(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記トップリングに前記基板が吸着したと判定された後に、前記基板が吸着された前記弾性膜と前記支持部材とを離間させる離間工程と、を備える請求項1に記載の基板吸着方法。
前記基板の上面と前記弾性膜の下面とが接触している際に、前記真空引きの対象エリアより外側にあるエリアを加圧しない、請求項1乃至5のいずれかに記載の基板吸着方法。
前記真空引きの対象エリアより外側にあるエリアには、前記流量計が設けられた流路が接続され、該エリアと前記流量計との間で、前記流路は分岐していない、請求項9に記載のトップリング。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、真空引きしたエリアの真空圧に基づいて判定を行っても、必ずしも基板とメンブレンとの間に十分な密着力が発生しているとは限らない。したがって、安全のために、閾値を厳しく設定したり、閾値に達して所定時間待機した後にトップリングを移動させたりせざるを得ない。そうすると、基板の受け渡し時間が本来必要な時間より長くなってしまい、スループットが低下してしまうという問題がある。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、確実にトップリングに基板を吸着させることができる基板吸着方法、確実に基板を吸着するトップリング、および、そのようなトップリングを有する基板研磨装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、トップリング本体と、その下方に設けられた弾性膜と、を有するトップリングに基板を吸着させる基板吸着方法であって、前記基板の下面が支持部材に支持され、前記基板の上面が前記弾性膜の下面と接触した状態で、前記弾性膜の上面と前記トップリング本体との間に同心円状に形成された複数のエリアのうちの少なくとも1つのエリアを真空引きする真空引き工程と、真空引きの対象エリアより外側にあるエリアにおけるガスの流量を計測する流量計測工程と、前記ガスの流量に基づいて、前記トップリングに前記基板が吸着したか否かを判定する判定工程と、前記トップリングに前記基板が吸着したと判定された後に、前記基板が吸着された前記弾性膜と前記支持部材とを離間させる離間工程と、を備える基板吸着方法が提供される。
【0009】
あるエリアを真空引きすると、基板が弾性膜に吸着する際に、真空引きの対象エリアより外側にあるエリアの容積が小さくなる。このことを、真空引きの対象エリアより外側にあるエリアにおけるガスの流量に基づいて検出する。そのため、精度よく基板が弾性膜に吸着したか否かを判定できる。
【0010】
前記真空引き工程の後に、前記真空引きの対象エリアの少なくとも1つのエリアの圧力を計測する圧力計測工程を備え、前記判定工程では、前記ガスの流量に加え、前記真空引きの対象エリアの少なくとも1つのエリアにおける圧力も考慮して、前記トップリングに前記基板が吸着したか否かを判定するのが望ましい。
真空引きの対象エリアの圧力(真空度)も考慮することで、判定の精度がさらに向上する。
【0011】
前記複数のエリアのうちの少なくとも1つのエリアを加圧する加圧工程と、前記基板の上面と前記弾性膜の下面とを接触させる接触工程と、を備え、その後に前記真空引き工程が行われるのが望ましい。
予め加圧しておくことで、弾性膜とトップリング本体とが密着していた場合であっても、加圧することでその状態を解除でき、弾性膜と基板との接触面積を大きくできるためである。
【0012】
前記加圧工程では、前記真空引きの対象エリアを加圧するのがより望ましい。
真空引きの対象エリアが弾性膜の中央である場合、弾性膜の中央が下に凸な形状となり、基板の中央部を確実に弾性膜と接触させることができる。
【0013】
前記基板の上面と前記弾性膜の下面とが接触している際に、前記真空引きの対象エリアより外側にあるエリアを加圧しないのが望ましい。
真空引きの対象エリアより外側にあるエリアを加圧すると基板が弓状に沿ってしまい、基板に負担がかかるためである。
【0014】
前記支持部材は、前記トップリングに前記基板を受け渡す搬送機構であってもよい。
