特許第6354809号(P6354809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6354809
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】発光装置の製造方法及び複合基板
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20180702BHJP
【FI】
   H01L33/62
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-159762(P2016-159762)
(22)【出願日】2016年8月16日
(65)【公開番号】特開2018-29105(P2018-29105A)
(43)【公開日】2018年2月22日
【審査請求日】2017年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119301
【弁理士】
【氏名又は名称】蟹田 昌之
(72)【発明者】
【氏名】三木 倫英
(72)【発明者】
【氏名】林 英樹
(72)【発明者】
【氏名】白浜 元清
【審査官】 百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−207986(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/098967(WO,A1)
【文献】 特開2016−018709(JP,A)
【文献】 特開2016−100350(JP,A)
【文献】 特表2010−530635(JP,A)
【文献】 特開2012−028699(JP,A)
【文献】 特開平02−206153(JP,A)
【文献】 特開2003−078172(JP,A)
【文献】 特表2008−535237(JP,A)
【文献】 特開2004−335740(JP,A)
【文献】 特開2015−46578(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0217046(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00
H01L 33/48−33/64
H01L 23/28−23/30
H01L 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1支持リードと第2支持リードとが対を成す複数対の支持リードを有する板状のリードフレームと、
前記複数対の支持リードに支持される複数のパッケージと、
前記複数のパッケージに実装される複数の発光素子と、を備えた発光装置集合体を準備する準備工程と、
前記複数のパッケージを前記リードフレームから取り外す取り外し工程と、を有する発光装置の製造方法であって、
前記準備工程において、
前記パッケージは樹脂成形体を備え、
前記樹脂成形体は、
前記第1支持リードに支持される第1外側面と、
前記第1外側面の反対側に位置し、前記第2支持リードに支持される第2外側面と、
前記第1外側面と前記第2外側面との間に位置する第3外側面と、
前記第3外側面の反対側に位置する第4外側面と、
前記第1外側面と前記第3外側面とに開放した第1凹部と、
前記第2外側面と前記第3外側面とに開放した第2凹部と、を有し、
前記第1支持リード及び前記第2支持リードは、前記第1凹部及び前記第2凹部にそれぞれ嵌合し、
前記取り外し工程において、前記第3外側面を押すことにより前記パッケージを前記リードフレームから取り外す発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記準備工程において、前記リードフレームは複数の開口部を有し、
前記取り外し工程において、前記パッケージを前記リードフレームから取り外した後、前記開口部を介して前記リードフレームの上面側から下面側へ前記パッケージを落とす請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1凹部及び前記第2凹部はさらに前記第4外側面に開放している請求項1または2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
前記パッケージは前記発光素子が収容される素子収容部を有し、
前記リードフレームは複数対の電極リードを有し、
前記電極リードは前記素子収容部の底面において一部が露出する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記電極リードは、前記第3外側面及び/又は前記第4外側面から延出する請求項4に記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
