(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
JIS K7361−1に準拠して測定した前記フィルムの全光線透過率から得られる前記フィルムのヘーズ値を(C)%、前記フィルムの厚さを(D)μmとした時、前記ヘーズ値(C)の測定箇所における(C)/(D)の値が0.2%/μm以下である、請求項1に記載のフィルム。
前記アクリル樹脂(A)中の前記紫外線吸収性単量体(a−2)単位の割合が、前記アクリル樹脂(A)中の全単量体単位の総質量に対して、8〜17質量%である、請求項1に記載のフィルム。
前記アクリル樹脂(A)が、前記アクリル系単量体(a−1)と、前記紫外線吸収性単量体(a−2)を含む単量体混合物の懸濁重合体である、請求項1に記載のフィルム。
前記樹脂組成物における前記アクリル樹脂(A)の含有量が、前記アクリル樹脂(A)と前記フッ化ビニリデン系樹脂(B)の総量に対して、15〜75質量%である、請求項1に記載のフィルム。
前記樹脂組成物における前記アクリル樹脂(A)の含有量が、前記アクリル樹脂(A)と前記フッ化ビニリデン系樹脂(B)の総量に対して、19〜40質量%である、請求項1に記載のフィルム。
前記紫外線吸収性単量体(a−2)がベンゾトリアゾール系単量体、ベンゾフェノン系単量体、及びトリアジン系単量体から選択される一種以上の単量体である、請求項1に記載のフィルム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のフィルムは、アクリル系樹脂(A)及びフッ化ビニリデン系樹脂(B)を含む樹脂組成物によって構成されている。
【0012】
<アクリル系樹脂(A)>
アクリル系樹脂(A)は、アクリル系単量体(a−1)単位及び紫外線吸収性単量体(a−2)単位で構成される樹脂であり、前記アクリル系樹脂(A)中の前記紫外線吸収性単量体(a−2)単位の割合が、前記アクリル系樹脂(A)中の全単量体単位の総質量に対して、4〜25質量%である。
【0013】
[アクリル系単量体(a−1)]
アクリル系単量体(a−1)単位(以下、アクリル系単量体(a−1)を、「単量体(a−1)」、アクリル系単量体(a−1)単位を「(a−1)単位」と言うこともある)は、フッ化ビニリデン系樹脂(B)との相溶性を高めるために、アクリル系樹脂(A)中に導入されるものである。
前記(a−1)単位の原料となるアクリル系単量体(a−1)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メタクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ジアミノエチル(メタ)アクリレート及びそのメチルクロライド塩、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びそのベンジルクロライド塩、フタル酸2−メタクリロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2−メタクリロイルオキシエチル等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0014】
これらの中でも高い耐熱性を有するフィルムを得る観点から、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレートが好ましく、更に高い全光線透過率を有するフィルムを得る観点から、メチルメタクリレートがより好ましい。
【0015】
[紫外線吸収性単量体(a−2)]
紫外線吸収性単量体(a−2)単位(以下、紫外線吸収性単量体(a−2)を「単量体(a−2)」、紫外線吸収性単量体(a−2)単位を「(a−2)単位」と言うこともある)はフィルムに紫外線吸収性を付与するために、アクリル系樹脂(A)に導入されるものである。前記アクリル系樹脂(A)中の前記紫外線吸収性単量体(a−2)単位の割合は、前記アクリル系樹脂(A)中の全単量体単位の総質量に対して、4〜25質量%である。この範囲にすることで、紫外線の遮断性能を長期に維持することができ、フィルムの透明性及び耐薬品性を良好にすることができる。
この単量体単位の原料となる紫外線吸収性単量体(a−2)としては、例えば、ベンゾトリアゾール系単量体、ベンゾフェノン系単量体、トリアジン系単量体が挙げられる。
【0016】
ベンゾトリアゾール系単量体としては、例えば、2−[2’−ヒドロキシ−5’−((メタ)アクリロイルオキシメチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−((メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−((メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチル−3’−((メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−((メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−((メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0017】
ベンゾフェノン系単量体としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]ブトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エトキシ−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−4−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−4−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]ブトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
【0018】
