(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
内部が複数の部屋に分けられ、分けられた各部屋に異なる流体を収容できるように構成された包装袋がある。内部に複数の部屋を有する包装袋は、前面部と背面部とをシールした、包装袋の内部を分けるための分割シール部を備えている。
【0003】
こうした包装袋の中には、包装袋に圧力を加え、前面部側と背面部側とを分割シール部の位置で剥離させることによって各部屋をつなげることができるように構成されたものがある。このような包装袋は、各部屋がつながれることによって、各部屋に収容された流体が混ぜ合される。この包装袋の前面部と背面部とが剥離される剥離強度は、包装袋の周囲を閉じているシール部の位置よりも分割シール部の位置の方が低い。そのため、包装袋に圧力を加えたとき、前面部と背面部とは分割シール部の位置でのみ剥離する。こうした構成の包装袋としては、これまでに種々な形態の包装袋が提案されている。
【0004】
特許文献1に提案されている包装容器は、この包装容器の上下方向の中間に仕切り用封止部を備えている。仕切り用封止部は、包装容器の内部を上側の収納室と下側の収納室に分割している。この仕切り用封止部は、包装容器の内面同士を包装袋の左右方向に延びるように熱融着して構成されており、包装容器の両側縁同士を結んでいる。また、この包装容器は、下端に排出部を備えている。この排出部と下側の収納室とは、排出用封止部によって仕切られている。排出用封止部は、包装容器の内面同士を包装袋の左右方向に延びるように熱融着して構成されており、包装容器の両側縁同士を結んでいる。
【0005】
この包装容器は、包装容器を手で押さえ付けて圧力を加えることによって、仕切り用封止部の位置で融着された包装容器の内面を剥離させ、上側の収容室と下側の収容室とがつなげられる。包装容器の上側の収容室と下側の収容室とに収容された流体は、上側の部屋と下側の部屋とがつなげられることによって混ぜ合わされる。また、この包装容器は、圧力が加えられることによって排出用封止部の位置で融着された内面が剥離され、下側の収容室と排出部とがつなげられる。そして、包装容器は、混合した流体を排出部から外部に排出させている。
【0006】
特許文献2に提案されている包装袋は、矩形状の積層体の端縁同士を包装袋の背面側でヒートシールした背シール部と、積層体の上端と下端とを閉じる端部シール部とを有している。また、この包装袋は、幅方向の中間部分で包装袋の上端と下端とを結ぶようにして前面側と背面側とをヒートシールした分割シール部を備えている。この分割シール部は、包装袋の内部を右側の部屋と左側の部屋とに分割している。
【0007】
この包装袋では、分割シール部の幅が端部シール部の幅よりも狭いため、分割シール部で前面部と背面部とが剥離する剥離強度が、端部シール部で前面部と背面部とが剥離する剥離強度よりも低い。そのため、包装袋が加熱され、内圧が上昇したとき、前面部と背面部とが分割シール部の位置で先に剥離する。分割シール部が剥離した場合、包装袋の右側の部屋と左側の部屋とがつながり、右側の部屋に収容された流体と、左側の部屋に収容された流体とが混ざり合う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に提案されている包装容器は、混ぜ合わされた流体が排出される流量を排出部により抑えることができる。しかし、この包装容器は、排出部を備えているので、包装容器に排出部を取り付ける工程を設けることが必要である。そのため、製造工程が複雑になる。また、この包装容器は、排出部を設けているので、包装容器のコストが高くなる。
【0010】
特許文献2に提案されている包装容器の分割シール部は、包装袋の上端部と下端とを結んでいて、その長手方向の全体の剥離強度が端部シール部よりも低い。そのため、前面部と背面部とは、分割シール部の位置で上端部と下端部との間の全体が剥離する。その結果、包装袋の内部が1つの部屋になる。この包装袋から混ざり合った流体を排出する場合、包装袋から排出される流体の流量は、包装袋を開封するときの切り裂く長さで調整しなければならない。しかし、開封するときに切り裂く長さを調整する作業は、煩わしい。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、排出される流体の流量を一定の範囲内に抑えることができる、構造が簡潔で、コストが低い包装袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための本発明に係る包装袋は、前面部と、該前面部に対向する背面部と、前記前面部と前記背面部とで形成された空間を、前記前面部及び前記背面部をヒートシールして、容積が相対的に大きな大部屋と容積が相対的に小さな小部屋とに分けるための分割シール部と、を備え、
