(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6347867
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】離型油
(51)【国際特許分類】
A23D 9/00 20060101AFI20180618BHJP
【FI】
A23D9/00 508
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-87782(P2017-87782)
(22)【出願日】2017年4月27日
(62)【分割の表示】特願2012-161588(P2012-161588)の分割
【原出願日】2012年7月20日
(65)【公開番号】特開2017-123882(P2017-123882A)
(43)【公開日】2017年7月20日
【審査請求日】2017年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 美穂
(72)【発明者】
【氏名】小澤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】日▲高▼ 一郎
【審査官】
鳥居 敬司
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−296649(JP,A)
【文献】
特開平05−023126(JP,A)
【文献】
特開2007−306840(JP,A)
【文献】
特開2009−039021(JP,A)
【文献】
特開2007−105035(JP,A)
【文献】
特開2001−240894(JP,A)
【文献】
特開平01−277457(JP,A)
【文献】
特開昭58−15597(JP,A)
【文献】
特開昭49−93569(JP,A)
【文献】
特開昭61−67432(JP,A)
【文献】
特開昭63−74451(JP,A)
【文献】
特開2005−336471(JP,A)
【文献】
特開2002−78448(JP,A)
【文献】
特開2004−129562(JP,A)
【文献】
Cienc. Tecnol. Aliment., Campinas, 2009, Vol.29, No.3, pp.652-660
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D 7/00−9/06
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
WPIDS/WPIX(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レシチン(ただし、ホスホリパーゼで酵素処理してなる酵素処理レシチンを除く)をリン脂質含量として1〜6質量%、HLBが8.8以上であり、モノエステルであるポリグリセリンオレイン酸エステルを0.1〜1.0質量%(ただし、1.0質量%を除く)及び動植物性ワックスを1〜7質量%含有する、焼洋菓子に使用する、離型油。
【請求項2】
さらに、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを0.1〜3質量%含有する請求項1に記載の離型油。
【請求項3】
レシチン(ただし、ホスホリパーゼで酵素処理してなる酵素処理レシチンを除く)をリン脂質含量として1〜6質量%、HLBが8.8以上であり、モノエステルであるポリグリセリンオレイン酸エステルを0.1〜4質量%、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを0.1〜3質量%及び動植物性ワックスを1〜7質量%含有する、焼洋菓子に使用する、離型油。
【請求項4】
上記離型油の固体脂含量(SFC)が、10℃で2.5〜55%、20℃で2〜35%、30℃で1〜25%である請求項1〜3の何れか1項に記載の離型油。
【請求項5】
焼洋菓子用に手塗りで使用する、請求項1〜4の何れか1項に記載の離型油。
【請求項6】
生地比重が0.6(g/cm3)以下の生地を焼成して得られる焼洋菓子用である請求項1〜5の何れか1項に記載の離型油。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、菓子類、パン類等の製造時に天板、焼型等に塗布する離型油に関する。特に、焼洋菓子の製造に適した離型油に関する。
