(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0021】
尚、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。また、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態のセパレータ製造装置1を示す模式図である。セパレータ製造装置1は、例えば、ポリエチレンなどからなる多孔質の基材の表面にアラミド樹脂やセラミックスなどからなる耐熱層が積層されているセパレータを製造するための装置である。
【0023】
図1に示すように、本実施形態のセパレータ製造装置1は、保持ロール2と、塗布装置3と、乾燥・硬化装置(乾燥装置)4と、検査装置5と、巻取りロール6と、搬送ロール7と、展張ロール8と、を備えている。
【0024】
尚、本実施形態において、「搬送ロール」とは、フィルム材21を搬送するために用いるロール状の部材を指す。搬送ロール7は、フィルム材21の搬送経路内において最も上流側に配置されている保持ロール2と、最も下流側に配置されている巻取りロール6との間に配置されている。
【0025】
また、本実施形態において、「フィルム材」とは、セパレータ10を構成する基材11(
図2参照)が複数枚切り出される前の帯状の部材である。すなわち、フィルム材21はセパレータ10を構成する基材11の素材となるものである。本実施形態において、フィルム材21としては、セパレータ10の基材11の幅の約3倍の幅を有するものを用いる(
図12(a)参照)。
【0026】
図2は、本実施形態の帯状のセパレータ10の一部断面斜視図である。
図2に示すように、本実施形態のセパレータ10は、基材11に耐熱層12が形成された帯状のものである。セパレータ10は、例えば、捲回型の二次電池において、正極板と負極板との間に捲回される絶縁体である。
【0027】
以下、基材11、耐熱層12、セパレータ10などの帯状の部材について、巻き方向となる方向を長手方向(
図2中の奥行き方向)、長手方向に直交する方向を幅方向(
図2中の左右方向)という。尚、
図2においてはセパレータ10の厚み方向(
図2中の上下方向)を拡大して示しているが、実際の厚みは幅方向の大きさに対してごく薄いものである。
【0028】
本実施形態のセパレータ10において、耐熱層12は、基材11の片面にほぼ均一の厚みで形成されている。なお、図示しないが、セパレータ10の両面に耐熱層12が形成されていてもよい。
【0029】
本実施形態のセパレータ10の基材11は、電気絶縁性を有する樹脂材料から形成されている。例えば、基材11としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、含窒素芳香族重合体等の材質からなる、多孔質膜を用いることができる。また、これらの材質を2種以上用いた基材としてもよいし、異なる材質からなる2層以上の層を積層した積層基材としてもよい。積層する場合には、それぞれの層の空孔率が異なっていてもよい。
【0030】
耐熱層12は、電気絶縁性を有するとともに基材11よりも耐熱性の大きい材料から形成されている。例えば、耐熱層12としては、アルミナ等のセラミックスやアラミド樹脂等の高融点の樹脂を用いることができる。本実施形態では、耐熱層12の厚みは基材11の厚みに比べて薄く、例えば基材11の厚みの1/2〜1/6程度である。
【0031】
尚、セパレータ10の厚みは二次電池のエネルギー密度が上がり、内部抵抗が小さくなるという点で、機械的強度が保たれる限り薄くした方がよい。セパレータ10の厚みは、好ましくは10〜200μm程度、より好ましくは10〜30μm程度、さらに好ましくは、10〜20μm程度である。
【0032】
本実施形態では、基材11に耐熱層12を形成する方法として、水を含む溶媒によって水系塗布液12aとしたアルミナをグラビア塗工によって塗布する方法を採用している。
【0033】
本実施形態において、耐熱層12の幅は基材11の幅に比べて小さい。基材11の面のうち耐熱層12が形成された形成領域10SAは、塗布装置3のロール部材30の回転動作により塗布液12aが転写された領域である。形成領域10SAの大きさは、ロール部材30の加工領域30SA(
図3(a)及び
図3(b)参照)に対応した大きさとなっている。
【0034】
セパレータ10の幅方向の両端部には、耐熱層12が形成されていない非形成領域10SBがある。非形成領域10SBは、塗布装置3のロール部材30の回転動作により塗布液12aが転写されなかった領域である。非形成領域10SBは、二次電池の製造工程においてセパレータ10が熱融着される領域である。非形成領域10SBの大きさは、ロール部材30の非加工領域30SB(
図3(a)及び
図3(b)参照)に対応した大きさとなっている。非形成領域10SBの幅は、形成領域10SAの幅よりも小さい。非形成領域10SBの幅は、例えば0.1mm以上、より好ましくは1mm以上とする。
【0035】
例えば、リチウムイオン二次電池において、正電極及び負電極は、金属箔にそれぞれの活物質の合材を塗布して形成されている。このようなリチウムイオン二次電池に本実施形態のセパレータ10を用いる場合には、その耐熱層12の幅は、正電極及び負電極のいずれの活物質の合材の幅よりも大きくなっていることが望ましい。