前記前面部及び前記背面部は、上端部と、該上端部に対向する下端部と、前記上端部の側部と前記下端部の側部とを結ぶ一対の側縁部とからなる矩形であり、前記小部屋は、前記分割シール部と、前記前面部及び前記背面部の周縁の一部とで囲むことで形成され、前記分割シール部は、前記前面部と前記背面部とが剥離される剥離強度が相対的に高い強シール部と、剥離強度が相対的に低い易剥離シール部とで構成され、
前記強シール部は、その基端が前記上端部に位置され、その先端が前記上端部と前記下端部との間の中間部に位置されることによって、前記側縁部と平行をなし、前記強シール部の先端の近傍と一方の前記側縁部とが、前記易剥離シール部によって結ばれ、前記強シール部と前記一方の側縁部との間隔が、前記強シール部と前記一方の側縁部に対向する他方の側縁部との間隔よりも狭く、前記周縁の一部は、前面部及び前記背面部が切り裂かれて開封される被開封領域を
含み、前記被開封領域は、前記上端部に設けられている、ことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、包装袋が上記の小部屋を有すると共に、被開封領域が小部屋に設けられているので、大部屋内の流体と小部屋内の流体とが混ぜ合わされた流体を排出する場合、包装袋内の流体は、小部屋を通されてから包装袋の外部に排出される。そのため、小部屋は、開封された領域に包装袋内の流体を導くための案内通路として機能し、包装袋から排出される流体の流量を、容積の小さい小部屋よって抑えることができる。
【0015】
さらに、この発明によれば、包装袋内の流体を、強シール部と一方の側縁との間に導いて包装袋から排出させるので、開封された領域から排出される流体の流量を、強シール部と一方の側縁との間を通ることができる流量に抑えることができる。
【0016】
本発明に係る包装袋において、前記前面部及び/又は前記背面部は、開封のための切り裂きが開始される起点と前記強シール部とを結ぶ開封用の溝を有し、前記開封用の溝は、前記前面部及び/又は前記背面部の一面側から前記前面部及び/又は前記背面部の厚さ方向の中間部までの部分に切り込み又は窪みを形成するとよい。
【0017】
この発明によれば、前面部及び/又は背面部が上記の開封用の溝を有しているので、開封用の溝に沿わせて前面部及び/又は背面部を切り裂いて包装袋を開封することができる。
【0018】
本発明に係る包装袋において、前記強シール部は、開封のための切り裂きを該強シール部で止める切り裂き伝播防止部を備えているとよい。
【0019】
この発明によれば、上記の切り裂き伝播防止部を備えているので、例えば、包装袋を、その一方の側縁部から切り裂いて開封した場合、切り裂きを、切り裂き伝播防止部で止め、切り裂き伝播防止部よりも他方の側縁部の領域が切り裂かれることを防止することができる。
【0020】
本発明に係る包装袋において、前記易剥離シール部が、当該包装袋の上下方向に蛇行するように構成することができる。
【0021】
この発明によれば、易剥離シール部が、包装袋の上下方向に蛇行するように構成されているので、易剥離シール部の山の部分又は谷の部分に応力が集中させ、山の部分又は谷の部分で前面部と背面部とを容易に剥離させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る包装袋よれば、排出される流体の流量を一定の範囲内に抑えるための構造を簡潔にすることができ、かつ、コストを低く抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本発明の技術的範囲は、以下の記載や図面にのみ限定されるものではない。
【0025】
[基本構成]
本発明に係る包装袋1は、
図1に示すように、前面部2と背面部3とを備えている。また、包装袋1は、前面部2と背面部3とで形成された空間を、前面部2と背面部3とをヒートシールして、容積が相対的に大きな大部屋22と容積が相対的に小さな小部屋21とに分けるための分割シール部11,12を備えている。小部屋21は、分割シール部11,12と、前面部2及び背面部3の周縁の一部とで囲むことで形成されている。分割シール部11,12は、前面部2と背面部3とが剥離される剥離強度が相対的に高い強シール部11と、剥離強度が相対的に低い易剥離シール部12とで構成されている。そして、周縁の一部は、前面部2及び背面部3が切り裂かれて開封される被開封領域25を含んでいる。