トリアジン系単量体としては、例えば、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−(メタ)アクリロイルオキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−メチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−メトキシフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−エチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−エトキシフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−メチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−メトキシフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−エチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−エトキシフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメトキシフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジエトキシフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジエチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(11−アクリロイルオキシ−ウンデシルオキシ)フェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(11−メタクリロイルオキシ−ウンデシルオキシ)フェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(11−アクリロイルオキシ−ウンデシルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(11−メタクリロイルオキシウンデシルオキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0019】
これらの各単量体は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
中でも2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタアクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エトキシベンゾフェノンが紫外線吸収性能に優れるため好ましい。
【0020】
[その他の単量体]
また、本発明のアクリル系樹脂(A)は本発明の目的を逸脱しない範囲で、他の単量体単位を含有することができる。
前記その他の単量体単位の原料となる単量体としては、本発明の効果を有する限り特に限定されないが、例えば、スチレン等の芳香族ビニル単量体、アクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
【0021】
アクリル系樹脂(A)におけるアクリル系単量体(a−1)単位及び紫外線吸収性単量体(a−2)単位の含有率は、プロトン核磁気共鳴法(
1H−NMR)測定によって得られる特定の
1Hシグナル強度比率から計算して求めることができる。
具体的には、アクリル系樹脂(A)を重水素化溶媒、例えば、重水素化クロロホルムに、5mg/mLの濃度で溶解させて、
1H−NMRを測定し、得られた(a−1)単位由来のピーク強度、及び(a−2)単位由来のピーク強度の和に対する、(a―2)単位由来のピーク強度の割合を質量%で表すことで求めることができる。
【0022】
アクリル系樹脂(A)の質量平均分子量は、20万以下であることが好ましく、15万以下であることがより好ましく、10万以下であることが更に好ましい。このような範囲であればフッ化ビニリデン系樹脂(B)との相溶性が良好である。またアクリル系樹脂(A)の質量平均分子量の下限は、3万以上であることが好ましく、5万以上であることがより好ましく、7万以上であることが更に好ましい。このような範囲であればヘーズの小さいフィルムが得られる。アクリル系樹脂(A)の質量平均分子量は、テトラヒドロフランを溶媒に用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定を行ない、分子量が既知のポリスチレンを標準試料に用いて校正することによって求めることができる。すなわち、本発明の1つの側面において、アクリル系樹脂(A)の質量平均分子量は、3万〜20万であることが好ましく、5万〜15万であることがより好ましく、7万〜10万であることが更に好ましい。
【0023】
アクリル系樹脂(A)中における紫外線吸収性単量体(a−2)単位の含有率はよりヘーズが小さいフィルムが得られる為、前記アクリル系樹脂(A)中の全単量体単位の総質量に対して、4〜25質量%である。また、(a−2)単位の割合の上限は、21質量%以下であることが好ましく、17質量%以下であることがより好ましい。
また、紫外線吸収性能に優れるフィルムを得る観点から、アクリル系樹脂(A)中の(a−2)単位の下限は、5質量%以上であることが好ましく、7質量%以上であることがより好ましく、8質量%以上であることが更に好ましい。すなわち、アクリル系樹脂(A)の(a−2)単位の割合は、5〜21質量%であることが好ましく、7〜17質量%であることがより好ましく、8〜17質量%であることが更に好ましい。
【0024】
[アクリル系樹脂(A)の製造方法]
本発明のアクリル系樹脂(A)は、アクリル系単量体(a−1)及び紫外線吸収性単量体(a−2)を含む単量体混合物を重合することによって得ることができる。重合方法としては、例えば懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法が挙げられるが、油溶性の重合開始剤を用いてアクリル系樹脂への紫外線吸収性単量体単位の導入率を高くすることができる点及び工業的な生産に適しているという観点から、懸濁重合法が好ましい。
ここで、「懸濁重合」とは、単量体混合物と溶媒とを撹拌して懸濁させて重合を行なうことを意味する。溶媒としては、水が好ましい。
【0025】
懸濁重合の際に用いる重合開始剤としては、油溶性の重合開始剤が好ましく、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−2−メチルシクロヘキサン等の過酸化物系開始剤が挙げられる。
重合開始剤の中では、取り扱い性が優れる点を考慮すると、ベンゾイルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、t−ヘキシルパーオキシピバレートが好ましい。
【0026】
これらの重合開始剤の使用量は、上記単量体混合物100質量部に対して0.001〜3質量部の範囲が好ましい。懸濁重合の重合温度は、50〜150℃の範囲が好ましく、50〜130℃の範囲がより好ましい。
【0027】
本発明の1つの側面において、アクリル系樹脂(A)を懸濁重合にて調製する際に、連鎖移動剤を添加してもよい。懸濁重合の際に用いる連鎖移動剤としては、例えば、t−ブチルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデカンチオール等が挙げられる。
