(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本願発明の液晶表示素子及びその製造方法の実施の形態について説明する。
【0048】
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をよりよく理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
<液晶表示素子>
本願発明の液晶表示素子は、一対の基板の間に、液晶組成物を含有する液晶層が挟持された液晶表示素子であって、液晶層に電圧を印加し、液晶層中の液晶分子をフレデリクス転移させることにより、光学的なスイッチとして働かせる原理に基づくものであり、この点では周知慣用技術を用いることができる。
【0049】
2枚の基板が液晶分子をフレデリクス転移させるための電極を有する、通常の垂直配向液晶表示素子では、一般的に、これら基板間に垂直に電荷を印加する方式が採用される。この場合、一方の電極は共通電極となり、もう一方の電極は画素電極となる。以下、この方式の最も典型的な実施形態を示す。
【0050】
図1は、本発明の液晶表示素子の一実施形態を示す概略斜視図である。
【0051】
本実施形態の液晶表示素子10は、第一の基板11と、第二の基板12と、第一の基板11と第二の基板12との間に挟持され、液晶組成物を含有する液晶層13と、第一の基板11における液晶層13と対向する面上に設けられた共通電極14と、第二の基板12における液晶層13と対向する面上に設けられた画素電極15と、第一の基板11と共通電極14との間に設けられたカラーフィルタ18と、から概略構成されている。
【0052】
第一の基板11及び第二の基板12としては、例えば、ガラス基板又はプラスチック基板が用いられる。
【0053】
前記プラスチック基板としては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、環状オレフィン樹脂等の樹脂からなる基板が用いられる。
【0054】
共通電極14及び画素電極15は、通常、インジウム添加酸化スズ(ITO)等の透明性を有する材料から構成される。
【0055】
画素電極15は、第二の基板12にマトリクス状に配設されている。画素電極15は、TFTスイッチング素子(図示略)に代表されるアクティブ素子のドレイン電極により制御され、そのTFTスイッチング素子は、アドレス信号線であるゲート線及びデータ線であるソース線をマトリクス状に有している。
【0056】
画素電極15は、その画素中に液晶分子のプレチルトの方向が異なる2以上の領域を有する。このように、液晶分子のプレチルトの方向を規定して、画素内の液晶分子の倒れる方向をいくつかの領域に分割する画素分割を行うことで、視野角特性が向上する。
【0057】
画素分割を行う場合、例えば、各画素内において、ストライプ状やV字状等のパターンを有するスリット(電極の形成されない部分)を有する画素電極を設ければよい。
【0058】
図2は、画素内を4つの領域に分割する場合のスリット電極(櫛形電極)の典型的な形態を示す概略平面図である。このスリット電極は、画素の中央から4方向に櫛歯状にスリットを有することにより、電圧無印加時に基板に対して略垂直配向している各画素内の液晶分子は、電圧の印加に伴って4つの異なった方向に液晶分子のダイレクターを向けて、水平配向に近づいていく。その結果、画素内の液晶分子の配向方向を複数に分割できるので、極めて広い視野角特性を有する。
【0059】
液晶表示素子10としては、画素電極15がスリットを有する(スリット電極である)ものが好ましい。
【0060】
画素分割を行う方法としては、前記スリット電極を設ける方法の他に、画素内に線状突起等の構造物を設ける方法、画素電極や共通電極以外の電極を設ける方法等が適用され(図示略)、前記構造物を設ける方法が好ましい。前記構造物は、第一の基板11及び第二の基板12の少なくとも一方が有していればよく、両方が有していてもよい。
【0061】
ただし、透過率、製造の容易さの点からは、スリット電極を用いる構成が好ましい。スリット電極は、電圧無印加時には液晶分子に対して駆動力を有しないことから、液晶分子にプレチルト角を付与することはできない。しかし、本願発明においては、後述する配向制御層を設けることにより、プレチルト角を付与することができるとともに、画素分割したスリット電極と組み合わせることにより、画素分割による広視野角を達成できる。
【0062】
本願発明において、プレチルト角を有するとは、電圧無印加状態において、基板面(第一の基板11及び第二の基板12における液晶層13と隣接する面)に対して垂直な方向と、液晶分子のダイレクターの方向とが、僅かに異なっている状態をいう。
【0063】
本願発明の液晶表示素子は、垂直配向(VA)型液晶表示素子なので、電圧無印加時に液晶分子のダイレクターは基板面に対して略垂直配向しているものである。通常、VA型液晶表示素子において液晶分子を垂直配向させるためには、第一の基板と液晶層との間、第二の基板と液晶層との間に、それぞれポリイミド、ポリアミド、ポリシロキサン等の垂直配向膜が配置されるが、本発明の液晶表示素子は、少なくともひとつの基板はこのような垂直配向膜を有しない。しかしながら、もし、一方の基板に垂直配向膜を有する場合は、例えば、ポリイミド、ポリアミド、BCB(ペンゾシクロブテンポリマー)、ポリビニルアルコールなどの透明性有機材料を用いることができる。本願発明の液晶表示素子においては、上述のPSA方式の液晶表示素子と同様に、電極間に電圧を印加し、液晶分子を僅かにチルトさせた状態で、紫外線等の活性エネルギー線を照射して、液晶組成物中の重合性化合物を重合させることにより、適切なプレチルト角を付与するものである。ただし、本願発明の液晶表示素子においては、重合性化合物として、具体的には後述の重合性化合物を重合させて配向制御層を形成する。
【0064】
なお、本発明において、「液晶分子が略垂直配向している」とは、垂直配向している液晶分子のダイレクターが垂直方向からやや倒れてプレチルト角が付与されている状態を意味する。液晶分子が完全に垂直配向している場合、基板面に対して完全に平行な方向と、液晶分子のダイレクターの方向と、のなす角度は90°であり、液晶分子が完全にホモジニアス配向(基板面に対して水平に配向)している場合、前記角度は0°であり、液晶分子が略垂直配向している場合、前記角度は好ましくは89.7〜85°、より好ましくは89.5〜87°である。
【0065】
また、本願発明の液晶表示素子として、電極が一方の基板にのみ施されたものを用いることができる。
図4及び
図5は、一方の基板に電極が施された液晶表示素子の概略断面図の例である。
図4は、一般的にIPSモードと言われる液晶表示素子の構成を示し、第二の基板12の上に、第一の電極20と第二の電極21が施されている。
図5は、一般的にFFSモードと呼ばれる液晶表示素子の構成を示し、第二の基板12の上に、共通電極14と画素電極15が施されている。
【0066】
本願発明の液晶表示素子の配向制御層を形成するため、一般式(1)
【0068】
(式中、Z
1は、式(i)又は式(ii)
【0070】
のいずれかを表し、Z
2は、式(iii)又は式(iv)
【0072】
のいずれかを表し、M
1は、式(v)、式(vi)、式(vii)又は式(viii)
【0074】
のいずれかを表し、X
1からX
47はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン、シアノ基、式(2)
【0078】
を表すが、存在するX
1からX
47の中の少なくとも一つは式(2)を表し、
Y
1、Y
2及びZ
3はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基又はR
3を表し、S
1、S
2、S
3、S
4及びS
5はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜12個のアルキレン基又は単結合を表し、該アルキレン基中の1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は、−O−、−COO−、−OCO−又は−OCOO−に置き換えられても良く、R
1、R
2、R
3及びR
4はそれぞれ独立して、水素原子又は式(R−1)から式(R−15)
【0080】
のいずれかを表し、L
1、L
2及びL
4はそれぞれ独立して、単結合、−O−、−CH=CH−、―OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−C
2H
4−、−COO−、−OCO−、−OCOOCH
2−、−CH
2OCOO−、−OCH
2CH
2O−、−CH=CR
a−COO−、−CH=CR
a−OCO−、−COO−CR
a=CH−、−OCO−CR
a=CH−、−COOC
2H
4−、−OCOC
2H
4−、−C
2H
4OCO−、−(CH
