特許第6346036号(P6346036)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6346036蛍光X線分析装置及びその測定位置調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6346036
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】蛍光X線分析装置及びその測定位置調整方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/223 20060101AFI20180611BHJP
【FI】
   G01N23/223
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-182919(P2014-182919)
(22)【出願日】2014年9月9日
(65)【公開番号】特開2016-57139(P2016-57139A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2017年8月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503460323
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクサイエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100120396
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】八木 勇夫
【審査官】 越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−052817(JP,A)
【文献】 特開2002−039975(JP,A)
【文献】 特開平02−146783(JP,A)
【文献】 特開2006−329944(JP,A)
【文献】 米国特許第06345086(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00−23/227
G01B 15/00−15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を設置可能な試料台と、
前記試料に対して一次X線を照射するX線源と、
前記一次X線を照射された前記試料から発生する蛍光X線を検出する検出器と、
前記試料台の一定の視野領域を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像した前記視野領域を表示するディスプレイ部と、
前記ディスプレイ部において表示する前記視野領域に映り込まない範囲であって前記試料台の前記視野領域の近傍に可視光を照射するポインタ照射部とを備え、
前記撮像部が、前記視野領域の大きさを変更可能であり、
前記ポインタ照射部が、前記視野領域の大きさに合わせて前記可視光の照射位置を変更可能であり、
前記試料に対するX線照射の位置決めを行う際に、前記視野領域に前記可視光が映り込まないことを特徴とする蛍光X線分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の蛍光X線分析装置において、
前記ポインタ照射部が、前記可視光としてレーザ光を照射することを特徴とする蛍光X線分析装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の蛍光X線分析装置において、
前記ポインタ照射部が、前記視野領域の両側にそれぞれ前記可視光を照射することを特徴とする蛍光X線分析装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれか一項に記載の蛍光X線分析装置において、
前記可視光が、前記視野領域の外周の少なくとも一部に沿った略線状とされていることを特徴とする蛍光X線分析装置。
【請求項5】
請求項1からのいずれか一項に記載の蛍光X線分析装置において、
前記視野領域が、略矩形状とされ、
前記ポインタ照射部が、前記視野領域の四隅又は四辺の近傍にそれぞれ前記可視光を照射することを特徴とする蛍光X線分析装置。
【請求項6】
試料台に設置された試料を視野領域の大きさが変更可能な撮像部で撮像し、該撮像した画像をディスプレイ部に表示させ、前記試料に対するX線照射の位置合わせを行った後、測定または分析を行う蛍光X線分析装置の測定位置調整方法であって、