【0036】
尚、本実施形態のセパレータ10には、その長手方向にも間欠的に耐熱層12の形成されていない領域が設けられていることが好ましい。例えば、リチウムイオン二次電池に本実施形態のセパレータ10を用いた場合、セパレータ10の巻始めと巻終わりに相当する箇所は、幅方向の全体に亘って、ある程度の領域で基材11が露出しているとよい。1つの二次電池に使用されるセパレータ10の長さは、用途等に応じて適宜選択される。
【0037】
図1に戻り、保持ロール2は、帯状のフィルム材21が巻き取られた状態で設置されている。フィルム材21は、保持ロール2から繰り出され、展張ロール8によって張力が与えられている。展張ロール8は、矢印B1で示す方向(時計回り)に回転することにより、フィルム材21を矢印Aで示す方向に搬送する。展張ロール8から送り出されたフィルム材21は巻取りロール6によって巻き取られる。
【0038】
塗布装置3は、フィルム材21に対して展張ロール8の側とは反対側に配置されている。塗布装置3は、保持ロール2から送り出されたフィルム材21に耐熱層12の形成材料を含む塗布液12aを塗布するものである。本実施形態の塗布装置3は、塗布液12aをロール部材30の表面に供給し、ロール部材30の表面に付着した塗布液12aをフィルム材21に転写させる、いわゆるロールコーターである。本実施形態においては、ロール部材30の表面に供給された塗布液12aを直接フィルム材21に転写させるダイレクトロールコーターを用いる。
【0039】
尚、ロールコーターとしては、これに限らず、リバースロールコーターを用いることもできる。例えば、リバースロールコーターは、コーティングロール、バックアップロール、メタリングロールから構成される。このリバースロールコーターは、コーティングロールとメタリングロールとの配置間隔を調整することで、コーティングロールに供給される塗布液の量を調整して、フィルム材に所望の量の塗布液を配置するものである。
【0040】
また、ロールコーターとしては、ナイフロールコーターを用いることもできる。例えば、ナイフロールコーターは、コーティングロール、バックアップロール、ナイフロールから構成される。このナイフロールコーターは、先端が鋭い金属板であるナイフロールを用いて、フィルム材に付着した余剰の塗布液を掻き落とすことで、フィルム材に所望の量の塗布液を配置するものである。
【0041】
本実施形態の塗布装置3は、ロール部材30と、供給部31と、ブレード部材32と、タンク33と、ポンプ34と、を備えている。
【0042】
ロール部材30は、回転動作によりフィルム材21に対して塗布液12aを塗布するものである。ロール部材30の一部は、フィルム材21において2つの展張ロール8の間に位置する領域に接触している。ロール部材30は、不図示の支持機構によって回転可能に支持されている。展張ロール8は、フィルム材21に対して進退自在に(
図1の上下方向に)移動可能になっている。展張ロール8の移動量を調整することにより、フィルム材21に対するロール部材30の圧接力を調整することができる。
【0043】
また、ロール部材30は、不図示の動力伝達機構を介してアクチュエーターに接続されており、アクチュエーターからの駆動力を受けて中心軸30aの周りに回転する。ロール部材30は、矢印B2で示すように、フィルム材21の搬送方向とは逆方向(時計回り)に回転する。尚、ロール部材30の回転方向は、これに限らず、フィルム材21の搬送方向と同じ方向(反時計回り)であってもよい。
【0044】
供給部31は、ロール部材30に塗布液12aを供給するものである。供給部31には塗布液12aが収容されている。ロール部材30の一部は、供給部31に収容された塗布液12aに浸漬するようになっている。供給部31は、供給路を介してタンク33及びポンプ34と接続されている。タンク33は、供給部31に供給するための塗布液12aを収容するものである。ポンプ34は、タンク33から供給部31に向けて塗布液12aを加圧供給するものである。
【0045】
尚、タンク33から供給部31への供給路中に、塗布液12aに含まれる不純物や凝固物を取り除くフィルターが設けられていてもよい。
【0046】
また、ロール部材30に塗布液12aを供給する構成としては、
図1に示す供給部31の構成に限るものではない。すなわち、ロール部材30に塗布液12aを供給しうるものであれば、種々の構成を採用することができる。
【0047】
図3は、本実施形態のロール部材30を示す模式図である。
図3(a)は斜視図、
図3(b)は平面図、
図3(c)は側面図、である。
【0048】
図3(a)及び
図3(b)に示すように、ロール部材30の外周面には、複数の微細な溝(グラビアパターン)が形成されている。複数の溝は、ロール部材30の中心軸30aに平行な方向V1に対して斜めに配置されている。例えば、中心軸30aに平行な方向V1と溝の傾斜方向V2とのなす角度θ(以下、溝の傾斜角度という)は、45°程度である。
【0049】
