(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、
図1を参照して、第1の実施の形態に係る研削装置について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る研削装置の一例を示す図である。
図1Aは第1の実施の形態に係る研削装置の全体模式図を示し、
図1Bは第1の実施の形態に係る研削手段の模式図を示している。なお、第1の実施の形態に係る研削装置は、以下の図に示す構成に限定されない。研削装置は、研削砥石で被加工物を研削可能な構成であれば、どのような構成でもよい。
【0013】
図1に示すように、第1の実施の形態に係る研削装置1は、被加工物Wを保持する保持テーブル3(保持手段)と被加工物Wを研削する研削砥石60を備えた研削手段4とを上下に対向配置して構成される。研削装置1は、保持テーブル3に保持された被加工物Wの表面10(被研削面)に研削砥石60の研削面61を接触させて、被加工物Wを研削するように構成されている。また、研削装置1は、研削砥石60に供給される研削水を研削ホイール5の外側に飛散させて、研削室2内を洗浄することが可能になっている。
【0014】
研削手段4の下に保持テーブル3が対向配置された加工位置においては、カバー部材によって研削室2が形成されている。カバー部材は、研削手段4の上方を覆う上部カバー21と保持テーブル3の周囲を覆う下部カバー22とで構成される。上部カバー21は、水平方向に延在する天板23と、天板23の一端から下方に向かって延在する側板24とを備えており、天板23の一部からは、研削手段4の一部(スピンドル41)が上方に突出している。下部カバー22は、保持テーブル3の外周に固定される外周カバー25と、外周カバー25の下方で水平方向に延在する防水カバー26とで構成される。研削室2は、研削加工によって生じる加工屑を含んだ研削水が研削装置1の外に吹き飛ばない構成になっており、所定箇所から研削水を排出可能になっている。
【0015】
第1の実施の形態においては、加工対象となる被加工物Wとして、シリコンやGaAsなどの半導体材料で構成される半導体ウエーハの他に、セラミック、ガラス、サファイヤなどの無機材料で構成される無機材料ウエーハ等が用いられる。また、ミクロンオーダーからサブミクロンオーダーの平坦度(TTV: Total Thickness Variation)が要求される各種加工材料を用いてもよい。
【0016】
保持テーブル3は、円盤状に形成されており、基台(不図示)に回転可能に設けられている。保持テーブル3の上面には、ポーラスセラミック材によって保持面31が形成されている。保持面31は、
図1Aでは平坦に描かれているが、実際には保持テーブル3の回転中心を頂点とする緩傾斜の円錐状に形成されている。保持面31に被加工物Wが吸引保持されると、薄板状の被加工物Wも保持面31に沿って緩傾斜の円錐状になる。
【0017】
研削手段4は、鉛直方向を回転軸とするスピンドル41の下端に連結されるホイールマウント43に研削ホイール5を装着して構成される。スピンドル41は、モータ42によって回転駆動され、ホイールマウント43に取り付けられた研削ホイール5を回転可能に構成されている。研削手段4は、昇降手段(不図示)によって保持テーブル3に対してZ軸方向で離間又は接近される。
【0018】
ホイールマウント43は、円盤状に形成され、下面の外側部分には、リング状の基台50が嵌め込まれる段部44が形成されている。この段部44によって形成される平坦面45は、基台50を装着するための装着面になっており、段部44によって形成される円筒状の側面46は、基台50の径方向の位置決めをする位置決め面になっている。
【0019】
研削ホイール5は、リング状の基台50の下面54に、複数の研削砥石60をリング状に配置して構成される。リング状の基台50は、外側部分51に対して内側部分52の厚みが薄くなるように形成されており、上面53がホイールマウント43に装着される被装着面になっている。また、基台50の外側部分51の下面54より内側部分52の下面55が高い位置に形成されており、外側部分51の下面54と内側部分52の下面55とは、外側に向かって傾斜する内側面56よって接続されている。この内側面56は、後述する研削水を研削砥石60に誘導する傾斜面となっている。
【0020】
研削砥石60は、例えば、アルミナ系砥粒、炭化ケイ素系砥粒、又はCBN(立方晶窒化ホウ素)やダイヤモンド等の超砥粒をレジンボンド、ビトリファイドボンド等の結合剤で固めて構成される。
