【文献】
Konrad H. Bleicher, et al.,New phenylfluorenyl based linkers for solid phase synthesis,Tetrahedron Letters,2000年,41(47),pp. 9037-9042
【文献】
Marilia O. F. Goulart, et al.,Electroorganic Reactions. 31. Quinonemethide Radical-Anions and Dianions: Their Cathodic Generationa,Journal of Organic Chemistry,1988年,53(1),pp. 2520-5
【文献】
Bohumir Koutek, et al.,PERTURBATION OF THE FUCHSONE CHROMOPHORE BY 3,5-METHYL SUBSTITUSION. STERICALLY CROWDED EXOCYCLIC DO,Collection of Czechoslovak Chemical Communications,1981年,46(10),pp. 2540-56
【文献】
Hans-Dieter Becker, et al.,Preparation and Reactions of 2,6-Di-tert-butyl-4-(9-fluorenylidene)-1,4-benzoquinone,Journal of Organic Chemistry,1976年,41(2),pp. 214-21
【文献】
Martin Stiles, et al.,Tribenzotropone from a 1,3-Rearrangement,Journal of Organic Chemistry,1957年,22,pp. 1243-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記一般式(2)における環Zがナフタレン環であり、上記一般式(4)における環Zがベンゼン環又はナフタレン環である請求項1記載のビニル基含有フルオレン系化合物。
【発明を実施するための形態】
【0033】
≪一般式(1)で表されるビニル基含有フルオレン系化合物≫
本発明に係るビニル基含有フルオレン系化合物は、下記一般式(1)で表されるものである。
【0035】
上記一般式(1)において、W
1及びW
2は、独立に下記一般式(2)で表される基、下記一般式(4)で表される基、水酸基、又は(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、ただし、W
1及びW
2は同時に水酸基でも下記一般式(4)で表される基でもない。W
1及びW
2の少なくとも一方は、下記一般式(2)で表される基であることが好ましく、W
1及びW
2のいずれもが下記一般式(2)で表される基であることがより好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリロイル」という用語は、アクリロイルとメタクリロイルの両方を意味する。
【0037】
上記一般式(2)及び(4)において、環Zとしては、例えば、ベンゼン環、縮合多環式芳香族炭化水素環[例えば、縮合二環式炭化水素環(例えば、ナフタレン環等のC
8−20縮合二環式炭化水素環、好ましくはC
10−16縮合二環式炭化水素環)、縮合三環式芳香族炭化水素環(例えば、アントラセン環、フェナントレン環等)等の縮合2乃至4環式芳香族炭化水素環]等が挙げられる。環Zは、ベンゼン環又はナフタレン環であるのが好ましく、ナフタレン環であるのがより好ましい。なお、W
1及びW
2がいずれも上記一般式(2)で表される基である場合、又は、W
1及びW
2の一方が上記一般式(2)で表される基であり、他方が上記一般式(4)で表される基である場合、W
1に含まれる環ZとW
2に含まれる環Zとは、同一でも異なっていてもよく、例えば、一方の環がベンゼン環、他方の環がナフタレン環等であってもよいが、いずれの環もナフタレン環であることが特に好ましい。また、フルオレンの9位にXを介して結合する環Zの置換位置は、特に限定されない。例えば、環Zがナフタレン環の場合、フルオレンの9位に結合する環Zに対応する基は、1−ナフチル基、2−ナフチル基等であってもよい。
【0038】
上記一般式(2)及び(4)において、Xは、独立に単結合又は−S−で示される基を示し、典型的には単結合である。
【0039】
上記一般式(2)及び(4)において、R
1としては、例えば、単結合;メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブタン−1,2−ジイル基等の炭素数1〜4のアルキレン基が挙げられ、単結合;C
2−4アルキレン基(特に、エチレン基、プロピレン基等のC
2−3アルキレン基)が好ましく、単結合がより好ましい。なお、W
1及びW
2がいずれも上記一般式(2)で表される基である場合、又は、W
1及びW
2の一方が上記一般式(2)で表される基であり、他方が上記一般式(4)で表される基である場合、W
1に含まれるR
1とW
2に含まれるR
1とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0040】
上記一般式(2)及び(4)において、R
2としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等のC
1−12アルキル基、好ましくはC
1−8アルキル基、より好ましくはC
1−6アルキル基等)、シクロアルキル基(シクロへキシル基等のC
5−10シクロアルキル基、好ましくはC
5−8シクロアルキル基、より好ましくはC
5−6シクロアルキル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のC
6−14アリール基、好ましくはC
6−10アリール基、より好ましくはC
6−8アリール基等)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基等のC
6−10アリール−C
1−4アルキル基等)等の1価炭化水素基;水酸基;アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のC
1−12アルコキシ基、好ましくはC
1−8アルコキシ基、より好ましくはC
1−6アルコキシ基等)、シクロアルコキシ基(シクロへキシルオキシ基等のC
5−10シクロアルコキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等のC
6−10アリールオキシ基)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基等のC
6−10アリール−C
1−4アルキルオキシ基)等の−OR
4aで示される基[式中、R
4aは1価炭化水素基(上記例示の1価炭化水素基等)を示す。];アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基等のC
1−12アルキルチオ基、好ましくはC
1−8アルキルチオ基、より好ましくはC
1−6アルキルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(シクロへキシルチオ基等のC
5−10シクロアルキルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等のC
6−10アリールチオ基)、アラルキルチオ基(例えば、ベンジルチオ基等のC
6−10アリール−C
1−4アルキルチオ基)等の−SR
4bで示される基[式中、R
4bは1価炭化水素基(上記例示の1価炭化水素基等)を示す。];アシル基(アセチル基等のC
1−6アシル基等);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基等のC
1−4アルコキシ−カルボニル基等);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等);ニトロ基;シアノ基;メルカプト基;カルボキシル基;アミノ基;カルバモイル基;アルキルアミノ基(メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基等のC
1−12アルキルアミノ基、好ましくはC
1−8アルキルアミノ基、より好ましくはC
1−6アルキルアミノ基等)、シクロアルキルアミノ基(シクロへキシルアミノ基等のC
5−10シクロアルキルアミノ基等)、アリールアミノ基(フェニルアミノ基等のC
6−10アリールアミノ基)、アラルキルアミノ基(例えば、ベンジルアミノ基等のC
6−10アリール−C
1−4アルキルアミノ基)等の−NHR
4cで示される基[式中、R
4cは1価炭化水素基(上記例示の1価炭化水素基等)を示す。];ジアルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基等のジ(C
1−12アルキル)アミノ基、好ましくはジ(C
1−8アルキル)アミノ基、より好ましくはジ(C
1−6アルキル)アミノ基等)、ジシクロアルキルアミノ基(ジシクロへキシルアミノ基等のジ(C
5−10シクロアルキル)アミノ基等)、ジアリールアミノ基(ジフェニルアミノ基等のジ(C
6−10アリール)アミノ基)、ジアラルキルアミノ基(例えば、ジベンジルアミノ基等のジ(C
6−10アリール−C
