(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記紫外線照射装置が、複数個の紫外線発光ダイオードが発光部に備えられ、前記発光部が、ワーキングスペース内の任意の位置へ移動可能なように構成されるとともに、照射光の指向角度を自在に変更できるように構成され、前記紫外線発光ダイオードから照射される紫外線の照射光強度、処理対象物の表面における明るさ、及び処理対象物の表面温度を測定するセンサーが、前記発光部の近傍に配置され、このセンサーの計測値から、処理対象物に対する紫外線の照射強度、明るさ及び温度を一定の範囲内とするために必要な紫外線発光ダイオードの出力条件が算出され、電力供給部へ出力されるように構成されているか、
又は多数の紫外線発光ダイオードが平面方向へ整列配置されてなる発光部を一つ又は複数有し、処理対象物に対して、面露光を行うことができるように構成され、前記紫外線発光ダイオードから照射される紫外線の強度、処理対象物の表面における明るさ、及び処理対象物の表面温度を測定するセンサーが、前記発光部の近傍に配置され、このセンサーの計測値から、処理対象物に対する紫外線の照射強度、明るさ及び温度を一定の範囲内とするために必要な紫外線発光ダイオードに出力条件が算出され、電力供給部へ出力されるように構成されている請求項1に記載の液晶表示素子の製造方法。
前記液晶が、相転移温度が40〜120℃であり、屈折率異方性(△n)が0.150〜0.350であり、誘電率異方性(△ε)が−1〜−10である請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶表示素子の製造方法。
前記液晶配向処理剤が、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリイミド前駆体、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、セルロース及びポリシロキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体を含む請求項1〜8のいずれか一項に記載の液晶表示素子の製造方法。
前記液晶配向処理剤が、前記式[2−1]又は式[2−2]で示される側鎖構造を有するジアミンを含有するジアミン成分と、テトラカルボン酸成分との反応で得られるポリイミド前駆体又は該ポリイミド前駆体をイミド化したポリイミドを含む請求項1〜8のいずれか一項に記載の液晶表示素子の製造方法。
前記液晶配向処理剤が、光ラジカル発生剤、光酸発生剤及び光塩基発生剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の発生剤を含有する請求項1〜15のいずれか一項に記載の液晶表示素子の製造方法。
前記液晶配向処理剤が、エポキシ基、イソシアネート基、オキセタン基、シクロカーボネート基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基及び炭素数1〜3のアルコキシアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有する化合物を含有する請求項1〜17のいずれか一項に記載の液晶表示素子の製造方法。
前記液晶配向処理剤が、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン及びγ−ブチロラクトンからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒を含有する請求項1〜19のいずれか一項に記載の液晶表示素子の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<液晶表示素子>
本発明の液晶表示素子は、電極を備えた一対の基板の間に、液晶及び重合性化合物を含む液晶組成物を配置し、紫外線照射装置により紫外線を照射して硬化させた液晶層を有し、かつ基板の少なくとも一方が液晶を垂直に配向させるような液晶配向膜を備える液晶表示素子であり、電圧無印加時に透過状態となり、電圧印加時には散乱状態になるリバース型素子として、好適に用いることができる。
本発明における液晶組成物は、液晶と紫外線により重合する重合性化合物を含有し、この重合性化合物が、ポリマーネットワーク(硬化性樹脂)を形成する役割を担う。また、前記の液晶層は、液晶と重合性化合物の硬化物複合体であり、ここでの硬化物複合体とは、上述した通り、例えば、重合性化合物により形成されたポリマーネットワーク中に液晶が存在しているような状態を意味する。
【0018】
<特定化合物>
本発明における液晶組成物は、液晶、重合性化合物及び式[1]で示される特定化合物を含有する液晶組成物である。
【化5】
式[1]中、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、X
6、X
7、X
8及びpは、上記に定義した通りであるが、なかでも、それぞれ、下記のものが好ましい。
X
1は、液晶表示素子の光学特性の点から、前記式[1−a]、式[1−b]、式[1−c]又は式[1−e]で示される構造が好ましい。より好ましくは、式[1−a]、式[1−b]又は式[1−c]で示される構造である。X
2は、原料の入手性や合成の容易さの点から、単結合、−O−、−CH
2O−、−CONH−、−COO−又は−OCO−が好ましい。より好ましくは、単結合、−O−、−COO−又は−OCO−である。X
3は、単結合又は−(CH
2)
a−(aは1〜10の整数である)が好ましい。より好ましくは、−(CH
2)
a−(aは1〜10の整数である)である。
【0019】
X
4は、原料の入手性や合成の容易さの点から、単結合、−O−又は−COO−が好ましい。より好ましくは、−O−である。X
5は、液晶表示素子の光学特性の点から、ベンゼン環又はシクロヘキサン環、又はステロイド骨格を有する炭素数17〜51の2価の有機基が好ましい。より好ましくは、ベンゼン環又はステロイド骨格を有する炭素数17〜51の2価の有機基である。X
6は、合成の容易さの点から、単結合、−O−、−COO−又は−OCO−が好ましい。より好ましくは、単結合、−COO−又は−OCO−である。X
7は、液晶表示素子の光学特性の点から、ベンゼン環又はシクロヘキサン環が好ましい。X
8は、液晶表示素子の光学特性の点から、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基又は炭素数1〜18のアルコキシ基が好ましい。より好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数2〜12のアルケニル基である。pは、原料の入手性や合成の容易さの点から、0〜2の整数が好ましい。
【0020】
式[1]における好ましいX
1〜X
8及びpの組み合わせは、下記の表1〜表9に示される。
【0030】
なかでも、液晶表示素子の光学特性の点から、(1−1a)〜(1−12a)、(1−13a)、(1−14a)、(1−17a)、(1−18a)、(1−21a)、(1−22a)、(1−25a)〜(1−38a)、(1−41a)、(1−42a)、(1−45a)、(1−46a)、(1−49a)〜(1−96a)又は(1−121a)〜(1−130a)の組み合わせが好ましい。
【0031】
より好ましくは、(1−1a)〜(1−4a)、(1−9a)〜(1−12a)、(1−25a)〜(1−28a)、(1−33a)〜(1−36a)、(1−49a)〜(1−52a)、(1−61a)〜(1−64a)、(1−85a)〜(1−88a)、(1−121a)、(1−122a)、(1−125a)又は(1−126a)の組み合わせである。
特に好ましくは、(1−3a)、(1−4a)、(1−9a)、(1−10a)、(1−27a)、(1−28a)、(1−33a)、(1−34a)、(1−49a)〜(1−52a)、(1−61a)〜(1−64a)、(1−85a)〜(1−88a)、(1−121a)、(1−122a)、(1−125a)又は(1−126a)の組み合わせである。
【0032】
より具体的な好ましい特定化合物としては、下記の式[1a−1]〜式[1a−6]で示される化合物が挙げられる。
【化6】
【0034】
式[1a−1]〜式[1a−6]中、X
a〜X
k、及びp1〜p9は、上記に定義した通りであるが、なかでも、それぞれ、下記のものが好ましい。
X
a、X
b、X
d、X
f、X
h及びX
kは、それぞれ独立して、液晶表示素子の光学特性の点から、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基が好ましい。より好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基である。X
c及びX
iは、それぞれ独立して、原料の入手性や合成の容易さの点から、−O−又は−COO−が好ましい。X
e、X
g及びX
jは、それぞれ独立して、原料の入手性や合成の容易さの点から、−COO−又は−OCO−が好ましい。p1、p3、p5、p7、p8及びp9は、それぞれ独立して、1〜10の整数が好ましい。より好ましくは、液晶表示素子の光学特性の点から、1〜8の整数である。p2、p4及びp6は、それぞれ独立して、1又は2の整数が好ましい。
【0035】
液晶組成物中の特定化合物の使用(含有)割合は、液晶表示素子の光学特性の点から、特定化合物を除く液晶組成物100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましい。より好ましくは、0.5〜15質量部であり、特に好ましくは、1〜10質量部である。
また、これら特定化合物は、液晶表示素子の光学特性や液晶層と液晶配向膜との密着性の特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して使用することもできる。
液晶組成物中の液晶には、ネマチック液晶、スメクチック液晶又はコレステリック液晶を用いることができる。なかでも、負の誘電異方性を有するものが好ましい。また、液晶表示素子の低電圧駆動及び散乱特性の点からは、誘電率の異方性が大きく、屈折率の異方性が大きいものが好ましい。具体的には、誘電率の異方性(△ε:誘電率異方性ともいう。)が−1〜−10が好ましく、より好ましくは、−3〜−6である。また、屈折率の異方性(△n:屈折率異方性ともいう。)が0.150〜0.350が好ましく、より好ましくは、0.150〜0.250である。また、液晶の相転移温度は40〜120℃が好ましく、より好ましくは、80〜100℃である。また、液晶には、前記の相転移温度、誘電率異方性及び屈折率異方性の各物性値に応じて、2種以上の液晶を混合して用いることができる。
【0036】
液晶表示素子をTFT(Thin Film Transistor)等の能動素子として駆動させるためには、液晶の電気抵抗が高くて電圧保持率(VHRともいう)が高いことが求められる。そのため、液晶には、電気抵抗が高くて紫外線等の活性エネルギー線によりVHRが低下しないフッ素系や塩素系の液晶を用いることが好ましい。
更に、液晶表示素子には、液晶組成物中に二色性染料を溶解させてゲストホスト型の素子とすることもできる。この場合には、電圧無印加時は透明で、電圧印加時に吸収(散乱)となる素子が得られる。また、この液晶表示素子では、液晶のダイレクターの方向(配向の方向)は、電圧印加の有無により90度変化する。そのため、この液晶表示素子は、二色性染料の吸光特性の違いを利用することで、ランダム配向と垂直配向でスイッチングを行う従来のゲストホスト型の素子に比べて、高いコントラストが得られる。また、二色性染料を溶解させたゲストホスト型の素子では、液晶が水平方向に配向した場合に有色になり、散乱状態においてのみ不透明となる。そのため、電圧を印加するにつれ、電圧無印加時の無色透明から有色不透明、有色透明の状態に切り替わる素子を得ることもできる。
【0037】
液晶組成物中の重合性化合物としては、紫外線により重合反応して液晶組成物の硬化物複合体(例えばポリマーネットワークのようなもの)、すなわち、液晶層を形成することができるものであれば良い。その際、重合性化合物のモノマーを液晶組成物中に含有せしめても良く、あるいは、予めこのモノマーを重合反応させたポリマーを液晶組成物中に含有せしめても良い。但し、ポリマーとした場合でも、紫外線により重合反応する部位を有する必要がある。より好ましくは、液晶組成物の取り扱い、すなわち液晶組成物の高粘度化の抑制や液晶への溶解性の点から、液晶組成物中にモノマーを含有せしめて、液晶表示素子作製時の紫外線の照射により、重合反応をさせて硬化物を形成する方法が好ましい。
重合性化合物は、液晶に溶解するものが好ましい。但し、重合性化合物を液晶に溶解した際に、液晶組成物の一部又は全体が液晶相を示す温度が存在することが必要となる。液晶組成物の一部が液晶相を示す場合であっても、液晶表示素子を肉眼で確認して、素子内全体がほぼ一様な透明性と散乱特性が得られるので好ましい。
【0038】
重合性化合物は、紫外線により重合反応が起こる化合物であれば良く、その際、どのような反応形式で重合が進み、液晶組成物の硬化物を形成させても良い。具体的な反応形式としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合又は重付加反応が挙げられる。
なかでも、重合性化合物の反応形式は、ラジカル重合であることが好ましい。その際、重合性化合物としては、下記のラジカル型の重合性化合物(モノマー)及びそのオリゴマーを用いることができる。また、前記のように、これらのモノマーを重合反応させたポリマーを用いることもできる。
【0039】
単官能重合性化合物としては、例えば、アクリル酸、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、グリシジルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、モルホリンアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルアクリレート、又はこれらのメタアクリレートが挙げられる。
なかでも、アクリル酸、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、モルホリンアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、又はこれらのメタクリレートが好ましい。より好ましくは、アクリル酸、2−エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、モルホリンアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、又はこれらのメタアクリレートである。
【0040】
二官能重合性化合物としては、例えば、4,4’−ジアクリロイルオキシスチルベン、4,4’−ジアクリロイルオキシジメチルスチルベン、4,4’−ジアクリロイルオキシジエチルスチルベン、4,4’−ジアクリロイルオキシジプロピルスチルベン、4,4’−ジアクリロイルオキシジブチルスチルベン、4,4’−ジアクリロイルオキシジペンチルスチルベン、4,4’−ジアクリロイルオキシジヘキシルスチルベン、4,4’−ジアクリロイルオキシジフルオロスチルベン、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロペンタンジオール−1,5−ジアクリレート、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル−1,3−ジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、4,4’−ビフェニルジアクリレート、ジエチルスチルべストロールジアクリレート、1,4−ビスアクリロイルオキシベンゼン、4,4’−ビスアクリロイルオキシジフェニルエーテル、4,4’−ビスアクリロイルオキシジフェニルメタン、3,9−[1,1−ジメチル−2−アクリロイルオキシエチル]−2,4,8,10−テトラスピロ[5,5]ウンデカン、α,α’−ビス[4−アクリロイルオキシフェニル]−1,4−ジイソプロピルベンゼン、1,4−ビスアクリロイルオキシテトラフルオロベンゼン、4,4’−ビスアクリロイルオキシオクタフルオロビフェニル、ジシクロペンタニルジアクリレート、グリセロールジアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、又はこれらのジメタクリレートが挙げられる。
【0041】
なかでも、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、又はこれらのジメタクリレートが好ましい。
【0042】
多官能重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタメタクリレート又はトリアリールイソシアネートが挙げられる。
なかでも、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート又はトリアリールイソシアネートが好ましい。
【0043】
本発明においては、液晶表示素子の液晶層と液晶配向膜との密着性の点から、重合性化合物に下記の多官能チオール化合物を用いることが好ましい。
