(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらに、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂、不均化ロジンエステル系粘着付与樹脂、石油系粘着付与樹脂及びテルペンフェノール系粘着付与樹脂からなる群より選ばれる2種以上を含有するものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の粘着剤組成物は、水酸基を有するアクリル重合体(A)を含有する粘着剤組成物であって、前記アクリル重合体(A)が、水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(a1)を0.01質量%〜0.1質量%含有する単量体成分を重合して得られるものであることを特徴とするものである。
【0012】
前記アクリル重合体(A)としては、優れたピール接着力と優れた耐衝撃性とを両立した粘着剤組成物を得るうえで、ごく特定された量の水酸基を有するアクリル重合体を使用する。
ここで、前記アクリル重合体(A)の代わりに、前記単量体成分の全量に対して水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(a1)を、0.1質量%を超えて含有する単量体成分を重合して得られるアクリル重合体を含有する粘着剤組成物は、優れたピール接着力と優れた耐衝撃性とを両立できない場合がある。
前記水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(a1)は、前記単量体成分の全量に対して0.01質量%以上0.1質量%未満の範囲で使用することが好ましく、0.02質量%〜0.08質量%の範囲で使用することが、より一層優れたピール接着力と優れた耐衝撃性とを両立した粘着剤組成物を得るうえでより好ましい。
また、前記アクリル重合体(A)としては、より一層優れたピール接着力と優れた耐衝撃性とを付与するうえで、1〜50の範囲の酸価を有するものを使用することが好ましいく、10〜50の範囲の酸価を有するものを使用することがより好ましく、25〜40の範囲の酸価を有するものを使用することがさらに好ましい。また、前記酸価は、もっぱらカルボキシル基に由来した酸価であることが好ましい。
また、前記アクリル重合体(A)としては、より一層優れたピール接着力と優れた耐衝撃性とを両立するうえで、脂肪族環式構造を有するものを使用することが好ましい。
前記脂肪族環式構造としては、例えばシクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、プロピルシクロヘキシル基、トリシクロ〔5,2,1,0,2,6〕デシル基、ビシクロ〔4,3,0〕−ノニル基、トリシクロ〔5,3,1,1〕ドデシル基、プロピルトリシクロ〔5,3,1,1〕ドデシル基、ノルボルネン基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基等が挙げられるが、なかでもシクロヘキシル基、ノルボルネン基、イソボルニル基、アダマンチル基であることが、優れたピール接着力と優れた耐衝撃性とを両立した粘着剤組成物を得るうえ好ましい。
また、前記アクリル重合体(A)としては、80万以上の重量平均分子量を有するものを使用することが、より一層優れたピール接着力と優れた耐衝撃性とを両立した粘着剤組成物を得るうえで好ましく、80万〜220万の範囲の重量平均分子量を有するものを使用することがより好ましく、100万〜220万の範囲の重量平均分子量を有するものを使用することが、優れたピール接着力と優れた耐衝撃性を両立した粘着剤組成物を得る上でさらに好ましい。なお、前記重量平均分子量は、ゲルパーミエッションクロマトグラフ(GPC)で測定される標準ポリスチレン換算での重量平均分子量である。
【0013】
前記GPC法による分子量の測定は、東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8329GPC)を用いて測定し、ポリスチレン換算した値である。
サンプル濃度:0.5質量%(THF溶液)
サンプル注入量:100μl
溶離液:THF
流速:1.0ml/分
測定温度:40℃
本カラム:TSKgel GMHHR−H(20)2本
ガードカラム:TSKgel HXL−H
検出器:示差屈折計
スタンダードポリスチレン分子量:1万〜2000万(東ソー株式会社製)
【0014】
前記アクリル重合体(A)としては、−25℃以下のガラス転移温度を有するものを使用することが好ましく、−45℃〜−30℃のガラス転移温度を有するものを使用することが、より一層優れたピール接着力と優れた耐衝撃性とを両立した粘着剤組成物を得るうえでより好ましい。
【0015】
前記アクリル重合体(A)は、前記粘着剤組成物の全量に対して、5質量%〜50質量%含まれることが好ましく、10質量%〜45質量%含まれることが、良好な塗工作業性を維持するうえでより好ましい。
【0016】
