特許第6338296号(P6338296)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6338296老朽化したプリント回路基板のリサイクル方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6338296
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】老朽化したプリント回路基板のリサイクル方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20180528BHJP
   C22B 11/00 20060101ALI20180528BHJP
   C22B 7/00 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   H05K3/34 512Z
   H05K3/34 510
   C22B11/00 101
   C22B7/00 G
【請求項の数】30
【外国語出願】
【全頁数】50
(21)【出願番号】特願2016-224855(P2016-224855)
(22)【出願日】2016年11月18日
(62)【分割の表示】特願2014-197031(P2014-197031)の分割
【原出願日】2011年4月15日
(65)【公開番号】特開2017-41655(P2017-41655A)
(43)【公開日】2017年2月23日
【審査請求日】2016年11月18日
(31)【優先権主張番号】61/412,628
(32)【優先日】2010年11月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/412,390
(32)【優先日】2010年11月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/388,643
(32)【優先日】2010年10月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/385,586
(32)【優先日】2010年9月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/376,549
(32)【優先日】2010年8月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/368,360
(32)【優先日】2010年7月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/362,118
(32)【優先日】2010年7月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/324,390
(32)【優先日】2010年4月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ブロッソー,アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】グリゴレンコ,スヴィトラーナ
(72)【発明者】
【氏名】ジアン,ピン
(72)【発明者】
【氏名】コルゼンスキー,マイケル
【審査官】 内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−157767(JP,A)
【文献】 特開2002−177921(JP,A)
【文献】 特開昭59−219475(JP,A)
【文献】 特開平09−324222(JP,A)
【文献】 特開平10−314713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/34
C22B 7/00
C22B 11/00
C22B 13/00
C22B 15/00
C22B 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
はんだ及び少なくとも1つの貴金属を含むプリント配線板(PWB)から少なくとも1つの貴金属を回収する方法であって、
(a)第1の組成物を前記PWBの表面に接触させることであって、前記PWB及び前記第1の組成物は第1の容器内にあることと、
(b)前記第1の容器内を撹拌することと、
(c)前記第1の組成物に前記はんだを溶解又は可溶化させることであって、前記第1の組成物は前記少なくとも1つの貴金属に対して選択的に前記はんだを除去することと、
(d)すすぎにより前記PWBから前記第1の組成物を除去することと、
(e)前記PWBを乾燥させることと、
(f)三ヨウ化物イオンを含む浸出組成物を前記PWBに接触させることであって、前記PWB及び前記浸出組成物は第2の容器内にあることと、
(g)前記第2の容器内において撹拌を生じさせることと、
(h)前記浸出組成物に前記少なくとも1つの貴金属を溶解又は可溶化させることと、
(i)すすぎにより前記PWBから前記浸出組成物を除去することと、
(j)前記浸出組成物から前記少なくとも1つの貴金属を回収することと、
を含む、方法。
【請求項2】
少なくとも1つの構成部品が前記PWBの表面に取り付けられており、前記少なくとも1つの構成部品は、トランジスタ、コンデンサ、ヒートシンク、集積回路、抵抗器、集積スイッチ、チップ、プロセッサ、及びこれらの組合せからなる群から選択されるものである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記はんだは、鉛、スズ、又は鉛/スズ合金を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の組成物は、少なくとも1つの酸化剤、任意選択で少なくとも1つの鉛及び/又はすず錯化剤、任意選択で少なくとも1つの有機溶媒、及び任意選択で貴金属を不動態化させる少なくとも1つの不動態化剤を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの酸化剤は、硝酸、オゾン、気泡、シクロヘキシルアミノスルホン酸、過酸化水素、オキソン、ペルオキソ一硫酸アンモニウム、次亜塩素酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、ヨウ素酸アンモニウム、過ホウ酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、過ヨウ素酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、次亜塩素酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸カリウム、過硫酸カリウム、次亜塩素酸カリウム、過塩素酸テトラメチルアンモニウム、次亜塩素酸テトラメチルアンモニウム、ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム、過ホウ酸テトラメチルアンモニウム、過塩素酸テトラメチルアンモニウム、過ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム、過硫酸テトラメチルアンモニウム、ペルオキソ一硫酸テトラブチルアンモニウム、ペルオキソ一硫酸、過酸化尿素、過酢酸、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、メタンスルホン酸(MSA)、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、n−プロパンスルホン酸、イソプロパンスルホン酸、イソブテンスルホン酸、n−ブタンスルホン酸、n−オクタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−メトキシベンゼンスルホン酸、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、4−ニトロベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ヘキシルベンゼンスルホン酸、ヘプチルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ノニルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ウンデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、トリデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸、3−ニトロベンゼンスルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、2−ニトロナフタレンスルホン酸、3−ニトロナフタレンスルホン酸、2,3−ジニトロベンゼンスルホン酸、2,4−ジニトロベンゼンスルホン酸、2,5−ジニトロベンゼンスルホン酸、2,6−ジニトロベンゼンスルホン酸、3,5−ジニトロベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、2−アミノベンゼンスルホン酸、2−アミノナフタレンスルホン酸、3−アミノナフタレンスルホン酸、2,3−ジアミノベンゼンスルホン酸、2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸、2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸、2,6−ジアミノベンゼンスルホン酸、3,5−ジアミノベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリアミノベンゼンスルホン酸、3−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、2−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、2−ヒドロキシナフタレンスルホン酸、3−ヒドロキシナフタレンスルホン酸、2,3−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,4−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,6−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、3,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,3,4−トリヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,3,5−トリヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,3,6−トリヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,4,5−トリヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリヒドロキシベンゼンスルホン酸、3,4,5−トリヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,3,4,5−テトラヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,3,4,6−テトラヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,3,5,6−テトラヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,4,5,6−テトラヒドロキシベンゼンスルホン酸、3−メトキシベンゼンスルホン酸、2−メトキシベンゼンスルホン酸、2,3−ジメトキシベンゼンスルホン酸、2,4−ジメトキシベンゼンスルホン酸、2,5−ジメトキシベンゼンスルホン酸、2,6−ジメトキシベンゼンスルホン酸、3,5−ジメトキシベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリメトキシベンゼンスルホン酸、及びこれらの組合せのいずれかを含む、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの酸化剤は、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、n−プロパンスルホン酸、イソプロパンスルホン酸、イソブテンスルホン酸、n−ブタンスルホン酸、及びn−オクタンスルホン酸からなる群から選択されるアルカンスルホン酸を含む、
請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の組成物は、少なくとも1つの不動態化剤をさらに含み、前記少なくとも1つの不動態化剤は、1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5−フェニル−ベンゾトリアゾール、5−ニトロ−ベンゾトリアゾール、1−アミノ−1,2,4−トリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、2−(5−アミノ−ペンチル)−ベンゾトリアゾール、1−アミノ−1,2,3−トリアゾール、1−アミノ−5−メチル−1,2,3−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−イソプロピル−1,2,4−トリアゾール、5−フェニルチオール−ベンゾトリアゾール、ハロゲン−ベンゾトリアゾール、ナフトトリアゾール、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、及び、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾールからなる群から選択されるトリアゾール誘導体を含む、
請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の組成物は、少なくとも1つの錯化剤、少なくとも1つの有機溶媒、又は、少なくとも1つの錯化剤と少なくとも1つの有機溶媒の両方を含む、
請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の組成物には、実質的にエチレン基を含む有機溶媒がない、
請求項4に記載の方法。
【請求項10】
貴金属に対して卑金属を選択的に溶解する第2の組成物を使用して、少なくとも1つの卑金属を溶解させることを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記貴金属は金を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記浸出組成物を使用して前記少なくとも1つの構成部品から少なくとも1つの貴金属が除去される、
請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記浸出組成物に接触させる前に、前記構成部品を破砕するステップをさらに含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記貴金属は金を含み、前記金は、不均化反応、還元剤を使用して、又は電解採取によって回収される、
請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記PWBは、ガラス繊維層、銅膜、及び接着剤を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記接着剤は劣化して、前記銅膜を前記ガラス繊維層から遊離させる、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの構成部品は再使用可能又はリサイクル可能であり、それに従って分離される、
請求項2に記載の方法。
【請求項18】
前記三ヨウ化物イオンは現場で生成される、
請求項に記載の方法。
【請求項19】
前記浸出組成物は、少なくとも1つの酸化剤、少なくとも1つのヨウ化物塩又はヨウ化水素酸、水、及び少なくとも1つの金属不動態化剤を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの酸化剤は、オキソン、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、硝酸、過酸化水素、塩化第二鉄、硝酸第二鉄、過ヨウ素酸、次亜塩素酸ナトリウム、又はこれらの組合せからなる群から選択される種を含み、
前記少なくとも1つのヨウ化物塩は、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化マグネシウム、及びヨウ化テトラアルキルアンモニウムからなる群から選択される種を含み、ここで、アルキル基は相互に同じ、又は異なってよく、直鎖C−Cアルキル及び分枝C−Cアルキルからなる
群から選択され、
前記少なくとも1つの不動態化剤は、1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5−フェニル−ベンゾトリアゾール、5−ニトロ−ベンゾトリアゾール、1−アミノ−1,2,4−トリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、2−(5−アミノ−ペンチル)−ベンゾトリアゾール、1−アミノ−1,2,3−トリアゾール、1−アミノ−5−メチル−1,2,3−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−イソプロピル−1,2,4−トリアゾール、5−フェニルチオール−ベンゾトリアゾール、ハロゲン−ベンゾトリアゾール、ナフトトリアゾール、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、及び、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、アスコルビン酸、モリブデン酸ナトリウム、及び、これらの組合せからなる群から選択される種を含む、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記浸出組成物には実質的に王水及びシアン化物含有成分がない、
請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記卑金属は、ニッケル、銅、又はこれらの組合せを含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の組成物は、少なくとも1つの酸化剤、任意選択で少なくとも1つの卑金属錯化剤、任意選択で少なくとも1つの有機溶媒、及び任意選択で貴金属を不動態化させる少なくとも1つの不動態化剤を含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項24】
前記第2の組成物は、少なくとも1つの卑金属錯化剤をさらに含み、前記少なくとも1つの卑金属錯化剤は、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化カリウム、硫酸アンモニウム、塩酸、硫酸、及びこれらの組合せからなる群から選択される種を含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つの酸化剤は、アルカンスルホン酸、オゾン、硝酸、気泡、シクロヘキシルアミノスルホン酸、過酸化水素、オキソン、ペルオキソ一硫酸アンモニウム、次亜塩素酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、ヨウ素酸アンモニウム、過ホウ酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、過ヨウ素酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、次亜塩素酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸カリウム、過硫酸カリウム、次亜塩素酸カリウム、過塩素酸テトラメチルアンモニウム、次亜塩素酸テトラメチルアンモニウム、ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム、過ホウ酸テトラメチルアンモニウム、過塩素酸テトラメチルアンモニウム、過ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム、過硫酸テトラメチルアンモニウム、ペルオキソ一硫酸テトラブチルアンモニウム、ペルオキソ一硫酸、過酸化尿素、過酢酸、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、ベンゼンスルホン酸誘導体からなる群から選択される種を含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の組成物には、
(i)実質的にフッ化塩、硝酸第二鉄及び他の第二鉄塩、チタニウム(IV)塩、及び研磨剤がない、
(ii)実質的にフッ化塩、硝酸第二鉄及び他の第二鉄塩、チタニウム(IV)塩、及びフルオロホウ酸がない、
(iii)実質的にフッ化塩、硝酸第二鉄及び他の第二鉄塩、研磨剤、及びフルオロホウ酸がない、
(iv)実質的にフッ化塩、チタニウム(IV)塩、研磨剤、及びフルオロホウ酸がない、
(v)硝酸第二鉄及び他の第二鉄塩、チタニウム(IV)塩、研磨剤、及びフルオロホウ酸がない、又は、
(vi)実質的にフッ化塩、硝酸第二鉄及び他の第二鉄塩、チタニウム(IV)塩、研磨剤、及びフルオロホウ酸がない、
請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1つの構成部品がはんだにより前記PWBの表面に取り付けられており、前記第1の組成物への前記はんだの溶解又は可溶化は前記PWBから前記少なくとも1つの構成部品の分離を生じさせる、
請求項2に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の組成物は、少なくとも1つの酸化剤、硝酸、及び、少なくとも1つの不動態化剤を含み、前記少なくとも1つの不動態化剤は、1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5−フェニル−ベンゾトリアゾール、5−ニトロ−ベンゾトリアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1−アミノ−1,2,4−トリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、2−(5−アミノ−ペンチル)−ベンゾトリアゾール、1−アミノ−1,2,3−トリアゾール、1−アミノ−5−メチル−1,2,3−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−イソプロピル−1,2,4−トリアゾール、5−フェニルチオール−ベンゾトリアゾール、ハロゲン−ベンゾトリアゾール、ナフトトリアゾール、及び、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオールからなる群から選択されるトリアゾール誘導体を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1つの構成部品に前記浸出組成物を接触させて、前記浸出組成物に少なくとも1つの貴金属を溶解又は可溶化させることを含む、
