(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
リソグラフィマスク(7)を配置することができる物体視野(5)に向けて照明光(16)を案内するためのEUV投影リソグラフィのための照明光学ユニット(4)であって、
前記照明視野(5)に向けて照明光部分ビーム(16i)を案内するための個々のミラー照明チャネル(43)を提供する複数の個々のミラー(26)を有する第1のファセットミラー(19)を含み、
前記照明光(16)のビーム経路内で前記第1のファセットミラー(19)の下流に配置され、かつ群ミラー照明チャネル(35)を通じた前記物体視野(5)内への該第1のファセットミラー(19)の前記個々のミラー(26)の群(24a)の結像に各々が寄与する複数のファセット(34)を有する第2のファセットミラー(20)を含み、該群ミラー照明チャネル(35)は、該個々のミラー群(24a)の前記個々のミラー照明チャネル(43)を含み、
前記第1のファセットミラー(19)の前記個々のミラー(26)の配置及び前記第2のファセットミラー(20)の前記ファセット(34)の配置は、異なる前記個々のミラー群(24a)の像(36)が、割り当てられた前記群ミラー照明チャネル(35)を通じて前記物体視野(5)内で互いに重ね合わされるようなものであり、
前記個々のミラー群(24a)の前記個々のミラー(26)は、一方で前記第2のファセットミラー(20)の前記ファセット(34)に対する前記第1のファセットミラー(19)の前記個々のミラー群(24a)のそれぞれの割り当てに依存して発生し、かつ他方で前記物体視野(5)内への該個々のミラー群(24a)の結像中に発生する結像収差が少なくとも部分的に補償されるように配置され、
前記第1のファセットミラー(19)上での前記個々のミラー(26)の空間配置が、前記物体視野(5)内への前記個々のミラー群(24a’)の結像の結像スケールを考慮した該第1のファセットミラー(19)上の該個々のミラー群(24a’)のサイズ及び/又は縁部輪郭(38’)が該物体視野(5)のサイズ及び/又は縁部輪郭からずれることによってこのずれが結像収差を補償するように選択される
ことを特徴とする照明光学ユニット。
前記個々のミラー群(24a)の前記個々のミラー(26)は、それによって予め定められた該個々のミラー群(24a)の前記個々のミラー照明チャネル(43)が、該個々のミラー群(24a)に割り当てられた前記第2のファセットミラー(20)の前記ファセット(34)上の異なるターゲット場所(44i)に向けて案内されるような向きに置かれることを特徴とする請求項1に記載の照明光学ユニット。
前記個々のミラー(26)は、前記個々のミラー照明チャネル(43)がそれに向けて案内される前記第2のファセットミラー(20)の前記ファセット(34)上の前記異なるターゲット場所(44i)が、該ファセット(34)にわたって延びるターゲット場所経路(45)に沿って配置されるような向きに置かれることを特徴とする請求項2に記載の照明光学ユニット。
前記第2のファセットミラー(20)の前記ファセット(34)の反射面(49)が、前記ターゲット場所経路(45)に沿ってそれに対して垂直な方向よりも大きい広がりを有することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の照明光学ユニット。
前記第2のファセットミラー(20)は、前記ターゲット場所経路(45)に沿ったその広がりに関して異なる広がりを有するファセット(34)を有することを特徴とする請求項5に記載の照明光学ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、マイクロリソグラフィのための投影露光装置1を子午断面図に略示している。投影露光装置1は、光源又は放射線源2を含む。投影露光装置1の照明系3は、物体平面6の物体視野5と一致する照明視野を露光するための照明光学ユニット4を有する。照明視野は、物体視野5よりも大きいとすることができる。この場合に、物体視野5に配置され、物体ホルダ又はレチクルホルダ8によって保持されるレチクル7の形態にある物体が露光される。レチクル7をリソグラフィマスクとも表している。物体ホルダ8は、物体変位ドライブ9を用いて変位方向に沿って変位可能である。投影光学ユニット10は、物体視野5を像平面12の像視野11に結像するように機能する。レチクル7上の構造は、像平面12の像視野11の領域に配置されたウェーハ13の感光層上に結像される。ウェーハ13は、ウェーハホルダ14(同じく例示していない)によって保持される。ウェーハホルダ14もまた、ウェーハ変位ドライブ15を用いて物体ホルダ8と同期方式で変位方向に沿って変位可能である。