これらの連鎖移動剤の使用量は、上記単量体混合物100質量部に対して0〜3質量部の範囲が好ましい。
【0028】
本発明の1つの側面において、アクリル系樹脂(A)を懸濁重合にて調製する際に、分散剤を添加してもよい。懸濁重合の際に用いる分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、(メタ)アクリル酸の単独重合体又は共重合体のアルカリ金属塩、メタクリル酸メチルとメタクリル酸2−スルホエチルのナトリウム塩の共重合体、カルボキシルセルロース、ゼラチン、澱粉、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸カルシウム等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。このうち、メタクリル酸の単独重合体あるいは共重合体のアルカリ金属塩、及びメタクリル酸メチルとメタクリル酸2−スルホエチルのナトリウム塩の共重合体を用いることが好ましい。
これらの分散剤の使用量は、溶媒である水100質量部に対して、0.01〜5質量部の範囲が好ましい。
【0029】
また、必要に応じて、これらの分散剤と共に、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マンガン等の電解質を分散助剤として併用することもできる。
【0030】
アクリル系樹脂(A)に含まれる全ての単量体単位の総質量に対する紫外線吸収性単量体(a−2)単位の割合は、油溶性の重合開始剤を用いた重合方法を採用することによって、紫外線吸収性単量体(a−2)の仕込み割合とほぼ等しくすることができる。
従って、本発明の1つの側面において、アクリル系樹脂(A)中の(a−2)単位の割合は、単量体(a−2)の仕込み割合であってもよい。
本発明のアクリル系樹脂(A)の製造方法の1つの側面おいては、溶媒として水を用い、重合開始剤として油溶性の重合開始剤を使用し、かつ単量体混合物を懸濁重合することによって、ほぼ重合反応率100%の効果を得ることができる。その結果、前述の通り、アクリル系樹脂(A)に含まれる全ての単量体単位中の紫外線吸収性単量体(a−2)単位の割合が、単量体混合物に含まれる紫外線吸収性単量体(a−2)の割合と同等となるように、制御することができる。
【0031】
<フッ化ビニリデン系樹脂(B)>
本発明においてフッ化ビニリデン系樹脂(B)とは、フッ化ビニリデン単位を50質量%以上含む重合体を意味する。フッ化ビニリデン系樹脂(B)が共重合体である場合、フッ化ビニリデンと共重合される共重合性成分としては、例えば、ヘキサフルオロプロピレン及びテトラフルオロエチレンが挙げられる。
【0032】
フッ化ビニリデン系樹脂(B)としては、透明性及び耐熱性が良好なフィルムを得る観点から、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。フッ化ビニリデン系樹脂(B)は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0033】
工業的に入手可能なフッ化ビニリデン系樹脂(B)としては、例えば、アルケマ(株)製のKynar760、Kynar740、Kynar720、Kynar710;(株)クレハ製のKFT#850、KFT#1000、KFT#1100;ソルベイソレクシス(株)製のSolef1006、1008、6008、11008、21508、1010、6010、11010、21510が挙げられる。
【0034】
フッ化ビニリデン系樹脂(B)の質量平均分子量は、ジメチルホルムアミドを溶媒に用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定を行ない、分子量が既知のポリスチレンを標準試料に用いて校正することによって求めることができる。
【0035】
フッ化ビニリデン系樹脂(B)の質量平均分子量は、薄膜のフィルムの生産性を向上させる観点から、45万以下が好ましく、40万以下がより好ましく、30万以下が更に好ましい。またヘーズが小さいフィルムを得る観点から、フッ化ビニリデン系樹脂(B)の質量平均分子量の下限は、5万以上が好ましく、10万以上がより好ましく、15万以上が更に好ましい。すなわち、フッ化ビニリデン系樹脂(B)の質量平均分子量は、5万〜45万が好ましく、10万〜40万がより好ましく、15万〜30万が更に好ましい。
【0036】
<フィルム>
本発明におけるフィルムは、アクリル系樹脂(A)及びフッ化ビニリデン系樹脂(B)を含む樹脂組成物によって構成されている。
【0037】
アクリル系樹脂(A)及びフッ化ビニリデン系樹脂(B)の合計におけるアクリル系樹脂(A)の含有率が低いほど、耐熱性の高いフィルムが得られる。耐熱性の観点から、樹脂組成物中のアクリル系樹脂(A)の含有率は、アクリル系樹脂(A)及びフッ化ビニリデン系樹脂(B)の総量に対して、75質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
【0038】
一方アクリル系樹脂(A)の含有率が高いほど、ヘーズが小さいフィルムが得られる。低いヘーズを得る観点から、樹脂組成物中のアクリル系樹脂(A)の含有率の下限は、アクリル系樹脂(A)及びフッ化ビニリデン系樹脂(B)の総量に対して、5質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましい。
また、本発明の1つの側面において、紫外線吸収性能に優れるフィルムを得る観点から、樹脂組成物中のアクリル系樹脂(A)の含有率は、アクリル系樹脂(A)及びフッ化ビニリデン系樹脂(B)の総量に対して、5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましく、13質量%以上が更に好ましい。
以上を考慮すると、アクリル系樹脂(A)及びフッ化ビニリデン系樹脂(B)の総量に対し、アクリル系樹脂(A)の含有率は、15〜75質量%が好ましく、19〜40質量%がより好ましく、19〜30質量%が更に好ましい。
【0039】
フィルムの全光線透過率は、JIS K7361−1に準拠して測定した場合に93.1%以上が好ましく、93.6%以上がより好ましく、93.9%以上が更に好ましい。
フィルムのヘーズは、通常、同じ樹脂を用いても製膜する厚さが厚い方が高くなる。フィルムのヘーズ値を(C)%、フィルムの厚さを(D)μmとした時、フィルムのヘーズ値をJIS K7361−1に準拠して測定した場合に、(C)/(D)が、0〜0.2%/μmとなることが好ましく、0〜0.16%/μmがより好ましく、0〜0.14%/μmが更に好ましい。
