【実施例】
【0075】
本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下に本実施例、比較例における評価方法を記載する。
【0076】
(1)金属微粒子(P1)の一次粒子径の測定方法
実施例1〜12、及び比較例1〜8における、「一次粒子径の範囲」は、走査型電子顕微鏡(SEM(Scanning Electron Microscope))を使用した観察により、任意に100個の観察可能な微粒子の一次粒子径の測定値の範囲であり、「微粒子の平均一次粒子径」とは数平均粒子径である。観察用試料の調製は、エタノールに分散した微粒子をフィルターに通過させながら溶媒を乾燥除去した後、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。
【0077】
(2)金属微粒子(P1)の金属組成の同定方法
走査型電子顕微鏡に付属のエネルギー分散型X線分光装置(SEM−EDX)を使用して、微粒子に対して金属組成の分析を実施した。また、X線回折測定装置((株)リガク製、型式:Geigerflex RAD-A)を用いた、X線源としてCuKαを用いたX線回折測定による微粒子の基本的な結晶構造分析も必要に応じて行った。
【0078】
(3)金属微粒子(P1)表面の有機化合物の同定方法
金属微粒子(P1)表面の有機化合物の同定は、顕微ラマン分光装置((株)東京インスツルメンツ製、型式:Nanofinder@30)とフーリエ変換赤外分光光度計(日本分光(株)製、型式:FT/IR−4100)を用いて解析した。なお、顕微ラマン分光装置では必要に応じて、局在表面プラズモン共鳴によってラマン散乱強度を高めることが可能なナノサイズの凹凸構造体(Ag又はCu)に試料を塗布して解析した。また、被覆物である有機化合物の含有量は、炭素・硫黄分析計((株)堀場製作所製、型式:EMIA−920V2)を用いて、金属微粒子(P1)中における有機化合物の割合([有機化合物/金属微粒子(P1)]×100(質量%))を求めた。ただし、測定値が作成した検量線や分析装置の検出限界を下回る場合には、原則的に測定対象の物質は未検出として算出した。
【0079】
[実施例1]
表1に示すように、金属微粒子(P1)として電解還元反応により生成した銅微粒子、低融点金属粉(P2)としてスズ粉末(100%Sn)、活性化剤(A)として亜りん酸トリオクチルが含まれるように金属粒子含有組成物を調製した。
【0080】
(1)銅微粒子の調製
金属元素である銅の供給源として酢酸銅(II)の1水和物((CH
3COO)
2Cu・1H
2O)200g、及びアルカリ金属イオンとして酢酸ナトリウムの3水和物(CH
3COONa・3H
2O)13.6gを使用して、還元反応水溶液10Lを調製した。該還元反応水溶液のpHは約5.5であった。
【0081】
次に、この溶液中でSUS304製棒陰極(カソード電極)と白金板陽極(アノード電極)との間を浴温25℃で、電流密度15A/dm
2で15分間通電して、カソード外表面付近に銅微粒子を析出させた。還元反応終了後の反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、エタノール洗浄と水洗浄して溶媒を乾燥除去した後、5gの銅微粒子を得た。
【0082】
(2)生成した銅微粒子の評価
(イ)銅微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、生成した銅微粒子の一次粒子径は、20〜400nmの範囲で、平均一次粒子径は55nmであった。また、該銅微粒子に対してエネルギー分散型X線分析装置(EDX)による分析を行ったところ、金属組成は、銅100質量%であった。
【0083】
(ロ)銅微粒子の被覆物の同定
上記(1)で得られた銅微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、有機化合物に帰属する明瞭なピークは検出されなかった。
【0084】
(3)金属粒子含有組成物の調製
上記(1)で得られた平均一次粒径55nmの銅微粒子2.7g、平均一次粒径5μmのスズ粉末10.8g、亜りん酸トリオクチル1.5gを窒素雰囲気下で混合して、乳鉢と乳棒による混練処理を施すことで金属粒子含有組成物を調製した。
【0085】
[実施例2]
表1に示すように、金属微粒子(P1)として電解還元反応により生成した銅微粒子、低融点金属粉(P2)としてスズ粉末(100%Sn)、金属粉(P3)として銅粉末(100%Cu)、活性化剤(A)として亜りん酸トリフェニルが含まれるように金属粒子含有組成物を調製した。