請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の組成物は、
(i)メタンスルホン酸、硝酸、ベンゾトリアゾール及び水、
(ii)メタンスルホン酸、硝酸、1,2,4−トリアゾール及び水、
(iii)メタンスルホン酸、硝酸、1−アミノ−1,2,4−トリアゾール及び水、
(iv)メタンスルホン酸、硝酸、1−アミノ−1,2,3−トリアゾール及び水、
(v)メタンスルホン酸、硝酸、1−アミノ−5−メチル−1,2,3−トリアゾール及び水、
(vi)メタンスルホン酸、硝酸、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール及び水、
(vii)メタンスルホン酸、硝酸、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール及び水、
(viii)メタンスルホン酸、硝酸、3−イソプロピル−1,2,4−トリアゾール及び水、
(ix)メタンスルホン酸、硝酸、5−アミノテトラゾール及び水、
(x)メタンスルホン酸、硝酸、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン及び水、
(xi)メタンスルホン酸、硝酸、アスコルビン酸及び水、
(xii)メタンスルホン酸、硝酸、モリブデン酸ナトリウム及び水、又は、
(xiii)メタンスルホン酸、硝酸、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール及び水、
を含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
[0001] 本出願は、Svitlana Grigorenko及びAndre Brosseauの、「Method of Selective Recovery of Precious Metals by the Use of Ultrasonic Irradiation」と題した2010年4月15日出願の米国仮特許出願第61/324,390号、Svitlana Grigorenko及びAndre Brosseauの、「Methods of Removal of Components on Populated Circuit Boards by Means of Selective Recovery of Tin, Lead and/or Lead-Tin Solder Intensified by the Application of Ultrasound」と題した2010年8月24日出願の米国仮特許出願第61/376,549号、Andre Brosseau及びSvitlana Grigorenkoの、「Methods for Recycling of Obsolete Printed Circuit Boards」と題した2010年11月10日出願の米国仮特許出願第61/412,390号、Michael B. Korzenski及びPing Jiangの、「Processes for Reclaiming Precious Metals and Copper from Printed Wire Boards」と題した2010年7月7日出願の米国仮特許出願第61/362,118号、Michael B. Korzenski及びPing Jiangの、「Processes for Reclaiming Precious Metals and Copper from Printed Wire Boards」と題した2010年7月28日出願の米国仮特許出願第61/368,360号、Michael B. Korzenski及びPing Jiangの、「Processes for Reclaiming Prccious Mctals and Copper from Printed Wire Boards」と題した2010年9月23日出願の米国仮特許出願第61/385,586号、Ping Jiang及びMichael B, Korzenskiの、「Formulation and Method for Leaching Gold from Material」と題した2010年10月1日出願の米国仮特許出願第61/388,643号、及びAndre Brosseau、Svitlana Grigorenko、Ping Jiang及びMichael B. Korzenskiの、「Method for Recycling of Printed Circuit Boards」と題した2010年11月11日出願の米国仮特許出願第61/412,628号に対する優先権を主張し、上記各出願は参照により全体を本明細書に組み込むものとする。
【0002】
[0002] 本発明は、一般に、貴金属、卑金属、はんだ金属、及び作業用集積回路を含むが、これらに限定されない材料を分離するためにプリント配線板をリサイクルするプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 老朽化した、又は損傷したコンピュータ、コンピュータモニタ、テレビ受信機、携帯電話、及び同様の製品などの使用済み電子機器の廃棄は、急速に増加している。電子機器を埋め立て処分場に投棄すると、生物及び環境全体に重大な有害性があることが認識されている。同様に、不適切な分解は、手作業で分解する人の健康及び安全に相当の危険を与えることが理解される。
【0004】
[0004] プリント配線板(PWB)は、多くの電子システムの共通要素である。PWBは通常、ガラス繊維のプレート基質上に支持されたクリーンな銅箔上にドライフィルムを積層することによって製造される。フィルムは、フィルムが回路基板設計のネガである状態で露光し、エッチング装置を使用してマスキングしていない銅箔をプレートから除去する。次に、基板上のエッチングされていない銅にはんだを施す。特定のPWBの使用法及び設計に応じて、様々な他の金属を製造プロセスで使用することがある。例えば鉛、スズ、ニッケル、鉄、亜鉛、アルミニウム、銀、金、プラチナ、パラジウム、及び水銀などである。PWBは多くの追加の構成部品、例えばトランジスタ、コンデンサ、ヒートシンク、集積回路(IC)、抵抗器、集積スイッチ、プロセッサなどを含む。
【0005】
[0005] PWBは、場合によっては処理が困難な廃棄材料になる。何故なら、それが設置されている電気システムから除去されると、通常は有用性がほとんどないからである。また、これらは通常、有害又は「特殊」な廃棄物の流れとして分類される材料で構成される。これらは他の有害でない固体廃棄物の流れから分離し、別個に取り扱わねばならない。廃棄材料として取り扱われるPWBは、使用可能な幾つかの処分選択肢のいずれか1つを使用して処理しなければならない。これらの選択肢は費用がかかるばかりでなく、発生業者による多大な労力及び取り扱いを必要とする。さらに、これらの処分選択肢には廃棄回路基板の破壊を含まないものがあるので、発生業者には不適切な取り扱い又は処分に伴う責任の多くも残る。
【0006】
[0006] 電子廃棄物をスクラップにする負荷が増大し続けることによって引き起こされる原料の廃棄及び環境汚染と闘おうとして、様々な方法が提案されている。今日まで、リサイクルできるように材料を分離するためには、高エネルギーの需要を要する方法が必要とされている。機械的及び湿式冶金法が、廃棄PWBをリサイクルする伝統的な方法であり、これは廃棄物全体を粉砕し、その後に様々な材料の流れを分離し、濃縮しようとする。不利なことには、PWBを粉砕すると、プラスチック部分しか金属から効果的に遊離できず、有害ガスが発生する。したがって、機械的方法では高い回収率にならず、貴金属は特にそうである。湿式冶金法では、大量の化学物質を使用して、莫大な量の廃酸及びスラッジが発生し、これは有害廃棄物として処分しなければならない。さらに、化学的プロセスにより様々な金属をリサイクルするプロセス全体が、非常に長く、複雑である。廃棄PWBの高温冶金処理などの熱的方法では、エポキシの熱劣化(ダイオキシン及びフランの形成)及び金属(Pb、Sb、As及びGaなど)の揮発の結果、有害化学物質が大気及び水中に放出されることになる。熱的方法はさらに、エネルギー消費率が高く、高価な排ガス浄化システム及び耐食性機器を使用する必要があることを特徴とする。
【0007】
[0007] さらに、不利なことには、材料から貴金属(例えば金)を抽出する現在の方法は、材料から金を浸出させるために有害及び/又は高価な化学物質(すなわち、浸出液)を使用することを含む。金を溶解させる最古の商業的プロセスの1つは、いわゆる「青化法」であり、これはシアン化物イオンが非常に安定した金との錯体を形成する。青化法は効果があったので、鉱石からの金の抽出と金をコーティングしたスクラップ部品からの金の回収との両方に商業的に使用されることになった。通常、「青化法」にはシアン化カリウム溶液が使用される。不利なことには、この溶液は非常に有毒であり、使用済みシアン化溶液の処分は、重大かつ増大する廃棄物処理及び汚染低減の管理問題となっている。金には、錯クロロ金酸HAuClを入手するために「王水」として知られる塩酸と硝酸の混合物を使用した溶解もあった。しかし、王水は腐食性が非常に高く、有毒煙霧を発生し、貴金属に対する選択性がない。
【0008】
[0008] 構成部品及びはんだが全くないプリント回路基板(すなわち、裸基板)は、構成部品が装着された部品付き回路基板よりもリサイクルがはるかに容易な材料になる。裸基板自体が、エポキシによって表面上の多少の金/ニッケル/銅メッキが接着された銅及びガラス繊維箔のみで構成されているからである。裸基板は平均的な部品付きプリント回路基板の65〜70重量%になるので、基板から構成部品を除去すると、容易にリサイクル可能な材料部分を形成することになり、これは全体積の65〜70%になる。このアプローチは、到来する材料の体積全体に適用されるサイズリダクションという一般的方法と比較して有利である。さらに、基板から除去されると、回収された構成部品を選別し、タンタル含有構成部品又は再使用可能な構成部品など、タイプ別に販売し、それにより複数の生成物の流れを生成することができ、単なる構成部品の混合よりも小売価格が高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[0009] したがって、プリント配線板の構成部品及び金又は他の貴金属などの他の材料をリサイクルし、そこから金又は他の貴金属を回収するために、以上の問題を克服又は最小化する方法に対する要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[0010] 本発明は、一般に、プリント配線板をリサイクルして、再使用及び/又は回収のために材料を分離するプロセスに関する。特に、本発明は、一般に、PWBをリサイクルして貴金属、卑金属、作業用構成部品、及びタンタル金属を回収するプロセスに関する。
【0011】
[0011] 一態様では、プリント配線板の構成部品をプリント配線板から分離する方法について説明する。上記方法は、プリント配線板の構成部品を上記プリント配線板から選択的に除去するために、第1の組成物をプリント配線板に接触させることを含む。
【0012】
[0012] 別の態様では、貴金属、タンタル含有金属及び/又は卑金属に対してはんだ(例えば鉛及び/又はスズ含有材料)を選択的に除去する第1の組成物について説明する。第1の組成物は、少なくとも1つの酸化剤、任意選択で少なくとも1つの鉛及び/又はスズ錯化剤、任意選択で少なくとも1つの有機溶媒、任意選択で少なくとも1つの不動態化剤、及び任意選択でスルファミン酸塩イオンを含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。
【0013】
[0013] さらに別の態様では、貴金属を表面から除去する方法について説明し、上記貴金属は表面からアンダーカットされる。この方法は、上記表面上に存在する貴金属に対して卑金属を選択的に除去するために、上記表面を第2の組成物に接触させることを含む。
【0014】
[0014] 別の態様では、貴金属(例えば金)に対して銅及び/又はニッケル含有材料などの卑金属を選択的に除去する第2の組成物について説明し、上記第2の組成物は少なくとも1つの酸化剤、任意選択で少なくとも1つの卑金属錯化剤、任意選択で少なくとも1つの有機溶媒、及び任意選択で少なくとも1つの不動態化剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。
【0015】
[0015] さらに別の態様では、貴金属含有材料から貴金属、例えば金を回収する方法について説明し、この方法は、三ヨウ化物を含む浸出組成物に貴金属含有材料を投入すること、及び任意選択でそれに超音波キャビテーションを投入することを含む。
【0016】
[0016] さらに別の態様では、裸基板を処理して、銅からガラス繊維−エポキシ層を遊離させることができ、裸基板は、ガラス繊維から銅板を遊離させるエポキシの分解によって処理することができる。
【0017】
[0017] 別の態様では、プリント配線板(PWB)を処理する方法について説明し、この方法は、
(a)PWBから少なくとも1つの構成部品を分離することと、
(b)PWBから少なくとも1つの金属、少なくとも1つの構成部品、又はその両方を除去することと、を含む。
【0018】
[0018] 別の態様では、固体材料から鉛及び/又はスズ含有材料を除去する方法について説明し、この方法は、固体材料から鉛及び/又はスズ含有材料を除去するために、自身の上又は内部に鉛及び/又はスズ含有材料を有する固体材料に第1の組成物を十分な接触状態で接触させることを含む。固体材料は、超小型電子素子、金属、プラスチック、織物、繊維、土、鉱石、木材、紙、ガラス、革及び他の動物の皮、セメント、コンクリート、煉瓦、乾式壁、アスファルト、毛髪及び爪などのケラチン含有物質、ゴム、ラテックス、及びこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0019】
[0019] さらなる態様では、固体材料から銅及び/又はニッケル含有材料を除去する方法について説明し、この方法は、固体材料から銅及び/又はニッケル含有材料を除去するために、自身の上又は内部に銅及び/又はニッケル含有材料を有する固体材料に第2の組成物を十分な接触状態で接触させることを含む。固体材料は、超小型電子素子、金属、プラスチック、織物、繊維、土、鉱石、木材、紙、ガラス、革及び他の動物の皮、セメント、コンクリート、煉瓦、乾式壁、アスファルト、毛髪及び爪などのケラチン含有物質、ゴム、ラテックス、及びこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0020】
[0020] 他の態様、特徴及び利点は、次の開示及び特許請求の範囲からさらに十分に明白になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】[0021]プリント配線板をリサイクルする方法の第1の実施形態を示す。
図2】[0022]プリント配線板をリサイクルする方法の第2の実施形態を示す。
図3】[0023]プリント配線板をリサイクルする方法の第3の実施形態を示す。
図4】[0024]プリント配線板をリサイクルする方法の第4の実施形態を示す。
図5】[0025]プリント配線板をリサイクルする方法の第5の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[0026] 本発明は、一般に、プリント配線板をリサイクルして、再使用及び/又は回収のために材料を分離する方法に関する。特に、本発明は、一般に、PWBをリサイクルして貴金属、卑金属、作業用構成部品、及びタンタル金属を回収するプロセスに関する。本明細書で説明するプロセスは、先行技術の方法よりも環境に優しく、必要なエネルギーが少ないので有利である。
【0023】
[0027] 背景技術の項で紹介したように、廃棄PWBをリサイクル従来の方法では、環境を汚染し、出費が大きく、効率が低くなる。対照的に、本明細書で説明する方法は、材料のリサイクルに対する異なるアプローチに基づき、廃棄物PWBの様々な部品を外観及び物理的及び化学的特性に基づいて分離する。本明細書で説明する方法は、化学的浸出及び機械的離解の速度を上げるために超音波化学を使用することができ、それによって少量の化学物質を使用して高い回収率が可能になる。あるいは、本明細書で説明する方法は、廃棄PWBを効果的かつ効率的にリサイクルするのに超音波化学を必要としない。
【0024】
[0028] 一般的に、プリント配線板(PWB)から少なくとも1つのリサイクル可能材料を除去するプロセスについて説明し、この方法は、(a)、(b)、(c)のうち少なくとも1つ、又はその任意の組合せを含む。
(a)PWBから構成部品をはずす。
(b)PWB及び/又はPWBの構成部品から貴金属を回収する。
(c)PWBから卑金属を回収する。
【0025】
[0029] 本開示では、「電子廃棄物」又は「e廃棄物」は、その有効寿命の最後に到達するか、その他の理由で処分されたコンピュータ、コンピュータモニタ、テレビ受像器、電子パッド、携帯電話、ビデオカメラ、ディジタルカメラ、DVDプレーヤ、ビデオゲームコンソール、ファクシミリ機、複写機、MP3プレーヤ、及び同様の製品に対応する。電子廃棄物又はe廃棄物は、プリント配線板などの周知のアイテム内に含まれる構成部品、及びその上に含まれる構成部品(例えばトランジスタ、コンデンサ、ヒートシンク、IC、抵抗器、集積スイッチ、チップ及びプロセッサ)を含む。
【0026】
[0030] 開示全体で、裸基板はガラス繊維、エポキシ及び銅箔を含むものと説明される。当業者に認識されるように、「ガラス繊維」はガラス強化プラスチック又はガラス繊維強化プラスチックであり、プラスチック及びガラスを含む任意の材料に対応する。
【0027】
[0031] 本明細書で使用する「貴金属」は、金属の金、銀、プラチナ、パラジウム、及びこれらを含む合金を含む。
【0028】
[0032] 本明細書で使用する「卑金属」は、鉄、ニッケル、亜鉛、銅、アルミニウム、タングステン、モリブデン、タンタル、マグネシウム、コバルト、ビスマス、カドミウム、チタニウム、ジルコニウム、アンチモン、マンガン、ベリリウム、クロミウム、ゲルマニウム、バナジウム、ガリウム、ハフニウム、インジウム、ニオブ、レニウム、タリウム、これらを含む合金、及びこれらの化合物に対応する。
【0029】
[0033] 本明細書で使用する「銅」は、Cu(0)金属、さらにCu(0)を含む合金に対応する。
【0030】
[0034] 「実質的にない」とは、本明細書では2wt%未満、好ましくは1wt%未満、さらに好ましくは0.5wt%未満、最も好ましくは0.1wt%未満と定義される。「ない」は0wt%に対応する。
【0031】
[0035] 本明細書で使用する「約」は、言及される値の±5%に対応するものとする。
【0032】
[0036] 本明細書で使用する「貴金属、卑金属及び/又はタンタル含有金属に対してはんだを選択的に除去する」又は「貴金属、卑金属及び/又はタンタル含有金属に対して鉛及び/又はスズ含有材料を選択的に除去する」とは、約2:1から約1,000,000:1、好ましくは約100:1から約1,000,000:1、さらに好ましくは約1000:1から約1,000,000:1、及び最も好ましくは約10,000:1から約1,000,000:1という百万分の1(ppm)の除去選択性に対応する。すなわち、2(又は1,000,000より多くの)ppmの鉛及び/又はスズ含有材料を除去すると、1ppm以下の貴金属、卑金属及び/又はタンタル含有金属が除去される。
【0033】
[0037] 本明細書で使用する「貴金属に対して卑金属を選択的に溶解する」又は「金に対して卑金属を選択的に溶解する」とは、約2:1から約1,000,000:1、好ましくは約100:1から約1,000,000:1、さらに好ましくは約1000:1から約1,000,000:1、及び最も好ましくは約10,000:1から約1,000,000:1という百万分の1(ppm)の除去選択性に対応する。すなわち2(又は1,000,000より多くの)ppmの卑金属を除去すると、1ppm以下の金が除去される。
【0034】
[0038] 本明細書の定義では、「錯化剤」は錯化剤、キレート剤、金属イオン封鎖剤、及びこれらの組合せであると当業者に理解されている化合物を含む。錯化剤は、本明細書で説明する組成物を使用して除去される金属原子及び/又は金属イオンと化合する、又はそれと物理的に会合する。
【0035】
[0039] 本明細書の説明では、「プリント配線板」及び「プリント回路基板」は同義語であり、区別なく使用することができる。
【0036】
[0040] 本明細書で使用する「分離」という用語は、PWBからの構成部品の完全な除去、又はPWBからの構成部品の部分的分離に対応し、PWBからの構成部品の部分的分離は、PWBの構成部品の保持するはんだの弱化に対応し、分離の残りは別の方法で実行することができる。
【0037】
[0041] 本明細書で使用する貴金属、卑金属及び/又はタンタル含有金属に対してはんだを「除去する」とは、除去組成物中ではんだ金属又はイオンが実質的に溶解又は他の方法で可溶化する、好ましくは溶解する一方、貴金属、卑金属及び/又はタンタル含有金属は実質的に溶解しない、又は他の方法で可溶化しないことを意味する。同様に、貴金属に対して卑金属を「除去する」とは、除去組成物中で卑金属又はイオンが実質的に溶解又は他の方法で可溶化する、好ましくは溶解する一方、貴金属は実質的に溶解しない、又は他の方法で可溶化しないことを意味する。さらに、貴金属を含有する材料から貴金属を「除去する」とは、浸出組成物中で貴金属が実質的に溶解又は他の方法で可溶化する、好ましくは溶解する一方、卑金属及び/又はタンタル含有金属は実質的に溶解しない、又は他の方法で溶解しないことを意味する。「実質的に溶解する」とは、本明細書では元々存在する材料の95wt%より多く、好ましくは98wt%より多く、さらに好ましくは99wt%より多く、及び最も好ましくは99.9wt%より多くが溶解又は他の方法で可溶化することを意味する。「実質的に溶解しない」とは、本明細書では元々存在する材料の5wt%未満、好ましくは2wt%未満、さらに好ましくは1wt%未満、及び最も好ましくは0.1wt%未満が溶解又は他の方法で可溶化すると定義される。
【0038】
[0042] 本明細書で使用する「浸出」という用語は、PWB及び/又はPWBの構成部品から金又は他の貴金属を完全に除去又は抽出して浸出組成物中に入れること、又はPWB及び/又はPWBの構成部品から金又は他の貴金属を部分的に除去又は抽出して浸出組成物中に入れることに対応する。金又は他の貴金属は、浸出組成物中に溶解するか他の方法で可溶化し、好ましくは溶解する。
【0039】
[0043] 本明細書の定義では、PWB及び/又はPWBの構成部品の「破砕」は、PWB及び/又はPWBの構成部品の金及び他の貴金属を浸出組成物に実質的に曝露する、例えばPWB及び/又はPWBの構成部品に亀裂を入れる、微粉化する、又は剥離させる任意の方法に対応する。PWBの構成部品に亀裂を入れ、それにより微粉化又は剥離の結果として喪失する金又は他の貴金属の量を最小化することが好ましい。スクラップを微粉化すると、金粉が分離された流れに付着し、磁性部分に奪われ、貴金属が失われることがある。したがって破砕はさらに、微粉化又は剥離などのプロセスに奪われる金又は貴金属が10%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下であるプロセスと定義される。さらに、e廃棄物の破砕は、有害金属及び臭素化した難燃剤を含有する粉の放出を最小化することにより、人間の健康に対する危険を最小化する。