ロール部材30の外周面には、複数の微細な溝(グラビアパターン)が形成された加工領域30SAと、グラビアパターンが形成されていない非加工領域30SBと、が設けられている。非加工領域30SBは、平滑面となっている。
【0050】
ロール部材30において加工領域30SAのグラビアパターンには、塗布液12aが保持されるようになっている。すなわち、ロール部材30が回転すると、供給部31内の塗布液12aに浸漬している加工領域30SAのグラビアパターンに塗布液12aが付着する。
【0051】
加工領域30SAに塗布液12aが付着した状態で、ロール部材30をフィルム材21に押し当てながら回転させると、塗布液12aを保持した加工領域30SAがフィルム材21と接触し、加工領域30SA上の塗布液12aがフィルム材21に転写される。これにより、フィルム材21に対する塗布液12aの塗布が行われる。
【0052】
ロール部材30の外周面には、加工領域30SAと非加工領域30SBとが中心軸30aと平行な方向に沿って交互に複数列ずつ設けられている。本実施形態において、加工領域30SAの配置数は5つ、非加工領域30SBの配置数は4つとなっている。尚、加工領域30SAの配置数はこれに限らない。例えば、加工領域30SAの配置数は1つないし4つであってもよいし、6つ以上であってもよい。
【0053】
ロール部材30は、ブレード部材32よりも弾性率が大きい材料で形成されていることが好ましい。例えば、ロール部材30は、鉄やステンレス鋼等の金属材料で形成されている。一方、ブレード部材32はプラスチックやゴム等の樹脂材料で形成されている。
【0054】
図3(c)に示すように、加工領域30SAに微細な溝部が彫刻された部分の直径RAは、非加工領域30SBの直径RBよりも小さくなっている(RA<RB)。尚、直径RAと直径RBとの差は、300μm以下であることが好ましい。
【0055】
図4は、本実施形態のロール部材30の加工領域30SAの拡大図である。尚、
図4においては、複数の加工領域30SAのうちの1つの加工領域30SAを示している。
【0056】
図4に示すように、本実施形態のロール部材30の加工領域30SAは、第1加工領域SA1と、第2加工領域SA2と、第3加工領域SA3と、を有している。第1加工領域SA1は、中心軸30aに平行な加工領域30SAの幅方向の一端E1側に設けられている。第2加工領域SA2は、加工領域30SAの幅方向の他端E2側に設けられている。
第3加工領域SA3は、第1加工領域SA1と第2加工領域SA2との間に設けられている。第3加工領域SA3は、第1加工領域SA1及び第2加工領域SA2以外の加工領域である。
【0057】
第3加工領域SA3の溝の深さdは均一になっている。例えば、第3加工領域SA3の溝の深さdは、150μm程度である。
【0058】
第1加工領域SA1の溝の深さは、第3加工領域SA3の溝の深さよりも浅くなっている。第1加工領域SA1の溝の深さは、加工領域30SAの幅方向の一端E1に近づくに従って漸次浅くなっている。
【0059】
第2加工領域SA2の溝の深さは、第3加工領域SA3の溝の深さよりも浅くなっている。第2加工領域SA2の溝の深さは、加工領域30SAの幅方向の他端E2に近づくに従って漸次浅くなっている。
【0060】
第1加工領域SA1の中心軸30aに平行な方向の第1の長さLは、第2加工領域SA2の中心軸30aに平行な方向の第2の長さL2よりも長くなっている(L>L2)。
【0061】
例えば、加工領域30SAの中心軸30aに平行な方向の長さLA(以下、加工領域の全幅という)は、80mm程度である。第1の長さLは、30mm程度である。第2の長さL2は、1mm程度である。
【0062】
尚、加工領域の構成はこれに限らない。例えば、
図5に示す加工領域30SA’は、第1加工領域SA1及び第4加工領域SA4の2つの加工領域を有している。第1加工領域SA1は、加工領域30SA’の幅方向の一端E1側に設けられている。第4加工領域SA4は、加工領域30SA’の幅方向の他端E2側に設けられている。第4加工領域SA4は、第1加工領域SA1以外の加工領域である。
【0063】
第4加工領域SA4の溝の深さdは均一になっている。例えば、第4加工領域SA4の溝の深さdは、150μm程度である。
【0064】
第1加工領域SA1の溝の深さは、第4加工領域SA4の溝の深さよりも浅くなっている。第1加工領域SA1の溝の深さは、加工領域30SAの幅方向の一端E1に近づくに従って漸次浅くなっている。このような構成も、本発明の一実施形態である。
【0065】
図6は、本実施形態のロール部材30に塗布液12aが供給される様子を示す図である。尚、
図6においては、便宜上、供給部31、ブレード部材32の図示を省略している。
【0066】
図6に示すように、ロール部材30の回転動作により塗布液12aが掻き上げられると、塗布液12aがロール部材30の外周面全体に行き渡っていく。この際、塗布液21aは、溝の傾斜方向V2に沿って流れる。この場合、塗布液12aは加工領域30SAの流れ方向下流側の領域に偏りやすくなる。一方、塗布液12aは加工領域30SAの流れ方向上流側の領域に偏りにくくなる。そのため、加工領域全体の溝の深さを均一にした場合、塗布液が加工領域の流れ方向下流側の領域に過剰に保持されることとなる。
