(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1から請求項6のいずれかに記載の化合物を用いた樹脂、樹脂添加剤、オイル、フィルター、接着剤、粘着剤、油脂、インキ、医薬品、化粧品、洗剤、建築材料、液晶材料、電子材料、農薬及び食品並びにそれらを使用した製品。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本願発明は一般式(I)で表される化合物を提供し、併せて当該化合物を含有する重合性組成物、重合性液晶組成物、当該組成物を重合させることにより得られる重合体及び当該重合体を用いた光学異方体を提供する。
【0015】
一般式(I)においてP
1及びP
2は重合性基を表すが、P
1及びP
2は各々同一であっても異なっていても良く、下記式(P−1)から式(P−20)
【0017】
から選ばれる基を表すことが好ましく、これらの重合性基はラジカル重合、ラジカル付加重合、カチオン重合及びアニオン重合により重合する。特に重合方法として紫外線重合を行う場合には、式(P−1)、式(P−2)、式(P−3)、式(P−4)、式(P−5)、式(P−7)、式(P−11)、式(P−13)、式(P−15)又は式(P−18)が好ましく、式(P−1)、式(P−2)、式(P−3)、式(P−7)、式(P−11)又は式(P−13)がより好ましく、式(P−1)、式(P−2)又は式(P−3)がさらに好ましく、式(P−1)又は式(P−2)が特に好ましい。
【0018】
S
1及びS
2は各々独立してスペーサー基を表すが、S
1及び/又はS
2が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良い。液晶性、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は−OCO−O−に置き換えられても良い炭素原子数1から20のアルキレン基を表すことが好ましく(ただし、P
1−S
1、S
1−X
1、X
2−S
2、及びS
2−P
2は、−O−O−、−NH−O−、−O−NH−、−O−S−又は−S−O−基を含まない。)、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−に置き換えられても良い炭素原子数1から10のアルキレン基を表すことがより好ましく、各々独立して炭素原子数1から8のアルキレン基を表すことが特に好ましい。
【0019】
X
1及びX
2は各々独立して−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すが、X
1及び/又はX
2が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良い。原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から各々独立して−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−又は単結合を表すことが好ましく、各々独立して−O−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−又は単結合を表すことがより好ましく、各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は単結合を表すことが特に好ましい。
【0020】
A
1及びA
2は各々独立して無置換又は1つ以上のLによって置換されても良い1,4−フェニレン、ナフタレン−1,4−ジイル又はナフタレン−2,6−ジイルを表すが、液晶性、保存安定性、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から各々独立して無置換又は1つ以上のLによって置換されても良い1,4−フェニレン又はナフタレン−2,6−ジイルを表すことが好ましく、各々独立して下記式(a−1)から式(a−6)
【0022】
又は下記式(a−7)から式(a−14)
【0024】
から選ばれる基を表すことがより好ましく、各々独立して式(a−1)から式(a−6)又は式(a−7)から式(a−9)から選ばれる基を表すことがさらに好ましく、各々独立して式(a−1)から式(a−6)又は式(a−7)から選ばれる基を表すことが特に好ましく、式(a−1)から式(a−6)を表すことが最も好ましい。
【0025】
Bは無置換又は1つ以上のLによって置換されても良い式(B−1)から式(B−4)
【0027】
から選ばれる基を表すが、保存安定性、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から下記式(b−1)から式(b−3)
【0029】
、下記式(b−4)から式(b−18)
【0031】
又は下記式(b−19)から式(b−26)
【0033】
から選ばれる基を表すことが好ましく、式(b−1)、式(b−4)から式(b−14)、式(b−19)、式(b−21)、式(b−23)及び式(b−25)から選ばれる基を表すことがより好ましく、式(b−1)、式(b−4)から式(b−9)、式(b−12)、式(b−19)、式(b−21)及び式(b−23)から選ばれる基を表すことが特に好ましい。
【0034】
Lはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基又はジメチルシリル基を表すが、液晶性、合成の容易さ及び原料の入手容易さの観点からフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基を表すことが好ましく、フッ素原子又は塩素原子を表すことが特に好ましく、フッ素原子を表すことが最も好ましい。また、保存安定性の観点から、A
1、A
2、及びBの有する環構造のうち少なくとも1つの基がLによって置換されていることが好ましく、さらに合成の容易さの観点から、A
1、A
2、又はBの有する1,4−フェニレンのうち少なくとも1つの基がLによって置換されていることがより好ましい。
【0035】
n1及びn2は各々独立して、0から8の整数を表すが、n1又はn2の少なくとも一方は0以外の整数を表す。液晶性、保存安定性、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から少なくともn1及びn2の何れか一方は、1から4の整数を表すことが好ましく、1又は2を表すことがより好ましく、1を表すことが特に好ましく、特に保存安定性及び原料の入手容易さの観点から、n1及びn2の何れも1を表すことが最も好ましい。
【0036】
一般式(I)で表される化合物として具体的には、下記の式(I−1)から式(I−98)で表される化合物が好ましい。
【0057】
本願発明の化合物は以下の製法で製造することができる。
(製法1)下記式(S−10)で表される化合物の製造
【0059】
(式中、P
1、P
2、S
1、S