2)
j−C(=O)−O−、−(CH
2)
j−O−(C=O)−、−O−(C=O)−(CH
2)
j−、−(C=O)−O−(CH
2)
j−、−CH
2OCO−、−COOCH
2−、−OCOCH
2−、−CF
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−又は−C≡C−(式中、R
aはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、jは1〜4の整数を表す。)を表し、L
3は、単結合、−O−、―OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−C
2H
4−、−COO−、−OCO−、−OCH
2CH
2O−、−CH=CR
a−COO−、−CH=CR
a−OCO−、−COO−CR
a=CH−、−OCO−CR
a=CH−、−CH=CH−、又は−C≡C−(式中、R
aはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)を表し、M
3及びM
4はそれぞれ独立して、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキセン−1,4−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、フェナントレン−2,7ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル又はシクロペンテン−1,3−ジイルを表し、M
3及びM
4はそれぞれ独立して、無置換であっても、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン、シアノ基、又はニトロ基で置換されていても良く、mは、0、1又は2を表し、pは、0、1又は2を表すが、mが2の場合、複数のL
1及びM
1は同一であっても良く異なっていても良く、pが2の場合、複数のL
4及びM
3は同一であっても良く異なっていても良い。)で表される重合性化合物を使用する。
【0081】
一般式(1)で表される化合物は、複数の環が直結あるいは連結基を介して直線状に連結したメソゲン骨格(主骨格)のラテラル位置に少なくともひとつ以上の環骨格の側鎖基(側鎖骨格)を有する構造上の特徴を有している。つまり、主骨格部分と側鎖骨格部分の両方に環構造を有する重合性化合物を使用し配向制御層を形成されることにより、本発明の液晶表示素子において、配向制御層と基板との密着性が高まると同時に、液晶分子の配向均一性および配向安定性が優れたものとなる。
【0082】
一般式(1)の式中、Z
1は、式(i)又は式(ii)
【0084】
のいずれかを表し、Z
2は、式(iii)又は式(iv)
【0086】
のいずれかを表すが、Z
1は、式(i)を表すことが好ましく、Z
2は、式(iii)を表すことが好ましい。
【0087】
M
1は、式(v)、式(vi)、式(vii)又は式(viii)
【0089】
のいずれかを表すが、式(v)を表すことが好ましい。
【0090】
X
1からX
47はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン、シアノ基、式(2)
【0094】
を表すが、存在するX
1からX
47の中の少なくとも一つは式(2)を表す。X
1からX
47が式(2)以外を表す場合、水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のアルコキシ基、ハロゲン、式(3)を表すことが好ましい。X
1からX
47の中のいずれかが式(3)を表す場合、X
1、X
2、X
5、X
6、X
11、X
12、X
15及びX
16のいずれかが式(3)を表すことが好ましい。
【0095】
Y
1及びY
2はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基又はR
3を表すが、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン又はR
3を表すことが好ましく、R
3を表すことがより好ましい。
【0096】
Z
3は、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基又はR
3を表すが、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン又はシアノ基を表すことが好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数1〜5のアルコキシ基を表すことがより好ましい。
【0097】
S
1、S
2、S
3、S
4及びS
5はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜12個のアルキレン基又は単結合を表し、該アルキレン基中の1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は、−O−、−COO−、−OCO−又は−OCOO−に置き換えられても良いが、炭素原子数1〜8個のアルキレン基であって、該アルキレン基中の1個の−CH
2−が−O−に置き換えられもの、又は単結合を表すことが好ましく、単結合であることがより好ましい。
【0098】
R
1、R
2、R
3及びR
4はそれぞれ独立して、水素原子又は式(R−1)から式(R−15)
【0100】
のいずれかを表すが、式(R−1)又は式(R−2)を表すことが好ましい。
【0101】
L
1、L
2及びL
4はそれぞれ独立して、単結合、−O−、−CH=CH−、―OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−C
2H
4−、−COO−、−OCO−、−OCOOCH
2−、−CH
2OCOO−、−OCH
2CH
2O−、−CH=CR
a−COO−、−CH=CR
a−OCO−、−COO−CR
a=CH−、−OCO−CR
a=CH−、−COOC
2H
4−、−OCOC
2H
4−、−C
2H
4OCO−、−(CH
2)
j−C(=O)−O−、−(CH
2)
j−O−(C=O)−、−O−(C=O)−(CH
2)
j−、−(C=O)−O−(CH
2)
j−、−CH
2OCO−、−COOCH
2−、−OCOCH
2−、−CF
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−又は−C≡C−(式中、R
aはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、jは1〜4の整数を表す。)を表すが、単結合、−O−、−CH=CH−、―OCH
2−、−CH
2O−、−C
2H
4−、−COO−、−OCO−、−CH=CR
a−COO−、−OCO−CR
a=CH−、−OCOC
2H
4−、−C
2H
4OCO−又は−C≡C−(式中、R
aはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜2のアルキル基を表す。)を表すことが好ましく、単結合、−C
2H
4−、−COO−、−OCO−、−CH=CR
a−COO−、−OCO−CR
a=CH−、−OCOC
2H
4−、−C
2H
4OCO−又は−C≡C−(式中、R
aは水素原子を表す。)を表すことがより好ましい。
【0102】
L
3は、単結合、−O−、―OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−C
2H
4−、−COO−、−OCO−、−OCH
2CH
2O−、−CH=CR
a−COO−、−CH=CR
a−OCO−、−COO−CR
a=CH−、−OCO−CR
a=CH−、−CH=CH−、又は−C≡C−(式中、R
aはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)を表すが、単結合、−O−、―OCH
2−、−CH
2O−、−C
2H
4−、−COO−又は−OCO−を表すことが好ましく、単結合を表すことがより好ましい。
【0103】
M
2及びM
3はそれぞれ独立して、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキセン−1,4−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、フェナントレン−2,7ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル又はシクロペンテン−1,3−ジイルを表し、M
3及びM
