特許第6351519号(P6351519)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6351519亜リン酸化合物、その製造方法及びその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6351519
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】亜リン酸化合物、その製造方法及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C07F 9/141 20060101AFI20180625BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20180625BHJP
   C08K 5/524 20060101ALI20180625BHJP
   C09K 15/32 20060101ALI20180625BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   C07F9/141CSP
   C08L101/00
   C08K5/524
   C09K15/32 C
   C08L23/00
【請求項の数】11
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-25727(P2015-25727)
(22)【出願日】2015年2月12日
(65)【公開番号】特開2016-147831(P2016-147831A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2018年1月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100172605
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 郁子
(72)【発明者】
【氏名】松本 修平
(72)【発明者】
【氏名】木村 奈津子
【審査官】 桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭50−134987(JP,A)
【文献】 特公昭45−000129(JP,B1)
【文献】 米国特許第03542724(US,A)
【文献】 特公昭46−038342(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 9/40
C08K 5/51
C08L 23/00
C08L 101/00
C09K 15/32
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I−1)で示される亜リン酸化合物。
【化1】
【請求項2】
式(II−1):
【化2】
で示されるフェノール化合物と、三ハロゲン化リンとを反応させる、請求項1に記載の亜リン酸化合物の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の亜リン酸化合物を含有する有機材料用安定剤。
【請求項4】
有機材料が熱可塑性樹脂である請求項3に記載の安定剤。
【請求項5】
熱可塑性樹脂がポリオレフィン又はエンジニアリングプラスチックである、請求項4に記載の安定剤。
【請求項6】
有機材料に請求項1に記載の亜リン酸化合物を添加する、有機材料の安定化方法。
【請求項7】
有機材料が熱可塑性樹脂である請求項6に記載の安定化方法。
【請求項8】
熱可塑性樹脂がポリオレフィン又はエンジニアリングプラスチックである、請求項7に記載の安定化方法。
【請求項9】
有機材料及び請求項1に記載の亜リン酸化合物を含有する、安定化有機材料組成物。
【請求項10】
有機材料が熱可塑性樹脂である請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
熱可塑性樹脂がポリオレフィン又はエンジニアリングプラスチックである、請求項10に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な亜リン酸化合物、その製造方法及びその有機材料用安定剤としての用途に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、天然又は合成ゴム、鉱油、潤滑油、接着剤、塗料などの有機材料は、製造時、使用時に、熱や酸素などの作用により劣化し、分子切断や分子架橋といった現象に起因する有機材料の強度物性の低下、流れ性の変化、着色、表面物性の低下等を伴い、商品価値が著しく損なわれることが知られている。
【0003】
このような熱又は酸素による劣化を防ぐ目的で、従来から各種のフェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤が開発され、これらを有機材料に添加することにより、有機材料を安定化できることが知られている。しかし、従来使用されているリン系酸化防止剤は、熱又は酸素による劣化に対する安定化効果が不十分である場合があり、さらなる安定化効果を有する化合物が求められている。
【0004】
リン系酸化防止剤の問題点を解決するものとして、カルボニルオキシアルキレン基を有する環状ホスファイトが提案されている(特許文献1)。しかし、環状ホスファイトによる安定化効果等は、リン系酸化防止剤と比較して向上しているものの、満足し得るものではなかった。
【0005】
さらに、熱又は酸素による劣化に対する安定化効果をより一層向上させた環状亜リン酸エステル類も提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5-86084号公報
【特許文献2】特許第3876479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、有機材料の熱安定性及び酸化安定性の向上に優れた新規な化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために亜リン酸化合物について詳細に検討を重ね、新規な亜リン酸化合物を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
〔1〕式(I)で示される亜リン酸化合物。
【化1】
[式中、
は、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表し、Rは、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rは、炭素数3〜25のアルキレン基を表す。]
〔2〕式(II):
【化2】
[式中、R、R及びRは、上記で定義した通りである。]
で示されるフェノール化合物と、三ハロゲン化リンとを反応させる、前記〔1〕に記載の亜リン酸化合物の製造方法。
〔3〕前記〔1〕に記載の亜リン酸化合物を含有する有機材料用安定剤。
〔4〕有機材料が熱可塑性樹脂である前記〔3〕に記載の安定剤。
〔5〕熱可塑性樹脂がポリオレフィン又はエンジニアリングプラスチックである、前記〔4〕に記載の安定剤。
〔6〕有機材料に前記〔1〕に記載の亜リン酸化合物を添加する、有機材料の安定化方法。
〔7〕有機材料が熱可塑性樹脂である前記〔6〕に記載の安定化方法。
〔8〕熱可塑性樹脂がポリオレフィン又はエンジニアリングプラスチックである、前記〔7〕に記載の安定化方法。
〔9〕有機材料及び前記〔1〕に記載の亜リン酸化合物を含有する、安定化有機材料組成物。
〔10〕有機材料が熱可塑性樹脂である前記〔9〕に記載の組成物。
〔11〕熱可塑性樹脂がポリオレフィン又はエンジニアリングプラスチックである、前記〔10〕に記載の組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明の亜リン酸化合物は、熱可塑性樹脂等の有機材料の熱安定性及び酸化安定性の向上に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、式(I):
【化3】
[式中、
は、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表し、Rは、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rは、炭素数3〜25のアルキレン基を表す。]
で示される亜リン酸化合物を提供する。上記式(I)中の記号について説明する。
【0012】
式(I)中のRで表される炭素原子数1〜8のアルキル基の例としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、t-ペンチル基、i-オクチル基、t-オクチル基、2-エチルヘキシル基等が挙げられる。
式(I)中のRで表される炭素数5〜8のシクロアルキル基の例としては、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
式(I)中のRで表される炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基の例としては、例えば1-メチルシクロペンチル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-メチル-4-i-プロピルシクロヘキシル基等が挙げられる。
式(I)中のRで表される炭素数7〜12のアラルキル基の例としては、例えばベンジル基、α-メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基等が挙げられる。
式(I)中のRで表される炭素数6〜12のアリール基の例としては、例えばフェニル基、トリル基等が挙げられる。
で表される炭素原子数1〜8のアルキル基としては、t-ブチル基が好ましい。
式(I)中のRで表される炭素原子数1〜3のアルキル基の例としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基が挙げられる。Rとしては、メチル基が好ましい。
【0013】
式(I)中のRは、炭素数3〜25のアルキレン基を表す。
炭素数3〜25のアルキレン基の例としては、例えば、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、オクタデカメチレン基、イコサメチレン基、ヘンイコサメチレン基、ドコサメチレン基、テトラドコサメチレン基、ペンタドコサメチレン基等が挙げられる。
【0014】