【0086】
(1)銅微粒子の調製
金属元素である銅の供給源として酢酸銅(II)の1水和物((CH
3COO)
2Cu・1H
2O)200g、及びアルカリ金属イオンとして酢酸ナトリウムの3水和物(CH
3COONa・3H
2O)13.6gを使用して、還元反応水溶液10Lを調製した。この還元反応水溶液のpHは約5.5であった。
【0087】
次にこの溶液中でSUS304製棒陰極(カソード電極)と白金板陽極(アノード電極)との間を浴温40℃で、電流密度10A/dm
2で15分間通電して、カソード外表面付近に銅微粒子を析出させた。還元反応終了後の反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、エタノール洗浄と水洗浄して溶媒を乾燥除去した後、5gの銅微粒子を得た。
【0088】
(2)生成した銅微粒子の評価
(イ)銅微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、生成した銅微粒子の一次粒子径は、80〜500nmの範囲で、平均一次粒子径は200nmであった。また、銅微粒子に対してエネルギー分散型X線分析装置(EDX)による分析を行ったところ、金属組成は、銅100質量%であった。
【0089】
(ロ)銅微粒子の被覆物の同定
得られた銅微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、有機化合物に帰属する明瞭なピークは検出されなかった。
【0090】
(3)金属粒子含有組成物の調製
得られた平均一次粒径200nmの銅微粒子2.7g、平均一次粒径1μmの銅粉末0.3g、平均一次粒径5μmのスズ粉末10.8g、亜りん酸トリフェニル1.5gを窒素雰囲気下で混合して、乳鉢と乳棒による混練処理を施すことで金属粒子含有組成物を調製した。
【0091】
[実施例3]
表1に示すように、金属微粒子(P1)として電解還元反応により生成した銅微粒子、低融点金属粉(P2)としてスズ粉末(100%Sn)、金属粉(P3)として銅粉末(100%Cu)、活性化剤(A)として亜りん酸トリス(ノニルフェニル)が含まれるように金属粒子含有組成物を調製した。
【0092】
(1)銅微粒子の調製
金属元素である銅の供給源として酢酸銅(II)の1水和物((CH
3COO)
2Cu・1H
2O)200g、有機添加剤としてN−ビニル−2−ピロリドン300g、及びアルカリ金属イオンとして酢酸ナトリウムの3水和物(CH
3COONa・3H
2O)16gを使用して、還元反応水溶液10Lを調製した。該還元反応水溶液のpHは約5.8であった。
【0093】
次に、この溶液中でSUS304製棒陰極(カソード電極)と白金板陽極(アノード電極)との間を浴温25℃で、電流密度15A/dm
2で10分間通電して、カソード外表面付近に銅微粒子を析出させた。還元反応終了後の反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、エタノール洗浄と水洗浄して溶媒を乾燥除去した後、4.5gの銅微粒子を得た。
【0094】
(2)生成した銅微粒子の評価
(イ)銅微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、生成した銅微粒子の一次粒子径は、1〜80nmの範囲で、平均一次粒子径は15nmであった。また、該銅微粒子に対してエネルギー分散型X線分析装置(EDX)による分析を行ったところ、金属組成は、銅100質量%であった。
【0095】
(ロ)銅微粒子の被覆物の同定
上記(1)で得られた銅微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、N−ビニル−2−ピロリドンに由来するピロリドン基(C
4H
6NO)に帰属するピークが検出された。炭素・硫黄分析計を用いた銅微粒子の分析では、N−ビニル−2−ピロリドンで被覆された金属微粒子(P1)中の有機分散剤の割合は、2質量%であった。
【0096】
(3)金属粒子含有組成物の調製
上記(1)で得られた平均一次粒径15nmの銅微粒子0.44g、平均一次粒径5μmの銅粉末3.33g、平均一次粒径5μmのスズ粉末8.8g、亜りん酸トリス(ノニルフェニル)1.5gを窒素雰囲気下で混合して、乳鉢と乳棒による混練処理を施すことで金属粒子含有組成物を調製した。
【0097】
[実施例4]