【背景技術】
【0002】
菓子・パン類の製造においては、焼き上がった菓子・パン類の型離れを良くするために各種の離型油が使用されている。特に、スポンジケーキやシフォンケーキのような焼洋菓子は、生地に比較的多量の卵や糖分を含み、また、焼成前の生地比重が小さいため、焼成後の型離れが悪く、焼成面が部分的に剥がれたり、型崩れしたりして、しばしば商品価値の低下を招くことがあり、製造条件にあった離型油の選択が重要である。
【0003】
ところで、離型油には大きく分けて、固形状、ペースト状、液状の3形態があり、中でも、スプレー噴霧可能な液状タイプのものが、作業性も良く、広く用いられてきた。
しかしながら、液状タイプの離型油はスプレー噴霧すると焼型の面に液だれ現象を起こし易く、厚さが不均一となるので、洋菓子の焼き色にむらができたり、焼成中に生地表面が消泡することで焼成面の木目が粗くなったりするという欠点があり、特に、シフォンケ−キのような表面の木目の細かい肌合いと、焼きむらのない上品な焼きあがりが重要な製品の場合には都合が良くないものであった。
【0004】
このような欠点を克服するために、澱粉やガム質の紛体を添加して、離型油に適度の流動性と付着性及び優れた離型性を付与する試みがなされているが(例えば、特許文献1)、澱粉やガム質の添加は、離型油を噴霧装置で微細粒状に噴霧することを困難とし、また、繰り返しオーブン中で焼かれるために、紛体が炭化して製品に付着するというまた別の欠点を生じることとなった。また、噴霧装置に着目して、離型油をマイナスに帯電した微粒子状に噴出させて塗布面に薄い離型油層を形成させる静電塗油装置が利用されているが(例えば、特許文献2)、実際の効果はそれ程でもなく、かえって装置の調整に余計な手間がかかるものであった。
【0005】
かかる事情もあって、製造条件によっては、手塗の方がむしろ効率よく品質の良い焼洋菓子が作れることもあり、工程を装置化から手塗に戻す場合も見られる。従って、手塗を想定しても、薄く塗布ができ、特に、スポンジケーキやシフォンケーキのような焼成面の仕上がりが品質を大きく左右する焼洋菓子に適した離型油が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭64−37249号公報
【特許文献2】特開2000−184849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする課題は、手塗であっても薄く均一に塗布することができ、離型性が良好で、風味が良く、焼洋菓子の焼成面がきれいに仕上がる離型油を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、レシチン、HLBが7以上の合成乳化剤及び動植物性ワックスを特定量含有する離型油とすることで上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0009】
すなわち本発明の態様の一つは、レシチンをリン脂質含量として0.1〜8質量%、HLBが7以上である合成乳化剤を0.01〜5質量%及び動植物性ワックスを0.1〜8質量%含有する離型油である。
また、好ましい態様としては、上記レシチンが、リン脂質含量が80質量%以上のレシチンである離型油であり、上記HLBが7以上である合成乳化剤が、オレイン酸エステルである離型油であり、さらに、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを0.01〜5質量%含有する離型油であり、上記離型油の固体脂含量(SFC)が、10℃で2.5〜55%、20℃で2〜35%、30℃で1〜25%である離型油である。
また別の好ましい態様としては、焼洋菓子用である離型油であり、生地比重が0.6(g/cm
3)以下の生地を焼成して得られる焼洋菓子用である離型油である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、手塗であっても均一に薄く塗布ができ、菓子・パン類等の焼成後の離型が良好で、風味が良い離型油を提供することができる。特に、焼洋菓子の製造に適しており、焼成面がきれいに仕上がる離型油を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の離型油は、レシチンをリン脂質含量として0.1〜8質量%、HLBが7以上である合成乳化剤を0.01〜5質量%及び動植物性ワックスを0.1〜8質量%含有することを特徴とする。レシチン、HLBが7以上の合成乳化剤及び動植物性ワックスが上記範囲を満たすことにより、手塗であっても均一に薄く塗布ができ、菓子・パン類等の焼成後の離型が良好な離型油が得られる。