【0021】
放射線源2は、5nmと30nmの範囲の放出使用放射線を有するEUV放射線源である。EUV放射線源は、プラズマ光源、例えば、GDPP(ガス放電生成プラズマ)光源又はLPP(レーザ生成プラズマ)光源とすることができる。シンクロトロン又は自由電子レーザ(FEL)に基づく放射線源を放射線源2に対して使用することができる。当業者は、そのような放射線源に関する情報を例えばUS 6,859,515 B2から求めることができる。放射線源2から射出するEUV放射線16は、コレクター17によって集中される。対応するコレクターは、EP 1 225 481 Aから公知である。コレクター17の下流において、EUV放射線16は、中間焦点面18を通って伝播し、その後に、視野ファセットミラー19上に入射する。視野ファセットミラー19は、照明光学ユニット4の最初のファセットミラーである。視野ファセットミラー19は、複数の個々のミラー(
図1には例示していない)を有する。視野ファセットミラー19は、物体平面6に対して光学的に共役である照明光学ユニット4の平面に配置される。
【0022】
以下では、EUV放射線16を照明光又は結像光とも表している。
【0023】
視野ファセットミラー19の下流において、EUV放射線16は、瞳ファセットミラー20によって反射される。瞳ファセットミラー20は、照明光学ユニット4の第2のファセットミラーである。瞳ファセットミラー20は、中間焦点面18及び投影光学ユニット10の瞳平面に対して光学的に共役であるか又はこの瞳平面と一致する照明光学ユニット4の瞳平面に配置される。瞳ファセットミラー20は、複数の瞳ファセット(
図1には例示してない)を有する。瞳ファセットミラー20と、ビーム経路の順序で表記しているミラー22、23、及び24を含む伝達光学ユニット21の形態にある下流結像光学アセンブリとを用いて、下記でより詳細に説明する視野ファセットミラー19の個々のミラー群24a(
図7を参照されたい)が物体視野5に結像される。伝達光学ユニット21の最後のミラー24は、かすめ入射のためのミラーである(「かすめ入射ミラー」)。
【0024】
位置関係の説明を容易にするために、
図1は、直交xyz座標系を物体平面6と像平面12の間にある投影露光装置1の構成要素の位置関係の説明のための広域座標系として示している。
図1では、x軸は、作図面と垂直に作図面に向けて延びている。y軸は、
図1の右に向けて物体ホルダ8及びウェーハホルダ14の変位方向と平行に延びている。z軸は、
図1の下向きに、すなわち、物体平面6及び像平面12と垂直に延びている。
【0025】
物体視野5又は像視野11にわたるx寸法を視野高さとも表している。
【0026】
図2は、視野ファセットミラー19からの抜粋の構成の詳細を非常に概略的な図に示している。
図2に示す視野ファセットミラー19からの抜粋は、個々のミラー群24aのうちの正確に1つのものとすることができる。視野ファセットミラー19の全体の反射面25は、個々のミラー26の格子に行列で再分割される。それぞれの個々のミラー26を通して、照明光16の部分ビームが案内される。特定の個々のミラー26の個別反射面は平坦であり、曲率を持たない。個々のミラー行27は、互いに直接に接して横並びで置かれた複数の個々のミラー26を有する。個々のミラー行27内には、10個から100個の個々のミラー26を設けることができる。
図2に記載の例では、個々のミラー26は正方形である。可能な限りいかなる間隙も持たずに反射面20を覆うことを可能にする他の形状の個々のミラーを使用することができる。そのような別の個々のミラー形状は、寄せ木細工の数学理論から公知である。この点に関しては、WO 2009/100 856 A1の引用文献を参照されたい。
【0027】
