特許第6339828号(P6339828)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ディスコの特許一覧

<>
  • 特許6339828-ウエーハの加工方法 図000002
  • 特許6339828-ウエーハの加工方法 図000003
  • 特許6339828-ウエーハの加工方法 図000004
  • 特許6339828-ウエーハの加工方法 図000005
  • 特許6339828-ウエーハの加工方法 図000006
  • 特許6339828-ウエーハの加工方法 図000007
  • 特許6339828-ウエーハの加工方法 図000008
  • 特許6339828-ウエーハの加工方法 図000009
  • 特許6339828-ウエーハの加工方法 図000010
  • 特許6339828-ウエーハの加工方法 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6339828
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】ウエーハの加工方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20180528BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20180528BHJP
   B24B 1/00 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   H01L21/78 L
   H01L21/78 Q
   H01L21/78 C
   B24B27/06 M
   B24B1/00 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-50757(P2014-50757)
(22)【出願日】2014年3月13日
(65)【公開番号】特開2015-176920(P2015-176920A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2017年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】淀 良彰
(72)【発明者】
【氏名】大庭 龍吾
【審査官】 高橋 宣博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−106382(JP,A)
【文献】 特開2013−074021(JP,A)
【文献】 特開平11−251493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B24B 1/00
B24B 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分割予定ラインによって区画され複数のデバイスが形成されたデバイス領域と該デバイス領域を囲繞して形成された外周余剰領域とから表面が構成され且つ該表面に該デバイスを保護する樹脂が被覆されたウエーハを加工するウエーハの加工方法であって、
切削ブレードを該外周余剰領域の該樹脂に所定厚みを残した位置まで切り込ませて該デバイスの表面に至らない深さの溝を形成し、該樹脂に所定厚みの切残し部を残存させる溝形成ステップと、
該樹脂に対して透過性を有する波長で撮像する撮像手段で該切残し部を介して該ウエーハの表面を撮像し、該分割予定ラインを検出する分割予定ライン検出ステップと、
該分割予定ライン検出ステップで検出された該分割予定ラインに基づき分割予定ラインに沿って該樹脂側から加工を行い、該ウエーハを個々のチップへと分割する分割ステップと、
を備えたことを特徴とするウエーハの加工方法。
【請求項2】
前記溝形成ステップにおいては、該樹脂側を表面に露出させて回転するチャックテーブルに保持し、切削ブレードを該外周余剰領域に該当する領域に位置付けて該樹脂に所定厚みを残した位置まで切り込ませた状態で該チャックテーブルを回転させて該外周余剰領域の該樹脂を円形に除去して所定厚みの切残し部を残存させること、を特徴とする請求項1記載のウエーハの加工方法。
【請求項3】
前記溝形成ステップにおいては、該樹脂側を表面に露出させてチャックテーブルに保持し、
