(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6351202
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】シミュレートされた光出力を見る方法及びシミュレートされた光出力を発生する装置
(51)【国際特許分類】
H04N 9/64 20060101AFI20180625BHJP
【FI】
H04N9/64 F
【請求項の数】2
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-288303(P2012-288303)
(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公開番号】特開2013-141239(P2013-141239A)
(43)【公開日】2013年7月18日
【審査請求日】2015年12月4日
(31)【優先権主張番号】13/340,517
(32)【優先日】2011年12月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・エム・ファーガソン
【審査官】
大室 秀明
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−322566(JP,A)
【文献】
特開平11−032228(JP,A)
【文献】
特開2002−369018(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0263758(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC H04N 9/44−9/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ディスプレイタイプ用に発生されたシミュレートされた光出力を第2ディスプレイ上で見る方法であって、
画像ソースを受ける処理と、
ディスプレイモデルセレクターを用いて、前記第1ディスプレイタイプの中のあるディスプレイモデルを選択する処理と、
ガンマは、入力信号と出力光の輝度間の非線形変換関数を表すパラメータであるところ、前記画像ソースをプレガンマRGB画像に変換し、行列式による処理を用いて前記プレガンマRGB画像を前記シミュレートされた光出力に変換することによって、前記第1ディスプレイタイプの特性に基づいて、選択された前記ディスプレイモデル用の前記シミュレートされた光出力を発生する処理と、
前記第2ディスプレイのビューイング環境及びガンマ補償に基いて前記シミュレートされた光出力を補償する処理と、
前記第2ディスプレイのビューイング環境のための補償がなされたシミュレートされた光出力を出力する処理と
を具えるシミュレートされた光出力を見る方法。
【請求項2】
シミュレートされた光出力を発生する装置であって、
画像ソースを受けるよう構成される入力部と、
第1ディスプレイのタイプの中のあるディスプレイモデルを選択するディスプレイモデルセレクターと、
ガンマは、入力信号と出力光の輝度間の非線形変換関数を表すパラメータであるところ、前記画像ソースをプレガンマRGB画像に変換し、行列式による処理を用いて前記プレガンマRGB画像を前記シミュレートされた光出力に変換することによって、前記第1ディスプレイの特性に基づいて、選択された前記ディスプレイモデル用のシミュレートされた光出力を発生する発生器と、
前記第1ディスプレイと第2ディスプレイの間の差異に関して前記シミュレートされた光出力を少なくとも一部はガンマ補償に基づいて補償するように構成されたリバースディスプレイモデルと、
前記第2ディスプレイ上で見るために前記補償されたシミュレートされた光出力を送信するための出力機器と
を具えるシミュレートされた光出力を発生する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示事項は、ビデオシステムに向けたものであり、より詳細には、ターゲットデバイスに画像を正確に表示するシステムと方法に向けられたものである。
【背景技術】
【0002】
