特許第6355919号(P6355919)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6355919バッテリの放電能力制御方法及びその装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6355919
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】バッテリの放電能力制御方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/033 20060101AFI20180702BHJP
   B60R 16/04 20060101ALI20180702BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20180702BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20180702BHJP
   G01R 31/36 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   B60R16/033 P
   B60R16/04 W
   H02J7/00 302D
   H01M10/48 P
   G01R31/36 A
【請求項の数】18
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-266365(P2013-266365)
(22)【出願日】2013年12月25日
(65)【公開番号】特開2015-120465(P2015-120465A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2016年9月13日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】本間 久雄
【審査官】 田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−334498(JP,A)
【文献】 特開2009−244179(JP,A)
【文献】 特開2012−042312(JP,A)
【文献】 特開2005−318730(JP,A)
【文献】 特許第4053918(JP,B2)
【文献】 特開2008−307973(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/033
B60R 16/04
G01R 31/36
H01M 10/48
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車中の車両に搭載されたバッテリがエンジン始動に必要な放電能力を所定の目標放置期間以上保持するように前記バッテリから複数の負荷に供給される暗電流の一部または全部を遮断する前記バッテリの放電能力制御方法であって、
前記バッテリの状態量を測定し、
前記バッテリの安定化電圧をOCV、前記バッテリの内部抵抗をRin、及び前記車両に搭載されたエンジンの始動時に前記バッテリから供給される電流をIとするとき、次式
SOF=OCV−I×Rin (1)
で与えられるSOFを前記状態量の測定値を用いて算出し、
前記複数の負荷の優先度に対応して前記優先度が低いほど高い値となるように、かつ、前記所定の目標放置期間を満たすように決定された、複数の前記優先度に対応した閾値を用いて、複数の前記優先度に対応した前記閾値の中から前記優先度の低い方から順に1つずつ前記閾値を取り出して判定対象閾値とし、前記SOFまたは前記SOFに対応する前記バッテリの残存容量SOCが前記判定対象閾値まで低下したと判定すると、前記判定対象閾値に対応した前記優先度の負荷への前記暗電流の供給を遮断することにより、前記優先度の低い負荷から順に前記暗電流の供給を判定して遮断する
ことを特徴とするバッテリの放電能力制御方法。
【請求項2】
前記状態量として前記バッテリの安定化電圧OCVを測定または電圧の測定値から予測するとともに前記内部抵抗Rinを測定し、
前記安定化電圧OCV及び前記内部抵抗Rinのそれぞれの値を前記式(1)に代入して前記SOFを算出し、
前記算出されたSOFが前記閾値まで低下したと判定すると前記暗電流の一部または全部を遮断する
ことを特徴とする請求項1に記載のバッテリの放電能力制御方法。
【請求項3】
駐車中の車両に搭載されたバッテリがエンジン始動に必要な放電能力を所定の目標放置期間以上保持するように前記バッテリから供給される暗電流の一部または全部を遮断する前記バッテリの放電能力制御方法であって、
前記バッテリの状態量を測定し、
前記バッテリの安定化電圧をOCV、前記バッテリの内部抵抗をRin、及び前記車両に搭載されたエンジンの始動時に前記バッテリから供給される電流をIとするとき、次式
SOF=OCV−I×Rin (1)
で与えられるSOFを前記状態量の測定値を用いて算出し、
前記SOFまたは前記SOFに対応する前記バッテリの残存容量SOCが所定の閾値まで低下したと判定すると前記暗電流の一部または全部を遮断し、
前記SOFの算出では、前記バッテリが満充電(SOC=1)のときの前記安定化電圧OCVをV100、前記バッテリの劣化係数をαとし、a、bを事前に設定された所定のパラメータとして前記式(1)を次式
SOF=a×α×SOC+V100×(1−α)+α×b−I×Rin (2)
に変換し、
前記状態量として前記バッテリの安定化電圧OCVを測定または電圧の測定値から予測して前記バッテリの残存容量SOCを予測し、
残存容量SOCと内部抵抗Rinとの間の第1の相関を用いて前記残存容量SOCに対応する前記内部抵抗Rinを算出し、
劣化係数αを内部抵抗Rinに対応させて事前に設定した第1の対応表を用いて前記劣化係数αを前記内部抵抗Rinから算出し、
前記残存容量SOCと前記内部抵抗Rinの算出値とを前記式(2)に代入して前記SOFを算出し、
前記算出されたSOFが前記閾値まで低下したと判定すると前記暗電流の一部または全部を遮断する
ことを特徴とするバッテリの放電能力制御方法。
【請求項4】
前記バッテリが満充電(SOC=1)のときの前記内部抵抗RinをパラメータCとするとき、
前記第1の相関は、所定のパラメータDを用いてRin=C×SOC-Dで表された累乗式である
ことを特徴とする請求項3に記載のバッテリの放電能力制御方法。
【請求項5】
前記パラメータC及びDは、前記残存容量SOCと前記内部抵抗Rinとに対応させて事前に設定された第2の対応表を用いて決定される
ことを特徴とする請求項4に記載のバッテリの放電能力制御方法。
【請求項6】
前記第1の相関は、前記残存容量SOCの多項式である
ことを特徴とする請求項3に記載のバッテリの放電能力制御方法。
【請求項7】
エンジン始動に必要な放電能力の下限に相当する前記SOFをSOFlimitとし、前記SOFlimitに対応する前記残存容量SOCをSOClimitとするとき、
前記状態量としてさらに前記バッテリの前記内部抵抗Rinを測定し、
前記劣化係数αを前記第1の対応表を用いて前記内部抵抗Rinの測定値から決定し、
SOFlimitを劣化係数αとパラメータCとに対応させて事前に設定した第3の対応表を用いて前記劣化係数αと前記パラメータCとに対応する前記SOFlimitを決定し、
