特許第6341639号(P6341639)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6341639
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/53 20140101AFI20180604BHJP
   B23K 26/08 20140101ALI20180604BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
   B23K26/53
   B23K26/08 D
   H01L21/304 631
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-160420(P2013-160420)
(22)【出願日】2013年8月1日
(65)【公開番号】特開2015-30005(P2015-30005A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(72)【発明者】
【氏名】梅田 桂男
(72)【発明者】
【氏名】小林 賢史
(72)【発明者】
【氏名】湯平 泰吉
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−49161(JP,A)
【文献】 特開2005−277136(JP,A)
【文献】 特開平6−328352(JP,A)
【文献】 特開平6−84855(JP,A)
【文献】 特開2010−21398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 − 26/70
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を回転可能に保持する保持面を有した保持手段と、
レーザービーム発生手段と該レーザービーム発生手段で発生したレーザービームを該保持手段で保持された被加工物の内部に集光する集光手段とを有したレーザービーム照射機構と、
該保持手段と該レーザービーム照射機構とを該保持手段の該保持面方向に相対移動させる相対移動手段と、
該保持手段で保持された被加工物にレーザービームを照射して被加工物の内部に形成された改質面を境界に被加工物の一部を剥離する剥離手段と、
該保持手段で保持された被加工物の改質面側を研削または研磨する加工ホイールと該加工ホイールが装着され該加工ホイールを回転させるスピンドルとを有した加工手段と、
該保持手段を該保持面方向に移動させて該レーザービーム照射機構と該剥離手段と該加工手段とにそれぞれ位置付ける位置づけ手段と、を備え、
該相対移動手段の一部を構成する移動機構が該位置づけ手段を兼ねることを特徴とする加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体材料でなるインゴット等の被加工物を加工する加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造に使用されるウェーハは、通常、シリコン、シリコンカーバイド、ガリウムナイトライド等の半導体材料でなるインゴットを、バンドソーやワイヤーソー等の工具で切り出した後に表裏面を研磨することで形成される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、バンドソーやワイヤーソー等の工具を用いてウェーハを薄く切り出すのは容易でない。そこで、ウェーハの厚みを低減したいという近年の要求に対しては、ある程度の厚みに形成されたウェーハを薄く研削することで対応している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−256203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この方法では、厚く形成されたウェーハの大部分が研削によって除去されるので、工程数、半導体材料の利用効率等の点において不経済である。また、バンドソーやワイヤーソー等の工具を用いてインゴットを切断すると、インゴットの少なくとも工具の厚みに相当する部分が失われるので、無駄が多くなるという問題がある。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、インゴット等の被加工物を無駄なく加工できる加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、被加工物を回転可能に保持する保持面を有した保持手段と、レーザービーム発生手段と該レーザービーム発生手段で発生したレーザービームを該保持手段で保持された被加工物の内部に集光する集光手段とを有したレーザービーム照射機構と、該保持手段と該レーザービーム照射機構とを該保持手段の該保持面方向に相対移動させる相対移動手段と、該保持手段で保持された被加工物にレーザービームを照射して被加工物の内部に形成された改質面を境界に被加工物の一部を剥離する剥離手段と、該保持手段で保持された被加工物の改質面側を研削または研磨する加工ホイールと該加工ホイールが装着され該加工ホイールを回転させるスピンドルとを有した加工手段と、該保持手段を該保持面方向に移動させて該レーザービーム照射機構と該剥離手段と該加工手段とにそれぞれ位置付ける位置づけ手段と、を備え、該相対移動手段の一部を構成する移動機構が該位置づけ手段を兼ねることを特徴とする加工装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の加工装置は、被加工物を回転可能に保持する保持面を有する保持手段と、被加工物の内部に改質面を形成するためのレーザービームを照射するレーザービーム照射機構と、保持手段とレーザービーム照射機構とを保持面方向に相対移動させる相対移動手段と、改質面を境界に被加工物の一部を剥離する剥離手段と、を備えている。
