(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発光素子がその前記基板と対向する面上に一対のパッド電極を有し、前記一対のパッド電極上に金属膜が形成され、前記金属膜と前記支持体の一対の電極とが前記導電性物質を介して電気的に接続されている、請求項1〜3のいずれかに記載の発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の発光装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。必要に応じて具体的な実施例を示すが、それは本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明をそれらに限定するものではない。また、以下に記載する構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0013】
また、本明細書において、層上などでいう「上」とは、必ずしもその層などの上面に接触して形成される場合に限られず、離間して上方に形成される場合も含んでおり、層と層の間に介在層が存在する場合も包含する意味で使用する。
【0014】
[発光装置]
図1は、本発明の発光装置の代表的な実施態様の断面を示す模式図である。以下、本発明の発光装置10について、
図1を参照しながら説明する。
【0015】
<支持体12>
発光装置10は、基板14並びに当該基板14の上面に一対の電極16及び絶縁性の反射部材18を有する支持体12を備える。この支持体12における基板14は支持体12の基材となる部材であり、その目的や用途等に応じて、また、後述する発光素子24の実装、光反射率、他の部材との密着性などを考慮して、適切な公知の各種材料を用いて形成することができる。そのような材料としては、例えば、セラミック、樹脂、ガラス等を用いることができる。
【0016】
前記セラミックとしては、例えば、窒化アルミニウム、アルミナ、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)等を用いることができる。
【0017】
また前記樹脂としては、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を用いることができ、具体的には、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂などの変性エポキシ樹脂、エポキシ変性シリコーン樹脂などの変性シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、変性ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、変性ウレタン樹脂、テフロン(登録商標)、FR−4、CEM−3などをあげることができる。さらに、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリマー、ナイロン等も用いることができる。さらにこれらの樹脂中には、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの微粒子などを含有させてもよい。
【0018】
基板14は以上説明した各種の公知の材料から形成することができるが、これらのうち可撓性のある材料、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリイミド樹脂及び液晶ポリマーなどの材料を使用してフレキシブル基板とすることもできる。特に、発光素子24の実装に半田材料を用いる場合には、耐熱性の高いポリイミド樹脂を用いることが好ましい。基板14をこのような材料で形成して可撓性を有するフレキシブル基板とした場合には、その上の電極16や反射部材18並びに後述する樹脂部材22等を適切な材料で形成することにより、可撓性を有する発光装置10とすることができる。このような発光装置10は、例えば平坦でない場所にも取り付けることが可能となるなど、発光装置10を備える各種製品の設計自由度を高めることができる。
【0019】
また、基板14を形成する材料に、発光装置10の光取り出し効率の向上のため、光反射率の高い材料(例えば、酸化チタン等の白色フィラーなど)を含有させてもよい。基板14の厚みは、当該技術分野で採用されているものであれば特に制限されず、例えば10μm〜数mm程度の厚みとすることができる。基板14が前述のフレキシブル基板である場合には、基板14の厚みは例えば10μm〜100μm程度とすることができる。
【0020】
また、基板14の上面視における形状は、特に限定されるものではなく、種々の形状とすることができる。例えば、四角形、長方形、多角形、円形、楕円形、及びそれらを組み合わせた形状とすることができる。発光装置10を直管の蛍光灯などに使用する場合には、基板14は、短手方向の幅に比して10倍以上の長さを有するような長尺形状とすることが好ましい。例えば、約120cmの直管型の照明とする場合、幅が0.5cm〜5cmで、長さが30cm〜120cmの基板などとすることができる。
