【実施例1】
【0015】
図1(a)は、実施例1の半導体装置10の上面を模式的に示す図である。半導体装置10は、半導体基板(以下、単に基板と称する)11内に回路ブロックCBが形成された構造を有している。回路ブロックCBは、基板11に垂直な方向から見たとき、すなわち上面視において基板11の中央に形成されている。本実施例においては、基板11及び回路ブロックCBが上面視において矩形形状を有する場合について説明する。
【0016】
半導体装置10は、複数のパッドからなるパッド群12を有している。複数のパッドの各々には、そのパッドの各々から伸長し、回路ブロックCBへの配線に接続された接続部CNが形成されている。接続部CNの各々は、パッドの引き出し部を構成している。また、複数のパッドの各々は、1列に整列し、接続部CNを含め、全体としてパッド列PLを形成している。接続部CNの各々は、パッド列PLの長手方向(列方向)に垂直な方向(すなわち短手方向)に沿ってパッドの各々から伸長して形成されている。
【0017】
なお、本実施例においては、パッド群12が上面視において回路ブロックCBの外側に形成されている場合について説明する。また、本実施例においては、2つのパッド列PLが基板11の対向する2辺に沿って形成されている場合について説明する。また、パッド群が回路ブロックCBに周縁部に沿って形成されている場合について説明する。また、パッド群12のパッドの各々、及び接続部CNの各々は、それぞれ、矩形形状を有し、パッド列PLの短手方向に同一の長さを有する場合について説明する。
【0018】
また、本実施例においては、パッド群12のパッドのうち、接続部CNが基板11の周縁部側に形成されたパッドをパッド12A(第1のパッド)とする。同様に、接続部CNが回路ブロックCB側(パッド12Aとは反対側)に形成されたパッドをパッド12B(第2のパッド)とする。パッド群12は、少なくとも1つの第1及び第2のパッド12A及び12Bを有する。
【0019】
半導体装置10は、パッド群12の長辺に隣接して設けられた表面配線13を有している。表面配線13は、パッド群12及び接続部CNの各々と同じ階層の配線層において、パッド列PLの各々を挟むように複数個形成されている。表面配線13には、例えば電源電位が入力される。
【0020】
図1(b)は、
図1(a)の破線で囲まれた部分BLPを拡大して示す部分拡大図である。パッド群12は、一対の表面配線(第1及び第2の表面配線13A及び13B)に挟まれた領域(配線間領域と称する)に形成されている。第1のパッド12Aには、パッド12Aからパッド列PLの列方向に垂直に、かつ基板11の外側に向かって(第1の方向DR1に)伸長する接続部(第1の接続部)CN1が形成されている。また、第2のパッド12Bには、パッド12Bからパッド列PLの列方向に垂直に、かつ基板11の内側に向かって(第1の方向とは反対の方向に(第2の方向DR2に))伸長する接続部(第2の接続部)CN2が形成されている。第1及び第2の接続部CN1及びCN2は、基板11内に設けられた回路ブロックCBに接続されている。
【0021】
図1(b)に示すように、パッド12Bは、パッド12Aの中心を通るパッド列PLの列方向から、第1の方向DR1に、接続部CN1の第1の方向DR1に沿った長さだけ移動した位置に形成されている。より具体的には、パッド12Aはパッド12Aの領域の中心である中心点CP1を有し、同様にパッド12Bは中心点CP2を有している。パッド12A及び12Bの各々は、パッド列PLの列方向に垂直な方向に沿った長さであるパッド長L1を有している。また、接続部CN1及びCN2は、そのパッド列PLの列方向に垂直な方向に沿った長さである接続部長L2を有している。
【0022】