【0012】
本発明の離型油に使用するレシチンは、動植物界に広く存在する界面活性能を有する数種のリン脂質の混合物であって、工業的には、大豆や菜種等の油糧種子又は卵黄等の動物原料から得られたものが使用できる。例えば、大豆レシチンには、ホスファチジルコリン,ホスファチジルエタノ−ルアミン,ホスファチジルイノシト−ルやホスファチジルセリン等のリン脂質が混合状態で含まれている。また、市販されているレシチンとしては、粗製レシチンが一般的であるが、これを脱油した精製粉末レシチンやレシチンの成分を分画した分画レシチン、あるいは更にレシチンに酵素を作用させた酵素処理レシチン等も使用できる。本発明の離型油に使用するレシチンは、風味の面から、リン脂質含量が80質量%以上である精製レシチンを使用することが好ましく、90質量%以上である精製レシチンを使用することがより好ましい。
【0013】
本発明の離型油においてレシチンは、リン脂質含量が離型油の0.1〜8質量%となる量で含有される。例えば、リン脂質含量が65質量%である粗製大豆レシチンを使用する場合、粗製大豆レシチンの離型油中の含量が1質量%であれば、離型油中のリン脂質含量は0.65質量%である。本発明の離型油においてレシチンは、リン脂質含量として1〜7質量%含有されることが好ましく、2〜6質量%含有されることがより好ましい。離型油中のレシチン含量が、リン脂質含量として上記範囲にあると、離型性が良好であり好ましい。
なお、レシチンは、本発明におけるHLBが7以上である合成乳化剤には含まれない。
【0014】
本発明の離型油は、HLBが7以上である合成乳化剤を0.01〜5質量%含有する。本発明の離型油に使用するHLBが7以上である合成乳化剤は、HLBが7以上であれば特に限定はなく、一般的に食品添加物に使用される、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリソルベート等の中から1種或いは2種以上を適宜選択することができる。本発明の離型油に使用するHLBが7以上である合成乳化剤は、HLBが8以上であることが好ましく、9以上であることがより好ましい。
【0015】
また、本発明の離型油に使用するHLBが7以上である合成乳化剤は、風味に優れ、薄く均一に塗布することができ、焼成面がきれいに仕上がることから、オレイン酸のエステルであることが好ましく、ポリグリセリン脂肪酸エステルであることが好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンの重合度が2〜9であるモノエステル乃至ジエステルが好ましく、モノエステルがより好ましい。
本発明の離型油は、HLBが7以上である合成乳化剤を0.05〜4質量%含有することが好ましく、0.1〜3質量%含有することがより好ましい。離型油中のHLBが7以上である合成乳化剤の含量が上記範囲にあると、焼洋菓子の焼成面の色むらや気泡の潰れがなく、焼成面をきれいに仕上げることができる。
【0016】
本発明の離型油は、動植物性ワックスを0.1〜8質量%含有する。本発明の離型油に使用する動植物性ワックスは、一般的に食品添加物に使用されるものであれば特に限定はなく、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、ホホバ油、蜜蝋、鯨蝋、木蝋などが挙げられる。中でも、カルナバワックス、ライスワックスが好ましく、ライスワックスが風味の面でさらに好ましい。
また、本発明の離型油は、動植物性ワックスを0.5〜7.5質量%含有することが好ましく、1〜7質量%含有することがより好ましい。離型油中の動植物性ワックスの含量が上記範囲にあると、離型性が良好であり好ましい。
【0017】