式(I)中のRは、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基であることが好ましい。
【0015】
上記式(I)で示される亜リン酸化合物は、例えば、式(II):
【化4】
[式中、R、R及びRは、上記で定義した通りである。]
で示されるフェノール化合物と、三ハロゲン化リンとを反応させることにより製造することができる。
【0016】
三ハロゲン化リンとしては、例えば三塩化リン、三臭化リン等が挙げられる。とりわけ三塩化リンが好ましく用いられる。
【0017】
反応させるにあたっては、例えばアミン類、ピリジン類、ピロリジン類、アミド類等の脱ハロゲン化水素剤、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物を共存させることにより、反応を促進させることもできる。反応を促進させるために、1種類の脱ハロゲン化水素剤又はアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物を用いてもよいし、これらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
アミン類として一級アミン、二級アミン、三級アミンのいずれを用いてもよく、例えばt-ブチルアミン、t-ペンチルアミン、t-ヘキシルアミン、t-オクチルアミン、ジ-t-ブチルアミン、ジ-t-ペンチルアミン、ジ-t-ヘキシルアミン、ジ-t-オクチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン等が挙げられる。アミン類として、トリエチルアミンが、反応を促進しやすい観点から好ましく使用される。ピリジン類としては、例えばピリジン、ピコリン等が挙げられ、ピリジンが好ましく使用される。ピロリジン類としては、例えば1-メチル-2-ピロリジン等が挙げられる。アミド類としては、例えばN,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等が挙げられ、N,N-ジメチルホルムアミドが好ましく使用される。上記に述べたような脱ハロゲン化水素剤は、式(II)で示されるフェノール化合物と三ハロゲン化リンとを反応させることにより形成されるハロゲン化水素と塩を形成することにより、上記反応を促進することができるため好ましい。また、形成される塩は沈澱するため、ろ過により塩を簡単に除去できる点においても好ましい。
【0019】
アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等が挙げられ、水酸化ナトリウムが好ましく使用される。
【0020】
反応は通常、有機溶媒中で行われる。有機溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に限定されないが、例えば芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、含酸素系炭化水素、ハロゲン化炭化水素などが挙げられる。反応を、1種類の有機溶媒中で行ってもよいし、2種以上の有機溶媒の混合溶媒中で行ってもよいし、当該有機溶媒とその他の溶媒との混合溶媒中で行ってもよい。
【0021】
芳香族炭化水素としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等が挙げられる。脂肪族炭化水素としては、例えばn-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン等が挙げられる。含酸素系炭化水素としては、例えばジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等が挙げられる。ハロゲン化炭化水素としては、例えばクロロホルム、四塩化炭素、モノクロルベンゼン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。
【0022】
反応方法としては、通常、まず式(II)で示されるフェノール化合物と三ハロゲン化リンとを反応させる。この反応により式(V):
【化5】
[式中、R、R及びRは上記で定義した通りであり、Xはハロゲン原子を表す。]
で示される化合物を含む反応混合物が得られる。
【0023】
三ハロゲン化リンを、式(II)で示されるフェノール化合物に対して1〜1.1モル倍程度の量で用いることが好ましく、1〜1.05モル倍程度の量で用いることがより好ましい。また脱ハロゲン化水素剤を用いる場合、脱ハロゲン化水素剤を、三ハロゲン化リンに対して0.05〜2.4モル倍程度の量で用いることが好ましく、2〜2.1モル倍程度の量で用いることがより好ましい。この反応は、通常、窒素などの不活性ガス雰囲気下で行なわれる。
【0024】
式(II)で示されるフェノール化合物と三ハロゲン化リンとの反応は、通常−10〜200℃程度の温度で行われる。
【0025】
式(II)で示されるフェノール化合物と三ハロゲン化リンとの反応後、式(V)で示される化合物を含む反応混合物が得られる。この反応混合物に水などを添加して、副生成物であるハロゲン化物や残存する未反応のハロゲン化物を失活させることが好ましい。その際に、式(V)で示される化合物が加水分解され、式(I)で示される本発明の亜リン酸化合物が生成する。また、水などを添加することによるハロゲン化物の失活工程がなくとも、晶析やカラムクロマトグラフィー等の後処理中に、空気中の水分などによって式(V)で示される化合物が加水分解され、式(I)で示される本発明の亜リン酸化合物を得ることができる。
【0026】
式(I)で示される本発明の亜リン酸化合物を、晶析やカラムクロマトグラフィーのような適当な後処理を必要に応じて施すことにより単離してもよい。上記のように、式(V)で示される化合物を含む反応混合物をそのまま用いて晶析やカラムクロマトグラフィー等の後処理を行うことにより、式(V)で示される化合物を加水分解して式(I)で示される本発明の亜リン酸化合物を得ると同時に、式(I)で示される本発明の亜リン酸化合物を単離してもよい。この後処理は、不活性ガスの雰囲気を必要とせず、大気雰囲気下で行なってよい。
【0027】
式(I)で示される亜リン酸化合物しては、例えば、
ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)ホスホネート、
ビス[2−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)エチル]ホスホネート、
ビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピル]ホスホネート、
ビス[4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブチル]ホスホネート、
ビス[5−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ペンチル]ホスホネート、
ビス[10−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)デシル]ホスホネート、
ビス[25−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ペンタコシル]ホスホネート
等が挙げられる。これらの化合物の中でもビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピル]ホスホネートが好ましい。
【0028】
本発明の製造方法において使用する式(II)で示されるフェノール化合物は、例えば、塩基の存在下、フェノール化合物に不飽和アルコールを特許第3915333号や特許第4013810号に準拠して作用させることにより製造することができる。
塩基としては、例えばリチウムなどのアルカリ金属、アルカリ金属の水酸化物、水素化物、炭酸塩、アルコキシド、アミド、及びカルシウムなどのアルカリ土類金属、アルカリ土類金属の水酸化物、水素化物、炭酸塩、アルコキシド、アミドが挙げられる。塩基の使用量は、例えば下記式(III)で示されるフェノール化合物に対して、通常0.01〜1モル倍程度である。
フェノール化合物としては、例えば、下記式(III):
【化6】
[式中、R及びRは、前述で定義した通りである。]
で示される化合物が挙げられる。
不飽和アルコールとしては、例えば下記式(IV):
【化7】
[式中、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、nは0〜22の整数を表す。]
で示される化合物が挙げられる。
不飽和アルコール化合物の使用量は、例えば式(III)で示されるフェノ−ル化合物に対して、通常0.1〜10モル倍程度である。
塩基、フェノ−ル化合物及び不飽和アルコール化合物を同時に仕込んで反応させる場合には、通常、反応系を密閉して不飽和アルコール化合物の沸点以上で反応させる。通常、反応温度は100〜300℃程度である。
反応は、反応溶媒の存在下又は不存在下に行われる。溶媒としては、ベンゼン等の芳香族系炭化水素溶媒、ジエチルエ−テル等のエ−テル溶媒、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素溶媒、又はn − ブチルアルコール等のアルコール溶媒などを使用することができる。反応溶媒は、単一溶媒でもよく、混合溶媒でもよい。溶媒を使用する場合の使用量は、例えば式(III)で示されるフェノ−ル化合物に対して、通常、0.1〜5質量倍程度である。
【0029】
式(II)で示されるフェノール化合物としては、例えば、
2−t−ブチル−4−(ヒドロキシメチル)−6−メチルフェノール、
2−t−ブチル−4−(2−ヒドロキシエチル)−6−メチルフェノール、
2−t−ブチル−4−(3−ヒドロキシプロピル)−6−メチルフェノール、
2−t−ブチル−4−(4−ヒドロキシブチル)−6−メチルフェノール、
2−t−ブチル−4−(5−ヒドロキシペンチル)−6−メチルフェノール、
2−t−ブチル−4−(10−ヒドロキシデシル)−6−メチルフェノール、
2−t−ブチル−4−(25−ヒドロキシペンタコシル)−6−メチルフェノール
等が挙げられる。
【0030】
式(I)で示される本発明の亜リン酸化合物にアミン類、酸結合金属塩等を含有させることにより、亜リン酸化合物の耐加水分解性を向上させることもできる。
【0031】