【0067】
そこで、本実施形態においては、加工領域30SAの流れ方向下流側の領域には溝の浅い領域が形成されている。具体的には、加工領域30SAの流れ方向下流側の領域が第1加工領域SA1に対応している。一方、加工領域30SAの流れ方向上流側の領域が第2加工領域SA2に対応している。
【0068】
本実施形態においては、第1加工領域SA1の溝の深さが第3加工領域SA3の溝の深さよりも浅いため、第1加工領域SA1で保持される塗布液12aの量は第3加工領域SA3で保持される塗布液12aの量よりも少ない。
【0069】
また、第1加工領域SA1の溝の深さが加工領域30SAの幅方向の一端E1に近づくに従って漸次浅くなっているため、第1加工領域SA1に保持される塗布液12aの厚みが加工領域30SAの幅方向の一端E1に近づくに従って漸次薄くなる。
【0070】
本願発明者は、鋭意研究の結果、フィルム材21に塗布液12aを塗布する場合、フィルム材21に形成された耐熱層12における耳高部分の度合いと、第1の長さLの深さdに対する比の値(L/d)との間には、一定の関係があることを見出した。ここで、耳高部分とは、フィルム材21の幅方向での耐熱層12の端部に形成される凸部であり、耐熱層の中央部の厚みよりも厚みの厚い部分である。また、深さdは、第1加工領域SA1の第1端部E1から最も遠い部分の溝の深さである。深さdは、第3加工領域SA3及び第4加工領域SA4の深さdと略同じである。
以下、本発明者が見出した当該関係について、
図7を用いて説明する。
【0071】
図7は、比較例及び実施例について、加工領域及び耐熱層の耳高部分を説明するための図である。実施例の加工領域は、第1加工領域SA1及び第4加工領域SA4の2つの加工領域を有している。尚、
図7においては、複数の加工領域のうちの1つの加工領域を示している。
【0072】
図7(a)は、比較例を示す図である。
図7(b)は、実施例1を示す図である。
図7(c)は、実施例2を示す図である。
図7(d)は、実施例3を示す図である。
【0073】
尚、
図7(a)〜
図7(d)において、上段の図は加工領域を示す図である。中段の図は、加工領域の溝の深さの勾配を示す図である。下段の図は、耐熱層における耳高部分の度合いを示す図である。下段の図において、横軸は加工領域の幅方向の位置である。縦軸はフィルム材に形成された耐熱層の厚みである。尚、横軸の左側は加工領域の幅方向の他端E2側に対応する。右側は加工領域の幅方向の一端E1側に対応する。
【0074】
使用したサンプルは、
図7(a)〜(d)の上段に示すように、加工領域の溝の傾斜角度θが45°程度のものを用いた。
【0075】
比較例としては、
図7(a)の中段に示すように、加工領域全体の溝の深さdが均一になっているものを用いた。溝の深さdは、150μm程度である。
【0076】
実施例としては、
図7(b)〜(d)の中段に示すように、加工領域が、第1加工領域SA1と、第4加工領域SA4と、を有するものを用いた。第4加工領域SA4の溝の深さdは、比較例と同様、150μm程度である。尚、実施例1〜3においては、第1の長さLが異なるのみである。
【0077】
実施例1において、第1の長さLは10mm程度である。実施例2において、第1の長さLは30mm程度である。実施例3において、第1の長さLは50mm程度である。
【0078】
比較例では、
図7(a)の下段に示すように、耐熱層の耳高部分が顕著に目立っている(図中丸囲み部)。これは、塗布液が加工領域の流れ方向下流側の領域に偏ったことに起因すると考えられる。
【0079】
耐熱層の耳高部分のうち最も厚い部分の厚みは27μm程度である。耐熱層の中央部の厚みは25μm程度である。耳高部分の最大厚みと中央部の厚みとの差は2μm程度である。この厚みの差は、表面に耐熱層が形成され、巻き取りロール6によって巻き取られる前のフィルム材であれば製造誤差として許容できる厚みの範囲内であると考えられる。しかしながら、巻き取られた後のフィルム材においては皺などが生じ、製品ないしは次工程に適用できなくなることがある。
【0080】
実施例1では、
図7(b)の下段に示すように、比較例よりも耐熱層の耳高部分が目立ちにくくなっている(図中丸囲み部)。耐熱層の耳高部分のうち最も厚い部分の厚みは26μm程度である。耐熱層の中央部の厚みは25μm程度である。耳高部分の最大厚みと中央部の厚みとの差は1μm程度である。厚みの差は、比較例よりも小さい結果となった。
【0081】
実施例2では、
図7(c)の下段に示すように、耐熱層の耳高部分がほとんど目立たなくなっている(図中丸囲み部)。耐熱層の耳高部分のうち最も厚い部分の厚みは25.3μm程度である。耐熱層の中央部の厚みは25μm程度である。耳高部分の最大厚みと中央部の厚みとの差は0.3μm程度である。厚みの差は、実施例1よりも小さい結果となった。
【0082】
実施例3では、
図7(d)の下段に示すように、耐熱層の耳高部分がほとんど目立たなくなっている(図中丸囲み部)。しかしながら、耐熱層の幅方向の耐熱層の厚みが両端側で局所的に薄くなっている。これにより、第1の長さLを長くしすぎると、塗布液が加工領域の流れ方向下流側の領域にほとんど保持されなくなることが分かる。