第1支持リードと第2支持リードとが対を成す複数対の支持リードを有する板状のリードフレームと、前記複数対の支持リードに支持される複数のパッケージと、を有する複合基板であって、
前記パッケージは樹脂成形体を有し、
前記樹脂成形体は、
前記第1支持リードに支持される第1外側面と、
前記第1外側面の反対側に位置し、前記第2支持リードに支持される第2外側面と、
前記第1外側面と前記第2外側面との間に位置する第3外側面と、
前記第3外側面の反対側に位置する第4外側面と、
前記第1外側面と前記第3外側面とに開放し、前記第4外側面に開放しない第1凹部と、
前記第2外側面と前記第3外側面とに開放し、前記第4外側面に開放しない第2凹部と、を有し、
前記第1支持リード及び前記第2支持リードは、前記第1凹部及び前記第2凹部にそれぞれ嵌合する複合基板。
【請求項7】
前記リードフレームは複数の開口部を有する請求項6に記載の複合基板。
【請求項8】
前記パッケージは素子収容部を有し、
前記リードフレームは複数対の電極リードを有し、
前記電極リードは前記素子収容部の底面において一部が露出する、
請求項6または7に記載の複合基板。
【請求項9】
前記電極リードは、前記第3外側面及び/又は前記第4外側面から延出する請求項8に記載の複合基板。
【請求項10】
前記第1外側面と前記第2外側面の最大距離は1.5mm以下である請求項6から9のいずれか1項に記載の複合基板。
【請求項11】
前記樹脂成形体の樹脂材料は熱硬化性樹脂である請求項6から10のいずれか1項に記載の複合基板。
【請求項12】
前記樹脂成形体の樹脂材料は不飽和ポリエステル系樹脂である請求項6から11のいずれか1項に記載の複合基板。
【請求項13】
前記樹脂成形体の樹脂材料はエポキシ系樹脂である請求項6から11のいずれか1項に記載の複合基板。
【請求項14】
前記樹脂成形体は白色顔料及び/又は充填剤を含有する請求項6から13のいずれか1項に記載の複合基板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は発光装置の製造方法及び複合基板に関する。
【背景技術】
【0002】
リードフレームからハウジングを取り外して発光装置を得る発光装置の製造方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2010−530635号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の発光装置の製造方法によると、ハウジングをリードフレームから取り外す際に、ハウジングに曲げの力や衝撃が加わり、ハウジングが破損してしまう可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、例えば、次の手段により解決することができる。
【0006】
第1支持リードと第2支持リードとが対を成す複数対の支持リードを有する板状のリードフレームと、前記複数対の支持リードに支持される複数のパッケージと、前記複数のパッケージに実装される複数の発光素子と、を備えた発光装置集合体を準備する準備工程と、前記複数のパッケージを前記リードフレームから取り外す取り外し工程と、を有する発光装置の製造方法であって、前記準備工程において、前記パッケージは樹脂成形体を備え、前記樹脂成形体は、前記第1支持リードに支持される第1外側面と、前記第1外側面の反対側に位置し、前記第2支持リードに支持される第2外側面と、前記第1外側面と前記第2外側面との間に位置する第3外側面と、前記第3外側面の反対側に位置する第4外側面と、前記第1外側面と前記第3外側面とに開放した第1凹部と、前記第2外側面と前記第3外側面とに開放した第2凹部と、を有し、前記第1支持リード及び前記第2支持リードは、前記第1凹部及び前記第2凹部にそれぞれ嵌合し、前記取り外し工程において、前記第3外側面を押すことにより前記パッケージを前記リードフレームから取り外す発光装置の製造方法。
【0007】
第1支持リードと第2支持リードとが対を成す複数対の支持リードを有する板状のリードフレームと、前記複数対の支持リードに支持される複数のパッケージと、を有する複合基板であって、前記パッケージは樹脂成形体を有し、前記樹脂成形体は、前記第1支持リードに支持される第1外側面と、前記第1外側面の反対側に位置し、前記第2支持リードに支持される第2外側面と、前記第1外側面と前記第2外側面との間に位置する第3外側面と、前記第3外側面の反対側に位置する第4外側面と、前記第1外側面と前記第3外側面とに開放し、前記第4外側面に開放しない第1凹部と、前記第2外側面と前記第3外側面とに開放し、前記第4外側面に開放しない第2凹部と、を有し、前記第1支持リード及び前記第2支持リードは、前記第1凹部及び前記第2凹部にそれぞれ嵌合する複合基板。