2、Lは各々独立して一般式(I)で定義されたものと同一のものを表し、rは各々独立して0から4の整数を表し、sは各々独立して0から3の整数を表し、halogenはハロゲン原子又はハロゲン等価体を表し、PGは保護基を表す。)
一般式(S−1)で表される化合物のヒドロキシル基を保護基(PG)により保護する。保護基(PG)としては、脱保護工程に至るまで安定に保護しうるものであれば特に制限は無いが、例えば、GREENE’S PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS((Fourth Edition)、PETER G.M.WUTS、THEODORA W.GREENE共著、A John Wiley & Sons,Inc.,Publication)等に挙げられている保護基(PG)が好ましい。保護基の具体例としてはテトラヒドロピラニル基等が挙げられる。
【0060】
一般式(S−2)で表される化合物をホウ酸化することにより一般式(S−3)で表される化合物を得る。ホウ酸化の方法としては一般式(S−2)で表される化合物をグリニャール試薬へと誘導し、ホウ酸エステルと反応させた後、加水分解する方法、又は一般式(S−2)で表される化合物をハロゲンリチウム交換反応によりリチオ化し、ホウ酸エステルと反応させた後、加水分解する方法が挙げられる。ホウ酸エステルの具体例としてはホウ酸トリメチル、ホウ酸トリイソプロピル等が挙げられる。リチオ化剤の具体例としてはブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等が挙げられる。
【0061】
一般式(S−3)で表される化合物を一般式(S−4)で表される化合物と反応させることにより一般式(S−5)で表される化合物を得ることができる。反応例として例えば金属触媒及び塩基存在下、クロスカップリングさせる方法が挙げられる。金属触媒の具体例としては[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、酢酸パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等が挙げられる。塩基の具体例としては炭酸カリウム、リン酸カリウム、炭酸セシウム等が挙げられる。反応条件としては例えばMetal−Catalyzed Cross−Coupling Reactions(Armin de Meijere、Francois Diedrich共著、Wiley−VCH)、Palladium Reagents and Catalysts:New Perspectives for the 21st Century(Jiro Tsuji著、Wiley & Sons,Ltd.)、Cross−Coupling Reactions:A Practical Guide(Topics in Current Chemistry)(S.L.Buchwald、K.Fugami、T.Hiyama、M.Kosugi、M.Miura、N.Miyaura、A.R.Muci、M.Nomura、E.Shirakawa、K.Tamao著、Springer)等の文献に記載の方法が挙げられる。
【0062】
一般式(S−5)で表される化合物を例えば塩基存在下一般式(S−6)で表される化合物と反応させることにより一般式(S−7)で表される化合物を得る。塩基の具体例としては炭酸カリウム、炭酸セシウム等が挙げられる。
【0063】
一般式(S−7)で表される化合物の保護基(PG)を脱保護する。脱保護の反応条件としては、一般式(S−8)で表される化合物を与えるものであれば特に制限は無いが、例えば前記文献に挙げられているものが好ましい。
【0064】
一般式(S−8)で表される化合物を例えば塩基存在下一般式(S−9)で表される化合物と反応させることにより一般式(S−10)で表される化合物を得る。塩基としては前記のものが挙げられる。
【0065】
前記各工程において記載した以外の反応条件として、例えば実験化学講座(日本化学会編、丸善株式会社発行)、Organic Syntheses(A John Wiley & Sons,Inc.,Publication)、Beilstein Handbook of Organic Chemistry(Beilstein−Institut fuer Literatur der Organischen Chemie、Springer−Verlag Berlin and Heidelberg GmbH & Co.K)、Fiesers’ Reagents for Organic Synthesis(John Wiley & Sons,Inc.)等の文献に記載のもの又はSciFinder(Chemical Abstracts Service,American Chemical Society)、Reaxys(Elsevier Ltd.)等のデータベースに収載のものが挙げられる。
【0066】
また、各工程において適宜反応溶媒を用いることができる。溶媒の具体例としてはエタノール、テトラヒドロフラン、トルエン、ジクロロメタン、水等が挙げられる。有機溶媒及び水の二相系で反応を行う場合、相間移動触媒を添加することも可能である。相間移動触媒の具体例としてはベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
【0067】
また、各工程において必要に応じて精製を行うことができる。精製方法としてはクロマトグラフィー、再結晶、蒸留、昇華、再沈殿、吸着、分液処理等が挙げられる。精製剤の具体例としてはシリカゲル、アルミナ、活性炭等が挙げられる。
(製法2)下記式(S−24)で表される化合物の製造
【0069】
(式中、P
1、P
2、S
1、S
2、Lは各々独立して一般式(I)で定義されたものと同一のものを表し、rは各々独立して0から4の整数を表し、sは各々独立して0から3の整数を表し、halogenはハロゲン原子又はハロゲン等価体を表し、PGは保護基を表す。)
一般式(S−11)で表される化合物を例えば塩基存在下一般式(S−12)で表される化合物と反応させることにより一般式(S−13)で表される化合物を得る。塩基の具体例としては炭酸カリウム、炭酸セシウム等が挙げられる。
【0070】
一般式(S−13)で表される化合物のヒドロキシル基を保護基(PG)により保護する。保護基(PG)としては製法1記載の文献に挙げられているものが好ましい。保護基の具体例としてはテトラヒドロピラニル基等が挙げられる。
【0071】
一般式(S−14)で表される化合物をホウ酸化することにより一般式(S−15)で表される化合物を得る。ホウ酸化の方法としては一般式(S−14)で表される化合物をグリニャール試薬へと誘導し、ホウ酸エステルと反応させた後、加水分解する方法、又は一般式(S−14)で表される化合物をハロゲンリチウム交換反応によりリチオ化し、ホウ酸エステルと反応させた後、加水分解する方法が挙げられる。ホウ酸エステルの具体例としてはホウ酸トリメチル、ホウ酸トリイソプロピル等が挙げられる。リチオ化剤の具体例としてはブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等が挙げられる。