視野ファセットミラー19の実施形態に基づいて、個々のミラー列28も同じく複数の個々のミラー26を有する。一例として、個々のミラー列28毎に数個、数十個、又は数百個の個々のミラー26が設けられる。
【0028】
位置関係の説明を容易にするために、
図2は、直交xyz座標系を視野ファセットミラー19の局所座標系として示している。平面図のファセットミラー又はそこからの抜粋に示すその後の図においても対応する局所xyz座標系を示している。
図2では、x軸は、個々のミラー行27と平行に右に向いて水平に延びている。y軸は、
図2の個々のミラー列28と平行に上に向いて延びている。z軸は、
図2の作図面に対して垂直であり、そこから飛び出すように延びている。
【0029】
図1に記載の広域座標系のy方向、すなわち、レチクル7及びウェーハ13の変位方向と、
図2に記載の局所座標系のy方向、すなわち、個々のミラーアレイの列方向とは互いに対して正確に平行に延びる必要はなく、互いに対して例えば小さい角度を取ることができる。
【0030】
個々のミラー群24aの反射面25は、x方向にx
0という広がりを有する。y方向には、個々のミラー群24aの反射面25はy
0という広がりを有する。
【0031】
視野ファセットミラー19の実施形態に基づいて、個々のミラー26は、例えば500μm×500μmから例えば2mm×2mmまでの範囲にあるx/y広がりを有する。個々のミラー26は、照明光16に対して集中効果を有するように成形することができる。個々のミラー26のそのような集中効果は、特に、照明光16による視野ファセットミラー19の発散照明を使用する場合であれば有利である。全体の視野ファセットミラー19は、実施形態に依存して例えば300mm×300mm又は600mm×600mmのx
0/y
0広がりを有する。個々のミラー群24a(
図7を参照されたい)は、80mm×6mm、65mm×5mm、25mm×4mm、又は104mm×8mmの典型的なx/y広がりを有する。それぞれの個々のミラー群24aのサイズとこれらの個々のミラー群24aを構成する個々のミラー26のサイズとの間の比に基づいて、個々のミラー群24aの各々は、対応する個数の個々のミラー26を有する。
【0032】
図2に反射面25の左下コーナに配置された2つの個々のミラー26に基づいて破線に示し、
図3に個別ファセット行27からの抜粋に基づいてより詳細に示すように、入射照明光16の個別偏向に向けて、個々のミラー26の各々は、アクチュエータ29にそれぞれ接続される。アクチュエータ29は、個々のミラー26の反射側から離れる方向に面する個々のミラー26の各々の側に配置される。アクチュエータ29は、例えば、圧電アクチュエータとして具現化することができる。そのようなアクチュエータの構成は、マイクロミラーアレイの構造から公知である。
【0033】
個々のミラー行27のアクチュエータ29は、信号線30を通して行信号バス31にそれぞれ接続される。個々のミラー行27は、各々行信号バス31のうちの1つに割り当てられる。個々のミラー行27の行信号バス31自体は、主信号バス32に接続される。主信号バス32は、視野ファセットミラー19の制御デバイス33に信号接続される。制御デバイス33は、特に、個々のミラー26を直列で互いに、すなわち、行毎又は列毎に駆動するように設計される。個々のミラー行27及び個々のミラー列28内にあっても、個々のミラー26の個別駆動が可能である。
【0034】
個々のミラー26の各々は、互いに垂直な2つの傾斜軸の回りに個々に独立して傾斜させることができ、これらの傾斜軸のうちの第1のものは、x軸と平行に延び、これらの2つの傾斜軸のうちの第2のものは、y軸と平行に延びている。2つの傾斜軸は、それぞれの個々のミラー26の個別反射面内に位置する。
【0035】
これに加えて、アクチュエータ29を用いて個々のミラー26のz方向の個別変位も可能である。従って、個々のミラー26は、反射面25に対する法線に沿って互いに分離された駆動可能方式で変位可能である。その結果、反射面25のトポグラフィ全体を変更することができる。これを一例として
図4から
図6を参照して非常に概略的に例示する。それによってフレネルレンズ方式で1つの平面に全体が配置されたミラーセグメントの形態で大きいサジッタを有する反射面の一様な輪郭、すなわち、反射面の大きいトポグラフィ変化を生成することが可能である。フレネルゾーン方式でのセグメントへのそのような再分割により、大きいサジッタを有するそのようなミラー面トポグラフィの基本曲率が排除される。
