特許第6353774号(P6353774)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東京精密の特許一覧

<>
  • 特許6353774-ウェハ研削装置 図000002
  • 特許6353774-ウェハ研削装置 図000003
  • 特許6353774-ウェハ研削装置 図000004
  • 特許6353774-ウェハ研削装置 図000005
  • 特許6353774-ウェハ研削装置 図000006
  • 特許6353774-ウェハ研削装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353774
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】ウェハ研削装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20180625BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20180625BHJP
   B24B 7/00 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   H01L21/304 622Z
   H01L21/304 631
   B24B41/06 A
   B24B7/00 A
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-244650(P2014-244650)
(22)【出願日】2014年12月3日
(65)【公開番号】特開2016-111074(P2016-111074A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(74)【代理人】
【識別番号】100060575
【弁理士】
【氏名又は名称】林 孝吉
(72)【発明者】
【氏名】福原 啓介
【審査官】 石丸 昌平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−296293(JP,A)
【文献】 特開2014−111301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 7/00
B24B 41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバー内でウェハを研磨加工し、研磨加工後に前記チャンバー内に洗浄液を散布するウェハ研削装置において、
前記チャンバーから前記ウェハを取り出す搬出口の上部に配置されて、前記搬出口上部を流下する洗浄液を吸水する吸水部材と、
前記吸水部材の少なくとも下端部に吸水された前記洗浄液を負圧で吸引して外部に排水する排水機構と、
を備えていることを特徴とするウェハ研削装置。
【請求項2】
前記ウェハを載置して前記チャンバー内を通過するターンテーブルと前記吸水部材との隙間は、ウェハ研磨時に封止水で封止され、
前記排水機構は、前記隙間を封止する封止水を外部に排水することを特徴とする請求項1記載のウェハ研削装置。
【請求項3】
前記ウェハが前記吸水部材の下方を通過した後に、前記ウェハを載置して前記チャンバー内を通過するターンテーブルと前記吸水部材との隙間を封止する封止水を吸水部材に給水する給水機構を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載のウェハ研削装置。
【請求項4】
前記吸水部材は、平面視で前記ウェハの通過領域を横断して延設されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載のウェハ研削装置。
【請求項5】
前記吸水部材は、多孔質吸水部材であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載のウェハ研削装置。
【請求項6】
前記多孔質吸水部材は、PVAスポンジであることを特徴とする請求項5記載のウェハ研削装置。
【請求項7】
前記吸水部材は、基材を介して前記チャンバーの壁面に取り付けられ、
前記排水機構は、前記吸水部材に吸水された洗浄水を負圧で吸引する真空エジェクタと、該真空エジェクタと前記基材に穿設され前記吸水部材の裏面に対向する吸水口とを接続する吸水配管と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載のウェハ研削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハ研削装置に関し、特に、研磨加工後のウェハに洗浄水が滴下することを抑制するウェハ研削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程に用いられるウェハ研削装置では、密閉されたチャンバー内でウェハに研磨剤を供給しながら研磨処理を行う。また、研磨処理済みのウェハに付着した研磨材を洗い流すためにウェハ表面に洗浄水を散布して洗浄処理を行う。洗浄処理では、研削処理時にチャンバーの壁面に飛散した研磨材や洗浄水等の汚染水を洗い流すために、チャンバーの壁面に洗浄水を散布する。