【0021】
<電極16>
前記支持体12においては、基板14上に一対の電極16が配置されており、ここに発光素子24がフリップチップ実装される。基板14は少なくとも一対の電極16を備えていればよく、任意に三つ以上の電極を備えていてもよい。
【0022】
電極16は、金属配線やリードフレームとして基板14の上面に形成されていてもよい。なお、発光装置10がフレームインサートタイプである場合、板状のリードを所望の形状に加工したものを電極16として用いることができる。その電極16の形状は、後述の通り、発光素子24と電気的に接続されるよう基板14上に設けられていればよく、平板状のもののほか、部分的に厚みの異なるものや、上下方向に屈曲させたものでもよい。またその厚みや形状等については、発光装置10の形状等に応じて種々選択することができる。
【0023】
このような電極16を形成する材料としては、Fe、Cu、Ni、Al、Ag、Au及び、これらを含む金属(合金)やメッキ、それらを積層した材料を用いることが好ましく、当該材料は電気伝導性、放熱性、基板14や反射部材18等他の部材との密着性等を考慮して適宜選択される。本発明においては、発光素子24の下方の電極16が反射部材18に被覆されるため、反射率の低い材料であっても、電極として用いることができる。
【0024】
電極16の厚みは特に限定されるものではなく、当該分野で通常使用される電極の厚みを適用することができる。例えば、電極16の厚みは数μm〜数mm程度とすることができる。特に、可撓性を有する発光装置とするため、上記の可撓性を有する基板14を用いる場合には、電極16はその可撓性を損なわない厚みであることが好ましく、例えば、5μm〜150μm程度の厚みである。
【0025】
電極16が金属配線である場合、その上面視における形状は特に限定されるものではなく、通常の、発光素子を搭載する基板等における配線のパターンと同様又は準じた形状等とすることができ、さらに放熱性及び/又は強度等を考慮した形状等とすることが好ましい。そのような形状として例えば、クランク形状、三角形、四角形等の多角形、円、楕円等の角のない形状、これらの形状に部分的に凹凸を有する形状等の1種又はこれらを組み合わせた形状が挙げられる。また、電極16は基板14の表面の75%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上を被覆するように設けられる。これにより、発光装置10の放熱性を高めることができる。
【0026】
以上説明した電極16は、正負一対の電極として、基板14上に互いに離間して積層された一対の金属配線であってもよい。これにより、電極16の形状の自由度を高めることができる。例えば、複数の金属配線である電極16を基板14上に広い面積で設けることができ、発光装置10の放熱性を高めることができる。
【0027】
<反射部材18>
本実施形態の発光装置10において、支持体12は基板14の上面に絶縁性の反射部材18を備えており、この反射部材18は少なくとも、後述する樹脂部材22の直下の全面に設けられている。言い換えれば、発光装置10を上面視した場合に、樹脂部材22は反射部材18の上面の一部または全面に形成されている。
【0028】
樹脂部材22は絶縁性の樹脂中にACP接続技術やESC法における導電性物質20を含有する部材であるが、これらは、熱と圧力を同時に加えることによってACP塗膜又は接着剤を硬化し、発光素子24を基板14に実装・載置するものとして用いられる。
【0029】
前記樹脂部材22中の導電性物質20は発光素子24からの発光を吸収し、発光装置の光取り出し効率を低下させてしまう恐れがある。しかし本実施形態では、反射部材18を少なくとも樹脂部材22の直下の全面に設けることで、発光素子24から下に向かって放射される光が効率よく反射され、前記の光吸収による光取り出し率への悪影響を抑制することができる。
【0030】
なお、本明細書において、「樹脂部材22の直下の全面」とは、完全に全面であることに限られず、全面に設けられていることと同視できるような、本発明の効果を奏する限り、わずかな空隙があってもよい。また、後述するように、反射部材18は樹脂部材22中の導電性物質20によって突き破られるが、このような場合であっても、反射部材18は樹脂部材22の直下の全面にあるものとする。つまり、発光素子24と電極16とを電気的に接続する導電性物質20がある部分を除いた、樹脂部材22の直下の全面に反射部材18がある場合も、本明細書では反射部材18は樹脂部材22の直下の全面にあるものとする。
【0031】
好ましくは反射部材18の上面が略平坦(基板14の上面と略平行)になるように形成すると、その上に後述する樹脂部材22を形成する際、液状の樹脂部材22が貯まる段差がなくなるため、樹脂部材22を全体的に薄く形成することができる。後述する発光素子24のフリップチップ実装の際には、圧力を加えるため樹脂部材22の少なくとも一部が押しのけられ、発光素子24の側面を這い上がってフィレットを形成するが、樹脂部材22を薄く形成できることで、フィレットの大きさを小さくすることができる。