かかるアミン類の例としては、例えばトリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリ-i-プロパノールアミン等のトリアルカノールアミン類、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジ-i-プロパノールアミン、テトラエタノールエチレンジアミン、テトラ-i-プロパノールエチレンジアミン等のジアルカノールアミン類、ジブチルエタノールアミン、ジブチル-i-プロパノールアミン等のモノアルカノールアミン類、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリアジン等の芳香族アミン類、ジブチルアミン、ピペリジン、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン等のアルキルアミン類、ヘキサメチレンテトラミン、トリエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアルキレンポリアミン類、後述するヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられる。
さらに、特開昭61-63686号公報に記載の長鎖脂肪族アミン、特開平6-329830号公報に記載の立体障害アミン基を含む化合物、特開平7-90270号公報に記載のヒンダードピペリジニル系光安定剤、特開平7-278164号公報に記載の有機アミン等を使用することもできる。
アミン類の亜リン酸化合物に対する使用比率は、通常、式(I)で示される亜リン酸化合物の総量に基づいて0.01〜25質量%程度である。
【0032】
酸結合金属塩の例としては、ハイドロタルサイト類などが挙げられる。ハイドロタルサイト類としては、例えば次式で示される複塩化合物が挙げられる。
2+1−x・M3+・(OH)・(An−)x/n・pH
[式中、M2+は、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Pb、Sn及び/又はNiを表し、M3+は、Al、B又はBiを表し、nは1〜4の数値を表し、xは0〜0.5の数値を表し、pは0〜2の数値を表す。An−は、価数nのアニオンを表す。]
ここで、An−で示される価数nのアニオンの具体例としては、例えばOH、Cl、Br、I、ClO、HCO、CCOO、CO2−、SO2−OOCCOO、(CHOHCOO)2−、C(COO)2−、(CHCOO)2−、CHCHOHCOO、SiO2−、SiO4−、Fe(CN)4−、BO3−、PO3−、HPO2−等が挙げられる。
上記式で表されるハイドロタルサイト類の中でより好ましいものとしては、例えば下式で表されるハイドロタルサイト類が挙げられる。
Mg1−x Al(OH)(CO)x/2・pH
[式中、x及びpは、上記で定義した通りである。]
ハイドロタルサイト類は、天然物であっても、合成品であってもよく、またその結晶構造、結晶粒子径などを問わず使用することができる。
さらに、特開平6-329830号公報に記載の超微細酸化亜鉛、特開平7-278164号公報に記載の無機化合物等も酸結合金属塩として使用することができる。
酸結合金属塩の亜リン酸化合物に対する使用比率は、通常、式(I)で示される亜リン酸化合物の総量に基づいて0.01〜25質量%程度である。
【0033】
式(I)で示される本発明の亜リン酸化合物を有機材料に含有させることにより、有機材料の熱劣化及び酸化劣化等を低減させ、有機材料を安定化することができる。そのため、本発明の亜リン酸化合物は、有機材料用安定剤の有効成分として適当である。
【0034】
本発明は、式(I)で示される本発明の亜リン酸化合物を含有する有機材料用安定剤、有機材料に式(I)で示される本発明の亜リン酸化合物を添加する有機材料の安定化方法、及び、有機材料及び式(I)で示される本発明の亜リン酸化合物を含有する安定化有機材料組成物をも提供する。これらの態様において、式(I)で示される本発明の亜リン酸化合物として、式(I)で示される1種類の亜リン酸化合物を使用してもよいし、式(I)で示される2種以上の亜リン酸化合物を組み合わせて使用してもよい。
【0035】
本発明の亜リン酸化合物により安定化することができる有機材料としては、例えば次のようなものが挙げられるが、これらの有機材料に限定されるものではない。有機材料は、1種類の有機材料であってもよいし、2種以上の有機材料の混合物であってもよい。
【0036】
(1)ポリエチレン、例えば高密度ポリエチレン(HD−PE)、低密度ポリエチレン(LD−PE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、
(2)ポリプロピレン、
(3)メチルペンテンポリマー、
(4)EEA(エチレン/アクリル酸エチル共重合)樹脂、
(5)エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、
(6)ポリスチレン類、例えばポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)、
(7)AS(アクリロニトリル/スチレン共重合)樹脂、
(8)ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合)樹脂、
(9)AAS(特殊アクリルゴム/アクリロニトリル/スチレン共重合)樹脂、
(10)ACS(アクリロニトリル/塩素化ポリエチレン/スチレン共重合)樹脂、
【0037】
(11)塩素化ポリエチレン、ポリクロロプレン、塩素化ゴム、
(12)ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、
(13)メタクリル樹脂、
(14)エチレン/ビニルアルコール共重合樹脂、
(15)フッ素樹脂、
(16)ポリアセタール、
(17)グラフト化ポリフェニレンエーテル樹脂及びポリフェニレンサルファイド樹脂、
(18)ポリウレタン、
(19)ポリアミド、
(20)ポリエステル樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、
【0038】
(21)ポリカーボネート、
(22)ポリアクリレート、
(23)ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、
(24)芳香族ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂、
(25)エポキシ樹脂、
(26)ジアリルフタレートプリポリマー、
(27)シリコーン樹脂、
(28)不飽和ポリエステル樹脂、
(29)アクリル変性ベンゾグアナミン樹脂、
(30)ベンゾグアナミン/メラミン樹脂、
(31)ユリア樹脂等の熱硬化性樹脂、
【0039】
(32)ポリブタジエン、
(33)1,2−ポリブタジエン、
(34)ポリイソプレン、
(35)スチレン/ブタジエン共重合体、
(36)ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、
(37)エチレン/プロピレン共重合体、
(38)シリコーンゴム、
(39)エピクロルヒドリンゴム、
(40)アクリルゴム、
(41)天然ゴム、
【0040】
(42)塩素ゴム系塗料、
(43)ポリエステル樹脂塗料、
(44)ウレタン樹脂塗料、
(45)エポキシ樹脂塗料、
(46)アクリル樹脂塗料、
(47)ビニル樹脂塗料、
(48)アミノアルキド樹脂塗料、
(49)アルキド樹脂塗料、
(50)ニトロセルロース樹脂塗料、
(51)油性塗料、
(52)ワックス、
(53)潤滑油など。
【0041】
なかでも、熱可塑性樹脂、とりわけポリエチレン、例えばHD−PE、LD−PE、LLDPE及びポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリカーボネート等のエンジニアリングプラスチックなどに好ましく用いられる。
【0042】
ポリオレフィンは特に限定されず、例えば、ラジカル重合によって得られたものでもよく、周期表IVb、Vb、VIb又はVIII族の金属を含有する触媒を用いる重合により製造されたものでもよい。かかる金属を含有する触媒としては、1つ以上の配位子、例えばπあるいはσ結合によって配位する酸化物、ハロゲン化合物、アルコレート、エステル、アリール等を有する金属錯体が挙げられる。これらの錯体は、金属錯体そのままであってもよいし、塩化マグネシウム、塩化チタン、アルミナ、酸化ケイ素等の基材に担持されていてもよい。ポリオレフィンとしては、例えばチーグラー・ナッタ触媒、TNZ触媒、メタロセン触媒、フィリップス触媒等を用いて製造されたものが好ましく使用される。
【0043】
エンジニアリングプラスチックも特に限定されない。ポリアミド樹脂は、ポリマー鎖にアミド結合を有するものであって、加熱溶融できるものであればよい。ポリアミド樹脂はいずれの方法で製造されたものでもよく、例えばジアミン類とジカルボン酸類との縮合反応、アミノカルボン酸類の縮合反応、ラクタム類の開環重合等の方法によって製造されたものが挙げられる。ポリアミド樹脂の例としては、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ポリ−ビス−(p−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド、ナイロン46、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン66とナイロン6の共重合体であるナイロン66/6や、ナイロン6/12などの共重合体等が挙げられる。ポリエステル樹脂は、ポリマー鎖にエステル結合を有するものであって、加熱溶融できるものであればよく、例えばジカルボン酸類とジヒドロキシ化合物との重縮合等によって得られるポリエステルが挙げられる。ポリエステル樹脂は、ホモポリエステル、コポリエステルのいずれであってもよい。ポリカーボネート樹脂は、ポリマー鎖にカーボネート結合を有するものであって、加熱溶融できるものであればよく、例えば溶剤、酸受容体、分子量調整剤の存在下、芳香族ヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物に、ホスゲン、ジフェニルカーボネートのようなカーボネート前駆体を反応させることにより得られるポリカーボネートが挙げられる。ポリカーボネート樹脂は、直鎖状であっても分枝状であってもよく、また、共重合体であってもよい。
【0044】
式(I)で示される本発明の亜リン酸化合物を添加して、有機材料を安定化する場合、本発明の亜リン酸化合物の含量は、有機材料の安定化の観点から、有機材料100質量部に対して、通常、5質量部以下であり、好ましくは、0.0005質量部以上3質量部以下である。5質量部を越えて配合してもそれに見合うだけの効果の向上が得られない。