例えば、1,11−ウンデカンジチオール、4−エチル−ベンゼン−1,3−ジチオール、1,2−エタンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,18−オクタデカンジチオール、2,5−ジクロロベンゼン−1,3−ジチオール、1,3−(4−クロロフェニル)プロパン−2,2−ジチオール、1,1−シクロヘキサンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、1,4−シクロヘキサンジチオール、1,1−シクロヘプタンジチオール、1,1−シクロペンタンジチオール、4,8−ジチオウンデカン−1,11−ジチオール、ジチオペンタエリトリトール、ジチオトレイトール、1,3−ジフェニルプロパン−2,2−ジチオール、1,3−ジヒドロキシ−2−プロピル−2’,3’−ジメルカプトプロピルエーテル、2,3−ジヒドロキシプロピル−2’,3’−ジメルカプトプロピルエーテル、2,6−ジメチルオクタン−2,6−ジチオール、2,6−ジメチルオクタン−3,7−ジチオール、2,4−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、4,5−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、3,3−ジメチルブタン−2,2−ジチオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、1,3−ジ(4−メトキシフェニル)プロパン−2,2−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、10,11−ジメルカプトウンデカン酸、6,8−ジメルカプトオクタン酸、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,2’−ジメルカプト−ビフェニル、4,4’−ジメルカプトビフェニル、4,4’−ジメルカプトビベンジル、3,4−ジメルカプトブタノール、3,4−ジメルカプト酢酸ブチル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、1,2−ジメルカプト−1,3−ブタンジオール、2,3−ジメルカプトプロピオン酸、1,2−ジメルカプトプロピル−メチルエーテル、2.3−ジメルカプトプロピル−2’,3’−ジメトキシプロピルエーテル、3,4−チオフェンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,12−ドデカンジチオール、3,5,5−トリメチルヘキサン−1,1−ジチオール、2,5−トルエンジチオール、3,4−トルエンジチオール、1,4−ナフタレンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、2,6−ナフタレンジチオール、1,9−ノナンジチオール、ノルボルネン−2,3−ジチオール、ビス(2−メルカプトイソプロピル)エーテル、ビス(11−メルカプトウンデシル)スルフィド、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ビス(18−メルカプトオクタデシル)スルフィド、ビス(8−メルカプトオクチル)スルフィド、ビス(12−メルカプト−デシル)スルフィド、ビス(9−メルカプトノニル)スルフィド、ビス(4−メルカプトブチル)スルフィド、ビス(3−メルカプトプロピル)エーテル、ビス(3−メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(6−メルカプトヘキシル)スルフィド、ビス(7−メルカプトヘプチル)スルフィド、ビス(5−メルカプトペンチル)スルフィド、2,2’−ビス(メルカプトメチル)酢酸、1,1−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、フェニルメタン−1,1−ジチオール、1,2−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、2,2−ブタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、2,2−プロパンジチオール、1,2−ヘキサンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、2,5−ヘキサンジチオール、1,7−ヘプタンジチオール、2,6−ヘプタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、2,4−ペンタンジチオール、3,3−ペンタンジチオール、7,8−ヘプタデカンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、2−メチルシクロヘキサン−1,1−ジチオール、2−メチルブタン−2,3−ジチオール、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2,3−プロパントリチオール、1,2,4−ブタントリチオール、ペンタエリトリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、1,3,5−ベンゼントリチオール、2,4,6−メシチレントリチオール、ネオペンタンテトラチオール、2,4,6−トルエントリチオール、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、ペンタエリストールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリストールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H.3H.5H)−トリオン、ネオペンタンテトラチオール、2,2’−ビス(メルカプトメチル)−1,3−プロパンジチオール、ペンタエリトリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ジチアン−2,5−ジ(メタンチオール)等が挙げられる。
【0044】
なかでも、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、ペンタエリストールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリストールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H.3H.5H)−トリオン、ネオペンタンテトラチオール、2,2’−ビス(メルカプトメチル)−1,3−プロパンジチオール、ペンタエリトリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)又は1,4−ジチアン−2,5−ジ(メタンチオール)が好ましい。
【0045】
より好ましくは、液晶表示素子の液晶層と液晶配向膜との密着性の点から、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン又は1,4−ジチアン−2,5−ジ(メタンチオール)である。
多官能チオール化合物の使用(含有)割合は、液晶組成物中の液晶100質量部に対して、0.1〜100質量部が好ましく、より好ましくは、1〜50質量部であり、特に好ましくは、5〜40質量部である。
【0046】
更に、液晶表示素子の光学特性の点から、重合性化合物は、ジイソシアネート成分と水酸基含有アクリレート化合物(又はメタクリレート)との反応から得られるウレタンアクリレート化合物(又はウレタンメタクリレート)を含むことが好ましい。これらは、モノマーであっても、オリゴマーであっても、更にはポリマー化したものでも良い。特に、ジイソシアネート成分は、脂肪族の構造が好ましい。
【0047】
ジイソシアネート成分として、具体的には、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2’−ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソイアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアネートメチルオクタン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアネート−5−イソシアネートメチルオクタン、ビス(イソシアネートエチル)カルボナート、ビス(イソシアナネートエチル)エーテル、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテル−ω,ω’−ジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、リジントリイソシアネート、2−イソシアネートエチル−,2,6−ジイソシアネートヘキサノアート、2−イソシアネートプロピル−2,6−ジイソシアナネートヘキサノアート、キシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアネートエチル)ベンゼン、ビス(イソシアネートプロピル)ベンゼン、a,a,a’,a’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアネートブチル)ベンゼン、ビス(イソシアネートメチル)ナフタレン、ビス(イソシアネートメチル)ジフェニルエーテル、ビス(イソシアネートエチル)フタラート、メシチリレントリイソシアネート又は2,6−ジ(イソシアネートメチル)フラン、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシル−ジメチルメタンジイソシアネート、2,2’−ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ビス(4−イソシアネート−n−ブチリデン)−ペンタエリトリトール、ダイマー酸ジイソシアネート、2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−5−イソシアネート−メチル−ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−6−イソシアネートメチル−ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−5−イソシアネートメチル−ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−6−イソシアネートメチル−ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−5−(2−イソシアネートメチル)−ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−6−(2−イソシアネートエチル)−ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−5−(2−イソシアネートエチル)−ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−6−(2−イソシアネートエチル)−ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタン等の脂環式化合物が挙げられる。
【0048】
また、水酸基含有アクリレート(又はメタクリレート)としては、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、フェニルグリシジルエーテルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート又はジペンタエリスリトールペンタアクリレート、又はこれらのメタクリレートが挙げられる。
ウレタンアクリレート(又はメタクリレート)としては、液晶表示素子の光学特性の点から、フェニルグリシジルエーテルアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー又はジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネート、又はこれらのメタクリレートが好ましい。
【0049】
ウレタンアクリレート(又はメタクリレート)の使用(含有)割合は、液晶組成物中の液晶100質量部に対して、1〜200質量部であることが好ましく、より好ましくは、5〜150質量部であり、特に好ましくは、5〜100質量部である。
本発明における重合性化合物には、前記の多官能チオール化合物及びウレタンアクリレート(又はウレタンメタクリレート)の両方を用いることが好ましい。
更に、重合性化合物には、前記の多官能チオール化合物及びウレタンアクリレート(又はウレタンメタクリレート)と共に、上述した単官能重合性化合物、二官能重合性化合物、多官能重合性化合物等を併用することが好ましい。
【0050】
より好ましくは、多官能チオール化合物、ウレタンアクリレート(又はウレタンメタクリレート)、単官能アクリレート、多官能アクリレート、多官能アクリレート、単官能メタクリレート及び/又は多官能アクリレートを用いることである。より好ましくは、多官能チオール化合物、ウレタンアクリレート(又はウレタンメタクリレート)、単官能アクリレート、単官能メタクリレート及び/又は多官能メタクリレートを用いることである。
【0051】
単官能アクリレートの使用(含有)割合は、液晶組成物中の液晶100質量部に対して、10〜300質量部であることが好ましく、より好ましくは、20〜250質量部であり、特に好ましくは、25〜200質量部である。
単官能メタクリレートの使用(含有)割合は、液晶組成物中の液晶100質量部に対して、0.1〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは、1〜50質量部であり、特に好ましくは、1〜25質量部である。
多官能メタクリレートの使用(含有)割合は、液晶組成物中の液晶100質量部に対して、0.1〜200質量部であることが好ましく、より好ましくは、1〜150質量部であり、特に好ましくは、10〜100質量部である。
【0052】
本発明においては、重合性化合物のラジカル重合を早めて硬化性樹脂の形成を促進させる目的で、紫外線によりラジカルを発生するラジカル開始剤(重合開始剤ともいう)を、液晶組成物中に含有せしめることが好ましい。
具体的には、例えば、tert−ブチルペルオキシ−iso−ブタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルジオキシ)へキサン、1,4−ビス[α−(tert−ブチルジオキシ)−iso−プロポキシ]ベンゼン、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルジオキシ)へキセンヒドロペルオキシド、α−(iso−プロピルフェニル)−iso−プロピルヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルへキサン、tert−ブチルヒドロペルオキシド、1,1−ビス(tert−ブチルジオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロへキサン、ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルジオキシ)バレレート、シクロへキサノンペルオキシド、2,2’,5,5’−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−アミルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(tert−ブチルペルオキシカルボニル)−4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、tert−ブチルペルオキシ安息香酸、ジ−tert−ブチルジペルオキシイソフタレート、1−メチル−1−フェニルエチルペルオキシド、クメンハイドロペルオキサイド等の有機過酸化物;9,10−アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチル、ベンゾインエチルエーテル、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾイン等のベンゾイン誘導体;等が挙げられる。
【0053】
ラジカル開始剤の使用割合は、液晶全体100質量部に対して、0.1〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは、0.1〜35質量部であり、特に好ましくは、0.1〜10質量部である。
また、これらラジカル開始剤は、液晶表示素子の光学特性や液晶層と液晶配向膜との密着性の特性に応じて、1種又は2種以上を混合して使用することもできる。
加えて、本発明においては、液晶表示素子の液晶層と液晶配向膜との密着性の点から、液晶組成物中に有機リン酸化合物を含有することが好ましい。
【0054】