【0032】
特に前述の通り、電極16は、基板14上に互いに離間して積層された一対の金属配線であってもよいが、仮に、この一対の金属配線の間の、発光素子24の下部の領域に形成されたギャップ部分26に樹脂部材22を充填する構成とすると、ギャップ部分26における樹脂部材22の量が多いので、発光素子24のギャップ部分26上方の側面に形成されるフィレットは大きくなる。フィレットが大きくなると導電性物質20が発光素子24の側面に配置される確率が高くなる。前述の通り、導電性物質20は光を吸収するため、光効率の低下を招くこととなる。これを防止するためにはギャップ部分26を含めて金属配線部全面に樹脂部材22を薄く形成することが考えられるが、基板14上の一対の電極16や発光素子24側の電極の厚みもあるので、樹脂部材22を薄く形成することは技術的に困難である。あるいは薄く形成できたとしても、ギャップ部分26に空隙が残り発光装置10の機械的強度が低下するおそれがある。
【0033】
この点について、このギャップ部分26を含めて金属配線(電極16)上に反射部材18を形成し、その上に樹脂部材22を形成する構成とすることで、発光素子24からの下向きの発光を反射し、さらに大きなフィレットの形成を十分に抑制することができ、その結果発光装置10の光取り出し効率が向上する。さらに反射部材18は絶縁性であるため、これをギャップ部分26に充填することで、基板14上の一対の電極16同士の意図しない導通なども十分に防止することができる。
【0034】
また、上記のような反射部材18の構成とすることで樹脂部材22を薄く形成することができることによって、樹脂部材22の使用量が少なくなるので、発光装置10の製造コストの点でも有利である。
【0035】
さらに、反射部材18の上面が平坦になるように形成しなくとも、少なくとも樹脂部材22の直下の全面、すなわち発光素子24の周囲の一対の電極16の上面の少なくとも一部及びギャップ部分26の領域全体に反射部材18を形成することで、樹脂部材22のギャップ部分26への充填量が減少し、フィレットの形成が抑制され、発光装置10の光取り出し効率が向上する。また、このように一定の領域全体に反射部材18を形成することになるので、パターン印刷のようなコストの高い方法を採用する必要がなく、全面印刷、塗布、スピンコートなどの簡便な方法で反射部材18を形成することができ、製造コストを抑えることができる。
【0036】
また、電極16の部分とギャップ部分26を反射部材18という同じ材料で被覆することで、樹脂部材22が形成される部分の塗れ性が均一になり、その結果フィレットの形成が有効に抑制されるので好ましい。
【0037】
このような反射部材18の発光装置10の上面視における形状は、少なくとも樹脂部材22の直下の全面に設けられている限り特に限定されるものではなく、種々の形状とすることができる。例えば、四角形、長方形、多角形、円形、楕円形、及びそれらを組み合わせた形状とすることができる。なお、基板14及びその上の一対の電極16は反射部材18と比べて光反射率が低いので、反射部材18を、少なくとも発光素子24の周囲の電極16及び基板14の露出面、より好ましくは電極16及び基板14の露出面全体を被覆するように形成すると、発光装置10の光取り出し効率を向上させることができる。なお、このように、電極16の露出面全面を被覆するように反射部材18を設けると、発光素子24を載置するべき部分を認識しにくくなるおそれがある。そのような場合は、別途反射部材18に切欠きや孔などの認識用のパターンを設けてもよい。
【0038】
以上説明した反射部材18は、樹脂部材22よりも光反射率の高い公知の材料で形成し、具体的には例えば、白色の樹脂、白色のレジスト等により形成することができる。また反射部材18としては、樹脂部材22と接着性のよい材料のものを使用することが好ましい。例えば、透光性の樹脂に、光反射性の材料を含有させたものを用いることができ、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂に酸化チタンや酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなどの材料を含有させたものを好適に用いることができる。
【0039】
また、反射部材18の厚みは特に制限されるものではないが、通常、1μm〜100μmの範囲で設けられ、1μm〜10μmの範囲に設けられることが好ましい。なお、反射部材18の厚みとは、基板14上の電極16と発光素子24とが対向している領域における部分の反射部材18の厚みであり、
図1でいえば電極16の上面から反射部材18の上面までの距離である。
【0040】
<樹脂部材22>
