特許第6352081号(P6352081)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6352081光子発生装置及び光子発生方法、並びに制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6352081
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】光子発生装置及び光子発生方法、並びに制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/343 20060101AFI20180625BHJP
   B82Y 20/00 20110101ALI20180625BHJP
【FI】
   H01S5/343
   B82Y20/00
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-139830(P2014-139830)
(22)【出願日】2014年7月7日
(65)【公開番号】特開2016-18853(P2016-18853A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2017年4月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 俊之
(72)【発明者】
【氏名】荒川 泰彦
【審査官】 小濱 健太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−253657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00−5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の光子を発生する量子ドットを備えた量子ドット部と、
前記量子ドット部に電圧を印加するための少なくとも一対以上の電極と、
励起光パルスのエネルギーを前記量子ドット内の励起子準位と共鳴するように調整して、前記励起光パルスを発生して前記量子ドットに照射し、前記量子ドットから単一の光子を発生させる励起光発生部と、
前記電極に逆バイアスの電圧パルスを印加する第1の電圧源と、
前記励起光発生部と前記第1の電圧源とを、前記励起光パルスの照射と前記電圧パルスの印加とを交互に繰り返し行うように、同期動作させる同期動作部と
を含み、
前記同期動作部は、前記励起光パルスの照射により単一の光子が発生した後、次の前記励起光パルスの照射の前に、前記電圧パルスの印加を行うように、前記励起光発生部及び前記第1の電圧源を動作させることを特徴とする光子発生装置。
【請求項2】
前記光子発生装置に、順バイアスの直流電圧を印加する第2の電圧源を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の光子発生装置。
【請求項3】
量子ドットから単一の光子を発生させる光子発生方法であって、
励起光パルスのエネルギーを前記量子ドット内の励起子準位と共鳴するように調整して、前記励起光パルスを発生して前記量子ドットに照射し、前記量子ドットから単一の光子を発生させる第1のステップと、前記量子ドットに逆バイアスの電圧パルスを印加する第2のステップとを交互に繰り返し行い、前記励起光パルスの照射により単一の光子が発生した後、次の前記励起光パルスの照射の前に、前記電圧パルスの印加を行うことを特徴とする光子発生方法。
【請求項4】
前記第1のステップ及び前記第2のステップを繰り返し行うシーケンスの全域において、前記量子ドットに順バイアスの直流電圧を重畳印加することを特徴とする請求項3に記載の光子発生方法。
【請求項5】
量子ドットから単一の光子を発生させるための制御プログラムであって、
励起光パルスのエネルギーを前記量子ドット内の励起子準位と共鳴するように調整して、前記励起光パルスを発生して前記量子ドットに照射し、前記量子ドットから単一の光子を発生させる第1のステップと、前記量子ドットに逆バイアスの電圧パルスを印加する第2のステップとを交互に繰り返し行い、前記励起光パルスの照射により単一の光子が発生した後、次の前記励起光パルスの照射の前に、前記電圧パルスの印加を行う手順をコンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項6】
前記第1のステップ及び前記第2のステップを繰り返し行うシーケンスの全域において、前記量子ドットに順バイアスの直流電圧を重畳印加する手順をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項5に記載の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、量子ドットを備えた光子発生装置及び光子発生方法、並びに制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光と物質の量子的な状態を操作し、情報処理に利用する量子情報技術への期待が高まっている。量子情報技術の代表的なアプリケーションは量子暗号通信や量子演算であり、これらを実現することで極めて安全性が高い情報通信や特定アルゴリズムにおいて高速演算を実現することが可能となる。これらの基盤となる技術は制御された量子状態を作り出すことであり、特に単一の光子を制御性良く発生させることは、量子暗号通信等への応用可能性も高く極めて重要である。