【発明の効果】
【0008】
上記の発光装置の製造方法によれば、パッケージの破損を抑制することができる。上記の複合基板によれば、パッケージがリードフレームから意図せずに脱落する可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】実施形態に係る発光装置集合体の模式的上面図である。
図1B図1Aの一点鎖線で囲まれた領域を拡大した部分拡大図である。
図2A】実施形態に係る発光装置の模式的斜視図である。
図2B】実施形態に係る発光装置の模式的正面図である。
図2C】実施形態に係る発光装置の模式的側面図である。
図3】第1凹部が第4外側面に開放した形態を示す模式的側面図である。
図4】実施形態に係る発光装置(パッケージ)をスライドさせる様子を説明する模式的上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本開示の技術思想を具体化するためのものであり、本開示の技術的範囲を限定することを意図したものではないことに留意されたい。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある点も留意されたい。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一の部分又は部材を示す。また、発光装置やパッケージ等の用語はリードフレームから分離される前と後で同じ用語を適宜用いることがある。
【0011】
実施形態に係る発光装置1の製造方法は、発光装置集合体100を準備する準備工程と、複数のパッケージ2をリードフレーム3から取り外す取り外し工程と、を有している。以下、詳細に説明する。
【0012】
(準備工程)
図1Aは実施形態に係る発光装置集合体100の模式的上面図であり、図1B図1Aの一点鎖線で囲まれた領域を拡大した部分拡大図である。準備工程は、図1A及び図1Bに示す発光装置集合体100を準備する工程である。発光装置集合体100は、発光装置集合体100を製造することにより準備してもよいし、発光装置集合体100を購入等することにより準備してもよい。
【0013】
発光装置集合体100は複合基板10と複数の発光素子4とを備えている。複合基板10はリードフレーム3と複数のパッケージ2とを有しており、複数の発光素子4は複数のパッケージ2に実装されている。
【0014】
リードフレーム3は、枠体33と、第1支持リード311と第2支持リード312とが対を成す複数対の支持リード31と、複数対の電極リード32と、を有している。支持リード31はパッケージ2を支持するための部位であり、第1支持リード311及び第2支持リード312は、後述する樹脂成形体5の第1凹部51及び第2凹部52にそれぞれ嵌合される。電極リード32は発光素子4に給電するための部位であり、発光装置1の一部として樹脂成形体5内に埋設される。
【0015】
電極リード32は枠体33から分離されている。電極リード32は、準備工程の前、または準備工程の後であって取り外し工程の前に、枠体33と電極リード32とを連結する連結部分を切断することにより枠体33から分離されるものとする。連結部分は例えば金型カッティングやダイシング等で切断することができる。
【0016】
リードフレーム3は複数の開口部6を有している。開口部6の形状は、上面視において、パッケージ2と同様の形状を有していることが好ましく、例えばパッケージ2の形状が略四角形である場合は、パッケージ2と同様に略四角形であることが好ましい。また、開口部6の縦横の寸法は、上面視において、パッケージ2の縦横の寸法の1.1〜1.5倍であることが好ましい。後述のとおり、パッケージ2は開口部6を介してリードフレーム3から取り外されるが、開口部6の形状及び縦横の寸法を上記のように構成すれば、1枚のリードフレーム3から得られる発光装置1の取り個数を確保しつつ、開口部6を介してパッケージ2をリードフレーム3から容易に取り外すことができる。
【0017】
図2Aは実施形態に係る発光装置1の模式的斜視図であり、図2Bは実施形態に係る発光装置1の模式的正面図であり、図2Cは実施形態に係る発光装置の模式的側面図である。図2A乃至図2Cに示すように、パッケージ2は樹脂成形体5を有している。樹脂成形体5は、その形状を特に限定されるものではないが、少なくとも、第1外側面21と、第1外側面21の反対側に位置する第2外側面22と、第1外側面21と第2外側面22との間に位置する第3外側面23と、第3外側面23の反対側に位置する第4外側面24と、を有している。第1外側面21、第2外側面22、第3外側面23、及び第4外側面24は、樹脂成形体5の外側面であるが、パッケージ2の外形を為す外側面でもある。