前記ディスプレイ部において表示する前記視野領域に映り込まない範囲であって、前記視野領域の大きさに合わせて可視光の照射位置を変更して前記試料台の前記視野領域の近傍に前記可視光を照射し粗位置決めを行う粗調整工程と、
前記撮像部で撮像した画像を前記ディスプレイ部に表示する表示工程と、
前記表示工程で表示された前記画像に基づいて前記粗位置決めよりも詳細な位置決めを行う微調整工程とを有し、
前記微調整工程で、前記視野領域に前記可視光が映り込まないことを特徴とする蛍光X線分析装置の測定位置調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害物質の検出等が可能で製品のスクリーニング等あるいはメッキ等の膜厚測定に使用される蛍光X線分析装置及びその測定位置調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光X線分析は、X線源から出射されたX線を試料に照射し、試料から放出される特性X線である蛍光X線をX線検出器で検出することで、そのエネルギーからスペクトルを取得し、試料の定性分析若しくは定量分析又は膜厚測定を行うものである。この蛍光X線分析は、試料を非破壊で迅速に分析可能なため、工程・品質管理などで広く用いられている。近年では、高精度化・高感度化が図られて微量測定が可能になり、特に材料や複合電子部品などに含まれる有害物質の検出を行う分析手法として普及が期待されている。
【0003】
従来、このような蛍光X線分析の装置では、操作者が試料台上の所定の位置に試料を設置して測定を行っているが、このとき試料台上の試料を置く位置を示すために、レーザ光やスポットライトが設置位置に照射されている。操作者は、このレーザ光やスポットライトが照射された位置を目視で確認し、試料の粗位置決めを行い、その後、試料の測定位置を観察用カメラなどの撮像装置からの画像で試料表面を観察し、試料の詳細な位置決めを行って、所望の箇所の分析又は測定を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−329944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、上記従来の蛍光X線分析装置のように、試料の設置位置にレーザ光やスポットライトを照射し、これを粗位置決めの目印とする方法では、設置位置を拡大表示している撮像装置の画像には、レーザ光やスポットライトの光が映り込み、試料表面が観察し辛くなり、詳細な位置決め作業が煩雑になってしまうという不都合があった。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、粗位置決めが容易であると共に詳細な位置決め作業の際に位置決め用の光が画像に映り込むことがない蛍光X線分析装置及びその測定位置調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係る蛍光X線分析装置は、試料を設置可能な試料台と、前記試料に対して一次X線を照射するX線源と、前記一次X線を照射された前記試料から発生する蛍光X線を検出する検出器と、前記試料台の一定の視野領域を撮像する撮像部と、前記撮像部で撮像した前記視野領域を表示するディスプレイ部と、前記ディスプレイ部において表示する前記視認領域に映り込まない範囲であって前記試料台の前記視野領域の近傍に可視光を照射するポインタ照射部とを備えている。
【0008】
この蛍光X線分析装置では、ディスプレイ部において表示する視認領域に映り込まない範囲であって試料台の視野領域の近傍に可視光を照射するポインタ照射部を備えているので、試料台に照射された可視光を目印に粗位置決めを行うことができると共に、その後に詳細な位置決めを行う際には、ディスプレイ部の画面に表示される視野領域には可視光が映り込まないため、画質の劣化や可視光による妨害のない試料表面の画像が表示される。
【0009】
第2の発明に係る蛍光X線分析装置は、第1の発明において、前記ポインタ照射部が、前記可視光としてレーザ光を照射することを特徴とする。
すなわち、この蛍光X線分析装置では、ポインタ照射部が、可視光としてレーザ光を照射するので、視認性が高く、粗位置決めがより容易となる。
【0010】
第3の発明に係る蛍光X線分析装置は、第1又は第2の発明において、前記ポインタ照射部が、前記視野領域の両側にそれぞれ前記可視光を照射することを特徴とする。
すなわち、この蛍光X線分析装置では、ポインタ照射部が、視野領域の両側にそれぞれ可視光を照射するので、試料台に照射された2つの可視光の間に位置を合わせることで、より容易に粗位置決めすることが可能になる。
