(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プライマー組成物の前記界面活性剤が:シロキサン系界面活性剤;アルキル多糖を含むアルキルポリグルコシド;アルコキシル化脂肪酸;アルコキシル化アルコール;アルキルスルホコハク酸塩;アセチレンジオール;およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の接着剤系。
前記プライマー組成物の前記界面活性剤が、ゲル浸透クロマトグラフィーによりポリスチレン標準に対して決定された400〜25000の数平均分子量(Mn)を有する界面活性剤から選択される、請求項1〜5のいずれかに記載の接着剤系。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、接着強さ、とりわけ先行技術の上記の不都合を受けない接着剤系の範囲で、ポリイソシアネート接着剤組成物の湿潤接着強さを向上させるのに用いることができるプライマー組成物を開発する必要が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様において、リグノセルロース複合材料を調製するための接着剤系であって:
a)水性プライマー組成物;および
b)ポリウレタン接着剤組成物
を含み、
前記水性プライマー組成物が:
水溶性界面活性剤、水乳化性界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選択される、組成物の重量に対して10重量%以下の界面活性剤;および
水溶性ポリオール、水分散性ポリオール、水乳化性ポリオールおよびそれらの混合物からなる群から選択される、組成物の重量に対して0〜25重量%のポリオールであって、5000ダルトン未満の分子量を有するポリオール
を含み、
但し、水性プライマー組成物が、前記ポリオール、またはヒドロキシル官能性と5000ダルトン未満の分子量とを有する界面活性剤の少なくとも1つを含むべきである、
接着剤系が提供される。
【0012】
この接着剤系の特定の実施形態において、水性プライマー組成物は、水溶性界面活性剤、水乳化性界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選択される、組成物の重量に対して5重量%以下、好ましくは1重量%以下の界面活性剤;および水溶性ポリオール、水分散性ポリオール、水乳化性ポリオールおよびそれらの混合物からなる群から選択される、組成物の重量に対して20重量%以下、好ましくは5重量%以下のポリオールを含む。
【0013】
本接着剤系のさらなる独立の実施形態において、ポリウレタン接着剤組成物は、湿気硬化型の一成分系ポリウレタン接着剤組成物である。この一成分系ポリウレタン接着剤組成物は、好ましくは:遊離NCO基を有する少なくとも1つのプレポリマーであって、イソシアネートと反応する化合物を含む少なくとも1つの成分Aとイソシアネートを含む少なくとも1つの成分Bとから得られるプレポリマー;0〜40重量%、好ましくは0.1〜30重量%のフィラー;0〜20重量%の慣用の添加剤および助剤;および0〜20重量%の活性剤を含むべきである。
【0014】
水性プライマー組成物の後に適用される一成分系ポリウレタン接着剤組成物が、i)プレポリマーに基づいて、5〜30重量%、好ましくは10〜25重量%のNCO含有量;ii)2.0〜3、好ましくは2.2〜2.9の官能価;およびiii)300〜35,000mPa・s、好ましくは1000〜10,000mPa・sの20℃における粘度により特徴付けられる遊離NCO基を有する少なくとも1つのプレポリマー、を含む接着剤系において、良好な結果が得られていることが留意される。
【0015】
接着剤組成物は1つより多くのプレポリマーを含有してよいことが想定される。第2のまたはさらなるプレポリマーは、上記特徴i)〜iii)の特徴付けを満たす必要はなく、プレポリマーの平均化された特性がこれらの特徴付けを満たすことが好ましい。最適には、含まれた各プレポリマーがこれらの特徴付けを満たすべきである。
【0016】
本発明の第2の態様に従って、リグノセルロース接着物品の製造方法であって:
(a)少なくとも2つのリグノセルロース表面を供給する工程;
(b)上記に規定の接着剤系を供給する工程;および
(c)リグノセルロース表面の少なくとも1つの少なくとも一部に前記接着剤系を適用
する工程;および
(d)少なくとも1つのリグノセルロース表面と他方のリグノセルロース表面との間に
接着結合を形成するのに適当な条件下で、それらを接触させる工程
を含む方法が提供される。
【0017】
この方法の特定の実施形態において、その工程c)は、リグノセルロース表面の少なくとも1つの少なくとも一部にプライマー組成物を適用する工程;および15分以下、好ましくは1〜5分後に、リグノセルロース表面の前記一部に前記ポリウレタン接着剤組成物を適用することを含む。
【0018】
プライマー組成物のリグノセルロース表面への適用は、接着強さおよび具体的には続いて適用されるポリウレタン接着剤組成物の湿潤接着強さを改良するのに役立つ。このことは、上記に規定の方法により得られるリグノセルロース物品が、構造用木材製品のために設定された規格を満たすことを可能にする。とりわけ、リグノセルロース物品は、欧州規格 EN391:2001、カナダ規格協会(CSA)規格 112.9および/または米国材料試験協会(ASTM) D2259の要求満たすまたは上回ることができる。
【0019】
本発明のさらなる態様において、リグノセルロース材料のための接着剤系におけるプライマーとしての水性組成物の使用であって、水性組成物が:i)水溶性ポリオール、水分散性ポリオール、水乳化性ポリオールおよびそれらの混合物からなる群から選択される、水性組成物の重量に対して0〜25重量%のポリオール;およびii)水溶性界面活性剤、水乳化性界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選択される、水性組成物の重量に対して10重量%以下の界面活性剤;を含み、但し、水性組成物は、前記ポリオール、またはヒドロキシル官能性と5000ダルトン未満の分子量とを有する界面活性剤の少なくとも1つを含むべきである、使用が提供される。選択された水溶性、水乳化性または水分散性ポリオールは5000ダルトン未満の分子量を有するべきである。
【0020】
[定義]
本明細書で用いられる場合、EN391とは、「集成材−接着剤層の離層試験」と題された欧州規格 EN391:2001を意味する。
【0021】
本明細書で用いられる場合、CSA 112.9とは、「構造用木材製品(外部暴露)用接着剤の評価のための標準規格」と題されたカナダ規格協会(CSA)規格 112.9を意味する。
【0022】
本明細書で用いられる場合、ASTM D2559とは、「外部(湿潤用途)暴露条件下における用途の構造用集成木材製品用接着剤の評価のための標準規格」と題された米国材料試験協会のASTM規格 D2259−04を意味する。
【0023】
本明細書で用いられる場合、ASTM D5751とは、「非構造用材製品における積層接合に用いられる接着剤のための標準規格」と題された米国材料試験協会のASTM規格 D5751−99(2012年)を意味する。
【0024】
本明細書で用いられる場合、ANSI 405−2008とは、「構造用集成材に用いられる接着剤のための規格」と題された米国規格協会のANSI規格 405−2008を意味する。
【0025】
本明細書におけるHLBの記載は、計算されたHLB値を意味する。これらは、Journal of the Society of Cosmetic Chemists 5(1954年):249、W.C.Griffinの「非イオン性界面活性剤のHLB値の計算」の方法論に従って計算される。混合成分については、HLB値は各成分のHLB値の加重平均となるだろう。
【0026】
本明細書で用いられる場合、「活性水素部分」とは水素原子を含む部分を意味し、Journal of the American Chemical Society、第49巻、第3181頁(1927年)において、Wohlerにより記載されたZerewitinoff試験によれば、活性水素は、分子中の位置のために、著しい活性を示す。
【0027】
本明細書で用いられる場合、用語「界面活性剤」とは、液体に溶解したときに、液体の表面張力を低下させ、2つの液体の間の界面張力を低下させ、または液体と固体との間の界面張力を低下させる化合物を意味する。より一般的には、用語「界面活性剤」は本明細書において、水に溶解したときに、水の表面張力を低下させる化合物を意味するのに用いられる。
【0028】
