって周波数が13MHzで50wの高周波電力が印加されるようになっている。
【0014】
処理ガス噴射手段としての第2の電極ユニット6は、下面には上記第1の電極ユニット5の被加工物保持テーブル51と対向して配設され被加工物保持テーブル51に向けてプラズマ発生用の処理ガスを噴出する噴出口を有する処理ガス噴出部61を備えている。この処理ガス噴出部61は、円形状の中央噴射部611と、該中央噴射部611を囲繞する円環状の外周噴射部612とを備えている。また、第2の電極ユニット6には、中央噴射部611に連通する第1の通路62と、外周噴射部612に連通する第2の通路63が形成されている。このように構成された第2の電極ユニット6には、高周波電源60によって周波数が13MHzで3000wの高周波電力が印加されるようになっている。
【0015】
図示の実施形態におけるプラズマエッチング装置は、上記第2の電極ユニット6にプラズマ発生用の処理ガスを供給する処理ガス供給手段7を具備している。処理ガス供給手段7は、上記第2の電極ユニット6にそれぞれ異なるプラズマ発生用の処理ガスを供給する第1の処理ガス供給手段71と第2の処理ガス供給手段72を備えている。第1の処理ガス供給手段71は、第1の処理ガスとしてのSF6ガスを供給する第1の処理ガス供給源711aと、第2の処理ガスとしてのO2ガスを供給する第2の処理ガス供給源711bを備えている。第1の処理ガス供給源711aおよび第2の処理ガス供給源711bは、それぞれガス通路712aおよび712bを介してガス混合手段713に連通されている。なお、ガス通路712aおよび712bには、それぞれ電磁開閉弁714aおよび714bと、流量調整弁715aおよび715bが配設されている。従って、電磁開閉弁714aおよび714bが開路されると、第1の処理ガス供給源711aおよび第2の処理ガス供給源711bから第1の処理ガスとしてのSF6ガスおよび第2の処理ガスとしてのO2ガスがそれぞれ流量調整弁715aおよび715bを介してガス混合手段713に流入して混合される。
【0016】
上記ガス混合手段713は、処理ガス連通経路711cを介してバッファ―タンク716に連通されている。このバッファ―タンク716は、ガス混合手段713から供給された処理ガスを一時的に蓄える。なお、ガス混合手段713とバッファ―タンク716を連通する処理ガス連通経路711cには、バッファ―タンク716に供給する処理ガスの圧力を調整する圧力調整手段717が配設されている。従って、バッファ―タンク716に蓄えられる処理ガスは、所定の圧力範囲に維持される。
【0017】
上記バッファ―タンク716は、中央噴射部供給経路711dおよび外周噴射部供給経路711eを介して上記第2の電極ユニット6に形成された第1の通路62および第2の通路63に連通されている。中央噴射部供給経路711dおよび外周噴射部供給経路711eには、それぞれ第1の高周波開閉弁および第2の高周波開閉弁としての第1のダイアフラムバルブ718aおよび第2のダイアフラムバルブ718bと、絞り弁719が配設されている。
【0018】
上記第2の処理ガス供給手段72は、上記第1の処理ガス供給手段71と第1の処理ガスが相違する以外は実質的に同様の構成である。
即ち、第2の処理ガス供給手段72は、第1の処理ガスとしてのC4F8ガスを供給する第1の処理ガス供給源721aと、第2の処理ガスとしてのO2ガスを供給する第2の処理ガス供給源721bを備えている。第1の処理ガス供給源721aおよび第2の処理ガス供給源721bは、それぞれガス通路722aおよび722bを介してガス混合手段723に連通されている。なお、ガス通路722aおよび722bには、それぞれ電磁開閉弁724aおよび724bと、流量調整弁725aおよび725bが配設されている。
【0019】