具体的には、例えば、トリフェニルホスフェイト、トリスノニルホスフェイト、トリクレジルホスフェイト、トリエチルホスフェイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスフェイト、ジエチルハイドロゲンホスフェイト、ジフェニルハイドロゲンホスフェイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスフェイト、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスフェイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェイト、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフォンオキシド等が挙げられる。なかでも、トリフェニルホスフェイト、トリクレジルホスフェイト、ジフェニルハイドロゲンホスフェイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスフェイト又はジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフォンオキシドが好ましい。より好ましくは、上記効果をより高めることができる点から、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスフェイト又はジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフォンオキシドである。
有機リン酸化合物の使用(含有)割合は、液晶全体100質量部に対して、0.1〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは、0.1〜20質量部であり、特に好ましくは、0.1〜10質量部である。
【0055】
<特定側鎖構造(1)>
本発明における特定側鎖構造(1)は、下記の式[2−1]又は式[2−2]で示される。
【化8】
式[2−1]中、Y
1、Y
2、Y
3、Y
4、Y
5、Y
6及びnは、前記に定義した通りであるが、なかでも、それぞれ、下記のものが好ましい。
Y
1は、原料の入手性や合成の容易さの点から、単結合、−(CH
2)
a−(aは1〜15の整数である)、−O−、−CH
2O−又は−COO−が好ましい。より好ましくは、単結合、−(CH
2)
a−(aは1〜10の整数である)、−O−、−CH
2O−又は−COO−である。Y
2は、単結合又は−(CH
2)
b−(bは1〜10の整数である)が好ましい。Y
3は、合成の容易さの点から、単結合、−(CH
2)
c−(cは1〜15の整数である)、−O−、−CH
2O−又は−COO−が好ましい。より好ましくは、単結合、−(CH
2)
c−(cは1〜10の整数である)、−O−、−CH
2O−又は−COO−である。Y
4は、合成の容易さの点から、ベンゼン環、シクロへキサン環又はステロイド骨格を有する炭素数17〜51の有機基が好ましい。Y
5は、ベンゼン環又はシクロへキサン環が好ましい。
【0056】
Y
6は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数1〜10のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基又は炭素数1〜10のフッ素含有アルコキシ基が好ましい。より好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基である。特に好ましくは、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基又は炭素数1〜9のアルコキシ基である。nは、原料の入手性や合成の容易さの点から、0〜3が好ましく、0〜2がより好ましい。
【0057】
Y
1、Y
2、Y
3、Y
4、Y
5、Y
6及びnの好ましい組み合わせは、国際公開公報WO2011/132751号の13頁〜34頁の表6〜表47に掲載される(2−1)〜(2−629)と同じ組み合わせが挙げられる。なお、同公報の各表では、本発明におけるY
1〜Y
6が、Y1〜Y6として示されているが、Y1〜Y6は、Y
1〜Y
6と読み替えるものとする。また、同公報の各表に掲載される(2−605)〜(2−629)では、本発明におけるステロイド骨格を有する炭素数17〜51の有機基が、ステロイド骨格を有する炭素数12〜25の有機基と示されているが、ステロイド骨格を有する炭素数12〜25の有機基は、ステロイド骨格を有する炭素数17〜51の有機基と読み替えるものとする。
【0058】
なかでも、(2−25)〜(2−96)、(2−145)〜(2−168)、(2−217)〜(2−240)、(2−268)〜(2−315)、(2−364)〜(2−387)、(2−436)〜(2−483)、(2−603)〜(2−615)又は(2−624)の組み合わせが好ましい。特に好ましい組み合わせは、(2−49)〜(2−96)、(2−145)〜(2−168)、(2−217)〜(2−240)、(2−603)〜(2−606)、(2−607)〜(2−609)、(2−611)、(2−612)又は(2−624)である。
【0059】
【化9】
式[2−2]中、Y
7及びY
8は、前記に定義した通りであるが、なかでも、それぞれ、下記のものが好ましい。
Y
7は、単結合、−O−、−CH
2O−、−CONH−、−CON(CH
3)−又は−COO−が好ましい。より好ましくは、単結合、−O−、−CONH−又は−COO−である。Y
8は、炭素数8〜18のアルキル基が好ましい。
本発明における特定側鎖構造(1)は、上述のように高くて安定な液晶の垂直配向性を得ることができる点から、式[2−1]が好ましい。
【0060】
<特定重合体>
特定側鎖構造(1)を有する特定重合体としては、特に限定されないが、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリイミド前駆体、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、セルロース及びポリシロキサンからなる群から選ばれる少なくとも1つの重合体であることが好ましい。より好ましくは、ポリイミド前駆体、ポリイミド又はポリシロキサンである。特に好ましくは、ポリイミド前駆体又はポリイミドである。
特定重合体にポリイミド前駆体又はポリイミド(総称してポリイミド系重合体ともいう。)を用いる場合、それらは、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分とを反応させて得られるポリイミド前駆体又はポリイミドであることが好ましい。
【0061】
ポリイミド前駆体とは、下記の式[A]で示される構造を有する。
【化10】
(R
1は4価の有機基を示す。R
2は2価の有機基を示す。A
1及びA
2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。A
3及びA
4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はアセチル基を示す。nは正の整数を示す。)
【0062】
ジアミン成分としては、分子内に1級又は2級のアミノ基を2個有するジアミンであり、テトラカルボン酸成分としては、テトラカルボン酸、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジハライド、テトラカルボン酸ジアルキルエステル又はテトラカルボン酸ジアルキルエステルジハライドが挙げられる。
ポリイミド系重合体は、下記の式[B]で示されるテトラカルボン酸二無水物と下記の式[C]で示されるジアミンとを原料とすることで、比較的簡便に得られるという理由から、下記の式[D]で示される繰り返し単位の構造式から成るポリアミド酸又は該ポリアミド酸をイミド化させたポリイミドが好ましい。
【0063】
【化11】
(R
1及びR
2は、式[A]で定義したものと同意義である。)
【化12】
(R
1及びR
2は、式[A]で定義したものと同意義である。)
【0064】
また、通常の合成手法で、上記で得られた式[D]の重合体に、式[A]で示されるA
1及びA
2の炭素数1〜8のアルキル基、及び式[A]で示されるA
3及びA
4の炭素数1〜5のアルキル基又はアセチル基を導入することもできる。
前記の特定側鎖構造(1)をポリイミド系重合体に導入する方法としては、特定側鎖構造を有するジアミンを原料の一部に用いることが好ましい。
【0065】
具体的には、特定側鎖構造(1)を有するジアミンとしては、下記の式[2a]で示されるジアミン(特定側鎖型ジアミン(1)ともいう)が好ましい。
【化13】
式[2a]中、Yは、前記式[2−1]又は式[2−2]である。
また、式[2−1]におけるY
1、Y
2、Y
3、Y
4、Y
5、Y
6及びnの定義及び好ましい組み合わせは、前記した通りであり、式[2−2]におけるY
7及びY
8の定義及び好ましい組み合わせは、前記した通りである。mは、1〜4の整数を示す。なかでも、1の整数が好ましい。
【0066】
式[2−1]で示される特定側鎖構造(1)を有する特定側鎖型ジアミン(1)として、具体的には、国際公開公報WO2013/125595号の15頁〜19頁に記載される式[2−1]〜式[2−6]、式[2−9]〜式[2−31]のジアミン化合物が挙げられる。なお、同公報の記載において、式[2−1]〜式[2−3]中のR
2及び式[2−4]〜式[2−6]中のR
4は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基及び炭素数1〜18のフッ素含有アルコキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を示す。また、式[2−13]中のA
4は、炭素数3〜18の直鎖状又は分岐状アルキル基を示す。加えて、式[2−4]〜式[2−6]中のR
3は、−O−、−CH
2O−、−COO−及び−OCO−からなる群から選ばれる少なくとも1種を示す。なかでも、好ましいジアミンは、同公報に記載される式[2−1]〜式[2−6]、式[2−9]〜式[2−13]又は式[2−22]〜式[2−31]のジアミン化合物である。
本発明においては、下記の式[2a−32]〜式[2a−36]で示されるジアミンが、液晶配向膜にした際の液晶の垂直配向性、及び液晶表示素子の光学特性の点から、最も好ましい。
【0067】
【化14】
(R
1は、−CH
2O−を示す。R
2は、炭素数3〜12のアルキル基を示す。)
【0068】
【化15】
(R
3は、炭素数3〜12のアルキル基を示し、1,4-シクロヘキシレンのシス−トランス異性は、トランス異性体である。)
【0069】
前記式[2−2]で示される特定側鎖構造(1)を有する特定側鎖型ジアミン(1)として、具体的には、国際公開公報WO2013/125595号の23頁に記載される式[DA1]〜式[DA11]のジアミン化合物が挙げられる。なお、同公報の記載において、式[DA1]〜式[DA5]中のA
1は、炭素数8〜22のアルキル基又は炭素数6〜18のフッ素含有アルキル基を示す。
【0070】
特定側鎖型ジアミン(1)の使用割合は、液晶配向膜にした際の液晶の垂直配向性、及び液晶表示素子の液晶層と液晶配向膜との密着性の点から、ジアミン成分全体に対し10〜80モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましい。
また、特定側鎖型ジアミン(1)は、ポリイミド系重合体の溶媒への溶解性、液晶配向膜にした際の液晶の垂直配向性、更には、液晶表示素子の光学特性等の特性に応じて、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
【0071】
本発明において、特定重合体にポリイミド系重合体を用いる場合、特定側鎖構造(1)を有するジアミンとともに、下記の式[3]で示される特定側鎖構造(2)を有するジアミンを含むジアミン成分として用いることが好ましい。
【化16】
式[3]中、W
1、W
2、W
3及びW
4は、前記に定義した通りであるが、なかでも、それぞれ、下記のものが好ましい。
【0072】
W
1は、原料の入手性や合成の容易さの点から、単結合、−O−、−CH
2O−、−CONH−、−CON(CH
3)−又は−COO−が好ましい。より好ましくは、−O−、−CH
2O−又は−COO−である。W
2は、単結合、炭素数1〜18のアルキレン基、又はベンゼン環若しくはシクロヘキサン環を有する炭素数6〜12の有機基が好ましい。より好ましくは、液晶表示素子の光学特性の点から、炭素数2〜10のアルキレン基である。W
3は、原料の入手性や合成の容易さの点から、単結合、−O−、−CH
2O−、−COO−又は−OCO−が好ましい。 W
4は、液晶表示素子の光学特性の点から、下記式[3−a]、式[3−b]、式[3−c]又は式[3−e]が好ましい。
【化17】
【0073】
式[3]における好ましいW
1〜W
4の組み合わせは、下記の表10及び表11に示される。
【0075】
【表11】
なかでも、液晶表示素子の光学特性の点から、(3−1a)〜(3−9a)、(3−13a)〜(3−24a)又は(3−28a)〜(3−30a)の組み合わせが好ましい。より好ましくは、(3−1a)〜(3−9a)又は(3−16a)〜(3−24a)の組み合わせである。特に好ましくは、(3−1a)〜(3−9a)又は(3−16a)〜(3−18a)の組み合わせである。
【0076】
特定側鎖構造(2)を有するジアミンとしては、下記の式[3a]で示されるジアミン(特定側鎖型ジアミン(2)ともいう)を用いることが好ましい。
【化18】
式[3a]中、Wは、前記式[3]で示される構造を示す。式[3]におけるW
1、W
2、W
3及びW
4の定義及び好ましい組み合わせは、前記した通りである。mは、1〜4の整数を示す。なかでも、1の整数が好ましい。
【0077】
特定側鎖型ジアミン(2)として、具体的には例えば、下記の式[3a−1]〜式[3a−27]で示される構造が挙げられ、これらを用いることが好ましい。
【化19】
(d1は、2〜10の整数を示す。)
【0080】
【化22】
(d2は、2〜10の整数を示す。)
【0084】
【化26】
(d3は、2〜10の整数を示す。)
【0085】
特定側鎖型ジアミン(2)の使用割合は、液晶表示素子の液晶層と液晶配向膜との密着性の点から、ジアミン成分全体に対し5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましい。
また、特定側鎖型ジアミン(2)は、ポリイミド系重合体の溶媒への溶解性、液晶配向膜にした際の液晶の垂直配向性、更には、液晶表示素子の光学特性等の特性に応じて、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
特定重合体にポリイミド系重合体を用いる場合、そのジアミン成分としては、特定側鎖型ジアミン(1)及び特定側鎖型ジアミン(2)とともに、下記の式[4a]で示されるジアミン(第3のジアミンともいう)を用いることが好ましい。
【0086】
【化27】
Tは、下記の式[4−1]〜式[4−4]からなる群から選ばれる少なくとも1種の置換基を示す。rは、1〜4の整数を示す。なかでも、1の整数が好ましい。
【化28】
【0087】
式[4−1]中、aは、0〜4の整数を示す。なかでも、原料の入手性や合成の容易さの点から、0又は1の整数が好ましい。式[4−2]中、bは、0〜4の整数を示す。なかでも、原料の入手性や合成の容易さの点から、0又は1の整数が好ましい。 式[4−3]中、T
1及びT
2は、それぞれ独立して、炭素数1〜12の炭化水素基を示す。式[4−4]中、T
3は、炭素数1〜5のアルキル基を示す。
下記に第3のジアミンの具体的な構造を挙げるが、これらの例に限定されるものではない。例えば、2,4−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノベンジルアルコール、2,4−ジアミノベンジルアルコール、4,6−ジアミノレゾルシノール、2,4−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノ安息香酸又は3,5−ジアミノ安息香酸の他に、下記の式[4a−1]〜[4a−6]で示される構造のジアミンを挙げることができる。
【0089】
なかでも、2,4−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノベンジルアルコール、2,4−ジアミノベンジルアルコール、4,6−ジアミノレゾルシノール、2,4−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸、式[4a−1]、式[4a−2]又は式[4a−3]で示されるジアミンが好ましい。特に好ましくは、ポリイミド系重合体の溶媒への溶解性や液晶表示素子の光学特性の点から、2,4−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノベンジルアルコール、3,5−ジアミノ安息香酸、式[4a−1]又は式[4a−2]で示されるジアミンである。
第3のジアミンの使用割合は、液晶表示素子の液晶層と液晶配向膜との密着性の点から、ジアミン成分全体に対して1〜50モル%が好ましく、1〜40モル%がより好ましく、5〜40モル%が特に好ましい。
【0090】
また、第3のジアミンは、ポリイミド系重合体の溶媒への溶解性、液晶配向膜にした際の液晶の垂直配向性、更には、液晶表示素子の光学特性等の特性に応じて、1種又は2種以上を混合して使用できる。
ポリイミド系重合体を作製するためのジアミン成分としては、本発明の効果を損なわない限りにおいて、特定側鎖型ジアミン(1)、特定側鎖型ジアミン(2)及び第3のジアミン以外のその他ジアミン(その他ジアミンともいう。)を用いることもできる。