【0003】
単一の光子を発生する装置(単一光子発生装置)の光子発生部としては、擬似的な量子二準位系を実現可能とする半導体の量子ドットが用いられている。量子ドットは特に、固体材料に起因した安定動作可能性や、材料及び形状の選択による発光波長の制御可能性等の利点があり、世界的に研究されている。以下、単一光子発生装置は量子ドットを用いたものであるとする。
【0004】
単一光子発生装置の駆動方式には、光励起方式と電流注入方式の大きく分けて2通りがある。前者は、量子ドットを含む装置に光照射することで半導体材料中に光励起された励起子を生成し、その励起子が量子ドットの中で発光する発光を単一光子として取り出す方式である。後者は、光照射の代わりに電流を流し、量子ドット中に電子と正孔を注入し、それらが再結合して出す発光を単一光子として使用する方式である。
【0005】
光励起方式の中には、準共鳴励起という励起手法がある。図10は、準共鳴励起により単一光子が発生する旨を説明する図である。図10では、上段が伝導帯のエネルギーバンド図及び電子の準位を、下段が価電子帯のエネルギーバンド図及び正孔の準位をそれぞれ示す。後述する図12でも同様である。
準共鳴励起では、量子ドットの励起状態の励起子準位に共鳴するエネルギーを有した励起光パルスを外部から照射することで、量子ドット中に励起状態の励起子を直接生成する。その励起状態の励起子が基底状態の励起子(中性励起子:X0)に緩和した後に再結合して発光する光を、単一光子として利用する。準共鳴励起を利用することで、量子ドットへの余剰なキャリア生成が抑制可能であり、これによって単一光子発生装置の重要な特性パラメータである純度や光取出し効率を上げることが可能である。
【0006】
単一光子発生装置では、光子を1個ずつ生成し、それら個々の光子の特性を情報処理に利用するので、光出力を増幅して使用することには意味がない。従って、単一光子の光源自体の性能改善には、光取出し効率を可能な限り高めることが極めて重要である。ここで光取出し効率とは、「単一光子発生装置の1回の駆動イベントにおいて、外部の光取出し部(例えば光ファイバー等)に放出される単一光子の発生確率」と定義する。光取出し効率(以下、ηと記す。)は、主に3つの要因から決定される。第一は、単一光子を発生する量子準位へ励起子が注入される確率(ηcap)である。第二は、量子ドット内の励起子が再結合発光する際の発光効率(ηiqe:内部量子効率)である。第三は、量子ドットから放出された光子を装置外部に取り出す際に、量子ドットを含む光学構造から光取出し部への光学的な結合効率(ηopt)である。
【0007】
これらは、以下の関係にある。
η=ηcap×ηiqe×ηopt
ここで、ηiqeは量子ドットの材料、形状及び結晶の品質によって決定され、ηoptは量子ドットを含む光学構造及び光の取り出し部によって決定されるパラメータである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−253657号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Phys. Rev. B 69, 205324 (2004).
【非特許文献2】Applied Physics Express 3 (2010) 092802.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
単一光子の光取出し効率ηの改善に向けて、既に準共鳴励起を用いてηcapを向上させることが報告されている(非特許文献1,2を参照)。ところが、この手法を用いても、ηcapの時間平均<ηcap>を低下させるブリンキング現象を抑制することは難しい。ブリンキング現象とは、量子ドット中の1つの励起子(一般にはX0)が発光可能な状態(オン状態)と発光不可能な状態(オフ状態)の間で、ある程度の時定数で状態遷移する現象であり、オン状態とオフ状態とが順番に入れ替わることで発光が明滅するように見えることからその名前が付けられている。
【0011】
ブリンキング現象のオン状態及びオフ状態の具体的な状態としては、いわゆるbright励起子及びdark励起子が考えられる。bright励起子とは、電子と正孔のスピン状態が順に↑↓のような組み合わせになっており、光学的に許容遷移である励起子である。一方、dark励起子とは、電子と正孔のスピン状態が順に↑↑または↓↓のような組み合わせとなっており、光学的に禁制遷移である励起子である。
【0012】