シミュレートされた出力が付属のディスプレイ上で正確に見えない場合、デバイス上で、若しくは、動画を評価する構造を有する機械においても動画を評価することは時に難しい。たとえば、ビデオエンジニアは、消費者用の液晶ディスプレイ(LCD)を見ている視聴者、スタジオ用の陰極線管(CRT)を見ているプロデューサー、放送センターのエンジニア、又は、製品開発研究機関のエンジニアに対して特定の動画がどのように映るのかを知りたいと望んでいることがある。現在、オレゴン州ビーバートンのテクトロニク社製の画質分析機PQA500のような、画質分析機 は、これらのタイプの用途に対する違いを数量化するために、光をシミュレートするディスプレイモデルとヒューマンビジョンシステムを具備している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6975776号
【特許文献2】米国特許第6907143号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、そのような画質分析機のユーザーは、シミュレートされた知覚刺激を直接経験する方法がない。その代わりに、ビデオが画質分析機と一体に使用されるディスプレイ上に表される。更に、ディスプレイ製造者は、製品が組み立てられる前に、仮想デザインを自動的に評価することができる、まだ満足されていないニーズを有している。しかし、ディスプレイ設計オプションの間の違いを直接に認識できなければ、多くの役に立つ情報がディスプレイ技術者から秘匿されてしまう。
【0005】
たとえば、YCbCrからCIE1931XYZ線形光表現に応じたRGBへの変換のような、ビデオをある一つの色空間から他のものへ変換するための数学的なソルーションが存在するが、そのようなソルーションは標準のRGBからの様々なディスプレイの変化を考慮したものではない。たとえば、デジタルビデオによって表現される純粋な赤と緑と青のXYZ座標は、エンドディスプレイの対応するXYZ座標に整合することはないことがある。更に、ディスプレイの同等のガンマ値が対応する標準におけるガンマ値に整合することはないので、これらの関係は、ガンマ値、すなわち、入力信号と光出力強度の間の非線形変換関数を表すために使用されるパラメータの不整合を説明するものではない。
【0006】
標準定義用のSMPTE−Cのような規格又は高品位ビデオ用のITU709のような規格に原色とガンマが整合する場合においてすら、ホワイトポイント校正が非デホルト値に意図的にたびたび設定されている。たとえば、デホルト色温度を主に9500度に設定しているコンピュータモニタは、その代わりに、テレビジョンデホルト色温度に整合するために6500度に設定されたホワイトポイントを有することがある。このホワイトポイント校正は、一組の原色を有するディスプレイをしてもう少しで他の組の原色を有するディスプレイのように見せることを可能にする。しかし、そのような変換は、上記の色変換公式内には含まれておらず、全色度の多くの色が失われるような方法で色をシフトすることによってそのようにしている。
【0007】
他の可能性のあるソルーションは、第1のディスプレイからの出力を物理的に測定し第1のディスプレイから第2のそれへの変換方法を生成する、高価で特別な装置を必要とするが、それは、高価で複雑で、一般的なソルーションを提供するためには過度にコンピュータ計算を集中的に行うものである。さらに、それは、モデル化されたディスプレイではなく実際に測定すべきディスプレイを必要とする。また、あるビデオフレームの終わりと次のものの始まりの間でLCDのレスポンスタイムを補償する方法を含むシステムは存在しない。このことは、モーションブラーのような、満足のいかない、時には非常にはっきりと判るほどのディスプレイ観測を引き起こすこととなる。
【0008】
本発明の実施の形態は、従来技術のこの制約及び他の制約に焦点を当てたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1番目の側面によれば、第1のディスプレイタイプに対して発生されたシミュレートされた光出力を第2のディスプレイ上で見る方法は、前記第1のディスプレイタイプの画質に基づいて前記シミュレートされた光出力を発生することと、前記第2のディスプレイのビューイング環境に対して前記シミュレートされた光出力を補償することと、前記第2のディスプレイの色差に対すると共にビューイング環境に対する補償がなされたシミュレートされた光出力を出力することからなる。
本発明の第2番目の側面によれば、本発明の第1番目の側面の方法は、前記第2のディスプレイのビューイング環境に対して前記シミュレートされた光出力を補償することがリアルタイムで第2のディスプレイのビューイング環境に対して前記シミュレートされた光出力を補償することからなることを特徴とする。
