(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、光半導体素子等の光デバイスや太陽電池は、上述した特許文献1の組成物等で形成されるシリカ系被膜により保護されている。このシリカ系被膜には、保護膜として好適に使用できるよう、高い耐久性及び平坦性が求められる。また、上記シリカ系被膜には、十分な光が透過するよう、高い透明性も求められる。
【0005】
シリカ系被膜の耐久性を向上させる方法としては、シリカ系被膜形成用組成物を高温で焼成してシリカ系被膜を形成する方法が考えられる。組成物を高温で焼成することにより、シリカ系被膜の劣化の原因となりうる組成物中の不純物を燃焼除去することができるため、シリカ系被膜の耐久性を高めることができる。しかしながら、シリカ系被膜形成用組成物を高温で焼成した場合、シリカ系被膜にクラックが生じやすいという課題がある。特に、シリカ系被膜の厚さを厚くするほどクラックが発生しやすい。そのため、シリカ系被膜には、クラック耐性の向上が求められている。また、焼成によりシリカ系被膜を形成するシリカ系被膜形成用組成物には、成分同士の相溶性に優れることが求められる。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、成分同士の相溶性に優れ、かつ、焼成により、透明性、クラック耐性、及び平坦性が良好なシリカ系被膜を与えるシリカ系被膜形成用組成物及びこれを用いたシリカ系被膜の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、分岐構造を有する特定のポリシロキサンと平均粒子径が10〜50nmであるシリカとを組み合わせることにより、上記の課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0008】
本発明の第一の態様は、下記一般式(1)で表されるポリシロキサンと、平均粒子径が10〜50nmであるシリカとを含有するシリカ系被膜形成用組成物である。
【0009】
【化1】
(式中、R
1〜R
3は、独立にメチル基又はエチル基を表し、添え字p、q、及びrは、上記ポリシロキサン中の全構造単位に対する上記添え字が付された構造単位のモル百分率を表し、それぞれp>0モル%、q≧0モル%、r>0モル%を満たし、ただし、p、q、及びrの合計は100モル%であり、上記ポリシロキサンに対するR
1〜R
3の合計の含有量は10〜30質量%である。)
【0010】
本発明の第二の態様は、上記シリカ系被膜形成用組成物からなる組成物層を基板上に形成する組成物層形成工程と、上記組成物層を焼成する焼成工程とを含む、シリカ系被膜の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、成分同士の相溶性に優れ、かつ、焼成により、透明性、クラック耐性、及び平坦性が良好なシリカ系被膜を与えるシリカ系被膜形成用組成物及びこれを用いたシリカ系被膜の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<シリカ系被膜形成用組成物>
本発明に係るシリカ系被膜形成用組成物は、上記一般式(1)で表されるポリシロキサンと、平均粒子径が10〜50nmであるシリカとを含有する。本発明に係るシリカ系被膜形成用組成物は、成分同士の相溶性に優れ、このシリカ系被膜形成用組成物を焼成することにより、透明性、クラック耐性、及び平坦性が良好なシリカ系被膜を得ることができる。本発明に係るシリカ系被膜形成用組成物は、光半導体素子等の光デバイスや太陽電池の封止に好適に用いることができる。
【0014】
[一般式(1)で表されるポリシロキサン]
本発明に係るシリカ系被膜形成用組成物は、上記一般式(1)で表されるポリシロキサンを含有する。上記ポリシロキサンは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0015】
上記一般式(1)において、添え字p、q、及びrは、上記ポリシロキサン中の全構造単位に対する上記添え字が付された構造単位のモル百分率を表し、それぞれp>0モル%、q≧0モル%、r>0モル%を満たし、ただし、p、q、及びrの合計は100モル%である。pは40〜80モル%、qは0〜50モル%、rは5〜60モル%であることが好ましい。特に、q>0の場合、pは45〜65モル%、qは10〜45モル%、rは5〜35モル%であることがより好ましく、pは50〜60モル%、qは15〜40モル%、rは7〜30モル%であることが更により好ましい。また、q=0の場合、pは40〜80モル%、rは20〜60モル%であることがより好ましく、pは45〜75モル%、rは25〜55モル%であることが更により好ましい。
【0016】
上記一般式(1)で表されるポリシロキサンに対するR
1〜R