表1に示すように、金属微粒子(P1)として無電解還元反応により生成した銅微粒子、低融点金属粉(P2)としてスズ粉末(100%Sn)、活性化剤(A)として亜りん酸トリオクチルが含まれるように金属粒子含有組成物を調製した。
【0098】
(1)銅微粒子の調製
金属元素である銅の供給源として水酸化銅14.6g、有機分散剤としてポリビニルピロリドン5gを蒸留水960gへ添加して撹拌した後、この水溶液を窒素ガス雰囲気中に移した。次に、水素化ホウ素ナトリウム溶液を還元剤として上記水溶液へ添加することで還元反応水溶液1L(リットル)を調製した。調製した還元反応水溶液の酸化還元電位は標準水素電極基準で−400mV以下、pHは約13であった。この還元反応水溶液を撹拌しながら浴温20℃で60分の間、酸化還元電位を−400mV以下となるように適宜、還元剤を滴下するなどして無電解還元反応させ続けた結果、溶液中に銅微粒子が析出した。得られた銅微粒子分散水溶液を遠心分離機に入れ、銅微粒子成分を沈殿回収した。回収した銅微粒子にエタノールを加えて撹拌洗浄して遠心分離機で銅微粒子を回収するエタノール洗浄操作を2度行い、水洗して溶媒を乾燥除去した後、5gの銅微粒子を得た。
【0099】
(2)生成した銅微粒子の評価
(イ)銅微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、生成した銅微粒子の一次粒子径は、20〜200nmの範囲で、平均一次粒子径は35nmであった。また、該銅微粒子に対してエネルギー分散型X線分析装置(EDX)による分析を行ったところ、金属組成は、銅100質量%であった。
【0100】
(ロ)銅微粒子の被覆物の同定
上記(1)で得られた銅微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、ポリビニルピロリドンに由来するピロリドン基(C
4H
6NO)に帰属するピークが検出された。炭素・硫黄分析計を用いた銅微粒子の分析では、ポリビニルピロリドンで被覆された金属微粒子(P1)中の有機分散剤の割合は、0.1質量%であった。
【0101】
(3)金属粒子含有組成物の調製
上記(1)で得られた平均一次粒径35nmの銅微粒子2.2g、平均一次粒径5μmのスズ粉末8.8g、亜りん酸トリオクチル1.5gを窒素雰囲気下で混合して、乳鉢と乳棒による混練処理を施すことで金属粒子含有組成物を調製した。
【0102】
[実施例5]
表1に示すように、金属微粒子(P1)として無電解還元反応により生成した銅微粒子、低融点金属粉(P2)としてスズ−銀−銅粉末(96.5%Sn−3%Ag−0.5%Cu)、活性化剤(A)としてフェニルスルフィドが含まれるように金属粒子含有組成物を調製した。
【0103】
(1)銅微粒子の調製
実施例4と同様にして、銅微粒子を得た。
【0104】
(2)生成した銅微粒子の評価
実施例4と同様の評価が得られた。
【0105】
(3)金属粒子含有組成物の調製
上記(1)で得られた平均一次粒径35nmの銅微粒子2.2g、平均一次粒径10μmのスズ−銀−銅粉末8.8g、フェニルスルフィド1.5gを窒素雰囲気下で混合して、乳鉢と乳棒による混練処理を施すことで金属粒子含有組成物を調製した。
【0106】
[実施例6]
表1に示すように、金属微粒子(P1)として無電解還元反応により生成した銅微粒子、低融点金属粉(P2)としてスズ−亜鉛−アルミニウム粉末(91.99%Sn−8%Zn−0.01%Al)、活性化剤(A)としてフェニルスルフィドとトリチオ亜りん酸トリラウリルが含まれるように金属粒子含有組成物を調製した。
【0107】
(1)銅微粒子の調製
実施例4と同様にして、銅微粒子を得た。
【0108】
(2)生成した銅微粒子の評価
(イ)銅微粒子の一次粒子径、金属種の同定
実施例4と同様の評価が得られた。
【0109】
(3)金属粒子含有組成物の調製
上記(1)で得られた平均一次粒径35nmの銅微粒子2.2g、平均一次粒径10μmのスズ−亜鉛−アルミニウム粉末8.8g、フェニルスルフィド1.4g、トリチオ亜りん酸トリラウリル0.1gを窒素雰囲気下で混合して、乳鉢と乳棒による混練処理を施すことで金属粒子含有組成物を調製した。
【0110】
[実施例7]
表1に示すように、金属微粒子(P1)として無電解還元反応により生成した銅微粒子、低融点金属粉(P2)としてスズ−ビスマス粉末(42%Sn−58%Bi)、活性化剤(A)として亜りん酸トリブチルが含まれるように金属粒子含有組成物を調製した。
【0111】
(1)銅微粒子の調製
有機分散剤としてポリビニルピロリドン70g、酸化還元電位を−800mV以下となるように制御し、その他の条件については実施例4と同様にして、銅微粒子を得た。