【0011】
第4の発明に係る蛍光X線分析装置は、第1から第3の発明のいずれかにおいて、前記撮像部が、前記視野領域の大きさを変更可能であり、前記ポインタ照射部が、前記視野領域の大きさに合わせて前記可視光の照射位置を変更可能であることを特徴とする。
すなわち、この蛍光X線分析装置では、ポインタ照射部が、視野領域の大きさに合わせて可視光の照射位置を変更可能であるので、視野領域がデジタルズーム等で拡大又は縮小されても、これに対応した照射位置に変更される可視光を目印にすることで、粗位置決めが容易になる。
【0012】
第5の発明に係る蛍光X線分析装置は、第1から第4の発明のいずれかにおいて、前記可視光が、前記視野領域の外周の少なくとも一部に沿った略線状とされていることを特徴とする。
すなわち、この蛍光X線分析装置では、可視光が、視野領域の外周の少なくとも一部に沿った略線状とされているので、試料台に照射された略線状の可視光を目安にして視野領域の外周を把握し易くなる。
【0013】
第6の発明に係る蛍光X線分析装置は、第1から第5の発明のいずれかにおいて、前記視野領域が、略矩形状とされ、前記ポインタ照射部が、前記視野領域の四隅又は四辺の近傍にそれぞれ前記可視光を照射することを特徴とする。
すなわち、この蛍光X線分析装置では、ポインタ照射部が、略矩形状の視野領域の四隅又は四辺の近傍にそれぞれ可視光を照射するので、略矩形状の視野領域が4つの可視光で囲まれることになり、視野領域の位置及び大きさを容易に把握することができる。
【0014】
第7の発明に係る蛍光X線分析装置の測定位置調整方法は、試料台に設置された試料を撮像部で撮像し、該撮像した画像をディスプレイ部に表示させ、前記試料に対するX線照射の位置合わせを行った後、測定または分析を行う蛍光X線分析装置の試料表示方法であって、前記ディスプレイ部において表示する前記視認領域に映り込まない範囲であって前記試料台の前記視野領域の近傍に可視光を照射し粗位置決めを行う粗調整工程と、前記撮像部で撮像した画像を前記ディスプレイ部に表示する表示工程と、前記表示工程で表示された前記画像に基づいて前記粗位置決めよりも詳細な位置決めを行う微調整工程とを有していることを特徴とする。
【0015】
第8の発明に係る蛍光X線分析装置の測定位置調整方法は、第7の発明において、前記粗調整工程において、前記撮像部が撮像する前記視野領域の大きさが変更可能であり、前記視野領域の大きさに合わせて前記可視光の照射位置を変更可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る蛍光X線分析装置及びその測定位置調整方法によれば、ポインタ照射部で、ディスプレイ部において表示する前記視認領域に映り込まない範囲であって試料台の視野領域の近傍に可視光を照射するので、試料台に照射された可視光を目印に粗位置決めを行うことができると共に、その後に詳細な位置決めを行う際には、ディスプレイ部の画面に表示される視野領域には可視光が映り込まないため、画質の劣化や可視光による妨害のない試料表面の画像が表示される。したがって、撮像部による画像をディスプレイ部で見ながら詳細な位置決めをストレスなく行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る蛍光X線分析装置及びその測定位置調整方法の第1実施形態を示す概略的な全体構成図である。
図2】第1実施形態において、撮像部とポインタ照射部と試料台とを示す正面図である。
図3】第1実施形態において、視野領域と可視光との位置関係を示す平面図である。
図4】本発明に係る蛍光X線分析装置及びその測定位置調整方法の第2実施形態において、撮像部とポインタ照射部と試料台とを示す正面図である。
図5】第2実施形態において、視野領域と可視光との位置関係を示す平面図である。
図6】本発明に係る蛍光X線分析装置及びその測定位置調整方法の第3実施形態において、撮像部とポインタ照射部と試料台とを示す正面図である。
図7】第3実施形態において、視野領域と可視光との位置関係を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る蛍光X線分析装置及びその測定位置調整方法の第1実施形態を、図1から図3を参照しながら説明する。
【0019】
本実施形態の蛍光X線分析装置1は、図1から図3に示すように、試料Sを設置可能な試料台2と、試料台2を移動可能な試料移動機構3と、試料Sに対して一次X線X1を照射するX線源4と、一次X線X1を照射された試料Sから発生する蛍光X線X2を検出する検出器5と、試料台2上の一定の視野領域Aを撮像する撮像部6と、撮像部6で撮像した視野領域Aを表示するディスプレイ部7と、ディスプレイ部7において表示する視認領域Aに映り込まない範囲であって試料台2上の視野領域Aの近傍に可視光Lを照射するポインタ照射部8とを備えている。