3の合計の含有量、即ち、上記ポリシロキサンに対する上記ポリシロキサン中のケイ素原子に直接結合したメチル基及びエチル基の合計の含有量は10〜30質量%である。一般に、シリカ系被膜では、シリカ系被膜を構成するポリシロキサン中のケイ素原子に直接結合する有機基が、ポリシロキサンの焼成時の収縮による応力を緩和する機能を有する。そして、この有機基の鎖長が長いほど、又は、嵩高いほど、大きな応力緩和機能が見込まれる。一方で、シリカ系被膜は、ポリシロキサン中の炭素−炭素結合部分が高温により反応することで透明性が低下する。そこで、本発明に係るシリカ系被膜形成用組成物では、ケイ素原子に結合する有機基をメチル基及び/又はエチル基とし、その含有量を10〜30質量%としている。ケイ素原子に直接結合する有機基がメチル基及び/又はエチル基であり、メチル基及びエチル基の合計の含有量が30質量%以下であると、ポリシロキサン中の炭素−炭素結合部分が多くなりすぎないため、シリカ系被膜の透明性の低下が抑制されやすい。また、メチル基及びエチル基の合計の含有量が10%以上であると、シリカ系被膜におけるクラックの発生が抑制されやすい。上記一般式(1)で表されるポリシロキサンに対するR
1〜R
3の合計の含有量は、より好ましくは18〜28質量%である。
【0017】
得られるシリカ系被膜の平坦性の観点から、上記一般式(1)において、qがq>0を満たす数であり、R
1〜R
3がメチル基であることが好ましい。
【0018】
上記一般式(1)で表されるポリシロキサンの質量平均分子量は、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されず、好ましくは500〜40000、より好ましくは1000〜20000である。上記質量平均分子量が500〜40000であると、上記ポリシロキサンと平均粒子径が10〜50nmであるシリカとの相溶性がより良好となりやすい。
なお、本明細書において、質量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定された標準ポリスチレン換算のものをいう。
【0019】
上記一般式(1)で表されるポリシロキサンは、例えば、添え字p、q、又はrが付された各構造単位に対応するアルコキシシラン同士を、酸触媒、水、及び有機溶剤の存在下で加水分解及び脱水縮合させる方法で調製することができる。
【0020】
[平均粒子径が10〜50nmであるシリカ]
本発明に係るシリカ系被膜形成用組成物は、上記一般式(1)で表されるポリシロキサンとともに、平均粒子径が10〜50nmであるシリカを含有することにより、クラック耐性に優れるシリカ系被膜を与える。上記シリカは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。なお、平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布計にて測定することができる。
【0021】
上記シリカとしては、従来公知のものを用いることができる。上記シリカの製造方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。具体的には、例えば、水、有機溶剤、及び触媒の存在下で1種又は2種以上のアルコキシシランを加水分解及び脱水縮合させることにより、上記シリカを得ることができる。
【0022】
上記シリカの表面は、未処理であっても、アクリロイル基、メタクリロイル基等を有するシランカップリング剤等の表面処理剤で処理されていてもよい。上記シリカの表面は、未処理である場合、水酸基を有する。一方、上記シリカの表面は、表面処理剤で処理されている場合、表面処理剤の種類に応じて、アクリロイル基、メタクリロイル基等の官能基を有する。
【0023】
本発明に係るシリカ系被膜形成用組成物において、上記一般式(1)で表されるポリシロキサンと上記シリカとの質量比は、80/20〜35/65であることが好ましく、80/20〜50/50あることがより好ましい。上記質量比が80/20〜35/65であるであると、得られるシリカ系被膜は、透明性及びクラック耐性に優れたものとなりやすい。
【0024】
[有機溶剤]
本発明に係るシリカ系被膜形成用組成物は、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤を含むことによって、シリカ系被膜形成用組成物の塗布性や、シリカ系被膜形成用組成物から製造されるシリカ系被膜の膜厚を調整しやすくなる。有機溶剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0025】
有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール(IPA)、ブタノール等のアルコール類;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;プロピレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール等の多価アルコール;ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(ソルフィット)等のモノエーテル系グリコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート(MBA)、エチルジグリコールアセテート(EDGAC)等のエーテル系エステル類が挙げられる。