【0003】
特許文献1には、CMP処理後のウェハに付着した研磨剤を洗浄する洗浄装置が開示されている。該洗浄装置は、チャンバーの出口を開閉自在な開口シャッターで覆い、チャンバー内の内部雰囲気が外部に流出することを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013―175685号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような装置では、ウェハをチャンバーから搬出する際に、出口の上部の壁面を流下する汚染水がウェハの表面に滴下して、ウェハを汚染する虞があるという問題があった。
【0006】
このようなウェハ表面に付着した汚染水を除去するために、ウェハをチャンバーから取り出した後にスピナーでウェハを高速旋回させながら水にエアーを含ませた二流体をウェハに吹き付けることで、ウェハを洗浄することも考えられる。しかしながら、ウェハに高い洗浄度が要求される場合には、汚染水がウェハに付着してから洗浄される迄の時間が長くなると、ウェハ表面に残留した洗浄水が半導体デバイスの歩留まりに影響するという問題があった。
【0007】
そこで、洗浄度の高いウェハを提供するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は、この課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、チャンバー内でウェハを研磨加工し、研磨加工後に前記チャンバー内に洗浄液を散布するウェハ研削装置において、前記チャンバーから前記ウェハを取り出す搬出口の上部に配置されて、前記搬出口上部を流下する洗浄液を吸水する吸水部材と、前記吸水部材の少なくとも下端部に吸水された前記洗浄液を負圧で吸引して外部に排水する排水機構と、を備えているウェハ研削装置を提供する。
【0009】
この構成によれば、吸水部材がチャンバーの搬出口の上部を流下する洗浄液を吸水し、排水機構が吸水部材の少なくとも下端部に含まれる洗浄水を外部に排水することにより、吸水部材の下端部が局所的に洗浄水を含まないため、ウェハが搬出口を通過する際に洗浄水がウェハに滴下することを抑制することができる。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のウェハ研削装置の構成に加えて、前記ウェハを載置して前記チャンバー内を通過するターンテーブルと前記吸水部材との隙間は、ウェハ研磨時に封止水で封止され、前記排水機構は、前記隙間を封止する封止水を外部に排水するウェハ研削装置を提供する。
【0011】
この構成によれば、研磨処理の際には封止水が搬出口を塞ぎ、ウェハ搬出の際には排水機構が吸水部材に含まれる洗浄水と共に封止水を吸引するため、ウェハが搬出口を通過する際に洗浄水がウェハに滴下することを抑制すると共に、搬出口を塞ぐシャッター等を別途設けることなく、研磨剤や洗浄水が外部に飛散することを抑制することができる。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のウェハ研削装置の構成に加えて、前記ウェハが前記吸水部材の下方を通過した後に、前記ウェハを載置して前記チャンバー内を通過するターンテーブルと前記吸水部材との隙間を封止する封止水を吸水部材に給水する給水機構を備えているウェハ研削装置を提供する。
【0013】
この構成によれば、給水機構が吸水部材とターンテーブルとの隙間に封止水を供給することにより、搬出口を塞ぐシャッター等を別途設けることなく、研磨剤や洗浄水が外部に飛散することを抑制することができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の何れか1項記載のウェハ研削装置の構成に加えて、前記吸水部材は、平面視で前記ウェハの通過領域を横断して延設されているウェハ研削装置を提供する。
【0015】
この構成によれば、吸水部材がウェハの通過領域の上部で該通過領域を横断するように延設されていることにより、吸水部材が搬出口上部を流下する洗浄水を漏れなく吸水するため、洗浄水がウェハに滴下することを更に抑制することができる。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4の何れか1項記載のウェハ研削装置の構成に加えて、前記吸水部材は、多孔質吸水部材であるウェハ研削装置を提供する。
【0017】