図1Aに示す状態では、研削砥石60が保持テーブル3の回転軸上に位置付けられている。研削ホイール5は、ホイールマウント43の段部44に基台50をはめ込んだ状態で、ホイールマウント43の上面から複数のネジ62でネジ止めすることにより、ホイールマウント43に固定される。
【0021】
スピンドル41の内部には、研削水を供給するための第1の流路64が鉛直方向に形成されている。第1の流路64の一端(上端)には、研削水供給手段63が接続されており、第1の流路64の下端には、ホイールマウント43の内部に研削水を供給する第2の流路65が接続されている。第2の流路65は、ホイールマウント43の中央から外周に向かって水平方向に延びており、基台50の上方で下方に屈曲して、基台50に形成された第3の流路66に接続される。第3の流路66は、基台50の内側部分52の上面53(被装着面)から下面55に向かって貫通する複数の貫通孔によって構成される。これらの複数の貫通孔は、基台50の周方向に沿って等間隔に形成されている。
【0022】
また、基台50の外側部分51には、内側面56(傾斜面)から外側面57に向かって、2種類の貫通孔58、59が形成されている。2種類の貫通孔58、59は、周方向に沿って等間隔に形成されており、複数の貫通孔58、59が交互に並んでいる。一方の貫通孔58は、内側面56から外側面57に向かって上向きに傾斜して形成されている。他方の貫通孔59は、一方の貫通孔58より下側に設けられ、一方の貫通孔58よりも緩い傾斜角度で内側面56から外側面57に向かって上向きに傾斜して形成されている。
【0023】
研削加工中は、研削ホイール5が回転している状態で、研削水供給手段63から所定流量の研削水が供給されている。研削水は、第1、第2、第3の流路64、65、66を通じて研削砥石60に供給される。このとき、研削ホイール5の遠心力により、研削水の一部は、基台50に形成された2種類の貫通孔58、59を通じて、基台50の外側面57から複数の方向に排出(放水)される。基台50の外側面57から排出される研削水は、研削室2を洗浄する洗浄水として利用される。
【0024】
このように構成される研削装置1では、研削ホイール5に研削水が供給されている状態で、研削ホイール5が回転されながら下降される。そして、保持テーブル3に保持された被加工物Wの表面10(被研削面)に研削砥石60の研削面61を接触させることで、被加工物Wが研削加工される。研削加工によって生じる研削屑は、研削水と共に被加工物Wの表面から流されるだけでなく、噴霧となって研削室2内に漂い、天板23や側板24に付着する。しかしながら、研削水供給手段63から直に供給されるきれいな研削水が2種類の貫通孔58、59から排出されるため、天板23や側板24に付着した研削屑がきれいな研削水によって洗い流される。よって、被加工物Wの表面に研削屑が落下することがない。
【0025】
次に、
図2及び
図3を参照して、第1の実施の形態に係る研削装置の動作及び研削室の洗浄方法について、比較例を用いて説明する。
図2は、第1の実施の形態に係る研削装置の動作及び研削室の洗浄方法の一例を示す模式図である。
図2Aは研削加工前の状態を示し、
図2Bは研削加工中の状態を示している。
図3は、比較例に係る研削装置の動作を示す模式図である。
図3Aは研削加工前の状態を示し、
図3Bは研削加工中の状態を示している。なお、
図3に示す比較例は、研削ホイールの基台に2種類の貫通孔が形成されていない点で、第1の実施の形態と相違する。
【0026】
先ず、第1の実施の形態に係る研削装置の動作について説明する。
図2Aに示すように、研削加工の実施前において、研削手段4には、研削ホイール5が回転されている状態で研削水供給手段63から研削水が供給される(研削水供給工程)。研削水は、第1、第2、第3の流路64、65、66を通じて基台50の内側部分52に到達し、内側面56を伝って研削砥石60に供給される。研削ホイール5は回転されているため、研削砥石60に供給された研削水は、遠心力によって研削砥石60の外側に向かって、斜め下方に吹き飛ばされる。これにより、研削手段4の下方に設けられた保持テーブル3や、下部カバー22、側板24等を加工前のきれいな研削水で洗浄することができる。
【0027】
