(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2固定具は、磁石を有し、当該磁石によって前記吸込ケーシング、または前記ルーズフランジ付短管の内面に前記第2固定具が固定されることを特徴とする請求項1または2に記載の横軸ポンプの内部点検装置。
【背景技術】
【0002】
従来から、河川水や農業用水などを移送するために、横軸ポンプが広く用いられている。この横軸ポンプには、一般に、吸い上げ方式と押し込み方式の2方式がある。吸い上げ方式の横軸ポンプでは、吐出ケーシング内に収容された羽根車は吸込水位の上方に位置し、吸込ケーシングから垂下する吸込管を介して吸込水槽内の液体を吸い上げ移送する。このような横軸ポンプでは、羽根車を収容した吐出ケーシングをポンプ架台上に設置すると共に、吸込ケーシングに吊り下げられた吸込管をポンプ架台に設けられた貫通部を通して吸込水槽内に垂下している。これに対し、押し込み方式の横軸ポンプでは、吐出ケーシング内に収容された羽根車は吸込水槽の水位より下方に位置しており、吸込ケーシングから横方向に延びる吸込管を介して吸込水槽内の液体が吐出ケーシングに押し込まれる。押し込み方式の横軸ポンプは、この押し込まれた液体を移送する。
【0003】
このような横軸ポンプでは、羽根車と吐出ケーシング、または羽根車とケーシングライナとが水を介して摺動する摺動部材として構成される。このような摺動部材は、ポンプ運転時間の経過と共に徐々に摩耗する。摺動部材の摩耗が進むと、ポンプ本体の性能低下、異常振動、軸受部の発熱などの不具合が発生する。羽根車の表面には、腐食や孔食が発生することもある。このため、横軸ポンプの点検時に、摺動部材の摩耗の進捗状況や腐食・孔食の発生状況を確認し、次回の点検時までに許容値を超えることが想定される場合には、直ちに部品交換や補修を行うことが必要となる。
【0004】
横軸ポンプにおける摩耗状況や腐食・孔食の発生状況を正確に把握するために、横軸ポンプの上ケーシングを天井クレーンなどにより吊り上げて、ポンプを解体しつつ内部を点検する方法がある。この方法を用いれば、正確に摺動部材の摩耗状況や腐食・孔食の発生状況を確認することができるが、以下のような問題がある。
(1)天井クレーンによる引き上げ作業には、横軸ポンプを解体するための作業員やクレーンオペレータが必要となり、メンテナンスコストが増加する。
(2)摺動部材の摩耗状況の確認作業には、横軸ポンプの上ケーシングの吊り上げ、点検、横軸ポンプの上ケーシングの再設置、羽根車の回転軸と駆動源の駆動軸との芯出し、試運転などの多くの作業工程が必要となるため、かなりの日数を要する。その間は横軸ポンプを運転することができないため、横軸ポンプが設置されている排水設備は、緊急の排水の要請に対応できないという状態に置かれてしまう。
【0005】
横軸ポンプの上ケーシングを解体することなく据え付けた状態で簡便に点検を行う方法として、ポンプ吐出側に配置されているルーズフランジ付短管を外して、内部状況を確認する方法がある。この方法では、ルーズフランジ付短管が外されたポンプ吐出側配管から内視鏡やカメラなどの撮影装置を挿入する。このような方法であれば、比較的安価に、且つ容易に内部点検を行うことが可能である。しかしながら、この方法では、所望の観察対象位置(例えば、摩耗や腐食・孔食が発生している所)の近傍まで撮影装置を到達させることが困難であり、観察が十分に行えないことがあった。また、従来は、得られた画像と作業者の経験とから観察している位置や撮影装置が向いている方向を推定していたが、このような方法では、点検位置の正確な特定は困難であった。
【0006】
特許文献1には、ポンプ設置床に固定されるポンプベース部と、吸込管と連通する円筒状の管胴部との間に所定の間隔を形成し、この間隔を利用して点検口を設ける構成が開示されている。特許文献1では、この点検口から小型カメラを挿入して、吸込水槽や吸込管を点検する。このような構成であれば、吸込管の外部などは比較的容易に点検することができる。しかしながら、吐出ケーシング内部を点検することは様々な理由から難しかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたもので、横軸ポンプの内部状況を容易且つ正確に把握することができ、且つ、コスト面でも有利な横軸ポンプの内部点検装置を提供することを目的とする。また、本発明は、そのような内部点検装置を用いた横軸ポンプの内部点検方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するための本発明の一態様は、横軸ポンプの吐出ケーシングの吸込口と接続される吸込ケーシングに設けられた第1点検口から前記吸込ケーシング内に挿入されるレールと、前記レールの一端部に取り付けられる第1固定具であって、前記第1点検口に前記レールを固定するための第1固定具と、前記レールの他端部に取り付けられる第2固定具であって、前記吸込ケーシングの内面に、または前記吸込ケーシングに設けられた第2点検口に前記レールを固定するための第2固定具と、前記レール上を、当該レールに沿って移動可能な点検ユニットと、を備え、
