(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光を発する第1発光部と光を受ける第1受光部とを備える第1発光装置との間と、光を発する第2発光部を備える第2発光装置との間と、で通信を行う通信装置に接続可能な接続部と、
前記第1発光部から光を発するように指示するための第1信号と、前記第1信号により前記第1発光部から光が発しない場合において、前記第1受光部で前記第2発光部からの光を受けることにより前記第1発光部から光を発するために前記第1受光部で前記第2発光部からの光を待ち受ける期間を示す第2信号と、を前記接続部に接続された前記通信装置に出力する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第2信号を、前記第1信号よりも前に前記通信装置に出力するカメラ。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態による撮影システムの構成を例示する図である。
図1の撮影システムは、マスター無線アダプタ10および電子閃光装置20がそれぞれ装着されたカメラ30と、リモート無線アダプタ10Aが装着された電子閃光装置20Aと、リモート無線アダプタ10Bが装着された電子閃光装置20Bと、リモート無線アダプタ10Cが装着された電子閃光装置20Cと、によって多灯フラッシュ撮影システムを構成する。
【0009】
電子閃光装置20、および電子閃光装置20A〜電子閃光装置20Cは、それぞれがカメラ30のアクセサリシューと嵌合するカメラ取り付け脚を有する。
図1の例では、電子閃光装置20のみがカメラ取り付け脚によって直接カメラ30に装着され、電子閃光装置20A〜20Cは、カメラ取り付け脚によってリモート無線アダプタ10A〜10Cにそれぞれ装着される。なお、電子閃光装置の中にリモート無線アダプタを内蔵させてもよい。
【0010】
マスター無線アダプタ10は、カメラ30の側面の接続端子(不図示)に装着される。リモート無線アダプタ10A〜10Cは、それぞれ上記電子閃光装置20A〜20Cのカメラ取り付け脚と嵌合するアクセサリシューを有する。リモート無線アダプタ10A〜10Cのアクセサリシューに、電子閃光装置20A〜20Cが装着される。
【0011】
カメラ30に直接装着された電子閃光装置20は、アクセサリシューに備えられる不図示の端子を介してカメラ30との間で有線通信する。カメラ30の側面に装着されたマスター無線アダプタ10は、不図示の接続端子を介してカメラ30との間で有線通信する。
【0012】
マスター無線アダプタ10は、リモート無線アダプタ10A、リモート無線アダプタ10B、およびリモート無線アダプタ10Cとの間で無線通信を行う。
【0013】
リモート無線アダプタ10Aと電子閃光装置20Aとは、リモート無線アダプタ10Aのアクセサリシューに備えられる不図示の端子を介して有線通信する。リモート無線アダプタ10Bと電子閃光装置20Bとは、リモート無線アダプタ10Bのアクセサリシューに備えられる不図示の端子を介して有線通信する。リモート無線アダプタ10Cと電子閃光装置20Cとは、リモート無線アダプタ10Cとアクセサリシューに備えられる不図示の端子を介して有線通信する。
【0014】
なお、
図1の構成は、1台のカメラ30と4台の電子閃光装置20、20A〜20Cで構成する多灯フラッシュ撮影システムであって、電子閃光装置20および20AをグループAとし、電子閃光装置20BをグループBとし、電子閃光装置20CをグループCとする場合を例示する。電子閃光装置の総数は4台でなくてもよく、3台でも8台でもよい。また、各グループを構成する電子閃光装置の数は適宜変更して構わない。さらにまた、カメラ30のアクセサリシューに直接接続する電子閃光装置20を使わずに、無線通信を行う電子閃光装置20A〜20Cのみを用いて多灯フラッシュ撮影システムを構成してもよい。
【0015】
図2は、カメラ30、マスター無線アダプタ10、電子閃光装置20、リモート無線アダプタ10A、および電子閃光装置20Aの構成を例示するブロック図である。本実施形態では、マスター無線アダプタ10およびリモート無線アダプタ10Aの回路構成を同一にしたため、両無線アダプタ間で共通するブロックに対して同一符号を付して説明する。
【0016】
また、