この場合、搬送機構からトップリングに確実に基板を受け渡すことができる。
【0015】
前記支持部材は、前記トップリングに保持された基板を研磨する研磨テーブルであってもよい。
この場合、基板の研磨後に研磨テーブルからトップリングに確実に基板を吸着させることができる。
【0016】
また、本発明の別の態様によれば、トップリング本体と、前記トップリング本体の下方に設けられる弾性膜であって、その上面と前記トップリング本体との間に同心円状に複数のエリアが形成された弾性膜と、支持部材によって下面が支持された基板の上面と前記弾性膜の下面とが接触した状態で、前記複数のエリアのうちの少なくとも1つのエリアを真空引きする真空引き機構と、前記真空引きの対象エリアより外側にあるエリアにおけるガスの流量を計測する流量計と、前記ガスの流量に基づいて、前記弾性膜の下面に前記基板が吸着したか否かを判定する判定手段と、を備えるトップリングが提供される。
この態様により、精度よく基板が弾性膜に吸着したか否かを判定できる。
【0017】
前記真空引きの対象エリアより外側にあるエリアには、前記流量計が設けられた流路が接続され、該エリアと前記流量計との間で、前記流路は分岐していないのが望ましい。
このようにすることで、流量計がエリアにおける流量を正確に計測できる。
【0018】
前記複数のエリアが形成された位置において、前記弾性膜には孔が形成されていないのが望ましい。
孔がないことで、トップリング内部で発生した粉塵が基板を汚染したり、弾性膜と吸着した基板との間からガスがリークしたりすることを抑えることができる。
【0019】
本発明の別の態様によれば、上記のトップリングと、前記トップリングに前記基板を受け渡す搬送機構と、前記トップリングに保持された前記基板を研磨する研磨テーブルと、を備える基板研磨装置が提供される。
【発明の効果】
【0020】
真空引きの対象エリアより外側にあるエリアにおけるガスの流量に基づいてトップリングに基板が吸着した否かを判定するため、確実に基板をトップリングに吸着させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
(第1の実施形態)
図1および
図2は、それぞれ基板研磨装置100の概略斜視図および断面図である。基板研磨装置100は、トップリング1と、下部にトップリング1が連結されたトップリングシャフト2と、研磨面3aを有する研磨テーブル3と、研磨液を研磨テーブル3上に供給するノズル4と、トップリングヘッド5と、支持軸6とを有する。
【0023】
トップリング1は基板Wを保持し、その下面を研磨面3aに押し付ける。
図2に示すように、トップリング1は、トップリング本体11と、円環状のリテーナリング12と、トップリング本体11の下方に設けられた可撓性のメンブレン13(弾性膜)とから構成される。トップリング本体11とメンブレン13と間の空間を減圧することで、基板Wの上面がトップリング1に保持される。基板Wの周縁はリテーナリング12に囲まれることとなり、研磨中に基板Wがトップリング1から飛び出さないようになっている。
【0024】
トップリングシャフト2はトップリング1の上面中央に連結されている。不図示の昇降機構がトップリングシャフト2を昇降させることで、トップリング1に保持された基板Wの下面が研磨面3aに接触したり離れたりする。また、不図示のモータがトップリングシャフト2を回転させることでトップリング1が回転し、これによって保持された基板Wも回転する。
【0025】
研磨テーブル3の上面には研磨面3aが設けられる。研磨テーブル3の下面は回転軸に接続されており、研磨テーブル3は回転可能となっている。研磨液がノズル4から供給され、研磨面3aに基板Wの下面が接触した状態で基板Wおよび研磨テーブル3が回転することで、基板Wが研磨される。
【0026】
トップリングヘッド5は、一端にトップリングシャフト2が連結され、他端に支持軸6が連結される。不図示のモータが支持軸6を回転させることでトップリングヘッド5が揺動し、トップリング1が研磨面3a上と、基板受け渡し位置(不図示)との間を行き来する。
【0027】