前記レールは、該レールが前記吸込ケーシングの内部を水平方向に延びる回転軸に接触しないように、屈曲部を有しており、前記点検ユニットは、前記吐出ケーシング内部の画像を撮影する撮影装置を含み、前記撮影装置は、前記レールが延びる方向に対して垂直な方向に移動可能に構成されていることを特徴とする横軸ポンプの内部点検装置である。
【0010】
本発明の他の態様は、横軸ポンプの吐出ケーシングの吸込口と接続されるルーズフランジ付短管に設けられた第1点検口から前記ルーズフランジ付短管内に挿入されるレールと、前記レールの一端部に取り付けられる第1固定具であって、前記第1点検口に前記レールを固定するための第1固定具と、前記レールの他端部に取り付けられる第2固定具であって、前記ルーズフランジ付短管の内面に、または前記ルーズフランジ付短管に設けられた第2点検口に前記レールを固定するための第2固定具と、前記レール上を、当該レールに沿って移動可能な点検ユニットと、を備え、
前記レールは、該レールが前記ルーズフランジ付短管の内部を水平方向に延びる回転軸に接触しないように、屈曲部を有しており、前記点検ユニットは、前記吐出ケーシング内部の画像を撮影する撮影装置を含み、前記撮影装置は、前記レールが延びる方向に対して垂直に移動可能に構成されていることを特徴とする横軸ポンプの内部点検装置である。
【0011】
本発明の好ましい態様は、前記第2固定具は、磁石を有し、当該磁石によって前記吸込ケーシング、または前記ルーズフランジ付短管の内面に前記第2固定具が固定されることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記撮影装置は、カメラ、三次元計測器、または内視鏡のいずれかであることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記撮影装置の向いている方向を測定するためのジャイロセンサーをさらに備えたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記吐出ケーシングの水平度を測定する水準器をさらに備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の
一参考例は、横軸ポンプの吐出ケーシングの吸込口と接続される吸込ケーシング、またはルーズフランジ付短管に設けられた点検口から吐出ケーシング内に挿入される撮影装置としての内視鏡と、前記内視鏡を所定の点検位置まで案内するために、前記点検口から前記所定の点検位置まで延びる誘導管と、を備えたことを特徴とする横軸ポンプの内部点検装置である。
【0013】
本発明の他の態様は、横軸ポンプの吐出ケーシング内部を点検する点検方法であって、上記内部点検装置を、前記吐出ケーシングの吸込口に接続された吸込ケーシング、または前記吐出ケーシングの吸込口に接続されたルーズフランジ付短管に固定して、前記吐出ケーシング内部、または前記ルーズフランジ付短管内部に、当該吐出ケーシング内部の画像を撮影する撮影装置を挿入することにより、前記吐出ケーシング内部を点検する横軸ポンプの内部点検方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、点検ユニットを、吸込ケーシングまたはルーズフランジ付短管内に挿入されたレールに沿って移動させることができる。また、この点検ユニットが有する撮影装置を、レール上の所望位置から当該レールが延びる方向に対して垂直な方向に移動させることができる。このように構成することで、撮影装置を所望の点検位置に容易に到達させることが可能となるため、横軸ポンプの要部の内部状況を正確に把握することができる。特に、ジャイロセンサーと組み合わせることで、撮影装置の向いている方向を正確に把握することができるので、撮影された画像の正確な位置を特定できる。また、第1点検口から内部点検装置を挿入し、吸込ケーシングまたはルーズフランジ付短管に当該内部点検装置を固定するだけで内部点検装置が設置できるので、低コスト且つ短時間で内部点検を行うことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る横軸ポンプ装置を示す模式図である。