別段の記載が無い限り、オリゴマー種、ポリマー種およびコポリマー種について本明細書で用いられる用語「分子量」とは、Colloids and Surfaces A.Physico Chemical & Engineering Aspects、第162巻、2000年、第107〜121頁に記載の手順に従って、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて決定された重量平均分子量(Mw)を意味する。
【0029】
本明細書で用いられる用語「ポリオール」は、ジオールおよびより高い官能価のヒドロキシル化合物を含むものとする。
【0030】
本明細書で与えられるヒドロキシル(OH)価は、日本工業規格(JIS) K−1557、6.4に従って測定される。
【0031】
本明細書で与えられるイソシアネート含有量は、EN ISO 11909に従って測定される。
【0032】
本明細書に記載の接着剤組成物およびプレポリマーの粘度は、以下の手順に従って決定される:20℃および相対湿度(RH)50%の標準条件において、ブルックフィールド粘度計(モデルRVT)を用いて測定される。粘度計は、5,000cps〜50,000cpsまで異なる既知の粘度のシリコーンオイルを用いて校正される。粘度計に取り付けるRVスピンドルのセットが校正に用いられる。 プレポリマーの測定は、6番のスピンドルを用いて20回転毎分の速度で1分間、粘度計が平衡になるまで行われる。平衡の測定値に相当する粘度がその後校正により計算される
【0033】
本明細書で用いられる場合、用語「リグノセルロース材料」とは、木質材料を意味することが意図され、木板;化学的に処理された木板、例えばアセチル化木板;ベニヤ板;木繊維;木材ストリップ;木材フレーク;木材粒子;例えばもみ殻、バガスおよびわら等の粉砕された農業廃棄物;他の木質系複合材料;およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【発明を実施するための形態】
【0034】
多くのより詳細な実施形態を参照して本発明を説明する
【0035】
[プライマー組成物]
本発明の水性プライマー組成物は:
水溶性界面活性剤、水乳化性界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選択される、組成物の重量に対して10重量%以下の界面活性剤;および
水溶性ポリオール、水分散性ポリオール、水乳化性ポリオールおよびそれらの混合物からなる群から選択される、組成物の重量に対して0〜25重量%のポリオールであって、5000ダルトン未満の分子量を有するポリオールを含み、
但し、組成物は、前記ポリオール、またはヒドロキシル官能性と5000ダルトン未満の分子量とを有する界面活性剤の少なくとも1つを含むべきである。
【0036】
いくつかの界面活性剤がヒドロキシル官能性を有してよいことは当然認識されるだろう。それ故に、プライマー組成物は、ヒドロキシル官能性を有する1つ以上の界面活性剤の水溶液またはエマルジョンから構成されてよく、その界面活性剤の少なくとも1つが5000ダルトン未満の分子量を有するべきである。
【0037】
あるいは、プライマー組成物は、ヒドロキシル官能性を有してよくまたは有しなくてよく且つ5000ダルトン未満の分子量を有してよくまたは有しなくてよい少なくとも1つの界面活性剤と組み合わせて、ポリオールを含んでよい。この実施形態において、水性プライマー組成物は:
水溶性界面活性剤、水乳化性界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選択される、組成物の重量に対して5重量%以下、好ましくは1重量%以下の界面活性剤;および
水溶性ポリオール、水分散性ポリオール、水乳化性ポリオールおよびそれらの混合物からなる群から選択される、組成物の重量に対して20重量%以下、好ましくは5重量%以下のポリオール
を含んでよい。
【0038】
プライマー組成物は、通常は組成物の重量に対して少なくとも80重量%、より一般的には少なくとも90重量%の水を含むだろう。この水は、水道水、脱イオン水、脱塩水またはそれらの混合物であってよい。
【0039】
本発明のプライマー組成物は、必要に応じて10重量%以下(組成物の全重量に基づく)の共溶媒を含んでよい。この共溶媒は、プライマー組成物が適用される木製基材の天然木目の膨らみを軽減する働きをするべきであり;共溶媒がない場合、適用される組成物中の非常に高い含水量がこの木目の膨らみを促進することがある。重要なこととして、選択された共溶媒は組成物中に存在する界面活性剤と反応すべきでない。適当な共溶媒としては、テキサノールおよびメトキシプロポキシプロパノール(Solvenon DPM)が挙げられる。
【0040】
酸性薬品およびアルカリ性薬品の使用は厳密には除外されないが、プライマー組成物は、強アルカリ性組成物と共に公知であるように、酸の木材損傷を引き起こさず、木材を変色せず、また木造建築産業に用いられるくぎ、ボルトまたは金属締結具を腐蝕しないpHを有するべきである。実際上、プライマー組成物は、一般的には6〜8、好ましくは6.5〜7.5の範囲のpHを有するべきである。
【0041】
水性プライマー組成物は、様々な成分の単純な混合により配合される。この混合は、組成物の基材表面への適用のかなり前に起こってよく:その後、調合された一成分系溶液として水性組成物が基材表面に適用されるだろう。代わりの実施形態において、水性組成物は、基材表面との接触の直前またはその間に、水洗の流れの中で調製することができる。例えば、所定量の界面活性剤および/またはポリオールを、水と任意の共溶媒との連続的な流れに注入することができ、水性プライマー組成物を形成する。
【0042】
界面活性剤
プライマー組成物は、水溶性界面活性剤、水乳化性界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選択される10重量%以下、通常は5重量%以下、好ましくは0.01〜1重量%の界面活性剤を含む。
【0043】
そのような界面活性剤の選択は、限定されることを意図しない:例えば、界面活性剤は、イソシアネート部分と反応する官能基を含有してよくまたは含有しなくてもよい。それらは、ゲル浸透クロマトグラフィーによりポリスチレン標準に対して決定された100,000g/mol以下の数平均分子量(Mn)を有してよいが、より一般的には界面活性剤は、400〜25000または400〜500の数平均分子量(Mn)を有するだろう。これらのような基準を満たす界面活性剤は、例えばSurfactants and Interfacial Phenomena、第2版、M.J.Rosen、1989年、John Wiley and Sons社、ニューヨーク、第1〜32頁において見出すことができ、その開示全体は参照により本明細書に組み入れられる。
【0044】
本発明の界面活性剤は一般的に、シロキサン系界面活性剤;アルキル多糖を含むアルキルポリグルコシド;アルコキシル化脂肪酸;アルコキシル化アルコール;アルキルスルホコハク酸塩;アセチレンジオール;およびそれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、界面活性剤は、アルキルスルホコハク酸塩;アルキルポリグルコシド;アルコキシル化アルコール;アセチレンジオール;およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0045】
適当なシロキサン系界面活性剤としては、水系と相溶性のあるシリコーン界面活性剤が挙げられる。そのような界面活性剤としては、シリコーンポリオキシアルキレンコポリマー、有機シリコーンポリエーテルコポリマー界面活性剤等が挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態において、好ましいシリコーン系界面活性剤としては、BYK Chemie GmbHから入手可能なBYK(登録商標)界面活性剤、およびEvonik Industriesから入手可能なTego(登録商標)界面活性剤が挙げられ、それらの中でBYK(登録商標)347および348並びにTego(登録商標)Wet280およびWet265が特に留意され得る。他のシリコーン界面活性剤は、例えばHill(1999年)シリコーン界面活性剤(Marcel Decker、ニューヨーク)中に確認することができる。
【0046】
上述のように、プライマー組成物は、好ましくは天然由来のアルキル置換基、例えばヤシ脂肪アルコールまたは天然脂肪アルコールの蒸留した留分等を有してよい1つ以上のアルキルポリグルコシド界面活性剤を含有してよい。適当なアルキルポリグルコシド界面活性剤としては、アルキル多糖が挙げられ、とりわけ米国特許:第5,776,872号(Giret他);第5,883,059号(Furman他);第5,883,062号(Addison他);および第4,565,647号に開示される。また、例示的な市販のアルキルポリグルコシド界面活性剤としては:Dow Chemical Companyから入手可能なTriton(登録商標)CG110;Akzo Nobelから入手可能なAG6202(登録商標);およびHuntsman Corporationから入手可能なAlkadet15(登録商標)が挙げられる。