基板11に垂直な方向から見たとき、パッド12Bの中心点CP2は、パッド12Aの中心点CP1の各々を結んで形成された中心軸CAから第1の方向DR1に距離DT1だけずらした位置に配置されている。本実施例においては、距離DT1は、隣接するパッド12Aの接続部CN1の接続部長L2と同一である。すなわち、パッド12Bは、中心軸CAから第2の方向DR2とは反対の方向である第1の方向DR1に、隣接するパッド12Aにおける接続部CN1の接続部長L2だけ移動した位置に配置されている。接続部長L2は、パッド長L1よりも小さい。
【0023】
このように、パッド12A及び12Bは、厳密には1直線状に配置されていない。しかし、パッド12A及び12B並びに接続部CN1及びCN2は、全体としてほぼ1直線状に配置される。従って、パッド12A及び12B並びに接続部CN1及びCN2からなるパッド列PLの幅PLW、すなわちパッド列PLの長手方向に垂直な方向に沿った距離が最小化される。具体的には、パッド列PLの領域の幅PLWは、(パッド長L1)+(接続部長L2)となる。また、パッド列PLの領域は、上面視において凹凸のないほぼ矩形の形状となる。従って、パッド群12に隣接する表面配線13を直線状に形成できるなど、単純な配線を形成することが可能となり、配線形成が容易になる。
【0024】
仮に、パッド12A及び12Bのみを1直線状に配列した場合、パッド列PLの領域の有効幅は、(パッド長L1)+(接続部長L2)+(接続部長L2)となり、パッド列PLの領域の幅が実質的に拡大してしまう。より具体的には、パッド群12のうち、パッド12Aが形成されている部分については第1の方向DR1に、パッド12Bが形成されている部分については第2の方向DR2に、それぞれパッド列PLの領域に凸部が形成されてしまう。このようなパッド列PLの周辺に表面配線13を形成する場合、当該凸部において表面配線を屈曲させることとなり、配線形成が複雑化する。
【0025】
なお、本実施例においては、パッド12Bのシフト距離DT1は、パッド長L1よりも小さい。すなわち、パッド12Bは、中心軸CAから、パッド長L1を越えない範囲で、パッド列PLの短手方向に移動した位置に設けられている。従って、パッド12A及び12Bが厳密に1直線状に形成されている場合に比べて、パッド12A及び12Bの位置は大きく変更されていない。従って、パッドの位置に合わせるようにプローブカードを作製する場合、本実施例においてはパッドのずれ自体が小さいため、プローブカードの針立て方式が限定されず、本実施例の半導体装置10用のプローブカードとして、例えば、1直線状にパッド12A及び12Bを配列した場合の半導体装置に対する機能テスト用のプローブカードを使用することができる可能性がある。
【0026】
図2(a)は、
図1(a)におけるV−V線に沿った断面図である。
図2(b)は、
図1(a)におけるW−W線に沿った断面図である。まず、
図2(a)を用いて、半導体装置10の構造について説明する。なお、本実施例においては、半導体装置10がDRAMなどの半導体メモリである場合について説明する。まず、基板11上には回路構造層CSLが形成されている。基板11内及び回路構造層CSL内には、回路ブロックCBが形成されている。回路ブロックCBは、例えばトランジスタやキャパシタを含み、メモリセルアレイ及び当該メモリセルアレイの記憶動作を制御する制御回路からなる。
【0027】
回路構造層CSL上には、複数の金属配線層からなる多層配線層MWLが形成されている。本実施例においては、多層配線層MWLは、第1の金属配線層M1、第2の金属配線層M2及び第3の金属配線層M3の3つの金属配線層が回路構造層CSL上に形成された構造を有する場合について説明する。具体的には、多層配線層MWLは、回路構造層CSL上に、第1の絶縁層ISL1、第1の金属配線層M1、第2の絶縁層ISL2、第2の金属配線層M2、第3の絶縁層ISL3及び第3の金属配線層M3がこの順で順次積層された構造を有している。なお、図示していないが、第3の金属配線層M3は、パッドの各々上の領域を除いてパッシベーション膜によって覆われている。