前記式(2)に前記SOFlimitと前記内部抵抗Rinの測定値を代入して前記SOClimitを算出し、
前記目標放置期間に達するまでに前記バッテリから放電される放電量を前記SOClimitに加算して目標残存容量SOCtargetを算出し、
前記閾値として前記SOCtargetを用い、前記残存容量SOCが前記SOCtargetまで低下したと判定すると前記暗電流の一部または全部を遮断する、
または、
前記目標残存容量SOCtargetを前記式(2)に代入して算出される前記SOFをSOFtargetとして前記閾値に用い、前記残存容量SOCを前記式(2)に代入して算出される前記SOFが前記SOFtargetまで低下したと判定すると前記暗電流の一部または全部を遮断する
ことを特徴とする請求項4に記載のバッテリの放電能力制御方法。
【請求項8】
前記SOFtargetまたは前記SOCtargetは、前記残存容量SOC及び前記内部抵抗Rinに対応させて事前に設定された第4の対応表を用いて決定される
ことを特徴とする請求項7に記載のバッテリの放電能力制御方法。
【請求項9】
前記閾値として異なる値を2以上設定しておき、
前記SOFが前記閾値のいずれか1つまで低下する毎に、異なる負荷への前記暗電流を遮断する
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のバッテリの放電能力制御方法。
【請求項10】
駐車中の車両に搭載されたバッテリがエンジン始動に必要な放電能力を所定の目標放置期間以上保持するように前記バッテリから複数の負荷に供給される暗電流の一部または全部を遮断する前記バッテリの放電能力制御装置であって、
前記バッテリの状態量を測定するバッテリセンサと、
前記バッテリセンサから前記状態量の測定値を入力して前記バッテリのSOFを算出し、前記複数の負荷の優先度に対応して前記優先度が低いほど高い値となるように、かつ、前記所定の目標放置期間を満たすように決定された、複数の前記優先度に対応した閾値を用いて、複数の前記優先度に対応した前記閾値の中から前記優先度の低い方から順に1つずつ前記閾値を取り出して判定対象閾値とし、前記SOFまたは前記SOFに対応する前記バッテリの残存容量SOCが前記判定対象閾値まで低下したと判定すると、前記判定対象閾値に対応した前記優先度の負荷への前記暗電流の供給を遮断するための制御信号を出力することにより、前記優先度の低い負荷から順に前記暗電流の供給を判定して遮断させる電源管理制御部と、
前記電源管理制御部から前記優先度の負荷への前記暗電流の供給を遮断するための前記制御信号を入力すると、前記バッテリから前記優先度の負荷に供給される前記暗電流を遮断するスイッチと、を備え、
前記電源管理制御部は、前記バッテリの安定化電圧をOCV、前記バッテリの内部抵抗をRin、及び前記車両に搭載されたエンジンの始動時に前記バッテリから供給される電流をIとするとき、前記SOFを次式
SOF=OCV−I×Rin (1)
を用いて算出する
ことを特徴とするバッテリの放電能力制御装置。
【請求項11】
前記バッテリセンサは、前記状態量として前記バッテリの安定化電圧OCVを測定または電圧の測定値から予測するとともに前記内部抵抗Rinを測定し、
前記電源管理制御部は、前記安定化電圧OCV及び前記内部抵抗Rinのそれぞれの値を前記式(1)に代入して前記SOFを算出する
ことを特徴とする請求項10に記載のバッテリの放電能力制御装置。
【請求項12】
駐車中の車両に搭載されたバッテリがエンジン始動に必要な放電能力を所定の目標放置期間以上保持するように前記バッテリから供給される暗電流の一部または全部を遮断する前記バッテリの放電能力制御装置であって、
前記バッテリの状態量を測定するバッテリセンサと、
前記バッテリセンサから前記状態量の測定値を入力して、前記バッテリの安定化電圧をOCV、前記バッテリの内部抵抗をRin、及び前記車両に搭載されたエンジンの始動時に前記バッテリから供給される電流をIとするとき、前記バッテリのSOFを次式
SOF=OCV−I×Rin (1)
を用いて算出し、前記SOFまたは前記SOFに対応する前記バッテリの残存容量SOCが所定の閾値まで低下したと判定すると前記暗電流の一部または全部を遮断するための制御信号を出力する電源管理制御部と、
前記電源管理制御部から前記制御信号を入力すると、前記バッテリから所定の負荷に供給される前記暗電流を遮断するスイッチと、を備え、
前記バッテリセンサは、前記状態量として前記バッテリの安定化電圧OCVを測定または電圧の測定値から予測して前記バッテリの残存容量SOCを予測し、
前記電源管理制御部は、
前記バッテリが満充電(SOC=1)のときの前記安定化電圧OCVをV100、前記バッテリの劣化係数をαとし、a、bを事前に設定された所定のパラメータとして前記式(1)を次式
SOF=a×α×SOC+V100×(1−α)+α×b−I×Rin (2)
に変換して用い、
残存容量SOCと内部抵抗Rinとの間の第1の相関を用いて前記残存容量SOCに対応する前記内部抵抗Rinを算出し、
劣化係数αを内部抵抗Rinに対応させて事前に設定した第1の対応表を用いて前記劣化係数αを前記内部抵抗Rinから算出し、
前記残存容量SOCと前記内部抵抗Rinの算出値とを前記式(2)に代入して前記SOFを算出し、
前記算出されたSOFが前記閾値まで低下したと判定すると前記制御信号を出力する
ことを特徴とするバッテリの放電能力制御装置。
【請求項13】
前記バッテリが満充電(SOC=1)のときの前記内部抵抗RinをパラメータCとするとき、
前記第1の相関は、所定のパラメータDを用いてRin=C×SOC-Dで表された累乗式である
ことを特徴とする請求項12に記載のバッテリの放電能力制御装置。
【請求項14】
エンジン始動に必要な放電能力の下限に相当する前記SOFをSOFlimitとし、前記SOFlimitに対応する前記残存容量SOCをSOClimitとするとき、
前記バッテリセンサは、前記状態量としてさらに前記内部抵抗Rinを測定し、
前記電源管理制御部は、
前記劣化係数αを前記第1の対応表を用いて前記内部抵抗Rinの測定値から決定し、
SOFlimitを劣化係数αとパラメータCとに対応させて事前に設定した第3の対応表を用いて前記劣化係数αと前記パラメータCとに対応する前記SOFlimitを決定し、
前記式(2)に前記SOFlimitと前記内部抵抗Rinの測定値を代入して前記SOClimitを算出し、
前記目標放置期間に達するまでに前記バッテリから放電される放電量を前記SOClimitに加算して目標残存容量SOCtargetを算出し、
前記閾値として前記SOCtargetを用い、前記残存容量SOCが前記SOCtargetまで低下したと判定すると前記制御信号を出力する、
または、
前記目標残存容量SOCtargetを前記式(2)に代入して算出される前記SOFをSOFtargetとして前記閾値に用い、前記残存容量SOCを前記式(2)に代入して算出される前記SOFが前記SOFtargetまで低下したと判定すると前記制御信号を出力する
ことを特徴とする請求項13に記載のバッテリの放電能力制御装置。
【請求項15】
前記電源管理制御部は、前記閾値として異なる値を2以上設定しておき、
前記SOFが前記閾値のいずれか1つまで低下する毎に、異なる負荷への前記暗電流を遮断する