また、内側面56を伝って下方に流れる研削水の一部は、内側面56の途中に形成された2種類の貫通孔58、59に入り込む(進入する)。貫通孔58、59に入り込んだ研削水は、遠心力によって、内側面56側から外側面57側に向かって貫通孔58、59内を上っていく。そして、その研削水は、基台50の外側面57から外に向かって排出(放水)される(研削室洗浄工程)。この場合、研削ホイール5の回転数は、傾斜する貫通孔58、59内を外側面57に向かって研削水が上っていくことができる程度に調整されている。すなわち、貫通孔58、59の延在方向に対する研削水の重力の成分より、貫通孔58、59の延在方向に対する遠心力の成分の方が大きくなっている。
【0028】
2種類の貫通孔58、59は、傾斜角度が異なると共に、外側面57におけるそれぞれの出口が異なった位置に設けられている。このため、外側面57から排出される研削水は、異なった角度で飛散される。これにより、研削手段4の周囲の広範囲にわたって研削水を飛散させることができる。飛散された研削水は、上部カバー21に衝突し、天板23や側板24に付着していた研削屑等が洗い流される。このように、第1の実施の形態においては、研削水を、研削水としてではなく研削室2を洗浄する洗浄水として利用している。なお、貫通孔58、59の傾き角度や穴径等を適宜変更することにより、貫通孔58、59から飛散させる研削水の流量、方向、距離、速度等を自由に調整することができる。
【0029】
そして、
図2Aの状態のまま研削ホイール5が下降されて、
図2Bに示すように、研削砥石60の研削面61が被加工物Wの表面10(被研削面)に回転接触されることにより、被加工物Wが研削加工される。研削加工によって生じる研削屑は、研削砥石60を伝って被加工物Wに流れ込む研削水と共に、被加工物Wの表面10から流される。研削屑を含んだ研削水は、保持テーブル3の外周から下部カバー22に向かって移動する。また、研削屑を含んだ研削水の一部は、被加工物Wで跳ね返って噴霧となり、研削室2内を漂っている。
【0030】
図2Aと同様に、2種類の貫通孔58、59から研削ホイール5の外側に向かって研削水が排出されている。このため、研削室2の天板23や側板24に研削屑が付着しても、貫通孔58、59から排出された研削水によって、その研削屑を洗い流すことができる。よって、研削室2をきれいな状態で保つことができ、天板23から被加工物Wの表面10に落下するのを防止することができる。なお、このとき、2種類の貫通孔58、59の内側面56側の位置(高さ)は、研削屑を含んだ研削水(
図2B中の研削水のハッチング部参照)が研削砥石60及び基台50の内側面56を上って貫通孔58、59内に入り込まない位置になっている。このため、貫通孔58、59内に入り込む研削水は、研削屑を含まないきれいな研削水(純水)のみになっている。よって、きれいな研削水で研削室2内を洗浄することができる。
【0031】
第1の実施の形態においては、研削ホイール5が回転されている状態で研削水供給手段63から研削手段4に研削水を供給する工程が、研削水供給工程になっている。また、基台50の内側面56を伝って研削水を研削砥石60に供給すると共に、研削水の一部を内側面56側から貫通孔58、59に進入させ、外側面57から研削水に放水させて研削室2を洗浄する工程が、研削室洗浄工程になっている。第1の実施の形態に係る研削室2の洗浄方法では、研削水供給工程と研削室洗浄工程とによって、研削室2を洗浄することが可能になっている。
【0032】
なお、第1の実施の形態に係る研削室2の洗浄工程は、研削加工前に実施してもよく、研削加工中に実施してもよい。研削加工前に実施した場合、研削室2内に残った研削屑等を洗い流すことができ、被加工物Wの表面10に研削屑が付着するのを防止することができる。研削加工中に実施した場合、加工中に生じる研削屑を洗い流して研削室2内をきれいな状態で保つことができる。また、研削室2の洗浄工程は、保持テーブル3に被加工物Wが保持されていない状態で実施されてもよい。この場合、保持テーブル3の保持面31を洗い流すことにより、保持面31と被加工物Wとの間に研削屑が侵入することを防止することできる。この結果、被加工物Wが傷つけられることがない。
【0033】
次に、比較例に係る研削装置について説明する。
図3Aに示すように、比較例に係る研削装置101においては、基台104の内側面105から外側面106に向かって貫通孔が形成されていない。このため、研削水が供給されても、研削水は内側面105を伝って研削砥石107から斜め下方に吹き飛ばされるだけである。よって、上部カバー109を洗浄することができない。
【0034】
また、