【0083】
耳高現象を抑制するためには、下記の(1a)式に示す関係を満たすことが好ましい。
【0085】
したがって、上記(1a)式と深さd(d=150μm)から、下記の(1)式に示す関係が成り立つ。
【0086】
50/3≦(L/d)≦1000/3 ・・・(1)
【0087】
このように、フィルム材21に塗布液12aを塗布する場合、耐熱層における耳高部分の度合いと、第1の長さLの深さdに対する比の値(L/d)との間には、一定の関係があることが分かった。
【0088】
図8は、比較例及び実施例について、フィルム材の長手方向のある位置を測定したときの、フィルム材に形成された耐熱層の厚みを示す図である。
図8において、横軸は加工領域の幅方向の位置である。縦軸はフィルム材に形成された耐熱層の厚みである。尚、
図8の横軸は
図7の下段の図の横軸と加工領域の幅方向の向きが逆である。
図8において、左側は加工領域の幅方向の一端E1側に対応する。右側は加工領域の幅方向の他端E2側に対応する。横軸のピッチ(一目盛)は10mmである。尚、フィルム材の長手方向の長さ1000m程度とする。
【0089】
図8(a)は、フィルム材の基端から300m程度の位置を測定したときの図である。
図8(b)は、フィルム材の基端から500m程度の位置を測定したときの図である。
図8(c)は、フィルム材の基端から1000m程度の位置(末端)を測定したときの図である。
【0090】
図8(a)〜
図8(c)に示すように、比較例においては、耐熱層の耳高部分が一端E1側において局所的に厚くなっている。
【0091】
これに対し、実施例1〜3においては、耐熱層の厚みが一端E1に近づくに従って徐々に薄くなっている。
【0092】
このように、フィルム材の長手方向の測定位置が異なっていても、フィルム材に形成された耐熱層の厚みについては同様の傾向が認められた。
【0093】
尚、本実施形態においては、一例として、加工領域の溝の傾斜角度θが45°程度のものを挙げて説明したが、これに限らない。例えば、
図9(a)に示すように、加工領域の溝の傾斜角度θが30°程度のものも本発明の一実施形態である。また、
図9(b)に示すように、加工領域の溝の傾斜角度θが60°程度のものも本発明の一実施形態である。
【0094】
図10は、本実施形態のロール部材30とブレード部材32の位置関係を示す図である。
【0095】
図10に示すように、ブレード部材32は、ロール部材30の外周面(加工領域30SAおよび非加工領域30SB)に接触し、加工領域30SAに付着した余分な塗布液12aを掻き取るとともに、非加工領域30SBに付着した塗布液12aを掻き取って非加工領域30SBの塗布液12aを全て除去するものである。ブレード部材32は、本体部321と、ロール部材30の表面と接触する側の部分(ロール部材30と対向する部分)であるエッジ部322と、を有している。ブレード部材32のエッジ部322がロール部材30の非加工領域30SBに接触するようになっている。ブレード部材32のエッジ部322は、中心軸30aに平行な直線形状となっている。
【0096】
尚、ブレード部材32は、少なくともエッジ部322がロール部材30よりも弾性率が小さい材料で形成されていることが好ましい。例えば、ロール部材30が鉄やステンレス鋼等の金属材料で形成される場合、ブレード部材32は少なくともエッジ部322がプラスチックやゴム等の樹脂材料で形成される。
【0097】
また、塗布液12aの粘度は0.1Ps以下の粘度に設定することが好ましい。塗布液12aの粘度が0.1Psを超えると、ブレード部材32による非加工領域30SBに付着した塗布液12aの掻き取り効果が低減してしまうからである。
【0098】
図11は、本実施形態のセパレータ製造装置1の作用を説明するための図である。
図11(a)に示すように、塗布液12aをロール部材30に供給すると、ロール部材30の加工領域30SAだけでなく、非加工領域30SBにも塗布液12aが付着してしまうことがある。
【0099】
この状態で、ロール部材30をフィルム材21に押し当てながら回転させると、フィルム材21全体に亘って塗布液12aが転写されてしまう。すなわち、耐熱層が、フィルム材において電極板が配置される領域となる形成領域だけでなく、セパレータが熱融着される領域となる非形成領域にも形成されてしまう。そのため、当該フィルム材を基にセパレータが製造されても、当該セパレータを熱融着する際に融着部分の耐熱層によって熱伝導が阻害され、十分な熱融着が行えなくなるという問題が生ずる。
【0100】
図11(b)に示すように、本実施形態においては、ブレード部材32のエッジ部322によって非加工領域30SBに付着した塗布液12aを掻き取ることができる。
【0101】
そのため、
図11(c)に示すように、ロール部材30の加工領域30SAにのみ塗布液12aが保持される。これにより、フィルム材21の所望の領域(フィルム材21において電極板が配置される領域となる形成領域10SA)にのみ塗布液12aを転写させることができる。
【0102】
図1に戻り、塗布装置3により表面に塗布液12aが転写されたフィルム材21は、搬送下流側の展張ロール8により送り出され、複数の搬送ロール7を経由して乾燥・硬化装置4に導入される。
