(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記蒲鉾状画線は、少なくとも前記画像形成領域において、前記基材自体が光沢性を有し、又は前記基材上に光沢性を有するインキでベタ印刷して凹又は凸として形成されたことを特徴とする請求項4又は5記載の立体表示形成体。
前記光沢性を有する画像形成領域は、前記基材自体が光沢性を有し、又は前記基材上に光沢性を有するインキでベタ印刷して成ることを特徴とする請求項7又は8記載の立体表示形成体の作製方法。
前記光沢性を有する画像形成領域は、前記基材自体が光沢性を有し、又は前記基材上に光沢性を有するインキでベタ印刷して成ることを特徴とする請求項10又は11記載の立体表示形成体の作製方法。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
【0025】
図1に、本発明における立体表示形成体(以下、「形成体」という。)(1)の商品券を示す。
図1に示すように、形成体(1)は、基材(2)上の少なくとも一部に、光沢を有する画像形成領域(3)を有しており、その画像形成領域(3)内に少なくとも立体表示画像(4)が形成されている。
【0026】
立体表示画像(4)の詳細については後述するが、基材(2)に対して凹形状又は凸形状に形成されているため、基材(2)については、凹形状又は凸形状の立体表示画像(4)を形成することができれば、紙、プラスティック又は金属等とすることができる。ただし、前述のとおり、立体表示画像(4)が形成されている画像形成領域(3)は光沢を有する必要がある。したがって、基材(2)自体が光沢を有する材質でも良いし、画像形成領域(3)のみ光沢を有することでもよい。
【0027】
基材(2)全体が光沢を有するためには、基材(2)自体を光沢のある金属材料(例えば、セキュリティ分野においては、アルミニウム等の金属蒸着膜)又はプラスティック(例えば、カード基材では、ポリ塩化ビニルやPETG、ポリカーボネート等)を用いることができる。また、もともとは光沢を有していない紙やプラスティックについては、基材(2)表面に印刷や塗布により光沢を付与すれば良い。例えば、パールインキを印刷することができる。
【0028】
また、基材(2)の一部の画像形成領域(3)のみに光沢を持たせるにも、前述のとおり、パールインキ等の光輝性材料を印刷等により付与することが可能である。
図1に示した形成体(1)については、紙基材(2)の一部の画像形成領域(3)のみパールインキにより光沢性を付与してある。
【0029】
(第一の実施形態)
図2は、本発明の立体表示形成体における第一の実施の形態の第1の立体表示画像(4)の拡大図を示す。第一の立体表示画像(4)は、出現させる第1の原画像(5)を形成した第1の立体表示画線(6)が規則的に複数配置された第1の立体表示画線群(7)から構成されている。この第一の立体表示画像(4)は、
図2(a)に示すように、基材(2)に対して凸形状に形成された第1の立体表示画線(6)が第1の方向(S1)に複数規則的に配置された第1の立体表示画線群(7)で構成されている場合と、
図2(b)に示すように、基材(2)に対して凹形状に形成された第1の立体表示画線(6’)が第1の方向(S1)に複数規則的に配置された第1の立体表示画線群(7’)で構成されている場合があり、どちらの場合でも本発明の効果を奏する。なお、本発明において、複数の画線が同一方向、かつ、同一ピッチで規則的に配置されていることを、以下「万線状に配置」されていると言う。
【0030】
画像形成領域(3)は、この第1の立体表示画線群(7)が形成されている第1の模様部(20)と、それ以外の第1の背景部(21)に区分けされている。
【0031】
第1の立体表示画線群(7及び7’)について、詳細に説明する。まず、
図2(a)に示した凸形状に形成された第1の立体表示画線群(7)について説明する。
【0032】
図3(a)は、凸形状に形成された第1の立体表示画線群(7)を用いて形成した第一の立体表示画像(4)を模式的に表した平面図及びその平面図の中のX―X’断面図である。
図3(a)の断面図に示すように、第1の立体表示画線(6)は、基材(2)に対して凸形状で一部が欠けている形状となっている。さらに、
図3(b)に点線で囲んだ箇所の拡大断面図を示す。
図3(b)に示すように、第1の立体表示画線(6)は、画線表面が曲面を有する蒲鉾状となっている。この第1の立体表示画線(6)の詳細は作製方法を説明する中で詳細に説明するが、第1の立体表示画線群(7)における画線同士がすべて異なる形状となっており、隣り合う画線同士は最も近似した形状である。なお、詳細は後述するが、
図3では、基材(2)に立体表示画線群(7)が印刷により形成されている状態を説明するものであるが、これを基材(2)ではなく、基材(2)に形状を加工するためのエンボス版(9)とすることも可能である。
【0033】
本発明において最も重要なのが、この第1の立体表示画線の表面形状が前述した凸形状であっても、後述する凹形状であっても、とにかく蒲鉾状の曲面となっていることである。この曲面により、入射する光に対して入射光と法線を成す画線表面を中心に光を反射しており、言い換えれば、入射する光の角度に応じて、第1の立体表示画線(6)の表面のうち、強く光を反射する領域は変化していく。したがって、本発明の効果として、立体的、かつ、動的に画像が視認されるためには、滑らかに反射光が動いていく必要があり、画線表面が曲面を有することで、滑らかな反射光の変化となる。
【0034】