1−4アルキル)アミノ基)等の−N(R
4d)
2で示される基[式中、R
4dは独立に1価炭化水素基(上記例示の1価炭化水素基等)を示す。];(メタ)アクリロイルオキシ基;スルホ基;上記の1価炭化水素基、−OR
4aで示される基、−SR
4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、−NHR
4cで示される基、もしくは−N(R
4d)
2で示される基に含まれる炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一部が上記の1価炭化水素基、水酸基、−OR
4aで示される基、−SR
4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、−NHR
4cで示される基、−N(R
4d)
2で示される基、(メタ)アクリロイルオキシ基、メシルオキシ基、もしくはスルホ基で置換された基[例えば、アルコキシアリール基(例えば、メトキシフェニル基等のC
1−4アルコキシC
6−10アリール基)、アルコキシカルボニルアリール基(例えば、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基等のC
1−4アルコキシ−カルボニルC
6−10アリール基等)]等が挙げられる。
【0041】
これらのうち、代表的には、R
2は、1価炭化水素基、−OR
4aで示される基、−SR
4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、−NHR
4cで示される基、−N(R
4d)
2で示される基等であってもよい。
【0042】
好ましいR
2としては、1価炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、C
1−6アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、C
5−8シクロアルキル基)、アリール基(例えば、C
6−10アリール基)、アラルキル基(例えば、C
6−8アリール−C
1−2アルキル基)等]、アルコキシ基(C
1−4アルコキシ基等)等が挙げられる。特に、R
2a及びR
2bは、アルキル基[C
1−4アルキル基(特にメチル基)等]、アリール基[例えば、C
6−10アリール基(特にフェニル基)等]等の1価炭化水素基(特に、アルキル基)であるのが好ましい。
【0043】
なお、mが2以上の整数である場合、R
2は互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、W
1及びW
2がいずれも上記一般式(2)で表される基である場合、又は、W
1及びW
2の一方が上記一般式(2)で表される基であり、他方が上記一般式(4)で表される基である場合、W
1に含まれるR
2とW
2に含まれるR
2とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0044】
上記一般式(2)及び(4)において、R
2の数mは、環Zの種類に応じて選択でき、例えば、0〜4、好ましくは0〜3、より好ましくは0〜2であってもよい。なお、W
1及びW
2がいずれも上記一般式(2)で表される基である場合、又は、W
1及びW
2の一方が上記一般式(2)で表される基であり、他方が上記一般式(4)で表される基である場合、W
1におけるmとW
2におけるmとは、同一でも異なっていてもよい。
【0045】
上記一般式(1)において、R
3a及びR
3bとしては、通常、非反応性置換基、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、1価炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基等のC
6−10アリール基)等]等が挙げられ、シアノ基又はアルキル基であることが好ましく、アルキル基であることが特に好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基等のC
1−6アルキル基(例えば、C
1−4アルキル基、特にメチル基)等が例示できる。なお、n1が2以上の整数である場合、R
3aは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、n2が2以上の整数である場合、R
3bは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。更に、R
3aとR
3bとが同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレンを構成するベンゼン環に対するR
3a及びR
3bの結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数n1及びn2は、0又は1、特に0である。なお、n1及びn2は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0046】
上記一般式(1)で表される化合物は、フルオレン骨格を有する化合物としての優れた光学的特性及び熱的特性を保持しつつ、ビニロキシ基及び/又は(メタ)アクリロイルオキシ基を有するため、高い反応性を有する。このような上記一般式(1)で表される化合物は、重合することができるため、重合性モノマーとして機能する。特に、W
1及びW
2がいずれも上記一般式(2)で表される基である場合、上記一般式(1)で表される化合物は、カチオン重合することができるため、カチオン重合性モノマーとして機能する。一方、W
1及びW
2がいずれも(メタ)アクリロイルオキシ基である場合、上記一般式(1)で表される化合物は、ラジカル重合することができるため、ラジカル重合性モノマーとして機能する。また、上記一般式(1)で表される化合物は、W
1及びW
2が独立に上記一般式(2)で表される基又は(メタ)アクリロイルオキシ基である場合、ビニロキシ基及び/又は(メタ)アクリロイルオキシ基の形で含まれる2個のビニル基が別々の分子と反応することができるため、架橋剤として好適に用いることができる。更に、上記一般式(1)で表される化合物は、高い硬度を有する硬化物を与え、組成物中の基材成分として好ましい。加えて、上記一般式(1)で表される化合物をネガ型感光性樹脂組成物に含有させた際には、良好な微小パターニング特性を得ることが可能である。
【0047】
上記一般式(1)で表される化合物のうち、特に好ましい具体例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
【0049】
≪一般式(1a)で表されるビニル基含有フルオレン系化合物の製造方法≫
上記一般式(1)で表されるビニル基含有フルオレン系化合物の中でも、下記一般式(1a)で表されるものは、例えば、下記の製造方法1〜3により製造することができる。
【0050】
【化19】
(式中、W
1a及びW
2aは独立に上記一般式(2)で表される基、上記一般式(4)で表される基、水酸基、又は(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、ただし、W
1a及びW
2aは同時に水酸基でも上記一般式(4)で表される基でも(メタ)アクリロイルオキシ基でもなく、R
3a、R
3b、n1、及びn2は上記の通りである。)
【0051】
<製造方法1>
上記一般式(1a)で表されるビニル基含有フルオレン系化合物は、例えば、特開2008−266169号公報に記載の製造方法に従い、遷移元素化合物触媒及び無機塩基の存在下、下記一般式(13)で表されるビニルエステル化合物と、下記一般式(3)で表される水酸基含有フルオレン系化合物とを反応させることにより、合成することが可能である。上記無機塩基は、粒子径150μm未満の粒子を10重量%以上含有する固体の無機塩基であることが好ましい。具体的には、上記一般式(1a)で表されるビニル基含有フルオレン系化合物は、後述する合成例1〜3のようにして合成することが可能である。
【0052】
R
6−CO−O−CH=CH
2 (13)
(式中、R
6は、水素原子又は有機基を示す。)
【0053】
【化20】
(式中、W
3及びW
4は独立に下記一般式(4)で表される基又は水酸基を示し、ただし、W
3及びW
4は同時に水酸基ではなく、R
3a、R
3b、n1、及びn2は上記の通りである。)
【0054】
【化21】
(式中、環Z、X、R
1、R
2、及びmは上記の通りである。)
【0055】
なお、上記一般式(3)で表される化合物は、例えば、酸触媒の存在下、下記一般式(14)で表される化合物及び/又は下記一般式(15)で表される化合物と、下記一般式(16)で表される化合物とを反応させることにより、合成することができる。適宜、下記一般式(14)で表される化合物及び下記一般式(15)で表される化合物の組み合わせ方や添加量等を調整することにより、上記一般式(3)で表される所望の水酸基含有フルオレン系化合物を得ることができる。また、反応後に、例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の公知の分離方法により、目的とする水酸基含有フルオレン系化合物を分離してもよい。
【0056】
【化22】
(上記一般式(14)、(15)、及び(16)中、環Z、R
1、R
2、R
3a、R
3b、m、n1、及びn2は上記の通りである。)