発光装置10においては、支持体12の一対の電極16に発光素子24がフリップチップ実装されている。樹脂部材22はこの電極16と発光素子24の間の実装における接着及び電気的導通を行う。具体的には、樹脂部材22は少なくとも前記発光素子24と基板14との間に存在するように設けられている。より具体的には、樹脂部材22は少なくとも、基板14と発光素子24の間の、発光素子24直下の全面に形成されており、これにより発光素子24を強固に支持体12に接着する。なお、樹脂部材22は光反射性が良好ではなく光を吸収することもあるので、発光素子24直下の全面を超えてあまり広い領域に形成しないことが好ましい。
【0041】
さらに樹脂部材22には導電性物質20、より具体的には導電粒子及び/又は半田材料が含まれ、これを電極16と発光素子24の間にかみ込ませて双方に接触するようにすることで、導電性物質20を介して支持体12の電極16と発光素子24の電極(
図1には明記せず)とが電気的に接続する。このように双方に接触するので、導電性物質20の平均粒子径は、反射部材18の厚みよりも大きい。
【0042】
なお、例えば
図1において横向きに導電性物質20が連なると、一対の電極16間で短絡が発生してしまうので、そのようなことが起こりにくくなるように、樹脂部材22中における導電性物質20の量は調整されている。
【0043】
このような導電性物質20である導電粒子としては、異方性導電接続(ACP接続技術など)用の従来の導電粒子において用いられている各種の金属の粒子を利用することができる。その例として例えば、金、ニッケル、銅、銀、パラジウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、クロム、モリブデン、タングステン、それらの合金、それらの多層化物(例えば、ニッケルメッキ/金フラッシュメッキ物)等を挙げることができる。
【0044】
また、前記導電粒子として、樹脂粒子を前記の各種金属材料で被覆した金属被覆樹脂粒子を使用することができる。このような樹脂粒子としては、スチレン系樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、ナイロン樹脂粒子などが挙げられる。樹脂粒子を金属材料で被覆する方法としては従来公知の方法を採用することができ、無電解メッキ法、電解メッキ法等を利用することができる。また、被覆する金属材料の層厚は、良好な接続信頼性を確保するに足る厚さであり、樹脂粒子の粒径や金属の種類にもよるが、通常、0.01〜3μmである。
【0045】
さらに、上記導電性物質20である半田材料(ESC法)としては、例えば、スズ、銅、銀、ビスマス、アンチモン、インジウムおよび亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種の金属を含む低融点の材料が挙げられる。半田材料の場合には、発光素子24と電極16とがその間にある半田材料の融点以上の温度で熱圧着され、これによりこれらの間の電気的接続が形成される。
【0046】
このような導電粒子及び半田材料(導電性物質20)の平均粒子径は、支持体12への発光素子24のフリップチップ実装(主に電気的導通)を達成し得る限り特に制限されるものではないが、前記平均粒子径は通常1μm〜50μmであり、好ましくは3μm〜20μmである。なお、前記平均粒子径は、後述する、導電性物質20における尖端部の長さを含まないものとする。
【0047】
ESC法を利用して発光装置10が製造される場合には、代表的には
図2に示すように、その上面に一対の電極16を有する基板14上に、電極16全体を被覆するようにして絶縁性の反射部材18が塗布され、さらに反射部材18上に、電極16に対応する部分全体を被覆するように樹脂部材22が塗布され、金属膜28(バンプ)及び樹脂部材22中の半田材料20を介して当該電極16と発光素子24の一対のパッド電極(発光素子24の基板14と対向する面に設けられる)とが半田接続され、電気的接続が確立される。
【0048】
なお、導電性物質20として導電粒子を使用した場合にも、同様の構成により電極16とパッド電極(より詳細には金属膜28)との接続(接着)が可能である。
【0049】
前記金属膜(バンプ)28は、基板14の電極16上に形成してもよく、発光素子24のパッド電極上に形成してもよい。パッド電極の表面に金属膜28を形成することによって、樹脂部材22が導電性物質20、特に後述する、尖端部を有する導電性物質20を使用する場合に、パッド電極がこれらによって(圧着の際などに)ダメージを受けることを防止することができる。
【0050】
特に、金属膜28の厚みが、導電性物質20の平均粒子径と反射部材18の厚みとの差よりも大きいと(導電性物質20の平均粒子径が反射部材18の厚みよりも大きいことは上述の通りである)、導電性物質20が発光素子24側のパッド電極や、発光素子24自体にダメージを与えることを有効に防止しつつ、発光素子24と一対の電極16の導通も担保することができる。
【0051】
以上説明した導電性物質20(導電粒子及び/又は半田材料)が適切な量で存在することにより、発光素子24と一対の電極16とが、電極16同士の短絡などを起こすことなく電気的に接続され、高い信頼性が得られる。
