特許第6348478号(P6348478)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6348478EUV投影リソグラフィのための照明光学ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348478
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】EUV投影リソグラフィのための照明光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20180618BHJP
   G02B 19/00 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
   G03F7/20 503
   G02B19/00
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-500838(P2015-500838)
(86)(22)【出願日】2013年3月11日
(65)【公表番号】特表2015-512560(P2015-512560A)
(43)【公表日】2015年4月27日
(86)【国際出願番号】EP2013054856
(87)【国際公開番号】WO2013139635
(87)【国際公開日】20130926
【審査請求日】2016年3月10日
(31)【優先権主張番号】102012204273.3
(32)【優先日】2012年3月19日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】61/612,450
(32)【優先日】2012年3月19日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158469
【弁理士】
【氏名又は名称】大浦 博司
(72)【発明者】
【氏名】パトラ ミヒャエル
【審査官】 田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−219522(JP,A)
【文献】 特表2013−533632(JP,A)
【文献】 特表2009−535827(JP,A)
【文献】 特表2011−512659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC H01L 21/027、
G03F 7/20−7/24、
G03F 9/00−9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィマスク(7)を配置することができる物体視野(5)に向けて照明光(16)を案内するためのEUV投影リソグラフィのための照明光学ユニット(4)であって、
前記照明視野(5)に向けて照明光部分ビーム(16i)を案内するための個々のミラー照明チャネル(43)を提供する複数の個々のミラー(26)を有する第1のファセットミラー(19)を含み、
前記照明光(16)のビーム経路内で前記第1のファセットミラー(19)の下流に配置され、かつ群ミラー照明チャネル(35)を通じた前記物体視野(5)内への該第1のファセットミラー(19)の前記個々のミラー(26)の群(24a)の結像に各々が寄与する複数のファセット(34)を有する第2のファセットミラー(20)を含み、該群ミラー照明チャネル(35)は、該個々のミラー群(24a)の前記個々のミラー照明チャネル(43)を含み、
前記第1のファセットミラー(19)の前記個々のミラー(26)の配置及び前記第2のファセットミラー(20)の前記ファセット(34)の配置は、異なる前記個々のミラー群(24a)の像(36)が、割り当てられた前記群ミラー照明チャネル(35)を通じて前記物体視野(5)内で互いに重ね合わされるようなものであり、
前記個々のミラー群(24a)の前記個々のミラー(26)は、一方で前記第2のファセットミラー(20)の前記ファセット(34)に対する前記第1のファセットミラー(19)の前記個々のミラー群(24a)のそれぞれの割り当てに依存して発生し、かつ他方で前記物体視野(5)内への該個々のミラー群(24a)の結像中に発生する結像収差が少なくとも部分的に補償されるように配置され、
前記第1のファセットミラー(19)上での前記個々のミラー(26)の空間配置が、前記物体視野(5)内への前記個々のミラー群(24a’)の結像の結像スケールを考慮した該第1のファセットミラー(19)上の該個々のミラー群(24a’)のサイズ及び/又は縁部輪郭(38’)が該物体視野(5)のサイズ及び/又は縁部輪郭からずれることによってこのずれが結像収差を補償するように選択される
ことを特徴とする照明光学ユニット。
【請求項2】
前記個々のミラー群(24a)の前記個々のミラー(26)は、それによって予め定められた該個々のミラー群(24a)の前記個々のミラー照明チャネル(43)が、該個々のミラー群(24a)に割り当てられた前記第2のファセットミラー(20)の前記ファセット(34)上の異なるターゲット場所(44i)に向けて案内されるような向きに置かれることを特徴とする請求項1に記載の照明光学ユニット。
【請求項3】
前記個々のミラー(26)は、前記個々のミラー照明チャネル(43)がそれに向けて案内される前記第2のファセットミラー(20)の前記ファセット(34)上の前記異なるターゲット場所(44i)が、該ファセット(34)にわたって延びるターゲット場所経路(45)に沿って配置されるような向きに置かれることを特徴とする請求項2に記載の照明光学ユニット。
【請求項4】
前記個々のミラー(26)は、前記ターゲット場所経路(45)が直線的に延びるように配置されることを特徴とする請求項に記載の照明光学ユニット。
【請求項5】
前記第2のファセットミラー(20)の前記ファセット(34)の反射面(49)が、前記ターゲット場所経路(45)に沿ってそれに対して垂直な方向よりも大きい広がりを有することを特徴とする請求項又は請求項に記載の照明光学ユニット。
【請求項6】
前記第2のファセットミラー(20)は、前記ターゲット場所経路(45)に沿ったその広がりに関して異なる広がりを有するファセット(34)を有することを特徴とする請求項に記載の照明光学ユニット。
【請求項7】