【0057】
上記一般式(3)で表される化合物の合成に用いられる酸触媒、反応条件等としては、例えば、特許文献1又は特開2002−255929号公報において、特許請求の範囲に記載されたフルオレン系化合物の製造方法に用いることができると記載されているものが挙げられる。
【0058】
<製造方法2>
上記一般式(1a)で表される化合物は、例えば、上記一般式(3)で表される水酸基含有フルオレン系化合物から、下記一般式(5)で表される脱離基含有フルオレン系化合物を経由して、上記一般式(1a)で表されるビニル基含有フルオレン系化合物を得ることを含む製造方法により、合成することも可能である。
【0059】
【化23】
(式中、W
5及びW
6は独立に下記一般式(6)で表される基又は水酸基を示し、ただし、W
5及びW
6は同時に水酸基ではなく、R
3a、R
3b、n1、及びn2は上記の通りである。)
【0060】
【化24】
(式中、Eは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、パラトルエンスルホニルオキシ基、又はベンゼンスルホニルオキシ基で置換された炭素数1〜4のアルキルオキシ基を示し、環Z、X、R
1、R
2、及びmは上記の通りである。)
【0061】
上記一般式(5)で表される脱離基含有フルオレン系化合物は、例えば、上記一般式(3)で表される水酸基含有フルオレン系化合物と脱離基含有化合物とを反応させることにより、合成することができる。脱離基含有化合物としては、例えば、塩化チオニル、下記式で表される化合物等が挙げられる。また、反応温度としては、例えば、−20〜150℃、好ましくは−10〜140℃、より好ましくは30〜130℃が挙げられる。
【0063】
上記一般式(1a)で表されるビニル基含有フルオレン系化合物は、例えば、上記一般式(5)で表される脱離基含有フルオレン系化合物とビニル化剤とを反応させることにより、合成することができる。ビニル化剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジアザビシクロウンデセン、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシド等が挙げられ、好ましくはジアザビシクロウンデセン、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシド等が挙げられ、より好ましくはカリウム−t−ブトキシドが挙げられる。また、反応温度としては、例えば、−20〜150℃、好ましくは−10〜100℃、より好ましくは0〜60℃が挙げられる。
【0064】
<製造方法3>
上記一般式(1a)で表される化合物は、例えば、下記一般式(7)で表されるヒドロキシアルキルオキシ基含有フルオレン系化合物から、上記一般式(5)で表される脱離基含有フルオレン系化合物を経由して、上記一般式(1a)で表されるビニル基含有フルオレン系化合物を得ることを含む製造方法により、合成することも可能であり、具体的には、後述する合成例4及び5並びに合成例12及び13のようにして合成することが可能である。
【0065】
【化26】
(式中、W
7及びW
8は独立に下記一般式(8)で表される基又は水酸基を示し、ただし、W
7及びW
8は同時に水酸基ではなく、R
3a、R
3b、n1、及びn2は上記の通りである。)
【0066】
【化27】
(式中、lは1〜4の整数を示し、環Z、X、R
1、R
2、及びmは上記の通りである。)
【0067】
上記一般式(7)で表されるヒドロキシアルキルオキシ基含有フルオレン系化合物は、例えば、酸触媒の存在下、下記一般式(17)で表される化合物及び/又は下記一般式(18)で表される化合物と、上記一般式(16)で表される化合物とを反応させることにより、合成することができる。適宜、下記一般式(17)で表される化合物及び下記一般式(18)で表される化合物の組み合わせ方や添加量等を調整することにより、上記一般式(7)で表される所望のヒドロキシアルキルオキシ基含有フルオレン系化合物を得ることができる。また、反応後に、例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の公知の分離方法により、目的とするヒドロキシアルキルオキシ基含有フルオレン系化合物を分離してもよい。上記一般式(7)で表される化合物の合成に用いられる酸触媒、反応条件等としては、例えば、上記一般式(3)で表される化合物の合成方法の説明中で例示したものが挙げられる。
【0068】
【化28】
(上記一般式(17)及び(18)中、環Z、R
1、R
2、及びmは上記の通りである。)
【0069】
上記一般式(5)で表される脱離基含有フルオレン系化合物は、例えば、上記一般式(7)で表されるヒドロキシアルキルオキシ基含有フルオレン系化合物と脱離基含有化合物とを反応させることにより、合成することができる。脱離基含有化合物及び反応温度としては、例えば、上記製造方法2について例示したものが挙げられる。
【0070】
上記一般式(1a)で表されるビニル基含有フルオレン系化合物は、例えば、上記一般式(5)で表される脱離基含有フルオレン系化合物とビニル化剤とを反応させることにより、合成することができる。ビニル化剤及び反応温度としては、例えば、上記製造方法2について例示したものが挙げられる。
【0071】
製造方法3により、上記一般式(7)で表されるヒドロキシアルキルオキシ基含有フルオレン系化合物から、高収率で、上記一般式(1a)で表される化合物を得ることができる。例えば、合成例4及び5において、9,9’−ビス(6−ビニルオキシ−2−ナフチル)フルオレンの収率は77%であり、合成例12及び13において、9,9’−ビス(4−ビニロキシフェニル)フルオレンの収率は79%であった。製造方法3によれば、上記一般式(1a)で表される化合物の精製工程における負荷を低くすることができる。また、製造方法3では、常圧で反応を行うことができるため、耐熱容器等の特別の反応設備が不要であり、より簡便な装置を用いることができる。更に、製造方法3では、アセチレンガス等の可燃性ガスが用いられておらず、より安全に上記一般式(1a)で表される化合物を製造することができる。
【0072】
≪一般式(5)で表される脱離基含有フルオレン系化合物≫
本発明に係る脱離基含有フルオレン系化合物は、上記一般式(5)で表されるものである。この脱離基含有フルオレン系化合物は、上記一般式(1a)で表されるビニル基含有フルオレン系化合物を製造するための中間体として有用である。上記一般式(5)で表される脱離基含有フルオレン系化合物は、例えば、上記製造方法2又は3中で説明した方法により合成することができる。
【0073】
≪一般式(9)で表されるモノビニル基含有フルオレン系化合物及びその製造方法≫
本発明に係るモノビニル基含有フルオレン系化合物は、下記一般式(9)で表されるものである。このモノビニル基含有フルオレン系化合物は、上記一般式(1a)で表されるビニル基含有フルオレン系化合物を製造するための中間体として有用である。
【0074】
【化29】
(式中、W
9及びW
10のいずれか一方は上記一般式(2)で表される基を示し、他方は上記一般式(6)で表される基を示し、R
3a、R
3b、n1、及びn2は上記の通りである。)
【0075】
上記一般式(9)で表されるモノビニル基含有フルオレン系化合物は、下記一般式(5a)で表される脱離基含有フルオレン系化合物から上記一般式(9)で表されるモノビニル基含有フルオレン系化合物を得ることを含む製造方法により、合成することが可能であり、具体的には、後述する合成例8及び11のようにして合成することが可能である。即ち、上記一般式(9)で表されるモノビニル基含有フルオレン系化合物は、例えば、下記一般式(5a)で表される脱離基含有フルオレン系化合物とビニル化剤とを反応させることにより、合成することができる。ビニル化剤及び反応温度としては、例えば、上記製造方法2について例示したものが挙げられる。ビニル化剤の使用量は、下記一般式(5a)で表される脱離基含有フルオレン系化合物中の脱離基1モルに対し、好ましくは0.1〜10モル、より好ましくは0.5〜5モル、更により好ましくは0.8〜2モルである。
【0076】
【化30】
(式中、W
5a及びW
6aは上記一般式(6)で表される基を示し、R
3a、R
3b、n1、及びn2は上記の通りである。)
【0077】
≪一般式(10)で表されるモノビニル基及びモノ(メタ)アクリロイルオキシ基含有フルオレン系化合物≫
本発明に係るモノビニル基及びモノ(メタ)アクリロイルオキシ基含有フルオレン系化合物は、下記一般式(10)で表されるものである。この化合物は、フルオレン骨格を有する化合物としての優れた光学的特性及び熱的特性を保持しつつ、ビニロキシ基及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有するため、高い反応性を有する。下記一般式(10)で表される化合物は、上記一般式(1)で表されるビニル基含有フルオレン系化合物と同様に、重合することができるため、重合性モノマーとして機能し、また、架橋剤として好適に用いることができる。更に、下記一般式(10)で表される化合物は、高い硬度を有する硬化物を与え、組成物中の基材成分として好ましい。加えて、下記一般式(10)で表される化合物をネガ型感光性樹脂組成物に含有させた際には、良好な微小パターニング特性を得ることが可能である。
【0078】
【化31】
(式中、W
11及びW
