特許第6342510号(P6342510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6342510-高吸水性樹脂組成物 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6342510
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】高吸水性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/14 20060101AFI20180604BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20180604BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20180604BHJP
   A61L 15/60 20060101ALI20180604BHJP
   A61L 15/18 20060101ALI20180604BHJP
   A61L 15/24 20060101ALI20180604BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
   C08L101/14
   C08K3/22
   C08K3/36
   A61L15/60 200
   A61L15/18 200
   A61L15/24 200
   A61F13/53 300
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-559137(P2016-559137)
(86)(22)【出願日】2014年12月11日
(65)【公表番号】特表2017-509757(P2017-509757A)
(43)【公表日】2017年4月6日
(86)【国際出願番号】KR2014012213
(87)【国際公開番号】WO2015088266
(87)【国際公開日】20150618
【審査請求日】2017年6月9日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0155597
(32)【優先日】2013年12月13日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ノ、ウク−ファン
(72)【発明者】
【氏名】キム、チュン−キュ
(72)【発明者】
【氏名】クォン、チョン−ヒョク
(72)【発明者】
【氏名】ホ、ヨン−チェ
(72)【発明者】
【氏名】キム、キ−ハン
【審査官】 三原 健治
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/143215(WO,A1)
【文献】 特開平02−227435(JP,A)
【文献】 特表2009−534483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L
C08J
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高吸水性樹脂および粒子状の水酸化アルミニウムを含み、前記水酸化アルミニウムは、高吸水性樹脂の表面に付着したものであり、
前記水酸化アルミニウムの平均粒子サイズは2μm〜20μmである
高吸水性樹脂組成物。
【請求項2】
前記水酸化アルミニウムは、高吸水性樹脂100重量部に対して、0.5〜5重量部の含有量で含む請求項1に記載の高吸水性樹脂組成物。
【請求項3】
前記高吸水性樹脂は、酸性基を含み、少なくとも一部が中和した水溶性エチレン系不飽和単量体を重合させた粉末形態のベース樹脂を、炭素数2〜8のジオールまたはグリコール系化合物で表面架橋させた架橋重合体を含むものである請求項1または2に記載の高吸水性樹脂組成物。
【請求項4】
前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、アクリル酸、メタアクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、2−アクリロイルエタンスルホン酸、2−メタアクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、または2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の陰イオン性単量体とその塩;(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、またはポリエチレングリコール(メタ)アクリレートの非イオン系親水性含有単量体;および(N,N)−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、または(N,N)−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのアミノ基含有不飽和単量体とその4級化物;からなる群より選択された1種以上を含む請求項3に記載の高吸水性樹脂組成物。
