(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6336788
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】樹脂組成物、先供給型半導体封止剤、半導体封止用フィルム、および半導体装置
(51)【国際特許分類】
C08F 2/44 20060101AFI20180528BHJP
C08F 279/00 20060101ALI20180528BHJP
C08F 4/32 20060101ALI20180528BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20180528BHJP
H01L 23/31 20060101ALI20180528BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
C08F2/44 C
C08F2/44 A
C08F2/44 B
C08F279/00
C08F4/32
H01L23/30 R
H01L21/60 311S
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-48676(P2014-48676)
(22)【出願日】2014年3月12日
(65)【公開番号】特開2015-172145(P2015-172145A)
(43)【公開日】2015年10月1日
【審査請求日】2017年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】591252862
【氏名又は名称】ナミックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147810
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 浩
(72)【発明者】
【氏名】宗村 真一
【審査官】
松元 洋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−291189(JP,A)
【文献】
特開2002−363218(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/010258(WO,A1)
【文献】
特開2002−194057(JP,A)
【文献】
特開2008−143968(JP,A)
【文献】
特開2010−047696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00 − 2/60
C08F 4/00 − 4/58
H01L 21/60 − 21/607
H01L 23/28 − 23/30
CA/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)2官能以上の(メタ)アクリレートと、
(B)無水マレイン酸変性したポリブタジエンと、
(C)有機過酸化物と、
(D)シリカフィラーと、
(E)シランカップリング剤と、
(F)融点が45℃以下のイミダゾール化合物と、
(G)式(1)の化合物と
【化1】
を含む樹脂組成物。
【請求項2】
(A)2官能以上の(メタ)アクリレートと、
(B)無水マレイン酸変性したポリブタジエンと、
(C)有機過酸化物と、
(D)シリカフィラーと、
(E)シランカップリング剤と、
(F)融点が45℃以下のイミダゾール化合物と、
(G)式(2)の化合物と
【化2】
を含む樹脂組成物。
【請求項3】
前記(A)が、式(3)の化合物(ただし、
m+n=2.3〜4.0であり、R
1およびR
2は、それぞれ水素原子またはメチル基である)および式(4)の化合物の少なくとも一方を含む
【化3】
【化4】
ことを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記(C)が、式(5)の化合物および式(6)の化合物の少なくとも一方を含む
【化5】
【化6】
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記(G)に対する前記(F)の質量比が、0.1〜1の範囲である
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれか一項に記載の樹脂組成物を含む先供給型半導体封止剤。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む半導体封止用フィルム。
【請求項8】
