(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発光素子をマトリックス状に配置した後、前記隣接する2つの発光素子ごとに、複数の導光部材を、それぞれ間隔を空けて配置する、請求項1に記載の半導体発光装置を製造する方法。
前記発光素子をマトリックス状に配置した後、前記隣接する2つの発光素子ごとに、複数の成長基板が、それぞれ間隔を空けて配置されるように、前記成長基板に対し傾斜面を形成する、請求項6に記載の半導体発光装置を製造する方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好適な実施形態にかかる半導体発光装置を、図面を参照しながら以下説明する。なお、参照される各図を通し、同一の各構成要素および形態は異なるが対応関係がある構成要素に対して同一の符号が付されている。また、これらの図面における構成は本発明の半導体発光装置を説明するための例示にすぎない。また、図面は半導体発光装置の構成を誇張して示す模式図である。本発明は、これらの図面や実施形態の説明における記載に限定されるものではない。
【0013】
図1は本発明の一実施形態による半導体発光装置1を光取り出し面側から見た正面図である。
図2は
図1に示されるII-II位置で切断した場合の半導体発光装置1の縦断面を模式的に示す図である。
【0014】
半導体発光装置1は、LEDを構成する積層体である半導体層2と、この半導体層2から放射される光を外部に取り出すための光取り出し面6とを備える。光取り出し面6は、半導体層2の積層方向に対して平行である。ただし、光取り出し面6は、半導体層2の積層方向に対して厳密な意味で平行である必要はなく、略平行すなわち、実質的に平行であればよい。光取り出し面6が、少なくとも半導体層2の中間層である活性層の積層方向に対し平行であれば、半導体層2の積層方向に対し平行または実質的に平行ということができる。ここで、半導体発光層とは、LEDの半導体層2またはその中間層である活性層をいう。
【0015】
半導体層2は、たとえば窒化物系化合物半導体(一般式がIn
xAl
yGa
1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1))からなるGaN系LEDを用いることができる。GaN系LEDには、紫外LEDや青色LED、緑色LEDなどがある。また、LEDを構成する半導体層2が、他のたとえばZnSe系、InGaAs系、AlInGaP系などの化合物半導体からなるものであってもよい。これらを適宜用いることにより、LEDの発光色の波長帯は、紫外光から可視光の全域とすることができる。半導体層2の下部には、n電極11およびp電極12が形成される。
【0016】
本実施形態の半導体発光装置1は、半導体層2の上に配置され透光性を有する導光部材3、導光部材3の面上に配置される光反射部材4、光取り出し面6側に開放部を有して半導体層2、半導体層2の側面(
図2には左端側面のみ示されている。)および導光部材3を内部に覆うように配置される、絶縁部材からなるパッケージ5を備える。このパッケージ5は、半導体層2の側面および光反射部材4の上面を覆う構造であってもよい。また、パッケージ5は、導光部材の第1の傾斜面に隣接する側面を覆う構造であってもよい。
【0017】
導光部材3は、透光性を有し、たとえば蛍光体を波長変換素材として含む波長変換部とすることができる。
【0018】
波長変換素材(蛍光体)は、たとえば、Ce、Eu等のランタノイド系元素で賦活される、窒化物系蛍光体または酸窒化物系蛍光体を含有することができる。より具体的には、蛍光体として、たとえばCe等のランタノイド元素で賦活される希土類アルミン酸塩を用いることができ、そのうちYAG系蛍光体が好適に用いられる。また、YAG系蛍光体のうちYの一部または全部をTb、Luで置換したものでもよい。また、Ceで賦活される希土類ケイ酸塩等を蛍光体の材料に用いることができる。
【0019】
また、波長変換素材(蛍光体)として、Eu等のランタノイド系元素で賦活される、アルカリ土類ハロゲンアパタイト、アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン、アルカリ土類金属アルミン酸塩、アルカリ土類金属硫化物、アルカリ土類金属硫チオガレート、アルカリ土類金属窒化ケイ素またはゲルマン酸塩、もしくはEu等のランタノイド系元素で賦活される有機または有機錯体を用いることができる。たとえば赤色蛍光体として、(Sr,Ca)AlSiN
