特許第6347895号(P6347895)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6347895投影リソグラフィのための照明光学ユニット及びそのための中空導波管構成要素
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6347895
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】投影リソグラフィのための照明光学ユニット及びそのための中空導波管構成要素
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20180618BHJP
   G02B 19/00 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
   G03F7/20 521
   G03F7/20 502
   G02B19/00
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-516112(P2017-516112)
(86)(22)【出願日】2015年9月18日
(65)【公表番号】特表2017-534902(P2017-534902A)
(43)【公表日】2017年11月24日
(86)【国際出願番号】EP2015071482
(87)【国際公開番号】WO2016046088
(87)【国際公開日】20160331
【審査請求日】2017年3月23日
(31)【優先権主張番号】102014219112.2
(32)【優先日】2014年9月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100164530
【弁理士】
【氏名又は名称】岸 慶憲
(72)【発明者】
【氏名】デギュンター マルクス
(72)【発明者】
【氏名】シュタムラー トーマス
【審査官】 長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−530534(JP,A)
【文献】 特表2007−505488(JP,A)
【文献】 特開2004−363448(JP,A)
【文献】 特開平06−196389(JP,A)
【文献】 特開2001−110713(JP,A)
【文献】 特開2006−293346(JP,A)
【文献】 特開2001−332489(JP,A)
【文献】 特開2001−028332(JP,A)
【文献】 特表2013−539056(JP,A)
【文献】 国際公開第03/050857(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/139807(WO,A1)
【文献】 特開昭62−178904(JP,A)
【文献】 特開2006−310802(JP,A)
【文献】 特開平08−234109(JP,A)
【文献】 特表2012−506135(JP,A)
【文献】 特表2014−512677(JP,A)
【文献】 特表2009−527113(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/139634(WO,A1)
【文献】 特開2012−147019(JP,A)
【文献】 特開平01−114035(JP,A)
【文献】 特開平02−098919(JP,A)
【文献】 特開2000−353651(JP,A)
【文献】 特開2000−206449(JP,A)
【文献】 特開2003−167213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20−7/24
H01L 21/027
G02B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結像される物体を配置可能である物体視野(3)に向けて光源(6)の照明光(8)を案内するための投影リソグラフィのための照明光学ユニット(7)であって、
アクチュエータ系によって互いに独立に傾斜可能であって関連の傾斜アクチュエータ(12)に接続された多数の個々のミラー(11)を含むミラーアレイ(10)を含み、
前記ミラーアレイ(10)上に入射する照明光ビーム(32)を均一化及び安定化するために前記照明光(8)のビーム経路内で該ミラーアレイ(10)の上流に配置された光学中空導波管構成要素(31;39)を含み、
前記中空導波管構成要素(31;39)の上流に配置され、かつ入射照明光ビーム(30)を該中空導波管構成要素(31;39)内に結合するように機能する入力結合光学ユニット(29)を含み、
前記中空導波管構成要素(31;39)のビーム射出面(35)を前記ミラーアレイ(10)の上に結像するためのリレー光学ユニット(34;40)を含
前記中空導波管構成要素(31;39)の上流に配置されるランダム位相要素(46)を含む、