12のいずれか一方は上記一般式(2)で表される基を示し、他方は下記一般式(11)又は(12)で表される基を示し、R
3a、R
3b、n1、及びn2は上記の通りである。)
【0079】
【化32】
(式中、R
5は水素原子又はメチル基を示し、環Z、X、R
1、R
2、m、及びlは上記の通りである。)
【0080】
【化33】
(式中、環Z、X、R
1、R
2、R
5、及びmは上記の通りである。)
【0081】
≪一般式(19)で表される(メタ)アクリロイルオキシ基含有フルオレン系化合物≫
本発明に係る(メタ)アクリロイルオキシ基含有フルオレン系化合物は、下記一般式(19)で表されるものである。この化合物は、フルオレン骨格を有する化合物としての優れた光学的特性及び熱的特性を保持しつつ、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するため、高い反応性を有する。下記一般式(19)で表される化合物は、上記一般式(1)で表されるビニル基含有フルオレン系化合物と同様に、重合することができるため、重合性モノマーとして機能し、また、架橋剤として好適に用いることができる。更に、下記一般式(19)で表される化合物は、高い硬度を有する硬化物を与え、組成物中の基材成分として好ましい。加えて、下記一般式(19)で表される化合物をネガ型感光性樹脂組成物に含有させた際には、良好な微小パターニング特性を得ることが可能である。
【0082】
【化34】
(式中、W
13及びW
14は独立に上記一般式(12)で表される基、水酸基、又は(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、ただし、W
13及びW
14の少なくとも一方は上記一般式(12)で表される基であり、R
3a、R
3b、n1、及びn2は上記の通りである。)
【0083】
上記一般式(19)で表される化合物のうち、特に好ましい具体例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
【0085】
≪一般式(19)で表される(メタ)アクリロイルオキシ基含有フルオレン系化合物の製造方法≫
上記一般式(19)で表される化合物は、例えば、上記一般式(3)で表される水酸基含有フルオレン系化合物から上記一般式(19)で表される(メタ)アクリロイルオキシ基含有フルオレン系化合物を得ることを含む製造方法により、合成することが可能であり、具体的には、後述する合成例14及び15のようにして合成することが可能である。
【0086】
上記一般式(19)で表される化合物は、例えば、上記一般式(3)で表される水酸基含有フルオレン系化合物と(メタ)アクリル化剤とを反応させることにより、合成することができる。(メタ)アクリル化剤としては、例えば、(メタ)アクリロイルクロリド等の(メタ)アクリロイルハライド;(メタ)アクリル酸無水物等が挙げられ、(メタ)アクリロイルハライドが好ましく、(メタ)アクリロイルクロリドがより好ましい。また、反応温度としては、例えば、−20〜150℃、好ましくは−10〜100℃、より好ましくは0〜60℃が挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル化剤」は、アクリル化剤とメタクリル化剤の両方を意味し、「(メタ)アクリル酸無水物」は、アクリル酸無水物とメタクリル酸無水物の両方を意味する。
【0087】
≪ネガ型感光性樹脂組成物≫
上述の通り、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び上記一般式(19)で表される化合物は、ネガ型感光性樹脂組成物の成分として有用である。ネガ型感光性樹脂組成物としては、例えば、アルカリ可溶性樹脂と、光重合性モノマーと、光重合開始剤と、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物と、有機溶剤とを含有するものが挙げられる。以下、このネガ型感光性樹脂組成物について詳細に説明する。
【0088】
ネガ型感光性樹脂組成物に含有されるアルカリ可溶性樹脂としては、特に限定されず、従来公知のアルカリ可溶性樹脂を用いることができる。このアルカリ可溶性樹脂は、エチレン性不飽和基を有するものであってもよく、エチレン性不飽和基を有さないものであってもよい。
なお、本明細書においてアルカリ可溶性樹脂とは、樹脂濃度20質量%の樹脂溶液(溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)により、膜厚1μmの樹脂膜を基板上に形成し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に1分間浸漬した際に、膜厚0.01μm以上溶解するものをいう。
【0089】
エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、エポキシ化合物と不飽和カルボン酸との反応物を、更に多塩基酸無水物と反応させることにより得られる樹脂を用いることができる。
【0090】
その中でも、下記一般式(r−1)で表される樹脂が好ましい。この式(r−1)で表される樹脂は、それ自体が、光硬化性が高い点で好ましい。
【0092】
上記一般式(r−1)中、X
rは、下記一般式(r−2)で表される基を示す。
【0094】
上記一般式(r−2)中、R
r1は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又はハロゲン原子を示し、R
r2は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、W
rは、単結合又は下記式(r−3)で表される基を示す。
【0096】
また、上記一般式(r−1)中、Y
rは、ジカルボン酸無水物から酸無水物基(−CO−O−CO−)を除いた残基を示す。ジカルボン酸無水物の例としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸等が挙げられる。
【0097】
また、上記一般式(r−1)中、Z
rは、テトラカルボン酸二無水物から2個の酸無水物基を除いた残基を示す。テトラカルボン酸二無水物の例としては、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、上記一般式(r−1)中、kは、0〜20の整数を示す。
【0098】
また、エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、多価アルコール類と一塩基酸又は多塩基酸とを縮合して得られるポリエステルプレポリマーに(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオールと2個のイソシアネート基を持つ化合物とを反応させた後、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノール又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエステル、脂肪族又は脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等を用いることもできる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸との両方を意味する。同様に、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとの両方を意味する。更に、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミドとメタクリルアミドとの両方を意味する。
【0099】
一方、エチレン性不飽和基を有さないアルカリ可溶性樹脂としては、不飽和カルボン酸と脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物と脂環式基含有不飽和化合物とを少なくとも共重合させて得られる樹脂を用いることができる。
【0100】
不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸;これらジカルボン酸の無水物;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、得られる樹脂のアルカリ溶解性、入手の容易性等の点から、(メタ)アクリル酸及び無水マレイン酸が好ましい。これらの不飽和カルボン酸は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0101】
脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エポキシアルキルエステル類;α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸6,7−エポキシヘプチル等のα−アルキルアクリル酸エポキシアルキルエステル類;o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、硬化後の樹脂の強度等の点から、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、及びp−ビニルベンジルグリシジルエーテルが好ましい。これらのエポキシ基含有不飽和化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0102】