【0040】
下地の保護を行なうには、目的とするフィルム厚さに応じてアクリル系樹脂(A)中の紫外線吸収性単量体(a−2)単位の質量%を調整すればよい。異なる厚さのフィルムに同等程度の耐光性を持たせるには、「単位面積×フィルムの厚さ」で表される樹脂の体積中にそれぞれ含有される紫外線吸収性単量体(a−2)単位の質量を同じにすれば良い。例えば、厚さを半分にした場合は、樹脂組成物の総量に対する紫外線吸収性単量体(a−2)単位の割合を二倍にすれば良い。
下地を紫外線から保護するために、フィルム中における紫外線吸収性単量体(a−2)単位の単位面積当たりの質量は、0.6g/m
2以上であることが好ましく、0.8g/m
2以上であることがより好ましく、1.5g/m
2以上であることが更に好ましい。
またフィルム中の(a−2)単位の単位面積当たりの質量は、樹脂組成物の総量に対する紫外線吸収性単量体(a−2)単位の割合に、樹脂組成物の密度と厚さを乗算する方法により求めることができる。
ここで、「下地の保護」とは、光劣化防止のことを意味する。
【0041】
また、フィルムの、JIS K7121、3.(2)に記載の方法に準拠して測定される結晶融解熱は、18J/g以上であることが好ましく、21J/g以上であることがより好ましく、24J/g以上であることが更に好ましい。
フィルムの結晶融解熱が18J/g以上であれば、フィルム製造時の冷却媒体にフィルムが貼り付くことがなく製造でき、またフィルムの搬送時に、擦り傷やブロッキングが発生することを防止できるため好ましい。
【0042】
フィルムの結晶融解熱は、フッ化ビニリデン系樹脂(B)の含有率を多くすること、又はフィルム製造時の冷却媒体の温度を高くすることによって、高めることが可能である。結晶融解熱及び融解ピーク温度が高いほど、耐熱性の高いフィルムが得られる。
【0043】
フィルムは、通常、厚さが小さい方が透明性の高いものが得られやすく、厚さが大きい方が機械強度の高いものが得られやすい。これらの観点から、フィルムの厚さは10〜500μmが好ましく、20〜200μmがより好ましく、25〜100μmが更に好ましい。
【0044】
[フィルムの製造方法]
本発明のフィルムはアクリル系樹脂(A)及びフッ化ビニリデン系樹脂(B)を含む樹脂組成物を溶融押出しし、得られた溶融押出物を金属ロール、非金属ロール及び金属ベルトから選ばれる少なくとも一つの冷却媒体に接触させて製膜する方法で製造することが好ましい。
【0045】
溶融押出方法としては、Tダイ法、インフレーション法等が挙げられ、これらのうち経済性の観点からTダイ法が好ましい。溶融押出温度は、150〜300℃程度が好ましい。また、押出機としては、例えば、単軸押出機及び二軸押出機が挙げられる。
【0046】
金属ロールとしては、例えば、金属製の鏡面タッチロール、特許第2,808,251号公報又は国際公開第1997/28,950号パンフレットに記載の金属スリーブ(金属製薄膜パイプ)と成型用ロールからなるスリーブタッチ方式で用いられるロールが挙げられる。また、非金属ロールとしては、例えば、シリコンゴム製のタッチロールが挙げられる。更に、金属ベルトとしては、例えば、金属製のエンドレスベルトが挙げられる。
【0047】
金属ロール、非金属ロール及び金属ベルトから選ばれる複数の冷却媒体で狭持することにより製膜する方法を用いる場合は、溶融押出物をバンク(樹脂溜まり)が無い状態で狭持し、圧延されることなく面転写させて製膜することが好ましい。バンクを形成することなく製膜した場合には、冷却過程にある溶融押出物が圧延されることなく面転写されるため、この方法で製膜されたフィルムの加熱収縮率を低減させることができる。
【0048】
尚、金属ロール、非金属ロール及び金属ベルトから選ばれる複数の冷却媒体で狭持することにより製膜する場合には、これらの冷却媒体の少なくとも一つの表面にエンボス加工、マット加工等の形状加工を施すことによって、フィルムの片面又は両面にこれらの形状を転写させることができる。
【0049】
冷却媒体の表面温度を35℃以上とすることにより、耐熱性の高いフィルムを得ることができる。また、冷却媒体の表面温度を120℃以下とすることにより、透明性が高いフィルムを得ることができる。
【0050】
[表面処理]
本発明のフィルムの表面には異素材との接着性等を向上させるために、必要に応じて表面処理を施すことができる。表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス、窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理及び化学薬品等を用いて処理する酸化処理が挙げられる。尚、表面処理に際し、必要に応じて前処理を施すことができる。
【0051】
[各種添加剤]
本発明のフィルムは、必要に応じて、光安定剤、耐熱安定剤、合成シリカやシリコン樹脂粉末等のブロッキング防止剤、可塑剤、抗菌剤、防カビ剤、ブルーイング剤、帯電防止剤等の各種添加剤を含有していてもよい。
【0052】
光安定剤は樹脂中に発生したラジカルを補足し、安定化することで樹脂の劣化を防ぐものであり、例えば、N−H型、N−CH
3型、N−アシル型、N−OR型等のヒンダードアミン系又はフェノール系の光安定剤が挙げられる。光安定剤の含有量としては、例えば、フッ化ビニリデン系樹脂(B)とアクリル系樹脂(A)の合計100質量部に対して1〜10質量部が好ましい。
【0053】
耐熱安定剤は樹脂の熱劣化等を防止するものであり、例えば、フェノール系、アミン系、硫黄系又は燐酸系の酸化防止剤が挙げられる。耐熱安定剤の含有量としては、例えば、フッ化ビニリデン系樹脂(B)とアクリル系樹脂(A)の合計100質量部に対して1〜10質量部が好ましい。
【0054】
<積層フィルム>
本発明のフィルムは、熱可塑性樹脂層を積層して積層フィルムとすることができる。
【0055】
熱可塑性樹脂層を構成する材料としては、公知の熱可塑性樹脂を用いることができ、例えば以下のものが挙げられる。ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂;ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体);AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体);塩化ビニル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体又はその鹸化物、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のポリオレフィン系共重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂;6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、12−ナイロン等のポリアミド系樹脂;ポリスチレン樹脂;セルロースアセテート、ニトロセルロース等の繊維素誘導体;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂等;また、これらから選ばれる2種、又は3種以上の共重合体又は混合物、複合体、積層体等。