【0010】
この構成によれば、レーザービームの照射によって形成された改質面を境界として被加工物の一部を剥離できる。つまり、バンドソーやワイヤーソー等の工具を用いて被加工物を切断せずに済むので、被加工物において工具の厚みに相当する部分が失われることはない。
【0011】
また、改質面の位置を調整することで被加工物の一部を薄く剥離できるため、被加工物の一部を厚く切り出した後に薄く加工するという不経済を防止できる。このように、本発明によれば、インゴット等の被加工物を無駄なく加工できる加工装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態に係る加工装置の構成例を模式的に示す斜視図である。
図2】本実施の形態に係る加工方法の改質面形成ステップを模式的に示す一部断面側面図である。
図3】本実施の形態に係る加工方法の剥離ステップを模式的に示す一部断面側面図である。
図4】本実施の形態に係る加工方法の研削研磨ステップを模式的に示す一部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係る加工装置の構成例を模式的に示す斜視図である。図1に示すように、加工装置2は、各構成を支持する基台4を備えている。
【0014】
基台4の上面前端側には、開口4aが形成されており、この開口4a内には、加工対象の被加工物11(図2等参照)を搬送する搬送機構6が設けられている。また、開口4aのさらに前方の領域には、被加工物11を収容するカセット8a、及び被加工物11から分離された板状物(不図示)を収容するカセット8bが載置されている。
【0015】
被加工物11は、例えば、シリコン、シリコンカーバイド、ガリウムナイトライド等の半導体材料でなるインゴットであり、搬送機構6等で搬送可能な大きさの円柱状に形成されている。ただし、被加工物11の構成はこれに限られない。
【0016】
研削装置2において、カセット8aが載置される載置領域及び開口4aの後方には、仮置きされた被加工物11の位置合わせを行う位置合わせ機構10が設けられている。例えば、位置合わせ機構10は、カセット8aから搬送機構6で搬送され、位置合わせ機構10に仮置きされた被加工物11の中心を位置合わせする。
【0017】
位置合わせ機構10と隣接する位置には、被加工物11を吸引保持した状態で旋回する搬入機構12が配置されている。この搬入機構12は、位置合わせ機構10において位置合わせされた被加工物11の表面(上面)11a側を吸引し、被加工物11を後方に搬送する。
【0018】
搬入機構12の後方には、開口4bが形成されている。この開口4b内には、X軸移動テーブル14、X軸移動テーブル14をX軸方向(前後方向)に移動させるX軸移動機構(相対移動手段、位置づけ手段)(不図示)、及びX軸移動機構を覆う防水カバー16が設けられている。
【0019】
X軸移動機構は、X軸方向に平行な一対のX軸ガイドレール(不図示)を備えており、X軸ガイドレールには、X軸移動テーブル14がスライド可能に設置されている。X軸移動テーブル14の下面側には、ナット(不図示)が固定されており、このナットには、X軸ガイドレールと平行なX軸ボールネジ(不図示)が螺合されている。
【0020】
X軸ボールネジの一端部には、X軸パルスモータ(不図示)が連結されている。X軸パルスモータでX軸ボールネジを回転させることで、X軸移動テーブル14はX軸ガイドレールに沿ってX軸方向に移動する。
【0021】
X軸移動テーブル14上には、被加工物11を吸引保持するチャックテーブル(保持手段)18が設けられている。チャックテーブル18は、モータ等の回転駆動機構(相対移動手段)(不図示)と連結されており、鉛直方向(Z軸方向)に延びる回転軸の周りに回転する。
【0022】
また、チャックテーブル18は、上述のX軸移動機構により、被加工物11及び被加工物11から分離された板状物が搬入搬出される前方の搬入搬出位置と、被加工物11が研削又は研磨される後方の研削研磨位置と、被加工物11がレーザー加工される中央のレーザー加工位置との間を移動する。
【0023】
チャックテーブル18の上面は、被加工物11を吸引保持する保持面18aとなっている。この保持面18aは、チャックテーブル18の内部に形成された流路(不図示)を通じて吸引源(不図示)と接続されている。搬入機構12で搬入された被加工物11は、保持面18aに作用する吸引源の負圧で裏面(下面)11b側を吸引される。
【0024】
上述したレーザー加工位置の近傍には、基台4から上方に伸びる支持柱20が設けられている。支持柱20の開口4b側の側面には、開口4b側に向かって側方に延びる支持アーム22が設けられており、この支持アーム22の先端部には、レーザービーム照射機構24が配置されている。
【0025】
レーザービーム照射機構24は、レーザービームL(図2参照)を発振するレーザー発振器(レーザービーム発生手段)(不図示)と、レーザー発振器(不図示)で発振したレーザービームLを、チャックテーブル18に保持された被加工物11の内部に集光する集光器(集光手段)24a(図2参照)とを備えている。