【0052】
発光装置10の製造においては、導電性物質20は樹脂部材22中に含まれており、樹脂部材22が反射部材18上に、少なくとも発光素子24の下面(基板14と対向する面)をカバーするように形成され、この樹脂部材22に発光素子24が圧着される。このとき樹脂部材22中の導電性物質20は、圧着により発光素子24の電極と接触するだけでなく、圧着の圧力により反射部材18を突き破って貫通し、支持体12側の電極16にも接触する。また、圧着時に振動を印加することで反射部材18を貫通しやすくすることも可能である。
【0053】
導電性物質20が反射部材18を突き破って貫通しやすくするために、当該物質は、例えば
図3にその模式図を示すように、尖端部100を有していることが好ましい。この尖端部100は導電性物質20の一部に存在していてもよいし、
図3に示すように全体的に存在していてもよい。尖端部100を有する導電性物質20の形状は具体的には、例えば、角、突起又はとげを有する形状や、角張った形状である。
【0054】
また、導電性物質20が上記の金属被覆樹脂粒子のような、樹脂のコアを有する場合には、そのコアは周辺の反射部材18や樹脂部材22等よりも柔らかく、かつ、尖端部100の硬度が反射部材18及び樹脂部材22よりも高いことが、反射部材18を有効に貫通する観点から好ましい。
【0055】
このような尖端部100を有する導電性物質20(導電粒子及び/又は半田材料)は、例えば、球状の粒子にメッキで尖端部100を形成する、球状の粒子を粉砕して尖端部100を形成するなどの方法で製造することができる。
【0056】
なお、導電性物質20が半田材料である場合、尖端部100は発光素子24の実装時や発光装置10の実装時に加わる熱により消失することがある。
【0057】
以上説明した樹脂部材22は発光装置10において発光素子24の下面側(及び側面)に位置しているので、当該部材に光反射性を持たせることで、発光装置10の光取り出し効率を向上することができる。樹脂部材22に光反射性を持たせるためには、例えば光反射性のフィラーを含有させてもよい。また意図しない電気的導通を生じさせないよう、前記フィラーは絶縁性である必要がある。そのようなフィラーとしては従来公知のものを特に制限なく使用することができ、例えば、酸化亜鉛ウィスカ、酸化チタンウィスカ、チタン酸カリウムウィスカ、チタン酸ウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカ、ウォラストナイト(カオリンシリケートの針状結晶)などの光反射性針状絶縁粒子や、酸化チタン、窒化ホウ素、酸化亜鉛又は酸化アルミニウムからなる光反射性球状絶縁粒子が挙げられる。このような光反射性かつ絶縁性のフィラーを含有させることで、樹脂部材22の光反射率を好ましくは70%以上98%以下に高めることができる。
【0058】
しかし、本実施形態においては、発光素子24の下方および樹脂部材22の下方に反射部材18を設けているため、樹脂部材22に光反射性のフィラーを含有させなくとも、光取出し効率を高めることができる。
【0059】
さらに、上述の通り本実施形態の構成によれば、樹脂部材22を少なくとも発光素子24と基板14との間に存在するように設け、少なくともその樹脂部材22の直下の全面に反射部材18を設ける構成としたことで、樹脂部材22の厚みを薄くすることができる。
【0060】
<発光素子24>
上述の通り発光素子24が支持体12の一対の電極16にフリップチップ実装され、樹脂部材22中の導電性物質20を介して基板14上の一対の電極16と電気的に接続する。発光素子24の構成は特に制限されるものではなく、フリップチップ実装が可能な公知の各種の構成が採用可能である。
【0061】
その代表例の一つとして、
図4に示す態様が挙げられる。
図4は発光素子24の断面図であるが、
図1における発光素子24と上下の向きを反転して示している。例えば、
図4に示す通り、支持基板240上に、n型窒化物半導体層241、活性層242及びp型窒化物半導体層243がこの順に積層されている。さらにp型窒化物半導体層243上にはp側電極が設けられている。これはp型窒化物半導体層243上にITO,Al、Agなどの全面電極244を設けて、電流がp型窒化物半導体層243全体に行きわたるようにし、さらに全面電極244上にp側パッド電極247を設けた構成とすることができる。
【0062】
本態様の発光素子24においては、n型窒化物半導体層241を露出する露出面245が形成されている。そして、露出したn型窒化物半導体層241の上にn側電極246が設けられている。n側電極246はn側コンタクト電極及びn側パッド電極の積層体の構成としてもよい。
【0063】
そして、これらp側電極とn側電極とが短絡しないように、絶縁膜248でこれら電極の一部を被覆し、保護する。
【0064】