【0036】
図4は、個々のミラー行27からの抜粋の個々のミラー26の個別反射面を示しており、この個々のミラー行27の全ての個々のミラー26が、制御デバイス33及びアクチュエータ29を用いて同じ絶対z位置に揃えられる。それによって個々のミラー行27の平坦な行反射面がもたらされる。視野ファセットミラー19の全ての個々のミラー26の向きが
図4に記載の通りに設定される場合に、視野ファセットミラー19の全体の反射面25は平坦である。
【0037】
図5は、中心の個々のミラー26
mが、隣接する個々のミラー26
r1、26
r2、26
r3に対して負のz方向にオフセットされた方式で設定される個々のミラー行27の個々のミラー26の駆動を示している。それによって
図5に記載の個々のミラー行27上に入射するEUV放射線16の対応する位相オフセットをもたらす多段配置がもたらされる。この場合に、2つの中心の個々のミラー26
mから反射されたEUV放射線16は、最も大きい程度まで位相遅延される。縁部の個々のミラー26
r3は、最も小さい位相遅延を生成する。介在する個々のミラー26
r1、26
r2は、相応に、中心の個々のミラー26
mの得られる位相遅延から進んで徐々に小さくなる位相遅延を段階的に生成する。
【0038】
図6は、一方で個々のミラー26の互いに対するz方向のオフセットと、他方で個々のミラー26の互いに対する向きとが、全体で凸面の個々のミラー行27をもたらすような個々のミラー行27からの例示的抜粋の個々のミラー26の駆動を示している。この駆動は、視野ファセットミラー19の個々のミラー群の結像効果を生成するのに使用することができる。当然ながら、同様の方法で、例えば、個々のミラー26の群の凹面配置も可能である。
【0039】
図5及び
図6を参照して上述したものに対応する設計は、x寸法に限定されず、制御デバイス33を用いた駆動に基づいて、視野ファセットミラー19のy寸法にわたって続けることができる。
【0040】
既に上述したように、各々が少なくとも2つの個々のミラー26から構成される個々のミラー群24a内の個々のミラー26の予め定められた傾斜付きのグループ分けは、制御デバイス33を用いたアクチュエータ29の個別駆動によって設定することができる。個々のミラー群24aは、照明光16に対する少なくとも1つの専用群ミラー照明チャネルを通して、個々のミラー群24aを物体視野5に結像するための瞳ファセットミラー20の少なくとも1つの専用瞳ファセットにそれぞれ割り当てられる。この割り当ては、それぞれの個々のミラー26上に入射する照明光16の部分ビームが、当該の個々のミラー26からそれに割り当てられた瞳ファセットミラー20の瞳ファセットに向けて反射され、更にそこから物体視野5に向けて反射されるような個々のミラー群24aに属する個々のミラー26のそれぞれの傾斜位置又は切り換え位置の事前定義によって行われる。この場合に、群ミラー照明チャネルは、全体の照明視野又は物体視野5を照明するための瞳ファセットを通しての結像に起因して互いに補完し合うそれぞれの個々のミラー群24aの全ての個々のミラー照明チャネルの全計である。従って、個々のミラー群24aの各々は、照明視野5の原像と見なすことができる。この場合に、照明視野5の元の像は、結像収差を考慮して照明視野5内に正確に結像される構造的形態である。この構造的形態を実原像とも表している。それとは対照的に、照明視野5の理想原像は、結像収差を考慮することなく照明視野5内に正確に結像される構造的形態を表している。
【0041】
この場合に、照明視野又は物体視野5の合計照明は、これらの原像の重ね合わせを構成する。
【0042】
従って、個々のミラー群24aの各々は、例えば、US 6,438,199 B1又はUS 6,658,084 B2に開示されているもののような視野ファセットミラーのファセットの機能をそれぞれ有する。
【0043】
図7は、そのようなグループ分けを示している。この図は、
図2に記載の図と比較してより多くの個々のミラー26を有する視野ファセットミラー19の変形の視野ファセット板の反射面25からの抜粋を示している。
図2から