【0112】
(2)生成した銅微粒子の評価
(イ)銅微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、生成した銅微粒子の一次粒子径は、1〜50nmの範囲で、平均一次粒子径は15nmであった。また、該銅微粒子に対してエネルギー分散型X線分析装置(EDX)による分析を行ったところ、金属組成は、銅100質量%であった。
【0113】
(ロ)銅微粒子の被覆物の同定
上記(1)得られた銅微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、ポリビニルピロリドンに由来するピロリドン基(C
4H
6NO)に帰属するピークが検出された。炭素・硫黄分析計を用いた銅微粒子の分析では、ポリビニルピロリドンで被覆された金属微粒子(P1)中の有機分散剤の割合は、10質量%であった。
【0114】
(3)金属粒子含有組成物の調製
上記(1)で得られた平均一次粒径15nmの銅微粒子2.2g、平均一次粒径0.55μmのスズ−ビスマス粉末8.8g、亜りん酸トリブチル1.5gを窒素雰囲気下で混合して、乳鉢と乳棒による混練処理を施すことで金属粒子含有組成物を調製した。
【0115】
[実施例8]
表1に示すように、金属微粒子(P1)として無電解還元反応により生成した銅微粒子、低融点金属粉(P2)として亜鉛粉末(100%Zn)、活性化剤(A)として亜りん酸トリス(ノニルフェニル)、4-(ジフェニルホスフィノ)スチレンが含まれるように金属粒子含有組成物を調製した。
【0116】
(1)銅微粒子の調製
有機分散剤としてポリビニルピロリドン5gとポリアクリルアミド100g、酸化還元電位を−300mV以下となるように制御し、その他の条件については実施例4と同様にして、銅微粒子を得た。
【0117】
(2)生成した銅微粒子の評価
(イ)銅微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、生成した銅微粒子の一次粒子径は、40〜500nmの範囲で、平均一次粒子径は70nmであった。また、該銅微粒子に対してエネルギー分散型X線分析装置(EDX)による分析を行ったところ、金属組成は、銅100質量%であった。
【0118】
(ロ)銅微粒子の被覆物の同定
上記(1)で得られた銅微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、ポリビニルピロリドンに由来するピロリドン基(C
4H
6NO)とポリアクリルアミドに帰属するピークが検出された。炭素・硫黄分析計を用いた銅微粒子の分析では、ポリビニルピロリドンとポリアクリルアミドで被覆された金属微粒子(P1)中の有機分散剤の割合は、30質量%であった。
【0119】
(3)金属粒子含有組成物の調製
上記(1)で得られた平均一次粒径70nmの銅微粒子1.8g、平均一次粒径5μmの亜鉛粉末10.2g、亜りん酸トリス(ノニルフェニル)1.6g、4-(ジフェニルホスフィノ)スチレン0.1gを窒素雰囲気下で混合して、乳鉢と乳棒による混練処理を施すことで金属粒子含有組成物を調製した。
【0120】
[実施例9]
表1に示すように、金属微粒子(P1)として電解還元反応により生成した銅微粒子、低融点金属粉(P2)としてスズ−亜鉛−ビスマス粉末(89%Sn−8%Zn−3%Bi)、活性化剤(A)としてジヘキシルスルフィドが含まれるように金属粒子含有組成物を調製した。
【0121】
(1)銅微粒子の調製
有機添加剤としてN−ビニル−2−ピロリドン200g、N−メチル−2−ピロリドン200gとなるように制御し、その他の条件については実施例4と同様にして、銅微粒子を得た。
【0122】
(2)生成した銅微粒子の評価
(イ)銅微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、生成した銅微粒子の一次粒子径は、1〜100nmの範囲で、平均一次粒子径は25nmであった。また、該銅微粒子に対してエネルギー分散型X線分析装置(EDX)による分析を行ったところ、金属組成は、銅100質量%であった。
【0123】
(ロ)銅微粒子の被覆物の同定
上記(1)で得られた銅微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、N−ビニル−2−ピロリドンとN−メチル−2−ピロリドンに由来するピロリドン基(C
4H
6NO)に帰属するピークが検出された。炭素・硫黄分析計を用いた銅微粒子の分析では、N−ビニル−2−ピロリドンとN−メチル−2−ピロリドンで被覆された金属微粒子(P1)中の有機分散剤の割合は、3質量%であった。
