【実施例】
【0095】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
【0096】
本実施例においては、リチウム二次電池用正極活物質の評価、リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池の作製評価を、次のようにして行った。
(1)リチウム二次電池用正極活物質の評価
1.二次粒子の平均圧壊強度
二次粒子の平均圧壊強度の測定は、微小圧縮試験機(株式会社島津製作所製、MCT−510)を用い、リチウム金属複合酸化物粉末中から任意に選んだ二次粒子1個に対して試験圧力をかけて測定した。試験圧力がほぼ一定で、二次粒子の変位量が最大となる圧力値を試験力(P)とし、前述した平松らの式により、圧壊強度(St)を算出した。最終的に、圧壊強度試験を計5回行った平均値から平均圧壊強度を求めた。
【0097】
2.BET比表面積測定
リチウム金属複合酸化物粉末1gを窒素雰囲気中、105℃で30分間乾燥させた後、マウンテック社製Macsorb(登録商標)を用いて測定した。
【0098】
3.平均粒子径の測定
平均粒子径の測定は、レーザー回折粒度分布計(株式会社堀場製作所製、LA−950)を用い、リチウム金属複合酸化物粉末0.1gを、0.2質量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液50mlに投入し、該粉末を分散させた分散液を得た。得られた分散液について粒度分布を測定し、体積基準の累積粒度分布曲線を得る。得られた累積粒度分布曲線において、50%累積時の微小粒子側から見た粒子径(D
50)の値を、リチウム金属複合酸化物粉末の平均粒子径とした。
【0099】
4.粉末X線回折測定
粉末X線回折測定は、X線回折装置(PANalytical社製、X‘Pert PRO)を用いて行った。リチウム金属複合酸化物粉末を専用の基板に充填し、Cu−Kα線源を用いて、回折角2θ=10°〜90°の範囲にて測定を行うことで、粉末X線回折図形を得た。粉末X線回折パターン総合解析ソフトウェアJADE5を用い、該粉末X線回折図形から2θ=18.7±1°の回折ピークの半値幅A及び、2θ=44.4±1°の回折ピークの半値幅Bを求めた。
半値幅Aの回折ピーク: 2θ=18.7±1°
半値幅Bの回折ピーク: 2θ=44.4±1°
【0100】
5.組成分析
後述の方法で製造されるリチウム金属複合酸化物粉末の組成分析は、得られたリチウム金属複合酸化物の粉末を塩酸に溶解させた後、誘導結合プラズマ発光分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、SPS3000)を用いて行った。
【0101】
6.リチウム金属複合酸化物粉末に含まれる残留リチウム定量(中和滴定)
リチウム金属複合酸化物粉末20gと純水100gを100mlビーカーに入れ、5分間撹拌した。撹拌後、リチウム金属複合酸化物を濾過し、残った濾液の60gに0.1mol/L塩酸を滴下し、pHメーターにて濾液のpHを測定した。pH=8.3±0.1時の塩酸の滴定量をAml、pH=4.5±0.1時の塩酸の滴定量をBmlとして、下記の計算式より、リチウム金属複合酸化物中に残存する炭酸リチウム及び水酸化リチウム濃度を算出した。下記の式中、炭酸リチウム及び水酸化リチウムの分子量は、各原子量を、H;1.000、Li;6.941、C;12、O;16、として算出した。
炭酸リチウム濃度(%)=
0.1×(B−A)/1000×73.882/(20×60/100)×100
水酸化リチウム濃度(%)=
0.1×(2A−B)/1000×23.941/(20×60/100)×100
【0102】
(2)リチウム二次電池用正極の作製
後述する製造方法で得られるリチウム二次電池用正極活物質と導電材(アセチレンブラック)とバインダー(PVdF)とを、リチウム二次電池用正極活物質:導電材:バインダー=92:5:3(質量比)の組成となるように加えて混練することにより、ペースト状の正極合剤を調製した。正極合剤の調製時には、N−メチル−2−ピロリドンを有機溶媒として用いた。
【0103】
得られた正極合剤を、集電体となる厚さ40μmのAl箔に塗布して150℃で8時間真空乾燥を行い、リチウム二次電池用正極を得た。このリチウム二次電池用正極の電極面積は1.65cm
2とした。
【0104】
(3)リチウム二次電池用負極の作製
次に、負極活物質として人造黒鉛(日立化成株式会社製MAGD)と、バインダーとしてCMC(第一工業薬製株式会社製)とSBR(日本エイアンドエル株式会社製)とを、負極活物質:CMC:SRR=98:1:1(質量比)の組成となるように加えて混練することにより、ペースト状の負極合剤を調製した。負極合剤の調製時には、溶媒としてイオン交換水を用いた。
【0105】
得られた負極合剤を、集電体となる厚さ12μmのCu箔に塗布して100℃で8時間真空乾燥を行い、リチウム二次電池用負極を得た。このリチウム二次電池用負極の電極面積は1.77cm