図1に示すように、この横軸ポンプ装置は、吸込水槽1から吐出水槽2に水を移送する横軸ポンプ10と、横軸ポンプ10を駆動する駆動源15とを備えている。横軸ポンプ10は、吐出ケーシング10a並びに吸込ケーシング11b(両者を合わせてポンプケーシングと称する)と、この吐出ケーシング10aに収容される羽根車5と、吸込ケーシング11bと吸込水槽1とを連通する吸込管11と、吐出ケーシング10aと吐出水槽2とを連通する吐出管12とを備えている。吐出管12の入口には、吐出弁13が設けられている。吐出ケーシング10aと吐出弁13との間には、吐出側ルーズフランジ付短管14が配置されている。
【0017】
羽根車5は回転軸16を介して減速機(動力伝達装置)18に連結され、減速機18は駆動源15に連結されている。駆動源15としては、モータ、ディーゼルエンジン、ガスタービンエンジンなどが用いられる。横軸ポンプ10の回転軸16は、水平方向に延びている。
【0018】
吸込管11は垂直方向に延び、その下端に形成された吸込口11aは、吸込水槽1内の水中に没している。吸込管11の下端部は、ベルマウスとして構成される。横軸ポンプ10の羽根車5は、吸込水槽1内の水面より上方に配置され、吐出ケーシング10aは、吸込水槽1の上部を構成する設置床20の架台21上に固定される。吸込ケーシング11bは曲管部のような形状をしており、この吸込ケーシング11bの末端に、吐出ケーシング10aの吸込口10bが接続される。この吸込ケーシング11bにより、吸込管11と吐出ケーシング10aとが接続される。吐出管12は、吐出水槽2内で開口する吐出口12aを有している。この吐出口12aは、横軸ポンプ10の羽根車5よりも低い位置にある。吐出口12aには、吐出水槽2の水が逆流するのを防止するためのフラップ弁22が設けられている。
【0019】
図1から分かるように、吸込管11、吸込ケーシング11b、吐出ケーシング10a、および吐出管12は、全体としてサイフォン型の通路を形成している。吐出ケーシング10aの上部には、内部にレベルスイッチを有する満水検知器30が設けられており、この満水検知器30により吐出ケーシング10a内が水で満たされているかどうかが判定される。さらに、吐出ケーシング10aの内部は、満水検知器30を介して真空ポンプ31に連通している。
【0020】
ポンプ装置を起動するときは、まず、吐出弁13が閉じられた状態で、真空ポンプ31により吐出ケーシング10a内の空気を吸引して負圧を形成し、吸込管11内の水位を上昇させる。吐出ケーシング10aの内部が水で満たされていることを満水検知器30が検知すると、駆動源15が運転されることにより羽根車5が回転し、次いで吐出弁13が開かれ、吸込水槽1から汲み上げられた水は、吐出水槽2に移送される。
【0021】
図2は、
図1に示した横軸ポンプの拡大図であり、
図2(a)は側面図を示し、
図2(b)は平面図を示す。
図2に示されるように、羽根車5の吐出側には、複数のガイドベーン25に支持された吐出ボウル26が配置されている。この吐出ボウル26内には、水中軸受27が配置されており、回転軸16の端部は、この水中軸受27により回転可能に支持されている。吸込ケーシング11bの末端にはフランジ11cが設けられ、吐出ケーシング10aの吸込口10bに設けられたフランジ10cと接続される。吸込ケーシング11bの上部には、上面点検口40が、吸込ケーシング11bの側面には、2つの側面点検口41,41が設けられている。図示した例では、側面点検口41は2つ設けられるが、1つの側面点検口41だけが設けられていてもよい。また、側面点検口41,41とは別に、吸込ケーシング11bの側面には、2つの側面点検孔42,42が設けられている。上面点検口40、側面点検口41,41および側面点検孔42,42は、後述する第1点検口、第2点検口として用いられる。
【0022】
図3は、
図2の例とは別の横軸ポンプの実施形態を示した概略平面図である。
図3に示される横軸ポンプ10は、水を水平方向に移送するための所謂スネーク型の横軸ポンプ10であり、この横軸ポンプ10の吸込管は水平方向に延びている。図示した例では、吸込ケーシング11bは水平方向に曲げられている。吸込ケーシング11bの上部には上面点検口40が設けられ、この上面点検口40が後述する第1点検口として用いられる。
【0023】