【0124】
(3)金属粒子含有組成物の調製
上記(1)で得られた平均一次粒径25nmの銅微粒子2.2g、平均一次粒径5μmのスズ−亜鉛−ビスマス粉末8.8g、ジヘキシルスルフィド1.5gを窒素雰囲気下で混合して、乳鉢と乳棒による混練処理を施すことで金属粒子含有組成物を調製した。
【0125】
[実施例10]
表1に示すように、金属微粒子(P1)として電解還元反応により生成した銅-ニッケル合金微粒子、低融点金属粉(P2)としてスズ−亜鉛−ビスマス粉末(89%Sn−8%Zn−3%Bi)、活性化剤(A)として亜りん酸トリス(ノニルフェニル)が含まれるように金属粒子含有組成物を調製した。
【0126】
(1)銅−ニッケル合金微粒子の調製
金属元素である銅の供給源として酢酸銅(II)の1水和物20g、ニッケルの供給源として酢酸ニッケル(II)の4水和物2.6gを添加し、その他の条件については実施例4と同様にして、銅−ニッケル合金微粒子を得た。
【0127】
(2)生成した銅−ニッケル合金微粒子の評価
(イ)銅-ニッケル合金微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、生成した銅−ニッケル合金微粒子の一次粒子径は、30〜150nmの範囲で、平均一次粒子径は50nmであった。また、該銅−ニッケル合金微粒子に対してエネルギー分散型X線分析装置(EDX)による分析を行ったところ、金属組成は、銅90質量%、ニッケル10質量%(以下、銅−10%ニッケル合金のように表示することがある。)であった。
【0128】
(ロ)銅−ニッケル合金微粒子の被覆物の同定
上記(1)で得られた銅−ニッケル合金微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、N−ビニル−2−ピロリドンに由来するピロリドン基(C
4H
6NO)に帰属するピークが検出された。炭素・硫黄分析計を用いた銅−ニッケル合金微粒子の分析では、N−ビニル−2−ピロリドンで被覆された金属微粒子(P1)中の有機分散剤の割合は、1質量%であった。
【0129】
(3)金属粒子含有組成物の調製
上記(1)で得られた平均一次粒径50nmの銅−ニッケル合金微粒子2.2g、平均一次粒径5μmのスズ−亜鉛−ビスマス粉末8.8g、亜りん酸トリス(ノニルフェニル)1.5gを窒素雰囲気下で混合して、乳鉢と乳棒による混練処理を施すことで金属粒子含有組成物を調製した。
【0130】
[実施例11]
表1に示すように、金属微粒子(P1)としてポリオール還元反応により生成した金微粒子、低融点金属粉(P2)としてスズ粉末(100%Sn)、活性化剤(A)として亜りん酸トリス(ノニルフェニル)が含まれるように金属粒子含有組成物を調製した。
【0131】
(1)金微粒子の調製
金属元素である金の供給源として塩化金酸4水和物12g、有機分散剤としてポリビニルピロリドン50gとポリビニルアルコール1gをエチレングリコール500gへ添加することで還元反応溶液を調製した。調製した還元反応溶液を撹拌しながら浴温130℃で60分の間、反応させ続けた結果、溶液中に金微粒子が析出した。得られた金微粒子分散液をエタノールで希釈してから遠心分離機に入れ、金微粒子成分を沈殿回収した。回収した金微粒子にエタノールを加えて撹拌洗浄して遠心分離機で金微粒子を回収するエタノール洗浄操作を2度行い、水洗して溶媒を乾燥除去した後、2.9gの金微粒子を得た。
【0132】
(2)生成した金微粒子の評価
(イ)金微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、生成した金微粒子の一次粒子径は、5〜100nmの範囲で、平均一次粒子径は25nmであった。また、該金微粒子に対してエネルギー分散型X線分析装置(EDX)による分析を行ったところ、金属組成は、金100質量%であった。
【0133】
(ロ)金微粒子の被覆物の同定
上記(1)で得られた金微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、ポリビニルピロリドンに由来するピロリドン基(C
4H
6NO)に帰属するピークが検出された。炭素・硫黄分析計を用いた金微粒子の分析では、ポリビニルピロリドンで被覆された金属微粒子(P1)中の有機分散剤の割合は、1質量%であった。
【0134】
(3)金属粒子含有組成物の調製