請求項6に記載の先供給型半導体封止剤または請求項7に記載の半導体封止用フィルムを用いて封止された半導体素子を有する半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、先供給型半導体封止剤、半導体封止用フィルム、および半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップ(半導体素子)を基板(またはパッケージ)に実装する手法の一つにフリップチップ実装がある。フリップチップ実装は、半導体チップと基板とをバンプを用いて電気的に接続する技術である。バンプの周辺を補強するため、半導体チップと基板の間には樹脂組成物(いわゆるアンダーフィル剤)が充填される。フリップチップ実装においては、従来、半導体チップと基板とを接続した後、半導体チップと基板との間隙(ギャップ)に樹脂組成物を充填させるプロセス(以下「後供給型」プロセスという)が広く用いられている。
【0003】
製品の小型化や高信頼性化の要求から、ギャップをより狭くすることが求められている。狭ギャップ化を実現するため、銅ピラーを用いたフリップチップ実装が開発されている。しかし、後供給型プロセスでは狭ギャップ化への対応に問題があった。これに対し、近年、基板上に樹脂組成物を塗布し、その上から半導体チップを載せ、その後、樹脂組成物の硬化および半導体チップと基板との接続を行うプロセス(以下「先供給型」プロセスという)が開発されている。先供給型プロセス用の樹脂組成物には、狭いギャップへの対応から低粘性であること等、後供給型プロセス用の樹脂組成物とは異なる特性が求められる。例えば特許文献1は、先供給型プロセスで用いられる熱硬化性液状封止樹脂組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−155363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先供給型プロセスで用いられる樹脂組成物に要求される特性は厳しくなっている。要求される特性の一つに、接続安定性がある。
【0006】
本発明は、先供給型プロセスで用いることができ、接続安定性を改善した樹脂組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(A)2官能以上の(メタ)アクリレートと、(B)無水マレイン酸変性したポリブタジエンと、(C)有機過酸化物と、(D)シリカフィラーと、(E)シランカップリング剤と、(F)融点が45℃以下のイミダゾール化合物と、(G)式(1)の添加剤とを含む樹脂組成物を提供する。
【化1】
【0008】
また、本発明は、(A)2官能以上の(メタ)アクリレートと、(B)無水マレイン酸変性したポリブタジエンと、(C)有機過酸化物と、(D)シリカフィラーと、(E)シランカップリング剤と、(F)融点が45℃以下のイミダゾール化合物と、(G)式(2)の添加剤とを含む樹脂組成物を提供する。
【化2】
【0009】
前記(A)が、式(3)の化合物(ただし、R
1およびR
2は、それぞれ水素原子またはメチル基である)および式(4)の化合物の少なくとも一方を含んでもよい。
【化3】
【化4】
【0010】
前記(C)が、式(5)の化合物および式(6)の化合物の少なくとも一方を含んでもよい。
【化5】
【化6】
【0011】
前記(G)に対する前記(F)の質量比が、0.1〜1の範囲が好ましい。
【0012】
また、本発明は、上記の樹脂組成物を含む先供給型半導体封止剤を提供する。
【0013】
さらに、本発明は、上記の樹脂組成物を含む半導体封止用フィルムを提供する。
【0014】
さらに、本発明は、上記の先供給型半導体封止剤または上記の半導体封止用フィルムを用いて封止された半導体素子を有する半導体装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、先供給型プロセスで用いることができ、接続安定性を改善した樹脂組成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】実装試験に用いた基板および半導体チップの概形を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の樹脂組成物は、(A)2官能以上の(メタ)アクリレートと、(B)無水マレイン酸変性したポリブタジエンと、(C)有機過酸化物と、(D)シリカフィラーと、(E)シランカップリング剤と、(F)融点が45℃以下のイミダゾール化合物と、(G)添加剤とを含む。樹脂組成物は、室温で液状であることが好ましい。
【0018】
(A)成分は、2つ以上の官能基を有するアクリレートまたはメタクリレートである。(A)成分としては、例えば、EO変性ビスフェノールAジメタクリレート(2.2 Bis〔4-(Methacryloxy Ethoxy)Phenyl〕Propane、式(3))およびトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(Tricylodecane dimethanol Diacrylate、式(4))が用いられる。