前記物体視野(5)は、2つの物体視野座標(x,y)によって張られ、
前記2つの物体視野座標(x,y)の一方の同じ座標値(x)に属し、すなわち、他方の物体視野座標(y)においてのみ異なる個々のミラー群(24a)の前記個々のミラー(26)は、それによって予め定められた該個々のミラー(26)の前記個々のミラー照明チャネル(43i)が、該個々のミラー群(24a)に割り当てられた前記第2のファセットミラー(20)の前記ファセット(34)上の同じターゲット場所(44i)に向けて案内されるような向きに置かれる、
ことを特徴とする請求項2から請求項のいずれか1項に記載の照明光学ユニット。
【請求項8】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の照明光学ユニット(4)を含み、
物体視野(5)を像視野(11)に結像するための投影光学ユニット(10)を含む、 ことを特徴とする照明系(3)。
【請求項9】
請求項に記載の照明系(3)を含み、
EUV光源(2)を含み、
物体変位ドライブ(9)を用いて変位方向(y)に沿って変位可能であり、物体視野(5)内に物体(7)を装着するための物体ホルダ(8)を含み、
ウェーハ変位ドライブ(15)を用いて前記変位方向(y)に沿って変位可能であり、像視野(11)内にウェーハ(13)を装着するためのウェーハホルダ(14)を含む、 ことを特徴とする投影露光装置(1)。
【請求項10】
請求項から請求項のいずれか1項に記載の照明光学ユニット(4)を含み、
物体視野(5)を像視野(11)に結像するための投影光学ユニット(10)を含む、照明系(3)を含み、
EUV光源(2)を含み、
物体変位ドライブ(9)を用いて変位方向(y)に沿って変位可能であり、物体視野(5)内に物体(7)を装着するための物体ホルダ(8)を含み、
ウェーハ変位ドライブ(15)を用いて前記変位方向(y)に沿って変位可能であり、像視野(11)内にウェーハ(13)を装着するためのウェーハホルダ(14)を含み、 前記ターゲット場所経路(45)が、前記変位方向(y)と平行に延びることを特徴とする投影露光装置(1)。
【請求項11】
投影露光の方法であって、
請求項又は請求項10に記載の投影露光装置(1)を与える段階と、
ウェーハ(13)を与える段階と、
リソグラフィマスク(7)を与える段階と、
前記投影露光装置(1)の投影光学ユニット(10)を用いて前記リソグラフィマスク(7)の少なくとも一部を前記ウェーハ(13)の感光層の領域上に投影する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ドイツ特許出願DE 10 2012 204 273.3の内容が引用によって組み込まれている。
【0002】
本発明は、リソグラフィマスクを配置することができる物体視野に向けて照明光を案内するためのEUV投影リソグラフィのための照明光学ユニットに関する。本発明は、更に、そのような照明光学ユニットを含む照明系、そのような照明系を含む投影露光装置、そのような投影露光装置を用いて微細又はナノ構造化構成要素、特に半導体チップを生成する方法、及び本方法によって生成される微細又はナノ構造化構成要素に関する。
【背景技術】
【0003】
冒頭に示したタイプの照明光学ユニットは、WO 2010/037453 A1、WO 2010/104163 A1、及びWO 2008/149178 A1、並びにUS 2011/0001947 A1から公知である。
【0004】
照明の目的は、照明光学ユニットの異なる照明チャネルを通して案内される照明光を照明視野内で可能な限り損失のない方式で重ねることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE 10 2012 204 273.3
【特許文献2】WO 2010/037453 A1
【特許文献3】WO 2010/104163 A1
【特許文献4】WO 2008/149178 A1
【特許文献5】US 2011/0001947 A1
【特許文献6】US 6,859,515 B2
【特許文献7】EP 1 225 481 A
【特許文献8】WO 2009/100 856 A1
【特許文献9】US 6,438,199 B1
【特許文献10】US 6,658,084 B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、照明の最適化を可能にし、特に、異なる照明チャネルを通して案内される照明光の照明視野内での最適な重ね合わせを可能にする照明光学ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に指定されている特徴を含む照明光学ユニット、及び請求項3に指定されている特徴を含む照明光学ユニットを用いて達成される。
【0008】
本発明により、割り当て結像収差、従って、第1のファセットミラーのそれぞれの個々のミラー群を経由し、更に第2のファセットミラーの第2のファセットを通して案内される照明光のそれぞれの照明チャネルの進路に依存する収差を個々のミラー群の個々のミラーの対応する配置によって少なくとも部分的に補償することができることが認識された。各々の場合の個々のミラー群の複数の個々のミラーへの再分割が、そのような補償配置を可能にする。
【0009】
請求項2に記載の個々のミラーの向きは、そのような補償配置の変形を構成する。第2のファセットミラーの割り当てられたファセット上の異なるターゲット場所に向けた個々のミラーの向きは、個々のミラー群の像の形態に対して、結像収差の補償に使用される効果を有する。この向きは、それぞれの個々のミラー群内での個々のミラーの個別傾斜によってもたらすことができる。それぞれの個々のミラーのターゲット場所と第2のファセットミラーの割り当てられたファセットの中心との間の距離を個々のミラー群内の個々のミラーの位置に一意的に割り当てることができる。それぞれの個々のミラー群内で個々のミラーの位置を指定するために使用することができる空間座標に関して、第2のファセットミラーのファセットの中心に対する距離の依存性は、個々のミラーが個々のミラー群内でこの空間座標に関して縁に向けて配置される程、この個々のミラーに割り当てられたターゲット場所と第2のファセットミラーの割り当てられたファセットの中心との間の距離が大きくなるようなものとすることができる。特に、この空間座標と、ターゲット場所及び第2のファセットミラーのファセットの中心の間の距離との間には、比例関係、特に、線形関係を存在させることができる。
