特許第6352485号(P6352485)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6352485
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】衛星回線接続装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/155 20060101AFI20180625BHJP
   H04J 3/00 20060101ALI20180625BHJP
   H04L 29/06 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   H04B7/155
   H04J3/00 U
   H04L13/00 305B
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-70544(P2017-70544)
(22)【出願日】2017年3月31日
【審査請求日】2017年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺
(74)【代理人】
【識別番号】100151002
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 剛之
(74)【代理人】
【識別番号】100201673
【弁理士】
【氏名又は名称】河田 良夫
(72)【発明者】
【氏名】志鎌 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】大坂 一夫
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 貴史
(72)【発明者】
【氏名】佐川 雄一
(72)【発明者】
【氏名】浦田 泉
(72)【発明者】
【氏名】海老原 基人
(72)【発明者】
【氏名】栗原 史夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慎二
【審査官】 大野 友輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−064841(JP,A)
【文献】 特開平09−055746(JP,A)
【文献】 特開平07−058716(JP,A)
【文献】 特開平06−252875(JP,A)
【文献】 特表2013−541230(JP,A)
【文献】 志鎌 昌宏 et al.,離島衛星通信においてネットワークシンプル化を実現する「衛星回線終端装置SYS-U」,NTT技術ジャーナル,2014年,URL,http://www.ntt.co.jp/journal/1410/files/jn201410042.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/155
H04J 3/00
H04L 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SDHフレームを伝送する地上回線と衛星回線フレームを伝送する衛星回線とを接続し、SDHフレームと衛星回線フレームの変換処理を行う多重分離回路を備えた衛星回線接続装置において、
前記多重分離回路は、
前記地上回線から入力する前記SDHフレームを構成する各階層のオーバヘッドから監視制御または回線切替に必要な情報として、レイヤ1選別信号としてSOHを分離し、レイヤ2信号として分離したVC−3からレイヤ2選別信号としてVC−3POHを分離し、レイヤ3信号として分離したVC−11からレイヤ3選別信号としてVC−11POHを分離し、各階層のオーバヘッドの各情報とレイヤ3抽出信号であるC−11を多重して前記衛星回線フレームを構成する多重手段と、
前記衛星回線から入力する前記衛星回線フレームから前記各階層の前記SOH、前記VC−3POH、前記VC−11POHおよび前記C−11を分離し、分離された前記C−11に各階層のオーバヘッドの各情報と所要のダミー情報を挿入して前記SDHフレームを構成する分離手段と
を備えたことを特徴とする衛星通信接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星通信システムにおいて、地上回線側のSDH(Synchronous Digital Hierarchy)フレームと衛星回線側の衛星回線フレームの変換処理を行う衛星回線接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
衛星通信システムは、災害対策衛星通信や離島衛星通信などのサービスの提供に利用されている。災害対策衛星通信では、被災地において特設公衆電話やインターネット接続などの通信サービスを提供している。離島衛星通信では、海底光ケーブルなど有線系インフラの整備が困難な離島に対して、電話やインターネット接続などの通信サービスを提供している。
