(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
《第1の実施形態》
以下、第1の実施形態について、
図1〜
図10(B)に基づいて説明する。
【0017】
図1には、第1の実施形態に係る液晶露光装置10の構成が概略的に示されている。液晶露光装置10は、液晶表示装置(フラットパネルディスプレイ)に用いられる矩形のガラス基板P(以下、単に基板Pと称する)を露光対象物とするステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。
【0018】
液晶露光装置10は、
図1に示されるように、照明系IOP、マスクMを保持するマスクステージMST、投影光学系PL、上記マスクステージMST及び投影光学系PLなどを支持する装置本体30、基板Pを保持する基板ステージ装置PST、及びこれらの制御系等を備えている。以下においては、露光時にマスクMと基板Pとが投影光学系PLに対してそれぞれ相対走査される方向をX軸方向とし、水平面内でこれに直交する方向をY軸方向、X軸及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。また、X軸、Y軸、及びZ軸方向に関する位置をそれぞれX位置、Y位置、及びZ位置として説明を行う。
【0019】
照明系IOPは、例えば米国特許第6,552,775号明細書などに開示される照明系と同様に構成されている。すなわち、照明系IOPは、図示しない光源(例えば、水銀ランプ)から射出された光を、それぞれ図示しない反射鏡、ダイクロイックミラー、シャッター、波長選択フィルタ、各種レンズなどを介して、露光用照明光(照明光)ILとしてマスクMに照射する。照明光ILとしては、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)などの光(あるいは、上記i線、g線、h線の合成光)が用いられる。また、照明光ILの波長は、波長選択フィルタにより、例えば要求される解像度に応じて適宜切り替えることが可能になっている。
【0020】
マスクステージMSTには、回路パターンなどがそのパターン面(
図1における下面)に形成されたマスクMが、例えば真空吸着により固定されている。マスクステージMSTは、装置本体30の一部である鏡筒定盤31上に固定された一対のマスクステージガイド39上に非接触状態で搭載され、例えばリニアモータを含むマスクステージ駆動系(不図示)により走査方向(X軸方向)に所定のストロークで駆動されるとともに、Y軸方向、及びθz方向に適宜微少駆動される。マスクステージMSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、不図示のレーザ干渉計を含むマスク干渉計システムにより計測される。
【0021】
投影光学系PLは、マスクステージMSTの
図1における下方において、装置本体30の一部である鏡筒定盤31に支持されている。本実施形態の投影光学系PLは、例えば米国特許第6,552,775号明細書に開示された投影光学系と同様の構成を有している。すなわち、投影光学系PLは、マスクMのパターン像の投影領域が千鳥状に配置された複数の投影光学系(マルチレンズ投影光学系)を含み、Y軸方向を長手方向とする長方形状の単一のイメージフィールドを持つ投影光学系と同等に機能する。本実施形態では、複数の投影光学系それぞれとしては、例えば両側テレセントリックな等倍系で正立正像を形成するものが用いられている。また、以下では投影光学系PLの千鳥状に配置された複数の投影領域をまとめて露光領域IA(
図2参照)と呼ぶ。
【0022】
このため、照明系IOPからの照明光ILによってマスクM上の照明領域が照明されると、マスクMを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明領域内のマスクMの回路パターンの投影像(部分正立像)が、表面にレジスト(感応剤)が塗布された基板P上の照明領域に共役な照明光ILの照射領域(露光領域IA)に形成される。そして、マスクステージMSTと基板ステージ装置PSTとの同期駆動によって、照明領域(照明光IL)に対してマスクMを走査方向(X軸方向)に相対移動させるとともに、露光領域IA(照明光IL)に対して基板Pを走査方向(X軸方向)に相対移動させることで、基板P上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にマスクMのパターン(マスクパターン)が転写される。すなわち、本実施形態では照明系IOP及び投影光学系PLによって基板P上にマスクMのパターンが生成され、照明光ILによる基板P上の感応層(レジスト層)の露光によって基板P上にそのパターンが形成される。
【0023】
装置本体30は、前述した鏡筒定盤31、鏡筒定盤31の+Y側、及び−Y側の端部近傍それぞれを下方から支持する一対の横コラム32、一対の横コラム32の互いに対向する一対の対向面間に架設された複数の下コラム33、及び後述する定点ステージ80を下方から支持する定点ステージ架台35(
図1では不図示。
図2参照)を含む。一対の横コラム32のそれぞれは、クリーンルームの床11上に設置された防振装置34上に搭載されている。これにより、装置本体30に支持された上記マスクステージMST、及び投影光学系PLが床11に対して振動的に分離されている。なお、
図2、
図3、及び
図9(A)〜
図10(B)では、理解を容易にするため、装置本体30のうち、鏡筒定盤31が取り除かれて示されている。
【0024】
下コラム33は、
図3及び
図4に示されるように、YZ平面に平行に配置されたY軸方向に長い所定厚さの板状部材から成り、X軸方向に所定間隔で、例えば4つ設けられている。下コラム33の上面には、Y軸に平行に延びるYリニアガイド38が固定されている。定点ステージ架台35は、下コラム33よりも厚さの厚い(X軸方向の寸法(長さ)が長い)YZ平面に平行に配置されたY軸方向に長い板状部材から成り、一対の横コラム32の互いに対向する対向面間に架設されている。従って、定点ステージ架台35は、一対の横コラム32を介して防振装置34により床11に対して振動的に分離されている。上述した、例えば4つの下コラム33のうちの2つは、定点ステージ架台35の+X側に配置され、他の2つは定点ステージ架台35の−X側に配置されている。
【0025】
基板ステージ装置PSTは、
図2に示されるように、Yステップ定盤20、一対のベース定盤40、Yステップガイド50、基板支持部材60、及び定点ステージ80などを備えている。なお、
図1に示される液晶露光装置10の全体図における基板ステージ装置PSTは、
図2のA−A線断面図に相当するが、基板ステージ装置PSTの構成の理解を容易にするため、最も+X側(+X側から見て最も手前側)の下コラム33(及びその上面に固定されたYリニアガイド38)の図示が省略されている。
【0026】
Yステップ定盤20は、
図3に示されるように、一対のXビーム21、及び複数、例えば4つの連結部材22などを含む。一対のXビーム21のそれぞれは、X軸方向に延びるYZ平面が矩形(
図4参照)の部材から成り、互いに平行に配置されている。一対のXビーム21の間隔は、基板PのY軸方向の長さ(寸法)とほぼ同じ寸法に設定されており、一対のXビーム21のX軸方向の長さ(寸法)は、基板PのX軸方向に関する移動範囲をカバーできる程度に設定されている。例えば4つの連結部材22は、一対のXビーム21の長手方向の両端部近傍、及び長手方向の中間部分の2箇所で、一対のXビーム21を互いに機械的に連結している。4つの連結部材22のそれぞれは、Y軸方向に延びる板状の部材から成る。
【0027】
一対のXビーム21それぞれの下面には、
図4に示されるように、スペーサ28aを介して複数のYスライダ28が固定されている。スペーサ28aは、
図3に示されるように、1つのXビーム21に対して、上記複数のYリニアガイド38に対応して、例えば4つ設けられている。Yスライダ28は、XZ断面逆U字状の部材から成り、不図示の複数のボールなどを含み、Yリニアガイド38に低摩擦でスライド自在に係合している。Yスライダ28は、
図4に示されるように、1つのスペーサ28aに対して、Y軸方向に離間して、例えば2つ設けられている。このように、Yステップ定盤20は、例えば4つの下コラム33上にY軸方向に所定のストロークで移動自在に搭載されている。
【0028】
一対のXビーム21それぞれの上面には、
図3に示されるように、Xガイド24が固定されている。Xガイド24は、