【0028】
図2(a)を用いて、パッド群12の第1のパッド12Aと回路ブロックCBとの間の接続形態の一例について説明する。なお、
図2(a)又は(b)においては、それぞれ1つのパッド12A又は12Bと回路ブロックCBとの接続形態のみを示しており、他のパッド12A及び12Bにおける接続配線は省略してある。
【0029】
第1のパッド12Aは、その接続部CN1によって多層配線層MWL内の第1の配線群(回路ブロックCBへの第1の配線)W1に接続され、第1の配線群W1を介して、回路ブロックCBを静電気放電(ESD:Electro Static Discharge)から保護するESD保護回路(以下、単に保護回路と称する)EPCに接続されている。保護回路EPCは、例えばダイオード素子を含む。また、保護回路EPCは、多層配線層NWL内の第2の配線群(回路ブロックCBへの第2の配線)W2に接続され、第2の配線群W2を介して回路ブロックCBに接続されている。すなわち、パッド12Aは、保護回路EPCを介して回路ブロックCBに接続されている。
【0030】
具体的には、パッド12Aは第3の金属配線層M3に形成され、第3の金属配線層M3においてパッド12Aから接続部CN1が伸長している。接続部CN1の直下から第3の絶縁層ISL3を貫通して第2の金属配線層M2に至るスルーホールが形成され、当該スルーホール内に配線W11が形成されている。第2の金属配線層M2には、配線W11から基板11の外側に向かって保護回路EPC上の領域に至る配線W12が形成されている。
【0031】
配線W12の回路構造層CSL側の表面から第2の絶縁層ISL2を貫通して第1の金属配線層M1に至るスルーホールが形成され、当該スルーホール内に配線W13が形成されている。第1の金属配線層M1には配線W13に接続された配線W14が形成されている。配線W14の基板11側の表面から第1の絶縁層ISL1を貫通して回路構造層CSL内の保護回路EPCに至るスルーホールが形成され、当該スルーホール内に配線W15が形成されている。このようにしてパッド12Aは第1の配線群W1を介して保護回路EPCに接続されている。
【0032】
次に、配線W15が形成されていない保護回路EPC上の回路構造層CSLには、回路構造層CSL及び第1の絶縁層ISL1を貫通して第1の金属配線層M1に至るスルーホールが形成され、当該スルーホール内には配線W21が形成されている。第1の金属配線層M1には、配線W21から回路ブロックCB上の領域に至る配線W22が形成されている。配線W12の回路構造層CSL側の表面には、第1の絶縁層ISL1を貫通して回路構造層CSL内の回路ブロックCBに至るスルーホールが形成され、当該スルーホール内には配線23が形成されている。このようにして、保護回路EPCは第2の配線群W2を介して回路ブロックCBに接続されている。
【0033】
なお、
図2(a)においては、理解の容易さのため、パッド12Aの下の領域に第2の配線群W2が形成されているように図示した。しかし、第2の配線群W2は、パッド12Aの下の領域を迂回して形成されていることが望ましい。多層配線層MWL内の配線は、パッド列PLを横断する場合、パッド間の領域など、上面視においてパッド領域に重ならない多層配線層MWLの領域を用いて形成されていることが望ましい。
【0034】
また、
図2(a)に図示した配線構成は一例に過ぎない。例えば、第1の配線群W1は、第1の接続部CN1の直下から第3の絶縁層ISL3、第2の金属配線層M2及び第2の絶縁層ISL2を貫通して第1の金属配線層M1に至る配線を形成した後、第1の金属配線層M1の配線から第1の絶縁層ISL1を貫通して保護回路EPCに至る配線を形成することによって形成されていてもよい。また、第2の配線群W2は、保護回路EPCから第1の絶縁層ISL1を貫通して第1の金属配線層M1に至る配線を形成し、同じ配線層すなわち第1の金属配線層M1のパッド間領域を通って回路ブロックCB上の領域に至る配線を形成した後、第1の絶縁層ISL1を貫通して回路ブロックCBに至る配線を形成することによって形成されていてもよい。