4はそれぞれ独立して、無置換であっても、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン、シアノ基、又はニトロ基で置換されていても良いが、無置換又は、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のアルコキシ基、ハロゲンで置換されている1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すことが好ましく、無置換又は、炭素原子数1のアルキル基、炭素原子数1のアルコキシ基、ハロゲンで置換されている1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すことがより好ましく、無置換の1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基を表すことが更に好ましい。
【0104】
mは、0、1又は2を表すが、0又は1が好ましく、pは、0、1又は2を表すが、0又は1が好ましい。
【0105】
mが2の場合、複数のL
1及びM
1は同一であっても良く異なっていても良く、pが2の場合、複数のL
4及びM
3は同一であっても良く異なっていても良い。
【0106】
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの両方を意味するものとし、同様に、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基(H
2C=CH−CO−)及びメタクリロイル基(H
2C=C(CH
3)−CO−)の両方を意味するものとする。また、特に断りのない限り、「−COO−」は「−C(=O)−O−」を、「−OCO−」は「−O−C(=O)−」を、それぞれ意味するものとする。
【0107】
一般式(1)で表される化合物として、例えば、下記の一般式(1−A)〜(1−F)で表される化合物が好ましい。
【0109】
(式中、X
50からX
54はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜3のアルコキシ基、ハロゲン、シアノ基、又は式(3)
【0111】
を表し、Z
4は、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基を表し、
L
5、L
7及びL
8はそれぞれ独立して、単結合、−O−、−CH=CH−、―OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−C
2H
4−、−COO−、−OCO−、−OCOOCH
2−、−CH
2OCOO−、−OCH
2CH
2O−、−CH=CR
a−COO−、−CH=CR
a−OCO−、−COO−CR
a=CH−、−OCO−CR
a=CH−、−COOC
2H
4−、−OCOC
2H
4−、−C
2H
4OCO−、−(CH
2)
j−C(=O)−O−、−(CH
2)
j−O−(C=O)−、−O−(C=O)−(CH
2)
j−、−(C=O)−O−(CH
2)
j−、−CH
2OCO−、−COOCH
2−、−OCOCH
2−、−CF
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−又は−C≡C−(式中、R
aはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、jは1〜4の整数を表す。)を表し、L
6は、−O−、―OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−C
2H
4−、−COO−、−OCO−、−OCH
2CH
2O−、−CH=CR
a−COO−、−CH=CR
a−OCO−、−COO−CR
a=CH−、−OCO−CR
a=CH−、−CH=CH−、又は−C≡C−(式中、R
aはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)を表し、M
3及びM
4はそれぞれ独立して、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキセン−1,4−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、M
3及びM
4はそれぞれ独立して、無置換であっても、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜3のアルコキシ基、ハロゲン、シアノ基、又はニトロ基で置換されていても良く、nは、0又は1を表し、R
1、R
3、R
4、S
1、S
2、S
5及びpは、前記に記載の内容と同じ内容を意味する。)
一般式(1−A)〜(1−F)で表される化合物の内、更に具体的に、式(1−1)〜式(1−79)で表される化合物が好ましい。
【0122】
配向制御層は、液晶組成物に一般式(1)で表される化合物を含有する液晶含有重合用組成物を調製し、これを使用して形成する。具体的な配向制御層を形成する方法は、後段の<液晶表示素子の製造方法>において記述する。
【0123】
液晶含有重合用組成物には、一般式(1)で表される化合物を含有するが、その他の重合性化合物を含有することもできる。例えば、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物、2官能(メタ)アクリレート化合物、単官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
一般式(1)で表される化合物は、液晶含有重合用組成物に対して0.1〜15質量%含有することが好ましく、0.1〜10質量%含有することがより好ましく、0.1〜8質量%含有することが更に好ましい。
【0124】
本願発明に用いる液晶組成物は、一般式(I)
【0126】
(式中、R
1α及びR
2αはそれぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、Q
1は1,4−フェニレン基又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表し、l
1は1又は2を表すが、l
1が2の場合、2個のQ
1は同一であっても異なっていてもよい。)で表される化合物、
及び一般式(II)
【0128】
(式中、R
3αは炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、R
4αは炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数4〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数3〜8のアルケニルオキシ基を表し、存在するQ
2及びQ
3はそれぞれ独立して、1,4−フェニレン基又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表し、G
1及び存在するG
2はそれぞれ独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−又は−OCF
2−を表し、l
2は0、1又は2を表すが、l
2が2の場合、2個のQ
2及びG
2は同一であっても異なっていてもよい。)で表される化合物で表される化合物を含有することが好ましい。
【0129】
一般式(I)中、R
1α及びR
2αにおける炭素原子数1〜8のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基が挙げられる。
【0130】
R
1α及びR
2αにおける前記アルキル基は、炭素原子数1〜6であることが好ましい。
【0131】
一般式(I)中、R
1α及びR
2αにおける炭素原子数2〜8のアルケニル基としては、エテニル基(ビニル基)、2−プロペニル基(アリル基)等、R
1α及びR
2αにおける炭素原子数2〜8の前記アルキル基において、炭素原子間の1個の単結合(C−C)が二重結合(C=C)に置換されてなる一価の基が挙げられる。
【0132】
R
1α及びR
2αにおける前記アルケニル基は、炭素原子数2〜6であることが好ましく、以下の構造のものがより好ましい。
【0134】
(式中、アルケニル基は、その右端の炭素原子が環構造へ結合するものとする。)
一般式(I)中、R
1α及びR
2αにおける炭素原子数1〜8のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等、R
1α及びR
2αにおける炭素原子数1〜8の前記アルキル基が酸素原子に結合してなる一価の基が挙げられる。
【0135】
R
1α及びR
2αにおける前記アルコキシ基は、炭素原子数1〜6であることが好ましく、炭素原子数1〜5であることがより好ましく、炭素原子数1〜3であることが特に好ましい。
【0136】
一般式(I)中、R
1α及びR
2αにおける炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基としては、エテニルオキシ基、2−プロペニルオキシ基等、R
1α及びR
2αにおける炭素原子数2〜8の前記アルケニル基が酸素原子に結合してなる一価の基が挙げられる。