上記ガス混合手段723は、処理ガス連通経路721cを介してバッファ―タンク726に連通されている。このバッファ―タンク726は、ガス混合手段723から供給された処理ガスを一時的に蓄える。なお、ガス混合手段723とバッファ―タンク726を連通する処理ガス連通経路721cには、バッファ―タンク726に供給する処理ガスの圧力を調整する圧力調整手段727が配設されている。従って、バッファ―タンク726に蓄えられる処理ガスは、所定の圧力範囲に維持される。
【0020】
上記バッファ―タンク726は、中央噴射部供給経路721dおよび外周噴射部供給経路721eを介して上記第2の電極ユニット6に形成された第1の通路62および第2の通路63に連通されている。中央噴射部供給経路721dおよび外周噴射部供給経路721eには、それぞれ第1の高周波開閉弁および第2の高周波開閉弁としての第1のダイアフラムバルブ728aおよび第2のダイアフラムバルブ728bと、絞り弁729が配設されている。
【0021】
図示の実施形態におけるプラズマエッチング装置は、制御手段8を具備している。この制御手段8は、上述した第1の高周波開閉弁および第2の高周波開閉弁としての第1のダイアフラムバルブ718a、728aおよび第2のダイアフラムバルブ718b、728bの開閉周波数を制御する。また、図示の実施形態における制御手段8は、上記ゲート作動手段36、減圧手段4、高周波電源50、高周波電源60、電磁開閉弁714aおよび714b、電磁開閉弁724aおよび724b等を制御する。
【0022】
図示の実施形態におけるプラズマエッチング装置は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
図2には、ウエーハとしての半導体ウエーハの斜視図が示されている。図2に示す半導体ウエーハ10は、例えば直径が200mmで厚みが700μmのシリコンウエーハからなっており、表面10aに複数の分割予定ライン101が格子状に形成されているとともに、該複数の分割予定ライン101によって区画された複数の領域にIC、LSI等のデバイス102が形成されている。このように構成された半導体ウエーハ10の表面10aには、図3に示すようにデバイス102を保護するために保護部材としての保護テープ11を貼着する(保護部材貼着工程)。このようにして、半導体ウエーハ10の表面10aに保護テープ11を貼着したならば、半導体ウエーハ10の裏面10bを研削して半導体ウエーハ10を所定の仕上がり厚み(例えば350μm)に形成する裏面研削工程を実施する。この裏面研削工程は、従来周知の研削装置を用いて実施することができる。
【0023】
上述したように半導体ウエーハ10の裏面10bを研削して半導体ウエーハ10をデバイスの所定の仕上がり厚みに形成されたならば、半導体ウエーハ10の裏面10bにおける分割予定ライン101と対応する領域を除く領域にレジスト膜を被覆するレジスト膜被覆工程を実施する。このレジスト膜被覆工程は、先ず図4の(a)に示すように半導体ウエーハ10の裏面10bにポジ型ホトレジストを塗布しホトレジスト膜12を形成する(ホトレジスト塗布工程)。次に、半導体ウエーハ10の裏面10bに形成されたホトレジスト膜12のエッチングすべき領域としての分割予定ライン101と対応する領域を除く領域にマスキングをしてホトレジスト膜12を露光し(露光工程)、露光されたホトレジスト膜12をアルカリ溶液によって現像する(現像工程)。この結果、図4の(b)に示すようにホトレジスト膜12における露光された分割予定ライン101と対応する領域が除去される。従って、半導体ウエーハ10の裏面10bには、分割予定ライン101と対応する領域を除く領域にホトレジスト膜12が被覆されたことになる。
【0024】
次に、上記図1に示すプラズマエッチング装置2を用いて、上記図4の(a)および(b)に示すようにレジスト膜被覆工程が実施され、裏面10bにおける分割予定ライン101と対応する領域を除く領域にホトレジスト膜12が被覆された半導体ウエーハ10を分割予定ライン101に沿ってエッチングすることにより、半導体ウエーハ10を分割予定ライン101に沿って個々のデバイスに分割するエッチング工程について説明する。