【化7】
【化8】
【0019】
なお、「EO変性」とはエチレンオキシドユニット(−CH
2−CH
2−O−)のブロック構造を有することを意味する。ここで、R
1およびR
2は、それぞれ水素原子(H)またはメチル基(CH
3)である。また、m+n=2.3〜4.0であることが好ましい。ここで例示した化合物は単独で用いられてもよいし、2つ以上のものが混合して用いられてもよい。(A)成分は、(A)〜(G)成分の合計に対し30〜40質量%含まれることが好ましい。(A)成分として式(3)の化合物および式(4)の化合物を用いた場合、式(3)の化合物は20〜25質量%含まれることが好ましく、式(4)の化合物は10〜15質量%含まれることが好ましい。
【0020】
(B)成分は、(A)〜(G)成分の合計に対し1〜10質量%含まれることが好ましく、3〜5質量%含まれることがより好ましい。
【0021】
(C)成分としては、例えば式(5)または式(6)の化合物が用いられる。(C)成分は、(A)〜(G)成分の合計に対し0.1〜0.6質量%含まれることが好ましい。樹脂組成物において、ここで例示した化合物は単独で用いられてもよいし、2つ以上のものが混合して用いられてもよい。
【化9】
【化10】
【0022】
(D)成分は、(A)〜(G)成分の合計に対し50〜70質量%含まれることが好ましい。
【0023】
(E)成分としては、エポキシ系、アミノ系、ビニル系、メタクリル系、アクリル系、メルカプト系、グリシドキシ系等の各種シランカップリング剤が挙げられる。この中でも、式(7)および式(8)の化合物が好ましい。樹脂組成物において、ここで例示した化合物は単独で用いられてもよいし、2つ以上のものが混合して用いられてもよい。(E)成分は、(A)〜(G)成分の合計に対し0.1〜0.5質量%含まれることが好ましい。
【化11】
【化12】
【0024】
(F)成分としては、例えば、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾールが挙げられる。(F)成分の融点は、45℃以下であることが好ましい。また、(F)成分は、(A)〜(G)成分の合計に対し0.1〜0.9質量%含まれることが好ましい。
【0025】
(G)成分としては、例えば、式(1)の化合物または式(2)の化合物が用いられる。(G)成分は、(A)〜(G)成分の合計に対し0.2〜1.0質量%含まれることが好ましい。なお、(G)成分の含有量w
Gに対する(F)成分の含有量w
Fの比(w
F/w
G)は、0.1〜1の範囲であることが好ましい。
【化13】
【化14】
【0026】
添加剤としては、上記の(G)成分以外にも、例えば、その他(メタ)アクリレート化合物、エポキシ化合物、ビスマレイミド化合物、シアネートエステル化合物などの熱硬化性成分、熱硬化性成分の硬化剤や硬化促進剤、レオロジー調整剤、分散剤、沈降防止剤、消泡剤、着色剤、表面調整剤、エラストマー類、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、溶剤可溶性ポリイミド樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられる。硬化剤および硬化促進剤は、熱硬化成分の硬化および促進に用いられる。レオロジー調整剤は、塗布適性および流動適性の調整に用いられる。分散剤および沈降防止剤は、充填剤および着色剤の分散性向上および沈降防止のために用いられる。消泡剤は、消泡性の調整に用いられる。着色剤は、着色に用いられる。表面調整剤は、表面状態および濡れ性の調整に用いられる。エラストマー類は、弾性率および応力の調整に用いられる。固形樹脂は、粘度および靭性等の調整のために用いられる。これらの添加剤は単独で用いられてもよいし、2つ以上のものが混合して用いられてもよい。
【0027】
この樹脂組成物は、例えば、原料を、所定の配合で、ライカイ機、ポットミル、三本ロールミル、回転式混合機、二軸ミキサー等の混合機に投入し、混合することにより製造される。なお、樹脂組成物は、これ以外の方法により製造されてもよい。
【0028】
この樹脂組成物は、例えば、半導体素子等の電子デバイスの封止、特に、いわゆる先供給型(pre-applied)プロセスにおける電子デバイスの封止に用いられる。先供給型プロセスとは、まず、基板に封止剤を塗布し、その上に半導体素子を載せた後、封止剤の硬化と、半導体素子と基板の接続とを行うプロセスをいう。
【0029】
