(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまでも一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0014】
また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0015】
(実施の形態1)
図8は、実施の形態1に係わる挟み込み検知スイッチを搭載した自動車の構成を示す模式図である。ここでは、挟み込み検知スイッチをパワーウインドウに適用した例を説明する。
図8において、2は、自動車20の窓枠を示している。窓ガラス3が電動アクチュエータにより上下に移動する(上昇および下降する)。窓枠2には、実施の形態1に係わる挟み込み検知スイッチ1が配設されている。窓ガラス3が上昇しているときに、物体(人体を含む)が窓枠2と窓ガラス3との間に挟まれると、挟み込み検知スイッチ1が、挟み込みを検知し、検知信号を制御装置21に供給する。制御装置21は、検知信号が供給されると、例えば窓ガラス3の上昇を停止する。これにより、挟み込みより怪我等が発生するのを防ぐことが可能である。また、物体が挟まれると、物体を引き抜く操作が一般的に行われるが、挟み込み検知スイッチは、引き抜きも検知する。特に、挟まれた物体が車内側ではなく、車外側に引き抜かれる場合は、安全性の観点から、引き抜きを検知することが重要である。
【0016】
<挟み込み検知スイッチ>
図1は、実施の形態1に係わる挟み込み検知スイッチの断面図である。
図2は、実施の形態1に係わる挟み込み検知スイッチを示す斜視図である。ここで、
図2(A)は、挟み込み検知スイッチ1の斜視図であり、
図2(B)は、挟み込み検知スイッチ1に備えられる感圧検知部材5の斜視図である。
図1は、
図2(A)において、A−A断面から見た断面図である。
【0017】
挟み込み検知スイッチ1は、窓枠2の延在方向Yに沿って延在し、窓枠2に配設された変形可能なカバー部材4を備えている。
図2に示すように、カバー部材4は、カバー部材4と同じ方向に延在する感圧検知部材5を覆っている。また、カバー部材4は、カバー部材4と同じ方向に延在する中空部6を覆っている。挟み込み検知スイッチ1のカバー部材4は、例えばゴムによって形成されており、カバー部材4の一部分は、
図1に示すように、窓枠2に埋め込まれている。
【0018】
図1に示すように断面視で見ると、カバー部材4は、窓枠2に接する厚いベース部4−1と、窓ガラス3の面3−1に対向し、変形する弾性の変形部4−2とを備えている。このベース部4−1と変形部4−2との間が、中空部6となっている。
【0019】
感圧検知部材5は、カバー部材4の中心線CLIに対して一側(
図1中では紙面右側)に位置した変形部4−2に設けられており、変形部4−2は、感圧検知部材5を覆うカバー部分4−3を備えている。カバー部分4−3は、挟み込みおよび引き抜きの際に、感圧検知部材5と感圧検知部材5に対向する受け部9の面(後述)との間に介在する変形部4−2の一部分である。
図1では、中心線CLIに対して、一側が自動車20の車内側であり、他側(
図1中では紙面左側)が自動車20の車外側である。従って、感圧検知部材5は、カバー部材4において、車内側に設けられていることになる。
【0020】
ベース部4−1には、変形部4−2が変形したとき、感圧検知部材5を受ける受け部9が設けられている。受け部9の外形形状は、
図1に示すように、ベース部4−1から変形部4−2に向かって階段状に突起した突起形状をしている。すなわち、受け部9は、ベース部4−1と中空部6とが接するベース面4−4と平行した第1上面9−1と、ベース面4−4と平行し、第1上面9−1よりもベース面4−4から離間した第2上面9−2と、第1上面9−1と第2上面9−2とを連結する第1斜面9−3と、第1上面9−1とベース面4−4とを連結する第2斜面9−4と、第2上面9−2とベース面4−4とを連結する第3斜面9−5とを備えている。
【0021】
実施の形態1では、ベース面4−4と第3斜面9−5との間の角度α1およびベース面4−4と第2斜面9−4との間の角度α3は、75度となっており、第2上面9−2と第1斜面9−3との間の角度α2は、120度となっている。また、第1上面9−1と第1斜面9−3との間の角度α4は、120度となっている。
【0022】
