特許第6337492号(P6337492)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6337492
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】粘着シート
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/20 20180101AFI20180528BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20180528BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20180528BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   C09J7/02 Z
   C09J133/00
   C09J11/04
   C09J11/06
【請求項の数】8
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-25409(P2014-25409)
(22)【出願日】2014年2月13日
(65)【公開番号】特開2015-151443(P2015-151443A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100159293
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 真
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】森野 彰規
【審査官】 松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−032430(JP,A)
【文献】 特開2011−084733(JP,A)
【文献】 特開2007−154078(JP,A)
【文献】 特開2002−235053(JP,A)
【文献】 特開2008−308646(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0089516(US,A1)
【文献】 特開2003−217356(JP,A)
【文献】 特開昭62−068870(JP,A)
【文献】 特開2003−001741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さが4〜40μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基材(A)の片面または両面に、粘着剤層(B)を有する粘着シートであって、前記粘着剤層(B)が水分散型のアクリル系重合体(b1)とカーボンブラック(b2)と架橋剤(b3)とを含有する水性粘着剤を用いて形成される層であり、前記カーボンブラック(b2)が前記粘着剤層(B)全体に対して0.2質量%〜4質量%の範囲で含まれており、前記架橋剤(b3)がエポキシ系架橋剤であることを特徴とする粘着シート。
【請求項2】
前記カーボンブラック(b2)が前記アクリル系重合体(b1)100質量部に対して0.3質量部〜5質量部の範囲で含まれる請求項1に記載の粘着シート。
【請求項3】
総厚さが200μm以下である請求項1又は2に記載の粘着シート。
【請求項4】
JIS K7136にしたがって測定される全光線透過率が0%〜1%の範囲である請求項1〜のいずれか1項に記載の粘着シート。
【請求項5】
前記水分散型のアクリル系重合体(b1)が、炭素原子数4〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリレートと、カルボキシル基を有するビニル単量体と、炭素原子数1〜3のアルキル基を有する(メタ)アクリレート及び窒素原子を有するビニル単量体からなる群より選ばれる1以上とを含有する単量体成分を重合して得られる水分散型のアクリル系重合体である請求項1〜のいずれか1項に記載の粘着シート。
【請求項6】
自動車内装部材の固定用に使用する請求項1〜のいずれか1項に記載の粘着シート。
【請求項7】
電子端末の部材固定用に使用する請求項1〜のいずれか1項に記載の粘着シート。
【請求項8】
2以上のきょう体を、または、きょう体とレンズ部材とを、請求項に記載の粘着シートを用いて固定して得られた電子端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車部品や電子部品などの固定に使用可能な粘着シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種電子機器の製造工程では、部品を固定する際に粘着シートが使用されている。前記粘着シートとしては、固定する部品の性質等に応じて複数種の粘着シートが使い分けられている。例えば前記部品に印刷された文字や記号を隠ぺいすることで、最終的に得られる電子機器の意匠性の低下を防止できる粘着テープとしては、遮光性に優れた粘着シートを使用する場合が多い。
また、例えば液晶表示装置等に設けられるバックライトの固定や、モバイル端末に設けられるカメラ部品を固定する際に使用される粘着シートとしても、外からの光の侵入に起因した映像の鮮明性の低下や、撮影した写真等の鮮明性の低下や、電子機器の誤作動等を防止するうえで、遮光性に優れた粘着シートを使用する場合が多い。
【0003】
一方、前記粘着シートを構成する粘着剤層の形成には、従来、有機溶剤型粘着剤が多用されていたが、近年、環境対応型製品への要請が高まるなかで、前記有機溶剤型粘着剤の代わりに水分散型粘着剤を用いて形成された粘着剤層を備えた粘着シートの提供が求められている。
【0004】
前記水分散型粘着剤を用いて形成された粘着剤層を有する遮光性の粘着シートとしては、例えば水分散型アクリル系重合体を主成分とし、着色剤を含む粘着剤組成物をシート状に成形して得られる遮光性粘着剤層を有する遮光性粘着シートであって、該粘着剤層の全光線透過率が1%以下である遮光性粘着シートが知られている(例えば特許文献1参照。)。
【0005】
しかし、前記遮光性に優れた粘着シートを構成する粘着剤層の形成に水分散型粘着剤を使用した場合、溶剤型粘着剤を使用した場合と比較して、着色剤の影響を受けて、凝集力の著しい低下を引き起こす場合があり、その結果、被着体に対する接着力や、せん断方向の保持力、90度方向の定荷重保持力の著しい低下を引き起こす場合があった。
また、前記不織布基材を用いて得られた粘着テープは、その厚さに大きなばらつきが生じやすく、接着力や遮光性を低下させる傾向にあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−154078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、水分散型粘着剤を使用した場合であっても、優れた遮光性と、被着体に対しての優れた接着力、耐衝撃性、90度方向の定荷重保持力及びせん断方向の保持力とを備えた粘着シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、単に着色剤を含む粘着剤層と樹脂フィルムを用いるだけでなく、樹脂フィルムの厚さを4μm〜40μmであるポリエチレンテレフタレートを使用し、その両面に、水分散型アクリル系重合体と着色剤と架橋剤とを含有する粘着剤層とを備え、前記粘着剤層に含まれる着色剤としてカーボンブラックを用い、その含有量を0.4質量%〜3質量%に調整することによって、優れた遮光性と、優れた接着力と、耐衝撃性と、90度方向の定荷重保持力と、せん断方向の保持力とを備えた粘着シートが得られることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、厚さが40μm以下の樹脂フィルム基材(A)の片面または両面に、粘着剤層(B)を有する粘着シートであって、前記粘着剤層(B)が水分散型のアクリル系重合体(b1)とカーボンブラック(b2)と架橋剤(b3)とを含有する水性粘着剤を用いて形成される層であり、前記カーボンブラック(b2)が前記粘着剤層(B)全体に対して0.2質量%〜4質量%の範囲で含まれることを特徴とする粘着シートに関するものである。
【0010】
本発明の粘着シートは、光等に対する優れた遮蔽性(遮光性)を有し、かつ、被着体に対して優れた接着力、耐衝撃性、90度方向の定荷重保持力及びせん断方向の保持力とを備えたものである。とりわけ、本発明の粘着シートは、各種部品に印刷された文字や記号を十分に隠ぺいでき、最終的に得られる電子機器の意匠性の低下を防止することができるレベルの遮光性を備える。
したがって、本発明の粘着シートは、液晶表示装置における液晶パネルや、自動車部品のメーターパネル等の固定に好適に使用することができる。
【0011】