2とした。
【0106】
(4)リチウム二次電池(コイン型ハーフセル)の作製
以下の操作を、アルゴン雰囲気のグローブボックス内で行った。
「(2)リチウム二次電池用正極の作製」で作製したリチウム二次電池用正極を、コイン型電池R2032用のパーツ(宝泉株式会社製)の下蓋にアルミ箔面を下に向けて置き、その上に積層フィルムセパレータ(ポリエチレン製多孔質フィルムの上に、耐熱多孔層を積層(厚み16μm))を置いた。ここに電解液を300μl注入した。電解液は、エチレンカーボネート(以下、ECと称することがある。)とジメチルカーボネート(以下、DMCと称することがある。)とエチルメチルカーボネート(以下、EMCと称することがある。)の30:35:35(体積比)混合液に、LiPF
6を1.0mol/lとなるように溶解したもの(以下、LiPF
6/EC+DMC+EMCと表すことがある。)を用いた。
次に、負極として金属リチウムを用いて、前記負極を積層フィルムセパレータの上側に置き、ガスケットを介して上蓋をし、かしめ機でかしめてリチウム二次電池(コイン型ハーフセルR2032。以下、「ハーフセル」と称することがある。)を作製した。
【0107】
(5)リチウム二次電池(コイン型フルセル)の作製
以下の操作を、アルゴン雰囲気のグローブボックス内で行った。
「(2)リチウム二次電池用正極の作製」で作製したリチウム二次電池用正極を、コイン型電池R2032用のパーツ(宝泉株式会社製)の下蓋にアルミ箔面を下に向けて置き、その上に積層フィルムセパレータ(ポリエチレン製多孔質フィルムの上に、耐熱多孔層を積層(厚み16μm))を置いた。ここに電解液を300μl注入した。電解液は、エチレンカーボネート(以下、ECと称することがある。)とジメチルカーボネート(以下、DMCと称することがある。)とエチルメチルカーボネート(以下、EMCと称することがある。)の16:10:74(体積比)混合液にビニレンカーボネート(以下、VCと称することがある。)を1体積%加え、そこにLiPF
6を1.3mol/lとなるように溶解したもの(以下、LiPF
6/EC+DMC+EMCと表すことがある。)を用いた。
次に、「(3)リチウム二次電池用負極の作製」で作製したリチウム二次電池用負極を積層フィルムセパレータの上側に置き、ガスケットを介して上蓋をし、かしめ機でかしめてリチウム二次電池(コイン型フルセルR2032。以下、「フルセル」と称することがある。)を作製した。
【0108】
(6)初回充放電試験
「(4)リチウム二次電池(コイン型ハーフセル)の作製」で作製したハーフセルを用いて、以下に示す条件で初回充放電試験を実施した。
<初回充放電試験>
試験温度25℃
充電最大電圧4.3V、充電時間6時間、充電電流0.2CA、定電流定電圧充電
放電最小電圧2.5V、放電時間5時間、放電電流0.2CA、定電流放電
また、初回充放電効率は以下のようにして求めた。
初回充放電効率(%=0.2CAの初回放電容量/0.2CAの初回充電容量×100
【0109】
(7)低温放電試験
「(5)リチウム二次電池(コイン型フルセル)の作製」で作製したフルセルを用いて、以下に示す条件で初回充放電試験を実施した。
<充放電試験条件>
試験温度:25℃
充電最大電圧4.2V、充電時間6時間、充電電流0.2CA、定電流定電圧充電
放電最小電圧2.7V、放電時間5時間、放電電流0.2CA、定電流放電
<電池抵抗測定>
上記で測定した放電容量を充電深度(以下、SOCと称することがある。)100%として、−15℃において、SOC15%、50%の電池抵抗を測定した。なお、各SOCへの調整は25℃環境下で行った。電池抵抗測定は、−15℃の恒温槽内にSOCを調整したフルセルを2時間静置し、20μAで15秒間放電、5分静置、20μAで15秒間充電、5分静置、40μAで15秒間放電、5分静置、20μAで30秒間充電、5分静置、80μAで15秒間放電、5分静置、20μAで60秒間充電、5分静置、160μAで15秒間放電、5分静置、20μAで120秒間充電、5分静置の順に実施した。電池抵抗は、20、40、80、120μA放電時に測定された10秒後の電池電圧と各電流値とのプロットから、最小二乗近似法を用いて傾きを算出し、この傾きを電池抵抗とした。
【0110】
(実施例1)
1.リチウム二次電池用正極活物質1の製造
攪拌器およびオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、液温を50℃に保持した。
【0111】
硫酸ニッケル水溶液と硫酸コバルト水溶液と硫酸マンガン水溶液とを、ニッケル原子とコバルト原子とマンガン原子との原子比が0.315:0.330:0.355となるように混合して、混合原料液を調整した。
【0112】