脂環式基含有不飽和化合物としては、脂環式基を有する不飽和化合物であれば特に限定されない。脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。具体的に、脂環式基含有不飽和化合物としては、例えば下記一般式で表される化合物が挙げられる。
【0104】
上記一般式中、R
r3は水素原子又はメチル基を示し、R
r4は単結合又は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、R
r5は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。R
r4としては、単結合、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。R
r5としては、例えばメチル基、エチル基が好ましい。
【0105】
このアルカリ可溶性樹脂中における上記不飽和カルボン酸に由来する構成単位の割合は、3〜25質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましい。また、上記エポキシ基含有不飽和化合物に由来する構成単位の割合は、71〜95質量%であることが好ましく、75〜90質量%であることがより好ましい。また、上記脂環式基含有不飽和化合物に由来する構成単位の割合は、1〜25質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることが更に好ましい。上記の範囲とすることにより、得られる樹脂のアルカリ溶解性を適度なものとしながら、ネガ型感光性樹脂組成物の基板への密着性、ネガ型感光性樹脂組成物の硬化後の強度を高めることができる。
【0106】
アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量は、1000〜40000であることが好ましく、2000〜30000であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、良好な現像性を得ながら、十分な耐熱性、膜強度を得ることができる。
【0107】
アルカリ可溶性樹脂の含有量は、ネガ型感光性樹脂組成物の固形分に対して5〜80質量%であることが好ましく、15〜50質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
【0108】
ネガ型感光性樹脂組成物に含有される光重合性モノマーとしては、単官能モノマーと多官能モノマーとがある。
単官能モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0109】
一方、多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(即ち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能モノマーや、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0110】
光重合性モノマーの含有量は、ネガ型感光性樹脂組成物の固形分に対して1〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感度、現像性、解像性のバランスがとりやすい傾向がある。
【0111】
ネガ型感光性樹脂組成物に含有される光重合開始剤としては、特に限定されず、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。
【0112】
光重合開始剤として具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル],1−(o−アセチルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン(即ち、ミヒラーズケトン)、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン(即ち、エチルミヒラーズケトン)、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン等が挙げられる。これらの中でも、オキシム系の光重合開始剤を用いることが、感度の面で特に好ましい。これらの光重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0113】
光重合開始剤の含有量は、ネガ型感光性樹脂組成物の固形分100質量部に対して0.5〜20質量部であることが好ましい。上記の範囲とすることにより、十分な耐熱性、耐薬品性を得ることができ、また塗膜形成能を向上させ、硬化不良を抑制することができる。
【0114】
ネガ型感光性樹脂組成物は、上記の通り、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物を含有する。この化合物をネガ型感光性樹脂組成物に含有させた際には、良好な微小パターニング特性を得ることが可能である。
【0115】
上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物の含有量は、上記光重合開始剤100質量部に対して0.5〜95質量部であることが好ましく、1〜50質量部であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、良好な現像性を得ながら、良好な微小パターニング特性を得ることができる。
【0116】
ネガ型感光性樹脂組成物は、更に、着色剤を含有していてもよい。着色剤を含有することにより、例えば、液晶表示ディスプレイのカラーフィルタ形成用途として好ましく使用される。また、ネガ型感光性樹脂組成物は、着色剤として遮光剤を含むことにより、例えば、カラーフィルタにおけるブラックマトリクス形成用途として好ましく使用される。
【0117】
着色剤としては、特に限定されないが、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを用いることが好ましい。
【0118】
C.I.ピグメントイエロー1(以下、「C.I.ピグメントイエロー」は同様であり、番号のみを記載する。)、3、11、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、55、60、61、65、71、73、74、81、83、86、93、95、97、98、99、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、175、180、185;
C.I.ピグメントオレンジ1(以下、「C.I.ピグメントオレンジ」は同様であり、番号のみを記載する。)、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、55、59、61、63、64、71、73;
C.I.ピグメントバイオレット1(以下、「C.I.ピグメントバイオレット」は同様であり、番号のみを記載する。)、19、23、29、30、32、36、37、38、39、40、50;
C.I.ピグメントレッド1(以下、「C.I.ピグメントレッド」は同様であり、番号のみを記載する。)、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、155、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、192、193、194、202、206、207、208、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、243、245、254、255、264、265;
C.I.ピグメントブルー1(以下、「C.I.ピグメントブルー」は同様であり、番号のみを記載する。)、2、15、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、66;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37;
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン26、C.I.ピグメントブラウン28;
C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7。
【0119】
また、着色剤を遮光剤とする場合、遮光剤としては黒色顔料を用いることが好ましい。黒色顔料としては、有機物、無機物を問わず、カーボンブラック、チタンブラック、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属硫酸塩、金属炭酸塩等の各種の顔料を挙げることができる。これらの中でも、高い遮光性を有するカーボンブラックを用いることが好ましい。
【0120】
カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック等の公知のカーボンブラックを用いることができるが、遮光性に優れるチャンネルブラックを用いることが好ましい。また、樹脂被覆カーボンブラックを使用してもよい。
【0121】
樹脂被覆カーボンブラックは、樹脂被覆のないカーボンブラックに比べて導電性が低いことから、液晶表示ディスプレイのブラックマトリクスとして使用した場合に電流のリークが少なく、信頼性の高い低消費電力のディスプレイを製造できる。