【0035】
次に、
図2(b)を用いて第2のパッド12Bと回路ブロックCBとの間の接続形態の一例について説明する。第2のパッド12Bは、その接続部CN2によって多層配線層MWL内の第3の配線群(回路ブロックCBへの第3の配線)W3に接続され、第3の配線群W3を介して回路ブロックCBに接続されている。
【0036】
具体的には、パッド12Bは第3の金属配線層M3に形成され、第3の金属配線層M3においてパッド12Bから接続部CN2が伸長している。接続部CN2の直下から第3の絶縁層ISL3を貫通して第2の金属配線層M2に至るスルーホールが形成され、当該スルーホール内に配線W31が形成されている。第2の金属配線層M2には、配線W31から回路ブロックCB上の領域に至る配線W32が形成されている。
【0037】
配線W32の回路構造層CSL側の表面から第2の絶縁層ISL2を貫通して第1の金属配線層M1に至るスルーホールが形成され、当該スルーホールに配線W33が形成されている。第1の金属配線層M1には配線W33に接続された配線W34が形成されている。配線W34の基板11側の表面から第1の絶縁層ISL1を貫通して回路構造層CSL内の回路ブロックCBに至るスルーホールが形成され、当該スルーホール内に配線W35が形成されている。このようにしてパッド12Bは第3の配線群W3を介して回路ブロックCBに接続されている。
【0038】
なお、
図2(b)に示した配線構成は一例に過ぎない。例えば、第3の配線群W3は、他の配線や回路の配置状況によっては、以下のように形成されていてもよい。まず、接続部CN2の直下から第3の絶縁層ISL3、第2の金属配線層M2及び第2の絶縁層ISL2を貫通して第1の金属配線層M1に至る配線を形成し、第1の金属配線層M1内を回路ブロックCBに向かう配線を形成する。次に、第1の金属配線層M1から第2の絶縁層ISL2を貫通して第2の金属配線層M2に至る(基板11とは反対方向)配線を形成した後、第2の金属配線層M2内を回路ブロックCB上の領域に至る配線を形成し、第2の絶縁層ISL2、第1の金属配線層M1及び第1の絶縁層ISL1を貫通し、回路構造層CSL内に至る配線を形成する。つまり、各配線層を上下に引き回すように配線されていてもよい。
【0039】
ここで、第1のパッド12Aと第2のパッド12Bの相違点、すなわち接続部CN1及びCN2の引き出し方向の相違点について説明する。パッド群12のうち、第1のパッド12Aを形成するか、第2のパッド12Bを形成するか、すなわちパッドからどの方向に接続部を引き出すかは、配線効率を考慮して決定(選択)することができる。
【0040】
具体的には、例えば、第1のパッド12Aのように、上面視において、パッド12Aに対して基板11の外側に配置された保護回路EPCに接続されることを要する場合、その接続部CN1は、保護回路EPC側、すなわちパッド12Aから見て基板11の外側に形成される(引き出される)ことが望ましい。
【0041】
一方、第2のパッド12Bのように、パッド12Bに対して基板11の内側に配置された回路ブロックCBに接続されることを要する場合、その接続部CN2は、回路ブロックCB側、すなわちパッド12Bから見て基板11の内側に形成される(引き出される)ことが望ましい。
【0042】
このようにパッドにおける接続部CN1及びCN2の形成位置を決定することで、配線距離の削減、金属配線層の層数の削減など、配線効率を最適化し、全体としてチップサイズの削減を図ることが可能となる。そして、パッド12A及び12Bのようにパッドの形成位置を互いにパッド列PLの短手方向にシフトさせることで、パッド及び接続部(引き出し部)の全体でのレイアウトが最適化され、さらにチップサイズを削減することができる。
【0043】