前述した特許文献2に記載の技術は、凸形状の画線に対して段差を設けているが、この段差を設けることにより、画線表面が曲面とはならず、画像をチェンジすることは可能でも、画像を滑らかに動いて視認させるような効果を奏することができない。この点が、同じ凸又は凹形状の画線の一部に段差を有していても、画像をチェンジさせる技術と動的効果を奏する技術の大きな構成の差となる。
【0035】
図2を用いて説明したように、第一の立体表示画像(4)は凸形状の画線でも良いが、凹形状の画線でも形成が可能であり、次に凹形状の場合について
図4を用いて説明する。
【0036】
図4(a)は、凹形状に形成された第1の立体表示画線群(7’)を用いて形成した第1の立体表示画像(4)の模式的に表した平面図及びその平面図の中のX―X’断面図である。
図4(a)の断面図に示すように、第1の立体表示画線(6’)は、基材(2)に対して凹形状で一部が欠けている形状となっている。さらに、
図4(b)に点線で囲んだ箇所の拡大断面図を示す。
図4(b)に示すように、第1の立体表示画線(6’)は、凹部の底面に当たる画線表面が曲面を有する蒲鉾状となっている。所謂、前述した凸形状の第1の立体表示画線(6)の逆の形状である。この第1の立体表示画線群(7’)についても、画線同士がすべて異なる形状となっており、隣り合う画線同士は最も近似した形状である。
【0037】
凹形状の立体表示画線(6’)についても、画線の表面(凹部の底面)が蒲鉾状の曲面を有している必要があり、その形状を有することにより反射光によって立体表示画像(4)が形成されることは、前述した凸形状の立体表示画線(6)と同様のため、説明は省略する。
【0038】
この
図4の第1の立体表示画線(6’)と
図3の第1の立体表示画線(6)については、作製方法を説明するところで詳細を説明するが、本発明の立体表示画線(6、6’)は、エンボス加工により形成されるため、そのためのエンボス版(9)の形状は、
図3の第1の立体表示画線(6)の場合には逆転した形状の
図4のような形状となり、逆に
図4の第1の立体表示画線(6’)の場合には、
図3のような形状となり、所謂お互いがネガポジの関係となっている。
【0039】
第1の立体表示画線群(7、7’)を構成している第1の立体表示画線(6、6’)は、前述のとおり、基材(2)に対して凹形状又は凸形状に形成されている。具体的な作製方法等については後述するが、いずれの形状も、エンボス版(9)を用いて、基材(2)に押圧することで形成される。エンボス版(9)は、形成する立体表示画線群(7,7’)を作製した画像データを用いてレーザー加工で作製することができる。他にも、感光性樹脂版に画像データを用いて焼き付けを行い、エンボス版(9)を作製しても良く、第1の立体表示画線群(7、7’)を凹凸状態で形成可能であれば、特にエンボス版(9)の作製方法に限定はない。
【0040】
第1の立体表示画線(6、6’)を凸形状とした場合の画線の高さ及び凹形状とした場合の画線の深さについては、基材(2)の厚み及び材質により異なるが、基材(2)に対して2〜100μmの範囲で形成することが好ましい。画線の高さ又は深さが2μm未満の場合には、光源(Q)からの入射光に対する反射光が、基材(2)に対する反射光との差があまり無くなってしまい、第1の立体表示画線(6、6’)として認識できないため、所望する立体的、かつ、動的な効果を奏しなくなってしまう。また、画線の高さ又は深さが100μmより大きい場合には、視覚的な効果を発現させることにおいては問題ないが、偽造防止用エレメントとして製品に付与することを考慮した場合、製造のし易さや形態にふさわしくないため、好ましくない。
【0041】
本発明の第一の立体表示画像(4)が立体的、かつ、動的に視認できる効果を奏するためには、前述した第1の立体表示画線(6)は、表面が蒲鉾状の曲面を有することと、光沢性を有する必要がある。そこで、この第1の立体表示画線(6)及び後述する蒲鉾状画線(8)は、光輝性を有する画線で形成される。本発明における光輝性とは、明暗フリップフロップ性及び/又はカラーフリップフロップ性のことであり、蒲鉾状画線(8)は、その明暗フリップ性及び/又はカラーフリップフロップ性の特性を有して成る。
【0042】
明暗フリップフロップ性とは、観察角度の変化により明度の変化が生じることであり、カラーフリップフロップ性とは、観察角度の変化により色相の変化が生じることである。本発明において、立体的、かつ、動的に視認される画像は、表面が蒲鉾状の曲面を有する画線に対する入射光を正反射する部位から成る。正反射した入射光と拡散反射した入射光のコントラストが大きいことで、肉眼において立体的、かつ、動的に画像をしにすることが可能となる。そのために、曲面を有する立体表示画線(6)又は蒲鉾状画線(8)は、光源に対して所定の反射光量を有する材料である、明暗フリップ性及び/又はカラーフリップフロップ性の特性を有して成る必要がある。
【0043】
明暗フリップ性及び/又はカラーフリップフロップ性を有する材料には、アルミニウム粉末、銅粉末、亜鉛粉末、錫粉末、真鍮粉末又はリン化鉄等の一般的な金属顔料や、虹彩色パール顔料及び鱗片状顔料等の一般的なパール顔料を含むインキ、透明インキ、グロス系のインキを用いることができる。これらのインキを一般的な紙基材の上の少なくとも画像形成領域(3)全面に印刷又は塗布し、後述するようにエンボス等により凹形状又は凸形状の立体表示画線(6)又は蒲鉾状画線(8)を形成すれば良い。
【0044】