【0018】
樹脂成形体5は、第1外側面21と第3外側面23とに開放した第1凹部51と、第2外側面22と第3外側面23とに開放した第2凹部52と、を有している。第1凹部51には第1支持リード311が嵌合され、第2凹部52には第2支持リード312が嵌合される。樹脂成形体5の第1凹部51及び第2凹部52に第1支持リード311及び第2支持リード312をそれぞれ嵌合させることにより、パッケージ2をリードフレーム3に支持することができる。
【0019】
第1凹部51及び第2凹部52を第3外側面23に開放させることにより、開放させない場合よりも、樹脂成形体5の壁の厚みを減らさずに第1凹部51及び第2凹部52の幅を広くとることができる。そのため、十分に幅の広い支持リード31を用いることができ、樹脂成形体5を強固に保持することができる。なお、第1凹部51及び第2凹部52は、第3外側面23には開放するが、第4外側面24には開放しない形状となっている。このような形状にすることで、支持リード31が第4外側面24から外れ、パッケージ2が意図せずにリードフレーム3から脱落する可能性を低減することができる。
【0020】
図3は、第1凹部51が第4外側面24に開放した形態を示す模式的側面図である。斜線を付した部分が第1凹部51である。図3に示すように、第1凹部51及び第2凹部52は第4外側面24に開放していてもよい。第1凹部51及び第2凹部52が第4外側面24に開放する場合には、開放しない場合よりも幅の広い支持リード31を用いることができ、樹脂成形体5を強固に保持することができる。また、第3外側面23側及び第4外側面24(実装面)側のいずれの側にもパッケージ2をスライドさせることが可能となるため、第3外側面23及び第4外側面24(実装面)のいずれか一方を押すことにより、第3外側面23側及び第4外側面24(実装面)側のいずれの側からでもパッケージ2をリードフレーム3から取り外すことができる。
【0021】
(取り外し工程)
図4は実施形態に係る発光装置1(パッケージ2)をスライドさせる様子を説明する模式的上面図である。取り外し工程は、パッケージ2をリードフレーム3から取り外す工程である。本工程により、発光装置集合体100が個片化され、発光装置集合体100から複数の発光装置1を得ることができる。
【0022】
取り外し工程では、図4に示すようにパッケージ2の第3外側面23を押すことによりパッケージ2をスライドさせる。具体的には、スライド用治具を用い、パッケージ2の第3外側面23をリードフレーム3の上面と平行な方向に押してパッケージ2をスライドさせる。スライドは、パッケージ2の第3外側面23が開口部6に至るまで、すなわち、上面視においてパッケージ2が開口部6内に収まるまで行なわれる。本工程により、第1凹部51及び第2凹部52と第1支持リード311及び第2支持リード312との嵌合が解除されて、樹脂成形体5がリードフレーム3から取り外される。
【0023】
パッケージ2をスライドさせた後は、リードフレーム3の上面側から下面側へ開口部6を介してパッケージ2を落とすことが好ましい。このようにすれば、リードフレーム3からパッケージ2を容易に離間させることができる。
【0024】
以上説明した製造方法によれば、リードフレーム3から発光装置1を取り外すために発光装置1や支持リード31を上面側から押圧する製造方法と比較して、パッケージ2を支持リード31に沿ってスライドさせるので、パッケージ2を損傷させることなくパッケージ2をリードフレーム3から取り外すことができる。
【0025】
(発光装置1)
上記の発光装置の製造方法により、個片化された発光装置1を得ることができる。個片化された発光装置1は、図2A乃至図2Cに示すように、樹脂成形体5と一対の電極リード32とを有するパッケージ2と、パッケージ2に配置された発光素子4と、封止部材70と、を有している。樹脂成形体5は、少なくとも、第1外側面21と、第1外側面21の反対側に位置する第2外側面22と、第1外側面21と第2外側面22との間に位置する第3外側面23と、第3外側面23の反対側に位置する第4外側面24と、第1外側面21、第2外側面22、第3外側面23、及び第4外側面24に隣接する正面25を有する。また、樹脂成形体5は、第1外側面21と第3外側面23とに開放し、第4外側面24に開放しない第1凹部51と、第2外側面22と第3外側面23とに開放し、第4外側面24に開放しない第2凹部52とを有する。なお、発光装置1の光出射面を上面又は正面という。
【0026】