【0047】
アルキルスルホコハク酸塩界面活性剤化合物は周知であり、必要に応じてアルコキシル化されてよいスルホコハク酸のモノエステル塩、スルホコハク酸のジエステル塩およびそれらの混合物が挙げられる。例示的なスルホコハク酸塩界面活性剤化合物としては、モノオクチルスルホコハク酸ジナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸ジナトリウム、ラウレススルホコハク酸ジナトリウム、ラウリミド(laurimide)(MEA)スルホコハク酸ジナトリウム、モノアルキルフェニルエーテルスルホコハク酸ジナトリウムおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0048】
アルコキシル化脂肪酸界面活性剤も当該技術分野において周知である。一般的に、そのようなアルコキシル化脂肪酸界面活性剤の脂肪酸部分は、飽和または不飽和のモノまたはジ脂肪酸、一般的には例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸、エルカ酸等のC
6−C
30脂肪酸に由来する。そのような酸は、植物油、例えばトール油、菜種油、キャノーラ油、大豆油、ヤシ油、ヒマシ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ヒマワリ油、綿実油、パーム油、ピーナッツ油、ゴマ油、サフラワー油、アマニ油(linseed oil)、アマニ油(flax seed oil)、パーム核油およびそれらの混合物等に由来し得る。これらの脂肪酸は、2〜20モル、より一般的には5〜20モルのC
2−C
4アルキレンオキシド、より一般的にはエチレンオキシドによりアルコキシル化される。
【0049】
本発明に用いられる適切なアルコキシル化アルコール界面活性剤化合物としては、エトキシル化(15)トリデシルアルコール、エトキシル化(7)ラウリルアルコール、エトキシル化(20)オレイルアルコール、エトキシル化(15)ステアリルアルコールおよびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0050】
アセチレンジオール系界面活性剤は、アセチレンスペーサー末端の疎水基、並びにヒドロキシル基をぶらさげた親水性エーテルおよび/または疎水性エーテルを含むアセチレンジオールであることができる界面活性剤である。アセチレンジオール系界面活性剤の例としては、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール(TMDD)、2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオール、それらの誘導体およびそれらの混合物が挙げられる。市販のアセチレンジオール系界面活性剤の重要な例としては、Air Products & Chemicalsから入手可能なDynolシリーズ(例えばDynol604)およびSurfynolシリーズが挙げられる。
【0051】
本発明の好ましい実施形態に従うと、プライマー組成物の界面活性剤は、アルキルスルホコハク酸塩と、例えばAir Products & ChemicalsからSurfynol PSA−336の商品名で市販のアセチレンジオール等のアセチレンジオールとの混合物である。
【0052】
ポリオール
プライマー組成物は、水溶性ポリオール、水分散性ポリオール、水乳化性ポリオールおよびそれらの混合物からなる群から選択される25重量%以下、通常は20重量%以下、好ましくは0.1〜5重量%のポリオールを含む。水溶性、水分散性または水乳化性ポリオールは、5000ダルトン未満、より好ましくは2000ダルトン未満の分子量を有する、ジヒドロキシ化合物若しくは多官能ヒドロキシ化合物またはポリマー化合物である。一般的には、選択されたポリオールは120℃において安定であるべきである。さらに、好ましい実施形態において、ポリオールは、Griffinにより下記に規定の少なくとも10、例えば12以上の親水親油バランス(HLB)により特徴付けられる。
【0053】
適当なポリオールの非排他的な例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジール、1,3−ブタンジオール;1,4−ブタンジオールまたはテトラメチレングリコール、2,3−ブタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールおよびトリメチロールプロパンが挙げられる。
【0054】
ポリオールは同様に、式 HO(CH
2CH
2O)
nHまたはHO(CH
2CH
2CH
2O)
nHを有するポリアルキレングリコールを含んでよく、式中、nは2〜30、またはより一般的には2〜25の正の整数である。また、脂肪酸のグリコールエステル、例えばラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびミリスチン酸等の使用も挙げられ得る。
【0055】
アミンポリオールの使用も除外されない。この群としては、低分子量ポリオール、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびN−メチル−N,N’−ジエタノールアミン等が挙げられるが、例えばエチレンジアミン、1,3−プロパンジアミンおよび1,6−ヘキサンジアミン等のアミノ化合物とアルキレンオキシド(例えば、プロピレンオキシド(PO)およびエチレンオキシド(EO))との付加反応により得られるアミンポリオールも挙げられる。
【0056】
本発明の他の実施形態において、ポリオールとしては、グリセロール(3つのヒドロキシル基を有する三価の単糖)である単糖、糖アルコール(3つより多くのヒドロキシル基を有する)およびオリゴ糖が挙げられる。また、よりさらなる実施形態において、ポリオールは、酸、酸性塩、脂肪酸(アルキルグリコシド)およびアルコール、単糖およびオリゴ糖のアルキル誘導体およびアミン誘導体(グリコシルアミン)であってよい。
【0057】
これらの定義に含まれるポリオールの具体例としては、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、グリセロール、グルコース、フルクトース、マルトース、ラクトース、タガトース、プシコース、ガラクトース、キシロース、アロース、リボース、アラビノース、ラムノース、マノース、アルトロース、リボピラノース、アラビノピラノース、グルコピラノース、グロピラノース、ガラクトピラノース、プシコピラノース、アロフラノース、グロフラノース、ガラクトフラノース、グルコサミン、コンドロサミン、ガラクトサミン、エチル−ヘキソグルコシド、メチル−ヘキソグルコシド、アルダル酸、アルダル酸ナトリウム、グルカル酸、グルカル酸ナトリウム、グルコン酸、グルコン酸ナトリウム、グルコヘプトン酸、グルコヘプトン酸ナトリウムおよびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。これらの比較的単純なポリオールの誘導体も本発明の方法および組成物における使用を見出すであろうことは認識されるだろう。適当な誘導体としては、酸、酸性塩、アルコール、これらの糖のアルキル誘導体およびアミン誘導体(グリコシルアミン)、並びにポリオールの混合物および/またはそれらの誘導体が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。適当な誘導体の具体例としては、アルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド、アルキルグルコサミド、アルキルグルコサミン、アルキルソルビタン、アルキルソルビトール、アルキルグルコピラノシド、アルキルマルトシド、アルキルグリセロールおよびそれらの混合物が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0058】
本発明における有用性を見出す例示の市販のポリオールとしては:Croda Internationalから入手可能なTween(商標)20、Tween(商標)81およびSynperonic(商標)T−304およびT−701;Seppicから入手可能なSimulsol(商標)ADM21;BASF AGからのQuadrol(商標)L;およびAir Products & Chemicals社から入手可能なSurfynol(商標)PSA−336が挙げられる。