ことを特徴とする照明光学ユニット。
【請求項2】
前記中空導波管構成要素(31;39)内の前記照明光(8)の内部反射角(α)が85°よりも大きいような配置を特徴とする請求項1に記載の照明光学ユニット。
【請求項3】
前記中空導波管構成要素(31;39)は、導波管断面(A)に対する導波管長さ(B)の比の少なくとも100を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の照明光学ユニット。
【請求項4】
前記中空導波管構成要素(31;39)の空洞(33)が、矩形導波管断面を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の照明光学ユニット。
【請求項5】
前記中空導波管構成要素(31;39)は、少なくとも2つの別々の構成要素部品(31a,31b;39a,39b,39c,39d)から生成され、そのうちの各構成要素部品(31a,31b;39a,39b,39c,39d)が、該中空導波管構成要素(31;39)の少なくとも1つの内部反射面(38)の境界を定めることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の照明光学ユニット。
【請求項6】
前記中空導波管構成要素(31;39)は、4つの別々の構成要素部品(39aから39d)から生成され、そのうちの各構成要素部品(39aから39d)が、該中空導波管構成要素(31;39)の正確に1つの内部反射面(38)の境界を定めることを特徴とする請求項5に記載の照明光学ユニット。
【請求項7】
前記中空導波管構成要素(31;39)は、4つの少なくとも部分的に反射性被覆が施されたミラー平行六面体(39aから39d)から構成されることを特徴とする請求項6に記載の照明光学ユニット。
【請求項8】
前記リレー光学ユニット(34;40)は、少なくとも10の拡大結像スケールを有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の照明光学ユニット。
【請求項9】
前記リレー光学ユニット(34;40)は、1よりも多いレンズ要素(36,37;41,42,43,44)を有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の照明光学ユニット。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の照明光学ユニット(7)のための中空導波管構成要素(31;39)。
【請求項11】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の照明光学ユニット(7)を含み、
基板を配置可能であり、投影露光中にその上に結像が達成される像平面(27)内の像視野の中に物体視野(3)を結像するための投影光学ユニット(26)を含む、
ことを特徴とする光学系。
【請求項12】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の照明光学ユニットを含み、
照明光(8)を発生させるための光源(6)を含む、
ことを特徴とする照明系。
【請求項13】
請求項11に記載の光学系を含み、
照明光(8)を発生させるための光源(6)を含む、
ことを特徴とする投影露光装置(1)。
【請求項14】
微細構造化又はナノ構造化構成要素をマイクロリソグラフィ的に生成する方法であって、
感光材料からなる層が少なくとも部分的に付加された基板を与える段階と、
結像される構造を有するレチクルを与える段階と、
請求項13に記載の投影露光装置(1)を与える段階と、
前記投影露光装置(1)を用いて前記レチクルの少なくとも一部を前記層の領域の上に投影する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、ドイツ特許出願DE 10 2014 219 112.2の優先権を主張するものであり、その内容は引用によって本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、結像される物体を配置可能である物体視野に向けて光源の照明光を案内するための投影リソグラフィのための照明光学ユニットに関する。更に、本発明は、そのような照明光学ユニットのための中空導波管構成要素、そのような照明光学ユニットを含む光学系及び照明系、そのような光学系を含む投影露光装置、そのような投影露光装置を用いて微細構造化又はナノ構造化構成要素を生成する方法、及び本方法を用いて生成された微細構造化又はナノ構造化構成要素に関する。
【背景技術】
【0003】
冒頭に言及したタイプの照明光学ユニットは、WO 2011/157601 A2及びUS 2010/0283985 A1から公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO 2011/157601 A2