ことを特徴とする請求項10乃至14のいずれか1項に記載のバッテリの放電能力制御装置。
【請求項16】
前記電源管理制御部で前記SOFが前記閾値まで低下したと判定されたときに、前記暗電流が遮断されることを通知するための情報伝達手段をさらに備えている
ことを特徴とする請求項10乃至15のいずれか1項に記載のバッテリの放電能力制御装置。
【請求項17】
前記バッテリセンサと前記電源管理制御部とが一体に形成されている
ことを特徴とする請求項10乃至16のいずれか1項に記載のバッテリの放電能力制御装置。
【請求項18】
さらに前記スイッチが一体に形成されている
ことを特徴とする請求項17に記載のバッテリの放電能力制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のエンジン始動に必要な放電能力を保持させるためのバッテリの放電能力制御方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されているバッテリは、エンジン始動時に大電流を必要とすることから、車両を駐車させている間に放電が進んでエンジンを始動できなくなるといったバッテリ上がりを防止することが重要である。近年は、車両が駐車中であっても各種制御装置やセキュリティ器具、ドアロック等に暗電流と呼ばれる微弱な電流がバッテリから流れている。そのため、駐車中にこのような暗電流の放電が長時間続くと、バッテリの残容量が低下してエンジンが始動できなくなるバッテリ上がりの状態になってしまう。
【0003】
ユーザが気づかないうちにこのようなバッテリ上がりが発生するのを防止するために、エンジン始動性を確保すべき日数(目標放置期間)が設定されている。これにより、駐車を開始してから少なくとも目標放置期間が経過するまでは、エンジンを始動できるだけの放電能力をバッテリに保持させておく必要がある。放電能力を保持させておくためには、暗電流の放電によってバッテリの放電能力がある程度低下してくると、暗電流を低減あるいは停止させることで放電能力を保持させるように制御する必要がある。
【0004】
エンジンを始動するのに必要な放電能力を目標放置期間以上保持するための従来の技術として、バッテリの電圧あるいは充電状態を示すSOC(バッテリの残存容量)等を指標に用いて暗電流を制御する方法が知られている。例えば、駐車を開始してからの経過日数やバッテリの電圧、SOC等を監視し、これが所定値に達すると暗電流をカットすることでバッテリの放電能力を保持するようにしている。
【0005】
また特許文献1では、目標放置期間が経過した時点でエンジンを始動するのに必要な容量に相当する電圧を確保するために、所定の条件が成立したときに負荷への暗電流の供給を遮断させるようにしている。暗電流の供給を遮断させる条件は、エンジン停止状態における暗電流によるバッテリの電圧降下と経過日数との関係を示すバッテリ電圧降下特性に基づいて判定される。すなわち、バッテリ電圧降下特性の安定領域おける傾きが一定の電圧降下を表す直線と最新の電圧降下の傾きを持つ直線との交点を求め、この交点に対応する経過日数と現在の経過日数とを比較することで、暗電流を遮断させるか否かを判定している。特許文献1には、さらに内部抵抗を検出してバッテリ電圧を補正することも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4053918号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、バッテリの電圧やSOC等を監視してバッテリ上がりを防止する従来の方法では、目標放置期間のエンジン始動性が確保できるバッテリ電圧や残存容量等がバッテリの内部抵抗の変化によって変化するにもかかわらず、このようなバッテリの内部抵抗の変化による影響を考慮していない。そのため、目標放置期間に到達する前にバッテリ上がりとなってエンジンを始動できなくなるおそれがあった。
【0008】
また、特許文献1に記載の従来技術では、内部抵抗を検出してバッテリ電圧を補正することは記載されているものの、暗電流の遮断を判定するのに用いられるバッテリ電圧降下特性に対しては、内部抵抗の変化による影響が考慮されていない。そのため、内部抵抗の変化によってバッテリ電圧降下特性が変化すると、目標放置期間に達する前にバッテリ上がりとなるおそれがあった。
【0009】
本発明はこれらの問題を解決するためになされたものであり、内部抵抗の変化を反映してバッテリの放電能力が高精度に得られるようにすることで、目標放置期間のエンジン始動性を保持することが可能なバッテリの放電能力制御方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のバッテリの放電能力制御方法の第1の態様は、駐車中の車両に搭載されたバッテリがエンジン始動に必要な放電能力を所定の目標放置期間以上保持するように前記バッテリから複数の負荷に供給される暗電流の一部または全部を遮断する前記バッテリの放電能力制御方法であって、前記バッテリの状態量を測定し、前記バッテリの安定化電圧をOCV、前記バッテリの内部抵抗をRin、及び前記車両に搭載されたエンジンの始動時に前記バッテリから供給される電流をIとするとき、次式
SOF=OCV−I×Rin (1)
で与えられるSOFを前記状態量の測定値を用いて算出し、前記複数の負荷の優先度に対応して前記優先度が低いほど高い値となるように、かつ、前記所定の目標放置期間を満たすように決定された、複数の前記優先度に対応した閾値を用いて、複数の前記優先度に対応した前記閾値の中から前記優先度の低い方から順に1つずつ前記閾値を取り出して判定対象閾値とし、前記SOFまたは前記SOFに対応する前記バッテリの残存容量SOCが前記判定対象閾値まで低下したと判定すると、前記判定対象閾値に対応した前記優先度の負荷への前記暗電流の供給を遮断することにより、前記優先度の低い負荷から順に前記暗電流の供給を判定して遮断することを特徴とする。
【0011】
本発明のバッテリの放電能力制御方法の他の態様は、前記状態量として前記バッテリの安定化電圧OCVを測定または電圧の測定値から予測するとともに前記内部抵抗Rinの測定を行い、前記安定化電圧OCV及び前記内部抵抗Rinのそれぞれの値を前記式(1)に代入して前記SOFを算出し、前記算出されたSOFが前記閾値まで低下したと判定すると前記暗電流の一部または全部を遮断することを特徴とする。
【0012】
本発明のバッテリの放電能力制御方法の他の態様は、駐車中の車両に搭載されたバッテリがエンジン始動に必要な放電能力を所定の目標放置期間以上保持するように前記バッテリから供給される暗電流の一部または全部を遮断する前記バッテリの放電能力制御方法であって、前記バッテリの状態量を測定し、前記バッテリの安定化電圧をOCV、前記バッテリの内部抵抗をRin、及び前記車両に搭載されたエンジンの始動時に前記バッテリから供給される電流をIとするとき、次式
SOF=OCV−I×Rin (1)
で与えられるSOFを前記状態量の測定値を用いて算出し、前記SOFまたは前記SOFに対応する前記バッテリの残存容量SOCが所定の閾値まで低下したと判定すると前記暗電流の一部または全部を遮断し、前記SOFの算出では、前記バッテリが満充電(SOC=1)のときの前記安定化電圧OCVをV100、前記バッテリの劣化係数をαとし、a、bを事前に設定された所定のパラメータとして前記式(1)を次式