このような基板研磨装置100は次のように動作する。まず、トップリングヘッド5が揺動することでトップリング1が基板受け渡し位置に移動し、搬送機構(不図示)からトップリング1に基板Wが受け渡される。これにより、基板Wの上面がトップリング1に保持される。この点の詳細は後述する。
【0028】
次いで、トップリングヘッド5が逆方向に揺動することでトップリング1が研磨面3a上に移動し、さらにトップリングシャフト2が下降することで研磨面3a上に基板Wの下面を接触させる。そして、ノズル4から研磨面3a上に研磨液を供給しながらトップリング1および研磨テーブル3が回転し、基板Wが研磨される。研磨の後、トップリング1が再度基板Wの保持を行った上で、トップリングヘッド5が揺動することでトップリング1が基板受け渡し位置に移動する。
【0029】
続いて、基板受け渡し位置における、搬送機構からトップリング1への基板受け渡しについて説明する。
【0030】
図3および
図4は、搬送機構7からトップリング1への基板受け渡しを説明する図である。
図3は搬送機構7およびトップリング1を側方から見た図であり、
図4はこれらを上方から見た図である。
【0031】
図3に示すように、基板研磨装置100が有する搬送機構7(より詳しくは、そのハンド71)上に基板Wが載置される。
図4に示すように、ハンド71は基板Wの下面の外周側の一部を支持する。搬送機構7は不図示の昇降機構により昇降する。
【0032】
また、基板Wの受け渡しには、リテーナリングステーション8が用いられる。
図3に示すように、リテーナリングステーション8は、トップリング1のリテーナリング12を押し上げる押し上げピン81を有する。
図4に示すように、押し上げピン81とハンド71とが互いに接触しないように配置されている。
【0033】
搬送機構7およびトップリング1は次のように動作して、基板Wを搬送機構7からトップリング1に受け渡す。まず
図3(a)に示すように、トップリング1が下降するとともに、搬送機構7が上昇する。トップリング1の下降により、押し上げピン81がリテーナリング12を押し上げる。また、基板Wがメンブレン13に接近する。
【0034】
さらに搬送機構7が上昇すると、
図3(b)に示すように、基板Wの上面がメンブレン13の下面に接触する。この状態で、後述するようにして基板Wがメンブレン13に吸着する。その際、確実に吸着したか否か、言い換えると、基板Wの受け渡しが完了したか否かの判定が行われる。完了したと判定されると、
図3(c)に示すようにトップリング1が上昇するとともに、搬送機構7が下降する。
【0035】
続いて、基板Wの吸着と、その完了の判定について説明する。
図5は、トップリング1の構造を模式的に示す断面図である。メンブレン13には、トップリング本体11に向かって上方に延びる周壁13a〜13hが形成されている。これら周壁13a〜13hにより、メンブレン13の上面とトップリング本体11の下面との間に、周壁13a〜13hによって区切られた同心円状のエリア131〜138が形成される。
【0036】
なお、メンブレン13のエリア131〜138が形成された位置には孔が形成されていてもよいが、望ましくはその孔はできるだけ微細である。さらに望ましくは、メンブレン13には孔が形成されていない。本実施形態では、そのような場合であって吸着力が強くない場合であっても、基板Wがトップリング1に吸着されたことを精度よく判定することで、基板Wが落下するのを防ぐことができる。
【0037】
トップリング本体11を貫通してエリア131〜138にそれぞれ連通する流路141〜148が形成されている。また、リテーナリング12の直上には弾性膜からなるリテーナ室139が設けられており、リテーナ室139に連通する流路149が同様に形成されている。流路141〜149は圧力制御手段15に接続されており、エリア131〜138およびリテーナ室139内の圧力が制御される。
【0038】
本実施形態では、具体例として、中央側に位置するエリア131〜134はそれぞれ流路141〜144を介して加圧および真空引きすることができ、外側に位置するエリア135〜138およびリテーナ室139はそれぞれ流路145〜149を介して大気解放できるものとする。