次に、反応槽内に、攪拌下、この混合原料溶液と硫酸アンモニウム水溶液を錯化剤として連続的に添加し、酸素濃度が4.0%となるように窒素ガスに空気を混合して得た酸素含有ガスを連続通気させた。反応槽内の溶液のpHが11.7になるよう水酸化ナトリウム水溶液を適時滴下し、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を得て、洗浄した後、遠心分離機で脱水し、洗浄、脱水、単離して105℃で乾燥することにより、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物1を得た。
【0113】
ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物1と、炭酸リチウム粉末とを、Li/(Ni+Co+Mn)=1.13となるように秤量して混合した後、大気雰囲気下690℃で5時間焼成し、さらに、大気雰囲気下925℃で6時間焼成して、目的のリチウム二次電池用正極活物質1を得た。
【0114】
2.リチウム二次電池用正極活物質1の評価
リチウム二次電池用正極活物質1の組成分析を行い、一般式(1)に対応させたところ、x=0.06、y=0.328、z=0.356、w=0であった。
【0115】
リチウム二次電池用正極活物質1の平均圧壊強度は52.2MPa、BET比表面積は2.4m
2/g、平均粒子径D
50は3.4μm、2θ=18.7±1°の半値幅Aと2θ=44.4±1°の半値幅Bの積であるA×Bが0.020、半値幅Aが0.134、半値幅Bが0.147であった。
【0116】
リチウム二次電池用正極活物質1の残留リチウム定量を行い、炭酸リチウムが0.10質量%、水酸化リチウムが0.11質量%であった。
【0117】
3.リチウム二次電池の評価
リチウム二次電池用正極活物質1を用いて、コイン型ハーフセルを作製し、初回充放電試験を実施した。初回充電容量、初回放電容量、初回充放電効率は、それぞれ170.4mAh/g、161.1mAh/g、94.5%であった。
【0118】
リチウム二次電池用正極活物質1を用いて、コイン型フルセルを作製し、−15℃の低温放電試験を行った。SOC15%、SOC50%における直流抵抗は、それぞれ423Ω、384Ωであった。
【0119】
(実施例2)
1.リチウム二次電池用正極活物質2の製造
実施例1と同様にしてニッケルコバルトマンガン複合水酸化物1を得た。
【0120】
WO
3を61g/Lで溶解したLiOH水溶液を作製した。作製したW溶解LiOH水溶液をレディゲミキサーにてW/(Ni+Co+Mn+W)=0.005となるよう、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物1に被着させた。Wが被着したニッケルコバルトマンガン複合水酸化物と炭酸リチウム粉末とを、Li/(Ni+Co+Mn+W)=1.13となるように秤量して混合した後、大気雰囲気下690℃で5時間焼成し、さらに大気雰囲気下925℃で6時間焼成して、目的のリチウム二次電池用正極活物質2を得た。
【0121】
2.リチウム二次電池用正極活物質2の評価
リチウム二次電池用正極活物質2の組成分析を行い、一般式(1)に対応させたところ、MがW、x=0.06、y=0.327、z=0.354、w=0.005であった。
【0122】
リチウム二次電池用正極活物質2の平均圧壊強度は54.0MPa、BET比表面積は2.0m
2/g、平均粒子径D
50は3.6μm、2θ=18.7±1°の半値幅Aと2θ=44.4±1°の半値幅Bの積であるA×Bが0.023、半値幅Aが0.141、半値幅Bが0.161であった。
【0123】
リチウム二次電池用正極活物質2の残留リチウム定量を行い、炭酸リチウムが0.17質量%、水酸化リチウムが0.11質量%であった。
【0124】
3.リチウム二次電池の評価
リチウム二次電池用正極活物質2を用いて、コイン型ハーフセルを作製し、初回充放電試験を実施した。初回充電容量、初回放電容量、初回充放電効率は、それぞれ170.6mAh/g、161.2mAh/g、94.5%であった。
【0125】
リチウム二次電池用正極活物質2を用いて、コイン型フルセルを作製し、−15℃の低温放電試験を行った。SOC15%、SOC50%における直流抵抗は、それぞれ296Ω、269Ωであった。
【0126】
(実施例3)
1.リチウム二次電池用正極活物質3の製造
実施例1と同様にしてニッケルコバルトマンガン複合水酸化物1を得た。
【0127】
ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物1と、Zr/(Ni+Co+Mn+Zr)=0.003となるようにZrO
2を添加し、混合してZrO
2含有混合粉を得た。この混合粉と炭酸リチウム粉末とを、Li/(Ni+Co+Mn+Zr)=1.13となるように秤量して混合した後、大気雰囲気下690℃で5時間焼成し、さらに大気雰囲気下925℃で6時間焼成して、目的のリチウム二次電池用正極活物質3を得た。
【0128】