ウエーハの結晶方位を示す異形状部を基準に該外周余剰領域の対向する2つの外周縁と、該2つの外周縁が対向する方向と直交する方向に対向する他の2つの外周縁との合計4つの外周縁のうちの少なくとも3つの外周縁に、該切削ブレードにより直線状で該樹脂に所定厚みの切残し部を残して溝を形成すること、を特徴とする請求項1記載のウエーハの加工方法。
【請求項4】
該切残し部は、100μm以下の厚みに設定される請求項1〜3の何れか一つに記載のウエーハの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、WL−CSPウエーハの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
WL−CSP(Wafer−level Chip Size Package)ウエーハとは、ウエーハの状態で再配線層や電極(金属ポスト)を形成後、表面側を樹脂封止し、切削ブレード等で各パッケージに分割する技術であり、ウエーハを個片化したパッケージの大きさが半導体デバイスチップの大きさになるため、小型化及び軽量化の観点からも広く採用されている。
【0003】
WL−CSPウエーハは、一般的に切削装置を使用して個々のCSPに分割される。この場合、WL−CSPウエーハは、分割予定ラインを検出するために利用するデバイスが樹脂で覆われているため、表面側からデバイスのターゲットパターンを検出することができない。
【0004】
その為、WL−CSPウエーハの樹脂上に形成された電極バンプをターゲットにして分割予定ラインを割り出したり、樹脂の上面にアライメント用のターゲットを形成する等して分割予定ラインと切削ブレードとのアライメントをおこなっていた。
【0005】
しかし、電極バンプや樹脂上に形成されたターゲットはデバイスのように高精度には形成されていないため、アライメント用のターゲットとしては精度が低いという問題がある。従って、電極バンプや形成されたターゲットに基づいて分割予定ラインを割り出した場合、分割予定ラインから外れてデバイスを切削してしまうという恐れがあった。
【0006】
そこで、ウエーハの外周を予め樹脂で被覆することなく、ウエーハの外周を露出させておき、ウエーハの外周で露出する分割予定ラインを基にアライメントする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−74021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、ウエーハの外周を露出させるように樹脂で被覆するのは、製造時に手間がかかり、コストが高騰する虞があった。
【0009】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コストを高騰することなく、チップへの分割時にデバイスを損傷させてしまう恐れを低減可能なウエーハの加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のウエーハの加工方法は、複数の分割予定ラインによって区画され複数のデバイスが形成されたデバイス領域と該デバイス領域を囲繞して形成された外周余剰領域とから表面が構成され且つ該表面に該デバイスを保護する樹脂が被覆されたウエーハを加工するウエーハの加工方法であって、切削ブレードを該外周余剰領域の該樹脂に所定厚みを残した位置まで切り込ませて該デバイスの表面に至らない深さの溝を形成し、該樹脂に所定厚みの切残し部を残存させる溝形成ステップと、該樹脂に対して透過性を有する波長で撮像する撮像手段で該切残し部を介して該ウエーハの表面を撮像し、該分割予定ラインを検出する分割予定ライン検出ステップと、該分割予定ライン検出ステップで検出された該分割予定ラインに基づき分割予定ラインに沿って該樹脂側から加工を行い、該ウエーハを個々のチップへと分割する分割ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0011】
上記ウエーハの加工方法では、前記溝形成ステップにおいては、該樹脂側を表面に露出させて回転するチャックテーブルに保持し、切削ブレードを該外周余剰領域に該当する領域に位置付けて該樹脂に所定厚みを残した位置まで切り込ませた状態で該チャックテーブルを回転させて該外周余剰領域の該樹脂を円形に除去して所定厚みの切残し部を残存させることとすることができる。
【0012】
上記ウエーハの加工方法では、前記溝形成ステップにおいては、該樹脂側を表面に露出させてチャックテーブルに保持し、ウエーハの結晶方位を示す異形状部を基準に該外周余剰領域の対向する2つの外周縁と、該2つの外周縁が対向する方向と直交する方向に対向する他の2つの外周縁との合計4つの外周縁のうちの少なくとも3つの外周縁に、該切削ブレードにより直線状で該樹脂に所定厚みの切残し部を残して溝を形成することとすることができる。