本来、励起光パルスを吸収した際に形成される励起子はbright励起子となるべきである。ところが、電子又は正孔がフォノン散乱等の過程で稀に電子または正孔のスピンが反転し、dark励起子を形成することがある(図11及び図12を参照)。この現象をスピンフリップ(Spin Flip)と言う。スピンフリップによって形成されたdark励起子の状態は、光学的に禁制遷移となっていることから、再結合確率が極めて低く、一度dark励起子が量子ドット中に形成されると、長時間dark励起子のままで残ってしまうことになる。
【0013】
このとき、オン状態では、0<ηcap<1となり、単一光子を発生した後次の励起光パルスが照射されるまでは量子ドット中の励起子は空の状態なっており、次の励起パルスを共鳴励起によって吸収する準備ができている。一方、オフ状態では、光励起パルス照射の直前のキャリア状態が変化しているので、キャリア間のクーロン相互作用によって励起状態の励起子エネルギーが変化し、その結果、励起光パルスの共鳴吸収が起こらずηcap=0となる。このとき、図12に示すように、ηcapの時間平均<ηcap>がオフ状態の寄与のために減少する。
【0014】
ブリンキング現象については、非特許文献1,2で報告されており、量子ドットの中性励起子発光の再結合発光時間(1ns程度)と較べると、圧倒的に長い時定数(数μs程度)でオン状態とオフ状態とが入れ替わっている。このときの単一光子発生装置における光取出し効率ηを<ηcap>を用いて書き直すと、
η=<ηcap>×ηiqe×ηopt
となる。ブリンキング現象によってオン状態とオフ状態とが数μs程度で遷移するので、図12のように<ηcap>が減少する。その結果、光取出し効率ηも低下するという問題がある。
【0015】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、ブリンキング現象を抑制して単一光子の取出し効率を向上させることを可能とする光子発生装置及び光子発生方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
光子発生装置の一態様は、単一の光子を発生する量子ドットを備えた量子ドット部と、前記量子ドット部に電圧を印加するための少なくとも一対以上の電極と、励起光パルスのエネルギーを前記量子ドット内の励起子準位と共鳴するように調整して、前記励起光パルスを発生して前記量子ドットに照射し、前記量子ドットから単一の光子を発生させる励起光発生部と、前記電極に逆バイアスの電圧パルスを印加する第1の電圧源と、前記励起光発生部と前記第1の電圧源とを、前記励起光パルスの照射と前記電圧パルスの印加とを交互に繰り返し行うように、同期動作させる同期動作部とを含み、前記同期動作部は、前記励起光パルスの照射により単一の光子が発生した後、次の前記励起光パルスの照射の前に、前記電圧パルスの印加を行うように、前記励起光発生部及び前記第1の電圧源を動作させる
【0017】
光子発生方法の一態様は、量子ドットから単一の光子を発生させる光子発生方法であって、励起光パルスのエネルギーを前記量子ドット内の励起子準位と共鳴するように調整して、前記励起光パルスを発生して前記量子ドットに照射し、前記量子ドットから単一の光子を発生させる第1のステップと、前記量子ドットに逆バイアスの電圧パルスを印加する第2のステップとを交互に繰り返し行い、前記励起光パルスの照射により単一の光子が発生した後、次の前記励起光パルスの照射の前に、前記電圧パルスの印加を行う。
【0018】
制御プログラムの一態様は、量子ドットから単一の光子を発生させるための制御プログラムであって、励起光パルスのエネルギーを前記量子ドット内の励起子準位と共鳴するように調整して、前記励起光パルスを発生して前記量子ドットに照射し、前記量子ドットから単一の光子を発生させる第1のステップと、前記量子ドットに逆バイアスの電圧パルスを印加する第2のステップとを交互に繰り返し行い、前記励起光パルスの照射により単一の光子が発生した後、次の前記励起光パルスの照射の前に、前記電圧パルスの印加を行う手順をコンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0019】
上記の諸態様によれば、ブリンキング現象を抑制して単一光子の取出し効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1の実施形態による単一光子発生装置の概略構成を示す模式図である。
図2】第1の実施形態における量子ドット部の具体的構成を示す断面図である。
図3】逆バイアス印加によるキャリア引き抜き(初期化)を示す図である。
図4】第1の実施形態による光子発生方法の操作シーケンスを示す図である。
図5】第1の実施形態における励起光パルス及び電圧パルスのタイミングを示す図である。
図6】第2の実施形態による単一光子発生装置の概略構成を示す模式図である。
図7】第2の実施形態における量子ドット部の具体的構成の一例を示す断面図である。