上記(1)で得られた平均一次粒径25nmの金微粒子8g、平均一次粒径50μmのスズ粉末2g、亜りん酸トリス(ノニルフェニル)2.5gを窒素雰囲気下で混合して、乳鉢と乳棒による混練処理を施すことで金属粒子含有組成物を調製した。
【0135】
[実施例12]
表1に示すように、金属微粒子(P1)としてポリオール還元反応により生成した銀微粒子、低融点金属粉(P2)としてスズ粉末(100%Sn)、金属粉(P3)として銀粉末(100%Ag)、活性化剤(A)として亜りん酸トリス(ノニルフェニル)が含まれるように金属粒子含有組成物を調製した。
【0136】
(1)銀微粒子の調製
金属元素である銀の供給源として硝酸銀7g、有機分散剤としてポリビニルピロリドン50gとポリビニルアルコール1gをエチレングリコール500gへ添加することで還元反応溶液を調製した。調製した還元反応溶液を撹拌しながら浴温130℃で60分の間、反応させ続けた結果、溶液中に銀微粒子が析出した。得られた銀微粒子分散液をエタノールで希釈してから遠心分離機に入れ、銀微粒子成分を沈殿回収した。回収した銀微粒子にエタノールを加えて撹拌洗浄して遠心分離機で銀微粒子を回収するエタノール洗浄操作を2度行い、水洗して溶媒を乾燥除去した後、2.8gの銀微粒子を得た。
【0137】
(2)生成した銀微粒子の評価
(イ)銀微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、生成した銀微粒子の一次粒子径は、5〜120nmの範囲で、平均一次粒子径は35nmであった。また、該銀微粒子に対してエネルギー分散型X線分析装置(EDX)による分析を行ったところ、金属組成は、銀100質量%であった。
【0138】
(ロ)金微粒子の被覆物の同定
上記(1)で得られた銀微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、ポリビニルピロリドンに由来するピロリドン基(C
4H
6NO)に帰属するピークが検出された。炭素・硫黄分析計を用いた銀微粒子の分析では、ポリビニルピロリドンで被覆された金属微粒子(P1)中の有機分散剤の割合は、1.2質量%であった。
【0139】
(3)金属粒子含有組成物の調製
上記(1)で得られた平均一次粒径35nmの銀微粒子6.6g、平均一次粒径50μmの銀粉末0.2g、平均一次粒径50μmのスズ粉末4.4g、亜りん酸トリス(ノニルフェニル)1.9gを窒素雰囲気下で混合して、乳鉢と乳棒による混練処理を施すことで金属粒子含有組成物を調製した。
【0140】
[比較例1]
表1に示すように、低融点金属粉としてスズ粉末(100%Sn)の代わりにアンチモン粉末(100%Sb)とした以外は実施例4と同様にして、金属粒子含有組成物を調製した。
【0141】
(1)銅微粒子の調製
実施例4と同様にして、5gの銅微粒子を得た。
【0142】
(2)生成した銅微粒子の評価
実施例4と同様の評価結果が得られた。
【0143】
(3)金属粒子含有組成物の調製
上記(1)で得られた平均一次粒径35nmの銅微粒子2.2g、平均一次粒径5μmのアンチモン粉末8.8g、亜りん酸トリオクチル1.5gを窒素雰囲気下で混合して、乳鉢と乳棒による混練処理を施すことで金属粒子含有組成物を調製した。
【0144】
[比較例2]
表1に示すように、活性化剤として、亜りん酸トリオクチルの代わりにn-オクタン酸とした以外は実施例4と同様にして、金属粒子含有組成物を調製した。
【0145】
(1)銅微粒子の調製
実施例4と同様にして、5gの銅微粒子を得た。
【0146】
(2)生成した銅微粒子の評価
実施例4と同様の評価結果が得られた。
【0147】
(3)金属粒子含有組成物の調製
得られた平均一次粒径35nmの銅微粒子2.2g、平均一次粒径5μmのスズ粉末8.8g、n-オクタン酸1.5gを窒素雰囲気下で混合して、乳鉢と乳棒による混練処理を施すことで金属粒子含有組成物を調製した。
【0148】
[比較例3]
表1に示すように、活性化剤として亜りん酸トリオクチルの代わりにジエチレングリコールとした以外は実施例4と同様にして、金属粒子含有組成物を調製した。
【0149】
(1)銅微粒子の調製
実施例4と同様にして、5gの銅微粒子を得た。
【0150】
(2)生成した銅微粒子の評価
実施例4と同様の評価結果が得られた。
【0151】
(3)金属粒子含有組成物の調製
上記(1)で得られた平均一次粒径35nmの銅微粒子2.2g、平均一次粒径5μmのスズ粉末8.8g、ジエチレングリコール1.5gを窒素雰囲気下で混合して、乳鉢と乳棒による混練処理を施すことで金属粒子含有組成物を調製した。
【0152】
[比較例4]