本発明の第3番目の側面によれば、本発明の第1番目の側面の方法は、第2のディスプレイのビューイング環境が仮想現実により生み出されたビューイング環境であることを特徴とする。
本発明の第4番目の側面によれば、本発明の第1番目の側面の方法は、さらに、前記第1と第2のディスプレイの間の色差に対して前記シミュレートされた光出力を補償することを含んでいることを特徴とする。
本発明の第5番目の側面によれば、本発明の第1番目の側面の方法は、行列操作を用いて色差が補償されることを特徴とする。
本発明の第6番目の側面によれば、本発明の第1番目の側面の方法は、さらに、前記シミュレートされた光出力を前記第2のディスプレイに提供する前に、それを一時的に補償することを含んでいることを特徴とする。
本発明の第7番目の側面によれば、シミュレートされた光出力を発生する装置は、第1のディスプレイの画質に基づいてシミュレートされた光出力を発生する発生器と、前記第1のディスプレイと第2のディスプレイの間の差異に対して前記シミュレートされた光出力を補償するように構成されたリバースディスプレイモデルと、前記第2のディスプレイ上で見るために前記補償されたシミュレートされた光出力を送信するための出力機器とからなる。
本発明の第8番目の側面によれば、本発明の第7番目の側面の装置は、前記リバースディスプレイモデルが色変換機であることを特徴とする。
本発明の第9番目の側面によれば、本発明の第7番目の側面の装置は、前記リバースディスプレイモデルがホワイトポイント校正機であることを特徴とする。
本発明の第10番目の側面によれば、本発明の第7番目の側面の装置は、前記リバースディスプレイモデルが時間フィルタであることを特徴とする。
本発明の第11番目の側面によれば、本発明の第7番目の側面の装置は、前記リバースディスプレイモデルが前記第2のディスプレイのビューモデルであることを特徴とする。
本発明の第12番目の側面によれば、本発明の第11番目の側面の装置は、前記ビューモデルが仮想現実発生器において少なくとも一部に発生されるビューイング環境を受け入れることを特徴とする。
本発明の第13番目の側面によれば、本発明の第12番目の側面の装置は、前記仮想現実発生器がシミュレートされた光出力を発生する発生器の構成部品であることを特徴とする。
ターゲットディスプレイタイプのリバースモデリングを用いたシステムは、ターゲットディスプレイに表されたときにオリジナルのシミュレートされた光のそれと同等若しくはほぼ同等の知覚反応を生成する信号にシミュレートされた光出力を変換する。更に、所定の有効なディスプレイに表されたとき、知覚された画像がシミュレートされた光の知覚された画像若しくは仮想現実の画像をきっちりと表すようにその有効なディスプレイに応用可能な方法が提供される。
【0010】
本発明の特定の実施の形態は、選択されたディスプレイタイプに対して発生されたシミュレートされた光出力を第2のディスプレイ上で見る方法に関連する。この方法は、まず、第1のディスプレイタイプの画質に基づいてシミュレートされた光出力を発生することを含んでいる。次いで、シミュレートされた光出力は、リアルタイムで第2のディスプレイのビューイング環境に対して補償される。補償が完了された後で、補正がなされたシミュレートされた光出力は、第2のディスプレイに出力される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に関連する、補償されたビデオ出力を発生するシステムの機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態において使用されたホワイトバランス計算のための重み付けの算出のための一連の等式である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に関連する、仮想ディスプレイ出力を視覚するためのシステムの機能ブロック図である。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に関連する、補償されたビデオ出力を発生するシステム10の機能ブロック図である。たとえば、ビデオのような画像ソース又は仮想現実の画像若しくは他の画像は、選択されたタイプのディスプレイに特有のモデリング情報を含むディスプレイモデルに提供される。ディスプレイモデルセレクター70は、たとえば、LCDディスプレイモデル30か、CRTディスプレイモデル40か、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)ディスプレイモデル50か、他のディスプレイモデル60を選択することができる。また、ディスプレイモデルセレクター70は、バイパスモード20を選んで、ディスプレイモデル選択を完全に迂回することが可能である。