また、基材(2)自体に用いることが可能な明暗フリップ性及び/又はカラーフリップフロップ性を有する材料には、アルミ又はステンレス等の一般的な金属材料や、フィルム又はプラスティック等の樹脂材料の他に、パールインキ、平滑な表面を形成可能な塗料等が塗工された基材(2)があるが、立体表示画線(6)又は蒲鉾状画線(8)が明暗フリップ性及び/又はカラーフリップフロップ性を有していれば、形成する材料に限定はない。
【0045】
(第二の実施形態)
次に、本発明の形成体の第二の実施形態について説明する。前述した第一の実施形態では、第1の立体表示画線(6)自体が凹又は凸で、表面が蒲鉾状の曲面を有する形状であったのに対し、本第二の実施形態は、光輝性の蒲鉾状画線(8)の一部に第1の立体表示画線(6)が形成されており、蒲鉾状画線(8)は表面が曲面ではあるが、第1の立体表示画線(6)は、蒲鉾状の曲面から段差を有することにより光沢性を減少させる形状となっている。具体的に
図5及び
図6を用いて説明する。
【0046】
図5は、画像形成領域(3)内に光輝性を有する蒲鉾状画線(8)が万線状に配置されている。この蒲鉾状画線(8)の一部に、第1の立体表示画線(6)が形成されている。なお、第1の立体表示画線(6)については、前述した第一の実施形態と同様であることから説明は省略する。画像形成領域(3)は、この第1の立体表示画線(6)が形成されている複数の蒲鉾状画線(8)から成る第1の模様部(20)と、第1の立体表示画線(6)が形成されていない複数の蒲鉾状画線(8)から成る第1の背景部(21)に区分けされている。なお、第二の実施形態における第1の模様部(20)は、第一の実施形態における第1の立体表示画線群(7)と同じこととなる。
【0047】
図5(a)に示した画像形成領域(3)の平面図におけるX−X’断面図を
図5(b)及び
図5(c)に示す。第1の背景部(21)は、
図5(b)に示すように、画線の表面が曲面を有する蒲鉾形状となっている。また、第1の模様部(20)は、
図5(c)に示すように、蒲鉾形状の画線の一部に段差(欠如)を有した蒲鉾状画線(8)が配置されている。この画線の一部に段差(欠如)されている部分は、第1の立体表示画線(6)が形成されているところである。
【0048】
前述した第一の実施形態における
図3(b)の第1の立体表示画線(6)では、画線自体の表面の曲面が本発明の効果を奏する形状を有している旨、説明したが、
図5(c)に示す第1の立体表示画線(6)は、第1の立体表示画線(6)の周囲が表面に曲面を有する蒲鉾状画線(8)となっており、強く光を反射する領域が画線外で、第1の立体表示画線(6)は光沢性がない状態となっている。したがって、
図3(b)と
図5(c)はネガポジの関係となっている。この第1の立体表示画線(6)と蒲鉾状画線(8)との光沢差により、第1の立体表示画像(4)が立体的に確認でき、観察角度を変化させることにより動的な効果を奏することとなる。
【0049】
なお、例えば
図5(c)に示した凸形状の蒲鉾状の曲面を有した蒲鉾状画線(8)は、その一部に段差を有する第1の立体表示画線(6)が基材(2)と同じ高さにより形成されているものであるが、
図6(a)に示すように、基材(2)よりも高い位置に形成されていても良く、また、
図6(b)に示すように、光沢の差が生じていれば良いことから、第1の立体表示画線(6)の光沢性を低くするために、ギザギザの状態とすることでも良い。
図6(b)の第1の立体表示画線(6)については、蒲鉾状画線(8)の表面よりも低い位置にギザギザの状態で形成されているが、この表面に対するギザギザの凹み具合については、特に限定はなく、例えば、蒲鉾状画線(8)の表面の曲率とほぼ同等の位置に形成されていても良い。とにかく、蒲鉾状画線(8)の表面の光沢性よりも第1の立体表示画線(6)の光沢性が低くなれば良い。
【0050】
さらに、
図6(c)に示す第1の立体表示画線(6’)は、凹形状の蒲鉾状画線(8’)の一部に段差(凸部)を設け、その段差の部分を第1の立体表示画線(6’)としたものである。前述した
図4に示す第1の立体表示画線(6’)では、画線自体の表面の曲面が本発明の効果を奏する形状を有している旨、説明したが、
図6(c)に示す第1の立体表示画線(6’)は、第1の立体表示画線(6’)の周囲が表面に曲面を有する蒲鉾状画線(8’)となっており、強く光を反射する領域が画線外で、第1の立体表示画線(6’)は光沢性がない状態となっている。したがって、
図4(b)と
図6(c)はネガポジの関係となっている。
【0051】
この
図6(c)の第1の立体表示画線(6’)については、やはり前述した凸形状の
図3(b)の第1の立体表示画線(6)と
図4(b)の第1の立体表示画線(6’)との関係同様、
図5(c)の第1の立体表示画線(6)の場合のエンボス版(9)の形状は、逆転した形状の
図6(c)のような形状となり、逆に
図6(c)の第1の立体表示画線(6’)のエンボス版(9)の形状は、
図5(c)のような形状となる。
【0052】
以上、第一の立体表示画像(4)を構成している第1の立体表示画線群(7、7’)、更に第1の立体表示画線群(7、7’)を構成している第1の立体表示画線(6、6’)及び蒲鉾状画線(8、8’)について簡単に説明したが、これらの画線がどのように形成されているかについて、以下、
図7の作製用のシステムに関するブロック図と、
図8及び
図9の作製フローチャートにより説明する。なお、説明については、まず、
図3(b)で示した凸形状の立体表示画線(6)を用いて説明する。
【0053】
図7に示すように、形成体(1)を作製するためのシステム(S)は、少なくとも入力部(101)、処理部(102)及び加工部(103)を備えており、処理部(102)には記憶部(104)を備えていても良い。