【0040】
[0044] 本明細書の定義では、「攪拌手段」は混合、再循環、乱流、振動、音波処理、及びこれらの組合せなどの物理的攪拌を含むが、これらに限定されない。
【0041】
[0045] 「ヨウ素」はI分子に対応し、「ヨウ化物」(I)は陰イオンであり、塩として提供されることが、当業者にはよく理解される。ヨウ化物塩はヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化マグネシウム、及びヨウ化テトラアルキルアンモニウムを含むが、これらに限定されず、アルキル基は相互に同じ、又は異なってよく、直鎖C−Cアルキル(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル)及び分枝C−Cアルキルからなる群から選択される。
【0042】
[0046] 以降でさらに詳細に説明するように、組成物は多種多様な特定の配合で実現することができる。組成物の特定の成分が、ゼロの下限を含む重量パーセンテージ範囲に関して検討される全てのこのような組成物では、このような成分が組成物の様々な特定の実施形態で存在しても存在しなくてもよく、このような成分が存在する場合は、このような成分が採用される組成物の総重量に基づいて、0.001重量パーセントしかない濃度で存在してもよいことが理解される。
【0043】
はんだの選択的除去方法
[0047] 構成部品は通常、鉛、スズ又は鉛とスズのはんだでPWBの表面に取り付けられ、これは通常、70Sn/30Pb、60Sn/40Pb又は63Sn/37Pbの組合せになる。特定の用途では、Ag−Snはんだが使用される。現在、構成部品除去のためのPWBのはんだ除去は、はんだを融点まで加熱することを含み、これにより遊離した構成部品がPWBから分離し、液体はんだが収集される。PWBのリサイクルに適用されるこの方法には、主に2つの欠点がある。すなわち、(i)鉛及びスズは低揮発金属であるので、このような加熱及び溶解は大気に対して高レベルの汚染排出物質を生成し、(ii)熱は構成部品を損傷し、再使用に不適格なものにする。
【0044】
[0048] 第1の態様では、プリント配線板の構成部品をプリント配線板から分離する方法について説明する。広義には、この方法は、プリント配線板の構成部品を上記プリント配線板から選択的に除去するために、第1の組成物をプリント配線板に接触させることを含む。プリント配線板の構成部品は、はんだ又は何らかの他の取り付け手段を使用して、プリント配線板に取り付けることができる。
【0045】
[0049] 一実施形態では、はんだを表面から除去する方法について説明し、この方法は、同時に上記表面上に存在する金属に対してはんだを選択的に除去するために、上記はんだを第1の組成物に接触させることを含む。別の実施形態では、表面からはんだを除去する方法について説明し、この方法は、同時に上記表面上に存在する金属に対してはんだを選択的に除去するために、容器内で上記はんだを第1の組成物に接触させること、及び任意選択で上記容器内で超音波キャビテーション又は他の攪拌手段を生成することを含む。はんだは鉛、スズ、又は鉛とスズの化合物を含むことが好ましい。金属は貴金属、タンタル含有金属、卑金属、又は貴金属とタンタル含有金属と卑金属の任意の組合せを含むことが好ましい。表面はPWBを含むことが好ましい。したがって、ある実施形態では鉛及び/又はスズ含有はんだをPWBから除去する方法について説明し、この方法は、同時に上記PWB上に存在する貴金属、タンタル含有金属、及び卑金属に対してはんだを選択的に除去するために、容器内で上記はんだを第1の組成物に接触させること、及び任意選択で上記容器内で超音波キャビテーション又は他の攪拌手段を生成することを含む。別の実施形態では、鉛及び/又はスズ含有はんだをPWBから除去する方法について説明し、この方法は、上記PWB上に同時に存在する貴金属、タンタル含有金属、及び/又は卑金属に対してはんだを選択的に除去するために、容器内で上記はんだを第1の組成物に接触させること、及び上記容器内で超音波キャビテーションを生成させることを含む。さらに別の実施形態では、鉛及び/又はスズ含有はんだをPWBから除去する方法について説明し、この方法は、上記PWB上に同時に存在する貴金属、タンタル含有金属、及び/又は卑金属に対してはんだを選択的に除去するために、容器内で上記はんだを第1の組成物に接触させることを含み、PWBから上記はんだを除去するプロセスでは超音波を使用しない。
【0046】
[0050] はんだは、トランジスタ、コンデンサ、抵抗器、ヒートシンク、集積回路、集積スイッチ、プロセッサ、チップなどの「構成部品」をPWBに取り付けることが、当業者には認識されるはずである。はんだの除去を必要とする新しい表面(すなわち、e廃棄物のPWB)を、次に第1の組成物に加え、第1の組成物が鉛及び/又はスズの金属で飽和するまで、表面から構成部品を分離するためのはんだ除去プロセスを繰り返すことができるので有利である。はんだを除去した状態で、構成部品ははずされ、上記構成部品は、光学システムを使用して、再使用可能で転売可能である構成部品、及び処分、有用な材料の回収のためにさらに処理できる構成部品などに分離することができる。はんだの除去に使用され、鉛及び/又はスズを含む組成物は、純粋な鉛及び/又はスズを回収するために電解採取することができる、及び/又は代替的に金属イオンを濃縮する拡散透析技術を使用して処理することができる。
【0047】
[0051] 超音波を生成しない除去用途では、第1の組成物を任意の適切な方法でPWBに接触させる。これは、例えば第1の組成物をPWB上に噴霧する、PWBを(大量の第1の組成物中に)浸漬する、PWBを、例えばパッド、又は繊維質吸収剤アプリケータ要素などの第1の組成物を吸収した別の材料に接触させる、PWBを再循環している組成物に接触させる、又は第1の組成物を除去する材料と接触させる任意の他の適切な手段、方法又は技術である。
【0048】
[0052] 超音波照射を生成する除去用途では、第1の組成物を好ましくは閉じた容器内でPWBに接触させ、第1の組成物の超音波照射を施し、集中的キャビテーションを生成することができる。超音波照射の周波数、入力パワー及び超音波の振幅は、所与の体積の被照射組成物中に集中的キャビテーションを生成させるような方法で選択されたい。はんだ除去を良好に加速させるために、20〜40kHzなどの低周波数で高出力の超音波が好ましい。機械的解離の効果の要因となるからである。超音波補助はんだ除去プロセスは、PWBを浸漬した組成物に対する超音波照射のアクセスを提供し、それにより組成物の体積中に集中的キャビテーションが生成される任意の実施形態で実行することができる。例えば、超音波エネルギーは超音波ホーンによって(例えば1リットルの溶液で使用され、動作周波数20kHzのHielscher Ultrasonics GmbHによるUIP 1000hdのホーンによって)送出することができ、これは化学溶液を閉じ込めて、好ましくは閉じた容器内に挿入される。しかし、この場合はホーンからの距離が異なるので、PWBの構成部品に対する影響が等しくないことがある。したがって、はんだ除去プロセスは、1つの超音波ホーンで照射した小さい体積で実行し、集中的キャビテーションが体積全体で確実に生成されるようにするか、幾つかの超音波ホーンで照射した大きい体積で実行し、閉じた容器の全部分でほぼ等しいキャビテーション強度を提供しなければならない。あるいは底部が振動する超音波浴及び/又は壁に装着した超音波変換器を使用して、組成物の体積中に等しい強度の超音波を提供することができる(例えばAdvanced Sonics, LLCによるSonochemical Reaction Vessel SRV-160で、SRV-160は20kHzで2000Wの超音波パワーによって駆動される5ガロンの超音波浴である)。その場合は、十分な超音波パワーを提供するように注意しなければならない。何故なら、洗浄用途のために製造される既製品の超音波浴は大部分が、高周波と低出力を組み合わせているからである。PWBのような平坦なアイテムの処理を可能にする平坦な超音波ホーンの(例えばSonics and Materials Inc.による設計のような)特殊な構成を生成するという選択肢もある。基板は、(例えばHielscher Ultrasonics GmbHが製造するDRS2000などの超音波配線洗浄システムと同様に)平坦なソノトロードを通って連続ライン上で搬送することができるので有利である。超音波の強度は圧力上昇とともに増大することが知られているので、閉じた容積内の組成物表面にわたって光圧を生成すると、音波処理の結果を向上させることができる。理論により拘束されないことが望まれるが、溶質との酸化還元反応に関与するラジカルの形成による音響キャビテーションによって、化学反応が加速され、これはスズ、鉛及び/又はスズ/鉛合金金属の化学的浸出を劇的に加速すると考えられる。音響キャビテーションは、接触表面にかかる高速ジェット、剪断力及び衝撃波という特殊な機械的効果を生成する要因にもなり、それにより機械的又は熱的損傷がない状態で物質移動及び機械的解離を高速化し、これは装着された構成部品のPWB表面からの分離を加速する。
【0049】
[0053] 鉛及び/又はスズ含有材料を、これを載せたPWBから除去するために本明細書で説明する組成物を使用する際に、第1の組成物は通常、約5秒から約180分間、好ましくは約1分間から約60分間、及び最も好ましくは約5分間から約45分間の時間、約20℃から約85℃の範囲、好ましくは約20℃から約40℃の範囲の温度で表面に接触する。このような接触時間及び温度は例示としてのものであり、除去する材料をPWBから除去するのに効果的である任意の他の適切な時間及び温度条件を採用することができる。超音波照射がある、又はない状態でPWBを第1の組成物に曝露した後、電子構成部品を遊離させ、はんだの痕跡がない裸基板を残す。構成部品ははずれるか、又は最小の力で除去することができる。
【0050】
[0054] 所望の除去を達成した後、第1の組成物は、本明細書で説明する組成物の所与の最終用途で所望され、効果的であり得るように、以前に塗布されていたPWBから容易に除去することができる。すすぎ溶液は脱イオン水を含むことが好ましい。その後、窒素又は脱水サイクルを使用してPWBを乾燥させることができる。
【0051】
[0055] はんだ除去プロセスは、第1の組成物が溶解金属のイオンで飽和するまで、PWBの新しいバッチで繰り返すことができる。第1の組成物はリサイクルし、新しいはんだ除去サイクルで再使用することが望ましい。溶解した金属を第1の組成物から最終的に回収することも望ましい。スズ及び鉛を、これを含む溶液から再生するのに使用される幾つかの代替テクノロジーがある。その1つは拡散透析であり、イオン交換膜によって分離された分離セル内で実行される。膜は酸及び水分子の移動を可能にするが、金属イオンの通過は防止する。この方法で回収した酸性溶液は次のはんだ除去サイクルで即座に再使用することができ、生成された濃縮金属溶液から電解採取によって金属を回収することができる。溶液を電気分解することによって、1つのステップでスズ、鉛又はスズ/鉛合金を含む溶液を再生し、金属を回収することができ、それにより金属が陰極上に遊離形で付着する。
【0052】
[0056] 電子構成部品をPWBの表面から選択的に分離する方法は、はんだ金属を除去する一方、プリント回路積層板の貴金属及び卑金属及び露出したエポキシは影響されないので有利である。この方法は、廃棄PWBをリサイクル/再加工する高速で経済的に効率的なプロセスを提供し、これは電子構成部品を回収すること、及びより容易にリサイクル可能で、銅、ガラス繊維強化エポキシ及び金/ニッケル/銅メッキのみを含む裸基板の流れを形成することを含む、
【0053】
はんだを選択的に除去する組成物の実施形態
[0057] 第2の態様では、貴金属、タンタル含有金属、及び/又は卑金属に対してはんだ(例えば鉛及び/又はスズ含有材料)を選択的に除去する第1の組成物について説明する。はんだを除去する第1の組成物は、以下の性質を有する。
1.鉛及びスズのみを溶解するために可能な限り選択的である。PWBは、銅、亜鉛、アルミニウム及び鉄など、大量の様々な金属を含有している。望ましくない金属は第1の組成物を飽和することになり、それによってターゲット金属の溶解に対する効果が低下する。
2.第1の組成物は、はんだの溶解に効果的であり、したがって装着された構成部品をPWBの表面から迅速に引き離すことができる。
3.装着された構成部品は販売可能な状態で回収される。すなわち、第1の組成物によって損傷又は腐食しないことが好ましい。例えば、チップをPWBの表面に接続するはんだによって覆われた微小なリード線は影響されないことが好ましい。
4.第1の組成物は、第1の態様のプロセス中に金メッキを除去する。PWBは、ニッケル及び銅上に薄いメッキの形態で存在し、いわゆる「ゴールドフィンガー」を形成する金属金を含有する。したがって、理想的な第1の組成物は金メッキを無影響のままにする。
【0054】
[0058] 一実施形態では、第1の組成物は少なくとも1つの酸化剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。第1の組成物はさらに、少なくとも1つの鉛及び/又はスズ錯化剤、少なくとも1つの有機溶媒、及び/又は貴金属、タンタル含有金属、及び/又は卑金属を不動態化する少なくとも1つの不動態化剤を含んでよい。したがって一実施形態では、第1の組成物は少なくとも1つの酸化剤と化合した少なくとも1つの鉛及び/又はスズ錯化剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。別の実施形態では、第1の組成物は少なくとも1つの鉛及び/又はスズ錯化剤、少なくとも1つの酸化剤、及び貴金属、タンタル含有金属、及び/又は卑金属材料を不動態化する少なくとも1つの不動態化剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。さらに別の実施形態では、第1の組成物は少なくとも1つの鉛及び/又はスズ錯化剤、少なくとも1つの酸化剤、及び少なくとも1つの有機溶媒を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。さらに別の実施形態では、第1の組成物は少なくとも1つの鉛及び/又はスズ錯化剤、少なくとも1つの酸化剤、少なくとも1つの有機溶媒、及び貴金属、タンタル含有金属、及び/又は卑金属を不動態化する少なくとも1つの不動態化剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。別の実施形態では、第1の組成物は少なくとも1つの酸化剤及び少なくとも1つの有機溶媒を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成され、第1の組成物には実質的に硝酸、硫酸、又はこれらの化合物がない。さらに別の実施形態では、第1の組成物は少なくとも1つの酸化剤及び貴金属、タンタル含有金属、及び/又は卑金属を不動態化する少なくとも1つの不動態化剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成され、第1の組成物には実質的に硝酸、硫酸、又はこれらの化合物がない。さらに別の実施形態では、第1の組成物は少なくとも1つの酸化剤、少なくとも1つの有機溶媒、及び貴金属及び/又は銅材料を不動態化する少なくとも1つの不動態化剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成され、第1の組成物には実質的に硝酸、硫酸、又はこれらの化合物がない。さらに別の実施形態では、第1の組成物は少なくとも1つの酸化剤、少なくとも1つの有機溶媒、及び貴金属、タンタル含有金属、及び/又は卑金属材料を不動態化する少なくとも1つの不動態化剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成され、第1の組成物には実質的に硫酸がない。これらの組成物は貴金属、タンタル含有金属、及び/又は卑金属に対する鉛及び/スズ含有材料の選択性を有し、それによりはんだの浴の処理量を増大させ、第1の組成物の浴寿命を延長する。第1の組成物と化合させて、鉛及び/又はスズに選択的なイオン交換樹脂を使用し、浴の寿命をさらに延長することができる。第1の組成物は水性組成物であることを認識されたい。
【0055】
[0059] 第2の態様の組成物は、第1の態様のプロセスの第1の組成物の1つのタイプにすぎないことが、当業者には認識されるはずである。当業者に容易に判断されるように、第1の態様のプロセスに使用される他の組成物も想定される。
【0056】
[0060] 組成物には酸化剤を含めて、除去される金属を酸化してイオン形にし、溶解した金属の可溶性が高い塩を蓄積させる。本明細書で想定される酸化剤は、オゾン、硝酸(HNO)、気泡、シクロヘキシルアミノスルホン酸、過酸化水素(H)、オキソン(ペルオキソ一硫酸カリウム、2KHSO・KHSO・KSO)、アンモニウム多原子塩(例えばペルオキソ一硫酸アンモニウム、次亜塩素酸アンモニウム(NHClO)、過塩素酸アンモニウム(NHClO)、ヨウ素酸アンモニウム(NHIO)、過ホウ酸アンモニウム(NHBO)、過塩素酸アンモニウム(NHClO)、過ヨウ素酸アンモニウム(NHIO)、過硫酸アンモニウム((NH)、次亜塩素酸アンモニウム(NHCIO)、ナトリウム多原子塩(例えば過硫酸ナトリウム(Na)、次亜塩素酸ナトリウム(NaCIO))、カリウム多原子塩(例えばヨウ素酸カリウム(KIO)、過マンガン酸カリウム(KMnO)、過硫酸カリウム、過硫酸カリウム(K)、次亜塩素酸カリウム(KCIO))、テトラメチルアンモニウム多原子塩(例えば過塩素酸テトラメチルアンモニウム((N(CH)CIO)、次亜塩素酸テトラメチルアンモニウム((N(CH)CIO)、ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム((N(CH)IO)、過ホウ酸テトラメチルアンモニウム((N(CH)BO)、過塩素酸テトラメチルアンモニウム((N(CH)CIO)、過ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム((N(CH)IO)、過硫酸テトラメチルアンモニウム((N(CH)S)、テトラブチルアンモニウム多原子塩(例えばペルオキソ一硫酸テトラブチルアンモニウム)、ペルオキソ一硫酸、過酸化尿素((CO(NH)H)、過酢酸(CH(CO)OOH)、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、及びこれらの化合物を含むが、これらに限定されない。本質的には酸化剤ではないが、本開示では酸化剤はさらに、アルカンスルホン酸(例えばメタンスルホン酸(MSA)、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、n−プロパンスルホン酸、イソプロパンスルホン酸、イソブテンスルホン酸、n−ブタンスルホン酸、n−オクタンスルホン酸)、ベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸誘導体(例えば4−メトキシベンゼンスルホン酸、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、4−ニトロベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ヘキシルベンゼンスルホン酸、ヘプチルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ノニルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ウンデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、トリデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸、3−ニトロベンゼンスルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、2−ニトロナフタレンスルホン酸、3−ニトロナフタレンスルホン酸、2,3−ジニトロベンゼンスルホン酸、2,4−ジニトロベンゼンスルホン酸、2,5−ジニトロベンゼンスルホン酸、2,6−ジニトロベンゼンスルホン酸、3,5−ジニトロベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、2−アミノベンゼンスルホン酸、2−アミノナフタレンスルホン酸、3−アミノナフタレンスルホン酸、2,3−ジアミノベンゼンスルホン酸、2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸、2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸、2,6−ジアミノベンゼンスルホン酸、3,5−ジアミノベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリアミノベンゼンスルホン酸、3−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、2−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、2−ヒドロキシナフタレンスルホン酸、3−ヒドロキシナフタレンスルホン酸、2,3−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,4−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,6−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、3,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,3,4−トリヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,3,5−トリヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,3,6−トリヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,4,5−トリヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリヒドロキシベンゼンスルホン酸、3,4,5−トリヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,3,4,5−テトラヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,3,4,6−テトラヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,3,5,6−テトラヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,4,5,6−テトラヒドロキシベンゼンスルホン酸、3−メトキシベンゼンスルホン酸、2−メトキシベンゼンスルホン酸、2,3−ジメトキシベンゼンスルホン酸、2,4−ジメトキシベンゼンスルホン酸、2,5−ジメトキシベンゼンスルホン酸、2,6−ジメトキシベンゼンスルホン酸、3,5−ジメトキシベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリメトキシベンゼンスルホン酸)、及びこれらの化合物を含む。酸化剤は、本明細書で酸化剤と定義された種のいずれかの化合物を含むことができる。酸化剤は、製造業者にて第1の組成物をPWBに投入する前に、または代替的にPWBにて、すなわち、現場で第1の組成物に投入することができる。酸化剤は、第1の組成物中に体積で0.1から90%、さらに好ましくは体積で10から60%、最も好ましくは体積で25から45%の範囲の量で存在することが好ましい。酸化剤は過酸化化合物、オキソン、硝酸及び/又はメタンスルホン酸を含むことが好ましい。酸化剤はメタンスルホン酸を含むことが最も好ましい。