【請求項5】
水酸化アルミニウムが高吸水性樹脂の表面に付着したものである高吸水性樹脂組成物100重量部に対して、シリカ0.1重量部以下が追加的に表面に付着したものである請求項1〜4のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂組成物。
【請求項6】
粒子形態を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂組成物。
【請求項7】
生理食塩水に対する遠心分離保水能(CRC)が25g/g以上である請求項1〜6のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂組成物。
【請求項8】
生理食塩水に対する0.7psiの加圧吸水能(AUP)が10g/g以上である請求項1〜7のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の高吸水性樹脂組成物を含む個人衛生吸収用品。
【請求項10】
前記高吸水性樹脂組成物、液体透過性上部シート、および防水性背面シートを含む請求項9に記載の個人衛生吸収用品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温多湿環境において優れたケーキング防止特性を有すると同時に、加圧下で高い吸水性および優れた通液性を有する高吸水性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer、SAP)とは、自重の5百から1千倍程度の水分を吸収できる機能を有する合成高分子物質であって、開発業者ごとにSAM(Super Absorbency Material)、AGM(Absorbent Gel Material)などとそれぞれ異なる名前で名付けている。このような高吸水性樹脂は、生理用品として実用化され始め、現在は、幼児用紙おむつなどの衛生用品のほか、園芸用土壌保水剤、土木・建築用止水材、育苗用シート、食品流通分野での鮮度保持剤、およびシップ用などの材料に幅広く使用されている。
【0003】
このような高吸水性樹脂を製造する方法としては、逆相懸濁重合による方法、または水溶液重合による方法などが知られている。逆相懸濁重合については、例えば、日本国特開昭56−161408、特開昭57−158209、および特開昭57−198714などに開示されている。
【0004】
水溶液重合による方法としてはさらに、複数の軸を備えた捏和機内で重合ゲルを破断、冷却しながら重合する熱重合方法、および高濃度水溶液をベルト上で紫外線などを照射して重合と乾燥を同時に行う光重合方法などが知られている。
【0005】
このような重合反応を経て得られた含水ゲル状重合体は、一般に、乾燥工程を経て粉砕した後、粉末状の製品として市販される。
【0006】
高吸水性樹脂を用いた製品において、透過率(permeability)は、吸収される液体の流動性を測定する尺度である。透過率は、架橋結合された樹脂の粒子サイズ分布、粒子形状および粒子間の開口部の連結性、膨潤したゲルの表面改質などの特性に応じて異なる。高吸水性樹脂組成物の透過率に応じて、膨潤した粒子を通過する液体の流動性が異なる。透過率が低ければ、液体が高吸水性樹脂組成物を通して容易に流動できなくなる。
【0007】
高吸水性樹脂において透過率を増加させる一つの方法として、樹脂重合後に表面架橋反応を行う方法があり、この時、表面架橋剤と共にシリカ(silica)やクレー(clay)などを添加する方法が利用されてきた。例えば、米国特許第5,140,076号(特許文献1)および第4,734,478号(特許文献2)は、乾燥高吸水性樹脂粉末の表面架橋結合中のシリカの添加を開示している。
【0008】
しかし、前記シリカやクレーなどを添加するに伴って透過率は向上するが、これに比例して保水能または加圧吸水能の低下が現れ、移動時、外部の物理的衝撃によって高吸水性樹脂と分離されやすい問題がある。特に、シリカ(silica)やクレー(clay)などを湿式または乾式混合する場合にケーキング防止特性などが得られるものの、加圧下で吸水性能が顕著に低下し、実際におむつなどに適用時、速い吸水性能を実現しにくいという欠点がある。
【0009】
特に、シリカの場合、乾式混合しなければ、目標のケーキング防止効果を確保しにくく、少量の添加でも加圧下で吸水性能が過度に減少する副作用がある。また、乾式混合されたシリカは、ラインからの製品移送中、高吸水性樹脂と分離されたシリカ粉塵が発生するという欠点がある。
【0010】
したがって、おむつなどの個人衛生吸収用品において、迅速に排泄物を吸収し、その排泄物を溜めておいたり、またはその排泄物を分配または溜めるために隣接した物質に移動させ、これと同時に、優れたケーキング防止特性により、高温多湿環境下においても優れた保管安定性を示す高吸水性材料の開発に対する研究が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,140,076号明細書