図8】第2の実施形態における量子ドット部の具体的構成の他例を示す断面図である。
図9】第2の実施形態における励起光パルス及び電圧パルスのタイミングを示す図である。
図10】準共鳴励起による単一光子の発生を説明するための図である。
図11】スピンフリップにより、dark励起子が生成される旨を説明するための図である。
図12】ブリンキング現象により、オン状態及びオフ状態が発生する旨を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、光子発生装置及び発生方法の具体的な諸実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態による単一光子発生装置の概略構成を示す模式図である。
この単一光子発生装置は、量子ドット部1、励起光パルス発生部2、交流(AC)電圧部3、同期回路4、光学フィルター部5、統括制御部10を備えて構成されている。
【0023】
量子ドット部1は、単一光子を発生する量子ドット1aを有しており、量子ドットに電圧を印加するための一対の電極1A,1Bを備えて構成される。なお、図1では、量子ドット部1の構成を模式化して描写しており、以下に示すように、その具体的な構成とは若干異なる。
【0024】
励起光パルス発生部2は、励起光パルスのエネルギーを量子ドット1a内の励起子準位と共鳴するように調整して、励起光パルスEPを発生するものである。発生した励起光パルスEPは量子ドット1aを照射する。
AC電圧部3は、第1の電圧源として、AC電圧を量子ドット部1の電極1A,1Bに印加するための電源である。AC電圧部3からの電圧パルスが電極1A,1Bに印加される。
【0025】
同期回路4は、励起光パルス発生部2による励起光パルスEPの照射とAC電圧部3によるAC電圧の印加とのタイミングを制御する回路であり、励起光パルスの照射と電圧パルスの印加とを交互に繰り返し行うように、同期動作させる。
光学フィルター部5は、励起光パルスEPの照射により量子ドット1aで発生した光子が入射し、所定波長のもののみを選択して余剰のバックグラウンド発光を除去して透過されるものである。光学フィルター部5を透過した光子は、単一光子EXとして出力される。
【0026】
統括制御部10は、励起光パルス発生部2による励起光パルスEPの発生、AC電圧部3によるAC電圧の印加、及び同期回路4による励起光パルスEPの発生及びAC電圧の印加のタイミング制御を統括して実行するものである。統括制御部10は、例えばコンピュータの中央処理装置(CPU)等により実現される。
【0027】
本実施形態においては、量子ドット部1は、具体的には図2に示す構成を採る。
本実施形態の量子ドット部1は、InPで形成されたp−i−n構造のi層部分に光子発生部としてInAs量子ドットを配置したものである。p層及びn層のドープ量は、単一光子発生装置として動作させる際に必須となる10K(−263℃)程度の低温下でも活性化されたキャリア密度を得るために、それぞれ1×1018/cm3以上、5×1017/cm3以上とする。量子ドットの上側のp層は、外部からの照射された励起光パルスが透過するとき、及び量子ドットで発生した光子が透過して外部に取り出されるときに発生するフリーキャリア吸収の効果を抑制するために薄くする必要がある。その一方で、低温下でも電気的なコンタクトを実現する程度の厚みが必要である。これら両者を満足し得る典型的な厚みとして100nm以上とする。量子ドットを含むi層の厚みについては、量子ドット内のキャリアを電場によって引き抜くことを考えると、あまり厚くすることはできない。現実的な印加電圧(−3V程度以下)で量子ドットからのキャリア引き抜きを実現するためには、電場強度が100kV/cm以上は必要と考えられるので、i層の厚みは160nm以下程度であれば良い。n層に関しては厚みに対する制約は少なく、200nm程度以上あれば良い。
【0028】
詳細には、厚み500μm程度のn−InP基板11(ドープ量:5×1017/cm3程度)上に、厚み200nm程度のn−InPバッファ層12(ドープ量:5×1017/cm3程度)を成長する。続いて、厚み100nm程度のi−InP層13、InAs量子ドット14aを含むInAs量子ドット層14、厚み150nm程度のi−InP層15を成長し、最上面に厚み300nm程度のp−InP層16(ドープ量:1×1018/cm3程度)を成長する。単一光子を発生する量子ドット14aを含むp−i−n接合の一部を、幅Wが500nm程度のメサ型構造に加工する、電極対である電極1A,1Bとして、n−InP基板11上にTi/Pt/Auからなるn側コンタクト電極17、p−InP層16上にAu/Zn/Auからなるp側コンタクト電極18を形成する。
【0029】
