特許第6338061号(P6338061)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6338061
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】低離型力性を有するインプリント材料
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20180528BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20180528BHJP
   B29C 59/02 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   H01L21/30 502D
   C08F290/06
   B29C59/02 Z
【請求項の数】16
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-512483(P2014-512483)
(86)(22)【出願日】2013年4月16日
(86)【国際出願番号】JP2013061291
(87)【国際公開番号】WO2013161630
(87)【国際公開日】20131031
【審査請求日】2016年3月31日
(31)【優先権主張番号】特願2012-103953(P2012-103953)
(32)【優先日】2012年4月27日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-160573(P2012-160573)
(32)【優先日】2012年7月19日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-220244(P2012-220244)
(32)【優先日】2012年10月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 淳平
(72)【発明者】
【氏名】加藤 拓
(72)【発明者】
【氏名】首藤 圭介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正睦
【審査官】 田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/024673(WO,A1)
【文献】 特開2008−202022(JP,A)
【文献】 特開2013−008825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC H01L 21/027、
B29C 59/00、
59/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有するインプリント材料であって、下記(A)成分の質量に対して下記(B)成分を0.2phr乃至4phrにて含有する、インプリント材料。
(A)成分:プロピレンオキサイドユニット及びエチレンオキサイドユニットを有し、かつ重合性基を2つ有する化合物
(B)成分:シリコーン化合物として、BYK−302、BYK−307、BYK−330、BYK−333、BYK−378(以上、ビックケミー・ジャパン株式会社製)及びKF−643(以上、信越化学工業株式会社製)のうちの一種又は二種以上の組み合わせ(C)成分:光重合開始剤
【請求項2】
(D)成分として重合性基を3つ以上有する化合物をさらに含有し、前記(A)成分及び前記(D)成分の総質量に対して前記(B)成分を0.2phr乃至4phrにて含有する、請求項1に記載のインプリント材料。
【請求項3】
(E)成分としてエチレンオキサイドユニットを有し、かつ重合性基を2つ有する化合物をさらに含有する、請求項1又は請求項2に記載のインプリント材料。
【請求項4】
(F)成分として界面活性剤をさらに含有する、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のインプリント材料。
【請求項5】
(G)成分として溶剤をさらに含有する、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のインプリント材料。
【請求項6】
前記(A)成分の化合物は、前記重合性基として、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、ビニル基及びアリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を2つ有する化合物である、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のインプリント材料。
【請求項7】
前記(D)成分の化合物は、前記重合性基として、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、ビニル基及びアリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を3つ
以上有する化合物である、請求項2に記載のインプリント材料。
【請求項8】
前記インプリント材料をフィルム上に塗布し、該フィルム上の塗膜をモールドの凹凸形状を有する面に接着させ、続いて該塗膜を光硬化させ、その後フィルム上の硬化膜をモールドの凹凸形状を有する面から90°剥離する試験において、計測された離型力、すなわち、該フィルム上の硬化膜をモールドの凹凸形状を有する面から剥離したときの荷重を該フィルムの横幅1cmあたりに換算した値が0g/cmより大きく0.5g/cm以下である、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のインプリント材料。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のうちいずれか一項に記載のインプリント材料から作製され、パターンが転写された膜。
【請求項10】
請求項9に記載のパターンが転写された膜を基材上に備えた光学部材。
【請求項11】
請求項9に記載のパターンが転写された膜を基材上に備えた固体撮像装置。
【請求項12】
請求項9に記載のパターンが転写された膜を基材上に備えたLEDデバイス。
【請求項13】
請求項9に記載のパターンが転写された膜を備えた半導体素子。
【請求項14】
請求項9に記載のパターンが転写された膜を基材上に備えた太陽電池。
【請求項15】
請求項9に記載のパターンが転写された膜を基材上に備えたディスプレイ。
【請求項16】
請求項9に記載のパターンが転写された膜を基材上に備えた電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプリント材料(インプリント用膜形成組成物)及び当該材料から作製され、パターンが転写された膜に関する。より詳しくは、硬化後、離型時においてモールドから樹脂膜を容易に剥離可能なインプリント材料、並びに当該材料から作製され、パターンが転写された膜に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1995年、現プリンストン大学のチョウ教授らがナノインプリントリソグラフィという新たな技術を提唱した(特許文献1)。ナノインプリントリソグラフィは、任意のパターンを有するモールドを樹脂膜が形成された基材と接触させ、当該樹脂膜を加圧すると共に、熱又は光を外部刺激として用い、目的のパターンを硬化された当該樹脂膜に形成する技術であり、このナノインプリントリソグラフィは、従来の半導体デバイス製造における光リソグラフィ等に比べて簡便・安価にナノスケールの加工が可能であるという利点を有する。