図4に示されるように、X軸方向に延びるYZ断面矩形の部材から成り、例えば石材(あるいはセラミックスなど)により形成され、その上面は、非常に平面度が高く加工されている。
【0029】
図2に戻り、一対のベース定盤40の一方は、定点ステージ架台35の+X側に配置された一対の下コラム33の間に所定のクリアランス(隙間/ギャップ)を介して(下コラム33に非接触状態で)挿入され、他方は、定点ステージ架台35の−X側に配置された一対の下コラム33の間に所定のクリアランスを介して(下コラム33に非接触状態で)挿入されている。前述した装置本体30と一対のベース定盤40とは、共に床11上に設置されているが、装置本体30が防振装置34により床11に対して振動的に分離されていることから、装置本体30と一対のベース定盤40とは、互いに振動的に分離されている。一対のベース定盤40のそれぞれは、配置が異なる以外実質的に同じ構成であるため、以下、+X側のベース定盤40についてのみ説明する。
【0030】
図5及び
図6から分かるように、ベース定盤40は、平面視でY軸方向を長手方向とする直方体状の部材から成り、架台42(
図5では不図示。
図6参照)を介して床11上に設置されている。ベース定盤40の上面の+X側、及び−X側の端部近傍それぞれには、
図5に示されるように、Y軸方向に延びるYリニアガイド44が互いに平行に固定されている。また、ベース定盤40の上面中央部には、Y固定子48が固定されている。Y固定子48は、ここではY軸方向に所定間隔で配列された複数の磁石を含む磁石ユニットを有している。なお、一対のベース定盤40、及び/又は架台42は、装置本体30に接触していなければ、互いに連結されていても良い。また、架台42を不図示の防振装置を介して床11上に設置しても良い。
【0031】
Yステップガイド50は、
図6に示されるように、一対のベース定盤40上に搭載されている。Yステップガイド50は、
図5に示されるように、一対のXビーム51、複数、例えば4つの連結部材52、一対のエア浮上装置用ベース53、複数のエア浮上装置59、及び一対のXキャリッジ70などを含む。
【0032】
一対のXビーム51のそれぞれは、X軸方向に延びるYZ断面矩形の中空(
図6参照)の部材から成る。4つの連結部材52は、一対のXビーム51の長手方向の両端部近傍、及び長手方向の中間部分の2箇所で、一対のXビーム51を互いに機械的に連結している。4つの連結部材52のそれぞれは、Y軸方向に延びる板状の部材から成り、
図1に示されるように、その+Y側の端部近傍の上面上に+Y側のXビーム51が、−Y側の端部近傍の上面上に−Y側のXビーム51がそれぞれ搭載される。また、
図1に示されるように、複数の連結部材52それぞれの下面のZ位置は、下コラム33の上面のZ位置よりも高く(+Z側)に設定されており、Yステップガイド50と装置本体30とは、非接触となっている(Yステップガイド50は、下コラム33の上方を通過する)。
【0033】
一対のXビーム51それぞれの下面には、
図6に示されるように、スペーサ54aを介して複数のYスライダ54が固定されている。
図5に示されるように、スペーサ54aは、1つのXビーム51に対して、上記複数のYリニアガイド44に対応して、例えば4つ設けられている。Yスライダ54は、XZ断面逆U字状の部材から成り、不図示の複数のボールなどを含み、Yリニアガイド44に低摩擦でスライド自在に係合している。Yスライダ54は、
図6に示されるように、1つのスペーサ54aに対して、Y軸方向に離間して、例えば2つ設けられている。このように、Yステップガイド50は、一対のベース定盤40上にY軸方向に所定のストロークで移動自在に搭載されている。
【0034】
一対のXビーム51それぞれの上面には、
図5に示されるように、X軸方向に延びる一対のXリニアガイド56が互いに平行に固定されている。また、一対のXビーム51それぞれの上面であって、一対のXリニアガイド56の間の領域には、X固定子57が固定されている。X固定子57は、X軸方向に所定間隔で配列された複数の磁石を含む磁石ユニットを有している。
【0035】
一対のエア浮上装置用ベース53のそれぞれは、平面視でX軸方向を長手方向とする直方体状(箱形)の部材から成り、
図2に示される基板ステージ装置PSTが組み立てられた状態では、定点ステージ80の+X側、及び−X側にそれぞれ配置されている。
図5に戻り、+X側のエア浮上装置用ベース53の+X側の側面、及び−X側のエア浮上装置用ベース53の−X側の側面それぞれには、直方体状(箱形)の部材から成る接続部材53aが接続されている。また、+X側のエア浮上装置用ベース53の−X側の側面、及び−X側のエア浮上装置用ベース53の+X側の側面それぞれには、XY平面に平行な平板状の部材から成る接続部材53bが接続されている。+X側のエア浮上装置用ベース53は、例えば4つの連結部材52のうち、+X側の2つの連結部材52上に接続部材53a、及び接続部材53bを介して搭載されている。同様に、−X側のエア浮上装置用ベース53は、例えば4つの連結部材52のうち、−X側の2つの連結部材52上に接続部材53a、及び接続部材53bを介して搭載されている。
【0036】
図6に示されるように、エア浮上装置用ベース53の下面の+Y側、及び−Y側の端部近傍それぞれには、スペーサ55aを介してYスライダ55が固定されている。Yスライダ55は、XZ断面逆U字状の部材から成り、不図示の複数のボールなどを含み、Yリニアガイド44に低摩擦でスライド自在に係合している。
図5では紙面奥行き方向に重なっているため不図示であるが、Yスライダ55は、一対のエア浮上装置用ベース53それぞれの下面の+Y側、及び−Y側の端部近傍において、Yリニアガイド44に対応して、例えば2つずつ設けられている。
【0037】
また、一対のエア浮上装置用ベース53それぞれの下面には、Y固定子48に所定のクリアランス(隙間/ギャップ)を介して対向するY可動子58が固定されている(−X側のエア浮上装置用ベース53に固定されたY可動子58は不図示)。Y可動子58は、不図示のコイルを含むコイルユニットを有し、Y固定子48と共にYステップガイド50をY軸方向に所定のストロークで駆動するためのYリニアモータを構成している。また、不図示であるが、ベース定盤40には、Y軸方向を周期方向とするYリニアスケールが固定され、Yステップガイド50には、YリニアスケールとともにYステップガイド50のY位置情報を求めるためのYリニアエンコーダシステムを構成するYエンコーダヘッドが固定されている。なお、Y可動子58は、エア浮上装置用ベース53に替えてXビーム51に取り付けられていても良い。
【0038】
ここで、
図2に示されるYステップ定盤20とYステップガイド50とが組み合わされた状態で、Yステップ定盤20の+Y側のXビーム21は、Yステップガイド50の+Y側のXビーム51とエア浮上装置用ベース53との間に挿入され、Yステップ定盤20の−Y側のXビーム21は、Yステップガイド50の−Y側のXビーム51とエア浮上装置用ベース53との間に挿入されている(
図1参照)。
【0039】
また、
図2に示されるYステップ定盤20とYステップガイド50とが組み合わされた状態で、上述したYステップ定盤20の一対のXビーム21の長手方向の中間部分に配置された2つの連結部材22は、接続部材53bの上方に配置されている。また、Yステップ定盤20のXビーム21は、Yステップガイド50の複数の連結部材52の上方に配置されている(
図1参照)。従って、Yステップ定盤20(及びYステップ定盤20を支持する装置本体30)と、Yステップガイド50(及びYステップガイド50を支持する一対のベース定盤40)とは、後述する複数のフレクシャ装置18により接続された部分を除き、互いに離間している。
【0040】
Yステップ定盤20とYステップガイド50とは、
図2に示されるように、複数、例えば4つのフレクシャ装置18により互いに機械的に連結されている。例えば、4つのフレクシャ装置18のうち、2つはYステップ定盤20の+Y側のXビーム21とYステップガイド50の接続部材53aとの間に架設されている。また、例えば、4つのフレクシャ装置18のうち、他の2つはYステップ定盤20の−Y側のXビーム51とYステップガイド50の接続部材53aとの間に架設されている。なお、フレクシャ装置18の数、及び配置は、これに限らず適宜変更可能である。
【0041】