また、本発明の粘着シートは、従来の溶剤型アクリル粘着剤の代わりに水分散型アクリル粘着剤を用いた場合であっても、光等に対する優れた遮蔽性(遮光性)を備え、かつ、被着体に対して優れた接着力、耐衝撃性、90度方向の定荷重保持力と、せん断方向の保持力とを備えるものであるから、環境や人体への影響を低減することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の粘着シートは、水分散型粘着剤を使用した場合であっても、優れた遮光性と、被着体に対しての優れた接着力、耐衝撃性、90度方向の定荷重保持力及びせん断方向の保持力とを備えることから、落下の生じやすい携帯電子機器、特に、大画面化が進み耐衝撃性の要請の高いスマートフォン、タブレット型パソコン、ノート型パソコンあるいはゲーム機等の携帯型の電子機器の製造に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】耐衝撃試験用の試験に用いた試験片を上面から見た概念図である。
図2】耐衝撃試験用の試験に用いた試験片を上面から見た概念図である。
図3】耐衝撃試験の試験方法の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の粘着シートは、厚さが40μm以下の樹脂フィルム基材(A)の片面または両面に、粘着剤層(B)を有する粘着シートであって、前記粘着剤層(B)が水分散型のアクリル系重合体(b1)とカーボンブラック(b2)と架橋剤(b3)とを含有する水性粘着剤を用いて形成される層であり、前記カーボンブラック(b2)が前記粘着剤層(B)全体に対して0.2質量%〜4質量%の範囲で含まれることを特徴とする。
【0015】
前記粘着シートとしては、総厚さが200μm以下であるものを使用することが好ましく、30μm〜180μmであるものを使用することが、とりわけ液晶パネルやメーターパネルを構成するガラス、ポリカーボネート等のプラスチック類、自動車の製造に用いられるステンレスやアルミニウム等の金属類に対して優れた接着力を発揮できるため、より好ましい。なかでも、前記粘着シートとしては、例えば携帯電話等に用いる液晶表示装置の製造場面で使用する場合には、厚さ30μm〜130μmであるものを使用することがより好ましい。一方、前記粘着シートとしては、例えば家電製品に搭載される操作パネルや、自動車等に搭載されるカーナビゲーション等の画像表示装置を製造する場面で前記粘着シートを使用する場合には、厚さ60μm〜180μmであるものを使用することがより好ましい。
【0016】
前記粘着シートとしては、JIS K7136にしたがって測定される全光線透過率が20%以下であるものを使用することが好ましく、0%〜10%の範囲であるものを使用することがより好ましく、0%〜5%の範囲であるものを使用することがさらに好ましく、0%〜2%の範囲であるものを使用することが更に好ましく、0%〜1%の範囲であるものを使用することが、液晶表示装置等を組み立てた際に、良好な遮光性を維持し、優れた映像の鮮明性を付与するうえで特に好ましい。前記粘着シートの全光線透過率の下限値は、より一層優れた遮光性を付与するうえで、0%であることが好ましい。
【0017】
[樹脂フィルム基材(A)]
前記粘着シートを構成する樹脂フィルム基材(A)としては、厚さ40μm以下のものを使用する。これにより、良好な遮光性を維持した粘着シートを得ることができる。
前記樹脂フィルム基材(A)としては、厚さの下限が4μmであることが好ましい。また、前記樹脂フィルム基材(A)としては、厚さ5μm〜30μmのものを使用することが好ましく、6μm〜25μmのものを使用することがより好ましく、6μm〜16μmのものを使用することが、樹脂フィルム基材(A)と粘着剤層(B)との密着性を高レベルで確保し、耐衝撃性、90度方向の定荷重保持力に優れるうえで更に好ましい。粘着シートを製造する工程で、取扱い性に優れるうえで12μm〜16μmのものを使用することが特に好ましく、12μmのものを使用することが最も好ましい。
【0018】
前記樹脂フィルム基材(A)としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルム、硬質ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、セロハンフィルム、セルローストリアセテートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエチレンフィルム等を使用することできる。
なかでも、前記樹脂フィルム基材(A)としては、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム等の二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ナイロンフィルム、無延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、延伸硬質ポリ塩化ビニルフィルム、軟質ポリ塩化ビニルフィルム、セロハンフィルム、セルローストリアセテートフィルム、延伸ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエチレンフィルム等を使用することが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム等の二軸延伸ポリエステルフィルムを使用することが、引張強度や絶縁性に優れ、粘着剤層(B)との密着性を高レベルで確保するうえでより好ましい。
前記二軸延伸ポリエチレンテレフタレートとしては、例えば、テイジンテトロンフィルム[帝人デュポンフィルム(株)製]、メリネックス[帝人デュポンフィルム(株)製]、マイラー[帝人デュポンフィルム(株)製]、ルミラー[東レ(株)製]、ダイアホイル[三菱化学ポリエステルフィルム(株)製]、エンブレット[ユニチカ(株)製]等が挙げられる。
【0019】
前記樹脂フィルム基材(A)としては、粘着剤層(B)との密着性を向上させる目的で、易接着処理が設けられていることが好ましい。易接着処理としては、サンドブラスト法や溶剤処理法などによる表面の凹凸化処理、または、コロナ放電処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などの表面の酸化処理、また、ポリエステル系樹脂やアクリル系樹脂などのプライマーコーティング等が挙げられる。
【0020】
前記樹脂フィルム基材(A)と粘着剤層(B)との密着性は、例えば前記樹脂フィルム基材(A)と粘着剤層(B)との密着強度を測定することによって評価することができる。前記密着強度は、7N/20mm〜20N/20mmの範囲であることが好ましく、9N/20mm〜20N/20mmであることがより好ましく、12N/20mm〜20N/20mmであることが、優れた接着性、保持力、耐衝撃性を備えた粘着テープを得るうえで、より一層好ましい。
【0021】
前記樹脂フィルム基材(A)の全光線透過率は、使用環境に応じて適宜調整することが好ましい。光透過性を有するものを使用してもよく、また遮光性を有するものを使用してもよい。樹脂フィルム基材(A)自体が白色や黒色に着色されていてもよい。樹脂フィルム基材を白色系や黒色系のインキ等をコーティングする場合には、粘着剤層(B)との密着性を損ねないインキを使用することが好ましい。
【0022】
[粘着剤層(B)]
本発明の粘着シートを構成する粘着剤層(B)は、水分散型のアクリル系重合体(b1)と、カーボンブラック(b2)と架橋剤(b3)とを含有する粘着剤を用いて形成される粘着剤層のうち、前記カーボンブラック(b2)が前記粘着剤層(B)全体に対して0.2質量%〜4質量%の範囲で含まれるものである。
【0023】
前記粘着剤層(B)としては、粘着シートに優れた遮光性と、被着体に対する優れた接着力、耐衝撃性、90度方向の定荷重保持力、せん断方向の保持力とを両立するうえで、前記カーボンブラック(b2)が前記粘着剤層(B)全体に対して、0.2質量%〜4質量%の範囲で含まれるものを使用する。好ましくは、0.4質量%〜3質量%の範囲で含まれるものを使用することが更に好ましく、0.8質量%〜2.5質量%の範囲で含まれるものを使用することが、粘着性能が著しく低下することなく良好な遮光性を付与するうえで、特に好ましい。
【0024】
前記粘着剤層(B)としては、JIS K7136にしたがって測定される全光線透過率が20%以下となる粘着剤層を使用することが好ましく、より一層の遮光性を付与するうえで、0%〜10%の範囲となる粘着剤層を使用することがより好ましく、0%〜5%の範囲となる粘着剤層を使用することがより一層好ましく、0%〜2%の範囲となる粘着剤層を使用することが更に好ましく、0%〜1%の範囲となる粘着剤層を使用することが、粘着性能が著しく低下することなく良好な遮光性を付与するうえで、特に好ましい。前記粘着剤層(B)の全光線透過率の下限値は、より一層優れた遮光性を付与するうえで、0%であることが好ましい。
【0025】
前記カーボンブラック(b2)としては、水分散型のアクリル系重合体(b1)の水分散液に対して良好な分散性を確保するうえで、界面活性剤やアクリル樹脂等の分散剤によって、予め水性媒体に分散された、いわゆる水性黒インキを使用することが好ましい。
【0026】