【0137】
R
1α及びR
2αにおける前記アルケニルオキシ基は、炭素原子数2〜6であることが好ましい。
【0138】
一般式(I)で表される化合物で好ましいものとしては、R
1α及びR
2αの組み合わせが、前記アルキル基同士であるもの、前記アルキル基及びアルコキシ基であるもの、前記アルキル基及びアルケニル基であるものが挙げられる。
【0139】
また、一般式(I)で表される化合物で好ましいものとしては、例えば、下記一般式(I−1)〜(I−4)で表されるものが挙げられる。
【0141】
(式中、R
1α及びR
2αは、前記と同じである。)
前記液晶組成物の一般式(I)で表される化合物の含有量は、30〜65質量%であることが好ましく、35〜55質量%であることがより好ましい。
【0142】
一般式(II)中、R
3αは、R
1α及びR
2αと同じものである。
【0143】
一般式(II)中、R
4αにおける炭素原子数1〜8のアルキル基及びアルコキシ基としては、R
1α及びR
2αにおける炭素原子数1〜8の前記アルキル基及びアルコキシ基と同じものが挙げられる。
【0144】
一般式(II)中、R
4αにおける炭素原子数4〜8のアルケニル基、及び炭素原子数3〜8のアルケニルオキシ基としては、炭素原子数が異なる点以外は、R
1α及びR
2αにおける前記アルケニル基及びアルケニルオキシ基と同じものが挙げられる。
【0145】
R
3α及びR
4αにおける前記アルキル基は、それぞれ独立して炭素原子数1〜6であることが好ましく、炭素原子数1〜5であることがより好ましい。
【0146】
R
3α及びR
4αにおける前記アルコキシ基は、それぞれ独立して炭素原子数1〜6であることが好ましく、炭素原子数1〜5であることがより好ましい。
【0147】
一般式(II)で表される化合物で好ましいものとしては、R
3αが前記アルキル基であるもの、R
4αが前記アルコキシ基であるもの、l
2が0又は1であるもの、G
1が単結合、−CH
2CH
2−又は−CH
2O−であるもの、G
2が単結合又は−CH
2CH
2−であるものが挙げられる。
【0148】
また、一般式(II)で表される化合物で好ましいものとしては、例えば、下記一般式(II−1)〜(II−8)で表されるものが挙げられる。
【0152】
(式中、R
3α及びR
4αは、前記と同じである。)
前記液晶組成物の一般式(II)で表される化合物の含有量は、30〜65質量%であることが好ましく、35〜55質量%であることがより好ましい。
【0153】
前記液晶組成物において、[一般式(II)で表される化合物の含有量]/[一般式(I)で表される化合物の含有量](質量比)は、8/2〜2/8であることが好ましく、7/3〜3/7であることがより好ましく、6/4〜4/6であることが特に好ましい。
【0154】
前記一般式(II)で表される化合物として、下記一般式(V)
【0156】
(式中、R
9α及びR
10αはそれぞれ独立して、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数2〜18のアルケニル基、炭素原子数1〜18のアルコキシ基又は炭素原子数2〜18のアルケニルオキシ基を表し、Q
4は1,4−フェニレン基又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表し、l
4は0又は1を表す。)で表される化合物を含有してもよい。
【0157】
一般式(V)中、R
9α及びR
10αにおける炭素原子数1〜18のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基が挙げられる。
【0158】
R
9α及びR
10αにおける前記アルキル基は、炭素原子数1〜10であることが好ましく、炭素原子数1〜6であることがより好ましい。
【0159】
一般式(V)中、R
9α及びR
10αにおける炭素原子数2〜18のアルケニル基としては、R
9α及びR
10αにおける炭素原子数2〜18の前記アルキル基において、炭素原子間の1個の単結合(C−C)が二重結合(C=C)に置換されてなる一価の基が挙げられる。
【0160】
R
9α及びR
10αにおける前記アルケニル基は、炭素原子数2〜6であることが好ましく、このようなものとして、R
1α及びR
2αの場合と同じものが挙げられる。
【0161】
一般式(V)中、R
9α及びR
10αにおける炭素原子数1〜18のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等、R
9α及びR
10αにおける炭素原子数1〜18の前記アルキル基が酸素原子に結合してなる一価の基が挙げられる。
【0162】
R
9α及びR
10αにおける前記アルコキシ基は、炭素原子数1〜10であることが好ましく、炭素原子数1〜6であることがより好ましい。
【0163】
一般式(V)中、R
9α及びR
10αにおける炭素原子数2〜18のアルケニルオキシ基としては、エテニルオキシ基、2−プロペニルオキシ基等、R
9α及びR
10αにおける炭素原子数2〜18の前記アルケニル基が酸素原子に結合してなる一価の基が挙げられる。
【0164】
一般式(V)で表される化合物で好ましいものとしては、例えば、下記一般式(V−1)
【0166】
(式中、R
9α及びR
10αは、前記と同じである。)で表される化合物が挙げられる。
【0167】
前記一般式(III)、(IV)及び(V)で表される化合物など、前記一般式(I)及び(II)で表される化合物以外の成分の前記液晶組成物における含有量は、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
【0168】
前記液晶組成物は、前記一般式(I)から(II)で表される化合物以外に、下記一般式(III)
【0170】
(式中、R
5α及びR
6αはそれぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基(該アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基又はアルケニルオキシ基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子又は−CO−で置換されていてもよく、該アルキレン基中の1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。)を表し、Q
3は1,4−フェニレン基又はテトラヒドロピラン−2,5−ジイル基を表し、l
3は0又は1を表し、G
2は単結合、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−又は−OCF
2−を表し、L
1〜L
6は、それぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表すが、L
1〜L
6の少なくとも2個はフッ素原子を表し、l
3が0を表しかつG
2が単結合を表す場合、L
5及びL
6が共にフッ素原子を表すことはない。)で表される化合物を含有してもよい。
【0171】
一般式(III)中、R
5α及びR
6αにおける炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基及び炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基は、R
1α及びR
2αにおけるものと同じである。
【0172】
一般式(III)で表される化合物で好ましいものとしては、例えば、下記一般式(III−1)
【0174】
(式中、R
5α及びR
6αは、前記と同じである。)で表される化合物が挙げられる。
【0175】
また、前記液晶組成物は、前記一般式(I)及び(II)で表される化合物以外に、下記一般式(IV−1)
【0177】
(式中、R
7α及びR
8αはそれぞれ独立して、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基又は炭素原子数1〜10のアルコキシ基を表す。)で表される化合物を含有してもよい。
【0178】
一般式(IV−1)中、R
7α及びR
8αにおける炭素原子数1〜10のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基が挙げられる。
【0179】
R
7α及びR
8αにおける前記アルキル基は、炭素原子数1〜6であることが好ましい。
【0180】
一般式(IV−1)中、R
7α及びR
8αにおける炭素原子数2〜10のアルケニル基としては、R
7α及びR
8αにおける炭素原子数2〜10の前記アルキル基において、炭素原子間の1個の単結合(C−C)が二重結合(C=C)に置換されてなる一価の基が挙げられる。
【0181】
R
7α及びR
8αにおける前記アルケニル基は、炭素原子数2〜6であることが好ましく、このようなものとして、R