3:EuのようなSCASN系蛍光体、CaAlSiN
3:EuのようなCASN系蛍光体、SrAlSiN
3:Eu等がある。他にも、発光素子の青色光を吸収して緑色光を発光する、たとえば、クロロシリケート蛍光体やβサイアロン蛍光体等を材料に用いることができる。他には、Mn
4+付活Mgフルオロジャーマネート蛍光体およびM
12M
2F
6:Mn
4+(M
1=Li,Na,K,Rb,Cs;M
2=Si、Ge、Sn,Ti,Zr)蛍光体からなる群より選択される少なくとも1種である。
【0020】
また、導光部材3は、半導体層2を封止するものでもよい。そのような封止材は、蛍光体(波長変換素材)を含有する透明樹脂からなることが好ましい。また封止材は、必ずしも蛍光体(波長変換素材)を含有している必要はなく、拡散材(フィラーなど)や着色材(顔料など)を含有する樹脂であってもよい。
【0021】
また、導光部材3は、半導体層2のサファイア等の成長基板からなるものでもよい。導光部材3は、または透明なガラス基板であってもよい。導光部材3は、単層構造であってもよいが、半導体層2から放射される光の波長を変換する波長変換部と透明部とが積層される多層構造であってもよい。たとえば、導光部材3は、サファイア等の成長基板の表面にたとえばYAG系の蛍光体層が成膜されたものでもよい。
【0022】
ここで、
図3の斜視図には、半導体層2と、半導体層2に配置される導光部材3の形状が例示される。図に示される導光部材3は、光取り出し面6の反対側面が当該光取り出し面8に対して傾斜する第一の傾斜面7を有している。
【0023】
たとえば、半導体層2の発光面が(001)面で表され、発光面に対し直交する光取り出し面6が(010)面で表わされるとき、第一の傾斜面7は(0−bc)面に形成される。ここで、ミラー指数b、cは任意の正の整数である。なお、本明細書中の面方位の記載において、ミラー指数が負の成分を有する場合には、便宜的に数字の前にマイナス「−」を付して表示している。
【0024】
第1の傾斜面7は、光取り出し面6に対してたとえば45度に傾斜する(0−11)面とすることができる。また、傾斜面7は、たとえば(0−11)面から(0−21)面の範囲の角度をなす面方位でもよい。
【0025】
また、
図3に示される導光部材3には、その長手方向における第1の傾斜面7の両隅部に、光取り出し面6に対して傾斜する第二および第三の傾斜面8a、8bが形成されている。
図3の実施形態によれば、光取り出し面6が(010)面で表わされるとき、第二の傾斜面8aは(a−bc)面に形成され、第三の傾斜面8bは(−a−bc)面に形成される。ここで、ミラー指数a、b、cは任意の正の整数である。たとえば、第二の傾斜面8aが(1−11)面であり、第三の傾斜面8bが(−1−11)面とすることができる。また、第二の傾斜面8aは、(1−11)面から(2−21)の範囲の角度をなす面方位であってもよい。同様に、第三の傾斜面8bは、(−1−11)面から(−2−21)の範囲の角度をなす面方位であってもよい。ただし、第二および第三の傾斜面8a、8bは面対称の関係にあることが好ましい。また、第一および第二の傾斜面7、8aの間の境界には段差が生じないように導光部材3が形成されることが好ましい。同様に、第一および第三の傾斜面7、8bの間の境界にも段差が生じないように導光部材3が形成されることが好ましい。
【0026】
かかる導光部材3は、半導体層2に直接接合して配置されてよく、透明な接着材などのある種の媒体層を介して半導体層2に配置されてもよい。さらに導光部材3は、サファイアなどの成長基板上に配置されてもよい。
【0027】
ここで「直接接合」とは、接着材などを介在させずに原子の結び付きを利用して界面を接合することである。ここで使用される直接接合は、一般的に常温接合に分類される接合方式が好ましい。直接接合には、接合のための非常に高い温度で化学反応や拡散を促す方式もあるが、そのような高温方式はLEDにおける温度の制約から好ましくない。
【0028】
本実施形態に適した直接接合方式としては、表面活性化接合、原子拡散接合、水酸基接合などがある。表面活性化接合は、超高真空中で不活性イオンを接合界面に照射することにより、表面を清浄、活性化し接合する。原子拡散接合は、同じく超高真空中で金属をスパッタリングし、その金属の拡散により接合する。スパッタ膜を非常に薄くすることで、光取り出しに影響なく接合できることも確認されている。水酸基接合は接合界面に水酸基を形成し、水酸基の水素結合で接合する。常温接合においては、必要に応じて加熱処理を行うことで結合力が増す場合がある。その場合、加熱は、400℃以下、好ましくは300℃以下、より好ましくは200℃以下で加熱してもよい。また、他の適した直接接合方式としては、電界中で低温接合する陽極接合方式がある。