【0010】
請求項3に記載の個々のミラーの向きは、起こり得る割り当て依存結像収差とは独立した視野照明の最適化を可能にすることができる。
【0011】
請求項4に記載のターゲット場所経路上への個々のミラー照明チャネルのターゲット場所の配置は、第2のファセットミラーの割り当てられたファセット上で望ましいターゲット場所が達成されるような個々のミラー群内の個々のミラーの場所とこの個々のミラーの向き又は傾斜との間の関数関係の事前定義を容易にする。
【0012】
請求項5に記載のターゲット場所経路の進路は、向きの割り当てを単純化する。これに代えて、湾曲したターゲット場所経路の進路も可能である。
【0013】
請求項6及び請求項7に記載の第2のファセットミラーのファセットのための反射面の設計は、向きの補償に適応化される。六角形反射面を有する第2のファセットミラーのファセットが使用される場合に、六角形形状の互いに反対の屋根縁部がターゲット場所経路に沿って配置されるように六角形反射面の向きを設定することにより、これらのファセットの反射面のターゲット場所経路に沿ってより大きい広がりを簡単な方式で達成することができる。相応に、例えば、45°だけ傾斜させることによって屋根縁部又はコーナがターゲット場所経路に沿って互いに対向して置かれた第2のファセットミラーの正方形ファセットを配置することができる。請求項7に記載の第2のファセットミラーのファセットは、結像収差の補償におけるそれぞれのターゲット場所変更要件に適応化された方式に具現化することができる。従って、第2のファセットの全てを同じく異なる広がりを有するように、すなわち、同一のアスペクト比を用いて具現化する必要はない。異なる照明チャネルターゲット場所のターゲット外の第2のファセットは、1というアスペクト比を有するように更に設計することができる。第2のファセットミラーのファセット上の照明チャネルのターゲット場所の最大距離に基づいて、このファセットを対応するアスペクト比を有するように設計することができる。第2のファセットミラーのファセットのターゲット場所経路に沿ってより大きい広がりは、更に、可能な最も大きい数の第2のファセットミラーのファセットを面積要素に含むことができるように選択することができる。第2のファセットミラーのファセットが、その縁部輪郭に関して回転対称からずれる場合に、第2のファセットの直径は、多くの場合にターゲット場所経路に沿ってそれに垂直な方向よりも大きいような第2のファセットミラーのファセットの向きの適応化で十分である。
【0014】
請求項8に記載の割り当ての場合に、2つの物体視野座標の一方に関して同じ座標値に属する個々のミラーが同じように結像される個々のミラー群の形態の結像−重ね合わせせん断効果を実現することが可能であり、それとは対照的に、同じ個々のミラー群の他の個々のミラーには、個々のミラー像に対するシフト効果を割り振ることができる。このシフト効果に起因して、この場合に、個々のミラー群の像に対するせん断効果が生じ、これは、照明視野内での異なる個々のミラー群の像の重ね合わせを最適化するために使用することができる。
【0015】
座標値に関して少なくとも1つの重なりが存在する場合に、個々のミラー群の個々のミラーはこの同じ座標値に属する。
【0016】
請求項9に記載の空間配置は、補償配置の変形を構成する。この場合に、個々のミラー群のサイズ又は形態又は縁部輪郭は、これらのサイズ又は形態が、物体視野内へのこの個々のミラー群の結像中にその後の照明チャネル割り当て依存結像収差を厳密に補償するように目標を定めた方式で予め定められる。原理的には、物体視野と比較しての個々のミラー群のサイズ及び/又は縁部輪郭の対応するずれを利用可能にすることは、上記に既に解説した他の特徴といずれかの望ましい組合せでリンクさせることができる。
【0017】
請求項10に記載の照明系、請求項11に記載の投影露光装置、請求項13に記載の生成方法、及び請求項14に記載の微細又はナノ構造化構成要素の利点は、本発明による照明光学ユニットを参照して上述したものに対応する。請求項12に記載のターゲット場所経路の向きは、投影露光装置内での照明光学ユニットの調節を単純化することを可能にすることができる。請求項14に記載の構成要素は、高い構造分解能によって生成することができる。このようにして、例えば、高い集積密度又は記憶密度を有する半導体チップを生成することができる。
【0018】
図面を参照して本発明の例示的実施形態を下記でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】EUV投影リソグラフィのための投影露光装置を通る子午断面の概略図である。
図2図1に記載の投影露光装置内での使用に適する物体視野を照明するための照明光学ユニットの個々のミラーから構成される視野ファセットミラーからの抜粋の概略平面図である。
図3図2に記載のファセットミラーの個々のミラー行からの抜粋の図2の視線方向IIIからの図である。
図4】3つの異なる構成のうちの1つにある図3に示す個々のミラー行の個々のミラーによって形成される異なる形態の行反射面を示す非常に概略的な図である。
図5】3つの異なる構成のうちの1つにある図3に示す個々のミラー行の個々のミラーによって形成される異なる形態の行反射面を示す非常に概略的な図である。
図6】3つの異なる構成のうちの1つにある図3に示す個々のミラー行の個々のミラーによって形成される異なる形態の行反射面を示す非常に概略的な図である。
図7】群ミラー照明チャネルを通しての左の平面図に同じく示す第2のファセットミラーの第2のファセットに対する個々のミラー群のうちの一部の割り当てを更に示す個々のミラー群の配置への個々のミラーの例示的なグループ分けによって個々のミラーから構成される視野ファセットミラーの実施形態からの抜粋の平面図である。
図8】物体視野が矩形態様に具現化された物体視野の例を示す略平面図である。
図9】物体視野が弓形態様に構成された物体視野の更に別の例を示す図8と類似の図である。
図10】物体平面内への視野ファセットミラーの個々のミラー群の結像中に第2のファセットミラーのファセットに対する第1のファセットミラーの個々のミラー群のそれぞれのチャネル割り当てに依存して発生する傾斜結像収差を示す概略図である。