前記アクリル重合体(A)を製造する際に特定量使用する水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(a1)としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリル、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等を使用することができる。
なかでも、前記水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(a1)としては、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを使用することが好ましく、4−ヒドロキシブチルアクリレートを使用することが、より一層優れたピール接着力と優れた耐衝撃性とを両立した粘着剤組成物を得るうえより好ましい。
【0017】
また、前記アクリル重合体(A)としては、前記水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(a1)及び酸基を有する(メタ)アクリル単量体(a2)を含有する単量体成分を重合して得られるものを使用することが、より一層優れたピール接着力と優れた耐衝撃性とを両立した粘着剤組成物を得るうえより好ましい。
【0018】
前記酸基を有する(メタ)アクリル単量体(a2)としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、(無水)イタコン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等を使用することができる。なかでも、アクリル酸またはメタクリル酸を使用することが、より一層優れたピール接着力と優れた耐衝撃性とを両立した粘着剤組成物を得るうえより好ましい。
【0019】
その際、前記水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(a1)は、前記単量体成分の全量に対して好ましくは0.01質量%〜0.1質量%の範囲、好ましくは0.02質量%〜0.08質量%の範囲で使用し、かつ、前記酸基を有する(メタ)アクリル単量体(a2)を前記単量体成分の全量に対して好ましくは1質量%〜15質量%の範囲、より好ましくは1質量%〜10質量%の範囲、さらに好ましくは1質量%〜7質量%の範囲、特に好ましくは1質量%〜6.5質量%の範囲で使用することができる。
【0020】
また、前記アクリル重合体(A)を製造する際には、脂肪族環式構造をアクリル重合体に導入するうえで、前記単量体成分として脂肪族環式構造を有する(メタ)アクリル単量体を使用することが好ましい。
前記脂肪族環式構造を有する(メタ)アクリル単量体としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等を使用することが好ましく、シクロヘキシルアクリレートを使用することがより好ましい。
前記脂肪族環式構造を有する(メタ)アクリル単量体は、前記単量体成分の全量に対して、0.5質量%〜30質量%の範囲で使用することが、優れたピール接着力と優れた耐衝撃性とを両立した粘着剤組成物を得るうえ好ましく、4質量%〜25質量%の範囲で使用することがより好ましい。
前記アクリル重合体(A)の製造に使用可能な単量体成分としては、前記したものの他に、必要に応じてその他の単量体を使用することができる。
前記その他の単量体としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ウンデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートを使用することができる。
前記その他の単量体としては、前記したなかでも、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートを使用することが、優れたピール接着力と優れた耐衝撃性とを両立した粘着剤組成物を得るうえ好ましい。
【0021】
前記その他の単量体として使用可能な前記アルキル(メタ)アクリレートは、前記アクリル重合体(A)の製造に使用する単量体成分の全量に対して50質量%〜98質量%の範囲で使用することが好ましく、60質量%〜95質量%の範囲で使用することがより好ましく、70質量%〜94質量%の範囲で使用することが、優れたピール接着力と優れた耐衝撃性とを両立した粘着剤組成物を得るうえ好ましい。
【0022】
また、前記アクリル重合体(A)の製造に使用可能なその他の単量体としては、例えばアミド基を有するアクリル単量体、アミノ基を有するアクリル単量体、イミド基を有するアクリル単量体等の窒素原子を有するアクリル単量体を使用することができる。
【0023】
前記アミド基を有するアクリル単量体としては、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等を使用することができる。
【0024】