前記水性黒インキとしては、例えば、DISPERSE BLACK ES−9001[DIC(株)製]、DISPERSE COA BLACK 908[DIC(株)製]、DISPERSE COA BLACK 911[DIC(株)製]、PSM BLACK C[御国色素(株)製]、PSM BLACK 6285[御国色素(株)製]、PSM BLACK 12578[御国色素(株)製]、PSM BLACK 14522[御国色素(株)製]、PSM BLACK AS−1193[御国色素(株)製]、GP BLACK 1188[御国色素(株)製]、GP BLACK 4613[御国色素(株)製]、GP BLACK 13185[御国色素(株)製]、SA BLACK 0077[御国色素(株)製]、SA BLACK 0848[御国色素(株)製]、SA BLACK NF−403[御国色素(株)製]、SA BLACK NF−900[御国色素(株)製]、SA BLACK DY−6[御国色素(株)製]、SP BLACK AS−1192[御国色素(株)製]、SBP BLACK 11766[御国色素(株)製]等が挙げられる。
【0027】
前記架橋剤(b3)としては、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、シラン系架橋剤、エポキシシラン系架橋剤、アジリジン系架橋剤を使用できる。なかでも、前記架橋剤(b3)としては、良好な遮光性を損なうことなく、優れた接着力と、耐衝撃性と、90度方向の定荷重保持力と、せん断方向の保持力とを備えるうえで、エポキシ系架橋剤を使用することが好ましい。
【0028】
前記架橋剤(b3)としては、水分散型のアクリル系重合体(b1)100質量部に対して、0.01質量部〜0.1質量部の範囲で使用することが、より一層優れた粘着物性を付与するうえで好ましい。
【0029】
前記架橋剤(b3)は、水分散型のアクリル系重合体(b1)の製造工程で使用してもよく、水分散型のアクリル系重合体(b1)を含有する粘着剤の製造工程で使用してもよい。例えば、エポキシ系架橋剤を使用する場合であれば、粘着剤の製造工程で使用することが、架橋剤(b3)の失活を防ぎ、かつ、所望の架橋密度を確保するうえで好ましい。
【0030】
前記エポキシ系架橋剤としては、例えば、テトラッドC[三菱瓦斯化学(株)製]、テトラッドX[三菱瓦斯化学(株)製]、デナコール EX−[ナガセケムテックス(株)]、デナコール EX−810[ナガセケムテックス(株)]、デナコール EX−841[ナガセケムテックス(株)]、デナコール EX−850[ナガセケムテックス(株)]、デナコール EX−911[ナガセケムテックス(株)]等が挙げられる。なかでも、前記エポキシ系架橋剤としては、速やかに架橋反応を進行させるうえで、テトラッドCを使用することが好ましい。
【0031】
前記アクリル系重合体(b1)としては、例えば炭素原子数1〜10のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有するビニル単量体を含有する単量体を重合して得られるものを使用することができる。前記炭素原子数1〜10のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを使用することによって、被着体に対してより一層優れた接着力、耐衝撃性、90度方向の定荷重保持力とせん断方向の保持力とを備えた粘着剤層(B)を形成することができる。
【0032】
炭素原子数1〜10のアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートが使用できる。なかでも2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレートを使用することが好ましく、特にn−ブチルアクリレートと2−エチルヘキシルアクリレートとを併用することが、被着体に対しての接着力、90度方向の定荷重保持力、せん断方向の保持力等に対して、より一層優れた接着力を備えた粘着剤層を形成するうえでより好ましい。
【0033】
前記炭素原子数1〜10のアルキル基を有する(メタ)アクリレートは、前記アクリル系重合体(b1)の製造に使用する単量体の全量に対して、50質量%〜99質量%の範囲で使用することが好ましく、70質量%〜98質量%の範囲で使用することがより好ましく、90質量%〜98質量%の範囲で使用することがさらに好ましい。
【0034】
前記アクリル系重合体(b1)の製造に使用可能なカルボキシル基を有するビニル単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、無水フタル酸、クロトン酸等を1種または2種以上組み合わせ使用することができる。なかでも、アクリル酸やメタクリル酸を使用することが、被着体に対して優れた接着力、耐衝撃性、90度方向の定荷重保持力とせん断方向の保持力とを備えた粘着剤層を形成するうえで、好ましく使用できる。
【0035】
前記カルボキシル基を有するビニル単量体は、前記水分散型のアクリル系重合体(b1)の製造に使用する単量体の全量に対して、0.1質量%〜5質量%の範囲で使用することが好ましく、0.5質量%〜4.5質量%の範囲で使用することがより好ましく、1質量%〜4質量%の範囲で使用することが、粘着剤層(B)の凝集力をより一層向上し、かつ、樹脂フィルム基材(A)と粘着剤層(B)との密着性を向上し、被着体に対して優れた接着力、耐衝撃性、90度方向の定荷重保持力とせん断方向の保持力とを備えた粘着剤層を形成するうえで、より一層好ましい。また、例えば、前記架橋剤(b3)として、エポキシ系架橋剤を使用する場合においては、2質量%〜4質量%の範囲で使用することが、安定的に、かつ、速やかに架橋反応を進行させるうえで好ましい。
【0036】
前記アクリル系重合体(b1)を製造する際に使用可能な単量体としては、前記したものの他に、必要に応じてその他の単量体を使用することができる。
【0037】
前記その他の単量体としては、必要に応じて、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するビニル単量体、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等の窒素原子を有するビニル単量体、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アクロレイン、ホルミルスチロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン、ジアセトンアクリレート、ジアセトンメタクリレート、アセトニトリルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートアセトアセテート、ブタンジオールアクリレートアセテート等のケト基またはアルデヒド基を有する単量体、N−メチロールアクリルアミド等のメチロール基を有する単量体、ローディア日華(株)製 SIPOMER PAM−100、PAM−200、PAM−300等の燐酸基を有する単量体を使用することができる。
なかでも、窒素原子を有するビニル単量体を、カルボキシル基を有するビニル単量体と組み合わせて使用することが、定荷重保持力等の接着性能を向上するうえで好ましく、N−ビニルピロリドンと(メタ)アクリル酸とを組み合わせて使用することが特に好ましい。
【0038】
前記水分散型のアクリル系重合体(b1)を製造する方法としては、界面活性剤を用いて水性媒体中で前記した単量体を重合する方法(いわゆる乳化重合法)、または、前記した単量体を有機溶剤中で重合した後、水性媒体と界面活性剤を加え有機溶剤を除去する方法(転相乳化法)等が例示できる。特に、乳化重合法は、環境や人体への影響を低減するうえで好ましい。
【0039】
また、前記した単量体を重合する際に、単量体や開始剤、連鎖移動剤等を供給する方法としては、一括仕込み方法、滴下方法等の各種方法を採用することができる。より具体的には、前記乳化重合法としては、水性媒体を仕込んだ反応容器内に、前記した単量体と界面活性剤と連鎖移動剤及び水性媒体とを混合し乳化させた水分散液、重合開始剤の水溶液とをそれぞれ滴下供給し、乳化重合する方法を採用することが、安定的に製造できるうえで好ましい。
【0040】
前記界面活性剤としては、陽イオン性の界面活性剤、陰イオン性の界面活性剤、非イオン性の界面活性剤、その他の分散安定剤等を使用することができる。
また、一般に「反応性乳化剤」と称される重合性不飽和基を分子内に有する界面活性剤が、重合安定性を損なうことなく粘着剤層の耐湿性を向上するうえで、好ましく使用できる。
【0041】
前記反応性乳化剤としては、例えば、ラテムルPD−104[花王(株)製]、アクアロンKH−1025[第一工業製薬(株)製]、アデカリアソープSE−10[(株)ADEKA製]、エレミノールJS−20[三洋化成工業(株)製]等が挙げられる。
【0042】