前記熱可塑性樹脂は単独で使用してもよい。
【0056】
熱可塑性樹脂層を構成する材料には、必要に応じて、例えば、一般の以下の配合剤を配合することができる。安定剤、酸化防止剤、滑剤、加工助剤、可塑剤、耐衝撃剤、発泡剤、充填剤、抗菌剤、防カビ剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、難燃剤等。
【0057】
熱可塑性樹脂層の厚さは、必要に応じて適宜決めればよく、通常、1〜500μm程度とすることが好ましい。尚、後述する積層体の場合において、熱可塑性樹脂層は、フィルムの外観が完全に円滑な上面を呈するように、基材の表面欠陥を吸収する程度の厚さを有することが好ましい。
また、熱可塑性樹脂層の厚さは、本発明のフィルムとの界面から、熱可塑性樹脂層の空気と接触している面までの距離のことを意味する。また、前記厚さは、積層前に測定できる場合は膜厚計を用いて、積層後は総厚さから本発明のフィルムの厚さを引く方法、断面を観察して直接測定する方法、本発明のフィルムとの密度差を利用し光の吸収率から計算する膜厚計や反射した光の干渉差から割り出す膜厚計を用いて測定することができる。
【0058】
積層フィルムを得る方法としては、フィルムの上に、前記熱可塑性樹脂を含む塗工液を塗布する方法、前記熱可塑性樹脂を熱ラミネーション、ドライラミネーション、ウェットラミネーション、ホットメルトラミネーションする方法等の公知の方法が挙げられる。また、共押出法や、押出しラミネーションによりフィルムと熱可塑性樹脂層とを積層してもよい。また、ポリオレフィン系樹脂等熱融着しづらい樹脂に対しては、接着層を介して貼り合わせることも可能である。すなわち、積層フィルムは、前記フィルムに熱可塑性樹脂層が、接着層を介して積層されているものであってもよい。
【0059】
<積層体>
前記フィルム又は積層フィルムは基材に積層して積層体とすることができる。基材の材質としては、樹脂;木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木材板;木質繊維板等の水質板;鉄、アルミニウム等の金属等が挙げられる。
ここで、樹脂を基材として用いる場合は、後述する樹脂をフィルム状に成形したものを基材として用いることが好ましい。
本発明の1つの側面において、積層体は、基材と、熱可塑性樹脂層と、フィルムとを備え、前記基材の上に、前記熱可塑性樹脂層が積層され、前記熱可塑性樹脂層の上にフィルムが積層されていることが好ましい。
また、本発明の1つの側面において、積層体は、基材と、熱可塑性樹脂層と、フィルムとを備え、前記基材の上に、前記フィルムが積層され、前記フィルムの上に、前記熱可塑性樹脂層が積層されていることが好ましい。
【0060】
樹脂としては、公知の樹脂が使用可能であり、例えば以下のものが挙げられる。ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体)、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の汎用の熱可塑性又は熱硬化性樹脂;ポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート変性ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート等の汎用エンジニアリング樹脂;ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、液晶ポリエステル、ポリアリル系耐熱樹脂等のスーパーエンジニアリング樹脂等;ガラス繊維又は無機フィラー(タルク、炭酸カルシウム、シリカ、マイカ等)等の補強材、ゴム成分等の改質剤を樹脂中に添加した複合樹脂又は各種変性樹脂等。
【0061】
これらのうち、基材の材質としては、フッ化ビニリデン系樹脂を含むフィルム、その積層フィルムと溶融接着可能なものが好ましい。例えば、アクリル系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、またはこれらを主成分とする樹脂が挙げられる。接着性の点でアクリル系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、またはこれらを主成分とする樹脂が好ましく、特にABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、またはこれらを主成分とする樹脂がより好ましい。
【0062】
ポリオレフィン系樹脂等の熱融着しない樹脂であっても、前述したコロナ放電処理、低温プラズマ処理のような表面処理を施したり、接着層を設けたりすることで、基材として使用可能である。このような処理等が施された基材は、フッ化ビニリデン系樹脂を含むフィルム、その積層フィルムからなる群より選ばれる1つと接着させることが可能である。
【0063】
本発明の積層体の製造方法としては、厚さが一定の積層体の場合で、かつ基材が熱融着できるものの場合は、熱ラミネーション等の公知の方法を用いることができる。ここで「厚さが一定である」とは、本発明のフィルムまたは積層フィルムと基材が隙間なく積層できることを意味する。
【0064】
また、例えば、以下の熱融着しない基材に対しては、接着層を介して貼り合わせることが可能である。
木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木材板、木質繊維板等の木質板、鉄、アルミニウム等の金属等、ガラス等の他、単結晶シリコン型太陽電池セル、多結晶シリコン型太陽電池セル、アモルファスシリコン型太陽電池セル、微結晶シリコン型太陽電池セル、球状シリコン型太陽電池セル、薄膜結晶シリコン型太陽電池セル、アモルファスシリコンゲルマニウム型太陽電池セル、テルル化カドミウム型太陽電池セル、ヒ化ガリウム型太陽電池セル、銅インジウムセレナイド型等、Cu、In、Ga、Al、Se、S等から成るI−III−VI族化合物を用いるカルコパイライト型太陽電池セル、有機薄膜型太陽電池セル、色素増感型太陽電池セル等に例示される各種太陽電池セル等。
すなわち、本発明の1つの側面は、基材と、接着層と、熱可塑性樹脂層と、フィルムとを備える積層体であって、前記基材の上に前記接着層が直接積層され、前記接着層の上に前記熱可塑性樹脂層が積層され、前記熱可塑性樹脂層の上に前記フィルムが積層されている積層体である。
