(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水溶性エチレン性不飽和単量体を、炭化水素分散媒中で、ラジカル重合開始剤を用いて逆相懸濁重合を行って得られる吸水性樹脂であって、下記(1)〜(3)の特性を備えていることを特徴とする吸水性樹脂:
(1)生理食塩水保水能が38g/g以上であること、
(2)4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能が15mL/g以上であること、
(3)50倍膨潤時ゲルのtanδが2.10×10-2以上であること。
前記水溶性エチレン性不飽和単量体が、(メタ)アクリル酸及びその塩、(メタ)アクリルアミド、並びにN,N−ジメチルアクリルアミドよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の吸水性樹脂。
前記水溶性エチレン性不飽和単量体が、(メタ)アクリル酸及びその塩、(メタ)アクリルアミド、並びにN,N−ジメチルアクリルアミドよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項7に記載の吸水性樹脂の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の吸水性樹脂は、水溶性エチレン性不飽和単量体を、炭化水素分散媒中、ラジカル重合開始剤を用いて逆相懸濁重合を行って得られる吸水性樹脂であって、下記(1)〜(3)の特性を備えていることを特徴とする。
(1)生理食塩水保水能が38g/g以上であること、
(2)4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能が15mL/g以上であること、
(3)50倍膨潤時ゲルのtanδが2.10×10
-2以上であること。
以下、本発明の吸水性樹脂について具体的に説明する。
【0016】
吸水性樹脂の特性
(1)生理食塩水保水能
本発明の吸水性樹脂は、生理食塩水保水能が38g/g以上であり、好ましくは40g/g以上である。当該生理食塩水保水能の上限値については、特に制限されないが、例えば60g/g以下、好ましくは50g/g以下、より好ましくは47g/gが挙げられる。当該生理食塩水保水能として、好ましくは38〜60g/g、より好ましくは40〜50g/g、更に好ましくは40〜47g/gが挙げられる。なお、吸水性樹脂の生理食塩水保水能は、後述する「生理食塩水保水能」に記載されている測定方法に従って測定される値である。
【0017】
(2)荷重下での生理食塩水吸水能
本発明の吸水性樹脂は、4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能が15mL/g以上であり、好ましくは18ml/g以上であり、より好ましくは21ml/g以上である。当該荷重下での生理食塩水吸水能の上限値については、特に制限されないが、例えば30mL/g以下、好ましくは28mL/g以下、より好ましくは25mL/g以下が挙げられる。当該荷重下での生理食塩水吸水能として、好ましくは18〜30mL/g、より好ましくは21〜28mL/g、更に好ましくは21〜25mL/gが挙げられる。なお、吸水性樹脂の4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能とは、後述する「4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能」に記載されている測定方法に従って測定される値である。
【0018】
(3)膨潤時の粘弾性
本発明の吸水性樹脂は、生理食塩水で50倍に膨潤させることにより得られるゲルのtanδが2.10×10
-2以上であり、好ましくは2.15×10
-2以上である。当該tanδの上限値については、特に制限されないが、例えば2.80×10
-2以下、好ましくは2.40×10
-2以下が挙げられる。当該tanδとして、好ましくは2.10×10
-2〜2.80×10
-2、より好ましくは2.15×10
-2〜2.40×10
-2が挙げられる。
tanδの詳細は、例えば「高分子の粘弾性」(John D. Ferry著、祖父江 寛監訳、村上 譲吉、高橋 正夫共訳、東京化学同人、1964年10月発行)28〜34頁に記載されている。一般的に粘弾性評価において、高分子材料は弾性成分と粘性成分から成るモデルで表される。前者は、衝撃エネルギーを反発エネルギーに変換する成分であり、後者は衝撃エネルギーを散逸エネルギーに変換する成分である。振動ひずみによる動的粘弾性測定においては、物理的に、複素弾性率G
*=G'+iG''(iは虚数単位)が示される。ここで、G'(貯蔵弾性率)及びG''(損失弾性率)はそれぞれ高分子材料の弾性成分及び粘性成分の大きさを表している。そして、tanδ(損失係数)=G''/G'は、材料が変形する際に失われるエネルギーの指標である。なお、吸水性樹脂の膨潤時の粘弾性(生理食塩水で50倍に膨潤させたゲルのtanδ)は、後述する「50倍膨潤ゲルのtanδ」に記載されている測定方法に従って測定される値である。
【0019】
本発明の吸水性樹脂は、前記(1)〜(3)の特性を満たすことにより、吸水性樹脂を用いた吸収体が、液体を吸収した状態で圧縮やせん断力がかかっても、吸収体が割れたり、偏ったりするのを抑制して、吸収体の形状を安定に保持することが可能になり、優れた保形性を備えることができる。また、本発明の吸水性樹脂は、前記3つの特性を満たすことにより、吸水性樹脂を用いた吸収体が優れた吸収性能を備えることができ、液体の吸収容量が大きく、液体の浸透速度が速められると共に、液体を吸収した際に生じるゲルブロッキング現象を抑制し、吸収性能を安定に保持することが可能になっている。ここで、「ゲルブロッキング現象」とは、多量の吸水性樹脂を吸収体に用いた場合に、表層付近に存在する多量の吸水性樹脂が液体を吸収し、表層付近で柔らかいゲルが更に密になることで、吸水性樹脂への液体の浸透が妨げられ、吸水性樹脂が効率良く液体を吸収できなくなる現象である。更に、本発明の吸水性樹脂は、前記(1)〜(3)の特性を満たすことにより、吸水性樹脂を用いた吸収体において、一旦吸収した液体を保持する作用が向上し、変形や圧縮等による液体の逆戻りを抑制することもできる。
【0020】
本発明の吸水性樹脂の中位粒子径としては、特に制限されないが、例えば200〜600μm、好ましくは250〜550μm、より好ましくは300〜500μmが挙げられる。吸水性樹脂の中位粒子径は、後述する「中位粒子径」に記載されている測定方法に従って測定される値である。
【0021】
吸水性樹脂の製造方法