2.リチウム二次電池用正極活物質3の評価
リチウム二次電池用正極活物質3の組成分析を行い、一般式(1)に対応させたところ、MがZr、x=0.06、y=0.328、z=0.354、w=0.003であった。
【0129】
リチウム二次電池用正極活物質3の平均圧壊強度は57.6MPa、BET比表面積は2.4m
2/g、平均粒子径D
50は3.5μm、2θ=18.7±1°の半値幅Aと2θ=44.4±1°の半値幅Bの積であるA×Bが0.021、半値幅Aが0.133、半値幅Bが0.161であった。
【0130】
リチウム二次電池用正極活物質3の残留リチウム定量を行い、炭酸リチウムが0.15質量%、水酸化リチウムが0.12質量%であった。
【0131】
3.リチウム二次電池の評価
リチウム二次電池用正極活物質3を用いて、コイン型ハーフセルを作製し、初回充放電試験を実施した。初回充電容量、初回放電容量、初回充放電効率は、それぞれ170.5mAh/g、160.2mAh/g、94.0%であった。
【0132】
リチウム二次電池用正極活物質3を用いて、コイン型フルセルを作製し、−15℃の低温放電試験を行った。SOC15%、SOC50%における直流抵抗は、それぞれ298Ω、271Ωであった。
【0133】
(実施例4)
1.リチウム二次電池用正極活物質4の製造
酸素濃度が2.1%、反応槽内の溶液のpHが11.2となるように操作したこと以外は実施例1と同様に実施し、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物2を得た。
【0134】
ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物2と、Mg/(Ni+Co+Mn+Mg)=0.003となるようにMgOを添加し、混合してMgO含有混合粉を得た。この混合粉と炭酸リチウム粉末とを、Li/(Ni+Co+Mn+Mg)=1.08となるように秤量して混合した後、大気雰囲気下690℃で5時間焼成し、さらに大気雰囲気下950℃で6時間焼成して、目的のリチウム二次電池用正極活物質4を得た。
【0135】
2.リチウム二次電池用正極活物質4の評価
リチウム二次電池用正極活物質4の組成分析を行い、一般式(1)に対応させたところ、MがMg、x=0.04、y=0.328、z=0.355、w=0.003であった。
【0136】
リチウム二次電池用正極活物質4の平均圧壊強度は92.6MPa、BET比表面積は1.1m
2/g、平均粒子径D
50は9.8μm、2θ=18.7±1°の半値幅Aと2θ=44.4±1°の半値幅Bの積であるA×Bが0.019、半値幅Aが0.133、半値幅Bが0.142であった。
【0137】
リチウム二次電池用正極活物質4の残留リチウム定量を行い、炭酸リチウムが0.04質量%、水酸化リチウムが0.10質量%であった。
【0138】
3.リチウム二次電池の評価
リチウム二次電池用正極活物質4を用いて、コイン型ハーフセルを作製し、初回充放電試験を実施した。初回充電容量、初回放電容量、初回充放電効率は、それぞれ173.4mAh/g、157.1mAh/g、90.6%であった。
【0139】
リチウム二次電池用正極活物質4を用いて、コイン型フルセルを作製し、−15℃の低温放電試験を行った。SOC15%、SOC50%における直流抵抗は、それぞれ480Ω、332Ωであった。
【0140】
(実施例5)
1.リチウム二次電池用正極活物質5の製造
攪拌器およびオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、液温を50℃に保持した。
【0141】
硫酸ニッケル水溶液と硫酸コバルト水溶液と硫酸マンガン水溶液とを、ニッケル原子とコバルト原子とマンガン原子との原子比が0.510:0.225:0.265となるように混合して、混合原料液を調整した。
【0142】
次に、反応槽内に、攪拌下、この混合原料溶液と硫酸アンモニウム水溶液を錯化剤として連続的に添加し、酸素濃度が8.3%となるように窒素ガスに空気を混合して得た酸素含有ガスを連続通気させた。反応槽内の溶液のpHが12.2になるよう水酸化ナトリウム水溶液を適時滴下し、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を得て、洗浄した後、遠心分離機で脱水し、洗浄、脱水、単離して105℃で乾燥することにより、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物3を得た。
【0143】
ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物3と、炭酸リチウム粉末とを、Li/(Ni+Co+Mn)=1.06となるように秤量して混合した後、大気雰囲気下720℃で3時間焼成し、さらに大気雰囲気下875℃で10時間焼成して、目的のリチウム二次電池用正極活物質5を得た。
【0144】