例えば4つのフレクシャ装置18の構成は、実質的に同じである。各フレクシャ装置18は、XY平面に平行に配置された厚さの薄い鋼板(例えば、板ばね)を含み、一対のボールジョイントなどの滑節装置を介してXビーム21と接続部材53aとを接続している。フレクシャ装置18は、鋼板のY軸方向の剛性により、Y軸方向に関してYステップ定盤20とYステップガイド50とを高剛性で連結する。従って、Yステップ定盤20は、Yステップガイド50に牽引されることにより、Yステップガイド50と一体的にY軸方向に移動する。これに対し、フレクシャ装置18は、鋼板の柔軟性(あるいは可撓性)、及び滑節装置の作用により、Y軸方向を除く5自由度方向(X軸、Z軸、θx、θy、θzの各方向)に関してYステップ定盤20をYステップガイド50に拘束しないので、Yステップ定盤20、及びYステップガイド50相互間で、上記5自由度方向の振動が伝達しにくくなっている。なお、フレクシャ装置18としては、Y軸方向の剛性を確保でき、かつ主にZ軸方向に柔軟性を有していれば良いので、上記鋼板に替えて、ワイヤロープ、剛性樹脂製のロープなどを用いても良い。鋼板を用いたフレクシャ装置18の構成については、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示されている。
【0042】
図5に戻り、一対のエア浮上装置用ベース53それぞれの上面には、複数、例えば10台のエア浮上装置59が搭載されている。例えば10台のエア浮上装置59それぞれは、配置が異なる点を除き、実質的に同じものである。例えば10台のエア浮上装置59は、その上面によりX軸方向を長手方向とする平面視長方形の水平面にほぼ平行な基板支持面を形成している。基板支持面のX軸方向の長さ(寸法)、及びY軸方向の長さ(寸法)のそれぞれは、
図2に示されるように、基板PのX軸方向の長さ(寸法)、及びY軸方向の長さ(寸法)のそれぞれよりも幾分短く設定されているが、基板Pの下面のほぼ全体を下方から支持できるように設定されている。
【0043】
エア浮上装置59は、
図5に示されるように、X軸方向に延びる直方体状の部材から成る。エア浮上装置59は、その上面(基板Pの下面に対向する面)に多孔質部材を有し、その多孔質部材が有する複数の微細な孔から加圧気体(例えば空気)を基板Pの下面に噴出することにより、基板Pを浮上させる。加圧気体は、外部からエア浮上装置59に供給されても良いし、エア浮上装置59(あるいはエア浮上装置用ベース53)が送風装置などを内蔵していても良い。また、加圧気体を噴出する孔は、機械的な加工により形成されたものであっても良い。複数のエア浮上装置59による基板Pの浮上量(エア浮上装置59の上面と基板Pの下面との距離)は、例えば数十マイクロメートルから数千マイクロメートル程度に設定されている。
【0044】
一対のXキャリッジ70のうち、一方は+Y側のXビーム51上に搭載され、他方は−Y側のXビーム51上に搭載されている。一対のXキャリッジ70のそれぞれは、XY平面に平行に配置されたX軸方向を長手方向とする平面視長方形の板状部材から成り、
図6に示されるように、その下面の四隅部近傍には、Xスライダ76が固定されている(4つのスライダ76のうち、2つは他の2つの紙面奥側に隠れている)。Xスライダ76は、YZ断面逆U字状の部材から成り、不図示の複数のボールなどを含み、Xリニアガイド56に低摩擦でスライド自在に係合している。
【0045】
また、一対のXキャリッジ70のそれぞれの下面には、X固定子57に所定のクリアランス(隙間/ギャップ)を介して対向するX可動子77が固定されている。X可動子77は、不図示のコイルを含むコイルユニットを有し、X固定子57と共にXキャリッジ70をX軸方向に所定のストロークで駆動するためのXリニアモータを構成している。なお、不図示であるが、一対のXビーム51のそれぞれには、X軸方向を周期方向とするXリニアスケールが固定され、一対のXキャリッジ70のそれぞれには、上記XリニアスケールとともにXキャリッジ70のX位置情報を求めるためのXリニアエンコーダシステムを構成するXエンコーダヘッドが固定されている。一対のXキャリッジ70は、不図示の主制御装置によって、Xリニアエンコーダシステムの計測値に基づいて、それぞれXリニアモータを介して同期駆動される。
【0046】
図7(A)に示されるように、基板支持部材60は、平面視で矩形の枠状部材から成る。基板支持部材60は、一対のX支持部材61と、一対のX支持部材61を一体的に連結する一対の連結部材62とを含む。一対のX支持部材61は、それぞれX軸方向に延びるYZ断面矩形(
図7(B)参照)の棒状部材から成り、Y軸方向に所定間隔(基板PのY軸方向に関する寸法よりも幾分短い間隔)で互いに平行に配置されている。一対のX支持部材61それぞれの長手方向寸法は、基板PのX軸方向に関する寸法よりも幾分長く設定されている。基板Pは、+Y側、及び−Y側の端部近傍が、一対のX支持部材61により下方から支持される。
【0047】
一対のX支持部材61のそれぞれは、その上面に吸着パッド63を有している。一対のX支持部材61は、吸着パッド63を用いて基板PのY軸方向に関する両端部近傍を下方から、例えば真空吸着により吸着保持する。一対の連結部材62は、それぞれY軸方向を長手方向とするXZ断面矩形の棒状部材から成る。一対の連結部材62の一方は、一対のX支持部材61の+X側の端部近傍において、一対のX支持部材61の上面上に載置され、他方は、一対のX支持部材61の−X側の端部近傍において、一対のX支持部材61の上面上に載置されている。−Y側のX支持部材61の上面には、Y軸に直交する反射面を有するY移動鏡68y(バーミラー)が取り付けられている。また、−X側の連結部材62の上面には、X軸に直交する反射面を有するX移動鏡68x(バーミラー)が取り付けられている。
【0048】
図2に示されるように、一対のX支持部材61のY軸方向に関する間隔は、Yステップ定盤20の一対のXガイド24の間隔に対応している。一対のX支持部材61それぞれの下面には、
図7(B)に示されるように、その軸受面がXガイド24(
図4参照)の上面に対向するエアベアリング64が取り付けられている。基板支持部材60は、エアベアリング64の作用により、一対のXガイド24上に浮上支持されており(
図1参照)、Yステップ定盤20は、基板支持部材60がX軸方向に移動する際の定盤として機能する。
【0049】
基板支持部材60は、
図2に示されるように、2つのXボイスコイルモータ29x、及び2つのYボイスコイルモータ29yにより一対のXキャリッジ70に対してX軸、Y軸、及びθz方向に微少駆動される。2つのXボイスコイルモータ29xの一方、及び2つのYボイスコイルモータ29yの一方は、基板支持部材60の−Y側に配置され、2つのXボイスコイルモータ29xの他方、及び2つのYボイスコイルモータ29yの他方は、基板支持部材60の+Y側に配置されている。一方及び他方のXボイスコイルモータ29xは、互いに基板支持部材60と基板Pとを併せた系の重心位置CGに関して点対称となる位置に配置され、一方及び他方のYボイスコイルモータ29yは、互いに上記重心位置CGに関して点対称となる位置に配置されている。
【0050】
図2に示されるように、Xボイスコイルモータ29xは、Xキャリッジ70の上面に支持部材78を介して固定されたX固定子79x(
図5及び
図6参照)と、X支持部材61の側面に固定されたX可動子69x(
図7(A)及び
図7(B)参照)とを含む。また、Yボイスコイルモータ29yは、Xキャリッジ70の上面に支持部材78を介して固定されたY固定子79y(
図5及び
図6参照)と、X支持部材61の側面に固定されたY可動子69y(
図7(A)及び
図7(B)参照)とを含む。X固定子79x、Y固定子79yは、それぞれ、例えばコイルを含むコイルユニットを有し、X可動子69x、Y可動子69yは、それぞれ、例えば永久磁石を含む磁石ユニットを有する。
【0051】
基板支持部材60は、一対のXキャリッジ70がそれぞれX軸方向に所定のストロークで駆動される際、2つのXボイスコイルモータ29xにより一対のXキャリッジ70に対して同期駆動(一対のXキャリッジ70と同方向、同速度で駆動)される。これにより、一対のXキャリッジ70と基板支持部材60とが一体的にX軸方向に移動する。また、基板支持部材60は、Yステップガイド50がY軸方向に所定のストロークで駆動される際、2つのYボイスコイルモータ29yにより一対のXキャリッジ70に対して同期駆動(一対のXキャリッジ70と同方向、同速度で駆動)される。これにより、Yステップガイド50(及びYステップ定盤20)と基板支持部材60とが一体的にY軸方向に移動する。また、基板支持部材60は、一対のXキャリッジ70とともにX軸方向に長ストロークで移動する際、2つのXボイスコイルモータ29x(あるいは2つのYボイスコイルモータ29y)の推力差により、重心位置CGを通過するZ軸に平行な軸線周り方向(θz方向)に適宜微少駆動される。