【0003】
衛星通信システムでは、地上回線側の通信容量に比べて衛星回線側の通信容量が大幅に少ないことから、地上回線と衛星回線とを接続する衛星回線接続装置において、通信容量の違いに応じたSDHフレームと衛星回線フレームの変換処理を行っている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】志鎌昌宏 他、「離島衛星通信においてネットワークシンプル化を実現する衛星回線終端装置SYS−U」、NTT技術ジャーナル、2014年10月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
伝送/交換装置に接続される衛星回線接続装置の地上回線側は、例えばSTM−1インタフェースを用いて155.52Mbit/s の速度でSDHフレームが入出力される。一方、衛星回線接続装置の衛星通信モデムが接続される衛星回線側は、例えばRS422インタフェースを用いて最大でも23Mbit/s 程度の速度で衛星回線フレームが入出力される。したがって、本土側と離島側との間でSDHフレームを使って通信を確立するためには、衛星回線接続装置において、衛星回線容量に合わせた速度でユーザデータを送受信することに加えて、SDHフレームのオーバヘッド(OH)をすべて送受信するのではなく、監視制御や回線切替等に必要な最小限のオーバヘッドのみを抽出して送受信するような処理が必要になる。
【0006】
本発明は、地上回線と衛星回線の通信容量の違いに応じて、SDHフレームと衛星回線フレームの変換処理を行う衛星回線接続装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、SDHフレームを伝送する地上回線と衛星回線フレームを伝送する衛星回線とを接続し、SDHフレームと衛星回線フレームの変換処理を行う多重分離回路を備えた衛星回線接続装置において、多重分離回路は、地上回線から入力するSDHフレームを構成する各階層のオーバヘッドから監視制御または回線切替に必要な情報として、レイヤ1選別信号としてSOHを分離し、レイヤ2信号として分離したVC−3からレイヤ2選別信号としてVC−3POHを分離し、レイヤ3信号として分離したVC−11からレイヤ3選別信号としてVC−11POHを分離し、各階層のオーバヘッドの各情報とレイヤ3抽出信号であるC−11を多重して衛星回線フレームを構成する多重手段と、衛星回線から入力する衛星回線フレームから各階層のSOH、VC−3POH、VC−11POHおよびC−11を分離し、分離されたC−11に各階層のオーバヘッドの各情報と所要のダミー情報を挿入してSDHフレームを構成する分離手段とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、SDHフレームのオーバヘッドを衛星回線フレームに収容可能なように必要最小限にスリム化して送受信することにより、SDH回線に比べて低速の衛星回線を介してSDH通信を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の衛星回線接続装置の構成例を示す図である。
図2】多重分離回路11の実施例構成を示す図である。
図3】多重分離回路11の動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の衛星回線接続装置の構成例を示す。
図1(1) は、本発明の衛星回線接続装置が用いられる衛星通信システムの全体構成を示す。通信衛星20を介して接続される衛星回線接続装置10−1,10−2では、地上のSDH回線と衛星回線の接続処理が行われる。
【0012】
図1(2) は、衛星回線接続装置10の一部の構成を示す。衛星回線接続装置10は、多重分離回路11と衛星通信モデム/RF装置12を備える。多重分離回路11は、SDHフレームと衛星回線フレームとの間で所要の多重分離処理を行う。衛星通信モデム/RF装置12は、多重分離回路11で入出力される衛星回線フレームと、通信衛星20との間で送受信される無線信号の変換処理を行う。
【0013】
図2は、多重分離回路11の実施例構成を示す。
図2において、SDHフレームから衛星回線フレームを構成する処理と、衛星回線フレームからSDHフレームを構成する処理は、逆の処理手順となる。
【0014】
SDHフレームは、その多重化構成に従ってレイヤ1信号選別部111−1、レイヤ2信号選別部111−2、…、レイヤN信号選別部111−Nに順次入力する。レイヤ1信号選別部111−1は、レイヤ1信号を入力してレイヤ1選別信号とレイヤ2信号に分解して出力し、残りをレイヤ1廃棄信号として廃棄する。レイヤ2信号は、次のレイヤ2信号選別部111−2に入力する。以下同様に、レイヤN信号選別部111−Nは、レイヤ(N−1)信号選別部111−(N−1)からレイヤN信号を入力し、レイヤN選別信号とレイヤN抽出信号に分解して出力し、残りをレイヤN廃棄信号として廃棄する。レイヤ1選別信号〜レイヤN選別信号とレイヤN抽出信号は、信号多重部112で多重されて衛星回線フレームとして出力される。