図2における図示を省略しているが、リモート無線アダプタ10Bおよび電子閃光装置20Bの構成と、リモート無線アダプタ10Cおよび電子閃光装置20Cの構成は、それぞれリモート無線アダプタ10Aおよび電子閃光装置20Aの構成と同様である。
【0017】
<電子閃光装置>
図2において、電子閃光装置20および20Aは、それぞれキセノン管などの発光管201と、発光制御回路202と、CPU203とを含む。CPU203は、接続されている外部機器のCPU(リモート無線アダプタ10AのCPU105、またはカメラ30のCPU306)との間で有線通信を行いながら、発光管201の発光を制御する。発光制御回路202は高電圧充電回路を含み、放電発光に必要なエネルギーを蓄積する。CPU203は、発光制御回路202に蓄積されたエネルギーを放電させることにより、発光管201を放電発光させる。
【0018】
<無線アダプタ>
マスター無線アダプタ10およびリモート無線アダプタ10Aは、それぞれ、アンテナ101と、通信回路102と、受光センサ103と、検出回路104と、CPU105とを含む。CPU105は、接続されている外部機器のCPU(電子閃光装置20AのCPU203、またはカメラ30のCPU306)との間で有線通信を行う他、他の無線アダプタと間で行う無線通信の制御と、後述する閃光待ち受け制御とを行う。
【0019】
閃光待ち受け制御は、無線による発光コマンドの通信を失敗した場合でも、他の電子閃光装置の発光光をトリガに電子閃光装置を発光し得るように、他の電子閃光装置からの光を待ち受ける処理をいう。CPU105は、閃光待ち受け時に他の電子閃光装置からの光が受光センサ103で受光された場合は、有線通信で接続されている電子閃光装置のCPU203へ発光指示を送る。
【0020】
受光センサ103は、外部(他の電子閃光装置)からの光を受光し、光電変換信号を検出回路104へ送出する。検出回路104は、CPU105から指示された待ち受け時間内に受光センサ103から光電変換信号が入力された場合に、検出信号をCPU105へ送出する。通信回路102は、CPU105からの指示に応じて、アンテナ101を介して他の無線アダプタと間で無線通信を行う。
【0021】
<カメラ>
カメラ30は、撮影レンズ301と、シャッタ302と、撮像素子303と、測光センサ304と、シャッタ駆動装置305と、CPU306と、操作部材(レリーズスイッチ含む)307とを備える。
【0022】
撮影レンズ301は、被写体像を撮像素子303の撮像面に結像させる。シャッタ302は、シャッタ駆動装置305によって開閉制御される。測光センサ304は、入射光の強さに応じた測光信号を出力する。CPU306は、測光信号に基づいて所定の露出演算を行うことにより、撮像素子303の感度、シャッタ302の開時間、および不図示の絞りの絞り値を制御する。また、CPU306は、上記測光センサ304からの出力信号に基づいて、電子閃光装置20、20A〜20Cに対する調光制御も行う。
【0023】
操作部材307は、レリーズスイッチの操作信号など、各種操作に応じた信号をCPU306へ送出する。撮像素子303で取得された画像信号は、CPU306によって所定の画像処理が施され、不図示の記録媒体に記録される。
【0024】
<多灯撮影>
多灯フラッシュ撮影を行う場合、カメラ30のCPU306は、撮影者によるレリーズスイッチ307の押下操作(撮影指示)を検出してレリーズシーケンス処理を開始させる。そして、有線通信を介してマスター無線アダプタ10へ発光指示を送出する。なお、撮影指示に先立って、リモート無線アダプタ10A〜10C(すなわち電子閃光装置20A〜20C)のうち発光対象となるリモート無線アダプタ(電子閃光装置)が、あらかじめ操作部材307の操作によって指定されているものとする。
【0025】
―カメラとマスター無線アダプタ間の有線通信―
カメラ30(CPU306)と、マスター無線アダプタ10(CPU105)との間の通信は、有線通信である。この有線通信は、カメラ30が主導して必要に応じて適宜行う。
【0026】
カメラ30とマスター無線アダプタ10との間の通信は、通常、カメラ30がマスター無線アダプタ10へコマンド(例えば、発光ゲインコマンド、発光コマンド等)およびデータを送信し、これを受信したマスター無線アダプタ10がカメラ30へ返信(ack)する。コマンドには、電子閃光装置20Aに対するもの、電子閃光装置20Bに対するもの、電子閃光装置20Cに対するものが含まれる。