本発明の吸水性樹脂は、水溶性エチレン性不飽和単量体を、炭化水素分散媒中、ラジカル重合開始剤を用いて逆相懸濁重合を行い、懸濁重合粒子の架橋密度を所定範囲に調整することにより得ることができる。より具体的には、本発明の吸水性樹脂は、下記第1及び2工程を経ることにより得ることができる。
炭化水素分散媒中で、ラジカル重合開始剤及び所定量の内部架橋剤存在下で水溶性エチレン性不飽和単量体の逆相懸濁重合を行う第1工程、
前記第1工程で得られた懸濁重合粒子を所定量の後架橋剤によって架橋させる第2工程。
【0022】
以下、前記第1工程及び第2工程について詳述する。
【0023】
<第1工程>
第1工程では、炭化水素分散媒中で、ラジカル重合開始剤及び所定量の内部架橋剤存在下で水溶性エチレン性不飽和単量体の逆相懸濁重合を行うことにより、懸濁重合粒子を得る。
【0024】
[水溶性エチレン性不飽和単量体]
原料として用いる水溶性エチレン性不飽和単量体としては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸(本明細書においては「アクリル」及び「メタクリル」を合わせて「(メタ)アクリル」と表記する。以下同様)、及びその塩;2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、及びその塩;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の非イオン性単量体;N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有不飽和単量体、及びその4級化物等が挙げられる。これらの水溶性エチレン性不飽和単量体は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0025】
これらの水溶性エチレン性不飽和単量体の中でも、好ましくは(メタ)アクリル酸及びその塩、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド;より好ましくは(メタ)アクリル酸、及びその塩、アクリルアミドが挙げられる。
【0026】
水溶性エチレン性不飽和単量体は、逆相懸濁重合する際に、炭化水素分散媒中での分散効率を上昇させるために水溶液にして用いてもよい。このような水溶液中における上記の単量体の濃度は、特に制限されないが、通常20質量%以上飽和濃度以下とすればよく、好ましくは25〜70質量%、より好ましくは、30〜55質量%が挙げられる。
【0027】
水溶性エチレン性不飽和単量体が、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のように酸基を有する場合、その酸基をアルカリ性中和剤によって中和しておいてもよい。このようなアルカリ性中和剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等を用いることができる。これらのアルカリ性中和剤は1種単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
アルカリ性中和剤による水溶性エチレン性不飽和単量体の全酸基における中和度は、得られる吸水性樹脂の浸透圧を高めることで吸水能を高め、かつ余剰のアルカリ性中和剤の存在により、安全性等に問題が生じないように設定すればよく、例えば10〜100モル%、好ましくは30〜80モル%が挙げられる。
【0029】
[炭化水素分散媒]
炭化水素分散媒は、水溶性エチレン性不飽和単量体の逆相懸濁重合において分散媒として使用できる炭化水素化合物であることを限度として特に制限されないが、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,3−ジメチルペンタン、3−エチルペンタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、trans−1,2−ジメチルシクロペンタン、cis−1,3−ジメチルシクロペンタン、trans−1,3−ジメチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの炭化水素分散媒の中でも、工業的に入手が容易であり、品質が安定しており、かつ安価である点で、好ましくは、n−ヘキサン、n−ヘプタン及びシクロヘキサンが挙げられる。これらの炭化水素分散媒は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。前記炭化水素分散媒の混合物の好適な例として、市販されているエクソールヘプタン(エクソンモービル社製:ヘプタン及び異性体の炭化水素75〜85質量%含有)等が挙げられる。
【0030】
炭化水素分散媒の使用量は、重合熱を除去し、重合温度を制御しやすくする観点から、水溶性エチレン性不飽和単量体100質量部に対して、通常50〜600質量部、好ましくは80〜550質量部が挙げられる。
【0031】
[ラジカル重合開始剤]
ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、および過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート、および過酸化水素等の過酸化物類;2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、2,2'−アゾビス〔2−(N−フェニルアミジノ)プロパン〕2塩酸塩、2,2'−アゾビス〔2−(N−アリルアミジノ)プロパン〕2塩酸塩、2,2'−アゾビス{2−〔1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル〕プロパン}2塩酸塩、2,2'−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド}、2,2'−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕、および4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ化合物等が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤の中でも、入手が容易で取り扱い安居という観点から、好ましくは、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム及び2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩が挙げられる。これらラジカル重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