SOF=a×α×SOC+V100×(1−α)+α×b−I×Rin (2)
に変換し、前記状態量として前記バッテリの安定化電圧OCVを測定または電圧の測定値から予測して前記バッテリの残存容量SOCを予測し、前記残存容量SOCと前記内部抵抗Rinとの間の第1の相関を用いて前記残存容量SOCに対応する前記内部抵抗Rinを算出し、劣化係数αを内部抵抗Rinに対応させて事前に設定した第1の対応表を用いて前記劣化係数αを前記内部抵抗Rinから算出し、前記残存容量SOCと前記内部抵抗Rinの算出値とを前記式(2)に代入して前記SOFを算出し、前記算出されたSOFが前記閾値まで低下したと判定すると前記暗電流の一部または全部を遮断することを特徴とする。
【0013】
本発明のバッテリの放電能力制御方法の他の態様は、前記バッテリが満充電(SOC=1)のときの前記内部抵抗RinをパラメータCとするとき、前記第1の相関は、所定のパラメータDを用いてRin=C×SOC-Dで表された累乗式であることを特徴とする。
【0014】
本発明のバッテリの放電能力制御方法の他の態様は、前記パラメータC及びDは、前記残存容量SOCと前記内部抵抗Rinとに対応させて事前に設定された第2の対応表を用いて決定されることを特徴とする。
【0015】
本発明のバッテリの放電能力制御方法の他の態様は、前記第1の相関は、前記残存容量SOCの多項式であることを特徴とする。
【0016】
本発明のバッテリの放電能力制御方法の他の態様は、エンジン始動に必要な放電能力の下限に相当する前記SOFをSOFlimitとし、前記SOFlimitに対応する前記残存容量SOCをSOClimitとするとき、前記状態量としてさらに前記バッテリの前記内部抵抗Rinを測定し、前記劣化係数αを前記第1の対応表を用いて前記記内部抵抗Rinの測定値から決定し、SOFlimitを劣化係数αとパラメータCとに対応させて事前に設定した第3の対応表を用いて前記劣化係数αと前記パラメータCとに対応する前記SOFlimitを決定し、前記式(2)に前記SOFlimitと前記内部抵抗Rinの測定値を代入して前記SOClimitを算出し、前記目標放置期間に達するまでに前記バッテリから放電される放電量を前記SOClimitに加算して目標残存容量SOCtargetを算出し、前記閾値として前記SOCtargetを用い、前記残存容量SOCが前記SOCtargetまで低下したと判定すると前記暗電流の一部または全部を遮断する、または、前記目標残存容量SOCtargetを前記式(2)に代入して算出される前記SOFをSOFtargetとして前記閾値に用い、前記残存容量SOCを前記式(2)に代入して算出される前記SOFが前記SOFtargetまで低下したと判定すると前記暗電流の一部または全部を遮断することを特徴とする。
【0017】
本発明のバッテリの放電能力制御方法の他の態様は、前記SOFtargetまたは前記SOCtargetは、前記残存容量SOC及び前記内部抵抗Rinに対応させて事前に設定された第4の対応表を用いて決定されることを特徴とする。
【0018】
本発明のバッテリの放電能力制御方法の他の態様は、前記閾値として異なる値を2以上設定しておき、前記SOFが前記閾値のいずれか1つまで低下する毎に、異なる負荷への前記暗電流を遮断することを特徴とする。
【0019】
本発明のバッテリの放電能力制御装置の第1の態様は、駐車中の車両に搭載されたバッテリがエンジン始動に必要な放電能力を所定の目標放置期間以上保持するように前記バッテリから複数の負荷に供給される暗電流の一部または全部を遮断する前記バッテリの放電能力制御装置であって、前記バッテリの状態量を測定するバッテリセンサと、前記バッテリセンサから前記状態量の測定値を入力して前記バッテリのSOFを算出し、前記複数の負荷の優先度に対応して前記優先度が低いほど高い値となるように、かつ、前記所定の目標放置期間を満たすように決定された、複数の前記優先度に対応した閾値を用いて、複数の前記優先度に対応した前記閾値の中から前記優先度の低い方から順に1つずつ前記閾値を取り出して判定対象閾値とし、前記SOFまたは前記SOFに対応する前記バッテリの残存容量SOCが前記判定対象閾値まで低下したと判定すると、前記判定対象閾値に対応した前記優先度の負荷への前記暗電流の供給を遮断するための制御信号を出力することにより、前記優先度の低い負荷から順に前記暗電流の供給を判定して遮断させる電源管理制御部と、前記電源管理制御部から前記優先度の負荷への前記暗電流の供給を遮断するための前記制御信号を入力すると、前記バッテリから前記優先度の負荷に供給される前記暗電流を遮断するスイッチと、を備え、前記電源管理制御部は、前記バッテリの安定化電圧をOCV、前記バッテリの内部抵抗をRin、及び前記車両に搭載されたエンジンの始動時に前記バッテリから供給される電流をIとするとき、前記SOFを次式
SOF=OCV−I×Rin (1)
を用いて算出することを特徴とする。

【0020】
本発明のバッテリの放電能力制御装置の他の態様は、前記バッテリセンサは、前記状態量として前記バッテリの安定化電圧OCVを測定または電圧の測定値から予測するとともに内部抵抗Rinを測定し、前記電源管理制御部は、前記安定化電圧OCV及び前記内部抵抗Rinのそれぞれの値を前記式(1)に代入して前記SOFを算出することを特徴とする。
【0021】
本発明のバッテリの放電能力制御装置の他の態様は、駐車中の車両に搭載されたバッテリがエンジン始動に必要な放電能力を所定の目標放置期間以上保持するように前記バッテリから供給される暗電流の一部または全部を遮断する前記バッテリの放電能力制御装置であって、前記バッテリの状態量を測定するバッテリセンサと、前記バッテリセンサから前記状態量の測定値を入力して、前記バッテリの安定化電圧をOCV、前記バッテリの内部抵抗をRin、及び前記車両に搭載されたエンジンの始動時に前記バッテリから供給される電流をIとするとき、前記バッテリのSOFを次式
SOF=OCV−I×Rin (1)
を用いて算出し、前記SOFまたは前記SOFに対応する前記バッテリの残存容量SOCが所定の閾値まで低下したと判定すると前記暗電流の一部または全部を遮断するための制御信号を出力する電源管理制御部と、前記電源管理制御部から前記制御信号を入力すると、前記バッテリから所定の負荷に供給される前記暗電流を遮断するスイッチと、を備え、前記バッテリセンサは、前記状態量として前記バッテリの安定化電圧OCVを測定または電圧の測定値から予測して前記バッテリの残存容量SOCを予測し、前記電源管理制御部は、前記バッテリが満充電(SOC=1)のときの前記安定化電圧OCVをV100、前記バッテリの劣化係数をαとし、a、bを事前に設定された所定のパラメータとして前記式(1)を次式
SOF=a×α×SOC+V100×(1−α)+α×b−I×Rin (2)
に変換して用い、残存容量SOCと内部抵抗Rinとの間の第1の相関を用いて前記残存容量SOCに対応する前記内部抵抗Rinを算出し、劣化係数αを内部抵抗Rinに対応させて事前に設定した第1の対応表を用いて前記劣化係数αを前記内部抵抗Rinから算出し、前記残存容量SOCと前記内部抵抗Rinの算出値とを前記式(2)に代入して前記SOFを算出し、前記算出されたSOFが前記閾値まで低下したと判定すると前記制御信号を出力することを特徴とする。