1α及びR
2αの場合と同じものが挙げられる。
【0182】
一般式(IV−1)中、R
7α及びR
8αにおける炭素原子数1〜10のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等、R
7α及びR
8αにおける炭素原子数1〜10の前記アルキル基が酸素原子に結合してなる一価の基が挙げられる。
【0183】
更に、前記液晶組成物は、前記一般式(I)及び(II)で表される化合物以外に、下記一般式(IV−2)
【0185】
(式中、R
7α及びR
8αはそれぞれ独立して、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基又は炭素原子数1〜10のアルコキシ基を表し、X
7α及びX
8αはそれぞれ独立して、水素原子又はフッ素原子を表す。)で表される化合物を含有してもよい。
【0186】
一般式(IV−2)中、R
7α及びR
8αにおける炭素原子数1〜10のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基が挙げられる。
【0187】
R
7α及びR
8αにおける前記アルキル基は、炭素原子数1〜6であることが好ましい。
【0188】
一般式(IV−2)中、R
7α及びR
8αにおける炭素原子数2〜10のアルケニル基としては、R
7α及びR
8αにおける炭素原子数2〜10の前記アルキル基において、炭素原子間の1個の単結合(C−C)が二重結合(C=C)に置換されてなる一価の基が挙げられる。
【0189】
R
7α及びR
8αにおける前記アルケニル基は、炭素原子数2〜6であることが好ましく、このようなものとして、R
1α及びR
2αの場合と同じものが挙げられる。
【0190】
一般式(IV−2)中、R
7α及びR
8αにおける炭素原子数1〜10のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等、R
7α及びR
8αにおける炭素原子数1〜10の前記アルキル基が酸素原子に結合してなる一価の基が挙げられる。
【0191】
一般式(IV−2)中、X
7α及びX
8αはそれぞれ独立して、水素原子又はフッ素原子を表すが、いずれか一方はフッ素原子であることが好ましい。
【0192】
液晶表示素子10は、さらに、第一の基板11と液晶層13との間、及び第二の基板12と液晶層13との間、の少なくとも一方に、パッシベーション膜を有していてもよい(図示略)。このように、パッシベーション膜を有することで、近傍の第一の基板11又は第二の基板12の表面が保護される。
【0193】
液晶表示素子10は、さらに、第一の基板11と液晶層13との間、及び第二の基板12と液晶層13との間、の少なくとも一方に、平坦化膜を有していてもよい(図示略)。こ膜の表面の平坦性が高い場合には、かかるパッシベーション膜を平坦化膜としても取り扱ってよい。
【0194】
前記パッシベーション膜及び平坦化膜としては、いずれも公知のものが適宜使用できる。
【0195】
本発明の液晶表示素子は、液晶分子として一般式(I)及び(II)で表される特定の化合物を併用した液晶組成物と、2種以上の重合性化合物から形成された配向制御層とを組み合わせて用いることにより、従来の液晶表示素子とは異なり、第一の基板と液晶層との間、及び第二の基板と液晶層との間に、それぞれ配向膜を有していなくても、電圧無印加時に液晶分子は基板面に対して略垂直配向する。そして、誘電率異方性、粘度、ネマチック相上限温度、回転粘度(γ
1)等の諸特性を悪化させることなく、焼き付きと製造時の滴下痕の発生とが抑制される。
<液晶表示素子の製造方法>
図1に示す液晶表示素子10は、例えば、以下の方法で製造できる。
【0196】
まず、第一の基板11と第二の基板12とを重ね合わせ、これらの間に、後述する工程で液晶層13及び配向制御層を形成するための液晶含有重合用組成物を挟持する。前記液晶含有重合用組成物は、液晶組成物に対して、前記一般式(1)で表される化合物を必須成分として含有するものであるが、液晶組成物を構成する化合物として、一般式(I)で表される化合物及び前記一般式(II)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0197】
より具体的には、第一の基板11及び第二の基板12のいずれか一方における、これらの対向面に対して、セルギャップを確保するためのスペーサ突起物、例えば、プラスチックビーズ等を散布すると共に、例えば、エポキシ接着剤等を用いてスクリーン印刷法により、シール部を印刷(形成)する。なお、第一の基板11の第二の基板12に対向する面とは、共通電極14及びカラーフィルタ18を有する面であり、第二の基板12の第一の基板11に対向する面とは、画素電極15を有する面である。
【0198】
次いで、第一の基板11と第二の基板12とを対向させ、これらを、前記スペーサ突起物及びシール部を介して貼り合わせた後、形成されたスペースに前記液晶含有重合用組成物を注入する。そして、加熱等により、前記シール部を硬化させることにより、第一の基板11と第二の基板12との間に液晶含有重合用組成物を挟持する。
【0199】
次いで、共通電極14と画素電極15との間に、電圧印加手段を用いて、電圧を印加する。このときの電圧は、例えば、5〜30Vとする。これにより、第一の基板11の液晶含有重合用組成物との隣接面(液晶含有重合用組成物と対向する面)、及び第二の基板12の液晶含有重合用組成物との隣接面(液晶含有重合用組成物と対向する面)に対して、所定の角度をなす方向の電場が生じ、液晶含有重合用組成物中の液晶分子(一般式(I)で表される化合物、一般式(II)で表される化合物)19が、第一の基板11と第二の基板12の法線方向から所定方向に傾いて配向し、
図3に示すように、液晶分子19にプレチルト角θが付与される。プレチルト角θの大きさは、電圧の大きさを適宜調節することにより制御できる。
【0200】
次いで、電圧を印加した状態のまま、紫外線等の活性エネルギー線を、例えば、第一の基板11の外側から液晶含有重合用組成物に照射することにより、前記2種以上の重合性化合物を重合させる。なお、活性エネルギー線は、第二の基板12の外側から照射してもよいし、第一の基板11の外側及び第二の基板12の外側の双方から照射してもよい。
【0201】
活性エネルギー線の照射により、液晶含有重合用組成物中の2種以上の前記重合性化合物が反応して、液晶含有重合用組成物は所望の組成を有する液晶組成物となって液晶層13を構成し、同時に第一の基板11と液晶層13との間、及び第二の基板12と液晶層13との間に、配向制御層が形成される。
【0202】
形成された配向制御層は、非駆動状態において、液晶層13中の、第一の基板11の近傍及び第二の基板12の近傍に位置する液晶分子19にプレチルト角θを付与する。
【0203】
活性エネルギー線の照射強度は、一定であってもよいし、一定でなくてもよく、照射強度を変化させる場合には、各々の照射強度での照射時間を任意に設定できるが、2段階以上の照射工程を採用する場合には、2段階目以降の照射工程の照射強度は、1段階目の照射工程の照射強度よりも弱いことが好ましく、2段階目以降の照射工程の総照射時間は1段階目の照射時間よりも長くかつ照射総エネルギー量が大きいことが好ましい。また、照射強度を不連続に変化させる場合には、全照射工程時間の前半部分の平均照射光強度が後半部分の平均照射強度よりも強いことが好ましく、照射開始直後の強度が最も強いことがより好ましく、照射時間の経過と共にある一定値まで常に照射強度が減少し続けることがさらに好ましい。この場合の活性エネルギー線の照射強度は、2〜100mW/cm
2であることが好ましいが、多段階照射の場合の1段階目、または不連続に照射強度変化させる場合の全照射工程中の最高照射強度は、10〜100mW/cm
2であること、かつ多段階照射の場合の2段階目以降、又は不連続に照射強度を変化させる場合の最低照射強度は、2〜50mW/cm
2であることがより好ましい。また、照射総エネルギー量は、10〜300Jであることが好ましく、50〜250Jであることがより好ましく、100〜250Jであることがさらに好ましい。
【0204】
印加電圧は交流であってもよいし、直流であってもよい。
【0205】
照射する前記活性エネルギー線は、複数のスペクトルを有するものが好ましく、複数のスペクトルを有する紫外線が好ましい。複数のスペクトルを有する活性エネルギー線の照射によって、2種以上の前記重合性化合物は、その種類ごとに適したスペクトル(波長)の活性エネルギー線によって重合することが可能となり、この場合、配向制御層がより効率的に形成される。
【0206】