【0072】
一般式(S−15)で表される化合物を一般式(S−16)で表される化合物とクロスカップリングさせることにより一般式(S−17)で表される化合物を得ることができる。金属触媒、塩基及び反応条件としては製法1記載のものが挙げられる。
【0073】
一般式(S−17)で表される化合物をホウ酸化することにより一般式(S−18)で表される化合物を得る。ホウ酸化の方法としては一般式(S−17)で表される化合物の芳香環上のプロトンを強塩基により引き抜き、ホウ酸エステルと反応させた後、加水分解する方法が挙げられる。強塩基としては例えばブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド等が挙げられる。必要に応じてテトラメチルエチレンジアミン等を添加しても良い。ホウ酸エステルとしては前記のものが挙げられる。また、一般式(S−17)で表される化合物をハロゲン化した後、前記と同様にホウ酸化する方法も挙げられる。
【0074】
一般式(S−18)で表される化合物を一般式(S−19)で表される化合物とクロスカップリングさせることにより一般式(S−20)で表される化合物を得ることができる。金属触媒、塩基及び反応条件としては製法1記載のものが挙げられる。
【0075】
一般式(S−20)で表される化合物を一般式(S−21)で表される化合物と光延反応により反応させることによって一般式(S−22)で表される化合物を得る。アゾジカルボン酸の具体例としてはアゾジカルボン酸ジエチル、アゾジカルボン酸ジイソプロピル等が挙げられる。ホスフィンの具体例としてはトリフェニルホスフィン等が挙げられる。また、シアノメチレントリブチルホスホラン等の角田試薬を用いてもよい。
【0076】
一般式(S−22)で表される化合物の保護基(PG)を脱保護する。脱保護の反応条件としては、製法1記載の文献に挙げられているものが好ましい。
【0077】
一般式(S−23)で表される化合物に重合性基を導入することにより一般式(S−24)で表される化合物を得る。
【0078】
前記各工程において記載した以外の反応条件として、製法1記載の文献に記載のもの又はデータベースに収載のものが挙げられる。また、製法1同様に各工程において適宜反応溶媒を用いることができる。製法1同様に各工程において必要に応じて精製を行うことができる。
【0079】
本願発明の化合物は、ネマチック液晶組成物、スメクチック液晶組成物、キラルスメクチック液晶組成物及びコレステリック液晶組成物に使用することが好ましい。本願発明の反応性化合物を用いる液晶組成物において本願発明以外の化合物を添加しても構わない。
【0080】
本願発明の反応性化合物と混合して使用される他の反応性化合物としては、具体的には一般式(II−1)
【0084】
(式中、P
3、P
4及びP
5は各々独立して一般式(I)におけるP
1又はP
2と同じ意味を表し、S
3、S
4及びS
5は各々独立して単結合又は炭素原子数1〜20個のアルキレン基を表すが、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は−O−、−COO−、−OCO−、−OCOO−に置き換えられても良く、X
3、X
4及びX
5は各々独立して−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、Z
1及びZ
2は各々独立して−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CH
2−、−CF
2CF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し(ただし、P
3−S
3、S
3−X
3、X
4−S
4、S
4−P
4、P
5−S
5、及びS
5−X
5、は、−O−O−、−NH−O−、−O−NH−、−O−S−又は−S−O−基を含まない。)、A
3、A
4、A
5及びA
6は各々独立して、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、A
3、A
4、A
5及びA
6は各々独立して無置換であるか又はハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素原子数1から20のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基に置換されていても良く、R
1は水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、ニトロ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基、若しくは、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖又は分岐アルキル基を表し、m1及びm2は0、1、2又は3を表すが、m1及び/又はm2が2又は3を表す場合、2個あるいは3個存在するA
3、A
5、Z
1及び/又はZ
2はそれぞれ、同一であっても異なっていても良いが、一般式(I)で表される化合物を除く。)で表される化合物が好ましく、P
3、P
4及びP
5は各々独立してアクリル基又はメタクリル基である場合が特に好ましい。一般式(II−1)で表される化合物として具体的には、一般式(II−1A)
【0086】
(式中、W
1及びW
2は各々独立して水素又はメチル基を表し、S
6及びS
7は各々独立して炭素原子数2から18のアルキレン基、X
6及びX
7は各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は単結合を表し、Z
3及びZ
4は各々独立して−COO−又は−OCO−を表し、A
7、A
8及びA
9は各々独立して無置換或いはフッ素原子、塩素原子、炭素原子数1から4のアルキル基又は炭素原子数1から4のアルコキシ基によって置換された1,4−フェニレン基を表す。)で表される化合物が好ましく、下記式(II−1A−1)から式(II−1A−8)で表される化合物が特に好ましい。
【0088】
(式中、W
1及びW
2は各々独立して水素又はメチル基を表し、S
8は一般式(II−1A)におけるS
6と同じ意味を表し、S
9は一般式(II−1A)におけるS
7と同じ意味を表す。)上記式(II−1A−1)から式(II−1A−8)において、S
8及びS
9が各々独立して炭素原子数2から8のアルキレン基である化合物がさらに好ましい。
【0091】
(式中、W
1及びW
2は各々独立して水素又はメチル基を表し、S
10及びS
11は各々独立して炭素原子数2から18のアルキレン基、X
8及びX
9は各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は単結合を表し、Z
5は−COO−又は−OCO−を表し、A
10、A
11及びA