【0052】
基板支持部材60のXY平面内の位置情報は、
図2に示されるように、X干渉計66x、及びY干渉計66yを含む基板干渉計システムにより求められる。X干渉計66xは、干渉計支持部材36を介して一対の横コラム32に固定されている。Y干渉計66yは、−Y側の横コラム32に固定されている。X干渉計66xは、不図示の光源からの光を不図示のビームスプリッタで分割し、その分割光を一対のX軸に平行なX測長光としてX移動鏡68xに照射するとともに、投影光学系PL(
図1参照。あるいは投影光学系PLと一体と見なせる部材)に取り付けられた固定鏡(不図示)に参照光としてそれぞれ照射し、上記X測長光のX移動鏡68xからの反射光、及び参照光の固定鏡からの反射光を再度重ね合わせて不図示の受光素子に入射させ、その光の干渉に基づいて固定鏡の反射面のX位置を基準とするX移動鏡68xの反射面の位置(すなわち、基板支持部材60のX軸方向の移動量)を求める。
【0053】
Y干渉計66yも同様に、一対のY軸に平行なY測長光をY移動鏡68yに照射するとともに、不図示の固定鏡に参照光を照射し、それらの反射光に基づいて基板支持部材60のY軸方向の移動量を求める。ここで、基板支持部材60のX軸方向に関する移動可能範囲内で、Y干渉計66yから照射されるY測長光の少なくとも一方が常にY移動鏡68yに照射されるように一対のY測長光の間隔が設定されている(
図9(A)〜
図10(B)参照)。また、基板支持部材60のY軸方向に関する移動可能範囲内でX干渉計66xから照射される一対のX測長光が常にX移動鏡68xに照射されるように一対のX測長光の間隔が設定されており、基板支持部材60、すなわち基板Pのθz方向の位置情報は、X干渉計66xにより求められる。
【0054】
定点ステージ80は、
図3に示されるように、定点ステージ架台35上に搭載され、
図2に示されるように、Yステップ定盤20とYステップガイド50とが組み合わされた状態では、一対のエア浮上装置用ベース53の間に配置されている。なお、
図4では、図面の錯綜を避ける観点から、定点ステージ80の図示が省略されている。定点ステージ80は、
図8に示されるように、定点ステージ架台35上に搭載された重量キャンセル装置81、重量キャンセル装置81に下方から支持されたエアチャック装置88、エアチャック装置88をθx、θy、及びZ軸の3自由度方向に駆動する複数のZボイスコイルモータ95などを備えている。
【0055】
ここで、Yステップガイド50(
図2参照)がY軸方向に所定のストロークで移動する際、一対のXビーム51と定点ステージ80とが接触しないように、一対のXビーム51間の寸法(及び/又は重量キャンセル装置81の外形寸法)が設定されている。
【0056】
重量キャンセル装置81は、定点ステージ架台35に固定された筐体82、筐体82内に収容されたZ軸方向に伸縮可能な圧縮コイルばね83、及び圧縮コイルばね83上に搭載されたZスライダ84などを備えている。筐体82は、+Z側が開口した有底筒状の部材から成る。Zスライダ84は、Z軸に延びる筒状の部材から成り、Z軸方向に離間して配置されたXY平面に平行な一対の板ばねを含む平行板ばね装置85を介して筐体82の内壁面に接続されている。平行板ばね装置85は、Zスライダ84の+X側、−X側、+Y側、及び−Y側に配置されている(+Y側、及び−Y側の平行板ばね装置85は不図示)。Zスライダ84は、平行板ばね装置85が有する板ばねの剛性(引張剛性)により筐体82に対するXY平面に平行な方向への相対移動が制限されるのに対し、Z軸方向には、板ばねの可撓性により、筐体82に対してZ軸方向に微少ストロークで相対移動可能となっている。Zスライダ84の上端部(+Z側の端部)は、筐体82の+Z側の端部から上方に突き出しており、エアチャック装置88を下方から支持している。また、Zスライダ84の上端面には、半球状の凹部84aが形成されている。
【0057】
重量キャンセル装置81は、圧縮コイルばね83の弾性力(重力方向上向き(+Z方向)の力)により、基板P、Zスライダ84、エアチャック装置88等の重量(重力加速度による下向き(−Z方向)の力)を打ち消すことにより、複数のZボイスコイルモータ95に対する負荷を低減する。なお、圧縮コイルばね83に替えて、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示される重量キャンセル装置のように、空気ばねなど荷重制御可能な部材を用いてエアチャック装置88等の重量をキャンセルしても良い。また、平行板ばね装置85は、上下方向に一組以上あれば、何組でも良い。
【0058】
エアチャック装置88は、重量キャンセル装置81の上方(+Z側)に配置されている。エアチャック装置88は、ベース部材89、ベース部材89上に固定されたバキューム・プリロード・エアベアリング90、バキューム・プリロード・エアベアリング90の+X側、−X側それぞれに配置された一対のエア浮上装置91を有している。
【0059】
ベース部材89は、XY平面に平行に配置された板状の部材から成る。ベース部材89の下面中央には、半球面状の軸受面を有する球面エアベアリング92が固定されている。球面エアベアリング92は、Zスライダ84に形成された凹部84aに挿入されている。これにより、エアチャック装置88がXY平面に対して揺動自在(θx及びθy方向に回転自在)にZスライダ84に支持される。なお、エアチャック装置88をXY平面に対して揺動自在に支持する装置としては、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示されるような、複数のエアベアリングを用いた疑似球面軸受装置であっても良いし、弾性ヒンジ装置を用いても良い。
【0060】
バキューム・プリロード・エアベアリング90は、
図3に示されるように、平面視でY軸方向を長手方向とする長方形の板状部材から成り、その面積は、露光領域IAの面積よりも幾分広く設定されている。バキューム・プリロード・エアベアリング90は、その上面に気体噴出孔、及び気体吸引孔を有しており、気体噴出孔から加圧気体(例えば空気)を基板P(
図2参照)の下面に向けて噴出するとともに、気体吸引孔から基板Pとの間の気体を吸引する。バキューム・プリロード・エアベアリング90は、基板Pの下面に噴出する気体の圧力と、基板Pの下面との間の負圧とのバランスにより、その上面と基板P下面との間に剛性の高い気体膜を形成し、基板Pをほぼ一定のクリアランス(隙間/ギャップ)を介して非接触で吸着保持する。バキューム・プリロード・エアベアリング90の上面(基板保持面)と、基板Pの下面との間の距離が、例えば数マイクロメートルから数十マイクロメートル程度となるように、噴出される気体の流量又は圧力、及び吸引する気体の流量又は圧力が設定されている。
【0061】
ここで、バキューム・プリロード・エアベアリング90は、投影光学系PL(
図1参照)の直下(−Z側)に配置されており、投影光学系PLの直下に位置する基板Pの露光領域IAに対応する部位(被露光部位)を吸着保持する。バキューム・プリロード・エアベアリング90は、基板Pに、いわゆるプリロードをかけるので、基板Pとの間に形成される気体膜の剛性を高くすることができ、仮に基板Pに歪み、あるいは反りがあったとしても、基板Pのうち投影光学系の直下に位置する被露光部位の形状を確実にバキューム・プリロード・エアベアリング90の上面に沿って矯正することができる。また、バキューム・プリロード・エアベアリング90は、基板PのXY平面内の位置を拘束しないので、基板Pは、バキューム・プリロード・エアベアリング90により被露光部位が吸着保持された状態であっても、照明光IL(
図1参照)に対してXY平面に沿って相対移動することができる。この種の非接触式エアチャック装置(バキューム・プリロード・エアベアリング)については、例えば米国特許第7,607,647号明細書などに開示されている。なお、バキューム・プリロード・エアベアリング90から噴出される加圧気体は、外部から供給されても良いしバキューム・プリロード・エアベアリング90が送風装置などを内蔵していても良い。また、バキューム・プリロード・エアベアリング90の上面と基板P下面との間の気体を吸引する吸引装置(バキューム装置)も同様に、バキューム・プリロード・エアベアリング90の外部に設けられても良いし、バキューム・プリロード・エアベアリング90が内蔵していても良い。また、気体噴出孔、及び気体吸引孔は、機械的な加工により形成されたものであっても良いし、多孔質材料を用いても良い。また、バキューム・プリロードの方法としては、気体吸引を行わず、正圧気体のみを用いて(例えば、ベルヌーイチャック装置のように)負圧を発生させても良い。