【0054】
前述のシステムを用いて、まず、処理部(102)において、立体的、かつ、動的に視認させたい模様の基となる原画像(5)を作製又は決定する(Step1)。原画像(5)については、文字、図柄及び模様等、特に限定はなく、任意の画像とすることが可能である。
【0055】
また、原画像(5)は、処理部(102)において直接作製しても良く、あらかじめ記憶部(104)に記憶されている複数の原画像(5)の中から任意に選んで、処理部(102)において決定しても良い。本実施の形態においては、
図10に示すように、原画像(5)として「桜の花」の画像の例で説明する。
【0056】
なお、原画像(5)を作製又は決定することに併せて、正反射光下で出現させるための原画像(5)に対応するデータを、入力部(101)から入力するまでが原画像設定工程となる。ここでいうデータとは、後述する原画像(5)の圧縮率や、第1の立体表示画線(6)等の画線幅及びピッチ等、第一の立体表示画像(4)を構成する第1の立体表示画線群(7)の作製に必要なデータのことである。
【0057】
次に、処理部(102)において、原画像(5)から第1の立体表示画線群(7)を作製する(Step2)。この第1の立体表示画線群(7)の具体的な作製方法について
図11を含め、以下に示す。
【0058】
図11に示すように、第1の立体表示画線群(7)は、原画像(5)の「桜の花」の模様を基として形成した第1の立体表示画線(6−1、6−2、・・・6−n(nは2以上の自然数とする。))が、一定の第1のピッチ(P1)で一定の立体表示画線幅(W1)により、第1の方向(S1)に規則的に配列されて成る。本発明における第1の方向(S1)とは、図面中におけるS1方向のことであり、第1の立体表示画線(6)と直交する方向である。
【0059】
図12に、第1の立体表示画線群(7)を形成している第1の立体表示画線(6−1、6−2、・・・、6−n)の構成を示す。複数の第1の立体表示画線(6)のうち、第1の立体表示画線群(7)において、図面一番左側に位置する第1の立体表示画線(6−1)、図面ほぼ中央に位置する第1の立体表示画線(6−i)及び図面右側に位置する第1の立体表示画線(6−n)を抜き出して説明する。
【0060】
第1の立体表示画線(6−1、6−i、6−n)は、原画像(5)である「桜の花」の模様に対して、特定の大きさのフレーム(F−1、F−i、F−n)を当て嵌めることで原画像(5)を分割し、分割された原画像(5)をそれぞれのフレーム内画像(10−1、10−i、10−n)として抜き出し、このフレーム内画像(10−1、10−i、10−n)を立体表示画線幅(W1)に圧縮して形成して成る。なお、本発明における立体表示画線幅(W1)とは、原画像(5)である「桜の花」の模様の画線部分と、その画線部分が付与されていない空白部分も含んだ幅のことであり、フレーム内画像(F)を圧縮して形成される幅のことである。
【0061】
原画像(5)に当て嵌めるフレーム(F)の高さは、原画像(5)の高さ以上であれば良く、
図12に示すフレームの幅(W2)は、原画像(5)の幅以下である必要がある。よって、第1の立体表示画線群(7)の左端に位置する第1の立体表示画線(6−1)には、原画像(5)の左端部分の画像のみが含まれ、第1の立体表示画線群(7)のほぼ中央に位置する第1の立体表示画線(6−i)には、原画像(5)の中央部分の画像のみが含まれ、第1の立体表示画線群(7)の右端に位置する第1の立体表示画線(6−n)には、原画像(5)の右部分の画像のみが含まれる。
【0062】
第1の立体表示画線群(7)の作製方法については、
図9に示すように、まず、すべてのフレーム位置の基準となる最左端のフレーム(F−1)の位置を決定する(Step2−1)。基準となる最左端のフレーム(F−1)の位置は、フレーム(F−1)の右辺が原画像(5)の左端にわずかに重なった位置とする。ここでいう「わずかに重なった位置」とは、フレーム(F−1)と原画像(5)が少しでも重なっている状態の位置のことであり、まったく重ならない位置を除いた状態のことである(Step2−2)。このフレーム(F−1)内に含まれる原画像(5)をフレーム内画像(10−1)として、このフレーム内画像(10−1)を立体表示画線幅(W1)に圧縮し(Step2−3)、第1の立体表示画線(6−1)を形成して配置する。
【0063】
次に、フレーム(F−1)の位置から一定のピッチだけ右側にずらして、次のフレーム(F−2)の位置を決定する。決定したフレーム(F−2)に対して、前述した左端のフレーム(F−1)と同様に第1の立体表示画線(6−2)を形成して配置する。以降、同様に徐々に右側に規則的にずらしながら順次フレーム(F−3、F−4、・・・、F−n)まで行い、第1の立体表示画線(6−3、6−4、・・・、6−n)を形成して配置し、第1の立体表示画線群(7)が完成する。なお、基準となるフレーム(F)の位置を原画像(5)の左端としたが、これに限定されるわけではなく、原画像(5)の中心や右端を基準点として作製しても良い。
【0064】
このように、第1の立体表示画線(6)とは、原画像(5)を基にして分割されたフレーム内画像(10)を横方向、縦方向又は両方向に所定の縮率で圧縮した形状の異なる画線のことであり、それぞれの第1の立体表示画線(6)は、すべて同じ縮率で形成されている。
【0065】