【0039】
図6は、圧力制御手段15の内部構成の一例を示す図である。流路141〜144に関する構成は共通しているので、流路141のみ図示している。同様に、流路145〜149に関する構成は共通しているので、流路145のみ図示している。
【0040】
流路141には流量計161aが設けられ、エリア131に流入する(またはエリア131から流出する)ガスの流量を計測する。また、流路141には圧力計161bが設けられ、エリア131の圧力を計測する。
【0041】
流量計161aおよび圧力計161bの先において流路141は分岐しており、一方はバルブ171aを介して流体供給源18に接続され、他方はバルブ171bを介して真空源19に接続されている。バルブ171aを開いて流体供給源18から窒素などのガスを供給することで、エリア131を加圧できる。また、バルブ171bを開いて真空源19が真空引きを行うことで、エリア131を真空引き(減圧)できる。
【0042】
ここで、エリア131と流量計161aおよび圧力計161bとの間は単一配管となっていて分岐していないのが望ましい。エリア131から出る/エリア131に入るガスのほぼすべてが流量計161aおよび圧力計161bを通ることになり、流量計161aおよび圧力計161bがバルブ171a,171bの開閉状態に関わらずエリア131のガス流量および圧力の計測をそれぞれ行えるためである。
【0043】
もちろん、リークがない場合や、バルブを適切な位置に設けてガスの流路を切り分けられる場合には、エリア131と流量計161aおよび圧力計161bとの間に分岐があってもよい。
なお、図示していないが、流路142〜144に設けられる流量計および圧力計を、それぞれ流量計162a〜164aおよび圧力計162b〜164bと称する。
【0044】
一方、流路145には流量計165aおよび圧力計165bが設けられる。これらの先において、流路145はバルブ175を介して大気に連通している。バルブ175を開くことで、エリア135を大気解放することができる。なお、図示していないが、流路146〜149に設けられる流量計および圧力計を、それぞれ流量計166a〜169aおよび圧力計166b〜169bと称する。
【0045】
なお、
図6はあくまで一例にすぎず、種々の変形が可能である。例えば、流路145〜149について、分岐を設けてバルブを介して流体供給源18および/または真空源19とも接続したり、大気に連通する代わりに流体供給によって大気圧にできるようにしたりしてもよい。また、流路141〜144について、さらに分岐を設けてバルブを介して大気に連通するようにしてもよい。いずれの場合でも、流量計および圧力計とエリアとの間に分岐がないようにするのがよい。
【0046】
図5に戻り、トップリング1は圧力制御手段15に接続された判定手段1Aを備えている。判定手段1Aは、後述するようにして、流量計161a〜169aおよび圧力計161b〜169bのうちの必要な計測結果に基づいて、基板Wがトップリング1のメンブレン13に吸着したか否か、つまり、搬送機構7からトップリング1への基板Wの受け渡しが完了したか否かを判定する。
【0047】
図7は、基板Wの吸着完了判定を含む、基板Wの受け渡し手順を示すフローチャートである。
まず、搬送機構7を支持部材として、基板Wの上面とメンブレン13の下面とを接触させる。具体的には、
図3を用いて説明したように、基板Wの下面を支持した搬送機構7が上昇するとともにトップリング1が下降することで(ステップS1)、基板Wの上面とメンブレン13の下面とが接触する(ステップS2)。
【0048】
続いて、トップリング本体11とメンブレン13との間に形成されたエリア131〜138のうち、中心側のエリアを圧力制御手段15が真空引きする(ステップS3)。
【0049】
真空引きするエリアの数が多いほど吸着力が高くなることを考慮して、適切な数のエリアを真空引きすればよい。例えば、それほど高い吸着力が必要ない場合はエリア131のみを真空引きすればよいし、高い吸着力が必要な場合にはエリア131〜134を真空引きすればよい。以下では、エリア131〜134を真空引きするものとする。この場合、バルブ171b〜174bのみを開いた状態で、真空源19を作動させればよい。尚、エリア134内のメンブレン13には上述の小さい孔を所定の同心円状に複数均等配置させてもよい。