前記重合開始剤としては、4,4−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’,−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−アルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]硫酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕硫酸塩、2−2’−アゾビス〔2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン〕二塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−〔1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル〕プロパン〕二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパンアミドオキシム)等のアゾ系開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩系開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物系開始剤、芳香族カルボニル化合物等のカルボニル系開始剤、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組合せ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムとの組合せ等のレドックス系開始剤等を使用することができる。なかでも、アゾ系開始剤、過硫酸塩系開始剤を使用することが重合安定性に優れ、所望の粘着性能が得られやすいことから、好ましく使用できる。
【0043】
前記連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメチルカプト−1−プロパノール等を使用することができる。前記連鎖移動剤は、前記アクリル系重合体(b1)の分子量を調整することを目的として、適宜調整することができ、アクリル系重合体(b1)を構成する単量体の総量100質量部に対して、0質量部〜0.1質量部の範囲で使用することが好ましい。
【0044】
前記方法で得られたアクリル系重合体(b1)としては、40万〜150万の重量平均分子量を有するものを使用することが好ましく、50万〜120万の重量平均分子量を有するものを使用することがより好ましく、60万〜100万の重量平均分子量を有するものを使用することが、被着体に対して優れた接着力、90度方向の定荷重保持力、せん断方向の保持力とを備えた粘着シートを得るうえで、特に好ましい。
【0045】
なお、前記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い標準ポリスチレン換算して求めた値である。測定条件として、カラムはTSKgel GMHXL[東ソー株式会社製]を用い、カラム温度は40℃、溶離液はテトラヒドロフラン、流量は1.0mL/分とし、標準ポリスチレンはTSK標準ポリスチレンを用いた。
【0046】
(粒子径)
前記アクリル系重合体(b1)粒子の平均粒子径は、特に制限されるものではないが、100nm〜1000nmであることが好ましく、150nm〜500nmであることが、カーボンブラックを含有し、長期保管した場合であっても凝集や沈降を生じにくく分散安定性に優れるため、好ましい。なお、前記平均粒子径は、エマルジョン粒子の体積基準での50%メジアン径をいい、数値は動的光散乱法により測定して得られる値に基づくものである。
【0047】
前記粘着剤層(B)の形成に使用可能な粘着剤としては、前記したもののほかに、粘着付与樹脂を含有する。水分散型のアクリル系重合体(b1)とカーボンブラック(b2)と粘着付与樹脂とを均一に分散させることを目的として、界面活性剤等を用いて水分散させた水分散型の粘着付与樹脂を使用することが好ましい。
【0048】
前記水分散型の粘着付与樹脂としては、例えばロジン系粘着付与樹脂、重合ロジン系粘着付与樹脂、ロジンエステル系粘着付与樹脂、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂、ロジンフェノール系粘着付与樹脂、不均化ロジンエステル系粘着付与樹脂、水添ロジンエステル系粘着付与樹脂、酸変性ロジン系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、テルペンフェノール系粘着付与樹脂、石油樹脂系粘着付与樹脂等を使用することができる。金属類ならびにプラスチック類の被着体に対しての接着力、90度方向の定荷重保持力に優れた粘着剤層を形成するうえで、ロジンエステル系粘着付与樹脂、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂、ロジンフェノール系粘着付与樹脂を好ましく使用できる。
【0049】
前記粘着付与樹脂は、前記アクリル系重合体(b1)(固形分)100質量部に対して、1質量部〜40質量部の範囲で使用することが好ましい。前記粘着付与樹脂は、3質量部〜35質量部の範囲で使用することがより好ましく、4質量部〜30質量部の範囲で使用することがより一層好ましく、5質量部〜25質量部の範囲で使用することが更に好ましく、10質量部〜20質量部の範囲で使用することが、樹脂フィルム基材(A)と粘着剤層(B)とのより一層優れた密着性を確保し、被着体に対して優れた接着力、90度方向の定荷重保持力、せん断方向の保持力とを備えた粘着剤層を形成するうえで好ましい。
【0050】
前記粘着付与樹脂としては、軟化点が100℃〜180℃であるものを使用することが好ましく、120℃〜180℃であるものを使用することがより好ましく、130℃〜180℃であるものを使用することが更に好ましく、140℃〜170℃であるものを使用することが、とりわけ90℃方向の定荷重保持力に優れた粘着剤層を形成するうえで特に好ましい。
【0051】
前記アクリル系重合体(b1)が分散等し得る水性媒体としては、水、水と混和する有機溶剤、及び、これらの混合物が挙げられる。水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール及びイソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル類;N-メチル-2-ピロリドン等のラクタム類、エチルカルビトール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等が挙げられる。本発明では、水のみを用いても良く、また水及び水と混和する有機溶剤との混合物を用いても良く、水と混和する有機溶剤のみを用いても良い。安全性や環境に対する負荷の点から、水のみ、又は、水及び水と混和する有機溶剤との混合物が好ましく、水のみが特に好ましい。
【0052】
前記粘着剤層(B)の形成に使用可能な前記粘着剤としては、分散安定性をより一層向上すること等を目的として、40質量%〜70質量%の範囲の固形分を有するものを使用することが好ましい。
【0053】
本発明で使用する前記粘着剤としては、例えば前記粘着剤を離型ライナーに塗布し、100℃環境下で乾燥することによって得た、実質的に架橋反応していない粘着剤層のゲル分率(初期ゲル分率)が15質量%以下となるものを使用することが好ましく、10質量%以下であるものを使用することがより好ましく、3質量%以下であるものを使用することが、樹脂フィルム基材(A)と粘着剤層(B)との密着性、各種被着体に対しての接着力、90度方向の定荷重保持力、せん断方向の保持力等の各種接着性能をより一層向上するうえでさらに好ましい。なお、初期ゲル分率は、アクリル系重合体を製造する際に使用可能な重合開始剤の種類や使用量、重合温度等を適宜設定することによって調整することが可能である。
【0054】
前記粘着剤層(B)の形成に使用可能な粘着剤としては、必要に応じてpHを調整するための塩基(アンモニア水やアミン類など)や酸、可塑剤、軟化剤、酸化防止剤、ガラスやプラスチック製の繊維・バルーン・ビーズ・金属粉末等の充填剤、皮膜形成補助剤、レベリング剤、濡れ剤、増粘剤(粘度調整剤)、撥水剤、消泡剤等を使用してもよい。それらの使用量としては、各々0質量%〜1質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0055】
前記粘着剤層(B)としては、その片面の厚さが10μm〜90μmの範囲であるものを使用することが好ましく、15μm〜80μmの範囲であるものを使用することがより好ましく、20μm〜70μmの範囲であるものを使用することが更に好ましい。特に、薄膜を要望される電子機器向けの液晶画像装置に使用する粘着シートの場合には、粘着シートの粘着性能を著しく損ねない範囲で適宜調整することが好ましく、20μm〜45μmの範囲であるものを使用することが、粘着シートの遮光性と粘着性能とをバランスよく両立できるうえで好ましい。
前記粘着シートが樹脂フィルム基材(A)の両面に粘着剤層(B)を有するものである場合には、前記粘着剤層(B)の合計の厚さが、20μm〜180μmの範囲であるものを使用することが好ましく、30μm〜160μmの範囲であるものを使用することがより好ましく、40μm〜140μmの範囲であるものを使用することが、粘着シートの遮光性と粘着性能とをバランスよく両立できるうえで好ましい。
【0056】
本発明の粘着シートは、例えば前記所定の樹脂フィルム基材(A)の片面または両面に、ロールコーターやダイコーター等を用い、前記粘着剤を塗布し、乾燥することによって製造することができる(いわゆる、直塗り法)。前記方法で得た粘着シートを構成する粘着剤層(B)の表面には、離型ライナーが積層されていてもよい。
