(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記乾燥工程が、前記回転型通気乾燥機を用いる一次乾燥と、その後の前記回転型通気乾燥機とは異なる二次乾燥機を用いる二次乾燥とを含む請求項1に記載のセルロースエーテルの製造方法。
前記回転型通気乾燥機に投入される含水セルロースエーテルが、前記含水率が60質量%を超え90質量%以下でヒドロキシプロポキシ基の置換度が5〜16質量%である低置換度ヒドロキシプロピルセルロースである請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロースエーテルの製造方法。
前記回転型通気乾燥機に投入される含水セルロースエーテルが、前記含水率が50質量%を超え90質量%以下である水溶性セルロースエーテルである請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロースエーテルの製造方法。
前記水溶性セルロースエーテルが、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、さらにヒドロキシアルキルアルキルセルロースからなる一群から選ばれる少なくとも一種類である請求項7又は請求項8に記載のセルロースエーテルの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施の形態は以下に示すとおりであるが、本発明の技術的思想の範囲において適宜変更を加えることも可能である。以下、本発明について詳しく説明する。
乾燥対象である含水セルロースエーテルは、含水率が50質量%を超え、好ましくは50質量%を超え90質量%以下であるセルロースエーテルであれば特に限定されないが、セルロースエーテルとしては、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース等の水溶性セルロースエーテルのほか、水に不溶で、吸水して膨潤するヒドロキシプロポキシ基の置換度が5〜16質量%である低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。
含水セルロースエーテルの含水率は、第十六改正日本薬局方に記載の一般試験法の乾燥減量試験法によって測定することができ、セルロースエーテルに対する水の割合ではなく、水とセルロースエーテル合計に対する水の割合である。
【0009】
含水セルロースエーテルは、好ましくはパルプとアルカリ金属水酸化物を反応させてアルカリセルロースを得る工程と、得られたアルカリセルロースとエーテル化剤を反応させて粗セルロースエーテルを得る工程と、得られた粗セルロースエーテルを必要に応じて酸を加えて中和する工程と、必要に応じて中和された粗セルロースエーテルを洗浄及び脱水する洗浄及び脱水工程とを含むセルロースエーテルの製造方法により得られるものである。得られた含水セルロースエーテルの乾燥に回転型通気乾燥機を好適に用いることができ、セルロースエーテルの製造方法における乾燥工程として組み込むことができる。
セルロースエーテルは、通常、原料となるパルプとアルカリ金属水酸化物を反応させてアルカリセルロースを得る工程と、得られたアルカリセルロースとエーテル化剤を反応させる工程と、その後の洗浄及び脱水(洗浄・脱水)工程と、乾燥工程とを経て製造されるが、乾燥工程の後、必要に応じて粉砕工程を含めてもよい。
【0010】
パルプは、木材パルプ、リンターパルプ等、通常セルロースエーテルの原料となるものを用いることができる。パルプは、シート状、チップ状又は粉末状であってもよい。
【0011】
アルカリセルロースの製造は、例えば、粉末状のパルプに撹拌下アルカリ金属水酸化物溶液を滴下またはスプレーする方法、シート状またはチップ状のパルプをアルカリ金属水酸化物溶液に浸漬後脱液する方法を用いることができる。
アルカリ金属水酸化物溶液は、パルプをアルカリセルロースにすることができれば特に限定されないが、経済的な理由から水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの水溶液が好ましい。
【0012】