【特許文献2】US 2010/0283985 A1
【特許文献3】DE 195 20 563 A1
【特許文献4】WO 2007/093433 A1
【特許文献5】WO 2008/071275 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、光源不安定性に非感受性である照明光学ユニットを作ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明により、この目的は、請求項1に指定する特徴を含む照明光学ユニットによって達成される。
【0007】
ミラーアレイの上流に配置される本発明による中空導波管構成要素は、ミラーアレイ上に入射する照明光ビームを均一化及び安定化することを可能にする。狭い公差内で事前定義された照明パラメータを発生させるためのミラーアレイ自体から構成される要件は、上流中空導波管構成要素の安定化及び均一化機能に起因して有意に緩和される。特に、10 000個よりも少ない個々のミラーを含むミラーアレイを使用することができる。中空導波管構成要素内の光混合は、非常に低いエタンデュを用いて起こすことができる。エタンデュは、典型的には、1×10-10sr m2と1×10-8sr m2の間の範囲、特に、1×10-10sr m2と1×10-9sr m2の間の範囲にあるとすることができる。1次光源と光学中空導波管構成要素の間には、位相空間内であっても光混合をサポートするランダム位相要素(RPE)を配置することができ、これは、特に、光源のモード不安定性に向けて照明光学ユニットの望ましく低い感受性をもたらす。ランダム位相要素は、光源に対して光学共役である照明光学ユニットの平面に配置することができる。この目的のために、ランダム位相要素の配置平面が光源の光学共役平面を構成することを保証する光学ユニットは、光源とランダム位相要素の間に配置することができる。
【0008】
照明光学ユニットは、ミラーアレイの配置平面を照明光学ユニットの瞳平面内に伝達するためのコンデンサー光学ユニットを有することができる。しかし、そのようなコンデンサー光学ユニットは必須ではない。
【0009】
請求項2に記載の配置は、照明光が非常に低い損失と共に通過する中空導波管構成要素を可能にする。90%よりも大きい中空導波管構成要素を通る照明光のスループット値を達成することが可能である。内部反射角は、例えば、88°よりも大きくすることができる。
【0010】
請求項3に記載の導波管断面に対する導波管長さの比は、中空導波管構成要素内の十分に多い回数の内部反射及び従って照明光の良好な相互混合を可能し、これは、対応する均一化及び安定化をもたらす。
【0011】
請求項4に記載の矩形導波管断面は、中空導波管構成要素の製造に関して有利である。導波管断面は、特に、正方形とすることができる。矩形導波管断面の矩形寸法のアスペクト比は、照明される面、すなわち、照明されるミラーアレイ面のアスペクト視野に対応することができる。
【0012】
請求項5及び6に記載の中空導波管構成要素の実施形態は、製造に特に適することを証明している。請求項7に記載の実施形態は、特に有利であり、特に、同一に構成されたミラー平行六面体をこの場合に使用することができる。このタイプのミラー平行六面体として、例えば、US 2010/0283985 A1及びDE 195 20 563 A1に記載されているロッド照明系においてこの形態又は類似の形態で既に公知である構成要素部品を使用することが可能である。この公知のロッド照明系とは対照的に、中空導波管構成要素の場合のミラー平行六面体のミラー面は、光学的低密度媒体での反射のためではなく、光学的高密度媒体での反射のために使用される。
【0013】
請求項8に記載のリレー光学ユニットの結像スケールは、典型的な構成要素寸法決定に十分に適応される。
【0014】
請求項9に記載のリレー光学ユニットは、2つ又は4つのレンズ要素を有することができる。4つのレンズ要素を含む実施形態は、特に、ビーム射出面とリレー光学ユニットの最初のレンズ要素との間でこの最初のレンズ要素上に入射する照明光の電力密度が十分に低いような有利に大きい作動距離の事前定義を可能にする。
【0015】
請求項10に記載の中空導波管構成要素の利点は、照明光学ユニットを参照して上述したものに対応する。
【0016】
請求項11に記載の光学系、請求項12に記載の照明系、請求項13に記載の投影露光装置、請求項14に記載の生成方法、及び請求項15に記載の微細構造化又はナノ構造化構成要素の利点は、照明光学ユニットを参照して上述したものに対応する。微細構造化又はナノ構造化構成要素は、半導体構成要素、特に、マイクロチップ、例えば、超大規模集積メモリチップである。
【0017】
図面を参照して本発明の例示的実施形態を下記でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】コントローラを通じて駆動される傾斜アクチュエータを有するミラーアレイを含む照明光学ユニットと二段ラスター配置を含むラスターモジュールとを含むマイクロリソグラフィ投影露光装置内の本発明による照明系を通る略子午断面図である。