【0057】
[0061] 有効量の硝酸が存在する場合、それははんだ除去プロセスの促進剤として働くと考えられる。したがって幾つかの実施形態では、第1の組成物中の酸化剤はアルカンスルホン酸(例えばMSA)及び硝酸を含むことが好ましく、アルカンスルホン酸は0.1から90体積%、さらに好ましくは10から60体積%、最も好ましくは25から45体積%の範囲の量で存在し、硝酸は約0.1から80体積%、好ましくは約1から30体積%、及び最も好ましくは5から15体積%の量で存在する。
【0058】
[0062] 錯化剤は、酸化剤によって生成されたイオンを錯化するために含まれる。本明細書で想定される錯化剤は、アセチルアセトネート、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタンジオン、及び1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオンなどのβ−ジケトネート化合物と、蟻酸塩及び酢酸塩及び他の長鎖カルボン酸塩などのカルボン酸塩と、ビス(トリメチルシリルアミド)四量体などのアミド(及びアミン)とを含むが、これらに限定されない。追加のキレート剤はアミン及びアミノ酸(すなわち、グリシン、セリン、プロリン、ロイシン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、バリン、及びロイシン)、クエン酸、酢酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、ホスホン酸、ホスホン酸誘導体、例えばヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、ニトリロ−トリス(メチレンホスホン酸)、ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチドロン酸、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、及び(1,2−シクロヘキシレンジニトリロ)四酢酸(CDTA)、尿酸、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、1,3,5−トリアジン−2,4,6−チチオール三ナトリウム塩溶液、1,3,5−トリアジン−2,4,6−チチオールトリアンモニウム塩溶液、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、1つのアルキル基(R=ヘキシル、オクチル、デシル又はドデシル)及び1つのオリゴエーテル(R(CHCHO)、ここでR=エチル又はブチル)がある二置換ジチオカルバメート(R(CHCHO)NRCSNa)、硫酸アンモニウム、モノエタノールアミン(MEA)、Dequest 2000、Dequest 2010、Dequest 2060台、ジエチレントリアミン五酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、2−ヒドロキシピリジン1−酸化物、エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(HEIDA)、三燐酸塩五塩基ナトリウム、それらのナトリウム塩及びアンモニウム塩、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化カリウム、硫酸アンモニウム、塩酸、硫酸、及びこれらの化合物を含む。錯化剤はHEDP、HEIDA、EDDS、そのナトリウム又はアンモニウム塩、硫酸、又はこれらの化合物を含むことが好ましい。酸化剤対錯化剤の量は、約10:1から約1:10、好ましくは約5:1から約1:5、さらに好ましくは約2:1から約1:2の範囲の体積パーセント比であり、酸化剤成分は希釈され、約1wt%から約50重要%の重量パーセント、例えば30wt%過酸化水素の体積で存在し、錯化剤成分は希釈され、約1wt%から約50wt%の重量パーセント、例えば1wt%HEDPの体積で存在する。例えば、第1の組成物は、1容量部の30wt%の過酸化水素と1容量部の1wt%の錯化剤を含むことができる。
【0059】
[0063] 貴金属、タンタル含有金属、及び/又は卑金属を不動態化する不動態化剤は、アスコルビン酸、アデノシン、L(+)アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、クエン酸、エチレンジアミン、没食子酸、シュウ酸、タンニン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、尿酸、1,2,4−トリアゾール(TAZ)、トリアゾール誘導体(例えばベンゾトリアゾール(BTA)、トリルトリアゾール、5−フェニル−ベンゾトリアゾール、5−ニトロ−ベンゾトリアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1−アミノ−1,2,4−トリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、2−(5−アミノ−ペンチル)−ベンゾトリアゾール、1−アミノ−1,2,3−トリアゾール、1−アミノ−5−メチル−1,2,3−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−イソプロピル−1,2,4−トリアゾール、5−フェニルチオール−ベンゾトリアゾール、ハロゲン−ベンゾトリアゾール(ハロゲン=F、Cl、Br又はI)、ナフトトリアゾール)、2−メルカプトベンズイミダゾール(MBI)、2−メルカプトベンゾチアゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、2−メルカプトチアゾリン、5−アミノテトラゾール(ATA)、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン、チアゾール、トリアジン、メチルテトラゾール、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,5−ペンタメチレンテトラゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、ジアミノメチルトリアジン、イミダゾリンチオン、メルカプトベンズイミダゾール、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、ベンゾチアゾール、トリトリル燐酸、イミダゾール、インジアゾール、安息香酸、ホウ酸、マロン酸、安息香酸アンモニウム、カテコール、ピロガロール、レゾルシノール、ヒドロキノン、シアヌル酸、バルビツール酸及び誘導体、例えば1,2−ジメチルバルビトール酸、アルファ−ケト酸、例えばピルビン酸、アデニン、プリン、ホスホン酸及びその誘導体、グリシン/アスコルビン酸、Dequest 2000、Dequest 7000、p−トリチオ尿素、コハク酸、ホスホノブタントリカルボン酸(PBTCA)、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸アンモニウム、クロム酸塩(例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム)、タングステン酸ナトリウム、二クロム酸塩(例えばナトリウム、カリウム、アンモニウム)、スベリン酸、アザレイン酸、セバシン酸、アジピン酸、オクタメチレンジカルボン酸、ピメリン酸、ドデカンジカルボン酸、ジメチルマロン酸、3,3−ジエチルコハク酸、2,2−ジメチルグルタミン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシ二酢酸、1,3−フェニレンジオキシ二酢酸、ジフェン酸、4−4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−オキシ二安息香酸、ジフェニル、メタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、デカメチレンジカルボン酸、ウンデカメチレンジカルボン酸、ドデカメチレンジカルボン酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリト酸、ピロメリト酸、燐酸ナトリウム(例えばヘキサメタ燐酸ナトリウム)、珪酸ナトリウム、及びこれらの化合物を含むが、これらに限定されない。不動態化剤はBTA、ATA、TAZ、トリアゾール誘導体、アスコルビン酸、モリブデン酸ナトリウム、又はこれらの化合物を含むことが最も好ましい。特に好ましい実施形態では、不動態化剤はモリブデン酸ナトリウムを含む。特に、不動態化剤の役割は、銅に対する組成物の攻撃を減少させることである。これは、銅が溶解するにつれて、銅上の薄い金メッキがアンダーカットされて失われることを防止し、さらなる金抽出プロセスのために、このようなメッキを安全に維持する。不動態化剤が存在する場合、その量は第1の組成物の総重量に基づいて約0.01から5wt%、好ましくは約0.1wt%から約1wt%の範囲である。
【0060】
[0064] 理論により拘束されないことが望まれるが、有機溶媒は、超小型電子素子構造の表面を濡らすことによって金属エッチング速度を向上させると考えられる。本明細書で想定される有機溶媒は、アルコール、エーテル、ピロリジノン、グリコール、カルボン酸、グリコールエーテル、アミン、ケトン、アルデヒド、アルカン、アルケン、アルキン、及びアミド、さらに好ましくはアルコール、エーテル、ピロリジノン、グリコール、カルボン酸、及びグリコールエーテル、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、及び高級アルコール(ジオール、トリオールなどを含む)、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチルピロリジノン(NMP)、シクロヘキシルピロリジノン、N−オクチルピロリジノン、N−フェニルピロリジノン、蟻酸メチル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、ジエチルエーテル、フェノキシ−2−プロパノール(PPh)、プロプリオフェネオン、乳酸エチル、酢酸エチル、安息香酸エチル、アセトニトリル、アセトン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジオクサン、ブチルラクトン、炭酸ブチレン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ジプロピレングリコール、両親媒性種(ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(すなわち、ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル(DPGME)、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル(DPGPE)、トリプロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、及びこれらの化合物)、分枝非フッ化エーテル結合カルボン酸(CHCHO(CHCOOH、ここでn=1から10及びm=1から10)、非分枝非フッ化エーテル結合カルボン酸(CHCHO(CHCOOH、ここでn=1から10及びm=1から10)、分枝非フッ化非エーテル結合カルボン酸(CH(CHCOOH、ここでn=1から10)、非分枝非フッ化非エーテル結合カルボン酸(CH(CHCOOH、ここでn=1から10)、ジカルボン酸、トリカルボン酸、及びこれらの化合物を含むが、これらに限定されない。有機溶媒はジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテルプロピレングリコール、又はその混合物を含むことが好ましい。有機溶媒が存在する場合、その量は第1の組成物の総重量に基づいて約0.01wt%から約25wt%、好ましくは約0.1wt%から約10wt%、及び最も好ましくは約0.1wt%から約5wt%の範囲である。
【0061】
[0065] 通常、過酸化水素は有機物又は金属に曝露すると分解し、したがって過酸化水素を含有する組成物は貯蔵寿命が短く、したがって使用箇所で混合しなければならない。使用者の現場によってはインフラがないので、使用箇所での混合は選択肢にならない。何故なら、製造工場の費用を増大させる適切な配管及び化学物質送達システムがないからである。有利には、第1の組成物が少なくとも1つの酸化剤と化合した鉛及び/又はスズ錯化剤を含む場合は、酸化剤が安定し、したがって事前に混合することができるが、上記錯化剤及び少なくとも1つの酸化剤はなお、使用箇所で混合できることを認識されたい。
【0062】
[0066] 別の実施形態では、第1の組成物は少なくとも1つの酸化剤、任意選択で少なくとも1つの鉛及び/又はスズ錯化剤、任意選択で少なくとも1つの有機溶媒、任意選択で貴金属、タンタル含有金属及び/又は貴金属を不動態化させる少なくとも1つの不動態化剤、及びはんだ材料を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。はんだ材料は鉛/又はスズ含有材料を含むことが好ましい。鉛及び/又はスズ含有材料は、本明細書で説明する組成物中に溶解及び/又は懸濁している鉛及び/又はスズイオンでもよい。
【0063】
[0067] さらに別の実施形態では、第1の組成物が硝酸を含む場合、組成物はさらに、スルファミン酸アンモニウム又はスルファミン酸を含むことができる。スルファミンイオンは硝酸を安定させ、有害なNO煙霧の発生を抑制すると考えられる。スルファミン酸が存在する場合、その量は第1の組成物の総重量に基づいて約0.1から20wt%、好ましくは約1から10wt%、及び最も好ましくは約1から5wt%の範囲である。
【0064】
[0068] 特に好ましい実施形態では、第1の組成物はMSA、少なくとも1つの有機溶媒、及び少なくとも1つの不動態化剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成され、組成物には実質的に硝酸、硫酸、又はこれらの化合物がない。別の特に好ましい実施形態では、第1の組成物はMSA、少なくとも1つのグリコールエーテル、及び少なくとも1つの不動態化剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成され、組成物には実質的に硝酸、硫酸、又はこれらの化合物がない。さらに別の特に好ましい実施形態では、第1の組成物はMSA、少なくとも1つのグリコールエーテル、及びモリブデン酸ナトリウムを含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成され、組成物には実質的に硝酸、硫酸、又はこれらの化合物がない。さらに好ましくは、第1の組成物はMSA、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、モリブデン酸ナトリウム、及び水を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成され、組成物には実質的に硝酸、硫酸、又はこれらの化合物がない。さらに別の実施形態では、第1の組成物はMSA、少なくとも1つの有機溶媒、及び少なくとも1つの不動態化剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成され、組成物には実質的に硫酸がない。さらに別の実施形態では、第1の組成物はMSA、硝酸、スルファミン酸アンモニウム、BTA、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、及び水を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成され、組成物には実質的に硫酸がない。別の実施形態では、第1の組成物はMSA、硝酸、スルファミン酸アンモニウム、BTA及び水を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成され、組成物には実質的に硫酸がない。第1の組成物の追加の実施形態は、(i)MSA、硝酸、BTA及び水を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される第1の組成物と、(ii)MSA、硝酸、TAZ及び水を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される第1の組成物と、(iii)MSA、硝酸、1−アミノ−1,2,4−トリアゾール及び水を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される第1の組成物と、(iv)MSA、硝酸、1−アミノ−1,2,3−トリアゾール及び水を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される第1の組成物と、(v)MSA、硝酸、1−アミノ−5−メチル−1,2,3−トリアゾール及び水を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される第1の組成物と、(vi)MSA、硝酸、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール及び水を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される第1の組成物と、(vii)MSA、硝酸、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール及び水を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される第1の組成物と、(viii)MSA、硝酸、3−イソプロピル−1,2,4−トリアゾール及び水を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される第1の組成物と、(ix)MSA、硝酸、MBI及び水を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される第1の組成物と、(x)MSA、硝酸、ATA及び水を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される第1の組成物と、(xi)MSA、硝酸、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン及び水を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される第1の組成物と、(xii)MSA、硝酸、アスコルビン酸及び水を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される第1の組成物と、(xiii)MSA、硝酸、モリブデン酸ナトリウム及び水を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される第1の組成物と、(xiv)MSA、硝酸、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール及び水を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される第1の組成物と、を含む。別の第1の組成物は硫酸、オキソン及びプロピレングリコールを含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。
【0065】
[0069] PWBの表面からの電子構成部品の取り外し及び遊離は、第1の組成物中に硝酸を使用すると、硝酸酸化鉄を添加せずに達成できることが判明した。また、第1の組成物には実質的にフッ化塩、他の第二鉄塩、チタニウム(IV)塩、研磨剤、フルオロホウ酸、及びエチレン基を含む有機溶媒、例えばエチレン、ジエチレン、トリエチレンなど、及び他のHAP有機溶媒のうち少なくとも1つがなくてもよい。本明細書で使用する「フッ化物」種は、イオンフッ化物(F)又は共有結合フッ素を含む種に対応する。フッ化物種は、フッ素種として含めるか、現場で生成してよいことを認識されたい。
【0066】
[0070] 容易にリサイクル可能な化学組成物を、最少の廃棄物を発生する閉ループプロセスに採用することができるので有利である。例えば第1の組成物がMSAを含む場合、MSAは容易にリサイクルされる。例えば第1の組成物がMSA、グリコールエーテル及びモリブデン酸ナトリウムを含み、上記組成物がPb/Snはんだに接触すると、その結果であるPb/Sn金属を含む組成物は、グリコールエーテルを除去するために炭素フィルタに組成物を通してリサイクルし、電解採取してPb及びSnを回収することができる。MSAを含む残りの溶液を再使用することができる。もはや採算がとれなくなると、第1の組成物は、Pb及びSnを電解採取し、過剰な酸性を中和することによって、基本的に無毒にすることができる。
【0067】
[0071] 説明されている第1の組成物を使用して、例えばトランジスタ、コンデンサ、ヒートシンク、IC、抵抗器、集積スイッチ、プロセッサなどのPWBの構成部品、さらに上記PWB上に露出した貴金属、タンタル含有金属、及び/又は卑金属と融和性である鉛及び/又はスズ含有材料を選択的に除去することができる。さらに、第1の組成物は水溶性で耐食性、不燃性で毒性が低い。
【0068】
[0072] 第1の組成物は、配合した通りに、又は水で希釈した後に使用箇所で使用することができる。希釈剤は脱イオン水であり、希釈程度は約1:1から約10:1(水対第1の組成物濃縮物)であることが好ましい。
【0069】
[0073] 本明細書で説明する第1の組成物は、約1から約12の範囲のpHを有し、(存在する場合は)使用する錯化剤に応じて調整することができる。例えば錯化剤がHEDP、HEIDA、又はその塩を含む場合、組成物のpHは高い酸性であり、例えば約1から約4の範囲となる。錯化剤がEDDSを含む場合、組成物のpHはEDDの様々なナトリウム塩を使用することによって調製できるので有利である。例えば、ナトリウムイオンを3個有するEDDを含む組成物は、約4から約8、好ましくは約5から約7の範囲のpHを有する。ナトリウムイオンを4個有するEDDを含む組成物は、約8から約12、好ましくは約9から約11の範囲のpHを有する。