図11】第1のファセットミラーの個々のミラー群とそれに割り当てられた第2のファセットミラーのファセットとを示し、個々のミラー群の個々のミラー照明チャネルのビーム経路のビーム軸が、第2のファセットミラーのこの割り当てファセット上の異なるターゲット場所に向けて案内されるように第1のファセットミラーの個々のミラーの向きが設定され、結像収差補償効果を同じくもたらす個々のミラー群の個々のミラーの代替空間再編成配置を破線形式で例示する図7と類似の図である。
図12図11に従って向きが設定されたか又は再編成された個々のミラーの配置の補償効果を示す図10と類似の図である。
図13】視野ファセットミラーに関して結像収差補償を行う個々のミラー割り当てが図11に記載の代替配置に従って実施される複数の個々のミラー群を示し、群割り当てに関してかなり抽象化された図7と同様の図である。
図14】第1の向き変形にある六角形境界を有する第2のファセットミラーのファセットを示す図である。
図15】第2の向き変形にある六角形境界を同じく有する第2のファセットミラーのファセットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、マイクロリソグラフィのための投影露光装置1を子午断面図に略示している。投影露光装置1は、光源又は放射線源2を含む。投影露光装置1の照明系3は、物体平面6の物体視野5と一致する照明視野を露光するための照明光学ユニット4を有する。照明視野は、物体視野5よりも大きいとすることができる。この場合に、物体視野5に配置され、物体ホルダ又はレチクルホルダ8によって保持されるレチクル7の形態にある物体が露光される。レチクル7をリソグラフィマスクとも表している。物体ホルダ8は、物体変位ドライブ9を用いて変位方向に沿って変位可能である。投影光学ユニット10は、物体視野5を像平面12の像視野11に結像するように機能する。レチクル7上の構造は、像平面12の像視野11の領域に配置されたウェーハ13の感光層上に結像される。ウェーハ13は、ウェーハホルダ14(同じく例示していない)によって保持される。ウェーハホルダ14もまた、ウェーハ変位ドライブ15を用いて物体ホルダ8と同期方式で変位方向に沿って変位可能である。
【0021】
放射線源2は、5nmと30nmの範囲の放出使用放射線を有するEUV放射線源である。EUV放射線源は、プラズマ光源、例えば、GDPP(ガス放電生成プラズマ)光源又はLPP(レーザ生成プラズマ)光源とすることができる。シンクロトロン又は自由電子レーザ(FEL)に基づく放射線源を放射線源2に対して使用することができる。当業者は、そのような放射線源に関する情報を例えばUS 6,859,515 B2から求めることができる。放射線源2から射出するEUV放射線16は、コレクター17によって集中される。対応するコレクターは、EP 1 225 481 Aから公知である。コレクター17の下流において、EUV放射線16は、中間焦点面18を通って伝播し、その後に、視野ファセットミラー19上に入射する。視野ファセットミラー19は、照明光学ユニット4の最初のファセットミラーである。視野ファセットミラー19は、複数の個々のミラー(図1には例示していない)を有する。視野ファセットミラー19は、物体平面6に対して光学的に共役である照明光学ユニット4の平面に配置される。
【0022】
以下では、EUV放射線16を照明光又は結像光とも表している。
【0023】
視野ファセットミラー19の下流において、EUV放射線16は、瞳ファセットミラー20によって反射される。瞳ファセットミラー20は、照明光学ユニット4の第2のファセットミラーである。瞳ファセットミラー20は、中間焦点面18及び投影光学ユニット10の瞳平面に対して光学的に共役であるか又はこの瞳平面と一致する照明光学ユニット4の瞳平面に配置される。瞳ファセットミラー20は、複数の瞳ファセット(図1には例示してない)を有する。瞳ファセットミラー20と、ビーム経路の順序で表記しているミラー22、23、及び24を含む伝達光学ユニット21の形態にある下流結像光学アセンブリとを用いて、下記でより詳細に説明する視野ファセットミラー19の個々のミラー群24a(図7を参照されたい)が物体視野5に結像される。伝達光学ユニット21の最後のミラー24は、かすめ入射のためのミラーである(「かすめ入射ミラー」)。
【0024】
位置関係の説明を容易にするために、図1は、直交xyz座標系を物体平面6と像平面12の間にある投影露光装置1の構成要素の位置関係の説明のための広域座標系として示している。図1では、x軸は、作図面と垂直に作図面に向けて延びている。y軸は、図1の右に向けて物体ホルダ8及びウェーハホルダ14の変位方向と平行に延びている。z軸は、図1の下向きに、すなわち、物体平面6及び像平面12と垂直に延びている。
【0025】
物体視野5又は像視野11にわたるx寸法を視野高さとも表している。
【0026】
図2は、視野ファセットミラー19からの抜粋の構成の詳細を非常に概略的な図に示している。図2に示す視野ファセットミラー19からの抜粋は、個々のミラー群24aのうちの正確に1つのものとすることができる。視野ファセットミラー19の全体の反射面25は、個々のミラー26の格子に行列で再分割される。それぞれの個々のミラー26を通して、照明光16の部分ビームが案内される。特定の個々のミラー26の個別反射面は平坦であり、曲率を持たない。個々のミラー行27は、互いに直接に接して横並びで置かれた複数の個々のミラー26を有する。個々のミラー行27内には、10個から100個の個々のミラー26を設けることができる。図2に記載の例では、個々のミラー26は正方形である。可能な限りいかなる間隙も持たずに反射面20を覆うことを可能にする他の形状の個々のミラーを使用することができる。そのような別の個々のミラー形状は、寄せ木細工の数学理論から公知である。この点に関しては、WO 2009/100 856 A1の引用文献を参照されたい。
【0027】
視野ファセットミラー19の実施形態に基づいて、個々のミラー列28も同じく複数の個々のミラー26を有する。一例として、個々のミラー列28毎に数個、数十個、又は数百個の個々のミラー26が設けられる。
【0028】