図1に示すように、カバー部材4の中心線CLIは、ベース面4−4に対する離間距離が異なる第1上面9−1と第2上面9−2を連結する第1斜面9−3を通過しているため、受け部9は、中心線CLIを基準として、左右非対称の構造となっている。なお、受け部9も、カバー部材4と同様に、ゴムによって形成されている。
【0023】
挟み込みあるいは引き抜きにより変形部4−2が変形すると、カバー部分4−3を介して、感圧検知部材5が、受け部9の第1上面9−1と第1斜面9−3に押し付けられることになる。すなわち、受け部9の第1上面9−1および第1斜面9−3の2面は、感圧検知部材5に対向し、感圧検知部材5の受け面として作用する。
【0024】
感圧検知部材5は、
図2(B)に示すように、離間された電極線ED1〜ED4を有する管状の検知部材である。感圧検知部材5は、離間された電極線ED1〜ED4を囲む部材が弾力性を有しており、外力が加わることにより、電極線ED1〜ED4間の離間距離が変わるように中空部10が変形する。感圧検知部材を構成する複数の電極線は、感圧検知部材の長手方向に沿って螺旋状に形成されている。これにより、感圧検知部材の径方向における全方位からの外力に対して検知可能となっている。離間距離が変わることにより、電極線ED1〜ED4間の電気抵抗が変化する。電極線ED1〜ED4間の電気抵抗の変化が検出信号として、
図8に示した制御装置21に供給される。
この感圧検知部材5は、上記した特許文献2に示されている管状部材と同じであるため、これ以上の詳しい説明は省略する。
【0025】
感圧検知部材5は、
図1に示すように、断面視で見ると、中心線CLIの一側に配置されている。受け部9の第1斜面9−3と第1上面9−1との連結部と、感圧検知部材5の中心点CNTとを通る直線IMLを仮想すると、仮想直線IMLと中心線CLIとの間の角度α5は、例えば120度となる。
【0026】
後で
図3および
図4を用いて説明するが、感圧検知部材5は、挟み込みあるいは引き抜きにより、受け部9の第1上面9−1および第1斜面9−3に向かって移動し、潰されるように変形する。感圧検知部材5が潰されることにより、上記した検出信号により挟み込みが検知される。このときの検知感度は、変形部4−2が変形していないときのカバー部分4−3と受け部9の第1上面9−1および第1斜面9−3との間の距離L1およびL2と、第1上面9−1と第1斜面9−3との間の角度α4によって定めることができる。この場合、距離L1およびL2を短くする程、検知感度を高くすることができる。角度α4は、90度以上で180度未満の範囲で変更することが可能であり、角度α4を小さくすることにより、車外側からの引き抜きに対する検知感度を高くすることが可能である。実施の形態1においては、角度α4として、望ましい角度120度が採用されている。しかしながら、上記した距離L1、L2および角度α4は、要求される検知感度に合わせて設定すればよい。例えば、α4は90度以上135度以下の範囲で設定するのが好ましい。
【0027】
挟み込みおよび引き抜きの検知の際には、受け部9の第1上面9−1と第1斜面9−3が、カバー部分4−3の表面4−5と接することになる。感圧検知部材5をより変形し易く(潰し易く)するためには、表面4−5と感圧検知部材5の表面との間に介在しているカバー部材4の肉厚4Bを、感圧検知部材5の表面と変形部4の外側表面との間に介在しているカバー部材4の肉厚4Aよりも薄くすることが望ましい。
【0028】
感圧検知部材5を受ける受け面9は、
図1に示すように、ベース面4−4に近くなるほど広がるように、受け面9の側面である第2斜面9−5および第3斜面9−4は、傾いている(
図1では、α1、α2=75度)。これにより、受け面である第1上面9−1および第1斜面9−3に感圧検知部材5が押し付けられたとき、受け面9が押し付けられた方向に沿って変形するのを低減することが可能である。その結果、感圧検知部材5に加わる外圧が、受け部9の変形により吸収されるのを低減することが可能である。
【0029】
<挟み込み>
次に、物体を挟み込んだときの動作を説明する。
図3は、実施の形態1に係わる挟み込み検知スイッチ1が、物体11を挟み込んだときの状態を示す断面図である。
図3(A)は、物体11を挟み込んでいない初期状態を示している。
図3(B)は、物体11を挟み込み、挟み込みにより、カバー部材4の変形部4−2が、初期状態に比べて、押し込まれた状態を示している。物体11に加わる荷重が増えることにより、変形部4−2の押込量は、
図3(C)、
図3(D)の順で増えている。
図3(B)〜(D)において、二点鎖線は、
図3(A)に示した初期状態のときの変形部の形状を示している。