【0045】
式(I)で示される本発明の亜リン酸化合物を有機材料に添加するにあたっては、有機材料に必要に応じてさらに他の添加剤、例えばフェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、過酸化物スカベンジャー、ポリアミド安定剤、ヒドロキシアミン、滑剤、可塑剤、難燃剤、造核剤、金属不活性化剤、帯電防止剤、顔料、充填剤、顔料、アンチブロッキング剤、界面活性剤、加工助剤、発泡剤、乳化剤、光沢剤、ステアリン酸カルシウム、ハイドロタルサイト等の中和剤、更には9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスホフェナンスレン-10-オキシド等の着色改良剤や、米国特許4,325,853号、4,338,244号、5,175,312号、5,216,053号、5,252,643号、4,316,611号明細書、DE-A-4,316,622号、4,316,876号明細書、EP-A-589,839、EP-A-591,102号明細書等に記載のベンゾフラン類、インドリン類等の補助安定剤などを含有させることもできる。これらの添加剤を、本発明の亜リン酸化合物と同時に有機材料に添加することもできるし、本発明の亜リン酸化合物とは別の段階で有機材料に添加することもできる。添加剤として、1種類の添加剤を使用してもよいし、2種以上の添加剤を組み合わせて使用してもよい。
【0046】
フェノール系酸化防止剤としては、例えば次のようなものが挙げられる。
(1)アルキル化モノフェノールの例
2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,4,6-トリ-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチルフェノール、2-t-ブチル-4,6-ジメチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-n-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-イソブチルフェノール、2,6-ジシクロペンチル-4-メチルフェノール、2-(α−メチルシクロヘキシル)-4,6-ジメチルフェノール、2,6-ジオクダデシル-4-メチルフェノール、2,4,6-トリシクロヘキシルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-メトキシメチルフェノール、2,6-ジ−ノニル-4-メチルフェノール、2,4-ジメチル-6-(1'-メチルウンデシル-1'-イル)フェノール、2,4-ジメチル-6-(1'-メチルヘプタデシル-1'-イル)フェノール、2,4-ジメチル-6-(1'-メチルトリデシル-1'-イル)フェノール及びそれらの混合物など。
【0047】
(2)アルキルチオメチルフェノールの例
2,4-ジオクチルチオメチル-6-t-ブチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6-メチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6-エチルフェノール、2,6-ジドデシルチオメチル-4-ノニルフェノール及びそれらの混合物など。
(3)ヒドロキノン及びアルキル化ヒドロキノンの例
2,6-ジ-t-ブチル-4-メトキシフェノール、2,5-ジ-t-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-t-アミルヒドロキノン、2,6-ジフェニル-4-オクタデシルオキシフェノール、2,6-ジ-t-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルステアレート、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)アジペート及びそれらの混合物など。
【0048】
(4)トコフェロールの例
α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール及びそれらの混合物など。
(5)ヒドロキシル化チオジフェニルエーテルの例
2,2'-チオビス(6-t-ブチルフェノール)、2,2'-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-チオビス(4-オクチルフェノール)、4,4'-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-チオビス(2-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-チオビス(3,6-ジ-t-アミルフェノール)、4,4'-(2,6-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ジスルフィドなど。
【0049】
(6)アルキリデンビスフェノール及びその誘導体の例
2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス[4-メチル-6-(α−メチルシクロヘキシル)フェノール)]、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-ノニルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2'-エチリデンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2'-エチリデンビス(4-イソブチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス[6-(α−メチルベンジル)-4-ノニルフェノール]、2,2'-メチレンビス[4,6-(α,α−ジメチルベンジル)-4-ノニルフェノール]、4,4'-メチレンビス(6-t-ブチル-2-メチルフェノール)、4,4'-メチレンビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、2,6-ビス(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェノール、1,1,3-トリス(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、1,1-ビス(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-n-ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコール ビス[3,3-ビス-3'-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2-(3'-t-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-メチルベンジル)-6-t-ブチル-4-メチルフェニル]テレフタレート、1,1-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-4-n-ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5-テトラ(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ペンタン、2-t-ブチル-6-(3'-t-ブチル-5'-メチル-2'-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェニル アクリレート、2,4-ジ-t-ペンチル-6-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ペンチルフェニル)エチル]フェニル アクリレート及びそれらの混合物など。
【0050】
(7)O−、N−及びS−ベンジル誘導体の例
3,5,3',5'-テトラ-t-ブチル-4,4'-ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル-4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)ジチオテレフタレート、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルメルカプトアセテート及びそれらの混合物など。
(8)ヒドロキシベンジル化マロネート誘導体の例
ジオクタデシル-2,2-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシベンジル)マロネート、ジオクタデシル-2-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)マロネート、ジドデシルメルカプトエチル-2,2-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート、ビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル]-2,2-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート及びそれらの混合物など。
(9)芳香族ヒドロキシベンジル誘導体の例
1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,3,5,6-テトラメチルベンゼン、2,4,6-トリス(3,5-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール及びそれらの混合物など。
【0051】
(10)トリアジン誘導体の例
2,4-ビス(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-n-オクチルチオ-4,6-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-n-オクチルチオ-4,6-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルフェノキシ)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-フェノキシ)-1,3,5-トリアジン、トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌレート、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルエチル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピル)-1,3,5-トリアジン、トリス(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス[2-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシシンナモイルオキシ)エチル]イソシアヌレート及びそれらの混合物など。