【0013】
ディスプレイモデル30−60は、特定のタイプのディスプレイについての、たとえば、色データ、ホワイトバランス、ガンマ情報など各種のデータを有している。ディスプレイモデルは、特定のディスプレイモデルタイプに特有の特定のパラメータである特定の色空間から他への変換を含むこともある。ビデオ用途においてデジタルビデオストリームとファイルは、 通常、標準品位のビデオ用にはITU-R BT.601のごとく、そして、高品位のビデオ用にはITU-R BT.709のごとく、また、ある場合にはRGBのごとくYCbCr三刺激表現を用いる。デジタルシネマ用には、通常「DCI(デジタルシネマイニシアチブ)仕様」と呼ばれているDCI「デジタルシネマシステム仕様」のごときダイレクトXYZ表現がすでに直接サポートされている。
【0014】
ディスプレイモデル色変換
RGB (及びXYZ) へのYCbCrの変換
SD及びHDビデオについては、XYZ へのYCbCrの置換は、次にようにして行われることがある。
1) 色モデルの初期設定
a) ホワイトポイント校正: 次のいずれかによって与えられるRGB及びホワイトCIE1931xyY座標を用いること。すなわち、
i)たとえば、601、709、SMPTE−C、EBUのような規格又はシミュレートされるべき適切なディスプレイを最良に表示するものすべて、若しくは、
ii)カスタムユーザーが定義した、xr、yr、Yr xg、yg、Yg,xb、yb、Yb,xw、yw、Yw
b)R=G=Bの場合に所定のホワイトポイント(xw、yw、Yw)を達成するために、RとGとBに適用される必要な重み付け{wr、wg、wb}を計算する。
c)下記のようなRGBからXYZへの変換用の光変換行列式を計算する。
d)LUT(ルックアップテーブル)初期設定:
i)第1には、それぞれの測色基準(601,709など)によって定義された行列式を用いて、YCbCrのプレガンマRGB{ER、EG、EB}へのそれぞれの標準的な置換を用いる。
ii)コントラストやガンマや明度のパラメータを用いて{ER、EG、EB}を光{RGB}に変換する。
iii) 重み付け{wr、wg、wb}を{RGB}に適用する。
(ここで、LCDの場合、LUT計算を停止する。)
iv)行列式を用いて、重み付けされたRGB光をXYZに変換する。
2a)CRT及びDMDの場合には、LUT若しくはインプリメンテーションによる直接計算を用いてYCbCrを直接XYZに変換する。
2b)LCDの場合には、LUT若しくはインプリメンテーションによる直接計算を用いてYCbCrを{wr*R、wg*G、wb*B}に変換し、そして、RGBのXYZへの変換行列式を用いて変換を完了する。
【0015】
輝度のみの処理の場合、すなわち色のない場合、それぞれのディスプレイモデル技術は、ルックアップテーブルを作り出すとか、(LCDの場合には)フィルタパラメータを設定するとかといったことに対して固有の初期設定機能を有する。以下の色モデル初期設定が行われることはこれらの機能の範囲内である。色モデル初期設定は、必要なルックアップテーブルと共にホワイトポイント校正の重み付け{wr、wg、wb}の初期設定が含まれている。
【0016】
色変換用のLUTを用いたディスプレイモデル
YCbCrからXYZへの色データの変換は、一般的な計算回路若しくはそれと同等の機能を用いて直接に行うことができる。たとえば、まず、規格に従ってYCbCrからER、EG、EBへの変換は、9回の乗算と6回の加算を用いる。そして、ガンマ係数をその結果に適用することは、3回の指数を用いる。重み付けを適用してホワイトポイントを生成することは、更に3回の乗算をする。最後に、RGB光のXYZ(RGBベクトル*行列式)への変換は、他の9回の乗算と5回の加算を行い、合計で18回の乗算と12回の加算と3回の指数を必要とする。
【0017】
しかし、ルックアップテーブル(LUT)を用いて、同等の色補償を行うことは、2個のシフターと、2個の加算器と1回のテーブルアクセスのみを用い、そして、したがって、より少ないリソースを用いる魅力的なオプションである。もちろん、ディスプレイモデルは、メモリを設けてLUTを格納する必要があるが、しかし、これは典型的な全く無理のないトレードオフの関係にある。本発明の実施の形態は、色変換方法を用いることができるが、もちろん、どの方法を選択するかは、典型的な実施上の選択である。