具体的には、国際公開公報WO2013/125595号の19頁〜23頁に記載されるその他ジアミン、同公報の24頁〜25頁に記載される式[DA12]、式[DA15]〜式[DA20]及び式[DA22]〜式[25]のジアミン、及び同公報の25頁〜26頁に記載される式[DA27]及び式[DA28]のジアミンが挙げられる。
その他ジアミンは、ポリイミド系重合体の溶媒への溶解性、液晶配向膜にした際の液晶の垂直配向性、更には、液晶表示素子の光学特性等の特性に応じて、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
【0091】
ポリイミド系重合体を作製するためのテトラカルボン酸成分としては、下記の式[5]で示されるテトラカルボン酸二無水物やそのテトラカルボン酸誘導体であるテトラカルボン酸、テトラカルボン酸ジハライド、テトラカルボン酸ジアルキルエステル又はテトラカルボン酸ジアルキルエステルジハライド(全てを総称して特定テトラカルボン酸成分ともいう)が好ましい。
【化30】
Zは下記の[5a]〜式[5k]らなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を示す。
【化31】
【0092】
前記式[5]に示される構造中のZは、合成の容易さやポリマーを製造する際の重合反応性のし易さから、前記式[5a]、式[5c]、式[5d]、式[5e]、式[5f]、式[5g]又は式[5k]で示される構造が好ましい。より好ましくは、液晶表示素子の光学特性の点から、式[5a]、式[5e]、式[5f]、式[5g]又は式[5k]で示される構造である。
特定テトラカルボン酸成分の使用割合は、全テトラカルボン酸成分に対して1モル%以上であることが好ましい。より好ましくは、5モル%以上であり、更に好ましくは、10モル%以上である。なかでも、液晶表示素子の光学特性の点から、10〜90モル%が特に好ましい。
【0093】
また、前記式[5e]、式[5f]、式[5g]又は式[5k]の構造の特定テトラカルボン酸成分を用いる場合、その使用量を、テトラカルボン酸成分全体の20モル%以上とすることで、所望の効果が得られる。より好ましくは、30モル%以上である。更に、テトラカルボン酸成分の全てが、式[5e]、式[5f]、式[5g]又は式[5k]の構造のテトラカルボン酸成分であってもよい。
ポリイミド系重合体には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、特定テトラカルボン酸成分以外のその他のテトラカルボン酸成分を用いることができる。その他のテトラカルボン酸成分としては、以下に示すテトラカルボン酸、テトラカルボン酸二無水物、ジカルボン酸ジハライド、ジカルボン酸ジアルキルエステル又はジアルキルエステルジハライドが挙げられる。具体的には、国際公開公報WO2013/125595号の27頁〜28頁に記載されるその他テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0094】
特定テトラカルボン酸成分及びその他のテトラカルボン酸成分は、ポリイミド系重合体の溶媒への溶解性、液晶配向膜にした際の液晶の垂直配向性、更には、液晶表示素子の光学特性等の特性に応じて、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
ポリイミド系重合体を合成する方法は特に限定されない。通常、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分とを反応させて得られる。具体的には、国際公開公報WO2013/125595号の29頁〜33頁に記載の方法が挙げられる。
【0095】
ジアミン成分とテトラカルボン酸成分との反応は、通常、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分とを含む溶媒中で行う。その際に用いる溶媒としては、生成したポリイミド前駆体が溶解するものであれば特に限定されない。例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン又はγ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン等が挙げられる。また、ポリイミド前駆体の溶媒溶解性が高い場合は、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン又は下記の式[D−1]〜式[D−3]で示される溶媒を用いることができる。これらは単独でも、混合して使用してもよい。
【0096】
【化32】
(D
1、D
2、D
3は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【0097】
ポリイミドはポリイミド前駆体を閉環させて得られるポリイミドであり、このポリイミドにおいては、アミド酸基の閉環率(イミド化率ともいう。)は必ずしも100%である必要はなく、用途や目的に応じて任意に調製することができる。なかでも、ポリイミド系重合体の溶媒への溶解性の点から、30〜80%が好ましい。より好ましくは、40〜70%である。
【0098】
ポリイミド系重合体の分子量は、そこから得られる液晶配向膜の強度、膜形成時の作業性及び塗膜性の点から、GPC(Gel Permeation Chromatography)法で測定したMwで、5,000〜1,000,000とするのが好ましく、より好ましくは10,000〜150,000である。
【0099】
特定重合体にポリシロキサンを用いる場合、下記の式[A1]で示されるアルコキシシランを重縮合させて得られるポリシロキサン、又は、該式[A1]で示されるアルコキシシランと、下記の式[A2]及び/又は式[A3]で示されるアルコキシシランとを重縮合させて得られるポリシロキサンである(総称してポリシロキサン系重合体ともいう。)ことが好ましい。
【0100】
式[A1]で示されるアルコキシラン:
【化33】
式[A1]中、A
1は、前記式[2−1]又は式[2−2]で示される構造を示す。また、式[2−1]におけるY
1、Y
2、Y
3、Y
4、Y
5、Y
6及びnの定義及び好ましい組み合わせは、前記した通りであり、式[2−2]におけるY
7及びY
8の定義及び好ましい組み合わせは、前記した通りである。
【0101】
本発明では、液晶配向膜にした際の液晶の垂直配向性、及び液晶表示素子の光学特性の点から、A
1は、式[2−1]で示される特定側鎖構造が好ましい。
式[A1]中、A
2、A
3、m、n及びpは、上記に定義した通りであるが、なかでも、それぞれ、以下のものが好ましい。A
2は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。A
3は、重縮合の反応性の点から、炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。mは、合成の点からは、1の整数が好ましい。nは、0〜2の整数を示す。pは、重縮合の反応性の点から、1〜3の整数が好ましく、より好ましくは、2又は3の整数である。m+n+pは、4の整数である。
【0102】
式[2−1]で示される特定側鎖構造を有するアルコキシシランの具体例としては、国際公開公報WO2014/061779号の41頁〜44頁に記載される式[A1−1]〜式[A1−22]及び式[A1−25]〜式[A1−32]のアルコキシシランが挙げられる。なお、同公報の記載において、式[A1−19]〜式[A1−22]及び式[A1−25]〜式[A1−31]中のR
2は、−O−、−CH
2O−、−COO−及び−OCO−からなる群から選ばれる少なくとも1種を示す。なかでも、好ましいアルコキシシランは、液晶配向膜にした際の液晶の垂直配向性及び液晶表示素子の光学特性の点から、同公報に記載される式[A1−9]〜式[A1−21]、式[A1−25]〜式[A1−28]又は式[A1−32]である。
【0103】
式[A1]で示されるアルコキシシランは、ポリシロキサン系重合体の溶媒への溶解性、液晶配向膜にした際の液晶の垂直配向性、更には、液晶表示素子の光学特性等の特性に応じて、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
【0104】
式[A2]で示されるアルコキシラン:
【化34】
式[A2]中、B
1、B
2、B
3、m、n及びpは、前記に定義した通りであるが、なかでも、それぞれ、以下のものが好ましい。
B
1は、入手の容易さから、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、アクリル基又はウレイド基を有する有機基が好ましい。より好ましくは、メタクリル基、アクリル基又はウレイド基を有する有機基である。B
2は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。B
3は、重縮合の反応性の点から、炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。mは、合成の点からは、1の整数が好ましい。nは、0〜2の整数を示す。pは、重縮合の反応性の点から、1〜3の整数が好ましく、2又は3の整数がより好ましい。m+n+pは、4である。
【0105】
式[A2]で示されるアルコキシシランの具体例としては、国際公開公報WO2014/061779号の45頁〜46頁に記載される式[A2]で表わされるものが挙げられる。
【0106】
なかでも、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピル(ジエトキシ)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン又は2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが好ましい。
【0107】
特に好ましくは、液晶表示素子の液晶層と液晶配向膜との密着性の点から、3−(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピル(ジエトキシ)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン又は2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランである。
式[A2]で示されるアルコキシシランは、ポリシロキサン系重合体の溶媒への溶解性、液晶配向膜にした際の液晶の垂直配向性、更には、液晶表示素子の光学特性等の特性に応じて、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
【0108】
式[A3]で示されるアルコキシラン:
【化35】
式[A3]中、D
1、D
2及びnは、前記に定義した通りであるが、なかでも、それぞれ、以下のものが好ましい。
D
1は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。D
2は、重縮合の反応性の点から、炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。nは0〜3の整数を示す。
【0109】
式[A3]で示されるアルコキシシランの具体例としては、国際公開公報WO2014/061779号の47頁に記載される式[A3]で表わされるアルコキシシランが挙げられる。
式[A3]中、nが0であるアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン又はテトラブトキシシランが挙げられ、これらのアルコキシシランを用いることが好ましい。
【0110】
式[A3]で示されるアルコキシシランは、ポリシロキサン系重合体の溶媒への溶解性、液晶配向膜にした際の液晶の垂直配向性、更には、液晶表示素子の光学特性等の特性に応じて、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
ポリシロキサン系重合体は、前記式[A1]で示されるアルコキシシランを重縮合させて得られるポリシロキサン、又は該式[A1]で示されるアルコキシシランと、前記式[A2]及び/又は式[A3]で示されるアルコキシシランとを重縮合させて得られるポリシロキサンである。即ち、ポリシロキサン系重合体は、式[A1]で示されるアルコキシシランのみを重縮合させて得られるポリシロキサン、式[A1]と式[A2]で示される2種のアルコキシシランを重縮合させて得られるポリシロキサン、式[A1]と式[A3]で示される2種のアルコキシシランを重縮合させて得られるポリシロキサン、並びに式[A1]、式[A2]及び式[A3]で示される3種のアルコキシシランを重縮合させて得られるポリシロキサンのうちのいずれか1種である。
【0111】
なかでも、重縮合の反応性やポリシロキサン系重合体の溶媒への溶解性の点から、複数種のアルコキシシランを重縮合させて得られるポリシロキサンが好ましい。即ち、式[A1]と式[A2]で示される2種のアルコキシシランを重縮合させて得られるポリシロキサン、式[A1]と式[A3]で示される2種のアルコキシシランを重縮合させて得られるポリシロキサン、並びに式[A1]、式[A2]及び式[A3]で示される3種のアルコキシシランを重縮合させて得られるポリシロキサンのうちのいずれか1種を用いることが好ましい。
【0112】
ポリシロキサン系重合体を作製する際に複数種のアルコキシランを用いる場合、式[A1]で示されるアルコキシシランの使用割合は、全てのアルコキシシラン中、1〜40モル%が好ましく、1〜30モル%がより好ましい。また、式[A2]で示されるアルコキシシランの使用割合は、全てのアルコキシシラン中、1〜70モル%が好ましく、1〜60モル%がより好ましい。更に、式[A3]で示されるアルコキシシランの使用割合は、全てのアルコキシシラン中、1〜99モル%が好ましくは、1〜80モル%がより好ましい。
【0113】
ポリシロキサン系重合体を作製する重縮合反応の方法は特に限定されない。具体的には、国際公開公報WO2014/061779号の49頁〜52頁に記載の方法が挙げられる。
【0114】
ポリシロキサン系重合体を作製する重縮合反応において、式[A1]、式[A2]又は式[A3]で示されるアルコキシシランを複数種用いる場合は、複数種のアルコキシシランを予め混合した混合物を用いて反応しても、複数種のアルコキシシランを順次添加しながら反応してもよい。
【0115】
本発明においては、前記の方法で得られたポリシロキサン系重合体の溶液をそのまま特定重合体として用いても良いし、必要に応じて、上記の方法で得られたポリシロキサン系重合体の溶液を濃縮したり、溶媒を加えて希釈したり、他の溶媒に置換して、特定重合体として用いても良い。
希釈する際に用いる溶媒(添加溶媒ともいう。)は、重縮合反応に用いる溶媒やその他の溶媒であってもよい。この添加溶媒は、ポリシロキサン系重合体が均一に溶解している限りにおいては特に限定されず、1種又は2種以上を任意に選択して使用することができる。このような添加溶媒としては、前記重縮合反応に用いる溶媒に加え、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル系溶媒等が挙げられる。更に、特定重合体にポリシロキサン系重合体とそれ以外の重合体を用いる場合、ポリシロキサン系重合体にそれ以外の重合体を混合する前に、ポリシロキサン系重合体の重縮合反応の際に発生するアルコールを常圧又は減圧で留去しておくことが好ましい。
【0116】
<液晶配向処理剤>
液晶配向処理剤は、液晶配向膜を形成するための溶液であり、前記式[2−1]又は式[2−2]で示される特定側鎖構造を有する特定重合体を含有する溶液である。特定側鎖構造を有する特定重合体としては、前記の通り、特に限定は無いが、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリイミド前駆体、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、セルロース及びポリシロキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体であることが好ましい。より好ましくは、ポリイミド前駆体、ポリイミド又はポリシロキサンである。また、特定重合体には、これら重合体のなかの1種、あるいは2種以上を用いることができる。
【0117】
液晶配向処理剤における全ての重合体成分は、全てが特定重合体であっても良く、それ以外の重合体が混合されていても良い。その際、それ以外の重合体の含有量は、特定重合体100質量部に対して、0.5〜15質量部、好ましくは、1〜10質量部である。それ以外の重合体としては、前記式[2−1]又は式[2−2]で示される特定側鎖構造を持たない前記の重合体が挙げられる。
液晶配向処理剤中の溶媒の含有量は、液晶配向処理剤の塗布方法や目的とする膜厚を得るという観点から、適宜選択することができる。なかでも、塗布により均一な液晶配向膜を形成するとい観点から、液晶配向処理剤中の溶媒の含有量は50〜99.9質量%であることが好ましく、より好ましくは、60〜99質量%である。特に好ましくは、65〜99質量%である。
【0118】
液晶配向処理剤に用いる溶媒は、特定重合体を溶解させる溶媒であれば特に限定されない。なかでも、特定重合体がポリイミド前駆体、ポリイミド、ポリアミド又はポリエステルの場合、あるいは、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、セルロース又はポリシロキサンの溶媒への溶解性が低い場合は、下記に示すような溶媒(溶媒A類ともいう。)を用いることが好ましい。