この構成によれば、吸水部材の吸水量が確保されるため、吸水部材に含まれる洗浄水が排水された状態で更に洗浄水が流下してきた場合であっても、吸水部材が洗浄水を吸水するため、洗浄水がウェハに滴下することを抑制することができる。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項5記載のウェハ研削装置の構成に加えて、前記多孔質吸水部材は、PVAスポンジであるウェハ研削装置を提供する。
【0019】
この構成によれば、吸水部材の吸水量が更に確保されるため、吸水部材に含まれる洗浄水が排水された状態で更に洗浄水が流下してきた場合であっても、吸水部材が洗浄水を吸水するため、洗浄水がウェハに滴下することを抑制することができる。
【0020】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6の何れか1項記載のウェハ研削装置の構成に加えて、前記吸水部材は、基材を介して前記チャンバーの壁面に取り付けられ、前記排水機構は、前記吸水部材に吸水された洗浄水を負圧で吸引する真空エジェクタと、該真空エジェクタと前記基材に穿設され前記吸水部材の裏面に対向する吸水口とを接続する吸水配管と、を備えているウェハ研削装置を提供する。
【0021】
この構成によれば、吸水部材内の洗浄水が、真空エジェクタによる負圧で吸引され排水配管を介して外部に排水されるため、吸水部材が局所的に洗浄水を含まなくなり、ウェハが搬出口を通過する際に洗浄水がウェハに滴下することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、吸水部材がチャンバーの搬出口の上部を流下する洗浄水を吸水し、排水機構が吸水部材の少なくとも下端部に含まれる洗浄水を外部に排水することにより、吸水部材の下端部が局所的に洗浄水を含まないため、ウェハが搬出口を通過する際に洗浄水がウェハに滴下することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施例に係るウェハ研削装置を示す平面模式図。
図2】研磨ステージの平面図。
図3】吸水部材と洗浄液吸引機構とを示す側面図。
図4】基材をチャンバーの内側から視た斜視図。
図5】基材をチャンバーの外側から視た斜視図。
図6】ウェハをチャンバーから搬出する様子を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係るウェハ研削装置は、洗浄度の高いウェハを提供するという目的を達成するために、チャンバー内でウェハを研磨加工し、研磨加工後にチャンバー内に洗浄液を散布するウェハ研削装置において、チャンバーからウェハを取り出す搬出口の上部に配置されて、搬出口上部を流下する洗浄液を吸水する吸水部材と、吸水部材の少なくとも下端部に吸水された洗浄液を負圧で吸引して外部に排水する排水機構と、を備えていることにより実現する。
【実施例】
【0025】
以下、本発明の一実施例に係るウェハ研削装置1について、図1に基づいて説明する。なお、本実施例において、「上」、「下」の語は、垂直方向における上方、下方に対応するものとする。図1は、ウェハ研削装置1の装置構成を示す平面模式図である。
【0026】
ウェハ研削装置1は、図1の紙面上で反時計回りに回動可能なターンテーブルとしてのINDEXテーブル2と、INDEXテーブル2上に互いに等間隔に離間して配置されている4台のウェハチャック3と、INDEXテーブル2の上方に配置された砥石4及び研磨布(ポリッシュパッド)5と、加工前のウェハWを収容する第1のラック6と、加工後のウェハWを収容する第2のラック7と、第1のラック6からウェハチャック3にウェハWを搬送する第1のアーム8と、ウェハチャック3から第2のラック7にウェハWを搬送する第2のアーム9と、を備えている。なお、図1中の符号4aは、砥石を上下方向に昇降させる砥石送り装置である。
【0027】
ウェハ研削装置1には、アライメントステージS1と、粗研削ステージS2と、精研削ステージS3と、研磨ステージS4と、が設けられている。各ステージは、それぞれ区画されている。INDEXテーブル2が90°回転する度に、ウェハWは、粗研削、精研削、研磨の順に加工が施される。各ステージは所望の洗浄度に応じて気流制御されており、パーティクルの飛散が抑制されている。
【0028】
アライメントステージS1では、第1のアーム8が第1のラック6からウェハWを取り出し、ウェハチャック3上にウェハWを載置する。ウェハWは、ウェハチャック3に真空吸着されて、ウェハチャック3と一体に固定される。また、第2のアーム9は、研磨後のウェハWをウェハチャック3から第2のラック7に搬送する。ウェハWがウェハチャック3に取り付けられると、INDEXテーブル2が図1の紙面上で反時計回りに90°回転して、ウェハWは粗研削ステージS2に搬送される。
【0029】