図2】光学中空導波管構成要素を有する均一化光学ユニットを含む図1からの照明系の1次光源とミラーアレイの間のビーム経路からの抜粋を示す図である。
図3図2に記載の中空導波管構成要素のための実施形態を示す図である。
図4】中空導波管構成要素とミラーアレイの間のリレー光学ユニットのための実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、ウェーハスキャナとして具現化され、半導体構成要素及び他の微細構造化構成要素の生成に使用されるマイクロリソグラフィ投影露光装置1を略示している。投影露光装置1は、特にマイクロメートルの数分の一まで細かい分解能を達成するために、深紫外(DUV又はVUV)範囲からの光で作動する。
【0020】
位置関係の説明を容易するために、図面内に直交xyz座標系を描示している。図1ではx方向は上方に延びる。図1では、y方向は、作図面と垂直に作図面から出るように延びる。図1では、z方向は、右に向けて延びる。
【0021】
投影露光装置1の走査方向は、y方向、すなわち、図1の作図面と垂直に延びる。図1に示す子午断面図では、投影露光装置1の複数の光学構成要素は、z方向に延びる光軸2に沿って1列に並べられている。言うまでもなく、特に投影露光装置1を小型に成形するために、光軸2は、図1に示すものとは異なるように折り返すことができる。
【0022】
全体的に5で表す投影露光装置1の照明系は、レチクルの形態にある伝達される構造(それ程詳細には例示していない)が配置された物体平面又はレチクル平面4内の物体視野又は照明視野3の定義された照明のために機能する。照明系5は、1次光源6と、照明光又は結像光8を物体視野3に向けて案内するための光学構成要素を有する照明光学ユニット7とを含む。1次光源6は、エキシマレーザであり、特に、193nmの作動波長を有するArFレーザであり、その照明光ビームは、光軸2に関して同軸に位置合わせされる。他のUV光源、例えば、157nmの作動波長を有するF2エキシマレーザ、248nmの作動波長を有するKrfエキシマレーザ、及びより長いか又はより短い作動波長を有する1次光源も同じく可能である。
【0023】
光源6から発した小さい矩形断面を有する照明光8のビームは、最初に均一化光学ユニット9上に入射し、均一化光学ユニット9は、殆ど平行な光を含んでより大きい矩形断面を有する照明光8の射出ビームを発生させる。均一化光学ユニット9は、照明光8の望ましくない干渉効果を低減する要素を含むことができる。図1に単に簡単に示すが、照明光ビームを均一化する役割だけではなく、安定化する役割ももたらす均一化光学ユニット9の詳細に関しては、特に図2を参照して下記で解説する。
【0024】
均一化光学ユニット9の下流で殆ど平行状態にある照明光8は、次いで、照明光角度分布を発生させるためのマイクロミラーアレイ(MMA)10上に入射する。マイクロミラーアレイ10は、xy−ラスターに配置された多数の矩形の個々のミラー11を有する。個々のミラー11の各々は、関連の傾斜アクチュエータ12に接続される。傾斜アクチュエータ12の各々は、これらのアクチュエータ12を駆動するためのコントローラ14に制御線13を通じて接続される。アクチュエータ12は、コントローラ14によって互いに独立に駆動することができる。アクチュエータ12の各々は、関連の個々のミラー11から反射される照明光部分ビーム15のxz−平面内の反射角ASx、及び相応にyz−平面内の反射角ASy(図面内には例示していない)を事前定義することができるように、個々のミラー11の事前定義されたx傾斜角(xz−平面内の傾斜)及びそれとは独立に事前定義されたy傾斜角(yz−平面内の傾斜)を設定することができる。
【0025】
照明光部分ビーム15の反射角ASのMMA10によって発生される角度分布は、2次元照明光強度分布、すなわち、MMA10からその焦点距離の距離に位置決めされたフーリエレンズ要素配置又はコンデンサー16の通過時に光軸2に対して垂直に場所依存性を有する照明光強度分布に変換される。コンデンサー16は、MMA10の配置平面10aを照明光学ユニット7の瞳平面内に伝達するように機能する。従って、このように発生された強度分布が、照明系5の第1の照明平面17に存在する。フーリエレンズ要素配置16と共に、MMA10は、従って、2次元照明光強度分布を発生させるための光配分デバイスを構成する。
【0026】