【0022】
本発明のバッテリの放電能力制御装置の他の態様は、前記バッテリが満充電(SOC=1)のときの前記内部抵抗RinをパラメータCとするとき、前記第1の相関は、所定のパラメータDを用いてRin=C×SOC-Dで表された累乗式であることを特徴とする。
【0023】
本発明のバッテリの放電能力制御装置の他の態様は、エンジン始動に必要な放電能力の下限に相当する前記SOFをSOFlimitとし、前記SOFlimitに対応する前記残存容量SOCをSOClimitとするとき、前記バッテリセンサは、前記状態量としてさらに前記内部抵抗Rinを測定し、前記電源管理制御部は、前記劣化係数αを前記第1の対応表を用いて前記記内部抵抗Rinの測定値から決定し、SOFlimitを劣化係数αとパラメータCとに対応させて事前に設定した第3の対応表を用いて前記劣化係数αと前記パラメータCとに対応する前記SOFlimitを決定し、前記式(2)に前記SOFlimitと前記内部抵抗Rinの測定値を代入して前記SOClimitを算出し、前記目標放置期間に達するまでに前記バッテリから放電される放電量を前記SOClimitに加算して目標残存容量SOCtargetを算出し、前記閾値として前記SOCtargetを用い、前記残存容量SOCが前記SOCtargetまで低下したと判定すると前記制御信号を出力する、または、前記目標残存容量SOCtargetを前記式(2)に代入して算出される前記SOFをSOFtargetとして前記閾値に用い、前記残存容量SOCを前記式(2)に代入して算出される前記SOFが前記SOFtargetまで低下したと判定すると前記制御信号を出力することを特徴とする。
【0024】
本発明のバッテリの放電能力制御装置の他の態様は、前記電源管理制御部は、前記閾値として異なる値を2以上設定しておき、前記SOFが前記閾値のいずれか1つまで低下する毎に、異なる負荷への前記暗電流を遮断することを特徴とする。
【0025】
本発明のバッテリの放電能力制御装置の他の態様は、前記電源管理制御部で前記SOFが前記閾値まで低下したと判定されたときに、前記暗電流が遮断されることを通知するための情報伝達手段をさらに備えていることを特徴とする。
【0026】
本発明のバッテリの放電能力制御装置の他の態様は、前記バッテリセンサと前記電源管理制御部とが一体に形成されていることを特徴とする。
【0027】
本発明のバッテリの放電能力制御装置の他の態様は、さらに前記スイッチが一体に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、内部抵抗の変化を反映してバッテリの放電能力が高精度に得られるようにすることで、目標放置期間のエンジン始動性を保持することが可能なバッテリの放電能力制御方法及びその装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の第1実施形態のバッテリの放電能力制御方法の処理の流れを説明するフローチャートである。
図2】本発明の第1実施形態のバッテリの放電能力制御装置の構成を示すブロック図である。。
図3】第1実施形態のバッテリの放電能力制御方法によりエンジン始動性を保持できる期間を延長した一例を説明するためのグラフである。
図4】本発明の第2実施形態のバッテリの放電能力制御方法の処理の流れを説明するフローチャートである。
図5】OCVとSOCとの関係を示す図である。
図6】SOCに対する内部抵抗の変化の一例を示す図である。
図7】本発明の第3実施形態のバッテリの放電能力制御方法の処理の流れを説明するフローチャートである。
図8】第3実施形態のバッテリの放電能力制御方法によりエンジン始動性を保持できる期間を延長した一例を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の好ましい実施の形態におけるバッテリの放電能力制御方法及びその装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、同一機能を有する各構成部については、図示及び説明簡略化のため、同一符号を付して示す。
【0031】
(第1実施形態)
本発明の第1の実施形態に係るバッテリの放電能力制御方法及びその装置を、図1、2を用いて説明する。図1は、本実施形態のバッテリの放電能力制御方法の処理の流れを説明するフローチャートである。また図2は、本実施形態のバッテリの放電能力制御装置100の構成を示すブロック図である。
【0032】
本実施形態のバッテリの放電能力制御装置100は、バッテリ10の状態量を測定するバッテリセンサ110と、バッテリセンサ110から状態量の測定値を入力してバッテリ10の放電能力を算出し、算出された放電能力に基づいて暗電流を制御する電源管理制御部120と、負荷20に供給される暗電流を遮断可能なスイッチ130とを備えている。また、電源管理制御部120には、ユーザ等に情報を提供するための情報伝達手段121が接続されている。情報伝達手段121として、車室内のパネルやナビゲーションシステム等を用いることができ、音声出力を行うようにしてもよい。バッテリ10には、走行中に充電を行うオルタネータ(ALT)11が接続されている。
【0033】
負荷20に供給される暗電流を遮断可能に配置されるスイッチ130として、本実施形態では複数個(n個)のスイッチ130−1〜130−nが配置されている。複数個のスイッチ130−1〜130−nを設ける場合には、それぞれに優先度が同程度の負荷20を接続しておくことで、同程度の優先度を有する負荷20への暗電流の供給を同時に遮断することができる。また、優先度の低い負荷20を接続したスイッチ130から順次遮断していくことで、優先度の高い負荷20への暗電流の供給をできるだけ長く継続させることができる。以下では、スイッチ130−1に優先度の最も低い負荷20が接続され、スイッチ130−2からスイッチ130−nへと順次優先度の高い負荷20が接続されているものとする。
【0034】
本実施形態のバッテリの放電能力制御装置100及び該装置で処理される放電能力制御方法では、電源管理制御部120において、バッテリの放電能力としてSOF(State of Function)を算出している。そして、算出されたSOFが予め設定した閾値(SOFthとする)まで低下したと判定されたときに、暗電流の一部または全部を遮断するようにスイッチ130を制御している。これにより、所定の目標放置期間のエンジン始動性が確保されるようにしている。
【0035】
複数個のスイッチ130−1〜130−nが設けられている場合には、優先度が最も低い負荷20が接続されているスイッチ130−1を遮断するための閾値を最も高く設定し、優先度が順次高い負荷20が接続されたスイッチ130−2〜130−nを遮断するための閾値を順次低く設定していく。これにより、駐車開始後にSOFが徐々に低下していくのに伴って、優先度の低い負荷20への暗電流から順次遮断されていくことになり、優先度の高い負荷20への暗電流の供給をできるだけ長く継続させることができる。
【0036】
バッテリの電圧やSOC等に基づいて暗電流を遮断する従来の方法では、バッテリの内部抵抗の変化を適切に反映して暗電流の遮断制御を行うことができなかった。これに対し、SOFは下記のようにバッテリの内部抵抗の依存性を含んでいる。バッテリ10の内部抵抗をRinとし、駐車中のバッテリ10の電圧をOCVとし、エンジン始動時のバッテリ10の放電電流(スタータ電流)をIとするとき、SOFは次式で与えられる。