【0052】
(11)ベンジルホスホネート誘導体の例
ジメチル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル-5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルベンジルホスホネート、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエステルのカルシウム塩及びそれらの混合物など。
(12)アシルアミノフェノール誘導体の例
4-ヒドロキシラウリル酸アニリド、4-ヒドロキシステアリン酸アニリド、オクチル-N-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)カルバネート及びそれらの混合物など。
(13)β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と以下の一価又は多価アルコールとのエステルの例
メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N'-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ−2,6,7-トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン及びそれらの混合物など。
【0053】
(14)β-(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロピオン酸と以下の一価又は多価アルコールとのエステルの例
メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N'-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ−2,6,7-トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン及びそれらの混合物など。
(15)β-(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と以下の一価又は多価アルコールとのエステルの例
メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N'-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ−2,6,7-トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン及びそれらの混合物など。
【0054】
(16)3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル酢酸と以下の一価又は多価アルコールとのエステルの例
メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N'-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ−2,6,7-トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン及びそれらの混合物など。
(17)β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミドの例
N,N'-ビス[3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、N,N'-ビス[3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヘキサメチレンジアミン、N,N'-ビス[3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]トリメチレンジアミン及びそれらの混合物など。
【0055】
イオウ系酸化防止剤としては、例えば次のようなものが挙げられる。
ジラウリル 3,3'-チオジプロピオネート、トリデシル 3,3'-チオジプロピオネート、ジミリスチル 3,3'-チオジプロピオネート、ジステアリル 3,3'-チオジプロピオネート、ラウリル ステアリル 3,3'-チオジプロピオネート、ネオペンタンテトライルテトラキス (3-ラウリルチオプロピオネート)など。
【0056】
リン系酸化防止剤としては、例えば次のようなものが挙げられる。
トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリル ペンタエリスリトール ジホスファイト、ジイソデシル ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチル-6-メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4,6-トリ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4'-ジフェニレンジホスホナイト、2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) 2-エチルヘキシル ホスファイト、2,2'-エチリデンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フルオロ ホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチル-6-メチルフェニル) エチル ホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチル-6-メチルフェニル) メチル ホスファイト、2-(2,4,6-トリ-t-ブチルフェニル)-5-エチル-5-ブチル-1,3,2-オキサホスホリナン、2,2',2''-ニトリロ[トリエチル−トリス(3,3',5,5'-テトラ-t-ブチル-1,1'-ビフェニル-2,2'-ジイル) ホスファイト、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン及びそれらの混合物など。
【0057】
紫外線吸収剤としては、例えば次のようなものが挙げられる。
(1)サリシレート誘導体の例
フェニル サリシレート、4-t-ブチルフェニル サリシレート、2,4-ジ-t-ブチルフェニル 3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシベンゾエート、4-t-オクチルフェニル サリシレート、ビス(4-t-ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、ヘシサデシル 3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル 3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシベンゾエート、2-メチル-4,6-ジ-t-ブチルフェニル 3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシベンゾエート及びそれらの混合物など。
(2)2-ヒドロキシベンゾフェノン誘導体の例
2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、ビス(5-ベンゾイル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)メタン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン及びそれらの混合物など。
【0058】
(3)2-(2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールの例
2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3',5'-ジ-t-ブチル-2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(5'-t-ブチル-2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3'-s-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-4'-オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3',5'-ジ-t-アミル-2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2'-ヒドロキシ-3',3'-ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[(3'-t-ブチル-2'-ヒドロキシフェニル)-5'-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]-5-クロロベンゾトリアゾール、2-[3'-t-ブチル-5'-[2-(2-エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]-2'-ヒドロキシフェニル]-5-クロロベンゾトリアゾール、2-[3'-t-ブチル-3'-ヒドロキシ-5'-(2-メトキシカルボニルエチル)フェニル]-5-クロロベンゾトリアゾール、2-[3'-t-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-(2-メトキシカルボニルエチル)フェニル] ベンゾトリアゾール、2-[3'-t-ブチル-2'-ヒドロキシ-5-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル] ベンゾトリアゾール、2-[3'-t-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-[2-(2-エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]フェニル] ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3-(3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミドメチル)-5-メチルフェニル] ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3'-ドデシル-2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール及び2-[3'-t-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-(2-イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニル] ベンゾトリアゾールの混合物、2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2,2'-メチレンビス[4-t-ブチル-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]、ポリ(3〜11)(エチレングリコール)と2-[3'-t-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-(2-メトキシカルボニルエチル)フェニル] ベンゾトリアゾールとの縮合物、ポリ(3〜11)(エチレングリコール)とメチル 3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネートとの縮合物、2-エチルヘキシル 3-[3-t-ブチル-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート、オクチル 3-[3-t-ブチル-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート、メチル 3-[3-t-ブチル-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート、3-[3-t-ブチル-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオン酸及びそれらの混合物など。
【0059】
光安定剤としては、例えば次のようなものが挙げられる。
(1)ヒンダードアミン系光安定剤の例
ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(N-オクトキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(N-ベンジルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(N-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ブチルマロネート、ビス(1-アクロイル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)2,2-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)デカンジオエート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル メタクリレート、4-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-1-[2-(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、2-メチル-2-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノール及び1-トリデカノールとの混合エステル化物、
【0060】
1,2,3,4-ブタンテトラボン酸と2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール及び1-トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノール及び3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール及び3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、ジメチル サクシネートと1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[(6-モルホリノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)]、ポリ[(6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)]、N,N'-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2-ジブロモエタンとの重縮合物、N,N',4,7-テトラキス[4,6-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-4,7-ジアザデカン-1,10ジアミン、N,N',4-トリス[4,6-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、N,N',4,7-テトラキス[4,6-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、N,N',4-トリス[4,6-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン及びそれらの混合物など。
【0061】
(2)アクリレート系光安定剤の例
エチル α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、イソオクチル α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル α−カルボメトキシシンナメート、メチル α−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、ブチルα−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、メチル α−カルボメトキシ−p−メトキシシンナメート及びN-(β−カルボメトキシ−β−シアノビニル)-2-メチルインドリン及びそれらの混合物など。
(3)ニッケル系光安定剤の例
2,2'-チオビス-[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]のニッケル錯体、ニッケルジブチルジチオカルバメート、モノアルキルエステルのニッケル塩、ケトキシムのニッケル錯体及びそれらの混合物など。
【0062】
(4)オキサミド系光安定剤の例
4,4'-ジオクチルオキシオキサニリド、2,2'-ジエトキシオキサニリド、2,2'-ジオクチルオキシ-5,5'-ジ-t-ブチルアニリド、2,2'-ジドデシルオキシ-5,5'-ジ-t-ブチルアニリド、2-エトキシ-2'-エチルオキサニリド、N,N'-ビス(3-ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2-エトキシ-5-t-ブチル-2'-エトキシアニリド、2-エトキシ-5,4'-ジ-t-ブチル-2'-エチルオキサニリド及びそれらの混合物など。
(5)2-(2-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリアジン系光安定剤の例
2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[2,4-ジヒドロキシフェニル-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-プロピルオキシフェニル)-6-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(4-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-ブチルオキシプロポキシ)フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-オクチルオキシプロポキシ)フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン及びそれらの混合物など。
【0063】
金属不活性化剤としては、例えば次のようなものが挙げられる。
N,N'-ジフェニルオキサミド、N-サリチラル-N'-サリチロイルヒドラジン、N,N'-ビス(サリチロイル)ヒドラジン、N,N'-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、3-サリチロイルアミノ-1,2,4-トリアゾール、ビス(ベンジリデン)オキサリルジヒドラジド、オキサニリド、イソフタロイルジヒドラジド、セバコイルビスフェニルヒドラジド、N,N'-ビス(サリチロイル)オキサリルジヒドラジド、N,N'-ビス(サリチロイル)チオプロピオニルジヒドラジド及びそれらの混合物など。
【0064】
過酸化物スカベンジャーとしては、例えばβ−チオジプロピオン酸のエステル、メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ジブチルジチオカルバミン酸の亜鉛塩、ジオクタデシルジスルフィド、ペンタエリスリトール テトラキス(β−ドデシルメルカプト)プロピオネート及びそれらの混合物等が挙げられる。
ポリアミド安定剤としては、例えばヨウ化物又はリン化合物の銅又は2価のマンガン塩及びそれらの混合物等が挙げられる。
【0065】
ヒドロキシアミンとしては、例えばN,N-ジベンジルヒドロキシアミン、N,N-ジエチルヒドロキシアミン、N,N-ジオクチルヒドロキシアミン、N,N-ジラウリルヒドロキシアミン、N,N-ジテトラデシルヒドロキシアミン、N,N-ジヘキサデシルヒドロキシアミン、N,N-ジオクタデシルヒドロキシアミン、N-ヘキサデシル-N-オクタデシルヒドロキシアミン、N-ヘプタデシル-N-オクタデシルヒドロキシアミン及びそれらの混合物等が挙げられる。