【0057】
また、本発明の粘着シートは、予め離型ライナーの表面にロールコーターやダイコーター等を用い、前記粘着剤を塗布し、乾燥することによって、粘着剤層(B)を形成し、次に、前記粘着剤層(B)を、樹脂フィルム基材(A)に転写する方法によって製造することもできる(いわゆる、転写法)。熱膨張や熱収縮を起しやすい樹脂フィルム基材を使用する場合には、直塗り法よりも転写法の方が好ましく使用できる。
【0058】
前記いずれの方法で製造した粘着シートも、その後、20℃〜50℃の範囲で48時間以上養生することが、前記粘着剤層(B)の架橋反応を進行させるうえで好ましい。
【0059】
前記養生後の粘着剤層(B)は、乾燥後に形成した粘着剤層(B)の質量と、それを、25℃の環境下、トルエンに24時間浸漬し、次いで105℃環境下で乾燥したものの質量とに基づいて算出したゲル分率が20質量%〜45質量%の範囲であるものを使用することが好ましく、25質量%〜40質量%の範囲であるものを使用することがより好ましく、30質量%〜38質量%の範囲であるものを使用することが、各種被着体に対しての接着力、90度方向の定荷重保持力、せん断方向の保持力をより一層向上できるうえで、特に好ましい。
【0060】
前記方法で得られた本発明の粘着シートは、もっぱら、良好な遮光性と高レベルの粘着性能とが求められる用途に使用することができる。
【0061】
そのため、本発明の粘着シートは、良好な遮光性に加え、優れた耐衝撃性、定荷重保持力を有することから、各種部品に印刷された文字や記号を十分に隠ぺいする目的や、携帯電話等の電子機器に備えられる液晶表示装置において、液晶パネルとバックライトとを貼り合わせて固定する目的や、2以上のきょう体を、またはきょう体とレンズ部材とを貼り合わせて固定する目的として好適に使用できる。また、高温環境下におけるせん断保持力に優れることから、自動車のメーターパネルやインストルメントパネル等の表示装置を構成する部品を固定する目的として好適に使用できる。
【実施例】
【0062】
次に、本発明を実施例および比較例により詳細に説明する。実施例および比較例で得られた両面粘着シートの各特性の評価方法は以下のとおりである。
【0063】
[樹脂フィルム基材の厚さの測定方法]
樹脂フィルム基材を長さ50mm、幅50mmの正方形に裁断したものの厚さを、マイクロメータ[(株)ミツトヨ製、型式:MDH−25M]を用い、JIS C 2151に従い測定した。
【0064】
[両面粘着シートの全光線透過率の測定方法]
実施例及び比較例で得た両面粘着シートを、長さ50mm、幅50mmの正方形に裁断したものを試験片とした。両面の離型ライナーを剥がしたのち、前記試験片の全光線透過率を反射・透過率計HR−100型[(株)村上色彩技術研究所製]を用い、JIS K 7136に従い測定した。
【0065】
[ゲル分率の測定方法]
実施例及び比較例で得た両面粘着シートを、長さ50mm×幅40mmの大きさ(面積20cm)に切断したものを試験片とした。なお、前記両面粘着シートの製造する前に、その製造に使用した樹脂フィルム基材の質量(G)を予め測定した。
【0066】
次に、上記試験片の質量(G)を測定した。次に、上記試験片をトルエンに25℃の環境下で24時間浸漬した後、それを300メッシュの金網で濾過することにより、トルエンに不溶であった残渣を分離し、105℃で1時間乾燥して得た残渣の質量(G2)を測定した。前記樹脂フィルム基材の質量(G)と、前記浸漬前の試験片の質量(G)と、前記残渣の質量(G)の値と、下記式に従って、ゲル分率を算出した。
【0067】
ゲル分率(質量%)=[(G−G)/(G−G)]×100
【0068】
[遮光性の評価]
前記両面粘着シートを長さ50mm、幅50mmの大きさに切断し、一方の離型ライナーを剥がしたものを、フォントMS明朝体及びフォントサイズ11で印刷された黒色文字「DIC株式会社」の上面に貼付した。
次に、照度500ルクスの環境下、他方の離型ライナーを剥がし、その粘着剤層の表面から、前記黒色文字を視認できるか否か、観察した。
前記観察の結果、前記黒色文字を全く識別できなかった両面粘着シートを遮光性に優れるものとして「◎」と評価し、前記黒色文字の存在は認識できたものの、その文字の内容を認識できなかったものを「○」と評価し、前記黒色文字の内容を認識できたものを「×」と評価した。前記評価結果が、◎または○であったものを実用上優れた遮光性を有するものと評価した。
【0069】
[樹脂フィルム基材と粘着剤層との密着強度]
実施例及び比較例で得た両面粘着シートを、長さ100mm×幅20mmの大きさに切断し、離型ライナーを剥がしたのち、両面の粘着剤層に厚さ50μm×長さ120mm×幅25mmの大きさに切断したアルミニウム箔を貼付したものを試験片とした。
次に、23℃及び50%RHの環境下、テンシロン引張試験機[株式会社エーアンドデイ製、型式:RTM−100]を用い、前記試験片の各粘着剤層に貼付されたアルミニウム箔の両端部を掴み、50mm/minの速度で引き剥がした際の、樹脂フィルム基材から粘着剤層が剥がれる強度を測定した。測定値が高いほど、樹脂フィルム基材と粘着剤層との密着性が高いことを示す。
【0070】
[接着力(180°ピール接着力)の測定方法]
180°ピール粘着力は、JIS Z 0237に従い測定した。
実施例及び比較例で得た両面粘着シートの片面の粘着剤層に、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを貼付することで裏打ちし、長さ300mm、幅20mmの大きさに切断したものを試験片とした。
次に、前記試験片の他方の粘着剤層を、ステンレス板(SUS304鋼板)に貼り合わせ、23℃・50%RHの環境下で、2kgローラーにて1往復し、それらを加圧した。23℃及び50%RHの環境下に1時間放置した後、テンシロン引張試験機[株式会社エーアンドデイ製、型式:RTM−100]を用い、試験片を被着体から、180度方向に300m/minの速度で引き剥がした際の接着力を測定した。測定値が高いほど、接着性能に優れていることを示す。
【0071】
[90度方向の定荷重保持力の測定方法]
実施例及び比較例で得た両面粘着シートの片面の粘着剤層に、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを貼付することで裏打ちし、長さ100mm、幅10mmの大きさに切断したものを試験片とした。
次に、23℃・50%RHの環境下で、前記試験片の他方の粘着剤層を、ステンレス板(SUS304鋼板)に貼付面積が長さ50mm、幅10mmになるように貼り合わせ、2kgローラーを用いて8往復しそれらを加圧した。
次に、23℃及び50%RHの環境下に1時間放置した後、試験片の端部に0.3kgの重りを取り付け、定荷重保持力計[テスター産業(株)製]を用い、試験片が前記ステンレス板から90度方向に剥がれるように設置した。試験片がすべて剥離し、重りが落下するまでの時間を計測した。90度方向の定荷重保持力は、下記基準にしたがって評価した。前記評価結果が、◎または○であったものを実用上優れた定荷重保持力を有するものと評価した。
【0072】
◎:180分以上、保持した
○:60分以上保持し、180分未満で落下した
△:30分以上保持し、60分未満で落下した
×:30分未満で落下した
【0073】
[せん断方向の保持力の測定方法]
上記保持力は、JIS Z 0237に従い測定した。
実施例及び比較例で得た両面粘着シートの片面の粘着剤層に、厚さ50μmのアルミニウム箔を貼付することで裏打ちし、長さ100mm、幅20mmの大きさに切断したものを試験片とした。続いて、23℃・50%RHの環境下で、前記試験片の他方の粘着剤層の表面に、ステンレス板(SUS304鋼板)を、その貼付面積が20mm×20mmとなるように貼り合わせ、2kgローラーを用いて1往復加圧した。
次に、23℃・50%RHの環境下に1時間放置した後、70℃環境下、恒温槽付き保持力計[テスター産業(株)製]を用い、試験片のせん断方向(長さ方向)に対して、試験片の端部に0.5kgの重りを取り付けた。前記試験片が前記ステンレス板から落下するまでの時間を計測した。なお、1440分を経過しても落下しなかった試験片は、1440<と表記した。せん断方向の保持力は、下記基準にしたがって評価した。
◎:1440分以上、保持した
○:720分以上保持し、1440分未満で落下した
△:360分以上保持し、720分未満で落下した
×:360分未満で落下した
【0074】
[耐衝撃性の測定方法]
長さ40mm、幅5mmの2枚の両面粘着テープを、厚さ2mm、長さ50mm×幅50mmのアクリル樹脂板(三菱レイヨン(株)製、アクリライトL、色相:透明)に、図1で示すように貼付した。次に、前記貼付物を、厚さ2mm、長さ150mm×幅100mmのABS樹脂板(住友ベークライト(株)製、タフエースR、色相:ナチュラル、シボなし)に、図2に示すように貼付した。
次に、前記貼付物を、2kgローラーを1往復させることで加圧したのち、23℃で1時間静置したものを試験片とした。