表1に示すように、活性化剤として亜りん酸トリオクチルの代わりにトリブチルホスフィンオキシドとした以外は実施例4と同様にして、金属粒子含有組成物を調製した。
【0153】
(1)銅微粒子の調製
実施例4と同様にして、5gの銅微粒子を得た。
【0154】
(2)生成した銅微粒子の評価
実施例4と同様の評価結果が得られた。
【0155】
(3)金属粒子含有組成物の調製
上記(1)で得られた平均一次粒径35nmの銅微粒子2.2g、平均一次粒径5μmのスズ粉末8.8g、トリブチルホスフィンオキシド0.5g、粘度調整剤としてヘキサン1gを窒素雰囲気下で混合して、乳鉢と乳棒による混練処理を施すことで金属粒子含有組成物を調製した。
【0156】
[比較例5]
表1に示すように、活性化剤として亜りん酸トリオクチルの代わりにイソプロピルメチルスルホンとした以外は実施例4と同様にして、金属粒子含有組成物を調製した。
【0157】
(1)銅微粒子の調製
実施例4と同様にして、5gの銅微粒子を得た。
【0158】
(2)生成した銅微粒子の評価
実施例4と同様の評価結果が得られた。
【0159】
(3)金属粒子含有組成物の調製
上記(1)で得られた平均一次粒径35nmの銅微粒子2.2g、平均一次粒径5μmのスズ粉末8.8g、イソプロピルメチルスルホン1.5gを窒素雰囲気下で混合して、乳鉢と乳棒による混練処理を施すことで金属粒子含有組成物を調製した。
【0160】
[比較例6]
表1に示すように、銅微粒子の一次粒子径が500nmを超えるようにした以外は実施例2と同様にして、金属粒子含有組成物を調製した。
【0161】
(1)銅微粒子の調製
酢酸ナトリウムの3水和物(CH
3COONa・3H
2O)を1g、浴温を60℃に制御し、その他の条件については実施例2と同様にして、5gの銅微粒子を得た。
【0162】
(2)生成した銅微粒子の評価
(イ)銅微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、生成した銅微粒子の一次粒子径は、550〜2000nmの範囲で、平均一次粒子径は900nmであった。また、該銅微粒子に対してエネルギー分散型X線分析装置(EDX)による分析を行ったところ、金属組成は、銅100質量%であった。
【0163】
(ロ)銅微粒子の被覆物の同定
上記(1)で得られた銅微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、有機化合物に帰属する明瞭なピークは検出されなかった。
【0164】
(3)金属粒子含有組成物の調製
上記(1)で得られた平均一次粒径900nmの銅微粒子2.7g、平均一次粒径5μmのスズ粉末10.8g、亜りん酸トリフェニル1.5gを窒素雰囲気下で混合して、乳鉢と乳棒による混練処理を施すことで金属粒子含有組成物を調製した。
【0165】
[比較例7]
表1に示すように、銅微粒子を使用しなかった以外は比較例3と同様にして、金属粒子含有組成物を調製した。つまり、平均粒径5μmのスズ粉末11g、ジエチレングリコール1.5gを窒素雰囲気下で混合して、乳鉢と乳棒による混練処理を施すことで金属粒子含有組成物を調製した。
【0166】
[比較例8]
表1に示すように、金属微粒子(P1)を使用せずに、低融点金属粉としてスズ粉末(100%Sn)と亜鉛粉末(100%Zn)、活性化剤(A)として亜りん酸トリオクチルが含まれるように金属粒子含有組成物を調製した。つまり、平均粒径5μmのスズ粉末8.8g、平均粒径5μmの亜鉛粉末2.2g、亜りん酸トリオクチル1.5gを窒素雰囲気下で混合して、乳鉢と乳棒による混練処理を施すことで金属粒子含有組成物を調製した。
【0167】
【表1】
【0168】
[評価試験]
以上の実施例1〜12および比較例1〜8で調製した金属粒子含有組成物について、以下の評価試験を行った。
【0169】
(1)溶け込み反応の評価試験
実施例1〜12および比較例1〜8でそれぞれ調製した金属粒子含有組成物を用いて、金属微粒子(P1)の主成分である金属元素(M)の低融点金属粉(P2)への溶け込みの反応性の評価を行った。
【0170】
まず、上記実施例1〜12および比較例1〜8でそれぞれ得られた金属粒子含有組成物を銅基板(サイズ:2cm×2cm)に加熱後の厚みが20〜300μmとなるように乾燥塗布した。その後、銅基板(サイズ:2cm×2cm)を塗布膜上に載せた試料を雰囲気制御型の熱処理炉内に設置し、窒素ガス雰囲気または大気雰囲気において、250〜430℃の温度範囲で10〜60分間加熱・焼成した後、熱処理炉中でゆっくりと室温まで炉冷し、焼結体を介して金属製の板材と銅基板とを接合した。