なお、本発明における「原画像(5)を基にして分割されたフレーム内画像(10)」とは、原画像(5)の中心点と第1の立体表示画線(6)の中心点を重ね合わせたと仮定した場合に、第1の立体表示画線群(7)を形成しているそれぞれの第1の立体表示画線(6)における画線幅(W1)方向の中心に、特定の大きさのフレーム(F)における幅方向の中心を当て嵌めた場合、そのフレーム(F)内に収まっている原画像(5)のことである。したがって、原画像(5)を単純に複数に分割しているわけではないため、例えば、一つのフレーム内画像(10−2)には、隣接するフレーム内画像(10−1)の一部が含まれており、さらに別のフレーム内画像(10−3)には、隣接するフレーム内画像(10−2)の一部が含まれている。このように、隣接するフレーム内画像(10)には、それぞれ重複する原画像(5)の一部が存在することとなる。
【0066】
また、フレーム内画像(10)を圧縮する方向は、縦方向又は斜め方向等の一方向に対して画像を圧縮するものと、縦方向と横方向の両方向(単純な縮小)の圧縮とが可能である。本発明における「所定の縮率」とは、一つの第1の立体表示画線群(7)を形成している複数の第1の立体表示画線(6)同士が、すべて同じ縮率であるという意味である。ただし、縦方向と横方向の両方向に圧縮する場合には、縦方向の縮率と横方向の縮率とを異ならせても良い。
【0067】
以上、本発明における第1の立体表示画線群(7)を作製するための工程(Step2)について簡単に説明したが、更なる詳細については、本出願人が既に開示している特許第5200284号公報に記載されている。
【0068】
次に、
図13に示すように、処理部(102)において、第1の立体表示画線(6)及び蒲鉾状画線(8)の基となる蒲鉾状基画線(11)を一定の間隔で第1の方向(S1)に配置して成る蒲鉾状基画線群(12)を形成するための蒲鉾状基画線群形成工程(Step3)を行う。
【0069】
蒲鉾状基画線群(12)は、第1の立体表示画線(6)の画線幅(W1)と同じ画線幅で、所定の画線高さ(h)を有する蒲鉾状基画線(11)が、第1の方向(S1)に第1の立体表示画線(6)と同じピッチの第1のピッチ(P1)で規則的に複数配置されて成る。
【0070】
蒲鉾状基画線群(12)の大きさは、少なくとも第1の立体表示画線群(7)の大きさと同じ大きさであれば良い。したがって、第1の方向(S1)に対しての大きさは、第1の立体表示画線群(7)と蒲鉾状基画線群(12)は同じとなるように、蒲鉾状基画線(11)を万線状に配置すれば良く、第1の方向(S1)と垂直となる第2の方向(S2)、所謂、蒲鉾状基画線(11)の長手方向に対しては、第1の立体表示画線群(7)の高さ方向の大きさ(T)と同じ長さ分だけあれば良いが、多少第1の立体表示画線(6)よりも長くても良い。ただし、逆に第1の立体表示画線(6)よりも短くなってしまうと、原画像(5)を正確に立体表示画像(4)として形成することができなくなってしまうため、好ましくない。
【0071】
次に、処理部(102)において、立体表示画線(6)をエンボス版(9)にどのような形状で画線を形成するか決定する(Step4)。このエンボス版(9)に形成する形状は、
図3乃至
図6で説明したように、凸形状で二通り、凹形状で二通りの合計四通りの形状がある。このエンボス版(9)を凸形状又は凹形状のどちらにするかは、形成体(1)にどのような形状で形成するかにより、その反対の形状を決定すればよい。
【0072】
形成体(1)上の第1の立体表示画線(6)自体を凸形状に形成したい場合には、エンボス版(9)には、その逆で、
図4に示した凹形状とすればよく、また、第1の立体表示画線(6)の周囲を凸形状とするためには、エンボス版(9)を
図6(c)のような形状とするかを決定する。
【0073】
形成体(1)上の第1の立体表示画線(6)自体を凹形状に形成したい場合には、エンボス版(9)には、その逆で、
図3に示した凸形状とすればよく、また、第1の立体表示画線(6)の周囲を凹形状とするためには、エンボス版(9)を
図5(c)のような形状とするかを決定する。
【0074】
次に、処理部(102)において、作製した蒲鉾状基画線群(12)と第1の立体表示画線群(7)を
図14に示すように重ね合わせる、画線合成工程(Step5)を行う。ここで、前述した蒲鉾状基画線(11)の第2の方向(S2)における長さを改めて図示する。
図12に示すように、立体表示画線(6)の第2の方向(S2)に対する大きさ(T)に対して、少なくとも蒲鉾状基画線(11)も同じ大きさで形成されていれば良いが、多少(
図12中、(K)及び(L)の分)立体表示画線(11)に対する大きさ(T)よりも長くても良い。この工程において、立体表示画線(6)自体の表面が蒲鉾形状の曲面を有する、所謂、
図3及び
図4で示した形状の場合には、高さ情報を合成画線(13)に付与する。
【0075】
また、
図5及び
図6(c)で示したように、蒲鉾状画線(8)に第1の立体表示画線(6)を形成する場合には、前述した画線合成工程(Step5)の代わりに、蒲鉾状基画線群形成工程(Step3)で作製した蒲鉾状基画線群(12)を、画線形状決定工程(Step4)で決定した凹又は凸状としてエンボス版(9)に加工する蒲鉾状画線作製工程(Step5)を行う。この時に重要なこととして、画線の表層には、必ず蒲鉾形状の曲面を有するように形成する。
【0076】
エンボス版(9)に凹形状又は凸形状の蒲鉾状画線(8)を形成する方法としては、前述したように公知のレーザー加工機やバイトを用いた彫刻機で加工することができる。エンボス版(9)の材質は、例えば、鉄、銅、黄銅、ステンレス、アルミ合金、硬質プラスチックを用いることができるが、基材(2)に押圧を掛けることができ、凹形状又は凸形状の形状を形成できる材質であれば特に限定しない。