なお、パッド群12と基板11の端部との間には一定の距離が必要となる。具体的には、パッド12A上にはボンディングワイヤが形成される。このワイヤボンディングの工程では、ボンディング装置のボンディングヘッドがパッドに当接される。従って、パッド12Aから基板11に向かって装置を押すような力が加わる。パッド群12を基板11の端部に近づけすぎると、ワイヤボンディング工程において多層配線層MWLや基板11が破損する可能性が高くなる。従って、パッド群12は基板11の端部からある程度の距離だけ離れて形成される必要がある。
【0044】
パッド群12と基板11の端部との間における多層配線層MWLの領域は、配線領域として使用することが可能である。従って、上記した表面配線13など、配線を形成することで当該領域を有効的に活用することができる。同様に、パッド群12及び基板11の端部間における回路構造層CSLや基板11内の領域には、半導体回路を形成することができる。この回路構造層CSL及び基板11内の領域には、保護回路EPCを形成することが好ましい。保護回路EPCを基板11の端部に近い領域に形成することで、配線効率を向上させることができる。さらに、ESDの被保護回路である回路ブロックCBから保護回路EPCを物理的に遠ざけることで、ESDの保護効率を向上させることができる。
【0045】
従って、保護回路EPCはパッド12Aの回路ブロックCBとは反対側の位置に形成される。また、配線効率を考慮すると、パッド12Aの接続部CN1は、保護回路EPC側である第1の方向DR1に引き出される(形成される)ことが望ましい。
【0046】
また、本実施例においては、第2のパッド12Bは、保護回路EPCには接続されない。これは、パッド12Bが保護回路EPCに接続されることを必要としないパッドだからである。具体的には、パッド12Bは、外部に接続されないパッドとして構成されている。パッド12Bは、パッド12B上にボンディングワイヤが形成されない非ボンディングパッドである。例えば、第2のパッド12Bは、製造時における機能テスト(例えばバーンイン試験など)の際に、外部から回路ブロックCBに電源電圧を印可するために用いられるパッドである。また、パッド12Bは、例えば、回路ブロックCB内の内部電源をモニタリングするのに用いられるパッドである。
【0047】
従って、本実施例においては、第2のパッド12Bは、保護回路EPCを介することなく、回路ブロックCBに接続される。従って、パッド12Bの接続部CN2は、配線効率を考慮すると、回路ブロックCB側である第2の方向DR2(第1の方向DR1とは反対の方向)に引き出されることが望ましい。なお、パッド12Bは、ボンディングワイヤが形成されない場合、そのパッドサイズをパッド12Aよりも小さくすることが可能となり、パッド群12のパッド列PLの長手方向に沿った距離を削減(短縮)することが可能となる。
【0048】
なお、パッド群12におけるパッド12A及び12Bの配列順序は、回路ブロックCBへの配線効率を考慮して決定することができる。例えば、まずパッド12Bの回路ブロックCBへの配線距離を考慮してパッド12Bを配置し、他のパッド12Aをパッド12Bの間に形成してもよい。また、パッド群12の両端部を構成するパッドがパッド12Bであり、間のパッドがパッド12Aであってもよい。また、パッド群12の途中にパッド12Bが点在して形成されていてもよい。
【0049】
図3は、半導体装置10における各パッド及び保護回路の配置を模式的に示す上面図である。まず、
図3を用いて、保護回路EPCを介して回路ブロックCBに接続されるパッド12A及び保護回路EPCを介さずに直接回路ブロックCBに接続されるパッド12Bの具体例について説明する。本実施例においては、パッド12Aとして、DQパッド、VSSQパッド、VCCQパッド、ADDパッド、CLKパッド、VSSパッド及びVCCパッドが形成されている。
【0050】