したがって、ナノインプリントリソグラフィは、光リソグラフィ技術に代わり、半導体デバイス、オプトデバイス、ディスプレイ、記憶媒体、バイオチップ等の製造への適用が期待されている技術であることから、ナノインプリントリソグラフィに用いる光ナノインプリントリソグラフィ用硬化性組成物について様々な報告がなされている(特許文献2、特許文献3)。
【0003】
ナノインプリントリソグラフィにおいて高価なモールドを使用する場合、モールドの長寿命化が求められるが、硬化された樹脂膜からモールドを引き剥がす力、すなわち離型時における引き剥がし力(以下、本明細書では「離型力」と略称する。)が大きいとモールドへ樹脂が付着しやすくなり、モールドが使用不可能となりやすくなる。このためナノインプリントリソグラフィに用いる材料(以下、本明細書では「インプリント材料」と略称する。)には低離型力性(硬化された樹脂膜をモールドから容易に剥離出来る特性)が求められることとなる。しかし、これまでにインプリント材料として種々の材料が開示されているものの、離型力の小さい材料についての検討や報告はなされていない。また、固体撮像装置、太陽電池、LEDデバイス、ディスプレイなどの製品では、その内部又は表面に光学部材として作製した構造物に対して耐擦傷性及び高透明性が同時に求められることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5772905号明細書
【特許文献2】特開2008−105414号公報
【特許文献3】特開2008−202022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の事情に基づいてなされたものであり、その解決しようとする課題は、硬化後、離型時においてモールドから樹脂膜を容易に剥がすことができるインプリント材料、すなわち低離型力性を有し、かつ高透明性、高耐擦傷性及び高指紋拭き取り性を有する膜を形成するインプリント材料を提供することであり、当該材料から作製され、パターンが転写された膜を提供することである。具体的には、離型力が0g/cmより大きく0.5g/cm以下、可視光領域における平均透過率が99%以上であり、なおかつパターンを転写した後の膜に対してスチールウール擦傷試験を行ったときに傷の本数が10本以下の膜を形成するインプリント材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、少なくともプロピレンオキサイドユニットを有しかつ重合性基を有する化合物、シリコーン化合物及び光重合開始剤を含有する材料をインプリント材料として使用することにより、モールドの凹凸形状を有する面上において該材料の光硬化によりモールドの凹凸形状パターンが転写された硬化膜をモールドの凹凸形状を有する面から剥離する際に計測される離型力が格段に小さく、また該材料より作製したパターン転写された膜をパターン上でスチールウール擦傷試験を行っても傷の発生が少なく、さらに指紋拭き取り性にも優れ、しかも透明性に優れるという驚くべき知見を得、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、第1観点として、下記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有するインプリント材料に関する。
(A)成分:プロピレンオキサイドユニットを有し又はプロピレンオキサイドユニット及びエチレンオキサイドユニットを有し、かつ重合性基を2つ有する化合物
(B)成分:シリコーン化合物
(C)成分:光重合開始剤
第2観点として、(D)成分として重合性基を3つ以上有する化合物をさらに含有する、第1観点に記載のインプリント材料に関する。
第3観点として、(E)成分としてエチレンオキサイドユニットを有し、かつ重合性基を2つ有する化合物をさらに含有する、第1観点又は第2観点に記載のインプリント材料に関する。
第4観点として、(F)成分として界面活性剤をさらに含有する、第1観点乃至第3観点のいずれか一つに記載のインプリント材料に関する。
第5観点として、(G)成分として溶剤をさらに含有する、第1観点乃至第4観点のいずれか一つに記載のインプリント材料に関する。
第6観点として、前記(A)成分の化合物は、前記重合性基として、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、ビニル基及びアリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を2つ有する化合物である、第1観点乃至第5観点のいずれか一つに記載のインプリント材料に関する。
第7観点として、前記(D)成分の化合物は、前記重合性基として、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、ビニル基及びアリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を3つ以上有する化合物である、第2観点に記載のインプリント材料に関する。
第8観点として、前記インプリント材料をフィルム上に塗布し、該フィルム上の塗膜をモールドの凹凸形状を有する面に接着させ、続いて該塗膜を光硬化させ、その後フィルム上の硬化膜をモールドの凹凸形状を有する面から90°剥離する試験において、計測された離型力、すなわち、該フィルム上の硬化膜をモールドの凹凸形状を有する面から剥離したときの荷重を該フィルムの横幅1cmあたりに換算した値が0g/cmより大きく0.5g/cm以下である、第1観点乃至第7観点のいずれか一つに記載のインプリント材料に関する。
第9観点として、第1観点乃至第8観点のうちいずれか一つに記載のインプリント材料から作製され、パターンが転写された膜に関する。
第10観点として、第9観点に記載のパターンが転写された膜を基材上に備えた光学部材に関する。
第11観点として、第9観点に記載のパターンが転写された膜を基材上に備えた固体撮像装置に関する。
第12観点として、第9観点に記載のパターンが転写された膜を基材上に備えたLEDデバイスに関する。
第13観点として、第9観点に記載のパターンが転写された膜を備えた半導体素子に関する。
第14観点として、第9観点に記載のパターンが転写された膜を基材上に備えた太陽電池に関する。
第15観点として、第9観点に記載のパターンが転写された膜を基材上に備えたディスプレイに関する。
第16観点として、第9観点に記載のパターンが転写された膜を基材上に備えた電子デバイスに関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のインプリント材料は、分子中にプロピレンオキサイドユニットを有するか又はプロピレンオキサイドユニットとエチレンオキサイドユニットとを有しかつ重合性基を2つ有する化合物と共に、シリコーン化合物を含有しているため、当該インプリント材料から作製された硬化膜は低離型力性を有するとともに、高擦傷耐性、高指紋拭き取り性及び高透明性を有する。
また本発明のインプリント材料は、光硬化が可能であり、かつモールドの凹凸形状を有する面からの剥離時にパターンの一部に剥がれが生じないため、所望のパターンが正確に形成された膜が得られる。したがって、良好な光インプリントのパターン形成が可能である。