【0066】
中和剤としては、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ハイドロタルサイト(塩基性マグネシウム・アルミニウム・ヒドロキシ・カーボネート・ハイドレード)、メラミン、アミン、ポリアミド、ポリウレタン及びそれらの混合物等が挙げられる。
【0067】
滑剤としては、例えばパラフィン、ワックス等の脂肪族炭化水素、炭素数8〜22の高級脂肪酸、炭素数8〜22の高級脂肪酸金属(Al、Ca、Mg、Zn)塩、炭素数8〜22の脂肪族アルコール、ポリグリコール、炭素数4〜22の高級脂肪酸と炭素数4〜18の脂肪族1価アルコールとのエステル、炭素数8〜22の高級脂肪族アマイド、シリコーン油、ロジン誘導体などが挙げられる。
【0068】
造核剤としては、例えば次のようなものが挙げられる。ナトリウム 2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート、[リン酸-2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)]ジヒドロオキシアルミニウム、ビス[リン酸-2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)]ヒドロオキシアルミニウム、トリス[リン酸-2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)]アルミニウム、ナトリウム ビス(4-t-ブチルフェニル)ホスフェート、安息香酸ナトリウムなどの安息香酸金属塩、p-t-ブチル安息香酸アルミニウム、1,3:2,4-ビス(O-ベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4-ビス(O-メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4-ビス(O-エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3-O-3,4-ジメチルベンジリデン-2,4-O-ベンジリデンソルビトール、1,3-O-ベンジリデン-2,4-O-3,4-ジメチルベンジリデンソルビトール、1,3:2,4-ビス(O-3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3-O-p-クロロベンジリデン-2,4-O-3,4-ジメチルベンジリデンソルビトール、1,3-O-3,4-ジメチルベンジリデン-2,4-O-p-クロロベンジリデンソルビトール、1,3:2,4-ビス(O-p-クロロベンジリデン)ソルビトール及びそれらの混合物など。
【0069】
充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、珪酸塩、ガラス繊維、アスベスト、タルク、カオリン、マイカ、硫酸バリウム、カーボンブラック、カーボンファイバー、ゼオライト及びそれらの混合物等が挙げられる。
【0070】
これらの添加剤のうち好ましく用いられるものは、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、過酸化物スカベンジャー及び中和剤である。
特に好ましいフェノール系酸化防止剤としては、以下の化合物が挙げられる。フェノール系酸化防止剤として、以下の化合物を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,4,6-トリ-t-ブチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6-メチルフェノール、2,2'-チオビス(6-t-ブチルフェノール)、4,4'-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス[4-メチル-6-(α−メチルシクロヘキシル)フェノール)]、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2'-エチリデンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)、4,4'-メチレンビス(6-t-ブチル-2-メチルフェノール)、4,4'-メチレンビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、エチレングリコール ビス[3,3-ビス-3'-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)ブチレート]、2-t-ブチル-6-(3'-t-ブチル-5'-メチル-2'-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェニル アクリレート、2,4-ジ-t-ペンチル-6-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ペンチルフェニル)エチル]フェニル アクリレート、
【0071】
2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-フェノキシ)-1,3,5-トリアジン、トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌレート、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル) イソシアヌレート、トリス[2-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシシンナモイルオキシ)エチル]イソシアヌレート、ジエチル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジ-n-オクタデシル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエステルのカルシウム塩、n-オクタデシル 3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、ネオペンタンテトライルテトラキス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシシンナメート)、チオジエチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシシンナメート)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,6-ジオキサオクタメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシシンナメート)、ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシシンナメート)、トリエチレングリコール ビス(5-t-チル-4-ヒドロキシ-3-メチルシンナメート)、3,9-ビス[2-(3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ)-1,1-ジメチルエチル]-2,4,4,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、N,N'-ビス[3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、N,N'-ビス[3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヘキサメチレンジアミンなど。
【0072】
また特に好ましいリン系酸化防止剤としては、以下の化合物が挙げられる。リン系酸化防止剤として、以下の化合物を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリル ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチル-6-メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4'-ジフェニレンジホスホナイト、2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) 2-エチルヘキシル ホスファイト、2,2'-エチリデンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フルオロ ホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチル-6-メチルフェニル) エチルホスファイト、2-(2,4,6-トリ-t-ブチルフェニル)-5-エチル-5-ブチル-1,3,2-オキサホスホリナン、2,2',2''-ニトリロ[トリエチル−トリス(3,3',5,5'-テトラ-t-ブチル-1,1'-ビフェニル-2,2'-ジイル)ホスファイト、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンなど。
【0073】
特に好ましい紫外線吸収剤としては、以下の化合物が挙げられる。紫外線吸収剤として、以下の化合物を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
フェニル サリシレート、4-t-ブチルフェニル サリシレート、2,4-ジ-t-ブチルフェニル 3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシベンゾエート、4-t-オクチルフェニル サリシレート、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、ビス(5-ベンゾイル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)メタン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3',5'-ジ-t-ブチル-2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(5'-t-ブチル-2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3'-s−ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-4'-オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3',5'-ジ-t-アミル-2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2'-ヒドロキシ-3',5'-ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾールなど。