フライアイコンデンサー又はハニカムコンデンサーとも呼ぶラスターモジュール19の第1のラスター配置18が、第1の照明平面17の領域に配置される。ラスターモジュール19上の照明光8のxz−平面内の入射角ERx図1を参照されたい)及びyz−平面内の入射角ERy(図面内には例示していない)は、MMA10からの照明光部分ビーム15の反射角ASx図1を参照されたい)、ASy(図面内には例示していない)、及び/又はMMA10からのそれぞれの照明光部分ビーム15がそこから射出する場所、すなわち、それぞれの個々のミラー11と相関付けられる。この相関性は、フーリエレンズ要素配置16によって事前定義される。フーリエレンズ要素配置16を使用して、すなわち、コンデンサーではない場合に、フーリエレンズ要素配置16が近似的に角度から空間座標への変換をもたらすので、第1のラスター配置18上への照明光部分ビーム15の入射場所は、MMA10からの照明光部分ビーム15の反射角ASx、ASyと直接に相関付けられる。フーリエレンズ要素配置16を使用し、かつコンデンサー16を使用して、これら両方の使用が空間座標から角度への変換をもたらすので、ラスターモジュール19上への照明光部分ビーム15の入射角ERx、ERyは、MMA10上における照明光部分ビーム15の位置、すなわち、それぞれの照明光部分ビーム15が射出する個々のミラー11と直接に相関付けられる。
【0027】
ラスターモジュール19は、2次光源の、すなわち、1次光源6の像の空間分布配置を発生させるのに、従って、ラスターモジュール19から射出する照明光の定義された照明角度分布を発生させるように機能するする。
【0028】
更に別の照明平面20に第2のラスター配置21が配置される。照明平面17は、第2のラスター配置21の個々の要素の前側焦点面に又はその近くに位置する。2つのラスター配置18、19は、照明光学ユニット7のフライアイコンデンサー又はハニカムコンデンサーを構成する。更に別の照明平面20は、照明系5の瞳平面であるか、又は照明系5の瞳平面に隣接している。従って、ラスターモジュール19を視野定義要素(FDE)とも呼ぶ。
【0029】
照明光部分ビーム15が第2のラスター配置21を射出する際のxz−平面内の反射角ARx図1を参照されたい)及びyz−平面内の反射角ARy(図面内には例示していない)は、それぞれの照明光部分ビーム15が入射する物体視野3内の空間領域に明確に割り当てられる。
【0030】
ラスターモジュール19の下流には、視野レンズ要素とも呼ぶ更に別のコンデンサー22が配置される。コンデンサー22は、第2のラスター配置21と共に、第1の照明平面17を照明系5の視野中間平面23に結像する。視野中間平面23内にはレチクルマスキング系(REMA)24を配置することができ、レチクルマスキング系24は、照明光強度分布の鮮明な縁部を発生させるための調節可能遮蔽絞りとして機能する。下流レンズ25は、視野中間平面23をレチクル平面4に位置するレチクル、すなわち、リソグラフィオリジナル上に結像する。レチクル平面4は、走査方向(y)に断続的又は連続的に変位される像平面27上のウェーハ(図1には例示していない)上に投影レンズ26を用いて結像される。
【0031】
第1のラスター配置18及び第2のラスター配置21は、各場合にxy−平面に列と行に配置された個々のラスター要素28を有する。ラスター要素28は、例えば、1/1のx/yアスペクト比を有する矩形開口を有する。ラスター要素28の他の特に高いx/yアスペクト比、例えば、2/1も可能である。
【0032】
図1に記載の子午断面図は、ラスター列に沿って通っている。ラスター要素28は、例えば、正の屈折力を有するマイクロレンズ要素として具現化される。ラスター要素28は、互いに直接に隣接する方式で、すなわち、それらの矩形形状に対応するラスター内に実質的に面積充填方式で配置される。第1のラスター配置18の第1のラスター要素28を視野ハニカムとも呼び、第2のラスター配置21の第2のラスター要素28を瞳ハニカムとも呼ぶ。
【0033】
ラスターモジュール19のラスターの構成及び機能は、WO 2007/093433 A1に与えられている説明に原理的に対応する。
【0034】
図2は、1次光源6とMMA10の間の照明光8のビーム経路をより詳細に示している。均一化光学ユニット9は、1次光源6の下流の照明光8のビーム経路内で入力結合レンズ要素の形態にある入力結合光学ユニット29を最初に有する。レンズ要素29は、平凸レンズとして具現化することができる。入力結合光学ユニット29の上流では、入射照明光ビーム30は、25mmの典型的な直径と、2mradの典型的な発散とを有する。
【0035】
入力結合光学ユニット29は、照明光ビーム30を光学中空導波管構成要素31内に結合するように機能する。光学中空導波管構成要素31は、MMA10上に入射する照明光8の照明光ビーム32を均一化及び安定化するように機能する。中空導波管構成要素31は、中空ロッドとして具現化される。中空導波管構成要素31に入射するときの照明光8の電力密度は、例えば、10kW/cm2よりも大きい。
【0036】