【0103】
乾燥・硬化装置4は、フィルム材21に転写された塗布液12aに含まれる溶媒を乾燥し、固形分であるバインダー樹脂を硬化させるものである。表面に塗布液12aが転写されたフィルム材21を乾燥・硬化装置4に導入することにより、フィルム材21上に耐熱層12が固着する。
【0104】
乾燥・硬化装置4により表面に耐熱層12が固着されたフィルム材21は、複数の搬送ロール7により搬送され、検査装置5の検査領域に導かれる。
【0105】
検査装置5は、表面に耐熱層12が固着したフィルム材21の表面状態を検査するものである。検査装置5は、例えば、カメラ、記憶部、及び判定部を有している。カメラは、フィルム材21の表面を撮像する。記憶部は、カメラが撮像したフィルム材21の表面の画像データを記憶する。判定部は、前記画像データに基づいてフィルム材21の所望の領域に耐熱層12が形成されているか否かを判定する。
【0106】
検査装置5により表面状態が検査されたフィルム材21は、複数の搬送ロール7により搬送され、巻取りロール6によって巻き取られる。
【0107】
図12は、本実施形態のセパレータ10の製造工程を示す図である。
図12(a)は、フィルム材21を示す。
【0108】
図12(b)は、フィルム材21上に耐熱層12が形成された状態を示す。保持ロール2に保持されたフィルム材21を繰り出し、上述したように塗布装置3、乾燥・硬化装置4を通過させることによって、その表面に耐熱層12が固着される。フィルム材21は、表面に耐熱層12が形成された形成領域20SAと、表面に耐熱層12が形成されていない非形成領域20SBとを有する。フィルム材21は、5つの形成領域20SAと、4つの非形成領域20SBとを有する。巻取りロール6で、表面に耐熱層12が固着したフィルム材21を巻き取る。
【0109】
図12(c)に示すように、フィルム材21は、例えばカッター等の切断装置23により、長手方向に沿って、非形成領域20SBの部分で切断される。
【0110】
これにより、
図12(d)に示すように、帯状のセパレータ10が製造される。本実施形態では、1つのフィルム材21から3つのセパレータ10が得られる。本実施形態においては、フィルム材21に設けられた5つの形成領域20SAのうち両端部の2つの形成領域20SAはセパレータ10として使用されない。すなわち、中央部の3つの形成領域20SAがセパレータ10として使用される。
【0111】
尚、二次電池に封入される電極捲回体を製造する際には、所定の幅の帯状に製造したセパレータ10を、それぞれ帯状に製造された正電極や負電極とともに捲回する。そして、必要な長さまで捲回したら、これらを切断し、巻き終わりを固定して捲回体とする。また、捲回体ではない積層型の電極を作成する場合にはセパレータ10の長手方向に直交する方向にも切断して当該切断領域で熱融着することになる。この場合においても、切断領域に耐熱層12が塗布されていると、通常の温度で熱融着することが困難となるため好ましくない。そのため、塗布処理の際に、長手方向と直交する方向においても、耐熱層12が塗布されていない非形成領域を間欠的に形成することが好ましい。
【0112】
例えば、耐熱層12を形成するための塗布処理を間欠的に行う。具体的には、フィルム材21を一定の速度で送りつつ、耐熱層12を形成するための塗布処理を行わないタイミングを設定する。塗布装置3が、フィルム材21のうち耐熱層12を形成しない領域に対向している間は、塗布装置3とフィルム材21を挟んで対向して配置された2つの展張ロール8のうち一方を塗布装置3とは反対側へ移動させる。これにより、この箇所とロール部材30とが接触しないので、フィルム材21に塗布液12aが塗布されない。フィルム材21のうち耐熱層12を形成しない領域が通り過ぎたら、展張ロール8の配置を元に戻し、再び塗布処理を行う。
【0113】
このようにすれば、帯状のフィルム材21には、長手方向の両端部及び中間部に加えて、幅方向に間欠的な非形成領域が形成される。そのため、矩形形状の形成領域が縦横に並んだものとなる。その後、切断装置によって長手方向に沿って中間部を切断する。これにより、間欠的に耐熱層12が形成されたセパレータとすることができる。
【0114】
セパレータ10を用いて電極捲回体を形成する際には、セパレータ10や正負の電極板を重ねて必要な長さだけ捲回しつつ巻き出し、最後にそれぞれ切断する。
【0115】
以上、説明したように、本実施形態のロール部材30、セパレータ製造装置1によれば、第1加工領域SA1で保持される塗布液12aの量が第3加工領域SA3で保持される塗布液12aの量よりも少ない。これにより、塗布液12aが加工領域30SAの幅方向の一端E1側に偏って流れても、第1加工領域SA1に塗布液12aが過剰に保持されることを抑制することができる。そのため、フィルム材21の第1加工領域SA1に対応する領域に過剰の塗布液12aが塗布されることを抑制することができる。すなわち、フィルム材21の幅方向において耐熱層12の端部の厚みが過剰に厚くなることを抑制することができる。また、第1加工領域SA1に保持される塗布液12aの厚みが加工領域30SAの幅方向の一端E1に近づくに従って漸次薄くなる。これにより、第1加工領域SA1に保持される塗布液12aの厚みをなだらかにすることができる。そのため、フィルム材21の第1加工領域SA1に対応する領域に形成される耐熱層12の厚みをなだらかにすることができる。よって、耳高現象の発生を抑制するとともに、基材11の表面に耐熱層12を均一に形成可能なロール部材30、セパレータ製造装置1を提供することができる。