【0030】
押込量が増えるのに従って、物体11に接している変形部4−2が、
図3(B)、(C)および(D)に示すように、受け部2に向かうように変形する。これにより、感圧検知部材5は潰れるように変形を始める。
図3(B)では、カバー部分4−3の表面4−5(
図1参照)が受け面である第1上面9−1に接触し、さらに感圧検知部材5の潰れが進む。また、
図3(D)では、カバー部分4−3の表面4−5が、受け面である第1斜面9−3にも接して、感圧検知部材5の潰れが進行する。
【0031】
例えば
図3(D)に示すような押込量のときの検出信号の値で、制御装置21(
図8)は、例えば窓ガラス3の移動を停止する。カバー部材4には、中空部6が存在するため、中空部6がクッションとして作用し、挟まれた物体に対して掛かる荷重を低減することができるとともに、挟み込みを適切に検知することが可能である。
【0032】
<引き抜き>
次に、物体の引き抜きが行われたときの動作を説明する。
図4は、実施の形態1に係わる挟み込み検知スイッチ1が、物体の引き抜きを検知するときの状態を示す断面図である。
図4は、車外側から物体が引き抜かれたときのカバー部材4の状態を示している。
【0033】
図4(A)は、挟み込み検知スイッチ1のカバー部材4が変形していない初期状態を示している。
図4(B)は、物体の引き抜きにより、
図4(A)の初期状態に比べて、カバー部材4が変形し、カバー部材4の車内側が押し込まれた状態を示している。さらに物体の引き抜き荷重が増えるのに従って、カバー部材4の押込量が、
図4(C)、
図4(D)の順で増えている。
【0034】
図4(B)〜(D)に示すように、引き抜き荷重が増えると、カバー部材4の変形部4−2が変形し、これにより、感圧検知部材5も潰されるように変形する。車外側への引き抜きの場合、変形部4−2が変形することにより、
図4(B)に示すように、カバー部分4−3(
図1参照)の表面4−5は、初めに、受け面である第1斜面9−3に接し、感圧検知部材5が加圧され、感圧検知部材5が潰される。次に、
図4(C)に示すように、カバー部分4−3の表面4−5が、受け面である第1上面9−1に接し、感圧検知部材5が加圧され、感圧検知部材5が潰される。さらに、
図4(D)に示すように、感圧検知部材5の潰しが進行する。
【0035】
例えば、
図4(D)の状態のときの検出信号の値により、制御装置21は、引き抜き操作があると判定する。
【0036】
このように、引き抜きの操作があった場合には、受け面である第1斜面9−3によって、先ず感圧検知部材5が潰される。そのため、実施の形態1に係わる挟み込み検知スイッチ1は、引き抜きの場合も適切に検知することが可能である。また、カバー部材4の中空部6がクッションとして作用するため、物体に対する荷重を低減することが可能である。
【0037】
受け部9は、ベース部4−1と一体的に形成してもよいし、受け部9は、カバー部材4とは別体で準備し、カバー部材4のベース部4−1に取り付けるようにしてもよい。同様に、感圧検知部材5は、カバー部材4と一体的に形成してもよいし、カバー部材4とは別体として準備し、カバー部材4に取り付けるようにしてもよい。
【0038】
また、カバー部材4の中心線CLIに対して、感圧検知部材5を、車内側に配置する例を説明したが、感圧検知部材5は、車外側に配置するようにしてもよい。このようにすることにより、車内側への引き抜きを適切に検知することが可能となる。しかしながら、先に述べたように安全性の観点から、感圧検知部材5は、車内側に配置することが望ましい。
【0039】
受け部9の第1上面9−1および第1斜面9−3は、感圧検知部材5を受ける受け面として説明したが、感圧検知部材5は、挟み込みのとき、第1上面9−1の方向に移動し、引き抜きのときには、第1斜面9−3の方向に移動すると見なすことができる。従って、受け部9は、感圧検知部材5に対して少なくとも2方向に受ける受け面を備えていると見なすことができる。ここで2方向の成す角は45度以上90度以下とするのが好ましい。
【0040】
<変形例>
変形例として、3個の変形例を説明する。先ず、
図5を用いて、2個の変形例を説明する。
図5(A)は、実施の形態1の変形例に係わる挟み込み検知スイッチの構成を示す断面図である。また、
図5(B)は、
図5(A)に示した挟み込み検知スイッチの部分平面図である。
【0041】
<<第1の変形例>>