本実施形態による光子発生方法では、図3に示すように、上述したブリンキング現象を抑制すべく、単一光子を発生させる1つの励起光パルスの照射間に、量子ドットに逆バイアスのAC電圧を印加する。図3では、上部が電子の準位を、後部が正孔の準位をそれぞれ示す。逆バイアスのAC電圧を印加することにより、量子ドットの内部にdark励起子が残存している場合には、逆バイアスの印加電場により電子及び正孔が引き抜かれてdark励起子が除去される。一方、量子ドットの内部にdark励起子が発生していない場合には、逆バイアスの印加電場は量子ドットに対して特に影響を与えない。このように本実施形態では、1つの励起光パルスの照射間に常に逆バイアスの電圧パルスを印加する(励起光パルスの照射と逆バイアスの電圧パルスの印加とを交互に繰り返し行う)構成を採る。1つの励起光パルスの照射間にdark励起子の発生の有無を確認するには単一光子を検出しなければならず、単一光子の出力ができなくなる。本実施形態では、上記の構成を採ることにより、特殊な装置等を付加することなくdark励起子の除去及び単一光子の出力を確実に行うことができる。
【0030】
以下、本実施形態による光子発生方法について説明する。図4は、第1の実施形態による光子発生方法の操作シーケンスを示す図である。図5は、第1の実施形態における励起光パルス及び電圧パルスのタイミングを示す図である。
【0031】
励起光パルスは、図5に示すように、繰り返しレート(周期)Tで発生する。先ず、時刻t0=0に、励起光パルス発生部2は、励起光パルスを発生して量子ドットを照射する(ステップS1)。量子ドットは、励起光パルスの照射により単一光子を発生する。このとき、AC電圧部3は待機状態(V=0(V))とされる(ステップS2)。AC電圧部3の待機状態は、励起光パルスの発生時を含む時刻t-1(tsta)から時刻t1まで継続する。この継続時間をtopeとする。時刻t-1から時刻t0までの時間は、後述するAC電圧の安定化時間となる。
【0032】
時刻t1になると、AC電圧部3は逆バイアスの電圧パルス(Vini=VAC)を発生し、その電圧パルスが量子ドットに印加される(ステップS3)。このとき、量子ドットの内部にdark励起子が残存している場合には、電子及び正孔が引き抜かれてdark励起子が除去される(ステップS4)。電圧パルスの印加は、時刻t1から時刻t2まで継続する。この間の時間を印加時間tiniとする。
【0033】
時刻t2になると、AC電圧部3は電圧パルスの発生を解除する(ステップS5)。AC電圧部3は、電圧パルスの安定化時間だけ待機する(ステップS6)。
以上のステップS1〜S6で1つの光子の発生が完了し、ステップS1〜S6が繰り返し実行される。
【0034】
逆バイアスを印加するタイミングである時刻t1(tope−tsta)は、図5のように、励起光照射後の時間が量子ドット中の中性励起子X0の発光再結合時間(約1ns)の数倍程度以上となれば良く、典型値としては9nsであれば良い、また、電圧パルスの印加時間tiniは、電子及び正孔のトンネル時間(印加電圧に依存するが、キャリア引き抜きで使用する際には0.1ns程度)と比較して十分大きければ良く、典型値としては0.8ns程度以上であれば十分と考えられる。なお、繰り返しレートTは、中性励起子X0の発光再結合時間より十分大きい値であることが必要であり、ここでは一例として10nsとした。
【0035】
本実施形態では、量子ドットの内部にdark励起子が残存している場合には、電圧パルスの印加により電子及び正孔が引き抜かれてdark励起子が除去される。この構成により、励起光パルスを照射するタイミングでは、常に量子ドットのオン状態が実現する。その結果、光取出し効率<ηcap>が向上する。即ち、電場を印加せずにブリンキング現象が発生したnm愛のオン状態とオフ状態の減衰時定数をτon,τoffとすると、光取出し効率<ηcap>は近似的に時定数の比であるτon/(τon+τoff)となる。本実施形態の構成によってブリンキング現象を抑制すると、光取出し効率<ηcap>は略1へと改善される。
【0036】
以上説明したように、本実施形態によれば、ブリンキング現象を抑制して単一光子の取出し効率を向上させることが可能となる。
【0037】
(第2の実施形態)
次いで、第2の実施形態について説明する。図6は、第2の実施形態による単一光子発生装置の概略構成を示す模式図である。なお、第1の実施形態の図1と同じ構成部材については、同符号を付して詳しい説明を省略する。
【0038】
本実施形態の単一光子発生装置は、第1の実施形態と同様に、量子ドット部1、励起光パルス発生部2、交流(AC)電圧部3、同期回路4、光学フィルター部5、DCバイアス重畳部6、統括制御部10を備えている。更に、この単一光子発生装置は、第1の電圧源であるAC電圧部3に加え、第2の電圧源として、量子ドット1aに直流(DC)電圧を印加するDC電圧部21を備えている。
【0039】
DC電圧部21は、DC電圧を、量子ドット1aの励起光吸収時及び光子発生時に量子ドット部1の電極1A,1Bに印加するための電源である。DC電圧部21は、DCバイアス重畳部6を介して主に順バイアスのDC電圧を電極1A,1Bに印加する。
【0040】