前記アミノ基を有するアクリル単量体としては、例えばアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等を使用することができる。
【0025】
前記イミド基を有するアクリル単量体としては、例えばシクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミド等を使用することができる。
【0026】
前記その他の単量体としては、前記した以外に、例えばスチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸基含有アクリル単量体や、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート基含有リン酸基含有アクリル単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノ基含有単量体、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有アクリル単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、その他の置換スチレン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどを使用することもできる。
【0027】
前記アクリル重合体(A)は、例えば有機溶剤の存在下に、前記単量体成分を供給しそれらをラジカル重合させることによって製造することができる。具体的には、前記アクリル重合体(A)は、前記単量体成分と重合開始剤と、有機溶剤とを、好ましくは40℃〜90℃の温度下で混合、攪拌し、ラジカル重合させることによって製造することができる。前記単量体成分は、一括して供給してもよく、分割して供給してもよい。
前記重合開始剤としては、例えば過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過酸化物や、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2−アミノジプロパン)2塩酸塩、2,2’−アゾビス−(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)2塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}等のアゾ化合物等を使用することができる。前記重合開始剤の使用量は、前記単量体成分の全量に対して0.01質量%〜5質量%の範囲であることが好ましい。
【0028】
本発明の粘着剤組成物としては、より一層優れたピール接着力と優れた耐衝撃性とを両立するうえで、粘着付与樹脂を含有するものを使用することが好ましい。
前記粘着付与樹脂としては、例えばロジン系粘着付与樹脂、重合ロジン系粘着付与樹脂、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂、ロジンフェノール系粘着付与樹脂、安定化ロジンエステル系粘着付与樹脂、不均化ロジンエステル系粘着付与樹脂、水添ロジンエステル系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、テルペンフェノール系粘着付与樹脂、石油樹脂系粘着付与樹脂、(メタ)アクリレート系粘着付与樹脂等を使用することができる。
なかでも、前記粘着付与樹脂としては、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂、不均化ロジンエステル系粘着付与樹脂、石油系粘着付与樹脂及びテルペンフェノール系粘着付与樹脂からなる群より選ばれる2種以上を組み合わせ使用することが、前記特定のアクリル重合体(A)との相溶性に優れ、より一層優れたピール接着力と優れた耐衝撃性とを両立するうえで好ましい。
【0029】
前記粘着付与樹脂は、前記アクリル重合体(A)100質量部に対して、10質量部〜50質量部の範囲で使用することが好ましく、20質量部〜40質量部の範囲で使用することが、より一層優れたピール接着力と耐衝撃性とを付与するうえでより好ましい。
【0030】
また、前記粘着剤組成物としては、より一層優れた凝集力を備えた粘着剤層を形成するうえで、架橋剤を含有するものを使用することが好ましい。
前記架橋剤としては、例えばイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤等を使用することができる。なかでも、前記架橋剤としては、予め製造した前記アクリル重合体(A)またはその溶液と、混合して使用しやすく、かつ、速やかに架橋反応を進行させることのできる架橋剤を使用することが好ましく、具体的には、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤を使用することがより好ましい。
【0031】