得られたアルカリセルロースとエーテル化剤を反応させて粗セルロースエーテルを得る。セルロースエーテルを製造するのに有用なエーテル化剤は公知であり、特に制限はされないが、例えば、塩化メチル、塩化エチル等のハロゲン化アルキル、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド等が挙げられる。
【0013】
アルカリセルロースとエーテル化剤との反応生成物である粗セルロースエーテル中には、塩類、メタノール、プロピレングリコール類等の副生物が残存するため、水、好ましくは70〜100℃の熱水、または大気圧以上のスチームの少なくとも一方を用いて洗浄・脱水する。通常、この洗浄・脱水は、連続式回転型加圧濾過器、連続式水平型真空濾過器、水平テーブル型濾過器、または水平ベルト型濾過器等のいずれか一つに加え、加圧脱水機、真空脱水機、遠心脱水機、または圧搾式脱水機等のいずれか一つを組み合わせて連続的に行われる。
洗浄・脱水後の含水セルロースエーテルの含水率は、セルロースエーテルの性状及び洗浄・脱水機の処理能力等の観点から、通常水溶性セルロースエーテルの場合50質量%を超え90質量%以下、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの場合60質量%を超え90質量%以下となる。
洗浄・脱水後の繊維を含む含水セルロースエーテルの形態は、脱水の程度により柔泥状から固いケーキ状に変化し、含水率が高いほど粘着性が増し、さらに繊維質で強い凝集性を有する。
なお、含水セルロースエーテルが低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの場合には、前記エーテル化反応後であって、洗浄及び脱水工程前に、粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロース中に残存するアルカリを酢酸や塩酸等の酸で中和する工程を含むことが好ましい。
【0014】
次に、回転型通気乾燥機に関して説明する。付着しやすい材料をムラなく均一に乾燥させることが可能な乾燥機として、例えば回転型通気乾燥機が知られている。しかし、通常回転型通気乾燥機は、粉粒状、小塊状、フレーク状材料の乾燥に適用されているため、被乾燥原料が前記含水セルロースエーテルのように泥状やケーキ状を有し、繊維質で付着性の強い材料の場合は、前記回転型乾燥機のドラム内での転動によって雪ダルマのように大きな塊となり、乾燥不足や乾燥ムラが生じることが予想された。ところが、本発明者は、驚くべきことに回転型通気乾燥機を使用することにより、粘着性の強い含水セルロースエーテルを乾燥機の内部に付着成長、固化させずに、安定して熱効率よく連続乾燥処理することが可能であることを見出した。
回転型通気乾燥機は、対流伝熱型の乾燥機であり、円筒状の回転ドラムに投入された材料に熱風を通気させ、水分や揮発成分を蒸発させて乾燥させるものである。熱風と被乾燥原料の接触方法には、並流、向流、直交流等があるが、乾燥機への付着成長、固化防止の観点からは直交流が好ましい。回転型通気乾燥機の回転ドラムには、被乾燥原料を掻き上げて乾燥効率を高めるためのリフターが取り付けられていることが好ましい。回転ドラムの回転によるキルンアクション(具体的には、被乾燥原料が上下方向に回転遊動する。)効果で混合撹拌されながら乾燥される。リフターは、特に限定されないが、三角山(トライアングル)型や鎧戸型等が挙げられる。
【0015】
以下、本発明を図面に基づいてさらに詳しく説明する。
回転型通気乾燥機1は、両端が開口して外周面に複数の通気孔が穿設された円筒状の回転ドラム6と、回転ドラム6を内包する角柱状のケーシング8により主に構成されている。回転ドラム6の長手方向の一端には原料投入口2が、他端には乾燥品排出口3が開口形成されており、回転ドラム6内には、両端が開口し通気可能に網状で三角状の山形をなすトライアングルリフター7が、回転ドラム6の内周面に嵌合されるように内設されている。また、ケーシング8の側面下部には熱風吹込口4が開口形成されており、熱風は回転ドラム6及びトライアングルリフター7の直径方向の下方から上方に通気孔を介して貫流し、ケーシング8上部の排気口5より排気される。
【0016】