【0026】
この構成を備えた包装袋1は、排出される流体の流量を一定の範囲内に抑えるための構造を簡潔にすることができ、かつ、コストを低く抑えることができるという特有の効果を奏する。
【0027】
以下、包装袋1の各構成について適宜に図面を参照して説明する。
【0028】
[前面部及び背面部]
前面部2及び背面部3は、矩形状のフィルム材である。フィルム材としては、従来から使用されているフィルム、例えば、二軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸ポリアミド、二軸延伸ポリエステル等からなるフィルムが基材フィルムとして用いられる。フィルム材は、これらの基材フィルムに、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をシーラント層として積層した積層体が用いられる。
【0029】
[包装袋の周縁のヒートシール部]
包装袋1は周縁の4辺すべてにヒートシール部14,15,16,17を備えており、包装袋1の周縁はこれらのヒートシール部14,15,16,17によって閉じられている。各ヒートシール部14,15,16,17は、前面部2のフィルム材を構成するシーラント層と背面部3のフィルム材を構成するシーラント層が対向され、前面部2の周縁と背面部3の周縁とがヒートシールされことにより形成されている。包装袋1の上端部4で前面部2と背面部3とをシールしているシール部が上端シール部14であり、包装袋1の下端部5で前面部2と背面部3とをシールしているシール部が下端シール部15である。また、包装袋1の両側縁部6,7で前面部2と背面部3とをシールしているシール部が側縁シール部16,17である。
【0030】
両側縁シール部16,17は、包装袋1の両側部から内側に向けて切り込まれたノッチ30を有している。このノッチ30は、包装袋1の上端部4よりも包装袋1のやや下側の位置にそれぞれ設けられている。ノッチ30は、包装袋1を切り裂いて開封するときに、切り裂きが開始される部分である。なお、切り裂きが開始される部分は、包装袋に通常形成されるノッチには限定されず、細かい傷痕を側縁部6,7に複数形成してなる傷痕群等でもよい、
【0031】
[分割シール部]
分割シール部11,12は、包装袋1の内部を大部屋22と小部屋21とに分けるためのシール部である。この分割シール部11,12は、側縁部6,7に設けられた側縁シール部16,17に対して平行をなす強シール部11と、上端部4に設けられた上端シール部14に対して平行をなす易剥離シール部12とから構成されている。これらの強シール部11と易剥離シール部12とは、前面部2と背面部3とをヒートシールして形成されている。
【0032】
強シール部11は、前面部2と背面部3とが剥離される剥離強度が、易剥離シール部12よりも高いシール部である。また、この強シール部11の剥離強度は、上端シール部14、下端シール部15及び側縁シール部16,17の剥離強度と同等である。
【0033】
この強シール部11は、その基端11aが包装袋1の上端部4に位置し、基端11aで上端シール部14につながれている。一方、強シール部11の先端11bは、上端部4と下端部5との間の中間部に位置している。
図1に示した包装袋1の例では、先端11bは、包装袋1の上下方向の中央よりもやや上側に位置している。また、強シール部11は、一方の側縁部6と強シール部11との間隔が、他方の側縁部7と強シール部11との間隔よりも狭くなるように、包装袋1の幅方向を分ける位置に設けられている。
【0034】
易剥離シール部12は、前面部2と背面部3とが剥離する剥離強度が強シール部11よりも低いシール部である。この易剥離シール部12は、強シール部11の先端11bの近傍と一方の側縁部6に設けられた側縁シール部16とを結んでいる。
図1に示す包装袋1の例では、易剥離シール部12は、包装袋1の上下方向に蛇行する波形シール部である。ただし、易剥離シール部12は、直線状に延びるように形成することもできる。
【0035】
包装袋1の内部は、これらの強シール部11と易剥離シール部12とによって大部屋22と小部屋21とに分けられている。小部屋21は、
図1に示された包装袋1の右上を占める領域であり、上端部4と、一方の側縁部6と、強シール部11と、易剥離シール部12とによって囲まれることにより形成されている。大部屋22は、包装袋1の内部のうち、小部屋21を除いた領域である。大部屋22は、上端部4、他方の側縁部7、下端部5、一方の側縁部6、易剥離シール部12及び強シール部11によって囲まれることにより形成されている。これらの大部屋22と小部屋21とには、異なる種類の流体が、それぞれ収容される。