【0059】
[一成分系ポリウレタン組成物]
本発明の接着剤系の好ましい実施形態において、遊離NCO基を有するプレポリマーを含む一成分系ポリウレタン接着剤組成物が用いられる。より詳細には、その一成分系ポリウレタン接着剤組成物は、
遊離NCO基を有するプレポリマーであって、イソシアネートと反応する化合物を含む少なくとも1つの成分Aとイソシアネートを含む少なくとも1つの成分Bとから得られるプレポリマー;
0〜40重量%、好ましくは0.1〜30重量%のフィラー;
0〜20重量%の慣用の添加剤および助剤;および
0〜20重量%の活性剤
を含むべきである。
【0060】
プレポリマーは、硬化による架橋ポリウレタンの調製を可能にするのに十分であるが高すぎてポリマーが不安定にならない平均イソシアネート官能価を有するべきである。本明細書における安定性とは、プレポリマーまたはプレポリマーから調製された接着剤組成物のどちらか一方が、周囲温度において少なくとも2ヶ月の保存寿命を有し、かかる期間の間、適用または使用を妨げる粘度の増加を示さないことを意味する。好ましくは、プレポリマーまたはそれから調製された接着剤組成物は、前記期間の間、約50%より大きい粘度の増加を受けない。
【0061】
一般的に、プレポリマーの平均イソシアネート官能価は、少なくとも約2.2、好ましくは少なくとも2.4であり;約2.2より低い場合、プレポリマーの架橋により得られた接着剤が柔らかすぎるまたは弾力がありすぎる傾向があり、場合によっては硬化した接着剤の強度が損なわれる。さらに、プレポリマーの平均イソシアネート官能価は、一般的に3.2以下、より好ましくは2.9以下であり;3.2の平均イソシアネート官能価より高い場合、プレポリマーおよびプレポリマーから調製された接着剤は、許容できない安定性を示す場合がある。
【0062】
プレポリマーは、プレポリマーから調製された接着剤における60分後の許容できる強度とプレポリマーの許容できる安定性とを容易にする水準であるべきNCO含有量によっても特徴付けられ得る。NCO(イソシアネート)含有量は、一般的にはプレポリマーの5〜30重量%の範囲、好ましくは10〜25重量%、より好ましくは15〜25重量%であるべきである。5重量%より大きい場合、プレポリマーから調製された接着剤組成物が60分後、目的の用途のためには低すぎる重ねせん断強さを示すことがあり、またプレポリマーから調製された接着剤組成物の硬化の間に多少の発泡が起こることがあり;約5重量%のイソシアネート含有量未満の場合、プレポリマーは、例えば1〜3日以内にゲル化等の不安定性を示すことがある。
【0063】
プレポリマーは、安定であり、ポンプ移送可能であり、ゲル化しない良好な生強度を有する接着剤組成物の配合を容易にする粘度を示すべきである。この点において、プレポリマーの粘度は、一般的に300〜35,000mPa・s、好ましくは10,000〜30,000mPa・s、より好ましくは1,000〜10,000mPa・sであるべきである。接着剤組成物の粘度は、当然フィラーで調製することができるが、これらは最終的な接着剤の生強度に寄与し得ない。
【0064】
まとめると、プレポリマーは、好ましくは:i)プレポリマーに基づいて、5〜30重量%、好ましくは10〜25重量%のNCO含有量;ii)2.2〜3.2、好ましくは2.2〜2.9または2.4〜2.9の官能価;およびiii)300〜35,000mPa・s、好ましくは10,000〜10,000mPa・sの20℃における粘度、により特徴付けられるべきである。これらの性質は、既知の市販のプレポリマーを用いることにより見出されてよい。あるいは、成分AおよびBは、得られるプレポリマーのこれらの性質が達成されるような比率および条件下で反応させられてよい。
【0065】
プレポリマーの調製に用いられるポリイソシアネート(B)としては、任意の脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、アリール脂肪族ポリイソシアネート、複素環ポリイソシアネート若しくは芳香族ポリイソシアネートまたはそれらの混合物が挙げられ、少なくとも約2.0の平均イソシアネート官能価と少なくとも約80の当量とを有する。ポリイソシアネートのイソシアネート官能価は、より一般的には2.2〜4.0、例えば2.3〜3.5であろう。4.0より大きい官能価が用いられ得るが、それらの使用は過剰な架橋を引き起こすことがあり、粘稠すぎて取扱いおよび適用することが容易にできない接着剤組成物をもたらし;さらに、硬化した接着剤は脆すぎることがあり、また二酸化炭素ガス発生に起因して発泡を引き起こすことがある。ポリイソシアネートの当量は、一般的には100〜300、好ましくは110〜250、より好ましくは120〜200である。
【0066】
必要な場合、ポリイソシアネートは、一般的に既知の方法、例えば英国特許第889,050号に記載の方法等により、ビウレット化されおよび/またはイソシアヌレート化されてよい。
【0067】
適当なポリイソシアネートの例としては、エチレンジイソシアネート;1,4−テトラメチレンジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI);HDIのビウレットまたは三量体;1,12−ドデカンジイソシアネート、シクロブタン−1,3−ジイソシアネートシクロヘキサン−1,3−ジイソシアネートおよびシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート並びにこれら異性体の混合物;1−イソシアナート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナートメチルシクロヘキサン;2,4−ヘキサヒドロトリレンジイソシアネートおよび2,6−ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート並びにこれら異性体の混合物;ヘキサヒドロ−1,3−フェニレンジイソシアネートおよび/またはヘキサヒドロ−1,4−フェニレンジイソシアネート;ペルヒドロ−2,5’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび/またはペルヒドロ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート;1,3−フェニレンジイソシアネートおよび1,4−フェニレンジイソシアネート;2,4−トリレンジイソシアネートおよび2,6−トリレンジイソシアネート並びにこれら異性体の混合物;ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネートおよび/またはジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI);ナフチレン−1,5−ジイソシアネート;トリフェニルメタン−4,4’4’−トリイソシアネート;および、アニリンとホルムアルデヒドとを縮合し、例えば英国特許第874,430号および第848,671号に記載のホスゲン化等のホスゲン化が後に続くことにより得られる種類のポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
エステル基、尿素基、アロファネート基、カルボジイミド基、ウレトジオン基および/またはウレタン基を含むジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートは本発明に係る方法に用いられてもよい。
【0069】
ある実施形態において、ジフェニルメタンジイソシアネート(メチレンジフェリルジイソシアネート、MDI)が、ポリマーまたはモノマーのMDIとして、プレポリマーの調製に用いられる。好ましくは、そのMDIは、特に好ましい4,4’−MDIまたは2,4’−MDIと4,4’−MDIとの混合物のどちらかを有するモノマーの形態である。
【0070】
本明細書で用いられる用語イソシアネート反応性化合物(A)は、水と、平均して1つより多くの、好ましくは2〜4つのイソシアネート反応性部分を有する任意の有機化合物とを含む。これらは一般的に、イミノ官能化合物または活性水素部分を含有する化合物である。適当なイミノ官能化合物は、1分子あたり少なくとも1つの末端イミノ基を有する化合物、例えば米国特許第4,910,279に記載の化合物等であり、その開示は参照により全体として本明細書に組み入れられる。活性水素部分の例示は、−COOH、−OH,−NH
2、−NH−、−CONH
2、−SHおよび−CONHであり、一般的な活性水素含有化合物としては、ポリオール、ポリアミン、ポリメルカプタン、多酸および少なくとも1つのオキサゾリジン部分を含有する化合物が挙げられる。