【0070】
[0074] 本明細書で説明する第1の組成物の好ましい実施形態は、(i)EDDS/H、(ii)HEIDA/H、及び(iii)MSA、硝酸、スルファミン酸アンモニウム、BTA、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される組成物を含む。
【0071】
[0075] 本明細書で説明する第1の組成物は、単純に個々の成分を添加し、均質な状態まで混合することによって容易に配合される。さらに第1の組成物は、単一包装の配合として、又は使用箇所で、又はその前に混合される多要素配合として容易に配合することができ、例えば多要素配合の個々の要素をツールにて、又はツールの上流の貯蔵タンク内で混合することができる。個々の成分の濃度は、組成物の特定の倍数で多様に変更することができる、すなわち、さらに希釈するか、さらに濃縮することができ、本明細書で説明する組成物は様々に及び代替的に、本明細書の開示に矛盾しない成分の任意の組合せを含む、それらで構成できる、又は基本的にそれらで構成できることが認識される。
【0072】
アンダーカットにより貴金属を除去する方法
[0076] 第3の態様では、貴金属、例えば金を表面から除去する方法について説明する。当技術分野では、PWBは「ゴールドフィンガー」を含み、これは、はんだ及び構成部品(例えばトランジスタ、コンデンサ、ヒートシンク、IC、抵抗器、集積スイッチ、プロセッサなど)をPWBから除去した後、即座に露出することが周知である。(金のコネクタ又は「ゴールドフィンガー」としての)金は、銅及び/又はニッケル含有層などの卑金属に重なっている。
【0073】
[0077] 一実施形態では、貴金属を表面から除去する方法について説明し、上記貴金属は表面からアンダーカットされる。第3の態様の別の実施形態では、この方法は、上記表面上に存在する貴金属に対して卑金属を選択的に除去するために、上記表面を第2の組成物に接触させることを含む。第2の組成物は、卑金属(例えば銅及び/又はニッケル含有層)をエッチングで除去して、貴金属(例えば金)をアンダーカットし、これは表面から層状に剥離し、さらなる処理のために容易に収集される(例えば濾過される)。表面はPWBを含むことが好ましい。第3の態様の別の実施形態では、この方法は上記表面上に存在する貴金属に対して卑金属を選択的に除去するために、以上で説明したように、容器内で上記表面を第2の組成物に接触させること、及び任意選択で上記容器内で超音波キャビテーション又は他の攪拌手段を生成することを含む。さらに別の実施形態では、プリント配線板から貴金属を除去する方法について説明し、この方法は上記表面上に存在する貴金属に対して卑金属を選択的に除去するために、容器内で上記表面を第2の組成物に接触させること、及び任意選択で上記容器内で超音波キャビテーション又は他の攪拌手段を生成することを含む。別の実施形態では、プリント配線板から貴金属を除去する方法について説明し、この方法は上記表面上に存在する貴金属に対して卑金属を選択的に除去するために、閉じた容器内で上記表面を第2の組成物に接触させること、及び上記容器内で超音波キャビテーションを生成することを含む。さらに別の実施形態では、プリント配線板から貴金属を除去する方法について説明し、この方法は上記表面上に存在する貴金属に対して卑金属を選択的に除去するために、容器内で上記表面を第2の組成物に接触させることを含み、貴金属をPWBから除去するプロセスに超音波を使用しない。
【0074】
[0078] (例えば第1の態様のプロセス又はその同等物に従って)はんだ及び構成部品が除去され、卑金属及び貴金属を含む新しい表面を、第2の組成物に加えることができ、第2の組成物が卑金属で飽和するまで、貴金属を捕捉するのに卑金属を除去するプロセスを繰り返すことができるので有利である。第3の態様のプロセスが終了した後、(例えば電気化学的に、又は電解採取により)卑金属を含む第2の組成物を処理して、有用な形態の上記卑金属を入手することができる。さらに、ガラス繊維、胴及びエポキシを含む裸PWB基板を処理して、本明細書で開示するように銅板及びガラス繊維を遊離することができる。
【0075】
[0079] 第3の態様の別の実施形態では、貴金属をプリント配線板から除去する方法について説明し、この方法は上記表面上に存在する貴金属に対して卑金属を選択的に除去するために、閉じた容器内で上記表面を第2の組成物に接触させること、及び上記容器内で超音波キャビテーションを生成することを含む。理論により拘束されないことが望まれるが、超音波は集中的キャビテーションを生成し、これは除去効率の劇的な上昇と、剪断力、高速ジェット及び衝撃波を含むが、これらに限定されない特殊な機械的効果の生成につながり、貴金属に対する卑金属の除去を補助すると考えられる。理論により拘束されないことが望まれるが、第2の組成物は、卑金属を除去する場合に貴金属の下でトンネル効果を生成すると考えられる。その結果、所望通りにアンダーカットし、その後に収集可能な固体として貴金属が引き離され、これは濾過、遠心分離、浮選、又は任意の他の適切な固体と液体の分離法によって第2の組成物から回収することができる。引き離された貴金属は、水で洗浄することができる。超音波キャビテーションを使用するこの実施形態では、第2の組成物は過硫酸塩、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸テトラメチルアンモニウム、又は過硫酸ナトリウムの水溶液を含むことが好ましく、第2の組成物中の過硫酸塩の濃度は約0.01wt%から約10wt%、好ましくは約0.01wt%から溶解限度までの範囲である。低周波の超音波(20〜40kHz)が好ましい。何故なら、低周波の結果、生成され、過硫酸溶液の分解の要因となることがある遊離基が少なくなるからである。例えば参照により全体を本明細書に組み込むものとする米国特許第3,644,150号に開示されているように、第2の組成物の分解を防止するために、過硫酸溶液を安定化させる方法を適用できることを認識されたい。米国特許第3,644,150号は、有機スルホン酸のカリウム塩を使用して浸出溶液を安定化させる方法について説明しているが、米国特許第3,644,150号の教示を使用するかは任意選択にすぎないことを認識されたい。この実施形態の飽和した第2の組成物は、主に硫酸銅で構成される。溶解した銅を回収するために、参照により全体を本明細書に組み込むものとする米国特許第3,399,090号で主張されているように、作業用第2の組成物を酸性化して電解質に曝すか、冷却して析出させ、硫酸銅及び硫酸アンモニウムを分離することができる。米国特許第3,399,090号は、溶解した硫酸金属及び硫酸アンモニウムの複塩を、これを含む溶液から溶液の冷却によって分離する方法を説明している。米国特許第3,399,090号の教示を使用するかは任意選択にすぎないことを認識されたい。
【0076】
[0080] 超音波キャビテーションを使用しない場合の除去用途では、第2の組成物を任意の適切な方法でPWBに接触させるが、これは、例えば第2の組成物をPWBに噴霧する、PWBを(第2の組成物の体積中に)浸漬する、吸収した第2の組成物を有する別の材料、例えばパッド、又は繊維質吸収材アプリケータ要素などにPWBに接触させる、PWBを再循環組成物に接触させる、又は除去される材料に第2の組成物を接触させる任意の他の適切な手段、方法又は技術である。溶解した銅を回収するために、本明細書で説明するように作業用第2の組成物を酸性化して電解質に曝すか、冷却して析出させ、硫酸銅及び硫酸アンモニウムを分解することができる。
【0077】
[0081] 銅及び/又はニッケル含有材料を、これを載せたPWBから除去するために本明細書で説明する組成物を使用する際に、第2の組成物は通常、約5秒から約180分間、好ましくは約1分間から60分間の時間、及び最も好ましくは5分間から約45分間、約20℃から約100℃の範囲、好ましくは約20℃から約70℃の範囲で表面に接触する。温度は、過硫酸アンモニウムを使用する場合に固体錯体の析出物形成を防止するために、65℃より高くすることができる。このような接触時間及び温度は例示としてのものであり、除去する材料をPWBから除去するのに効果的である任意の他の適切な時間及び温度条件を採用することができる。
【0078】
[0082] 超音波照射がある、又はない状態でPWBを第2の組成物に曝露した後、貴金属を遊離させ、ガラス繊維、胴板及びエポキシを含む裸基板を残している。貴金属は、可溶化した卑金属を含む第2の組成物から容易に分離され、貴金属を水ですすぎ、次にすすぎ水を濾過して緊迫を回収することができる。第2の組成物を濾過して、引き離した金箔を回復することもできる、又は起泡剤を第2の組成物に添加して、引き離した金箔をその表面からすくい取ることができる。第2の組成物は、以前に適用されていたPWBから、すすぎ溶液を使用して容易に除去することができる。すすぎ溶液は脱イオン水を含むことが好ましい。その後、窒素又は脱水サイクルを使用してPWBを乾燥させることができる。自身上に金を有する新しいPWB(例えば構成部品が除去されているPWB)を作業用第2の組成物に加えることができ、プロセスは、第2の組成物が卑金属で飽和するまで繰り返すことができる。使用済み第2の組成物は主に貴金属の硫酸塩で構成される。溶解した金属を回収するために、溶液を酸性化し、電解液に曝すか電解採取することができる。
【0079】
貴金属をアンダーカットする組成物の実施形態
[0083] 第4の態様では、貴金属(例えば金)に対して銅及び/又はニッケル含有材料などの卑金属を選択的に除去する第2の組成物について説明し、上記組成物は少なくとも1つの酸化剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。第2の組成物はさらに、少なくとも1つの卑金属錯化剤、少なくとも1つの有機溶媒及び/又は貴金属を不動態化する少なくとも1つの不動態化剤を含むことができる。したがって一実施形態では、第2の組成物は少なくとも1つの卑金属錯化剤及び少なくとも1つの酸化剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。別の実施形態では、第2の組成物は少なくとも1つの酸化剤及び貴金属を不動態化する少なくとも1つの不動態化剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。さらに別の実施形態では、第2の組成物は少なくとも1つの酸化剤及び少なくとも1つの有機溶媒を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。さらに別の実施形態では、第2の組成物は少なくとも1つの卑金属錯化剤、少なくとも1つの酸化剤、及び貴金属を不動態化する少なくとも1つの不動態化剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。別の実施形態では、第2の組成物は少なくとも1つの卑金属錯化剤、少なくとも1つの酸化剤、及び少なくとも1つの有機溶媒を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。第2の組成物の別の実施形態は少なくとも1つの卑金属錯化剤、少なくとも1つの酸化剤、及び少なくとも1つの有機溶媒を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成され、組成物には実質的に過酸化水素がない。さらに別の実施形態では、第2の組成物は少なくとも1つの有機溶媒、少なくとも1つの酸化剤、及び貴金属を不動態化する少なくとも1つの不動態化剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。さらに別の実施形態では、第2の組成物は少なくとも1つの卑金属錯化剤、少なくとも1つの酸化剤、少なくとも1つの有機溶媒、及び貴金属を不動態化する少なくとも1つの不動態化剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。卑金属に選択的なイオン交換樹脂を第2の組成物と化合させて使用し、浴の寿命を延長することができる。第2の組成物は水性組成物であることを認識されたい。
【0080】
[0084] 当業者に容易に判断されるように、卑金属錯化剤は本明細書で説明する錯化剤のリストから選択することができる。卑金属錯化剤は硫酸、塩化物の塩(例えばNHCl、NaCl、KClなど)、又はこれらの化合物を含むことが好ましい。酸化剤は、本明細書で説明する酸化剤のリストから選択することができる。第2の組成物の酸化剤はオキソン又は過硫酸塩の塩、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸テトラメチルアンモニウム又は過硫酸ナトリウムを含むことが好ましい。当業者に容易に判断されるように、貴金属不動態化剤は本明細書で説明する不動態化剤のリストから選択することができる。貴金属(例えば金)不動態化剤はモリブデン酸ナトリウム、ヘキサメタ燐酸ナトリウム、スベリン酸、又はこれらの化合物を含むことが好ましい。
【0081】
[0085] 第4の態様の組成物は、第3の態様のプロセスの第2の組成物の1つのタイプにすぎないことが、当業者には認識されるはずである。当業者に容易に判断されるように、第3の態様のプロセスに使用される他の組成物も想定される。
【0082】
[0086] 酸化剤対錯化剤の量は、約10:1から約1:10、好ましくは約5:1から約1:5、さらに好ましくは約2:1から約1:2の範囲の体積パーセント比であり、酸化剤成分は、酸化剤成分の総重量に基づいて約1wt%から約50wt%の重量パーセントで存在し、錯化剤成分は、錯化剤成分の総重量に基づいて約1wt%から約50wt%の重量パーセントで存在する。例えば、第2の組成物は、1容量部の30wt%の過酸化水素と1容量部の1wt%の錯化剤を含むことができる。不動態化剤が存在する場合、その量は第2の組成物の総重量に基づいて約0.01wt%から約5wt%、好ましくは約0.1wt%から約1wt%の範囲である。有機溶媒が存在する場合、その量は第2の組成物の総重量に基づいて約0.01wt%から約25wt%、好ましくは約0.1wt%から約10wt%、及び最も好ましくは約0.1wt%から約5wt%の範囲である。
【0083】
[0087] 有利には、第2の組成物が少なくとも1つの酸化剤と化合した少なくとも1つの卑金属錯化剤を含む場合、酸化剤は安定化され、したがって事前に混合することができるが、錯化剤と酸化剤はそれでも使用箇所で混合できることを認識されたい。
【0084】
[0088] 別の実施形態では、第2の組成物は少なくとも1つの酸化剤、任意選択で少なくとも1つの卑金属錯化剤、任意選択で少なくとも1つの有機溶媒、任意選択で貴金属を不動態化する少なくとも1つの不動態化剤、及び卑金属材料を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。卑金属材料は銅及び/又はニッケル含有材料を含むことが好ましい。銅及び/又はニッケル含有材料は、本明細書で説明する組成物中に溶解及び/又は懸濁している銅及び/又はニッケル金属又はイオンとすることができる。
【0085】
[0089] 第2の組成物はオキソン及び少なくとも1つの金不動態化剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成されることが好ましい。特に好ましい実施形態では、第2の組成物はオキソン及びモリブデン酸ナトリウムを含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。別の特に好ましい実施形態では、第2の組成物はオキソン及びヘキサメタ燐酸ナトリウムを含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。さらに別の実施形態では、第2の組成物はオキソン、少なくとも1つの銅及び/又はニッケル錯化剤、及び少なくとも1つの有機溶媒を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。例えば、第2の組成物はオキソン、硫酸、及びジエチルグリコールモノブチルエーテルを含む、それらで構成できる、又は基本的にそれらで構成することができる。あるいは、第2の組成物はオキソン、硫酸、及びプロピレングリコールを含む、それらで構成できる、又は基本的にそれらで構成することができる。
【0086】
[0090] 第2の組成物がオキソンを含む場合、オキソンは容易にリサイクルされるので有利である。例えば第2の組成物がオキソン及びモリブデン酸ナトリウムを含み、上記組成物がCu/Niと接触している場合、その結果でありCu/Niイオンを含む組成物は、電解採取によってリサイクルし、Cu及びNiを回収することができる。オキソンを含む残りの溶液は再使用することができる。
【0087】
[0091] 第2の組成物が硫酸を含む場合、生成物の1つは硫酸銅であり、これは硫酸銅として再使用するか、あるいは電解採取して銅金属を回収することができるので有利である。
【0088】
[0092] 第2の組成物は、配合した通りに、又は水で希釈した後に使用箇所で使用することができる。希釈剤は脱イオン水であり、希釈程度は約1:1から約10:1(水対第2の組成物濃縮物)であることが好ましい。
【0089】
[0093] 本明細書で説明する第2の組成物は、約1から約12の範囲のpHを有し、(存在する場合は)使用する錯化剤に応じて調整することができる。例えば錯化剤がHEDP、HEIDA、又はその塩を含む場合、組成物のpHは高い酸性であり、例えば約1から約4の範囲となる。錯化剤がEDDSを含む場合、組成物のpHはEDDの様々なナトリウム塩を使用することによって調製できるので有利である。例えば、ナトリウムイオンを3個有するEDDを含む組成物は、約4から約8、好ましくは約5から約7の範囲のpHを有する。ナトリウムイオンを4個有するEDDを含む組成物は、約8から約12、好ましくは約9から約11の範囲のpHを有する。
【0090】
[0094] 一実施形態では、第2の組成物には実質的にフッ素イオンがない。別の実施形態では、第2の組成物には実質的に研磨剤がない。さらに、第2の組成物の性質を考慮すれば、それにはエチレン基を含む容器溶媒、例えばエチレン、ジエチレン、トリエチレンなど、及び他のHAP有機溶媒が実質的になくてよい。
【0091】
[0095] 本明細書で説明する第2の組成物の好ましい実施形態は、(i)HEDP/H、(ii)HEIDA/H、(iii)硫酸、オキソン、ジエチルグリコールモノブチルエーテル、(iv)硫酸、オキソン、プロピルグリコール、(v)15wt%の硫酸、12wt%のオキソン、0.8wt%のジエチレングリコールモノブチルエーテル、(vi)15wt%の硫酸、12wt%のオキソン、0.8wt%のプロピレングリコール、(vii)10〜20wt%の硫酸、7〜17wt%のオキソン、0.1〜2wt%のジエチレングリコールモノブチルエーテル、及び(viii)10〜20wt%の硫酸、7〜17wt%のオキソン、0.1〜2wt%のプロピレングリコールを含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。
【0092】
[0096] 本明細書で説明する第2の組成物は、単純に個々の成分を添加し、均質な状態まで混合することによって容易に配合される。さらに第2の組成物は、単一包装の配合として、又は使用箇所で、又はその前に混合される多要素配合として容易に配合することができ、例えば多要素配合の個々の要素をツールにて、又はツールの上流の貯蔵タンク内で混合することができる。個々の成分の濃度は、組成物の特定の倍数で多様に変更することができる、すなわち、さらに希釈するか、さらに濃縮することができ、本明細書で説明する組成物は様々に及び代替的に、本明細書の開示に矛盾しない成分の任意の組合せを含む、それらで構成できる、又は基本的にそれらで構成できることが認識される。
【0093】
固体から貴金属を浸出させる方法及び組成物
[0097] 第5の態様では、貴金属、例えば金を貴金属含有材料から回収する組成物及び方法について説明し、この方法は、三ヨウ化物を含む浸出組成物に貴金属含有材料を投入することを含む。上記貴金属含有材料は、金のスクラップ、鉱石及び他の採掘尾鉱及び電子廃棄物(e廃棄物)、例えばPWB及び/又はPWBの構成部品を含むが、これらに限定されない。一実施形態では、第5の態様の上記方法は、容器内で三ヨウ化物を含む浸出組成物に貴金属含有材料を投入すること、及び任意選択で上記容器内で超音波キャビテーションを生成することを含み、上記浸出組成物は三ヨウ化物を含み、貴金属は上記貴金属含有材料から実質的に除去される。貴金属は金を含むことが好ましい。例えば、はんだを除去し、(例えば第1の態様の方法又はその同等物に従って)PWBの表面から構成部品をはずした後、光学システム又は何らかの他の手段を使用して構成部品を部分に分離することができ、それにより再使用可能な構成部品を、貴金属を含有する構成部品の部分、卑金属を含有する構成部品の部分、及び任意選択でタンタルを含有する構成部品の部分から分離することができる。一実施形態では、貴金属を含有する構成部品の部分をさらに処理し、PWBの構成部品の部分から貴金属を浸出させる。
【0094】
[0098] 別の実施形態では、第5の態様の方法は、PWBの構成部品から貴金属、例えば金を回収する方法に対応し、この方法は、三ヨウ化物を含む浸出組成物にPWBの構成部品を投入すること、及び人選択で上記浸出組成物内で超音波キャビテーションを生成することを含み、貴金属は上記PWBの構成部品から実質的に除去される。PWBの構成部品はそのままで処理することができる、又はPWBの構成部品は本明細書で定義された通りに破砕することができる。
【0095】
[0099] 別の実施形態では、第5の態様の方法は、プリント配線板から貴金属、例えば金を回収する方法に対応し、この方法は、三ヨウ化物を含む浸出組成物にPWBを投入すること、及び任意選択で上記浸出組成物内で超音波キャビテーションを生成することを含み、貴金属は上記PWBから実質的に除去される。PWBから貴金属を回収する場合、PWBにはPWBの構成部品がないことが好ましい(例えば構成部品は、本明細書で説明した第1の態様の方法、又は当技術分野で知られている任意の他の方法を使用して除去することができる)。PWBはそのままで処理することができる、又はPWBは本明細書で定義された通りに破砕することができる。
【0096】
[00100] 貴金属含有材料はそのままで浸出組成物に添加する、微粉化して粉末にする、剥離して部片にする、硬質シェル(例えばプラスチック)がひび割れて中に含まれる金属が露出するように破砕する、又は貴金属含有材料に含有される金属が、材料から除去するために容易に露出している限り、任意の他の形態とすることができる。貴金属含有材料は、回収歩留りが増加するように破砕することが好ましい。
【0097】
[00101] 貴金属含有材料から貴金属を浸出するために本明細書で説明する組成物を使用する際に、第5の態様の組成物は通常、約5秒から約180分間、好ましくは約1分間から約60分間、及び最も好ましくは約5分間から約45分間の時間、約20℃から約60℃の範囲、好ましくは約20℃から約40℃の範囲の温度で貴金属含有材料に接触する。このような接触時間及び温度は例示としてのものであり、貴金属を貴金属含有材料から除去するのに効果的である任意の他の適切な時間及び温度条件を採用することができる。超音波照射がある、又はない状態で貴金属含有材料を第5の態様の浸出組成物に曝露した後、貴金属を遊離させる。