12は各々独立して無置換或いはフッ素原子、塩素原子、炭素原子数1から4のアルキル基又は炭素原子数1から4のアルコキシ基によって置換された1,4−フェニレン基を表す。)で表される化合物が好ましく、下記式(II−1B−1)から式(II−1B−8)で表される化合物が特に好ましい。
【0093】
(式中、W
1及びW
2は各々独立して水素又はメチル基を表し、S
12は一般式(II−1B)におけるS
10と同じ意味を表し、S
13は一般式(II−1B)におけるS
11と同じ意味を表す。)上記式(II−1B−1)から式(II−1B−8)において、耐熱性及び耐久性の観点から、式(II−1B−2)、式(II−1B−5)、式(II−1B−6)、式(II−1B−7)及び式(II−1B−8)で表される化合物が好ましく、式(II−1B−2)で表される化合物がさらに好ましく、S
12及びS
13が各々独立して炭素原子数2から8のアルキレン基である化合物が特に好ましい。
【0094】
この他、好ましい2官能重合性化合物としては下記一般式(II−1C−1)から式(II−1C−8)で表される化合物が挙げられる。
【0096】
(式中、W
1及びW
2は各々独立して水素又はメチル基を表し、S
14及びS
15は各々独立して炭素原子数2から18のアルキレン基を表す。)上記式(II−1C−1)から式(II−1C−8)において、式(II−1C−2)、式(II−1C−3)、式(II−1C−4)、式(II−1C−6)、式(II−1C−7)及び式(II−1C−8)で表される化合物が好ましく、S
14及びS
15が各々独立して炭素原子数2から8のアルキレン基である化合物が特に好ましい。
【0097】
また、一般式(II−2)で表される化合物として具体的には、下記一般式(II−2−1)から式(II−2−9)で表される化合物が挙げられる。
【0099】
(式中、P
6は一般式(I)におけるP
1又はP
2と同じ意味を表し、S
16は単結合又は炭素原子数1から20個のアルキレン基を表すが、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は−O−、−COO−、−OCO−、−OCOO−に置き換えられても良く、X
10は単結合、−O−、−COO−、−OCO−を表し、Z
6は単結合、−COO−、−OCO−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表し、A
13は1,4−フェニレン基又はナフタレン−2,6−ジイル基を表すが、A
13は無置換であるか又はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基に置換されていても良く、L
1はフッ素原子、塩素原子、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−に置き換えられても良い炭素原子数1から10の直鎖状又は分岐状アルキル基を表し、rは0から4の整数を表し、R
2は水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−に置き換えられても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表す。)
本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物には、当該組成物の液晶性を大きく損なわない程度に、液晶性を示さない重合性化合物を添加することも可能である。具体的には、この技術分野で高分子形成性モノマーあるいは高分子形成性オリゴマーとして認識される化合物であれば特に制限なく使用可能である。具体例として例えば「光硬化技術データブック、材料編(モノマー,オリゴマー,光重合開始剤)」(市村國宏、加藤清視監修、テクノネット社)記載のものが挙げられる。
【0100】
また、本願発明の化合物は光重合開始剤を使用しなくても重合させることが可能であるが、目的により光重合開始剤を添加しても構わない。その場合は光重合開始剤の濃度は、本願発明の化合物に対し0.1質量%から15質量%が好ましく、0.2質量%から10質量%がより好ましく、0.4質量%から8質量%がさらに好ましい。光重合開始剤としては、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、アシルフォスフィンオキサイド類等が挙げられる。光重合開始剤の具体例としては2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン(IRGACURE 907)、安息香酸[1−[4−(フェニルチオ)ベンゾイル]ヘプチリデン]アミノ(IRGACURE OXE 01)等が挙げられる。熱重合開始剤としては、アゾ化合物、過酸化物等が挙げられる。熱重合開始剤の具体例としては2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)等が挙げられる。また、1種類の重合開始剤を用いても良く、2種類以上の重合開始剤を併用して用いても良い。
【0101】
また、本発明の液晶組成物には、その保存安定性を向上させるために、安定剤を添加することもできる。使用できる安定剤としては、例えば、ヒドロキノン類、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β−ナフチルアミン類、β−ナフトール類、ニトロソ化合物等が挙げられる。安定剤を使用する場合の添加量は、組成物に対して0.005質量%から1質量%の範囲が好ましく、0.02質量%から0.8質量%がより好ましく、0.03質量%から0.5質量%がさらに好ましい。また、1種類の安定剤を用いても良く、2種類以上の安定剤を併用して用いても良い。安定剤としては、具体的には式(III−1)から式(III−36)
【0109】
(式中、nは0から20の整数を表す。)で表される化合物が好ましい。
【0110】
また、本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物をフィルム類、光学素子類、機能性顔料類、医薬品類、化粧品類、コーティング剤類、合成樹脂類等の用途に利用する場合には、その目的に応じて金属、金属錯体、染料、顔料、色素、蛍光材料、燐光材料、界面活性剤、レベリング剤、チキソ剤、ゲル化剤、多糖類、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタン等の金属酸化物等を添加することもできる。
【0111】
本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を重合することにより得られるポリマーは種々の用途に利用できる。例えば、本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を、配向させずに重合することにより得られるポリマーは、光散乱板、偏光解消板、モアレ縞防止板として利用可能である。また、配向させた後に重合することにより得られるポリマーは、光学異方性を有しており有用である。このような光学異方体は、例えば、本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を、布等でラビング処理した基板、有機薄膜を形成した基板又はSiO