【0026】
搬入機構12で搬入された被加工物11がチャックテーブル18に吸引保持されると、チャックテーブル18はレーザー加工位置に移動し、被加工物11をレーザービーム照射機構24の下方に位置付ける。レーザービーム照射機構24は、被加工物11に吸収され難い波長のレーザービームLを被加工物11の内部に集光し、多光子吸収による改質面11c(図3参照)を形成する。
【0027】
レーザービーム照射機構24の前方には、改質面11cが形成された被加工物11の表面11a側の一部を剥離する剥離機構(剥離手段)26が配置されている。剥離機構26は、被加工物11の表面11aを吸引する吸引パッド28と、吸引パッド28を昇降及び回転させる駆動機構30とを備えている。
【0028】
被加工物11の内部に改質面11cが形成されると、チャックテーブル18は搬入搬出位置に移動し、被加工物11を吸引パッド28の下方に位置付ける。その後、吸引パッド28が下降し、被加工物11の表面11a側を吸引する。これにより、被加工物11は、改質面11cを境界として、チャックテーブル18側と吸引パッド28側とに分離される。すなわち、改質面11cを境界として、被加工物11の一部(板状物)が剥離される。
【0029】
レーザービーム照射機構24の後方には、基台4から上方に伸びる支持柱32が設けられている。支持柱32の前面には、Z軸移動機構34を介してZ軸移動テーブル36が設けられている。Z軸移動機構34は、Z軸方向に平行な一対のZ軸ガイドレール38を備えており、Z軸ガイドレール38には、Z軸移動テーブル36がスライド可能に設置されている。
【0030】
Z軸移動テーブル36の後面側(裏面側)には、ナット(不図示)が固定されており、このナットには、Z軸ガイドレール38と平行なZ軸ボールネジ40が螺合されている。
【0031】
Z軸ボールネジ40の一端部には、Z軸パルスモータ42が連結されている。Z軸パルスモータ42でZ軸ボールネジ40を回転させることで、Z軸移動テーブル36はZ軸ガイドレール40に沿ってZ軸方向に移動する。
【0032】
Z軸移動テーブル36の前面(表面)には、被加工物11を研削又は研磨する加工機構(加工手段)44が設けられている。加工機構44は、Z軸移動テーブル36に固定されたスピンドルハウジング46を備えている。スピンドルハウジング46には、スピンドル48(図4参照)が回転可能に支持されている。
【0033】
スピンドル48の下端側には、ホイールマウント50が固定されており、このホイールマウント50の下面には、加工ホイール52が装着されている。加工ホイール52は、アルミニウム、ステンレス等の金属材料で形成された円筒状のホイール基台54と、ホイール基台の下面において環状に配置された複数の砥石56とを含む。
【0034】
改質面11cを境界として被加工物11の一部が剥離された後には、チャックテーブル18は研削研磨位置に移動し、被加工物11を加工機構44の下方に位置付ける。その後、チャックテーブル18及び加工ホイール52を回転させると共に、Z軸移動機構34で加工機構44を下降させ、加工ホイール52を被加工物11に接触させると、被加工物11に残存する改質面11cは除去される。
【0035】
搬入機構12と隣接する位置には、被加工物11から剥離されてなる板状物を吸引保持した状態で旋回する搬出機構58が設けられている。開口4aの後方において、搬出機構58と近接する位置には、搬出機構58で搬出された板状物を洗浄する洗浄機構60が配置されている。洗浄機構60で洗浄された板状物は、搬送機構6で搬送され、カセット8bに収容される。
【0036】
次に、上述した加工装置2において実施される被加工物11の加工方法について説明する。まず、カセット8aに収容されている被加工物11を、搬送機構6及び搬入機構12を用いてチャックテーブル18に搬入する搬入ステップを実施する。
【0037】
この搬入ステップでは、裏面11b側をチャックテーブル18の保持面18aに接触させるように被加工物11をチャックテーブル18に搬入する。被加工物11の搬入後には、保持面18aに負圧を作用させ、被加工物11をチャックテーブル18に吸引保持させる。
【0038】
次に、被加工物11にレーザービームLを照射して改質面11cを形成する改質面形成ステップを実施する。図2は、本実施の形態に係る加工方法の改質面形成ステップを模式的に示す一部断面側面図である。
【0039】
図2に示すように、改質面形成ステップにおいては、まず、レーザービーム照射機構24と近接するレーザー加工位置にチャックテーブル18を移動させる。そして、レーザービーム照射機構24から被加工物11に向けてレーザービームLを照射する。レーザービームLは、被加工物11を適切に改質できる波長、パワー等の条件で照射される。
【0040】
レーザービームLの集光点L1は、所望の厚みの板状物を分離できるように、被加工物11の内部に位置付けられる。また、レーザービームLの照射においては、チャックテーブル18を回転させながら保持面18aと平行なX軸方向に低速で移動させる。つまり、チャックテーブル18とレーザービーム照射機構24とを、保持面18aと平行な方向(保持面方向)に相対移動させる。
【0041】