また、本発明のインプリント材料は、任意の基材上に製膜することができ、インプリント後に形成されるパターンが転写された膜は、太陽電池、LEDデバイス、ディスプレイなどの、耐擦傷性、高指紋拭き取り性及び高透明性が求められる部材を使用する製品へ好適に用いることができる。
さらに、本発明のインプリント材料は、上記(A)成分の化合物の種類及び含有割合を変更することで、硬化速度、動的粘度、膜厚をコントロールすることができる。したがって、本発明のインプリント材料は、製造するデバイス種と露光プロセス及び焼成プロセスの種類に対応した材料の設計が可能であり、プロセスマージンを拡大できるため、光学部材の製造に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<(A)成分>
(A)成分の化合物は、一分子内にプロピレンオキサイドユニットを1つ以上、又はプロピレンオキサイドユニット及びエチレンオキサイドユニットをそれぞれ1つ以上有し、かつ重合性基を2つ、具体的には化合物の両末端に重合性基を有する化合物を指す。なお、上記プロピレンオキサイドユニットとは例えば(−CH(CH)CHO−)、(−CHCHCHO−)を表し、上記エチレンオキサイドユニットとは例えば(−CHCHO−)を表す。また当該重合性基としては、例えば、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基が挙げられる。ここで、アクリロイルオキシ基はアクリロキシ基と、メタアクリロイルオキシ基はメタアクリロキシ基と表現されることがある。
【0010】
上記(A)成分である化合物としては、例えば、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール♯400ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール♯700ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合体ジ(メタ)アクリル酸エステル、エトキシ化ポリプロピレングリコール♯700ジ(メタ)アクリレートが挙げられる。なお、本明細書では(メタ)アクリレート化合物とは、アクリレート化合物とメタクリレート化合物の両方を指す。例えば(メタ)アクリル酸は、アクリル酸とメタクリル酸を指す。
【0011】
上記化合物は、市販品として入手が可能であり、その具体例としては、NKエステル APG−100、同APG−200、同APG−400、同APG−700、同3PG、同9PG、同1206PE、NKエコノマー A−1000PER(以上、新中村化学工業株式会社製)、ファンクリル(登録商標)FA−P240A、同FA−P270A、同FA−023M(以上、日立化成工業株式会社製)を挙げることができる。
【0012】
上記(A)成分の化合物は、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0013】
本発明における(A)成分は、パターン転写後の膜に対して耐擦傷性を付与することができるとともに、インプリント時の硬化時において、後述する(B)成分のシリコーン化合物をブリードアウトさせる一助を担い、これにより得られた樹脂膜(硬化膜)においてモールドの凹凸形状を有する面から剥離した際に計測される離型力を低下させることができる。
また上記(A)成分の化合物の種類及び含有割合を変更することで、インプリント材料の動的粘度、インプリント時の硬化速度及び形成される膜厚をコントロールすることができる。
【0014】
<(B)成分>
(B)成分であるシリコーン化合物は、分子内にシリコーン骨格(シロキサン骨格)を有する化合物を表し、特にジメチルシリコーン骨格を有することが好ましい。
【0015】
上記化合物としては市販品として入手が可能であり、その具体例としては、BYK−302、BYK−307BYK−330、BYK−333BYK−378以上、ビックケミー・ジャパン株式会社製)KF−643以上、信越化学工業株式会社製)が挙げられる。
【0016】
上記シリコーン骨格を有する化合物は単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0017】
本発明のインプリント材料における(B)成分の含有量は、上記(A)成分の質量、又は後述の(D)成分を含有する場合には(A)成分及び(D)成分の総質量に対して、0.2phr乃至4phrであることが好ましく、0.5phr乃至2phrであることがより好ましい。この割合が0.2phrを下回る場合には、十分な低離型力性を得ることができず、4phrを上回る場合には硬化が不十分になることがあり、パターニング特性が悪化する。ここで、phrとは、(A)成分の質量100g又は(A)成分及び(D)成分の総質量100gに対する、(B)成分(シリコーン化合物)の質量を表す。
【0018】
<(C)成分>
(C)成分である光重合開始剤としては、光硬化時に使用する光源に吸収をもつものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、tert−ブチルペルオキシ−iso−ブタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルジオキシ)ヘキサン、1,4−ビス[α−(tert−ブチルジオキシ)−iso−プロポキシ]ベンゼン、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルジオキシ)ヘキセンヒドロペルオキシド、α−(iso−プロピルフェニル)−iso−プロピルヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、1,1−ビス(tert−ブチルジオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルジオキシ)バレレート、シクロヘキサノンペルオキシド、2,2’,5,5’−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−アミルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(tert−ブチルペルオキシカルボニル)−4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−tert−ブチルジペルオキシイソフタレート等の有機過酸化物;9,10−アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチル、ベンゾインエチルエーテル、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾイン等のベンゾイン誘導体;2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−[4−{4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)ベンジル}−フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン等のアルキルフェノン系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系化合物;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物が挙げられる。
【0019】