【0071】
本発明に用いられる好ましいイソシアネート反応性化合物は、ポリオール、とりわけ2〜4つのイソシアネート反応性水素部分を有するポリオールである。ポリオールは、例えば、1つ以上のジオールと1つ以上のトリオールとの混合物であってよい。ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリ(アルキレンカーボネート)ポリオール、ヒドロキシル含有ポリチオエーテル、ポリマーポリオールおよびそれらの混合物が挙げられてよい。ポリヒドロキシ化合物のヒドロキシル数は、一般に20〜850mgKOH/g、好ましくは25〜500mgKOH/gである。
【0072】
低分子量、例えば60〜400または60〜300のジオールおよびトリオールは、イソシアネートと反応し得るが、これらのポリオールはより一般的には、1つ以上のさらなる活性水素化合物を含有する反応混合物におけるスターター分子、連鎖延長剤および/または架橋剤として用いられる。この点において:2〜14個、好ましくは4〜10個の炭素原子を有する、脂肪族ジオール、脂環式ジオールおよび/または芳香脂肪族(または、アラリファティック、araliphatic)ジオール、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、o−ジヒドロキシシクロヘキサン、m−ジヒドロキシシクロヘキサン、p−ジヒドロキシシクロヘキサン;ジエチレングリコール;ジプロピレングリコール;ビス(2−ヒドロキシエチル)ハイドロキノン等;およびトリオール、例えば1,2,4−トリヒドロキシシクロヘキサン、1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサン、グリセロールおよびトリメチロールプロパン等が挙げられ得る。
【0073】
ポリエーテルポリオールは当該技術分野において周知であり、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、並びにポリテトラメチレンエーテルジオールおよびポリテトラメチレンエーテルトリオールが挙げられる。ポリエーテルポリオールは一般的に、400〜10000、例えば1000〜7000の分子量を有してよく、例えば米国特許第4,269,9945号、第4,218,543号および第4,374,210号に記載されるように、活性水素含有開始剤化合物の存在下でアルキレンオキシドを重合することにより調製される。アルキレンオキシドモノマーは一般的には、エチレンオキシド;プロピレンオキシド;ブチレンオキシド;スチレンオキシド;エピクロルヒドリン;エピブロモヒドリン;およびそれらの混合物:からなる群から選択される。活性水素開始剤については一般的には、水;エチレングルコール;プロピレングリコール;ブタンジオール;ヘキサンジオール;グリセリン;トリメチロールプロパン;ペンタエリスリトール;ヘキサントリオール;ソルビトール;スクロース;ハイドロキノン;レゾシノール;カテコール;ビスフェノール;ノボラック樹脂;リン酸;アミンおよびそれらの混合物:からなる群から選択される。本発明のポリウレタンプレポリマーの調製に有用なポリエーテルポリオールの好例は、グリセリンとプロピレンオキシドとを反応させ、その生成物とエチレンオキシドとの反応が後に続くことにより調製される、エチレンオキシドキャップポリオールである。
【0074】
当該技術分野において既知であるように、ポリエステルポリオールは、ポリカルボン酸またはそれらの酸無水物と多価アルコールとを反応させることにより調製されてよい。適当なポリカルボン酸の例としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラクロロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、フマル酸およびそれらの混合物が挙げられる。ポリエステルポリオールの調製に有用な多価アルコールの例としては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、キニトール、マンニトール、ソルビトール、メチルグルコシド、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびそれらの混合物が挙げられる。本発明に関しては、有用なポリエステルポリオールは一般的に、1200〜3000の分子量を有するだろう。
【0075】
活性水素部分としてのアミンポリオールの使用は除外されない。この群としては、低分子量ポリオール、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびN−メチル−N,N’−ジエタノールアミン等が挙げられるが、例えばエチレンジアミン、1,3−プロパンジアミンおよび1,6−ヘキサンジアミン等のアミノ化合物とアルキレンオキシド(例えば、プロピレンオキシド(PO)およびエチレンオキシド(EO))との付加反応により得られるアミンポリオールも挙げられる。適当なアミンポリオール、または具体的なエチレンジアミン開始ポリオールの例としては、Synerponic(商標)Tブランド ポリオール、Synerponic(商標)V304 ポリオール(Croda Internationalから入手可能)を挙げ得る。
【0076】
活性水素部分(A)として有用性を見出すポリマーポリオールとしては、とりわけ米国特許第4,309,645号、第4,463,107号、第4,148,840号および第4,574,137に記載の連続ポリオール相におけるビニルモノマーのポリマーまたはコポリマーの分散体が挙げられる。スチレン/アクリロニトリル(SAN)コポリマーポリオール、ポリイソシアネート重付加(PIPA)ポリオール(ポリオール中のポリ尿素−ポリウレタン粒子の分散体)おびポリオール中のポリ尿素分散体(PHDポリオール)も有用である。
【0077】
本発明のある実施形態において、反応物質のポリオールは、少なくとも1.5、好ましくは少なくとも1.8、より好ましくは少なくとも2.0の平均官能価を有するが、4.0以下、好ましくは約3.5以下、より好ましくは約3.0以下である。独立的にまたは付加的に、反応物質のポリオールの当量は、少なくとも200、好ましくは少なくとも500、より好ましくは少なくとも1,000であるが、3500以下、好ましくは3000以下、より好ましくは2500以下である。
【0078】
ポリオールは、プレポリマーの所望の遊離イソシアネート含有量と調和するのに十分なイソシアネート基を残すイソシアネートのイソシアネート基の多くと反応するのに十分な量で存在する。また、ポリオールがジオールとトリオールとの混合物を含むその実施形態において、トリオールに対するジオールの割合は、プレポリマーの所望のイソシアネート官能価を達成するよう選択されなければならない。
【0079】
上記の成分AおよびBから開始して、任意の適当な方法、例えばバルク重合および溶液重合等により、ポリウレタンプレポリマーが調製されてよい。プレポリマーを調製する反応は、無水条件下、例えば窒素ブランケット下で実行されて、大気の湿気によるイソシアネート基の架橋を防ぐ。
【0080】
標準的なプレポリマー合成において、イソシアネート反応性基を含有する化合物またはポリマーを、最初に触媒がない状態で45〜55℃の温度に加熱する。その後、反応混合物中に均一に分散されることを確保するために、ポリイソシアネートを混合しながら加える。その後、ポリウレタン触媒を加えてよい。触媒を加えた後、一般的に発熱を生じ;この場合、ゲル化しないことを確実にするために、反応混合物の温度を下げなければならないことがある。発熱が収まった後、反応物質を希釈して反応を抑えるために、可塑剤を加えてよい。反応は、全ての遊離イソシアネート反応性部分がイソシアネート部分と反応するように継続されるべきである。
【0081】
標準的なポリウレタン触媒としては:カルボン酸のスズ塩、例えばオクタン酸スズ、オレイン酸スズ、酢酸スズおよびラウリン酸スズ等;ジカルボン酸ジアルキルスズ、例えばジラウリン酸ジブチルスズおよび二酢酸ジブチルスズ等;第三級アミン;アルカノールアミン化合物;2,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン;水酸化テトラアルキルアンモニウム;アルカリ金属水酸化物;アルカリ金属アルコラート;および
スズメルカプチドが挙げられる。イソシアネートの性質によってが、用いられる触媒の量は一般的に、触媒される混合物の0.005〜10重量%の範囲である。
【0082】
反応に用いられるイソシアネート反応性基に対するイソシアネート基の割合は、得られるプレポリマーが遊離イソシアネート反応性基を有しないが、妥当な促進も得られるような割合であるべきである。通常は、イソシアネート反応性基に対するイソシアネート基の当量比は、1.2:1〜2:1、例えば1.4:1〜1.6:1の範囲である。