【0119】
例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等である。なかでも、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン又はγ−ブチロラクトンを用いることが好ましい。また、これらは単独で使用しても、混合して使用してもよい。
【0120】
特定重合体が、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、セルロース又はポリシロキサンである場合、更には、特定重合体がポリイミド前駆体、ポリイミド、ポリアミド又はポリエステルであり、これら特定重合体の溶媒への溶解性が高い場合は、下記に示すような溶媒(溶媒B類ともいう。)を用いることができる。
溶媒B類の具体例としては、国際公開公報WO2013/125595号の35頁〜37頁に記載される貧溶媒が挙げられる。
なかでも、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノン、シクロペンタノン又は前記式[D1]〜式[D3]で示される溶媒を用いることが好ましい。
【0121】
また、これら溶媒B類を用いる際、液晶配向処理剤の塗布性を改善する目的に、前記溶媒A類のN−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン又はγ−ブチロラクトンを併用して用いることが好ましい。より好ましくは、γ−ブチロラクトンを併用することである。
これら溶媒B類は、液晶配向処理剤を塗布する際の液晶配向膜の塗膜性や表面平滑性を高めることができるため、特定重合体にポリイミド前駆体、ポリイミド、ポリアミド又はポリエステルを用いた場合、前記溶媒A類と併用して用いることが好ましい。その際、溶媒B類は、液晶配向処理剤に含まれる溶媒全体の1〜99質量%であることが好ましい。なかでも、10〜99質量%が好ましい。より好ましくは、20〜95質量%である。
【0122】
本発明における液晶配向処理剤には、光ラジカル発生剤、光酸発生剤及び光塩基発生剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の発生剤(特定発生剤ともいう。)を導入することが好ましい。
特定発生剤として具体的には、国際公開公報2014/171493号の54頁〜56頁に記載されるものが挙げられる。なかでも、特定発生剤には、液晶層と液晶配向膜との密着性の点から、光ラジカル発生剤を用いることが好ましい。
液晶配向処理剤における特定発生剤の使用(含有)割合は、全ての重合体成分100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましい。上記効果の点からは、0.5〜15質量部がより好ましく、特に好ましくは、1〜10質量部である。
【0123】
本発明における液晶配向処理剤には、液晶表示素子の液晶層と液晶配向膜との密着性を高める目的で、下記の式[b−1]〜式[b−8]からなる群から選ばれる少なくとも1種類の構造を有する化合物(特定密着性化合物ともいう。)を含有することが好ましい。
【化36】
【0124】
式[b−4]中、B
aは、水素原子又はベンゼン環を示す。なかでも、水素原子が好ましい。式[b−8]中、B
bは、ベンゼン環、シクロへキサン環及び複素環からなる群から選ばれる少なくとも1種の環状基を示す。B
cは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基及び炭素数1〜18のフッ素含有アルコキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を示す。なかでも、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基が好ましい。
【0125】
特定密着性化合物として具体的には、国際公開公報WO2015/012368号(2015.1.29公開)の43頁〜46頁に記載される式[6]の化合物が挙げられる。
【0126】
なかでも、特定密着性化合物には、下記の式[7a−1]及び式[7a−5]からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。
【化37】
(n2は1〜10の整数を示す。m2は1〜10の整数を示す。)
【0127】
更に、特定密着性化合物としては、国際公開公報WO2014/171493号の61頁〜63頁に記載のものを用いることもできる。
【0128】
液晶配向処理剤における特定密着性化合物の使用(含有)割合は、全ての重合体成分100質量部に対して、0.1〜150質量部であることが好ましい。架橋反応が進行し目的の効果を発現させるためには、0.1〜100質量部がより好ましく、特に好ましくは、1〜50質量部である。
特定密着性化合物は、液晶配向膜にした際の液晶の垂直配向性、更には、液晶表示素子の光学特性等の特性に応じて、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明の液晶配向処理剤には、エポキシ基、イソシアネート基、オキセタン基、シクロカーボネート基を有する化合物、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基及び炭素数1〜3のアルコキシアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する化合物(総称して、特定架橋性化合物ともいう。)を含有せしめることが好ましい。その際、これらの基は、化合物中に2個以上有する必要がある。
【0129】
エポキシ基又はイソシアネート基を有する架橋性化合物の例としては、具体的には、国際公開公報WO2013/125595号の37頁〜38頁に記載のものが挙げられる。
【0130】
オキセタン基を有する架橋性化合物としては、具体的には、国際公開公報WO2011/132751号の58頁〜59頁に掲載される式[4a]〜式[4k]で示されるものが挙げられる。
【0131】
シクロカーボネート基を有する架橋性化合物としては、具体的には、国際公開公報WO2012/014898号の76頁〜82頁に掲載される式[5−1]〜式[5−42]で示される架橋性化合物が挙げられる。
【0132】
ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基及び低級アルコキシアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する架橋性化合物としては、具体的には、国際公開公報2013/125595号の39頁〜40頁に記載されるメラミン誘導体又はベンゾグアナミン誘導体、及び、国際公開公報WO2011/132751号の62頁〜66頁に掲載される、式[6−1]〜式[6−48]で示される架橋性化合物が挙げられる。
液晶配向処理剤における特定架橋性化合物の使用(含有)割合は、全ての重合体成分100質量部に対して、0.1〜100質量部であることが好ましい。架橋反応が進行し目的の効果を発現させるためには、0.1〜50質量部がより好ましく、特に好ましくは、1〜30質量部である。
【0133】
液晶配向処理剤には、液晶配向膜中の電荷移動を促進し、素子の電荷抜けを促進させるため、国際公開公報WO2011/132751号の69頁〜73頁に掲載される、式[M1]〜式[M156]で示される窒素含有複素環アミンを添加できる。このアミンは、液晶配向処理剤に直接添加しても構わないが、適当な溶媒で濃度0.1〜10質量%、好ましくは1〜7質量%の溶液で添加することが好ましい。この溶媒としては、特定重合体を溶解させる有機溶媒であれば特に限定されない。
【0134】
また、液晶配向処理剤には、本発明の効果を損なわない限り、液晶配向処理剤を塗布した際の液晶配向膜の膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物を用いることができる。更に、液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物等を用いることもできる。
液晶配向膜の膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノ二オン系界面活性剤等が挙げられる。具体的には、国際公開公報WO2013/125595号の42頁〜43頁に記載のものが挙げられる。
界面活性剤の使用(含有)量は、液晶配向処理剤に含有される全ての重合体成分100質量部に対して、0.01〜2質量部が好ましく、より好ましくは、0.01〜1質量部である。
【0135】
液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物の具体例としては、官能性シラン含有化合物やエポキシ基含有化合物が挙げられる。具体的には、国際公開公報WO2013/125595号の43頁〜44頁に記載のもが挙げられる。
【0136】
これらの基板との密着性を向上させる化合物の使用(含有)割合は、全ての重合体成分100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。より好ましくは、1〜20質量部であり、0.1質量部未満であると密着性向上の効果は期待できず、30質量部よりも多くなると液晶配向処理剤の保存安定性が悪くなる場合がある。
液晶配向処理剤には、上記以外の化合物として、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、液晶配向膜の誘電率や導電性等の電気特性を変化させる目的の誘電体や導電物質を添加してもよい。
【0137】
<液晶配向膜及び液晶表示素子の作製方法、及び特定紫外線照射装置>
本発明の液晶表示素子に用いる基板としては、透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板の他、アクリル基板、ポリカーボネート基板、PET(ポリエチレンテレフタレート)基板等のプラスチック基板、更にはそれらのフィルムを用いることができる。液晶表示素子をリバース型素子として、調光窓等に用いる場合には、プラスチック基板やフィルムであることが好ましい。また、プロセスの簡素化の観点からは、液晶駆動のためのITO(Indium Tin Oxide)電極、IZO(Indium Zinc Oxide)電極、IGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)電極、有機導電膜等が形成された基板を用いることが好ましい。また、反射型のリバース型素子とする場合には、片側の基板のみにならば、シリコンウエハやアルミニウム等の金属や誘電体多層膜が形成された基板を使用することができる。
【0138】
本発明の液晶表示素子は、基板の少なくとも一方が、液晶分子を垂直に配向させるような液晶配向膜を有する。この液晶配向膜は、液晶配向処理剤を基板上に塗布し、焼成した後、ラビング処理や光照射等で配向処理をして得ることができる。但し、本発明における液晶配向膜の場合は、これら配向処理無しでも液晶配向膜として用いることができる。
液晶配向処理剤の塗布方法は、特に限定されないが、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット法、ディップ法、ロールコータ法、スリットコータ法、スピンナー法、スプレー法等があり、基板の種類や目的とする液晶配向膜の膜厚に応じて、適宜選択することができる。
【0139】
液晶配向処理剤を基板上に塗布した後は、ホットプレート、熱循環型オーブン、IR(赤外線)型オーブン等の加熱手段により、基板の種類や液晶配向処理剤に用いる溶媒に応じて、30〜300℃、好ましくは、30〜250℃の温度で溶媒を蒸発させて液晶配向膜とすることができる。特に、基板にプラスチック基板を用いる場合には、30〜150℃の温度で処理することが好ましい。
焼成後の液晶配向膜の厚みは、厚すぎると液晶表示素子の消費電力の面で不利となり、薄すぎると素子の信頼性が低下する場合があるので、好ましくは5〜500nmである。より好ましくは10〜300nmであり、特に好ましくは、10〜250nmである。
【0140】
本発明の液晶表示素子に用いる液晶組成物は、前記の通りであるが、そのなかに、液晶表示素子の電極間隙(ギャップともいう)を制御するためのスペーサーを含有せしめることもできる。
液晶組成物の注入方法は、特に限定されないが、例えば、次の方法が挙げられる。すなわち、基板にガラス基板を用いる場合、液晶配向膜が形成された一対の基板を用意し、片側の基板の4辺を、一部分を除いてシール剤を塗布し、その後、液晶配向膜の面が内側になるようにして、もう片側の基板を貼り合わせた空セルを作製する。そして、シール剤が塗布されていない場所から、液晶組成物を減圧注入して、液晶組成物注入セルを得る方法が挙げられる。更に、基板にプラスチック基板やフィルムを用いる場合には、液晶配向膜が形成された一対の基板を用意し、片側の基板の上に、ODF(One Drop Filling)法やインクジェット法等で、液晶組成物を滴下し、その後、もう片側の基板を貼り合わせて、液晶組成物注入セルを得る方法が挙げられる。本発明の液晶表示素子では、液晶層と液晶配向膜との密着性が高いため、基板の4辺にシール剤を塗布しなくても良い。
【0141】
液晶表示素子のギャップは、前記のスペーサー等で制御することができる。その方法は、前記のように液晶組成物中に目的とする大きさのスペーサーを含有せしめる方法や、目的とする大きさのカラムスペーサーを有する基板を用いる方法等が挙げられる。また、基板にプラスチックやフィルム基板を用いて、基板の貼り合わせをラミネートで行う場合は、スペーサーを含有せしめずに、ギャップを制御できる。
液晶表示素子のギャップの大きさは、1〜100μmが好ましく、より好ましくは、2〜50μmである。特に好ましくは、5〜20μmである。ギャップが小さすぎると、液晶表示素子のコントラストが低下し、大きすぎると、素子の駆動電圧が高くなる。
【0142】
本発明の液晶表示素子は、紫外線の照射により、液晶組成物の硬化を行い、液晶と重合性化合物の硬化物複合体の液晶層を形成させて得られる。この液晶組成物の硬化は、液晶組成物に紫外線を照射して行う。紫外線の光源は、波長選択フィルターを用いなくても照射光強度のロスが無く、特定の波長の紫外線を照射でき、更には、光源から発生する熱源を抑制できることから、紫外線発光ダイオード(特定紫外線照射装置ともいう。)を用いることが好ましい。また、光源は、液晶組成物の硬化を促進できることから、装置の上下に配置されていることが好ましい。
【0143】
特定紫外線照射装置の好ましい具体例は、
図1及び
図2に示す通りである。
図1に、特定紫外線照射装置の1つ(特定紫外線照射装置−1)の構成図を示す。
図1において、「2」は発光部を示し、「3」は電力供給部を示す。発光部「2」は、光源として複数個の紫外線発光ダイオードを備えており、それらの紫外線発光ダイオードは、電力供給部「3」よりフレキシブルコード「6」を介して供給される電源電力を受けて発光し、目的とする強度の紫外線が照射できるようにされている。紫外線発光ダイオードは、いずれも単波長の紫外線を発するものであり、液晶表示素子の作製のために必要な波長の紫外線を発するものである。
【0144】
また、発光部「2」は、
図1中には記載されていないマニュピレーターの先端に取り付けられており、既定のプログラムに従って、或いは操作者の制御下において、ワーキングスペース内の任意の位置へ自在に移動や停止できるようになっている。更に、発光部「2」或いは紫外線発光ダイオードの指向角度を自在に変更することができ、紫外線を目的とする方向へ照射できる。従って、この特定紫外線照射装置−1は、処理対象物、即ち、前記の液晶組成物注入セルの一部のみを狭い範囲で部分的に露光させる必要がある場合や、複雑な形状や立体構造を有する処理対象物に対して紫外線の照射を行う場合等に、好適に用いることができる。
【0145】
更に、特定紫外線照射装置−1は、処理対象物、即ち、前記の液晶組成物注入セルに対する紫外線の照射光強度、明るさ及び温度を、常に監視するとともに、それらが一定の範囲内に収まるように制御される構成となっている。具体的には、紫外線発光ダイオードから照射される紫外線の強度及び処理対象物の表面における明るさと温度を測定するセンサー「4」が、発光部「2」の近傍に配置されており、このセンサー「4」による計測値がフレキシブルコード「7」を介して、制御装置「5」に常時入力される。この制御装置「5」は演算回路を内蔵しており、センサー「4」からの計測値を受けて、処理対象物に対する紫外線の照射光強度、明るさ及び温度を、一定の範囲内とするために必要な紫外線発光ダイオードの出力条件(供給電力の値ともいう。)を演算回路によって算出し、現行の出力条件との差をとって出力条件の補正値を算出する。この出力条件の補正値は、制御装置「5」から伝送路「8」を介して、電力供給部「3」へ伝達される。そして、電力供給部「3」は、伝達された補正値を受けて出力条件を変更する。その結果、紫外線の照射光強度、明るさ及び温度を、一定の範囲内に収めることができる。
【0146】
なお、制御対象項目は、処理対象物、即ち、前記の液晶組成物注入セルの種類や性質等に応じて任意に選択でき、紫外線の照射光強度、明るさ及び温度の全ても制御でき、更には、これらのなかの一つあるいは二つのみを制御できる。また、各制御対象項目の上限値や下限値についても、処理対象物の種類や性質等に応じて任意に選択できる。