【0027】
―カメラと電子閃光装置間の有線通信―
また、カメラ30(CPU306)と、電子閃光装置20(CPU203)との間の通信も有線通信である。この有線通信も、カメラ30が主導して必要に応じて適宜行う。
【0028】
カメラ30と電子閃光装置20との間の通信は、通常、カメラ30が電子閃光装置20へコマンド(発光ゲインコマンド、発光コマンド等)およびデータを送信し、これを受信した電子閃光装置20がカメラ30へ返信(ack)する。コマンドには、電子閃光装置20に対するものが含まれる。
【0029】
−マスター無線アダプタとリモート無線アダプタ間の通信−
マスター無線アダプタ10とリモート無線アダプタ10A、マスター無線アダプタ10とリモート無線アダプタ10B、およびマスター無線アダプタ10とリモート無線アダプタ10Cとの間の通信は、それぞれ無線通信である。
図3は、マスター無線アダプタ10がリモート無線アダプタ10A(リモート無線アダプタ10B、またはリモート無線アダプタ10C)との間で行う無線通信を説明する図である。
【0030】
リモート無線アダプタ1台当たりの無線通信の発生頻度は、カメラ30とマスター無線アダプタ10との間の通信の発生頻度と同じである。すなわち、カメラ30とマスター無線アダプタ10との間の有線通信の後、遅滞なくマスター無線アダプタ10と各リモート無線アダプタとの間で無線通信が行われる。
【0031】
マスター無線アダプタ10とリモート無線アダプタ10A(10Bまたは10C)との間の通信は、通常、マスター無線アダプタ10がリモート無線アダプタ10A(10Bまたは10C)へ上記コマンドおよびデータを送信し、これを受信したリモート無線アダプタ10A(10Bまたは10C)がマスター無線アダプタ10へ返信(ack)する。コマンドには、通信相手のリモート無線アダプタ10A(10Bまたは10C)に装着されている電子閃光装置20A(20Bまたは20C)に対するものが含まれる。
【0032】
−リモート無線アダプタと電子閃光装置間の通信−
各リモート無線アダプタ10A(10Bまたは10C)と、電子閃光装置20A(20Bまたは20C)との間の通信は、有線通信である。この有線通信は、各リモート無線アダプタ10A(10Bまたは10C)がマスター無線アダプタ10との無線通信の後、対応する電子閃光装置との間で直ちに行う。
【0033】
リモート無線アダプタ10A(10Bまたは10C)と電子閃光装置20A(20Bまたは20C)との間の通信は、通常、リモート無線アダプタ10A(10Bまたは10C)が対応する電子閃光装置20A(20Bまたは20C)へ上記コマンドおよびデータを送信し、これを受信した電子閃光装置20A(20Bまたは20C)がリモート無線アダプタ10A(10Bまたは10C)へ返信(ack)する。コマンドには、リモート無線アダプタ10A(10Bまたは10C)に装着されている電子閃光装置20A(20Bまたは20C)に対するものが含まれる。
【0034】
<多灯撮影時の発光タイミング>
各電子閃光装置20および20A〜20Cの発光タイミングについて、
図4を参照して説明する。
図4は、各電子閃光装置20および20A〜20Cから撮影補助光を発光させる多灯フラッシュ撮影において、TTL(through the lens)調光制御を行う場合のタイミングを例示する図である。
【0035】
発光の大まかなタイムスケジュールを説明する。時刻t0において、レリーズスイッチ307の押下操作(撮影指示)が行われると、カメラ30のCPU306がレリーズシーケンス処理を開始させる。
【0036】
TTL調光制御時のレリーズシーケンス処理では、CPU306から指示を受けたシャッタ駆動装置305がシャッタ302を開駆動させてシャッタ302の先幕が開く前に、カメラ30(CPU306)が各電子閃光装置20および20A〜20Cに対して上記グループごとに順番にモニタ発光を行わせる(時刻t3、t5、t7)。カメラ30の測光センサ304は、モニタ発光時に被写体からの反射光を受光するように制御される(調光露光)。CPU306は、測光センサ304から出力された測光信号に基づいて、電子閃光装置20および20A〜20Cの本発光時の発光量(以下、本発光量という)を演算する。
【0037】