このようなp側及びn側電極のそれぞれが樹脂部材22を介して、基板14の一対の電極16と電気的に接続される。なお、基板側の正負の電極16が近接していない場合には、樹脂部材22を構成する主要材料(導電性物質20以外)は絶縁性であるので、絶縁膜248を形成しなくとも、前記短絡を防止することが可能である。
【0065】
以上説明した発光素子24のp側電極及びn側電極が、基板14に対向するようフリップチップ実装される。発光素子24のフリップチップ実装される位置は基板14の一対の電極16に対応しており、
図1の態様であれば、発光素子24が互いに離間している一対の電極16をまたぎ、発光素子24のp側及びn側電極のそれぞれが基板14の一対の電極16のそれぞれに対応するような位置に位置決めされ、実装される。なお、
図4に示した態様ではp側及びn側電極の高さが異なるが、これに対応して一対の電極16の厚みを異なるようにしたり、基板14に段差を設けて発光素子24の上面(光取り出し面)が水平面と平行になるようにすることが好ましい。また、n側電極246の電極の高さをp側パッド電極247の高さと同じにして発光素子24の上面が水平面と平行になるようにすることがより好ましい。
【0066】
以上説明した発光素子24における各層の構成としては、従来公知の各種の構成を特に制限なく採用可能である。例えば前記n型窒化物半導体層241は、GaNのコンタクト層、InGaN/GaNの多層膜構造、p型窒化物半導体層243は、GaNのコンタクト層、AlGaN,InGaN,GaNの単層、多層膜構造等を用いて構成することができる。また、各層の一部に、絶縁性、半絶縁性の領域、層、又は逆導電型の領域、層を設けてもよい。
【0067】
また、発光素子24における活性層242は、例えば、Al
aIn
bGa
1-a-bN(0≦a≦1、0≦b≦1、a+b≦1)からなる井戸層と、Al
cIn
dGa
1-c-dN(0≦c≦1、0≦d≦1、c+d≦1)からなる障壁層とを含む量子井戸構造を有する。活性層から放出する光の波長は、発光素子の目的、用途等に応じて360nm〜650nm付近、好ましくは380nm〜560nmの波長である。
【0068】
さらに発光素子24は、その下面、つまり基板14と対向する面に、誘電体多層膜やAg、Al等の光反射率の高い金属などからなる反射膜を有していてもよい。これにより発光素子24の活性層242から下向きに発せられた光を反射し、発光装置10の光取り出し効率を高めることができる。特に、樹脂部材22が光反射性かつ絶縁性のフィラーを含有していない場合には、活性層242から下向きに出射した光を上方に反射させるため、前記反射膜を、発光素子24の下面になるべく大きな形成面積で形成することが好ましい。
【0069】
また、本発明の発光装置10においては、発光素子24は複数設けられてもよい。
【0070】
<透光性樹脂30>
本発明の発光装置は、
図5に示す通り、発光装置10の上部、すなわち発光装置10における樹脂部材22、支持体12及び発光素子24の積層方向上部の露出面を、透光性樹脂30により封止したパッケージの形態とすることが好ましい。
【0071】
このように封止することで、発光装置10の部材を物理的・熱的衝撃等から保護することができる。本発明においては、好ましくは樹脂部材22を薄く形成することで発光素子24の側面におけるフィレットの高さを低く調整しているため、フィレットの発光素子24を固定する力(接着強度)が弱まっている場合がある。そのため、このような封止により接着強度の補強を行うことが好ましい。
【0072】
特に基板14をフレキシブル基板として折り曲げ可能な構成にした場合には、フィレットの高さを低く調整したことによる曲げ強度の低下を補うことができるため、発光装置10の各種外部ストレスに対する耐性を高めることができる。
【0073】
このような樹脂封止に用いられる透光性樹脂30としては、透光性の高いシリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂等を使用することが好ましい。また、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の透光性を有する絶縁樹脂も用いることができる。さらに、ユリア樹脂、フッ素樹脂およびこれらの樹脂を少なくとも二種含むハイブリッド樹脂など、耐候性に優れた樹脂も利用できる。
【0074】
(波長変換部材32)
また、発光装置10は、発光素子24からの出射光の少なくとも一部を吸収して波長変換を行う波長変換部材32を備えることができる。この波長変換部材32は、例えば前記透光性樹脂30内に含有させることができる。前記波長変換部材32は、代表的には前記出射光によって励起され蛍光を発する蛍光物質である。波長変換部材32を有することにより、光源の光を異なる波長の光に変換し、光源と波長変換部材32で波長変換された光との混色光を得ることが可能となる。この波長変換部材32としては蛍光体が好適に利用できる。なぜなら蛍光体は光散乱性及び光反射性の機能をも備えているため、波長変換機能に加えて光散乱部としての役割を果たし、光取り出し効率を高めることができるからである。なお、蛍光体は、透光性樹脂30中にほぼ均一の割合で混合することも、部分的に偏在するよう、例えば発光素子24の周辺において濃度が高くなるよう配合することもできる。