【0015】
衛星回線フレームは、信号分離部113でレイヤ1選別信号〜レイヤN選別信号とレイヤN抽出信号に分離される。レイヤN選別信号とレイヤN抽出信号はレイヤN信号構成部114−Nに入力し、レイヤN挿入信号と合わせてレイヤN信号が構成され、次のレイヤ(N−1)信号構成部114−(N−1)に入力する。同様に、レイヤ2信号構成部114−2から出力されるレイヤ2信号と、信号分離部113で分離されたレイヤ1選別信号はレイヤ1信号構成部114−1に入力し、レイヤ1挿入信号と合わせてレイヤ1信号が構成される。ここで、レイヤ1挿入信号〜レイヤN挿入信号は、レイヤ1廃棄信号〜レイヤN廃棄信号に相当するダミー信号である。
【0016】
以下、図3に示すSTM−1フレームを例に、多重分離回路11でSDHフレームから衛星回線フレームを構成する動作例を示す。ここでは、N=3とする。
【0017】
レイヤ1信号に相当するSTM−1フレームは、以下のように構成される。
STM−1…SOH、AU−3(#1)〜AU−3(#3)
AU−3 …AU−3ポインタ、VC−3
VC−3 …VC−3POH、複数のTU−11
TU−11…TU−11ポインタ、VC−11
VC−11…VC−11POH、C−11
【0018】
レイヤ1信号選別部111−1は、レイヤ1信号としてSTM−1フレームを入力し、レイヤ1選別信号としてSOHを分離し、レイヤ2信号としてAU−3(#1)からAU−3ポインタを除くVC−3を分離し、残りのAU−3(#2),AU−3(#3)をレイヤ1廃棄信号として廃棄する。
【0019】
レイヤ2信号選別部111−2は、レイヤ2信号としてVC−3を入力し、レイヤ2選別信号としてVC−3POHを分離し、レイヤ3信号としてTU−11からTU−11ポインタを除くVC−11を分離し、使用しないTU−11をレイヤ2廃棄信号として廃棄する。
【0020】
レイヤ3信号選別部111−3は、レイヤ3信号としてVC−11を入力し、レイヤ3選別信号としてVC−11POHを分離し、レイヤ3抽出信号としてC−11を分離し、廃棄する信号はない。
【0021】
STM−1フレームから分離されたSOHと、VC−3から分離されたVC−3POHと、VC−11から分離されたVC−11POHおよびC−11は、信号多重部112に入力される。ここでは、SOHとVC−3POHから必要最小限の情報を取り出し、C−11の一部をペイロードに入れたパス(OH収容パス)を生成する。また、VC−11POHから必要最小限の情報を取り出し、C−11の一部をペイロードに入れたパス(OH従属パス)を生成する。また、C−11の全部は専用線収容パスとして生成される。各パスは、図3に示すMUXでRS422インタフェースの各CHにそれぞれ収納される。
【0022】
衛星回線フレームからSDHフレームを構成する工程は、信号分離部113およびレイヤN信号構成部114−N〜レイヤ1信号構成部114−1で、図3に示す工程と逆の工程を行う。ここで、レイヤ1選別信号はSOHであり、レイヤ2選別信号はVC−3POHであり、レイヤ3選別信号およびレイヤ3抽出信号はVC−11POHおよびC−11である。レイヤ1挿入信号はAU−3(#2),AU−3(#3)に相当するダミー信号であり、レイヤ2挿入信号はTU−11に相当するダミー信号である。これにより、レイヤ3信号としてVC−11が構成され、レイヤ2信号としてVC−3が構成され、レイヤ1信号としてSTM−1が構成される。
【0023】
なお、SDHフレームは、一般にSTM−nフレーム(n=0,1,4,8,16,64, 256,…)に対応し、本発明はそれぞれの多重化構成に対して、衛星回線フレームに収容可能なようにオーバヘッドを必要最小限にスリム化して送受信することにより、衛星回線を介してSDH通信を実現することができる。
【符号の説明】
【0024】
10 衛星回線接続装置
11 多重分離回路
12 衛星通信モデム/RF装置
20 通信衛星
111−i レイヤi信号選別部
112 信号多重部
113 信号分離部
114−i レイヤi信号構成部
【要約】
【課題】地上回線と衛星回線の通信容量の違いに応じて、SDHフレームと衛星回線フレームの変換処理を行う。
【解決手段】SDHフレームを伝送する地上回線と衛星回線フレームを伝送する衛星回線とを接続し、SDHフレームと衛星回線フレームの変換処理を行う多重分離回路を備えた衛星回線接続装置において、多重分離回路は、地上回線から入力するSDHフレームを構成する各階層のオーバヘッドから所定の情報を選別し、各階層のオーバヘッドの所定の情報と最下層のペイロード部を多重して衛星回線フレームを構成する多重手段と、衛星回線から入力する衛星回線フレームから各階層のオーバヘッドの所定の情報および最下層のペイロード部を分離し、分離された最下層のペイロード部に各階層のオーバヘッドの所定の情報と所要のダミー情報を挿入してSDHフレームを構成する分離手段とを備える。
【選択図】 図2
図1
図2
図3