本実施形態においては、量子ドット部1は、具体的には図7又は図8に示す構成を採る。
図7の量子ドット部1は、i−GaAs内に光子発生部としてInAs量子ドットを配置したものである。量子ドットを含むi層を幅Wが500nm程度のメサ構造に加工し、メサ構造を挟むように一対の電極を形成する。本実施形態で必須となる電場印加による余剰な励起子の引き抜きは、これらの電極対の間に電圧パルスを印加することで実現される。電圧パルスの電圧値を5Vとした際には、量子ドットへ印加される電場が100kV/cm程度となり、量子ドット内のキャリアを引き抜くのに十分な電場強度となる。
【0041】
詳細には、厚み500μm程度のi−GaAs基板22上に、厚み200nm程度のi−GaAsバッファ層23を成長する。続いて、厚み100nm程度のi−GaAs層24、InAs量子ドット25aを含むInAs量子ドット層25、厚み100nm程度のi−GaAs層26を成長し、単一光子を発生する量子ドット25aを含むi層の一部を、幅Wが500nm程度のメサ型構造に加工する。メサ型構造の両側に電極対である電極1A,1Bである電場印加用電極27,28を形成する。
【0042】
図7の量子ドット部1は、GaAsで形成されたn−i構造のi層部分に光子発生部としてInAs量子ドットを配置したものである。裏面にn側コンタクト電極を配置し、i層上にi側ショットキー電極を配置する。ショットキー電極には、直径500nm程度の微細開口部があり、開口部を通して励起光パルスを照射し、量子ドットへの準共鳴励起を実現する。両電極間への電圧印加により、i層に電場を印加可能な構造とする。n層のドープ量は、単一光子発生装置として動作させる際に必須となる10K(−263℃)程度の低温下でも活性化されたキャリア密度を得るために、5×1017/cm3以上とする。量子ドット部を含むi層の厚みについては、量子ドット内のキャリアを電場によって引き抜くことを考えると、あまり厚くすることはできない。現実的な印加電圧(−3V程度以下)で量子ドットからのキャリア引き抜きを実現するためには、電場強度が100kV/cm以上は必要であると考えられるので、i層の厚みは350nm以下程度であれば良い。n層に関しては厚みに対する制約は少なく、200nm程度以上あれば良く、図7のように、基板全体もnドープされた構造を用いて電極を形成することも可能である。
【0043】
詳細には、n−GaAs基板31(ドープ量:5×1017/cm3程度)上に、厚み200nm程度のn−GaAsバッファ層32(ドープ量:5×1017/cm3程度)を成長する。続いて、厚み100nm程度のi−GaAs層33、InAs量子ドット34aを含むInAs量子ドット層34、厚み100nm程度のi−GaAs層35を成長する。電極対である電極1A,1Bとして、n−GaAs基板31の裏面にAuGeNi/Auからなるn側コンタクト電極36、i−GaAs層35の表面にTi/Al/Auからなるi側ショットキー電極37を形成する。i側ショットキー電極37に直径Dが500nm程度の微小な開口37aを形成する。励起光パルスは、開口37aを通してInAs量子ドット34aに照射される。
【0044】
本実施形態による光子発生方法では、上述したブリンキング現象を抑制すべく、単一光子を発生させる1つの励起光パルスの照射間に、量子ドットに逆バイアスのAC電圧を印加する。これにより、量子ドットの内部にdark励起子が残存している場合には、逆バイアスの印加電場により電子及び正孔が引き抜かれてdark励起子が除去される。一方、量子ドットの内部にdark励起子が発生していない場合には、逆バイアスの印加電場は量子ドットに対して特に影響を与えない。このように本実施形態では、1つの励起光パルスの照射間に常に逆バイアスの電圧パルスを印加する(励起光パルスの照射と逆バイアスの電圧パルスの印加とを交互に繰り返し行う)構成を採る。1つの励起光パルスの照射間にdark励起子の発生の有無を確認するには単一光子を検出しなければならず、単一光子の出力ができなくなる。本実施形態では、上記の構成を採ることにより、特殊な装置等を付加することなくdark励起子の除去及び単一光子の出力を確実に行うことができる。
【0045】
以下、本実施形態による光子発生方法について説明する。図9は、第2の実施形態における励起光パルス及び電圧パルスのタイミングを示す図である。
本実施形態では、第1の実施形態の図4と同様の操作シーケンスを行う。
【0046】
本実施形態では、図9に示すように、DC電圧部21は、操作シーケンスの全域において、量子ドットに順バイアスのDC電圧(VDC)を重畳印加する。
励起光パルスは、図9に示すように、繰り返しレート(周期)Tで発生する。先ず、時刻t0=0に、励起光パルス発生部2は、励起光パルスを発生して量子ドットを照射する(ステップS1)。量子ドットは、励起光パルスの照射により単一光子を発生する。このとき、AC電圧部3は待機状態(V=0(V))とされる(ステップS2)。AC電圧部3の待機状態は、励起光パルスの発生時を含む時刻t-1(tsta)から時刻t1まで継続する。この継続時間をtopeとする。時刻t-1から時刻t0までの時間は、後述するAC電圧の安定化時間となる。