回転型通気乾燥機1を用いた含水セルロースエーテルの乾燥方法は、まず回転型通気乾燥機1を運転し、回転ドラム6を回転させ、熱風吹込口4から熱風を回転ドラム6内に吹き込み、次いで被乾燥原料である含水セルロースエーテルを原料投入口2より回転ドラム6内に投入する。投入された被乾燥原料9は、回転ドラム6の回転及びトライアングルリフター7によるキルンアクションにより、ムラなく混合、乾燥されながら順次出口側に移動し、乾燥品排出口3より排出される。熱風は回転ドラム6の側面下方より通気孔を介して被乾燥原料9層を通り、回転ドラム6及びトライアングルリフター7を直径方向に下方から上方に貫流し、排気口5より排気される。被乾燥原料9は回転ドラム6の通気孔からの熱風吹き込みと回転によるキルンアクションの相乗効果により、乾燥機内壁面に付着成長、固化することなく、穏やかに混合、乾燥され排出される。
【0017】
回転ドラムの周速は、特に限定されないが、乾燥効率、乾燥品回収率及びキルンアクションによる混合、均一乾燥の効果等の観点から、好ましくは周速0.01〜1.00m/秒であり、より好ましくは周速0.1〜0.5m/秒である。
【0018】
熱風温度は、特に限定されないが、乾燥能力及び乾燥原料の変色(品質)等の観点から、好ましくは常温(20±15℃)〜175℃、より好ましくは80〜160℃である。
回転ドラムへの熱風吹き込み風速、具体的には回転ドラム側面の有効伝熱面に吹き込む熱風の有効通気風速は、特に限定されないが、乾燥能力及び乾燥品の回収率等の観点から、好ましくは0.5〜2.0m/秒、より好ましくは0.8〜1.5m/秒である。
【0019】
回転ドラム及びリフターの材質は、特に限定されないが、耐食性、耐熱性、加工性及び強度に優れ、さらにメンテナンスが容易である等の点で、ステンレス製が好ましい。また、ステンレス表面に付着防止用のコーティング等の処理を施す場合があるが、コーティング材が剥がれ、異物として乾燥品に混入し品質の低下を招く恐れがあるため、コーティング等の処理は施さない方がより好ましい。
【0020】
リフターの通気孔径は、特に限定されないが、乾燥品の回収率及び吹き込む熱風の圧力損失等の観点から、好ましくは0.1〜1.5mm、より好ましくは0.5〜1.0mmである。
リフターの大きさは、特に限定されないが、回転ドラムの内面全体に設けるのが好ましい。
【0021】
含水セルロースエーテルを目的とする水分まで乾燥する場合、回転型通気乾燥機にて一次乾燥した後、さらに、前記回転型乾燥機より熱効率のよい二次乾燥機にて乾燥させることにより、熱効率が向上し、乾燥に必要なスチーム等の熱媒体使用量を好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上低減することができる。
一般的に、セルロースエーテルの製造工程の全熱媒体使用量のうち乾燥工程における熱媒体使用量の占める割合は非常に大きく、前記乾燥工程における熱媒体使用量の低減が製造コストの低減に寄与する。
【0022】
二次乾燥機としては、溝型撹拌乾燥機、円筒撹拌乾燥機、水蒸気管付回転乾燥機等が挙げられるが、乾燥機の熱効率及び保有率等の観点から、溝型撹拌乾燥機が好ましい。溝型撹拌乾燥機は、容器内で回転翼を加熱しながら回転させて撹拌する乾燥機であり、例えば特開2010−132920号公報に記載されている。
二次乾燥機に投入される含水セルロースエーテルの含水率は、水溶性セルロースエーテルの場合35〜50質量%、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの場合40〜60質量%が好ましい。水溶性セルロースエーテル及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースエーテルともに、含水率が35質量%未満及び40質量%未満の水分量では、乾燥機内で過乾燥になりやすく、乾燥品が焦げる場合があり、含水率が50質量%及び60質量%を超えると、乾燥機内部の伝熱部に被乾燥原料が付着成長、固化し、伝熱面積の減少により乾燥能力が低下するうえ、付着物の過乾燥品が不規則に剥離して製品に異物として混入し、品質の低下を招く場合がある。
【0023】