配向制御層は、前記重合性化合物の重合物により構成されるが、例えば、第一の基板11と液晶層13とを明確に区切ってこれらの間に形成されるとは限らず、第一の基板11の近傍においては、第一の基板11の液晶層13との隣接面(液晶層13と対向する面)から、液晶層13の内部に入り込むようにして形成されることもあると推測される。第二の基板12の近傍においても同様であり、配向制御層は、第二の基板12と液晶層13とを明確に区切ってこれらの間に形成されるとは限らず、第二の基板12の近傍においては、第二の基板12の液晶層13との隣接面(液晶層13と対向する面)から、液晶層13の内部に入り込むようにして形成されることもあると推測される。
【0207】
ただし、配向制御層の構造を正確に示すことは困難である。
【0208】
また、活性エネルギー線の照射により、前記2種以上の重合性化合物は、互いに類似の構造を有するもの同士が優先的に重合して、液晶分子を基板の近傍領域に配列させると共に、プレチルトの方向を所定の方向に規定して、配向を制御していると推測される。
【実施例】
【0209】
以下、例を挙げて本願発明を更に詳述するが、本願発明はこれらによって限定されるものではない。
【0210】
以下の実施例及び比較例において、Tni、Δn、Δε、η、γ
1をそれぞれ下記の通り定義する。
T
ni :ネマチック相−等方性液体相転移温度(℃)
Δn :25℃における屈折率異方性
Δε :25℃における誘電率異方性
η :20℃における粘度(mPa・s)
γ
1 :25℃における回転粘度(mPa・s)
以下の実施例及び比較例における液晶表示素子のプレチルト安定性について下記の方法により評価した。
(プレチルト安定性)
液晶表示装置のプレチルト安定性の評価は、表示エリア内に所定の電圧を印加下後に、電圧印加前後でのプレチルトシフト量を測定した。
(実施例1)
透明な共通電極からなる透明電極層及びカラーフィルター層を具備した第一の基板(共通電極基板)と、アクティブ素子により駆動される透明画素電極を有する画素電極層を具備した第二の基板(画素電極基板)とを作製した。
一般式(I)から選ばれる化合物、及び一般式(II)から選ばれる化合物を含有した液晶組成物LC−1を調製した。構成する化合物及び含有する比率は下記の通りである。
【0211】
【化55】
【0212】
液晶組成物LC−1 98.0wt%に対して、以下に示される重合性化合物
【0213】
【化56】
【0214】
を2.0wt%添加し、均一に溶解することにより液晶含有重合用組成物CLC−1を調製した。
【0215】
配向膜層を有しない共通電極基板及び画素電極基板に、液晶含有重合用組成物CLC−1を狭持した後、シール材を硬化させた。この際、厚さ3.2μmのスペーサを用いて、液晶層の厚さを3.2μmとした。得られた液晶表示に、電圧を印加した状態で紫外線を照射し、反応性基を有する重合性化合物を硬化させた。照射装置としては、ウシオ電機社製USH−250BYを用いて、100mWで10分間、液晶表示素子に紫外線を照射し、実施例1の液晶表示素子CLCD−1を得た。この工程により、反応性基を有する重合性化合物の重合体を含む配向制御層が形成され、液晶層中の液晶分子にプレチルト角が付与される。
【0216】
ここで、プレチルト角は、完全に垂直配向をしている場合、プレチルト角(θ)は90°と定義し、プレチルト角が付与された場合、プレチルト角(θ)は90°より小さくなる。
実施例1の液晶表示素子は、画素電極のスリットに従って、4つの区画において異なった方向にプレチルト角を有し、前記重合性化合物の硬化後、交流電場を切った状態でもプレチルト角が維持された。維持されたプレチルト角は89.1°であった。
【0217】
本実施例で使用した液晶組成物LC−1の各種特性を以下の表に示す。
【0218】
【表1】
【0219】
液晶表示素子のプレチルト安定性を測定した結果、プレチルトシフト量は、−0.3度とプレチルトシフト量が小さく、安定性が優れていることが示された。つまり、経時的な変化が大幅に抑制された配向制御層により配向の経時安定性が良好な液晶表示素子を得られることが明らかである。
(比較例1)
実施例1と同様の実験において、液晶組成物LC−1 98.0wt%に対して、以下に示される重合性化合物
【0220】
【化57】
【0221】
を1.5wt%添加し、以下で示される重合性化合物
【0222】
【化58】
【0223】
を0.4wt%添加し、さらに光重合開始剤Igacure651を0.1wt%添加し、均一に溶解することにより重合性液晶組成物CLC−1aを調製した。
【0224】
配向膜層を有しない共通電極基板及び画素電極基板に、重合性液晶組成物CLC−1aを狭持した後、シール材を硬化させて、液晶組成物層を形成した。この際、厚さ3.2μmのスペーサを用いて、液晶組成物層の厚さを3.2μmとした。得られた液晶表示に、電圧を印加した状態で紫外線を照射し、前記反応性基を有する重合性化合物を硬化させた。照射装置としては、ウシオ電機社製USH−250BYを用いて、100mWで10分間、液晶表示素子に紫外線を照射し、比較例1の液晶表示素子CLCD−1aを得た。
比較例1の液晶表示素子は、画素電極のスリットに従って、4つの区画において異なった方向にプレチルト角を有し、前記重合性化合物の硬化後、交流電場を切った状態でもプレチルト角が維持された。維持されたプレチルト角は87.0°であった。
【0225】
液晶表示素子のプレチルト安定性を測定した結果、プレチルトシフト量は、−0.9度とプレチルト角が大きく変化していることが分かった。
(実施例2)
実施例1と同様の実験において、使用する液晶組成物を一般式(I)から選ばれる化合物、及び一般式(II)から選ばれる化合物を含有した液晶組成物LC−2に変更した。構成する化合物及び含有する比率は下記の通りである。
【0226】
【化59】
【0227】
液晶組成物LC−2 97.7wt%に対して、以下に示される重合性化合物
【0228】
【化60】
【0229】
を2.3wt%添加し、均一に溶解することにより重合性液晶組成物CLC−2を調製した。
【0230】
配向膜層を有しない共通電極基板及び画素電極基板に、重合性液晶組成物CLC−2を狭持した後、シール材を硬化させて、液晶組成物層を形成した。この際、厚さ3.5μmのスペーサを用いて、液晶組成物層の厚さを3.5μmとした。得られた液晶表示に、電圧を印加した状態で紫外線を照射し、前記反応性基を有する重合性化合物を硬化させた。照射装置としては、ウシオ電機社製USH−250BYを用いて、100mWで10分間、液晶表示素子に紫外線を照射し、実施例2の液晶表示素子CLCD−2を得た。実施例2の液晶表示素子は、画素電極のスリットに従って、4つの区画において異なった方向にプレチルト角を有し、前記重合性化合物の硬化後、交流電場を切った状態でもプレチルト角が維持された。維持されたプレチルト角は88.9°であった。
【0231】
本実施例で使用した液晶組成物LC−2の各種特性を以下の表に示す。
【0232】
【表2】
【0233】
液晶表示素子のプレチルト安定性を測定した結果、プレチルトシフト量は、−0.2度とプレチルトシフト量が小さく、安定性が優れていることが示された。つまり、経時的な変化が大幅に抑制された配向制御層により配向の経時安定性が良好な液晶表示素子を得られることが明らかである。
(比較例2)
実施例1と同様の実験において、液晶組成物LC−2 98.0wt%に対して、以下に示される重合性化合物
【0234】
【化61】
【0235】
を1.5wt%添加し、以下に示される重合性化合物
【0236】
【化62】
【0237】
を0.4wt%添加し、さらに光重合開始剤Igacure651を0.1wt%添加し、均一に溶解することにより重合性液晶組成物CLC−2aを調製した。
【0238】
配向膜層を有しない共通電極基板及び画素電極基板に、重合性液晶組成物CLC−2aを狭持した後、シール材を硬化させて、液晶組成物層を形成した。この際、厚さ3.5μmのスペーサを用いて、液晶組成物層の厚さを3.5μmとした。得られた液晶表示に、電圧を印加した状態で紫外線を照射し、前記反応性基を有する重合性化合物を硬化させた。照射装置としては、ウシオ電機社製USH−250BYを用いて、100mWで10分間、液晶表示素子に紫外線を照射し、比較例2の液晶表示素子CLCD−2aを得た。比較例2の液晶表示素子は、画素電極のスリットに従って、4つの区画において異なった方向にプレチルト角を有し、前記重合性化合物の硬化後、交流電場を切った状態でもプレチルト角が維持された。維持されたプレチルト角は87.5°であった。
【0239】
液晶表示素子のプレチルト安定性を測定した結果、プレチルトシフト量は、−1.0度とプレチルト角が大きく変化していることが分かった。
(実施例3)
実施例1と同様の実験において、使用する液晶組成物を一般式(I)から選ばれる化合物、及び一般式(II)から選ばれる化合物を含有した液晶組成物LC−3に変更した。構成する化合物及び含有する比率は下記の通りである。
【0240】
【化63】
【0241】
液晶組成物LC−3 98.0wt%に対して、以下に示される重合性化合物
【0242】
【化64】
【0243】
を2.0wt%添加し、均一に溶解することにより重合性液晶組成物CLC−3を調製した。