加えて、紫外線発光ダイオードの先端に、フォーカシングレンズを設置することもできる。この場合、紫外線の照射光を絞り込むことができ、微小範囲、例えば、1μm以下での紫外線の照射が可能となる。更に、フォーカシングレンズを自由に制御することができるようにした場合は、その性能の範囲内で、紫外線の照射範囲を自在に変更できる。
【0147】
図2に、上記とは別の特定紫外線照射装置の1つ(特定紫外線照射装置−2)の構成図を示す。
図2に示されているとおり、特定紫外線照射装置−2は、所定の間隔を置いて上下二段に平行に配置された二つの発光部「2a」及び「2b」を有している。各発光部「2a」及び「2b」においては、光源として、多数(n×m個)の紫外線発光ダイオードが、それぞれ水平方向へ格子状(n行×m列)に整列配置されている。なお、特定紫外線照射装置−2は、各発光部「2a」及び「2b」において、紫外線発光ダイオードが、n行×m列の格子状に整列配置されているが、紫外線発光ダイオードが、千鳥状、放射状或いはハニカム状に配置することもできる。また、紫外線発光ダイオードの整列方向は、必ずしも水平方向である必要はなく、平面方向、即ち、一つの平面或いは緩やかな曲面に沿って整列されていれば良い。具体的に例えば、垂直方向に整列された構造であっても良い。
【0148】
加えて、紫外線発光ダイオードは、特定紫外線照射装置−1と同様に、いずれも単波長の紫外線を発するものであり、液晶表示素子を作製するために必要な波長の紫外線を発するものである。
また、上部の発光部「2a」の紫外線発光ダイオードは、いずれも下向きに配置されており、電力供給部「3」よりケーブル「9a」を介して供給される電源電力を受けて発光し、目的の強度の紫外線をした方向へ照射できるようになっている。一方、下段の発光部「2b」の紫外線発光ダイオードは、いずれも上向きに配置されており、電力供給部「3」よりケーブル「9b」を介して供給される電源電力を受けて発光し、目的の強度の紫外線を上方向へ照射するように構成されている。このように、特定紫外線照射装置−2は、処理対象物、即ち、前記の液晶組成物注入セルに対して、面での紫外線の照射が可能であり、かつ、処理対象物の上面側と下面側を同時に紫外線の照射が可能になる。
【0149】
更に、特定紫外線照射装置−2は、処理対象物、即ち、前記の液晶組成物注入セルに対する紫外線の照射光強度、明るさ及び温度を常に監視するとともに、それらが一定の範囲内に収まるように制御される構成となっている。具体的には、紫外線発光ダイオードから照射される紫外線の強度及び処理対象物の表面における明るさと温度を測定するセンサー「4a」及び「4b」が、発光部「2a」及び「2b」の近傍に、それぞれ配置されており、このセンサー「4a」及び「4b」による計測値がケーブル「10a」及び「10b」を介して、制御装置「5」に常時入力される。この制御装置「5」は演算回路を内蔵しており、センサー「4a」及び「4b」からの計測値を受けて、処理対象物に対する紫外線の照射光強度、明るさ及び温度を、一定の範囲内とするために必要な紫外線発光ダイオードの出力条件を演算回路によって算出し、現行の出力条件との差をとって出力条件の補正値を算出する。この出力条件の補正値は、制御装置「5」から伝送路「8」を介して、電力供給部「3」へ伝達される。そして、電力供給部「3」は、伝達された補正値を受けて出力条件を変更する。その結果、紫外線の照射光強度、明るさ及び温度を、一定の範囲内に収めることができる。
【0150】
なお、この特定紫外線照射装置−2においては、発光部「2a」及び「2b」に配置されている全ての紫外線発光ダイオードの出力(電力供給量ともいう。)を、それぞれ個別に調整することができる。また、センサー「4a」及び「4b」は、発光部「2a」及び「2b」に配置されている紫外線発光ダイオードの一つ一つに個別に対応しているため、全ての紫外線発光ダイオードの紫外線の照射光強度、明るさ及び温度を、それぞれ個別に制御できる。したがって、照射される紫外線の照射光強度、明るさ及び処理対象物、即ち、前記の液晶組成物注入セルの表面温度のばらつきを無くすことができ、処理対象物表面の全ての領域に渡って、均一に紫外線の照射を行うことができる。また、処理対象物の種類やその作製工程に応じて、予め、それぞれ適切な制御条件(プロファイルともいう。)を作成しておき、紫外線の照射を行う際にそれらを適用することで、処理対象物の特性や目的等に応じた最適な紫外線の照射環境を作ることができる。
【0151】
プロファイルの具体例としては、(1)全ての紫外線発光ダイオードの照射光強度を100%とする (2)半数の紫外線発光ダイオードの照射光強度を100%とし、残りの半数の紫外線発光ダイオードの照射光強度を50%とする (3)全体の3分の1の紫外線発光ダイオードの照射光強度を50%とし、残りの紫外線発光ダイオードの照射光強度を25%とする等が挙げられる。
本発明の液晶表示素子を作製するためには、照射する紫外線の波長、照射光強度、明るさ及び温度を制御することができることから、前記の特定紫外線照射装置−1又は−2を用いることが好ましい。特に好ましくは、特定紫外線照射装置−2を用いることである。
【0152】
特定紫外線照射装置−1又は−2を用いた際の紫外線発光ダイオードの紫外線の波長は、200〜500nmが好ましく、より好ましくは、250〜450nmであり、特に好ましくは、300〜400nmである。
紫外線発光ダイオードの照射光強度は、0.1〜150mW/cm
2が好ましく、より好ましくは、0.1〜100mW/cm
2であり、特に好ましくは、1〜40mW/cm
2である。最も好ましくは、液晶表示素子の光学特性及び液晶層と液晶配向膜との密着性の点から、1〜20mW/cm
2である。紫外線の照射時間は、1〜600秒であることが好ましく、より好ましくは、5〜300秒であり、特に好ましくは、液晶表示素子の光学特性及び液晶層と液晶配向膜との密着性の点から、5〜120秒である。
更に、紫外線を照射する際の処理対象物、即ち、前記の液晶組成物注入セルの表面温度は、0〜100℃であることが好ましく、より好ましくは、10〜50℃である。特に好ましくは、15〜30℃である。
【0153】
以上のようにして、特定紫外線照射装置を用いて作製され、液晶、重合性化合物及び特定化合物を含有する液晶組成物、及び特定側鎖構造を有する特定重合体を含む液晶配向処理剤から得られた液晶配向膜を用いることで、良好な光学特性、すなわち、電圧無印加時の透明性と電圧印加時の散乱特性が良好で、更には、液晶層と液晶配向膜との密着性が高い液晶表示素子を得ることができる。
【実施例】
【0154】
以下に実施例を挙げ、本発明を更に具体的に説明するが、これらに限定されるものではない。以下で用いる略語は以下の通りである。
(特定化合物)
【化38】
【0155】
(液晶)
L1:MLC−6608(メルク社製)
【0156】
(重合性化合物)
【化39】
(R4:フェニルグリシジルエーテルアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー)
【0157】
(光開始剤)
【化40】
【0158】
(有機リン酸化合物)
X1:テトラフェニルジプロピレングリコールジホスフェイト
(特定側鎖型ジアミン(1))
【化41】
【0159】
(特定側鎖型ジアミン(2))
【化42】
【0160】
(第3のジアミン)
【化43】
(その他のジアミン)
【化44】
【0161】
(特定テトラカルボン酸成分)
【化45】
【0162】
<ポリシロキサン系重合体を作製するためのモノマー>
F1:下記F1で表される化合物
F2:オクタデシルトリエトキシシラン
F3:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
F4:3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン
F5:テトラエトキシシラン
【化46】
【0163】
<特定発生剤>
【化47】
【0164】
<特定密着性化合物>
【化48】
【0165】
<特定架橋性化合物>
【化49】
【0166】
<溶媒>
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
NEP:N−エチル−2−ピロリドン
γ−BL:γ−ブチロラクトン
BCS:エチレングリコールモノブチルエーテル
PB:プロピレングリコールモノブチルエーテル
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
ECS:エチレングリコールモノエチルエーテル
EC:ジエチレングリコールモノエチルエーテル
【0167】
「ポリイミド系重合体の分子量測定」
常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(GPC−101)(昭和電工社製)、カラム(KD−803,KD−805)(Shodex社製)を用いて、以下のようにして測定した。
カラム温度:50℃
溶離液:N,N’−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・H
2O)が30mmol/L(リットル)、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量;約900,000、150,000、100,000及び30,000)(東ソー社製)及びポリエチレングリコール(分子量;約12,000、4,000及び1,000)(ポリマーラボラトリー社製)。
【0168】
「ポリイミド系重合体のイミド化率の測定」
ポリイミド粉末20mgをNMR(核磁気共鳴)サンプル管(NMRサンプリングチューブスタンダード,φ5(草野科学社製))に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6,0.05質量%TMS(テトラメチルシラン)混合品)(0.53ml)を添加し、超音波をかけて完全に溶解させた。この溶液をNMR測定機(JNW−ECA500)(日本電子データム社製)にて500MHzのプロトンNMRを測定した。イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピーク積算値と、9.5ppm〜10.0ppm付近に現れるアミド酸のNH基に由来するプロトンピーク積算値とを用い以下の式によって求めた。
イミド化率(%)=(1−α・x/y)×100
(xはアミド酸のNH基由来のプロトンピーク積算値、yは基準プロトンのピーク積算値、αはポリアミド酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミド酸のNH基プロトン1個に対する基準プロトンの個数割合である。)
【0169】
「ポリイミド系重合体の合成」
<合成例1>
E1(3.50g,17.8mmol)、A2(2.85g,7.22mmol)、B2(1.92g,5.42mmol)及びC1(0.83g,5.46mmol)をPGME(27.3g)中で混合し、40℃で30時間反応させてポリアミド酸溶液(1)(樹脂固形分濃度(Rc:25質量%)を得た。このポリアミド酸の数平均分子量(Mn)は11,100、重量平均分子量(Mw)は46,300であった。
【0170】
<合成例2>
E2(1.98g,7.91mmol)、A1(3.05g,8.01mmol)、B1(1.27g,4.81mmol)及びC1(0.49g,3.22mmol)をNMP(16.7g)中で混合し、50℃で8時間反応させた後、E1(1.55g,7.90mmol)とNMP(8.33g)を加え、40℃で8時間反応させてポリアミド酸溶液(2)(Rc:25質量%)を得た。このポリアミド酸のMnは21,000、Mwは62,700であった。
【0171】
<合成例3>
合成例2で得られたポリアミド酸溶液(2)(30.0g)に、NMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(3.90g)及びピリジン(2.40g)を加え、50℃で4時間反応させた。この反応溶液をメタノール(460ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、60℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(3)を得た。このポリイミドのイミド化率は58%であり、Mnは18,800、Mwは50,100であった。
【0172】
<合成例4>
E2(1.02g,4.08mmol)、A2(2.28g,5.78mmol)、B2(1.76g,4.97mmol)及びC2(1.18g,5.80mmol)をNMP(17.3g)中で混合し、50℃で8時間反応させた後、E1(2.40g,12.2mmol)とNMP(8.64g)を加え、40℃で8時間反応させて、ポリアミド酸溶液(Rc:25質量%)を得た。
得られたポリアミド酸溶液(30.0g)に、NMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(3.85g)及びピリジン(2.45g)を加え、50℃で4時間反応させた。この反応溶液をメタノール(460ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、60℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(4)を得た。このポリイミドのイミド化率は60%であり、Mnは17,200、Mwは48,900であった。
【0173】
<合成例5>
E2(2.11g,8.43mmol)、A4(2.10g,4.26mmol)、B1(0.90g,3.41mmol)及びC1(1.43g,9.40mmol)をNEP(16.4g)中で混合し、50℃で8時間反応させた後、E1(1.65g,8.41mmol)とNEP(8.18g)を加え、40℃で8時間反応させてポリアミド酸溶液(Rc:25質量%)を得た。
得られたポリアミド酸溶液(30.0g)に、NMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(3.85g)及びピリジン(2.40g)を加え、50℃で2時間反応させた。この反応溶液をメタノール(460ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、60℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(5)を得た。このポリイミドのイミド化率は49%であり、Mnは16,500、Mwは46,300であった。
【0174】
<合成例6>
E3(3.55g,15.8mmol)、A2(2.85g,7.22mmol)、B1(0.85g,3.22mmol)、C2(0.82g,4.03mmol)及びD1(0.17g,1.57mmol)をNMP(24.7g)中で混合し、40℃で12時間反応させてポリアミド酸溶液(Rc:25質量%)を得た。
得られたポリアミド酸溶液(30.0g)にNMPを加え、6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(3.85g)及びピリジン(2.40g)を加え、50℃で4.5時間反応させた。この反応溶液をメタノール(460ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、60℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(6)を得た。このポリイミドのイミド化率は64%であり、Mnは15,600、Mwは46,500であった。
【0175】
<合成例7>
E3(3.55g,15.8mmol)、A4(1.98g,4.02mmol)、B2(2.27g,6.40mmol)及びC1(0.85g,5.59mmol)をNMP(26.0g)中で混合し、40℃で12時間反応させてポリアミド酸溶液(Rc:25質量%)を得た。
得られたポリアミド酸溶液(30.0g)にNMPを加え、6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(3.90g)及びピリジン(2.50g)を加え、50℃で2時間反応させた。この反応溶液をメタノール(460ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、60℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(7)を得た。このポリイミドのイミド化率は50%であり、Mnは18,100、Mwは49,900であった。
【0176】
<合成例8>
E4(2.22g,7.39mmol)、A3(2.27g,5.25mmol)、B1(0.40g,1.51mmol)、B2(1.06g,2.99mmol)及びC1(0.80g,5.26mmol)をNMP(16.4g)中で混合し、40℃で12時間反応させた後、E1(1.45g,7.39mmol)とNMP(8.19g)を加え、40℃で8時間反応させてポリアミド酸溶液(Rc:25質量%)を得た。