SOF=OCV−I×Rin (1)
【0037】
ここで、駐車中は通常バッテリ10から暗電流が放出されているが、暗電流の電流値は非常に低いことから、駐車中のバッテリ10の電圧(端子間電圧)を開回路電圧(OCV)とみなすことができる。そこで、式(1)ではバッテリ10の電圧をOCVとしている。また、駐車開始直後のようにバッテリ状態が安定していないときは、電圧の測定値から所定の相関を用いてOCVを求めることができる。スタータ電流Iは、事前の測定等によりあらかじめ設定しておくことができる。
【0038】
式(1)より、SOFはバッテリ10のOCVと内部抵抗Rinを用いて算出されることから、バッテリセンサ110ではバッテリ10のOCVと内部抵抗Rinを測定する。電源管理制御部120は、バッテリセンサ110からバッテリ10のOCVと内部抵抗Rinの測定値を入力し、式(1)を用いてSOFを算出する。そして、算出したSOFをあらかじめ設定した閾値SOFthと比較し、SOFがSOFthに達したときにスイッチ130に対し暗電流の一部または全部を遮断させる信号を出力する。
【0039】
上記説明のように、SOFは内部抵抗Rinの変化を含めて算出されることから、SOFを用いることで暗電流制御を高精度に行うことができ、目標放置期間を確実に確保することが可能となる。
【0040】
本実施形態のバッテリの放電能力制御方法を、図1を用いてさらに詳細に説明する。本実施形態の放電能力制御装置100では、駐車開始後に所定の周期で図1に示す放電能力制御方法の処理が行われる。まずステップS1では、バッテリセンサ110においてバッテリ10の電圧OCVと内部抵抗Rinが測定される。次のステップS2では、電源管理制御部120において、バッテリセンサ110からバッテリ10の安定化電圧OCV及び内部抵抗Rinの各測定値を入力し、式(1)を用いてSOFを算出する。
【0041】
ステップS3では、電源管理制御部120において、算出されたSOFが閾値SOFthより大きいかを判定する。SOFが閾値SOFthより大きいと判定されると、次の周期でステップS1から再び処理が行われる。これに対し、ステップS3でSOFが閾値SOFthに達したと判定されると、次にステップS4に進む。
【0042】
ステップS4では、電源管理制御部120からスイッチ130に対して暗電流を遮断させるための信号が出力される。また、ユーザ等に対して暗電流を遮断したことを通知するための情報を情報伝達手段121に出力させるようにすることができる。情報伝達手段121として、車室内のパネルやナビゲーションシステム等を用いたり音声出力を行うようにすることで、ユーザ等に暗電流が遮断されたことを通知することができる。また、目標放置期間以上に駐車するとエンジンが始動できなくなることの注意喚起や、必要に応じてバッテリの充電や交換を推奨するメッセージを情報伝達手段121に出力することも可能となる。
【0043】
図1に示す処理の流れでは、ステップS4の処理が終了すると、本実施形態のバッテリの放電能力制御方法による処理を終了しているが、スイッチ130が複数個設けられている場合には、ステップS3、S4の処理を優先度の低い負荷20が接続されているスイッチ130−1から順次行っていく。すなわち、放電能力制御方法の処理が開始されると、ステップS3の判定で用いられる閾値SOFthとして、優先度の最も低い負荷20が接続されているスイッチ130−1を遮断させるための閾値をまず設定しておく。そして、ステップS3でSOFが閾値SOFthに達したと判定されると、ステップS4に進んでスイッチ130−1を遮断させる。
【0044】
ステップS3、S4の処理が終了すると、次回の周期以降では、次に優先度の低い負荷20が接続されているスイッチ130−2を遮断させるための閾値をステップS3で用い、ステップS4ではスイッチ130−2を遮断させるように各設定を変更する。以下同様にして、ステップS3でSOFが閾値SOFthに達したと判定される毎に、次の周期から対象とするスイッチ130をより優先度の高いものへと変更していく。そして、スイッチ13−nを対象とする処理が終了すると、本実施形態のバッテリの放電能力制御方法による処理をすべて終了する。
【0045】
次に、本実施形態のバッテリの放電能力制御装置100及び放電能力制御方法により目標放置期間が確保されるようにした一例を、図3を用いて説明する。図3は、駐車開始後のバッテリ10のSOFの時間変化を示しており、横軸が駐車開始からの日数、縦軸がSOFをそれぞれ示している。
【0046】
図3において、符号50はエンジン始動が可能なSOFの下限を示しており、SOFがこれ以下になるとエンジンを始動できなくなる。そのため、バッテリ10をエンジン始動可能に保持するには、SOFが下限50近くまで低下したときには暗電流をすべて遮断させる必要がある。本実施形態の放電能力制御装置100及び放電能力制御方法では、SOFが下限50近くまで低下する前に、優先度の低い負荷への暗電流を遮断することでエンジン始動可能なSOFを保持させることが可能となっている。
【0047】
符号51で示すSOFの時間変化は、SOFが低下しても暗電流を遮断することなく供給し続けたときのSOFの変化を示している。この場合には、日数D1以降はエンジンを始動できないことになる。図3では、目標放置期間をDtとしており、SOFの時間変化51では目標放置期間Dtを確保できないことが示されている。
【0048】
これに対し、符号53で示すSOFの時間変化は、SOFが符号52で示す閾値SOFthまで低下したときに、スイッチ130を制御して暗電流の一部を遮断したときのSOFの変化を示している。この場合には、暗電流の一部を遮断したことによりSOFの低下速度が遅くなることから、エンジン始動可能なSOFの下限50に達するまでの日数がDDだけ延長されている。その結果、エンジン始動に必要な放電容量が目標放置期間Dtより長い期間確保されている。閾値SOFthは、暗電流の一部を遮断することでSOFの下限50に達するまでの日数がDt以上となるように決定されている。
【0049】
図3では、比較のためにバッテリ10より容量が大きくサイズも大きい別のバッテリのSOFの変化を符号55で示している。本実施形態の放電能力制御方法により、バッテリ10に対して暗電流の一部を遮断させることで、大容量の別のバッテリと同程度の放置期間を確保できていることがわかる。これより、本実施形態の放電能力制御方法により暗電流を制御することで、サイズの小さいバッテリ10を用いても目標放置期間を確保することができ、バッテリのサイズダウンを図ることが可能となる。
【0050】
本実施形態のバッテリの放電能力制御装置100及び放電能力制御方法によれば、内部抵抗の変化を反映するSOFを用いてバッテリの放電能力を監視することで、エンジン始動性を目標放置期間にわたって保持することが可能になるとともに、バッテリをサイズダウンすることができる。また、暗電流を遮断することで、バッテリの長寿命化が図られる。
【0051】
(第2実施形態)