【0077】
画線合成工程(Step5)が終わった後、加工部(103)により実際にエンボス版(9)に凸又は凹形状の第1の立体表示画線(6)を形成してエンボス版を作製する(Step6)、又は蒲鉾状画線作製工程(Step5)が終わった後、既に凹又は凸状の蒲鉾状画線群(12)が形成されているエンボス版(9)に第1の立体表示画線(6)を形成してエンボス版を作製する(Step6)。
【0078】
最後に、作製したエンボス版(9)を用いて、基材(2)上の画像形成領域(3)に第1の立体表示画線(6)を形成するためのエンボス加工を行う(Step7)。基材(2)にエンボス版(9)を用いて第1の立体表示画線(6)を形成する方法は、公知のプレス加工機を用いれば良い。また、凹版印刷方式は、強圧を利用することから、凹版版面に本発明の第1の立体表示画線(6)を形成し、インキを使用しない空印刷を行うことでも、基材(2)上に第1の立体表示画線(6)を形成することも可能である。さらに、紫外線硬化樹脂を使って、第1の立体表示画線(6)を型取りしても良い。
【0079】
以上、本発明の形成体(1)の構成及び作製方法について説明したところであるが、次に本発明の形成体(1)の効果について原理を踏まえて説明する。
【0080】
図15に、本発明の形成体(1)の効果を示す。なお、第1の立体表示画線(6)の形状は、
図3で示した凸形状として説明する。
図15に示すように、本発明の形成体(1)を入射する光(14)に対して傾きを変えて観察することによって、第1の立体表示画像(4)の位置が左右方向に動いているように見える。これは、観察者の視点(15)を
図15(a)から
図15(c)へとわずかに変えることで、
図15(a)に示す視点(15)では、凸形状を有する第1の立体表示画線(6)上の中央よりやや右寄りに存在していた「桜の花」の模様が、
図15(b)に示す視点(15’)では中央寄りに、更に
図15(c)に示す視点(15’’)ではやや左寄りに位相が変化して観察される。この模様の動きは極めてスムーズであり、また、右眼と左眼では模様の位置が異なって見えるために、両眼視差に起因する立体感が生じる。本発明を実施するための形態においては、右眼が
図15(c)の模様を観ている場合、左眼は
図15(b)の模様を観ている状態となることから、「桜の花」の模様は基材表面より手前側に飛び出しているように観察される。この原理については、後述する。
【0081】
以上のような効果が生じる原理について説明する。例えば、形成体(1)のA側の方向から光が入射した場合、第1の立体表示画線群(7)を形成している凸形状を有する第1の立体表示画線(6)表面のうち、光を強く正反射するのは、それぞれの画線中心からA側にあたる画線表面のみであり、逆に、形成体(1)のA’側の方向から光が入射した場合、第1の立体表示画線(6)表面のうち、光を強く正反射するのは、それぞれの画線中心からA’側の方向にあたる画線表面のみである。
【0082】
以上のように、第1の立体表示画線(6)のような、凸形状を有する画線が光を反射する場合、入射する光に対して入射光と法線を成す画線表面を中心に光を反射しており、言い換えれば、入射する光の角度に応じて、盛り上がりを有する画線表面のうち、強く光を反射する領域は変化している。
【0083】
第1の立体表示画線(6)は、蒲鉾状基画線(11)と合成して、共通する箇所のみを残した状態で形成されているため、それぞれの画線の表面が蒲鉾状の曲面となっている。したがって、蒲鉾状の曲面を有する第1の立体表示画線(6)が光を強く反射するところと、凸形状の画線が実質上途切れて段差が生じているところでは、光の反射が異なることで、異なる色彩(明るさ又は明度)に変化し、立体表示画像(4)が色彩(明るさ又は明度)の違いによって可視化される。
【0084】
この場合、可視化される第一の立体表示画像(4)は、観察者の視点(15)に対して光を強く反射する第1の立体表示画線(6)のみであり、それ以外の第1の立体表示画線(6)は視認されないままとなる。
【0085】
このため、光が入射した場合、第1の立体表示画線(6)の表面が蒲鉾状の曲面となっていることから、その表面の一部にのみ光を強く反射する領域が形成され、この光を強く反射した領域のみがサンプリング(取り出し)されて可視化される。サンプリングの結果、第1の原画像(5)と同じ画像が潜像画像として再現される。
【0086】
この際、サンプリングされる幅、すなわち、それぞれの第1の立体表示画線(6)が光を強く反射する領域の幅が狭い方が、出現する潜像画像は、より第1の原画像(5)に近く、輪郭がシャープで画像全体が明瞭に再現される。
【0087】
逆に、その幅が広い場合には、より第1の立体表示画線(6)に近く、輪郭がぼやけ、不明瞭な状態で再現されてしまう。この状態を防ぐためには、それぞれの盛り上がりを有する画線が光を強く反射する領域を狭くする必要があり、盛り上がりを有する画線の高さ(画線の曲面の曲率を高くする)をより高くすることが有効である。
【0088】
観察者の視点が動いたり、形成体(1)を傾けた場合には、光が入射する角度が変化するために、蒲鉾状の曲面を表面に持つ第1の立体表示画線(6)のうち、光を反射する領域も移動し、それに伴って立体表示画像(4)のサンプリングされる領域も移動することで、観察者には出現した第1の原画像(5)が動いて見える。
【0089】