【特許文献2】米国特許第4,734,478号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、長時間経過後にも加圧状態で水分がほとんど滲み出ない加圧吸水能(AUP)の低下なしに水の通液性を向上させると同時に、高温多湿環境においてケーキング防止特性を有して保管安定性に優れた高吸水性樹脂組成物およびこれを含む個人衛生吸収用品を提供する。
【0013】
本発明は、高吸水性樹脂および水酸化アルミニウムを含み、前記水酸化アルミニウムは、高吸水性樹脂の表面に付着したものである高吸水性樹脂組成物を提供する。
【0014】
本発明はまた、前記高吸水性樹脂組成物を含む個人衛生吸収用品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
以下、発明の具体的な実施形態により高吸水性樹脂組成物およびこれを含む個人衛生吸収用品についてより詳細に説明する。ただし、これは発明の一例として提示されるもので、これによって発明の権利範囲が限定されるものではなく、発明の権利範囲内で実施形態に対する多様な変形が可能であることは当業者に自明である。
【0016】
追加的に、本明細書全体において、特別な言及がない限り、「含む」または「含有する」とは、ある構成要素(または構成成分)を特別な制限なく含むことを指し示し、他の構成要素(または構成成分)の付加を除くと解釈されない。
【0017】
本発明者らは、初期吸水性に優れ、長時間経過後にも加圧状態で水分がほとんど滲み出ることなく吸水能に優れた高吸水性樹脂組成物および個人衛生吸収用品に対する研究を繰り返す過程で、所定の水酸化アルミニウム粉末を表面処理することによって、加圧下で吸水能(AUP)の低下が最小化され、かつ、優れた通液性およびケーキング防止特性を付与できることを確認し、本発明を完成した。
【0018】
そこで、発明の一実施形態によれば、加圧吸水能(AUP)の低下なしに水の通液性を向上させると同時に、高温多湿環境においてケーキング防止特性を有する高吸水性樹脂組成物が提供される。本発明の高吸水性樹脂組成物は、高吸水性樹脂および水酸化アルミニウムを含み、前記水酸化アルミニウムは、高吸水性樹脂の表面に付着したものである。
【0019】
特に、本発明の高吸水性樹脂組成物は、後述するように、特定の水酸化アルミニウム粒子を用いて高吸水性樹脂の表面をコーティングすることによって、ケーキング防止効果および透過性が向上し、かつ、加圧下で吸水能(AUP)の低下が最小化されることを特徴とするものである。
【0020】
以下の明細書において、水酸化アルミニウムが高吸水性樹脂の表面に「付着」しているとは、本発明の高吸水性樹脂組成物に含まれている水酸化アルミニウム粒子の約70重量%、あるいは約90重量%以上が、前記高吸水性樹脂粒子の表面に固定され、前記組成物中において高吸水性樹脂粒子と物理的に分離された状態で存在しないことを指すことができる。これは、水酸化アルミニウム粒子が高吸水性樹脂粒子と単純「混合」され、組成物中において水酸化アルミニウム粒子の大部分、例えば、約50重量%以上が高吸水性樹脂粒子と物理的に分離された状態で存在する状態と区分される。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、前記高吸水性樹脂組成物は、粒子形態を有するもので、特定の水酸化アルミニウム粉末と高分子樹脂粒子とを含むことができる。
【0022】
また、本発明の高吸水性樹脂組成物は、所定の粒子サイズを有する水酸化アルミニウム粒子を用いて、保水能と加圧吸水能などの物性を低下することなく向上した通液性を有することができ、これと同時に、高温多湿環境においてケーキング防止特性を有して保管安定性を向上させることができる。
【0023】
このような本発明の高吸水性樹脂組成物は、遠心分離保水能(CRC)、および加圧吸水能(AUP)を全て同時に最適化する複合的な物性の結合により、シナジー効果を提供することができる。これによって、本発明の高吸水性樹脂組成物は、優れた物性と心地よい着用感を誘導することができる。
【0024】
前記高吸水性樹脂組成物は、生理食塩水に対する遠心分離保水能(CRC)が25g/g以上であり、生理食塩水に対する0.7psiの加圧吸水能(AUP)が10g/g以上であってもよい。
【0025】
前記高吸水性樹脂組成物において、生理食塩水に対する遠心分離保水能(CRC)は、下記計算式1により示すものになってもよい。
【0026】
【数1】
【0027】
前記計算式1において、W0(g)は、吸水性樹脂組成物の重量(g)であり、W1(g)は、吸水性樹脂組成物を使用せず、遠心分離機を用いて250Gで3分間脱水した後に測定した装置の重量であり、W2(g)は、常温で0.9質量%の生理食塩水に吸水性樹脂組成物を30分間浸水後、遠心分離機を用いて250Gで3分間脱水した後に、吸水性樹脂組成物を含めて測定した装置の重量である。