また、前記ラジカル重合開始剤は、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、及びL−アスコルビン酸等の還元剤と併用して、レドックス重合開始剤として用いることもできる。
【0033】
ラジカル重合開始剤の使用量については、特に制限されないが、例えば、水溶性エチレン性不飽和単量体1モルに対して0.00005〜0.01モルが挙げられる。このような使用量を充足することにより、急激な重合反応が起こるのを回避し、且つ重合反応を適切な時間で完了させることができる。
【0034】
[内部架橋剤]
内部架橋剤は、懸濁重合粒子に適度な架橋密度を与え、最終的に得られる吸水性樹脂に優れた吸水性能を備えさせるために使用される。
【0035】
内部架橋剤の種類については、懸濁重合粒子を架橋できることを限度として特に制限されないが、例えば、(ポリ)エチレングリコール〔「(ポリ)」とは「ポリ」の接頭語がある場合とない場合を意味する。以下同じ〕、(ポリ)プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、(ポリ)グリセリン等のジオール、トリオール等のポリオール類と(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和酸とを反応させて得られる不飽和ポリエステル類;N,N−メチレンビスアクリルアミド等のビスアクリルアミド類;ポリエポキシドと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるジまたはトリ(メタ)アクリル酸エステル類;トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネートと(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとを反応させて得られるジ(メタ)アクリル酸カルバミルエステル類;アリル化澱粉、アリル化セルロース、ジアリルフタレート、N,N',N''−トリアリルイソシアネート、ジビニルベンゼン等の重合性不飽和基を2個以上有する化合物;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル等のジグリシジル化合物、トリグリシジル化合物等のポリグリシジル化合物;エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロルヒドリン等のエピハロヒドリン化合物;2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物等の反応性官能基を2個以上有する化合物;3−メチル−3−オキセタンメタノール、3−エチル−3−オキセタンメタノール、3−ブチル−3−オキセタンメタノール、3−メチル−3−オキセタンエタノール、3−エチル−3−オキセタンエタノール、3−ブチル−3−オキセタンエタノール等のオキセタン化合物等が挙げられる。これらの内部架橋剤の中でも、好ましくはポリグリシジル化合物、より好ましくはジグリシジルエーテル化合物、更に好ましくは(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテルが挙げられる。これらの内部架橋剤は、1種単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
内部架橋剤の使用量は、重合に付された水溶性エチレン性不飽和単量体1モル当たり、0.000015〜0.00020モルに設定すればよいが、好ましくは0.000020〜0.000150モル、より好ましくは0.000030〜0.000080モルが挙げられる。このような範囲で内部架橋剤を使用することにより、最終的に得られる吸水性樹脂に対して、優れた吸水性能を備えさせることができる。
【0037】
[分散安定剤]
前記第1工程で行われる逆相懸濁重合では、水溶性エチレン性不飽和単量体の分散を安定させる目的で、必要に応じて、分散安定剤を用いてもよい。分散安定剤としては、例えば、界面活性剤が挙げられる。分散安定剤として使用される界面活性剤として、具体的には、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン系界面活性剤;脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルメチルタウリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸塩等のアニオン系界面活性剤等が例示される。これらの界面活性剤の中でも、水溶性エチレン性不飽和単量体の分散安定性の面から、好ましくは、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。これらの界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
界面活性剤の使用量は、炭化水素分散媒中における、水溶性エチレン性不飽和単量体の分散状態を良好に保ち、且つ使用量に見合う分散効果が得られる範囲で適宜設定すればよいが、例えば、水溶性エチレン性不飽和単量体100質量部に対して、0.1〜5質量部、好ましくは0.2〜3質量部が挙げられる。
【0039】
また分散安定剤として、界面活性剤と共に高分子系分散剤を併用してもよい。使用される高分子系分散剤としては、例えば、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレンオキサイド、無水マレイン化ポリエチレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン化ポリブタジエン、無水マレイン化EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン−ターポリマー)等が挙げられる。
【0040】
高分子系分散剤の使用量は、炭化水素分散媒中における水溶性エチレン性不飽和単量体の分散状態を良好に保ち、且つ使用量に見合う分散効果が得られる範囲で適宜設定すればよいが、例えば、水溶性エチレン性不飽和単量体100質量部に対して0.1〜5質量部、好ましくは0.2〜3質量部が挙げられる。
【0041】
また、分散安定剤として、増粘剤を使用してもよい。分散安定剤として使用される増粘剤としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸(部分)中和物、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等が挙げられる。
【0042】
[逆相懸濁重合反応の条件]
前記第1工程における逆相懸濁重合は、炭化水素分散媒中に、水溶性エチレン性不飽和単量体、ラジカル重合開始剤、内部架橋剤、及び必要に応じて分散安定剤を所定量添加し、加熱することにより行われる。