回転型通気乾燥機にて一次乾燥した後、さらに二次乾燥機にて乾燥させる方法において、熱効率のよい二次乾燥機での乾燥負荷が大きいほど熱効率は向上し、少なくとも回転型通気乾燥機にて付着限界含水率まで一次乾燥した後、さらに二次乾燥機にて乾燥させる場合が最も熱効率よく乾燥処理することができる。付着限界含水率とは、二次乾燥機による乾燥処理において、乾燥機内部に付着成長、固化が生じない含水セルロースエーテルの含水率上限である。すなわち、水溶性セルロースエーテルの場合50質量%、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの場合60質量%である。
【0024】
このようにして得られた乾燥後のセルロースエーテルの含水率は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下である。
【0025】
本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であり前記構成に限定されるものではない。
例えば、前記
図1は回転ドラム6内に吹き込まれた熱風が回転ドラム6内を直径方向に下方から上方に貫流し、乾燥品排出口3とは構造上別にケーシング8上部に熱風の排気口5を構成したものを示したが、排気口5を単独で設けず、乾燥品排出口3を排気口として共用することにより乾燥品を熱風とともに空気輸送することも可能であり、システムの簡便化、配置制約の緩和、さらにコスト削減を図ることができる。
【実施例】
【0026】
以下、本発明を実施例及び比較例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
シート状のパルプを43質量%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬した後、圧搾することにより余剰の水酸化ナトリウム水溶液を除去し、アルカリセルロースを得た。得られたアルカリセルロースの水酸化ナトリウム成分/パルプ中の固体成分質量比は0.55だった。得られたアルカリセルロースを、セルロース分として100質量部を内部撹拌型加圧反応器に仕込み、機内を十分に窒素置換した後、プロピレンオキサイド24質量部を加えて反応させ、ヒドロキシプロポキシ基の置換度が10.7質量%(無水グルコース単位あたりの置換モル数:0.25)の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを得た。得られた粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを20質量%の塩酸による中和後、洗浄・脱水し、含水率80質量%の被乾燥原料である含水低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを得た。
この含水率80質量%の被乾燥原料を回転型通気乾燥機(大川原製作所社製ロートスルーSRTA−2型)を使用し、回転ドラムの周速を0.3m/秒、150℃の熱風の有効通気風速1.5m/秒で回転ドラム内へ吹き込みながら、12kg/時で投入し、2時間運転した。運転中、乾燥機内部に被乾燥原料の付着成長、固化はみられず、乾燥品の含水率は5質量%以下であり、安定して連続乾燥処理できた。なお、本実施例で使用した回転ドラム及びトライアングルリフターの材質はステンレス製であり、トライアングルリフターの通気孔径が0.7mmのものを使用した。
【0027】
比較例1
実施例1と同様にして得られた含水率80質量%の被乾燥原料を溝型撹拌乾燥機(奈良機械製作所社製パドルドライヤーNPD−1.6W型)を使用し、スチーム圧力0.4MPaGで加熱しながら、12kg/時で投入し2時間運転した。運転中の乾燥品の含水率は5質量%以下であったが、乾燥機内部の被乾燥原料投入付近の伝熱部、具体的には撹拌翼全体に被乾燥原料の激しい付着成長、固化がみられた。
【0028】
比較例2
実施例1と同様にして得られた含水率80質量%の被乾燥原料を気流乾燥機(アルテンバーガー社製ウルトラローターUR−II型)を使用し、150℃の熱風を15m
3/分で加熱しながら、24kg/時で投入し1時間運転した。乾燥品の含水率は5質量%以下であったが、運転後、乾燥機の内部を点検したところ内壁及びローター部に付着がみられた。