【0018】
CRT及びDMDの場合には、YCbCrから直接XYZへの変換は、LUTの仕様によってなされうるが、そのサイズはビット深度に依存する。たとえば、8ビット深度のビデオの場合、LUT用のメモリロケーションの数は、6.7x10
7ビット程度であり、それは今日の保存コストに与えられる事実上の実施である。10ビットのビット深度のビデオと12ビットのビット深度のビデオは、4.3x10
9ビット程度と2.7x10
11程度のサイズのLUTを必要とするが、それは現在では標準的な実施において実際的ではない。
【0019】
LCDの場合には、色変換がYCbCrからRGB(光)になされる。なぜならば、下記に記載するような、LCD用の一時的な処理がRGB色空間内で起こるからである。LCD処理のためのLUTのサイズは、同じビット深度におけるCRT及びDMDと同じである。
【0020】
色変換用のトライリニア補間を用いたディスプレイモデル
色変換用のトライリニア補間を用いることも可能であるが、たとえば直接計算のような他の変換がより有効であるかもしれないという事実を考慮すれば、実際的な考えではないでしょう。
【0021】
ER、EG、EBへのYCbCrの変換
YCbCrは、対応する測色規格(601、709など)に応じてER、EG、EBへ変換される。
【0022】
RGB(光)へのER、EG、EBの変換
正規化されたER、EG、EB値(単位値)の値は、ガンマやコントラストや明度の制御を用いて、各画質分析機内で既存の輝度モデルを各原色チャンネルに適用することでそれを有効に再利用して、正規化されたRGB値(単位値)に変換される。後続のRGBからXYZへの光変換は、それぞれの実際の輝度レベルを考慮に入れる。
【0023】
ディスプレイモデルホワイトポイント校正
白は、RとGとBの均等な「電気信号」の大きさで表される。しかし、(規格又は非標準色温度若しくは他の色座標を選択するユーザーにより)選択されたホワイトポイントがディスプレイから出力されるRGB光の組み合わせに一致していないとき, ホワイトポイント校正が通常行われる。実際に、ホワイトポイント校正はR光及び/又はG光及び/又はB光に重み付けして、ホワイトポイントとなるように信号の大きさが変化するようにする。これらの重み付け{wr、wg、wb}は、ディスプレイモデル初期設定期間中に計算される。
【0024】
RとGとBとW(xr、yr、Yr、xg、yg、Yg、xb、yb、Yb、xw、yw,Yw)用のRGB及びホワイトCIE1931xyY座標を用いて、必要な重み付け{wr、wg、wb}が計算され、電気信号R=G=Bにおいて、所定のホワイトポイント{xw、yw、Yw}を達成するためにRとGとBの光出力にそれぞれ適用される。上記と共にR、G、Bの最大と最小に制限(ここでは、1に正規化されている)があるとすると、RGBの相対比を見つけて所定のホワイトポイントを達成できるようにする。重み付け{wr、wg、wb}の計算が
図2に示すように行うことができる。
【0025】
ついで、以下のいずれかによって与えられるRGB及びホワイトCIE1931xyY座標を用いて、ホワイトポイントは校正される。
すなわち、601、709、SMPTE−C、EBUのような規格又はシミュレートされるべき適切なディスプレイを最良に表示するものすべて、若しくは、
カスタムユーザーが定義した、xr、yr、Yr xg、yg、Yg,xb、yb、Yb,xw、yw、Ywである。
【0026】
ホワイトポイント校正の確認は、全部ホワイトのビデオ(全チャンネルがホワイト最大値(235)に均等であるRGBか、若しくは、Y=235でCb=Cr=128のYCbCrなど)のような(色なし)ビデオを用いることによって行うことが可能である。ディスプレイモデルのXYZ出力は、それぞれ、XwTarget、YwTarget、ZwTargetと同じにすべきである。
【0027】
原色とホワイトのディスプレイモデル色度座標