先ず、制御手段8はゲート作動手段36を作動してゲート35を図1において下方に移動せしめ、ハウジング3の右側側壁34に設けられた開口341を開ける。次に、図示しない搬出入手段によって上述したレジスト膜被覆工程が実施された半導体ウエーハ10を開口341からハウジング3によって形成されるプラズマ処理室30に搬送し、第1の電極ユニット5を構成する被加工物保持テーブル51上に半導体ウエーハ10の表面に貼着された保護テープ11側を載置する。そして、制御手段8は被加工物保持テーブル51の静電チャックを機能させることにより、被加工物保持テーブル51上に載置された半導体ウエーハ10は保護テープ11を介して静電チャックで保持される。従って、被加工物保持テーブル51上に保持された半導体ウエーハ10は、裏面10bに分割予定ライン101を除く領域に被覆されたホトレジスト膜12が上側となる。
【0025】
このように半導体ウエーハ10が被加工物保持テーブル51上に保持されたならば、制御手段8はゲート作動手段36を作動してゲート35を図1において上方に移動せしめ、ハウジング3の右側側壁34に設けられた開口341を閉じる。次に、制御手段8は減圧手段4を作動してハウジング3によって形成されるプラズマ処理室30内を例えば20Paの圧力に減圧する。そして、半導体ウエーハ10を分割予定ライン101に沿って個々のデバイスに分割するエッチング工程を実施する。
【0026】
エッチング工程を実施するには、制御手段8は第1の処理ガス供給手段71および第2の処理ガス供給手段72を構成する各手段を制御し、第2の電極ユニット6に設けられた第1の通路62および第2の通路63を通して中央噴射部611および外周噴射部612からSF6ガスとO2ガスからなる処理ガスおよびC4F8ガスとO2ガスとからなる処理ガスをプラズマ処理室30に後述するように交互に噴射せしめる。また、制御手段8は、高周波電源50および高周波電源60を制御して第1の電極ユニット5に周波数が13MHzで50wの高周波電力を印加するとともに、第2の電極ユニット6の周波数が13MHzで3000wの高周波電力を印加せしめる。
【0027】
ここで、第1の処理ガス供給手段71および第2の処理ガス供給手段72によってプラズマ処理室30に噴射せしめられるSF6ガスとO2ガスからなる処理ガスおよびC4F8ガスとO2ガスとからなる処理ガスの噴射要領について説明する。
制御手段8は、第1のダイアフラムバルブ718aを例えば100Hzの開閉周波数で制御するとともに、第2のダイアフラムバルブ718bを例えば50Hzの開閉周波数で制御し、この制御を1秒間作動して2秒間停止する。この1秒間の作動と2秒間の停止を制御手段8は繰り返し実施する。この結果、SF6ガスとO2ガスからなる処理ガスが100Hzの周波数をもって絞り弁719および第1の通路62を介して中央噴射部611からプラズマ処理室30に2秒間隔で1秒間噴射されるとともに、SF6ガスとO2ガスとからなる処理ガスが50Hzの周波数をもって絞り弁719および第2の通路63を介して外周噴射部612からプラズマ処理室30に2秒間隔で1秒間噴射される。
【0028】
また、制御手段8は、第1のダイアフラムバルブ728aを例えば50Hzの開閉周波数で制御するとともに、第2のダイアフラムバルブ728bを例えば30Hzの開閉周波数で制御し、上記第1のダイアフラムバルブ718aおよび第2のダイアフラムバルブ718bの作動期間である1秒間停止して第1のダイアフラムバルブ718aおよび第2のダイアフラムバルブ718bの停止期間である2秒間作動する。この1秒間の停止と2秒間の作動を制御手段8は繰り返し実施する。この結果、C4F8ガスとO2ガスからなる処理ガスが50Hzの周波数をもって絞り弁729および第1の通路62を介して中央噴射部611からプラズマ処理室30に1秒間隔で2秒間噴射されるとともに、C4F8ガスとO2ガスとからなる処理ガスが30Hzの周波数をもって絞り弁729および第2の通路63を介して外周噴射部612からプラズマ処理室30に1秒間隔で2秒間噴射される。なお、第1の処理ガス供給手段71と第2の処理ガス供給手段72は、図示の実施形態においてはプラズマ処理室30に噴射するSF6ガスとO2ガスからなる処理ガスを1分間に10リットルの割合で供給し、C4F8ガスとO2ガスとからなる処理ガスを1分間に0.7リットルの割合で供給するようになっている。