【0098】
[00102] 一実施形態では、貴金属含有材料から除去された貴金属は、下の化学反応により、電解採取又は還元剤の使用を必要とせずに、固体金属として収集され、これは下式により金との安定した錯体を形成するために三ヨウ化物溶液による金のイオン化を含む。
【数1】
ここで、三価金錯体は下式により一価金錯体と平衡している。
【数2】
当業者に容易に理解されるように、不均化反応に基づいて金を析出させることができる。
【数3】
金属金は、浸出組成物の表面上に微小な薄片の形態で現すことができる。金属金箔の添加(例えばシード添加)、さらに溶液の冷却は、必須ではないが金の除去速度を上げることができる。金の除去を促進するために、凝集剤を組成物に添加し(例えばMagnaflok-351、Ciba Chemicals)、金の粒子とともに浸出組成物の表面からすくい取ることができる。有利には、金の金属を入手するために還元剤が必要とされないので、回収のために組成物が浸出した金属で再度飽和し、新しい金の破片が表面に現れるまで、新しい金含有材料を三ヨウ化物浸出組成物に接触させることができ、以下同様となる。不均化反応は卑金属より金に特異的であり、したがって卑金属が金と同時に自動析出しないので有利である。したがって、浸出組成物へと入る卑金属の除去を減少させるために追加の措置を執る必要がない。金の回収は浸出組成物に影響せず、それは新しい貴金属含有材料の浸出のために無限に再使用することができるので有利である。
【0099】
[00103] 別の実施形態では、貴金属含有材料から除去された貴金属を含有する浸出組成物に還元剤を添加して、それを析出させる。貴金属の内容に応じて、様々な還元剤を適用して、貴金属の選択的又は非選択的析出を引き起こすことができる。析出は、浸出組成物の汚染を回避する方法で実行することができ、したがって貴金属が除去された後に浸出組成物を再生し、次の浸出サイクルに再使用することができる。還元剤は、いわゆる環境に優しい化学物質であることが好ましい。さらに、還元は、最小の加熱要件で迅速に生じることが好ましい。例えば、SOでの析出は金に選択的であり、浸出組成物を汚染せず、安価であることが知られている。金は、濾過によって浸出溶液から分離された微粉末として析出する。濾過を促進するために、還元剤が液体又は気体の形態である場合、還元剤と同時に凝集剤を溶液に添加することができる。還元剤が粉末の形態である場合、凝集剤は、還元剤の粒子が集合するのを防止するために、還元剤が完全に溶解した後に添加することができる。金粉末を分離するために、通常は微粉砕した金鉱石の濃縮に使用される市販のMAGNAFLOK-351(Ciba Specialty Chemicals)を使用することができる。組成物からのヨウ素の望ましくない回収の可能性を回避するために、非イオン凝集剤を使用することが好ましい。
【0100】
[00104] あるいは、還元剤は水素化ホウ素ナトリウム、アスコルビン酸、マロン酸ジエチル、メタ重亜硫酸ナトリウム、ポリフェノン60(P60、緑茶抽出物)、及びクエン酸ナトリウムを含むことができるが、これらに限定されない。例えば、2010年8月20日に出願され、「Sustainable Process for Reclaiming Precious Metals and Base Metals from e-Waste」と題されて、参照により全体を本明細書に組み込むものとする米国仮特許出願第61/375,273号で紹介されているように、pH1のAu3+イオンを含む組成物中に投入されたアスコルビン酸は、非常に純粋な金の金属を生成する。メタ重亜硫酸ナトリウム(SMB)は、pH1又はpH7のAu3+イオンを含む組成物に添加して、非常に純粋な金の金属を生成することができる。あるいは、電解採取又は電気化学的技術により金イオンを金の金属に変換することができる。任意の適切な手段を使用して、析出した金を除去することができる。フィルタプレス又は遠心分離による溶液の沈殿及びデカント、濾過は、このような除去のために有利な手順である。
【0101】
[00105] 濾過、遠心分離又は任意の他の適切な手段で固体の金を分離した後、浸出組成物はなお、浸出した銀及びパラジウムイオンを含むことがある。銀を析出させるために、ヒドロキシルアミンなどの選択的還元剤を添加することができる。濾過を促進するために、凝集剤の使用が示唆される。析出した銀を分離した後、浸出溶液中にはパラジウムのみが残り、例えば安定化したアルカリ金属ホウ化水素及び凝集剤を使用して析出させることができる。
【0102】
[00106] 貴金属の浸出プロセス中には卑金属の溶解が一般に阻止されるが、幾つかの繰り返し浸出サイクルの後に、多少の卑金属がなお蓄積することがある。これらの卑金属を除去するために、イオン交換樹脂を含有する充填カラムを通して浸出組成物を流すことができ、溶解した卑金属は選択的に捕捉されるが、三ヨウ化物イオン及び溶解した卑金属は通過する。そのために使用可能な樹脂は市販され、強酸陽イオン交換体(例えばThe Dow Chemical Companyが製造するDOWEXイオン交換樹脂)である。卑金属除去による浸出組成物の精製を各浸出サイクルの一部とする必要はないが、溶液が、その有効性に悪影響があるほど汚染される度ごとに繰り返すことができる。
【0103】
[00107] 浸出プロセスが終了し、浸出した材料から負荷がかかった三ヨウ化物溶液を分離したら即座に、浸出した材料を(例えば水で)すすぎ、浸出組成物を回収することができ、これは非常に大量の三ヨウ化物及び溶解した金を含有することがある。
【0104】
[00108] 電解採取は溶液から金を回収する一般的な方法であるが、溶解した金を含むすすぎ水を回収する場合は、従来の電解採取が無効になる。金がすすぎ水中に低い濃度で存在するからである。すすぎ水溶液からの金の除去は、電解採取に大表面積(HSA)電極を使用すると有効にすることができる。HSA電解採取は、10ppmを超える濃度から下はppbレベルまでの金を経済的に除去することができる。ヨウ化物は、分割していない電解採取セルを使用する場合、酸化し、同じプロセスを使用して回収することもできる。
【0105】
[00109] あるいは、すすぎ水からの金とヨウ化物の錯体をイオン交換樹脂上で捕捉することができるが、金とヨウ化物は一緒に樹脂上に吸収される。金とヨウ化物の錯体を吸収するには、強塩基性陰イオン交換樹脂(例えばDOWからのAMBERLITE IRA 410)を使用することができる。金はこれらの樹脂から容易に溶離することができず、使用する場合は大抵、金を回収するために樹脂を燃焼させて除去する。溶離手順は、本明細書で参考文献として言及した米国特許第5,051,128号に説明されているように促進することができ、強塩基性陰イオン交換樹脂を硫酸及び硝酸ナトリウムで前処理すると、金とヨウ化物の錯体を容易に溶離させることができる。溶離自体は硝酸ナトリウムとの反応によって生じる。この方法は、大量の希釈されたすすぎ水を経済的に処理する可能性を提供する。
【0106】
[00110] 何らかの理由で浸出組成物を廃棄しなければならない場合は、溶解したヨウ化物を全てヨウ素の形態で回収することができる。次に、ヨウ素は新しく調製される浸出溶液の補給添加物として再使用することができる。ヨウ素を回収するために、固体状態へのヨウ化物の酸化、又は特殊な樹脂上でのヨウ素回収を使用することができる。例えば、過酸化水素、オゾン又はナトリウム、カリウム又は過硫酸アンモニウムとヨウ化物の水溶液が反応すると、ヨウ化物イオンが酸化してヨウ素になる。樹脂上でヨウ素を回収するために、DOWEX G-26(H)(The Dow Chemical Company)などの市販の水酸化金属を充填したイオン交換樹脂を使用することができる。
【0107】
[00111] 三ヨウ化物イオンは、任意の既知の方法で第5の態様の浸出組成物に投入することができ、この方法は、ヨウ素をヨウ化物(例えばKI、NaI、NHI)又はヨウ化水素酸の水溶液に溶解させること、過剰なヨウ化物と反応して三ヨウ化物を形成するヨウ素の現場生成、硝酸オゾン、次亜塩素酸塩などによるヨウ化物水溶液の酸化、超音波によるヨウ化物水溶液の照射、及び酸性媒体中でのヨウ化物とヨウ化物の反応を含むが、これらに限定されない。その幾つかを、以下で詳細に説明する。
【0108】
(a)超音波を使用した三ヨウ化物の生成
[00112] 第5の態様のさらに別の実施形態では、金又は他の貴金属をe廃棄物から除去する組成物及び方法について説明し、この方法は、金又は他の貴金属を上記e廃棄物から浸出させるために、e廃棄物を浸出組成物と接触させることを含み、浸出組成物の超音波照射を施す。所望の効果を以下の方法で達成することができる。すなわち、a)貴金属に対する選択的浸出液として働くことができる三ヨウ化物浸出組成物を使用すること、b)卑金属の溶解を最小化するために、浸出組成物のpHをわずかに酸性に(好ましくは少なくともほぼpH=5に、及びさらに好ましくは酸性・中性付近に)、酸化還元電位電位(ORP)を100mVと900mVの間に維持すること、c)卑金属の溶解を防止するために、第2の燐酸アンモニウム又は第2の燐酸カリウム/燐酸などの特殊な化学物質を添加すること、及びd)卑金属は捕捉するが、三ヨウ化物及び貴金属は通過させる市販の強酸陽イオン交換樹脂に組成物を通すことである。
【0109】
[00113] 三ヨウ化物イオンは、最初にヨウ素が存在しない状態で、三ヨウ化物のみを含有する水溶液中に超音波を適用すると直接形成される。理論により拘束されないことが望まれるが、ヨウ化物イオンの水溶液に強力な超音波を照射すると、水酸基が生成され、これが溶解した化合物のヨウ化物イオンと反応して、現場で分子ヨウ素を遊離させると考えられる。次に分子ヨウ素が溶液中に存在する超過ヨウ化物と化合して、ブラウン色の三ヨウ化物を形成する。例えば、ヨウ化物及び溶液の特定の色をはずすと、超音波照射によって生成されたキャビテーションの指標として働くことができる。現場で生成された三ヨウ化物を使用して、金が酸化され、ヨウ素との安定した錯体AuI及びAuIを形成する。
【0110】
[00114] 有利には、超音波の適用は、三ヨウ化物イオンの存在を維持するために周期的な再酸化を必要としない貴金属の浸出のための溶液を提供することにある。何故なら、超音波を溶液中に照射すると、ヨウ化物の酸化によって三ヨウ化物が生成されるからである。
【0111】
[00115] 主に超音波照射した溶液中に遊離基が形成されることで構成される化学効果以外に、音波処理は、反応体間の表面積を増加させる、溶解を加速する、及び固体反応体の表面を再生するなど、化学反応に機械的効果も与える。超音波によって生成されるキャビテーションは、溶液の反応に劇的な効果を与える。拡張した固体表面付近でキャビティが崩壊すると、液体の高速ジェットが表面に打ち込まれ、衝撃波損傷を生成する。剪断力、ジェット及び衝撃波は、迅速な質量移動、表面の洗浄、及び金属活性化をもたらす。表面にマイクロジェットが衝突すると、表面の酸化物又は汚染物質としての不動態化コーティングを全て効果的に除去し、これは反応速度を劇的に上げる。音響キャビテーションは、膨大なエネルギー集中、すなわち、超音波照射により生成される非常に高い局所温度及び圧力をもたらす。キャビテーション崩壊は強力な局所加熱(5000K)、高圧(1000気圧)、膨大な加熱及び冷却速度(109K/秒未満)、及び液体ジェット流(−400km/時)を生成する。
【0112】
[00116] 超音波の適用は、ヨウ化物の酸化による三ヨウ化物の連続生成をもたらすので有利である。さらに、貴金属を含有したe廃棄物から貴金属を回収するために超音波照射を浸出組成物に適用すると、キャビテーションの生成によって以下の結果を達成することができる。すなわち、a)反応速度が上がる、b)反応出力が増加する、c)周囲温度及び大気圧にて短い浸出時間でプロセスを実行する能力、d)浸出組成物を調製するために、ヨウ化水素酸又は任意の水溶性ヨウ化物を含むリストから選択された化学物質を1つのみ使用すること、である。
【0113】
[00117] 浸出プロセスは、超音波フローセル反応器を使用して、バッチプロセス又は連続プロセスに合わせて組織化することができる。後者の場合は、入力材料が全て反応器を通過し、同等に処理される。連続流プロセスを使用する場合は、スラリー流量と音波処理の振幅とパワーの特定の最適な組合せを求めることができる。材料のタイプ及びその貴金属の内容に応じて、材料から貴金属が完全に浸出されたことを検出するまで、超音波反応器内で様々な滞留時間が必要になることがある。材料の曝露時間は、材料の供給速度及び反応器の容積によって決定される。プロセスの効率を拡大するために、次々に接続した幾つかの超音波セル反応器を使用することができる。
【0114】
[00118] 超音波浸出反応器を通過した後、処理された材料と浸出溶液との混合物は、粗粒子を分離する振動スクリーンへと前進させることができる。次に、圧力フィルタを使用して、微粉を浸出溶液から分離する。その後、粗粒子及び微粒子を水ですすいで、ヨウ化物残滓を全て除去する。三ヨウ化物を少量含有する洗浄水は、三ヨウ化物を酸化して分子ヨウ素にするオゾンで処理し、それを重力沈降機で収集して、研磨フィルタを使用して除去する。この方法で回収されたヨウ素は、次の浸出サイクルで補給化学物質として再使用することができる。何故なら、ヨウ素が可溶性ヨウ化物又はヨウ化水素酸の水溶液中に溶解するからである。精製水は、次のすすぎに、又は炉に送る前に浸出溶液から分離された貴金属を洗浄するのに使用することができる。貴金属を含有していない清浄な粗粒子及び微粒子は、卑金属をリサイクルするために次の段階に送ることができる。
【0115】
[00119] 貴金属の内容に応じて、様々な還元剤を適用し、浸出組成物から貴金属を選択的又は非選択的に析出させることができる。析出は、浸出組成物の汚染を回避する方法で実行することができ、したがって浸出組成物は、貴金属を除去した後に再生し、次の浸出サイクルに再使用することができる。例えば、SOでの析出は金に選択的であり、浸出組成物を汚染せず、安価であることが知られている。金は、濾過によって浸出溶液から分離された微粉末として析出する。濾過を促進するために、還元剤が液体又は気体の形態である場合、還元剤と同時に凝集剤を溶液に添加することができる。還元剤が粉末の形態である場合、凝集剤は、還元剤の粒子が集合するのを防止するために、還元剤が完全に溶解した後に添加することができる。金粉末を分離するために、通常は微粉砕した金鉱石の濃縮に使用される市販のMAGNAFLOK-351(Ciba Specialty Chemicals)を使用することができる。組成物からのヨウ素の望ましくない回収の可能性を回避するために、非イオン凝集剤を使用することが好ましい。
【0116】
(b)ヨウ素の現場生成
[00120] 別の実施形態では、e廃棄物、例えばPWB及び/又はPWBの構成部品から金又は他の貴金属を除去する方法について説明し、この方法は、現場で生成したヨウ素を含む浸出組成物を形成するために、ヨウ素(I)を現場で生成すること、及びPWB及び/又はPWBの構成部品から金又は他の貴金属を浸出させるために、PWB及び/又はPWBの構成部品を浸出組成物と接触させることを含む。PWB及び/又はPWBの構成部品は、浸出組成物に接触する前に破砕することが好ましい。好ましい実施形態では、上記方法は、金又は他の貴金属を含む浸出組成物をe廃棄物から分離することをさらに含む。浸出組成物中で金又は他の貴金属を(例えばこのような目的に適した還元剤で)還元することにより、固体金属を入手することができる。上記方法は室温で実行することができるので有利である。金は、e廃棄物から分離された貴金属であることが好ましい。
【0117】
[00121] さらに別の実施形態では、金又は他の貴金属をPWB及び/又はPWBの構成部品から除去する方法について説明し、この方法は、現場で生成したヨウ素を含む浸出組成物を形成するために、ヨウ素(I)を現場で生成すること、PWB及び/又はPWBの構成部品から金又は他の貴金属を浸出させるために、PWB及び/又はPWBの構成部品を浸出組成物と接触させること、及び金又は他の貴金属を含む浸出組成物をPWB及び/又はPWBの構成部品から分離することを含む。浸出組成物中で金イオンを(例えばこのような目的に適した還元剤で)還元することにより、固体金属を入手することができる。PWB及び/又はPWBの構成部品は、浸出組成物に接触する前に破砕することが好ましい。
【0118】
[00122] 別の実施形態では、金又は他の貴金属をPWB及び/又はPWBの構成部品から除去する方法について説明し、この方法は、現場で生成したヨウ素を含む浸出組成物を形成するために、ヨウ素(I)を現場で生成すること、PWB及び/又はPWBの構成部品から金又は他の貴金属を浸出させるために、PWB及び/又はPWBの構成部品を浸出組成物と接触させること、金又は他の貴金属を含む浸出組成物をPWB及び/又はPWBの構成部品から分離すること、及び固体の金を形成するために浸出組成物中で金イオンを還元することを含む。PWB及び/又はPWBの構成部品は、浸出組成物に接触する前に破砕することが好ましい。
【0119】
[00123] さらに別の実施形態では、金又は他の貴金属を少なくとも1つの卑金属を含む材料から分離する方法について説明し、この方法は、金又は他の貴金属及び少なくとも1つの卑金属を含む材料を金又は他の貴金属を、上記材料から浸出組成物中に浸出させる条件で組成物に接触させることを含み、上記浸出組成物は少なくとも1つの酸化剤、少なくとも1つのヨウ化物塩又はヨウ化水素酸、水、任意選択で少なくとも1つの有機溶媒、任意選択で少なくとも1つの界面活性剤、及び任意選択で少なくとも1つの不動態化剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。別の態様では、上記方法は、金又は他の貴金属を含む浸出組成物を材料から分離することをさらに含む。浸出組成物中で金を(例えばこのような目的に適した還元剤で)還元することにより、固体の金金属を入手することができる。
【0120】
[00124] ヨウ素(I)非常に高価であり、水中の可溶性が低いが、現場で生成することができる。ヨウ化物の水溶液中のヨウ素は、三ヨウ化物イオンとして存在する。プロセスはヨウ素を使用して金を酸化し、その一方でヨウ化物は金とヨウ化物の錯体を形成することにより、酸化した金の可溶化に寄与する。
【0121】
[00125] 一実施形態では、浸出組成物は少なくとも1つの酸化剤、少なくとも1つのヨウ化物塩又はヨウ化水素酸及び水を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。別の実施形態では、浸出組成物は少なくとも1つの酸化剤、少なくとも1つのヨウ化物塩又はヨウ化水素酸、水、任意選択で少なくとも1つの有機溶媒、任意選択で少なくとも1つの金属不動態化剤、任意選択で少なくとも1つの界面活性剤、任意選択で少なくとも1つの緩衝剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。別の実施形態では、浸出組成物は少なくとも1つの酸化剤、少なくとも1つのヨウ化物塩又はヨウ化水素酸、水、及び少なくとも1つの有機溶媒を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。さらに別の実施形態では、浸出組成物は少なくとも1つの酸化剤、少なくとも1つのヨウ化物塩又はヨウ化水素酸、水、及び少なくとも1つの金属不動態化剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。さらに別の実施形態では、浸出組成物は少なくとも1つの酸化剤、少なくとも1つのヨウ化物塩又はヨウ化水素酸、水、少なくとも1つの金属不動態化剤、及び少なくとも1つの緩衝剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。さらに別の実施形態では、浸出組成物は少なくとも1つの酸化剤、少なくとも1つのヨウ化物塩又はヨウ化水素酸、水、及び少なくとも1つの界面活性剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。さらに別の実施形態では、浸出組成物は少なくとも1つの酸化剤、少なくとも1つのヨウ化物塩又はヨウ化水素酸、水、少なくとも1つの有機溶媒、及び少なくとも1つの金属不動態化剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。さらに別の実施形態では、浸出組成物は少なくとも1つの酸化剤、少なくとも1つのヨウ化物塩又はヨウ化水素酸、水、少なくとも1つの有機溶媒、及び少なくとも1つの界面活性剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。さらに別の実施形態では、浸出組成物は少なくとも1つの酸化剤、少なくとも1つのヨウ化物塩又はヨウ化水素酸、水、少なくとも1つの界面活性剤、及び少なくとも1つの金属不動態化剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。さらに別の実施形態では、浸出組成物は少なくとも1つの酸化剤、少なくとも1つのヨウ化物塩又はヨウ化水素酸、水、少なくとも1つの有機溶媒、少なくとも1つの界面活性剤、及び少なくとも1つの金属不動態化剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。浸出組成物中に存在するヨウ化物塩又はヨウ化水素酸及び酸化剤は、反応して現場でヨウ素を形成し、ヨウ化物イオンが超過し、その結果、三ヨウ化物が形成されることが理解される。したがって、現場反応後の浸出組成物は、三ヨウ化物及び水を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。別の実施形態では、現場反応後の浸出組成物は三ヨウ化物、水、及び少なくとも1つの有機溶媒を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。さらに別の実施形態では、現場反応後の浸出組成物は三ヨウ化物、水、及び少なくとも1つの不動態化剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。さらに別の実施形態では、現場反応後の浸出組成物は三ヨウ化物、水、及び少なくとも1つの界面活性剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。さらに別の実施形態では、現場反応後の浸出組成物は三ヨウ化物、水、少なくとも1つの有機溶媒、及び少なくとも1つの不動態化剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。さらに別の実施形態では、現場反応後の浸出組成物は三ヨウ化物、水、少なくとも1つの有機溶媒、及び少なくとも1つの界面活性剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。さらに別の実施形態では、現場反応後の浸出組成物は三ヨウ化物、水、少なくとも1つの界面活性剤、及び少なくとも1つの不動態化剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。さらに別の実施形態では、現場反応後の浸出組成物は三ヨウ化物、水、少なくとも1つの有機溶媒、少なくとも1つの界面活性剤、及び少なくとも1つの不動態化剤を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。浸出組成物は、e廃棄物から金を実質的に浸出させて、上記金を回収するためにさらに処理することができる部分にするように配合される。例えば一実施形態では、浸出組成物を使用して、金又は他の貴金属を卑金属から分離することができ、卑金属は固体のままである。