次に、このような構成の横軸ポンプ10の内部を点検する内部点検装置について説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係る横軸ポンプの内部点検装置が横軸ポンプに挿入された様子を示す概略図であり、
図4(a)は概略斜視図を示し、
図4(b)は
図4(a)のA−A線断面図、すなわち吸込ケーシング11bを上面点検口40の手前で切断した図である。
図4(a)および
図4(b)に示されるように、吸込ケーシング11bの上部に、第1点検口としての上面点検口40が設けられ、この上面点検口40を通じて内部点検装置55が挿入される。内部点検装置55は、上面点検口40から挿入されるレール51を有している。このレール51は、当該レール51が吸込ケーシング11bの内部を延びる回転軸16に接触しないように、屈曲部51aを有している。このような屈曲部51aを設けることで、内部点検装置55が回転軸16と接触することを防ぐことができる。
【0024】
レール51の一端部には、レール51を上面点検口40に固定するための第1固定具52が取り付けられる。また、レール51の他端部には、吸込ケーシング11bの内面に、レール51を固定するための第2固定具53が取り付けられる。すなわち、この実施形態では、レール51の他端部に取り付けられた第2固定具53が、吸込ケーシング11bの内面に固定される。そして、
図4(b)に示すように、このレール51上に、当該レール51に沿って移動可能な点検ユニット60が設けられる。点検ユニット60は、吐出ケーシング10a内の画像を撮影する撮影装置61を含み、当該撮影装置61は、レール51が延びている方向に対して垂直な方向に移動可能に構成されている。
【0025】
図5は、本発明の別の実施形態に係る横軸ポンプの内部点検装置が横軸ポンプに挿入された様子を示す概略図であり、
図5(a)は概略側面図を示し、
図5(b)は
図5(a)のB−B線断面図である。
図5(a)および
図5(b)に示される実施形態でも、第1点検口としての上面点検口40が設けられ、この上面点検口40を通じて内部点検装置55が挿入される。挿入された内部点検装置55のレール51の他端部の第2固定具53は、吸込ケーシング11bに設けられた第2点検口としての側面点検口41に固定される。また、この実施形態におけるレール51は、当該レール51が回転軸16に接触しないように、屈曲部51bを有している。その他の構成は、先に記述した実施形態と同様である。
【0026】
図6は、本発明のさらに別の実施形態に係る横軸ポンプの内部点検装置が横軸ポンプに挿入された様子を示す概略図であり、
図6(a)は概略側面図を示し、
図6(b)は
図6(a)のC−C線断面図である。
図6(a)および
図6(b)は、この実施形態では、吸込ケーシング11bの側面に設けられた2つの側面点検口41,41を利用して、内部点検装置55が挿入される例を示している。すなわち、一方の側面点検口41が第1点検口として用いられ、他方の側面点検口41が第2点検口として用いられる。この実施形態のレール51は、直線状に構成されており、当該レール51が第1点検口としての一方の側面点検口41から第2点検口としての他方の側面点検口41に向けて水平に挿入される。そして、挿入されたレール51は、一方の側面点検口41である第1点検口に第1固定具52で固定されると共に、他方の側面点検口41である第2点検口に第2固定具53で固定される。なお、図示はしないが、第2点検口としての他方の側面点検口41を省略することもできる。この場合、第1点検口としての側面点検口41から水平に挿入された直線状のレール51の第2固定具53は、吸込ケーシング11bの内面に固定される。
【0027】
図7は、内部点検装置の一例の概略斜視図である。
図7に示される内部点検装置55の第1固定具52には、ねじ80,80が設けられている。第1固定具52は、これらのねじ80,80を用いて、第1点検口40(あるいは41)の縁部をその肉厚方向から挟み込む。ねじ80,80を緩めれば、第1固定具52を第1点検口40(あるいは41)の縁部から外すことができる。このようにして、内部点検装置55のレール51の一端部が、第1点検口40(あるいは41)に着脱自在に固定される。
【0028】
レール51の他端部に設けられる第2固定具53を、第1固定具52と同様の構成とすることができる。しかしながら、図示した例では、第2固定具53は、吸込ケーシング11bの内面に固定される内面固定具として構成される。第2固定具53は磁石を有しており、当該磁石の磁力により磁性体である吸込ケーシング11bの内面に第2固定具53が固定される。磁石を電磁石とした場合には、当該電磁石を励磁させることにより、第2固定具53は吸込ケーシング11bの内面に固定される。さらに、電磁石への通電を停止することにより、第2固定具53を吸込ケーシング11bから容易に外すことができる。このようにして、レール51の他端部が吸込ケーシング11bの内面に着脱自在に固定される。第2固定具53が固定される位置を特定するための目印を、吸込ケーシング11bの内面に設けてもよい。