【0062】
一対のエア浮上装置91のそれぞれは、上記エア浮上装置59と同様に、その上面から基板P(
図2参照)の下面に加圧気体(例えば空気)を噴出することにより、基板Pを浮上させる。一対のエア浮上装置91の上面のZ位置は、バキューム・プリロード・エアベアリング90の上面のZ位置とほぼ同じに設定されている。また、バキューム・プリロード・エアベアリング90、及び一対のエア浮上装置91の上面のZ位置は、複数のエア浮上装置59の上面のZ位置よりも幾分高い位置に設定されている。このため、上記複数のエア浮上装置59は、一対のエア浮上装置91に比べて、基板Pを高く浮上させることができる高浮上タイプの装置が用いられている。なお、一対のエア浮上装置91は、基板Pに向けて加圧気体を噴出するだけでなく、バキューム・プリロード・エアベアリング90と同様に、その上面と基板Pとの間の空気を吸引しても良い。この場合、バキューム・プリロード・エアベアリング90によるプリロードよりも弱い負荷となるように吸引圧を設定することが好ましい。
【0063】
複数のZボイスコイルモータ95のそれぞれは、
図8に示されるように、床11上に設置されたベースフレーム98に固定されたZ固定子95aと、ベース部材89に固定されたZ可動子95bとを含む。Zボイスコイルモータ95は、例えば重量キャンセル装置81の+X側、−X側、+Y側、及び−Y側に配置され(+Y側、及び−Y側のZボイスコイルモータ95は不図示)、エアチャック装置88をθx、θy、及びZ軸の3自由度方向に微少ストロークで駆動できる。なお、複数のZボイスコイルモータ95は、少なくとも同一直線上にない3箇所に配置されていれば良い。
【0064】
ベースフレーム98は、定点ステージ架台35に形成された複数の貫通孔35aのそれぞれに挿通された複数(例えばZボイスコイルモータ95に対応して4本)の脚部98aと、該複数の脚部98aに下方から支持された本体部98bとを含む。本体部98bは、平面視で円環状の板状部材から成り、その中央部に形成された開口部98c内に上記重量キャンセル装置81が挿入されている。複数の脚部98aのそれぞれは、定点ステージ架台35と非接触状態とされ、振動的に分離されている。従って、複数のZボイスコイルモータ95を用いてエアチャック装置88を駆動する際の反力が重量キャンセル装置81に伝わらないようになっている。
【0065】
複数のZボイスコイルモータ95により駆動されるエアチャック装置88の3自由度方向の位置情報は、定点ステージ架台35に固定された複数、本実施形態では、例えば4つのZセンサ96を用いて求められる。Zセンサ96は、重量キャンセル装置81の+X側、−X側、+Y側、−Y側それぞれに、1つずつ設けられている(+Y側、及び−Y側のZセンサは不図示)。Zセンサ96は、エアチャック装置88のベース部材89の下面に固定されたターゲット97を用いて、定点ステージ架台35(ベースフレーム98の本体部98b)とベース部材89とのZ軸方向の距離の変化を求める。図示しない主制御装置は、4つのZセンサ96の出力に基づいてエアチャック装置88のZ軸、θx、及びθy方向に関する位置情報を常時求め、その計測値に基づいて4つのZボイスコイルモータ95を適宜制御することによりエアチャック装置88の位置を制御する。複数のZセンサ96、及びターゲット97は、複数のZボイスコイルモータ95の近傍に配置されているので、高速で高応答の制御ができる。なお、Zセンサ96とターゲット97の配置は、逆でも良い。
【0066】
ここで、エアチャック装置88の最終的な位置は、バキューム・プリロード・エアベアリング90の上方を通過する基板Pの上面が、常に投影光学系PLの焦点深度内に位置するように制御される。図示しない主制御装置は、不図示の面位置計測系(オートフォーカスセンサ)により、基板Pの上面の位置(面位置)をモニタしつつ、その基板Pの上面が投影光学系PLの焦点深度内に常に位置するように(投影光学系PLが常に基板P上面に合焦するように)、エアチャック装置88を駆動制御(オートフォーカス制御)する。なお、Zセンサ96は、エアチャック装置88のZ軸、θx、及びθy方向に関する位置情報を求めることができれば良いので、例えば同一直線上にない3箇所に設けられていれば、3つでも良い。
【0067】
上述のようにして構成された液晶露光装置10(
図1参照)では、不図示の主制御装置の管理の下、不図示のマスクローダによって、マスクステージMSTへのマスクのロード、及び不図示の基板ローダによって、基板支持部材60上への基板Pのロードが行なわれる。その後、主制御装置により、不図示のアライメント検出系を用いてアライメント計測が実行され、アライメント計測の終了後、ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行なわれる。
【0068】
ここで、
図9(A)〜
図10(B)に基づいて、上記露光動作時における基板ステージ装置PSTの動作の一例を説明する。なお、以下では、1枚の基板上に4つのショット領域が設定された場合(いわゆる4面採りの場合)を説明するが、1枚の基板P上に設定されるショット領域の数、及び配置は、適宜変更可能である。
【0069】
露光処理は、一例として、
図9(A)に示されるように、基板Pの−Y側かつ−X側に設定された第1ショット領域S1、基板Pの+Y側かつ−X側に設定された第2ショット領域S2、基板Pの+Y側かつ+X側に設定された第3ショット領域S3、基板Pの−Y側かつ+X側に設定された第4ショット領域S4の順番で行われる。基板ステージ装置PSTでは、
図9(A)に示されるように、第1のショット領域S1が露光領域IAの+X側に位置するように、X干渉計66x、及びY干渉計66yの出力に基づいて基板支持部材60のXY平面内の位置が制御される。
【0070】
この後、
図9(B)に示されるように、照明光IL(
図1参照)に対して基板支持部材60が一対のX干渉計66xの出力に基づいて−X方向に所定の一定速度で駆動され(
図9(B)の矢印参照)、これにより、基板P上の第1ショット領域S1にマスクパターンが転写される。第1ショット領域S1への露光処理が終了すると、基板ステージ装置PSTでは、
図10(A)に示されるように、第2のショット領域S2の+X側の端部が露光領域IA(
図10(A)では不図示。
図2参照)よりも幾分−X側に位置するように、Y干渉計66yの出力に基づいて基板支持部材60の位置が制御される(
図10(A)の矢印参照)。
【0071】
次いで、
図10(B)に示されるように、照明光IL(
図1参照)に対して基板支持部材60がX干渉計66xの出力に基づいて+X方向に所定の一定速度で駆動され(
図10(B)の矢印参照)、これにより、基板P上の第2ショット領域S2にマスクパターンが転写される。この後、不図示であるが、第3のショット領域S3(
図9(A)参照)の−X側の端部が露光領域IAよりも幾分+X側に位置するように、X干渉計66xの出力に基づいて基板支持部材60のXY平面内の位置が制御され、照明光IL(
図1参照)に対して基板支持部材60が一対のX干渉計66xの出力に基づいて−X方向に所定の一定速度で駆動されることにより、基板P上の第3ショット領域S3にマスクパターンが転写される。次いで、第4のショット領域S4(
図9(A)参照)の+X側の端部が露光領域IAよりも幾分−X側に位置するように、Y干渉計66yの出力に基づいて基板支持部材60のXY平面内の位置が制御され、照明光IL(
図1参照)に対して基板支持部材60がX干渉計66xの出力に基づいて+X方向に所定の一定速度で駆動されることにより、基板P上の第4ショット領域S4にマスクパターンが転写される。
【0072】
主制御装置は、上記ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行われている最中、基板P表面の被露光部位の面位置情報を計測する。そして、主制御装置は、その計測値に基づいてエアチャック装置88が有するバキューム・プリロード・エアベアリング90のZ軸、θx、及びθy方向それぞれの位置(面位置)を制御することにより、基板P表面のうち、投影光学系PLの直下に位置する被露光部位の面位置が投影光学系PLの焦点深度内に位置するように位置決めする。これにより、例えば仮に基板Pの表面にうねり、あるいは基板Pに厚みの誤差があったとしても、確実に基板Pの被露光部位の面位置を、投影光学系PLの焦点深度内に位置させることができ、露光精度を向上させることができる。また、基板Pのうち、露光領域IAに対応する部位以外の領域の大部分は、複数のエア浮上装置59により浮上支持される。従って、基板Pの自重による撓みが抑制される。