【0122】
[00126] 適用時には、浸出組成物の任意の適切な方法でe廃棄物に接触させる。これは、例えば組成物をe廃棄物に噴霧すること、e廃棄物を(大量の組成物中に)浸漬すること、e廃棄物を、例えばパッド、又は繊維質吸収剤アプリケータ要素などの組成物を吸収した別の材料に接触させること、又は組成物をe廃棄物と接触させる任意の他の適切な手段、方法又は技術である。
【0123】
[00127] 金又は他の貴金属をPWB及び/又はPWBの構成部品から浸出させるためにPWB及び/又はPWBの構成部品を浸出組成物に接触させるプロセスの後、金又は貴金属を含む浸出組成物はPWB及び/又はPWBの構成部品及び存在し得る析出物から分離することができる。分離技術は濾過、遠心分離、デカンタ、又はそのいずれかの組合せを含む。
【0124】
[00128] 金または他の貴金属をPWB及び/又はPWBの構成部品から浸出させるためにPWB及び/又はPWBの構成部品を浸出組成物と接触させることは、(i)浸出組成物が最大負荷に到達するまで、作業用浸出組成物で実行することができる、又は代替的に(ii)「フィードアンドブリード」プロセスを使用することができ、これは洗浄浸出組成物を作業用浸出組成物に定期的に投入し、同時に作業用浸出組成物の一部を抜き取ることが、当業者には認識されたい。
【0125】
[00129] 浸出組成物を使用する際に、組成物は通常、約1分間から約200分間、好ましくは約1分間から約60分間の時間、さらに好ましくは約5分間から約45分間の時間、約20℃から約70℃の範囲、好ましくは約20℃から約30℃の範囲の温度でe組成物に接触する。このような接触時間及び温度は例示としてのものであり、金属又は他の貴金属をe廃棄物から除去して、上記金属を回収するためにさらに処理することができる任意の他の適切な時間及び温度条件を採用することができる。
【0126】
[00130] 可能な酸化剤が、本明細書の第2の態様で定義される。酸化剤はオキソン、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、硝酸、過酸化水素、塩化第二鉄、硝酸第二鉄、又はこれらの化合物を含むことが好ましい。酸化剤は過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、硝酸、過ヨウ素酸、オキソン、次亜塩素酸ナトリウム、又はこれらの化合物を含むことがさらに好ましい。酸化剤の量は、約0.01wt%から約25wt%、好ましくは約1wt%から約20wt%、及び最も好ましくは約1wt%から約10wt%の範囲である。
【0127】
[00131] ヨウ化物塩はヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化マグネシウム、及びヨウ化テトラアルキルアンモニウムを含むが、これらに限定されず、アルキル基は相互に同じ、又は異なってよく、直鎖C−Cアルキル(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル)及び分枝C−Cアルキルからなる群から選択される。ヨウ化物塩はヨウ化カリウムを含むことが好ましい。ヨウ化物塩の代わりにヨウ化水素酸を使用することができる。ヨウ化物塩の量は約0.1wt%から約50wt%、好ましくは約1wt%から約40wt%、及び最も好ましくは約10wt%から約35wt%の範囲である。
【0128】
[00132] 可能な有機溶媒が、本明細書の第2の態様で定義される。有機溶媒はアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、及びこれらの化合物を含むことが最も好ましい。有機溶媒が含まれる場合、その量は約0.01wt%から約20wt%、好ましくは約1wt%から約10wt%、及び最も好ましくは約1wt%から約5wt%の範囲である。
【0129】
[00133] 可能な不動態化剤が、本明細書の第2の態様で定義される。含まれる場合、不動態化剤の量は約0.01wt%から約10wt%、好ましくは約0.05wt%から約5wt%、及び最も好ましくは約0.05wt%から約2wt%の範囲である。
【0130】
[00134] 想定される界面活性剤は酸及び塩基、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、及びこれらの化合物を含むが、これらに限定されない。好ましい酸性又は塩基性界面活性剤は、酸又は塩基の官能基(「頭部」)及び直鎖又は分鎖炭化水素基(「尾部」)を有する界面活性剤、及び/又は酸性基(「頭部」)及び全フッ素置換炭化水素基(「尾部」)を有する界面活性剤を含むが、これらに限定されない。好ましい酸又は塩基の官能基は燐酸、ホスホン酸、ホスホン酸モノエステル、燐酸モノエステル及びジエステル、カルボン酸、ジカルボン酸ものエステル、トリカルボン酸モノ及びジエステル、硫酸ものエステル、スルホン酸アミン、及びその塩を含む。炭化水素基は少なくとも10個、例えば10〜20個の炭素原子を有することが好ましい(例えばデシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル)、ただし分子が燐酸ジエステル及びホスホン酸塩モノエステルのように2つのアルキル鎖を含む場合は、6〜16個の炭素という多少短くなった炭化水素基(例えばヘキシル、2−エチルヘキシル、ドデシル)が好ましい。過フッ素化炭化水素基は7〜14個の炭素原子(例えばヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル)を有することが好ましい。好ましい界面活性剤はデシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸、テトラデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、ビス(2−エチルヘキシル)燐酸塩、オクタデシルホスホン酸、過フルオロヘプタン酸、過フルオロデカン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ホスホノ酢酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、及びドデシルアミンを含む。
【0131】
[00135] 想定される非イオン界面活性剤はポリエチレンラウリルエーテル(Emalmin NL-100(Sanyo)、Brig 30、Brig 98)、ドデセニルコハク酸モノジエタノールアミド(DSDA、Sanyo)、エチレンジアミンテトラキス(エトキシレート−ブロック−プロポキシレート)フラン(Tetronic 90R4)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(Newpole PE-68(Sanyo)、Pluronic L31、Pluronic 31R1)、ポリオキシプロピレンスクロースエーテル(SN008S、Sanyo)、t−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(Triton X100)、ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル、分枝(IGEPAL CO-250)、ポリオキシエチレンソルビタンヘキサオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、ポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート(Tween 80)、ソルビタンモノオレエート(Span 80)、アルキル−ポリグルコシド、過フルオロ酪酸エチル、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス[2−(5−ノルボルネン−2−イル)エチル]トリシロキサン、SIS6952.0(Siliclad、Gelest)などのモノマーオクタデシルシラン誘導体、PP1-SG10 Siliclad Glide 10(Gelest)などのシロキサン変性ポリシラザン、Silwet L-77(Setre Chemical Company)などのシリコン−ポリエーテルコポリマー、Croda)を含むが、これらに限定されない。
【0132】
[00136] 想定される陽イオン界面活性剤はヘプタデカンフルオロオクタンスルホン酸テトラエチルアンモニウム、ステアリル塩化トリメチルアンモニウム(Econol TMS-28、Sanyo)、4−(4−ジエチルアミノフェニルアゾ)−1−(4−ニトリロベンジル)臭化ピリジウム、塩化セチルピリジウム一水化物、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、塩化ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ジメチルジオクタデシルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムp−スルホン酸トルエン、臭化ジドデシルジメチルアンモニウム、ジ(水素化獣脂)塩化ジメチルアンモニウム、臭化テトラヘプチルアンモニウム、臭化テトラキス(デシル)アンモニウム、Aliquat(登録商標)336及び臭素オキシフェノニウムを含むが、これらに限定されない。炭化水素基は少なくとも10個、例えば10〜20個の炭素原子(例えばデシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル)を有することが好ましいが、ただし分子が塩化ジメチルジオクタデシルアンモニウム、臭化ジメチルジヘキサデシルアンモニウム及びジ(水素化獣脂)塩化ジメチルアンモニウムのように2つの機能化アルキル鎖を含む場合は、6〜20個の炭素という多少短くなった炭化水素基(例えばヘキシル、2−エチルヘキシル、ドデシル)が好ましい。
【0133】
[00137] 想定される陰イオン界面活性剤はナトリウムポリオキシエチレンラウリルエーテル、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジシクロヘキシルスルホコハク酸ナトリウム塩、ナトリウム7−エチル−2−メチル−4−硫酸ウンデシル(Tergitol 4)、SODOSIL RM02、及びZonyl FSJなどの燐酸フルオロ界面活性剤を含むが、これらに限定されない。
【0134】
[00138] 両性イオン界面活性剤は酸化エチレンアルキルアミン(AOA-8、Sanyo)、N,N−ジメチルドデシル、アミンN−オキシ、ナトリウムコカミンプロピネート(LebonApl-D、Sanyo)、3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホン酸、及び(3−(4−ヘプチル)フェニル−3−ヒドロキシプロピル)ジメチルアンモニオプロパンスルホン酸を含むが、これらに限定されない。
【0135】
[00139] 任意選択で無機酸を浸出組成物のいずれかに添加することができる。例えば、浸出組成物は硫酸、塩酸、臭化水素酸、又はヨウ化水素酸をさらに含むことができる。
【0136】
[00140] 浸出組成物のpHは好ましくは約3から約10、さらに好ましくは約4から約8、及び最も好ましくは約6から約8である。好ましい実施形態では、浸出組成物のpHを約5から約8の範囲に維持するために、緩衝剤を添加する。緩衝剤は当技術分野で周知であり、例えば燐酸一ナトリウム/燐酸二ナトリウム又は燐酸一カリウム/燐酸二カリウムなどの燐酸緩衝剤を含むことができる。
【0137】
[00141] 一実施形態では、浸出組成物は少なくとも1つの酸化剤、少なくとも1つのヨウ化物イオン、任意選択で少なくとも1つの有機溶媒、任意選択で少なくとも1つの不動態化剤、任意選択で少なくとも1つの界面活性剤、任意選択で緩衝剤、及び金又は他の貴金属イオンを含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。現場反応後に考慮して、浸出組成物は三ヨウ化物、水、任意選択で少なくとも1つの有機溶媒、任意選択で少なくとも1つの不動態化剤、任意選択で少なくとも1つの界面活性剤、任意選択で少なくとも1つの緩衝剤、及び金又は他の貴金属イオンを含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。
【0138】
[00142] 浸出組成物は、単純に個々の成分を添加し、均質な状態まで混合することによって容易に配合される。さらに組成物は、使用箇所で、又はその前に混合される多要素配合として容易に配合することができ、例えば多要素配合の個々の要素をツールにて、又はツールの上流の貯蔵タンク内で混合することができる。個々の成分の濃度は、組成物の特定の倍数で多様に変更することができる、すなわち、さらに希釈するか、さらに濃縮することができ、組成物は様々に及び代替的に、本明細書の開示に矛盾しない成分の任意の組合せを含む、それらで構成できる、又は基本的にそれらで構成できることが認識される。
【0139】
[00143] 一実施形態では、浸出組成物はヨウ化カリウム、過硫酸ナトリウム及び水、さらに好ましくは約20wt%から約30wt%のヨウ化カリウム、約4wt%から約10wt%の過硫酸ナトリウム及び水を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成されることが好ましい。別の実施形態では、浸出組成物はヨウ化カリウム、過硫酸アンモニウム及び水、さらに好ましくは約20wt%から約30wt%のヨウ化カリウム、約4wt%から約10wt%の過硫酸アンモニウム及び水を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。さらに別の実施形態では、浸出組成物はヨウ化カリウム、過硫酸ナトリウム、BTA、及び水を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。さらに別の実施形態では、浸出組成物はヨウ化カリウム、過硫酸ナトリウム、BTA、燐酸塩緩衝剤、及び水を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。さらに別の実施形態では、浸出組成物はヨウ化カリウム、硝酸及び水を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。別の実施形態では、浸出組成物はヨウ化カリウム、過ヨウ素酸、塩酸及び水を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。別の実施形態の浸出組成物はヨウ化カリウム、オキソン及び水を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。さらに別の実施形態では、浸出組成物はヨウ化カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、塩酸及び水を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。さらに別の実施形態では、浸出組成物はヨウ化カリウム、現場生成したヨウ素及び水を含む、それらで構成される、又は基本的にそれらで構成される。浸出組成物には実質的に王水及びシアン化物含有成分がない。浸出組成物は水溶性で耐食性、不燃性で毒性が低いことが好ましい。
【0140】
[00144] 金又は他の貴金属をPWB及び/又はPWBの構成部品から浸出させたら、残りの材料を廃棄する、リサイクルする、又はさらに回収できることを当業者は理解されたい。浸出組成物中への金又は他の貴金属の抽出/浸出後、以下で詳細に検討するように、金又は他の貴金属は金属イオンを還元することによって入手することができる。
【0141】
[00145] 金属イオンを還元して高純度の固体金属にすることが、当業者には周知である。還元剤は、いわゆる環境に優しい化学物質であることが好ましい。さらに、還元は最小の加熱要件で迅速に実行することが好ましい。例えば好ましい還元剤はアスコルビン酸、マロン酸ジメチル、メタ重亜硫酸ナトリウム、ポリフェノン60(P60、緑茶抽出物)、グルコース、及びクエン酸ナトリウムを含むが、これらに限定されない。例えば、2010年8月20日出願で「Sustainable Process for Reclaiming Precious Metals and Base Metals from e-Waste」と題され、参照により全体を本明細書に組み込むものとする米国仮特許出願第61/375,273号で紹介されているように、pH1でAu3+イオンを含む組成物に投入されたアスコルビン酸は、高純度の金の金属を生成する。メタ重亜硫酸ナトリウム(SMB)を、pH1でAu3+イオンを含む化合物に添加して、高純度の金の金属を生成することができる。あるいは、電解採取又は電子化学技術により金イオンを金金属に変換することができる。任意の適切な手段を使用して、析出した金を除去することができる。フィルタプレス又は遠心分離による溶液の沈殿及びデカント、濾過は、このような除去のために有利な手順である。
【0142】
[00146] 別の実施形態では、ヨウ素−ヨウ素溶液の生成は、(a)金又は他の貴金属の析出後に、溶液のpHを7未満に低下させ、(b)酸化剤を溶液に添加することによって達成される。再生を繰り返した後、妨害する塩の蓄積によって溶液の有効性が低下したら、酸性化して酸化剤を添加することによって溶液から析出させ、元素ヨウ素としてヨウ素を回収することができる。その結果の元素ヨウ素結晶を除去し、新しい浸出組成物を形成するのに使用することができる。
【0143】
裸基板の処理方法
[00147] (例えば第1の態様の方法で説明されているように)PWBの構成部品及び(例えば第3又は第5の態様の方法で説明されているように)貴金属を除去した後、通常、元のPWBは剥がされて、エポキシなどの接着剤によって相互に保持されたガラス繊維層及び銅板を含む「裸基板」になっている。裸基板をさらに処理して、銅からガラス繊維−エポキシ層を遊離させることができる。
【0144】
[00148] 第6の態様の一実施形態では、エポキシを劣化させることによって裸基板を処理することができ、これはガラス繊維から銅板を遊離させる。エポキシは、当業者に容易に判断されるように、エポキシを化学的に劣化させる組成物を使用して劣化させることができる。ガラス繊維からの銅板の遊離には、超音波又は他の攪拌手段を使用することができる。
【0145】
[00149] 第6の態様の別の実施形態では、裸基板は、銅エッチング剤中で裸基板を湿式検索のプロセスによって処理することができる。生成される溶液は、銅含有溶液中に固体粉末を含み、これは当技術分野で知られている方法(例えば遠心分離、デカンタ、濾過など)を使用して相互から物理的に分離することができる。銅エッチング剤は、本明細書で説明する第4の態様の組成物、あるいは酸素又はオゾン又はH2−で曝気した硫酸、又はガラス繊維及びエポキシに影響せずに金属銅を溶解することができる任意の他の溶液とすることができる。ガラス繊維及びエポキシを含む固体粉末は、エポキシを劣化させて、再使用するためにガラス繊維粉末を遊離するために、さらに処理することができる。銅含有溶液、例えば硫酸銅はそのままで販売するか、そこから銅金属を遊離するためにさらに処理することができる(例えば電解採取など)。
【0146】
プリント配線板のリサイクル方法
[00150] 第7の態様の一実施形態は、図1で一般化されているように、例えばPWBなどの表面から少なくとも1つの構成部品を除去するプロセスに対応し、この方法は、
(a)第1の態様の方法、及び
(b)第3の態様の方法を含む、
又は
(a)表面からはんだを除去することを含み、はんだの除去は表面から少なくとも1つの構成部品をはずし、さらに、
(b)表面から卑金属を除去し、それにより表面から貴金属をアンダーカットすることを含む、
又は
(a)表面からはんだを除去することを含み、はんだの除去は表面から少なくとも1つの構成部品を除去し、さらに、
(b)上記表面上に存在する貴金属に対して卑金属を選択的に除去し、それにより表面から貴金属をアンダーカットするために、容器内で上記表面を第2の組成物と接触させる、及び任意選択で上記容器内で超音波キャビテーション又は他の攪拌手段を生成することを含む、
又は
(a)上記表面上に同時に存在する貴金属、タンタル含有金属、及び/又は卑金属に対してはんだを選択的に除去するために、容器中ではんだを第1の組成物と接触させる、及び任意選択で上記容器内で超音波キャビテーション又は攪拌手段を生成することを含み、それによりはんだの除去が表面から少なくとも1つの構成部品をはずし、さらに、
(b)表面から卑金属を除去し、それにより表面から貴金属をアンダーカットすることを含む、
又は
(a)上記表面上に同時に存在する貴金属、タンタル含有金属、及び/又は卑金属に対してはんだを選択的に除去するために、容器内ではんだを第1の組成物と接触させる、及び任意選択で上記容器内で超音波キャビテーション又は攪拌手段を生成することを含み、はんだの除去が表面から少なくとも1つの構成部品をはずし、さらに、
(b)上記表面上に存在する貴金属に対して卑金属を選択的に除去し、それにより表面から貴金属をアンダーカットするために、容器内で上記表面を第2の組成物に接触させる、及び任意選択で上記容器内で超音波キャビテーション又は攪拌手段を生成することを含む。
【0147】
[00151] 第7の態様の第2の実施形態は、図2で一般化されているように、例えばPWBなどの表面から少なくとも1つの構成部品を除去するプロセスに対応し、この方法は、
(a)第1の態様の方法、
(b)第3の態様の方法、及び
(c)第6の態様の方法を含む、
又は
(a)表面からはんだを除去することを含み、はんだの除去は表面から少なくとも1つの構成部品をはずし、さらに、
(b)ガラス繊維及び銅を含む裸基板を産出するために、表面から卑金属を除去し、それにより表面から貴金属をアンダーカットすること、及び
(c)裸基板のガラス繊維及び銅を分離することを含む、
又は
(a)表面からはんだを除去することを含み、はんだの除去は表面から少なくとも1つの構成部品をはずし、さらに、
(b)上記表面上に存在する貴金属に対して卑金属を選択的に除去し、それにより表面から貴金属をアンダーカットして、ガラス繊維及び銅を含む裸基板を産出するために、容器内で上記表面を第2の組成物と接触させる、及び任意選択で上記容器内で超音波キャビテーション又は攪拌手段を生成すること、及び
(c)裸基板のガラス繊維及び銅を分離することを含む、
又は
(a)上記表面上に同時に存在する貴金属、タンタル含有金属、及び/又は卑金属に対してはんだを選択的に除去するために、容器内ではんだを第1の組成物に接触させる、及び任意選択で上記容器内で超音波キャビテーション又は攪拌手段を生成することを含み、はんだが除去されると、少なくとも1つの構成部品が表面からはずされ、はんだの除去が表面から少なくとも1つの構成部品をはずし、さらに、