また、基材(2)に正対して観察した場合、右眼と左眼とでは、入射した光が形成体(1)で反射して眼に入る角度がわずかに異なるため、第1の立体表示画線(6)の光を反射する画線表面もわずかに異なっている。このため、出現する潜像画像は、右眼から見た場合と左眼から見た場合では水平方向の位相が異なり、これによって両眼視差に起因する立体的な視覚効果が生じる。
【0090】
例えば、第一の立体表示画像(4)が右眼から見た場合よりも左眼から見た場合の方が右にある場合には、第一の立体表示画像(4)は形成体(1)の表面よりも手前にあるように感じられる。逆に、第一の立体表示画像(4)が右眼から見た場合よりも左眼から見た場合の方が左にある場合には、第一の立体表示画像(4)は形成体(1)の表面よりも奥にあるように感じられる。
【0091】
この立体的な視覚効果を生じさせるためには、観察者から見て水平方向に画像が動いて見える効果が必須であるため、第1の立体表示画線(6)を垂直方向に近い角度(より具体的には観察者の左右の眼を結んだ方向と直交する方向)で並べたほうが、この効果は高くなる。
【0092】
以上が、本発明の形成体(1)において、形成体(1)が光を強く反射した場合に立体画像として第1の原画像(5)が出現し、動画効果と立体的な視覚効果が生じる原理及び効果である。
【0093】
次に、形成体(1)の変形例について説明する。
【0094】
図16は、本形成体(1)の変形例を示す平面図である。なお、前述した実施の形態と同様の点については省略して説明する。本変形例も、立体的、かつ、動的な効果を奏するものであるが、前述した実施の形態よりも動的効果が向上した構成となっている。
【0095】
図16に示すように、形成体(1)は、第一の立体表示画像(4)と第二の立体表示画像(16)を有する。なお、第一の立体表示画像(4)は、前述した立体表示画像と同一の画像であることから、説明は省略する。
図16に示すように、第二の立体表示画像(16)は、第一の立体表示画像(4)に対して、近接又は隣接する位置に形成されている。また、第一の立体表示画像(4)は、前述の実施の形態と同様、第1の原画像(5)は「桜の花」となっているが、本変形例においては、第二の立体表示画像(16)に対しても原画像が存在するため、第二の立体表示画像(16)に対する原画像を第2の原画像(19)とする。本変形例では、第1の原画像(5)も第2の原画像(19)も同じ画像の「桜の花」である。
【0096】
隣接する位置とは、第一の立体表示画像(4)及び第二の立体表示画像(16)が隣り合って接して形成されることであり、近接する位置とは、第一の立体表示画像(4)及び第二の立体表示画像(16)が基材(2)上において近い位置に形成されていることである。
【0097】
なお、近接又は隣接する位置においては、観察者の視野や左右の目の間の距離、第一の立体表示画像(4)及び第二の立体表示画像(16)の大きさに合わせて、第一の立体表示画像(4)及び第二の立体表示画像(16)がいずれも立体視可能となる距離(M)の範囲で設定する。
【0098】
第二の立体表示画像(16)を構成している第2の立体表示画線(18)と、第一の立体表示画像(4)を構成している第1の立体表示画線(6)は、
図16の拡大図に示すように、第1の方向(S1)の基準線(K)を軸にミラー反転した形状となっている。このミラー反転した第2の立体表示画線(18)が複数配置されて第2の立体表示画線群(17)が形成されて成るのが第二の立体表示画像(16)である。
【0099】
このミラー反転した形状の第2の立体表示画線(18)は、立体表示画線作製工程(Step2)におけるフレーム内画像形成工程(Step2−2)において、各第2の立体表示画線(18)をミラー反転すれば良い。
【0100】
第一の立体表示画像(4)に対する動的効果については、既に説明したとおりであるが、第二の立体表示画像(16)に対する動的効果についても、基本的な視認原理は同じであるため詳細の説明は省略する。
図17(a)には、本変形例における第一の立体表示画像(4)と、その第一の立体表示画像(4)に近接した位置に第二の立体表示画像(16)が形成されている模式図を示す。第二の立体表示画像(16)を構成している第2の立体表示画線(18)は、第一の立体表示画像(4)を形成している第1の立体表示画線群(7)とは左右方向にミラー反転した関係となっている。
【0101】
図17(b)に動的効果を説明するための図を示す。前述したとおり、第1の立体表示画線群(7)と第2の立体表示画線(18)はミラー反転した関係となっているため、視認される第1の原画像(5)及び第2の原画像(19)は、互いに逆方向に動くこととなり、逆方向へ動く二つの画像の相乗効果により、より一層の動的効果が認識されることとなる。
【0102】
なお、本変形例では、第一の立体表示画像(4)の基となる第1の原画像(5)と第二の立体表示画像(16)の基となる第2の原画像(19)を同じ画像として説明したが、異なる画像を用いても良い。
【実施例1】
【0103】
以下、前述の発明を実施するための形態にしたがって、具体的に作製した形成体(1)の実施例について詳細に説明するが、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
【0104】
図10に示すように第1の原画像(5)は、約縦10mm×横10mmの「桜の花」を用い、第1の原画像(5)を分割する際のフレーム(F)の幅(W2)を5mmとして、これを横方向に圧縮し、第1の立体表示画線(6)の幅(W1)は0.5mmとした。このとき、フレーム(F)をずらす量を0.5mmとして、第1の原画像(5)を計29枚のフレーム(F)に分割し、これらフレーム(F)を横方向に圧縮した第1の立体表示画線(6)を第1の方向(S1)に、ピッチ(P)0.5mmで、29枚並べて第1の立体表示画線群(7)を作成した。