配向膜層を有しない共通電極基板及び画素電極基板に、重合性液晶組成物CLC−3を狭持した後、シール材を硬化させて、液晶組成物層を形成した。この際、厚さ3.5μmのスペーサを用いて、液晶組成物層の厚さを3.5μmとした。得られた液晶表示に、電圧を印加した状態で紫外線を照射し、前記反応性基を有する重合性化合物を硬化させた。照射装置としては、ウシオ電機社製USH−250BYを用いて、100mWで10分間、液晶表示素子に紫外線を照射し、実施例3の液晶表示素子CLCD−3を得た。実施例3の液晶表示素子は、画素電極のスリットに従って、4つの区画において異なった方向にプレチルト角を有し、前記重合性化合物の硬化後、交流電場を切った状態でもプレチルト角が維持された。維持されたプレチルト角は89.3°であった。
【0244】
本実施例で使用した液晶組成物LC−3の各種特性を以下の表に示す。
【0245】
【表3】
【0246】
液晶表示素子のプレチルト安定性を測定した結果、プレチルトシフト量は、−0.4度とプレチルトシフト量が小さく、安定性が優れていることが示された。つまり、経時的な変化が大幅に抑制された配向制御層により配向の経時安定性が良好な液晶表示素子を得られることが明らかである。
(比較例3)
実施例1と同様の実験において、液晶組成物LC−3 98.0wt%に対して、以下に示される重合性化合物
【0247】
【化65】
【0248】
を1.5wt%添加し、以下に示される重合性化合物
【0249】
【化66】
【0250】
を0.4wt%添加し、さらに光重合開始剤Igacure651を0.1wt%添加し、均一に溶解することにより重合性液晶組成物CLC−3aを調製した。
【0251】
配向膜層を有しない共通電極基板及び画素電極基板に、重合性液晶組成物CLC−3aを狭持した後、シール材を硬化させて、液晶組成物層を形成した。この際、厚さ3.5μmのスペーサを用いて、液晶組成物層の厚さを3.5μmとした。得られた液晶表示に、電圧を印加した状態で紫外線を照射し、前記反応性基を有する重合性化合物を硬化させた。照射装置としては、ウシオ電機社製USH−250BYを用いて、100mWで10分間、液晶表示素子に紫外線を照射し、比較例3の液晶表示素子CLCD−3aを得た。比較例3の液晶表示素子は、画素電極のスリットに従って、4つの区画において異なった方向にプレチルト角を有し、前記重合性化合物の硬化後、交流電場を切った状態でもプレチルト角が維持された。維持されたプレチルト角は87.7°であった。
【0252】
液晶表示素子のプレチルト安定性を測定した結果、プレチルトシフト量は、−0.8度とプレチルト角が大きく変化していることが分かった。
(実施例4)
実施例1と同様の実験において、使用する液晶組成物を一般式(I)から選ばれる化合物、及び一般式(II)から選ばれる化合物を含有した液晶組成物LC−4に変更した。構成する化合物及び含有する比率は下記の通りである。
【0253】
【化67】
【0254】
液晶組成物LC−4 97.8wt%に対して、以下に示される重合性化合物
【0255】
【化68】
【0256】
を2.2wt%添加し、均一に溶解することにより重合性液晶組成物CLC−4を調製した。
配向膜層を有しない共通電極基板及び画素電極基板に、重合性液晶組成物CLC−4を狭持した後、シール材を硬化させて、液晶組成物層を形成した。この際、厚さ3.5μmのスペーサを用いて、液晶組成物層の厚さを3.5μmとした。得られた液晶表示に、電圧を印加した状態で紫外線を照射し、前記反応性基を有する重合性化合物を硬化させた。照射装置としては、ウシオ電機社製USH−250BYを用いて、100mWで10分間、液晶表示素子に紫外線を照射し、実施例4の液晶表示素子CLCD−4を得た。実施例4の液晶表示素子は、画素電極のスリットに従って、4つの区画において異なった方向にプレチルト角を有し、前記重合性化合物の硬化後、交流電場を切った状態でもプレチルト角が維持された。維持されたプレチルト角は89.3°であった。
【0257】
本実施例で使用した液晶組成物LC−4の各種特性を以下の表に示す。
【0258】
【表4】
【0259】
液晶表示素子のプレチルト安定性を測定した結果、プレチルトシフト量は、−0.3度とプレチルトシフト量が小さく、安定性が優れていることが示された。つまり、経時的な変化が大幅に抑制された配向制御層により配向の経時安定性が良好な液晶表示素子を得られることが明らかである。
(比較例4)
実施例1と同様の実験において、液晶組成物LC−4 98.0wt%に対して、以下に示される重合性化合物
【0260】
【化69】
【0261】
を1.5wt%添加し、以下に示される重合性化合物
【0262】
【化70】
【0263】
を0.4wt%添加し、光重合開始剤Igacure651を0.1wt%添加し、均一に溶解することにより重合性液晶組成物CLC−4aを調製した。
【0264】
配向膜層を有しない共通電極基板及び画素電極基板に、重合性液晶組成物CLC−4aを狭持した後、シール材を硬化させて、液晶組成物層を形成した。この際、厚さ3.5μmのスペーサを用いて、液晶組成物層の厚さを3.5μmとした。得られた液晶表示に、電圧を印加した状態で紫外線を照射し、前記反応性基を有する重合性化合物を硬化させた。照射装置としては、ウシオ電機社製USH−250BYを用いて、100mWで10分間、液晶表示素子に紫外線を照射し、比較例4の液晶表示素子CLCD−4aを得た。比較例4の液晶表示素子は、画素電極のスリットに従って、4つの区画において異なった方向にプレチルト角を有し、前記重合性化合物の硬化後、交流電場を切った状態でもプレチルト角が維持された。維持されたプレチルト角は88.0°であった。
【0265】
液晶表示素子のプレチルト安定性を測定した結果、プレチルトシフト量は、−1.1度とプレチルト角が大きく変化していることが分かった。
(実施例5)
実施例1と同様の実験において、使用する液晶組成物を一般式(I)から選ばれる化合物、及び一般式(II)から選ばれる化合物を含有した液晶組成物LC−5に変更した。構成する化合物及び含有する比率は下記の通りである。
【0266】
【化71】
【0267】
液晶組成物LC−5 97.8wt%に対して、以下に示される重合性化合物
【0268】
【化72】
【0269】
を2.2wt%添加し、均一に溶解することにより重合性液晶組成物CLC−5を調製した。
【0270】
配向膜層を有しない共通電極基板及び画素電極基板に、重合性液晶組成物CLC−5を狭持した後、シール材を硬化させて、液晶組成物層を形成した。この際、厚さ3.5μmのスペーサを用いて、液晶組成物層の厚さを3.5μmとした。得られた液晶表示に、電圧を印加した状態で紫外線を照射し、前記反応性基を有する重合性化合物を硬化させた。照射装置としては、ウシオ電機社製USH−250BYを用いて、100mWで10分間、液晶表示素子に紫外線を照射し、実施例5の液晶表示素子CLCD−5を得た。実施例5の液晶表示素子は、画素電極のスリットに従って、4つの区画において異なった方向にプレチルト角を有し、前記重合性化合物の硬化後、交流電場を切った状態でもプレチルト角が維持された。維持されたプレチルト角は89.4°であった。
【0271】
本実施例で使用した液晶組成物LC−5の各種特性を以下の表に示す。
【0272】
【表5】
【0273】
液晶表示素子のプレチルト安定性を測定した結果、プレチルトシフト量は、−0.4度とプレチルトシフト量が小さく、安定性が優れていることが示された。つまり、経時的な変化が大幅に抑制された配向制御層により配向の経時安定性が良好な液晶表示素子を得られることが明らかである。
(比較例5)
実施例1と同様の実験において、液晶組成物LC−5 98.0wt%に対して、以下に示される重合性化合物
【0274】
【化73】
【0275】
を1.5wt%添加し、以下に示される重合性化合物
【0276】
【化74】
【0277】
を0.4wt%添加し、光重合開始剤Igacure651を0.1wt%添加し、均一に溶解することにより重合性液晶組成物CLC−5aを調製した。
【0278】
配向膜層を有しない共通電極基板及び画素電極基板に、重合性液晶組成物CLC−5aを狭持した後、シール材を硬化させて、液晶組成物層を形成した。この際、厚さ3.5μmのスペーサを用いて、液晶組成物層の厚さを3.5μmとした。得られた液晶表示に、電圧を印加した状態で紫外線を照射し、前記反応性基を有する重合性化合物を硬化させた。照射装置としては、ウシオ電機社製USH−250BYを用いて、100mWで10分間、液晶表示素子に紫外線を照射し、比較例5の液晶表示素子CLCD−5aを得た。比較例5の液晶表示素子は、画素電極のスリットに従って、4つの区画において異なった方向にプレチルト角を有し、前記重合性化合物の硬化後、交流電場を切った状態でもプレチルト角が維持された。維持されたプレチルト角は87.9°であった。
【0279】