2.リチウム二次電池用正極活物質5の評価
リチウム二次電池用正極活物質5の組成分析を行い、一般式(1)に対応させたところ、x=0.03、y=0.222、z=0.267、w=0であった。
【0145】
リチウム二次電池用正極活物質5の平均圧壊強度は71.8MPa、BET比表面積は1.3m
2/g、平均粒子径D
50は7.8μm、2θ=18.7±1°の半値幅Aと2θ=44.4±1°の半値幅Bの積であるA×Bが0.015、半値幅Aが0.120、半値幅Bが0.125であった。
【0146】
リチウム二次電池用正極活物質5の残留リチウム定量を行い、炭酸リチウムが0.15質量%、水酸化リチウムが0.19質量%であった。
【0147】
3.リチウム二次電池の評価
リチウム二次電池用正極活物質5を用いて、コイン型ハーフセルを作製し、初回充放電試験を実施した。初回充電容量、初回放電容量、初回充放電効率は、それぞれ189.6mAh/g、174.1mAh/g、91.8%であった。
【0148】
リチウム二次電池用正極活物質5を用いて、コイン型フルセルを作製し、−15℃の低温放電試験を行った。SOC15%、SOC50%における直流抵抗は、それぞれ340Ω、301Ωであった。
【0149】
(実施例6)
1.リチウム二次電池用正極活物質6の製造
攪拌器およびオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、液温を50℃に保持した。
【0150】
硫酸ニッケル水溶液と硫酸コバルト水溶液と硫酸マンガン水溶液とを、ニッケル原子とコバルト原子とマンガン原子との原子比が0.550:0.210:0.240となるように混合して、混合原料液を調整した。
【0151】
次に、反応槽内に、攪拌下、この混合原料溶液と硫酸アンモニウム水溶液を錯化剤として連続的に添加し、酸素濃度が9.5%となるように窒素ガスに空気を混合して得た酸素含有ガスを連続通気させた。反応槽内の溶液のpHが12.5になるよう水酸化ナトリウム水溶液を適時滴下し、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を得て、洗浄した後、遠心分離機で脱水し、洗浄、脱水、単離して105℃で乾燥することにより、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物4を得た。
【0152】
ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物4と、炭酸リチウム粉末とを、Li/(Ni+Co+Mn)=1.06となるように秤量して混合した後、大気雰囲気下790℃で3時間焼成し、さらに酸素雰囲気下830℃で10時間焼成して、目的のリチウム二次電池用正極活物質6を得た。
【0153】
2.リチウム二次電池用正極活物質6の評価
リチウム二次電池用正極活物質6の組成分析を行い、一般式(1)に対応させたところ、x=0.03、y=0.208、z=0.242、w=0であった。
【0154】
リチウム二次電池用正極活物質6の平均圧壊強度は13.6MPa、BET比表面積は2.8m
2/g、平均粒子径D
50は2.5μm、2θ=18.7±1°の半値幅Aと2θ=44.4±1°の半値幅Bの積であるA×Bが0.028、半値幅Aが0.160、半値幅Bが0.175であった。
【0155】
リチウム二次電池用正極活物質6の残留リチウム定量を行い、炭酸リチウムが0.16質量%、水酸化リチウムが0.11質量%であった。
【0156】
3.リチウム二次電池の評価
リチウム二次電池用正極活物質6を用いて、コイン型ハーフセルを作製し、初回充放電試験を実施した。初回充電容量、初回放電容量、初回充放電効率は、それぞれ192.3mAh/g、175.8mAh/g、91.4%であった。
【0157】
リチウム二次電池用正極活物質6を用いて、コイン型フルセルを作製し、−15℃の低温放電試験を行った。SOC15%、SOC50%における直流抵抗は、それぞれ463Ω、413Ωであった。
【0158】
(実施例7)
1.リチウム二次電池用正極活物質7の製造
実施例6と同様にしてニッケルコバルトマンガン複合水酸化物4を得た。
【0159】
WO
3を61g/Lで溶解したLiOH水溶液を作製した。作製したW溶解LiOH水溶液をレディゲミキサーにてW/(Ni+Co+Mn+W)=0.003となるよう、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物4に被着させた。Wが被着したニッケルコバルトマンガン複合水酸化物と炭酸リチウム粉末とを、Li/(Ni+Co+Mn+W)=1.08となるように秤量して混合した後、大気雰囲気下790℃で3時間焼成し、さらに酸素雰囲気下860℃で10時間焼成して、目的のリチウム二次電池用正極活物質7を得た。
【0160】
2.リチウム二次電池用正極活物質7の評価