【0029】
このような直接接合を採用することにより、導光部材3である接合部材へ放射される光の光学的特性への影響を無視することができる。
【0030】
なお図示はしていないが、導光部材3は、BPF(Band Pass Filter)を介して波長変換部および/または透明部が半導体層2上に配置されるものでもよい。光波長のピークが450nm前後である窒化物系化合物半導体の場合において、BPFの波長帯域は420〜500nmであることが好ましい。さらに、BPFの波長帯域は430〜470nmであることがより好ましい。
【0031】
また、本実施形態の半導体発光装置1は、導光部材3の少なくとも傾斜面7、8a、8bを含む面上に光反射部材4が配置されている。
【0032】
図1および
図2に示される光反射部材4は、たとえば、導光部材3の表面に形成したDBR(Distributed Bragg Reflector)である。DBRは、「誘電体DBRミラー」とも言い、高屈折率層と低屈折率層とからなる二層の周期がλ/2nの積層膜である(ここで、λは真空におけるLED光の波長、nは媒体(具体的には導光部材)の屈折率である。)。DBRは、例えば、低屈折率層としてSiO
2、高屈折率層としてNb
2O
5やTiO
2の積層膜とすることができる。また、積層数は、単層でλ/4nの層の場合、3〜5ペア程度とすることができる。DBRである光反射部材4は、半導体層2から放射される光を反射する機能を有している。これにより、半導体層2から放射される光は、導光部材3を通り、傾斜面7、8a、8bを有する導光部材3と光反射部材4との境界で反射して、効率よく光取り出し面6へ導かれる。
【0033】
また、光反射部材4は、Ag、Alなどの光反射性または光沢性を有する金属であってもよい。さらに光反射部材4は、金属層とDBR層との多層体であってもよい。なお、金属は、発光素子の光の一部を吸収してしまうので、光反射部材4は、DBRとすることが好ましい。このDBRは、発光素子からの光の大部分を反射できるが、ブリュスター角の関係で一部の光が漏れる。この漏れ光を抑制して発光装置の輝度を向上させるためには、傾斜面および半導体層の側面が、以下に述べるパッケージ5でDBRの上から覆われていることが好ましい。また、光反射部材4は、半導体層2側から順にDBRと金属とが積層された積層体を備えていてもよい。
【0034】
本実施形態の半導体発光装置1は、光取り出し面6側に開放部を有して半導体層2、導光部材3を内部に覆うように配置されるパッケージ5を備える。パッケージ5は電気的絶縁性と白色の光反射性を有している。
図2に示されるように、光反射性のパッケージ5は、導光部材3の第1の傾斜面7に隣接する側面を覆っている。また、図示はしていないが、光反射性のパッケージ5は、導光部材3の第2および第3の傾斜面8a、8bに隣接する側面を覆うものでもよい。また、光反射性のパッケージ5は、半導体層2の側面から、当該半導体層2の導光部材3が配置された側の反対側となる当該半導体層2の底面にかけて連続して覆っている。これらのような光反射性のパッケージ5により、光の漏れを抑制することができる。半導体層2の底面の側には電極11、12を備えており、光反射性のパッケージ5は、半導体層2の底面にかけて連続して電極11、12の一部を覆っていることが好ましい。このように、光反射性のパッケージ5が半導体層2の底面にかけて連続して覆うことにより、光の漏れを抑制することができるだけでなく、極性が異なる電極11、12間の電気的な絶縁性が十分に確保される。
【0035】
図1および
図2に示されるパッケージ5の材料は、たとえばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂等のような樹脂を含む絶縁部材であることが好ましい。これらの樹脂は、光反射性を有する白色とするために、Ti、Zr、Nb、Al、Siからなる群から選択される1種の酸化物、若しくはAlN、MgFの少なくとも1種を含むことが好ましい。特にTiO
2、ZrO
2、Nb
2O
5、Al
2O
3、MgF、AlN、SiO
2よりなる群から選択される少なくとも1種を混合してなることが好ましい。これらのような材料を採用することにより、パッケージ5は、好適な電気的絶縁性、機械的強度および光反射性を備えることができる。