上記化合物は、市販品として入手が可能であり、その具体例としては、IRGACURE(登録商標)651、同184、同500、同2959、同127、同754、同907、同369、同379、同379EG、同819、同819DW、同1800、同1870、同784、同OXE01、同OXE02、同250、Darocur(登録商標)1173、同MBF、同4265、Lucirin(登録商標)TPO(以上、BASFジャパン株式会社製)、KAYACURE(登録商標)DETX、同MBP、同DMBI、同EPA、同OA(以上、日本化薬株式会社製)、VICURE−10、同55(以上、STAUFFER Co.LTD製)、ESACURE(登録商標)KIP150、同TZT、同1001、同KTO46、同KB1、同KL200、同KS300、同EB3、トリアジン−PMS、トリアジンA、トリアジンB(以上、日本シイベルヘグナー株式会社製)、アデカオプトマ−N−1717、同N−1414、同N−1606(株式会社ADEKA製)が挙げられる。
【0020】
上記光重合開始剤は、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0021】
本発明のインプリント材料における(C)成分の含有量は、上記(A)成分の質量、又は後述の(D)成分を含有する場合には(A)成分及び(D)成分の総質量に対して、0.1phr乃至30phrであることが好ましく、1phr乃至20phrであることがより好ましい。(C)成分の含有量の割合が0.1phr未満の場合には、十分な硬化性が得られず、パターニング特性の悪化及び耐擦傷性の低下が起こるからである。ここで、phrとは、(A)成分の質量100g又は(A)成分及び(D)成分の総質量100gに対する、光重合開始剤の質量を表す。
【0022】
<(D)成分>
本発明においては(D)成分として重合性基を3つ以上有する化合物を添加してもよい。(D)成分である重合性基を3つ以上有する化合物は光インプリントにより得られる膜の硬度を調整する役割を果たす。重合性基を3つ以上有する化合物の重合性基の数は、例えば3つ乃至6つであり、当該重合性基としては、例えば、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基が挙げられる。
【0023】
上記(D)成分である化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールポリアクリレート、ポリグリセリンポリエチレングリコールポリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーが挙げられる。
【0024】
上記化合物は、市販品として入手が可能であり、その具体例としては、NKエステル A−TMM−3LMN、同A−TMPT、同TMPT、同A−TMPT−3EO、同A−GLY−3E、同A−GLY−9E、同A−GLY−20E、同A−9300、同A−9300−1CL、同A−9300−6CL、同A−TMMT、同ATM−4E、同ATM−35E、同AD−TMP、同A−DPH、同A−DPH−12E、同A−9550、同A−9530、同ADP−51EH、同ATM−31EH、NKエコノマー A−PG5027E、同A−PG5054E(以上、新中村化学工業株式会社製)、KAYARAD(登録商標)T−1420、同D−330、同D−310、同DPCA−20、同DPCA−30、同DPCA−60、同DPCA−120、同GPO−303、同TMPTA、同THE−330、同TPA−320、同TPA−330、同PET−30、同RP−1040、同DPHA、同DPHA−2C、同DN−0075、同DN−2475、同DPEA−12(以上、日本化薬株式会社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、UA−510H(以上、共栄社化学株式会社製)が挙げられる。
【0025】
上記重合性基を3つ以上有する化合物は、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。重合性基を3つ以上有する化合物が使用される場合、その割合は、上記(A)成分の質量に対して、10phr乃至70phrであることが好ましく、40phr乃至60phrであることがより好ましい。
【0026】
<(E)成分>
本発明においては(E)成分としてエチレンオキサイドユニットを有し、かつ重合性基を2つ有する化合物を添加してもよい。(E)成分を添加することでより一層の離型力の低下を促進することが可能である。(E)成分であるエチレンオキサイドユニットを有し、かつ重合性基を2つ有する化合物は、一分子内にエチレンオキサイドユニットを1つ以上有し、かつ重合性基を2つ、具体的には化合物の両末端に重合性基を有する化合物を指す。なお、上記エチレンオキサイドユニットとは例えば(−CHCHO−)を表す。また当該重合性基としては、例えば、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基が挙げられる。
【0027】
上記(E)成分である化合物としては、例えば、モノエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール♯200ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール♯300ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール♯400ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール♯600ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール♯1000ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0028】
上記化合物は、市販品として入手が可能であり、その具体例としては、NKエステル 1G、同2G、同3G、同4G、同9G、同14G、同23G、同A−200、同A−400、同A−600、同A−1000、同ABE−300、同A−BPE−4、同A−BPE−6、同A−BPE−10、同A−BPE−17、同A−BPE−30、同BPE−80N、同BPE−100N、同BPE−200、同BPE−500、同BPE−900、同BPE−1300N(以上、新中村化学工業株式会社製)、ニューフロンティア(登録商標)PE−200、同PE−300、同PE−400、同PE−600(以上、第一工業製薬株式会社製)が挙げられる。
【0029】
上記エチレンオキサイドユニットを有し、かつ重合性基を2つ有する化合物は、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。エチレンオキサイドユニットを有し、かつ重合性基を2つ有する化合物が使用される場合、その割合は、本発明のインプリント材料における重合性基を有する化合物全体に対して合計量で5質量%以上、35質量%以下が好ましい。重合性基を有する化合物全体に対して合計量で5質量%未満であると、離型力の低下には殆ど影響を与えず、35質量%を超えると離型時においてパターン同士の付着等が起こり、形状が悪化する。
【0030】
<(F)成分>
本発明においては(F)成分として界面活性剤を添加してもよい。(F)成分である界面活性剤は、得られる塗膜の製膜性を調整する役割を果たす。