【0020】
上記ポインタ照射部8は、可視光Lとして波長が可視光域のレーザ光を照射する一対のレーザ光照射機構8aを備えている。例えば、レーザ光照射機構8aは、赤色レーザ光を照射可能である。このレーザ光照射機構8aは、視野領域Aの両端から所定距離だけ離間した近傍にレーザ光である可視光Lをスポット状に照射する。
【0021】
上記撮像部6は、視野領域Aの大きさを変更可能であり、上記ポインタ照射部8は、視野領域Aの大きさに合わせて可視光Lの照射位置を変更可能である。すなわち、一対のレーザ光照射機構8aは、可視光Lの互いの間隔を調整する光学系等の機構(図示略)が設けられており、撮像部6が視野領域Aの大きさを変更にした際に、変更した大きさに対応して視野領域Aの両側に一対の可視光Lが照射されるように、可視光Lの間隔を調整可能とされている。
【0022】
また、上記蛍光X線分析装置1は、試料移動機構3,X線源4,検出器5,撮像部6及びポインタ照射部8を制御する制御部9と、検出器5に接続され検出器5からの信号を分析する分析器10と、X線源4,検出器5,撮像部6,ポインタ照射部8,試料台2及び試料移動機構3を収納する筐体11とを備えている。
【0023】
上記試料台2は、試料Sが載置可能であり、少なくとも平面方向(X方向及びY方向)に進退可能なXYステージである試料移動機構3上に設置されている。
上記撮像部6は、CCD等を搭載した観察用カメラであり、試料台2の上方に設置されており、試料台2上の試料Sを撮像可能である。
上記ポインタ照射部8は、視野領域Aの両側にそれぞれ可視光Lを照射するように設定されている。すなわち、一対のレーザ光照射機構8aが、撮像部6の両側に設置されており、下方の試料台2上に一対の可視光Lを平行光として照射するように配されている。
【0024】
上記X線源4は、一次X線X1を照射可能なX線管球であって、管球内のフィラメント(陰極)から発生した熱電子がフィラメント(陰極)とターゲット(陽極)との間に印加された電圧により加速されターゲットのW(タングステン)、Mo(モリブデン)、Cr(クロム)などに衝突して発生したX線を一次X線X1としてベリリウム箔などの窓から出射するものである。
【0025】
上記検出器5は、X線入射窓(図示略)に設置されている半導体検出素子(例えば、pin構造ダイオードであるSi(シリコン)素子)(図示略)を備え、X線光子1個が入射すると、このX線光子1個に対応する電流パルスが発生するものである。この電流パルスの瞬間的な電流値が、入射した特性X線のエネルギーに比例している。また、検出器5は、半導体検出素子で発生した電流パルスを電圧パルスに変換、増幅し、信号として出力するように設定されている。
【0026】
上記分析器10は、上記信号から電圧パルスの波高を得てエネルギースペクトルを生成する波高分析器(マルチチャンネルアナライザー)である。
上記制御部9は、CPU等で構成されたコンピュータであり、ディスプレイ部7等にも接続され、分析結果をディスプレイ部7に表示する機能を有している。
【0027】
次に、本実施形態のX線分析装置1を用いた測定位置調整方法について説明する。
本実施形態の測定位置調整方法は、まず試料台2を動かして視野領域A内に試料Sを移動させる粗位置決めを行う。この際、図3に示すように、ポインタ照射部8の一対のレーザ光照射機構8aから一対の可視光L(レーザ光)を試料台2上に照射する。一対の可視光Lは、視野領域Aの近傍であって視野領域Aの両側に照射される。
目視で一対の可視光Lを確認しながら、一対の可視光Lを目安にしてその間に試料Sが位置するように試料移動機構3により試料台2を動かして粗位置決めを行う。次に、撮像部6によりディスプレイ部7に映し出された視野領域Aを見ながら詳細な位置決めを行い、その後、X線源4からX線照射を行って分析又は測定を行う。
【0028】
このように本実施形態の蛍光X線分析装置1では、ディスプレイ部7において表示する視認領域Aに映り込まない範囲であって試料台2上の視野領域Aの近傍に可視光Lを照射するポインタ照射部8を備えているので、試料台2上に照射された可視光Lを目印に粗位置決めを行うことができると共に、その後に詳細な位置決めを行う際には、ディスプレイ部7の画面に表示される視野領域Aには可視光Lが映り込まないため、画質の劣化や可視光による妨害のない試料表面の画像が表示される。
【0029】