【0050】
図8(a),(b)は、真空引き前後のメンブレン13および基板Wを側方から見た図である。
図8(a)に示すように、真空引き前はメンブレン13はほぼ平坦であり、エリア131〜138は大気圧である。エリア131〜134を真空引きすると、
図8(b)に示すように、メンブレン13がわずかに変形し、吸盤効果によって基板Wの中央部がメンブレン13に吸着されるとともに、基板Wの外周部とメンブレン13の外周部とが密着してシール効果が生まれ、基板Wがメンブレン13に強固に吸着する。
【0051】
このとき、真空引きしたエリア131〜134の圧力は減少して真空に近づく。また、エリア135〜138(特にエリア135)は、メンブレン13がトップリング本体11側に引き寄せられることによって、容積が小さくなる。そのため、エリア135〜138内にあったガスが流路145〜148から流出する。
【0052】
つまり、エリア135〜138の容積が小さくなったことから基板Wがメンブレン13に吸着したことを検出でき、エリア135〜138の容積が小さくなったことは流量計165a〜168aの流量から検出できる。
【0053】
なお、真空引きしないエリア135〜138用のバルブ175〜178は開いておき、エリア135〜138を加圧することなく大気圧とするのが望ましい。エリア135〜138を加圧することも考えられるが、そうするとメンブレン13が大きく弓状に湾曲し、それに伴って基板Wも湾曲して基板Wに負荷がかかってしまうためである。
【0054】
図7に戻り、エリア131〜134の真空引きを開始すると、対応する流路141〜144に設けられた圧力計161b〜164bがそれぞれエリア131〜134の圧力を計測し(ステップS4)、その結果は判定手段1Aに伝えられる。
【0055】
また、エリア134〜134の真空引きを開始すると、エリア131〜134の外側にあるエリア135〜138に対応する流路145〜148に設けられた流量計165a〜168aがそれぞれ流量を計測し(ステップS5)、その結果は判定手段1Aに伝えられる。流量計165a〜168aは、上述したようにエリア135〜138から流出するガスの量を計測する。
【0056】
判定手段1Aは、少なくとも流量計165aの計測結果に基づき、必要に応じて圧力計161b〜164bおよび流量計166a〜168aの計測結果も考慮して、基板Wがトップリング1に吸着したか否かを判定する(ステップS6)。
【0057】
図9は、真空引き開始後の圧力計164bおよび流量計165aの計測結果を模式的に示す図である。左側の縦軸が圧力を示しており、右側の縦軸が流量(エリア135から流出する方向を正)を示している。時刻t0において真空引きを開始すると、エリア134内の圧力は低下し、大気圧から真空に近づく。一方、真空引きを開始すると、エリア135の容積が小さくなることに伴って、エリア135からのガス流出が起こる。
【0058】
判定手段1Aは、エリア135からのガス流出量に基づいて、基板Wがメンブレン13に十分に吸着したか、言い換えると、基板Wの受け渡しが完了したか否かを判定できる。具体例として、判定手段1Aは、ガス流出量が所定の閾値Fthに達した時点(時刻t1)で受け渡しが完了したと判定してもよいし、ガス流出量が極大になった時点すなわち増加から減少に転じた時点(時刻t2)で受け渡しが完了したと判定してもよい。あるいは、判定手段1Aは、総ガス流出量すなわちガス流出量の時間積分値が所定の閾値に達した時点で受け渡しが完了したと判定してもよい。その他、判定手段1Aはガス流出量の微分値や差分値を用いて判定してもよい。
【0059】
なお、真空引きしたエリア131〜134に近いエリア135において、最も大きなガス流出が発生するため、判定手段1Aはエリア135からのガス流出量に基づく判定を行うのが望ましいが、エリア135からのガス流出量に代えて/加えてエリア136〜138からのガス流出量に基づいて判定を行っても構わない。
【0060】