位置関係の説明を容易にするために、図2は、直交xyz座標系を視野ファセットミラー19の局所座標系として示している。平面図のファセットミラー又はそこからの抜粋に示すその後の図においても対応する局所xyz座標系を示している。図2では、x軸は、個々のミラー行27と平行に右に向いて水平に延びている。y軸は、図2の個々のミラー列28と平行に上に向いて延びている。z軸は、図2の作図面に対して垂直であり、そこから飛び出すように延びている。
【0029】
図1に記載の広域座標系のy方向、すなわち、レチクル7及びウェーハ13の変位方向と、図2に記載の局所座標系のy方向、すなわち、個々のミラーアレイの列方向とは互いに対して正確に平行に延びる必要はなく、互いに対して例えば小さい角度を取ることができる。
【0030】
個々のミラー群24aの反射面25は、x方向にxという広がりを有する。y方向には、個々のミラー群24aの反射面25はyという広がりを有する。
【0031】
視野ファセットミラー19の実施形態に基づいて、個々のミラー26は、例えば500μm×500μmから例えば2mm×2mmまでの範囲にあるx/y広がりを有する。個々のミラー26は、照明光16に対して集中効果を有するように成形することができる。個々のミラー26のそのような集中効果は、特に、照明光16による視野ファセットミラー19の発散照明を使用する場合であれば有利である。全体の視野ファセットミラー19は、実施形態に依存して例えば300mm×300mm又は600mm×600mmのx/y広がりを有する。個々のミラー群24a(図7を参照されたい)は、80mm×6mm、65mm×5mm、25mm×4mm、又は104mm×8mmの典型的なx/y広がりを有する。それぞれの個々のミラー群24aのサイズとこれらの個々のミラー群24aを構成する個々のミラー26のサイズとの間の比に基づいて、個々のミラー群24aの各々は、対応する個数の個々のミラー26を有する。
【0032】
図2に反射面25の左下コーナに配置された2つの個々のミラー26に基づいて破線に示し、図3に個別ファセット行27からの抜粋に基づいてより詳細に示すように、入射照明光16の個別偏向に向けて、個々のミラー26の各々は、アクチュエータ29にそれぞれ接続される。アクチュエータ29は、個々のミラー26の反射側から離れる方向に面する個々のミラー26の各々の側に配置される。アクチュエータ29は、例えば、圧電アクチュエータとして具現化することができる。そのようなアクチュエータの構成は、マイクロミラーアレイの構造から公知である。
【0033】
個々のミラー行27のアクチュエータ29は、信号線30を通して行信号バス31にそれぞれ接続される。個々のミラー行27は、各々行信号バス31のうちの1つに割り当てられる。個々のミラー行27の行信号バス31自体は、主信号バス32に接続される。主信号バス32は、視野ファセットミラー19の制御デバイス33に信号接続される。制御デバイス33は、特に、個々のミラー26を直列で互いに、すなわち、行毎又は列毎に駆動するように設計される。個々のミラー行27及び個々のミラー列28内にあっても、個々のミラー26の個別駆動が可能である。
【0034】
個々のミラー26の各々は、互いに垂直な2つの傾斜軸の回りに個々に独立して傾斜させることができ、これらの傾斜軸のうちの第1のものは、x軸と平行に延び、これらの2つの傾斜軸のうちの第2のものは、y軸と平行に延びている。2つの傾斜軸は、それぞれの個々のミラー26の個別反射面内に位置する。
【0035】
これに加えて、アクチュエータ29を用いて個々のミラー26のz方向の個別変位も可能である。従って、個々のミラー26は、反射面25に対する法線に沿って互いに分離された駆動可能方式で変位可能である。その結果、反射面25のトポグラフィ全体を変更することができる。これを一例として図4から図6を参照して非常に概略的に例示する。それによってフレネルレンズ方式で1つの平面に全体が配置されたミラーセグメントの形態で大きいサジッタを有する反射面の一様な輪郭、すなわち、反射面の大きいトポグラフィ変化を生成することが可能である。フレネルゾーン方式でのセグメントへのそのような再分割により、大きいサジッタを有するそのようなミラー面トポグラフィの基本曲率が排除される。
【0036】
図4は、個々のミラー行27からの抜粋の個々のミラー26の個別反射面を示しており、この個々のミラー行27の全ての個々のミラー26が、制御デバイス33及びアクチュエータ29を用いて同じ絶対z位置に揃えられる。それによって個々のミラー行27の平坦な行反射面がもたらされる。視野ファセットミラー19の全ての個々のミラー26の向きが図4に記載の通りに設定される場合に、視野ファセットミラー19の全体の反射面25は平坦である。
【0037】
図5は、中心の個々のミラー26が、隣接する個々のミラー26r1、26r2、26r3に対して負のz方向にオフセットされた方式で設定される個々のミラー行27の個々のミラー26の駆動を示している。それによって図5に記載の個々のミラー行27上に入射するEUV放射線16の対応する位相オフセットをもたらす多段配置がもたらされる。この場合に、2つの中心の個々のミラー26から反射されたEUV放射線16は、最も大きい程度まで位相遅延される。縁部の個々のミラー26r3は、最も小さい位相遅延を生成する。介在する個々のミラー26r1、26r2は、相応に、中心の個々のミラー26の得られる位相遅延から進んで徐々に小さくなる位相遅延を段階的に生成する。
【0038】
図6は、一方で個々のミラー26の互いに対するz方向のオフセットと、他方で個々のミラー26の互いに対する向きとが、全体で凸面の個々のミラー行27をもたらすような個々のミラー行27からの例示的抜粋の個々のミラー26の駆動を示している。この駆動は、視野ファセットミラー19の個々のミラー群の結像効果を生成するのに使用することができる。当然ながら、同様の方法で、例えば、個々のミラー26の群の凹面配置も可能である。
【0039】
図5及び図6を参照して上述したものに対応する設計は、x寸法に限定されず、制御デバイス33を用いた駆動に基づいて、視野ファセットミラー19のy寸法にわたって続けることができる。
【0040】