【0122】
また、カーボンブラックの色調を調整するために、補助顔料として上記の有機顔料を適宜添加してもよい。
【0123】
また、着色剤をネガ型感光性樹脂組成物において均一に分散させるために、更に分散剤を使用してもよい。このような分散剤としては、ポリエチレンイミン系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系の高分子分散剤を用いることが好ましい。特に、着色剤としてカーボンブラックを用いる場合には、分散剤としてアクリル樹脂系の分散剤を用いることが好ましい。
【0124】
また、無機顔料及び有機顔料は、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよいが、併用する場合には、無機顔料と有機顔料との総量100質量部に対して、有機顔料を10〜80質量部の範囲で用いることが好ましく、20〜40質量部の範囲で用いることがより好ましい。
【0125】
着色剤の含有量は、ネガ型感光性樹脂組成物の用途に応じて適宜決定すればよいが、一例として、ネガ型感光性樹脂組成物の固形分100質量部に対して、5〜70質量部が好ましく、25〜60質量部がより好ましい。
特に、ネガ型感光性樹脂組成物を使用してブラックマトリクスを形成する場合には、ブラックマトリクスの膜厚1μm当たりのOD値が4以上となるように、ネガ型感光性樹脂組成物における遮光剤の量を調整することが好ましい。ブラックマトリクスにおける膜厚1μm当たりのOD値が4以上あれば、液晶表示ディスプレイのブラックマトリクスに用いた場合に、十分な表示コントラストを得ることができる。
【0126】
なお、着色剤は、分散剤を用いて適当な濃度で分散させた分散液とした後、ネガ型感光性樹脂組成物に添加することが好ましい。
【0127】
ネガ型感光性樹脂組成物における有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0128】
上記有機溶剤の中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、3−メトキシブチルアセテートは、上記アルカリ可溶性樹脂、上記光重合性モノマー、上記光重合開始剤、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び上記一般式(19)で表される化合物に対して優れた溶解性を示すとともに、上記着色剤の分散性を良好にすることができるため好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテートを用いることが特に好ましい。
【0129】
有機溶剤の含有量は、ネガ型感光性樹脂組成物の固形分濃度が1〜50質量%となる量が好ましく、5〜30質量%となる量がより好ましい。
【0130】
ネガ型感光性樹脂組成物は、必要に応じて、各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、増感剤、硬化促進剤、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、熱重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤等が挙げられる。
【0131】
このようなネガ型感光性樹脂組成物は、上記の各成分を撹拌機で混合することにより調製される。なお、調製されたネガ型感光性樹脂組成物が均一なものとなるよう、メンブランフィルタ等を用いて濾過してもよい。
【0132】
以上の通り、本発明について説明した。本発明に係る新規なフルオレン系化合物は、優れた光学的特性及び熱的特性を保持しつつ、従来のフルオレン化合物に対して、高い反応性を有する。即ち、従来、樹脂や樹脂原料において、耐熱性等の熱的特性、高屈折率等の光学的特性等の特性を付与又は改善するため、単量体成分を選択したり、樹脂を改質することができる化合物を添加したりする等の方法がとられている。このような背景の下、フルオレン骨格(9,9−ビスフェニルフルオレン骨格等)を有する化合物が用いられてきた。しかし、従来のフルオレン化合物、例えば、フルオレン系アクリレートは、反応性が低い。本発明によれば、優れた光学的特性及び熱的特性を保持しつつ、高い反応性を有する新規なフルオレン系化合物、上記フルオレン系化合物からなる重合性モノマー、及び上記フルオレン系化合物からなる架橋剤を提供することができる。
【実施例】
【0133】
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0134】
<上記一般式(1)で表される化合物及び比較化合物>
上記一般式(1)で表される化合物としては、下記式で表される化合物1〜3を準備した。また、比較のため、下記式で表される比較化合物1〜6を準備した。
【0135】
【化40】
【0136】
【化41】
【0137】
化合物1〜3の合成法を下記に示す(合成例1〜3)。合成例で用いた材料は下記の通りである。
【0138】
[無機塩基]
(1)軽灰炭酸ナトリウム
粒子径分布:250μm以上;3重量%
150μm以上250μm未満;15重量%
75μm以上150μm未満;50重量%
75μm未満;32重量%
なお、上記の粒子径分布は、60メッシュ(250μm)、100メッシュ(150μm)、200メッシュ(75μm)のふるいを用いて仕分けた後、最終的に得られた篩上成分及び篩下成分各々の重量を測定することにより算出した。
【0139】
[遷移元素化合物触媒]
(1)ジ−μ−クロロビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウム(I):[Ir(cod)Cl]
2【0140】
[ヒドロキシ化合物]
(1)9,9’−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレン
(2)9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン
【0141】
[ビニルエステル化合物]
(1)プロピオン酸ビニル
【0142】
[合成例1]化合物1の合成
冷却管、及び、凝縮液を分液させて有機層を反応容器に戻し水層を系外に排出するためのデカンターを取り付けた1000ml反応容器に、ジ−μ−クロロビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウム(I)[Ir(cod)Cl]
2(839mg、1.25mmol)、軽灰炭酸ナトリウム(12.7g、0.12mol)、9,9’−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレン(225g、0.5mol)、プロピオン酸ビニル(125g、1.25mol)、及びトルエン(300ml)を仕込んだ後、表面積が10cm
2の撹拌羽根を用い回転数を250rpmに設定し、撹拌しながら徐々に温度を上げて還流させた。還流下、副生する水をデカンターで除去しながら、5時間反応させた。反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、9,9’−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレンの転化率は100%であり、9,9’−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレンを基準として9,9’−ビス(6−ビニロキシ−2−ナフチル)フルオレン(化合物1)が81%、ビス6−ナフトールフルオレンモノビニルエーテルが4%の収率で生成していた。
1H−NMR(CDCl
3):4.47(dd、2H、J=1.5Hz、5.0Hz)、4.81(dd、2H、J=3.5Hz、12.0Hz)、6.71(dd、2H、J=6.0Hz)、7.12−7.82(m、20H)
【0143】
[合成例2]化合物2の合成(単離)
合成例1で得られた反応生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供して分離精製を実施し、ビス6−ナフトールフルオレンモノビニルエーテル(化合物2)を単離した。
1H−NMR(CDCl
3):4.55(dd、1H、J=6.0Hz)、4.88(dd、1H、J=3.5Hz)、6.79(dd、1H、J=6.0Hz、14.0Hz)、7.20−7.89(m、20H)
【0144】
[合成例3]化合物3の合成
冷却管、及び、凝縮液を分液させて有機層を反応容器に戻し水層を系外に排出するためのデカンターを取り付けた1000ml反応容器に、ジ−μ−クロロビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウム(I)[Ir(cod)Cl]
2(839mg、1.25mmol)、軽灰炭酸ナトリウム(12.7g、0.12mol)、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(186g、0.5mol)、プロピオン酸ビニル(125g、1.25mol)、及びトルエン(300ml)を仕込んだ後、表面積が10cm