【0075】
例えば、青色発光する発光素子24と、波長変換部材32としてイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(YAG系蛍光体)とを用いると、白色系の混色光を発光させることができる。白色に発光可能な発光装置とする場合、透光性樹脂30中に含まれるYAG系蛍光体の濃度を白色となるように調整するが、その場合のYAG蛍光体の濃度は、例えば、5〜50%程度である。
【0076】
前記YAG系蛍光体は、YとAlを含むガーネット構造の蛍光体の総称であり、希土類元素から選択された少なくとも一種の元素で付活された蛍光体であり、発光素子24から発光される青色光で励起されて発光する。ガーネット構造の蛍光体は、YAG系の蛍光体に限られず、用いることができる。例えば、(Re
1−xSm
x)
3(Al
1−yGa
y)
5O
12:Ce(0≦x<1、0≦y≦1、但し、Reは、Y、Gd、La、Luからなる群から選択される少なくとも一種の元素である。)等の組成式のものを用いることができる。
【0077】
また、蛍光体として、窒化物系蛍光体も用いることができる。窒化物系蛍光体の具体例としては、一般式、L
XM
YN
((2/3)X+(4/3)Y):R若しくはL
XM
YO
ZN
((2/3)X+(4/3)Y−(2/3)Z):R(Lは、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Znからなる群から選ばれる少なくとも1種の第II族元素である。Mは、C、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Hfからなる群から選ばれる少なくとも1種の第IV族元素である。Rは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Luからなる群から選ばれる少なくとも1種の希土類元素である。X、Y、Zは、0.5≦X≦3、1.5≦Y≦8、0<Z≦3を満たす数である。)で表されるものを挙げることができる。
【0078】
また、青色光を吸収して赤色発光する蛍光体としてはKSF蛍光体を用いることができる。
【0079】
また、蛍光体は、一層からなる透光性樹脂30中に一種類或いは二種類以上存在してもよい。これにより所望の波長を出射可能な発光装置10を実現できる。
【0080】
<コネクタ・ツェナーダイオード>
発光装置10は、外部電源装置と接続するためのコネクタを有していてもよい。また、発光装置10の静電耐圧を高めるため、ツェナーダイオードを組み合わせてもよい。
【0081】
(添加部材)
また、透光性樹脂30は、波長変換部材32の他、粘度増量剤、顔料及び光散乱材等、使用用途に応じて適切な部材を含有することができ、これによって良好な指向特性を有する発光装置10が得られる。同様に外来光や発光素子24からの不要な波長の光をカットするフィルター効果を持たせたフィルター材として各種着色剤を含有させることもできる。
【0082】
前記光散乱材としては、例えば中心粒径が1nm以上5μm未満のものを用いることができ、発光素子24及び波長変換部材32からの光を良好に乱反射させ、大きな粒径の波長変換部材32の色ムラを抑制することができる。
【0083】
さらに、前記光散乱材で中心粒径が5μm以上100μm以下のものは、フィラーとして好ましく使用することができる。このような粒径のフィラーを透光性樹脂30中に含有させると、光散乱作用により発光装置10の色度バラツキが改善される他、透光性樹脂30の耐熱衝撃性を高めることができる。これにより、高温下での使用においても、発光素子24と異部材界面におけるクラック及び剥離の発生を防止できる。さらには樹脂の流動性を長時間一定に調整することが可能となる。
【0084】
前記粘度増量剤としては、中心粒径が1nm以上1μm未満の粉体を用いることが好ましく、光度を低下させることなく透光性樹脂30の樹脂粘度を高めることができる。
【0085】
<発光装置の製造方法>
本発明の発光装置の製造方法は、以上説明した発光装置の構成を実現し得る限り特に制限されるものではないが、例えば、以下のようにして発光装置を製造することができる。なお、参照のため各構成に
図1、2及び5における符号を付す。
【0086】
まず、基板14と一対の電極16と反射部材18とを有する上述の支持体12を準備する。例えば、まず基板14上に一対の電極16を形成する。また、上述の通り必要に応じて電極16は、三つ又はそれ以上形成してもよい。電極16は、蒸着、スパッタリング、メッキ、フォトレジストを用いたビルドアップ法やサブトラクティブ法、金属箔の貼り付け、並びに導電性ペーストを用いた印刷法などの公知の方法で形成することができる。電極16がリードフレームである場合には、基板14は金型を用いた射出成型やトランスファーモールド等で形成することができる。なお、電極16の厚みが薄いと、次工程における反射部材18の形成が実施しやすくなり、特に塗布や印刷法などの簡易な方法で形成しやすくなるので、コストの点から好ましい。なお、支持体12の準備とは、このように形成された支持体12を製造することに限られず、購入すること等も含む。