既に上述したように、各々が少なくとも2つの個々のミラー26から構成される個々のミラー群24a内の個々のミラー26の予め定められた傾斜付きのグループ分けは、制御デバイス33を用いたアクチュエータ29の個別駆動によって設定することができる。個々のミラー群24aは、照明光16に対する少なくとも1つの専用群ミラー照明チャネルを通して、個々のミラー群24aを物体視野5に結像するための瞳ファセットミラー20の少なくとも1つの専用瞳ファセットにそれぞれ割り当てられる。この割り当ては、それぞれの個々のミラー26上に入射する照明光16の部分ビームが、当該の個々のミラー26からそれに割り当てられた瞳ファセットミラー20の瞳ファセットに向けて反射され、更にそこから物体視野5に向けて反射されるような個々のミラー群24aに属する個々のミラー26のそれぞれの傾斜位置又は切り換え位置の事前定義によって行われる。この場合に、群ミラー照明チャネルは、全体の照明視野又は物体視野5を照明するための瞳ファセットを通しての結像に起因して互いに補完し合うそれぞれの個々のミラー群24aの全ての個々のミラー照明チャネルの全計である。従って、個々のミラー群24aの各々は、照明視野5の原像と見なすことができる。この場合に、照明視野5の元の像は、結像収差を考慮して照明視野5内に正確に結像される構造的形態である。この構造的形態を実原像とも表している。それとは対照的に、照明視野5の理想原像は、結像収差を考慮することなく照明視野5内に正確に結像される構造的形態を表している。
【0041】
この場合に、照明視野又は物体視野5の合計照明は、これらの原像の重ね合わせを構成する。
【0042】
従って、個々のミラー群24aの各々は、例えば、US 6,438,199 B1又はUS 6,658,084 B2に開示されているもののような視野ファセットミラーのファセットの機能をそれぞれ有する。
【0043】
図7は、そのようなグループ分けを示している。この図は、図2に記載の図と比較してより多くの個々のミラー26を有する視野ファセットミラー19の変形の視野ファセット板の反射面25からの抜粋を示している。図2から図6を参照して上述したものに対応する構成要素は同じ参照番号を伴い、これらに対しては再度特に詳細には解説しない。
【0044】
図7の例の場合に、制御デバイス33の駆動の対応する組合せにより、反射面25内に合計で12個の個々のミラー群24aが形成される。個々のミラー群24aは、各々が同じx/yアスペクト比を有する。個々のミラー群24aの各々は、個々のミラー26の24×3アレイ、すなわち、各々が24個の個々のミラー26を有する3つの個々のミラー行を有する。従って、個々のミラー群24aの各々は、8対1のアスペクト比を有する。このアスペクト比は、照明される物体視野5のアスペクト比に対応する。この場合に、個々のミラー26の傾斜位置に依存する光線幾何学形状の変化に起因する物体視野5内へのそれぞれの個々のミラー群24aの結像の詳細な変化に起因して発生するアスペクト比の差が無視されている。
【0045】
個々のミラー群24aの各々内では、個々のミラー26は、個々のミラー群24aの各々の形態が従来の視野ファセットミラーの個別視野ファセットの形態に対応するように、互いに対して向きが設定される。それぞれの個々のミラー群24aの個々のミラー26の像は、全体の物体視野5に関して物体視野5内で互いに補完し合う。
【0046】
図7は、群ミラー照明チャネル35を通しての瞳ファセットミラー20の3つの瞳ファセット34に対する個々のミラー群24aのうちの3つのもの割り当てを略示している。瞳ファセット34は、照明光学ユニット4の第2のファセットを構成する。
【0047】
図8及び図9は、物体視野5の境界形態における2つの可能な変形を示している。図8に記載の物体視野5は、アスペクト比x/yを有する矩形である。図9に記載の物体視野5は、同じアスペクト比x/yを有する弓形である。
【0048】
図10は、図9に記載の物体視野5の例に基づく物体視野5内への個々のミラー群24aの結像中の結像収差の効果を示している。図10では、物体視野5を弧で略示している。物体視野5に対して傾斜しているように示すのは、傾斜結像収差に関して補償されていない個々のミラー群24aの個々のミラー群像36である。図10の反時計方向の傾斜角の傾斜(方向矢印37を参照されたい)は、図10では有意に誇張して示したものである。この傾斜結像収差は、瞳ファセット34に対する個々のミラー群24aのそれぞれの割り当てに依存する。
【0049】
図10に記載の概略的な結像収差の図は、弓形に設計された個々のミラー群(図11を参照されたい)、又は追加の弓形視野成形が例えば相応に設計されたかすめ入射ミラー24によってこれに加えて弓形視野成形が行われる矩形個々のミラー群24a(図2及び図7を参照されたい)に適用される。
【0050】
図11を参照して、図10に記載の割り当て結像収差の補償のための2つの別の可能性を以下に説明する。この補償は、図11に実線を用いて示す個々のミラー26を有するように示す基本的に弓形に設計された個々のミラー群24aに基づいて行われる。図11に記載の個々のミラー群24aは、相応に選択された視野ファセットミラー19の個々のミラー26からなる30×6格子として形成される。選択された個々のミラー26の対応する段階的配置の結果として弓形の縁部輪郭38がもたらされる。中間視野高さ、すなわち、x/2の領域内では、図11に記載の個々のミラー群24aは、個々のミラー26からなる矩形の10×6中心アレイ39を有する。個々のミラー群24aは、この中心アレイ39にx方向に左右に接して2つの第1の側部アレイ40を有し、これらに隣接して最初に正及び負のx方向に2つの第2の側部アレイ41が存在し、更に、正及び負のx方向の縁に2つの縁部アレイ42が存在する。第1の側部アレイは、4×6アレイとして具現化される。第2の側部アレイは、3×6アレイとして具現化される。2つの縁部アレイ42は、1×6アレイとして具現化される。
【0051】
2つの第1の側部アレイ40は、中心アレイ39に対して負のy方向に1つの個々のミラー格子だけ、すなわち、y方向に個々のミラー26のうちの1つの広がりだけオフセットされる。2つの第2の側部アレイ41は、次に、2つの第1の側部アレイ40に対して負のy方向に1つの個々のミラー格子だけオフセットされる。2つの縁部アレイ42は、次に、2つの第2の側部アレイ41に対して負のy方向に1つの個々のミラー格子だけオフセットされる。
【0052】