【0026】
有機溶剤の含有量は、シリカ系被膜形成用組成物の固形分濃度が好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%となる量である。
【0027】
[界面活性剤]
本発明に係るシリカ系被膜形成用組成物は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤を含むことによって、シリカ系被膜形成用組成物の塗布性、平坦化性、及び展開性が向上しやすくなり、塗布後に形成される組成物層の塗りムラの発生が減少しやすくなる。界面活性剤としては、従来公知のものを用いることができ、シリコーン系の界面活性剤が好ましい。また、界面活性剤の含有量は、シリカ系被膜形成用組成物全体に対し、好ましくは10〜10000質量ppm、より好ましくは100〜10000質量ppm、更により好ましくは500〜5000質量ppmの範囲である。界面活性剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
[その他の成分]
本発明に係るシリカ系被膜形成用組成物は、上記シリカ系被膜形成用組成物の粘度等の特性を調整するために、必要に応じて、公知の粘度調整剤等の添加剤を含有してもよい。
【0029】
<シリカ系被膜の製造方法>
本発明に係るシリカ系被膜の製造方法は、本発明に係るシリカ系被膜形成用組成物からなる組成物層を基板上に形成する組成物層形成工程と、上記組成物層を焼成する焼成工程とを含む。以下、
図1(A)〜
図1(D)を参照して、シリカ系被膜の製造方法について説明する。
図1(A)〜
図1(D)は、本発明の実施形態に係るシリカ系被膜の製造方法を説明するための工程断面模式図である。
【0030】
まず、
図1(A)に示すように、光デバイス1が搭載された基板2を用意する。光デバイス1は、例えば、LED(発光ダイオード)や有機EL等である。基板2は、例えば、裏面側保護層等である。なお、基板2は、光デバイス1の受光面側又は発光面側に積層される表面側保護層等であってもよい。また、基板2には、太陽電池等が搭載されていてもよい。
【0031】
次に、
図1(B)に示すように、光デバイス1が搭載された側の基板2の表面に、本発明に係るシリカ系被膜形成用組成物を塗布して、組成物層3を形成する。シリカ系被膜形成用組成物の塗布方法は特に限定されず、周知の方法を採用することができる。これにより、光デバイス1が組成物層3で被覆される。
【0032】
次に、
図1(C)に示すように、組成物層3が積層された基板2を電気炉等の加熱炉4内に載置し、組成物層3を焼成する。その結果、
図1(D)に示すように、シリカ系被膜形成用組成物が熱硬化して、基板2の表面にシリカ系被膜5が形成される。光デバイス1は、シリカ系被膜5によって封止される。焼成温度としては、例えば、500℃以上の温度が挙げられ、580℃以上の温度が好ましい。シリカ系被膜形成用組成物の焼成温度を500℃以上とすることで、シリカ系被膜5の劣化の原因となり得る不純物を効果的に燃焼除去することができるため、シリカ系被膜5の耐久性が向上し、シリカ系被膜5を保護膜として好適に使用することができる。
【0033】
以上の工程により、シリカ系被膜を製造することができる。このようにして製造されたシリカ系被膜は、透明性、クラック耐性、及び平坦性に優れる。
【実施例】
【0034】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0035】
[実施例1〜35及び比較例1〜15]
(シリカ系被膜形成用組成物の調製)
表1〜5に示す通り、所定の質量比のポリマー及びシリカを溶剤中で混合し、固形分濃度18質量%のシリカ系被膜形成用組成物を調製した。
表1〜5における各成分の詳細は下記の通りである。なお、有機基含有量とは、ポリマーに対するメチル基又はエチル基の含有量をいう。
【0036】
ポリマーA:下記式で表されるポリマー(有機基含有量=20.6質量%)
【化2】
(式中、添え字p1、q1、及びr1は、ポリマーA中の全構造単位に対する上記添え字が付された構造単位のモル百分率を表し、p1=54.5モル%、q1=18.2モル%、r1=27.3モル%である。)
【0037】
ポリマーB:下記式で表されるポリマー(有機基含有量=16.2質量%)
【化3】
(式中、添え字p2及びr2は、ポリマーB中の全構造単位に対する上記添え字が付された構造単位のモル百分率を表し、p2=70モル%、r2=30モル%である。)
【0038】
ポリマーC:下記式で表されるポリマー
【化4】
(式中、添え字n1は、上記添え字が付された構造単位の繰り返し数を表す。)
【0039】
ポリマーD:下記式で表されるポリマー
【化5】
(式中、添え字n2は、上記添え字が付された構造単位の繰り返し数を表す。)
【0040】