図6を参照して上述したものに対応する構成要素は同じ参照番号を伴い、これらに対しては再度特に詳細には解説しない。
【0044】
図7の例の場合に、制御デバイス33の駆動の対応する組合せにより、反射面25内に合計で12個の個々のミラー群24aが形成される。個々のミラー群24aは、各々が同じx/yアスペクト比を有する。個々のミラー群24aの各々は、個々のミラー26の24×3アレイ、すなわち、各々が24個の個々のミラー26を有する3つの個々のミラー行を有する。従って、個々のミラー群24aの各々は、8対1のアスペクト比を有する。このアスペクト比は、照明される物体視野5のアスペクト比に対応する。この場合に、個々のミラー26の傾斜位置に依存する光線幾何学形状の変化に起因する物体視野5内へのそれぞれの個々のミラー群24aの結像の詳細な変化に起因して発生するアスペクト比の差が無視されている。
【0045】
個々のミラー群24aの各々内では、個々のミラー26は、個々のミラー群24aの各々の形態が従来の視野ファセットミラーの個別視野ファセットの形態に対応するように、互いに対して向きが設定される。それぞれの個々のミラー群24aの個々のミラー26の像は、全体の物体視野5に関して物体視野5内で互いに補完し合う。
【0046】
図7は、群ミラー照明チャネル35を通しての瞳ファセットミラー20の3つの瞳ファセット34に対する個々のミラー群24aのうちの3つのもの割り当てを略示している。瞳ファセット34は、照明光学ユニット4の第2のファセットを構成する。
【0047】
図8及び
図9は、物体視野5の境界形態における2つの可能な変形を示している。
図8に記載の物体視野5は、アスペクト比x
1/y
1を有する矩形である。
図9に記載の物体視野5は、同じアスペクト比x
1/y
1を有する弓形である。
【0048】
図10は、
図9に記載の物体視野5の例に基づく物体視野5内への個々のミラー群24aの結像中の結像収差の効果を示している。
図10では、物体視野5を弧で略示している。物体視野5に対して傾斜しているように示すのは、傾斜結像収差に関して補償されていない個々のミラー群24aの個々のミラー群像36である。
図10の反時計方向の傾斜角の傾斜(方向矢印37を参照されたい)は、
図10では有意に誇張して示したものである。この傾斜結像収差は、瞳ファセット34に対する個々のミラー群24aのそれぞれの割り当てに依存する。
【0049】
図10に記載の概略的な結像収差の図は、弓形に設計された個々のミラー群(
図11を参照されたい)、又は追加の弓形視野成形が例えば相応に設計されたかすめ入射ミラー24によってこれに加えて弓形視野成形が行われる矩形個々のミラー群24a(
図2及び
図7を参照されたい)に適用される。
【0050】
図11を参照して、
図10に記載の割り当て結像収差の補償のための2つの別の可能性を以下に説明する。この補償は、
図11に実線を用いて示す個々のミラー26を有するように示す基本的に弓形に設計された個々のミラー群24aに基づいて行われる。
図11に記載の個々のミラー群24aは、相応に選択された視野ファセットミラー19の個々のミラー26からなる30×6格子として形成される。選択された個々のミラー26の対応する段階的配置の結果として弓形の縁部輪郭38がもたらされる。中間視野高さ、すなわち、x
0/2の領域内では、
図11に記載の個々のミラー群24aは、個々のミラー26からなる矩形の10×6中心アレイ39を有する。個々のミラー群24aは、この中心アレイ39にx方向に左右に接して2つの第1の側部アレイ40を有し、これらに隣接して最初に正及び負のx方向に2つの第2の側部アレイ41が存在し、更に、正及び負のx方向の縁に2つの縁部アレイ42が存在する。第1の側部アレイは、4×6アレイとして具現化される。第2の側部アレイは、3×6アレイとして具現化される。2つの縁部アレイ42は、1×6アレイとして具現化される。
【0051】
2つの第1の側部アレイ40は、中心アレイ39に対して負のy方向に1つの個々のミラー格子だけ、すなわち、y方向に個々のミラー26のうちの1つの広がりだけオフセットされる。2つの第2の側部アレイ41は、次に、2つの第1の側部アレイ40に対して負のy方向に1つの個々のミラー格子だけオフセットされる。2つの縁部アレイ42は、次に、2つの第2の側部アレイ41に対して負のy方向に1つの個々のミラー格子だけオフセットされる。