図3Bに示すように、研削手段103が下降されて、保持テーブル102に保持された被加工物Wに研削砥石107が接触されることにより、被加工物Wが研削加工される。
図2Bにおいて説明したように、研削加工によって生じる研削屑は、研削水と共に被加工物Wの表面10から流される。しかしながら、研削屑を含んだ研削水の一部は、被加工物Wで跳ね返って噴霧となり、研削室2内を漂って上部カバー109に付着する。上述したように、上部カバー109を洗浄することができないため、上部カバー109に付着した研削屑が被加工物Wに落下して、被加工物Wの表面10や研削砥石107の研削面108を傷つけてしまうおそれがある。
【0035】
これに対し、第1の実施の形態では、基台50の内側面56から外側面57に向かって貫通孔58、59を形成したことで、研削室2を構成する上部カバー21を洗浄することができる。このため、上部カバー21から研削屑が被加工物Wの表面10に落下するのを防止することができる。
【0036】
以上のように、第1の実施の形態に係る研削装置1によれば、研削砥石60に向かって供給される研削水の一部は、遠心力により、基台50の内側面56を伝って貫通孔58、59を通り、基台50の外側面57から外に排出される。これにより、研削水が研削室2内に散水され、研削室2の天板23や側板24に付着した研削屑を洗い流すことができる。よって、天板23や側板24に付着した研削屑が被加工物Wの表面10に付着するのを防止することができる。また、複数の貫通孔58,59から異なる方向に研削水を飛散させることができるため、研削室2の広範囲を洗浄することができ、研削室2の洗浄効率を高めることができる。
【0037】
次に、
図4を参照して、基台に形成される貫通孔の変形例について説明する。
図4は、変形例に係る研削手段を示す模式図である。
図4Aは第1の変形例、
図4Bは第2の変形例、
図4Cは第3の変形例に係る研削手段を示している。なお、
図4においては、第1の実施の形態と同一の構成について、同一の符号を付している。また、
図4に示す変形例では、貫通孔の向きが第1の実施の形態と相違する。以下、相違点を重点的に説明する。
【0038】
図4Aに示すように、第1の変形例に係る研削手段4は、基台50の内側面56から外側面57に向かって水平方向に複数の貫通孔58が周方向に沿って等間隔に形成されている。複数の貫通孔58は、基台50の外側部分51において、異なる3種類の高さで周方向に交互に並んで形成されている。これにより、洗浄水としての研削水を水平方向に3種類の高さで飛散させることができる。
【0039】
図4Bに示すように、第2の変形例に係る研削手段4は、内側面56から外側面57に向かって2種類の貫通孔58、59が周方向に沿って等間隔に形成されており、複数の貫通孔58、59が交互に並んでいる。一方の貫通孔58は、内側面56から外側面57に向かって上向きに傾斜して形成されている。他方の貫通孔59は、一方の貫通孔58より下側に設けられ、内側面56から外側面57に向かって下向きに傾斜して形成されている。これにより、研削ホイール5の外側斜め上方と斜め下方に、研削水を飛散させることができる。
【0040】
図4Cに示すように、第3の変形例に係る研削手段4は、第2の変形例と同様に、2種類の貫通孔58、59が上下に傾いて周方向に沿って等間隔に形成されており、複数の貫通孔58、59が交互に並んでいる。これにより、研削ホイール5の外側斜め上方と斜め下方に、研削水を飛散させることができる。また、第3の変形例においては、2種類の貫通孔58、59の内側面56側の入り口が同一の高さで内側面56の最上部分に形成されている。このため、研削加工中に、研削屑を含んだ研削水が内側面56を上り難くなっている。この結果、研削水供給手段63から直接供給されるきれいな研削水だけを貫通孔58、59から飛散させることができる。
【0041】
図4に示す変形例のように、貫通孔58、59の配置、数、傾斜角度等を適宜変更することで、研削水を所望の箇所に飛散させることができる。よって、研削室2の形状に合わせて研削室2の洗浄箇所、範囲等を自由に調整することができる。
【0042】
次に、
図5を参照して、第2の実施の形態に係る研削手段について説明する。
図5は、第2の実施の形態に係る研削手段を示す模式図である。