【0083】
上記のように、本発明の一成分系接着剤組成物は、湿気の存在下においてポリウレタンの効果を促進することで既知の活性剤または触媒を、接着剤組成物の20重量%以下、または0.1〜5重量%の量でさらに含んでよい。適当な触媒としては、例えばカルボン酸スズ、オルガノシリコーンチタン酸塩、チタン酸アルキル、カルボン酸ビスマスおよびジモルホリノジエチルエーテルまたはアルキル置換ジモルホリノジエチルエーテル等の金属塩が挙げられる。好ましい触媒としては、オクタン酸ビスマス、ジモルホリノジエチルエーテルおよび(ジ−(2−(3,5−ジメチルモルホリノ)エチル))エーテルが挙げられる。
【0084】
当該技術分野において既知であるように、接着剤組成物はフィラーおよび添加剤と共に配合されてよく、組成物の物理的性質、例えば粘度および流速等を変更する。ポリウレタンまたはプレポリマーの早期硬化を防ぐため、フィラーおよび添加剤はそれらの混合の前に徹底的に乾燥されるべきである。
【0085】
補強充填剤が、通常は接着剤組成物の0.1〜40重量%または0.1〜30重量%の量で接着剤組成物に加えられてよく、チキソトロープ性を変更し、また得られる接着剤の強度を増加する。そのようなフィラーは、当該技術分野における当業者に周知であり、カーボンブラック、二酸化チタン、炭酸カルシウム、表面処理シリカ、酸化チタン、フュームシリカ、タルク等が挙げられる。
【0086】
本発明に含まれてよいさらなる添加剤または添加材料としては:粘土、例えば粒状カオリン、表面処理カオリン、焼成カオリン、ケイ酸アルミニウムおよび表面処理無水ケイ酸アルミニウム等;可塑剤、例えばフタル酸アルキル、部分的に水素化されたテルペン、リン酸トリオクチル、エポキシ可塑剤、トルエンスルファミド、クロロパラフィン、アジピン酸エステル、ヒマシ油、トルエンおよびアルキルナフタレン等;安定剤、例えばマロン酸ジエチルおよびアルキル化アルキルフェノール等;チキソトロープ剤;紫外線安定剤;粒状ゴム材料;殺菌剤;防炎加工剤;および酸化防止剤が挙げられる。これらの添加剤の適当または望ましい量は、当該技術分野における当業者に周知であるが、任意の所定の添加剤の種類について、接着剤組成物の10重量%より多い量で存在することが通常であろう。
【0087】
本発明の接着剤組成物は、適当な方法を用いることにより、好ましくは酸素および湿気のない不活性雰囲気下で複数の成分を共に混合することにより配合されてよい。一旦接着剤組成物が混合されたら、大気の湿気および酸素からまた保護されるように、適当な容器に詰められる。
【0088】
[基材]
十分には規定されない幾何学的形状を有するリグノセルロース基材、例えばチップボード、ファイバーボードおよびパーティクルボード等が、本発明におけるリグノセルロース複合材料の調製において接着されてよいが、好ましいリグノセルロース基材としては、最終的な複合材料の構造において明確且つ事前に決定された相対的な幾何学的関係で組み合わせる目的のために切断または成形される、ホールボード(whole board)、ハーフエッジボード(half−edged board)、角材(square)、木材ストリップおよび/またはベニヤ板が挙げられる。付随して、好ましいリグノセルロース複合材料は、共に貼り合わされる少なくとも2つの木板、ハーフエッジボード、角材、ベニヤ板、木材ストリップを含む積層品である。
【0089】
ポリイソシアネート系接着剤組成物を用いて接着することが可能な任意の材種を、本明細書に記載の水性プライマー組成物と共に用いてよい。適当な材種の例としては、サザンパイン、オーストラリアスラッシュパイン、ポンデローサパイン、ウエスタンホワイトパイン、カラマツ、ユーカリ、トリネコ、ブナ、カンバ、海岸部ダグラスファーおよび内陸部ダグラスファーが挙げられる。特に好ましい材種としては、サザンイエローパイン(SYP)およびダグラスファー(DF)が挙げられる。これらの種の組み合わせは必要に応じて、与えられるリグノセルロース複合材料物品の調製に用いられてよいが、1種を単独で使用することが一般的に好ましい。
【0090】
1つの実施形態において、化学的に処理された木板、例えばアセチル化木板(無水酢酸で処理された木材)は、本開示の接着剤とプライマーとを用いて接着されてよい。このことは、例えば木材梁等の構造を形成するために、複数のアセチル化木板を貼り合わせるまたはフィンガージョイントするのに特に有益である。
【0091】
ある実施形態において、接着される木材の空気乾燥密度は、0.55g/cm
3より高く、好ましくは0.6g/cm
3より高い。
【0092】
高温で乾燥されたまたは過乾燥された長期間熟成した木材は、吸湿性が低下することがあり、また低下した湿潤性を示すことがあり:基材表面はこれらの処理により不活性化されることがあり、またその処理は木材抽出物を表面にもたらすことがあり、基材接着に悪影響を及ぼすことがある。それ故に、リグノセルロース基材について、低温乾燥技術、例えば150℃より低い温度での乾燥または凍結乾燥が行われていることが好ましい。代わりにまたは付加的に、リグノセルロース基材は、プライマー組成物の基材への適用前に前処理されてよく、いかなる不活性化された表面層をも取り除きおよび/または抽出物を取り除く。基材表面の湿潤性において与えられた前処理の有効性は材種に依るが:表面のハケ塗りおよび/または平削り;極性溶媒および非極性溶媒での表面の処理;および水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、硝酸および過酸化水素での化学的処理が挙げられてよい。
【0093】
[方法]
プライマー組成物は、例えば浸水、浸漬、ハケ塗り、ロール塗布、ドクターブレード塗布、印刷法、エアアトマイズスプレー(air−atomized spray)、エアアシストスプレー、エアレススプレー、高容量低圧スプレー、エアアシストエアレススプレーおよび高速回転ベル等の従来の適用方法により適用してよい。
【0094】
プライマー組成物の粘度は、ブルックフィールド粘度計を用いて25℃で測定したときに、0.005〜1Pa・s(50cps〜1000cps)であってよい。当業者により認識されるであろうように、種々の適用方法に適切な粘度は大きく変化する。いずれにしても、プライマー組成物は一般的に、1〜50g/m
2、好ましくは5〜30g/m
2、より好ましくは10〜25g/m
2の量で、接着される表面に適用するべきである。
【0095】
プライマー組成物は、接着剤の表面への適用の前に、表面に浸透することを可能にするべきである。適切な浸透時間は、適用されるプライマー組成物の量および密度、リグノセルロース材料の含水量および形態に依るだろう。一般的に、標準条件(20℃、相対湿度65%)下で、15分以下、例えば1〜10分または1〜5分の浸透時間が与えられるべきである。しかし、プライマーを適用してから6時間後、また最大48時間後でさえも、接着剤の適用に関して良好な接着結果が得られることは注目に値する。
【0096】
本発明に係る接着剤組成物は同様に、当該技術分野において既知である任意の従来の方法により適用することができる。例えば、接着剤組成物は、機械のロール塗布、手動のロール塗布または手動のハケ塗りにより基材に適用することができる。いずれにしても、接着剤組成物は一般的に、50〜500g/m
2、好ましくは75〜300g/m
2、より好ましくは100〜250g/m
2の量で、接着される表面に適用するべきである。
【0097】
接着剤組成物およびプライマー組成物が接着される基材に適用した後、好ましくはポリイソシアネート接着剤とプライマー組成物で処理された領域との重なりを最大にする条件下で、これらの基材の表面を接着接触の状態におく。接着結合の形成は、圧力の基材への適用、例えば締付圧により容易となり得て、基材をより密着させる。圧力とは無関係にまたは圧力と共に熱を適用してよく、ポリウレタン接着剤の硬化を早める。同じ目的で、接着される1つ以上の表面に湿気が加えられてよいことも想定される。
【0098】
最適な接着結合の達成はとりわけ、ポリウレタン接着剤の配合、接着される基材の性質、製造される複合材料の種類、並びに接着剤組成物とプライマー組成物両方の濃度(または、量、level)および配合に依存するだろう。当該技術分野における当業者は、熱、湿気および圧力の組み合わせである適切な硬化条件を選択してよく、接着結合を最適化する。
【0099】
当該技術分野において既知であるように、基材は、照射により、または熱風若しくは蒸気の流れを介して、オーブンまたは加熱プレスで加熱してよく;これらの技術の組み合わせも用いられてよい。しかし、外部から加熱することなく、すなわち「常温硬化」により、接着結合が周囲温度で形成されることが好ましい。