【0036】
[開封用の溝]
開封用の溝31,32は、
図2に示すように、前面部2の一方の側縁部6と強シール部11とを結ぶ第1の開封用の溝31と、前面部2の他方の側縁部7と強シール部11とを結ぶ第2の開封用の溝32とにより構成されている。これらの第1の開封用の溝31及び第2の開封用の溝32は、上端部4の近傍にそれぞれ設けられている。第1の開封用の溝31及び第2の開封用の溝32は、前面部2の表面からこの前面部2の厚さ方向の中間までの部分に切り込み又は窪みを形成することによって形成されている。
【0037】
第1の開封用の溝31は、
図3に示すように、背面部3にも形成されている。なお、
図3は、第1の開封用の溝31のみを示しているが、第2の開封用の溝32も同様に構成されている。また、
図3は、説明の便宜のために、前面部2及び背面部3を構成する各層を省略して記載している。背面部3に形成された開封用の溝31の構成は、前面部2に形成された開封用の溝31の構成と同じである。ただし、開封用の溝31は、前面部2及び背面部3の両方に設けることには限定されず、前面部2又は背面部3のいずれか一方にのみ設けてもよい。
【0038】
この開封用の溝31,32は、
図3に示す例では、前面部2及び背面部3の外面側にそれぞれ設けられている。ただし、前面部2及び背面部3の外面側に設けることには限定されず、前面部2及び背面部3の内面側に設けることもできる。開封用の溝31,32を設ける態様は、次の4通りがある。第1の態様は、前面部2及び背面部3の外面側に開封用の溝31,32を設ける態様である。第2の態様は、前面部2及び背面部3の内面側に開封用の溝31,32を設ける態様である。第3の態様は、前面部2には開封用の溝31,32を内面側に設け、背面部3には開封用の溝31,32を外面側に設ける態様である。そして、第4の態様は、前面部2には開封用の溝31,32を表面側に設け、背面部3には開封用の溝31,32を裏面側に設ける態様である。
【0039】
この開封用の溝31,32を包装袋1に設けた場合、側縁部に設けられたノッチ30から前面部2及び背面部3を切り裂いて開封するときに、前面部2及び背面部3は、開封用の溝31,32に沿って切り裂かれる。そのため、包装袋1を開封したとき、開封用の溝31,32よりも上端部4側の限られた部分だけが包装袋1から切り離される。
【0040】
以上、小部屋21を包装袋1の上端部4側に設け、開封用の溝31,32を上端部4の近傍に設けた場合について説明した。ただし、小部屋21を包装袋1の下端部5側に設けた場合、開封用の溝31,32は、下端部5の近傍に設けられる。その場合、開封用の溝31,32は、上端部4側に設けた開封用の溝31,32と同様に形成する。
【0041】
[切り裂き伝播防止部]
この切り裂き伝播防止部40は、一方の側縁部6のノッチ30から前面部2及び背面部3を切り裂いて包装袋1の小部屋21を開封したとき、開封用の溝31に沿って進行した切り裂きが切り裂き伝播防止部40よりも他方の側縁部7側に切り裂きが伝播することを防止する。その結果、一方の側縁部6のノッチ30から開封した場合、切り裂き伝播防止部40は、小部屋21のみを開封させる。逆に、他方の側縁部7のノッチ30から前面部2及び背面部3を切り裂いて包装袋1の大部屋22を開封したとき、開封用の溝32に沿って進行した切り裂きが、切り裂き伝播防止部40よりも一方の側縁部6側に切り裂きが伝播することを防止する。その結果、他方の側縁部7のノッチ30から開封した場合、切り裂き伝播防止部40は、大部屋22のみを開封させる。
【0042】
切り裂き伝播防止部40は、各側縁部6,7に設けられたノッチ30から開始された、前面部2及び背面部3を切り裂く切り裂きを強シール部11の位置で止めるための構成である。切り裂き先伝播防止部40は、
図2に示すように、強シール部11の幅方向の中央、かつ、強シール部11の上端部4側の一定の長さの領域に、強シール部11に沿って設けられている。この切り裂き伝播防止部40は、例えば、強シール部11の幅方向の中央、かつ、強シール部11の上端部4側の一定の長さの領域に、前面部2及び背面部3に、上端から切り込みを入れて形成されている。
【0043】
切り裂き伝播防止部40は、その他に、例えば、開封用の溝31,32と同様に、強シール部11の上端部4側の一定の長さの領域に、溝を形成して設けることもできる。
【0044】
[包装袋の作用]
以上の構成を備えた包装袋1の作用について説明する。