図1は、本実施形態に係る樹脂組成物を用いて封止された半導体素子を有する半導体装置10を例示する図である。半導体装置10は、半導体チップ1と、基板2とを有する。半導体チップ1および基板2には、それぞれ、銅ピラー3が設けられている。半導体チップ1と基板2とを接続するため、はんだ4が用いられる。まず基板2上に、樹脂組成物5が例えばディスペンサーを用いて塗布される。次に、例えばフリップチップボンダーを用いて、半導体チップ1と基板2とが位置合わせさせる。その後、はんだ4の融点以上の温度に加熱しつつ、所定の荷重で半導体チップ1を基板2に押し付ける。こうして、半導体チップ1と基板2とを接続するとともに、軟化した樹脂組成物によりギャップが充填される。なお、
図1の構成はあくまで一例であり、本実施形態に係る半導体装置の構成はこれに限定されるものではない。
【0030】
別の例で、この樹脂組成物は、フィルム状に成形されてもよい。この場合、半導体チップの実装においては、液状の樹脂組成物の代わりにこのフィルムが用いられる。すなわち、まず、基板上に樹脂組成物を含むフィルムを貼り付ける。次に、フリップチップボンダーを用いてはんだの融点以上の温度に加熱しつつ、所定の荷重で半導体チップを基板に押し付ける。
【実施例】
【0031】
(1)樹脂組成物の調整
表1および2は、実施例1〜9および比較例1〜4の樹脂組成物の組成、および後述する評価の結果を示す。表1および2において、樹脂組成物の組成は質量部で表されている。
【0032】
(A)成分としては、(メタ)アクリレートa1(式(3)の化合物)およびa2(式(4)の化合物)が用いられた。(メタ)アクリレートa1としては、共栄社化学株式会社製のDCP−Aが用いられた。(メタ)アクリレートa2としては、共栄社化学株式会社製のBP−2EMKが用いられた。(B)成分としては、Cray Valley社製のRicon130MA13が用いられた。(C)成分としては、有機過酸化物c1(式(5)の化合物)およびc2(式(6)の化合物)が用いられた。有機過酸化物c1としては、日油株式会社製のパークミル(登録商標)Dが用いられた。有機過酸化物c2としては、日油株式会社製のパーブチル(登録商標)Pが用いられた。(D)成分としては、アドマテックス株式会社製のSOE2が用いられた。(E)成分としてはシランカップリング剤e1(式(7)の化合物)およびe2(式(8)の化合物)が用いられた。シランカップリング剤e1としては、信越化学工業株式会社製のKBM403が用いられた。シランカップリング剤e2としては、信越化学工業株式会社製のKBM503が用いられた。
【0033】
(F)成分としては、イミダゾール化合物f1、f2、およびf3が用いられた。イミダゾール化合物f1としては、四国化成工業株式会社製の2E4MZ(2−エチル−4−メチルイミダゾール)が用いられた。イミダゾール化合物f2としては、四国化成工業株式会社製の1,2DMZ(1,2−ジメチルイミダゾール)が用いられた。イミダゾール化合物f3としては、四国化成工業株式会社製の2MZ−A(2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン)が用いられた。なお、イミダゾール化合物f1、f2、およびf3の融点は、それぞれ、41℃、36℃、および248〜258℃である。
【0034】
(G)成分としては、添加剤g1およびg2が用いられた。添加剤g1としては、東京化成工業株式会社製のリン酸トリフェニル(式(1)の化合物)が用いられた。添加剤g2としては、東京化成工業株式会社製のグルタル酸(式(2)の化合物)が用いられた。
【0035】
(2)実装試験
実施例1〜9および比較例1〜4に対し、実装試験を行った。試験に用いた試料は、所定の形状の半導体チップを所定の形状の基板に実装することにより作製した。基板としては、電極材料としてCuを用い表面をOSP(Organic Solderability Preservative)処理したもの(以下Cu/OSP基板という)を採用した。
図2は、試料の作成に用いた基板および半導体チップの概形を示している。実装には、パナソニックファクトリーソリューションズ株式会社製のフリップチップボンダーFCB3を用いた。実装の条件は以下のとおりである。まず、基板を125℃で30分、ベークした。ベーク後、基板をステージ上に載せ、ディスペンサーで基板上に樹脂組成物を塗布した。樹脂組成物の塗布後、基板を温度70℃のステージに移し、半導体チップを基板に載せると同時に
図3の温度プロファイルに従って樹脂組成物の硬化および半導体チップと基板の接合を行った。荷重は15Nであった。接合後、後硬化として、165℃で60分熱処理した。
【0036】