【0052】
個々のミラー群24aの個々のミラー26は、
図10を参照して上記に例示した傾斜結像収差が補償されるように配置され、すなわち、互いに対して個々に傾斜される。この目的のために、個々のミラー26は、個々のミラー群24aの個々のミラー照明チャネル43のビーム経路のビーム軸が、この個々のミラー群24aに割り当てられた瞳ファセットミラー44のファセット34上の異なるターゲット場所44に向けて案内されるように、傾斜して向きが設定される。この場合に、それぞれのターゲット場所44の位置は、個々のミラー群24a内の個々のミラー26の位置のx座標に依存する。
図11では、個々のミラー列28内で選択された個々のミラー26の個々のミラー照明チャネル43
1から43
5は、実線を用いて例示している。個々のミラー照明チャネル43
iに沿って照明光部分ビーム16
iが進む。照明チャネル43
1は、
図11の左にある縁部アレイ42と一致する個々のミラー列28
1の個々のミラー26に属する。照明チャネル43
2は、
図11の左の第1の側部アレイ40の中央列である個々のミラー列23
2内の個々のミラー26に属する。個々のミラー照明チャネル43
3は、中心アレイ39の2つの中央の個々のミラー列28のうちの一方である個々のミラー列28
3内の個々のミラー26に属する。個々のミラー照明チャネル43
4は、
図11の右の第1の側部アレイ40の
図11では左の個々のミラー列28である個々のミラー列28
4の個々のミラー26に属する。個々のミラー照明チャネル43
5は、個々のミラー群24aの
図11の右の第2の側部アレイ41の中央の個々のミラー列28である個々のミラー列28
5の個々のミラー26に属する。
【0053】
図11に記載の個々のミラー群24aの個々のミラー26のx座標に基づいて、ターゲット場所44は、瞳ファセット34上で異なるy座標に位置する。個々のミラー列28
1の全ての個々のミラー26のターゲット場所44
1は、瞳ファセット34上で第1の最小y座標y
1に一致する。個々のミラー列28
2の全ての個々のミラー26のターゲット場所44
2は、瞳ファセット34上でy
1よりも大きい第2のy座標y
2に一致する。個々のミラー列28
3の個々のミラー26のターゲット場所44
3は、瞳ファセット34上で、瞳ファセット34の中心であり、y座標y
2よりも大きい第3のy座標y
3に一致する。個々のミラー列28
4の個々のミラー26のターゲット場所44
4は、y
3よりも大きいy座標y
4に一致する。個々のミラー列28
5の個々のミラー26のターゲット場所44
5は、瞳ファセット34上でy
4よりも大きいy座標y
5に一致する。ターゲット場所44
1から44
5は、y方向と平行にy
3で瞳ファセット34の中心を通って延びるターゲット場所経路45上に位置する。他の個々のミラー列28
iのターゲット場所は、個々のミラー列28
iのx座標とターゲット場所44
iのy座標との間に線形関係が生じるように、ターゲット場所経路45上のターゲット場所y
1とy
5の間に位置する。
【0054】
個々のミラー照明チャネル43
iに割り当てられた照明光部分ビーム16
iは、瞳ファセットミラー34上で小さい直径のみを有するので、y座標に関して縁にあるターゲット場所44
1及び44
5において瞳ファセット34上に入射する照明光部分ビーム16であっても、この瞳ファセットによって完全に反射される。
【0055】
ターゲット場所経路45は、直線的に延びる。これに代えて、湾曲したか又はあらゆる他の方式でもたらされるターゲット場所経路45の進路も可能である。
【0056】
各々が同じx座標を有し、かつy座標値のみが異なる
図11に記載の個々のミラー群24aの個々のミラー26は、この個々のミラー26の個々のミラー照明チャネル43
iのビーム経路のビーム軸が、各々この個々のミラー群24aに割り当てられた第2のファセットミラーのファセット34上の同じターゲット場所44
iに向けて案内されるような向きに置かれる。従って、この向きにより、個々のミラー群24a内の個々のミラー26のx座標値に基づいて、ターゲット場所44
iに対する個々のミラー26のターゲット場所割り当てがもたらされる。特に、ターゲット場所44