本発光量の演算例は、以下の通りである。電子閃光装置20および20A〜20Cをいずれも発光させない状態で測光センサ304から出力された測光信号と、グループA(電子閃光装置20および電子閃光装置20A)にモニタ発光させた状態で測光センサ304から出力された測光信号との差分に基づいて、本発光に必要なグループAの発光量を演算する。同様に、グループBおよびグループCについても、それぞれ電子閃光装置20B(20C)を発光させない状態で測光センサ304から出力された測光信号と、電子閃光装置20B(20C)にモニタ発光させた状態で測光センサ304から出力された測光信号との差分に基づいて、本発光に必要なグループB(グループC)の発光量を演算する。この際、1回目のモニタ発光の光量が適切でなかった場合には、モニタ発光量を変更して再度モニタ発光させ、発光量演算を行うとよい。
【0038】
CPU306は、シャッタ302が全開している時刻t9において、電子閃光装置20および20A〜20Cに対して略同時に本発光させる(本露光)。
【0039】
以下、詳細な各電子閃光装置20および20A〜20Cの発光タイミングを説明する。時刻t0にレリーズシーケンス処理を開始させたカメラ30(CPU306)は、マスター無線アダプタ10へコマンドを送り、無線通信を介して接続される電子閃光装置20A〜20Cに対して発光準備のための無線通信を行わせる。発光準備の無線通信では、あらかじめ発光の大まかなタイムスケジュールを通知する。
【0040】
通知するタイムスケジュールには、時刻情報(無線通信を送信した時刻(起点時刻と呼ぶ))、起点時刻を基準とするグループごとのモニタ発光予定時刻および本発光予定時刻、モニタ発光量、および起点時刻を基準とするグループごとの待ち受けタイミングの情報が含まれる。
【0041】
発光準備の無線通信は、マスター無線アダプタ10から全てのリモート無線アダプタ10A(10Bまたは10C)へ送信し、全てのリモート無線アダプタ10A(10B、10C)がマスター無線アダプタ10へ返信(ack)する。カメラ30(CPU306)は、全てのリモート無線アダプタ10A(10B、10C)からの返信(ack)がマスター無線アダプタ10によって受信されることによって、発光準備の無線通信が全てのリモート無線アダプタ10A(10B、10C)で受信されたことを確認する。発光準備の無線通信は、時刻t0から時刻t1までの所定時間(例えば500msec)の間に複数回繰り返すことによって成功する確率を高める。
【0042】
<グループAに対するモニタ発光Aの指示>
発光準備の無線通信が終了した時刻t1から、例えば300msecが経過後の時刻t2において、マスター無線アダプタ10は、グループAのリモート無線アダプタ10Aへモニタ発光Aのコマンドを無線通信で送信する。モニタ発光Aのコマンド送信は、リモート無線アダプタ10Aからの返信(ack)を要求しない一方方向の無線通信である。
【0043】
図4では、リモート無線アダプタ10Aがモニタ発光Aのコマンド受信を失敗した場合を例示しているが、リモート無線アダプタ10Aがモニタ発光Aのコマンドを正常に受信した場合の動作を先に説明する。
【0044】
モニタ発光Aのコマンドを受信した場合のリモート無線アダプタ10Aは、接続される電子閃光装置20Aへモニタ発光Aのコマンドを有線通信で送信する。これによって、電子閃光装置20Aが時刻t3においてモニタ発光Aを行う。リモート無線アダプタ10Aはさらに、モニタ発光Aのコマンド送信終了から所定時間(例えば300msec)が経過するまでの期間を、上述した閃光待ち受け制御の待ち受け期間とする。待ち受け期間は、上記タイムスケジュールに基づいており、時刻t3を含むように設けられる。
【0045】
カメラ30は、上記タイムスケジュールに基づく時刻t2において、グループAの電子閃光装置20へモニタ発光Aのコマンドを有線通信で送信する。モニタ発光Aのコマンドを受信した電子閃光装置20は、時刻t3においてモニタ発光Aを行う。
【0046】
<グループBに対するモニタ発光Bの指示>
時刻t2から、例えば600msecが経過後の時刻t4において、マスター無線アダプタ10は、グループBのリモート無線アダプタ10Bへモニタ発光Bのコマンドを無線通信で送信する。モニタ発光Bのコマンド送信は、リモート無線アダプタ10Bからの返信(ack)を要求しない一方方向の無線通信である。
【0047】