【0013】
上記ウエーハの加工方法では、該切残し部は、100μm以下の厚みに設定されるものとすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、切残し部を透過してデバイス表面を撮像して分割予定ラインを検出するため、分割時にデバイスを損傷させてしまう恐れが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1(a)は、実施形態に係るウエーハの加工方法の加工対象としてのウエーハの分解斜視図であり、図1(b)は、実施形態に係るウエーハの加工方法の加工対象のウエーハを示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るウエーハの加工方法の加工対象のウエーハの要部の断面図である。
図3図3は、実施形態に係るウエーハの加工方法の溝形成ステップの概要を示す斜視図である。
図4図4は、実施形態に係るウエーハの加工方法の溝形成ステップの概要を示す断面図である。
図5図5は、実施形態に係るウエーハの加工方法の溝形成ステップ後のウエーハを示す平面図である。
図6図6は、実施形態に係るウエーハの加工方法の分割予定ライン検出ステップの概要を示す断面図である。
図7図7は、実施形態に係るウエーハの加工方法の分割ステップの概要を示す断面図である。
図8図8は、実施形態の変形例1に係るウエーハの加工方法の溝形成ステップ後のウエーハを示す平面図である。
図9図9は、実施形態の変形例2に係るウエーハの加工方法の溝形成ステップ後のウエーハを示す平面図である。
図10図10は、実施形態の変形例3に係るウエーハの加工方法の溝形成ステップ後のウエーハを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0017】
〔実施形態〕
実施形態に係るウエーハの加工方法を、図1から図7に基づいて説明する。図1は、実施形態に係るウエーハの加工方法の加工対象のウエーハを示す斜視図、図2は、実施形態に係るウエーハの加工方法の加工対象のウエーハの要部の断面図、図3は、実施形態に係るウエーハの加工方法の溝形成ステップの概要を示す斜視図、図4は、実施形態に係るウエーハの加工方法の溝形成ステップの概要を示す断面図、図5は、実施形態に係るウエーハの加工方法の溝形成ステップ後のウエーハを示す平面図、図6は、実施形態に係るウエーハの加工方法の分割予定ライン検出ステップの概要を示す断面図、図7は、実施形態に係るウエーハの加工方法の分割ステップの概要を示す断面図である。
【0018】
実施形態に係るウエーハの加工方法(以下、単に加工方法と呼ぶ)は、図1に示すウエーハWを加工する加工方法であって、ウエーハWを個々のチップC(図7に示す)へと分割する方法である。なお、本実施形態に係る加工方法により個々のチップCに分割される加工対象としてのウエーハWは、図1(a)に示すように、複数の分割予定ラインSによって区画され複数のデバイスDが形成されたデバイス領域DRと、デバイス領域DRを囲繞して形成された外周余剰領域GRとから表面Waが構成されている。ウエーハWは、図1(a)及び図1(b)に示すように、表面WaにデバイスDを保護する樹脂Jが被覆されている。ウエーハWの表面Waに被覆された樹脂Jには、図2に示すように、デバイスDの電極に接続された金属ポストPが埋設され、金属ポストPの端面に取り付けられたハンダなどで構成されたバンプBが表面上に形成されている。実施形態に係る加工方法の加工対象としてのウエーハWは、所謂、WL−CSP(Wafer−level Chip Size Package)ウエーハである。また、ウエーハWには、ウエーハWの結晶方位を示す異形状部としてのノッチNが形成されている。
【0019】
本発明では、樹脂Jとしては、樹脂Jの熱膨張率をウエーハWの熱膨張率に近づけるために、SiCからなるフィラーが混入されたエポキシ樹脂等の樹脂を使用するのが好ましい。
【0020】
実施形態に係る加工方法は、ウエーハWを分割予定ラインSに沿ってデバイスDを含んだ個々のチップCに分割する加工方法であって、溝形成ステップと、分割予定ライン検出ステップと、分割ステップとを備える。
【0021】
