(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ラジカル硬化性樹脂(A)と前記不飽和単量体(B)との質量比(A)/(B)が30/70〜70/30の範囲である請求項1記載のVaRTM成形用樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のVaRTM成形用樹脂組成物は、ラジカル硬化性樹脂(A)、常圧での沸点が200℃以上の不飽和単量体(B)、及び重合開始剤(C)を含有するものである。
【0012】
前記ラジカル硬化性樹脂(A)としては、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられるが、樹脂組成物の低粘度設計がより容易であることから、エポキシ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0013】
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタアクリレートの一方又は両方をいい、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸の一方又は両方をいう。
【0014】
前記エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させることで得られる。
【0015】
前記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、ビスクレゾールフルオレン型等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、オキゾドリドン変性エポキシ樹脂、これらの樹脂の臭素化エポキシ樹脂等のフェノールのグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル等の多価アルコールのグリシジルエーテル、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、1−エポシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン等の脂環式エポキシ樹脂、フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ジグリシジル−p−オキシ安息香酸、ダイマー酸グリシジルエステルなどのグリシジルエステル、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、トリグリシジル−p一アミノフェノール、N,N−ジグリシジルアニリンなどのグリシジルアミン、1,3−ジグリシジル−5,5−ジメチルヒダントイン、トリグリシジルイソシアヌレートなどの複素環式エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの中でも、成形品強度と成形材料の取り扱い性、成形材料の成形時の流動性により優れることから2官能性芳香族系エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびビスフェノールF型エポキシ樹脂がより好ましい。なお、これらのエポキシ樹脂は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0016】
前記したエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応は、エステル化触媒を用い、60〜140℃において行われることが好ましい。また、重合禁止剤等を使用することもできる。
【0017】
前記不飽和単量体(B)は、常圧での沸点が200℃以上であることが重要である。これにより、本発明の成形材料は速硬化に必要な型加熱条件においても、成形性に優れ、VaRTM成形のハイサイクル化が可能となり、生産性が向上する。
【0018】
前記不飽和単量体(B)としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートアルキルエーテル、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートアルキルエーテル、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート等の単官能(メタ)アクリレート化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート化合物;ジアリルフタレート、ジビニルベンゼンなどが挙げられるが、これらの中でも、より高強度の成形品が得られることから、芳香族を有する不飽和単量体が好ましく、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレートがより好ましい。なお、これらの不飽和単量体は単独で用いることも、2種以上併用することもできる。
【0019】
前記ラジカル硬化性樹脂(A)と前記不飽和単量体(B)との質量比((A)/(B))は、炭素繊維への樹脂含浸性、硬化性及び成形品の機械特性のバランスがより向上することから、30/70〜70/30の範囲が好ましく、40/60〜60/40の範囲がより好ましい。
【0020】
前記重合開始剤(C)としては、特に限定されないが、有機過酸化物が好ましく、例えば、ジアシルパーオキサイド化合物、パーオキシエステル化合物、ハイドロパーオキサイド化合物、ケトンパーオキサイド化合物、アルキルパーエステル化合物、パーカーボネート化合物、パーオキシケタール等が挙げられ、成形条件に応じて適宜選択できる。なお、これらの重合開始剤(C)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0021】