【0028】
前記高吸水性樹脂組成物の生理食塩水に対する遠心分離保水能(CRC)は、25g/g以上、好ましくは28g/g以上、より好ましくは30g/g以上になってもよい。
【0029】
また、本発明の高吸水性樹脂組成物において、前記生理食塩水に対する0.7psiの加圧吸水能(AUP)は、下記計算式2で示すものであってもよい。
【0030】
【数2】
【0031】
前記計算式2において、W0(g)は、吸水性樹脂組成物の重量(g)であり、W1(g)は、吸水性樹脂組成物の重量および前記吸水性樹脂組成物に荷重を付与できる装置の重量の総和であり、W2(g)は、荷重(0.7psi)下で1時間前記吸水性樹脂組成物に水分を供給した後の水分が吸収された吸水性樹脂組成物の重量および前記吸水性樹脂組成物に荷重を付与できる装置の重量の総和である。
【0032】
前記高吸水性樹脂組成物の生理食塩水に対する0.7psiの加圧吸水能(AUP)は、10g/g以上、好ましくは15g/g以上、より好ましくは20g/g以上になってもよい。
【0033】
本発明において、前記計算式1および2に記載のW0(g)は、それぞれの物性値に適用した吸水性樹脂の重量(g)に相当するもので、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0034】
本発明において、前記高吸水性樹脂組成物の生理食塩水に対する自由膨潤ゲル層透過度(GBP、Free Swell Gel Bed Permeability)は、10darcy以上、好ましくは20darcy以上、より好ましくは25darcy以上になってもよい。ここで、1ダルシー(darcy)は、粘度が1センチポアズの1立方センチメートルの流体が、固体の2つの面の間の圧力差が1気圧の場合、1センチメートルの厚さおよび1平方センチメートルの断面積を通して、1秒で流れる固体の透過度である。また、1ダルシーは、約0.98692×10-122または約0.98692×10-8cm2と等しい。
【0035】
一方、本発明の高吸水性樹脂組成物は、高吸水性樹脂と共に、特定の粒子サイズを有する水酸化アルミニウム粒子を含むことを特徴とする。前記水酸化アルミニウムは、不溶性特徴を有し、高吸水性樹脂の表面に分散して固着しているため、高吸水性樹脂が互いに凝集されるのを防止してケーキング防止効果および通液性を向上させることができる。このような水酸化アルミニウムは、水に溶けず、高吸水性樹脂と反応しない無機物に相当する。特に、水酸化アルミニウムは、ケーキング防止剤として主に使用されるシリカ対比の比重が約40倍高く、平均粒度が大きくて表面をコーティングする程度が相対的に小さく、加圧下で吸水能の低下が最小化できる。
【0036】
前記水酸化アルミニウムの平均粒子サイズは、2μm〜50μm、好ましくは5μm〜40μm、より好ましくは7μm〜20μmになってもよい。前記水酸化アルミニウム粒子は、加圧吸水能(AUP)の低下を最少化する側面から、5μm以上の平均粒子サイズを有するとよい。さらに、前記水酸化アルミニウム粒子は、高吸水性表面によく固着させて微粉の含有量の増加およびケーキング防止効果を与えるために、50μm以下の平均粒子サイズを有してもよい。
【0037】
また、本発明の高吸水性樹脂組成物は、水酸化アルミニウムを処理した高吸水性樹脂に追加的にシリカを極めて少量処理することによって、追加的な自由膨潤ゲル層透過度(GBP)の向上が可能である。前記水酸化アルミニウムが高吸水性樹脂の表面に付着したものである高吸水性樹脂組成物100重量部に対して、シリカ0.1重量部以下が追加的に表面に付着したものであってもよい。前記シリカは、好ましくは、水酸化アルミニウムを処理した高吸水性樹脂に、0.05重量部以下で表面にコーティング処理されてもよい。この時、前記高吸水性樹脂組成物の生理食塩水に対する自由膨潤ゲル層透過度(GBP)は、65darcy以上、好ましくは70darcy以上、好ましくは75darcy以上になってもよい。
【0038】
前記高吸水性樹脂組成物はさらに、優れた加圧吸水能(AUP)および通液性と共に、優れた吸水速度(vortex)を有する。前記高吸水性樹脂組成物の吸水速度(vortex)は、58秒以下または5秒〜58秒、好ましくは53秒以下、より好ましくは50秒以下になってもよい。
【0039】
本発明の高吸水性樹脂組成物は、上述のように、長時間経過後にも加圧状態で水分がほとんど滲み出ない加圧吸水能(AUP)の低下なしに水の通液性および吸水速度(vortex)を向上させると同時に、優れたケーキング防止特性を有する。前記高吸水性樹脂組成物のケーキング防止効率(A/C、Anti−caking)は、下記計算式3で示すものであってもよい。
【0040】
【数3】
【0041】
前記計算式3において、W5(g)は、高吸水性樹脂組成物の重量(g)であり、W6(g)は、直径10cmのフラスコ皿に均等に塗布した後、温度40±3℃、湿度70±3%の水準を維持する恒温恒湿チャンバー内で10分間維持させた後、フィルターペーパーにフラスコ皿をひっくり返して3回軽くタッピング(tapping)後、高吸水性樹脂が落ちる吸水性樹脂組成物の重量である。