【0073】
このように、第1の実施形態に係る液晶露光装置10が有する基板ステージ装置PSTは、基板表面のうち、露光領域に対応する位置の面位置をピンポイントで制御するので、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示されるステージ装置のように、基板Pと同程度の面積を有する基板ホルダ(すなわち基板Pの全体)をZ軸方向、及びチルト方向にそれぞれ駆動する場合に比べ、その重量を大幅に低減することができる。
【0074】
また、基板支持部材60は、基板Pの端部のみを保持する構成であるので、仮に基板Pが大型化しても基板支持部材60を駆動するためのXリニアモータは、出力の小さなもので良く、ランニングコストを低減することができる。また、電源設備などのインフラ整備も容易である。また、Xリニアモータの出力が小さくて良いのでイニシャルコストを低減することもできる。また、Xリニアモータの出力(推力)が小さいので、駆動反力が装置全体に与える影響(振動による露光精度への影響)も少ない。また、従来の上記基板ステージ装置に比べ、組み立て、調整、メンテナンスなどが容易である。また、部材の点数が少なく、且つ各部材が軽量であるので、輸送も容易である。なお、複数のエア浮上装置59を含み、Yステップガイド50は、基板支持部材60に比べて大型であるが、基板PのZ軸方向の位置決めは定点ステージ80が行い、エア浮上装置59自体は基板Pを浮上させるだけなので剛性が要求されず、軽量なものを用いることができる。
【0075】
また、基板支持部材60がX軸方向に移動する際の定盤(ガイド部材)として機能するYステップ定盤20と、基板支持部材60をX軸方向に誘導するための一対のXキャリッジ70を含むYステップガイド50とが、フレクシャ装置18を介してY軸方向以外の5自由度方向に振動的に分離されているので、Xリニアモータを用いて一対のXキャリッジ70それぞれを駆動する際にYステップガイド50に作用するX軸方向の駆動反力、及びそれに伴う振動などがYステップ定盤20に伝達しない。従って、X軸方向に関して基板支持部材60を高精度で位置決めできる。
【0076】
また、複数のエア浮上装置59による基板Pの浮上量が、例えば数十マイクロメートルから数千マイクロメートル程度に(すなわち定点ステージ80よりも浮上量が大きく)設定されているため、仮に基板Pに撓みが生じたり、エア浮上装置59の設置位置がずれたとしても基板Pとエア浮上装置59との接触が防止される。また、複数のエア浮上装置59から噴出される加圧気体の剛性が比較的低いので、定点ステージ80を用いて基板Pの面位置制御を行う際のZボイスコイルモータ95の負荷が小さい。
【0077】
また、基板Pを支持する基板支持部材60は、簡単な構成なので、重量を軽くすることが可能である。また、基板支持部材60を駆動する際の反力が、Yステップガイド50に伝わるが、Yステップガイド50と装置本体30(
図1参照)とは、フレクシャ装置18以外では繋がっていないので、駆動反力による装置振動(装置本体30の揺れ、あるいは振動励起による共振現象など)が発生しても、露光精度に影響を与えるおそれが少ない。
【0078】
また、Yステップガイド50は、基板支持部材60に比べて重量が重いので、その駆動反力も基板支持部材60を駆動する場合に比べて大きいが、Yステップガイド50は、フレクシャ装置18以外では装置本体30(
図1参照)に繋がっていないので、その駆動反力による上記装置振動が露光精度に影響を与えるおそれが少ない。
【0079】
また、Yステップ定盤20とYステップガイド50とを、Y軸方向以外に剛性が低いフレクシャ装置18により連結(互いをY軸方向以外には拘束しない状態で連結)したので、仮にYステップ定盤20をY軸方向に案内するYリニアガイド38と、Yステップガイド50をY軸方向に案内するYリニアガイド44との平行度が低下しても、その平行度の低下に起因してYステップ定盤20又はYステップガイド50に作用する負荷を逃がすことができる。
【0080】
《第2の実施形態》
次に第2の実施形態に係る基板ステージ装置PSTaについて
図11及び
図12に基づいて説明する。第2の実施形態の基板ステージ装置PSTaは、上記第1の実施形態に比べてYステップ定盤20の駆動方法が異なる。なお、本第2の実施形態(及び後述するその他の実施経緯体)において、上記第1の実施形態の基板ステージ装置PST(
図2参照)と同じ構成、及び機能を有する部材については、上記第1の実施形態と同じ符号を用いてその説明を省略する。
【0081】
上記第1の実施形態において、Yステップ定盤20は、複数のフレクシャ装置18(
図2参照)を介してYステップガイド50に牽引されたのに対し、本第2の実施形態では、Yステップ定盤20は、Yステップガイド50に固定された複数のプッシャ装置118を介してYステップガイド50に押圧されることにより、Yステップガイド50と共にY軸方向に移動する。
【0082】
プッシャ装置118は、
図11に示されるように、一対のエア浮上装置用ベース53それぞれの+Y側の側面、及び−Y側の側面に1つずつ固定されている。プッシャ装置118は、鋼球(あるいはセラミックスにより形成されたボールなどの硬度の高い部材)を含み、
図12に示されるように、その鋼球がYステップ定盤20のXビーム21の内側面(+X側のXビーム21の−X側の面、−X側のXビーム21の+X側の面)に所定のクリアランス(隙間/ギャップ)を介して対向している。なお、プッシャ装置118の数、及び配置は、これに限らず、適宜変更が可能である。
【0083】
基板ステージ装置PSTaでは、Yステップガイド50がYリニアモータにより一対のベース定盤40上でY軸方向(+Y方向、又は−Y方向)に駆動されると、エア浮上装置用ベース53の側面(+Y側の側面、又は−Y側の側面)に固定されたプッシャ装置118がYステップ定盤20のXビーム21に当接する。そして、Yステップ定盤20は、プッシャ装置118を介してYステップガイド50に押圧されることにより、そのYステップガイド50と一体的にY軸方向に移動する。また、Yステップ定盤20をY軸方向に関して所望の位置に移動させた後、Yステップガイド50は、プッシャ装置118がYステップ定盤20のXビーム21から離間するように、上記位置決め時の駆動方向とは逆の方向に微少駆動される。
【0084】
この状態では、Yステップ定盤20とYステップガイド50とが完全に分離されるので、例えば一対のXキャリッジ70を駆動する際の反力に起因して発生する振動などが、Yステップ定盤20に伝わることが防止される。従って、露光動作中に基板支持部材60をX軸方向に長ストロークで駆動しつつ、一対のYボイスコイルモータ29yを用いて基板支持部材60をY軸方向(あるいはθz方向)に駆動する際にYステップガイド50に作用するY軸方向の反力に起因して発生する振動などがYステップ定盤20に伝達しない。なお、プッシャ装置118に鋼球をY軸方向に微少駆動させるYアクチュエータを設け、上記Yステップ定盤20の移動後、鋼球のみをYステップ定盤20から離間させても良い。この場合、Yステップガイド50全体を動かす必要がない。
【0085】
《第3の実施形態》
次に第3の実施形態に係る基板ステージ装置PSTbについて、
図13及び
図14に基づいて説明する。第3の実施形態の基板ステージ装置PSTbは、上記第1の実施形態に比べてYステップ定盤20の駆動方法が異なる。第3の実施形態の基板ステージ装置PSTbでは、Yステップ定盤20は、Yステップガイド50に取り付けられた複数のエアベアリング218aにより形成される気体膜を介してYステップガイド50に押圧されることにより、Yステップガイド50と共にY軸方向に移動する。
【0086】
エアベアリング218aは、
図13に示されるように、一対の接続部材53a+Y側の側面、及び−Y側の側面それぞれに取り付けられている。エアベアリング218aは、加圧気体(例えば空気)を軸受面から噴出するパッド部材と、そのパッド部材を揺動可能(θx、θz方向に微少角度回転可能)に支持するボールジョイントなどを含む。Yステップ定盤20のXビーム21の内側面には、XZ平面に平行な板状部材から成り、パッド部材の軸受面に所定のクリアランス(隙間/ギャップ)を介して対向する対向部材218bが固定されている。なお、エアベアリング218a、及び対向部材218bの数、及び配置は、これに限らず、適宜変更が可能であり、例えばエアベアリング218aがYステップ定盤20に取り付けられ、対向部材218bがYステップガイド50に取り付けられても良い。