次に、デュポン式衝撃試験機(テスター産業株式会社製)の台座の上に、長さ150mm、幅100mm、高さ45mmのコの字型測定台(厚さ5mmのアルミニウム製)を設置し、その上に、前記試験片を、前記試験版を構成する前記ABS樹脂板が上向きとなるように載せた(図3)。
次に、前記ABS樹脂板の中心部に、直径25mm、質量300gのステンレス製の撃芯(先端径12.7mm)を、前記ABS樹脂板の表面から高さ30cmの距離から、10秒間隔で、5回落下させた。前記落下後、前記試験片を構成する粘着シートの剥がれが認められなかった場合、より10cm高い位置(40cm)から前記撃芯を落下させ、前記同様に試験を行った。前記撃芯を落下させる高さが90cmとなるまで前記試験を繰り返し行った。耐衝撃性は、下記基準にしたがって評価し、◎または○であったものを実用上優れた耐衝撃性を有するものと評価した。
◎:落下させる高さが70cmであっても、試験片を構成する粘着シートの剥離等を確認できなかった。
○:落下させる高さが60cmであっても、試験片を構成する粘着シートの剥離等を確認できなかった。
△:落下させる高さが40cmであっても、試験片を構成する粘着シートの剥離等を確認できなかった。
×:落下させる高さが30cmであっても、試験片を構成する粘着シートの剥離等を確認できなかった。
【0075】
(実施例1)
<乳化液の調製>
容器にイオン交換水75gと、界面活性剤としてアクアロンKH−1025[第一工業製薬(株)製;有効成分25質量%]20gとラテムルPD−104[花王(株)製;有効成分20質量%]37.5gとを入れ、均一に溶解した。そこに、n−ブチルアクリレート230g、2−エチルヘキシルアクリレート230g、メチルメタクリレート25g、アクリル酸15g、ラウリルメルカプタン0.2gを加えて乳化し、乳化液632.7gを得た。
【0076】
<水分散型アクリル系重合体の水分散液の調製>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下漏斗を備えた反応容器に、イオン交換水333.5gを入れ、窒素を吹き込みながら60℃まで昇温した。攪拌下、前記で調製した乳化液の一部[7.59g]、過硫酸アンモニウム水溶液2.5g[有効成分6質量%]、亜硫酸水素ナトリウム水溶液2.5g[有効成分6質量%]を添加し、60℃を保ちながら1時間で重合させた。引き続き、残りの乳化液625.11gと、過硫酸アンモニウム水溶液50g[有効成分1質量%]を別々の漏斗を使用して、反応容器を60℃に保ちながら6時間かけて滴下した。滴下終了後は、反応容器を60℃に保ちながら1時間攪拌した。次に、エリソルビン酸ナトリウム水溶液5g[有効成分2質量%]を別の漏斗を用いて1時間かけて滴下重合した後、反応容器を60℃に保ちながら1時間撹拌した。そして、内容物を冷却し、pHが7.5になるようにアンモニア水(有効成分10質量%)で調整した。これを200メッシュ金網で濾過し、水分散型アクリル系重合体の水分散液(1)[固形分濃度50質量%]を得た。前記水分散型アクリル系重合体の平均粒子径は330nm、重量平均分子量は70万であった。
【0077】
<水分散型アクリル系粘着剤の調製>
前記の水分散型アクリル系重合体の水分散液(1)1000gに、粘着付与樹脂としてスーパーエステルE−865NT[荒川化学工業(株)製;エマルジョン型重合ロジンエステル系粘着付与樹脂、軟化点160℃、固形分濃度50質量%]200g、レベリング剤としてサーフィノールPSA−336[エアー・プロダクツ・ジャパン(株)製]2.5g、消泡剤としてサーフィノールDF−110D[エアー・プロダクツ・ジャパン(株)製]2.5gを添加した。
それらを混合した後、架橋剤として、テトラッドC[三菱瓦斯化学(株)製、エポキシ化合物]の10質量%エタノール溶液1.5gを添加し、1時間撹拌した。続いて、カーボンブラックの水分散液であるPSM BLACK C[御国色素(株)製、カーボンブラック含有量25質量%、固形分濃度31質量%]6gを添加し、1時間撹拌し、水分散型アクリル系粘着剤(1)を得た。
【0078】
<両面粘着シートの製造>
前記の水分散型アクリル系粘着剤(1)を、シリコーン系剥離剤で剥離処理した厚さが75μmのポリエステル製離型ライナー上に、乾燥後の厚さが44μmになるように塗工して、100℃環境下で5分間乾燥することによって、離型ライナー上に粘着剤層を備えた粘着シート2枚を得た。
次に、厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの両面をコロナ放電処理したのち、得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの両面に、前記粘着シートが有する粘着剤層を転写し、40℃環境下で72時間養生することによって、両面粘着シートを得た。前記養生後の両面粘着シートのゲル分率は、32.2質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、9.1%であった。
【0079】
(実施例2)
カーボンブラックの水分散液であるPSM BLACK Cの配合量を、6gから10gに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤(2)を得た。前記水分散型アクリル系粘着剤(2)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、33.8質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、1.3%であった。
【0080】
(実施例3)
カーボンブラックの水分散液であるPSM BLACK Cの配合量を、6gから20gに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤(3)を得た。前記水分散型アクリル系粘着剤(3)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、34.7質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、0.1%であった。
【0081】
(実施例4)
カーボンブラックの水分散液であるPSM BLACK Cの配合量を、6gから60gに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤(4)を得た。前記水分散型アクリル系粘着剤(4)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、32.9質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、0.0%であった。
【0082】
(実施例5)
カーボンブラックの水分散液であるPSM BLACK Cを、SBP BLACK 11766[御国色素(株)製、カーボンブラック含有量20質量%、固形分濃度30質量%]25gに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤(5)を得た。前記水分散型アクリル系粘着剤(5)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、34.1質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、0.1%であった。
【0083】
(実施例6)
カーボンブラックの水分散液であるPSM BLACK Cを、SA BLACK 0077[御国色素(株)製、カーボンブラック含有量7.5質量%、固形分濃度12質量%]66.7gに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤(6)を得た。前記水分散型アクリル系粘着剤(6)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、32.2質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、0.0%であった。
【0084】
(実施例7)
カーボンブラックの水分散液であるPSM BLACK Cを、SP BLACK AS−1192[御国色素(株)製、カーボンブラック含有量13.5質量%、固形分濃度18質量%]37gに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤(7)を得た。前記水分散型アクリル系粘着剤(7)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、33.5質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、0.0%であった。
【0085】
(実施例8)
カーボンブラックの水分散液であるPSM BLACK Cを、PSM BLACK AS−1193[御国色素(株)製、カーボンブラック含有量8.2質量%、固形分濃度17質量%]61gに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤(8)を得た。前記水分散型アクリル系粘着剤(8)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、36.9質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、0.1%であった。