【0042】
前記高吸水性樹脂組成物のケーキング防止効率(A/C、Anti−caking)は、30%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上になってもよい。
【0043】
一方、本発明において、高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer、SAP)とは、自重の5百から1千倍程度の水分を吸収できる機能を有する合成高分子物質であって、開発企業ごとにSAM(Super Absorbency Material)、AGM(Absorbent Gel Material)などとそれぞれ異なる名前で名付けている。このような高吸水性樹脂は、生理用品として実用化され始め、現在は、幼児用紙おむつなどの衛生用品のほか、園芸用土壌保水剤、土木・建築用止水材、育苗用シート、食品流通分野での鮮度保持剤、およびシップ用などの材料に幅広く使用されている。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、前記高吸水性樹脂は、遠心分離保水能(CRC)、および加圧吸水能(AUP)、通液性(GBP)を全て同時に最適化する複合的な物性の結合により、シナジー効果を提供することができる。ここで、前記高吸水性樹脂の遠心分離保水能(CRC)、および加圧吸水能(AUP)、通液性(GBP)は、前記組成物について上述のような同一またはそれを上回る程度を示すことができる。
【0045】
また、本発明の高吸水性樹脂組成物は、例えば、図1の走査電子顕微鏡(SEM)写真に示されているように、本発明によれば、水酸化アルミニウムはよく分散して高吸水樹脂の表面に固くくっついていることを確認することができる。反面、図2の走査電子顕微鏡(SEM)写真に示されているように、シリカを混合した場合は、シリカが塊の形態で一部が高吸水樹脂と分離された状態であることを観察することができる。このような側面から、本発明の高吸水性樹脂組成物は、150μm未満の粒度分布比率において、ベースポリマーの高吸水性樹脂と比較して同一または減少する特性を有する。
【0046】
前記高吸水性樹脂は、酸性基を含み、少なくとも一部が中和した水溶性エチレン系不飽和単量体を重合させた粉末形態のベース樹脂を、炭素数2〜8のジオールまたはグリコール系化合物で表面架橋させた架橋重合体を含むことができる。
【0047】
また、前記架橋重合体の架橋密度は、前記加圧吸水能(AUP)の数値に影響を及ぼす要素になり得ることから、本発明に係る方法によりベース樹脂を表面架橋させることが好ましい。
【0048】
前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、アクリル酸、メタアクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、2−アクリロイルエタンスルホン酸、2−メタアクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、または2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の陰イオン性単量体とその塩;(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、またはポリエチレングリコール(メタ)アクリレートの非イオン系親水性含有単量体;および(N,N)−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、または(N,N)−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのアミノ基含有不飽和単量体とその4級化物;からなる群より選択された1種以上を含むことができる。
【0049】
本発明の高吸水性樹脂組成物は、上述のように、保水能と加圧吸水能などの物性を低下することなく向上した通液性を有することができ、これと同時に、高温多湿環境においてケーキング防止特性を有して保管安定性に優れた特性を有する。特に、代表的なケーキング防止剤として知られたシリカの場合、0.1%未満の極めて少ない量を添加時にも20%以上の加圧吸水能(AUP)の低下が現れ、工程上で比重の差による分離、極微粉の粉塵の発生によるフィルター吸着など、添加量が消失しながらケーキング防止効果が低減される問題がある。しかし、本発明により、水酸化アルミニウムを、例えば、3%以上添加時にも加圧吸水能(AUP)の低下は10%以内に限られ、工程上の消失の危険がなく、含有量の変化に対する性能が安定して高吸水性樹脂の製造が便利であり、高い品質安定性の確保が可能である。
【0050】