【0116】
また、ブレード部材32のエッジ部322によって非加工領域30SBに付着した塗布液12aを掻き取り非加工領域30SBの塗布液12aを全て除去することができる。そのため、セパレータ10が熱融着される領域である非形成領域10SBに耐熱層12が形成されていないセパレータ10を製造することができる。すなわち、セパレータ10が熱融着される領域である非形成領域10SBにおいて基材11を露出させることができる。よって、所望の領域に選択的に耐熱層12が形成されたセパレータ10を製造することができる。
【0117】
また、ロール部材30は中心軸30aに複数の加工領域30SAを有するため、フィルム材21の複数の形成領域20SAに一括して塗布液12aを転写することができる。
【0118】
また、ブレード部材32のエッジ部322が中心軸30aに平行な直線形状であるため、ロール部材30の加工領域30SAに保持された塗布液12aの量を所定の量に調整しつつ非加工領域30SBに付着した塗布液12aを掻き取ることができる。
【0119】
また、ブレード部材32のエッジ部322はロール部材30よりも弾性率が小さいため、エッジ部322を撓ませた状態でロール部材30の非加工領域30SBに圧接させることができる。よって、非加工領域30SBに付着した塗布液12aを十分に掻き取ることができる。
【0120】
尚、本実施形態において、セパレータ10としては帯状のものを挙げて説明したが、これに限らない。例えば、
図13に示すように、シート状のセパレータ110を用いることもできる。このシート状のセパレータ110は、積層型の二次電池に適用される。尚、
図13においてはセパレータ110の厚み方向(
図13中の上下方向)を拡大して示しているが、実際の厚みは幅方向の大きさに対してごく薄いものである。
図13に示すように、セパレータ110は矩形形状である。セパレータ110は、表面において中央部に耐熱層112が形成された形成領域110SAと、周縁部に耐熱層112が形成されていない非形成領域110SBと、を有している。
【0121】
(第2実施形態)
図14は、
図3(a)に対応した、本発明の第2実施形態のロール部材130を示す斜視図である。
図14に示すように、本実施形態のロール部材130は、中心軸130aに平行な方向において第2の非加工領域130SCを有している点、で上述の第1実施形態のロール部材30と異なっている。その他の点は上述の構成と同様であるので、
図3(a)と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0122】
図14に示すように、ロール部材130は、中心軸130aに平行な方向において、塗布液12aを保持するための加工が周方向に施された加工領域130SAと、塗布液12aを保持するための加工が施されていない第1の非加工領域130SBと、を有している。さらに、ロール部材130は、中心軸130aに平行な方向であって加工領域130SAと直交する方向においても、塗布液12aを保持するための加工が施されていない第2の非加工領域130SCを有している。すなわち、本実施形態の加工領域130SAは、加工領域130SAがロール部材130の周方向において第2の非加工領域130SCにより複数(3つ)に分割されている。
【0123】
このような構成によれば、塗布処理の際に、長手方向と直交する方向においても、塗布液12aが塗布されていない非形成領域を間欠的に形成することができる。
【0124】
尚、本実施形態においては、ロール部材130において加工領域130SAがロール部材130の周方向において第2の非加工領域130SCにより3つに分割されている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ロール部材130の周方向における加工領域130SAの分割数は2つでもよいし4つ以上であってもよい。
【0125】
また、ロール部材130の直径や長さを適宜変更することにより、所望のパターンの形成領域を得ることができる。
【0126】
図15は、本実施形態のロール部材130を用いた場合におけるセパレータ110の製造工程を示す図である。
図15(a)は、フィルム材21を示す。
【0127】
図15(b)は、フィルム材21上に耐熱層112が形成された状態を示す。保持ロール2に保持されたフィルム材21を繰り出し、上述したように本実施形態のロール部材130を備えた塗布装置、乾燥・硬化装置4を通過させることによって、その表面に耐熱層112が固着される。フィルム材21は、表面に耐熱層112が形成された形成領域120SAと、表面に耐熱層112が形成されていない第1の非形成領域120SBと、第2の非形成領域120SCと、を有する。フィルム材21は、25つの形成領域120SAと、フィルム材21の長手方向に平行な4列の第2の非形成領域120SBと、フィルム材21の幅方向に平行な4行の第2の非形成領域120SCと、を有する。巻取りロール6で、表面に耐熱層112が固着したフィルム材21を巻き取る。