リチウム二次電池用正極活物質7の組成分析を行い、一般式(1)に対応させたところ、MがW、x=0.04、y=0.208、z=0.241、w=0.003であった。
【0161】
リチウム二次電池用正極活物質7の平均圧壊強度は23.9MPa、BET比表面積は2.0m
2/g、平均粒子径D
50は3.4μm、2θ=18.7±1°の半値幅Aと2θ=44.4±1°の半値幅Bの積であるA×Bが0.023、半値幅Aが0.142、半値幅Bが0.163であった。
【0162】
リチウム二次電池用正極活物質7の残留リチウム定量を行い、炭酸リチウムが0.29質量%、水酸化リチウムが0.30質量%であった。
【0163】
3.リチウム二次電池の評価
リチウム二次電池用正極活物質7を用いて、コイン型ハーフセルを作製し、初回充放電試験を実施した。初回充電容量、初回放電容量、初回充放電効率は、それぞれ191.6mAh/g、184.1mAh/g、96.1%であった。
【0164】
リチウム二次電池用正極活物質7を用いて、コイン型フルセルを作製し、−15℃の低温放電試験を行った。SOC15%、SOC50%における直流抵抗は、それぞれ328Ω、269Ωであった。
【0165】
(実施例8)
1.リチウム二次電池用正極活物質8の製造
攪拌器およびオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、液温を60℃に保持した。
【0166】
硫酸ニッケル水溶液と硫酸コバルト水溶液と硫酸マンガン水溶液とを、ニッケル原子とコバルト原子とマンガン原子との原子比が0.750:0.150:0.100となるように混合して、混合原料液を調整した。
【0167】
次に、反応槽内に、攪拌下、この混合原料溶液と硫酸アンモニウム水溶液を錯化剤として連続的に添加し、酸素濃度が7.5%となるように窒素ガスに空気を混合して得た酸素含有ガスを連続通気させた。反応槽内の溶液のpHが11.0になるよう水酸化ナトリウム水溶液を適時滴下し、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子を得て、洗浄した後、遠心分離機で脱水し、洗浄、脱水、単離して105℃で乾燥することにより、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物5を得た。
【0168】
ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物5と、Al/(Ni+Co+Mn+Al)=0.05となるようにAl
2O
3を添加し、混合してAl
2O
3含有混合粉を得た。この混合粉と炭酸リチウム粉末とを、Li/(Ni+Co+Mn+Al)=1.02となるように秤量して混合した後、酸素雰囲気下750℃で5時間焼成し、さらに酸素雰囲気下800℃で5時間焼成して、目的のリチウム二次電池用正極活物質8を得た。
【0169】
2.リチウム二次電池用正極活物質8の評価
リチウム二次電池用正極活物質8の組成分析を行い、一般式(1)に対応させたところ、MがAl、x=0.01、y=0.142、z=0.095、w=0.05であった。
【0170】
リチウム二次電池用正極活物質8の平均圧壊強度は30.1MPa、BET比表面積は1.5m
2/g、平均粒子径D
50は6.2μm、2θ=18.7±1°の半値幅Aと2θ=44.4±1°の半値幅Bの積であるA×Bが0.018、半値幅Aが0.134、半値幅Bが0.138であった。
【0171】
リチウム二次電池用正極活物質8の残留リチウム定量を行い、炭酸リチウムが0.36質量%、水酸化リチウムが0.34質量%であった。
【0172】
3.リチウム二次電池の評価
リチウム二次電池用正極活物質8を用いて、コイン型ハーフセルを作製し、初回充放電試験を実施した。初回充電容量、初回放電容量、初回充放電効率は、それぞれ205.4mAh/g、197.6mAh/g、96.2%であった。
【0173】
リチウム二次電池用正極活物質8を用いて、コイン型フルセルを作製し、−15℃の低温放電試験を行った。SOC15%、SOC50%における直流抵抗は、それぞれ301Ω、262Ωであった。
【0174】
(比較例1)
1.リチウム二次電池用正極活物質9の製造
実施例1と同様にしてニッケルコバルトマンガン複合水酸化物1を得た。
【0175】
ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物1と、炭酸リチウム粉末とを、Li/(Ni+Co+Mn)=1.00となるように秤量して混合した後、大気雰囲気下690℃で5時間焼成し、さらに大気雰囲気下850℃で6時間焼成して、目的のリチウム二次電池用正極活物質9を得た。
【0176】
2.リチウム二次電池用正極活物質9の評価
リチウム二次電池用正極活物質9の組成分析を行い、一般式(1)に対応させたところ、x=0.00、y=0.328、z=0.356、w=0であった。
【0177】
リチウム二次電池用正極活物質9の平均圧壊強度は7.5MPa、BET比表面積は3.6m