中空導波管構成要素31の中空導波管の典型的な断面寸法Aは1mmである。中空導波管構成要素の導波管の典型的な長さBは500mmである。従って、導波管断面Aに対する導波管長さBの比B/Aは、上述の実施形態の場合は500であり、図2にはこの比B/Aを正確な縮尺で再現していない。少なくとも100という異なる比B/A、例えば、150、200、250、300、350、400、450という比の値B/Aも可能であり、又は500よりも大きい比、例えば、600、750、900、1000、1500、2000という比B/A、又は更に大きい比であっても可能である。
【0037】
照明光8が多重反射によって案内される中空導波管構成要素31の導波管の空洞33は、矩形の導波管断面を有し、上述の実施形態では正方形の導波管断面を有する。空洞33の境界を定める導波管の反射面上への照明光8の内部入射角αは、85°よりも大きく、上述の実施形態では88°であり、図2にはこの角度を正確な縮尺で例示していない。より大きい内部反射角又は入射角α、例えば、86°、88°、89°、又は更に大きい入射角も可能である。
【0038】
中空導波管構成要素31内の照明光8の多重反射に起因して、ビーム射出面35にわたる照明光8の強度分布の均一化がもたらされ、更に安定化ももたらされる。
【0039】
空洞33の反射面における照明光8の反射回数は、5回よりも多いとすることができ、特に10回よりも多い。
【0040】
中空導波管構成要素31の下流には、MMA10上への中空導波管構成要素31のビーム射出面35の拡大結像のためのリレー光学ユニット34が配置される。図2に記載の実施形態の場合に、リレー光学ユニットは、結像スケールβ=50を有するケプラー望遠鏡の方式で具現化される。導波管断面A、すなわち、ビーム射出面35の典型的な広がりとMMA10上で照明光8による入射を受ける面積との間のサイズ比に基づいて、10と500の間の範囲の異なる結像スケールβ、例えば、20、25、30、40、60、75、100、又は200に等しいβを実現することができる。
【0041】
図2に記載のリレー光学ユニット34は、各々が正の屈折力を有する2つのレンズ要素36、37を有する。レンズ要素36、37は、平凸レンズ要素として具現化することができる。
【0042】
中空導波管構成要素31は、一体的に製造することができる。これに代えて、中空導波管構成要素31は、各々が中空導波管構成要素31の少なくとも1つの内部反射面38の境界を定める少なくとも2つの別々の構成要素部品から製造することができる。図2の長手断面内で空洞33の上下に区画的に描示する中空導波管構成要素31の部分31a、31bは、従って、2つの別々の構成要素部品とすることができる。これらの構成要素部品31a、31bの組み立て中に、構成要素部品31a、31bは、導波管、すなわち、反射空洞33が継ぎ目なく生成されるように互いに合わせされる。
【0043】
図3は、中空導波管構成要素31の代わりに使用することができる中空導波管構成要素の更に別の実施形態39を示している。中空導波管構成要素31に関して上述したものに対応する構成要素及び機能は同じ参照符号を伴い、これらに対して再度詳細に解説することはしない。
【0044】
中空導波管構成要素39は、各々が空洞33の内部反射面38の境界を定める4つの別々の構成要素部品39a、39b、39c、及び39dから構成される。構成要素部品39aから39dは、ガラス材料又は石英材料、例えば、SiO2からなる本体を含み、内部反射面38の領域に部分的に反射コーティングが施されたミラー平行六面体である。構成要素部品39aから39dの各々は、平行六面体寸法と内部反射面38の部分反射コーティングの相対位置とを含む同一構造を有する。これに代えて、内部反射面38を含むそれぞれのミラー平行六面体39aから39dの側面全体は、照明光8に対して高い反射性を有するような反射性被覆をすることができる。中空導波管構成要素31の組み立て中に、4つのミラー平行六面体39aから39dは、図3に再現しているように互いの上に継ぎ目なく配置され、従って、平行六面体の幅寸法における寸法差に起因して、この場合に正方形導波管断面を有する空洞38も中心に継ぎ目なく生じる。
【0045】
内部反射面38での照明光8の反射回数は、5回よりも多いとすることができ、特に10回よりも多い。
【0046】
ミラー平行六面体39aから39dは、共通マウント内で互いに対して支持することができ、又は互いに粘着的に接合することができる。
【0047】
図4は、リレー光学ユニット34の代わりに使用することができるリレー光学ユニットの更に別の実施形態40を示している。リレー光学ユニット34に関して上述したものに対応する構成要素及び機能は同じ参照符号を伴い、これらに対して再度詳細に解説することはしない。
【0048】
リレー光学ユニット40は、2つのレンズ要素ではなく、合計で4つのレンズ要素41、42、43、及び44を有する。リレー光学ユニット40は、リレー光学ユニット34と同じくβ=50の結像スケールを有する。
【0049】
照明光8のビーム経路内の最初のレンズ要素41と例えば中空導波管構成要素31のビーム射出面35の配置平面45との間の距離Dは、リレー光学ユニット40の場合は、リレー光学ユニット34の場合のものよりも有意に大きく、特に30mmよりも大きい。