【0029】
撮影装置61の例としては、カメラ、三次元計測器、および内視鏡(例えば、ファイバースコープ)が挙げられる。カメラ、三次元計測器、および内視鏡を全て準備しておき、必要に応じてこれらを取り替えるようにしてもよい。このような撮影装置61によって、撮影された画像が、後述する地上の画像表示器85まで操作ケーブル67を介して送信される。撮影装置61にカメラや内視鏡が用いられる場合は、撮影装置61から取得される画像は二次元画像である。一方、撮影装置61に三次元計測器が用いられる場合、当該三次元計測器により三次元画像が取得され、さらにこれに加えて、摩耗や腐食などの深さや大きさなどのデータを定量的に得ることができる。三次元計測器は、視差のある2つのカメラを有しており、当該2つのカメラで得られた画像から、三角測量法を用いて距離や深さを測定することができる。このような三次元計測器としては、市販されているものが使用できる。なお、カメラ型の三次元計測器の他に、ファイバースコープ型の三次元計測器を用いてもよい。
【0030】
図7に示されるように、点検ユニット60は、撮影装置61と、レール51上を移動可能なベース部63と、ベース部63と撮影装置61とを繋ぐ蛇腹管64とを備える。ベース部63には、例えば磁石付きの車輪が取り付けられており、当該車輪を用いることにより、点検ユニット60はレール51上を移動することができる。蛇腹管64は空気圧により伸縮自在に構成されており、これにより、撮影装置61が、レール51が延びる方向に対して垂直な方向に移動可能に構成されている。空気圧で動作する蛇腹管64に代えて、電動のリンク機構により撮影装置61を移動させてもよい。
【0031】
撮影装置61が撮影する羽根車5のインペラを特定するために、羽根車5のインペラに、目印(マーカー)を付けておくことが好ましい。目印は、鋳出文字や打込みによりインペラ上に形成される。
図8は、羽根車5の一部を描いた要部概略平面図である。
図8に示されるように、羽根車5のインペラには、I1−D、I1−C、I1−Sといった目印が付けられており、これにより、撮影装置61が撮影したインペラを特定することができる。
【0032】
撮影装置61にジャイロセンサー68を搭載してもよい。ジャイロセンサー68は、基準方向からの角度を取得することが可能である。このようなジャイロセンサー68を搭載すれば、撮影装置61がどの方向を向いているかを瞬時に特定できる。このように、撮影装置61が撮影しているインペラを特定することができたり、あるいは、当該撮影装置61の正確な方向情報を得ることができるので、撮影装置61によって撮影された画像から摩耗や腐食の発生場所を正確に特定することが可能となる。
【0033】
図9は、さらに別の横軸ポンプの実施形態を示した概略平面図である。
図9に示される横軸ポンプ10の吐出ケーシング10aの吸込口10bには、ルーズフランジ付短管90が接続される。すなわち、ルーズフランジ付短管90は、吐出ケーシング10aの吸込口10bと吸込ケーシング11bとの間に配置される。
【0034】
図10は、ルーズフランジ付短管の一例を示す要部概略断面図である。
図10に示すルーズフランジ付短管90は、第1の配管100に隙間s1を設けて設置される第2の配管120と、前記第1の配管100のフランジ部分100aにパッキン140を介して密着されるとともに、第2の配管120の外周を囲むルーズフランジ160と、ルーズフランジ160にステーボルト190および各ナット191,193,195,197によって押し付けられるリング形状のルーズフランジ170と、ルーズフランジ170とルーズフランジ160との間の内周面側に設置されてルーズフランジ160と第2の配管120の間を密封する弾性体リング180と、を有している。そして、例えば、第1の配管100を管路から取り外す場合、前記隙間s1を利用してルーズフランジ160,170を長さ方向に移動することで、その取り外しが容易になる。同様に、第1の配管100の装着も隙間s1を利用することで容易になる。したがって、隙間s1を利用してその前後の配管の分解・組立などが容易に行なえる。
【0035】