上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤;商品名エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF352(三菱マテリアル電子化成株式会社(旧株式会社ジェムコ製))、商品名メガファック(登録商標)F171、同F173、同R−08、同R−30(DIC株式会社製)、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム株式会社製)、商品名アサヒガード(登録商標)AG710、サーフロン(登録商標)S−382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子株式会社製)等のフッ素系界面活性剤;及びオルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業株式会社製)を挙げることができる。
【0031】
上記界面活性剤は、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。界面活性剤が使用される場合、その割合は、上記(A)成分の質量、又は(A)成分及び上記(D)成分の総質量、又は(A)成分及び上記(E)成分の総質量、或いは(A)成分及び(D)成分及び(E)成分の総質量に対して、好ましくは0.01phr乃至40phr、より好ましくは0.01phr乃至10phrである。
【0032】
<(G)成分>
本発明においては(G)成分として溶剤を含有してもよい。(G)成分である溶剤は、(A)成分である分子中にプロピレンオキサイドユニット又はプロピレンオキサイドユニットとエチレンオキサイドユニットを含有し、重合性基を2つ有する化合物及び(D)成分である重合性基を3つ以上有する化合物の粘度調節の役割を果たす。
【0033】
上記溶剤としては、例えば、トルエン、p−キシレン、o−キシレン、スチレン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコ−ルジメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、1−オクタノール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、γ−ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−ブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−プロピル、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、アリルアルコール、n−プロパノール、2−メチル−2−ブタノール、イソブタノール、n−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−エチルヘキサノール、トリメチレングリコール、1−メトキシ−2−ブタノール、イソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、N−シクロヘキシル−2−ピロリジンが挙げられ、上記(A)成分及び(D)成分の粘度を調節することができるものであれば、特に限定されるものではない。
【0034】
上記溶剤は、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
溶剤が使用される場合、本発明のインプリント材料の全成分、すなわち前述の(A)成分乃至(F)成分、並びに後述するその他添加剤を含む全成分から(G)成分の溶剤を除いたものとして定義される固形分の割合が、前記インプリント材料に対して20質量%乃至80質量%となる量にて、好ましくは40質量%乃至60質量%となる量にて、溶剤を含有することが好ましい。
【0035】
<その他添加剤>
本発明のインプリント材料は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、エポキシ化合物、光酸発生剤、光増感剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、密着補助剤又は離型性向上剤を含有することができる。
【0036】
上記エポキシ化合物としては、例えば、エポリード(登録商標)GT−401、同PB3600、セロキサイド(登録商標)2021P、同2000、同3000、EHPE3150、同EHPE3150CE、サイクロマー(登録商標)M100(以上、株式会社ダイセル製)、EPICLON(登録商標)840、同840−S、同N−660、同N−673−80M(以上、DIC株式会社製)が挙げられる。
【0037】
上記光酸発生剤としては、例えば、IRGACURE(登録商標)PAG103、同PAG108、同PAG121、同PAG203、同CGI725(以上、BASFジャパン株式会社製)、WPAG−145、WPAG−170、WPAG−199、WPAG−281、WPAG−336、WPAG−367(以上、和光純薬工業株式会社製)、TFEトリアジン、TME−トリアジン、MP−トリアジン、ジメトキシトリアジン、TS−91、TS−01(株式会社三和ケミカル製)が挙げられる。
【0038】
上記光増感剤としては、例えば、チオキサンテン系、キサンテン系、ケトン系、チオピリリウム塩系、ベーススチリル系、メロシアニン系、3−置換クマリン系、3,4−置換クマリン系、シアニン系、アクリジン系、チアジン系、フェノチアジン系、アントラセン系、コロネン系、ベンズアントラセン系、ペリレン系、ケトクマリン系、クマリン系、ボレート系が挙げられる。
【0039】
上記光増感剤は、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。当該光増感剤を用いることによって、UV領域の吸収波長を調整することもできる。
【0040】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、TINUVIN(登録商標)PS、同99−2、同109、同328、同384−2、同400、同405、同460、同477、同479、同900、同928、同1130、同111FDL、同123、同144、同152、同292、同5100、同400−DW、同477−DW、同99−DW、同123−DW、同5050、同5060、同5151(以上、BASFジャパン株式会社)が挙げられる。
【0041】
上記紫外線吸収剤は、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。当該紫外線吸収剤を用いることによって、光硬化時に膜の最表面の硬化速度を制御することができ、離型性を向上できる場合がある。
【0042】
上記酸化防止剤としては、例えば、IRGANOX(登録商標)1010、同1035、同1076、同1135、同1520L(以上、BASFジャパン株式会社)が挙げられる。
【0043】
上記酸化防止剤は、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。当該酸化防止剤を用いることで、酸化によって膜が黄色に変色することを防止することができる。
【0044】