iのy座標と個々のミラー26のx座標との間には線形関係が存在する。
図1に記載の個々のミラー群24aの個々のミラー26が座標値[−x
0/2;+x
0/2]の間に配置される場合に、例えば、ターゲット場所44
iとファセット34の中心又は中点Zとの間の距離は、このx座標値に線形に依存することができる。
【0057】
個々のミラー26が、
図2、
図7、及び
図11に示すようにx/y格子で配置されない場合であっても、ターゲット場所44
iに対する個々のミラーの対応する割り当てが可能である。この場合に、列による関連付けの代わりに、同じx座標値に属する個々のミラー26が同じターゲット場所44
iに割り当てられる。同じx座標値を有する個々のミラー26の関連付けは、それぞれ考慮する個々のミラー26が少なくとも予め定められたx座標値と重なる場合に与えられる。この場合に、「個々のミラー列」は、同じx座標値に属する個々のミラー26を意味すると理解される。
【0058】
図12は、瞳ファセット34上でのターゲット場所44
1から44
5のyオフセットに起因して、様々な個々のミラー列28
iの異なるy方向がy方向に生じるこのターゲット場所割り当ての効果を示している。この場合、この偏向効果は、
図10に記載の傾斜結像収差が厳密に補償されるように選択される。その結果、個々のミラー群の像36は、弓形物体視野5と一致する。ターゲット場所割り当てのこの効果は、せん断としても表わされる。
【0059】
図11には、破線形式で個々のミラー群24aに属する個々のミラー26の配置変形も例示している。この変形を縁部輪郭補償とも表している。この代替配置変形は、個々のミラー26の異なる選択を実施する段階を伴い、これらの個々のミラー26は、破線形式で示す配置変形にある24a’で表す個々のミラー群に割り当てられる。この代替の個々のミラー群24a’をせん断された個々のミラー群とも表している。この補償変形にある個々のミラー群24a’に対する個々のミラー26のこの配置又は割り当ては、代替の個々のミラー群24a’の右下半分に一点鎖線に示す縁部輪郭38’が、物体視野5の弓形縁部輪郭(
図9を参照されたい)からずれて、この縁部輪郭ずれが、
図10に記載の傾斜結像収差のずれを補償するようなものである。
【0060】
この目的のために、
図11の代替の個々のミラー群24a’の左半分の全体は、矩形の14×6アレイとして具現化される。y方向にオフセットされることなく、この14×6アレイに隣接して、正のx方向に5×6アレイの形態にある中心アレイ39の右半分が存在する。
図11の右の第1の側部アレイ40’は、最初に記述された配置変形の右の側部アレイ40に対して更に1つの個々のミラー格子だけ負のy方向にオフセットされ、それによって中心アレイ39と右の第1の側部アレイ40’との間のオフセットは、今度は負のy方向に2つの個々のミラー格子に対応する。第1の側部アレイ40’に接する更に別のアレイ、すなわち、第2の側部アレイ41’及び右縁部アレイ42’も、各々、負のy方向に更に1つの個々のミラー格子だけオフセットされ、それによって第2の側部アレイ41’は、第1の側部アレイ40’に対してy方向に2つの個々のミラー格子だけオフセットされ、右縁部アレイ42’も、第2の側部アレイ41’に対して2つの個々のミラー格子だけオフセットされる。
【0061】
この代替配置又は割り当ての場合に、代替の個々のミラー群24a’の個々のミラー照明チャネル43’のビーム経路のビーム軸は、瞳ファセット34の同じターゲット場所Z、すなわち、その中心に案内される。
図10に記載の傾斜結像収差の補償は、個々のミラー26がせん断された個々のミラー群24a’に割り当てられた場合に、すなわち、傾斜結像収差の事前補償をもたらすせん断配置にのみ起因してもたらされる。せん断された個々のミラー群24a’の場合にも、
図12に示すように物体視野5と一致する個々のミラー群の像36’がもたらされる。
【0062】
一方でターゲット場所割り当てに起因する傾斜効果と、個々のミラー26の別のせん断配置に起因するせん断効果との混合も可能である。
【0063】
図11には、個々のミラー列28
iの互いに対するせん断を個々のミラー群24a’のサイズに対して誇張した個々のミラー26の相対サイズによって誇張形式で例示している。個々のミラー群24a’は、実際には非常に多数の個々のミラー26から構成されるので、小さく緻密な設計を提供することができる。