2/g、平均粒子径D
50は3.0μm、2θ=18.7±1°の半値幅Aと2θ=44.4±1°の半値幅Bの積であるA×Bが0.031、半値幅Aが0.165、半値幅Bが0.185であった。
【0178】
リチウム二次電池用正極活物質9の残留リチウム定量を行い、炭酸リチウムが0.41質量%、水酸化リチウムが0.45質量%であった。
【0179】
3.リチウム二次電池の評価
リチウム二次電池用正極活物質9を用いて、コイン型ハーフセルを作製し、初回充放電試験を実施した。初回充電容量、初回放電容量、初回充放電効率は、それぞれ172.4mAh/g、153.3mAh/g、88.9%であった。
【0180】
リチウム二次電池用正極活物質9を用いて、コイン型フルセルを作製し、−15℃の低温放電試験を行った。SOC15%、SOC50%における直流抵抗は、それぞれ710Ω、651Ωであった。
【0181】
(比較例2)
1.リチウム二次電池用正極活物質10の製造
実施例1と同様にしてニッケルコバルトマンガン複合水酸化物1を得た。
【0182】
ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物1と、炭酸リチウム粉末とを、Li/(Ni+Co+Mn)=1.00となるように秤量して混合した後、大気雰囲気下690℃で5時間焼成し、さらに大気雰囲気下980℃で6時間焼成して、目的のリチウム二次電池用正極活物質10を得た。
【0183】
2.リチウム二次電池用正極活物質10の評価
リチウム二次電池用正極活物質10の組成分析を行い、一般式(1)に対応させたところ、x=0、y=0.329、z=0.356、w=0であった。
【0184】
リチウム二次電池用正極活物質10平均圧壊強度は62.1MPa、BET比表面積は0.8m
2/g、平均粒子径D
50は3.2μm、2θ=18.7±1°の半値幅Aと2θ=44.4±1°の半値幅Bの積であるA×Bが0.017、半値幅Aが0.128、半値幅Bが0.132であった。
【0185】
リチウム二次電池用正極活物質10の残留リチウム定量を行い、炭酸リチウムが0.18質量%、水酸化リチウムが0.11質量%であった。
【0186】
3.リチウム二次電池の評価
リチウム二次電池用正極活物質10を用いて、コイン型ハーフセルを作製し、初回充放電試験を実施した。初回充電容量、初回放電容量、初回充放電効率は、それぞれ172.9mAh/g、154.4mAh/g、89.3%であった。
【0187】
リチウム二次電池用正極活物質10を用いて、コイン型フルセルを作製し、−15℃の低温放電試験を行った。SOC15%、SOC50%における直流抵抗は、それぞれ621Ω、532Ωであった。
【0188】
(比較例3)
1.リチウム二次電池用正極活物質11の製造
反応槽内の酸素濃度を6.2%、反応槽内の溶液のpHを12.4としたこと以外は、実施例5と同様にして、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物6を得た。
【0189】
ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物6と、炭酸リチウム粉末とを、Li/(Ni+Co+Mn)=1.00となるように秤量して混合した後、大気雰囲気下720℃で3時間焼成し、さらに大気雰囲気下875℃で10時間焼成して、目的のリチウム二次電池用正極活物質11を得た。
【0190】
2.リチウム二次電池用正極活物質11の評価
リチウム二次電池用正極活物質11の組成分析を行い、一般式(1)に対応させたところ、x=0、y=0.222、z=0.266、w=0であった。
【0191】
リチウム二次電池用正極活物質11の平均圧壊強度は105.3MPa、BET比表面積は1.4m
2/g、平均粒子径D
50は5.2μm、2θ=18.7±1°の半値幅Aと2θ=44.4±1°の半値幅Bの積であるA×Bが0.019、半値幅Aが0.133、半値幅Bが0.144であった。
【0192】
リチウム二次電池用正極活物質11の残留リチウム定量を行い、炭酸リチウムが0.21質量%、水酸化リチウムが0.18質量%であった。
【0193】
3.リチウム二次電池の評価
リチウム二次電池用正極活物質11を用いて、コイン型ハーフセルを作製し、初回充放電試験を実施した。初回充電容量、初回放電容量、初回充放電効率は、それぞれ192.7mAh/g、171.6mAh/g、89.1%であった。
【0194】
リチウム二次電池用正極活物質11を用いて、コイン型フルセルを作製し、−15℃の低温放電試験を行った。SOC15%、SOC50%における直流抵抗は、それぞれ532Ω、503Ωであった。
【0195】
(比較例4)
1.リチウム二次電池用正極活物質12の製造
反応槽内の液温を60℃、酸素濃度を0%、反応槽内の溶液のpHを11.5としたこと以外は実施例5と同様にして、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物7を得た。