【0043】
逆相懸濁重合反応の反応温度は使用するラジカル重合開始剤の種類によって異なり、一律に規定することはできないが、通常20〜110℃、好ましくは40〜80℃が挙げられる。このような反応温度に設定することにより、重合時間が長くなるのを抑制しつつ、重合熱を除去して円滑な重合反応を行うことができる。
【0044】
逆相懸濁重合反応の反応時間については、使用する原料化合物の種類や量、反応温度等を勘案して適宜設定すればよいが、通常0.5〜4時間が挙げられる。
【0045】
前記第1工程における逆相懸濁重合反応は、1段で行ってもよく、また2段以上の多段で行っても良い。その段数は生産性を高める観点から、好ましくは2段又は3段が挙げられる。
【0046】
2段以上の逆相懸濁重合反応を行う場合には、上記した方法で1段目の逆相懸濁重合を行った後、1段目の重合反応で得られた反応混合物に水溶性エチレン性不飽和単量体を添加、混合して、1段目と同様の方法で2段目以降の逆相懸濁重合を行えばよい。2段目以降の各段における逆相懸濁重合では、水溶性エチレン性不飽和単量体の他に、ラジカル重合開始剤、内部架橋剤等を、2段目以降の各段における逆相懸濁重合の際に添加する水溶性エチレン性不飽和単量体の量を基準として、前述した水溶性エチレン性不飽和単量体に対する各成分のモル比の範囲内で添加して、上記した方法と同様の条件で逆相懸濁重合を行えばよい。
【0047】
<第2工程>
第2工程では、前記第1工程で得られた懸濁重合粒子を後架橋剤によって後架橋処理する。このように懸濁重合粒子を後架橋剤によって後架橋処理することにより、前記第1工程で得られた懸濁重合粒子に適度な架橋が施され、吸水性樹脂に優れた吸水性能を備えさせることができる。
【0048】
後架橋剤は、吸水性樹脂の官能基(例えば、カルボキシル基)と反応し得ることを限度として特に制限さればいが、例えば、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、(ポリ)グリセリン等のポリオール類;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル等のジグリシジル化合物、(ポリ)エチレングリコールトリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールトリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル等のトリグリシジル化合物、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンポリグリシジルエーテル等の3価以上のグリシジル化合物等の、ポリグリシジル化合物;エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロルヒドリン等のハロエポキシ化合物;2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物等の反応性官能基を2個以上有する化合物;3−メチル−3−オキセタンメタノール、3−エチル−3−オキセタンメタノール、3−ブチル−3−オキセタンメタノール、3−メチル−3−オキセタンエタノール、3−エチル−3−オキセタンエタノール、3−ブチル−3−オキセタンエタノール等のオキセタン化合物;1,2−エチレンビスオキサゾリン等のオキサゾリン化合物;エチレンカーボネート等のカーボネート化合物等が挙げられる。これらの後架橋剤の中でも、好ましくはポリグリシジル化合物、より好ましくはジグリシジル化合物、更に好ましくは(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテルが挙げられる。これらの後架橋剤は、1種単独で用いてもよく、また2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0049】
後架橋剤の使用量は、前記第1工程の逆相懸濁重合反応に使用した水溶性エチレン性不飽和単量体の総量1モル当たり、0.00025〜0.0010モルに設定すればよいが、好ましくは0.00044〜0.00080モル、より好ましくは0.00044〜0.00076モルが挙げられる。このような範囲で後架橋剤を使用することにより、前記第1工程で得られた懸濁重合粒子に適度な架橋密度を備えさせることができ、最終的に得られる吸水性樹脂に対して、優れた吸水性能を付与することができる。
【0050】
後架橋剤の添加時期は、前記第1工程の終了後であればよく特に限定されない。後架橋剤を添加する際、吸水性樹脂を得るために使用した水溶性エチレン性不飽和単量体の総量100質量部に対し、1〜400質量部の範囲の水分存在下に添加することが好ましく、5〜200質量部の範囲の水分存在下に添加することがより好ましく、10〜100質量部の範囲の水分存在下に添加することが更に好ましい。
【0051】
後架橋剤を添加する際には、水や親水性有機溶媒等の溶媒を用いても良い。後架橋処理の溶媒として用いられる親水性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等が挙げられる。これら親水性有機溶媒は、1種単独で用いてもよく、また2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、後架橋処理に使用される溶媒は、水又は親水性有機溶媒の一方のみを使用してもよく、また水と親水性有機溶媒の混合溶媒として使用してもよい。
【0052】
後架橋処理の反応温度は、特に制限されないが、例えば、50〜250℃、好ましくは60〜180℃、より好ましくは60〜140℃、更に好ましくは70〜120℃が挙げられる。
【0053】
また、後架橋処理の反応時間は、反応温度、後架橋剤の種類及び使用量等によって異なり、一律に規定することはできないが、通常1〜300分間、好ましくは5〜200分間が挙げられる。
【0054】
斯して第1工程及び第2工程を行うことにより、吸水性能に優れ、吸収体に使用した場合に吸収体の保形性を向上させることができる吸水性樹脂が製造される。
【0055】
第2工程後に吸水性樹脂を回収するには、炭化水素分散媒や溶媒を除去すればよい。炭化水素分散媒や溶媒を除去する方法については、特に制限されないが、例えば乾燥処理が挙げられる。乾燥処理は、常圧下で行ってもよく、減圧下で行ってもよい。また、乾燥効率を高めるため、乾燥処理を窒素等の気流下で行ってもよい。また、乾燥処理を常圧で行う場合、乾燥温度としては、例えば70〜250℃、好ましくは80〜180℃、より好ましくは80〜140℃、更に好ましくは90〜130℃が挙げられる。また、乾燥処理を減圧下で行う場合、乾燥温度としては、例えば60〜100℃、好ましくは70〜90℃が挙げられる。