2を斜方蒸着した配向膜を有する基板に担持させるか、基板間に挟持させた後、当該重合性液晶組成物を重合することによって製造することができる。
【0112】
重合性液晶組成物を基板上に担持させる際の方法としては、スピンコーティング、ダイコーティング、エクストルージョンコーティング、ロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、ディッピング、プリント法等を挙げることができる。またコーティングの際、重合性液晶組成物に有機溶媒を添加しても良い。有機溶媒としては、炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、非プロトン性溶媒等を使用することができるが、例えば炭化水素系溶媒としてはトルエン又はヘキサンを、ハロゲン化炭化水素系溶媒としては塩化メチレンを、エーテル系溶媒としてはテトラヒドロフラン、アセトキシ−2−エトキシエタン又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを、アルコール系溶媒としてはメタノール、エタノール又はイソプロパノールを、ケトン系溶媒としてはアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、γ−ブチルラクトン又はN−メチルピロリジノン類を、エステル系溶媒としては酢酸エチル又はセロソルブを、非プロトン性溶媒としてはジメチルホルムアミド又はアセトニトリルを挙げることができる。これらは単独でも、組み合わせて用いても良く、その蒸気圧と重合性液晶組成物の溶解性を考慮し、適宜選択すれば良い。添加した有機溶媒を揮発させる方法としては、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥を用いることができる。重合性液晶材料の塗布性をさらに向上させるためには、基板上にポリイミド薄膜等の中間層を設けることや、重合性液晶材料にレベリング剤を添加する事も有効である。基板上にポリイミド薄膜等の中間層を設ける方法は、重合性液晶材料を重合することにより得られるポリマーと基板との密着性を向上させるために有効である。
【0113】
上記以外の配向処理としては、液晶材料の流動配向の利用、電場又は磁場の利用を挙げることができる。これらの配向手段は単独で用いても、また組み合わせて用いても良い。さらに、ラビングに代わる配向処理方法として、光配向法を用いることもできる。基板の形状としては、平板の他に、曲面を構成部分として有していても良い。基板を構成する材料は、有機材料、無機材料を問わずに用いることができる。基板の材料となる有機材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアリレート、ポリスルホン、トリアセチルセルロース、セルロース、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられ、また、無機材料としては、例えば、シリコン、ガラス、方解石等が挙げられる。
【0114】
本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を重合させる際、迅速に重合が進行することが望ましいため、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射することにより重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良く、非偏光光源を用いても良い。また、液晶組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性を有していなければならない。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場又は温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、さらに活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いても良い。また、照射時の温度は、本発明の重合性液晶組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。特に、光重合によって光学異方体を製造しようとする場合には、意図しない熱重合の誘起を避ける意味からも可能な限り室温に近い温度、即ち、典型的には25℃での温度で重合させることが好ましい。活性エネルギー線の強度は、0.1mW/cm
2〜2W/cm
2が好ましい。強度が0.1mW/cm
2以下の場合、光重合を完了させるのに多大な時間が必要になり生産性が悪化してしまい、2W/cm
2以上の場合、重合性液晶化合物又は重合性液晶組成物が劣化してしまう危険がある。
【0115】
重合によって得られた当該光学異方体は、初期の特性変化を軽減し、安定的な特性発現を図ることを目的として熱処理を施すこともできる。熱処理の温度は50〜250℃の範囲であることが好ましく、熱処理時間は30秒〜12時間の範囲であることが好ましい。
【0116】
このような方法によって製造される当該光学異方体は、基板から剥離して単体で用いても、剥離せずに用いても良い。また、得られた光学異方体を積層しても、他の基板に貼り合わせて用いてもよい。
【実施例】
【0117】
以下、実施例を挙げて本発明を更に記述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
(実施例1)式(I−1)で表される化合物の製造
【0118】
【化47】
【0119】
反応容器に式(I−1−1)で表される化合物10.0g(0.0448モル)、3−クロロプロパノール5.51g(0.0583モル)、炭酸セシウム21.9g(0.0672モル)、ジメチルスルホキシド100mLを加え、65℃で5時間加熱撹拌した。ジクロロメタンで希釈し、水、食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−1−2)で表される化合物10.7g(0.0381モル)を得た。
【0120】
反応容器に式(I−1−2)で表される化合物10.7g(0.0381モル)、式(I−1−3)で表される化合物5.33g(0.0381モル)、炭酸カリウム7.90g(0.0572モル)、テトラヒドロフラン100mL、水100mLを加えた。系内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.44g(0.38ミリモル)を加え、7時間加熱還流させた。酢酸エチルで希釈し、塩酸、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−1−4)で表される化合物9.03g(0.0305モル)を得た。
【0121】