また、より正確に判定するため、判定手段1Aはエリア134の圧力も考慮して基板Wの受け渡しが完了したか否かを判定してもよい。例えば、上記ガス流出量に関する条件に加え、エリア134の圧力が所定の閾値に達したことをもって受け渡しが完了したと判定してもよい。また、エリア134の圧力に代えて/加えてエリア131〜133の圧力に基づいて判定を行っても構わない。
【0061】
本実施形態の判定手段1Aは、真空引きしていないエリアにおけるガスの流量を用いて判定を行う。
図8(b)に示した当該エリアの容積変化を検出するには、エリアの圧力を用いることと、ガスの流量を用いることが考えられるが、後者の方が好適である。エリアと圧力計とが離れた場所に設置されていると、エリアの圧力を素早く正確に計測できないこともあるためである。
【0062】
図7に戻り、基板Wがトップリング1に吸着したと判定手段1Aが判定すると(ステップS6のYES)、トップリング1が上昇するとともに搬送機構7が下降する(ステップS7)。すなわち、基板Wが吸着されたメンブレン13と搬送機構7とを離間させる。判定手段1Aが流量に基づく判定を行った後にトップリング1と搬送機構7とを離すため、基板Wの吸着が不十分で落下してしまうことを抑制できる。
【0063】
一方、基板Wがトップリング1に吸着していないと判定手段1Aが判定すると(ステップS6のNO)、リトライモードへ移動する。
【0064】
リトライモードの一例として、エリア131〜138をいったん大気解放し(ステップS31)、ステップS3に戻って真空引きをやり直してもよい。
【0065】
リトライモードの別の例として、エリア131〜138を低圧(例えば50hPa)で加圧し(ステップS32)、その後にエリア131〜138を大気解放して(ステップS31)、ステップS3に戻って真空引きをやり直してもよい。これにより、エリア131〜138の容積をより確実に回復させた上で、再度の真空引きをすることができる。
【0066】
リトライモードのまた別の例として、トップリングシャフト2(
図1および
図2参照)をわずかに(例えば1〜2mm)上昇させ(ステップS33)、その後に必要に応じてエリア131〜138を低圧で加圧(ステップS32)した後にエリア131〜138を大気解放し(ステップS31)、トップリングシャフト2を元の位置に下げてから(ステップS34)、ステップS3に戻って真空引きをやり直してもよい。これにより、エリア131〜138の容積をさらに確実に回復させた上で、再度の真空引きをすることができる。
【0067】
なお、
図7の手順において、基板Wとメンブレン13とが接触する(ステップS2)より前、例えばトップリング1が下降し搬送機構7が上昇している最中(ステップS1)やその前に、圧力制御手段15は、エリア131〜138のうちの少なくとも1つ、望ましくはステップS3で真空引きされるエリアを加圧する。さらにその加圧の後、圧力制御手段15によりその真空引きされるエリアを大気圧状態にしてもよいし、バルブ171(バルブ171a、171b)の他にこれらバルブの配置と同様に分岐され、大気に連通可能な第3のバルブ(不図示)を別途設けて、この第3のバルブのみ開いて大気圧状態にしてもよい。
【0068】
これにより、仮にメンブレン13の上面とトップリング本体11の下面とが密着した状態にあったとしても、加圧によってその状態が解除され、メンブレン13の下面が基板Wに対して平坦または下に凸な形状となる。その結果、基板Wとメンブレン13とが接触する面積を大きくすることができる。特に下に凸な形状になっていれば、基板Wの中央部を確実にメンブレン13と接触させることができる。この状態で中心のエリアを真空引きすることで、基板Wの吸着が確実なものとなる。また、基板Wとメンブレン13とが接触する前に予めこのような加圧を行うことで、スループットの低下も避けられる。
【0069】
このように、第1の実施形態では、搬送機構7からトップリング1に基板Wを受け渡す際、真空引きしたエリアの外側にあるエリアから流出するガスの流量に基づいて、基板Wがトップリング1に吸着したか否かを判定する。そのため、受け渡し完了を精度よく検出できる。さらに、基板Wやメンブレン13の表面に個体差があっても受け渡し完了を精度よく検出できるため、基板Wの受け渡し時間を適正化でき、スループットが向上する。