得られたポリアミド酸溶液(30.0g)に、NMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(4.50g)及びピリジン(3.10g)を加え、50℃で4時間反応させた。この反応溶液をメタノール(460ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、60℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(8)を得た。このポリイミドのイミド化率は71%であり、Mnは16,500、Mwは44,600であった。
【0177】
<合成例9>
E5(1.57g,7.40mmol)、A2(2.96g,7.50mmol)、B2(1.59g,4.49mmol)及びC2(0.61g,3.00mmol)をPGME(16.4g)中で混合し、50℃で24時間反応させた後、E1(1.45g,7.39mmol)とPGME(8.18g)を加え、40℃で8時間反応させてポリアミド酸溶液(9)(Rc:25質量%)を得た。このポリアミド酸のMnは10,300、Mwは50,100であった。
【0178】
<合成例10>
E2(1.98g,7.91mmol)、A5(3.02g,8.02mmol)、B1(1.27g,4.81mmol)及びC1(0.49g,3.22mmol)をNMP(16.6g)中で混合し、50℃で8時間反応させた後、E1(1.55g,7.90mmol)とNMP(8.30g)を加え、40℃で8時間反応させてポリアミド酸溶液(Rc:25質量%)を得た。
得られたポリアミド酸溶液(30.0g)に、NMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(3.90g)及びピリジン(2.40g)を加え、50℃で4時間反応させた。この反応溶液をメタノール(460ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、60℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(10)を得た。このポリイミドのイミド化率は59%であり、Mnは17,200、Mwは49,800であった。
【0179】
<合成例11>
E2(3.19g,12.7mmol)、C1(0.79g,5.19mmol)及びD1(2.23g,20.6mmol)をNMP(17.4g)中で混合し、50℃で8時間反応させた後、E1(2.50g,12.7mmol)とNMP(8.71g)を加え、40℃で8時間反応させてポリアミド酸溶液(11)(Rc:25質量%)を得た。このポリアミド酸のMnは24,900、Mwは76,600であった。
【0180】
<合成例12>
合成例11で得られたポリアミド酸溶液(11)(30.0g)に、NMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(3.90g)及びピリジン(2.40g)を加え、50℃で4時間反応させた。この反応溶液をメタノール(460ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、60℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(12)を得た。このポリイミドのイミド化率は59%であり、Mnは22,300、Mwは58,600であった。
合成例で得られたポリイミド系重合体を表12に示す。
【0181】
【表12】
*1:ポリアミド酸
【0182】
「ポリシロキサン系重合体の合成」
<合成例13>
温度計及び還流管を備え付けた200mlの四つ口反応フラスコ中で、ECS(28.3g)、F1(4.10g)、F3(7.45g)及びF5(32.5g)を混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予めECS(14.2g)、水(10.8g)、及び触媒として蓚酸(0.70g)を混合して調製しておいた溶液を、25℃にて30分かけて滴下し、更に25℃にて30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、予め調製しておいたF4の含有量が92質量%のメタノール溶液(1.20g)とECS(0.90g)の混合溶液を加えた。更に30分間還流させた後、放冷してポリシロキサン溶液(1)(SiO
2換算濃度(Sc):12質量%)を得た。
【0183】
<合成例14>
温度計及び還流管を備え付けた200mlの四つ口反応フラスコ中で、EC(25.4g)、F1(8.20g)、F3(19.9g)及びF5(20.0g)を混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予めEC(12.7g)、水(10.8g)、及び触媒として蓚酸(1.10g)を混合して調製しておいた溶液を、25℃にて30分かけて滴下し、更に25℃にて30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、予め調製しておいたF4の含有量92質量%のメタノール溶液(1.20g)とEC(0.90g)の混合溶液を加えた。更に30分間還流させた後、放冷してポリシロキサン溶液(2)(Sc:12質量%)を得た。
【0184】
<合成例15>
温度計及び還流管を備え付けた200mlの四つ口反応フラスコ中で、EC(29.2g)、F1(4.10g)及びF5(38.8g)を混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予めEC(14.6g)、水(10.8g)、及び触媒として蓚酸(0.50g)を混合して調製しておいた溶液を、25℃にて30分かけて滴下し、更に25℃にて30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、予め調製しておいたF4の含有量92質量%のメタノール溶液(1.20g)とEC(0.90g)の混合溶液を加えた。更に30分間還流させた後、放冷してポリシロキサン溶液(3)(Sc:12質量%)を得た。
【0185】
<合成例16>
温度計及び還流管を備え付けた200mlの四つ口反応フラスコ中で、ECS(28.3g)、F2(4.07g)、F3(7.45g)及びF5(32.5g)を混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予めECS(14.2g)、水(10.8g)、及び触媒として蓚酸(0.70g)を混合して調製しておいた溶液を、25℃にて30分かけて滴下し、更に25℃にて30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、予め調製しておいたF4の含有量が92質量%のメタノール溶液(1.20g)とECS(0.90g)の混合溶液を加えた。更に30分間還流させた後、放冷してポリシロキサン溶液(4)(Sc:12質量%)を得た。
各合成例で得られたポリシロキサン系重合体を表13に示す。
【0186】
【表13】
【0187】
「液晶組成物の調製」
液晶組成物(1):L1(2.40g)、R1(1.20g)、R2(1.20g)、S1(0.024g)及びP1(0.012g)を混合して得た。
液晶組成物(2):L1(2.40g)、R1(1.20g)、R2(1.20g)、S1(0.168g)及びP1(0.012g)を混合して得た。
液晶組成物(3):L1(2.40g)、R1(0.60g)、R2(0.60g)、R3(0.60g)、R4(0.60g)、S1(0.168g)及びP1(0.012g)を混合して得た。
【0188】
液晶組成物(4):L1(2.40g)、R1(0.60g)、R2(0.60g)、R3(0.60g)、R4(0.60g)、S2(0.048g)及びP1(0.012g)を混合して得た。
液晶組成物(5):L1(2.40g)、R1(0.60g)、R2(0.60g)、R3(0.60g)、R4(0.60g)、S1(0.168g)、P1(0.012g)及びX1(0.012g)を混合して得た。
液晶組成物(6):L1(2.40g)、R1(1.20g)、R2(1.20g)及びP1(0.012g)を混合して得た。
【0189】
「液晶表示素子の作製(ガラス基板)」
実施例4、12、13、18、19、22、及び比較例1、2、5、6、9、10で得られた液晶配向処理剤を、細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過した。得られた溶液を純水及びIPA(イソプロピルアルコール)で洗浄したITO電極付きガラス基板(縦:100mm、横:100mm、厚さ:0.7mm)のITO面上にスピンコートし、ホットプレート上にて100℃で5分間、熱循環型クリーンオーブンにて210℃で30分間加熱処理をして、膜厚が100nmの液晶配向膜付きのITO基板を得た。このITO基板を2枚用意し、その一方の基板の液晶配向膜面に、スペーサー(粒径6μm、触媒化成社製)を塗布した。その後、その基板のスペーサーを塗布した液晶配向膜面に、ODF(One Drop Filling)法にて前記の液晶組成物を滴下し、次いで、他方の基板の液晶配向膜面が向き合うように貼り合わせを行い、処理前の液晶表示素子を得た。
【0190】
この処理前の液晶表示素子に、
図2で示される紫外線発光ダイオードを光源に持つ特定紫外線照射装置(特定紫外線照射装置ともいう)を用いて、紫外線を照射した。具体的には、紫外線発光ダイオードの光源の波長は365nmであり、紫外線の強度が10mW/cm
2、照射時間が60秒、更に基板表面の温度を20℃に制御した。
また、比較例5、9では、処理前の液晶表示素子に、メタルハライドランプを光源に持つ紫外線照射装置を用いて、紫外線の照射を行った。具体的には、紫外線の強度が30mW/cm
2、350nm以下の波長をカットするようなカットフィルターを介して紫外線を照射し、照射時間を30秒とした。その際、基板表面の温度は制御しなかったが、およそ50℃まで温度上昇することを確認した。
これにより、液晶表示素子(リバース型素子)(ガラス基板)を得た。この液晶表示素子を用いて、液晶配向性の評価を行った。液晶配向性は、本素子を偏光顕微鏡(ECLIPSE E600WPOL、ニコン社製)で観察し、液晶が垂直に配向しているかどうかを確認した。実施例の液晶表示素子は、液晶は垂直に配向していた。一方、比較例1及び2の液晶表示素子においては、液晶が垂直に配向していなかった。
【0191】
「液晶表示素子の作製(プラスチック基板)」
実施例1〜3、5〜11、14〜17、20、21、汚帯比較例3、4、7、8で得られた液晶配向処理剤を、細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過した。得られた溶液を純水で洗浄したITO電極付きPET(ポリエチレンテレフタレート)基板(縦:150mm、横:150mm、厚さ:0.2mm)のITO面上にバーコーターにて塗布をし、ホットプレート上にて100℃で5分間、熱循環型クリーンオーブンにて120℃で2分間加熱処理をして、膜厚が100nmの液晶配向膜付きのITO基板を得た。このITO基板を2枚用意し、その一方の基板の液晶配向膜面に、スペーサー(粒径6μm、触媒化成社製)を塗布した。その後、その基板のスペーサーを塗布した液晶配向膜面に、ODF法にて液晶組成物を滴下し、次いで、他方の基板の液晶配向膜面が向き合うように貼り合わせを行い、処理前の液晶表示素子を得た。
【0192】
この処理前の液晶表示素子に、
図2で示される紫外線発光ダイオードを光源に持つ特定紫外線照射装置を用いて、紫外線を照射した。具体的には、紫外線発光ダイオードの光源の波長が365nmであり、紫外線の強度が10mW/cm
2、照射時間が60秒、更に基板表面の温度を20℃に制御した。
また、比較例7においては、上記処理前の液晶表示素子に、メタルハライドランプを光源に持つ紫外線照射装置を用いて、紫外線の照射を行った。具体的には、紫外線の強度が30mW/cm
2、350nm以下の波長をカットするようなカットフィルターを介して紫外線を照射し、照射時間が30秒とした。その際、基板表面の温度は制御しなかったが、およそ50℃まで温度上昇することを確認した。
【0193】
これにより、液晶表示素子(リバース型素子)(プラスチック基板)を得た。
この液晶表示素子を用いて、液晶配向性の評価を行った。液晶配向性は、本素子を偏光顕微鏡(ECLIPSE E600WPOL)(ニコン社製)で観察し、液晶が垂直に配向しているかどうかを確認した。実施例の液晶表示素子は、液晶は垂直に配向していた。一方、比較例3、4の液晶表示素子においては、液晶が垂直に配向していなかった。
【0194】
「光学特性(透明性と散乱特性)の評価」
前記手法で得られた液晶表示素子(ガラス基板,プラスチック基板)を用いて、光学特性(透明性と散乱特性)の評価を行った。
電圧無印加時の透明性の評価は、電圧無印加状態での液晶表示素子(ガラス基板及びプラスチック基板)の透過率を測定することで行った。具体的には、測定装置にUV−3600(島津製作所社製)、温度25℃、スキャン波長を300〜800nmの条件で測定した。その際、液晶表示素子(ガラス基板)の場合は、リファレンスに上記ITO電極付きガラス基板を用い、液晶表示素子(プラスチック基板)の場合は、上記のITO電極付きPET基板を用いた。評価は、450nmの波長の透過率を基準として、透過率が高いものほど、透明性に優れるとした。
【0195】
また、温度80℃、湿度90%RHの恒温恒湿槽内に36時間保管した後の透過率の評価も行った。液晶表示素子作製直後の透過率(初期値)に対して、恒温恒湿槽内に保管後の透過率の低下割合が低いものほど、本評価に優れるとした。
更に、卓上型UV硬化装置(HCT3B28HEX−1、センライト社製)を用いて、365nm換算で5J/cm
2の紫外線を照射した後の透過率の評価も行った。
更に、実施例1〜3、5〜8、14〜19及び22においては、上記の標準試験に加えて、強調試験として、温度80℃、湿度90%RHの恒温恒湿槽内に72時間保管した後の透過率の評価も行った。なお、評価方法は、上記と同様の条件である。
【0196】
電圧印加時の散乱特性の評価は、液晶表示素子(ガラス基板)に、交流駆動で30Vを印加し、液晶の配向状態を目視観察することで行った。液晶表示素子が白濁したもの、すなわち、散乱特性が得られたものを、本評価に優れるとした(表中の良好表示)。
また、温度80℃、湿度90%RHの恒温恒湿槽内に36時間保管した後の液晶の配向状態の確認も行った。
更に、卓上型UV硬化装置(HCT3B28HEX−1、センライト社製)を用いて、365nm換算で5J/cm
2の紫外線を照射した後の液晶の配向状態の確認も行った。
液晶表示素子の作製直後(初期)、恒温恒湿槽内保管後(恒温恒湿)及び紫外線照射後(紫外線)の透過率(%)、及び散乱特性の結果を表18〜表20に示す。
【0197】
「液晶層と液晶配向膜との密着性の評価」
前記手法で得られた液晶表示素子(ガラス基板、プラスチック基板)を用いて、液晶層と液晶配向膜との密着性の評価を行った。
液晶表示素子(ガラス基板、プラスチック基板)を、温度80℃、湿度90%RHの恒温恒湿槽内に36時間保管し、液晶表示素子内の気泡の有無及び素子の剥離を確認した。具体的には、素子内に気泡が見られずに素子の剥離(液晶層と液晶配向膜とが剥がれている状態)が起こっていないものを、本評価に優れるとした(表中の良好表示)。
【0198】
また、液晶表示素子(ガラス基板、プラスチック基板)に、卓上型UV硬化装置(HCT3B28HEX−1)(センライト社製)を用いて、365nm換算で5J/cm
2の紫外線を照射した後の液晶表示素子内の気泡の有無及び素子の剥離も確認した。
更に、実施例1〜3、5〜8、14〜19、22においては、上記の標準試験に加えて、強調試験として、温度80℃、湿度90%RHの恒温恒湿槽内に72時間保管した後の密着性の評価も行った。なお、評価方法は、上記と同様の条件である。
恒温恒湿槽内保管後(恒温恒湿)及び紫外線照射後(紫外線)の液晶層と液晶配向膜との密着性の結果(密着性)を、表21〜表23に示す。
【0199】
<実施例1>
合成例1で得られたポリアミド酸溶液(1)(5.50g)に、PGME(20.7g)及びγ−BL(4.38g)を加え、25℃で4時間攪拌して、液晶配向処理剤(1)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出等の異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。この液晶配向処理剤(1)と液晶組成物(2)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。
【0200】
<実施例2>
合成例1で得られたポリアミド酸溶液(1)(5.50g)に、N1(0.069g)、M1(0.207g)、K1(0.097g)、PGME(20.7g)及びγ−BL(4.38g)を加え、25℃で6時間攪拌して、液晶配向処理剤(2)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出等の異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。この液晶配向処理剤(2)と液晶組成物(2)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。
<実施例3>
実施例2の液晶配向処理剤(2)と液晶組成物(3)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。
【0201】
<実施例4>