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−1−4)で表される化合物9.03g(0.0305モル)、パラトルエンスルホン酸ピリジニウム0.38g(1.52ミリモル)、ジクロロメタン100mLを加えた。氷冷しながら3,4−ジヒドロ−2H−ピラン3.85g(0.0457モル)を滴下した。室温で10時間撹拌した後、飽和重曹水、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(アルミナ)により精製を行い、式(I−1−5)で表される化合物11.0g(0.0290モル)を得た。
【0122】
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−1−5)で表される化合物11.0g(0.0290モル)、テトラヒドロフラン100mLを加えた。sec−ブチルリチウム溶液(1.0モル/L)38mLを−70℃で滴下した。そのまま2時間撹拌した後、ホウ酸トリイソプロピル7.08g(0.0376モル)を滴下した。そのまま2時間撹拌した後、10%塩酸100mLを0℃で滴下した。室温で1時間撹拌した後、食塩水で洗浄した。濃縮、乾燥させることにより式(I−1−6)で表される化合物9.36g(0.0275モル)を得た。
【0123】
反応容器に式(I−1−7)で表される化合物15.0g(0.0682モル)、3−クロロプロパノール8.38g(0.0886モル)、炭酸セシウム33.3g(0.102モル)、ジメチルスルホキシド150mLを加え、65℃で5時間加熱撹拌した。ジクロロメタンで希釈し、塩酸、水、食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−1−8)で表される化合物17.1g(0.0614モル)を得た。
【0124】
反応容器に式(I−1−8)で表される化合物2.00g(7.19ミリモル)、式(I−1−6)で表される化合物2.45g(7.19ミリモル)、炭酸カリウム1.49g(0.0108モル)、テトラヒドロフラン25mL、水25mLを加えた。系内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)83.1mg(0.072ミリモル)を加え、7時間加熱還流させた。トルエン/酢酸エチルで希釈し、塩酸、水、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−1−9)で表される化合物2.57g(5.75ミリモル)を得た。
【0125】
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−1−9)で表される化合物2.57g(5.75ミリモル)、ジイソプロピルエチルアミン1.86g(14.4ミリモル)、ジクロロメタン25mLを加えた。氷冷しながら塩化アクリロイル1.20g(13.2ミリモル)を滴下した。室温で5時間撹拌した後、5%塩酸、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−1)で表される化合物2.23gを得た。
転移温度(昇温5℃/分): C 105 S 198−215 N
1H NMR(CDCl
3)δ 2.20(quin,2H),2.25(quin,2H),4.13(t,2H),4.21(t,2H),4.40(t,2H),4.43(t,2H),5.85(dd,2H),6.14(dd,1H),6.15(dd,1H),6.44(m,2H),7.00(d,2H),7.18(m,2H),7.47−7.57(m,5H),7.72(dd,1H),7.81(d,2H),8.00(s,1H)ppm.
13C NMR(CDCl
3)δ 28.58,28.60,61.34,61.40,64.30,64.35,106.31,114.41,114.49,114.65,119.33,119.53,122.86,122.89,125.55,126.13,127.02,127.16,127.42,128.03,128.32,129.11,129.82,130.08,130.11,130.68,130.73,130.95,130.99,133.97,134.68,134.70,141.63,141.71,157.08,158.41,158.81,161.27,166.20,166.22ppm.
(実施例2)式(I−2)で表される化合物の製造
【0126】
【化48】
【0127】
実施例1において3−クロロプロパノールを6−クロロヘキサノールに、式(I−1−3)で表される化合物を式(I−2−2)で表される化合物に置き換えた以外は同様の方法によって式(I−2)で表される化合物を得た。
IR:3060−3030,2975−2920,1725,1630,1200,1160,1130,750,690cm
−1.
LRMS:656
(実施例3)式(I−3)で表される化合物の製造
【0128】
【化49】
【0129】
特開2012−240945号公報に記載の方法に従い式(I−3−1)で表される化合物を製造した。実施例1において式(I−1−1)で表される化合物を式(I−2−6)で表される化合物に、式(I−1−7)で表される化合物を式(I−3−1)で表される化合物に置き換えた以外は同様の方法によって式(I−3)で表される化合物を得た。
IR:3060−3030,2975−2920,1725,1630,1200,1160,1130,750,690cm
−1.
LRMS:598
(実施例4)式(I−4)で表される化合物の製造
【0130】
【化50】
【0131】
反応容器に式(I−3−2)で表される化合物1.00g(3.08ミリモル)、式(I−1−6)で表される化合物1.05g(3.08ミリモル)、炭酸カリウム0.64g(4.61ミリモル)、テトラヒドロフラン15mL、水15mLを加えた。系内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.18g(0.154ミリモル)を加え、7時間加熱還流させた。トルエン/酢酸エチルで希釈し、塩酸、水、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−4−1)で表される化合物1.33g(2.46ミリモル)を得た。
【0132】
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−4−1)で表される化合物1.33g(2.46ミリモル)、ジイソプロピルエチルアミン0.79g(6.15ミリモル)、ジクロロメタン15mLを加えた。氷冷しながら塩化アクリロイル0.51g(5.66ミリモル)を滴下した。室温で5時間撹拌した後、5%塩酸、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−4)で表される化合物1.12gを得た。
IR:3060−3030,2975−2920,1725,1630,1200,1160,1130,750,690cm
−1.