本発明の第2の実施形態に係るバッテリの放電能力制御方法及びその装置を、図4を用いて説明する。図4は、本実施形態のバッテリの放電能力制御方法の処理の流れを説明するフローチャートである。放電能力制御装置100の構成は第1実施形態と同じであるが、本実施形態ではバッテリセンサ110で測定するバッテリ状態量と電源管理制御部120における処理の内容が第1実施形態と異なっている。第1実施形態ではバッテリセンサ110でバッテリ10のOCVと内部抵抗Rinを測定していたが、本実施形態ではOCVに代えてSOCを測定する。
【0052】
SOFを算出する式(1)には開回路電圧OCVが含まれているが、バッテリ10が安定状態にあるときの開回路電圧はSOCと略比例関係にあることが知られており、次式のように表すことができる。
OCV=a×SOC+b (i)
ここで、パラメータa、bは、OCVとSOCの実測値を用いてあらかじめ決定しておくことができる。
【0053】
また、上記のOCVとSOCとの略比例関係は、バッテリの劣化に伴って変化することから、バッテリが劣化したときのOCV(OCV’とする)とSOCとの関係を別のパラメータa’、b’を用いて次式で表すものとする。
OCV’=a’×SOC+b’ (ii)
【0054】
OCVとSOCとの略比例関係がバッテリの劣化に伴ってどのように変化するかを、模式的に図5に示す。図5は、横軸をOCVとし縦軸をSOCとしたときのOCVとSOCとの関係を示す図である。同図に示すように、SOCが満充電のときのOCVをV100としたとき、V100はバッテリが劣化してもほとんど変化しない.これに対し、OCVに対するSOCの変化の傾き(変化率)は、バッテリの劣化とともに図中の矢印で示すように大きくなる傾向がある。
【0055】
そこで、バッテリの劣化係数αを用いてa’=α×aとする。また、式(ii)でもSOCが満充電(SOC=1)のときにOCVがV100になることから、式(ii)の定数項b’を、次式のように式(i)の定数項bで表すことができる。
b’=a×(1−α)+b=V100×(1−α)+α×b
これより、式(1)は次式のように変換することができる。
SOF=a×α×SOC+V100×(1−α)+α×b−I×Rin (2)
【0056】
さらに、内部抵抗Rinは、図6に一例を示すように、SOCに依存して変化する。図6は、横軸をSOCとし縦軸を内部抵抗としたときのSOCに対する内部抵抗の変化の一例を示している。図6に示すようなSOCに対する内部抵抗Rinの変化(第1の相関)は、次式を用いてSOCの関数として表すことができる。
Rin=C×SOC-D (iii)
ここで、パラメータCは満充電(SOC=1)のときの内部抵抗Rinに相当する。
【0057】
なお、上記では内部抵抗RinをSOCの累乗式で表したが、これに限定されず、例えばSOCの多項式で表してもよい。このようなSOCの関数は、SOC及びRinのそれぞれの測定値を用いて最適近似することにより事前に作成することができる。また、式(iii)のパラメータC、Dは、SOCとRinとに対応させた表(第1の対応表)に設定しておき、この表を用いてSOC及びRinのそれぞれの測定値に対応するパラメータC、Dを補間して求めるようにすることができる。さらに、SOCに対する内部抵抗Rinの変化を、上記の数式等を用いて算出した数値あるいは事前に測定した測定値を用いて表を作成し、これを用いてSOCから内部抵抗Rinを算出するようにしてもよい。
【0058】
上記式(iii)を用いて式(2)を以下のように表すことができる。
SOF=a×α×SOC+V100×(1−α)+α×b−I×C×SOC-D (iV )
式(iV)では、SOFをSOCのみの関数として表している。これより、式(iv)を用いることで、本実施形態ではSOCを求めてSOFを算出することが可能となる。SOCは、バッテリの電圧を測定し、これをOCVとするかまたは所定の相関を用いてOCVを予測し、このOCVから算出することができる。あるいは、電流を測定し、その積算値でSOCを逐次更新させるようにしてもよい。
【0059】
また式(iV)では、バッテリの劣化による影響を、劣化係数αを用いて反映させるようにしていることから、バッテリ10が劣化したときも式(iV)を用いてSOCの測定値からSOFを高精度に算出することができる。なお、劣化係数αは、例えば内部抵抗Rinに対応させた表(第2の対応表)を事前に作成しておき、Rinの測定値から劣化係数αを決定するようにすることができる。
【0060】
本実施形態のバッテリの放電能力制御方法が第1実施形態と異なる点を、図4を用いて説明する。本実施形態では、ステップS11においてバッテリセンサ110を用いてバッテリ10のSOCを測定する点が第1実施形態と異なっている。なお、ここでも内部抵抗Rinを例えば駐車開始後の最初の周期のときだけ測定するようにしてもよい。また、次のステップS12では、電源管理制御部120において、バッテリセンサ110からSOC及びRinの各測定値を入力し、式(2)を用いてSOFを算出する点が第1実施形態と異なっている。以降のステップS3、S4の処理は第1実施形態と同じである。
【0061】
本実施形態の放電能力制御方法及びその装置によれば、SOCの測定値を用いてバッテリの劣化を反映したSOFを算出して放電能力を監視することができ、これにより目標放置期間のエンジン始動性を保持するように暗電流を制御することができる。
【0062】
(第3実施形態)
本発明の第3の実施形態に係るバッテリの放電能力制御方法及びその装置を、図7を用いて説明する。図7は、本実施形態のバッテリの放電能力制御方法の処理の流れを説明するフローチャートである。本実施形態の放電能力制御装置は、第2実施形態と同様にバッテリ状態量としてSOCをバッテリセンサ110で測定するが、電源管理制御部120における処理の内容が第2実施形態とも異なっている。
【0063】
本実施形態では、エンジン始動に必要な放電能力の下限に相当するSOFをSOFlimitとし、このSOFlimitをバッテリ10の劣化係数αと満充電(SOC=1)時の内部抵抗Rinに相当するパラメータCから決定する。すなわち、SOFlimitを劣化係数αとパラメータCとに対応させて設定した表(第3の対応表)をあらかじめ作成しておき、この表を用いて劣化係数αとパラメータCとからSOFlimitを決定する。なお、内部抵抗Rinが温度依存性を有することから、SOFlimitをさらにバッテリ10の温度で補正するようにしてもよい。
【0064】
SOFlimitが決定されると、つぎにこのSOFlimitに対応する残存容量SOCの下限であるSOClimitを、上記の式(2)を用いて算出する。すなわち、式(2)の左辺SOFとして上記で算出したSOFlimitを代入し、右辺の内部抵抗Rinに測定値を用いることで、右辺のSOCを簡単な計算で算出することができる。そして、算出されたSOCをSOClimitとする。
【0065】
つぎに、目標放置期間に達するまでにバッテリから放電される放電量を算出する。これは、バッテリ10から放電される暗電流の1日当たりの放電量に目標放置期間に達するまでの残日数をかけることで算出できる。あるいはより詳細に、暗電流値に目標放置期間に達するまでの時間をかけて算出してもよい。目標放置期間に達するまでの放電量が算出されると、これをSOClimitに加算して目標残存容量SOCtargetを算出する。目標残存容量SOCtargetは、目標放置期間に達するまでエンジン始動性を保持するのに必要なバッテリ10の残存容量である。