【0056】
吸収体及び吸収性物品
本発明の吸収体は、上記した本発明の吸水性樹脂と親水性繊維とから構成されるものである。該吸収体の構成としては、特に制限されないが、例えば、吸水性樹脂と親水性繊維を均一にブレンドしたミキシング構造、層状の親水性繊維の間に吸水性樹脂を保持したサンドイッチ構造、吸水性樹脂と親水性繊維とをティッシュ等のラップシートで包んだ構造等が挙げられる。
【0057】
親水性繊維としては、特に制限されないが、例えば、木材から得られる綿状パルプ、メカニカルパルプ、ケミカルパルプ、セミケミカルパルプ等のセルロース繊維;レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維;親水化処理されたポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン等の合成樹脂からなる繊維等が挙げられる。
【0058】
更に、本発明の吸収体には、前記吸水性樹脂と親水性繊維以外に、必要に応じて、吸収体の保形性を高めるための熱融着性合成繊維、ホットメルト接着剤、接着性エマルジョン等の接着性バインダーが添加されていてもよい。
【0059】
本発明の吸収体における吸水性樹脂の含有量は、特に制限されないが、例えば、30〜85質量%、好ましくは40〜80質量%、より好ましくは45〜70質量%が挙げられる。吸水性樹脂が前記含有量を満たすことにより、吸収体の液体吸収量が多くなり、液体の漏れや逆戻りを抑制でき、且つ良好な使用感を得ることができる。
【0060】
また、上記した本発明の吸収体を、液体が通過し得る液体透過性シート(トップシート)と、液体が通過し得ない液体不透過性シート(バックシート)との間に保持することによって、吸収性物品とすることができる。液体透過性シートは、身体と接触する側に配され、液体不透過性シートは、身体と接する反対側に配される。
【0061】
液体透過性シートとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の繊維からなる、エアスルー型、スパンボンド型、ケミカルボンド型、ニードルパンチ型等の不織布及び多孔質の合成樹脂シート等が挙げられる。
【0062】
液体不透過性シートとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の樹脂からなる合成樹脂フィルム等が挙げられる。
【0063】
吸収性物品の種類については特に限定されないが、例えば、紙オムツ、生理用ナプキン、失禁パッド等の衛生材料;ペット用の尿吸収材料;パッキング材等の土木建築用資材;ドリップ吸収剤、保冷剤等の食品鮮度保持用材料;土壌用保水材等の農園芸用物品等が挙げられる。これらの中でも、衛生材料は、人体との接触した状態で使用されるため、優れた使用感(速い液体浸透速度及び少ない液体逆戻り量)と共に、装着した際に負荷される圧縮やせん断力に対する耐性(保形性)が求められており、本発明の吸収性物品として好適である。
【実施例】
【0064】
以下に、本発明を実施例及び比較例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0065】
各実施例及び比較例で得られた吸水性樹脂について、生理食塩水保水能、4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能、50倍膨潤ゲルのtanδ、及び中位粒子径は、以下に示す方法により測定した。
【0066】
<生理食塩水保水能>
500mL容のビーカーに、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)500gを量り取り、600回転/分で撹拌しながら、吸水性樹脂2.0gを、ママコが発生しないように分散させた。撹拌した状態で30分間放置し、吸水性樹脂を十分に膨潤させた。その後、綿袋(メンブロード60番、横100mm×縦200mm)中に注ぎ込み、綿袋の上部を輪ゴムで縛り、遠心力が167Gとなるよう設定した脱水機(国産遠心機株式会社製、品番:H−122)を用いて綿袋を1分間脱水し、脱水後の膨潤ゲルを含んだ綿袋の質量Wa(g)を測定した。吸水性樹脂を添加せずに同様の操作を行ない、綿袋の湿潤時の空質量Wb(g)を測定し、以下の式から保水能を算出した。
生理食塩水保水能(g/g)=[Wa−Wb](g)/吸水性樹脂の質量(g)
【0067】
<4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能>
吸水性樹脂の4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能は、
図1に概略構成を示した測定装置Xを用いて測定した。
【0068】
図1に示した測定装置Xは、ビュレット部1と導管2、測定台3、測定台3上に置かれた測定部4からなっている。ビュレット部1は、ビュレット10の上部にゴム栓14、下部に空気導入管11とコック12が連結されており、更に、空気導入管11の上部はコック13がある。ビュレット部1から測定台3までは、導管2が取り付けらており、導管2の直径は6mmである。測定台3の中央部には、直径2mmの穴があいており、導管2が連結されている。測定部4は、円筒40と、この円筒40の底部に貼着されたナイロンメッシュ41と、重り42とを有している。円筒40の内径は、2.0cmである。そして、200メッシュ(目開き75μm)のナイロンメッシュ41上に所定量の吸水性樹脂5が均一に撒布されるようになっている。重り42は、直径1.9cm、質量119.6gである。この重り42は、吸水性樹脂5上に置かれ、吸水性樹脂5に対して4.14kPaの荷重を均一に加えることができるようになっている。
【0069】
このような構成の測定装置Xでは、まずビュレット部1のコック12とコック13を閉め、25℃に調節された生理食塩水をビュレット10上部から入れ、ゴム栓14でビュレット上部の栓をした後、ビュレット部1のコック12、コック13を開ける。次に、測定台3中心部における導管2の先端と空気導入管11の空気導入口とが同じ高さになるように測定台3の高さの調整を行う。
【0070】
一方、円筒40のナイロンメッシュ41上に0.10gの吸水性樹脂5を均一に撒布して、この吸水性樹脂5上に重り42を置く。測定部4は、その中心部が測定台3中心部の導管口に一致するようにして置く。
【0071】
吸水性樹脂5が吸水し始めた時点から継続的に、ビュレット10内の生理食塩水の減少量(吸水性樹脂5が吸水した生理食塩水量)Wc(mL)を読み取る。吸水開始から60分間経過後における吸水性樹脂5の4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能は、次式により求めた。