また、本発明の一実施形態によれば、水酸化アルミニウムを高吸水性樹脂に付着させる方法として、乾式混合のほか、多様な方法で適用可能である。例えば、表面処理液に分散する方法、ベースポリマーと乾式混合した後に表面処理する方法、表面処理液と同時に投入する方法、水酸化アルミニウムスラリーで処理する方法が全て可能である。高吸水性樹脂が少量の水と接触した時に発生する粘性によって固着するものであるため、様々な方法で全て実現が可能である。シリカもすべての方法で処理が可能であり、乾式以外の方法で処理時には、ケーキング防止効果が低下し、特にメタノールのような低価アルコールと接触する組成および工程においてはケーキング防止効果が全く現れず、いずれの方法であれ、少量の添加でもAUPが過度に低下するという欠点がある。
【0051】
一方、発明の他の実施形態によれば、上述のような高吸水性樹脂組成物を含む個人衛生吸収用品が提供される。本発明の個人衛生吸収用品は、高吸水性樹脂組成物、液体透過性上部シート、および防水性背面シートを含むことができる。
【0052】
本発明に係る個人衛生吸収用品において、高吸水性樹脂組成物は、上述のような特性を有するもので、高吸水性樹脂および水酸化アルミニウムを含み、前記水酸化アルミニウムは、高吸水性樹脂の表面に付着したものである。
【0053】
前記液体透過性上部シートは、通常、感触が柔らかく、着用者の皮膚に刺激を与えないもので構成され、特に、上部シートは、液状の体分泌物が吸収体に速かに通過できる物性を有するものでなければならない。このような物性を有するものとして適した上部シートは、気孔プラスチックフィルム、天然繊維、合成繊維、または天然および合成繊維の混合物のような広範囲な物質から製造されて使用できる。
【0054】
また、防水性背面シートは、液体に対して不透過性であるので、吸収体に吸収されて含まれる体分泌物が、着用者の衣服やベッドシートなどのような、おむつと直接接触する製品を汚したり濡らさないようにする。前記背面シートは、液体に対しては不透過性であり、気体に対しては透過性であることが好ましい。このような物性を有するものとして、通常プラスチックフィルムが使用されてきており、最近は、ポリエチレンフィルムに不織布を接着した素材を用いることができる。
【0055】
本発明において、前記記載された内容以外の事項は、必要に応じて加減が可能なものであるので、本発明では特に限定しない。
【発明の効果】
【0056】
本発明によれば、所定の水酸化アルミニウム粒子を用いて表面処理することによって、保水能と加圧吸水能などの物性を低下することなく向上した通液性を有することができ、これと同時に、高温多湿環境においてケーキング防止特性を有して保管安定性に優れた高吸水性樹脂組成物を製造することができる。
【0057】
特に、本発明の高吸水性樹脂組成物は、各種おむつ、排便訓練用パンツ、尿失禁用パッドなどにおいて物性の向上が可能であり、これによって、超薄型技術が適用された高吸水能の個人衛生吸収用品の製造に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】本発明の実施例6により水酸化アルミニウムで処理した高吸水性樹脂の表面を示す写真である。
図2】本発明の比較例5によりシリカを処理した高吸水性樹脂の表面を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、本発明の理解のために好ましい実施例を提示するが、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範囲が下記の実施例に限定されるものではない。
【0060】
[実施例]
製造例:高吸水性樹脂の製造
まず、高吸水性樹脂は、次のような方法で製造した。アクリル酸100g、架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(Mw=523)0.25〜0.5g、50%苛性ソーダ(NaOH)83.3g、および水89.8gを混合して、単量体の濃度が45重量%のモノマー水溶液組成物比を有するように製造した。
【0061】
以降、前記モノマー水溶液810gを、まず、0.18%アスコルビン酸(ascorbic acid)溶液30.54gと、1%過硫酸ナトリウム溶液33gとを先に混合し、0.15%過酸化水素溶液30.45gと共に連続で重合しながらニーディング可能な重合器の供給部を通して投入して重合を実施した。この時、重合器の温度は80℃に維持し、重合の最高温度は110℃、重合時間は1分15秒である。以降、引き続きニーディングを実施して、20分間重合とニーディングを実施した。以降、生成された重合器の大きさは0.2cm以下で分布した。この時、最終形成された含水ゲル重合体の含水率は51重量%であった。
【0062】
次に、前記含水ゲル重合体に対して、180℃の温度の熱風乾燥機で30分間乾燥し、乾燥した含水ゲル重合体をピンミル紛砕機で粉砕した。その後、ふるい(sieve)を用いて、粒度(平均粒径サイズ)が150μm未満の重合体と、粒度150μm〜850μmの重合体とを分級して、CRCが34g/gのベースポリマー(A)、CRCが40g/gのベースポリマー(B)を得た。
【0063】