【0036】
このパッケージ5の材料は、上述した樹脂以外にも、トランスファーモールド成形を行うことができる熱可塑性樹脂を用いてもよい。
【0037】
このような光反射性と電気絶縁性とを兼ね備えるパッケージ5は、半導体層2に接続するn電極11とp電極12間を電気的に絶縁する絶縁部材と一体をなしている。これにより半導体発光装置1の構造が簡素化され、製造工程数を減少させることができる。
【0038】
本実施形態の半導体発光装置1は、パッケージサイズがたとえば2mm×1mmであり、高さ(厚み)が0.3mmである。ただし、発明の実施にあたり、パッケージサイズはこれに限定されない。
【0039】
次に、上述した実施形態の半導体発光装置を製造するための方法を
図4および
図5を参照して説明する。
【0040】
はじめに、半導体層2、n電極11、p電極12および所定の保護膜層等を形成した積層体である複数のLED素子(以下「発光素子」という。)を準備する。半導体層2は、窒化物系化合物半導体(一般式がIn
xAl
yGa
1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1))からなるGaN系を用いることができる。半導体層2のn型半導体層はSiを含有するGaN層を有してなり、p型半導体層はMgまたはZnを含有するGaN層を有してなる。また、活性層は、GaN層やInGaN層を有してなる。図示はしていないが、活性層は量子井戸構造を有している。
【0041】
半導体層2は、たとえば有機金属化学気相成長(Metal Organic Chemical Vapor Deposition, MOCVD)法によって、サファイア等の成長基板上に順次積層して形成することができる。またその他の気相または液相成長法を用いて半導体層2を形成してもよい。
【0042】
カソードとしてのn電極11は、n型半導体層に電気的に接合して設けられる。一方、アノードとしてのp電極12は、p型半導体層に電気的に接合して設けられる。たとえば、n型半導体層およびp型半導体層のそれぞれの所定位置にスパッタリング等によりアンダー・バリア・メタル(UBM)を成膜し、成膜したUBM上に濡れ性の良い導電性金属であるたとえばAuをメッキすることにより、バンプ状のn電極11およびp電極12が得られる。
【0043】
サファイア成長基板をLLO(Laser Lift Off)法により発光素子から除去した後(図示略)、支持体である、たとえば粘着シート20上にn電極11およびp電極12が接するように発光素子を設置する。なお、成長基板を残したまま発光素子を粘着シート20上に設置してもよい。粘着シート20上に発光素子を設置した後に成長基板をリフトオフしてもよいし、そのまま成長基板を半導体層2に残してもよい。ここで、
図5(a)には、複数の半導体層2(発光素子)を所定の間隔でマトリックス状に配置した工程後の平面図が示される。
【0044】
発光素子をマトリックス状に配置した後、隣接する2つの発光素子ごとに、複数の導光部材3を、それぞれ間隔を空けて配置する。
図4および
図5には、光取り出し面とする側に互いに向かい合って隣接する2つの発光素子の間を架け渡して導光部材3を配置した例が示されている。導光部材3は、たとえばYAG系の蛍光体を含有する透明樹脂からなる。導光部材3は、2つの発光素子の間に架け渡される方向における両端で互いに傾斜する傾斜面を有する所定の形状にモールド成形される。なお、成長基板が残されている発光素子に対しては、成長基板上に波長変換部材をモールド成形してもよい。ここで、
図5(b)には、マトリックス状に配置された半導体層2と、それらの上に配置され所定の形状に成形した工程後の導光部材3が示される。この例示では、所定の間隔を空けて、図面の奥行き方向に伸びる複数の導光部材3を配置する。
【0045】
導光部材3は、透明樹脂に蛍光体(波長変換素材)の他、たとえば拡散材(フィラーなど)および/または着色材(顔料など)を含有してもよい。また、BPFを半導体層2に直接接合し、その後に蛍光体を含む波長変換部材をモールド成形して導光部材3を配置してもよい。
【0046】
次に、導光部材3の少なくとも傾斜面を含む面上に光反射部材4を配置する。光反射部材4は、導光部材3の表面に形成したDBRである。光反射部材4はまた、Ag、Alなどの光反射性または光沢性を有する金属を導光部材3の表面にスパッタリング法により成膜してもよい。さらに光反射部材4は、半導体層2側からDBRおよび金属の順で積層した積層体を備えるものであってもよい。
【0047】