4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能(mL/g)=Wc(mL)÷0.10(g)
【0072】
<50倍膨潤ゲルのtanδ>
吸水性樹脂を生理食塩水で50倍に膨潤させたゲル(50倍膨潤ゲル)は、以下の方法により作成した。100mL容のビーカーに、生理食塩水49.0gを量り取り、マグネチックスターラーバー(8mmφ×30mmのリング無し)を投入し、マグネチックスターラー(iuchi社製:HS−30D)の上に配置し、マグネチックスターラーバーを600回転/分で回転するように調整した。次に、吸水性樹脂1.0gを攪拌中のビーカー内に投入し、回転渦が消えて液面が水平になるまで攪拌を続け、50倍膨潤ゲルを調製した。この50倍膨潤ゲルを遠沈管に移し、遠心力が671Gとなるように設定した遠心機(国産遠心機株式会社製、品番H−103NA SERIES)に4分間かけて脱気し、測定試料とした。
【0073】
測定は、動的粘弾性測定装置レオメーター(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製、品番AR2000eZ)を用い、貯蔵弾性率G'(Pa)と損失弾性率G''(Pa)の周波数ω(rad/秒)分散を測定した。サンプルホルダーは、直径60mmのパラレルプレートを用い、プレート間距離を3mmとした。測定温度は25±2℃とし、周波数ω=0.1〜300rad/秒の範囲でG'、G''を測定し、10rad/秒におけるtanδの値をG'とG''の比率から計算し、その値を吸水性樹脂の50倍膨潤ゲルのtanδとした。
【0074】
<中位粒子径>
吸水性樹脂50gに、滑剤として、0.25gの非晶質シリカ(デグサジャパン(株)、Sipernat200)を混合した。
【0075】
これを、JIS標準篩の目開き250μmの篩を用いて通過させ、篩上に残る量がその50質量%未満の場合には<A>の篩の組み合わせを、50質量%以上の場合には<B>の篩の組み合わせを、用いて中位粒子径を測定した。
<A>JIS標準篩を上から、目開き425μmの篩、目開き250μmの篩、目開き180μmの篩、目開き150μmの篩、目開き106μmの篩、目開き75μmの篩、目開き45μmの篩及び受け皿の順に組み合わせた。
<B>JIS標準篩を上から、目開き850μmの篩、目開き600μmの篩、目開き500μmの篩、目開き425μmの篩、目開き300μmの篩、目開き250μmの篩、目開き150μmの篩及び受け皿の順に組み合わせた。
【0076】
組み合わせた最上の篩に、前記吸水性樹脂を入れ、ロータップ式振とう器を用いて20分間振とうさせて分級した。
【0077】
分級後、各篩上に残った吸水性樹脂の質量を全量に対する質量百分率として計算し、粒子径の大きい方から順に積算することにより、篩の目開きと篩上に残った吸水性樹脂の質量百分率の積算値との関係を対数確率紙にプロットした。確率紙上のプロットを直線で結ぶことにより、積算質量百分率50質量%に相当する粒子径を中位粒子径とした。
【0078】
[実施例1]
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、攪拌機として、翼径50mmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する攪拌翼を備えた内径100mmの丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコにn−ヘプタン500mlをとり、HLB3のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ(株)製、リョートーシュガーエステルS−370)0.80g、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学(株)製、ハイワックス1105A)0.80gを添加し、80℃まで昇温して界面活性剤を溶解した後、50℃まで冷却した。
【0079】
別途、500mlの三角フラスコに80質量%のアクリル酸水溶液92g(1.02モル)をとり、外部より冷却しつつ、20質量%の水酸化ナトリウム水溶液153.2gを滴下して75モル% の中和を行った後、増粘剤としてヒドロキシエチルセルロース0.28g(住友精化(株)製、HEC AW−15F)、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.07g(0.000259モル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.011g(0.0000631モル)を加えて溶解し、第1段目の単量体水溶液を調製した。
【0080】
前記第1段目の単量体水溶液を前記セパラブルフラスコに添加して、系内を窒素で置換しながら、35℃で30分間保持した後、70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合を行なうことにより、第1段目の重合後スラリーを得た。
【0081】
また、別途、別の500mL容の三角フラスコに80質量%のアクリル酸水溶液128.8g(1.43モル)をとり、外部より冷却しつつ、27質量%の水酸化ナトリウム水溶液158.9gを滴下して75モル%の中和を行った後、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.10g(0.000370モル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.013g(0.0000746モル)を加えて溶解して、第2段目の単量体水溶液を調製した。
【0082】
前記重合後スラリーを25℃に冷却し、前記第2段目の単量体水溶液を系内に添加し、窒素で置換しながら30分間、保持した。再度、フラスコを70℃の水浴に浸漬して、昇温し、重合を行なうことにより、第2段目の重合後スラリーを得た。
【0083】
次いで、125℃の油浴を使用して昇温し、水とn−ヘプタンを共沸蒸留することにより、n−ヘプタンを還流しながら、270.1gの水を系外へ抜き出した後、後架橋剤として2質量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液9.94g(0.00114モル)を添加し、80℃で2時間保持した後、n−へプタンを蒸発させて乾燥することによって、吸水性樹脂231.2gを得た。各性能の測定結果を表1に示す。
【0084】
[実施例2]