実施例1
CRCが34g/gのベースポリマー(A)に、8μmの水酸化アルミニウム0.5重量%を乾式混合した後に、1,3−プロパンジオール5重量%を含む表面処理溶液を噴射して、高吸水性樹脂の表面を処理した。また、前記表面を処理する段階で、分級された含水ゲル状重合体を1つの表面架橋反応器に供給し、180℃以上の温度で40分間、含水ゲル重合体の表面架橋反応を進行させた。
【0064】
実施例2
CRCが34g/gのベースポリマー(A)に、8μmの水酸化アルミニウム1.0重量%を乾式混合した後に、1.3−プロパンジオール5重量%を含む表面処理溶液を噴射して、高吸水性樹脂の表面を処理した。また、前記表面を処理する段階で、分級された含水ゲル状重合体を1つの表面架橋反応器に供給し、180℃以上の温度で40分間、含水ゲル重合体の表面架橋反応を進行させた。
【0065】
実施例3
CRCが40g/gのベースポリマー(B)に、2μmの水酸化アルミニウム1.0重量%を乾式混合した後に、エチレングリコールジグリシジルエーテル3重量%を含む表面処理溶液を噴射して、高吸水性樹脂の表面を処理した。また、前記表面を処理する段階で、分級された含水ゲル状重合体を1つの表面架橋反応器に供給し、120℃以上の温度で40分間、含水ゲル重合体の表面架橋反応を進行させた。
【0066】
実施例4
CRCが34g/gのベースポリマー(A)に、8μmの水酸化アルミニウム1.5重量%を乾式混合した後に、1.3−プロパンジオール5重量%を含む表面処理溶液を噴射して、高吸水性樹脂の表面を処理した。また、前記表面を処理する段階で、分級された含水ゲル状重合体を1つの表面架橋反応器に供給し、180℃以上の温度で40分間、含水ゲル重合体の表面架橋反応を進行させた。
【0067】
実施例5
CRCが40g/gのベースポリマー(B)に、8μmの水酸化アルミニウム1.5重量%を乾式混合した後に、エチレングリコールジグリシジルエーテル3重量%を含む表面処理溶液を噴射して、高吸水性樹脂の表面を処理した。また、前記表面を処理する段階で、分級された含水ゲル状重合体を1つの表面架橋反応器に供給し、120℃以上の温度で60分間、含水ゲル重合体の表面架橋反応を進行させた。
【0068】
実施例6
CRCが40g/gのベースポリマー(B)に、2μmの水酸化アルミニウム2.0重量%を乾式混合した後に、エチレングリコールジグリシジルエーテル3重量%を含む表面処理溶液を噴射して、高吸水性樹脂の表面を処理した。また、前記表面を処理する段階で、分級された含水ゲル状重合体を1つの表面架橋反応器に供給し、120℃以上の温度で60分間、含水ゲル重合体の表面架橋反応を進行させた。
【0069】
実施例7
CRCが34g/gのベースポリマー(A)に、8μmの水酸化アルミニウム3.0重量%を乾式混合した後に、1.3−プロパンジオール5重量%を含む表面処理溶液を噴射して、高吸水性樹脂の表面を処理した。また、前記表面を処理する段階で、分級された含水ゲル状重合体を1つの表面架橋反応器に供給し、180℃以上の温度で40分間、含水ゲル重合体の表面架橋反応を進行させた。
【0070】
実施例8
CRCが40g/gのベースポリマー(B)に、8μmの水酸化アルミニウム3.0重量%を乾式混合した後に、エチレングリコールジグリシジルエーテル3重量%を含む表面処理溶液を噴射して、高吸水性樹脂の表面を処理した。また、前記表面を処理する段階で、分級された含水ゲル状重合体を1つの表面架橋反応器に供給し、120℃以上の温度で60分間、含水ゲル重合体の表面架橋反応を進行させた。
【0071】
実施例9
CRCが40gのベースポリマー(B)に、8μmの水酸化アルミニウム3.0重量%を乾式混合した後に、エチレングリコールジグリシジルエーテル3重量%を含む表面処理溶液を噴射して、高吸水性樹脂の表面を処理した。また、前記表面を処理する段階で、分級された含水ゲル状重合体を1つの表面架橋反応器に供給し、120℃以上の温度で60分間、含水ゲル重合体の表面架橋反応を進行させた。これにシリカ(Aerosil200)0.1%を乾式混合した。
【0072】
実施例10
CRCが40g/gのベースポリマー(B)に、8μmの水酸化アルミニウム5.0重量%を乾式混合した後に、エチレングリコールジグリシジルエーテル3重量%を含む表面処理溶液を噴射して、高吸水性樹脂の表面を処理した。また、前記表面を処理する段階で、分級された含水ゲル状重合体を1つの表面架橋反応器に供給し、120℃以上の温度で60分間、含水ゲル重合体の表面架橋反応を進行させた。
【0073】
比較例1
CRCが34g/gのベースポリマー(A)に、1.3−プロパンジオール5重量%を含む表面処理溶液を噴射して、高吸水性樹脂の表面を処理した。また、前記表面を処理する段階で、分級された含水ゲル状重合体を1つの表面架橋反応器に供給し、180℃以上の温度で40分間、含水ゲル重合体の表面架橋反応を進行させた。
【0074】
比較例2