これにより、レーザービームLの集光点L1は、被加工物11の所定深さの位置において渦巻き状の軌跡を描くように移動する。その結果、保持面18aと平行な改質面11cが形成される。なお、チャックテーブル18の回転速度及び移動速度は、分離に適した改質面11cを形成できるように調整される。
【0042】
改質面形成ステップの終了後には、改質面11cを境界に被加工物11を剥離する剥離ステップを実施する。図3は、剥離ステップを模式的に示す一部断面側面図である。剥離ステップにおいては、まず、剥離機構26と近接する搬入搬出位置にチャックテーブル18を移動させる。
【0043】
そして、駆動機構30で吸引パッド28を下降させ、その吸引面を被加工物11の表面11a側に接触させる。この状態で、吸引パッド28に被加工物11を吸引させると、改質面11cに応力が作用し、改質面11cを境界に被加工物11の表面11a側の一部が剥離される。
【0044】
改質面形成ステップの終了後には、剥離機構26に保持された剥離後の板状物を搬出する搬出ステップ、及びチャックテーブル18に保持された被加工物11を研削又は研磨する研削研磨ステップを実施する。図4は、研削研磨ステップを模式的に示す一部断面側面図である。
【0045】
搬出ステップでは、まず、吸引パッド28を上昇させると共に、側方(Y軸方向)に延びる回転軸の周りに180度回転させる。これにより、被加工物11から剥離された板状物を搬出機構58で吸引保持できるようになる。その後、板状物は搬出機構58で吸引保持され、洗浄機構60へと搬出される。洗浄機構60で洗浄された板状物は、搬送機構6で搬送され、カセット8bに収容される。
【0046】
一方、研削研磨ステップでは、まず、チャックテーブル18を研削研磨位置に移動させ、板状物が剥離された被加工物11を加工機構44の下方に位置付ける。その後、図4に示すように、チャックテーブル18及び加工ホイール52を回転させると共に、Z軸移動機構34で加工機構44を下降させ、加工ホイール52を被加工物11に接触させる。
【0047】
これにより、被加工物11は研削又は研磨され、残存する改質面11cが除去される。なお、研削研磨ステップの後には、改質面形成ステップ、剥離ステップ、研削研磨ステップを繰り返し実施することで、被加工物11を引き続き加工できる。
【0048】
以上のように、本実施の形態に係る加工装置2は、被加工物11を回転可能に保持する保持面18aを有するチャックテーブル(保持手段)18と、被加工物11の内部に改質面11cを形成するためのレーザービームLを照射するレーザービーム照射機構24と、チャックテーブル18とレーザービーム照射機構24とを保持面18a方向に相対移動させるX軸移動機構及び回転駆動機構(相対移動手段)と、改質面11cを境界に被加工物11の一部を剥離する剥離機構(剥離手段)26と、を備えている。
【0049】
この構成によれば、レーザービームLの照射によって形成された改質面11cを境界として被加工物11の一部を剥離できる。つまり、バンドソーやワイヤーソー等の工具を用いて被加工物11を切断せずに済むので、被加工物11において工具の厚みに相当する部分が失われることはない。
【0050】
また、改質面11cの深さ位置を調整することで被加工物11の一部を薄く剥離できるため、被加工物11の一部を厚く切り出した後に薄く加工するという不経済を防止できる。このように、本実施の形態に係る加工装置2によれば、インゴット等の被加工物11を無駄なく加工できる。
【0051】
なお、本発明は上記実施の形態の記載に限定されず、種々変更して実施可能である。例えば、上記実施の形態では、半導体材料でなるインゴットを被加工物11として用いているが、本発明の加工装置は、例えば、一般的な厚みのウェーハ等を薄く加工する際にも使用できる。すなわち、被加工物11は、ウェーハ等でも良い。
【0052】
また、本実施の形態に係る加工装置は、例えば、表面にデバイスが形成されたウェーハを薄く加工する際にも利用できる。この場合、例えば、ウェーハの裏面側の研削に代えて、上述した加工方法を実施すれば良い。
【0053】
また、上記実施の形態では、レーザービームLをシングルスポットとしているが、レーザービームLはマルチスポットでも良い。例えば、特開2011−79044号公報等に開示される技術を用いて成形されるレーザービームLを被加工物11に照射することができる。このように、レーザービームLをマルチスポットにすることで、改質面11cを短時間に形成できる。
【0054】
その他、上記実施の形態に係る構成、方法などは、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0055】
2 加工装置
4 基台
4a,4b 開口
6 搬送機構
8a,8b カセット
10 位置合わせ機構
12 搬入機構
14 X軸移動テーブル
16 防水カバー
18 チャックテーブル(保持手段)
18a 保持面
20 支持柱
22 支持アーム
24 レーザービーム照射機構
24a 集光器(集光手段)
26 剥離機構(剥離手段)
28 吸引パッド
30 駆動機構
32 支持柱
34 Z軸移動機構
36 Z軸移動テーブル
38 Z軸ガイドレール
40 Z軸ボールネジ
42 Z軸パルスモータ
44 加工機構(加工手段)
46 スピンドルハウジング
48 スピンドル
50 ホイールマウント
52 加工ホイール
54 ホイール基台
56 砥石
58 搬出機構
60 洗浄機構
11 被加工物
11a 表面
11b 裏面
11c 改質面
図1
図2
図3
図4