2の撹拌羽根を用い回転数を250rpmに設定し、撹拌しながら徐々に温度を上げて還流させた。還流下、副生する水をデカンターで除去しながら、5時間反応させた。反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンの転化率は100%であり、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンを基準として、9,9’−ビス(4−ビニロキシフェニル)フルオレン(化合物3)が72%、ビス4−フェノールフルオレンモノビニルエーテルが9%の収率で生成していた。
1H−NMR(CDCl
3):4.47(dd、2H)、4.81(dd、2H)、6.71(dd、2H)、7.12−7.82(m、16H)
【0145】
[評価]
化合物1、3、比較化合物1〜6をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解して20質量%の溶液を調製した。この溶液をガラス基板にスピンコーターを用いて塗布し、100℃で120秒間プリベークを行い、乾燥塗膜(膜厚2.0μm)を形成した。この乾燥塗膜を230℃で20分間ポストベークを行い、硬化膜(膜厚1.7μm)を得た。
化合物1、3、比較化合物1〜6の反応性を評価するため、上記硬化膜について、JIS K 5400に従い鉛筆硬度を測定した。鉛筆硬度が高いほど、化合物の反応性が高いといえる。
また、上記硬化膜について(硬化膜が得られなかった場合は、上記乾燥塗膜について)、光学パラメータとして、波長633nmでの光透過率及び屈折率を測定した。
更に、上記硬化膜の耐熱性を評価するため、この硬化膜を室温(約20℃)から1分間に10℃ずつの割合で昇温加熱して大気中で熱重量分析を行い、分析開始時の質量を基準として、質量が5%減少する温度T
d5%を測定した。
これらの測定結果を表1に示す。
【0146】
【表1】
【0147】
表1から分かるように、化合物1及び3から得られる硬化膜は、鉛筆硬度が高く、これらの化合物は高い反応性を有していた。また、化合物1及び3から得られる硬化膜は、光透過率が、近年の機能膜に要求される98%以上という値を満たしており、屈折率及び耐熱性が良好であった。
【0148】
これに対し、比較化合物1〜6から得られる硬化膜は、化合物1及び3から得られる硬化膜より鉛筆硬度が低く、比較化合物1〜6は反応性に劣っていた。また、比較化合物1〜6から得られる硬化膜は、化合物1及び3から得られる硬化膜と比較して、光透過率に劣っていた。
【0149】
<脱離基含有フルオレン系化合物を経由する合成例>
[合成例4]
5L反応器に6,6’−(9−フルオレニリデン)−ビス(2−ナフチルオキシエタノール)(598g,1.11mol)、ピリジン(87.8g,1.11mol)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(1670mL)を加え、窒素置換した後に、60℃まで昇温した。塩化チオニル(395.9g,3.33mol)を3時間かけて滴下し、2時間熟成した。30℃まで冷却後、水を加えて反応を停止し、15〜20℃の範囲でメタノールを滴下することによって、収率96%で、目的とする水酸基が塩素に置換された化合物(下記式で表される化合物。以下、化合物4ともいう。)を得た。
1H−NMR(CDCl
3):3.85(t、4H、J=6.0Hz)、4.31(t、4H、J=6.0Hz)、7.08−7.82(m、20H)
【0150】
【化42】
【0151】
[合成例5]
化合物4(560g、0.97mol)、テトラヒドロフラン(1260mL)を仕込んだ5L反応器に、カリウム−t−ブトキシド(327.5g,2.92mol)のテトラヒドロフラン(1260mL)溶液を20℃〜40℃の範囲で滴下した。60℃で2時間熟成後、水を加えて反応を停止した。有機層を分液後、化合物4の仕込み量の2重量倍になるようにエバポレーターで濃縮後、メタノールに滴下することで、収率77%で、9,9’−ビス(6−ビニルオキシ−2−ナフチル)フルオレン(下記式で表される化合物、即ち、化合物1)を白色又は灰白色固体として得た。
1H−NMR(CDCl
3):4.48(dd、2H、J=1.5Hz、6.5Hz)、4.81(dd、2H、J=1.5Hz、13.5Hz)、6.73(dd、2H、J=6.5Hz、13.5Hz)、7.13−7.83(m、20H)
【0152】
【化43】
【0153】
[合成例6]
25mL反応器にエチレングリコール(1.00g、0.0161mol)、トリエチルアミン(3.42g0.0338mol)、テトラヒドロフラン(3.38mL)を加え、窒素置換した後に、0℃まで冷却した。メタンスルホニルクロライド(3.88g,0.0338mol)を2時間かけて滴下し、1時間熟成後、水を加えて反応を停止した。ここに酢酸エチルを添加し、有機層を分離し、エバポレーターで溶媒を留去することによって、収率80%で、エチレングリコールにメタンスルホニル基が付加した化合物(下記式で表される化合物。以下、「EG−DMs」ともいう。)を得た。
1H−NMR(CDCl
3):3.10(s、6H)、4.47(s、4H)
【0154】
【化44】
【0155】
[合成例7]
25mL反応器に6,6−(9−フルオレニリデン)−2,2−ジナフトール(下記左側の式で表される化合物。1.00g、0.0022mol。以下、化合物5ともいう。)、炭酸カリウム(0.64g,0.0047mol)、テトラヒドロフラン(3.38mL)を加え、窒素置換した。ここに、合成例6で合成したEG−DMs(1.02g,0.0047mol)のテトラヒドロフラン(1.12mL)溶液を室温で添加後、60℃まで昇温し、15時間熟成した。反応液をHPLCで分析した結果、化合物5の転化率99%、選択率65%で化合物6(下記右側の式で表される化合物)が合成されたことを確認した。
(化合物6)
1H−NMR(CDCl
3):3.08(s、6H)、4.32(t、4H、J=4.4Hz)、4.60(t、4H、J=4.4Hz)、7.05−7.83(m、20H)
【0156】
【化45】
【0157】
[合成例8]
化合物6(2.00g、0.00288mol),ジプロピレングリコールジメチルエーテル(2.25mL)を仕込んだ25mL反応器に、カリウム−t−ブトキシド(1.45g,0.0130mol)のテトラヒドロフラン(2.25mL)溶液を20℃〜40℃の範囲で滴下し、100℃で2時間熟成した。反応液をHPLCで分析した結果、化合物6の転化率99%にて、選択率58%で化合物1が合成され、選択率32%でモノビニルモノメシル体(下記式で表される化合物。以下、化合物7ともいう。)が合成されたことを確認した。
1H−NMR(CDCl
3):3.10(s、3H)、4.34(t、2H、J=3.6Hz)、4.49(dd、1H、J=1.2Hz、5.2Hz)、4.62(t、2H、J=3.6Hz)、4.81(dd、1H、J=1.2Hz、11.2Hz)、6.73(dd、1H、J=5.2Hz、11.2Hz)、7.06−7.83(m、20H)
【0158】
【化46】
【0159】
[合成例9]
50mL反応器に2−クロロエタノール(3.00g,0.048mol)、トリエチルアミン(5.87g,0.058mol)、テトラヒドロフラン(10.12mL)を加え、窒素置換した後に、0℃まで冷却した。メタンスルホニルクロライド(6.09g,0.053mol)を2時間かけて滴下し、1時間熟成後、水を加えて反応を停止した。酢酸エチルを添加し、有機層を分離し、エバポレーターで溶媒を留去することによって、収率80%で、2−クロロエタノールにメタンスルホニル基が付加した化合物(下記式で表される化合物。以下、「ClEMs」ともいう。)を得た。
1H−NMR(CDCl
3):3.09(s、3H)、3.77(t、2H、J=5.5Hz)、4.45(t、2H、J=5.5Hz)
【0160】
【化47】
【0161】
[合成例10]
25mL反応器に化合物5(1.00g0.0022mol)、炭酸カリウム(0.64g,0.0047mol)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(2.23mL)を加え、窒素置換した。ClEMs(1.06g,0.0067mol)のジプロピレングリコールジメチルエーテル(1.12mL)溶液を室温で添加後、60℃まで昇温し、15時間熟成した。反応液をHPLCで分析した結果、化合物5の転化率17%にて、選択率4%で化合物4が合成され、選択率12%で化合物8(下記式で表される化合物)が合成されたことを確認した。
1H−NMR(CDCl
3):3.86(t、2H、J=6.0Hz)、4.32(t、2H、J=6.0Hz)、7.09−7.82(m、20H)
【0162】
【化48】
【0163】
[合成例11]
化合物4(3.0g、0.0052mol),テトラヒドロフラン(6.8mL)を仕込んだ25mL反応器にカリウム−t−ブトキシド(0.58g,0.0052mol)のテトラヒドロフラン(6.8mL)溶液を20℃〜40℃の範囲で滴下した。60℃で2時間熟成後、水を加えて反応を停止した。有機層をHPLCで分析した結果、化合物4の転化率57%にて、選択率25%で化合物1が合成され、選択率75%でモノビニルモノクロロ体(下記式で表される化合物。以下、化合物9ともいう。)が合成されたことを確認した。
1H−NMR(CDCl
3):3.84(t、2H、J=6.0Hz)、4.30(t、2H、J=6.0Hz)、4.48(dd、1H、J=1.6Hz、6.0Hz)、4.81(dd、1H、J=1.6Hz、13.6Hz)、6.72(dd、1H、J=6.0Hz、13.6Hz)、7.08−7.82(m、20H)