図9に示されるように、ルーズフランジ付短管90の上部には、第1点検口としての上面点検口91が設けられ、ルーズフランジ付短管90の側面には、第2点検口としての側面点検口92が設けられる。そして、上面点検口91から上記した内部点検装置55が挿入され、内部点検装置55の第1固定具52が上面点検口91に固定されるとともに、第2固定具53が側面点検口92に固定される。
【0036】
この実施形態においても第2点検口としての側面点検口92は省略することができる。側面点検口92が省略された場合、内部点検装置55の第2固定具53は、ルーズフランジ付短管90の内面に固定される内面固定具として構成される。また、2つの側面点検口92,92を設けてもよい。側面点検口92が2つ設けられる場合、一方の側面点検口92を第1点検口として用い、他方の側面点検口92を第2点検口として用いることができる。その他の構成は、上記した内部点検装置55の構成と同様である。
【0037】
図7に示されるように、点検ユニット60には操作ケーブル67が接続される。操作ケーブル67の端部は、撮影装置61に接続されており、この操作ケーブル67は、撮影装置61の電源線と、撮影装置61からの画像を含む各種データを送るデータケーブルとを含んでいる。
【0038】
撮影装置61が取得した画像や、ジャイロセンサー68による方向情報は、操作ケーブル67に接続された画像表示器85に送信される。作業員は、これら情報を画像表示器85から得ることができる。画像表示器85には、例えばパソコンのディスプレーや、タブレット型端末機器を採用することができる。
【0039】
図7や
図9に示される画像表示器85は、撮影装置61が撮影した画像、その画像が撮影された時間、撮影装置61の方向情報(以下、これを総称して画像情報と呼ぶ)を保存する記憶部(図示せず)を内部に備えている。記憶部は、画像表示器85とは別に設けてもよい。記憶部に保存されている画像情報は、画像表示器85に表示することができる。上述したように、撮影装置61の向いている方向や、撮影装置61が撮影するインペラの場所を正確に把握できるので、定期点検で発見された摩耗や腐食といった不具合の位置を正確に特定することができる。したがって、その不具合の時系列的な変化、すなわち不具合の進行状況を把握することが可能となる。例えば、ある特定の箇所の画像を、その画像が取得された時間と共に記録し、その画像を時間軸に沿って、画像表示器85に表示させることができる。さらに、定期点検毎に、ある特定の箇所での腐食や摩耗の深さを測定し、その深さを時間と共に記録し、腐食や摩耗した箇所の深さを時間軸に沿って画像表示器85に表示することにより、腐食や摩耗の傾向を把握することができる。したがって、横軸ポンプの構成部品の補修時期や交換時期を正確に予測することができる。特に、横軸ポンプは非常に大きな構造物であり、補修や交換を行う際には、対象部品の製作や調達に時間がかかることが多い。そのため、補修時期や交換時期が予測できれば、非常に有用である。
【0040】
このような画像表示器85に保存された画像情報を、通信手段を介して外部に送信できるようにすることが好ましい。通信手段は、インターネット、有線LAN、無線LANなどを用いることができる。このように画像情報を外部に送信できるようにしておくと、遠方にいる関係者全員にも画像情報を共有させることができる。特に、経験が少ない作業者など、経験豊かな作業者に画像情報を見せることにより、適切なアドバイスや評価を得ることができる。また、横軸ポンプの使用者が遠方にいる場合であっても、当該使用者に直ちに作業状況や不具合発生状況を送信することができる。
【0041】
図11は、吐出ケーシング据付脚の上に、水準器が設置される例を示した概略側面図である。水準器93は、上記した内部点検装置55の構成要素の一つであり、基礎コンクリート95上に設置された吐出ケーシング10aの水平度を測定するためのものである。吐出ケーシング10aが設置される基礎コンクリート95の水平度は、例えば、地震などの影響で施工当初の水平な状態から傾くことがある。基礎コンクリート95が傾くと、これに設置されている吐出ケーシング10aも傾くので、吐出ケーシング10aと吐出ケーシング10a内に配置されている羽根車5との芯がずれてしまう。その結果、吐出ケーシング10a内部の摩耗状態が一様でなくなり、吐出ケーシング10aの一部のみが大きく摩耗するおそれが生じる。水準器93を設けることにより、吐出ケーシング10aの傾きの程度を把握することができるので、当該水準器93を、吐出ケーシング10aの一部のみが大きく摩耗した場合の原因究明に用いることができる。
【0042】