【0086】
(実施例9)
カーボンブラックの水分散液であるPSM BLACK Cを、GP BLACK 4613[御国色素(株)製、カーボンブラック含有量8質量%、固形分濃度11.5質量%]62.5gに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤(9)を得た。前記水分散型アクリル系粘着剤(9)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、34.2質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、0.1%であった。
【0087】
(実施例10)
カーボンブラックの水分散液であるPSM BLACK Cを、PSM BLACK 6285[御国色素(株)製、カーボンブラック含有量7.7質量%、固形分濃度16質量%]65gに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤(10)を得た。前記水分散型アクリル系粘着剤(10)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、34.3質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、0.0%であった。
【0088】
(実施例11)
カーボンブラックの水分散液であるPSM BLACK Cを、DISPERSE COA BLACK 908[DIC(株)製、カーボンブラック含有量20質量%、固形分濃度45質量%]25gに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤(11)を得た。前記水分散型アクリル系粘着剤(11)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、34.3質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、0.0%であった。
【0089】
(実施例12)
カーボンブラックの水分散液であるPSM BLACK Cを、DISPERSE BLACK ES 9001[DIC(株)製、カーボンブラック含有量30質量%、固形分濃度45質量%]16.7gに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤(12)を得た。前記水分散型アクリル系粘着剤(12)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、34.3質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、0.1%であった。
【0090】
(実施例13)
粘着付与樹脂であるスーパーエステルE−865NTの配合量を、200gから100gに変更した以外は、実施例3と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤(13)を得た。前記水分散型アクリル系粘着剤(13)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、34.1質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、0.1%であった。
【0091】
(実施例14)
粘着付与樹脂であるスーパーエステルE−865NTの配合量を、200gから50gに変更した以外は、実施例3と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤(14)を得た。前記水分散型アクリル系粘着剤(14)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、34.4質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、0.1%であった。
【0092】
(実施例15)
架橋剤であるテトラッドCの10質量%エタノール溶液の配合量を、1.5gから1gに変更した以外は、実施例3と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤(15)を得た。前記水分散型アクリル系粘着剤(15)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、23.7質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、0.1%であった。
【0093】
(実施例16)
架橋剤であるテトラッドCの10質量%エタノール溶液の配合量を、1.5gから2gに変更した以外は、実施例3と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤(16)を得た。前記水分散型アクリル系粘着剤(16)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、42.5質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、0.1%であった。
【0094】
(実施例17)
水分散型アクリル系重合体を構成するモノマーであるn−ブチルアクリレートを230gから275gに変更し、2−エチルヘキシルアクリレートを230gから185gに変更した以外は、実施例3と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤(17)を得た。前記水分散型アクリル系粘着剤(17)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、32.8質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、0.1%であった。
【0095】
(実施例18)
水分散型アクリル系重合体を構成するモノマーであるn−ブチルアクリレートを230gから0gに変更し、2−エチルヘキシルアクリレートを230gから460gに変更した以外は、実施例3と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤(18)を得た。前記水分散型アクリル系粘着剤(18)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、34.2質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、0.1%であった。
【0096】
(実施例19)
厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの代わりに、厚さが6μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた以外は、実施例3と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、34.7質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、0.1%であった。
【0097】
(実施例20)
厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの代わりに、厚さが16μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた以外は、実施例3と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、34.7質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、0.1%であった。
【0098】
(実施例21)
厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの代わりに、厚さが25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた以外は、実施例3と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、34.7質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、0.1%であった。
【0099】
(実施例22)
乾燥後の粘着剤層の厚さを、44μmから22μmに変更した以外は、実施例19と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、33.9質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、3.1%であった。
【0100】
(実施例23)