CRCが40g/gのベースポリマー(B)に、エチレングリコールジグリシジルエーテル3重量%を含む表面処理溶液を噴射して、高吸水性樹脂の表面を処理した。また、前記表面を処理する段階で、分級された含水ゲル状重合体を1つの表面架橋反応器に供給し、120℃以上の温度で60分間、含水ゲル重合体の表面架橋反応を進行させた。
【0075】
比較例3
比較例2で得られた製品に、平均粒子サイズ12nmのシリカ(Aerosil200)を0.1%乾式混合して、製品を製造した。
【0076】
比較例4
比較例1で得られた製品に、平均粒子サイズ12nmのシリカ(Aerosil200)を1.0%乾式混合して、製品を製造した。
【0077】
比較例5
比較例2で得られた製品に、平均粒子サイズ12nmのシリカ(Aerosil200)を1.0%乾式混合して、製品を製造した。
【0078】
試験例
実施例1〜10および比較例1〜5により製造された高吸水性樹脂組成物に対して次のような方法で物性評価を行い、測定された物性値は下記表1に示した通りである。
【0079】
a)CRC:WSP241.3.10に基づいて測定
b)AUP:WSP242.3.10に基づいて測定
c)GBP:大韓民国公開特許公報第10−2009−0123904号に記載の自由膨潤ゲル層透過度試験に基づいて測定された。
【0080】
d)A/C:高吸水性樹脂2g(W5)を直径10cmのフラスコ皿に均等に塗布した後、温度40±3℃、湿度70±3%の水準を維持する恒温恒湿チャンバー内で10分間維持させた後、フィルターペーパーにフラスコ皿をひっくり返して3回軽くタッピング(tapping)後、高吸水性樹脂の落ちる量(W6)を測定した。ケーキング防止(Anti−caking)効率(A/C、%)はW6/W5×100で計算し、数値が高いほど効率に優れる。
【0081】
e)ボルテックス(Vortex):50.0±1.0mLの0.9%NaCl溶液を100mLビーカーに添加した。シリンダ型撹拌バー(30x6mm)を添加し、前記塩類溶液を600rpmで撹拌プレート上で撹拌した。2.000±0.010gの水分吸収性重合体粒子をできるだけ速く前記ビーカーに添加し、添加を始めながらストップウォッチを始めた。前記ストップウォッチを、前記混合物の表面が「静止(still)」状態になれば止めたが、前記状態は表面が乱流を持たないことを意味するもので、この時、前記混合物は相変わらず回転するが、粒子の全体表面が1つの単位として回転することになる。前記ストップウォッチに表示された時間をボルテックス時間として記録した。
【0082】
【表1】
【0083】
また、図1および図2に、それぞれ実施例6および比較例5により水酸化アルミニウムおよびシリカを処理した高吸水性樹脂表面の写真を示した。図1に示しているように、実施例6により水酸化アルミニウムを2.0%処理した高吸水性樹脂の場合、水酸化アルミニウムが表面によく分散して固く固着していることを確認することができる。しかし、図2に示しているように、比較例5によりシリカを1%乾式混合処理した高吸水性樹脂は均一でない状態で互いに固まっており、ひいては高吸水性樹脂と分離されていることを確認することができる。このように分離されたシリカ粒子は、工程移送中に粉塵が発生する原因になる問題がある。
【0084】
前記表1に示しているように、本発明に係る実施例1〜10の高吸水性樹脂組成物は、比較例1〜2と比較して、高温多湿環境においてケーキング防止特性を有して保管安定性を向上させることができ、優れた通液性および吸水速度(Vortex)を示す。また、比較例3〜5と比較して、実施例7〜10は、高温多湿環境において同等以上のケーキング防止効果および通液性を有し、かつ、高い加圧吸水能(AUP)および優れた吸水速度(Vortex)が実現される。
【0085】
さらに、実施例1〜9の高吸水性樹脂組成物は、150μm未満の粒度分布比率が水酸化アルミニウムを処理しなかった比較例1〜2の高吸水性樹脂と同等または減少した水準で、水酸化アルミニウムがベースポリマーの高吸水樹脂に強く付着していることを確認することができる。しかし、シリカを1%乾式混合処理した比較例4〜5の高吸水性樹脂は、150μm未満の粒度分布比率は、比較例1〜2のベースポリマー高吸水性樹脂と比較して顕著に増加し、ケーキング防止性能が非常に良くないことが分かる。
【0086】
特に、シリカが処理された比較例3〜4のようにシリカを乾式適用した時にケーキング防止効果に優れるが、少量添加時にも過度な加圧吸水能(AUP)の低下が現れた。また、図2と実施例4〜5において、シリカの高吸水性樹脂との分離、150μm通過含有量の増加から明らかなように、高吸水性樹脂に単純に混合されている状態で製品移送時、比重の差による分離およびバックフィルター捕集によるシリカの消失および不均一な分布によって、ケーキング防止特性の低下が発生することがあり、粉塵が多量発生して作業環境を阻害するという欠点がある。さらに、高分子樹脂の表面に固着させるために、湿式処理時にケーキング防止特性が低下し、特に表面処理時に溶液に一部使用されるアルコール類のように使用時の効率が急激に低下する問題があることは公知の事実である。
図1
図2