【0029】
実施例2
実施例1と同様にして得られた含水率80質量%の被乾燥原料を回転型通気乾燥機(大川原製作所社製ロートスルーSRTA−2型)を使用し、回転ドラムの周速を0.3m/秒、150℃の熱風の有効通気風速1.5m/秒で回転ドラム内へ吹き込みながら、24kg/時で投入して一次乾燥した後、さらに溝型撹拌乾燥機(奈良機械製作所製パドルドライヤーNPD−1.6W型)を使用し、スチーム圧力0.4MPaGで加熱しながら、24kg/時で投入し二次乾燥した。運転中、両乾燥機とも乾燥機内部に被乾燥原料の付着成長、固化はみられず、一次乾燥品の含水率は57質量%、二次乾燥品の含水率は5質量%以下と安定して連続乾燥処理できた。
また、運転が安定した状態で単位質量当たりの乾燥品を得るために使用したスチームの使用量は、実施例1の回転型通気乾燥機のみで乾燥処理したスチームの使用量を1とした場合、実施例2のスチームの使用量は0.83倍であった。熱効率の良い伝導伝熱型の溝型撹拌乾燥機を併用することでスチーム使用量が低減した。
【0030】
実施例3
シート状のパルプを49質量%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬した後、圧搾することにより余剰の水酸化ナトリウム水溶液を除去し、アルカリセルロースを得た。得られたアルカリセルロースの水酸化ナトリウム成分/パルプ中の固体成分質量比は0.70だった。得られたアルカリセルロースを、セルロース分として100質量部を内部撹拌型加圧反応器に仕込み、真空引き後、塩化メチル115質量部、プロピレンオキサイド24質部を加えて反応させ、ヒドロキシプロポキシ基の置換度が7.7質量%、メトキシ基の置換度が23.9質量%の粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。得られた粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを洗浄・脱水し、含水率65質量%の被乾燥原料である含水水溶性ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。
この含水率65質量%の被乾燥原料を回転型通気乾燥機(大川原製作所社製ロートスルーSRTA−2型)を使用し、回転ドラムの周速を0.3m/秒、150℃の熱風の有効通気風速1.5m/秒で回転ドラム内へ吹き込みながら、24kg/時で投入し、1時間運転した。運転中、乾燥機内部に被乾燥原料の付着成長、固化はみられず、乾燥品の含水率は5質量%以下であり、安定して連続乾燥処理できた。なお、本実施例で使用した回転ドラム及びトライアングルリフターの材質はステンレス製であり、トライアングルリフターの通気孔径が0.7mmのものを使用した。
【0031】
比較例3
実施例3と同様にして得られた含水率65質量%の被乾燥原料を溝型撹拌乾燥機(奈良機械製作所社製パドルドライヤーNPD−1.6W型)を使用し、スチーム圧力0.4MPaGで加熱しながら、24kg/時で投入し1時間運転した。運転中の乾燥品の含水率は5質量%以下であったが、乾燥機内部の被乾燥原料投入付近の伝熱部、具体的には撹拌翼全体に被乾燥原料の付着成長、固化がみられた。
【0032】
実施例4
実施例3と同様にして得られた含水率65質量%の被乾燥原料である含水水溶性ヒドロキシプロピルメチルセルロースを回転型通気乾燥機(大川原製作所社製ロートスルーSRTA−2型)を使用し、回転ドラムの周速を0.3m/秒、150℃の熱風の有効通気風速1.5m/秒)で回転ドラム内へ吹き込みながら、48kg/時で投入して一次乾燥した後、さらに溝型撹拌乾燥機(奈良機械製作所製パドルドライヤーNPD−1.6W型)を使用し、スチーム圧力0.4MPaGで加熱しながら、48kg/時で投入し二次乾燥した。運転中、両乾燥機とも乾燥機内部に被乾燥原料の付着成長、固化はみられず、一次乾燥品の含水率は44質量%、二次乾燥品の含水率は5質量%以下と安定して連続乾燥処理できた。
また、運転が安定した状態で単位質量当たりの乾燥品を得るために使用したスチームの使用量は、実施例3の回転型通気乾燥機のみで乾燥処理したスチームの使用量を1とした場合、実施例4のスチームの使用量は0.79倍であった。