LRMS:648
(実施例5)式(I−5)で表される化合物の製造
【0133】
【化51】
【0134】
実施例1において式(I−1−3)で表される化合物を式(I−2−2)で表される化合物に、式(I−1−8)で表される化合物を式(I−3−2)で表される化合物に置き換えた以外は同様の方法によって式(I−5)で表される化合物を得た。
IR:3060−3030,2975−2920,1725,1630,1200,1160,1130,750,690cm
−1.
LRMS:666
(実施例6)式(I−6)で表される化合物の製造
【0135】
【化52】
【0136】
実施例1において3−クロロプロパノールを6−クロロヘキサノールに、式(I−1−1)で表される化合物を式(I−2−6)に、式(I−1−3)で表される化合物を式(I−2−2)に、式(I−1−8)で表される化合物を式(I−3−2)で表される化合物に、塩化アクリロイルを塩化メタクリロイルに置き換えた以外は同様の方法によって式(I−6)で表される化合物を得た。
IR:3060−3030,2975−2920,1725,1630,1200,1160,1130,750,690cm
−1.
LRMS:686
(実施例7)式(I−7)で表される化合物の製造
【0137】
【化53】
【0138】
特開2005−047838号公報に記載の方法によって式(I−7−1)で表される化合物を製造した。実施例1において3−クロロプロパノールを6−クロロヘキサノールに、式(I−1−1)で表される化合物を式(I−7−1)で表される化合物に置き換えた以外は同様の方法によって式(I−7−2)で表される化合物を得た。
【0139】
実施例1において式(I−1−4)で表される化合物を式(I−7−2)で表される化合物に置き換えた以外は同様の方法によって式(I−7−4)で表される化合物を得た。
【0140】
実施例1において式(I−1−8)で表される化合物を式(I−7−5)で表される化合物に、式(I−1−6)で表される化合物を式(I−7−4)で表される化合物に置き換えた以外は同様の方法によって式(I−7)で表される化合物を得た。
IR:3060−3030,2975−2920,1725,1630,1200,1160,1130,750,690cm
−1.
LRMS:574
(実施例8)式(I−8)で表される化合物の製造
【0141】
【化54】
【0142】
反応容器に式(I−1−2)で表される化合物5.00g(0.0178モル)、ビス(ピナコラート)ジボロン4.97g(0.0196モル)、酢酸カリウム5.24g(0.0534モル)、ジメチルスルホキシド50mLを加えた。系内を窒素置換した後、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド0.39g(0.534ミリモル)を加え、85℃で15時間加熱した。トルエン/酢酸エチルで希釈し、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−8−1)で表される化合物4.67g(0.0142モル)を得た。
【0143】
反応容器に式(I−8−1)で表される化合物4.67g(0.0142モル)、式(I−8−2)で表される化合物4.52g(0.0142モル)、炭酸カリウム2.95g(0.0213モル)、テトラヒドロフラン40mL、水40mLを加えた。系内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.16g(0.142ミリモル)を加え、5時間加熱還流させた。トルエン/酢酸エチルで希釈し、塩酸、水、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−8−3)で表される化合物4.18g(0.0107モル)を得た。
【0144】
同様にカップリング反応を繰り返すことにより式(I−8−7)で表される化合物を得た。実施例1において式(I−1−9)で表される化合物を式(I−8−7)で表される化合物に置き換えた以外は同様の方法によって式(I−8)で表される化合物を得た。
IR:3060−3030,2975−2920,1725,1630,1200,1160,1130,750,690cm
−1.
LRMS:680
(実施例9)式(I−9)で表される化合物の製造
【0145】
【化55】
【0146】
実施例1において式(I−1−1)で表される化合物を式(I−7−5)で表される化合物に、3−クロロプロパノールを4−クロロブタノールに置き換えた以外は同様の方法によって式(I−9−1)で表される化合物を得た。
【0147】
反応容器に式(I−9−2)で表される化合物2.00g(7.97ミリモル)、4−クロロブタノール1.12g(0.0104モル)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン1.82g(0.0119モル)、トルエン20mLを加えた。100℃で5時間加熱撹拌した後、酢酸エチルで希釈し塩酸、水、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行うことにより式(I−9−3)で表される化合物2.06g(6.37ミリモル)を得た。
【0148】
実施例8において式(I−1−2)で表される化合物を式(I−9−3)で表される化合物に置き換えた以外は同様の方法によって式(I−9−4)で表される化合物を得た。
【0149】
実施例8において式(I−8−6)で表される化合物を式(I−9−4)で表される化合物に、式(I−3−3)で表される化合物を式(I−9−1)で表される化合物に置き換えた以外は同様の方法によって式(I−9−5)で表される化合物を得た。
【0150】
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−9−5)で表される化合物3.00g(6.19ミリモル)、3−エチル−3−オキセタンメタノール1.65g(0.0142モル)、トリフェニルホスフィン3.73g(0.0142モル)、テトラヒドロフラン30mLを加えた。氷冷しながらアゾジカルボン酸ジイソプロピル2.75g(0.0136モル)を滴下した。室温で5時間撹拌した後、メタノール/水を加えた。析出物を濾過し乾燥させた後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−9)で表される化合物2.95gを得た。