パッケージ2は、正面25側に開放し、発光素子4が内部に実装される素子収容部7を有する。一対の電極リード32は、一部が樹脂成形体5に埋め込まれ、一部がパッケージ2の外側面から露出している。発光素子4は素子収容部7の底面にある一対の電極リード32の表面に実装されている。封止部材70は、樹脂成形体5の素子収容部7内に充填されている。
【0027】
以下、発光装置集合体100、複合基板10及び発光装置1における各構成要素について説明する。
【0028】
(パッケージ)
パッケージ2は、発光素子4を収容し、発光素子4に外部から給電するための端子(電極リード32)を有する容器である。パッケージ2は、少なくとも、樹脂成形体5と、電極リード32と、により構成される。
【0029】
パッケージ2の長手方向の最大距離は1.5mm以下であることが好ましい。図2Aで示すパッケージ2では、第1外側面21から第2外側面22に向かう方向が長手方向となり、第1外側面21と第2外側面22の最大距離がパッケージ2の長手方向の最大距離となる。パッケージ2の長手方向の最大距離を1.5mm以下とすることで、パッケージ2に外力が加わった時でも樹脂成形体5にクラック等が起こることを抑制することができる。パッケージ2の第3外側面23及び/又は第4外側面24からは、一対の電極リード32が延出する。
【0030】
(樹脂成形体)
樹脂成形体5は、パッケージ2における容器の母体をなす部材である。樹脂成形体5は、パッケージ2の外形の一部を構成している。樹脂成形体5の母材となる樹脂材料としては、例えば、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を用いることができる。以下に示す樹脂材料は、その変性樹脂及びハイブリッド樹脂も含むものする。熱硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂に比べて、耐熱性及び耐光性に優れ、長寿命で、信頼性が高いため好ましい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。なかでも、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂のうちのいずれか1つが好ましい。特に、不飽和ポリエステル樹脂並びにその変性樹脂及びハイブリッド樹脂は、熱硬化性樹脂の優れた耐熱性及び耐光性を有しながら、射出成形法により成形可能であり量産性にも優れているため好ましい。具体的には、特開2013−153144号公報、特開2014−207304号公報、特開2014−123672号公報などに記載されている樹脂が挙げられる。また、樹脂成形体の母材としては、熱硬化性樹脂に比べ安価な熱可塑性樹脂も好ましい。熱可塑性樹脂としては、脂肪族ポリアミド樹脂、半芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリフタルアミド樹脂、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンテレフタレート、液晶ポリマー、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。なかでも、脂肪族ポリアミド樹脂、ポリシクロヘキサンテレフタレート、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレートのうちのいずれか1つが好ましい。
【0031】
不飽和ポリエステル系樹脂やエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂は、上述のような発光装置用の樹脂成形体として好ましい特性を有する一方、熱可塑性樹脂より粘性が少なく、上述の曲げ弾性率が例えば約10GPa以上であるなどして曲げ耐性が低い場合がある。このため、パッケージ2を押圧して複合基板10からパッケージ2を取り外す際や、発光装置1を取り扱う際に、パッケージ2の一部が割れるなどしてしまい、パッケージ2が破損してしまうおそれが高まる。しかしながら、本実施形態によれば、このような樹脂を用いながら、パッケージ2の破損を効果的に抑制することができる。
【0032】
樹脂成形体5の材料が脆い場合、樹脂成形体5が破損するおそれが高まる。そのため、樹脂成形体5の材料の曲げ弾性率が8GPa以上、10GPa以上、16GPa以上程度である場合、特に本実施形態の効果が高い。
【0033】
発光装置1が薄型のものである場合、例えば高さが0.3mm程度である場合は、樹脂成形体5の壁が薄くなることで強度が低下し、パッケージ2が破損するおそれが高まる。そのため、樹脂成形体5の材料の曲げ弾性率が約5GPa程度の熱可塑性樹脂であっても、発光装置1が薄型である場合には特に本実施形態の効果が高い。
【0034】