第1の変形例においては、カバー部材4を断面視で見たとき、受け面である第1上面9−1および第1斜面9−3に、感圧検知部材5に向く方向で突起した凸部30および33が配置されている。このような凸部30および33を配置することにより、挟み込みを検知する際に、感圧検知部材5を潰し易くすることが可能である。
【0042】
この場合、凸部30および33は、受け部9と一体的に形成してもよいし、別々に形成して、第1上面9−1および第1斜面9−3に取り付けるようにしてもよい。また、第1上面9−1または第1斜面9−3のいずれか一方に、凸部を配置するようにしてもよい。
【0043】
さらに、第1上面9−1を感圧検知部材5側から見た場合、
図5(B)の平面図に示すように、凸部の領域30と、凸部30が配置されていない領域31および32は、帯状に配置されるようにしてもよい。同様に、第1斜面9−3においても、凸部33と、凸部33が配置されていない領域が、帯状に配置されるようにしてもよい。押出形成により、上記したような帯状の凸部は容易に製造することが可能である。
【0044】
また、凸部30および33は、感圧検知部材5のカバー部分4−3に設けるようにしてもよい。
【0045】
<<第2の変形例>>
第2の変形例においては、感圧検知部材5は、カバー部材4とは別体で準備される。第2の変形例においては、
図5(A)に示すように、カバー部材4に挿入口40が形成される。この挿入口40に別体として準備されている感圧検知部材5を挿入する。第2の変形例においては、挿入口40の面積は、感圧検知部材5の面積よりも大きくする。これにより、挿入口40に感圧検知部材5を挿入する際に、感圧検知部材5が捩れるのを防ぐことが可能である。
【0046】
また、第2の変形例においては、挿入口40は、楕円形であってもよい。また、挿入口40に接着剤を入れて、感圧検知部材5を挿入するようにしてもよい。
【0047】
以上述べたように、実施の形態1に係わる挟み込み検知スイッチ1は、クッション性が高く、挟み込みおよび引き抜きのときに適切に動作することが可能である。
【0048】
<<第3の変形例>>
次に、
図1を用いて第3の変形例を説明する。第3の変形例においては、2個の感圧検知部材5がカバー部材4に設けられ、受け部9の外形形状が変更される。すなわち、第3の変形例に係わるカバー部材4の構造は、
図1において、中心線CLIに対して一側(紙面右側)の構成が、中心線CLIを基準として反転された構造を備える。これにより、カバー部材4の変形部4−2においては、他側にも、一側と同様な感圧検知部材が第2の感圧検知部材として配置される。また、受け部2は、一側に、
図1で説明した第1斜面9−3と第1上面9−1を備え、他側にも、一側と同じ第1斜面と第1上面を備える外形形状となる。言い換えると、変形例3に係わるカバー部材4は、感圧検知部材5、受け部9を含めて、中心線CLIを基準として左右対称の構造となる。
【0049】
これにより、車内側からの引き抜きは、他側に配置した第2の感圧検知部材が、対向する新たな第1斜面と新たな第1上面に押し付けられることにより、潰されることによって、検知される。また、挟み込みは、2個の感圧検知部材が、受け部9に押し付けられ、潰されることによって検知される。車外側からの引き抜きは、
図1で説明したのと同様に検知される。
【0050】
従って、第3の変形例に係わる挟み込み検知スイッチは、挟み込み、車外側への引き抜きだけでなく、車内側への引き抜きも検知することが可能である。また、中空部6を備えるため、挟み込み検知スイッチは、クッション性も備えている。
【0051】
(実施の形態2)
図6は、実施の形態2に係わる挟み込み検知スイッチ1の構成を示す断面図である。実施の形態1では、感圧検知部材5に対して、2面あるいは2方向に受ける受け面9を備えた挟み込み検知スイッチ1を説明した。実施の形態2および後で説明する実施の形態3においては、感圧検知部材5に対して、3面あるいは3方向に受ける受け面を備えた挟み込み検知スイッチが提供される。
【0052】
実施の形態2に係わる挟み込み検知スイッチ1においては、感圧検知部材5の中心点CNTが中心線CLI上になるように、感圧検知部材5が、ベース部4−1に配置されている。また、受け部9の外形形状は、凹とされ、凹みが感圧検知部材5の方向に向くように、受け部9は、ベース面4−4に配置されている。これにより、中心線CLIを基準として、カバー部材4は、左右対称となっている。また、受け部9も、中心線CLIを基準として、左右対称となっている。
【0053】
受け部9である凹みは、