【0164】
【化49】
【0165】
[合成例12]
200mL反応器に9,9’−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン(6.26g,0.0143mol)、ピリジン(2.82g,0.0357mol)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(33.4mL)、テトラヒドロフラン(33.7mL)を加え、窒素置換した後に、60℃まで昇温した。塩化チオニル(6.79g,0.0571mol)を2時間かけて滴下し、2時間熟成した。30℃まで冷却後、水を加えて反応を停止し、15〜20℃の範囲でメタノールを滴下することによって、収率95%で、目的とする水酸基が塩素に置換された化合物(下記式で表される化合物。以下、化合物10ともいう。)を得た。
1H−NMR(CDCl
3):3.75(t、4H、J=6.0Hz)、4.14(t、4H、J=6.0Hz)、6.73−7.75(m、16H)
【0166】
【化50】
【0167】
[合成例13]
化合物10(5.0g、0.0105mol)、テトラヒドロフラン(11.5mL)を仕込んだ100mL反応器に、カリウム−t−ブトキシド(3.53g,0.0315mol)のテトラヒドロフラン(13.6mL)溶液を20℃〜40℃の範囲で滴下した。60℃で2時間熟成後、水を加えて反応を停止した。有機層を分液後、化合物10の仕込み量の2重量倍になるようにエバポレーターで濃縮後、メタノールに滴下することで、収率79%で、9,9’−ビス(4−ビニロキシフェニル)フルオレン(下記式で表される化合物、即ち、化合物3)を白色又は灰白色固体として得た。
1H−NMR(CDCl
3):4.47(dd、2H)、4.81(dd、2H)、6.71(dd、2H)、7.12−7.82(m、16H)
【0168】
【化51】
【0169】
<上記一般式(19)で表される化合物>
[合成例14]
50mL反応器に化合物5(3.00g,0.00666mol)、トリエチルアミン(1.48g,0.0146mol)、フェノチアジン(9.00mg、0.0000452mol)、テトラヒドロフラン(16.9mL)を加え、窒素置換した後に、0℃まで冷却した。アクリロイルクロリド(1.51g,0.0166mol)を1時間かけて滴下し、2時間熟成した。水を加えて反応を停止し、有機層を分液した。エバポレーターで溶媒を留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって、収率63%で、目的とするジアクリル体(下記式で表される化合物。以下、化合物11ともいう。)を白色固体として得た。
1H−NMR(CDCl
3):6.03(dd、2H、J=1.5Hz、10.0Hz)、6.36(dd、2H、J=10.0Hz、17.5Hz)、6.63(dd、2H、J=1.5Hz、17.5Hz)、7.19−7.84(m、20H)
【0170】
【化52】
【0171】
[合成例15]
50mL反応器に化合物5(3.00g,0.00666mol)、トリエチルアミン(1.48g,0.0146mol)、フェノチアジン(9.00mg、0.0000452mol)、テトラヒドロフラン(16.9mL)を加え、窒素置換した後に、0℃まで冷却した。メタクリロイルクロリド(1.74g,0.0166mol)を1時間かけて滴下した後、徐々に40℃まで昇温し、2時間熟成した。水を加えて反応を停止し、有機層を分液した。エバポレーターで溶媒を留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって、収率73%で、目的とするジメタクリル体(下記式で表される化合物。以下、化合物12ともいう。)を白色固体として得た。
1H−NMR(CDCl
3):2.08(s、6H)、5.77(s、2H)、6.38(s、2H)、7.18−7.84(m、20H)
【0172】
【化53】
【0173】
<ネガ型感光性樹脂組成物の調製>
[実施例1]
以下の各成分を3−メトキシブチルアセテート(MA)/テトラメチルウレア(TMU)/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PM)=55/10/35(質量比)の混合溶剤に添加し、撹拌機で1時間混合した後、5μmのメンブランフィルターで濾過して、濾液として固形分濃度15質量%のネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
・アルカリ可溶性樹脂
樹脂(R−1)(固形分55%、溶剤:3−メトキシブチルアセテート)・・・60質量部
・光重合性モノマー
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬社製)・・・20質量部
・光重合開始剤
「OXE−02」(商品名:BASF社製)・・・10質量部
・上記一般式(1)で表される化合物
上記化合物1・・・10質量部
・着色剤
カーボン分散液「CFブラック」(商品名:御国色素株式会社製 固形分25% 溶剤:3−メトキシブチルアセテート)・・・400質量部
【0174】
上記樹脂(R−1)の合成法は下記の通りである。
まず、500ml四つ口フラスコ中に、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量235)235g、テトラメチルアンモニウムクロライド110mg、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール100mg、及びアクリル酸72.0gを仕込み、これに25ml/分の速度で空気を吹き込みながら90〜100℃で加熱溶解した。次に、溶液が白濁した状態のまま徐々に昇温し、120℃に加熱して完全溶解させた。この際、溶液は次第に透明粘稠になったが、そのまま撹拌を継続した。この間、酸価を測定し、1.0mgKOH/g未満になるまで加熱撹拌を続けた。酸価が目標値に達するまで12時間を要した。そして室温まで冷却し、無色透明で固体状の下記式(r−4)で表されるビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレートを得た。
【0175】
【化54】
【0176】
次いで、このようにして得られた上記のビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート307.0gに3−メトキシブチルアセテート600gを加えて溶解した後、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物80.5g及び臭化テトラエチルアンモニウム1gを混合し、徐々に昇温して110〜115℃で4時間反応させた。酸無水物基の消失を確認した後、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸38.0gを混合し、90℃で6時間反応させ、樹脂(R−1)を得た。酸無水物基の消失はIRスペクトルにより確認した。
なお、この樹脂(R−1)は、上記一般式(r−1)で表される化合物に相当する。
【0177】
[実施例2、比較例1〜6]
実施例2及び比較例2〜6では、化合物1の代わりにそれぞれ上記化合物3及び比較化合物1〜5を用いたほかは、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。また、比較例1では、化合物1を用いなかったほかは、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
【0178】
[評価]
実施例1、2、比較例1〜6のネガ型感光性樹脂組成物を、ガラス基板(100mm×100mm)上にスピンコーターを用いて塗布し、90℃で120秒間プリベークを行い、膜厚1.0μmの塗膜を形成した。次いで、ミラープロジェクションアライナー(製品名:TME−150RTO、株式会社トプコン製)を使用し、露光ギャップを50μmとして、5、10、15、20μmのラインパターンの形成されたネガマスクを介して、塗膜に紫外線を照射した。露光量は、10mJ/cm
2とした。露光後の塗膜を、26℃の0.04質量%KOH水溶液で40秒間現像後、230℃にて30分間ポストベークを行うことにより、ラインパターンを形成した。
【0179】
形成されたラインパターンを光学顕微鏡により観察し、パターン密着性を評価した。パターン密着性は、基板から剥がれずラインパターンが形成されたものを「良好」、基板から剥がれてラインパターンが形成されなかったものを「なし」として評価した。
結果を下記表3に示す。
【0180】
【表2】
【0181】
表3から分かるように、上記一般式(1)で表される化合物1及び3をそれぞれ含有する実施例1及び2のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、10mJ/cm
2という低露光量であっても、5μmのラインパターンが基板に密着した。
【0182】
これに対して、上記一般式(1)で表される化合物を含有しない比較例1のネガ型感光性樹脂組成物、及び、上記一般式(1)で表される化合物を含有せず、比較化合物1〜5をそれぞれ含有する比較例2〜6のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、表3から分かるように、パターン密着性が実施例1及び2より劣っており、良好な微小パターニング特性が得られなかった。