前記イソシアネート系架橋剤としては、例えばトリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート及びこれらのトリメチロールプロパン付加体、トリフェニルメタンイソシアネート等を使用することができる。なかでも、前記イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート及びこれらのトリメチロールプロパン付加体、トリフェニルメタンイソシアネート等を使用することが好ましい。
【0032】
前記架橋剤を含有する粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層の架橋度合いの指標としては、粘着剤層をトルエンに24時間浸漬した後の不溶分を測定するゲル分率の値が挙げられる。前記ゲル分率としては、20質量%〜60質量%の範囲であることが好ましく、30質量%〜50質量%の範囲であることがより好ましく、40質量%〜50質量%の範囲であることが、より一層優れたピール接着力等を付与するうえでより好ましい。
【0033】
なお、前記ゲル分率は、下記に示す方法で測定することができる。
任意の剥離ライナーの片面に、乾燥後の厚さが50μmになるように、前記粘着剤組成物を塗工し、100℃で3分間乾燥し、40℃で2日エージングすることによって粘着剤層を形成する。それを50mm角に切り取ったものを試料とする。
次に、上記試料の質量(G1)を測定した後、前記試料をトルエン溶液中に23℃で24時間浸漬する。前記浸漬後の試料のトルエン不溶解分を300メッシュ金網で濾過することにより分離し、110℃で1時間乾燥した後の残渣の質量(G2)を測定し、以下の式に従ってゲル分率が求める。
ゲル分率(質量%)=(G2/G1)×100
【0034】
前記粘着剤組成物としては、前記したものの他に、必要に応じてその他の成分を含有するものを使用することができる。
前記その他の成分としては、例えば可塑剤、軟化剤、酸化防止剤、難燃剤、ガラスやプラスチック製の繊維やバルーンやビーズ、金属、金属酸化物、金属窒化物等の充填剤、顔料や染料等の着色剤、レベリング剤、増粘剤、撥水剤、消泡剤等の添加剤を使用することができる。
【0035】
また、本発明の粘着剤組成物としては、良好な塗工作業性を付与するうえで、溶媒を含有するものを使用することが好ましい。前記溶媒としては、例えば有機溶剤、水等の水性媒体等が挙げられる。
前記有機溶剤としては、例えばトルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、ヘキサン、アセトン、シクロヘキサノン、3−ペンタノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等を使用することができる。
【0036】
本発明の粘着剤組成物は、任意の被着体の表面に塗工等し使用することができる。また、本発明の粘着剤組成物は、各種部材の固定に使用可能な粘着テープを構成する粘着剤層の形成に使用することができる。
前記粘着テープとしては、例えば不織布基材や発泡体基材や樹脂フィルム基材等の片面または両面に前記粘着剤層を備えた粘着テープ、前記粘着剤層のみから構成される、いわゆる基材レスの粘着テープが挙げられる。
前記粘着剤層としては、10μm〜150μmの厚さを有するものを使用することが好ましく、20μm〜100μmの厚さを有するものを使用することがより好ましい。
【0037】
本発明の粘着テープは、例えば基材の片面または両面に、ロールコーターやダイコーター等を用いて前記粘着剤組成物を塗布し、乾燥することによって製造することができる。また、前記粘着テープは、予め離型ライナーの表面にロールコーター等を用いて前記粘着剤を塗布し、乾燥することによって粘着剤層を形成し、次いで、前記粘着剤層を基材の片面または両面に貼り合せる転写法によって製造することができる。
また、前記基材レスの粘着テープは、予め離型ライナーの表面にロールコーター等を用いて前記粘着剤を塗布し、乾燥することによって製造することができる。
【0038】
前記粘着テープを構成する基材としては、例えばポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム等のプラスチックフィルム等の樹脂基材、不織布基材、発泡体基材、布、紙等を使用することができる。
前記樹脂基材としては、前記粘着剤層の投錨性を向上させるうえで、コロナ処理、アンカーコート処理等が施されたものを使用することができる。
【0039】
前記基材としては、1μm〜500μmの厚さのものを使用することが、優れたテープの加工性と被着体への優れた追従性を付与する効果を奏するうえでより好ましい。
また、前記粘着テープは、前記基材及び粘着剤層の他に、必要に応じて他の層を有するものであってもよい。
前記他の層としては、例えば粘着テープの寸法安定性や良好な引張強さやリワーク適性等を付与するうえでポリエステルフィルム等のラミネート層、遮光層、光反射層、金属層等の熱伝導層が挙げられる。
【0040】
本発明の粘着テープは、より一層優れたピール接着力と耐衝撃性とを備えたものであるため、例えば貼付部位が5mm以下の幅に限られる狭幅の部材の固定に使用することができる。