水準器93は、当該水準器93が測定した水平度を記憶する水平度記憶部96を有している。水平度記憶部96は、例えばICタグである。このICタグ96から、読み取り機(ICタグリーダー)97を用いて、記憶された水平度を呼び出すことができる。ICタグリーダー97は、ICタグ96に記憶された水平度を時間軸に沿って表示する水平度表示器98に接続することができる。水平度表示器98には、パソコンのディスプレーや、タブレット型端末機器を採用することができる。このように水平度表示器98に時間軸に沿った水平度の変化を表示すると、この水平度の変化と、画像表示器85に表示される撮影装置61が取得した摩耗量とを比較することが可能となる。
【0043】
図12は、本発明のさらに別の実施形態に係る横軸ポンプの内部点検装置が横軸ポンプに挿入された様子を示す概略側面図である。この内部点検装置55は、横軸ポンプ10の吐出ケーシング10aの吸込口10bに接続されるルーズフランジ付短管90に設けられた上面点検口91から吐出ケーシング内に挿入される撮影装置61としての内視鏡を有している。内視鏡61には、ジャイロセンサー68が取り付けられる。また、内部点検装置55は、内視鏡61を所定の点検位置まで案内するために、上面点検口91から所定の点検位置まで延びる誘導管99を有している。この誘導管99を、ルーズフランジ付短管90の内面に固定することができる。あるいは、誘導管99をルーズフランジ付短管90から着脱自在に構成することができる。誘導管99がルーズフランジ付短管90から着脱自在であるように構成しておくと、内視鏡61で吐出ケーシング10a内を点検した後で、誘導管99をルーズフランジ付短管90から取り外すことができる。
【0044】
上面点検口91に代えて、ルーズフランジ付短管90の側面に設けられた側面点検口92を、この実施形態における点検口として用いることができる。すなわち、上面点検口91および側面点検口92をルーズフランジ付短管90に設けて、内視鏡61が挿入される点検口を、点検位置に応じて上面点検口91および側面点検口92から適宜選択することができる。また、ルーズフランジ付短管90を省略し、吐出ケーシング10aの吸込口10bと吸込ケーシング11bとを直接接続することもできる。この場合、吸込ケーシング11bに設けられた上面点検口40および側面点検口41から、内視鏡61と誘導管99とを挿入することができる。また、吐出ケーシング10aの吸込口10bが吸込ケーシング11bと直接接続される場合、上記した側面点検孔42(
図2参照)を点検口として用いることもできる。
【0045】
次に、内部点検装置55の作業手順の一例を説明する。以下に説明する例は、
図4に示した横軸ポンプ10に内部点検装置55を挿入する例である。
【0046】
第1点検口40は、通常は蓋により塞がれている。内部点検装置55を用いて点検を行うには、まず、この蓋を取り外して、第1点検口40を開口する。次いで、内部点検装置55を、第1点検口40から吸込ケーシング11bの内部に挿入する。この際、吸込ケーシング11bの内面に設けられた目印(図示しない)に内面固定具として構成される第2固定具53の位置を合せ、第2固定具53を吸込ケーシング11bの内面に固定する。その後、第1固定具52のねじ80,80を締め付けることで、第1点検口40の縁部をその肉厚方向から挟み込む。これにより、内部点検装置55の固定が完了する。
【0047】
次に、レール51上の点検ユニット60を当該レール51に沿って動かし、所望の位置まで点検ユニット60を移動させる。この際に、棒などで点検ユニット60を押すことにより、当該点検ユニット60を移動させる。レール51上の所望の位置まで点検ユニット60を移動させたら、蛇腹管64を空気圧により伸縮させることにより、撮影装置61を所望の点検位置まで移動させる。特に、吐出ケーシング10aと羽根車5との間に腐食や摩耗が発生しやすいので、この吐出ケーシング10aと羽根車5との間の部分を撮影できる位置まで撮影装置61を移動させることが好ましい。このときの撮影装置61の向きは、ジャイロセンサー68によって測定される。
【0048】
撮影装置61として三次元計測器が用いられている場合は、摩耗や腐食の大きさと深さとを測定することができる。これら不具合の画像や測定データは、画像表示器85が有する記憶部に保存され、補修時期や交換時期を予測するのに用いられる。また、この画像情報を通信手段を介して、外部に送信することもできる。特に、現地で作業している作業者の経験が少ない場合、外部にいる経験豊かな作業者の診断を仰ぐことができる。
【0049】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。