樹脂成形体5は、発光装置1の光取り出し効率向上の観点から、発光素子4の発光ピーク波長における光反射率が、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがよりいっそう好ましい。さらに、樹脂成形体5は、白色であることが好ましい。樹脂成形体5は、硬化若しくは固化前には流動性を有する状態つまり液状(ゾル状又はスラリー状を含む)を経ることがある。樹脂成形体5は、例えば、射出成形法、トランスファ成形法などにより成形することができる。
【0035】
樹脂成形体5は白色顔料及び/又は充填剤を含有していることが好ましい。これにより、樹脂成形体の強度を高め、破損の恐れを低減することができる。光反射性及び熱伸縮性などの観点からも好ましい。
【0036】
白色顔料の材料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムなどが挙げられる。白色顔料の材料としては、これらのうちの1種を単独で、又はこれらのうちの2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、酸化チタンは、屈折率が比較的高く、光隠蔽性に優れるため、好ましい。白色顔料の形状は、適宜選択できるが、不定形(破砕状)でもよいが、流動性の観点では球状が好ましい。白色顔料の粒径(以下「粒径」は例えば平均粒径D50で定義される)は、適宜選択できるが、例えば0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.1μm以上0.5μm以下がより好ましい。樹脂成形体5中の白色顔料の含有量は、適宜選択できる。樹脂成形体5の光反射性の観点では多いほうが良いが、流動性への影響を考慮して、20wt%以上70wt%以下が好ましく、30wt%以上60wt%以下がより好ましい。なお、「wt%」は、重量パーセントであり、全構成材料の総重量に対する各材料の重量の比率を表す。
【0037】
充填剤としては、樹脂成形体5の熱膨張係数を低減する低減剤、及び/又は、樹脂成形体5の機械的強度を向上させる強化剤などを用いることができる。低減剤としては、酸化珪素(粒径は5μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上30μm以下がより好ましい)を好ましく用いることができる。強化剤としては、ガラス、チタン酸カリウム、珪酸カルシウム(ワラストナイト)などを好ましく用いることができる。なかでも、珪酸カルシウム(ワラストナイト)又はチタン酸カリウムは、比較的径が小さいため、薄型又は小型の樹脂成形体5に含有させる強化剤として好適である。上記のほか、酸化アルミニウム、マイカ、タルクなどを充填剤の材料として用いることもできる。充填剤には、上記した材料の1種を単独で、又はこれらのうちの2種以上を組み合わせて用いることができる。充填剤の材料は、上記白色顔料の材料とは異なるものとする。
【0038】
強化剤の平均繊維径は、適宜選択できるが、例えば0.05μm以上100μm以下であり、0.1μm以上50μm以下が好ましく、1μm以上30μm以下がより好ましく、2μm以上15μm以下がよりいっそう好ましい。強化剤の平均繊維長は、適宜選択できるが、例えば0.1μm以上1mm以下であり、1μm以上200μm以下が好ましく、3μm以上100μm以下がより好ましく、5μm以上50μm以下がよりいっそう好ましい。強化剤の平均アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は、適宜選択できるが、例えば2以上300以下であり、2以上100以下が好ましく、3以上50以下がより好ましく、5以上30以下がよりいっそう好ましい。
【0039】
充填剤の形状は、適宜選択できる。不定形(破砕状)でもよいが、強化剤としての機能の観点では繊維状(針状)又は板状(鱗片状)が好ましく、流動性の観点では球状が好ましい。樹脂成形体5中の充填剤の含有量は、樹脂成形体5の熱膨張係数、機械的強度等を考慮して適宜決めればよいが、10wt%以上80wt%以下が好ましく、30wt%以上60wt%以下がより好ましい(うち強化剤は5wt%以上30wt%以下が好ましく、5wt%以上20wt%以下がより好ましい)。
【0040】
(リードフレーム)
リードフレーム3の母体としては、銅、アルミニウム、金、銀、タングステン、鉄、ニッケル、コバルト、モリブデンなどの金属又はこれらの合金の平板に、プレス(打ち抜き含む)、エッチング、圧延など各種の加工を施した板状の部材を用いることができる。リードフレーム3は、これらの金属又は合金の積層体で構成されてもよいが、単層で構成されるのが簡便で良い。特に、銅を主成分とする銅合金(燐青銅、鉄入り銅など)は放熱性や導電性に優れているため好ましい。
【0041】