モニタ発光Bのコマンドを受信した場合のリモート無線アダプタ10Bは、接続される電子閃光装置20Bへモニタ発光Bのコマンドを有線通信で送信する。これによって、電子閃光装置20Bが時刻t5においてモニタ発光Bを行う。リモート無線アダプタ10Bはさらに、モニタ発光Bのコマンド送信終了から所定時間(例えば300msec)が経過するまでの期間を、上述した閃光待ち受け制御の待ち受け期間とする。待ち受け期間は、上記タイムスケジュールに基づいており、時刻t5を含むように設けられる。
【0048】
<グループCに対するモニタ発光Bの指示>
時刻t4から、例えば600msecが経過後の時刻t6において、マスター無線アダプタ10は、グループCのリモート無線アダプタ10Cへモニタ発光Cのコマンドを無線通信で送信する。モニタ発光Cのコマンド送信は、リモート無線アダプタ10Cからの返信(ack)を要求しない一方方向の無線通信である。
【0049】
モニタ発光Cのコマンドを受信した場合のリモート無線アダプタ10Cは、接続される電子閃光装置20Cへモニタ発光Cのコマンドを有線通信で送信する。これによって、電子閃光装置20Cが時刻t7においてモニタ発光Cを行う。リモート無線アダプタ10Cはさらに、モニタ発光Cのコマンド送信終了から所定時間(例えば300msec)が経過するまでの期間を、上述した閃光待ち受け制御の待ち受け期間とする。待ち受け期間は、上記タイムスケジュールに基づいており、時刻t7を含むように設けられる。
【0050】
<グループA、B、Cの全てに対する本発光の指示>
図4では、リモート無線アダプタ10Bが本発光のコマンド受信を失敗した場合を例示しているが、リモート無線アダプタ10Bが本発光Aのコマンドを正常に受信した場合の動作を先に説明する。
【0051】
タイムスケジュールに基づく時刻t8(例えばモニタ発光Cのコマンド送信終了から500msec経過後)において、マスター無線アダプタ10は、全てのリモート無線アダプタ10A〜10Cへ本発光のコマンド、およびそれぞれの本発光量を無線通信で送信する。無線通信は、各リモート無線アダプタ10A〜10Cからの返信(ack)を要求しない一方方向の通信である。一方、カメラ30は、上記時刻t8において、グループAの電子閃光装置20へ本発光のコマンドおよび本発光量を有線通信で送信する。
【0052】
本発光のコマンドを受信した場合のリモート無線アダプタ10A〜10Cは、接続される電子閃光装置20A〜20Cへ本発光のコマンドを有線通信で送信する。カメラ30は、上記タイムスケジュールに基づく時刻t8において、グループAの電子閃光装置20へ本発光のコマンドを有線通信で送信する。
【0053】
上記本発光のコマンドの送信によって、電子閃光装置20A〜20C、および電子閃光装置20が時刻t9において本発光を行う。リモート無線アダプタ10A〜10Cはさらに、本発光のコマンドの送信終了から所定時間(例えば700msec)が経過するまでの期間を、閃光待ち受け制御の待ち受け期間とする。本発光時の待ち受け期間は、上記タイムスケジュールに基づいており、時刻t9を含むように設けられる。
【0054】
<閃光待ち受け制御の目的>
無線通信を介してモニタ発光Aのコマンド、モニタ発光Bのコマンド、モニタ発光Cのコマンド、本発光のコマンドおよび本発光量を送信する場合、マスター無線アダプタ10が使用する周波数帯と同じ周波数帯域において通信が集中していると、マスター無線アダプタ10からリモート無線アダプタ10A、10B、10Cへ向けた通信が正常に行えず、モニタ発光や本発光のコマンド送信が届かないことがある。この具体例として、リモート無線アダプタ10Aがモニタ発光Aのコマンド受信を失敗し、リモート無線アダプタ10Bが本発光のコマンド受信を失敗した場合を
図4において例示する。
【0055】
本実施形態では、上記タイムスケジュールに基づいてあらかじめ定められた期間に受光センサ103によって他の電子閃光装置20(20A、20B、または20C)からの閃光を受光することをトリガとして、接続されている電子閃光装置20A(20Bまたは20C)を発光させる。
【0056】
図4に例示した閃光待ち受け制御では、モニタ発光時において、モニタ発光Aのコマンド受信を失敗(時刻t2)したリモート無線アダプタ10Aが、リモート無線アダプタ10Aと同じグループAに含まれる電子閃光装置20からのモニタ発光(時刻t3)の光を受光して、電子閃光装置10Aをモニタ発光させる。