【0100】
以下の実施例は本発明の例示であり、決して本発明の範囲を限定することを意図しない。
【実施例】
【0101】
以下の材料を実施例に用いた。
【0102】
Tween(登録商標)20は、天然脂肪酸(ラウリン酸)に基づくエトキシル化(20)ソルビタンエステルであり、100mgKOH/gの平均ヒドロキシル価と16.7のHLBとを有し、Croda Internationalから入手可能である。
【0103】
Tween(登録商標)81は、天然脂肪酸(オレイン酸)に基づくエトキシル化(5)ソルビタンエステルであり、140mgKOH/gの平均ヒドロキシル価と10のHLBとを有し、Croda Internationalから入手可能である。
【0104】
Surfynol PSA−336は、7−(2−ヒドロキシエトキシ)−2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4−オールであり、Air Products and Chemicalsから入手可能である。
【0105】
プライマーAは:1重量%のSurfynol PSA−336;および99重量%の水道水からなる。
【0106】
プライマーBは:5重量%のTween(登録商標)20;1重量%のSurfynol PSA−336;および94重量%の水道水からなる。
【0107】
プライマーCは:5重量%のTween(登録商標)20;および95重量%の水道水からなる。
【0108】
プライマーDは:0.5重量%のSurfynol PSA−336;および99.5重量%の水道水からなる。
【0109】
プライマーEは:3.5重量%のTween(登録商標)81;および96.5重量%の水道水からなる。
【0110】
接着剤K1は:20重量%のNCO含有量:スピンドル6を用いて1分間の回転後、20℃で測定された25,000mPa・sのブルックフィールド粘度;2.8の平均イソシアネート官能価および60分間のオープンタイムにより特徴付けられるメチレンジイソシアネート(MDI)系プレポリマーを含む。
【0111】
接着剤K2は:16重量%のNCO含有量:スピンドル6を用いて1分間の回転後、20℃で測定された20℃における24,000mPa・sのブルックフィールドの粘度;および30分間のオープンタイムにより特徴付けられるメチレンジイソシアネート(MDI)系プレポリマーを含む。
【0112】
実施例1
19×60×400mmの寸法を有し且つ構造用途のためのカナダ規格CSA112.9により設定された要求を満たす6対のダグラスファーのサンプル(比重0.59;0〜10%の年輪角)を調製した。実験室でこれらのサンプルを従来法で平削りした。
【0113】
プライマーCを20g/m
2の塗布量で3対の合わせ面の接着面に適用した。残りの3対の合わせ面にはプライマーを適用しなかった。適用可能となる5分間のプライマー浸透時間を与えた後、次いで接着剤K1を200g/m
2、160g/m
2および120g/m
2の量で、合わせられる3つの下塗した側および3つの下塗しなかった側にそれぞれ適用した。合わせ面を合わせ、その後組み立てたパーツを室温において4時間、0.8MPaでプレスした。
【0114】
合わせたサンプルを20℃且つ相対湿度65%において7日間保管して、十分な接着剤の硬化を確実にした。その後、各バリエーションの木材サンプルを小さな試験片に切り分け、CSA112.9基準に基づいて真空加圧ソーキング試験(または、真空圧力ソーキング試験、Vacuum Pressure Soak test)を行った。各バリエーションについて7つの試験片を試験し、結果を平均した。これらの平均した試験結果を以下の表1に与える。
【0115】
【表1】
【0116】
結果はプライマー組成物の使用の恩典を明瞭に示す。
【0117】
実施例2
サザンイエローパインから構成される4対の木材表面をそれぞれ調製した。第1の合わせる面にはプライマーを適用しなかった。残りの3対に対し、プライマーCを20〜30g/m
2の塗布量で、合わせられる木材の両側に適用した。5分間、1時間および8時間のプライマー浸透時間を与えた後、次いで接着剤を200g/m
2の量で、合わせられる全8側に適用した。合わせたまたは組み立てたパーツを室温において3〜4時間の間、0.8〜1MPaでプレスした。
【0118】
その後、EN391の手順Bに従って、耐離層性(%)を調査した。第1の合わせ面(プライマー無し)および第2の合わせ面について得られた結果をそれぞれ以下の表2および3に示す。
【0119】
【表2】
【0120】
【表3】
【0121】
表2および3は、サザンイエローパインについての一成分系PURの耐離層性に関してプライマーの使用の恩典を明瞭に示す。
【0122】
第3の合わせ面(60分間の浸透時間)および第4の合わせ面(8時間の浸透時間)について得られた結果をそれぞれ以下の表4および5に示す。
【0123】
【表4】
【0124】
【表5】
【0125】
表4および5により示されるように、ポリウレタン接着剤の前にプライマーを8時間おいた場合でも、耐離層性における恩典を維持することができる。
【0126】
実施例3
20mmの厚さ、135mmの幅の寸法を有するササザンイエローパイン(0.55〜0.65の比重)の厚板を調製した。これらの厚板を実験室で平削りした。
【0127】
第1の対に対し、プライマーC(5重量%のTween(商標)20)を20g/m
2の塗布量で、合わせられる木材の両側に適用した。第2の対に対し、プライマーC(5重量%のTween(商標)20)を10g/m
2の塗布量で、合わせられる木材の両側に適用した。同様に、その後2つのさらなる対を10g/m
2の被覆力で調製したが、プライマーの希釈バージョンを用いた。各実施例について5分間のプライマー浸透時間を与えた後、次いで接着剤を180〜200g/m
2の量で、片側に塗布し、合わせ面を合わせた。そのように組み立てたパーツを室温において4時間、油圧プレスを用いて0.8MPaでプレスして、十分な接着剤の硬化を確実にした。
【0128】
木材サンプルを100×125×75mmの試験片に切り分け、欧州規格EN391の手順Bに従って耐離層性を試験した。各木材サンプルの4つの試験片についての平均した結果を以下の表6に示す。
【0129】
【表6】
【0130】
実施例4
この実施例は、サザンイエローパイン種(比重0.62)に関して接着剤の耐久性の改良における様々なプライマー(A、BおよびC)の有効性を示す。
【0131】
それぞれのプライマーを20g/m
2の塗布量で、接着する木材の両側にハケを用いて適用した。その後10分間の浸透時間を与え、接着剤を190〜200g/m
2の量で片側に塗布した後、合わせ面を合わせた。
【0132】
そのように組み立てた物品を、ターゲットとした11〜12重量%の木材の湿度のために、20℃且つ相対湿度65%において保管した。0.8MPaで4時間接着を行った。木材サンプルを100×125×75mmの試験片に切り分け、欧州規格EN391の手順Bに従って耐離層性を試験した。各物品の4つの試験片についての平均した結果を以下の表7に示す。
【0133】
【表7】
【0134】
実施例5
この実施例は、本発明に係る様々なプライマー(B、CおよびD)を用いて達成される、複数の高密度な材種に関して用いられる接着剤の耐久性の改良を示す。
【0135】
それぞれのプライマーを20g/m
2の塗布量で、接着する木材の両側にハケを用いて適用した。その後15分間の浸透時間を与えた。
【0136】
接着剤K1およびK2をそれぞれ150〜160g/m
2、180〜200g/m
2の量で片側に適用し、合わせ面を合わせた。全ての材種を20℃且つ相対湿度65%において保管して、ターゲットとした11〜12%の木材の湿度を達成した。油圧プレスを用いて2〜3時間、0.8MPaで接着を行った。
【0137】
木材サンプルを100×125×75mmの試験片に切り分け、欧州規格EN391の手順Bに従って耐離層性を試験した。各木材サンプルの4つの試験片についての平均した結果を以下の表8に示す。
【0138】
【表8】
【0139】
実施例6
この実施例は、異なるHLB値およびOH数を有する界面活性剤がプライマーとして用いられても有効であり得ることを示し、ここではサザンイエローパイン種(比重0.60〜0.71)に関する。
【0140】
異なる界面活性剤を用いたが、両方の水溶性組成物のOH含有量が等しいような濃度でプライマーCおよびEを調製した。Tween(登録商標)81は水に混合すると白濁であるが安定な分散を与えたことに留意する。
【0141】
それぞれのプライマーを20g/m
2の塗布量で、接着する木材の両側にハケを用いて適用した。その後10分間の浸透時間を与え、接着剤K1を160〜180g/m