リードフレーム3の表面、特に素子収容部7の底面に露出する電極リード32の表面には、銀、アルミニウム、ロジウム、金又はこれらの合金などの光反射膜が設けられていることが発光装置1の光取り出し効率向上の観点から好ましい。なかでも光反射性に優れる銀又は銀合金が好ましい。特に、硫黄系光沢剤を用いた銀又は銀合金の膜(例えばめっき膜)は、膜の表面が平滑で、極めて高い光反射性が得られるため好ましい。なお、この光沢剤中の硫黄及び/又は硫黄化合物は、銀又は銀合金の結晶粒中及び/又は結晶粒界に散在することになる(硫黄の含有量としては例えば50ppm以上300ppm以下が好ましい。)。光反射膜の光沢度は、適宜選択できるが、1.5以上であることが好ましく、1.8以上であることがより好ましい。なお、この光沢度は、GAM(Graphic Arts Manufacturing)社製のdigital densitometer Model 144を用いて測定される値とする。
【0042】
支持リード31の表面には、上記のような銀又は銀合金等のメッキが設けられることが好ましい。これにより、支持リード31の母材を保護することができ、支持リード31の錆びや劣化を低減し、パッケージ2の保持力を保つことができる。
【0043】
リードフレーム3の厚さは、得たい発光装置の特性や量産性に応じて適当な厚みを適宜選択できるが、例えば0.05mm以上1mm以下が挙げられ、0.07mm以上0.3mm以下が好ましく、0.1mm以上0.2mm以下がより好ましい。リードフレーム3は、全体にわたって略均一な厚みであってもよく、部分的に厚みが異なる部分を有していてもよい。厚みが部分的に異なる場合、電極リード32の樹脂成形体5に沿って曲げられる部分を薄くすることが好ましい。これにより、電極リード32を折り曲げやすくなり、リードフレーム3のねじれを低減することができる。また、後述するように、表面に溝や凹凸等が設けられていてもよい。
【0044】
(支持リード)
支持リード31は、樹脂成形体5の第1凹部51及び第2凹部52と嵌合して、パッケージ2を支持する。支持リード31の厚みは、リードフレーム3と同様のものとすることができ、例えば0.10mm〜0.20mmが好ましい。支持リードの31の厚みが厚い場合には、パッケージ2を強固に支持することができるが、支持リード31とパッケージ2との嵌合を解除しにくくなり、薄い場合には支持リード31とパッケージ2との嵌合を解除しやすいが、リードフレーム3のねじれが発生しやすくなるため、適切な厚みを選択することが好ましい。
【0045】
(発光素子)
発光素子4は、発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)などの半導体発光素子を用いることができる。発光素子4は、多くの場合に基板を有するが、少なくとも、種々の半導体で構成される素子構造と、正負(pn)一対の電極と、を有するものであればよい。特に、紫外〜可視域の発光が可能な窒化物半導体(InAlGa1−x−yN、0≦x、0≦y、x+y≦1)の発光素子が好ましい。発光素子4の発光ピーク波長は、発光効率、他の光源の光との混色関係、蛍光物質の励起効率などの観点から、445nm以上465nm以下の範囲が好ましい。このほか、発光素子4には、緑色〜赤色発光のガリウム砒素系、ガリウム燐系半導体の発光素子を用いることもできる。正負一対の電極が同一面側に設けられている発光素子の場合、各電極は、ワイヤで一対の電極リード32と接続されてもよいし、導電性の接着部材で一対の電極リード32と接続されてもよい(フリップチップ実装)。正負一対の電極が互いに反対の面に各々設けられている対向電極構造の発光素子の場合、下面側の電極が導電性の接着部材で一対の電極リード32の一方に接着され、上面側の電極がワイヤで一対の電極リード32の他方と接続される。1つのパッケージ2に実装される発光素子4の個数は1つでも複数でもよい。複数の発光素子を実装する場合は、複数の発光素子をワイヤにより互いに直列又は並列に接続することができる。1つのパッケージ2に、例えば青色・緑色・赤色発光の3つの発光素子、又は青色・緑色の2つの発光素子が実装されてもよい。
【0046】
(封止部材)
封止部材70は、発光素子4を封止して、埃や水分、外力などから発光素子4を保護する部材である。封止部材70を設けることで、発光素子4等の部材を保護し、発光装置1の信頼性を高めることができる。封止部材70は、電気的絶縁性を有し、発光素子4から出射される光に対して透光性(発光素子4の発光ピーク波長における光透過率が60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがよりいっそう好ましい)を有する部材であればよい。封止部材70は、母材中に、少なくとも蛍光物質を含有することが好ましいが、これに限定されない。