個々のミラー群24aの個々のミラー26は、図10を参照して上記に例示した傾斜結像収差が補償されるように配置され、すなわち、互いに対して個々に傾斜される。この目的のために、個々のミラー26は、個々のミラー群24aの個々のミラー照明チャネル43のビーム経路のビーム軸が、この個々のミラー群24aに割り当てられた瞳ファセットミラー44のファセット34上の異なるターゲット場所44に向けて案内されるように、傾斜して向きが設定される。この場合に、それぞれのターゲット場所44の位置は、個々のミラー群24a内の個々のミラー26の位置のx座標に依存する。図11では、個々のミラー列28内で選択された個々のミラー26の個々のミラー照明チャネル43から43は、実線を用いて例示している。個々のミラー照明チャネル43に沿って照明光部分ビーム16が進む。照明チャネル43は、図11の左にある縁部アレイ42と一致する個々のミラー列28の個々のミラー26に属する。照明チャネル43は、図11の左の第1の側部アレイ40の中央列である個々のミラー列23内の個々のミラー26に属する。個々のミラー照明チャネル43は、中心アレイ39の2つの中央の個々のミラー列28のうちの一方である個々のミラー列28内の個々のミラー26に属する。個々のミラー照明チャネル43は、図11の右の第1の側部アレイ40の図11では左の個々のミラー列28である個々のミラー列28の個々のミラー26に属する。個々のミラー照明チャネル43は、個々のミラー群24aの図11の右の第2の側部アレイ41の中央の個々のミラー列28である個々のミラー列28の個々のミラー26に属する。
【0053】
図11に記載の個々のミラー群24aの個々のミラー26のx座標に基づいて、ターゲット場所44は、瞳ファセット34上で異なるy座標に位置する。個々のミラー列28の全ての個々のミラー26のターゲット場所44は、瞳ファセット34上で第1の最小y座標yに一致する。個々のミラー列28の全ての個々のミラー26のターゲット場所44は、瞳ファセット34上でyよりも大きい第2のy座標yに一致する。個々のミラー列28の個々のミラー26のターゲット場所44は、瞳ファセット34上で、瞳ファセット34の中心であり、y座標yよりも大きい第3のy座標yに一致する。個々のミラー列28の個々のミラー26のターゲット場所44は、yよりも大きいy座標yに一致する。個々のミラー列28の個々のミラー26のターゲット場所44は、瞳ファセット34上でyよりも大きいy座標yに一致する。ターゲット場所44から44は、y方向と平行にyで瞳ファセット34の中心を通って延びるターゲット場所経路45上に位置する。他の個々のミラー列28のターゲット場所は、個々のミラー列28のx座標とターゲット場所44のy座標との間に線形関係が生じるように、ターゲット場所経路45上のターゲット場所yとyの間に位置する。
【0054】
個々のミラー照明チャネル43に割り当てられた照明光部分ビーム16は、瞳ファセットミラー34上で小さい直径のみを有するので、y座標に関して縁にあるターゲット場所44及び44において瞳ファセット34上に入射する照明光部分ビーム16であっても、この瞳ファセットによって完全に反射される。
【0055】
ターゲット場所経路45は、直線的に延びる。これに代えて、湾曲したか又はあらゆる他の方式でもたらされるターゲット場所経路45の進路も可能である。
【0056】
各々が同じx座標を有し、かつy座標値のみが異なる図11に記載の個々のミラー群24aの個々のミラー26は、この個々のミラー26の個々のミラー照明チャネル43のビーム経路のビーム軸が、各々この個々のミラー群24aに割り当てられた第2のファセットミラーのファセット34上の同じターゲット場所44に向けて案内されるような向きに置かれる。従って、この向きにより、個々のミラー群24a内の個々のミラー26のx座標値に基づいて、ターゲット場所44に対する個々のミラー26のターゲット場所割り当てがもたらされる。特に、ターゲット場所44のy座標と個々のミラー26のx座標との間には線形関係が存在する。図1に記載の個々のミラー群24aの個々のミラー26が座標値[−x/2;+x/2]の間に配置される場合に、例えば、ターゲット場所44とファセット34の中心又は中点Zとの間の距離は、このx座標値に線形に依存することができる。
【0057】
個々のミラー26が、図2図7、及び図11に示すようにx/y格子で配置されない場合であっても、ターゲット場所44に対する個々のミラーの対応する割り当てが可能である。この場合に、列による関連付けの代わりに、同じx座標値に属する個々のミラー26が同じターゲット場所44に割り当てられる。同じx座標値を有する個々のミラー26の関連付けは、それぞれ考慮する個々のミラー26が少なくとも予め定められたx座標値と重なる場合に与えられる。この場合に、「個々のミラー列」は、同じx座標値に属する個々のミラー26を意味すると理解される。
【0058】
図12は、瞳ファセット34上でのターゲット場所44から44のyオフセットに起因して、様々な個々のミラー列28の異なるy方向がy方向に生じるこのターゲット場所割り当ての効果を示している。この場合、この偏向効果は、図10に記載の傾斜結像収差が厳密に補償されるように選択される。その結果、個々のミラー群の像36は、弓形物体視野5と一致する。ターゲット場所割り当てのこの効果は、せん断としても表わされる。
【0059】
図11には、破線形式で個々のミラー群24aに属する個々のミラー26の配置変形も例示している。この変形を縁部輪郭補償とも表している。この代替配置変形は、個々のミラー26の異なる選択を実施する段階を伴い、これらの個々のミラー26は、破線形式で示す配置変形にある24a’で表す個々のミラー群に割り当てられる。この代替の個々のミラー群24a’をせん断された個々のミラー群とも表している。この補償変形にある個々のミラー群24a’に対する個々のミラー26のこの配置又は割り当ては、代替の個々のミラー群24a’の右下半分に一点鎖線に示す縁部輪郭38’が、物体視野5の弓形縁部輪郭(図9を参照されたい)からずれて、この縁部輪郭ずれが、図10に記載の傾斜結像収差のずれを補償するようなものである。
【0060】