図4は、小部屋21に収容された流体を大部屋22に収容された流体に混ぜ合わせるための作用を示している。小部屋21に収容された流体を大部屋22に収容された流体に混ぜ合わせる場合、小部屋21を手で前面側と背面側とから圧縮し、小部屋21内を加圧する。次いで、
図4(A)に示すように、加圧した状態を維持し、手を包装袋1の上端部4側から易剥離シール部12側に移動させる。
【0045】
易剥離シール部12の剥離強度は、強シール部11の剥離強度、上端シール部14の剥離強度及び側縁シール部16,17の剥離強度よりも低い。そのため、この動作が行われた場合、
図4(B)に示すように、前面部2と背面部3とは易剥離シール部12の位置でのみ剥離する。大部屋22と小部屋21とは、前面部2と背面部3とが易剥離シール部12の位置で剥離することによって、易剥離シール部12の位置でつながる。
【0046】
また、
図4(A)に示すように、小部屋21は、前面部2側と背面部3側とから手で加圧され、加圧された状態で手が上端部4側から易剥離シール部12側に移動されることにより扱かれる。そのため、小部屋21に収容された流体は、
図4(B)に示すように、小部屋21から大部屋22に押し出され、小部屋21に収容されていた流体が大部屋22に収容されている流体に混ぜ合わされる。
【0047】
小部屋21に収容された流体と大部屋22に収容された流体とが混ぜ合わされた流体を一定の流量の範囲内で排出させる場合、
図5に示すように、包装袋1の小部屋21が設けられた上端部4から排出される。この場合、包装袋1は、一方の側縁部6と強シール部11との間に位置する被開封領域25が一方の側縁部6に設けられたノッチ30から第1の開封用の溝31に沿って切り裂かれることによって開封される。
【0048】
包装袋1の小部屋21側の上端部4から混合された流体を排出する場合、小部屋21として構成されていた領域は、包装袋1に収容されている混合された流体を開封された包装袋1の上端部4に導くための案内通路として機能する。すなわち、大部屋22内の流体は、一方の側縁部6と強シール部11との間を通って開封された上端部4から包装袋1の外部に排出される。そのため、開封された上端部4から排出される混合された流体は、強シール部11と一方の側縁との間を通ることができる流量に抑えられる。
【0049】
一方、混合された流体を短時間で排出させる場合、
図6に示すように、包装袋1の大部屋22が設けられた上端部4から排出される。この場合、包装袋1は、他方の側縁部7と強シール部11との間が他方の側縁部7に設けられたノッチ30から第2の開封用の溝32に沿って切り裂かれることによって開封される。
【0050】
包装袋1の大部屋22が設けられた上端部4から混合された流体を排出する場合、他方の側縁部7と強シール部11との間は、一方の側縁部6と強シール部11との間よりも広いので、混合された流体を大量に包装袋1から排出させることができる。そのため、短時間で包装袋1内の混合された流体を排出させることができる。
【0051】
[包装袋の変形例]
以上、包装袋の外形が矩形である場合を例に説明した。しかしながら、包装袋の外形は矩形であることには限定されない。また、周縁が全周にわたってヒートシールされた包装袋を例に説明した。しかしながら、周縁の全周がヒートシールされている場合に限定されない。
【0052】
(変形例1)
図7は、外形が矩形以外の形状の包装袋50の一例を示している。なお、この包装袋50は、外形が
図1に示した包装袋1と異なるだけである。この包装袋50の分割シール部11,12を構成する強シール部11及び易剥離シール部12の構成、開封用の溝31,32の構成、及び切り裂き伝播防止部40の構成は、
図1に示した包装袋1の構成と同様である。そのため、この包装袋50の分割シール部11,12を構成する強シール部11及び易剥離シール部12、開封用の溝31,32、及び切り裂き伝播防止部40については、
図1と同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0053】
図7に示す包装袋50を構成する前面部52及び背面部53とは、上端部54、この上端部54に対向する下端部55と、上端部54の側部と下端部55の側部とを結ぶ一対の側縁部56,57とを有している。
【0054】
包装袋50は、前面部52の周縁と背面部53の周縁とが全周にわたってヒートシールされることによって形成されている。包装袋50は、上端部54に上端シール部64を備え、下端部55に下端シール部65を備えている。また、包装袋50は、両側縁部56,57に側縁シール部66,67をそれぞれ備えている。