上記のように作製した試料について、超音波画像観察、顕微鏡観察、および抵抗値測定により評価した。超音波画像観察は、超音波映像装置(Scanning Acoustic Tomography、SAT)により得られた画像を用いて行った。7つの試料を観察し、半導体チップの下に樹脂組成物が全面に充填されているか、およびボイドが発生しているか、という点を確認した。樹脂組成物が全面に充填されていないもの、およびボイドが確認されたものを不良品と判断した。顕微鏡観察については、試料の半導体チップ部分を研磨により除去した後で、開口部を顕微鏡で観察した。開口部にボイドが確認されたものを不良品と判断した。抵抗値測定については、試料の抵抗値測定パッドを用いて抵抗値を測定した。7つの試料を測定し、28〜32Ωの抵抗値を示したものを良品と判断し、この範囲外の抵抗値を示したものを不良品と判断した。なお、28〜32Ωの抵抗値を示したものを良品と判断した理由は以下のとおりである。抵抗値が28〜32Ωの試料の断面を観察したところ、はんだと基板電極との間に合金層の成長が見られ良好な接合状態が確認された。27Ω以下では基板電極間ではんだの接触が見られる場合があった。また33Ω以上では、合金層の成長がみられない、またははんだの濡れ広がりが見られない試料が確認された。
【0037】
(3)吸湿リフロー試験
実施例1〜9および比較例1〜4に対し、吸湿リフロー試験を行った。実装性の評価に用いた試料のうち5つ(半導体チップを研磨していないもの)の試料を、温度30℃、相対湿度60%の恒温恒湿槽に入れ、192時間、吸湿させた。吸湿後、最高温度260℃のリフロー炉に、試料を3回繰り返して通過させた後で、超音波画像観察を行った。超音波画像観察においてデラミネーション(樹脂組成物の剥がれ)が起きていたものを不良品と判断した。また、超音波画像観察に加え、抵抗値測定を行った。抵抗値測定においては、実装性の評価における抵抗値測定と同様、28〜32Ωの抵抗値を示したものを良品と判断し、この範囲外の抵抗値を示したものを不良品と判断した。
【0038】
なお表1および2において、「SAT」、「平面研磨」、および「導通性」という項目は、それぞれ、超音波画像観察、顕微鏡観察、および抵抗値測定の結果を示している。評価結果は、(不良品数)/(測定数)で示されている。
【0039】
図4は、超音波画像観察の結果を例示する図である。
図4(A)は良品の例を、
図4(B)は不良品の例を、それぞれ示している。
図4(B)の例では、チップの右上部および右下部にデラミネーションが発生している。
【0040】
図5は、開口部の顕微鏡観察の結果を示す模式図である。
図5(A)は良品の例を、
図5(B)は不良品の例を、それぞれ示している。
図5(B)の例では、一部のバンプの近傍にボイドが発生している。
【0041】
(4)ヒートサイクル試験
実施例1〜9および比較例1〜4に対し、接続安定性を評価する目的でヒートサイクル試験を行った。吸湿リフロー試験に使用した試料を、気槽ヒートサイクル試験機において試験した。試験条件は、高温125℃、低温−55℃に各30分さらすものであった。500サイクル毎に試料を取り出し、超音波画像観察および抵抗値測定を行った。超音波画像観察においてデラミネーションが起きていたものを不良品と判断した。また、抵抗値測定においては、28〜32Ωの抵抗値を示したものを良品と判断し、この範囲外の抵抗値を示したものを不良品と判断した。
【0042】
(5)評価結果
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
実施例1および7〜9は、(C)成分として有機過酸化物c2を用い、(E)成分としてシランカップリング剤e1を用い、(F)成分としてイミダゾール化合物f1を用いた例を示している。これらの例において、(F)成分または(G)成分の含有量が異なっている。これらの例では、評価において不良は発生しなかった。これに対し、(G)成分を添加しなかった例(比較例1)では、ヒートサイクル試験において、1000サイクル以上で抵抗値の不良が発生した。また、(F)成分を添加しなかった例(比較例2および3)では、実装試験の超音波画像観察および開口部の顕微鏡観察において不良が発生した。
【0045】
実施例2は、(G)成分として添加剤g2を用いた例である。実施例3は、(C)成分として有機過酸化物c1を用いた例である。実施例4は、(E)成分としてシランカップリング剤e2を用いた例である。実施例5は(E)成分としてシランカップリング剤e2を用い、(F)成分としてイミダゾール化合物f2を用いた例を示している。実施例6は、(E)成分としてシランカップリング剤e1およびe2を併用した例を示している。これらの例では、評価において不良は発生しなかった。
【0046】
比較例4は、(F)成分としてイミダゾール化合物f3を用いた例である。この例では、ヒートサイクル試験において、500サイクル以上で抵抗値の不良が発生した。
【符号の説明】
【0047】
1…半導体チップ、2…基板、3…銅ピラー、4…はんだ、5…樹脂組成物