【0128】
図15(c)に示すように、フィルム材21は、例えばカッター等の切断装置23により、長手方向と幅方向のそれぞれに沿って切断される。
【0129】
これにより、
図15(d)に示すように、フィルム状のセパレータ110が製造される。本実施形態では、1つのフィルム材21から9つのセパレータ110が得られる。本実施形態においては、フィルム材21に設けられた25の形成領域120SAのうちが外周部の16の形成領域120SAはセパレータ110として使用されない。すなわち、中央部の9つの形成領域120SAがセパレータ110として使用される。
【0130】
以下、本実施形態のフィルム状のセパレータ110を用いて二次電池を製造するための二次電池製造装置100について一例を挙げて説明する。
【0131】
(二次電池製造装置)
図16は、本発明の二次電池製造装置100を示す模式図である。
本発明の二次電池製造装置100は、正極板、負極板、一対のセパレータを含む二次電池を製造するためのものである。二次電池において一対のセパレータは、正極板、負極板をそれぞれ挟み込むものである。
【0132】
図16に示すように、本発明の二次電池製造装置100は、セパレータ製造装置101と、重ね合わせ装置102と、加熱装置103と、を備えている。
【0133】
セパレータ製造装置101は、セパレータを製造するものである。尚、セパレータ製造装置1は前記第1実施形態で説明したセパレータ製造装置1について第2実施形態のロール部材130を適用したものを用いる。
【0134】
セパレータ製造装置101は、ロール部材130の加工領域130SAに保持された塗布液12aをセパレータ110の基材111の中央部に転写することにより、中央部に耐熱層12が形成された形成領域110SAを有し且つ周縁部に耐熱層12が形成されていない非形成領域110SBを有するセパレータ110を製造する。
【0135】
重ね合わせ装置102は、一対のセパレータ110の間に正極板又は負極板を挟み込むものである。重ね合わせ装置102は、一対のセパレータ110の形成領域110SAが正極板又は負極板と重なるように配置する。
【0136】
加熱装置103は、一対のセパレータ110を熱融着させるものである。加熱装置103は、正極板又は負極板と重ならないセパレータ110の非形成領域110SBを加熱して一対のセパレータ110を熱融着させる。
【0137】
図17は、二次電池50の要部を示す模式図である。
図17に示すように、セパレータ110の形成領域110SAに正極板13が配置されている。正極板13にはタブ14が設けられている。タブ14はセパレータ110の外部に一部露出している。尚、セパレータ110の非形成領域110SBは熱融着される領域である。
【0138】
図18は、二次電池50の一部破断斜視図である。
図18に示すように、二次電池50は、内部に電解液を貯留する容器51を備える。二次電池50は、例えばリチウムイオン二次電池である。例えば、容器51は、アルミニウム製の中空容器であり、外形が略角柱状(略直方体状)である。容器51は、開口を有する容器本体511と、この開口を塞いで容器本体511に接合された蓋512と、を有している。
【0139】
蓋512には、電極端子53、54が設けられている。例えば、電極端子53が正極端子であり、電極端子54が負極端子である。容器51の内部には、複数の電極板13、15および複数のセパレータ10が収容されている。例えば、電極板13が正極板であり、電極板15が負極板である。複数の電極板13、15は、正極板と負極板とが交互に並ぶように繰り返し配置されている。
【0140】
一対のセパレータ10は、電極板13、15をそれぞれ挟み込んでいる。これにより、電極板13、15が互いに直接接触しないようになっている。セパレータ10は、多孔質の絶縁材料等からなり、リチウムイオン等の電解成分を通すようになっている。実際には、正極板13が一対のセパレータ10で挟まれた構造体、負極板15が一対のセパレータ10で挟まれた構造体が交互に積層されて積層体が構成されている。二次電池50は、容器51に前記積層体が収容された構造になっている。電解液は、容器51の内部で電極板13、15と接触するように貯留される。
【0141】
このような二次電池50は、例えば次の方法で得られる。先ず正極板13と負極板15とを用意する。次いで、正極板13と負極板15とをそれぞれ一対のセパレータ10で挟んで積層することにより、積層体を形成する。次いで、容器51の内部に積層体を収容して封止する。例えば、容器本体511に積層体を挿入する。そして、正極板13を正極端子53と電気的に接続し、また負極板15を負極端子54と接続する。そして、容器本体511に蓋512を溶接等により接合する。そして、容器51の内部に電解液を注入して封止すること等により、二次電池50が得られる。
【0142】
以上、添付図面を参照しながら本実施形態に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。