本発明の離型油は、さらに、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを含有することが好ましい。ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを含有することで、レシチン及びHLBが7以上である合成乳化剤の分散性が良くなり、より薄く均一に塗布できるので好ましい。特に、離型油が液状タイプである場合、保存中の乳化剤の分散性を維持できるので好ましい。本発明の離型油におけるポリグリセリン縮合リシノール酸エステルの含量は、0.01〜5質量%であることが好ましく、0.05〜4質量%あることがより好ましく、0.1〜3質量%であることが更に好ましい。
なお、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルは、本発明におけるHLBが7以上である合成乳化剤には含まれない。
【0018】
本発明の離型油を構成する油脂は、特に限定はなく、一般に食用に提供される、例えば、大豆油、綿実油、菜種油、高オレイン酸菜種油、米糠油、サフラワー油、高オレイン酸サフラワー油、ヒマワリ油、高オレイン酸ヒマワリ油、カポック油、落花生油、胡麻油、椰子油、パ−ム油、パーム核油等の植物性油脂、牛脂、ラ−ド、鶏油等の動物性油脂、及び上記動植物油脂の硬化油、分別油、エステル交換油等の加工油脂、またさらに、炭素数4〜10の脂肪酸をトリグリセリド中にエステル交換等の反応により取り入れた中鎖脂肪酸含有油脂等、を用いることが出来る。これらの油脂は1種或いは2種以上を混合して用いることもできる。
【0019】
本発明の離型油は、手塗での作業性を考慮した場合、固形状乃至半固形状であることが好ましい。すなわち、10℃での固体脂含量(SFC)が2.5〜55質量%、20℃でのSFCが2〜35質量%、30℃でのSFCが1〜25質量%であることが好ましく、10℃での固体脂含量(SFC)が3〜50質量%、20℃でのSFCが2.5〜30質量%、30℃でのSFCが1.5〜20質量%であることがより好ましく、10℃での固体脂含量(SFC)が25〜45質量%、20℃でのSFCが10〜25質量%、30℃でのSFCが2〜15質量%であることが更に好ましい。より具体的には、パーム系油脂、パーム系油脂を原料として含むエステル交換油脂、カカオ代用脂等を含み上記SFCに調製されることが好ましい。
なお、離型油のSFCは、社団法人 日本油化学会編、「基準油脂分析試験法」の2.2.9−2003 固体脂含量(NMR法)に準じて測定することができる。
【0020】
上記パーム系油脂とは、パーム油、パーム油を原料とした分別油、及びそれらの加工油脂のことであり、パーム系油脂を原料油脂として含むエステル交換油とは、パーム系油脂とその他動植物性油脂とのエステル交換油であり、カカオ代用脂とは、ココアバターの代替として用いられる、対称型トリグリセリドに富んだ、例えば、シア脂、サル脂、マンゴー核油、アランブラッキア脂等由来の油脂であり、また、既知の方法により、高オレイン酸ヒマワリ油等を原料として酵素エステル交換により製造された油脂でもよい。本発明の離型油を構成する油脂として上記油脂を使用することにより、風味が良く、作業性が良好で、焼成製品からの油滲みが少なくなるので好ましい。
【0021】
本発明の離型油の製造方法は、特に限定はされないが、例えば、油脂に、レシチン、HLBが7以上である合成乳化剤及び動植物性ワックスを加えて加熱攪拌して溶解乃至分散するか、レシチン、HLBが7以上である合成乳化剤及び動植物性ワックスを混合して加熱溶解乃至分散したものに油脂を加えて加熱攪拌することにより調製できる。また、離型油が、固形乃至半固形である場合、上記と同様に加熱溶解乃至分散したものを、マーガリン・ショートニング等の可塑性油脂を製造する際に通常使われる、オンレーター、コンビネーター、ボテーター等の急冷可塑化装置を使用して、可塑性状に加工することもできる。
【0022】
本発明の離型油は、菓子・パン類等の生地の焼成の際に離型油として使用されるが、噴霧装置でスプレーする場合に限らず、手塗で塗布する場合であっても薄く均一に塗布できる。特に、小麦粉,砂糖,卵等を主原料として混合した洋菓子の生地を適度の温度に加熱して焼きあげられる、例えば、カステラ、クッキー、ビスケットやワッフル等の焼洋菓子の製造に好適である。上記のような焼洋菓子は、広い平板面の天板のほか各種の形状の食型、例えば、長方形型、レモン型,人形型,カップ型等の異形型が用いられる。また、本発明の離型油は、焼洋菓子の中でも、スポンジケーキやシフォンケーキのような、粉100質量部に対し、糖類が80質量部以上、卵が100質量部以上含まれる焼洋菓子生地、特に比重が0.6(g/cm