前記狭幅の部材は、例えば携帯電話機等の電子端末、自動車、建材、OA、家電業界などの工業用途における部材として使用されることが多い。
前記部材としては、具体的には電子端末を構成する2以上のきょう体、レンズ部材等が挙げられる。
本発明の粘着テープを用いて2以上のきょう体やレンズ部材が固定された電子端末等の物品は、落下等の衝撃によって容易に解体等することなく、また、優れた防水性を備える。
【実施例】
【0041】
以下、本発明を実施例と比較例により、一層、具体的に説明する。
【0042】
[調製例1]アクリル重合体(A−1)の製造方法
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート80.94質量部、2−エチルヘキシルアクリレート5質量部、シクロヘキシルアクリレート10質量部、アクリル酸4質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート0.06質量部、及び、酢酸エチル200質量部を仕込み、攪拌下、窒素を吹き込みながら72℃まで昇温させた。
次に、前記混合物に、予め酢酸エチルに溶解した2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)溶液2質量部(固形分0.1質量%)を添加し、攪拌下、72℃で4時間ホールドした後、75℃で5時間ホールドした。
次に、前記混合物を酢酸エチル98質量部で希釈し、200メッシュ金網でろ過することによって、重量平均分子量160万のアクリル重合体(A−1)溶液(不揮発分40質量%)を得た。
なお、前記重量平均分子量は、ゲルパーミエッションクロマトグラフ(GPC)で測定される標準ポリスチレン換算での重量平均分子量であり、以下の方法で測定した。
GPC法による分子量の測定は、東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8329GPC)を用いて測定される、スタンダードポリスチレン換算値である。
サンプル濃度:0.5質量%(テトラヒドロフラン溶液)
サンプル注入量:100μl
溶離液:THF(テトラヒドロフラン)
流速:1.0ml/分
測定温度:40℃
本カラム:TSKgel GMHHR−H(20)2本
ガードカラム:TSKgel HXL−H
検出器:示差屈折計
スタンダードポリスチレン分子量:1万〜2000万(東ソー株式会社製)
【0043】
[調製例2]アクリル重合体(A−2)の製造方法
前記4−ヒドロキシブチルアクリレートの使用量を0.06質量部から0.02質量部に変更し、かつ、n−ブチルアクリレートの使用量を80.94質量部から80.98質量部に変更すること以外は、調製例1と同様の方法で重量平均分子量164万のアクリル重合体(A−2)溶液(不揮発分40質量%)を得た。
【0044】
[調製例3]アクリル重合体(A−3)の製造方法
前記4−ヒドロキシブチルアクリレートの使用量を0.06質量部から0.1質量部に変更し、かつ、n−ブチルアクリレートの使用量を80.94質量部から80.9質量部に変更すること以外は、調製例1と同様の方法で重量平均分子量162万のアクリル重合体(A−3)溶液(不揮発分40質量%)を得た。
【0045】
[調製例4]アクリル重合体(A−4)の製造方法
前記シクロヘキシルアクリレートを使用しないこと、及び、2−エチルヘキシルアクリレートの使用量を5質量部から15質量部に変更すること以外は、調製例1と同様の方法で重量平均分子量132万のアクリル重合体(A−4)溶液(不揮発分40質量%)を得た。
【0046】
[調製例5]アクリル重合体(A−5)の製造方法
前記シクロヘキシルアクリレートの使用量を10質量部から20質量部に変更し、かつ、n−ブチルアクリレートの使用量を80.94質量部から70.94質量部に変更すること以外は、調製例1と同様の方法で重量平均分子量184万のアクリル重合体(A−5)溶液(不揮発分40質量%)を得た。
【0047】
[調製例6]アクリル重合体(A−6)の製造方法
前記シクロヘキシルアクリレートの使用量を10質量部から25質量部に変更し、かつ、n−ブチルアクリレートの使用量を80.94質量部から70.94質量部に変更し、かつ、2−エチルヘキシルアクリレートを使用しないこと以外は、調製例1と同様の方法で重量平均分子量163万のアクリル重合体(A−6)溶液(不揮発分40質量%)を得た。
【0048】
[調製例7]アクリル重合体(A−7)の製造方法
前記アクリル酸の使用量を4質量部から2質量部に変更し、かつ、n−ブチルアクリレートの使用量を80.94質量部から97.94質量部に変更し、かつ、2−エチルヘキシルアクリレートを使用しないこと以外は、調製例1と同様の方法で重量平均分子量164万のアクリル重合体(A−7)溶液(不揮発分40質量%)を得た。
【0049】
[調製例8]アクリル重合体(A−8)の製造方法