(b)ガラス繊維層及び銅を含む裸基板を産出するために、表面から卑金属を除去し、それにより表面から貴金属をアンダーカットすること、及び
(c)裸基板のガラス繊維層及び銅を分離することを含む、
又は
(a)上記表面上に同時に存在する貴金属、タンタル含有金属、及び/又は卑金属に対してはんだを選択的に除去するために、容器内ではんだを第1の組成物に接触させる、及び任意選択で上記容器内で超音波キャビテーション又は攪拌手段を生成することを含み、はんだが除去されると、少なくとも1つの構成部品が表面からはずされ、はんだの除去は表面から少なくとも1つの構成部品をはずし、さらに、
(b)上記表面上に存在する貴金属に対して卑金属を選択的に除去し、それにより表面から貴金属をアンダーカットして、ガラス繊維層及び銅を含む裸金属を産出するために、容器内で上記表面を第2の組成物と接触させる、及び任意選択で上記容器内で超音波キャビテーション又は攪拌手段を生成すること、及び
(c)裸基板のガラス繊維層及び銅を分離することを含む。
【0148】
[00152] 第7の態様の第3の実施形態は、図3で一般化されているように、例えばPWBなどの表面から少なくとも1つの構成部品を除去するプロセスに対応し、この方法は、
(a)第3の態様の方法、及び
(b)第6の態様の方法を含む、
又は
(a)ガラス繊維層及び銅を含む裸基板を産出するために、表面から卑金属を除去し、それにより表面から貴金属をアンダーカットすること、
(b)裸基板のガラス繊維材料及び銅を分離することを含む、
又は
(a)上記表面上に存在する貴金属に対して卑金属を選択的に除去し、それによりガラス繊維及び銅を含む裸基板を産出するために、容器内で上記表面を第2の組成物と接触させる、及び任意選択で上記容器内で超音波キャビテーション又は攪拌手段を生成すること、
(b)裸基板のガラス繊維材料及び銅を分離することを含む。
【0149】
[00153] 第8の態様の第4の実施形態は、図4で一般化されているように、例えばPWBなどの表面から少なくとも1つの構成部品を除去するプロセスに対応し、この方法は、
(a)第1の態様の方法、及び
(b)第5の態様の方法を含む、
又は
(a)表面からはんだを除去することを含み、はんだの除去は表面から少なくとも1つの構成部品をはずし、さらに、
(b)上記表面及び/又は上記少なくとも1つの構成部品から貴金属を浸出させることを含む、
又は
(a)表面からはんだを除去することを含み、はんだの除去は表面から少なくとも1つの構成部品をはずし、さらに、
(b)容器内で表面及び/又は少なくとも1つの構成部品を浸出組成物に投入する、及び任意選択で上記容器内で超音波キャビテーション又は他の攪拌手段を生成することを含み、上記浸出組成物は、上記表面及び/又は上記少なくとも1つの構成部品から貴金属を実質的に除去するために三ヨウ化物を含む、
又は
(a)上記表面上に同時に存在する貴金属、タンタル含有金属、及び/又は卑金属に対してはんだを選択的に除去するために、容器内ではんだを第1の組成物と接触させる、及び任意選択で上記容器内で超音波キャビテーション又は他の攪拌手段を生成することを含み、はんだの除去は表面から少なくとも1つの構成部品をはずし、さらに、
(b)上記表面及び/又は上記少なくとも1つの構成部品から貴金属を浸出させることを含む、
又は
(a)上記表面上に同時に存在する貴金属、タンタル含有金属、及び/又は卑金属に対してはんだを選択的に除去するために、容器内ではんだを第1の組成物と接触させる、及び任意選択で上記容器内で超音波キャビテーション又は他の攪拌手段を生成することを含み、はんだの除去は表面から少なくとも1つの構成部品をはずし、さらに、
(b)容器内で表面及び/又は上記少なくとも1つの構成部品を浸出組成物に投入する、及び任意選択で上記容器内で超音波キャビテーション又は他の攪拌手段を生成することを含み、上記浸出組成物は三ヨウ化物を含み、上記表面及び/又は上記少なくとも1つの構成部品から貴金属を除去する。
【0150】
[00154] 第7の態様の第5の実施形態は、図5で一般化されているように、例えばPWBなどの表面から少なくとも1つの構成部品を除去するプロセスに対応し、この方法は、
(a)第1の態様の方法、
(b)第5の態様の方法、及び
(c)第6の態様の方法を含む、
又は
(a)表面からはんだを除去することを含み、はんだの除去は表面から少なくとも1つの構成部品をはずし、さらに、
(b)ガラス繊維層及び銅を含む裸基板を産出するために、上記表面から貴金属を浸出させること、及び
(c)裸基板のガラス繊維層及び銅を分離することを含む、
又は
(a)表面からはんだを除去することを含み、はんだの除去は表面から少なくとも1つの構成部品をはずし、さらに、
(b)容器内で表面を浸出組成物に投入する、及び任意選択で上記容器内で超音波キャビテーション又は他の攪拌手段を生成することを含み、上記浸出組成物は、上記表面から貴金属を実質的に除去し、ガラス繊維層及び銅を含む裸基板を産出するために三ヨウ化物を含み、さらに、
(c)裸基板のガラス繊維層及び銅を分離することを含む、
又は
(a)上記表面上に同時に存在する貴金属、タンタル含有金属、及び/又は卑金属に対してはんだを選択的に除去するために、容器内ではんだを第1の組成物と接触させる、及び任意選択で上記容器内で超音波キャビテーション又は他の攪拌手段を生成することを含み、はんだの除去は表面から少なくとも1つの構成部品をはずし、さらに、
(b)ガラス繊維層及び銅を含む裸金属を産出するために、上記表面から貴金属を浸出させること、及び
(c)裸基板のガラス繊維層及び銅を分離することを含む、
又は
(a)上記表面上に同時に存在する貴金属、タンタル含有金属、及び/又は卑金属に対してはんだを選択的に除去するために、容器内ではんだを第1の組成物と接触させる、及び任意選択で上記容器内で超音波キャビテーション又は攪拌手段を生成することを含み、はんだの除去は表面から少なくとも1つの構成部品をはずし、さらに、
(b)容器内で表面を浸出組成物に投入する、及び任意選択で上記容器内で超音波キャビテーション又は他の攪拌手段を生成することを含み、上記浸出組成物は三ヨウ化物を含み、上記表面から貴金属を実質的に除去して、ガラス繊維層及び銅を含む裸金属を産出し、さらに
(c)裸基板のガラス繊維層及び銅を分離することを含む。
【0151】
[00155] 第7の態様のどの実施形態を使用するかに関係なく、本明細書の開示と矛盾せずに、はんだは鉛、スズ、又は鉛とスズの化合物を含むことができる。表面はPWBを含み、リサイクル可能材料は構成部品(例えばIC)、貴金属、卑金属、又は構成部品と貴金属と卑金属の任意の化合物を含むことが好ましい。はずされた構成部品を収集することができ、再使用可能で再販売することができるもの、及び有用な材料の廃棄、回収するためにさらに処理することができるものなどに分離することができる。第1の組成物は、貴金属、タンタル含有金属、及び卑金属に対してはんだ(鉛、スズ、その合金、及びこれらの化合物)を選択的に除去することが好ましく、はんだの除去後に遊離される構成部品は、再使用又は回収のために容易に収集し、選別される。第2の組成物は、銅及び/又はニッケルなどの卑金属をエッチングで除去し、貴金属(例えば金)をアンダーカットすることが好ましく、貴金属は表面から層状に剥離して、(例えば濾過によって)容易に収集される。はんだ除去後、鉛及び/又はスズイオンを含む第1の組成物をさらに処理し(例えば電解採取)、鉛及び/又はスズを回収することができる。卑金属除去後、卑金属イオンを含む第2の組成物を処理して、(例えば電気化学的に、又は電解採取によって)上記卑金属の有用な形態を得ることができる。裸基板のガラス繊維及び銅を分離する方法が、本明細書の第6の態様で開示されている。少なくとも1つのPWBの構成部品又は表面を浸出組成物に投入する前に、少なくとも1つのPWBの構成部品又は表面を破砕することが好ましい。浸出後、本明細書で説明するように金を析出させることができる。理論により拘束されないことが望まれるが、第1、第2及び/又は浸出組成物が存在する状態で、超音波又は他の攪拌手段は除去される材料の選択的浸出を向上させると考えられる。超音波又は他の攪拌手段は、第1の組成物のみが存在する状態、第2の組成物のみが存在する状態、浸出組成物のみが存在する状態、又は3つの任意の組合せで、又は全くない状態で適用することができる。本明細書で説明する第2及び第4の態様の組成物は、それぞれ第7の態様の第1及び第2の組成物の1つのタイプにすぎないことが当業者には認識されるはずである。当業者に容易に判断されるように、第7の態様プロセスに使用される他の第1及び第2の組成物も想定される。第1、第2及び/又は浸出組成物をPWBに接触させた後、すすぎ及び/又は乾燥ステップが想定されることを認識されたい。接触条件(すなわち、時間及び温度)は、本明細書で紹介されている。この方法によって使用者は老朽化した使用済みプリント配線板を取得し、それに含まれる電子構成部品及び金属を再使用のためにリサイクルすることができるので有利である。
【0152】
[00156] 第8の態様は、1つ以上の容器内に、本明細書で説明する組成物を形成するように適合した1つ以上の種を含むキットに関する。
【0153】
[00157] 第9の態様では、鉛及び/又はスズ含有材料を固体材料から除去する方法について説明し、この方法は、鉛及び/又はスズ含有材料を固体材料から除去するために十分な接触状態で、自身上又は自身内に鉛及び/又はスズ含有材料を有する固体材料に第1の組成物を接触させることを含む。固体材料は、超小型電子素子、金属、プラスチック、織物、繊維、土、鉱石、木材、紙、ガラス、革及び他の動物の皮、セメント、コンクリート、煉瓦、乾式壁、アスファルト、毛髪及び爪などのケラチン含有物質、ゴム、ラテックス、及びこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。例えば一実施形態では、鉛及び/又はスズ含有材料は土から除去して、それを修復することができる。
【0154】
[00158] 第10の態様では、銅及び/又はニッケル含有材料を固体材料から除去する方法について説明し、この方法は、銅及び/又はニッケル含有材料を固体材料から除去するために十分な接触状態で、自身上又は自身内に銅及び/又はニッケル含有材料を有する固体材料に第2の組成物を接触させることを含む。固体材料は、超小型電子素子、金属、プラスチック、織物、繊維、土、鉱石、木材、紙、ガラス、革及び他の動物の皮、セメント、コンクリート、煉瓦、乾式壁、アスファルト、毛髪及び爪などのケラチン含有物質、ゴム、ラテックス、及びこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。例えば一実施形態では、鉛及び/又はスズ含有材料をそれを含有する鉱石から除去することができる。
【0155】
[00159] 本明細書で説明する方法及び組成物は、プリント配線板のリサイクルのために環境に優しい溶液を提供し、高いパーセンテージのリサイクル可能材料を再使用のために回収することができるので有利である。
【0156】
[00160] 本発明の特徴及び利点が、以下で検討される例示的実施例でさらに詳細に示される。
【0157】
実施例1
[00161] 3つの組成物を比較した。すなわち、1:1v/vのHEDP/30wt%のHの溶液(配合A)、1:1v/vのEDDS/30wt%のHの溶液(配合B)、及び1:1v/vのHEIDA/30wt%のHの溶液(配合C)である。約0.3gの銅線、ニッケル箔、顆粒状スズ、鉛箔、アルミニウム線、鉄粉及び顆粒状亜鉛を個別に、及び静的に清浄な配合A〜Cに40℃で30分間浸漬した。残りの固体を除去した後、溶液を誘導結合プラズマ(ICP)分析にかけて、各溶液中の各金属の濃度を(ppmで)割り出した。結果が表1〜3に要約されている。
【表1】
【表2】
【表3】
【0158】
[00162] HEIDA又はEDDSを含む組成物は、銅及び他の貴金属に対して鉛を除去するために特に有用であり、使用者が任意選択で両方の組成物に銅不動態化剤を含めることを考慮する場合は、特にそうであることが分かる。
【0159】
実施例2
[00163] 組成物を下記の表4に示すように調製した。銅線、鉛箔、顆粒状スズ、ニッケル箔、アルミニウム線、鉄粉及び顆粒状亜鉛を個別に、及び静的に各配合に40℃で30分間浸漬した。残りの固体を除去した後、溶液を誘導結合プラズマ(ICP)分析にかけて、各溶液中の各金属の濃度を(ppmで)割り出した。結果が表4に要約されている。
【表4】
【0160】
[00164] 驚いたことに、ブチルカルビトール及びモリブデン酸ナトリウムをMSAに添加して、第1の組成物を生成すると、Pb及びSnのエッチング速度は大幅に上昇する一方、AI、Fe、Ni及びZnのエッチング速度は大幅に低下した。したがって、貴金属及び/又は銅に対してPb/Sn含有はんだを選択的に除去するために、MSA、ブチルカルビトール及びモリブデン酸ナトリウム二水和物を含む第1の組成物が有用になる。
【0161】
[00165] モリブデン酸ナトリウム又はヘキサメタ燐酸ナトリウムをオキソンに添加して第2の組成物を生成すると、Cuのエッチング速度は大幅に上昇する一方、Feのエッチング速度は大幅に低下した。したがって、他の金属に対してCuを選択的に除去するために、オキソン及びモリブデン酸ナトリウム又はヘキサメタ燐酸ナトリウムを含む第2の組成物が有用になる。
【0162】
実施例3
[00166] 250mLの70%メタンスルホン酸及び250mLの脱イオン(DI)水を含む水性第1の組成物を調製した。廃棄ビデオカードNVIDIAモデルP118をサイレント浸出モードで第1の組成物に浸漬した。装着された構成部品は4日で分離し、金メッキは影響を受けず、分離した構成部品上の幾つかのピンは腐食し、スラッジ及び気体形成は検出されなかった。同じ溶液に3分間超音波を照射したが、構成部品の分離に顕著な結果はなかった。
【0163】
[00167] 145mLの70%硝酸、30gのスルファミン酸アンモニウム、1gのベンゾトリアゾール、及び40gの硝酸第二鉄九水和物を含み、DI水で平衡させて500mLの総体積にした、市販の硝酸系剥離溶液の模倣品を調製した。ビデオカードをこの溶液中でサイレント浸出にかけた。組成物は20分で分離して、溶液は緑色になり、ビデオカードの部品である鋼の部片は、ほぼ完全に溶解したが、このことは、本発明の目的を達成するために市販のはんだ溶液を使用できないことを証明している。
【0164】
[00168] 200mLの70%MSA、50mLの70%硝酸、30gのスルファミン酸アンモニウム、1gのベンゾトリアゾールを含有し、DI水で平衡させて500mLの総体積にした第1の組成物を調製し、ビデオカードを第1の組成物にサイレント浸出モードで浸漬した。構成部品は45分で分離を開始し、全部の構成部品が1時間で分離した。スラッジ及び気体形成は認められず、金メッキは影響を受けず、構成部品のピンは腐食による損傷がなかった。
【0165】
[00169] 200mLの70%MSA、50mLの70%硝酸、8gのスルファミン酸アンモニウム、1gのベンゾトリアゾールを含有し、DI水で平衡させて500mLの体積にした第1の組成物を調製した。第1の組成物を750mLの浸出容器に注入し、ビデオカードを溶液に浸漬して、容器をカバーで閉じが、これは超音波ホーンを挿入するために開いてあったものである。使用周波数20kHz、前面面積90cmで振幅比が約1:2.4の1000Wの超音波プロセッサを使用して、超音波照射を生成した(Hielscher Ultrasonics GmbH製造のUIP 1000hd)。比率1:1.8で振幅を増大させるために、機械的振幅ブースタを使用した。このようなソノトロードをこのようなブースタと組み合わせて、100%の振幅設定で35μmの最大振幅を提供した。超音波ホーンを第1の組成物に浸漬し、基板又は構成部品の表面に接触しないような方法で位置決めした。超音波照射して、第1の組成物の体積中に強力なキャビテーションを生成し、これは強力なキャビテーション気泡として目に見えた。100%の振幅で音波処理すると、6分後に基板表面から分離する構成部品があり、さらに2分後には全構成部品が分離した。スラッジ又は気体形成は認められず、金メッキは影響を受けず、構成部品のピンは腐食による損傷がなかった。SECからのモデル128MバイトのRAMスティック、及び3Comモデル920−ST03からのネットワークカードでも同じ結果が得られた。
【0166】
実施例4
[00170] 組成物A及びBを配合した。
組成物A:10gのKI、2.5gの過硫酸ナトリウム、25mLの水
組成物B:10gのKI、2.5gの過硫酸アンモニウム、25mLの水
【0167】
[00171] 0.05%〜0.5%の金でコーティングしたプリント配線板(2cm×2cm未満)を室温で組成物A及びBに浸漬し、誘導結合プラズマ(ICP−OES)分光法を使用して、4分、10分及び30分の金溶解の程度をモニタした。組成物A中では、80%の金が4分以内に、99%が10分以内に溶解した。組成物B中では、99%の金が4分以内に、100%が10分以内に溶解した。
【0168】
実施例5
[00172] 組成物C〜Gを配合した。
組成物C:40.08gのKI、10.03gのI、100gの水
組成物D:40gのKI、10.02gのHNO(70%)、100gの水
組成物E:40.08gのKI、9.98gのHIO、0.04gのHCl(37%)、90.08gの水
組成物F:39.99gのKI、10.00gのオキソン、100.04gの水
組成物G:40.10gのIK、9.99gのNaOCl、10.06gのHCl(37%)、89.96gの水
【0169】
[00173] 組成物C〜Gは混合後に全て濃い赤色であり、組成物E及びCは容器内に少々の析出物があった。0.05%〜0.5%の金でコーティングしたプリント配線板(2cm×2cm未満)を、30℃に維持した水浴中で約50gの組成物C〜G(a)に30分間浸漬した。結果が表5にまとめられている。
【表5】
【0170】
実施例6
[00174] 浸出速度、浴処理量及び浴寿命を、(a)KI、過硫酸ナトリウム、及び水、(b)KI、過硫酸アンモニウム、及び水、及び(c)KI、オキソン、及び水を含有する溶液について比較し、各溶液のヨウ化物塩、酸化剤及び水の量は同じであった。0.05%〜0.5%の金でコーティングしたプリント配線板(2cm×2cm未満)を、室温で各組成物に浸漬し、ICP−OESを使用して30分で金の溶解程度をモニタした。幾つかの金属について、浸出結果が表6に示してある。
【表6】
【0171】
さらに、過硫酸アンモニウムを含有する溶液は沈殿物の形成が最も少なく、オキソンを含有する溶液は浸出速度が最低、処理量が最低、浴寿命が最低、沈殿物の量が最大であるという結論になった。
【0172】
[00175] さらに、沈殿物及びPWBをすすぎ、すすぎ水を収集して溶液からの金の回収率を最大化できることが発見された。
【0173】
実施例7
[00176] プリント配線板の部片を室温及び40℃で組成物Fに浸漬し、ICP−OESを使用して間隔をあけて金属の溶解程度をモニタした。各サンプルは、分析前に水で50倍に希釈した。結果が表7に示してある。
【表7】
【0174】
配合は、高温よりも室温の方が金属浸出に実際に効果的であったことが分かる。
【0175】
実施例8
[00177] 目に見える金メッキがあり、総重量380gの裸プリント回路基板の部片を2リットルのガラスのビーカーに入れ、1リットルのヨウ化カリウム水溶液(100mLの脱イオン水当たり72.5gの固体ヨウ化カリウム)を添加した。実験は21℃の周囲温度に保持された。超音波装置UIP 1000hd(20kHz、1000W、Heilscher Ultrasonics GmbH製)のソノトロードをビーカーに入れ、溶液に浸漬されてPWBに接触しないような方法で位置決めした。20kHzの超音波周波数及び25ミクロンの振幅で超音波装置を2分間操作し、その後にビーカーから超音波ホーンを取り出した。溶液体積に超音波照射を加えると強力なキャビテーションが発生し、これは液体の体積中に形成された強力なキャビテーション泡として目に見えた。溶液は透明から茶色に変色し、これは三ヨウ化物イオンの形成を示した。1mLの70%硝酸を溶液に添加した。処理した基盤の表面を目視検査することにより、目に見える金メッキの残りは検出されず、同時に卑金属は影響を受けていなかった。基板の部片をビーカーから取り出し、溶液を1810 Whatman Acid-Treated Low Metal TCLPフィルタに通して濾過し、固体不純物を全て除去した。次に貴液を重亜硫酸ナトリウムの飽和水溶液と混合し、機械的混合機で30分間攪拌した。溶液は透明な黄色に変色し、金属金のブラウンの微粉末が析出した。粉末を濾過して除去し、脱イオン水ですすいで乾燥した。回収した析出物の別個の分析は、99.2±0.2%の金を示した。析出物を磁製るつぼに入れて1200℃で加熱し、それにより金属金のボタンを形成した。
【0176】
[00178] 液体の分析は、使用済み溶液中に2ppmの金があることを示した。浸出溶液を再生するために、溶液が茶色を回復するまで30%の過酸化水素をゆっくり添加し、攪拌することによって、酸化して元の強度に戻した。
【0177】
[00179] 処理したPWBを500mLの水ですすぎ、乾燥させた。低濃度の三ヨウ化物溶液を含有するすすぎ水は、過剰な過硫酸カリウムの飽和溶液で処理し、それにより液体の体積中に結晶のヨウ素が黒色粉末析出物として出現し、すすぎ水はわずかな茶色を失って無色になった。ヨウ素を溶液から分離し、再生した浸出溶液中に溶解させた。
【0178】
実施例9
[00180] 廃棄電子機器の機械的リサイクルの結果として生じた200gの「レッドメタル」濃縮物を、実施例8で説明したものと同じであるが、燐酸二水素カリウム/水酸化ナトリウムで衝剤してpH=5.6にした浸出組成物で処理した。濃縮物は、混合した電子廃棄物に粉砕及び研削作業を加え、その後に磁気及び渦電流で分離し、振盪機テーブル上で濃縮した出力材料を表す。粒子サイズ0.4〜1mmの最初の金属混合物の組成が表8に示してある。
【表8】
【0179】
[00181] 「レッドメタル」濃縮物を、20kHzの浸出溶液及び25ミクロンの振幅で超音波照射した2リットルのビーカー内で1リットルの浸出組成物に2分間接触させた。金属質混合物を濾過により貴浸出液から分離し、脱イオン水で洗浄して乾燥させた。処理したサンプル中の金属濃度を測定すると、Ag、Au、Pt及びPtが検出不可能なレベルであることを示した。
【0180】
[00182] 浸出液中に10mLの安定した水素化ホウ素ナトリウム(14MのNaOH中に4.4M)を滴下させ、攪拌することによって濾過液中の貴金属を回収し、それにより貴金属の粉末状析出物が溶液中に出現した。液体と固体の混合物に30mLのMAGNAFLOC-351凝集剤を添加すると、粉末状粒子が細粒に付着した。液体を濾過して、混合した貴金属の析出物を回収し、洗浄して乾燥させた。析出物を誘導炉内で1850℃に加熱し、貴金属の合金を形成した。溶液の茶色を回復するまで、浸出溶液に30%の過酸化水素を滴下させることにより、溶液を元の強度に戻した。
【0181】
[00183] 本発明について、例示的な実施形態及び特徴に関して本明細書で様々に開示してきたが、以上で説明した実施形態及び特徴は本発明を限定するものではなく、本明細書の開示に基づいて、他の変形、変更及び代替実施形態が当業者に思い浮かぶことが認識される。したがって本発明は、このような変形、変更及び代替実施形態を特許請求の範囲の精神及び範囲に全て包含するものとして、広義に解釈されたい。
図1
図2
図3
図4
図5