2の量で片側に塗布した後、合わせ面を合わせた。
【0142】
そのように組み立てた物品を、ターゲットとした11〜12重量%の木材の湿度のために、20℃且つ相対湿度65%において保管した。0.8MPaで4時間接着を行った。木材サンプルを100×125×75mmの試験片に切り分け、欧州規格EN391の手順Bに従って耐離層性を試験した。各物品の4つの試験片についての平均した結果を以下の表9に示す。
【0143】
【表9】
【0144】
実施例7
本開示の接着剤およびプライマー並びにアセチル化木材を用いて接着結合を作製した。ASTM D5751により規定のタイプIおよびタイプIIのブロックせん断を用いて接着結合を試験し、ASTM D2559の離層の部分についても行った。これらの試験に用いた本発明の接着剤は接着剤K1である。全ての試験に用いた本発明のプライマーはプライマーCである。
【0145】
用いたアセチル化サザンパイン板は市販品であった。板を事前および事後に約5%の湿度に条件を整えた。板を平削りし、プライマーを板の平削から1時間以内に各板の平削りした表面に25g/m
2(5%溶液)で加えた。プライマー適用の20分後、両方の板の下塗面を接着剤で40lbs/MSFの塗布量で塗布した。オープンタイムは1〜2分間であり、密着堆積時間は一般的に3〜5分間である。サンプルを150PSIで4時間プレスし、その後、ブロックせん断および離層試験の前に1週間の後硬化を行った。
【0146】
ブロックせん断の結果の概要を、市販の接着剤サンプルを用いた比較試験(比較例1〜4)について得られた結果と共に以下に示す。
【0147】
【表10】
【0148】
本発明の接着剤/プライマーについてのタイプ1の引張強さ(PSI)および木材の引裂け(%)の水準は、全4つの曝露条件下で仕様の要求を大きく上回った。逆に、解析した市販の接着剤は、煮沸または圧力ソーク条件のどちらにおいても木材の引裂け(%)の要求を満たさず、または煮沸の曝露条件後のせん断強さ(PSI)の水準を満たさなかった。木材の引裂けの仕様は、最小の平均数であることに留意されたい。
【0149】
【表11】
【0150】
2つのアセチル化したASTM2559ブロックをこの流れの一環として試験した。これらのブロックについての離層の結果の概要を、市販の接着剤サンプルを用いた比較試験について得られた値と共に示す。
【0151】
【表12】
【0152】
ブロックせん断の結果のように、本発明のプライマー/接着剤の系は極めて優れた離層性能を提供する。
【0153】
本発明の接着剤/プライマーの系を使用して接着したアセチル化基材についての個々の結果を以下の表に示す。
【0154】
【表13】
【0155】
【表14】
【0156】
【表15】
【0157】
一成分系の本発明の接着剤は、本開示のプライマーと組み合わせて、他の市販の一成分系および二液型接着剤よりも優れたASTM5751のタイプIの強度(PSI)および木材の引裂き(%)の水準を提供した。同様に、本発明の接着剤/プライマーは、ASTM2559の条件下で非常に優れた離層特性を与えた。
本発明の当初の開示は、少なくとも以下の態様を包含する。
[1]リグノセルロース複合材料を調製するための接着剤系であって:
a)水性プライマー組成物;および
b)ポリウレタン接着剤組成物
を含み、
前記水性プライマー組成物が:
水溶性界面活性剤、水乳化性界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選択される、前記組成物の重量に対して10重量%以下の界面活性剤;および
水溶性ポリオール、水分散性ポリオール、水乳化性ポリオールおよびそれらの混合物からなる群から選択される、前記組成物の重量に対して0〜25重量%のポリオールであって、5000ダルトン未満の分子量を有するポリオール
を含み、
但し、前記水性プライマー組成物が、前記ポリオール、またはヒドロキシル官能性と5000ダルトン未満の分子量とを有する界面活性剤の少なくとも1つを含むべきである、接着剤系。
[2]前記水性プライマー組成物が:
水溶性界面活性剤、水乳化性界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選択される、前記組成物の重量に対して5重量%以下、好ましくは1重量%以下の界面活性剤;および
水溶性ポリオール、水分散性ポリオール、水乳化性ポリオールおよびそれらの混合物からなる群から選択される、前記組成物の重量に対して20重量%以下、好ましくは5重量%以下のポリオール
を含む、前記[1]に記載の接着剤系。
[3]前記プライマー組成物が、前記組成物の重量に対して少なくとも80重量%の水を含む、前記[1]または[2]に記載の接着剤系。
[4]前記プライマー組成物が、前記組成物の重量に対して10重量%以下の共溶媒をさらに含む、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の接着剤系。
[5]前記プライマー組成物の前記界面活性剤が:シロキサン系界面活性剤;アルキル多糖を含むアルキルポリグルコシド;アルコキシル化脂肪酸;アルコキシル化アルコール;アルキルスルホコハク酸塩;アセチレンジオール;およびそれらの混合物からなる群から選択される、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の接着剤系。
[6]前記プライマー組成物の前記界面活性剤が、ゲル浸透クロマトグラフィーによりポリスチレン標準に対して決定された400〜25000の数平均分子量(Mn)を有する界面活性剤から選択される、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の接着剤系。
[7]前記プライマー組成物の前記ポリオールが、120℃において安定であり且つ2000ダルトン未満の分子量を有する、少なくとも1つのジヒドロキシ化合物若しくは多官能ヒドロキシ化合物またはポリマー化合物を含む、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の接着剤系。
[8]前記プライマー組成物の前記ポリオールが、少なくとも10、例えば12以上の親水親油バランス(HLB)により特徴付けられる、前記[1]〜[7]のいずれかに記載の接着剤系。
[9]前記プライマー組成物が、6〜8、好ましくは6.5〜7.5の範囲のpHを有する、前記[1]〜[8]のいずれかに記載の接着剤系。
[10]前記ポリウレタン接着剤組成物が、湿気硬化型の一成分系ポリウレタン接着剤組成物である、前記[1]〜[9]のいずれかに記載の接着剤系。
[11]前記一成分系ポリウレタン接着剤組成物が:
遊離NCO基を有するプレポリマーであって、イソシアネートと反応する化合物を含む少なくとも1つの成分Aと、イソシアネートを含む少なくとも1つの成分Bとから得られるプレポリマー;
0〜40重量%、好ましくは0.1〜30重量%のフィラー;
0〜20重量%の慣用の添加剤および助剤;および
0〜20重量%の活性剤
を含む、前記[10]に記載の接着剤系。
[12]遊離NCO基を有する前記プレポリマーが:
i)前記プレポリマーに基づいて、5〜30重量%、好ましくは10〜25重量%のNCO含有量;
ii)2.2〜3、好ましくは2.4〜2.9の官能価;および
iii)300〜35,000mPa・s、好ましくは1000〜10,000mPa・sの20℃における粘度
により特徴付けられる、前記[11]に記載の接着剤系。
[13]リグノセルロース接着物品の製造方法であって:
(a)少なくとも2つのリグノセルロース表面を供給する工程;
(b)前記[1]〜[12]のいずれかに記載の接着剤系を供給する工程;
(c)前記リグノセルロース表面の少なくとも1つの少なくとも一部に前記接着剤系を
適用する工程;および
(d)前記少なくとも1つのリグノセルロース表面と他方のリグノセルロース表面との
間に接着結合を形成するのに適当な条件下で、それらを接触させる工程
を含む方法。
[14]前記接着剤系を適用する前記工程c)が:
前記リグノセルロース表面の少なくとも1つの少なくとも一部に、前記プライマー組成物を適用すること;および
1〜15分、好ましくは1〜5分後に、前記リグノセルロース表面の前記一部に、前記ポリウレタン接着剤組成物を適用すること
を含む、前記[13]に記載の方法。
[15]前記[13]または[14]に記載の方法により得られる接着結合リグノセルロース物品。
[16]欧州規格 EN391:2001および/またはカナダ規格協会(CSA)規格 112.9の要求を満たす、前記[15]に記載のリグノセルロース物品。
[17]アセチル化木材を含む、前記[15]に記載のリグノセルロース物品。
[18]ASTM D2559の要求を満たす、前記[15]または[17]に記載のリグノセルロース物品。