粗研削ステージS2では、砥石4とウェハチャック3をそれぞれ自転させ、砥石4をウェハWに押し付けることで、ウェハWの表面を研削する。粗研削加工後には、INDEXテーブル2が図1の紙面上で反時計回りに90°回転して、ウェハWは精研削ステージS3に搬送される。
【0030】
精研削ステージS3では、砥石4とウェハWをそれぞれ自転させ、砥石4をウェハWに押し付けることで、ウェハWの表面を研削する。精研削加工後には、INDEXテーブル2が図1の紙面上で反時計回りに90°回転して、ウェハWは研磨ステージS4に搬送される。
【0031】
研磨ステージS4では、研磨布5とウェハWをそれぞれ自転させ、研磨布5をウェハWに押し付けることで、ウェハWの表面を鏡面に研磨する。INDEXテーブル2が回転すると、ウェハチャック3がチャンバー10の搬入口10aを通過し、ウェハWがチャンバー10内に搬入され、ウェハチャック3が所定の位置に到達するとINDEXテーブル2は停止する。このとき、チャンバー10の側壁11の直下にINDEXテーブル2の仕切壁2aが配置される。チャンバー10の側壁11の上部には、側壁11に付着した汚染要素を洗い流す洗浄水を供給する図示しない洗浄水ノズルが配置されている。研磨加工後には、INDEXテーブル2が図1の紙面上で反時計回りに90°回転して、ウェハWはアライメントステージS1に搬送される。
【0032】
ウェハ研削装置1の動作は、図示しない制御装置によって制御される。制御装置は、ウェハ研削装置1を構成する構成要素をそれぞれ制御するものである。制御装置は、例えば、CPU、メモリ等により構成されている。なお、制御装置の機能は、ソフトウェアを用いて動作することにより実現されても良く、ハードウェアを用いて動作することにより実現されても良い。
【0033】
次に、チャンバー10内に配置された吸水部材20及び排水機構30について、図2〜5に基づいて説明する。図2は、研磨加工を行うチャンバー10の平面図である。図3は、吸水部材20及び排水機構30の断面図である。図4(a)は、吸水部材20を取り付ける基材21をチャンバー10の内側から視た斜視図である。図4(b)は、図4(a)の一部拡大図である。図5は、基材21をチャンバー10の外側から視た斜視図である。なお、図2中の符号40は、研磨剤をウェハW上に供給する研磨剤ノズルであり、図4中の白線は、吸水部材30の取付位置を示す。
【0034】
吸水部材20は、直方体状に形成され、チャンバー10の搬出口10bの上方、且つ側壁11の内側に配置されている。吸水部材20は、平面視でウェハWの通過領域に亘って、すなわち、図2中のウェハチャック3の通過領域を横断する方向に亘って延設されているのが好ましい。これにより、吸水部材がウェハの通過領域の上部で該通過領域を横断するように延設されていることにより、吸水部材が搬出口上部を流下する洗浄水を漏れなく吸水する。
【0035】
吸水部材20は、図3に示すように、基材21を介して側壁11に取り付けられている。吸水部材20は、スポンジ押さえ部材22を介して基材に固着されている。
【0036】
吸水部材20は、多孔質吸水部材であるのが好ましく、更に好ましくはPVAスポンジである。これにより、吸水部材20の吸水量が確保されるため、吸水部材20内の洗浄水が排水された状態で更に洗浄水が流下してきた場合であっても、吸水部材20が洗浄水を吸水する。
【0037】
基材21は、側壁11の外側にネジ23で固着されている。基材21の表面21aには、図3の紙面垂直方向と一致する基材21の長手方向に沿って凹設された溝24が形成されている。基材21は、図4(a)に示すように、基材21の長手方向に沿って6個の吸引口25と5個の給水口26とが交互に配置されている。吸引口25と給水口26とは、基材21の裏面21bから溝24まで穿設されており、図4(b)に示すように、溝24に開口するように配置されている。基材21の裏面21bには、吸引口25、給水口26に対応する位置にそれぞれ継手27、28が設けられており、排水機構30に接続されている。吸引口25及び給水口26は、吸水部材20の下端部に対向して配置されている。
【0038】
排水機構30は、図3に示すように、側壁11の外側に配置されている。排水機構30は、エアー供給ポート31から流入するエアーで負圧を生成する真空エジェクタ32と、真空エジェクタ32と継手27とを接続する上流側排水配管33と、吸引された洗浄水を外部に排出する下流側排水配管34と、を備えている。
【0039】
さらに、ウェハ研削装置1には、後述する封止水を供給する図示しない給水機構が設けられている。本実施例では、給水機構は、図示しない配管で継手28と接続され、給水口26から吸水部材20に封止水として純水を供給可能である。
【0040】