【0050】
以下の表は、リレー光学ユニット40の光学設計データを再現している。リレー光学ユニット40は、193nmの設計波長に向けて設計されたものである。
【0051】
(表1)
【0052】
(表2a)
【0053】
(表2b)
【0054】
位置合わせされた照明光学ユニット7の場合に配置平面45と一致する物体平面から始めて、リレー光学ユニット40の関わっている光学面を表1の第1の列に表示している。第1の列では、レンズ要素41から44の関わっている光学面は、ビーム経路の順序に従う。
【0055】
表1は、配置平面45と最初のレンズ要素41の入射面との間の距離Dが275mmよりも大きいことを明らかにしている。リレー光学ユニット40の設計に基づいて、異なる距離、例えば、少なくとも50mm、少なくとも100mm、少なくとも150mm、少なくとも200mm、又は少なくとも250mmの距離が存在することも可能である。
【0056】
レンズ要素41から44の光学面の半径値を表1の第2の列に示している。
【0057】
各場合に平面又は面とそれぞれそれに続く面又は平面との間の距離を表1の第3の列に示している。表1の次の列は、レンズ要素41から44の材料の表示を与えている。
【0058】
表2の第1の列は、ここでもまた、関わっている面の割り当てを表示しており、表1の場合と同じくレンズ要素41から44に関してビーム経路の順序で列記している。表2の次の列は、それぞれ考慮する面が凸又は凹のいずれであるかを示している。各場合に凸である最初の入射面及び最後の射出面を除いて、レンズ要素41から44の全ての光学面は凹である。
【0059】
レンズ要素41及び44は、非球面レンズ要素として具現化される。表2の最後の列は、これらの非球面レンズ要素に関して、以下の非球面方程式に従う係数κ及びc1からc4を示している。
ここで、記号表示は、次の意味を有する。
z:サジタル高さ
h:レンズ要素頂点からの距離、すなわち、光軸に対する距離
κ:円錐定数
ρ:1/半径
【0060】
材料CAF2HLに関する詳細は、WO 2008/071275 A1に見出すことができる。
【0061】
照明光学ユニットの1つの変形では、図2に破線形式に示すランダム位相要素(RPE)46が、光学中空導波管構成要素31の上流に配置される。RPE46は、ビーム射出面35の領域に照明光8の外乱干渉が発生しないことを保証する。RPE46は、光学材料、例えば、CaF2又はCAF2HLからなる板として具現化される。RPEは、照明光8の通過に向けて使用される区域にわたって異なる厚みを有する複数の領域に、すなわち、照明光8に対して異なる光路長に再分割される。各領域は、それ自体、RPE46の平行平面の入射面と射出面とによって境界が定義される。異なる光路長を有する領域間の遷移は階段状である。それに関連付けられた厚み差Δz、すなわち、段サイズはランダムである。Δzは、0とλ/2(nRPE−n0)の間にある。ここで、λは、照明光8の作動波長であり、nRPEは、RPE46の光学材料の屈折率であり、n0は、光学的低密度媒体、例えば、空気の屈折率である。従って、ランダム厚み差Δzは、RPE46の通過中に0とλ/2の間の範囲の位相差を発生させることを可能にする。
【0062】
一定厚みを有するRPE46の領域は、格子状方式、特に、チェッカー様式で配置することができる。一定厚み領域の区域広がりは、RPE46における横モード広がりが、複数のこれらの一定厚み領域、例えば、5つのこのタイプの領域を常に覆うように選択される。従って、横モードは、領域位相差を常に受ける。RPE46の一定厚み領域のランダム分布に起因して、各モードの干渉パターンは、別のモードの干渉パターンと異なっている。それによって特に1次光源6のモード不安定性に対する照明の均一性の感受性が低減される。
【0063】
RPE46は、照明光学ユニット7のビーム経路内で1次光源6のモードが位置空間内で分離される位置に配置される。RPE46は、1次光源6に対して共役な平面に配置される。この共役性を保証するために、1次光源6とRPE46の間の光学ユニット(それ程詳細には例示していない)は、RPE46の配置平面が1次光源6と共役であることを保証する。
【0064】
投影露光装置1を用いた微細構造化又はナノ構造化構成要素のマイクロリソグラフィ生成に向けて、最初に基板又はウェーハがウェーハ平面27に与えられる。ウェーハ上には、感光材料からなる層が少なくとも部分的に付加される。更に、結像される構造を有するレチクルがレチクル平面4上に与えられる。次いで、物体視野3に配置されたレチクルの部分が、像視野に配置された層の領域の上に投影露光装置1を用いて投影される。
【符号の説明】
【0065】
9 均一化光学ユニット
10 マイクロミラーアレイ
31 光学中空導波管構成要素
34 リレー光学ユニット
46 ランダム位相要素
図1
図2
図3
図4