上記密着補助剤としては、例えば、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。当該密着補助剤を用いることによって、基材との密着性が向上する。当該密着補助剤の含有量は、上記(A)成分の質量、又は(A)成分及び上記(D)成分の総質量、又は(A)成分及び上記(E)成分の総質量、或いは(A)成分及び(D)成分及び(E)成分の総質量に対して、好ましくは5phr乃至50phr、より好ましくは10phr乃至50phrである。
【0045】
上記離型性向上剤としては、例えば、フッ素含有化合物が挙げられる。フッ素含有化合物としては、例えば、R−5410、R−1420、M−5410、M−1420、E−5444、E−7432、A−1430、A−1630(以上、ダイキン工業株式会社製)が挙げられる。
【0046】
<インプリント材料の調製>
本発明のインプリント材料の調製方法は、特に限定されないが、(A)成分、(B)成分、(C)成分、並びに任意成分である(D)成分、(E)成分、(F)成分及び(G)成分並びに所望によりその他添加剤を混合し、インプリント材料が均一な状態となっていればよい。
また、(A)成分乃至(G)成分並びに所望によりその他添加剤を混合する際の順序は、均一なインプリント材料が得られるなら問題なく、特に限定されない。当該調製方法としては、例えば、(A)成分に(B)成分を所定の割合で混合する方法が挙げられる。また、これに更に(C)成分、(D)成分、(E)成分、(F)成分及び(G)成分を混合し、均一なインプリント材料とする方法も挙げられる。さらに、この調製方法の適当な段階において、必要に応じて、その他の添加剤を更に添加して混合する方法が挙げられる。
【0047】
<光インプリント及びパターンが転写された膜>
本発明のインプリント材料は、基材上に塗布し光硬化させることで所望の硬化膜を得ることができる。塗布方法としては、公知又は周知の方法、例えば、スピンコート法、ディップ法、フローコート法、インクジェット法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、スリットコート法、ロールコート法、転写印刷法、刷毛塗り、ブレードコート法、エアーナイフコート法を挙げることができる。
【0048】
本発明のインプリント材料が塗布される基材としては、例えば、シリコン、インジウム錫酸化物(ITO)が成膜されたガラス(以下、本明細書では「ITO基板」と略称する。)、シリコンナイトライド(SiN)が成膜されたガラス(SiN基板)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)が成膜されたガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、アクリル、プラスチック、ガラス、石英、セラミックス等からなる基材を挙げることができる。また、可撓性を有するフレキシブル基材、例えばトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル、シクロオレフィン(コ)ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルフォン、並びにこれらポリマーを組み合わせた共重合体からなる基材を用いることも可能である。
【0049】
本発明のインプリント材料を硬化させる光源としては、特に限定されないが、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、無電極ランプ、メタルハライドランプ、KrFエキシマーレーザー、ArFエキシマーレーザー、Fエキシマーレーザー、電子線(EB)、極端紫外線(EUV)を挙げることができる。また、波長は、一般的には、436nmのG線、405nmのH線、365nmのI線、又はGHI混合線を用いることができる。さらに、露光量は、好ましくは、30乃至2000mJ/cm、より好ましくは30乃至1000mJ/cmである。
【0050】
なお、前述の(F)成分である溶剤を用いる場合には、光照射前の塗膜及び光照射後の硬化膜の少なくとも一方に対し、溶剤を蒸発させる目的で、焼成工程を加えてもよい。焼成機器としては、特に限定されるものではなく、例えば、ホットプレート、オーブン、ファーネスを用いて、適切な雰囲気下、すなわち大気、窒素等の不活性ガス、又は真空中で焼成することができるものであればよい。焼成温度は、溶剤を蒸発させる目的では、特に限定されないが、例えば、40℃乃至200℃で行うことができる。
【0051】
光インプリントを行う装置は、目的のパターンが得られれば特に限定されないが、例えば、東芝機械株式会社製のST50、Obducat社製のSindre(登録商標)60、明昌機工株式会社製のNM−0801HB等の市販されている装置、基材とモールドをローラー圧着し、光硬化後に離型する方法を用いることができる。
【0052】
また、本発明で用いる光インプリントに使用するモールド材としては、例えば、石英、シリコン、ニッケル、アルミナ、カルボニルシラン、グラッシーカーボンを挙げることができるが、目的のパターンが得られるなら、特に限定されない。また、モールドは、離型性を高めるために、その表面にフッ素系化合物等の薄膜を形成する離型処理を行ってもよい。離型処理に用いる離型剤としては、例えば、ダイキン工業株式会社製のオプツール(登録商標)HD、同DSXが挙げられるが、目的のパターンが得られるなら、特に限定されない。
【0053】
光インプリントのパターンサイズはナノメートルオーダーであり、具体的には1ミクロン未満のパターンサイズに準ずる。
【0054】
なお、本発明において、離型力を評価する90°剥離試験とは、一般に接着物(本発明ではインプリント材料より形成された硬化膜に相当する)を被着物(本発明ではフィルムに相当する)に貼付し、所定時間後に所定の剥離速度で90°方向に引き剥がす際に生じる抵抗力(張力)を測定する試験であり、通常、測定はJIS Z0237を参考にした評価法にて実施される。ここで測定された抵抗力を被着物の幅あたりに換算した値を離型力として評価することができる。
そして本発明のインプリント材料をフィルム上に塗布し、該フィルム上の塗膜をモールドの凹凸形状を有する面に接着させ、続いて該塗膜を、モールドの凹凸形状を有する面を接着させたまま光硬化させ、その後フィルム上の硬化膜をモールドの凹凸形状を有する面から90°剥離する試験において計測された離型力、すなわち、該フィルム上の硬化膜をモールドの凹凸形状を有する面から完全に剥離したときの荷重を該フィルムの横幅1cmあたりに換算した値が0g/cmより大きく0.5g/cm以下であることが好ましく、より好ましくは0.4g/cm以下である。
【0055】
こうして本発明のインプリント材料から作製され、パターンが転写された膜、また該膜を備えた半導体素子並びに該膜を基材上に備えた光学部材、固体撮像素子、LEDデバイス、太陽電池、ディスプレイ及び電子デバイスも本発明の対象である。
【実施例】
【0056】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものでない。
【0057】
[インプリント材料の調製]
<実施例1>
NKエステル APG−700(以下、本明細書では「APG−700」と略称する。)(新中村化学工業株式会社製)を5g、BYK−333(ビックケミー・ジャパン株式会社製)を0.05g(APG−700の質量に対して1phr)準備し、これらを混合し、その混合物にLucirin(登録商標)TPO(BASFジャパン株式会社製)(以下、本明細書では「Lucirin TPO」と略称する。)を0.125g(APG−700の質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−a1を調製した。