次に、ウェハWをチャンバー10から取り出す手順について、図6に基づいて説明する。図6(a)は、封止水Sが搬出口10bを塞いでいる様子を示す模式図である。図6(b)は、封止水Sを吸引した状態を示す模式図である。図6(c)は、ウェハWを搬出している状態を示す模式図である。図6(d)は、次のウェハWの研磨加工開始前の状態を示す模式図である。
【0041】
図6(a)に示すように、研削加工前に、吸水部材20と仕切壁2aとの隙間Cには、封止水Sが表面張力で留まり搬出口10bを封止する。封止水Sが吸水部材20と仕切壁2aとの間を塞ぐことにより、研磨処理の際にチャンバー10内を飛散する研磨剤が搬出口10bから外部に漏れることを防止する。吸水部材20の下端と仕切壁2aとの隙間Cは、例えば、2mmに設定される。
【0042】
研磨処理後には、洗浄水がウェハWに吹き付けられ、ウェハWの表面に残留する研磨剤やパーティクルが除去される。また、チャンバー10の内面に付着した研磨材を洗い流すために、洗浄水がチャンバー10の内面に散布される。洗浄処理の際にも封止水Sが吸水部材20と仕切壁2aとの隙間Cを塞ぐことにより、研磨剤、洗浄水等の汚染水が搬出口10bから外部に漏れることを防止する。
【0043】
洗浄処理後には、図6(b)に示すように、制御装置が真空エジェクタ32を起動させて、負圧で吸水部材20の吸引口25周辺の洗浄水を吸引すると共に、吸水部材20と仕切壁2aとの間を封止していた封止水Sを吸引する。複数の吸引口25は、図6の紙面垂直方向と一致する基材21の長手方向に亘って等間隔で配設されていることにより、吸水部材20に含まれる洗浄水及び封止水Sが短時間で効率的に排水され易くなっている。
【0044】
次に、図6(c)に示すように、制御装置がINDEXテーブル2を回転させて、ウェハチャック3が搬出口10bを通過し、ウェハWがチャンバー10外に搬出される。ウェハWをチャンバー10内から取り出す際には、吸水部材20は、下端部において局所的に洗浄水を含んでいないため、吸水部材20の下方を通過するウェハWには洗浄水が滴下しない。
【0045】
次に、図6(d)に示すように、次に研磨するウェハWがチャンバー10内の所定の位置に配置され、チャンバー10の側壁11の直下にINDEXテーブル2の仕切壁2aが移動すると、制御装置がINDEXテーブル2の回転を停止する。その後、制御装置が、給水機構から吸水部材20に封止水Sが新たに供給させる。封止水Sは、吸水部材20から仕切壁2aに流下し、吸水部材20と仕切壁2aとの隙間Cに表面張力で留まり搬出口10bを封止する。
【0046】
このようにして、上述した本実施例に係るウェハ研削装置1は、吸水部材20がチャンバー10の搬出口10bの上部を流下する洗浄水を吸水し、排水機構30が吸水部材20の少なくとも下端部に含まれる洗浄水を外部に排水することにより、吸水部材20の下端部が局所的に洗浄水を含まないため、ウェハWが搬出口10bを通過する際に洗浄水がウェハWに滴下することを抑制することができる。
【0047】
また、封止水Sが給水機構から隙間Cに供給され、研磨処理の際には封止水Sが搬出口10bを塞ぎ、ウェハW搬出の際には排水機構30が吸水部材20に含まれる洗浄水と共に封止水Sを吸引するため、搬出口10bを塞ぐシャッター等を別途設けることなく、研磨剤や洗浄水が外部に飛散することを抑制することができる。
【0048】
さらに、吸水部材20がウェハWの通過領域の上部で該通過領域を横断するように延設されていることにより、吸水部材20が搬出口10b上部を流下する洗浄水を漏れなく吸水するため、洗浄水がウェハWに滴下することを更に抑制することができる。
【0049】
本実施例では、INDEXテーブルが回転することによりウェハが各チャンバー間を移動するものを例に説明したが、搬送アーム等の搬送装置がウェハを各チャンバー間で搬送するものであっても構わない。
【0050】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。
【符号の説明】
【0051】
1 ・・・ ウェハ研削装置
2 ・・・ INDEXテーブル(ターンテーブル)
2a・・・ 仕切壁
3 ・・・ ウェハチャック
4 ・・・ 砥石
4a・・・ 砥石送り装置
5 ・・・ 研磨布(ポリッシュパッド)
6 ・・・ 第1のラック
7 ・・・ 第2のラック
8 ・・・ 第1のアーム
9 ・・・ 第2のアーム
10・・・ チャンバー
10a・・・搬入口
10b・・・搬出口
11・・・ 側壁
20・・・ 吸水部材
21・・・ 基材
22・・・ スポンジ押さえ部材
23・・・ ネジ
24・・・ 溝
25・・・ 吸引口
26・・・ 給水口
27・・・ (吸引口に接続された)継手
28・・・ (給水口に接続された)継手
30・・・ 排水機構
31・・・ エアー供給ポート
32・・・ 真空エジェクタ
33・・・ 上流側排水配管
34・・・ 下流側排水配管
C ・・・ 隙間
S ・・・ 封止水
図1
図2
図3
図4
図5
図6