【0105】
次に、縦12mm、幅0.5mmで、断面形状が半径2.4mm、開き角14度分の円弧の曲面を有する蒲鉾状基画線(11)を第1の方向(S1)にピッチ0.5mmで29個配置して、蒲鉾状基画線群(12)を作成した。この時、エンボス版彫刻時に幅の異なる長方形を加工深度に合わせて繰り返し彫刻することで、蒲鉾状の断面形状を形成する手法を用いたことから、蒲鉾状基画線(11)内には彫刻パスも合わせて作成した。
【0106】
次に、第1の立体表示画線群(7)と蒲鉾状基画線群(12)の左右両端及び中心が合うように重ね合わせて合成した。この時、各第1の立体表示画線(6)と各蒲鉾状基画線(11)の左右端及び中心は一致した配置となる。
【0107】
次に、
図3(b)と同様な凸形状を有する第1の立体表示画線(6)を形成するために、第1の立体表示画線(6)の「桜の花」を形成する領域に重なっている蒲鉾状基画線(11)をすべて抽出し、エンボス版(9)を形成するための加工データとした。
図18(a)に示すように第1の立体表示画線(6)の「桜の花」を形成する領域が蒲鉾状基画線(11)とすべて重なっている部分のエンボス版の断面は、欠けのない凹の蒲鉾形状であり、部分的に重なっている部分は、重なっている部分だけが凹の蒲鉾形状の断面を有する。
【0108】
次に、エンボス版(9)を形成するためのデータを基に、レーザマーカ(キーエンス製MD−V9910)を用いて、約2mm厚のマットな表面の鉄板にレーザ出力70%、スキャンスピード200mm/s、周波数20kHzの条件で繰り返し加工を行い、
図18(a)のような凹形状の第1の立体表示画線(6)を形成した。エンボス版(9)の凹形状の最深部は約13μmであった。
【0109】
レーザ彫刻後のエンボス版(9)を適当な照明下で観察したところ、照明光が正反射する位置で第1の原画像(5)と同じ「桜の花」が明るい像として観察でき、また、観察角度を左右方向に変えることで視認できる桜の出現位置も左右に変化することが確認できた。
【0110】
最後に、エンボス版(9)を用い、多層干渉フィルム(リンテック製 REVI−SD900)に120℃、20kNでエンボス加工を施し、
図18(b)のような凸形状の第1の立体表示画線(6)を形成したところ、エンボス版(9)と同様に「桜の花」が観察角度に応じて出現位置が左右に変化することを確認できた。
【実施例2】
【0111】
図10に示すように第1の原画像(5)は、約縦10mm×横10mmの「桜の花」を用い、第1の原画像(5)を分割する際のフレーム(F)の幅(W2)を5mmとして、これを横方向に圧縮し、第1の立体表示画線(6)の幅(W1)は0.5mmとした。このとき、フレーム(F)をずらす量を0.5mmとして、第1の原画像(5)を計29枚のフレーム(F)に分割し、これらフレーム(F)を横方向に圧縮した第1の立体表示画線(6)を第1の方向(S1)に、ピッチ(P)0.5mmで、29枚並べて第1の立体表示画線群(7)を作成した。
【0112】
次に、縦12mm、幅0.5mmで、断面形状が半径2.4mm、開き角14度分の円弧の曲面を有する蒲鉾状基画線(11)を第1の方向(S1)にピッチ0.5mmで29個配置して、蒲鉾状基画線群(12)を作成した。この時、エンボス版彫刻時に幅の異なる長方形を加工深度に合わせて繰り返し彫刻することで、蒲鉾状の断面形状を形成する手法を用いたことから、蒲鉾状基画線(11)内には彫刻パスも合わせて作成した。
【0113】
次に、第1の立体表示画線群(7)と蒲鉾状基画線群(12)の左右両端及び中心が合うように重ね合わせて合成した。この時、各第1の立体表示画線(6)と各蒲鉾状基画線(11)の左右端及び中心は一致した配置となる。
【0114】
次に、
図6(c)と同様な凸形状を有する立体表示画線を形成するために、第1の立体表示画線(6)の「桜の花」を形成する領域に重なっていない蒲鉾状基画線(11)は蒲鉾状の断面形状を形成する彫刻パスを残し、「桜の花」を形成する領域の蒲鉾状基画線(11)はすべて同じ深さで彫刻する加工データとした。
図19(a)に示すように第1の立体表示画線(6)の「桜の花」を形成する領域が蒲鉾状基画線(11)とすべて重なっている部分のエンボス版の断面は、フラットな矩形の凸形状であり、部分的に重なっている部分は、重なっている部分が矩形の凸形状、重なっていない部分は凸の蒲鉾形状の断面を有する。
【0115】
次に、エンボス版(9)を形成するためのデータを基に、レーザマーカ(キーエンス製MD−V9910)を用いて、約2mm厚のマットな表面の鉄板にレーザ出力70%、スキャンスピード200mm/s、周波数20kHzの条件で繰り返し加工を行い、
図19(a)のような凸形状の第1の立体表示画線(6)を形成した。エンボス版(9)の凸形状の最高部は約13μmであった。
【0116】
レーザ彫刻後のエンボス版(9)を適当な照明下で観察したところ、照明光が正反射する位置で原画像と同じ「桜の花」以外の部分が明るく、「桜の花」が暗い像として観察でき、また、観察角度を左右方向に変えることで視認できる桜の出現位置も左右に変化することが確認できた。
【0117】
最後に、エンボス版(9)を用い、多層干渉フィルム(リンテック製 REVI−SD900)に120℃、20kNでエンボス加工を施し、
図19(b)のような凹形状の第1の立体表示画線(6)を形成したところ、エンボス版(9)と同様に「桜の花」が観察角度に応じて出現位置が左右に変化することを確認できた。