実施例1において、共沸蒸留の際に抜き出す水の量を271.6gに変更し、後架橋剤である2%質量のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液を11.04g(0.00126モル)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂228.7gを得た。各性能の測定結果を表1に示す。
【0085】
[実施例3]
実施例1において、共沸蒸留の際に抜き出す水の量を273.8gに変更し、後架橋剤である2%質量のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液を13.25g(0.00152モル)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂227.4gを得た。各性能の測定結果を表1に示す。
【0086】
[実施例4]
実施例1において、第2段目の単量体水溶液を添加する前の冷却温度を23℃に変更し、共沸蒸留の際に抜き出す水の量を274.4gに変更し、後架橋剤である2%質量のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液を13.25g(0.00152モル)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂228.2gを得た。各性能の測定結果を表1に示す。
【0087】
[実施例5]
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、攪拌機として、翼径50mmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する攪拌翼を備えた内径100mmの丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコにn−ヘプタン500mlをとり、HLB3のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ(株)製、リョートーシュガーエステルS−370)0.80gを添加し、80℃まで昇温して界面活性剤を溶解した後、50℃まで冷却した。
【0088】
別途、500mlの三角フラスコに80質量%のアクリル酸水溶液92g(1.02モル)をとり、外部より冷却しつつ、20質量%の水酸化ナトリウム水溶液153.2gを滴下して75モル% の中和を行った後、増粘剤としてヒドロキシエチルセルロース0.28g(住友精化(株)製、HEC AW−15F)、ラジカル重合開始剤として2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩0.05g(0.000184モル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.006g(0.0000344モル)を加えて溶解し、第1段目の単量体水溶液を調製した。
【0089】
前記第1段目の単量体水溶液を前記セパラブルフラスコに添加して、系内を窒素で置換しながら、35℃で30分間保持した後、70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合を行なうことにより、第1段目の重合後スラリーを得た。
【0090】
また、別途、別の500mL容の三角フラスコに80質量%のアクリル酸水溶液128.8g(1.43モル)をとり、外部より冷却しつつ、27質量%の水酸化ナトリウム水溶液158.9gを滴下して75モル%の中和を行った後、ラジカル重合開始剤として2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩0.07g(0.000258モル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.008g(0.0000459モル)を加えて溶解して、第2段目の単量体水溶液を調製した。
【0091】
前記重合後スラリーを25℃に冷却し、前記第2段目の単量体水溶液を系内に添加し、窒素で置換しながら30分間、保持した。再度、フラスコを70℃の水浴に浸漬して、昇温し、重合を行なうことにより、第2段目の重合後スラリーを得た。
【0092】
次いで、125℃の油浴を使用して昇温し、水とn−ヘプタンを共沸蒸留することにより、n−ヘプタンを還流しながら、284.8gの水を系外へ抜き出した後、後架橋剤として4質量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液8.11g(0.00186モル)を添加し、80℃で2時間保持した後、n−へプタンを蒸発させて乾燥することによって、吸水性樹脂228.5gを得た。各性能の測定結果を表1に示す。
【0093】
[比較例1]
実施例1において、共沸蒸留の際に抜き出す水の量を260.2gに変更し、後架橋剤である2%質量のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液を4.48g(0.000514モル)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂231.2gを得た。各性能の測定結果を表1に示す。
【0094】
[比較例2]
実施例1において、第1段目と第2段目の単量体水溶液に添加するエチレングリコールジグリシジルエーテルをそれぞれ0.038g(0.000218モル)、0.053g(0.000304モル)に変更し、共沸の際に抜き出す水の量を284.8gに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂228.4gを得た。各性能の測定結果を表1に示す。
【0095】
[比較例3]
実施例1において、第1段目と第2段目の単量体水溶液に添加するエチレングリコールジグリシジルエーテルをそれぞれ0.008g(0.0000459モル)、0.011g(0.0000631モル)に、後架橋剤である2%質量のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液を4.91g(0.000563モル)に変更し、共沸の際に抜き出す水の量を272.3gに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂229.6gを得た。各性能の測定結果を表1に示す。
【0096】
[比較例4]
実施例1において、第1段目と第2段目の単量体水溶液に添加するエチレングリコールジグリシジルエーテルをそれぞれ0.002g(0.0000114モル)、0.003g(0.0000172モル)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂228.7gを得た。各性能の測定結果を表1に示す。
【0097】
[比較例5]