【0055】
上端部54は、幅方向の両側よりも中央が下側にへこんだ凹部をなしている。具体的には、上端部54は、包装袋50の幅方向の中心よりも、
図7における右側の側縁部56の方にずれた位置に凹部の底部61を有している。上端部54は、この凹部の底部61と各側縁部56,57とを結ぶ2つの斜辺54a,54bにより形成されている。一方、下端部55は直線状に延びる辺で構成されている。この下端部55の長手方向の両端は、上端部54の両端よりも包装袋50の幅方向の内側に位置している。
【0056】
側縁部56,57は、その長手方向の中間部分に湾曲部62を備えている。前面部52及び背面部53の幅方向の寸法は、この湾曲部62の上側の領域の寸法H1よりも下側の領域の寸法H2が小さい。具体的には、湾曲部62よりも上端部54側の幅方向の寸法H1は、上端部54の両端の間隔h1と同じである。一方、湾曲部62よりも下端部55側の領域の寸法H2では、下端部55の長手方向の寸法h2と同じである。
【0057】
強シール部11は、その基端11aが上端部54の凹部の底部61に位置している。強シール部11は、凹部の底部61から下端部55に向けて延び、その先端11bが上端部54と下端部55との間の中間部分で、湾曲部62の位置よりもやや上端部54側に位置している。
【0058】
易剥離シール部12は、強シール部11の先端11bの近傍と、一方の側縁部56,57における湾曲部62よりも上端部54側の部分とを結んでいる。易剥離シール部12は、包装袋50の上下の方向に蛇行する波形シール部である。
【0059】
小部屋21は、強シール部11、易剥離シール部12、一方の側縁部56、及び上端部54の斜辺54aで囲むことにより形成されている。被開封領域25は、斜辺54aを含む領域である。一方、大部屋22は、上端部54の斜辺54b、他方の側縁部57、下端部55、一方の側縁部56、易剥離シール部12及び強シール部11によって囲まれることにより形成されている。
【0060】
(変形例2)
図8は、一枚のフィルム材を二つ折りにして形成した包装袋70である。この包装袋70は、前面部72と背面部73の周縁をなす3辺にヒートシール部84,86,87を有し、周縁をなす残りの1辺がフィルム材の折り線85で構成されている。
【0061】
なお、この包装袋70は、一枚のフィルム材が二つ折りにされて構成されている点が
図1に示した包装袋1と異なるだけである。この包装袋70の分割シール部11,12を構成する強シール部11及び易剥離シール部12の構成、開封用の溝31,32の構成、及び切り裂き伝播防止部40の構成は、
図1に示した包装袋1の構成と同様である。そのため、この包装袋70の強シール部11及び易剥離シール部12、開封用の溝31,32、及び切り裂き伝播防止部40については、
図1と同じ符号を付して説明を省略する。
【0062】
包装袋70は、一枚のフィルム材が二つ折りにされることによって前面部72と背面部73とが形成されている。二つ折りにされた折り線85は、包装袋70の下端部75として構成されている。上端部74は、折り線からなる下端部75と対向している。包装袋70は、その上端部74に、前面部72と背面部73とがヒートシールされてなる上端シール部84を有している。側縁部76,77は、上端部74の側部と下端部75の側部とを結んでいる。包装袋70は、この側縁部76,77に、前面部72と背面部73とがヒートシールされてなる側縁シール部86,87をそれぞれ備えている。
【0063】
強シール部11は、その基端11aが上端部74に位置し、上端シール部84につながれている。強シール部11は、上端部74から下端部75側に向けて延び、その先端11bが上端部74と下端部75との間の中間部分に位置している。また、強シール部11は、一方の側縁部76と強シール部11との間隔が、他方の側縁部77と強シール部11との間隔よりも狭くなるように、包装袋70の幅方向を分ける位置に設けられている。
【0064】
易剥離シール部12は、強シール部11の先端11bの近傍と、一方の側縁部76に設けられた側縁シール部86とを結んでいる。また、易剥離シール部12は、包装袋70の上下の方向に蛇行する波形シール部である。
【0065】
小部屋21は、強シール部11、易剥離シール部12、一方の側縁部76、及び上端部74で囲むことにより形成されている。小部屋21の周囲の一部を構成している上端部74は、被開封領域25として構成されている。一方、大部屋22は、上端部74、他方の側縁部77、下端部75、一方の側縁部76、易剥離シール部12及び強シール部11によって囲まれることにより形成されている。