前記アクリル酸の使用量を4質量部から6質量部に変更し、かつ、n−ブチルアクリレートの使用量を80.94質量部から93.94質量部に変更し、かつ、2−エチルヘキシルアクリレートを使用しないこと以外は、調製例1と同様の方法で重量平均分子量164万のアクリル重合体(A−8)溶液(不揮発分40質量%)を得た。
【0050】
[調製例9]アクリル重合体(A−9)の製造方法
2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)溶液の使用量を2質量部(固形分0.1質量%)から1質量部(固形分0.05質量%)に変更すること以外は、調製例1と同様の方法で重量平均分子量178万のアクリル重合体(A−8)溶液(不揮発分40質量%)を得た。
【0051】
[調製例10]アクリル重合体(A−10)の製造方法
2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)溶液の使用量を2質量部(固形分0.1質量%)から10質量部(固形分0.5質量%)に変更すること以外は、調製例1と同様の方法で重量平均分子量81万のアクリル重合体(A−10)溶液(不揮発分40質量%)を得た。
【0052】
[比較調製例1]アクリル重合体(B−1)の製造方法
前記4−ヒドロキシブチルアクリレートの使用量を0.06質量部から0.15質量部に変更し、かつ、n−ブチルアクリレートの使用量を80.94質量部から80.85質量部に変更すること以外は、調製例1と同様の方法で重量平均分子量162万のアクリル重合体(B−1)溶液(不揮発分40質量%)を得た。
【0053】
[比較調製例2]アクリル重合体(B−2)の製造方法
前記4−ヒドロキシブチルアクリレートの使用量を0.06質量部から0.2質量部に変更し、かつ、n−ブチルアクリレートの使用量を80.94質量部から80.8質量部に変更すること以外は、調製例1と同様の方法で重量平均分子量163万のアクリル重合体(B−2)溶液(不揮発分40質量%)を得た。
【0054】
[比較調製例3]アクリル重合体(B−3)の製造方法
前記4−ヒドロキシブチルアクリレートの使用量を0.06質量部から0質量部に変更し、かつ、n−ブチルアクリレートの使用量を80.94質量部から81質量部に変更すること以外は、調製例1と同様の方法で重量平均分子量160万のアクリル重合体(B−3)溶液(不揮発分40質量%)を得た。
【0055】
[実施例1]
容器に、前記アクリル重合体(A−1)溶液100質量部と、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂D−125(荒川化学工業株式会社製)10質量部と不均化ロジン系粘着付与樹脂A−100(荒川化学工業株式会社製)15質量部とを混合攪拌することによって混合物を得た。
次に、前記混合物100質量部に対して、架橋剤としてバーノックD−40(DIC株式会社製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%)1.4質量部を添加し、均一になるよう攪拌混合した後、100メッシュ金網で濾過することによって粘着剤(P−1)を得た。
【0056】
[実施例2]
前記アクリル重合体(A−1)溶液の代わりに、前記アクリル重合体(A−2)溶液を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤(P−2)を得た。
【0057】
[実施例3]
前記アクリル重合体(A−1)溶液の代わりに、前記アクリル重合体(A−3)溶液を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤(P−3)を得た。
【0058】
[実施例4]
前記アクリル重合体(A−1)溶液の代わりに、前記アクリル重合体(A−4)溶液を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤(P−4)を得た。
ただし、実施例4は参考例である。
【0059】
[実施例5]
前記アクリル重合体(A−1)溶液の代わりに、前記アクリル重合体(A−5)溶液を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤(P−5)を得た。
【0060】
[実施例6]
前記アクリル重合体(A−1)溶液の代わりに、前記アクリル重合体(A−6)溶液を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤(P−6)を得た。
【0061】
[実施例7]
前記アクリル重合体(A−1)溶液の代わりに、前記アクリル重合体(A−7)溶液を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤(P−7)を得た。
【0062】
[実施例8]
前記アクリル重合体(A−1)溶液の代わりに、前記アクリル重合体(A−8)溶液を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤(P−8)を得た。
【0063】
[実施例9]