【0066】
目標残存容量SOCtargetが算出されると、つぎに式(iv)を用いて残存容量がSOCtargetのときのSOFであるSOFtargetを算出する。SOFtargetの算出では、内部抵抗Rinとして測定値を用いず、式(iii)等のSOCの関数から算出して用いる。本実施形態では、SOFに対する閾値としてSOFtargetを用い、SOCの測定値を式(iv)に代入して算出したSOFがSOFtargetまで低下したと判定すると、暗電流の一部または全部を遮断する。これにより、バッテリ10のエンジン始動性を保持することができる。
【0067】
上記のようにして算出された閾値SOFtargetは、内部抵抗の変化の影響に加えて劣化係数αの影響を反映していることから、本実施形態では、内部抵抗及び劣化係数αの影響を反映した放電能力の監視を行うことができ、これによりエンジン始動性をさらに確実に保持することが可能となる。
【0068】
上記では、SOFとその閾値SOFtargetを用いて放電能力を制御する方法を説明したが、これに代えてSOCとその閾値SOCtargetを用い、SOCがSOCtarget以下とならないように監視することで、エンジン始動性を保持させるようにすることも可能である。この場合には、残存容量SOCの測定値がSOCtargetまで低下したと判定されたときに、暗電流の一部または全部を遮断することでエンジン始動性を保持することが可能となる。
【0069】
なお、閾値SOFtargetまたはSOCtargetを上記のようにして算出する代わりに、これを所定の対応表(第4の対応表)を用いて求めるようにすることも可能である。一例として、SOCとRinとに対応させて閾値SOFtargetまたはSOCtargetを設定した第4の対応表をあらかじめ作成し、SOC及びRinの測定値に対応する閾値SOFtargetまたはSOCtargetを補間して求めるようにしてもよい。これにより、電源管理制御部120における処理を簡略化して負荷を軽減することができる。
【0070】
本実施形態のバッテリの放電能力制御方法を、図7を用いてさらに詳細に説明する。まずステップS21においてバッテリセンサ110でバッテリ10の残存容量SOC及び内部抵抗Rinを測定する。但し、内部抵抗Rinの測定は、例えば駐車開始後の最初の周期のときだけ行うようにしてもよい。
【0071】
ステップS22では、バッテリ10の劣化係数αを算出する。劣化係数αは、例えば内部抵抗Rinに対応させた第2の対応表を事前に作成しておき、Rinの測定値から劣化係数αを決定するようにすることができる。

ステップS23では、内部抵抗RinをSOCの関数で表した式(iii)のパラメータC、Dを決定する。パラメータC、Dは、SOCとRinとに対応させた第1の対応表を用いてSOC及びRinのそれぞれの測定値に対応するパラメータC、Dを補間して求めるようにすることができる。
【0072】
ステップS24では、SOFlimitを劣化係数αとパラメータCとに対応させて設定した第3の対応表を用いて、上記で求めた劣化係数αとパラメータCに対応するSOFlimitを求める。次のステップS25では、SOFlimitに対応する残存容量SOCの下限であるSOClimitを式(2)を用いて算出する。
【0073】
ステップS26では、目標放置期間に達するまでにバッテリから放電される放電量を算出し、これをSOClimitに加算することで目標残存容量SOCtargetを算出する。ステップS27では、式(iv)を用いて残存容量がSOCtargetのときのSOFであるSOFtargetを算出する。
【0074】
ステップS28では、SOCの測定値を式(iv)に代入してSOFを算出する。ステップS29では、ステップS27で算出されたSOFtargetを閾値として、ステップS28で算出されたSOFが閾値SOFtargetより大きいかを判定する。そして、SOFが閾値SOFtargetに達したと判定されると、ステップS30で暗電流を遮断させるための信号が出力される。
【0075】
次に、本実施形態の放電能力制御方法により目標放置期間が確保されるようにした一例を、図8を用いて説明する。図8は、駐車開始後のバッテリ10のSOFの時間変化を示しており、横軸が駐車開始からの日数、縦軸がSOFをそれぞれ示している。
【0076】
図8において、符号71で示すSOFの閾値(SOFtarget1とする)及び符号72で示すSOFの時間変化は、バッテリ10が劣化していないときのものであり、符号71で示す閾値SOFtarget1は劣化係数α=1のときのものである。SOFが閾値SOFtarget1に達したときに暗電流の一部を遮断したことにより、閾値SOFtarget1に達したのちのSOFの低下速度が遅くなっている。その結果、SOFが閾値SOFtarget1に達してから下限50(SOFlimitに相当)に達するまでに1か月(31日)の放置日数を確保している。
【0077】
また、符号73で示すSOFの閾値(SOFtarget2とする)及び符号74で示すSOFの時間変化は、バッテリ10が少し劣化したときのものであり、符号73で示す閾値SOFtarget2は劣化係数α=0.8のときのものである。ここでも、SOFが閾値SOFtarget2に達したときに暗電流の一部を遮断することで、SOFが閾値SOFth2に達してから下限SOFlimit50に達するまでの放置日数を1か月(31日)としている。
【0078】
さらに、符号75で示すSOFの閾値(SOFtarget3とする)及び符号76で示すSOFの時間変化は、バッテリ10がさらに劣化したときのものであり、符号75で示す閾値SOFtarget3は劣化係数α=0.5のときのものである。ここでも、SOFが閾値SOFtarget3に達したときに暗電流の一部を遮断することで、SOFが閾値SOFtarget3に達してから下限SOFlimit50に達するまでの放置日数を1か月(31日)としている。
【0079】
上記説明のように図8では、SOFが閾値に達したときにさらに31日間(1か月)の暗電流の放電を行ってもエンジン始動性が保持されるように、バッテリの劣化度に対応させて閾値SOFtarget1、SOFtarget2、及びSOFtarget3を設定した一例を示している。また同図には、バッテリ10の劣化が進むにつれてSOFの閾値SOFtargetが高くなることが示されている
【0080】
本実施形態の放電能力制御方法及びその装置によれば、バッテリの劣化を反映してSOFの閾値を設定することによりSOFを好適に監視することができ、これにより目標放置期間のエンジン始動性を保持するように暗電流を制御することができる。
【0081】
なお、本実施の形態における記述は、本発明に係るバッテリの放電能力制御方法及びその装置の一例を示すものであり、これに限定されるものではない。本実施の形態におけるバッテリの放電能力制御方法及びその装置の細部構成及び詳細な動作等に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0082】
10 バッテリ
11 オルタネータ
20 負荷
100 放電能力制御装置
110 バッテリセンサ
120 電源管理制御部
121 情報伝達手段
130 スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8