液晶表示素子のプレチルト安定性を測定した結果、プレチルトシフト量は、−0.7度とプレチルト角が大きく変化していることが分かった。
(実施例6)
実施例1と同様の実験において、使用する液晶組成物を一般式(I)から選ばれる化合物、及び一般式(II)から選ばれる化合物を含有した液晶組成物LC−6に変更した。構成する化合物及び含有する比率は下記の通りである。
【0280】
【化75】
【0281】
液晶組成物LC−6 98.1wt%に対して、以下に示される重合性化合物
【0282】
【化76】
【0283】
を1.9wt%添加し、均一に溶解することにより重合性液晶組成物CLC−6を調製した。
【0284】
配向膜層を有しない共通電極基板及び画素電極基板に、重合性液晶組成物CLC−6を狭持した後、シール材を硬化させて、液晶組成物層を形成した。この際、厚さ3.5μmのスペーサを用いて、液晶組成物層の厚さを3.5μmとした。得られた液晶表示素子に、電圧を印加した状態で紫外線を照射し、前記反応性基を有する重合性化合物を硬化させた。照射装置としては、ウシオ電機社製USH−250BYを用いて、100mWで10分間、液晶表示素子に紫外線を照射し、実施例6の液晶表示素子CLCD−6を得た。実施例6の液晶表示素子は、画素電極のスリットに従って、4つの区画において異なった方向にプレチルト角を有し、前記重合性化合物の硬化後、交流電場を切った状態でもプレチルト角が維持された。維持されたプレチルト角は89.0°であった。
【0285】
本実施例で使用した液晶組成物LC−6の各種特性を以下の表に示す。
【0286】
【表6】
【0287】
液晶表示素子のプレチルト安定性を測定した結果、プレチルトシフト量は、−0.2度とプレチルトシフト量が小さく、安定性が優れていることが示された。つまり、経時的な変化が大幅に抑制された配向制御層により配向の経時安定性が良好な液晶表示素子を得られることが明らかである。
(比較例6)
実施例1と同様の実験において、液晶組成物LC−6 98.5wt%に対して、以下に示される重合性化合物
【0288】
【化77】
【0289】
を1.0wt%添加し、以下に示される重合性化合物
【0290】
【化78】
【0291】
を0.4wt%添加し、光重合開始剤Igacure651を0.1wt%添加し、均一に溶解することにより重合性液晶組成物CLC−6aを調製した。
配向膜層を有しない共通電極基板及び画素電極基板に、重合性液晶組成物CLC−6aを狭持した後、シール材を硬化させて、液晶組成物層を形成した。この際、厚さ3.5μmのスペーサを用いて、液晶組成物層の厚さを3.5μmとした。得られた液晶表示に、電圧を印加した状態で紫外線を照射し、前記反応性基を有する重合性化合物を硬化させた。照射装置としては、ウシオ電機社製USH−250BYを用いて、100mWで10分間、液晶表示素子に紫外線を照射し、比較例6の液晶表示素子CLCD−6aを得た。比較例6の液晶表示素子は、画素電極のスリットに従って、4つの区画において異なった方向にプレチルト角を有し、前記重合性化合物の硬化後、交流電場を切った状態でもプレチルト角が維持された。維持されたプレチルト角は87.5°であった。
【0292】
液晶表示素子のプレチルト安定性を測定した結果、プレチルトシフト量は、−0.9度とプレチルト角が大きく変化していることが分かった。
(実施例7)
実施例1と同様の実験において、使用する液晶組成物をLC−6 98.1wt%に対して、以下に示される重合性化合物
【0293】
【化79】
【0294】
を1.9wt%添加し、均一に溶解することにより重合性液晶組成物CLC−7を調製した。
【0295】
配向膜層を有しない共通電極基板及び画素電極基板に、重合性液晶組成物CLC−7を狭持した後、シール材を硬化させて、液晶組成物層を形成した。この際、厚さ3.5μmのスペーサを用いて、液晶組成物層の厚さを3.5μmとした。得られた液晶表示素子に、電圧を印加した状態で紫外線を照射し、前記反応性基を有する重合性化合物を硬化させた。照射装置としては、ウシオ電機社製USH−250BYを用いて、100mWで10分間、液晶表示素子に紫外線を照射し、実施例7の液晶表示素子CLCD−7を得た。実施例7の液晶表示素子は、画素電極のスリットに従って、4つの区画において異なった方向にプレチルト角を有し、前記重合性化合物の硬化後、交流電場を切った状態でもプレチルト角が維持された。維持されたプレチルト角は88.5°であった。
(実施例8)
実施例1と同様の実験において、使用する液晶組成物をLC−6 98.1wt%に対して、以下に示される重合性化合物
【0296】
【化80】
【0297】
を1.9wt%添加し、均一に溶解することにより重合性液晶組成物CLC−8を調製した。
【0298】
配向膜層を有しない共通電極基板及び画素電極基板に、重合性液晶組成物CLC−8を狭持した後、シール材を硬化させて、液晶組成物層を形成した。この際、厚さ3.5μmのスペーサを用いて、液晶組成物層の厚さを3.5μmとした。得られた液晶表示素子に、電圧を印加した状態で紫外線を照射し、前記反応性基を有する重合性化合物を硬化させた。照射装置としては、ウシオ電機社製USH−250BYを用いて、100mWで10分間、液晶表示素子に紫外線を照射し、実施例8の液晶表示素子CLCD−8を得た。実施例8の液晶表示素子は、画素電極のスリットに従って、4つの区画において異なった方向にプレチルト角を有し、前記重合性化合物の硬化後、交流電場を切った状態でもプレチルト角が維持された。維持されたプレチルト角は88.1°であった。
(実施例9)
実施例1と同様の実験において、使用する液晶組成物をLC−6 98.1wt%に対して、以下に示される重合性化合物
【0299】
【化81】
【0300】
を1.4wt%添加し、
以下に示される重合性化合物
【0301】
【化82】
【0302】
を0.5wt%添加し、均一に溶解することにより重合性液晶組成物CLC−9を調製した。
【0303】
配向膜層を有しない共通電極基板及び画素電極基板に、重合性液晶組成物CLC−9を狭持した後、シール材を硬化させて、液晶組成物層を形成した。この際、厚さ3.5μmのスペーサを用いて、液晶組成物層の厚さを3.5μmとした。得られた液晶表示素子に、電圧を印加した状態で紫外線を照射し、前記反応性基を有する重合性化合物を硬化させた。照射装置としては、ウシオ電機社製USH−250BYを用いて、100mWで10分間、液晶表示素子に紫外線を照射し、実施例6の液晶表示素子CLCD−9を得た。実施例9の液晶表示素子は、画素電極のスリットに従って、4つの区画において異なった方向にプレチルト角を有し、前記重合性化合物の硬化後、交流電場を切った状態でもプレチルト角が維持された。維持されたプレチルト角は88.4°であった。
(実施例10)
実施例1と同様の実験において、使用する液晶組成物を一般式(I)から選ばれる化合物、及び一般式(II)から選ばれる化合物を含有した液晶組成物LC−7に変更した。構成する化合物及び含有する比率は下記の通りである。
【0304】
【化83】
【0305】
液晶組成物LC−7 97.7wt%に対して、以下に示される重合性化合物
【0306】
【化84】
【0307】
を2.3wt%添加し、均一に溶解することにより重合性液晶組成物CLC−10を調製した。
【0308】
配向膜層を有しない共通電極基板及び画素電極基板に、重合性液晶組成物CLC−10を狭持した後、シール材を硬化させて、液晶組成物層を形成した。この際、厚さ3.5μmのスペーサを用いて、液晶組成物層の厚さを3.5μmとした。得られた液晶表示に、電圧を印加した状態で紫外線を照射し、前記反応性基を有する重合性化合物を硬化させた。照射装置としては、ウシオ電機社製USH−250BYを用いて、100mWで10分間、液晶表示素子に紫外線を照射し、実施例10の液晶表示素子CLCD−10を得た。実施例10の液晶表示素子は、画素電極のスリットに従って、4つの区画において異なった方向にプレチルト角を有し、前記重合性化合物の硬化後、交流電場を切った状態でもプレチルト角が維持された。維持されたプレチルト角は89.1°であった。
【0309】
本実施例で使用した液晶組成物LC−7の各種特性を以下の表に示す。
【0310】
【表7】
【0311】
液晶表示素子のプレチルト安定性を測定した結果、プレチルトシフト量は、−0.3度とプレチルトシフト量が小さく、安定性が優れていることが示された。つまり、経時的な変化が大幅に抑制された配向制御層により配向の経時安定性が良好な液晶表示素子を得られることが明らかである。
)等の諸特性を悪化させることなく、基板への密着性が良い配向制御層により配向安定性が良好になり、焼き付きと製造時の滴下痕の発生とが抑制された液晶表示素子及びその製造方法の提供。
[解決手段]共通電極及びカラーフィルタを有する第一の基板と、複数の画素を有し、かつ各前記画素毎に画素電極を有する第二の基板との間に、液晶組成物を含有する液晶層が挟持され、第一の基板及び第二の基板の、一方又は両方の基板上に配向膜を有さず、一般式(1)