図5に示す研削手段は、いわゆるTAIKO(登録商標)研削用の研削手段であり、研削ホイールの外径が被加工物の半径より小さくなっている点で、第1の実施の形態と相違する。以下、相違点を重点的に説明する。なお、ここで、TAIKO研削とは、被加工物の外周領域を残して薄化することにより、リング状の突部を形成する加工をいう。これにより、被加工物全体の強度が高められ、被加工物の反りや搬送時の不具合を防止することができる。
【0043】
図5に示すように、第2の実施の形態に係る研削手段204は、スピンドル241の下端に取り付けられた円盤状のホイールマウント243の下面に研削ホイール205を装着して構成される。研削手段204は、昇降手段(不図示)によって保持テーブル(不図示)に対してZ軸方向で離間又は接近され、水平移動手段(不図示)によって保持テーブルに対して径方向に移動される。
【0044】
ホイールマウント243は、円盤状に形成され、下面中央に円形凹部244が形成されている。これにより、ホイールマウント243の下面はリング状面245になっており、このリング状面245は研削ホイール205を装着するための装着面になっている。研削ホイール205は、上面視円形状の基台250の下面254に、複数の研削砥石260を配置して構成される。基台250は、上面中央に、ホイールマウント243の円形凹部244に嵌まり込む円形凸部251が形成されている。円形凸部251は、円形凹部244よりわずかに小径に形成されている。この円形凸部251が円形凹部244に嵌まり込むことにより、ホイールマウント243に対する基台250の径方向の位置決めがなされる。
【0045】
基台250の下面254には、中央に円形凸部251より大径の円形凹部252が形成されている。これにより、基台250の下面254はリング状面になっており、このリング状面に沿って複数の研削砥石260がリング状に配設されている。研削ホイール5は、ホイールマウント243に基台250をはめ込んだ状態で、円形凹部252によって形成された天井面253の外周部分を複数のネジ262でネジ止めすることにより、ホイールマウント243に固定される。
【0046】
スピンドル241及びホイールマウント243の内部には、研削水を供給するための第1の流路264が鉛直方向に形成されている。第1の流路264の一端(上端)には、研削水供給手段263が接続されており、第1の流路264の下端には、基台250の内部に研削水を供給する第2の流路265が接続されている。第2の流路265は、基台250の中央から外周に向かって水平方向に延びており、ネジ262の内側で下方に屈曲して、円形凹部252の天井面253を貫通する。
【0047】
また、基台250の円形凹部252によって形成された筒状の内側面256には、外側面257に向かって、2種類の貫通孔258、259が形成されている。2種類の貫通孔258、259は、周方向に沿って等間隔に形成されており、複数の貫通孔258、259が交互に並んでいる。一方の貫通孔258は、内側面256から外側面257に向かって上向きに傾斜して形成されている。他方の貫通孔259は、一方の貫通孔258より下側に設けられ、内側面256から外側面257に向かってわずかに下向きに傾斜して形成されている。
【0048】
このように構成された研削手段204においても、2種類の貫通孔258、259から研削水を研削ホイール205の外側に向かって複数の方向に飛散させることができるため、研削室(不図示)を広範囲に洗浄することができる。なお、TAIKO研削は、研削砥石260と被加工物(不図示)とを回転接触させながら、研削手段204を径方向に移動させることによって実施される。
【0049】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0050】
例えば、上記した実施の形態において、2種類の貫通孔で研削水を研削ホイール5の外側に排出する構成としたが、この構成に限定されない。貫通孔は、研削水を研削ホイール5の外側に排出する構成であれば、どのように形成されてもよく、1種類又は3種類以上の貫通孔を形成してもよい。また、貫通孔の形状や数等も特に限定されない。
【0051】
また、上記した実施の形態において、研削水を飛散させる貫通孔が基台に形成される構成としたが、この構成に限定されない。貫通孔は、研削ホイール5に形成されてもよい。
【0052】
また、上記した実施の形態において、2種類の貫通孔58、59の内側面56側の入り口が同一の高さで形成される(
図4C参照)構成としたが、この構成に限定されない。2種類の貫通孔58、59の内側面56側の入り口が異なる高さに形成され、外側面57側の出口が同一の高さに形成されてもよい。