【0064】
図13は、視野ファセットミラー19上の弓形の個々のミラー群24a’のそのようなせん断配置の抜粋を示している。
図13は、傾斜結像収差の補償に向けてせん断された複数の個々のミラー群24a’の例示的な縁部輪郭38’を示している。個々のミラー群24a’は、非常に多くの個々のミラー26から構成されるので、
図13では個々のミラー格子はもはや見ることができない。この照明は、それぞれの個々のミラー群24a’の縁部輪郭38’を明確に示している。
【0065】
せん断された個々のミラー群24a’の可能な補償配置は、WO 2010/037453 A1の
図15及び
図17の一体的な視野ファセットに対して記載されているものに対応する。当然ながら、個々のミラー群24aは、矩形基本形態から始めて、すなわち、
図7に記載の配置から始めてせん断を有することができ、この場合に、個々のミラー群の縁部輪郭は、WO 2010/037453 A1の
図16及び
図17に対応する方式で配置することができる。
【0066】
個々のミラー照明チャネルに対して互いにy方向にオフセットされた異なるターゲット場所44
iが達成されるような個々のミラー群24aの個々のミラー26の向きは、瞳ファセット34上で、すなわち、第2のファセットミラー20のファセット上でx方向よりもy方向に広範囲にわたる区域が照明されるという効果を有する。六角形の境界を有するように成形された瞳ファセット34(
図14及び
図15を参照されたい)の使用により、瞳ファセットミラー34の反射面49のファセット境界48の2つの互いに反対のコーナ46、47が瞳ファセット34の反射面49の中心Zと同じx座標を有することによって上述の効果を考慮することができる。この場合に、瞳ファセット34は、その反射面49に関して、ターゲット場所経路45に沿ってそれに対して垂直な方向よりも広範囲にわたるように配置される。
【0067】
これに代えて、ターゲット場所経路に沿った広がり及びターゲット場所経路に対して横断方向の広がりが異なり、ターゲット場所経路45に沿ってより大きい広がりを有する瞳ファセット34の他の設計も可能である。このようにして成形された瞳ファセット34の例は、矩形瞳ファセット34、楕円形瞳ファセット34、又は他に双円錐形瞳ファセット34である。
【0068】
瞳ファセットミラー20は、ターゲット場所経路45に沿って広がりが異なる瞳ファセット34を有することができる。それによってターゲット場所44
iの同じ絶対yオフセットが瞳ファセット34の全ての上で発生しなくてもよい状況を考慮することができる。それぞれの瞳ファセット34上でのターゲット場所44
iの互いに対する絶対yオフセットは、各々発生する傾斜結像収差の大きさに依存するので、それぞれの補償要件に十分に適応化された広がりを有するターゲット場所経路45に沿う瞳ファセット34を設計することで十分である。
【0069】
個々のミラー群24a’の縁部輪郭38’のせん断による上述の縁部輪郭補償に代えて又はそれに加えて、物体視野5内へのそれぞれの個々のミラー群24a’の結像の瞳ファセット34に対する個々のミラー群24a’の割り当てに依存して変化する結像スケールを補償するように、第1のファセットミラー19上の個々のミラー26の選択を実施することができる。従って、視野ファセットミラー19上の個々のミラー群24a’の位置と瞳ファセット34に対する割り当てとに基づいて、異なるサイズ、すなわち、x方向及びy方向に異なる絶対広がりを有する個々のミラー26の対応する割り当てにより、割り当て依存の結像スケールに支配される方式で物体視野5上への正しいサイズの結像が達成されるように個々のミラー群を予め定めることができる。
【0070】
投影露光装置1を用いた投影露光中に、最初に上述の設定方法を用いて照明幾何学形状が設定される。次いで、微細又はナノ構造化構成要素、特に半導体構成要素、例えば、マイクロチップのリソグラフィによる生成に向けて、物体視野5内のレチクル7の少なくとも一部が、像視野11内でウェーハ上にある感光層の領域上に結像される。この場合に、レチクル7とウェーハ13は、スキャナ作動において時間的に同期化された方式でy方向に連続的に移動される。