【0057】
また、本発光時において、本発光のコマンド受信を失敗(時刻t8)したリモート無線アダプタ10Bが、電子閃光装置20、20A、および20Cのうち少なくとも1つからの本発光(時刻t9)の光を受光して、電子閃光装置20Bを本発光させる。
【0058】
なお、受光センサ103によって他の電子閃光装置20(20A、20B、または20C)からの閃光を受光することをトリガとして、接続されている電子閃光装置20A(20Bまたは20C)を発光させるのは、モニタ発光や本発光のコマンド受信に失敗して電子閃光装置20A(20Bまたは20C)を発光させていない場合とする。また、上記タイムスケジュールに基づいてあらかじめ定められた期間にのみ閃光待ち受け制御を行うように、受光センサ103を介して発光トリガを受け付ける閃光待ち受け開始後、閃光待ち受けの終了(タイムアウト)までの期間に制限を設ける。
【0059】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)カメラ30は、電子閃光装置20Aに対する発光命令を出すCPU306と、マスター無線アダプタ10へ発光命令の送信を指示するCPU306と、を備え、CPU306は、発光命令の送信に先立ち、電子閃光装置20Aに対するタイムスケジュール情報の送信をマスター無線アダプタ10へ指示するようにした。これにより、例えば発光命令の無線送信が失敗した場合でも、電子閃光装置20A側においてタイムスケジュールに基づいて発光するなどの対処が可能になるので、無線送信の失敗がただちに発光なしに結びつく従来技術に比べて、信頼性を高めることができる。
【0060】
(2)タイムスケジュールは、基点時刻、発光予定時刻、および発光量を示す情報を含むので、電子閃光装置20A側でタイムスケジュールに倣った発光を適切に行うことが可能となる。
【0061】
(3)電子閃光装置20A(リモート無線アダプタ10A)は、発光管201と、マスター無線アダプタ10(カメラ30)と通信するリモート無線アダプタ10Aと、カメラ30から無線通信で送信され、リモート無線アダプタ10Aを介して入力された発光命令に応じて発光管201を発光させるCPU203と、他の電子閃光装置からの発光光を受光する受光センサ103と、を備え、CPU203は、受光センサ103で上記発光光が受光されることに応じて発光管201を発光させる。これにより、例えば発光命令の無線送信が失敗した場合でも、他の電子閃光装置の発光光に応じて発光し得るから、無線通信の失敗がただちに発光なしに結びつく従来技術に比べて、信頼性を高めることができる。
【0062】
(4)CPU203は、受光センサ103で上記発光光が受光されることに応じて発光管201を発光させる期間を、あらかじめ定めた閃光待ち受け期間に制限するので、意図しない外光に応じて発光管201を発光させてしまうことを回避できる。
【0063】
(5)CPU203は、リモート無線アダプタ10Aを介して入力された発光命令に応じて発光管201を発光させていない場合に、受光センサ103で上記発光光が受光されることに応じて発光管201を発光させるので、例えば発光命令の無線送信が失敗した場合において、適切に発光させ得る。
【0064】
(変形例1)
上記の説明では、カメラ30にマスター無線アダプタ10を装着する例を説明したが、マスター無線アダプタ10をカメラ30に内蔵させてもよい。
【0065】
(変形例2)
また、上記の説明では、カメラ30に電子閃光装置20を装着する例を説明したが、電子閃光装置20をカメラ30に内蔵させてもよい。
【0066】
(変形例3)
上述した実施形態では、発光準備の無線通信において、時刻t0から時刻t1までの所定時間(例えば500msec)の間に複数回の無線通信を繰り返すことによって成功する確率を高める例を説明した。この代わりに、一連のシーケンス処理において通信をしていないタイミングに小分けして少しずつ何度も無線通信を行うことによって、無線通信の信頼性を高めるようにしてもよい。一般に、時刻t0から時刻t1の間にまとまった時間を割り当てることは、撮影指示から本露光までのタイムラグの増大につながるので、タイムラグを抑えたい場合には、小分けにした無線通信が有効となる。
【0067】
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。