【0196】
ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物7と、炭酸リチウム粉末とを、Li/(Ni+Co+Mn)=1.04となるように秤量して混合した後、大気雰囲気下720℃で3時間焼成し、さらに大気雰囲気下900℃で10時間焼成して、目的のリチウム二次電池用正極活物質12を得た。
【0197】
2.リチウム二次電池用正極活物質12の評価
リチウム二次電池用正極活物質12の組成分析を行い、一般式(1)に対応させたところ、x=0.02、y=0.221、z=0.265、w=0であった。
【0198】
リチウム二次電池用正極活物質12平均圧壊強度は146.2MPa、BET比表面積は0.2m
2/g、平均粒子径D
50は11.2μm、2θ=18.7±1°の半値幅Aと2θ=44.4±1°の半値幅Bの積であるA×Bが0.014、半値幅Aが0.116、半値幅Bが0.121であった。
【0199】
リチウム二次電池用正極活物質12の残留リチウム定量を行い、炭酸リチウムが0.18質量%、水酸化リチウムが0.26質量%であった。
【0200】
3.リチウム二次電池の評価
リチウム二次電池用正極活物質12を用いて、コイン型ハーフセルを作製し、初回充放電試験を実施した。初回充電容量、初回放電容量、初回充放電効率は、それぞれ194.7mAh/g、169.2mAh/g、86.9%であった。
【0201】
リチウム二次電池用正極活物質12を用いて、コイン型フルセルを作製し、−15℃の低温放電試験を行った。SOC15%、SOC50%における直流抵抗は、それぞれ854Ω、621Ωであった。
【0202】
(比較例5)
1.リチウム二次電池用正極活物質13の製造
反応槽内の液温を60℃、酸素濃度を0%、反応槽内の溶液のpHを11.5としたこと以外は実施例6と同様にして、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物8を得た。
【0203】
ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物8と、炭酸リチウム粉末とを、Li/(Ni+Co+Mn)=1.04となるように秤量して混合した後、大気雰囲気下790℃で3時間焼成し、さらに酸素雰囲気下850℃で10時間焼成して、目的のリチウム二次電池用正極活物質13を得た。
【0204】
2.リチウム二次電池用正極活物質13の評価
リチウム二次電池用正極活物質13の組成分析を行い、一般式(1)に対応させたところ、x=0.02、y=0.209、z=0.241、w=0であった。
【0205】
リチウム二次電池用正極活物質13の平均圧壊強度は115.6MPa、BET比表面積は3.2m
2/g、平均粒子径D
50は10.8μm、2θ=18.7±1°の半値幅Aと2θ=44.4±1°の半値幅Bの積であるA×Bが0.015、半値幅Aが0.119、半値幅Bが0.123であった。
【0206】
リチウム二次電池用正極活物質13の残留リチウム定量を行い、炭酸リチウムが0.23質量%、水酸化リチウムが0.27質量%であった。
【0207】
3.リチウム二次電池の評価
リチウム二次電池用正極活物質13を用いて、コイン型ハーフセルを作製し、初回充放電試験を実施した。初回充電容量、初回放電容量、初回充放電効率は、それぞれ195.5mAh/g、172.4mAh/g、88.2%であった。
【0208】
リチウム二次電池用正極活物質13を用いて、コイン型フルセルを作製し、−15℃の低温放電試験を行った。SOC15%、SOC50%における直流抵抗は、それぞれ583Ω、552Ωであった。
【0209】
下記表1に、実施例1〜8、比較例1〜5の正極活物質の組成、平均圧壊強度、BET比表面積、粉末X線回折ピークの半値幅、残存リチウム量、初回充放電容量、初回放電容量、初回放電効率、−15℃直流抵抗の値をまとめて記載する。
【0210】
【表1】
【0211】
実施例2の二次粒子断面SEM像を
図3に示す。
【0212】
比較例4の二次粒子断面SEM像を
図4に示す。
【0213】
上記結果に示したとおり、本発明を適用した実施例1〜8は、初回充放電効率がいずれも90%以上と高い結果であった。これに加え、本発明を適用した実施例1〜8は、低温放電試験の結果において、低温時でも直流抵抗が低かった。
図3に示す結果の通り、本発明を適用した実施例2の二次粒子は、断面図を観察すると、空隙の多い粒子であることが明らかであった。
これに対し、本発明を適用しない比較例1〜5は、初回充放電効率がいずれも90%以下と低い結果であった。また、低温放電試験において、低温時では直流抵抗が高くなってしまった。
図4に示す結果のとおり、本発明を適用しない比較例4の二次粒子は、断面図を観察すると、空隙がほとんどなく、緻密な粒子であることが明らかであった。