また、本発明の1つの側面は、基材と、接着層と、熱可塑性樹脂層と、フィルムとを備える積層体であって、前記基材の上に前記接着層が直接積層され、前記接着層の上に前記フィルムが積層され、前記フィルムの上に前記熱可塑性樹脂層が積層されている積層体である。
【0065】
上記の太陽電池用の接着層を構成する材料としては、例えば以下の樹脂の1種ないし2種以上の混合物を用いることができる。ポリオレフィン系樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレンアクリル酸共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)を不飽和カルボン酸(アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、フマル酸等)で変性した酸変性ポリオレンフィン系樹脂;不飽和シラン化合物(ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリペンチロキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、及び、ビニルトリカルボキシシラン等)によって変性したシラン変性ポリオレフィン樹脂;ポリビニルブチラ−ル樹脂、シリコ−ン系樹脂、エポキシ系樹脂等。
【0066】
これらの中でも接着性に優れる、シラン変性ポリオレフィン樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。
【0067】
厚さが一定でない三次元形状の積層体を製造する場合は、インサート成形法、インモールド成形法等の公知の方法を用いることができる。インモールド成形法は、フィルム、またはその積層フィルムを加熱した後、真空引き機能を持つ金型内で真空成形を行ない、次いで、同じ金型内において基材となる樹脂を射出成形することにより、フィルム、またはその積層フィルムと基材とを一体化させた積層体を得る方法である。作業性、経済性の観点から、フィルムの成形と射出成形を一工程で行なえるインモールド成形法が好ましい。
【0068】
<用途>
本発明の全光線透過率が高く紫外線の遮断性能に優れるフィルム、またその積層フィルム及び積層体は、ポリエステルやポリカーボネート、塩化ビニル等の保護に好適に用いられる。用途としては、例えば、以下の製品又はその構成部材が挙げられる。
【0069】
自動車外装用途として、以下のものが挙げられる。ウェザーストリップ、バンパー、バンパーガード、サイドマッドガード、ボディーパネル、スポイラー、フロントグリル、ストラットマウント、ホイールキャップ、センターピラー、ドアミラー、センターオーナメント、サイドモール、ドアモール、ウインドモール、窓、ヘッドランプカバー、テールランプカバー、風防部品等。
すなわち、本発明の1つの側面は、前記フィルム、積層フィルム、及び積層体の、ウェザーストリップ、バンパー、バンパーガード、サイドマッドガード、ボディーパネル、スポイラー、フロントグリル、ストラットマウント、ホイールキャップ、センターピラー、ドアミラー、センターオーナメント、サイドモール、ドアモール、ウインドモール、ウィンドウ、ヘッドランプカバー、テールランプカバー、及び風防部分を保護するためのフィルムへの使用である。
【0070】
自動車内装用途として、以下のものが挙げられる。インストルメントパネル、コンソールボックス、メーターカバー、ドアロックペゼル、ステアリングホイール、パワーウィンドウスイッチベース、センタークラスター、ダッシュボード等。
本発明の1つの側面は、前記フィルム、積層フィルム、及び積層体の、インストルメントパネル、コンソールボックス、メーターカバー、ドアロックペゼル、ステアリングホイール、パワーウィンドウスイッチベース、センタークラスター、及びダッシュボードを保護するためのフィルムへの使用である。
【0071】
表面化粧材等の用途として、以下のものが挙げられる。AV機器や家具製品のフロントパネル、ボタン、エンブレム、携帯電話等のハウジング、表示窓、ボタン等。
本発明の1つの側面は、前記フィルム、積層フィルム、及び積層体の、AV機器、家具製品のフロントパネル、ボタン、エンブレム、携帯電話のハウジング、表示窓、ボタンを保護するためのフィルムへの使用である。
【0072】
建築用内装材用途として、壁面、天井、床等が挙げられる。
本発明の1つの側面は、前記フィルム、積層フィルム、及び積層体の、壁面、天井、床を保護するためのフィルムへの使用である。
【0073】
建築用外装材用途として、以下のものが挙げられる。サイディング等の外壁、雨樋、塀、屋根、門扉、破風板等、窓枠、扉、手すり、敷居、鴨居等の家具等。
本発明の1つの側面は、前記フィルム、積層フィルム、及び積層体の、外壁、雨樋、塀、屋根、門扉、破風板等、窓枠、扉、手すり、敷居、及び鴨居を保護するためのフィルムへの使用である。
【0074】
光学用途として、各種ディスプレイに用いられる以下のものが挙げられる。フレネルレンズ、偏光フィルム、偏光子保護フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルム、視野角拡大フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、プリズムシート、マイクロレンズアレイ、タッチパネル用導電フィルム、導光用途フィルム、電子ペーパー用途フィルム等。
本発明の1つの側面は、前記フィルム、積層フィルム、及び積層体の、フレネルレンズ、偏光フィルム、偏光子保護フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルム、視野角拡大フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、プリズムシート、マイクロレンズアレイ、タッチパネル用導電フィルム、導光用途フィルム、及び電子ペーパー用途フィルムへの使用である。
【0075】
太陽電池用途として、以下のものが挙げられる。太陽電池表面保護フィルム、太陽電池用封止フィルム、太陽電池用裏面保護フィルム、太陽電池用基盤フィルム、ガスバリアフィルム用保護フィルム等。
本発明の1つの側面は、前記フィルム、積層フィルム、及び積層体の、太陽電池表面保護フィルム、太陽電池用封止フィルム、太陽電池用裏面保護フィルム、太陽電池用基盤フィルム、ガスバリアフィルム用保護フィルムへの使用である。
【0076】
その他用途として、以下のものが挙げられる。瓶、化粧品容器、小物入れ等の各種包装容器及び材料、景品や小物等の雑貨、農業用ビニルハウス、高速道路遮音板用保護フィルム、並びに交通標識用最表面保護フィルム等。