実施形態に係る加工方法は、まず、溝形成ステップにおいては、ウエーハWの裏面Wbに保護テープT(図4に示す)を貼着し、図3に示すように、樹脂J側を表面に露出させて切削装置10の軸心回りに回転するチャックテーブル11の保持面11aにウエーハWを載置する。そして、チャックテーブル11に図示しない真空吸引経路を介して接続された真空吸引源により保持面11aを吸引して、保護テープTを介してウエーハWをチャックテーブル11の保持面11aに吸引保持する。
【0022】
そして、図3に示すように、樹脂Jの外周余剰領域GRに該当する領域に切削装置10の切削ブレード12を相対させた後、図4に示すように、切削ブレード12を回転させながら降下させるとともに、チャックテーブル11を軸心回りに回転させる。このように、切削ブレード12を外周余剰領域GRに該当する領域に位置付けて、樹脂Jに所定厚みT1を残した位置まで切り込ませた状態で、チャックテーブル11を回転させて、図5に示すように、外周余剰領域GRの樹脂Jを切削ブレード12で全周に亘って円形に除去する。そして、外周余剰領域GRの樹脂JにデバイスDの表面に至らない深さの溝CRを全周に亘って円形に形成し、樹脂Jに所定厚みT1の切残し部Oを残存させる。
【0023】
なお、本発明でいう、「樹脂Jを円形に除去する」とは、樹脂Jを除去して溝CRが形成されることで残存する切残し部Oが円弧状をなすことをいい、切残し部Oが円形であることのみならず、例えば、切残し部Oが円の一部の円弧であることも含まれる。なお、切残し部Oの所定厚みT1は、100μm以下の厚みに設定されるのが望ましく、数十μmの厚みに設定されるのがさらに望ましい。そして、分割予定ライン検出ステップに進む。なお、図5、後述する図8図10では、分割予定ラインSを実線で示しているが、分割予定ラインSがウエーハWの表面Waに形成されているので、切残し部O上には、分割予定ラインSは、露出していない。
【0024】
分割予定ライン検出ステップでは、溝形成ステップを実施した後に、図6に示すように、樹脂Jに対して透過性を有する波長で撮像する切削装置10の撮像手段20を、切残し部O上に位置付けた後に、撮像手段20で切残し部Oを介してウエーハWの表面Waを撮像する。なお、撮像手段20として、樹脂Jに対して透過性を有する波長の光である赤外線で撮像する赤外線カメラを用いることができる。また、所定厚みT1が数十μmで切残し部Oが極薄である場合には、撮像手段20として、樹脂Jに対して透過性を有する波長の光である可視光線で撮像するカメラを用いることができる。そして、分割予定ラインSを検出し、切残し部Oの分割予定ラインSと対応する領域と切削ブレード12との位置合わせを行うためのパターンマッチングなどの画像処理を実行してアライメントを行う。そして、分割ステップに進む。
【0025】
分割ステップでは、分割予定ライン検出ステップを実施した後に、分割予定ライン検出ステップで検出された分割予定ラインSに基づき切削ブレード12で分割予定ラインSに沿って樹脂J側から切削加工を行い、図7に示すように、ウエーハWを個々のチップCへと分割する。
【0026】
実施形態に係る加工方法によれば、溝形成ステップでは、外周余剰領域GRの外縁部の樹脂Jに溝CRを形成するので、外周余剰領域GRのウエーハWの表面Waをあらかじめ露出させることなく、分割予定ライン検出ステップにおいて、撮像手段20により分割予定ラインSを検出することができ、アライメントを確実に遂行することができる。また、溝形成ステップでは、切残し部Oを残存させるので、デバイスDに影響を与えることが全く無い。したがって、コストを高騰させることなく、チップCへの分割時にデバイスDを損傷させてしまう恐れを低減することができる。
【0027】
また、加工方法によれば、所定厚みT1の切残し部Oを介してウエーハWの分割予定ラインSを検出するので、より鮮明に分割予定ラインSを検出でき、より高精度にウエーハWを切削加工することができる。
【0028】
〔変形例1〕
実施形態の変形例1に係るウエーハの加工方法を、図8に基づいて説明する。図8は、実施形態の変形例1に係るウエーハの加工方法の溝形成ステップ後のウエーハを示す平面図である。なお、図8において、実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0029】
実施形態の変形例1に係るウエーハの加工方法の溝形成ステップにおいては、樹脂J側を表面に露出させてウエーハWをチャックテーブル11に保持した後、図8に示すように、ノッチNを基準に外周余剰領域GRの対向する2つの外周縁GR−1と、2つの外周縁GR−1が対向する方向と直交する方向に対向する他の2つの外周縁GR−2との合計4つの外周縁GR−1,GR−2のうちの少なくとも3つの外周縁GR−1,GR−2に、切削ブレード12により直線状で樹脂Jに所定厚みT1の切残し部Oを残して溝CR−1を形成する。