また、これらの中でも、10時間半減期を得るための温度が70℃以上110℃以下の重合開始剤を使用するのが好ましい。70℃以上110℃以下であれば繊維強化成形材料の常温でのライフが長く、また加熱により短時間で硬化ができるため好ましく、硬化性と成形性のバランスがより優れる。このような重合開始剤としては、例えば、1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニロキシ)ヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−アミルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシジエチルアセテート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、t−アミルパーオキシトリメチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−ベンゾエート、ジ−(4−t−ブチルシクロヘキシル)−パーオキシジカーボネート、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
【0022】
前記重合開始剤(C)の含有量としては、硬化特性と保存安定性が共に優れることから、前記ラジカル硬化性樹脂(A)と前記不飽和単量体(B)との総量に対して、0.3〜3質量%の範囲が好ましい。
【0023】
本発明のVaRTM成形用樹脂組成物の成分としては、前記ラジカル硬化性樹脂(A)、前記不飽和単量体(B)、前記重合開始剤(C)以外のものを使用してもよく、例えば、前記ラジカル硬化性樹脂(A)以外の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、重合禁止剤、硬化促進剤、充填剤、低収縮剤、離型剤、増粘剤、減粘剤、顔料、酸化防止剤、可塑剤、難燃剤、抗菌剤、紫外線安定剤、補強材、光硬化剤等を含有することができる。
【0024】
前記熱硬化性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂等が挙げられる。また、これらの熱硬化性樹脂は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0025】
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイソプレン樹脂およびこれらを共重合等により変性させたものが挙げられる。また、これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0026】
前記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、トルハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、ナフテン酸銅、塩化銅等が挙げられる。これらの重合禁止剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0027】
前記硬化促進剤としては、例えば、ナフテン酸コバルト、2−エチルヘキサン酸コバルト、2−エチルヘキサン酸バナジル、ナフテン酸銅、ナフテン酸バリウム等の金属石鹸類、バナジルアセチルアセテート、コバルトアセチルアセテート、鉄アセチルアセトネート等の金属キレート化合物が挙げられる。またアミン化合物として、N,N−ジメチルアミノ−p−ベンズアルデヒド、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N−エチル−m−トルイジン、トリエタノールアミン、m−トルイジン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェニルモルホリン、ピペリジン、ジエタノールアニリン等が挙げられる。これらの硬化促進剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0028】
前記充填剤としては、無機化合物、有機化合物があり、成形品の強度、弾性率、衝撃強度、疲労耐久性等の物性を調整するために使用できる。これらの充填剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0029】
前記無機化合物としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、マイカ、タルク、カオリン、クレー、セライト、アスベスト、バーライト、バライタ、シリカ、ケイ砂、ドロマイト石灰石、石こう、アルミニウム微粉、中空バルーン、アルミナ、ガラス粉、水酸化アルミニウム、寒水石、酸化ジルコニウム、三酸化アンチモン、酸化チタン、二酸化モリブデン、鉄粉等が挙げられる。
【0030】
前記有機化合物としては、セルロース、キチン等の天然多糖類粉末や、合成樹脂粉末等があり、合成樹脂粉末としては、硬質樹脂、軟質ゴム、エラストマーまたは重合体(共重合体)などから構成される有機物の粉体やコアシェル型などの多層構造を有する粒子を使用できる。具体的には、ブタジエンゴムおよび/またはアクリルゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム等からなる粒子、ポリイミド樹脂粉末、フッ素樹脂粉末、フェノール樹脂粉末などが挙げられる。
【0031】