【0058】
<実施例2>
実施例1のAPG−700をファンクリル(登録商標)FA−023M(以下、本明細書では「FA−023M」と略称する。)(日立化成工業株式会社製)へ変更した以外は、実施例1と同様にインプリント材料PNI−a2を調製した。
【0059】
<実施例3>
実施例1のAPG−700をNKエコノマー A−1000PER(以下、本明細書では「A−1000PER」と略称する。)(新中村化学工業株式会社製)へ変更した以外は、実施例1と同様にインプリント材料PNI−a3を調製した。
【0060】
<実施例4>
KAYARAD(登録商標)DPEA−12(以下、本明細書では「DPEA−12」と略称する。)(日本化薬株式会社製)を0.5g、UA−306H(以下、本明細書では「306H」と略称する。)(共栄社化学株式会社製)を2g、APG−700を2.5g、BYK−333を0.05g(DPEA−12、306H及びAPG−700の総質量に対して1phr)準備し、これらを混合し、その混合物にLucirin TPOを0.125g(DPEA−12、306H及びAPG−700の総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−a4を調製した。
【0061】
<実施例5>
実施例4のBYK−333を0.1g(DPEA−12、306H及びAPG−700の総質量に対して2phr)へ変更した以外は、実施例4と同様にインプリント材料PNI−a5を調製した。
【0062】
<実施例6>
実施例4のAPG−700をA−1000PERへ、BYK−333を0.025g(DPEA−12、306H及びA−1000PERの総質量に対して0.5phr)へ変更した以外は、実施例4と同様にインプリント材料PNI−a6を調製した。
【0063】
<実施例7>
実施例6のBYK−333を0.05g(DPEA−12、306H及びA−1000PERの総質量に対して1phr)へ変更した以外は、実施例6と同様にインプリント材料PNI−a7を調製した。
【0064】
<実施例8>
実施例6のBYK−333を0.1g(DPEA−12、306H及びA−1000PERの総質量に対して2phr)へ変更した以外は、実施例6と同様にインプリント材料PNI−a8を調製した。
【0065】
<実施例9>
306Hを2.25gとA−1000PERを2.75g準備し、これらを混合し、その混合物にBYK−333を0.05g(306H及びA−1000PERの総質量に対して1phr)、Lucirin TPOを0.125g(306HとA−1000PERの総質量に対して2.5phr)加えてインプリント材料PNI−a9を調製した。
【0066】
<実施例10>
DPEA−12を1.25g、KAYARAD(登録商標)PET−30(以下、本明細書では「PET30」と略称する。)(日本化薬株式会社製)を1.25g、A−1000PERを2.5g準備し、これらを混合し、その混合物にBYK−333を0.1g(DPEA−12、PET30及びA−1000PERの総質量に対して2phr)、Lucirin TPOを0.125g(DPEA−12、PET30及びA−1000PERの総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−a10を調製した。
【0067】
<実施例11>
PET30を2g、A−1000PERを3g準備し、これらを混合し、その混合物にBYK−333を0.1g(PET30及びA−1000PERの総質量に対して2phr)、Lucirin TPOを0.125g(PET30及びA−1000PERの総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−a11を調製した。
【0068】
<実施例12>
NKエステル A−200(以下、本明細書では「A−200」と略称する。)(新中村化学工業株式会社製)を1.5g、A−1000PERを3g、DPEA−12を0.5g準備し、これらを混合し、その混合物にBYK−333を0.05g(A−200、A−1000PER及びDPEA−12の総質量に対して1phr)、Lucirin TPOを0.125g(A200、A−1000PER及びDPEA−12の総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−a12を調製した。
【0069】
<実施例13>
A−200を1.5g、A−1000PERを2.5g、DPEA−12を1g準備し、これらを混合し、その混合物にBYK−333を0.05g(A−200、A−1000PER及びDPEA−12の総質量に対して1phr)、Lucirin TPOを0.125g(A200、A−1000PER及びDPEA−12の総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−a13を調製した。
【0070】
<実施例14>
A−200を1.5g、A−1000PERを2g、DPEA−12を1.5g準備し、これらを混合し、その混合物にBYK−333を0.05g(A−200、A−1000PER及びDPEA−12の総質量に対して1phr)、Lucirin TPOを0.125g(A200、A−1000PER及びDPEA−12の総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−a14を調製した。
【0071】
<実施例15>
A−200を1.5g、A−1000PERを1.5g、DPEA−12を2g準備し、これらを混合し、その混合物にBYK−333を0.05g(A−200、A−1000PER及びDPEA−12の総質量に対して1phr)、Lucirin TPOを0.125g(A200、A−1000PER及びDPEA−12の総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−a15を調製した。
【0072】
<実施例16>
A−200を1.5g、A−1000PERを1g、DPEA−12を2.5g準備し、これらを混合し、その混合物にBYK−333を0.05g(A−200、A−1000PER及びDPEA−12の総質量に対して1phr)、Lucirin TPOを0.125g(A200、A−1000PER及びDPEA−12の総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−a16を調製した。
【0073】
<実施例17>
A−200を1.5g、A−1000PERを0.5g、DPEA−12を3g準備し、これらを混合し、その混合物にBYK−333を0.05g(A−200、A−1000PER及びDPEA−12の総質量に対して1phr)、Lucirin TPOを0.125g(A200、A−1000PER及びDPEA−12の総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−a17を調製した。
【0074】
<実施例18>
A−200を1g、A−1000PERを1.5g、DPEA−12を2.5g準備し、これらを混合し、その混合物にBYK−333を0.05g(A−200、A−1000PER及びDPEA−12の総質量に対して1phr)、Lucirin TPOを0.125g(A200、A−1000PER及びDPEA−12の総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−a18を調製した。