【0070】
なお、
図6で説明した圧力制御手段15は一例にすぎず、種々の変形が可能である。
例えば、
図10に示すように、配管が2分岐しており、任意のエリアと分岐との間に圧力計Pを配置してもよい。そして、分岐の一方の先端に流体供給源18を設け、分岐と流体供給源18との間にバルブおよび流量計Fを配置してもよい。また、分岐の他方の先端に真空源19を設け、分岐と真空源19との間にバルブおよび圧力計Pを配置してもよい。流体供給源18が例えば電空レギュレータである場合、圧力指令を大気圧(ゼロ圧)に設定することで、大気解放と等価となる。
【0071】
また、
図11に示すように、配管が3分岐しており、任意のエリアと分岐との間に圧力計Pを配置してもよい。そして、分岐の1つの先端に流体供給源18を設け、分岐と流体供給源18との間にバルブおよび流量計Fを配置してもよい。また、分岐の別の1つの先端に真空源19を設け、分岐と真空源19との間にバルブおよび圧力計Pを配置してもよい。さらに、分岐のまた別の1つの先端を大気解放し、分岐との間にバルブおよび流量計Fを配置してもよい。
【0072】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、搬送機構7からトップリング1に基板Wを受け渡す際の動作に関するものであった。これに対し次に説明する第2の実施形態では、基板Wの研磨完了後に、研磨テーブル3からトップリング1を離す際にトップリング1に基板Wを吸着させる動作に関するものである。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0073】
図12は、基板Wの吸着完了判定を含む、基板Wの吸着手順を示すフローチャートである。なお、
図7と同じ工程には同じ符号を付している。
【0074】
図1および
図2を用いて説明したようにしてトップリング1に保持された基板Wの研磨が完了する(ステップS11)。この状態では、研磨テーブル3を支持部材として、基板Wの上面がメンブレン13の下面に接触している。基板Wを研磨する際、効率よく研磨を行うためにエリア131〜138のいずれかを加圧して基板Wを研磨テーブル3に押し付けることもある。そのため、研磨の完了後に基板Wを研磨テーブル3上から移動させる際、あらためて基板Wをトップリング1に吸着させる必要がある。
【0075】
そのため、
図7と同様のステップS3〜S6の動作を行う。すなわち、まずは圧力制御手段15が中心のエリアを真空引きする(ステップS3)。ここで、研磨面3aと基板Wとの間にはノズル4から供給された研磨液が介在している。そのため、基板Wを研磨面3aから離してトップリング1に吸着させるためには、やや高い吸着力を必要とする。よって、仮に第1の実施形態で説明した搬送機構7からトップリング1への基板受け渡しでは中心のエリア131のみの真空引きでよい場合でも、本実施形態においてはエリア131〜134を真空引きしなければならないこともある。
【0076】
その後、各圧力計が真空引きしたエリアの圧力を計測するとともに(ステップS4)、各流量計が真空引きしたエリアの外側のエリアの流量を計測する(ステップS5)。そして、基板Wがトップリング1(より詳しくは、そのメンブレン13の下面)に吸着したか否かを判定手段1Aが判定する(ステップS6)。吸着が確認されると、トップリング1が上昇する(ステップS12)ことで、基板Wが吸着されたメンブレン13と研磨テーブル3とを離間させる。
【0077】
このように、第2の実施形態では、基板Wの研磨後に基板Wをトップリング1に吸着させる際、真空引きしたエリアの外側にあるエリアから流出するガスの流量に基づいて、基板Wがトップリング1に吸着したか否かを判定する。そのため、第1の実施形態と同様に、吸着完了を精度よく検出できる。さらに、基板Wやメンブレン13の表面に個体差があっても受け渡し完了を精度よく検出できるため、基板Wの吸着時間を適正化でき、スループットが向上する。
【0078】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。