3)以下、さらには、0.5(g/cm
3)以下の焼洋菓子生地であっても、焼成面の色むらや気泡の潰れがなく、きれいに仕上げることができる。
【実施例】
【0023】
以下、具体的な実施例に基づいて、本発明について詳しく説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例の内容に、何ら限定されるものではない。
【0024】
〔離型油の調製〕
表1〜3の配合に従って、例1〜15の離型油を調製した。すなわち、配合に従って、油脂、乳化剤、ワックス等の原料を加熱溶解乃至分散させ、オンレーターにより、急冷混捏を行い、流動状乃至可塑性状に加工した。例8〜9、12〜15は比較例である。
【0025】
離型油の調製には、以下の原料を使用した。
<油脂>
高オレイン酸菜種油 (商品名:キャノーラ油ヘルシーライト、日清オイリオグループ株
式会社製)
パームオレイン (ヨウ素価67、日清オイリオグループ株式会社社内製)
パーム油 (ヨウ素価52、商品名:精製パーム油、日清オイリオグループ株
式会社製)
パーム油中融点画分 (ヨウ素価45、日清オイリオグループ株式会社社内製)
エステル交換油1 (パーム油と菜種油とのエステル交換油、日清オイリオグループ株
式会社社内製)
シア脂ステアリン (日清オイリオグループ株式会社社内製)
高エルシン菜種極硬 (ヨウ素価2以下、商品名:ハイエルシン菜種極度硬化油、横関油
脂工業株式会社製)
<乳化剤>
粗製レシチン (リン脂質含量65質量%、商品名:レシチンDX、日清オイリオ
グループ株式会社製)
精製レシチン (リン脂質含量92質量%、商品名:ベイシスLP−20、日清オ
イリオグループ株式会社製)
MO−5S (ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル、HLB11.6、
商品名:SYグリスターMO−5S、坂本薬品工業株式会社製)
MO−3S (テトラグリセリンモノオレイン酸エステル、HLB8.8、商品
名:SYグリスターMO−3S、坂本薬品工業株式会社製)
623M (クエン酸モノオレイン酸グリセリン、HLB7.0、商品名:サ
ンソフトNo.623M、太陽化学株式会社製)
OE−750 (デカグリセリンオクタエルカ酸エステル、HLB3.7、商品
名:SYグリスターOE−750、坂本薬品工業株式会社製)
P−100 (パルミチン酸モノグリセリド、HLB4.3、商品名:エマルジ
ーP−100、理研ビタミン株式会社製)
CRS−75 (ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、商品名:SYグリス
ターCRS−75、坂本薬品工業株式会社製)
<ワックス>
ライスワックス (商品名:ライスワックスS−100、横関油脂工業株式会社製)
カルナバワックス (商品名:カルナウバワックスR−100、横関油脂工業株式会
社製)
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
〔焼洋菓子の離型性テスト〕
例1〜15の離型油を直方体の型に2gそれぞれ手塗した。表4の配合に従って調製した比重0.50(g/cm
3)のスポンジケーキの生地を例1〜15の各離型油を塗布した型に110g流し込み、オーブン(上火190℃、下火200℃)で18分間焼成した。焼成直後に型抜きを行った。型抜きを行ったものを網上で30分間放冷し、純白ロール紙の上に静置して、油滲みの状態を観察した。例1〜15の各離型油の評価は以下の基準に従って行い、結果を表5〜7に示した。
なお、スポンジケーキの生地は以下のように調製した。
上白糖、全卵、起泡性乳化油脂を軽く混合する。さらに篩った薄力粉とベーキングパウダーを加え、比重0.50(g/cm
3)になるまで混合する。
【0030】
【表4】
【0031】
〔焼洋菓子離型性テストの評価基準〕
作業性
薄く均一に塗布できる ◎
合格の範囲 ○
液だれやむらができる ×
離型性
生地の付着もなく良好 ◎
合格の範囲 ○
生地の付着が多く不良 ×
離型面の状態
滑らかで良好 ◎
合格の範囲 ○
むらがあり不良 ×
焼成品の風味
良好 ◎
合格の範囲 ○
不良 ×
焼成品からの油滲み
少なく良好 ◎
合格の範囲 ○
多く不良 ×
【0032】
〔焼洋菓子離型性テストの評価結果〕
【0033】
【表5】
【0034】
【表6】
【0035】
【表7】