【0047】
時刻t1になると、AC電圧部3は逆バイアスの電圧パルス(VAC)を発生し、VDCが重畳されてVini(=VAC+VDC)となって量子ドットに印加される(ステップS3)。このとき、量子ドットの内部にdark励起子が残存している場合には、電子及び正孔が引き抜かれてdark励起子が除去される(ステップS4)。電圧パルスの印加は、時刻t1から時刻t2まで継続する。この間の時間を印加時間tiniとする。
【0048】
時刻t2になると、AC電圧部3は電圧パルスの発生を解除する(ステップS5)。AC電圧部3は、電圧パルスの安定化時間だけ待機する(ステップS6)。
以上のステップS1〜S6で1つの光子の発生が完了し、ステップS1〜S6が繰り返し実行される。
【0049】
本実施形態では、量子ドットの内部にdark励起子が残存している場合には、電圧パルスの印加により電子及び正孔が引き抜かれてdark励起子が除去される。この構成により、励起光パルスを照射するタイミングでは、常に量子ドットのオン状態が実現する。その結果、光取出し効率<ηcap>が向上する。即ち、電場を印加せずにブリンキング現象が発生したnm愛のオン状態とオフ状態の減衰時定数をτon,τoffとすると、光取出し効率<ηcap>は近似的に時定数の比であるτon/(τon+τoff)となる。本実施形態の構成によってブリンキング現象を抑制すると、光取出し効率<ηcap>は略1へと改善される。
【0050】
本実施形態におけるi−GaAs内に形成された量子ドット(InAs/GaAs)は、その高さが比較的大きい(5nm程度〜10nm程度)。そのため、量子ドット内部に励起子を生成した際に、電子と正孔の波動関数の重心位置が高さ方向でずれ、自発的なダイポールモーメントを生ずる傾向がある。また、このダイポールモーメントは、量子ドットに印加される電場によって変化する。そのため、p−i−n接合のビルトイン電圧も考慮した低いDC電圧を印加する(ここでは一例として+0.6Vとする。)ことにより、量子ドット中のX0の発光効率の低下を抑える。
【0051】
ビルトイン電圧の一部が順バイアスのDC電圧で打ち消され、量子ドットに印加される実効的な電場を低減することも可能となる。DC電圧の調整により、光子発生の際の励起子のダイポールモーメントが低減され、電子−正孔の波動関数の重なり積分を増加させることで、内部量子効率ηiqeが改善される効果もある。
【0052】
逆バイアスを印加するタイミングである時刻t1(tope−tsta)は、図9のように、第1の実施形態と同様に、励起光照射後の時間が量子ドット中の中性励起子X0の発光再結合時間(約1ns)の数倍程度以上となれば良く、典型値としては9nsであれば良い。また、電圧パルスの印加時間tiniは、電子及び正孔のトンネル時間(印加電圧に依存するが、キャリア引き抜きで使用する際には0.1ns程度)と比較して十分大きければ良く、典型値としては0.8ns程度以上であれば十分と考えられる。なお、繰り返しレートTは、中性励起子X0の発光再結合時間より十分大きい値であることが必要であり、ここでは一例として10nsとした。
【0053】
以上説明したように、本実施形態によれば、ブリンキング現象を抑制して単一光子の取出し効率を向上させることが可能となる。
【0054】
(その他の実施形態)
上述した第1及び第2の実施形態による単一光子発生装置の各構成要素(図1,6の統括制御部10等)の機能は、コンピュータのRAMやROM等に記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。同様に、単一光子発生方法の各ステップ(図4のステップS1〜S6等)は、コンピュータのRAMやROM等に記憶された制御プログラムが動作することによって実現できる。この制御プログラム及び当該制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は本実施形態に含まれる。
【0055】
具体的に、制御プログラムは、例えばCD−ROMのような記録媒体に記録し、或いは各種伝送媒体を介し、コンピュータに提供される。制御プログラムを記録する記録媒体としては、CD−ROM以外に、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、不揮発性メモリカード等を用いることができる。他方、制御プログラムの伝送媒体としては、プログラム情報を搬送波として伝搬させて供給するためのコンピュータネットワークシステムにおける通信媒体を用いることができる。ここで、コンピュータネットワークとは、LAN、インターネットの等のWAN、無線通信ネットワーク等であり、通信媒体とは、光ファイバ等の有線回線や無線回線等である。
【0056】