【0087】
基板ステージ装置PSTbでは、Yステップガイド50がYリニアモータにより一対のベース定盤40上でY軸方向に駆動されると、エアベアリング218aから噴出される気体の静圧(エアベアリング218aの軸受面と対向部材218bとの間に形成される気体膜の剛性)により、Yステップ定盤20がYステップガイド50に非接触状態で押圧され、そのYステップガイド50と一体的にY軸方向に移動する。従って、Yステップ定盤20とYステップガイド50とは、Y軸方向以外の5自由度方向に関して振動的に分離されており、第1の実施形態と同様に、例えば一対のXキャリッジ70を駆動する際の反力に起因して発生する振動などが、Yステップ定盤20に伝わることが防止される。また、上記第1の実施形態と異なり、Yステップ定盤20とYステップガイド50とが非接触であるため、Y軸方向以外の5自由度方向に関してYステップ定盤20とYステップガイド50とを確実に振動的に分離できる。また、上記第2の実施形態のように、接触、及び離間を繰り返す部材がないので、衝撃の発生、あるいは発塵を抑制できる。
【0088】
《第4の実施形態》
次に第4の実施形態に係る基板ステージ装置PSTcについて、
図15及び
図16に基づいて説明する。第4の実施形態の基板ステージ装置PSTcは、上記第1の実施形態に比べてYステップ定盤20の駆動方法が異なる。第4の実施形態の基板ステージ装置PSTcでは、Yステップ定盤20は、Xビーム21の下面にスペーサ318aを介して固定されたY可動子318b(
図15では不図示。
図16参照)と、ベース定盤40に固定されたY固定子48とから構成されるYリニアモータにより、Yステップガイド50と独立してY軸方向に駆動される(ただし、実際には、Yステップ定盤20とYステップガイド50とは、同期してY軸方向に駆動される)。なお、
図16に示される基板ステージ装置PSTcは、
図15のG−G線断面図に相当するが、基板ステージ装置PSTcの構成の理解を容易にするため、最も+X側(+X側から見て最も手前側)の下コラム33(及びその上面に固定されたYリニアガイド38)の図示が省略されている。
【0089】
Y可動子318bは、不図示のコイルを含むコイルユニットを有し、1つのXビーム21に対して、X軸方向に離間してそれぞれ2つ設けられている(
図15参照)。Yステップ定盤20の位置情報は、ベース定盤40に固定されたYスケール(Yステップガイド50の位置情報を求めるためのYリニアエンコーダシステムを構成するYスケールと共通)と、Yステップ定盤20に固定されたYエンコーダヘッド(Yスケール、及びYエンコーダヘッドはそれぞれ不図示)とを含むYリニアエンコーダシステムにより求められ、そのYリニアエンコーダシステムの計測値に基づいてYステップ定盤20のY位置が制御される。なお、基板ステージ装置PSTcでは、Yステップ定盤20をY軸方向に駆動するために、Yリニアモータを構成するY固定子48が上記第1〜第3の実施形態に比べてY軸方向の寸法が長く設定されているが、便宜上同じ符号を用いている。
【0090】
基板ステージ装置PSTcでは、上記第2の実施形態と同様に、Yステップ定盤20とYステップガイド50とが完全に分離されているので、例えば一対のXキャリッジ70を駆動する際の反力に起因して発生する振動などが、Yステップ定盤20に伝わることが防止される。従って、露光動作中に基板支持部材60をX軸方向に長ストロークで駆動しつつ、一対のYボイスコイルモータ29yを用いて基板支持部材60をY軸方向(あるいはθz方向)に駆動する際にYステップガイド50に作用するY軸方向の反力に起因して発生する振動などがYステップ定盤20に伝達しない。なお、Yステップ定盤20が装置本体30上に搭載されるのに対し、Y固定子48がベース定盤40に固定されていることから、Y固定子48とY可動子318bとの間隔が変化する可能性があるので、Yステップ定盤20を駆動するYリニアモータとしては、コアレスリニアモータを用いるのが好ましい。
【0091】
《第5の実施形態》
次に第5の実施形態に係る基板ステージ装置PSTdについて、
図17及び
図18に基づいて説明する。第5の実施形態の基板ステージ装置PSTdは、上記第1の実施形態に比べてYステップ定盤20の駆動方法が異なる。第5の実施形態の基板ステージ装置PSTdでは、Yステップ定盤20は、Yステップガイド50に取り付けられた複数の永久磁石418aと、Yステップ定盤20に取り付けられた複数の永久磁石418bとの間に発生する斥力(反発力)により、機械的な接触のない状態(非接触)でYステップガイド50に押圧されることにより、Yステップガイド50と共にY軸方向に移動する。
【0092】
永久磁石418aは、
図17に示されるように、一対のエア浮上装置用ベース53それぞれの+Y側の側面、及び−Y側の側面に1つずつ固定されている。また、永久磁石418bは、Yステップ定盤20のXビーム21の内側面に、上記複数の永久磁石418aに対応して固定されている。そして、永久磁石418aと永久磁石418bとは、互いに対向する対向面の磁極が同じとなるように(S極とS極、あるいはN極とN極とが対向するように)配置されている。なお、永久磁石418a、及び永久磁石418bの数、及び配置は、これに限らず、適宜変更が可能である。
【0093】
基板ステージ装置PSTdでは、Yステップガイド50がYリニアモータにより一対のベース定盤40上でY軸方向に駆動されると、互いに対向する永久磁石418aと永久磁石418bとの間に発生する磁気的な反発力により、Yステップ定盤20とYステップガイド50との間に所定のクリアランス(隙間/ギャップ)が形成された状態で(機械的に接触することなく)、Yステップ定盤20がYステップガイド50に押圧され、そのYステップガイド50と一体的にY軸方向に移動する。第5の実施形態に係る基板ステージ装置PSTdでは、上記第3の実施形態で得られるのと同様の効果に加え、加圧気体、あるいは電気などのエネルギを供給することなくYステップ定盤20とYステップガイド50との間に所定のクリアランス(隙間/ギャップ)を形成することができ、装置構成を簡単にすることができる。また、発塵、振動の伝達の可能性がない。
【0094】
なお、基板ステージ装置を含み、液晶露光装置の構成は、上記実施形態に記載したものに限らず、適宜変更が可能である。例えば、
図19(A)に示されるように、基板支持部材60bは、X支持部材61bに対してZ軸方向に微少移動可能な保持部材161bを用いて基板Pを吸着保持しても良い。保持部材161bは、X軸方向に延びる棒状の部材から成り、その上面に不図示の吸着パッドを有している(真空吸引用の配管などは不図示)。保持部材161bの下面における長手方向両端部近傍には、それぞれ下方(−Z側)に突き出したピン162bが取り付けられている。ピン162bは、X支持部材61bの上面に形成された凹部内に挿入され、その凹部内に収容された圧縮コイルばねに下方から支持されている。これにより、保持部材161b(すなわち基板P)は、X支持部材61bに対してZ軸方向(上下方向)に移動可能となる。前述したように、上記第1〜第5の実施形態では、
図2などに示されるように、定点ステージ80が装置本体30の一部である定点ステージ架台35に搭載され、Yステップガイド50が一対の架台42を介してベース定盤40上に搭載されているため、基板支持部材60bのZ位置(基板支持部材60bがXY平面に平行に沿って移動する際の移動平面のZ位置)と、エア浮上装置59のZ位置とが、例えば防振装置34の作用により変化する可能性があるが、
図19(A)に示される基板支持部材60bは、基板PをZ軸方向に関して拘束しないため、仮に基板支持部材60bのZ位置と定点ステージ80のZ位置とがずれたとしても、エア浮上装置59のZ位置に応じて基板PがX支持部材61bに対してZ軸方向に移動(上下動)するので、基板Pに対するZ軸方向の負荷が抑制される。なお、
図19(B)に示される基板支持部材60cのように、複数の平行板ばね装置162cを用いて不図示の吸着パッドを有する保持部材161cをX支持部材61に対してZ軸方向に微少移動可能に構成しても良い。
【0095】