【0171】
上記工程により得られた接合体試料の断面構造を観察し、接合層に金属微粒子(P1)または低融点金属粉(P2)の粒子形状が観察されない場合を良好、金属微粒子(P1)または低融点金属粉(P2)が粒子形状を保ったままの場合を不良と判断した。実施例1〜12および比較例1〜8の評価結果を表2に示す。
【0172】
(2)板材の接合評価試験
上記実施例1〜12および比較例1〜8でそれぞれ得られた金属粒子含有組成物を用いて接合した板材の接合評価を行った。
【0173】
まず、上記実施例1〜12および比較例1〜8でそれぞれ得られた金属粒子含有組成物を金属基板(サイズ:2cm×10cm)に加熱後の接合面積が2cm×2cm、加熱後の接合部材の厚みが20〜300μmとなるように塗布した。その後、金属基板(サイズ:2cm×10cm)を塗布膜上に載せた試料を雰囲気制御型の熱処理炉内に設置し、窒素ガス雰囲気または大気雰囲気において、250〜430℃の温度範囲で10〜60分間加熱・焼成した後、熱処理炉中でゆっくりと室温まで炉冷し、焼結体を介して金属製の板材と銅基板とを接合した。
【0174】
上記工程により得られた接合体試料を、JIS Z 2241(金属材料引張試験方法)に準拠した方法により、接合された接合部の引張り強度を評価した。
【0175】
また、接合部の断面SEM像を撮影した。断面SEM像の具体例を、
図2乃至
図4に示す。つまり、
図2は、実施例4で調製したサンプルを用いて銅板101、102を接合した断面SEM像であって、銅−スズ合金相111と、スズリッチ相112とボイド113を示している。
図3は、比較例4で調製したサンプルを用いて銅板201、202を接合した断面SEM像であって、スズリッチ相211とボイド212とを示している。
図4は、比較例7で調製したサンプルを用いて銅板301、302を接合した断面SEM像であって、スズリッチ相311とボイド312とを示している。実施例1〜12および比較例1〜8をそれぞれ用いて銅板を接合した接合部について、撮影した画像の空隙部分のピクセルを黒、空隙部分以外の部分を白の2階調化した後に、画像数値化ソフトを利用して空隙率を数値データ化した。実施例1〜12および比較例1〜8の評価結果を表2に示す。
【0176】
(3)チップ接合評価
上記実施例1〜12および比較例1〜8でそれぞれ得られた金属粒子含有組成物を用いて基板表面に接合されたシリコンチップの接合評価を行った。
【0177】
まず、上記実施例1〜12および比較例1〜8でそれぞれ得られた金属粒子含有組成物を銅基板(サイズ:2cm×2cm)に加熱後の接合部材の厚みが20〜300μmとなるように乾燥塗布した。その後、半導体シリコンチップ(サイズ:4mm×4mm)を4MPaの加圧力で塗布膜上に押し付けた試料を雰囲気制御型の熱処理炉内に設置し、窒素ガス雰囲気または大気雰囲気において、250〜430℃の温度範囲で10〜60分間加熱・焼成した後、熱処理炉中でゆっくりと室温まで炉冷し、焼結体を介して半導体素子と導体基板とを接合した。
【0178】
上記工程により基板表面に接合されたシリコンチップを米国MIL‐STD‐883に準拠したダイシェア強度評価装置を用いて、25℃において、ダイシェア強度を評価した。実施例1〜12および比較例1〜8の評価結果を下記の表2に示す。
【0179】
【表2】
【0180】
[評価結果に対する考察]
板材の接合評価において、本発明の構成を満たした金属粒子含有組成物を用いた実施例では明らかに比較例よりも接合強度が良好であった。接合部の空隙率も実施例のほうが低い傾向となった。さらに、チップ接合評価でも比較例よりも実施例の方がダイシェア強度が高かった。
【0181】
このように実施例で良好な接合強度を実現できるのは、原子価の増加に伴って酸素原子と結合するリンまたは硫黄を分子構造中に一つ以上含んでいる活性化剤(A)を用いることで、水の生成を伴わずに酸素原子を除去して低融点金属粉(P2)を活性化することができる。すなわち、活性化剤(A)に含まれるリンまたは硫黄が直接的に酸素原子と結合する際にリンまたは硫黄の原子価が増加する変化を伴うのみで、活性化剤(A)から水などの余分な副生成物が発生しないのである。酸素原子を取り込んだ後の活性化剤(A)は金属微粒子の触媒作用によって揮発しやすい低分子量の有機物へと分解される効果も示すのでボイド形成を抑制しながらも有機物残渣を少なくすることが可能となる。
【0182】
以上のように、本発明の構成の金属粒子含有組成物を用いることで、材料の接合強度を大きく向上させることが可能であることが確認された。