ポリマーE:下記式で表されるポリマー(有機基含有量=27.7質量%)
【化6】
(式中、添え字p3、q3、及びr3は、ポリマーE中の全構造単位に対する上記添え字が付された構造単位のモル百分率を表し、p3=54.5モル%、q3=36.4モル%、r3=9.1モル%である。)
【0041】
ポリマーF:下記式で表されるポリマー(有機基含有量=11.8質量%)
【化7】
(式中、添え字p4及びr4は、ポリマーF中の全構造単位に対する上記添え字が付された構造単位のモル百分率を表し、p4=50モル%、r4=50モル%である。)
【0042】
ポリマーG(有機基含有量=22.8質量%)
【化8】
(式中、添え字p5及びr5は、ポリマーG中の全構造単位に対する上記添え字が付された構造単位のモル百分率を表し、p5=50モル%、r5=50モル%である。)
【0043】
シリカA:未処理のシリカ(末端基:水酸基、平均粒子径:12、25、又は45nm)
シリカB:表面処理を施したシリカ(末端基:メタクリロイルオキシ基、平均粒子径:10、50、又は100nm)
溶剤A:3−メトキシブチルアセテート
溶剤B:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
溶剤C:3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール
溶剤D:イソプロパノール
溶剤E:エチルジグリコールアセテート
【0044】
(相溶性評価)
調製したシリカ系被膜形成用組成物を目視で観察し、以下の基準で相溶性を評価した。結果を表1〜5に示す。
良(◎):シリカ系被膜形成用組成物は透明であり、この組成物中に析出物は観察されなかった。
やや良(○):シリカ系被膜形成用組成物は白濁していたが、この組成物中に析出物は観察されなかった。
不良(×):シリカ系被膜形成用組成物中に析出物が観察された。
【0045】
(シリカ系被膜の製造)
調製したシリカ系被膜形成用組成物を、スピンコーター(商品名:Opticoat MS−A150、ミカサ株式会社製)を用いてサンプル基板上に、最終膜厚が0.5〜5.0μmとなるように塗布した。次に、サンプルをホットプレート上に載置し、80℃で5分間、次いで、130℃で5分間プリベーク処理を施した。その後、縦型ベーク炉(商品名:TS8000MB、東京応化工業株式会社製)にてN
2中、500℃で30分間焼成することにより、又は、マッフル炉(商品名:Muffle Furnace FP−41、ヤマト科学株式会社製)にてN
2中、580℃で10分間焼成することにより、熱硬化させて、シリカ系被膜を得た。
【0046】
(クラック耐性評価)
得られたシリカ系被膜について、光学顕微鏡観察にてクラックの有無を確認し、クラック限界膜厚(即ち、クラックを生じさせることなくシリカ系被膜を成膜することができる最大膜厚)を表面形状測定装置(商品名:Dektak 3ST、アルバック社製)で測定した。結果を表1〜5に示す。
【0047】
(平坦性評価)
クラック耐性評価においてクラック限界膜厚を測定するのと同時に、上記表面形状測定装置でシリカ系被膜の表面粗さRaを測定した。結果を表1〜5に示す。
【0048】
(透明性評価)
クラック限界膜厚を有するシリカ系被膜について、光透過率を測定した。光透過率の測定は、分光光度計(商品名:MCPD−3000、大塚電子株式会社製)を用いて行った。400〜800nmのいずれの波長においても光透過率が95%以上である場合を良好(○)とし、400〜800nmのいずれかの波長において光透過率が95%未満である場合を不良(×)とした。結果を表1〜5に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
表1〜5に示すように、上記一般式(1)で表されるポリシロキサンであるポリマーA、B、又はE〜Gと、平均粒子径が10〜50nmであるシリカとを含有する実施例のシリカ系被膜形成用組成物は、成分同士の相溶性に優れ、かつ、焼成により、透明性、クラック耐性、及び平坦性が良好なシリカ系被膜を与えた。これに対し、有機基としてフェニル基を有するポリマーCを用いた比較例1〜4又は6〜9の組成物は、成分同士の相溶性に劣るか、成分同士の相溶性に優れていても、焼成により、透明性に劣るシリカ系被膜を与えた。ポリマーDを用いた比較例5の組成物を焼成して得られたシリカ系被膜は、クラック限界膜厚が0.5μmであり、クラック耐性に劣っていた。ポリマー(ポリシロキサン)とシリカとの質量比が100/0である比較例10の組成物を焼成して得られたシリカ系被膜は、クラック限界膜厚が0.5μmであり、クラック耐性に劣っていた。ポリマー(ポリシロキサン)とシリカとの質量比が20/80である比較例11の組成物は、焼成により、透明性に劣るシリカ系被膜を与えた。ポリマー(ポリシロキサン)とシリカとの質量比が0/100である比較例12の組成物は、成膜できなかった。平均粒子径が100nmであるシリカを用いた比較例13〜15の組成物を焼成して得られたシリカ系被膜は、Raが200Åを超えており、平坦性に劣っていた。