また、基板支持部材60は、基板Pを下方から吸着保持する構成であったが、これに限らず、例えば基板Pの端部をY軸方向に(一方のX支持部材61側から他方のX支持部材61側に)押圧する押圧装置により基板を保持しても良い。この場合、基板Pのほぼ全面に露光処理を行うことができる。
【0096】
また、Yステップ定盤20、Yステップガイド50、あるいはXキャリッジ70を直進案内する一軸ガイド装置は、例えば石材、セラミックスなどにより形成されたガイド部材と複数の気体静圧軸受(エアベアリング)とを含む非接触一軸ガイド装置であっても良い。
【0097】
また、Yステップ定盤20、Yステップガイド50、あるいはXキャリッジ70を駆動する駆動装置としては、ボールねじと回転モータとを組み合わせた送りねじ装置、ベルト(あるいはロープ)と回転モータとを組み合わせたベルト駆動装置などであっても良い。
【0098】
また、基板支持部材60は、エアベアリング64から噴出する加圧気体の静圧によりYステップ定盤20上に浮上していたが、これに限らず、例えばエアベアリング64に気体吸引機能を持たせ、基板支持部材60とXガイド24との間の気体を吸引して基板支持部材60にプリロードを掛け、基板支持部材60とXガイド24との間のクリアランス(隙間/ギャップ)を狭くし、基板支持部材60とXガイド24との間の気体の剛性を高めても良い。
【0099】
また、基板支持部材60の位置情報は、リニアエンコーダシステムを用いて求めても良い。また、基板支持部材60が有する一対のX支持部材61それぞれの位置情報をリニアエンコーダシステムを用いて独立に求めても良く、この場合、一対のX支持部材61同士を機械的に連結しなくても良い(連結部材62が不要となる)。
【0100】
また、定点ステージ80(
図8参照)において、エアチャック装置88を駆動するZボイスコイルモータ95の固定子95aは、その駆動反力が装置本体30に及ぼす影響が無視できる程度に小さい場合には、定点ステージ架台35に固定されても良い。
【0101】
また、定点ステージ80において、エアチャック装置88をX軸方向に移動可能に構成し、スキャン露光動作を開始する前に、予めバキューム・プリロード・エアベアリング90を基板Pの移動方向の上流側(例えば、
図9(A)に示される第1ショット領域S1の露光前では、露光領域IAの+X側)に位置させ、その位置で予め基板P上面の面位置調整を行い、基板Pがスキャン方向に移動するのに伴い、エアチャック装置88を基板P(基板支持部材60)と同期して移動させても良い(露光中は、露光領域IAの直下で停止させる)。
【0102】
また、Yステップガイド50によりYステップ定盤20を移動させる方式としては、上記第1〜3、及び第5の実施形態の駆動方式を組み合わせても良い。例えば、上記第1の実施形態のように、フレクシャ装置18(
図2参照)とプッシャ装置118(
図11)とを併用、あるいはプッシャ装置118と一組の永久磁石418a、418b(
図17)とを併用して、Yステップガイド50によりYステップ定盤20を移動させても良い。
【0103】
また、カウンタマスを設け、一対のXキャリッジ70、あるいはYステップガイド50(及び第4の実施形態におけるYステップ定盤20)などの可動部材をリニアモータを用いて駆動する場合にその駆動反力を低減しても良い。
【0104】
また、照明光は、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F
2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。また、照明光としては、例えばDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、固体レーザ(波長:355nm、266nm)などを使用しても良い。
【0105】
また、上記各実施形態では、投影光学系PLが、複数本の投影光学ユニットを備えたマルチレンズ方式の投影光学系である場合について説明したが、投影光学ユニットの本数はこれに限らず、1本以上あれば良い。また、マルチレンズ方式の投影光学系に限らず、例えばオフナー型の大型ミラーを用いた投影光学系などであっても良い。
【0106】
また、上記各実施形態では投影光学系PLとして、投影倍率が等倍のものを用いる場合について説明したが、これに限らず、投影光学系は縮小系及び拡大系のいずれでも良い。
【0107】
なお、上記各実施形態においては、光透過性のマスク基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク)、例えば、非発光型画像表示素子(空間光変調器とも呼ばれる)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)を用いる可変成形マスクを用いても良い。
【0108】
なお、露光装置としては、サイズ(外径、対角線、一辺の少なくとも1つを含む)が500mm以上の基板、例えば液晶表示素子などのフラットパネルディスプレイ(FPD)用の大型基板を露光する露光装置に対して適用することが特に有効である。
【0109】
また、露光装置としては、ステップ・アンド・リピート方式の露光装置、ステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用することができる。
【0110】
また、露光装置の用途としては、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置に限定されることなく、例えば半導体製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるマスク又はレチクルを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも上記各実施形態を適用できる。なお、露光対象となる物体はガラスプレートに限られるものでなく、例えばウエハ、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。また、露光対象物がフラットパネルディスプレイ用の基板である場合、その基板の厚さは特に限定されず、例えばフィルム状(可撓性を有するシート状の部材)のものも含まれる。
【0111】
また、物体を所定の二次元平面に沿って移動させる移動体装置(ステージ装置)としては、露光装置に限らず、例えば物体の検査に用いられる物体検査装置など、物体に関して所定の処理を行う物体処置装置などに用いても良い。
【0112】
《デバイス製造方法》
次に、上記各実施形態に係る露光装置をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイスの製造方法について説明する。上記各実施形態に係る露光装置では、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることができる。
〈パターン形成工程〉
まず、上述した上記各実施形態に係る露光装置を用いて、パターン像を感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に形成する、いわゆる光リソグラフィ工程が実行される。この光リソグラフィ工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成される。
〈カラーフィルタ形成工程〉
次に、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列された、又はR、G、Bの3本のストライプのフィルタの組を複数水平走査線方向に配列したカラーフィルタを形成する。
〈セル組み立て工程〉
次に、パターン形成工程にて得られた所定パターンを有する基板、及びカラーフィルタ形成工程にて得られたカラーフィルタ等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。例えば、パターン形成工程にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルタ形成工程にて得られたカラーフィルタとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。
〈モジュール組立工程〉
その後、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。
この場合、パターン形成工程において、上記各実施形態に係る露光装置を用いて高スループットかつ高精度でプレートの露光が行われるので、結果的に、液晶表示素子の生産性を向上させることができる。