DQパッドは、回路ブロックへのデータの入出力に用いられるパッドである。VCCQパッド及びVSSQパッドは、データの入出力の際に回路ブロックCBにそれぞれ電源電位及び接地電位を印可するのに用いられるパッドである。ADDパッドは、データを入出力するアドレスを指定するのに用いられるパッドである。CLKパッドは、回路ブロックCBにクロック信号を入出力するのに用いられるパッドである。VCC及びVSSパッドは、回路ブロックCBにそれぞれ電源電位及び接地電位を印可するのに用いられるパッドである。これらパッド12Aは、ボンディングワイヤによって外部に接続され、通常の動作時に外部からの信号が入出力されるパッドである。従って、保護回路EPCに接続される。
【0051】
また、本実施例においては、パッド12Bとして、VPPパッド、VCPパッド及びVBLパッドが形成されている。VPPパッドは、データの入出力の際に回路ブロックCBに高電源電位(昇圧電位)を印可するのに用いられるパッドである。VCPパッドは、回路ブロックCB内のプレート線に電位を印可するのに用いられるパッドである。VBLパッドは、回路ブロックCB内のビット線に電位を印可するのに用いられるパッドである。これらパッド12Bは、回路ブロックCBに直接接続される。なお、図示していないが、さらに、回路ブロックCBの電位をモニタリングするのに用いられるVMONパッドがパッド12Bとして形成されていてもよい。
【0052】
次に、保護回路EPCの配置について説明する。保護回路EPCは、配線効率を考慮すると、上面視においてパッド12Aの接続部CN1に対向する位置に設けられていることが望ましい。また、保護回路EPCの各々は、パッド12Aの配列方向に沿って同一方向に配置され、1列に整列していることが望ましい。同種の回路が整列して形成されることで、配線が単純化され、装置サイズの削減に寄与するからである。
【0053】
なお、本実施例においては、接続部CN1及びCN2がパッド列PLの長手方向に垂直な方向に沿って形成される場合について説明したが、接続部CN1及びCN2の形成位置はこれに限定されるものではない。例えば、パッド群の一部のパッドが、パッド列PLの長手方向に沿って伸長する接続部のみに接続されていてもよい。また、例えばパッド12Aが、接続部CN1に加えて、パッド列PLの長手方向に沿って伸長する接続部に接続されていてもよい。
【0054】
また、本実施例においては、基板11の中央部に回路ブロックCBが形成され、回路ブロックCBの周囲にパッド群12が形成される場合について説明したが、回路ブロックCB及びパッド群12の位置関係はこれに限定されるものではない。例えば、回路ブロックが2つ形成され、当該2つの回路ブロックの中央部にパッド群が形成されていてもよい。また、パッド群12が基板11の対向する2辺に沿って形成される場合について説明したが、パッド群12の形成位置はこれに限定されるものではない。例えば、パッド群が回路ブロックCBを取り囲むように形成されていてもよい。
【0055】
図4は、実施例1の変形例に係る半導体装置10Aの構造を示す上面図である。半導体装置10Aは、パッド12A及び12Bの形成位置及びその引き出し部EP1及びEP2の構造を除いては、半導体装置10と同様の構造を有している。なお、
図4においては、1つのパッド12A及びその引き出し部EP1、1つのパッド12B及びその引き出し部EP2、並びに1対の表面配線13A及び13Bのみを示しており、他の構成要素の図示は省略してある。
【0056】
本変形例においては、表面配線13A及び13Bとパッド12A及び12Bとの間の距離、並びにパッド12A及び12Bと接続部CN1及びCN2との間の距離を考慮してパッドを配置している。より具体的には、ワイヤボンディング時のボンディング位置の製造誤差を考慮すると、パッド12A及び接続部CN1間(パッド12A及び装置内配線W1の配線W11間)には一定の距離が設けられる必要がある。同様に、パッド12A及び表面配線13B間も一定の距離だけ離間させる必要がある。この距離は、配線幅及び配線間隔などが微細化されればされるほど、無視できなくなる。この必要な距離よりも小さい間隔でパッド及び接続部並びにパッド及び表面配線を形成すると、ボンディングワイヤと配線が短絡し、接続不良となる可能性がある。