【0047】
封止部材70の母材は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、TPX樹脂、ポリノルボルネン樹脂、又はこれらの変性樹脂若しくはハイブリッド樹脂が挙げられる。なかでも、シリコーン系樹脂(シリコーン樹脂並びにその変性樹脂及びハイブリッド樹脂)は、低弾性率で、耐熱性及び耐光性に特に優れる反面、ガス透過性が比較的高いため、本実施形態による効果を奏しやすい。また、フェニル基を含むシリコーン系樹脂(メチル・フェニルシリコーン系樹脂〜ジフェニルシリコーン系樹脂)は、シリコーン系樹脂のなかでも耐熱性及びガスバリア性が比較的高く好ましい。フェニル基を含むシリコーン系樹脂中のケイ素原子に結合した全有機基のうちフェニル基の含有率は、例えば5mol%以上80mol%以下であり、20mol%以上70mol%以下であることが好ましく、30mol%以上60mol%以下であることがより好ましい。
【0048】
(蛍光物質)
封止部材70には蛍光物質が含有されていてもよい。蛍光物質は、発光素子4から出射される一次光の少なくとも一部を吸収して、一次光とは異なる波長の二次光を出射する。これにより、可視波長の一次光及び二次光の混色光(例えば白色光)を出射する発光装置とすることができる。蛍光物質は、以下に示す具体例のうちの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。緑色光乃至黄色光を発する蛍光体の具体例としては、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えばY(Al,Ga)12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えばLu(Al,Ga)12:Ce)、シリケート系蛍光体(例えば(Ba,Sr)SiO:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えばCaMg(SiOl2:Eu)、βサイアロン系蛍光体(例えばSi6−zAl8−z:Eu(0<Z<4.2))などが挙げられる。赤色光を発する蛍光体の具体例としては、窒素含有アルミノ珪酸カルシウム(CASN又はSCASN)系蛍光体(例えば(Sr,Ca)AlSiN:Eu)、マンガンで賦活されたフッ化珪酸カリウム系蛍光体(例えばKSiF:Mn)がある。このほか、蛍光物質は量子ドットを含んでもよい。量子ドットは、粒径1nm以上100nm以下程度の粒子であり、粒径によって発光波長を変えることができる。量子ドットとしては、例えば、セレン化カドミウム、テルル化カドミウム、硫化亜鉛、硫化カドミウム、硫化鉛、セレン化鉛、又はテルル化カドミウム・水銀などが挙げられる。
【0049】
封止部材70には充填剤が含有されていてもよい。封止部材70が含有する充填剤の材料としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛などが挙げられる。特に、酸化珪素は、封止部材70の熱膨張係数を低減するものとして好ましく用いることができる。封止部材70が含有する充填剤としては、これらのうちの1種を単独で、またはこれらのうちの2種以上を組み合わせて用いることができる。封止部材70が含有する充填剤の形状は、適宜選択できるが、不定形(破砕状)でもよいが、流動性の観点では球状が好ましい。封止部材70中の充填剤の含有量は、封止部材70の熱膨張係数、流動性等を考慮して適宜決めればよいが、0.1wt%以上50wt%以下が好ましく、1wt%以上30wt%以下がより好ましい。封止部材70が含有する充填剤として、ナノ粒子(粒径が1nm以上100nm以下の粒子)を用いることで、発光素子40の青色光など短波長の光の散乱(レイリー散乱を含む)を増大させ、蛍光物質の使用量を低減することもできる。ナノ粒子としては、例えば酸化珪素又は酸化ジルコニウムが好ましい。
【0050】
以上、実施形態について説明したが、これらの説明によって特許請求の範囲に記載された構成は何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0051】
100 発光装置集合体
10 複合基板
1 発光装置
2 パッケージ
21 第1外側面
22 第2外側面
23 第3外側面
24 第4外側面
3 リードフレーム
31 支持リード
311 第1支持リード
312 第2支持リード
32 電極リード
33 枠体
4 発光素子
5 樹脂成形体
51 第1凹部
52 第2凹部
6 開口部
7 素子収容部
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4