【0075】
<実施例19>
A−200を1g、A−1000PERを1g、DPEA−12を3g準備し、これらを混合し、その混合物にBYK−333を0.05g(A−200、A−1000PER及びDPEA−12の総質量に対して1phr)、Lucirin TPOを0.125g(A200、A−1000PER及びDPEA−12の総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−a19を調製した。
【0076】
<比較例1>
306Hを5g、BYK−333を0.05g(306Hの質量に対して1phr)、Lucirin TPOを0.125g(306Hの質量に対して2.5phr)準備し、これらを混合し、インプリント材料PNI−b1を調製した。
【0077】
<比較例2>
比較例1のBYK−333を0.1g(306Hの質量に対して2phr)へ変更した以外は、比較例1と同様にインプリント材料PNI−b2を調製した。
【0078】
<比較例3>
比較例1の306HをPET30へ変更した以外は、比較例1と同様にインプリント材料PNI−b3を調製した。
【0079】
<比較例4>
比較例2の306HをPET30へ変更した以外は、比較例2と同様にインプリント材料PNI−b4を調製した。
【0080】
<比較例5>
DPEA−12を0.5g、306Hを2g、APG−700を2.5g準備し、これらを混合し、その混合物にLucirin TPOを0.125g(DPEA−12、306HとAPG−700の総質量に対して2.5phr)加え、インプリント材料PNI−b5を調製した。
【0081】
<比較例6>
比較例5のAPG700をA−1000PERへ変更した以外は、比較例5と同様にインプリント材料PNI−b6を調製した。
【0082】
[モールドの離型処理]
ニッケル製のピッチ250nm、高さ250nmのモスアイパターンモールド(株式会社イノックス製)及びシリコンウエハを、オプツール(登録商標)DSX(ダイキン工業株式会社製)をノベック(登録商標)HFE−7100(ハイドロフルオロエーテル、住友スリーエム株式会社)(以下、本明細書では「ノベックHFE−7100」と略称する。)で0.1質量%に希釈した溶液へ浸漬し、温度が90℃、湿度が90RH%の高温高湿装置を用いて1時間処理し、ノベックHFE−7100でリンス後、エアーで乾燥させた。
【0083】
[光インプリント及び離型力試験]
実施例1乃至実施例19及び比較例1乃至比較例6で得られた各インプリント材料を、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(富士フイルム株式会社製 フジタック(登録商標)を使用)(以下、本明細書では「TACフィルム」と略称する。)上にバーコーター(全自動フィルムアプリケーター KT−AB3120 コーテック株式会社製)を用いて塗布し、そのTACフィルム上の塗膜を前述の離型処理を施したモスアイパターンモールドへローラー圧着させた。続いて該塗膜に対し、TACフィルム側から無電極均一照射装置(QRE−4016A、株式会社オーク製作所製)にて、350mJ/cmの露光を施し、光硬化を行った。そしてJIS Z0237を参考にして90°剥離試験を行い、モールドの凹凸形状を有する面と接着している、TACフィルム上に形成された硬化膜が、モールドの凹凸形状を有する面から完全に剥がれたときの荷重を測定した。そしてフィルムの幅1cm当たりの荷重を算出し、離型力(g/cm)とした。結果を表1に示す。
【0084】
[スチールウール擦傷試験]
上記離型力試験後に得られた硬化膜について、スチールウール擦傷試験を行った。試験機は大栄精機(有)製を使用し、♯0000のスチールウールを使用した。単位面積当たりの荷重は20.4g/cmとし、上記スチールウールを10往復させた。擦傷後の傷本数については以下のように評価した。結果を表1に示す。
0〜 5本:A
6〜10本:B
11〜20本:C
21〜30本:D
31〜40本:E
【0085】
[透過率測定]
実施例1乃至実施例19及び比較例1乃至比較例6で得られた各インプリント材料を石英基板上にスピンコートし、前述の離型処理をしたシリコンウエハを接着させ、ナノインプリント装置(NM−0801HB、明昌機工株式会社製)に設置し、10秒間かけて100Nまで加圧して膜中の気泡を除去し、10秒間かけて除圧した後、無電極均一照射装置にて、350mJ/cmの露光を施した。そしてシリコンウエハを剥がし、石英基板上に作製した厚さ5μmの膜について、透過率測定を行った。試験機としてSHIMADSU UV−3600(株式会社島津製作所製)を用いて、可視光領域における平均透過率を調べた。得られた結果を表1に示す。
【0086】
[指紋の拭き取り性]
実施例1乃至実施例8及び実施例12乃至実施例19で得られた各インプリント材料を、厚さ80μmのTACフィルム上にバーコーター(全自動フィルムアプリケーター KT−AB3120 コーテック株式会社製)を用いて塗布し、そのTACフィルム上の塗膜を前述の離型処理を施したモスアイパターンモールドへローラー圧着させた。続いて該塗膜に対し、TACフィルム側から無電極均一照射装置(QRE−4016A、株式会社オーク製作所製)にて、350mJ/cmの露光を施し、光硬化を行った。モールドから離型後、上記TACフィルムにおいてモスアイパターンが転写された硬化膜が形成された面とは反対の面をスーパーラッカースプレー(アサヒペン株式会社製)にて黒色に塗装した。そして、TACフィルム上に形成された硬化膜のモスアイパターン上に人工指紋液(TDK株式会社製)を付着させ、上記スチールウール擦傷試験で用いた試験機にベンコット(登録商標)M−1(旭化成せんい株式会社製)を取り付け、570g/cmの荷重にて50往復させる指紋の拭き取り試験を行い、目視にて指紋の拭き取り性を確認した。当該試験で行われる拭き取りは乾拭きである。拭き取り試験後、指紋の拭き取りができた場合を○、指紋の拭き取りができなかった即ち指紋が残存していた場合を×と評価した結果を、表2に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
表1の結果から実施例1乃至実施例19で得られたインプリント材料を用いた場合は、いずれも離型力が0.5g/cm以下と低く、得られた硬化膜は可視光領域において高い透明性を有し、しかもスチールウール擦傷試験後に発生する傷の本数は少なく、耐擦傷性が確認された。一方、比較例1乃至比較例6で得られたインプリント材料を用いた場合は、いずれも離型力が0.5g/cmよりもはるかに大きく、スチールウール擦傷試験後に傷が多数発生した。そして、表2の結果から、実施例1乃至実施例8、実施例12乃至実施例19で得られたインプリント材料を用いた場合は、いずれも指紋の拭き取りが可能であることが確認された。
以上、本発明のインプリント材料により得られる膜は、低離型力性を有し、またインプリント後も優れた耐擦傷性及び指紋の拭き取り性を有し、しかも透明性に優れるものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明のインプリント材料は、該材料から形成された硬化膜をモールドから容易に剥離することができ、且つ、耐擦傷性、指紋の拭き取り性及び透明性にも優れることから、該インプリント材料より得られる硬化膜は太陽電池、LEDデバイス、ディスプレイなどの製品へ好適に用いることができる。