【0057】
本変形例においては、当該パッド及び配線間の必要な距離をパッド配線間距離L3と称する。なお、接続部CN1及び第1の表面配線13A間にも一定の距離を設ける必要があるが、この距離はワイヤボンディング時の位置ずれを考慮する必要はなく、距離L3よりも小さな距離L4だけ離れていればよい。
【0058】
本変形例においては、パッド12A及び接続部CN1間は距離L3だけ離れて形成されている。具体的には、パッド12A及び接続部CN1間には、パッド12A及び接続部CN1を接続する延長部(第1の延長部)EX1が形成されている。パッド列PLの短手方向に沿った延長部EX1の長さ(延長部長)は少なくとも距離L3である。なお、本変形例においては、接続部CN1及び延長部EX1の全体を引き出し部(第1の引き出し部)EP1と称する。すなわち、パッド12Aには、パッド12Aから第1の方向DR1に伸長した引き出し部EP1が形成され、引き出し部EP1は接続部CN1及び延長部EX1からなる。
【0059】
同様に、パッド12Bには、パッド12Bから第2の方向DR2に伸長した引き出し部(第2の引き出し部)EP2が形成され、引き出し部EP2は接続部CN2及び延長部(第2の延長部)EX2を有している。また、引き出し部EP2の接続部CN2及び第2の表面配線13Bは距離L4だけ離間している。延長部EX1及びEX2の直下には回路ブロックCBへの配線は形成されず、当該配線は接続部CN1及びCN2の直下に形成される。
【0060】
なお、本変形例においては、延長部EX1及び接続部CN1の全体が引き出し部EP1を構成し、延長部EX2及び接続部CN2の全体が引き出し部EP2を構成する場合について説明したが、引き出し部EP1及びEP2は、それぞれ接続部CN1及びCN2のみから構成されていてもよい。具体的には、例えば、パッド12A及びパッド12Aから第1の方向DR1に距離L3だけ伸長する延長部EX1を第1のパッドとし、延長部EX1から第1の方向DR1に距離L2だけ伸長する接続部CN1を第1の引き出し部EP1としてもよい。同様に、パッド12B及びパッド12Bから第2の方向DR2に距離L3だけ伸長する延長部EX2を第2のパッドとし、延長部EX2から第2の方向DR2に距離L2だけ伸長する接続部CN2を第2の引き出し部EP2としてもよい。
【0061】
本変形例においては、パッド12Bは、パッド12Aの中心点CP1を通るパッド列PLの長手方向(中心軸CA)から、第1の方向DR1に、接続部長L2と接続部CN及び第1の表面配線13A間の距離(接続部配線間距離)L4とを加算した距離だけ移動した(ずらした)位置に形成されている。具体的には、パッド12Bの中心点CP2は、中心軸CAから、距離L2及びL4だけシフトした位置に形成されている。このとき、パッド列PLの幅PLWは、(パッド長L1)+(接続部長L2)+(接続部長L2)+(延長部長L3)となる。これは、パッド配線間距離を考慮した場合において最もパッド列幅PLWが小さい構成となる。
【0062】
従って、パッド及び配線間におけるボンディング時の位置ズレを考慮した必要な間隔が無視できない場合においては、接続部長L2及び接続部配線間距離L4だけパッド12Bの位置をパッド12Aからずらすことによって、パッド列幅PLWを最小化することが可能となる。
【0063】
上記したように、パッドからそれぞれ反対の方向に接続部が伸長している場合において、パッドの位置を接続部の長さ分だけパッド列PLの短手方向にずらすことによって、接続部(引き出し部)を含めたパッドレイアウトが最適化され、装置サイズを削減することが可能となる。