次に、半導体層2の全ての側面、および、光反射部材4が配置された導光部材3を覆うようにパッケージ5の材料である絶縁部材を配置する。パッケージ5は、Ti、Zr、Nb、Al、Siからなる群から選択される1種の酸化物、若しくはAlN、MgFの少なくとも1種を混合してなるシリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を型に注入し加熱することでモールド成形される。特に、パッケージ5の素材としては、TiO
2、ZrO
2、Nb
2O
5、Al
2O
3、MgF、AlN、SiO
2よりなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。これにより、パッケージ5が良好な電気絶縁性と光反射性を得ることができる。
図5(c)には、各導光部材3を覆うように、パッケージ5の材料である絶縁部材を充填した工程後の平面図が示される。
【0048】
パッケージ5となる絶縁部材は、発光素子の間隙を埋め、かつ、導光部材3の第1の傾斜面に隣接する側面を覆うように充填される。また、半導体層2の側面から、電極11、12を備える当該半導体層2の底面にかけて、パッケージ5の絶縁部材が連続して充填される。各電極11、12の間隙に絶縁部材が充填されることで、これら電極間の十分な電気的絶縁性が確保される。
【0049】
パッケージ5を成形する方法としては、圧縮成形法、トランスファー成形法、射出成形法などの一般的な成形法を採用することができる。加熱することにより樹脂を硬化させた後に、任意で、電極11、12に電気的に接続する外部パッド電極を形成してもよい。
【0050】
このパッケージ5の素材としては、上述した樹脂以外にも、トランスファーモールド成形を行うことができる熱可塑性樹脂を用いてもよい。
【0051】
そして、隣接する2つの発光素子の間の位置でパッケージ5となる絶縁部材および導光部材3を切断する。これにより、光取り出し面6を含むパッケージ5の側面を形成するとともに、発光素子の周囲の絶縁部材を切断して、光取り出し面6を含む側面以外のパッケージ5の側面を形成する。これらを切断する方法は、たとえばダイシングやダイヤモンドカットが用いられる。このような製造工程を経て、小型化および高輝度化が実現された端面発光型の半導体発光装置1が提供される。
図5(d)には、切断工程後に得られる複数の半導体発光装置1の平面図が示される。
【0052】
図6を参照して、半導体発光装置を製造するための他の方法を説明する。はじめに、半導体層2、n電極11、p電極12および所定の保護膜層等を形成した積層体である複数の発光素子を準備する。半導体層2は、窒化物系化合物半導体(一般式がIn
xAl
yGa
1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1))からなるGaN系を用いることができる。半導体層2のn型半導体層はSiを含有するGaN層を有してなり、p型半導体層はMgまたはZnを含有するGaN層を有してなる。また、活性層は、GaN層やInGaN層を有してなる。
【0053】
半導体層2は、たとえばMOCVD法によって、サファイア等の成長基板上に順次積層して形成することができる。またその他の気相または液相成長法を用いて半導体層2を形成してもよい。
【0054】
カソードとしてのn電極11は、n型半導体層に電気的に接合して設けられる。一方、アノードとしてのp電極12は、p型半導体層に電気的に接合して設けられる。たとえば、n型半導体層およびp型半導体層のそれぞれの所定位置にスパッタリング等によりアンダー・バリア・メタル(UBM)を成膜し、成膜したUBM上に濡れ性の良い導電性金属であるたとえばAuをメッキすることにより、バンプ状のn電極11およびp電極12が得られる。
【0055】
支持体である、たとえば粘着シート20上にn電極11およびp電極12が接するように複数の発光素子を設置する。発光素子をマトリックス状に配置した後、隣接する2つの発光素子ごとに、導光部材3となる複数の成長基板が、それぞれ間隔を空けて配置されるように、当該成長基板に対し傾斜面を形成する。
図6には、導光部材3となる成長基板に対し、光取り出し面とする側に互いに向かい合って隣接する2つの発光素子の間に架け渡される方向における両端で互いに傾斜する傾斜面が形成された例が示されている。
【0056】