本発明の1つの側面は、前記フィルム、積層フィルム、及び積層体の、包装容器、包装材料、雑貨、農業用ビニルハウス、高速道路遮音板用保護フィルム、及び交通標識用最表面保護フィルムへの使用である。
【実施例】
【0077】
以下、本発明を実施例により説明する。
実施例中の「部」は、「質量部」を表す。
【0078】
フィルムの全光線透過率、ヘーズ、紫外線透過率、アクリル系樹脂(A)における紫外線吸収性単量体(a−2)単位の含有率、アクリル系樹脂(A)の質量平均分子量及び分子量分布、並びに、積層フィルムの全光線透過率の測定は以下の方法により実施した。
【0079】
(1)全光線透過率及びヘーズ
フィルム又は積層フィルムについて、大日本プラスチックス(株)製、アイスーパーUVテスターを用いて、槽内温度63℃一定とし、水噴霧は行なわずに、100mW/cm
2の照射強度で紫外線照射を300時間行なうことによって、耐光性試験を実施した。この耐光性試験前後で、ヘーズメーター(日本電色工業(株)製、商品名:NDH2000)を用い、JIS K7361−1に準拠してフィルム又は積層フィルムの全光線透過率を測定した。フィルムについてはこの耐光性試験前のみヘーズを測定した。
【0080】
(2)紫外線透過率
フィルムについて、(1)と同様にして耐光性試験を実施した。この耐光性試験前後で、紫外可視光分光光度計(日本分光(株)製、V−630)を用いて波長350nmにおける紫外線の光線透過率を測定した。
【0081】
(3)アクリル系樹脂(A)における紫外線吸収性単量体(a−2)単位の含有率
アクリル系樹脂(A)における紫外線吸収性単量体(a−2)単位の含有率は
1H−NMR測定(日本電子(株)製、商品名:JNM EX−270)を行なうことで求めた。
【0082】
アクリル系樹脂(A)を重水素化クロロホルムに5mg/mLの濃度で溶解させ、アクリル系単量体(a−1)単位及び紫外線吸収性単量体(a−2)単位由来のピークの積分強度とピーク位置から、紫外線吸収性単量体(a−2)単位の質量比を定量した。測定温度は25℃、積算回数は64回とした。
【0083】
(4)アクリル系樹脂(A)の質量平均分子量及び分子量分布
テトラヒドロフランを溶媒に用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定を行ない、分子量が既知のポリスチレンを標準試料に用いて校正することで質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を求めた。Mw/Mnを分子量分布とした。
【0084】
[製造例−1]アクリル系樹脂(A)−1の合成
アクリル系単量体(a−1)としてメチルメタクリレート(MMA)90.5部、紫外線吸収性単量体(a−2)として、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタアクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学(株)製、製品名:RUVA−93)9.5部、開始剤として2−2’アゾビスイソブチロニトリル0.1部、連鎖移動剤としてn−オクチルメルカプタン0.2部、及び、脱イオン水200部を撹拌機、還流冷却器、窒素ガス導入口の付いた容量10Lの反応容器に仕込んだ。
【0085】
この反応容器内の空気を十分に窒素ガスで置換し、その後撹拌しながら分散剤としてメタクリル酸メチル/メタクリル酸カリウム/メタクリル酸2−スルフォエチルナトリウム塩共重合体0.02部、硫酸ナトリウム0.3部を加え、80℃まで加熱し窒素ガス気流中で懸濁重合を行なった。重合発熱を観察した後、95℃に昇温して更に30分間保持して重合を完了した。得られた重合体を、脱水、乾燥してアクリル系樹脂(A)−1を得た。単量体(a−2)の仕込み量に対する重合転化率は97%であった。
【0086】
アクリル系樹脂(A)−1について
1H−NMR測定を行なった結果、メチルメタクリレート単位が90.8質量%、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタアクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール単位が9.2質量%であった。また、質量平均分子量は115000であり、分子量分布は2.1であった。これらの評価結果を表1に示す。
【0087】
[製造例−2]アクリル系樹脂(A)−2の合成
製造例1において、「MMA」を95部、「RUVA−93」を5部としたこと以外は製造例1と同様にして、アクリル系樹脂(A)−2を得た。評価結果を表1に示す。
【0088】
[製造例−3]アクリル系樹脂(A)−3の合成
製造例1において、「RUVA−93」を用いなかったこと以外は製造例1と同様にしてアクリル系樹脂(A)−3を得た。評価結果を表1に示す。
【0089】
[製造例−4]アクリル系樹脂(A)−4の合成
製造例1と同様の反応容器内に、脱イオン水200部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.25部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレ−ト0.15部、エチレンジアミン四酢酸−2−ナトリウム0.001部、及び硫酸第一鉄0.00025部を仕込んだ。
【0090】
一方、「MMA」90.5部、及び「RUVA−93」9.5部からなる単量体混合物100部に対し、クメンヒドロパーオキサイド0.1部、及びn−オクチルメルカプタン0.2部を加えた反応液混合物を調製した。
【0091】
前記反応容器内の空気を窒素ガスで充分に置換し酸素のない状態とした後、内温を60℃にし、前記反応液混合物を10部/時間の割合で連続的に添加し、添加終了後、さらに0.5時間重合を継続した。得られたラテックスを酢酸カルシウムで凝固、水洗しアクリル系樹脂(A)−4を得た。評価結果を表1に示す。
【0092】
[製造例−5]アクリル系樹脂(A)−5の合成
製造例1において、「MMA」を84部、「RUVA−93」を16部とし、反応容器を40℃で保持して「RUVA−93」を溶解させた後、80℃に昇温し重合を進めた以外は製造例1と同様にして、アクリル系樹脂(A)−5を得た。評価結果を表1に示す。
【0093】
[製造例−6]アクリル系樹脂(A)−6の合成
「MMA」を80部、「RUVA−93」を20部としたこと以外は製造例5と同様にして、アクリル系樹脂(A)−6を得た。評価結果を表1に示す。
【0094】
[製造例−7]アクリル系樹脂(A)−7の合成
「MMA」を73部、「RUVA−93」を27部としたこと以外は製造例5と同様にして、アクリル系樹脂(A)−7を得た。評価結果を表1に示す。
【0095】
[製造例−8]アクリル系樹脂(A)−8の合成
「MMA」を70部、「RUVA−93」を30部としたこと以外は製造例5と同様にして、アクリル系樹脂(A)−8を得た。評価結果を表1に示す。