LRMS:680
(実施例10)式(I−10)で表される化合物の製造
【0151】
【化56】
【0152】
実施例1において式(I−1−1)で表される化合物を式(I−10−1)で表される化合物に置き換えた以外は同様の方法によって式(I−10−2)で表される化合物を得た。
【0153】
実施例8と同様の方法によってカップリング反応を繰り返すことによって式(I−10−6)で表される化合物を得た。
【0154】
反応容器に式(I−10−6)で表される化合物2.00g(3.89ミリモル)、2−(トリフルオロメチル)アクリル酸1.20g(8.55ミリモル)、N,N−ジメチルアミノピリジン95.0mg(0.78ミリモル)、ジクロロメタン30mLを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミド1.08g(8.55ミリモル)を滴下した。室温で8時間撹拌した後、析出物を濾過し溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い式(I−10)で表される化合物2.06gを得た。
LRMS:758
実施例1から実施例10と同様の方法、公知の方法に準拠した方法を用いて、下記式(I−11)から式(I−98)で表される化合物を製造した。
【0155】
【化57】
【0156】
【化58】
【0157】
【化59】
【0158】
【化60】
【0159】
【化61】
【0160】
【化62】
【0161】
【化63】
【0162】
【化64】
【0163】
【化65】
【0164】
【化66】
【0165】
【化67】
【0166】
【化68】
【0167】
【化69】
【0168】
【化70】
【0169】
【化71】
【0170】
【化72】
【0171】
【化73】
【0172】
【化74】
【0173】
(実施例11〜20、比較例1〜4)
実施例1から実施例10記載の式(I−1)から式(I−10)で表される化合物及び、特許文献1記載の化合物(R−1)、特許文献2記載の化合物(R−2)、特許文献3記載の化合物(R−3)並びに特許文献4記載の化合物(R−4)を評価対象の化合物とした。
【0174】
【化75】
【0175】
【化76】
【0176】
【化77】
【0177】
保存安定性を評価するために、評価対象の化合物の安定保存濃度を測定した。安定保存濃度は、母体液晶に評価対象となる化合物を5%から20%まで5%刻みで添加した組成物を各々調製し、調製した組成物を19.2℃で3週間放置した後に、結晶の析出が起こらない当該化合物の最大添加濃度と定義する。最大添加濃度が大きい化合物は安定保存濃度が大きく、長期間の保存によっても結晶の析出が発生しないことを意味する。
【0178】
安定保存濃度を測定するために、下記化合物(X−1)から化合物(X−4)で表される化合物からなる液晶組成物を母体液晶(X)とした。また、評価対象の化合物の屈折率異方性を評価した。母体液晶(X)の組成を表1に、評価対象の化合物の安定保存濃度及び屈折率異方性を表2に示す。
【0179】
【化78】
【0180】
【表1】
【0181】
【表2】
【0182】
表2より、本願発明の式(I−1)から式(I−10)で表される化合物はいずれも、屈折率異方性が同等である比較化合物(R−2)から比較化合物(R−4)と比較して、結晶の析出の起こらない最大添加濃度が高いことから、高い保存安定性を示すことがわかる。
(実施例21〜実施例30、比較例5〜比較例8)
配向膜用ポリイミド溶液を厚さ0.7mmのガラス基材にスピンコート法を用いて塗布し、120℃で8分乾燥した後、180℃で80分焼成することにより塗膜を得た。得られた塗膜をラビング処理した。ラビング処理は、市販のラビング装置を用いて行った。
【0183】
母体液晶(X)に評価対象となる化合物を、得られるレンチキュラーレンズの屈折率異方性が0.165となるよう添加量を調節した組成物各々に対し、光重合開始剤Irgacure907(BASF社製)を1%及び4−メトキシフェノールを0.1%添加した。この組成物をラビングしたガラス基材に90℃でスピンコート法により塗布した。得られた塗布膜の上に配向処理が施された樹脂金型をラビングしたガラス基材の配向方向と樹脂金型の配向方向が並行になるように配置した後、室温まで冷却した。その後、高圧水銀ランプを用いて、紫外線を50mW/cm
2の強度で40秒間照射した。次に樹脂金型をゆっくり取り外すことによりレンチキュラーレンズを得た(
図1参照)。得られた各々のレンチキュラーレンズの膜厚は50μm、屈折率異方性は0.165であった。重合性組成物を完全に硬化させることを目的として、得られたレンチキュラーレンズを230℃で5分間ポストベークすなわち加熱処理した。
【0184】
ポストベーク後の配向の乱れについて、偏光顕微鏡を使用して観察した。配向の乱れが無い場合は◎、配向の乱れがごくわずかの場合は〇、配向の乱れがやや多い場合は△、配向の乱れが非常に多い場合は×とした。結果を下記表3に示す。
【0185】
【表3】
【0186】
表3より、本願発明の式(I−1)から式(I−10)で表される化合物を用いて作製したレンチキュラーレンズはいずれも比較化合物(R−1)から比較化合物(R−4)を用いて作製したレンチキュラーレンズと比較して、ポストベーク後の配向の乱れが少ないことがわかる。
【0187】
以上の結果から、実施例1から実施例10記載の本願発明である式(I−1)から式(I−10)で表される化合物は、重合性組成物を構成した場合に保存安定性が高く、屈折率異方性が高く、本願発明の化合物を含有する組成物を用いた光学異方体は、ポストベーク後に配向の乱れが生じにくいことがわかる。従って、本願発明の化合物は、重合性組成物の構成部材として有用である。また、本願発明の化合物を含有する組成物を用いた光学異方体は光学フィルム等の用途に有用である。