また、ポインタ照射部8が、可視光Lとしてレーザ光を照射するので、視認性が高く、粗位置決めがより容易となる。
また、ポインタ照射部8が、視野領域Aの両側にそれぞれ可視光Lを照射するので、試料台2上に照射された2つの可視光Lの間に位置を合わせることで、より容易に粗位置決めすることが可能になる。
さらに、ポインタ照射部8が、視野領域Aの大きさに合わせて可視光Lの照射位置を変更可能であるので、視野領域Aがデジタルズーム等で拡大又は縮小されても、これに対応した照射位置に変更される可視光Lを目印にすることで、粗位置決めが容易になる。
【0030】
次に、本発明に係る蛍光X線分析装置及びその測定位置調整方法の第2及び第3実施形態について、図4から図7を参照して以下に説明する。なお、以下の各実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0031】
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、ポインタ照射部8が一対の可視光Lを試料台2に照射しているのに対し、第2実施形態の蛍光X線分析装置では、図4及び図5に示すように、ポインタ照射部8が4つの可視光Lを試料台2に照射している点である。すなわち、第2実施形態では、ポインタ照射部8が4つのレーザ光照射機構8aを備えており、視野領域Aの四隅又は四辺の近傍にそれぞれ可視光Lを照射するように設定されている。
【0032】
4つのレーザ光照射機構8aは、撮像部6を囲むように撮像部6の周囲に設置されており、例えば、図5の(a)に示すように、略矩形状の視野領域Aの各辺の近傍にそれぞれ可視光Lが照射されるように配置されている。また、図5の(b)に示すように、略矩形状の視野領域Aの四隅の近傍にそれぞれ可視光Lが照射されるように4つのレーザ光照射機構8aが配置されている。
このように第2実施形態の蛍光X線分析装置では、ポインタ照射部8が、略矩形状の視野領域Aの四隅又は四辺の近傍にそれぞれ可視光Lを照射するので、略矩形状の視野領域Aが4つの可視光Lで囲まれることになり、視野領域Aの位置及び大きさを容易に把握することができる。
【0033】
次に、第3実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態ではポインタ照射部8による可視光Lが試料台2に点状に照射されるのに対し、第3実施形態の蛍光X線分析装置では、図6及び図7に示すように、ポインタ照射部38による可視光Lが視野領域Aの外周の少なくとも一部に沿った略線状とされている点である。すなわち、第3実施形態では、図7に示すように、矩形状の視野領域Aの両辺に沿った略線状の可視光Lが矩形状の視野領域Aの両側の近傍に照射される。
【0034】
ポインタ照射部38のレーザ光照射機構38aは、照射するレーザ光をレンズ等の光学系により長軸が短軸より大幅に長い楕円形状に成形させて試料台2上に略線状の可視光Lとして照射するように設定されている。特に、略線状とされた可視光Lの長さは、対向する視野領域Aの辺の長さと同じに設定している。
このように第3実施形態の蛍光X線分析装置では、可視光Lが、視野領域Aの外周の少なくとも一部に沿った略線状とされているので、試料台2上に照射された略線状の可視光Lを目安にして視野領域Aの外周を把握し易くなる。
【0035】
なお、本発明の技術範囲は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0036】
例えば、上記実施形態では、波高分析器でX線のエネルギーと強度とを測定するエネルギー分散方式の蛍光X線分析装置に適用したが、蛍光X線を分光結晶により分光し、X線の波長と強度を測定する波長分散方式の蛍光X線分析装置に適用しても構わない。
また、上記各実施形態では、可視光としてレーザ光を採用したが、スポットライトを採用しても構わない。
また、図1ではX線源,検出器及び撮像部など主要な構成要素を試料台の上方に配置しているが、試料台の下方に配置し、試料の下側を分析または測定しても構わない。また、検出器については、真空管タイプのものなどでも構わない。更に、試料台は平面方向に進退可能としたが、平面方向への進退不可な固定型であってもよい。
【符号の説明】
【0037】
1…蛍光X線分析装置、2…試料台、3…試料移動機構、4…X線源、5…検出器、6…撮像部、6…撮像部、7…ディスプレイ部、8…ポインタ照射部、9…制御部、A…視野領域、L…可視光、S…試料、X1…一次X線、X2…蛍光X線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7