図6に示すように、第1上面9−1、第2上面9−2、第3上面9−7、第1斜面9−3、第2斜面9−5、第4斜面9−6および第5斜面9−8を備えている。このうち、第1上面(底面)9−1、第1斜面9−3および第4斜面9−6が、挟み込みあるいは引き抜きのときに、感圧検知部材5に対する受け面として作用する。
【0054】
すなわち、挟み込みのときには、変形部4は、受け部の第1上面9−1の方向へ移動するため、カバー部分4−3を介して、感圧検知部材5は、第1上面9−1に接触し、感圧検知部材5は、潰れるように変形する。また、車外側への引き抜きのときには、実施の形態1と同様に、感圧検知部材5は、カバー部分4−3を介して、第1斜面9−3に接触し、次に第1上面9−1と接触し、感圧検知部材5は、潰れるように変形する。さらに、車内側への引き抜きのときには、感圧検知部材5は、カバー部分4−3を介して、第4斜面9−6に接触し、次に第1上面9−1と接触し、感圧検知部材5は、潰れるように変形する。
【0055】
その結果、この実施の形態2に係わる挟み込み検知スイッチ1は、挟み込み、車外側への引き抜きおよび車内側への引き抜きを検知することが可能である。勿論、カバー部材4には、中空部6が存在するため、クッション性が損なわれるのを防ぐことが可能である。
【0056】
(実施の形態3)
図7は、実施の形態3に係わる挟み込み検知スイッチ1の構成を示す断面図である。実施の形態3においては、
図7に示すように、感圧検知部材5は、中心線CLIの一側、すなわち車内側に配置されている。また、受け面9は、感圧検知部材5に対向した窪みを有する外形形状の突起部によって構成されている。
図7では、受け面9の窪みは、上面9−1とこの上面9−1に連結した第1斜面9−3および第4斜面9−6によって形成されている。見方を変えると、実施の形態3に係わる受け部9は、実施の形態2で説明した凹みが、ベース面4−4上で、一側(
図7では紙面右側)にシフトし、第5斜面9−8が、カバー部材4と一体となった構造と見なすこともできる。すなわち、実施の形態3では、凹みが、カバー部材4において偏在していると見なすことができる。
【0057】
実施の形態3においても、実施の形態2で説明したのと同様に、第1平面9−1、第1斜面9−3および第4斜面9−6が、感圧検知部材5に対する受け面として作用する。その結果、実施の形態3に係わる挟み込み検知スイッチ1においても、挟み込み、車外側への引き込みおよび車内側への引き込みを検知することが可能である。
【0058】
図7では、受け面9の面として、符号9−7の上面も明示してあるが、この上面9−7は設けなくてもよい。また、
図7では、中心線CLIの一側に、感圧検知部材5および受け部2の窪みを配置する例を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、中心線CLIの他側に、感圧検知部材5および受け部2の窪みを配置するようにしてもよい。この実施の形態3に係わる挟み込み検知スイッチ1は、実施の形態2で説明した挟み込み検知スイッチとは異なり、中心線CLIを基準として、カバー部材4が左右に非対称であり、受け部2も左右で非対称である。
【0059】
実施の形態2および3においても、実施の形態1と同様に、受け部2は、カバー部材4と同様にゴムで形成されているが、受け部2は、カバー部材4と一体であっても、別体であってもよい。同様に、感圧検知部材5も、カバー部材4と一体であっても、別体であってもよい。
【0060】
尚、実施の形態においては、第1斜面9−3、第1上面9−1及び第4斜面を平坦な面として説明したが、本発明の効果を奏する限りにおいて、第1斜面9−3、第1上面9−1及び第4斜面は平面に限らず、曲面であってもよい。
【0061】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、実施の形態では、自動車を適用対象として説明したが、適用対象は、自動車に限定されず、鉄道の電車、ホームドア、エレベータあるいはバックドア等でもよい。
【解決手段】挟み込み検知スイッチ1は、離間された複数の電極線を有する管状の1つの感圧検知部材5と、感圧検知部材を覆うカバー部材4とを備える。カバー部材4は、カバー部材4を断面視で見たとき、ベース部4−1と、中空部6と、中空部6を覆うように、ベース部4−1に設けられた変形部4−2とを備え、変形部4−2に感圧検知部材5が配置され、ベース部4−1に感圧検知部材5を受ける受け部9が配置され、受け部9には、感圧検知部材5に対向する位置であって、感圧検知部材5に対して少なくとも2面の受け面9−1、9−3が形成されている。