実施例1において、第2段目の単量体水溶液を添加する前の冷却温度を26℃に変更し、共沸蒸留の際に抜き出す水の量を286.3gに変更し、後架橋剤として4%質量のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液を11.76g(0.00270モル)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂229.8gを得た。各性能の測定結果を表1に示す。
【0098】
各実施例及び各比較例で得られた吸水性樹脂を用いて、吸収体及び吸収性物品を作成し、以下の方法で、液体浸透速度、液体逆戻り量、保形性(変形時間)を評価した。その結果を表1に示す。
【0099】
<吸収性物品性能>
(a)試験液の調製
10L容の容器に適量の蒸留水を入れ、塩化ナトリウム100g、塩化カルシウム・二水和物3.0gおよび塩化マグネシウム・六水和物6.0gを添加し、溶解した。次いで、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル0.25gを添加し、さらに蒸留水を追加して、全体の質量を10kgとした。更に、少量の青色1号で着色して、試験液を調製した。
【0100】
(b)吸収性物品の作製
吸水性樹脂10gと解砕パルプ(レオニア社製レイフロック)10gを用い、空気抄造によって均一混合することにより、42cm×12cmの大きさのシート状の吸収体コアを作製した。次に、吸収体コアの上下を坪量16g/m
2のティッシュッペーパーで挟んだ状態で、ロールプレスを用いて全体に196kPaの荷重を30秒間加えて圧縮することにより吸収体を作製した。さらに吸収体の上面に坪量22g/m
2のポリエチレン製エアスルー型多孔質液体透過性シートを配置し、同じ大きさ、同じ坪量のポリエチレン製液体不透過性シートを吸収体の下面に配置して、吸収体を挟みつけることにより、吸収性物品Aとした。また吸収性物品Aを、30cm×12cmの大きさにカットしたものを吸収性物品Bとした。
【0101】
液体浸透速度及び液体逆戻り量の評価には吸収性物品Aを、保形性(変形時間)の評価には吸収性物品Bを使用した。
【0102】
(c)液体浸透速度
水平の台上に吸収性物品Aを置いた。吸収性物品Aの中心部に、10cm×10cm、2kgの重りの中心に内径3cmの液投入用シリンダーを具備した測定器具を置き、50mLの試験液をそのシリンダー内に一度に投入するとともに、ストップウォッチを用いて、試験液がシリンダー内から完全に消失するまでの時間を測定し、1回目の浸透時間(秒)とした。次に、前記シリンダーをはずし、吸収性物品をそのままの状態で保存し、1回目の試験液投入開始から30分後及び60分後にも、1回目と同じ位置に測定器具を用いて同様の操作を行い、2回目及び3回目の浸透時間(秒)を測定した。1回目〜3回目の合計時間を液体浸透速度とした。液体浸透速度が小さいほど、吸収性物品として好ましいと言え、例えば、液体浸透速度としては400秒以下が好ましく、350秒以下がより好ましい。
【0103】
(d)液体逆戻り量
前記液体浸透速度の測定終了から60分経過後、吸収性物品A上の試験液投入位置付近に、あらかじめ質量(Wd(g)、約50g)を測定しておいた10cm四方の濾紙を置き、その上に底面が10cm×10cmの5kgの重りを載せた。5分間の荷重後、濾紙の質量(We(g))を測定し、増加した質量を液体逆戻り量(g)とした。液体逆戻り量が小さいほど、吸収性物品として好ましいと言え、例えば、液体逆戻り量としては12g以下が好ましく、10g以下がより好ましい。
液体逆戻り量(g)=We−Wd
【0104】
(e)保形性(変形時間)
吸収性物品Bの中心付近に、内径3cmの円筒型シリンダーを置き、150mLの試験液をそのシリンダー内に一度に投入し、吸収させた。次に試験液投入から5分後、吸収性物品Bと同じ大きさ(坪量3500g/m2)の厚紙上に吸収性物品Bを乗せ、ガムテープで厚紙と吸収性物品Bを固定し、ユニパック(株式会社生産日本社製 品番:K−4)に入れた。次に、ユニパックに入れた吸収性物品7を、遠心力が30G(425回転/分)になるように設定した直径30cmのターンテーブル6に
図2のようにセットし、1分ごとに吸収性物品B中の吸収体における吸収性樹脂や解砕パルプの偏り等による変形を目視で確認し、変形が認められた時間を、変形時間とした。測定は、40分まで行い、吸収体の変形が認められない場合は、40分超と規定した。変形時間は、吸収体の湿潤時における保形性を示す評価値であり、35分以上が好ましく、40分以上がより好ましい。
【0105】
<評価結果の纏め>
表1から明らかなように、実施例1〜5で得られた吸水性樹脂は生理食塩水保水能、4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能、及び50倍膨潤ゲルのtanδがいずれも優れた値を示しており、各実施例で得られた吸収性物品は、液体浸透速度、液体逆戻り量、及び保形性(変形時間)の点で格段に優れていることが確認された。
【0106】
一方、比較例1で得られた吸水性樹脂の場合、吸水性樹脂の4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能は高いものの、50倍膨潤ゲルのtanδの値が低かったため、吸収性物品の液体逆戻り量等は優れているが、変形時間が短かく、保形性が悪かった。また、比較例2については、50倍膨潤ゲルのtanδの値が比較例1よりもさらに小さく、変形時間が短くなった。また、比較例3及び4で得られた吸水性樹脂については、吸水性樹脂の50倍膨潤ゲルのtanδの値は高かったため、吸収性物品の変形時間は長く、保形性には優れていたが、吸水性樹脂の4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能が低く、ゲルブロッキング現象が生じ、吸収性物品の液体浸透速度が遅くなった。特に、比較例4については、吸水性樹脂の4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能が低く、吸収性物品の液体逆戻り量が多くなった。比較例5については、吸水性樹脂の生理食塩水保水能が低いため、吸収性物品の液体逆戻り量が多くなった。
【0107】
以上の結果から、吸水性樹脂において、生理食塩水保水能が38g/g以上、4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能が15mL/g以上、及び50倍膨潤ゲルのtanδが2.10×10
-2以上を一体として充足させることにより、吸水性樹脂を用いた吸収体及び吸収性物品に対して、液体浸透速度、液体逆戻り量、及び保形性(変形時間)の全てを向上させて優れた性能を備えさせ得ることが明らかとなった。
【0108】
【表1】