【0087】
続いて基板14及び/又は電極16上に反射部材18を形成する。次に、電極16上に発光素子24をフリップチップ実装する位置を決めて、発光素子24と基板14との間に樹脂部材22が存在する(例えば発光素子24の下面を樹脂部材22が被覆する)ように樹脂部材22を配置するのであるが、反射部材18は、少なくとも前記樹脂部材22の直下の全面に存在するように形成される。ここで、一対の電極16が互いに離間した一対の金属配線である場合などのように、電極16の間に開口部であるギャップ部分26が存在する場合には、好ましくはこの部分にも反射部材18を形成する。反射部材18は、白色のレジストや白色の樹脂の場合はマスク印刷、スピンコート、貼り付け、スプレーによる塗布などの公知の方法により形成可能である。
【0088】
次に、その直下の全面に反射部材18が存在するような箇所(言い換えると反射部材18上の少なくとも一部)に樹脂部材22を配置する。樹脂部材22の形成は、ディスペンスや印刷等の方法により行うことができる。なお、樹脂部材22は上記で説明した通り、導電性物質20として導電粒子及び/又は半田材料を含んでいる。この時、支持体12の電極16又は発光素子24のパッド電極上に、例えば金や半田等の導電材料からなる金属膜28を形成して、これと導電性物質20とを利用して、発光素子24と支持体12の電極16とを接合してもよい。
【0089】
さらに、配置された樹脂部材22上に発光素子24を載置する。このとき、発光素子24側のパッド電極上に設けられた金属膜28と支持体12側の一対の電極16とが対向するように位置決めする。そして載置した発光素子24を加熱・加圧することで、樹脂部材22中の導電粒子及び/又は半田材料20が反射部材18を突き破って貫通し、前記金属膜28及び電極16の双方に接触するようになり、これにより発光素子24と支持体12とが電気的に接続し、またこれらが物理的に接着する。また好ましくは反射部材18は、基板14と基板14上の電極16とにより形成されたギャップ部分26にも充填されるため、アンダーフィル材料を充填することなく、発光素子24と支持体12との強固な接着も達成することができる。
【0090】
また、前記の加圧・加熱と同時に、振動等を与えることが好ましい。これにより、導電性物質20、もしくは導電性物質20の尖端部100で反射部材18を突き破ることが容易になる。
【0091】
またこの時、上方からの加圧や加熱によって反射部材18が変形する、より詳細にはその厚みが薄くなることがある。この場合、導電性物質20による反射部材18の突き破りや接合を容易に行うことができる。
【0092】
上記の通りギャップ部分26に反射部材18を充填すると、上述の通り樹脂部材22の厚みを薄くすることができ、これにより前記の発光素子24を加熱・加圧したときの塗れ現象によるフィレットの形成が十分に抑制される。フィレットの形成の抑制により、発光素子24の側面からの発光の吸収が抑制され、発光装置10の光取り出し効率が高まる。
【0093】
さらに、発光素子24と基板14との間に存在するように樹脂部材22が形成され、その直下の全面又はそれより広い領域に反射部材18が形成されることによって、発光素子24からの下向きの発光を良好に反射し、フィレットによる光取り出し効率への悪影響を低減することができる。
【0094】
なお、上記発光素子24の製造方法を簡潔に説明すると以下の通りである。
まず成長基板上で結晶成長によりn型窒化物半導体層、活性層、p型窒化物半導体層、n側電極及びp側電極を、例えば
図4に示された態様となるように形成する。
【0095】
発光素子24はこれらの層の半導体積層体であってもよいし、その他の層(上述の反射膜など)を有していてもよい。成長基板は、窒化物半導体(特にGaN系半導体)をエピタキシャル成長させることができる基板であればよく、成長基板の大きさや厚さ等は特に限定されない。この成長基板としては、C面、R面、及びA面のいずれかを主面とするサファイアやスピネル(MgAl
2O
4)のような絶縁性基板、また炭化珪素(6H、4H、3C)、ZnS、ZnO、Si、GaAsが挙げられる。また、GaNやAlN等の窒化物半導体基板を用いることもできる。本発明において、発光素子は、フリップチップ実装されるため、基板としてサファイアやSiC等の透光性を有するものを用いることが好ましい。なお、成長基板は、例えば発光素子の実装後等に、除去されてもよい。
【0096】
さらに、発光素子24の実装の後、必要に応じて透光性樹脂30による封止を行い、発光装置10をパッケージの形態とする。前記封止の方法としては従来公知の方法を特に制限なく使用することができる。また透光性樹脂30には上記の通り波長変換部材32や、その他の添加部材を含有させることもできる。