なお、LLO法により成長基板を半導体層2から除去し、そして透明なガラス基板からなる導光部材3を半導体層2に直接接合してもよい。その場合には、ガラス基板を半導体層2上に配置した後に、所定の形状にガラス基板を加工してもよい。また、予め所定の形状に加工したガラス基板を半導体層2上に直接接合してもよい。
【0057】
導光部材3は、また、たとえばガラス基板である透明部と、蛍光体を含む波長変換部が透明部に積層または成膜されてなるものでもよい。また、透明部および/または波長変換部がBPFを介して半導体層2に接合されてもよい。
【0058】
成長基板またはガラス基板からなる導光部材3を、傾斜面を有する所定の形状に加工するために、たとえばダイシング、ダイヤモンドカット、レーザ加工等の任意適宜の機械加工法を用いることができる。また、導光部材3がサファイアなどの単結晶基板からなる場合には、異方性エッチングにより傾斜面を形成することができる。
【0059】
次に、導光部材3の少なくとも傾斜面を含む面上に光反射部材4を配置する。光反射部材4は、導光部材3の表面に形成したDBRである。また、光反射部材4は、Ag、Alなどの光反射性または光沢性を有する金属を導光部材3の表面にスパッタリング法により成膜してもよい。さらに光反射部材4は、半導体層2側からDBRおよび金属の順で積層した積層体を備えるものであってもよい。このような光反射部材4は、導光部材3の垂直面に形成するよりも、導光部材3の傾斜面へ形成するほうが容易に導光部材3の表面に形成することができる。
【0060】
次に、半導体層2の全ての側面、および、光反射部材4が配置された導光部材3を覆うようにパッケージ5の材料である絶縁部材を配置する。パッケージ5のモールド成形方法および絶縁素材は、先の実施形態の説明で述べた通りである。
【0061】
パッケージ5となる絶縁部材は、発光素子の間隙を埋めるように、また各電極11、12を絶縁するために、各電極11、12の間隙にも充填される。
【0062】
パッケージ5を成形する方法としては、圧縮成形法、トランスファー成形法、射出成形法などの一般的な成形法を採用することができる。加熱することにより樹脂を硬化させた後に、任意で、電極11、12に電気的に接続する外部パッド電極を形成してもよい。
【0063】
このパッケージ5の素材としては、上述した樹脂以外にも、トランスファーモールド成形を行うことができる熱可塑性樹脂を用いてもよい。
【0064】
そして、隣接する2つの発光素子の間の位置でパッケージ5となる絶縁部材および導光部材(成長基板またはガラス基板)3を切断する。これにより、光取り出し面6を含むパッケージ5の側面を形成するとともに、発光素子の周囲の絶縁部材を切断して、光取り出し面6を含む側面以外のパッケージ5の側面を形成する。これらを切断する方法は、たとえばダイシングやダイヤモンドカットが用いられる。このような製造工程を経て、小型化および高輝度化が実現された端面発光型の半導体発光装置1が提供される。
【0065】
また、本発明に係る半導体発光装置1は、
図7の断面に示されるように、光取り出し面6の反対側に曲面を有する導光部材3を備えるものでもよい。また、図示はしていないが、光取り出し面6の反対側に曲面を有する導光部材3において、曲面の長手方向における両隅部に球状面が形成されてもよい。
【0066】
以上説明した実施形態の半導体発光装置によれば、半導体層2から放射される光が導光部材3を通過し光反射部材4で反射するため、導光部材3から漏れ出すことなく、効率よく光取り出し面6へと導かれる。特に、導光部材3が傾斜面7、8a、8bを有することにより、半導体層2の発光面から光反射部材4までの距離が短くなり、導光部材3の内部で光が減衰してしまうのを抑制して光取り出し面6から取り出すことができる。また、導光部材3に形成した第二および第三の傾斜面8a、8bでも光を反射されることにより、減衰による光損失を少なくするとともに、パッケージ5内部、特に導光部材3の隅部からの光漏れも減らすことができる。
【0067】
したがって、本実施形態の半導体発光装置は、発光損失を従来よりも大幅に低減することができる。また、半導体発光装置を小型化するためパッケージの高さ(つまり本体の厚み)に制約がある場合でも、発光層面積を奥行方向に大きくして発光強度を増すことができ、しかも光減衰や光漏れも低減できる。したがって、端面発光型の半導体発光装置における小型化および高輝度化を実現することができる。
【0068】
本発明は上述した具体的な実施形態に限定されるものではない。当該技術分野における当業者は、本発明が開示する技術思想の範囲内において、これらの実施形態から本質的ではない要素を適宜改変し、または他の公知な要素に置換することができる。