乾燥後の粘着剤層の厚さを、44μmから57μmに変更した以外は、実施例19と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、34.4質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、0.0%であった。
【0101】
(実施例24)
乾燥後の粘着剤層の厚さを、44μmから22μmに変更した以外は、実施例3と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、33.9質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、2.7%であった。
【0102】
(実施例25)
乾燥後の粘着剤層の厚さを、44μmから57μmに変更した以外は、実施例3と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、34.4質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、0.0%であった。
【0103】
(比較例1)
カーボンブラックの水分散液であるPSM BLACK Cの配合量を、6gから0gに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤(H1)を得た。前記水分散型アクリル系粘着剤(H1)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、32.1質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、90.0%であった。
【0104】
(比較例2)
カーボンブラックの水分散液であるPSM BLACK Cの配合量を、6gから2gに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤(H2)を得た。前記水分散型アクリル系粘着剤(H2)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、32.1質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、43.0%であった。
【0105】
(比較例3)
カーボンブラックの水分散液であるPSM BLACK Cの配合量を、6gから120gに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤(H3)を得た。前記水分散型アクリル系粘着剤(H3)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、33.1質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、0.0%であった。
【0106】
(比較例4)
カーボンブラックの水分散液であるPSM BLACK Cの配合量を、6gから200gに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤(H4)を得た。前記水分散型アクリル系粘着剤(H4)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、33.9質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、0.0%であった。
【0107】
(比較例5)
カーボンブラックの水分散液であるPSM BLACK Cを、黒色酸化鉄の水分散液であるGP BLACK MW−323[御国色素(株)製、黒色酸化鉄含有量50質量%、固形分濃度52質量%]10gに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤(H5)を得た。前記水分散型アクリル系粘着剤(H5)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、34.2質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、47.5%であった。
【0108】
(比較例6)
黒色酸化鉄の水分散液であるGP BLACK MW−323の配合量を10gから、30gに変更した以外は、比較例5と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤(H6)を得た。前記水分散型アクリル系粘着剤(H6)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、34.4質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、13.9%であった。
【0109】
(比較例7)
黒色酸化鉄の水分散液であるGP BLACK MW−323の配合量を10gから、60gに変更した以外は、比較例5と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤(H7)を得た。前記水分散型アクリル系粘着剤(H7)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、34.7質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、4.5%であった。
【0110】
(比較例8)
黒色酸化鉄の水分散液であるGP BLACK MW−323の配合量を10gから、100gに変更した以外は、比較例5と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤(H8)を得た。前記水分散型アクリル系粘着剤(H8)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、34.9質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、0.3%であった。
【0111】
(比較例9)
架橋剤であるテトラッドCの10質量%エタノール溶液の配合量を、1.5gから0gに変更した以外は、実施例3と同様の方法で、水分散型アクリル系粘着剤(H9)を得た。前記水分散型アクリル系粘着剤(H9)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、3.9質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、0.1%であった。
【0112】
(比較例10)
厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの代わりに、厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた以外は、実施例3と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、34.7質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、0.1%であった。
(比較例11)
厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの代わりに、厚さが100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた以外は、実施例3と同様の方法で、両面粘着シートを得た。得られた養生後の両面粘着シートのゲル分率は、34.7質量%であった。また、前記両面粘着シートの全光線透過率は、0.1%であった。
【0113】
上記実施例の配合表を下表に示す。表中のモノマー組成の「質量%」は、アクリル系共重合体を構成する単量体成分の全量に対する各単量体の使用量を表し、粘着付与樹脂の「質量部」は、アクリル系重合体100質量部に対する粘着付与樹脂の質量部を表し、架橋剤の「質量部」は、アクリル系重合体100質量部に対する架橋剤の質量部を表し、カーボンブラックの「質量部」は、アクリル系重合体100質量部に対するカーボンブラックの質量部を表し、カーボンブラックの「含有量」は、粘着剤層に含まれる樹脂(アクリル系重合体と粘着付与樹脂)の全量に対するカーボンブラックの使用量を表し、黒色酸化鉄の「質量部」は、アクリル系重合体100質量部に対する黒色酸化鉄の質量部を表し、黒色酸化鉄の「含有量」は、粘着剤層に含まれる樹脂(アクリル系重合体と粘着付与樹脂)の全量に対する黒色酸化鉄の使用量を表す。
【0114】
【表1】
【0115】
【表2】
【0116】
【表3】
【0117】
【表4】
【0118】
【表5】
【0119】
【表6】
【0120】
【表7】
【0121】
上記表から明らかなように、実施例1〜25に示した本発明の粘着シートは、良好な遮光性を有し、かつ、接着力、耐衝撃性、定荷重保持力、保持力に優れた接着性能を確保した。一方、比較例1、2及び比較例5、6の粘着シートは、遮光性に乏しく、比較例3、4及び7〜11の粘着シートは、接着性能が乏しい結果であった。
【符号の説明】
【0122】
1 粘着テープ
2 アクリル板
3 ABS板
4 コの字型測定台
5 撃芯
図1
図2
図3