【0030】
少なくとも3つの外周縁GR−1,GR−2に溝CR−1を形成するのは、3つの外周縁GR−1,GR−2のうち対向する2つの溝CR−1に基づいてZ軸(図2に示す)回りの位置合わせ、2つの溝CR−1から露出する分割予定ラインSのY軸(図2に示す)方向の位置合わせを行うためである。そして、残り1つの溝CR−1に基づいて、当該1つの溝CR−1から露出する分割予定ラインSのY軸方向の位置合わせを行うためである。なお、図8では、2つの外周縁GR−1と、2つの外周縁GR−1が対向する方向と直交する方向に対向する他の2つの外周縁GR−2との合計4つの外周縁GR−1,GR−2それぞれに直線状で樹脂Jに所定厚みT1の切残し部Oを残して溝CR−1を形成している。溝CR−1の長手方向は、ウエーハWの接線方向と平行である。
【0031】
〔変形例2〕
実施形態の変形例2に係るウエーハの加工方法を、図9に基づいて説明する。図9は、実施形態の変形例2に係るウエーハの加工方法の溝形成ステップ後のウエーハを示す平面図である。なお、図9において、実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0032】
実施形態の変形例2に係るウエーハの加工方法の溝形成ステップにおいては、樹脂J側を表面に露出させてウエーハWをチャックテーブル11に保持した後、図9に示すように、ノッチNを基準に外周余剰領域GRの対向する2つの外周縁GR−1と、2つの外周縁GR−1が対向する方向と直交する方向に対向する他の2つの外周縁GR−2との合計4つの外周縁GR−1,GR−2のうちの少なくとも3つの外周縁GR−1,GR−2に、切削ブレード12により外周余剰領域GRの外縁部の樹脂JにデバイスDの表面に至らない深さの溝CR−2を周方向に間隔をあけて形成し、変形例1と同様に、樹脂Jに所定厚みT1の切残し部Oを残存させている。なお、図9では、2つの外周縁GR−1と、2つの外周縁GR−1が対向する方向と直交する方向に対向する他の2つの外周縁GR−2との合計4つの外周縁GR−1,GR−2それぞれに溝CR−2を形成して、所定厚みT1の切残し部Oを残存させている。溝CR−2は、円弧状に湾曲しており、ウエーハWの周方向に等間隔に4つ形成されている。
【0033】
〔変形例3〕
実施形態の変形例3に係るウエーハの加工方法を、図10に基づいて説明する。図10は、実施形態の変形例3に係るウエーハの加工方法の溝形成ステップ後のウエーハを示す平面図である。なお、図10において、実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0034】
実施形態の変形例3に係るウエーハの加工方法の溝形成ステップにおいては、樹脂J側を表面に露出させてウエーハWをチャックテーブル11に保持した後、図10に示すように、ノッチNを基準に外周余剰領域GRの外縁部の樹脂Jを切削ブレード12で切削して、デバイスDの表面に至らない半円状の溝CR−3を形成して、樹脂Jに所定厚みT1の切残し部Oを残存させる。溝CR−3は、ウエーハWの外周余剰領域GRの外縁部に一つのみ形成されている。
【0035】
前述した変形例1〜変形例3に係るウエーハの加工方法によれば、実施形態と同様に、溝形成ステップでは、外周余剰領域GRの外縁部の樹脂JにデバイスDの表面に至らない溝CR−1,CR−2,CR−3を形成して、所定厚みT1の切残し部Oを残存させるので、コストを高騰させることなく、チップCへの分割時にデバイスDを損傷させてしまう恐れを低減することができる。
【0036】
前述した実施形態及び変形例1〜3では、樹脂Jの表面にバンプBを形成しているが、本発明では、バンプBを樹脂Jの表面に形成しなくてもよい。
【0037】
なお、本発明は上記実施形態、変形例に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0038】
11 チャックテーブル
12 切削ブレード
20 撮像手段
B バンプ
C チップ
CR,CR−1,CR−2,CR−3 溝
D デバイス
DR デバイス領域
GR 外周余剰領域
GR−1,GR−2 外周縁
J 樹脂
N ノッチ(異形状部)
S 分割予定ライン
T1 所定厚み
O 切残し部
W ウエーハ
Wa 表面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10