【0029】
このように、プラズマ発生用のSF6ガスとO2ガスからなる処理ガスおよびC4F8ガスとO2ガスとからなる処理ガスを中央噴射部611と外周噴射部612から交互にプラズマ処理室30に供給した状態で、制御手段8は高周波電源50および高周波電源60を制御して第1の電極ユニット5に周波数が13MHzで50wの高周波電力を印加するとともに、第2の電極ユニット6に周波数が13MHzで3000wの高周波電力を印加せしめる。これにより、第1の電極ユニット5と第2の電極ユニット6との間の空間にSF6ガスとC4F8ガスとからなるプラズマが発生し、このプラズマ化した活性物質が半導体ウエーハ10の裏面に形成されたホトレジスト膜12における分割予定ライン101に対応する領域を通して半導体ウエーハ10に作用するため、図5に示すように半導体ウエーハ10は分割予定ライン101に沿ってエッチング除去されて分割溝210は形成され、個々のデバイス102に分割される。なお、第1の処理ガス供給手段71および第2の処理ガス供給手段72を構成する各手段を上記のように制御して20分間プラズマエッチング加工を実施することにより、シリコンウエーハに350μmの分割溝を形成することができる。
【0030】
以上のように、図示の実施形態のプラズマエッチング装置においては、プラズマ処理室30に噴射されるプラズマ発生用のSF6ガスとO2ガスからなる処理ガスおよびC4F8ガスとO2ガスとからなる処理ガスは、中央噴射部611と外周噴射部612から所定の開閉周波数で供給されるので、プラズマ処理室30に噴射された処理ガスが十分に撹拌されるため、半導体ウエーハ10の各部においてエッチングレートを均一にすることができる。
【0031】
以上、本発明を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲で種々の変形は可能である。例えば、上述した実施形態においては第1の処理ガス供給手段71と第2の処理ガス供給手段72を具備した例を示したが、1個の処理ガス供給手段によって処理ガスを中央噴射部611と外周噴射部612から交互にプラズマ処理室30に噴射するようにしてもよい。
また、上述した実施形態においては被加工物を保持する被加工物保持手段としての第1の電極ユニット5を下側に配設し、被加工物保持手段に保持された被加工物にプラズマ発生用の処理ガスを噴射する処理ガス噴射部を備えた処理ガス噴射手段としての第2の電極ユニット6を上側に配設した例を示したが、被加工物保持手段としての第1の電極ユニット5を上側に配設し、処理ガス噴射手段としての第2の電極ユニット6を下側に配設してもよい。
【符号の説明】
【0032】
2:プラズマエッチング装置
3:ハウジング
30:プラズマ処理室
35:ゲート
36:ゲート作動手段
4:減圧手段
5:第1の電極ユニット
50:高周波電源
51:被加工物保持テーブル
6:第2の電極ユニット
60:高周波電源
61:処理ガス噴出部
611:中央噴射部
612:外周噴射部
7:処理ガス供給手段
71:第1の処理ガス供給手段
72:第2の処理ガス供給手段
711a、721a:第1の処理ガス供給源
711b、721b:第2の処理ガス供給源
713、723:ガス混合手段
716、726:バッファ―タンク
717、727:圧力調整手段
718a、728a:第1のダイアフラムバルブ
718b、728b:第2のダイアフラムバルブ
8:制御手段
10:半導体ウエーハ
11:保護テープ
12:ホトレジスト膜
図1
図2
図3
図4
図5