また、本実施形態に含まれる制御プログラムとしては、供給された制御プログラムをコンピュータが実行することにより本実施形態の機能が実現されるようなもののみではない。例えば、その制御プログラムがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)或いは他のアプリケーションソフト等と共同して本実施形態の機能が実現される場合にも、かかる制御プログラムは本実施形態に含まれる。また、供給された制御プログラムの処理の全て或いは一部がコンピュータの機能拡張ボードや機能拡張ユニットにより行われて本実施形態の機能が実現される場合にも、かかる制御プログラムは本実施形態に含まれる。
【0057】
コンピュータとしては、通常のパーソナルユーザ端末装置を用いることができる。通常のパーソナルユーザ端末装置を用いる代わりに、単一光子発生装置に特化された所定の計算機等を用いても良い。
【0058】
以下、光子発生装置及び発生方法、並びに制御プログラムの諸態様について、付記としてまとめて記載する。
【0059】
(付記1)単一の光子を発生する量子ドットを備えた量子ドット部と、
前記量子ドット部に電圧を印加するための少なくとも一対以上の電極と、
励起光パルスのエネルギーを前記量子ドット内の励起子準位と共鳴するように調整して、前記励起光パルスを発生して前記量子ドットに照射し、量子ドットから単一の光子を発生させる励起光発生部と、
前記電極に逆バイアスの電圧パルスを印加する第1の電圧源と、
前記励起光発生部と前記第1の電圧源とを、前記励起光パルスの照射と前記電圧パルスの印加とを交互に繰り返し行うように、同期動作させる同期動作部と
を含むことを特徴とする光子発生装置。
【0060】
(付記2)前記光子発生装置に、順バイアスの直流電圧を印加する第2の電圧源を更に含むことを特徴とする付記1に記載の光子発生装置。
【0061】
(付記3)前記量子ドット部は、内部に前記量子ドットが形成されたi半導体層を備えており、
前記i半導体層の両側面を挟むように一対の前記電極が配置されていることを特徴とする付記1又は2に記載の光子発生装置。
【0062】
(付記4)前記量子ドット部は、p半導体層又はn半導体層と、前記p半導体層上又は前記n半導体層上に形成されたi半導体層とを備えており、前記i半導体層内に前記量子ドットが形成されていることを特徴とする付記1又は2に記載の光子発生装置。
【0063】
(付記5)前記量子ドット部は、p半導体層及びn半導体層と、前記p半導体層と前記n半導体層とに挟持されたi半導体層とを備えており、前記i半導体層内に前記量子ドットが形成されていることを特徴とする付記1又は2に記載の光子発生装置。
【0064】
(付記6)量子ドットから単一の光子を発生させる光子発生方法であって、
励起光パルスのエネルギーを前記量子ドット内の励起子準位と共鳴するように調整して、前記励起光パルスを発生して前記量子ドットに照射し、前記量子ドットから単一の光子を発生させる第1のステップと、前記量子ドットに逆バイアスの電圧パルスを印加する第2のステップとを交互に繰り返し行うことを特徴とする光子発生方法。
【0065】
(付記7)前記第1のステップ及び前記第2のステップを繰り返し行うシーケンスの全域において、前記量子ドットに順バイアスの直流電圧を重畳印加することを特徴とする付記6に記載の光子発生方法。
【0066】
(付記8)量子ドットから単一の光子を発生させるための制御プログラムであって、
励起光パルスのエネルギーを前記量子ドット内の励起子準位と共鳴するように調整して、前記励起光パルスを発生して前記量子ドットに照射し、前記量子ドットから単一の光子を発生させる第1のステップと、前記量子ドットに逆バイアスの電圧パルスを印加する第2のステップとを交互に繰り返し行う第2のステップとを交互に繰り返し行う手順をコンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。
【0067】
(付記9)前記第1のステップ及び前記第2のステップを繰り返し行うシーケンスの全域において、前記量子ドットに順バイアスの直流電圧を重畳印加する手順をコンピュータに実行させることを特徴とする付記8に記載の制御プログラム。
【符号の説明】
【0068】
1 量子ドット部
1a 量子ドット
1A,1B 電極
2 励起光パルス発生部
3 AC電圧部
4 同期回路
5 光学フィルター部
6 DCバイアス重畳部
10 統括制御部
11 n−InP基板
12 n−InPバッファ層
13,15,16 i−InP層
14,25,34 InAs量子ドット層
14a,25a,34a InAs量子ドット
17,36 n側コンタクト電極
18 p側コンタクト電極
21 DC電圧部
22 i−GaAs基板
23 i−GaAsバッファ層
24,26 i−GaAs層
27,28 電場印加用電極
31 n−GaAs基板
32 n−GaAsバッファ層
33,35 i−GaAs層
37 i側ショットキー電極
37a 開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12