R、G、B、WのY値(Yr、Yg、Yb、Yw)が、1)ガンマの選択と2)最大輝度値と3)光RGBのYへの変換に依存していることに留意してください。はじめの二つのパラメータは、画質分析機の既存の輝度のみのディスプレイモデルにすでに含まれている。三番目のRとGとBに対する一組の3つの重み付けは、それぞれ、はじめの二つのパラメータと共に、原色とホワイトポイントの座標から一般的には計算される。しかし、RGBからYへの変換は、また、多くの規格(たとえば、ITU.B−709HD)において行列式を介してRGBからXYZに変換するように定義されている。ITU.B−709HDやSMPTE−CやEBUやNTSCやSMPTE−240Mのような各規格から特定の値を含むことは、不要である。なぜならば、下記のように、直接計算がYに対する同じ結果をもたらすからである。
【0028】
LCD用のディスプレイモデル時間フィルタ
LCD技術のもっとも一般的なディスプレイモデルは、時間フィルタを含んでおり、フレームの変わり目と変わり目の間の時間中においてコンスタントな若しくは高いデューティサイクルのバックライト又は反射光の「ゼロ次ホールド」アスペクトを表している。これを模倣するために、時間フィルタが輝度のみのモデル用のシミュレートされた光出力に適用される(Yに適用される)。フルカラーモデルの場合には、 このフィルタは、その代わりに、XYZ変換に先立ってRGB(光原色)出力に適用される。
【0029】
高級なLCD構成は、変調されたバックライトを含んでいる。現代的なLCDディスプレイは、バックライト変調を含んでおり、まさに理論的0レスポンスタイム技術に関連したモーションブラーの問題を軽減している。時間フィルタは、以下に応じて変調される。すなわち、バックライト若しくは反射光を安定的に模倣するために、時間フィルタはゼロ次ホールドフィルタ(=各フレームの変わり目において輝度についてのゼロレスポンスタイムの階段関数変化)と応答時間を表す単純なローパスフィルタのカスケード接続である。バックライト変調を模倣するためには、デューティサイクルとバックライトのオン−オフ及びオフ−オン遷移のようなパラメータが、ディスプレイ仕様として理解されている。時間フィルタは、シミュレートされた結果が大きく軽減されたモーションブラーの現実の結果をたどりながらそれに応じて更新される。特にCRTのものをまねるラスタスキャン法である、低デューティサイクル(バックライト又は反射)光の場合には、時間フィルタは省略されることもある。なぜならば、(人間の視覚モデルにおいて説明される)人間の目の調節が残った高周波情報を十分に減衰するからである。
【0030】
RGB(光)からXYZへの行列変換
行列式M_RGBLight2XYZの初期設定計算は、以下のようにしてディスプレイ初期化の最中に初期設定される。
【0032】
最大輝度レベルとして100ニットを使用して、SMPTE Cとwtnorm[i]=1を用いた行列計算例が以下のように与えられる。最大輝度レベルが正規化された行列式にとって重要でないことに留意してください。
【0035】
この数値例とSMPTE−Cからとられた対応する係数を比較する。
【0037】
ビューモデル
図1に戻って、任意のビューモデル又は仮想現実ビュー環境80は、選択されたディスプレイモデルの出力にファクタを加えてより正確にディスプレイのビュー環境を反映することができる。たとえば、 環境光、反射光、又は他のシミュレートされた光についての情報は、加えられた光情報のCIE XYZ表現を用いて、ディスプレイのXYZ表現に直線的に加えられる。このビューモデル情報は、 予測されたピクチュア/ビデオ画質レーティングを変更するために使用される。
【0038】
更に、いずれの仮想環境も、同様に、そのような加えられた情報のCIE XYZ表現を用いることによって、ビューモデルに含まれていてもよい。そのような情報は、比較的に基本情報、たとえば、ディスプレイ機器のディスプレイベゼルについての情報を含んでいることもあるか、又は、詳細な仮想現実表現ほどに複雑であるかもしれない。
【0039】
図3は、
図1のリバースディスプレイモデル90についての追加の詳細を提供する、本発明の実施の形態に関するシミュレートされたディスプレイ出力又は仮想ディスプレイ出力を見るためのシステムの機能的なブロック図である。
【0040】
図3のリバースディスプレイモデル310は、
図1のリバースディスプレイモデル90の実施例であっても良い。リバースディスプレイモデル310は、色変換312やホワイトポイント校正314やガンマ316や時間フィルタ318やビューモデル320のために各設備を含んでいる。