この目的のために、図11の代替の個々のミラー群24a’の左半分の全体は、矩形の14×6アレイとして具現化される。y方向にオフセットされることなく、この14×6アレイに隣接して、正のx方向に5×6アレイの形態にある中心アレイ39の右半分が存在する。図11の右の第1の側部アレイ40’は、最初に記述された配置変形の右の側部アレイ40に対して更に1つの個々のミラー格子だけ負のy方向にオフセットされ、それによって中心アレイ39と右の第1の側部アレイ40’との間のオフセットは、今度は負のy方向に2つの個々のミラー格子に対応する。第1の側部アレイ40’に接する更に別のアレイ、すなわち、第2の側部アレイ41’及び右縁部アレイ42’も、各々、負のy方向に更に1つの個々のミラー格子だけオフセットされ、それによって第2の側部アレイ41’は、第1の側部アレイ40’に対してy方向に2つの個々のミラー格子だけオフセットされ、右縁部アレイ42’も、第2の側部アレイ41’に対して2つの個々のミラー格子だけオフセットされる。
【0061】
この代替配置又は割り当ての場合に、代替の個々のミラー群24a’の個々のミラー照明チャネル43’のビーム経路のビーム軸は、瞳ファセット34の同じターゲット場所Z、すなわち、その中心に案内される。図10に記載の傾斜結像収差の補償は、個々のミラー26がせん断された個々のミラー群24a’に割り当てられた場合に、すなわち、傾斜結像収差の事前補償をもたらすせん断配置にのみ起因してもたらされる。せん断された個々のミラー群24a’の場合にも、図12に示すように物体視野5と一致する個々のミラー群の像36’がもたらされる。
【0062】
一方でターゲット場所割り当てに起因する傾斜効果と、個々のミラー26の別のせん断配置に起因するせん断効果との混合も可能である。
【0063】
図11には、個々のミラー列28の互いに対するせん断を個々のミラー群24a’のサイズに対して誇張した個々のミラー26の相対サイズによって誇張形式で例示している。個々のミラー群24a’は、実際には非常に多数の個々のミラー26から構成されるので、小さく緻密な設計を提供することができる。
【0064】
図13は、視野ファセットミラー19上の弓形の個々のミラー群24a’のそのようなせん断配置の抜粋を示している。図13は、傾斜結像収差の補償に向けてせん断された複数の個々のミラー群24a’の例示的な縁部輪郭38’を示している。個々のミラー群24a’は、非常に多くの個々のミラー26から構成されるので、図13では個々のミラー格子はもはや見ることができない。この照明は、それぞれの個々のミラー群24a’の縁部輪郭38’を明確に示している。
【0065】
せん断された個々のミラー群24a’の可能な補償配置は、WO 2010/037453 A1の図15及び図17の一体的な視野ファセットに対して記載されているものに対応する。当然ながら、個々のミラー群24aは、矩形基本形態から始めて、すなわち、図7に記載の配置から始めてせん断を有することができ、この場合に、個々のミラー群の縁部輪郭は、WO 2010/037453 A1の図16及び図17に対応する方式で配置することができる。
【0066】
個々のミラー照明チャネルに対して互いにy方向にオフセットされた異なるターゲット場所44が達成されるような個々のミラー群24aの個々のミラー26の向きは、瞳ファセット34上で、すなわち、第2のファセットミラー20のファセット上でx方向よりもy方向に広範囲にわたる区域が照明されるという効果を有する。六角形の境界を有するように成形された瞳ファセット34(図14及び図15を参照されたい)の使用により、瞳ファセットミラー34の反射面49のファセット境界48の2つの互いに反対のコーナ46、47が瞳ファセット34の反射面49の中心Zと同じx座標を有することによって上述の効果を考慮することができる。この場合に、瞳ファセット34は、その反射面49に関して、ターゲット場所経路45に沿ってそれに対して垂直な方向よりも広範囲にわたるように配置される。
【0067】
これに代えて、ターゲット場所経路に沿った広がり及びターゲット場所経路に対して横断方向の広がりが異なり、ターゲット場所経路45に沿ってより大きい広がりを有する瞳ファセット34の他の設計も可能である。このようにして成形された瞳ファセット34の例は、矩形瞳ファセット34、楕円形瞳ファセット34、又は他に双円錐形瞳ファセット34である。
【0068】
瞳ファセットミラー20は、ターゲット場所経路45に沿って広がりが異なる瞳ファセット34を有することができる。それによってターゲット場所44の同じ絶対yオフセットが瞳ファセット34の全ての上で発生しなくてもよい状況を考慮することができる。それぞれの瞳ファセット34上でのターゲット場所44の互いに対する絶対yオフセットは、各々発生する傾斜結像収差の大きさに依存するので、それぞれの補償要件に十分に適応化された広がりを有するターゲット場所経路45に沿う瞳ファセット34を設計することで十分である。
【0069】
個々のミラー群24a’の縁部輪郭38’のせん断による上述の縁部輪郭補償に代えて又はそれに加えて、物体視野5内へのそれぞれの個々のミラー群24a’の結像の瞳ファセット34に対する個々のミラー群24a’の割り当てに依存して変化する結像スケールを補償するように、第1のファセットミラー19上の個々のミラー26の選択を実施することができる。従って、視野ファセットミラー19上の個々のミラー群24a’の位置と瞳ファセット34に対する割り当てとに基づいて、異なるサイズ、すなわち、x方向及びy方向に異なる絶対広がりを有する個々のミラー26の対応する割り当てにより、割り当て依存の結像スケールに支配される方式で物体視野5上への正しいサイズの結像が達成されるように個々のミラー群を予め定めることができる。
【0070】
投影露光装置1を用いた投影露光中に、最初に上述の設定方法を用いて照明幾何学形状が設定される。次いで、微細又はナノ構造化構成要素、特に半導体構成要素、例えば、マイクロチップのリソグラフィによる生成に向けて、物体視野5内のレチクル7の少なくとも一部が、像視野11内でウェーハ上にある感光層の領域上に結像される。この場合に、レチクル7とウェーハ13は、スキャナ作動において時間的に同期化された方式でy方向に連続的に移動される。
【符号の説明】
【0071】
16 照明光
20 瞳ファセットミラー
24a、24a’ 個々のミラー群
34 瞳ファセット
45 ターゲット場所経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15