【0096】
[製造例−9]アクリル系樹脂(A)−9の合成
「MMA」を50部、「RUVA−93」を50部としたこと以外は製造例5と同様にして、アクリル系樹脂(A)−9を得た。評価結果を表1に示す。
【0097】
[製造例−10]アクリル系樹脂(A)−10の合成
「MMA」を92.8部、「RUVA−93」を7.2部としたこと以外は製造例1と同様にして、アクリル系樹脂(A)−10を得た。評価結果を表1に示す。
【0098】
[製造例−11]アクリル系樹脂(A)−11の合成
「MMA」を91.0部、「RUVA−93」を9.0部としたこと以外は製造例1と同様にして、アクリル系樹脂(A)−11を得た。評価結果を表1に示す。
【0099】
【表1】
【0100】
[実施例1]
<1.フィルムの製造>
製造例1で得られたアクリル系樹脂(A)−1を20部、フッ化ビニリデン系樹脂(B)−1として、アルケマ(株)製のポリフッ化ビニリデン(Kynar720、フッ化ビニリデン単位:100質量%)80部をヘンシェルミキサーによって混合した。このようにして得られた混合物を180〜220℃に加熱したベント式2軸押出機(東芝機械(株)製、商品名:TEM−35B)に供給し、混練してペレットを得た。
【0101】
得られたペレットを85℃で24時間乾燥した後に、この乾燥ペレットを幅300mmのTダイ及び400メッシュのスクリーンメッシュが配設されたシリンダー径40mmφのノンベントスクリュー型押出機(L/D=26)((株)ムサシノキカイ)に供給した。押出機は、押出温度180〜220℃及びTダイ温度220℃に設定して、80℃の冷却ロール1本の上に押出しを行ない、厚さ50μmのフィルム1を得た。このフィルムの全光線透過率、紫外線透過率を表2に示す。
【0102】
<2.積層フィルムの製造>
さらに、以下の手順で積層フィルムを製造した。先ず、ウレタン系接着剤(東洋インキ(株)製、商品名:LIS603)及びイソシアネート系硬化剤(東洋インキ(株)製、商品名:DYNAGRAND CR−001)を10:1(部)の割合で、固形分25質量%となるようメチルエチルケトンで希釈を行ない、接着剤混合液を準備した。
【0103】
この接着剤混合液をフィルムに塗布し、オーブン中80℃で5分間乾燥させ接着剤層を形成した。次いで、シリカを蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂(株)製、商品名:テックバリアL、厚さ12μm)の蒸着面と、前記フィルムの接着剤層形成面とを貼り合せた。その後40℃で7日間保持することで、接着剤の硬化を完了させ、積層フィルム1を得た。評価結果を表2に示す。
尚、表2中、樹脂中の紫外線吸収剤の濃度(質量%)は、「(アクリル系樹脂(A)における紫外線吸収性単量体(a−2)単位の質量比×アクリル系樹脂(A)の質量部)/100」の計算式より求めた値である。
【0104】
[実施例2]
アクリル系樹脂(A)として製造例2で得られたアクリル系樹脂(A)−2を用いたこと以外は実施例1と同様にして厚さ50μmのフィルム2及び積層フィルム2を得た。評価結果を表2に示す。
【0105】
[実施例3]
アクリル系樹脂(A)として製造例5で得られたアクリル系樹脂(A)−5を用いたこと以外は実施例1と同様にして厚さ50μmのフィルム3及び積層フィルム3を得た。評価結果を表2に示す。
【0106】
[実施例4]
アクリル系樹脂(A)として製造例6で得られたアクリル系樹脂(A)−6を用いたこと以外は実施例1と同様にして厚さ50μmのフィルム4及び積層フィルム4を得た。評価結果を表2に示す。
【0107】
[実施例5]
アクリル系樹脂(A)として製造例10で得られたアクリル系樹脂(A)−10を26部、フッ化ビニリデン系樹脂(B)−1を74部用いたこと以外は実施例1と同様にして厚さ50μmのフィルム5を得た。評価結果を表2に示す。
【0108】
[実施例6]
アクリル系樹脂(A)として製造例11で得られたアクリル系樹脂(A)−11を74部、フッ化ビニリデン系樹脂(B)−1を26部用いたこと以外は実施例1と同様にして厚さ50μmのフィルム6を得た。評価結果を表2に示す。
【0109】
[比較例1]
アクリル系樹脂(A)として製造例3で得られたアクリル系樹脂(A)−3を用い、紫外線吸収剤として、2−(2Hベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール(BASF社製、商品名;TinuvinP)を2.1部用いたこと以外は実施例1と同様にして厚さ50μmのフィルムC1及び積層フィルムC1を得た。評価結果を表2に示す。
【0110】
[比較例2]
アクリル系樹脂(A)として製造例4で得られたアクリル系樹脂(A)−4を用いたこと以外は実施例1と同様にして厚さ50μmのフィルムC2及び積層フィルムC2を得た。評価結果を表2に示す。
【0111】
[比較例3]
アクリル系樹脂(A)として製造例7で得られたアクリル系樹脂(A)−7を用いたこと以外は実施例1と同様にして厚さ50μmのフィルムC3を得た。評価結果を表2に示す。
【0112】
[比較例4]
アクリル系樹脂(A)として製造例8で得られたアクリル系樹脂(A)−8を用いたこと以外は実施例1と同様にして厚さ50μmのフィルムC4及び積層フィルムC4を得た。評価結果を表2に示す。
【0113】
[比較例5]
アクリル系樹脂(A)として製造例9で得られたアクリル系樹脂(A)−9を3.5部、フッ化ビニリデン系樹脂(B)−1を96.5部用いたこと以外は実施例1と同様にして厚さ50μmのフィルムC5を得た。評価結果を表2に示す。
【0114】
比較例1では紫外線吸収剤がアクリル系樹脂(A)に共重合されていないため、短時間の耐光性試験で紫外線遮断性能が失われていること、透過した紫外線によってフィルム以外の層が劣化するため、積層フィルムの全光線透過率が低下することが分かった。
比較例2では製造例4で示したようにアクリル系樹脂(A)中における紫外線吸収性単量体(a−2)単位の割合が4質量%よりも小さかったため、短時間の耐光性試験で紫外線遮断性能が失われていることが分かった。また、透過した紫外線によってフィルム以外の層が劣化するため、積層フィルムの全光線透過率が低下することが分かった。
比較例3及び4では、アクリル系樹脂(A)中における紫外線吸収性単量体(a−2)単位の割合が25質量%よりも大きいため、アクリル系樹脂(A)とフッ化ビニリデン系樹脂(B)との相溶性が悪いので、実施例4と比べてフィルムのヘーズが大きいことが分かった。
同様に比較例5では、アクリル系樹脂(A)中における紫外線吸収性単量体(a−2)単位の割合が大きいことから、実施例1と比べてヘーズが大きいフィルムが得られることが分かった。
【0115】
【表2】