合成例2で得られたポリアミド酸溶液(2)(5.50g)に、NMP(11.9g)及びBCS(13.1g)を加え、25℃で4時間攪拌して、液晶配向処理剤(3)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出等の異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。この液晶配向処理剤(3)と液晶組成物(1)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。
【0202】
<実施例5>
合成例3で得られたポリイミド粉末(3)(1.50g)に、γ−BL(3.18g)及びPGME(28.7g)を加え、60℃にて24時間攪拌して、液晶配向処理剤(4)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出等の異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。この液晶配向処理剤(4)と液晶組成物(1)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。
【0203】
<実施例6>
合成例4で得られたポリイミド粉末(4)(1.50g)に、γ−BL(6.37g)及びPGME(25.5g)を加え、60℃にて24時間攪拌して、液晶配向処理剤(5)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出等の異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。この液晶配向処理剤(5)と液晶組成物(1)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。
【0204】
<実施例7>
実施例6の液晶配向処理剤(5)と液晶組成物(2)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。
<実施例8>
実施例6の液晶配向処理剤(5)と液晶組成物(3)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。
【0205】
<実施例9>
合成例4で得られたポリイミド粉末(4)(1.50g)に、γ−BL(6.37g)及びPGME(25.5g)を加え、60℃にて24時間攪拌した。その後、N1(0.105g)、M1(0.45g)及びK1(0.075g)を加え、25℃で4時間攪拌して、液晶配向処理剤(6)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出等の異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。この液晶配向処理剤(6)と液晶組成物(5)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。
【0206】
<実施例10>
合成例5で得られたポリイミド粉末(5)(1.55g)に、γ−BL(8.22g)及びPGME(24.7g)を加え、60℃にて24時間攪拌した。その後、N1(0.047g)、M1(0.155g)及びK1(0.078g)を加え、25℃で4時間攪拌して、液晶配向処理剤(7)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出等の異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。この液晶配向処理剤(7)と液晶組成物(4)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。
【0207】
<実施例11>
合成例6で得られたポリイミド粉末(6)(1.50g)に、γ−BL(3.18g)及びPGME(28.7g)を加え、60℃にて24時間攪拌した。その後、N1(0.075g)及びK1(0.105g)を加え、25℃で4時間攪拌して、液晶配向処理剤(8)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出等の異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。この液晶配向処理剤(8)と液晶組成物(3)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。
【0208】
<実施例12>
合成例7で得られたポリイミド粉末(7)(1.50g)に、γ−BL(12.7g)、BCS(9.55g)及びPB(9.55g)を加え、60℃にて24時間攪拌した。その後、N1(0.105g)、M2(0.075g)及びK1(0.075g)を加え、25℃で4時間攪拌して、液晶配向処理剤(9)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出等の異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。この液晶配向処理剤(9)と液晶組成物(5)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。
【0209】
<実施例13>
合成例8で得られたポリイミド粉末(8)(1.50g)に、NEP(15.9g)、BCS(6.37g)及びPB(9.55g)を加え、60℃にて24時間攪拌した。その後、N1(0.075g)及びK1(0.045g)を加え、25℃で4時間攪拌して、液晶配向処理剤(10)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出等の異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。この液晶配向処理剤(10)と液晶組成物(4)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。
【0210】
<実施例14>
合成例9で得られたポリアミド酸溶液(9)(5.50g)に、PGME(22.1g)及びγ−BL(2.92g)を加え、25℃で4時間攪拌して、液晶配向処理剤(11)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出等の異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。この液晶配向処理剤(11)と液晶組成物(2)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。
【0211】
<実施例15>
実施例14の液晶配向処理剤(11)と液晶組成物(3)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。
<実施例16>
実施例14の液晶配向処理剤(11)と液晶組成物(5)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。
【0212】
<実施例17>
合成例10で得られたポリイミド粉末(10)(1.50g)に、γ−BL(3.18g)及びγ−BL(28.7g)を加え、60℃にて24時間攪拌して、液晶配向処理剤(12)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出等の異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。この液晶配向処理剤(12)と液晶組成物(1)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。
【0213】
<実施例18>
合成例13で得られたポリシロキサン溶液(1)(12.5g)に、ECS(1.73g)、BCS(9.55g)及びPB(9.55g)を加え、25℃で4時間攪拌して、液晶配向処理剤(13)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出等の異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。この液晶配向処理剤(13)と液晶組成物(2)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。
<実施例19>
実施例18の液晶配向処理剤(13)と液晶組成物(3)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。
【0214】
<実施例20>
合成例14で得られたポリシロキサン溶液(2)(12.0g)に、N1(0.072g)、M1(0.288g)、EC(0.14g)、PB(10.7g)及びPGME(9.17g)を加え、25℃で4時間攪拌して、液晶配向処理剤(14)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出等の異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。この液晶配向処理剤(14)と液晶組成物(5)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。
【0215】
<実施例21>
合成例15で得られたポリシロキサン溶液(3)(12.0g)に、EC(0.14g)、PB(10.7g)及びPGME(9.17g)を加え、25℃で4時間攪拌して、液晶配向処理剤(15)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出等の異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。この液晶配向処理剤(15)と液晶組成物(4)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。
【0216】
<実施例22>
合成例16で得られたポリシロキサン溶液(4)(12.0g)に、ECS(1.66g)、BCS(9.17g)及びPB(9.17g)を加え、25℃で4時間攪拌して、液晶配向処理剤(16)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出等の異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。この液晶配向処理剤(16)と液晶組成物(2)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。
【0217】
<比較例1>
合成例11で得られたポリアミド酸溶液(11)(5.50g)に、NMP(11.9g)及びBCS(13.1g)を加え、25℃で4時間攪拌して、液晶配向処理剤(17)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出等の異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。この液晶配向処理剤(17)と液晶組成物(1)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。
【0218】
<比較例2>
比較例1の液晶配向処理剤(17)と液晶組成物(6)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。
<比較例3>
合成例12で得られたポリイミド粉末(12)(1.50g)に、γ−BL(3.18g)及びPGME(28.7g)を加え、60℃にて24時間攪拌して、液晶配向処理剤(18)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出等の異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。この液晶配向処理剤(18)と液晶組成物(1)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。
【0219】
<比較例4>
比較例3の液晶配向処理剤(18)と液晶組成物(6)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。
<比較例5>
実施例4の液晶配向処理剤(3)と液晶組成物(1)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。なお、紫外線照射装置には、前記メタルハライドランプ型紫外線照射装置を用いた。
【0220】
<比較例6>
実施例4の液晶配向処理剤(3)と液晶組成物(6)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。
<比較例7>
実施例5の液晶配向処理剤(4)と液晶組成物(1)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。なお、紫外線照射装置には、前記メタルハライドランプ型紫外線照射装置を用いた。
【0221】
<比較例8>
実施例5の液晶配向処理剤(4)と液晶組成物(6)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。
<比較例9>
実施例18の液晶配向処理剤(13)と液晶組成物(2)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。なお、紫外線照射装置には、前記メタルハライドランプ型紫外線照射装置を用いた。
<比較例10>
実施例18の液晶配向処理剤(13)と液晶組成物(6)を用いて作製した液晶表示素子の評価を行った。
【0222】
【表14】
【0223】
【表15】
【0224】
【表16】
【0225】
【表17】
*1:全重合体100質量部に対する特定発生剤の含有量(質量部)を示す。
*2:全重合体100質量部に対する特定密着性化合物の含有量(質量部)を示す。
*3:全重合体100質量部に対する特定架橋性化合物の含有量(質量部)を示す。
【0226】
【表18】
【0227】
【表19】
【0228】
【表20】
*1:液晶が垂直に配向していなかった。*2:素子内の極一部の箇所に、液晶配向性の乱れが見られた。*3:素子内の数箇所に、液晶配向性の乱れが見られた(*2よりも箇所が多い)。*4:素子内に、液晶配向性の乱れが見られた(*3よりも箇所が多い)。
【0229】
【表21】
【0230】
【表22】
【0231】
【表23】
*1:液晶が垂直に配向していなかったため、評価ができなかった。*2:素子内に、極少量の気泡が見られた。*3:素子内に、少量の気泡が見られた(*2よりも多い)。*4:素子内に、多くの気泡が見られた(*3よりも多い)。
【0232】
上記からわかるように、実施例の液晶表示素子は、比較例に比べて、良好な光学特性、すなわち、初期、恒温恒湿槽内保管後、及び紫外線照射後における電圧無印加時の透明性が良好で、液晶層と液晶配向膜の密着性も高かった。液晶表示素子の基板に、プラスチック基板を用いた場合も、これらの特性が良好であった。
特に、特定紫外線照射装置を用いた実施例は、メタルハライド型紫外線照射装置を用いた比較例に比べて、液晶表示素子の電圧無印加時の透明性が高く、恒温恒湿槽内保管後及び紫外線照射後の散乱特性に優れた。具体的には、同一の条件での比較である、実施例4と比較例5、実施例5と比較例7、及び実施例18と比較例9との比較である。
【0233】
液晶組成物中に、特定化合物を含む実施例は、それを含まない比較例に比べて、特に、液晶表示素子の電圧無印加時の透明性が高い結果となった。具体的には、同一の条件での比較である、実施例4と比較例6、実施例5と比較例8、及び実施例18と比較例10との比較である。
特定側鎖構造(1)を含まない重合体を含む液晶配向処理剤を用いた比較例では、液晶が垂直に配向しなかった。具体的には、比較例1〜4である。
【0234】
液晶組成物中の特定化合物の量が多い場合は、少ない場合に比べて、液晶表示素子の電圧無印加時の透明性が、より高かった。具体的には、同一の条件での比較である、実施例6と7との比較である。
また、液晶組成物中に、多官能チオール化合物とウレタンアクリレートを含有せしめた場合は、含有しない場合に比べて、液晶表示素子における液晶層と液晶配向膜との密着性が、より改善する結果となった。具体的には、実施例7と実施例8、実施例14と実施例15、及び実施例18と実施例19との比較である。
【0235】
特定側鎖構造のなかで、式[2−1]の構造を有するジアミンを用いた場合は、式[2−2]の構造を有するジアミンを用いた場合に比べて、液晶表示素子の電圧無印加時の透明性が高くなり、強調試験で行った長時間、恒温恒湿槽内に保管した後においても、電圧無印加時の透明性が高くなった。更に、液晶層と液晶配向膜との密着性の評価において、式[2−1]の構造を有するジアミンを用いた場合は、強調試験で行った長時間、恒温恒湿槽内に保管した後においても、これらの密着性が高い結果となった。具体的には、同一条件での比較である、実施例5と実施例17、及び実施例18と比較例22との比較である。
【0236】
更に、液晶配向処理剤に、特定発生剤、特定密着性化合物及び特定架橋性化合物を含有せしめると、それらを含有しない場合に比べて、液晶表示素子における液晶層と液晶配向膜との密着性が、より改善する結果となった。具体的には、同一条件での比較である、実施例1と実施例2との比較である。