図3のリバースディスプレイモデル310の部品は、上記の(先進的な)ディスプレイモデルの対応する部品と同等若しくは同じものである。リバースディスプレイモデル310の部品又は部分内に含まれる各ファクタはディスプレイモデル内で初期設定されても良い。実際のディスプレイ340が知られている場合、実際のディスプレイ340に特有の特定ファクタが、システム上でたとえば、メニュー選択として選択される。他の実施の形態において、実際のディスプレイ340はシステムに対してそれ自体を特定してもよいし、更に、リバースディスプレイモデル310に対し適切なファクタを選択するために探索が行われた。
【0041】
リバースディスプレイモデル310は
図1の標準的なディスプレイモデル30−60とは対照的に、「逆」に動作する。言い換えれば、実際のディスプレイ340について、選択されたターゲットディスプレイタイプのために発生された、評価されるべき画像のシミュレートされたXYZ光表現 から(XYZ表現を含むこともある)標準ビデオ表現への変換が行われる。XYZをサポートしていないターゲットのディスプレイについて、(用いられるべき実際のディスプレイの原色を用いた)XYZからRGB光への逆転、逆ガンマ機能、そして、いずれかのさらなる変換(YCbCrへの標準的な変換)は、上記の行列式と関数の逆数をそれぞれ求めることから行うことができる。
【0042】
動作中において、たとえば、ビデオ、イメージング若しくは仮想現実からシミュレートされた光出力が発生されたとき、それは特に選択されたディスプレイタイプ用のディスプレイモデルを任意に通過される。そして、シミュレートされた出力は、実際のディスプレイに対してシミュレートされた出力を適応する補償を含む、実際のディスプレイ用のリバースディスプレイモデルを通過され、実際のディスプレイで見れる画像は、仮想又はシミュレートされた光によって表される知覚された画像に可能な限り近い。その補償は、ディスプレイ原色補償や同等のガンマ補償やホワイトポイント補償や時間特性や実際のディスプレイのビュー環境を含んでいても良い。ビュー環境は、周囲の色や明るさ及び環境光を含んでいても良いし、他の画像を含んだ発生された仮想現実ビュー環境を含んでいても良い。シミュレートされた光出力と実際のディスプレイビュー環境と仮想現実環境変化として、リアルタイムで補償は変化する。
【0043】
好適な実施の形態において、ビューイングのために使用される実際のディスプレイ340は、入力画像を正確に表示するためには、最高級の全色度や、最大の輝度や、レスポンスタイムや、(黒レベルでの)コントラストや他の仕様でなくても十分である。また、理想的には、ビューイング状態は表示された画像の正確な知覚も考慮に入れる。たとえば、環境光は、有効な黒レベルを引き上げないか、若しくは、ターゲットとなる正確度を超えて知覚されたホワイトポイント(色シフト)を動かさない程度に低くて十分である。
【0044】
上記実施の形態の多くはユーザーインタフェースを含んでいるが、他の実施の形態においては、それに代わって、これらのパラメータが試験測定機器によって自動的に決定されることもあることが正しく認識される。
【0045】
各実施の形態において、本発明の構成要件はハードウェアでも、ソフトウェアでも、双方の組み合わせにおいても実現可能であり、また、汎用のマイクロプロセッサやデジタル信号プロセッサ(DSP)や特定用途集積回路(ASIC)やフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)その他からなることもある。
【0046】
本発明がディスプレイモデリング分野において重大な進歩を示していることが上記の説明から正しく認識される。本発明の特定の実施の形態が例示され、そして、例示目的で説明されているが、各種の修正例が本発明の精神や範囲から逸脱することなくなされうることが理解される。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によるものを除いて限定されるべきでない。
【符号の説明】
【0047】
10…補償されたビデオ出力を発生するためのシステム;20…バイパスモード;30…LCDディスプレイモデル;40…CRTディスプレイモデル;50…DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)ディスプレイモデル;60…他の ディスプレイモデル;70…ディスプレイモデルセレクター;80…任意のビューモデル又は仮想現実ビュー環境;90…リバースディスプレイモデル;310… リバースディスプレイモデル;312…色変換機器;314…ホワイトポイント校正機器;316…ガンマ機器;318…時間フィルタ機器;320…ビューモデル機器;340…実際のディスプレイ