前記離型剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、カルナバワックスなどが挙げられる。好ましくは、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、カルナバワックス等が挙げられる。これらの離型剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0032】
本発明のVaRTM成形用樹脂組成物は、前記ラジカル硬化性樹脂(A)、前記不飽和単量体(B)、前記重合開始剤(C)及び必要に応じて他の成分を混合することにより得られる。
【0033】
また、本発明のVaRTM成形用樹脂組成物の粘度は、成形型内への注入時間及び炭素繊維への含浸性がより向上することから、25℃において、30〜2000mPa・sの範囲が好ましく、50〜1000mPa・sの範囲がより好ましい。
【0034】
本発明の成形品は、前記VaRTM成形用樹脂組成物及び炭素繊維強化材(D)を含有するものである。
【0035】
本発明の成形品中の前記炭素繊維強化材(D)の含有率は、得られる成形品の機械的物性がより向上することから、30〜70体積%の範囲が好ましく、45〜65体積%の範囲がより好ましい。炭素繊維含有率が低いと、高強度な成形品が得られない可能性があり、炭素繊維含有率が高いと、繊維への樹脂含浸性が不十分で、成形品にふくれが生じ、やはり高強度な成形品が得られない可能性がある。
【0036】
前記炭素繊維強化材(D)は、炭素繊維単独、または必要に応じて他のガラス繊維などの無機繊維や有機繊維などと組み合わせたものからなる。
【0037】
前記炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル系、ピッチ系、レーヨン系等の各種のものが使用できるが、これらの中でも、容易に高強度の炭素繊維が得られることから、ポリアクリロニトリル系のものが好ましい。
【0038】
前記炭素繊維強化材(D)の形態としては、繊維方向をほぼ同方向に引き揃え、補助よこ糸やバインダーなどで一体化させた一方向織物や、少なくとも炭素繊維を二方向に交錯させた二方向織物、多方向に交錯させた多軸織物、一方向に炭素繊維を引き揃えたシートを多方向に積層し、ステッチ糸で一体化した多軸ステッチ基材、その他にも組紐、不連続繊維を用いた不織布やマット、更に、積層、賦形し、結着剤やステッチなどの手段で形態を固定したプリフォームとして使用してもよい。
【0039】
本発明の成形品は、公知のVaRTM成形方法により得られるが、例えば、前記炭素繊維強化材(D)を賦形した成形型内を10kPa以下に減圧し、生産性を上げる目的で、型温度を60〜150℃に加熱した状態で、前記VaRTM成形用樹脂組成物を注入し、必要により100kPa〜12MPaで圧入し、前記炭素繊維強化材(D)に含浸させ、1〜120分間硬化させた後、脱型することで得られる。
【0040】
本発明のVaRTM成形用樹脂組成物から得られる成形品は、外観、曲げ強さ、曲げ弾性率等に優れることから、自動車部材、鉄道車両部材、航空宇宙機部材、船舶部材、住宅設備部材、スポーツ部材、軽車両部材、建築土木部材、OA機器等の筐体等に好適に用いることができる。
【実施例】
【0041】
以下に本発明を具体的な実施例を挙げてより詳細に説明する。
【0042】
(合成例1:エポキシメタクリレート(A−1)の合成)
温度計、窒素導入管、撹拌機を設けた2Lフラスコに、エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン850」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量188)677質量部、メタクリル酸310質量部、及びt−ブチルハイドロキノン0.29質量部を仕込み、窒素と空気とを1対1で混合したガス流通下で、90℃まで昇温した。ここに2−メチルイミダゾール0.60質量部を入れ、110℃に昇温して10時間反応させると、酸価が6以下になったので、反応を終了した。60℃付近まで冷却した後、反応容器より取り出し、エポキシメタクリレート(A−1)を得た。
【0043】
(実施例1:VaRTM成形用樹脂組成物(1)の調製及び評価)
合成例1で得たエポキシメタクリレート(A−1)45質量部をフェノキシエチルメタクリレート(常圧下沸点:260℃)55質量部に溶解させた樹脂溶液100質量部に、6%2−エチルヘキサン酸コバルト0.1質量部、重合開始剤(化薬アクゾ株式会社製「カヤエステルO−50E」、有機過酸化物、以下、「重合開始剤(C−1)」と略記する。)1部を混合し、VaRTM成形用樹脂組成物(1)を得た。このVaRTM成形用樹脂組成物(1)の粘度は、200mPa・sであった。
【0044】
[成形品(1)の作製]
加熱・温調可能な型面(400mm×400mm)に、炭素繊維強化材(三菱レイヨン株式会社製「TR3110MS」、フィラメント径:7μmの3K炭素繊維トウの平織クロス、200g/m
2)250mm×250mm:8プライ、樹脂供給ライン、減圧ラインとしてφ6mmスパイラルチューブを配置し、その上にピールプライ(AIRTECH社製「BleederLeaseB」)、フローメディア(AIRTECH社製「Greenflow75」)、バギングフィルム(AIRTECH社製「KM1300」)で順に覆い、バギングフィルム周縁と型面および、樹脂供給、減圧ホースの間をシールテープ(AIRTECH社製「AT−200Y」)で密閉した。樹脂供給ホースは、樹脂槽底面に届く長さとした。また、減圧ホースは、減圧ゲージを介して、真空ポンプに接続した。
樹脂槽手前の樹脂供給ホースをバイスプライヤーで遮断し、真空ポンプを運転させ、型とバギングフィルムの間の気密を確認、減圧ゲージで10kPa以下を保持した。
上記、減圧度を保持したまま、型温を90℃に昇温、樹脂槽には、VaRTM成形用樹脂組成物(1)300gを移し入れた。