前記アクリル重合体(A−1)溶液の代わりに、前記アクリル重合体(A−9)溶液を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤(P−9)を得た。
【0064】
[実施例10]
前記アクリル重合体(A−1)溶液の代わりに、前記アクリル重合体(A−10)溶液を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤(P−10)を得た。
【0065】
[比較例1]
アクリル重合体(A−1)溶液の代わりに、アクリル重合体(B−1)溶液を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤(Q−1)を得た。
【0066】
[比較例2]
アクリル重合体(A−1)溶液の代わりに、アクリル重合体(B−2)溶液を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤(Q−2)を得た。
【0067】
[比較例3]
アクリル重合体(A−1)溶液の代わりに、アクリル重合体(B−3)溶液を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤(Q−3)を得た。
【0068】
表中に記載のゲル分率は、下記に示す方法で測定した。
任意の剥離ライナーの片面に、乾燥後の厚さが50μmになるように、前記粘着剤組成物を塗工し、100℃で3分間乾燥し、40℃で2日エージングすることによって粘着剤層を形成する。それを50mm角に切り取ったものを試料とした。
次に、上記試料の質量(G1)を測定した後、前記試料をトルエン溶液中に23℃で24時間浸漬する。前記浸漬後の試料のトルエン不溶解分を300メッシュ金網で濾過することにより分離し、110℃で1時間乾燥した後の残渣の質量(G2)を測定し、以下の式に従ってゲル分率が求めた。
ゲル分率(質量%)=(G2/G1)×100
【0069】
[180°ピール接着力の測定方法]
離型ライナーの表面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが50μmとなるように、前記粘着剤をバーコーターを用いて塗工し、80℃で3分間乾燥させることによって粘着剤層を作製した。
次に、前記粘着剤層を、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート基材の片面に貼付し、40℃の環境下で72時間養生した後、幅20mm及び長さ120mmの長方形に裁断することによって粘着テープを作製した。
次に、温度23℃及び相対湿度50%RHの環境下、前記粘着テープをステンレス板に貼付し、2kgのローラーを用い前記粘着テープの上面を1往復させ、さらに、それらを温度23℃及び相対湿度50%RHの環境下に1時間静置させることによって、前記粘着テープとステンレス板とが圧着した試験片1を作製した。
次に、テンシロン剥離試験機を用い、前記試験片を構成するステンレス板を水平に固定した状態で、前記粘着テープを剥離速度300mm/minの条件で180°方向に引き剥がした際の強度を測定した。
【0070】
[耐衝撃性の評価方法]
離型ライナーの表面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが50μmとなるように、前記粘着剤をバーコーターを用いて塗工し、80℃で3分間乾燥させることによって粘着剤層を作製した。次に、前記粘着剤層を、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート基材の両面に貼付し、40℃の環境下で72時間養生した。次に、前記粘着テープを裁断し、幅2mm及び長さ20mmの長方形の粘着テープを2枚作製した。
次に、厚さ2mm、幅25mm及び長さ50mmのアクリル板に、前記長方形の粘着テープ2枚を、その幅方向の間隔が45mmとなる位置に、平行に貼付した。
次に、前記粘着テープの貼付面に、上記とは別の厚さ2mm、幅25mm及び長さ50mmのアクリル板を貼付し、2kgのローラーを用い前記粘着テープの上面を1往復させ、さらに、それらを温度23℃及び相対湿度50%RHの環境下に24時間静置させることによって試験片2を作製した。
前記金属製の重りをつけたステンレス製落下測定治具(合計の質量150g)と、上記試験片2とを、幅25mm及び長さ50mmの両面粘着テープを用いて貼付した。前記で得た貼付物を、高さ10cmから10cm間隔でコンクリート面に連続落下(1段階につき5回)させ、試験片にテープの剥がれや破壊が認められたときの高さを測定した。
◎:60cmの高さから落下させた後に、粘着テープの剥がれがなかった。
○:50cmの高さから落下させた後に、粘着テープの剥がれがなかった。
×:40〜50cmの高さから落下させた後に粘着テープの剥がれが生じた。
××:40cm未満の高さから落下させた後に粘着テープの剥がれが生じた。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】