【0074】
特に好ましい光安定剤としては、以下の化合物が挙げられる。光安定剤として、以下の化合物を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(N-オクトキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(N-ベンジルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(N-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル) 2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ブチルマロネート、ビス(1-アクロイル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル) 2,2-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)スクシネート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル メタクリレート、4-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-1-[2-(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、2-メチル-2-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル) 1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、
【0075】
テトラキス(1,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル) 1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノール及び1-トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール及び1-トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノール及び3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール及び3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、ジメチル サクシネートと1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[(6-モルホリノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)]、ポリ[(6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)]など。
【0076】
式(I)で示される本発明の亜リン酸化合物及び/又は必要に応じて添加されるその他の添加剤を、均質な混合物を得るための公知のあらゆる方法及び装置を用いて、有機材料に添加することができる。例えば有機材料が固体ポリマーである場合は、本発明の亜リン酸化合物及び/又は必要に応じて添加されるその他の添加剤を、その固体ポリマーに直接ドライブレンドすることもできるし、あるいは、亜リン酸化合物及び/又は必要に応じて添加されるその他の添加剤をマスターバッチの形で、固体ポリマーに添加することもできる。有機材料が液状ポリマーである場合は、上記添加方法に加えて、重合途中あるいは重合直後のポリマー溶液に、本発明の亜リン酸化合物及び/又は必要に応じて添加されるその他の添加剤を、溶液又は分散液の形で配合することもできる。一方、有機材料が固体ポリマー以外の油などの液体である場合は、上記添加方法に加えて、本発明の亜リン酸化合物及び/又は必要に応じて添加されるその他の添加剤を有機材料に直接添加して溶解させることもできるし、あるいは、本発明の亜リン酸化合物及び/又は必要に応じて添加されるその他の添加剤を液状媒体に溶解又は懸濁させた状態で添加することもできる。
【0077】
式(I)で示される本発明の亜リン酸化合物は、ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂をはじめとする各種有機材料の安定剤として優れた性能を有する。本発明の亜リン酸化合物を添加した有機材料は製造時、加工時、さらには使用時の熱劣化及び酸化劣化等に対して安定であり、高品質の製品となる。
【実施例】
【0078】
以下に実施例を示して、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0079】
化合物の特定は、質量分析(High-Mass測定)、H-NMR測定及び31P-NMR測定により、次の測定条件で行った。
【0080】
〔分子量の測定(High-Mass測定)条件〕
装置:LC=島津製作所社製「Nexera」、質量分析計=Thermo Fisher Scientific Inc.社製「Exactive」、移動相:0.1%ギ酸水/メタノール(1:1)、流量:0.2ml/分、イオン化法:ESI、イオン極性:Positive、スキャン範囲:m/Z=100〜1200
【0081】
H-NMRの測定条件〕
測定核:H核、共鳴周波数:500MHz、観測幅:20ppm、測定温度:25.3℃、測定溶媒:CDCl、内部標準:テトラメチルシラン
【0082】
31P-NMRの測定条件〕
測定核:P核、共鳴周波数:202MHz、観測幅:500ppm、測定温度:25.0℃、測定溶媒:CDCl、外部標準:リン酸
【0083】
実施例1:式(I−1)で示される亜リン酸化合物:ビス{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピル}ホスホネートの製造
特許第4013810号公報に記載の方法に従い、式(II−1)で示されるフェノール化合物:3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロパノ−ルを合成した。
温度計、撹拌装置及び冷却管を備えたフラスコに、上記により合成した式(II−1)で示される化合物13.34g(60mmol)、ジクロロメタン50mlを入れ、窒素雰囲気下、三塩化リン4.12g(30mmol)を氷水冷下15〜29℃で流入した。次いで、トリエチルアミン6.27g(62mmol)を25〜26℃で滴下した。滴下後、ジクロロメタン25mlを加え、室温下で3時間撹拌した。40℃以下で減圧蒸留を行い、得られた残渣にジエチルエーテルを200ml加えてトリエチルアミン塩酸塩を析出させ、濾過により析出したトリエチルアミン塩酸塩を除去した。ろ液を40℃以下で減圧蒸留し、濃縮残渣をシリカゲルカラムで精製し、溶媒を減圧で留去し、式(I−1)で示される亜リン酸化合物を2.91g得た。
【化8】
【化9】
【0084】
式(I−1)で示される亜リン酸化合物についての測定結果
H-NMR
δ=7.52、6.13(d、JP−H=695Hz、1H、PH)、6.92(d、J4=2.5Hz、2H、Ar-H)、6.80(d、J4=2.5Hz、2H、Ar-H)、5.04(bs、2H、OH)、4.09(t、J3=6.5Hz、4H、O-CH-CH)、2.60(t、J3=6.5Hz、4H、-CH-Ph)、2.20(s、6H、Ar-CH)、1.97(qui、J3=6.5Hz、4H、-CH-CH-CH-)、1.40(s、18H、C-(CH)
【0085】
31P-NMR:
δ=8.96ppm
【0086】
High-Mass:
[M+H]=m/z 491.2911
【0087】
〔ポリエチレンに対する安定化効果〕
実施例2
直鎖状低密度ポリエチレン(住友化学株式会社製「GA401」)100質量部に、酸化防止剤としての実施例1で得た亜リン酸化合物0.10質量部、及び、ステアリン酸カルシウム0.05質量部を加え、ドライブレンドした。次いで、得られたブレンド物を30mmφの単軸押出機を用いて190℃で造粒し、ペレットを得た。その後、ペレットを再び単軸押出機に入れ230℃で押出を行う操作を5回繰り返した。230℃での押出を行う前(0回)及び1回、3回、5回の押出操作後のペレットのMFR値を、(株)テクノ・セブン社製「メルトインデクサL246−3537」を用い、190℃、21.18N(2.16kg荷重)にて測定した。表1に、0回のMFR値及び5回の押出操作後のMFR値を示す。ここで、低密度ポリエチレンは押出により架橋が進行し劣化することが知られている。この現象は、MFR値の低下として観察することができる。そのため、押出し操作を繰り返してもMFR値が低下せずに維持されることは、ポリエチレンの架橋が抑制されており、ポリエチレンの加工安定性が高いことを示す。
【0088】
比較例1
亜リン酸化合物を加えなかったこと以外は実施例2と同様にして、MFRの測定を行った。得られた結果を表1に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
〔ポリプロピレンに対する安定化効果〕
実施例3
ホモポリプロピレン(住友化学株式会社製「HS200」)100質量部に、酸化防止剤としての実施例1で得た亜リン酸化合物0.10質量部、及び、ステアリン酸カルシウム0.05質量部を加え、ドライブレンドした。次いで、得られたブレンド物を30mmφの単軸押出機を用いて230℃で造粒し、ペレットを得た。その後、ペレットのMFR値を(株)テクノ・セブン社製「メルトインデクサL246−3537」を用い、230℃、21.18N(2.16kg荷重)にて測定した。表2に、得られたMFR値を示す。ここで、ポリプロピレンは押出によりポリプロピレン鎖の分解が進行し劣化することが知られている。この現象は、MFR値の上昇として観察することができる。そのため、押出し操作を行ってもMFR値が上昇せずに維持されることは、ポリプロピレンの分解が抑制されており、ポリプロピレンの加工安定性が高いことを示す。
【0091】
比較例2
亜リン酸化合物を加えなかったこと以外は実施例3と同様にして、MFRの測定を行った。得られた結果を表2に示す。
【0092】
【表2】