樹脂供給ホースのバイスプライヤーを解放し、型とフィルム間の炭素繊維強化材への樹脂の注入を開始した。約5分で炭素繊維強化材全面への注入を終え、樹脂供給ホース、減圧ホースをバイスプライヤーで遮断した。そのまま、型温度90℃で60分間硬化させ成形品(1)を得た。得られた成形品(1)の板厚は、2.0mmで、炭素繊維含有率は、50.5体積%であった。
【0045】
[成形性(外観)の評価]
上記で得られた成形品(1)の外観を目視により下記の基準に従い評価した。
○:未含浸部・発泡なし
△:未含浸部・発泡あり
×:全面に未含浸・発泡あり
【0046】
[曲げ強さ・曲げ弾性率の評価]
上記で得られた成形品(1)について、JIS K7074−1988に準拠し、3点曲げ試験を行い、曲げ強さ、曲げ弾性率を測定した。
【0047】
[バーコル硬さの評価]
上記で得られた成形品(1)について、JIS K7060−1995に準拠し、GYZJ934−1により、バーコル硬さを測定した。
【0048】
(実施例2:VaRTM成形用樹脂組成物(2)の調製及び評価)
合成例1で得たエポキシメタクリレート(A−1)55質量部をベンジルメタクリレート(常圧下沸点:210℃)45質量部に溶解させた樹脂溶液100質量部に、6%2−エチルヘキサン酸コバルト0.1質量部、重合開始剤(C−1)1部を混合し、VaRTM成形用樹脂組成物(2)を得た。このVaRTM成形用樹脂組成物(2)の粘度は、170mPa・sであった。
【0049】
実施例1で用いたVaRTM成形用樹脂組成物(1)をVaRTM成形用樹脂組成物(2)に変更した以外は、実施例1と同様に操作し、成形品(2)を作製し、各評価を行った。
【0050】
(実施例3:VaRTM成形用樹脂組成物(3)の調製及び評価)
合成例1で得たエポキシメタクリレート(A−1)50質量部をジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(常圧下沸点:359℃)50質量部に溶解させた樹脂溶液100質量部に、6%2−エチルヘキサン酸コバルト0.1質量部、重合開始剤(C−1)1部を混合し、VaRTM成形用樹脂組成物(2)を得た。このVaRTM成形用樹脂組成物(3)の粘度は、1250mPa・sであった。
【0051】
実施例1で用いたVaRTM成形用樹脂組成物(1)をVaRTM成形用樹脂組成物(3)に変更した以外は、実施例1と同様に操作し、成形品(3)を作製し、各評価を行った。
【0052】
(実施例4:VaRTM成形用樹脂組成物(4)の調製及び評価)
合成例1で得たエポキシメタクリレート(A−1)50質量部をエチレングリコールジメタクリレート(常圧下沸点:260℃)50質量部に溶解させた樹脂溶液100質量部に、6%2−エチルヘキサン酸コバルト0.1質量部、重合開始剤(C−1)1部を混合し、VaRTM成形用樹脂組成物(4)を得た。このVaRTM成形用樹脂組成物(4)の粘度は、130mPa・sであった。
【0053】
実施例1で用いたVaRTM成形用樹脂組成物(1)をVaRTM成形用樹脂組成物(4)に変更した以外は、実施例1と同様に操作し、成形品(4)を作製し、各評価を行った。
【0054】
(比較例1:VaRTM成形用樹脂組成物(R1)の調製及び評価)
実施例2で用いたベンジルメタクリレート45質量部をスチレン(常圧下沸点:145℃)45質量部に変更した以外は、実施例2と同様に操作し、VaRTM成形用樹脂組成物(R1)を得た。このVaRTM成形用樹脂組成物(R1)の粘度は、50mPa・sであった。
【0055】
実施例1で用いたVaRTM成形用樹脂組成物(1)をVaRTM成形用樹脂組成物(R1)に変更した以外は、実施例1と同様に操作し、成形品(R1)を作製し、各評価を行った。
【0056】
(比較例2:VaRTM成形用樹脂組成物(R2)の調製及び評価)
実施例2で用いたベンジルメタクリレート45質量部をメチルメタクリレート(常圧下沸点:101℃)45質量部に変更した以外は、実施例2と同様に操作し、VaRTM成形用樹脂組成物(R2)を得た。このVaRTM成形用樹脂組成物(R1)の粘度は、40mPa・sであった。
【0057】
実施例1で用いたVaRTM成形用樹脂組成物(1)をVaRTM成形用樹脂組成物(R2)に変更した以外は、実施例1と同様に操作し、成形品(R2)を作製し、各評価を行った。
【0058】
上記で得られたVaRTM成形用樹脂組成物(1)〜(4)、(R1)及び(R2)の評価結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
実施例1〜4の本発明のVaRTM成形用樹脂組成物は、成形性に優れ、得られる成形品は曲げ強さ、曲げ弾性率及びバーコル硬さに優れることが確認された。
【0061】
一方、比較例1は不飽和単量体として、沸点が200℃未満であるスチレンを用いた例であるが、減圧下での樹脂注入時、の樹脂中のモノマーの沸騰が生じ、成形品の一部に未含浸・硬化不良が生じた。そのため、曲げ強さ・曲げ弾性率の評価をできなかった。
【0062】
比較例2は不飽和単量体として、沸点が200℃未満であるメチルメタクリレートを用いた例であるが、減圧下での樹脂注入時、の樹脂中のモノマーの沸騰が生じ、成形品の全面に未含浸・硬化不良が生じた。そのため、曲げ強さ・曲げ弾性率の評価をできなかった。
ラジカル硬化性樹脂(A)、常圧での沸点が200℃以上の不飽和単量体(B)、及び重合開始剤(C)を含有することを特徴とするVaRTM(バキューム・アシスト・レジン・トランスファー・モールディング)成形用樹脂組成物を提供する。このVaRTM成形用樹脂組成物は、成形品の生産性に優れるとともに、外観、曲げ強さ、及び曲げ弾性率等の各種物性に優れる成形品を得られることから、成形材料及び成形品に好適に用いることができる。